WO2022065430A1 - 医薬品用含水系貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着剤層中の水分が揮散した後においても良好な粘着力を発現する含水系貼付剤を提供すること。 【解決手段】モノマーAとモノマーBからなるモノマー混合物の共重合体であるアクリル酸アルキルエステル系共重合体であって、前記モノマーAは、該モノマーAをホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が270K以上290K以下のポリマーとなるモノマーであり、前記モノマーBは、該モノマーBをホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が210K以下のポリマーとなるモノマーである、アクリル酸アルキルエステル系共重合体のエマルジョンを、粘着剤層に20質量%超70質量%未満の割合にて含有してなる医薬品用含水系貼付剤。

Description

医薬品用含水系貼付剤
 本発明は医薬品用含水系貼付剤に関するものであり、詳細には、粘着剤層中の水分が揮散された後においても高い粘着力が維持され、且つ、良好に製造でき、実用品質が高い、含水系貼付剤に関する。
 一般に「パップ剤」とも称される水を含む粘着基剤を用いる貼付剤(本明細書において含水系貼付剤と称する)は、薬物等の有効成分を含有する膏体層(粘着剤層)を織布、編布、不織布等の支持体上に備える貼付剤の一種である。パップ剤は、膏体層に水を含む粘着基剤を用いているため、皮膚刺激性は低いものの粘着力が弱く、特に膏体層中の水分の揮散とともに粘着力が経時的に低下し、皮膚から剥離し易いことが問題であった。
 こうした問題を解決するために、非水系(疎水性、親油性とも称する)の粘着剤を構成する一成分として知られるアクリル酸アルキルエステル共重合体を分散させたエマルション(エマルジョンとも)基剤を、含水系貼付剤の膏体層(粘着剤層)に配合する技術が知られている。
 例えば、特許文献1には、長時間の貼付でも優れた粘着力と再貼着力を有し、水分の喪失に伴う硬化及びしなやかさの抑制を図った含水系の貼付剤の提供を目的として、含水系外用貼付剤用組成物全体に対して、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体を5.0質量%以上10質量%以下、水分散性界面活性剤を0.01質量%以上10.0質量%以下配合した貼付剤が開示されている。
 また特許文献2には、時間経過によるパップ剤の水含有量が減少した場合においても十分な付着力を有するパップ剤の提供を課題として、ポリアクリル酸中和物と該中和物の2.5~10倍質量(膏体基準で5~25質量%)のアクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体とポリアクリル酸とを含有するパップ剤が開示されている。
 特許文献3には、より小さな力で剥離ライナーを剥離可能なパップ剤の提供を目的として、ポリ(アクリル酸メチル/アクリル酸2-エチルヘキシル)と界面活性剤としてポリエチレングリコールのモノ脂肪酸エステル等を含むパップ剤が開示されている。
特許第5650684号 特許第5921779号 特許第6469136号
 上述のように、含水系貼付剤の粘着持続性を高めるために、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体等のアクリル酸アルキルエステル共重合体を粘着剤層に配合することが知られている。
 しかしこれまで提案された含水系貼付剤において、特に粘着剤層中の水分が揮散した後における粘着力は、テープ剤と比較すると十分に満足できるといえるものではなかった。
 また従来、含水系貼付剤の粘着剤層を構成する親水性アクリル系粘着剤(ポリアクリル酸部分中和物(昭和電工(株)製、ビスコメート(登録商標)NP-800等)など)や粘稠化剤(カルメロースナトリウム等)は、通常親水性の高い高分子化合物であるため、直接水に投入するとダマが発生し得る。加えて架橋剤(ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(協和化学工業〈株〉製、グリシナール等)など)は、水に溶解してその機能を失うことがないよう、その溶解を抑制することが必要となる場合がある。こうした理由から、水をほとんど含まない湿潤剤にこれら成分を分散させ、粘着剤層を形成する組成物にこれを投入する方法が、パップ剤の製造で一般に実施されている。しかし前記エマルションを20質量%超の割合で配合した場合、前述の親水性アクリル系粘着剤、粘稠化剤及び架橋剤を粘着剤層に分散させる役割を担う、水を含まない湿潤剤(濃グリセリン等)の配合量が相対的に少なくなる。そのため、これら成分を粘着剤層に十分に分散させることができず、結果として粘着剤中にダマが発生する問題があった。
 また、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体等のアクリル酸アルキルエステル共重合体を20%以上配合すると、他の成分の配合量が少なくなり、架橋反応がしにくくなったり、保形性が保てない問題があった。
 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層に、アクリル酸アルキルエステル系共重合体として、ホモ重合したときのガラス転移温度(Tg)が270以上290K以下のポリマーとなるモノマーと、ホモ重合したときのTgが210K以下のポリマーとなるモノマーを共重合した共重合体のエマルションを、従来量を遥かに上回る20質量%超70質量%未満の割合にて配合することにより、粘着剤層形成時におけるダマ発生を抑制し、架橋性や保形性を損なうことなく、また粘着剤層中の水分が揮散した後においても粘着力が低下せずにむしろ著しく向上すること、かつ、製造性及び実用性のあることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち本発明は:
[1]
支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層及び剥離ライナーからなる医薬品用含水系貼付剤であって、
前記粘着剤層が、
1)有効成分、
2)アクリル系親水性粘着剤、
3)アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルション(固形分57~61質量%)、
4)架橋剤、
5)粘稠化剤、
6)水をほとんど含まない湿潤剤(水分含量17%以下)を含む、湿潤剤、及び
7)水、
を含有し、
前記アクリル酸アルキルエステル共重合体は、モノマーAとモノマーBからなるモノマー混合物の共重合体であって、
前記モノマーAは、該モノマーAをホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が270以上290K以下のポリマーとなるモノマーであり、
前記モノマーBは、該モノマーBをホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が210K以下のポリマーとなるモノマーであり、
該粘着剤層の全質量に対して20質量%超70質量%未満の割合にてアクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションを含有する、
医薬品用含水系貼付剤。
 そして本発明によれば、さらに以下の実施態様が提供される。
[2]
下記a)乃至c)のうち1項もしくは2項以上を備えることを特徴とする、[1]に記載の医薬品用含水系貼付剤。
a)前記アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションと、前記アクリル系親水性粘着剤の質量比が5以上30以下である。
b)前記粘着剤層は、pH4.5~5.5である。
c)粉状成分(前記アクリル系親水性粘着剤、架橋剤及び粘稠化剤)と、前記水をほとんど含まない湿潤剤の質量比が0.01以上0.35以下である。
[3]
前記水をほとんど含まない湿潤剤が、濃グリセリン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、流動パラフィン、1,3-プロパンジオール及び1,4-ブタンジオールからなる群から選択される、[1]又は[2]に記載の医薬品用含水系貼付剤。
[4]
前記粘着剤層が、さらに
8)清涼化剤
9)有機溶媒、
10)pH調節剤、
11)キレート剤、
を含有する、[1]乃至請求項[3]のうち何れか一項に記載の医薬品用含水系貼付剤。
 本発明によれば、ホモ重合したときのガラス転移温度(Tg)が270K以上290K以下のポリマーとなるモノマーAと、ホモ重合したときのTgが210K以下のポリマーとなるモノマーBとからなるモノマー混合物の共重合体であるアクリル酸アルキルエステル系共重合体のエマルションを、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層に20質量%超70質量%未満にて配合することにより、そして好ましい態様においては、a)前記アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションと、前記アクリル系親水性粘着剤の質量比を5以上30以下とするか、b)前記粘着剤層のpHを4.5~5.5とするか、c)粉状成分(前記アクリル系親水性粘着剤、架橋剤及び粘稠化剤)と、前記水をほとんど含まない湿潤剤の質量比を0.01以上0.35以下とすることにより、粘着剤層形成時におけるダマ発生を抑制し、また粘着剤層中の水分が揮散した後においても粘着力を維持でき、かつ、製造中に粘着剤層形成材料中にダマ等が発生することのない良好な製造性、並びに、粘着剤層とライナーの剥離性や粘着剤層同士の剥離性が良好であり粘着剤層が一定の架橋度を有する(汗等で粘着剤層が著しく膨潤するなどの形状の崩れがない)といった実用性のある医薬品用含水系貼付剤を提供できる。
 上述したように、含水系貼付剤の粘着力の持続性を高めるべく、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(商品名 ニカゾールTS-620、日本カーバイド工業(株))等のアクリル酸アルキルエステル共重合体エマルションを粘着剤層に配合する提案や、この配合量を増量する提案がなされている。しかしこれまでの提案では、共重合体の配合量を増加させた場合においても、特に粘着剤層中の水分が揮散した後(水揮散後)の粘着力はテープ剤と比べて十分なものとはいえるものではなかった。
 本発明者らは、上記の課題に際し、従来提案された配合量を超える、20質量%超70質量%未満の量にてアクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(以下、共重合体エマルションともいう)を粘着剤層に配合することにより、粘着剤層中の水分が揮散した後においても粘着力を維持でき、かつ、製造時にダマ等が発生して支持体への困難が生じるといった製造性に問題がなく、粘着剤層同士又は粘着剤層と剥離ライナーの剥離性が良好であり、汗等で粘着剤層が著しく膨潤して形状が崩れることのない架橋度を有するなどの実用性のある医薬品用含水系貼付剤を提供できることを見出した。
 以下、本発明の医薬品用含水系貼付剤の構成について説明する。
 本発明の医薬品用含水系貼付剤(以下、単に「貼付剤」とも称する)は、支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層及び剥離ライナーからなる。
 上記貼付剤、特に支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層からなる製剤部分の形状は特に限定されず、方形(正方形、長方形等)、四角形(台形、菱形等)、多角形、円形、楕円形、半円形、三角形、三日月形、並びにこれらを組み合わせた形状等、貼付箇所に合わせて種々の形状を選択できる。
 なお貼付剤(特に上記の製剤部分)の面積は適宜決定することができ、例えば粘着剤層に配合する有効成分の量などを考慮し、例えば2~300cmの範囲とすることができる。
[粘着剤層]
 本発明の医薬品用含水系貼付剤は、その含水系の粘着剤層に対して、後述する親水性のアクリル系粘着剤に加えて、一般に非水系のアクリル系粘着剤を構成するアクリル酸アルキルエステル系共重合体のエマルジョンも配合することを特徴とする。
 一般に含水系貼付剤の粘着剤層(膏体層)に使用される粘着剤としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ポリアクリル酸ナトリウム、N-ビニルアセトアミド・アクリル酸ナトリウム共重合樹脂等の親水性のアクリル系粘着剤が広く用いられている。上記の親水性のアクリル系粘着剤と親和性が高く、均一に練合できる観点から、含水系貼付剤の含水系の粘着剤層に配合する非水系粘着剤としては、アクリル系及びメタクリル系のエマルション型の粘着剤が好ましく配合される。
 なお、本明細書において「アクリル酸アルキルエステル系共重合体」とは、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステルの双方を含むことを意図し、また「アクリル系粘着剤」もアクリル系粘着剤とメタクリル系粘着剤の双方を含むことを意図してなる。
<アクリル酸アルキルエステル系共重合体>
 非水系のアクリル系粘着剤を構成するアクリル酸アルキルエステル系共重合体(非水系粘着基剤)は、粘着力を発現する成分として、アルキルエステルの炭素原子数が2~9であり、ホモ重合させたときガラス転移温度(Tg)が-55℃(218K)以下のポリマーとなるモノマーと、凝集力を向上させる成分として、ホモ重合させたときTgが8~165℃(281~438K)のポリマーとなるモノマーと、さらに必要によってはカルボキシル基やヒドロキシ基といった架橋点となるなどの官能基を有するモノマーで構成される共重合体である(モノマーの一例を表1に挙げた)。
 本発明において使用するアクリル酸アルキルエステル系共重合体は、ホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が270K以上290K以下のポリマーとなるモノマーA(ハードセグメント)と、ホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が210K以下のポリマーとなるモノマーB(ソフトセグメント)からなるモノマー混合物の共重合体である。上記モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度Tgの下限値はおよそ200Kである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 なお、粘着力を発現するモノマーのみを重合したホモポリマーは、粘着力は高いものの機械的強度が弱いとされ、一般に凝集力を向上させるモノマーとの共重合により機械的強度を向上させた共重合体が粘着剤として用いられる。
 上記の表1に示す粘着力を発現するモノマーとして挙げたように、本発明では、より粘着力の高いモノマーとして、該モノマーをホモ重合させたとき(ホモポリマー)のTgが210K以下であるアクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等が用いられる。これらのうち、医薬品添加物として使用実績があり、粘着力の高い(ホモポリマーのTgが低い)アクリル酸2-エチルヘキシルを好ましく用いることができる。
 また凝集力を向上させるモノマー(ホモポリマーのTgが270K以上290K以下)としては表1に挙げたモノマーではアクリル酸メチルが挙げられ、アクリル酸メチルは機械的強度が高く、粘着性を著しく低下させない(ホモポリマーのTgが比較的低い)点で好ましい。
 なお、従来技術において挙げたように、貼付剤に使用される市販のアクリル酸アルキルエステル系共重合体のエマルションとして、日本カーバイド(株)製の、ニカゾール(登録商標)TS-620(アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン)がある。アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンは、医薬品添加物規格の収載品である。医薬品添加物規格(2018年)によれば、ニカゾールTS-620を水浴上で蒸発乾固した後、105℃で3時間乾燥するとき、蒸発残留物の量は57~61%である。
 なお、上記共重合体において、ホモポリマーのTgが270K以上290K以下となるモノマーAの割合を40質量%以上50質量%以下とすることにより、粘着剤層の水気散時における粘着力の向上が期待できる。
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層において、アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションとしての配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、下限値を20質量%超、30質量%以上、30質量%超、上限値を70質量%未満、60質量%以下、60質量%未満、50質量%以下、50質量%未満とすることができる。後述するアクリル系親水性粘着剤との配合割合は、例えば、アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションとアクリル系親水性粘着剤の質量比を5以上30以下、5以上25以下、10以上30以下、10以上25以下などとすることができる。
<有効成分>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤における粘着剤層は、有効成分を含有する。
 前記有効成分とは生理活性物質が挙げられ、これは経皮吸収性を有し、体内に投与された場合に薬理活性を示すものであれば特に限定されず、水溶性物質であっても脂溶性物質であってもよい。
 生理活性物質としては、例えば、フェルビナク、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール(サリチル酸エチレングリコール)、インドメタシン、ケトプロフェン、イブプロフェン等の非ステロイド系抗炎症剤またはこれらのエステル;ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム等の鎮痛剤;リドカイン、ジブカイン等の局所麻酔剤;塩化スキサメトニウム等の筋弛緩剤;クロトリマゾール等の抗真菌剤;クロニジン等の降圧剤;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等の血管拡張剤;ビタミンA、ビタミンE(トコフェロール)、酢酸トコフェロール、ビタミンK、オクトチアシン、酪酸リボフラビン等のビタミン類、プロスタグランジン類;スコポラミン、フェンタニール、トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミド、カプサイシン、l-メントール、dl-カンフル等が挙げられる。生理活性物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 上記有効成分は、その種類によって適宜配合量を決定できるが、例えば医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として0.1質量%以上30質量%以下、あるいは0.5質量%以上15質量%以下とすることができる。
<アクリル系親水性粘着剤>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層は、アクリル系親水性粘着剤を含有する。
 上記アクリル系親水性粘着剤としては、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられる。水溶性(メタ)アクリル系ポリマーは、水溶性を有する官能基(親水性基)を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマーを重合して得られるポリマーであり、粘着剤層に水とともに配合することで、粘着性を発揮する。水溶性(メタ)アクリル系ポリマーは、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸の中和物等のホモポリマー;N-ビニルアセトアミド・アクリル酸ナトリウム共重合樹脂等のコポリマーが挙げられる。
 上記ポリアクリル酸中和物は、ポリアクリル酸完全中和物であっても、ポリアクリル酸部分中和物であっても、これらの混合物であってもよい。ポリアクリル酸中和物とは、ポリアクリル酸塩を意味し、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等を用いることができる。
 アクリル系親水性粘着剤の配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.1質量%以上10質量%以下、1質量%以上8質量%以下とすることができる。
<架橋剤>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層は、更に架橋剤を含有する。該架橋剤としては、多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムを含む多価金属化合物が挙げられる。一例として、水酸化アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム等の水酸化物;塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、アルミニウムグリシネート(ジヒドロキシアルミニウムアミノアセタール)、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、カオリン、ステアリン酸アルミニウム等の無機又は有機酸の正塩又はそれらの塩基性塩;アルミニウムミョウバン等の復塩;アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩;無機性アルミニウム錯塩及び有機性アルミニウムキレート化合物;合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の多価金属化合物が挙げられ、これらを単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
 架橋剤の配合量は、粘着剤の皮膚への残留や貼着性の一因となり得る架橋度を考慮して適宜選択すればよい。例えばその配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上6.0質量%以下、0.01質量%以上4.0質量%以下、あるいは、0.01質量%以上2.0質量%以下の範囲を挙げることができる。
<粘稠化剤>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層は粘稠化剤を含有し、これは粘着剤の保形性向上や粘着性向上としての機能が期待される。該粘稠化剤としては、例えば、エチルセルロース、カルメロールナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム等の多糖類、ゼラチン、尿素等が挙げられる。このうち、チキソトピー性があり展延性が向上するカルメロースナトリウムが好適である。これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
 粘稠化剤の配合量は、通常、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.1質量%以上10質量%以下、0.5質量%以上20質量%以下、あるいは16.0質量%以上10質量%以下の範囲とすることができる。
<湿潤剤>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層は、湿潤剤(保湿剤とも)を含有する。該湿潤剤には、経時的な水分の蒸発を抑制する機能とともに、親水性アクリル系粘着剤等の水溶性高分子、カルメロースナトリウム等の粘稠化剤、架橋剤等、直接水に配合するとダマ発生や架橋により増粘することを抑制する機能が期待される。後者の直接水に配合することを避けるという理由においては、水をほとんど含まない湿潤剤を使用することが望ましい。すなわち粘着剤層形成時において、無水の湿潤剤であるか、水を含んでいたとしてもごく少量(例えば17質量%以下)である湿潤剤に、前記親水性アクリル系粘着剤、粘稠化剤、架橋剤等を配合して予製剤とした後、粘着剤層を構成する他成分と混合することにより、ダマ発生や増粘を抑制できる。そのような湿潤剤としては、例えば、濃グリセリン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、流動パラフィン、1,3-プロパンジオール及び1,4-ブタンジオール等の多価アルコールが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて、使用できる。
 なお、前者の経時的な水分の蒸発を抑制するという理由においては、水を含む湿潤剤を好適に配合できる。例えば通常70%水溶液として用いられるD-ソルビトール液は、水分を含むため、ダマ発生や増粘の抑制(前述の予製剤の調製)に用いることは困難であるが、その後の他成分と混合する際に一緒に配合することが可能である。
 湿潤剤の配合量(水をほとんど含まない湿潤剤と、水を含む湿潤剤との合計量)は、通常、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば1.0質量%以上70質量%以下、5.0質量%以上60質量%以下、あるいは10質量%以上60質量%以下の範囲とすることができる。
 なお、前述した親水性アクリル系粘着剤と粘稠化剤、及び架橋剤の合計配合量<A>と、水をほとんど含まない湿潤剤(例えば濃グリセリン)の配合量<B>との質量比率を、<A>/<B>=0.01~0.35としてこれらを配合することにより、ダマが発生せず、均一に練合できることが期待できるため好適である。
<水>
 上述した通り、本発明の医薬品用含水系貼付剤は、粘着剤層中に水(水分)を含有するものである。本明細書において、粘着剤層に含まれる「水」とは、粘着剤層を形成時に、水として別に添加したものだけでなく、エマルジョンや水溶液などの形態として含まれる水も含む。
 水の配合量は特に限定されないが、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば10質量%以上90質量%以下、15質量%以上70質量%以下、20質量%以上50質量%以下の範囲とすることができる。なおこの水分配合量は、貼付剤調製時、あるいは、貼付剤の貼付前の値であり、貼付の経過とともに粘着剤層から水が揮散した場合にはこの限りでない。
<清涼化剤>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤において、粘着剤層に配合する有効成分として特にロキソプロフェンナトリウム等の非ステロイド性消炎鎮痛剤を採用する場合には、清涼化剤を好ましく配合することができる。該清涼化剤としては、l-メントール、dl-カンフル、ケイヒ油、ゲラニオール、ハッカ油、ベルガモット油、d-ボルネオール、ユーカリ油等が挙げられ、これらを単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。なお、l-メントールやdl-カンフルは前述の<有効成分>にも該当するが、有効成分としての効果発現に寄与しない程度の配合量にて、<清涼化剤>として配合することができる。
 清涼化剤を配合する場合、その配合量は、医薬品添加剤としての使用量の範囲内で、薬効を発現せず、貼付時に清涼感を発現することを考慮して適宜選択すればよい。例えば清涼化剤としてのl-メントールの配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上4.0質量%以下、0.01質量%以上3.0質量%以下の範囲を挙げることができる。
<有機溶媒>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層は、更に有機溶媒を配合し得る。該粘着剤層に配合される有機溶媒は、薬物等の有効成分の溶解を補助し、また粘着剤層から有効成分が析出することを防ぐ役割を有し得る。このような有機溶媒(溶解補助剤)として、クロタミトン;N-メチル-2-ピロリドン;マクロゴール400(ポリエチレングリコール)、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル等の脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等のソルビタンエステル類;1,3-ブタンジオール等の多価アルコール;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
 有機溶媒の配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.1質量%以上20質量%以下、0.5質量%以上10質量%以下、あるいは1.0質量%以上5質量%以下の範囲とすることができる。
<pH調節剤>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層は、更にpH調節剤を配合し得る。pH調整剤としては、有機酸、無機酸の何れも使用することができ、これらを併用してもよい。
 該有機酸としては、例えばクエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、グリコール酸、リンゴ酸、フマル酸、メタスルホン酸、マレイン酸、酢酸等が挙げられ、これらを単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。有機酸のうち、乳酸等のヒドロキシ酸は難溶性アルミニウム化合物(架橋剤)の溶解性を向上させる効果も有する。
 また該無機酸としては、例えば、塩酸、ホウ酸、リン酸、硫酸等が挙げられ、これらを単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
 有機酸の配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上5質量%以下の範囲とすることができる。
 無機酸の配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.1質量%以上1.2質量%以下の範囲とすることができる。
<キレート剤>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層には、難溶性アルミニウム化合物(架橋剤)の溶解速度を制御させるためにキレート剤を配合することができる。
 キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩)が挙げられる。
 キレート剤の配合量は、通常、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上1質量%以下の範囲とすることができる。
<その他の任意成分>
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層には、上記以外のその他の任意成分として、水溶性高分子化合物、界面活性剤、安定剤(抗酸化剤、紫外線吸収剤等)、無機粉体、着色剤、香料、防腐剤等の、従来の含水系貼付剤(パップ剤)やあるいは非水系貼付剤(テープ剤)における粘着剤層に一般に配合され得る成分を配合することができる。これらの任意成分は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
〈水溶性高分子化合物〉
 水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
 水溶性高分子化合物の配合量は、通常、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば1.0質量%以上30質量%以下、3.0質量%以上20質量%以下、あるいは5.0質量%以上20質量%以下の範囲とすることができる。
〈界面活性剤〉
 界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジオレート、ポリプロピレングリコールジオレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノセスキオレート、及びこれらのエチレンオキシド付加物等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンドデシルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル;モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、レシチン等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
 これら界面活性剤の配合量は、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.001質量%以上10質量%以下、0.01質量%以上5質量%以下の範囲とすることができる。
〈安定剤〉
 本発明の医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層には、光(特に、紫外線)、熱又は酸素に対して、前記有効成分等の保存安定性を向上させるために安定剤を配合することができる。
 安定剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の抗酸化剤;ベンゾイルメタン誘導体等の紫外線吸収剤;等が挙げられる。
 安定剤の配合量は、通常、医薬品用含水系貼付剤の粘着剤層の全質量を基準として、例えば0.01質量%以上1質量%以下の範囲とすることができる。
〈無機粉体〉
 無機粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸塩、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等を配合することができる。
[支持体]
 本発明の医薬品用含水系貼付剤に用いる支持体としては、フィルム、不織布、和紙、綿布、編布、織布、不織布とフィルムのラミネート複合体等の柔軟性を有する支持体が挙げられる。これらの支持体は、皮膚に密着することができ、かつ、皮膚の動きに追随することができる程度の柔軟な材質、そして長時間貼付後において皮膚のかぶれ等の発生を抑制できる材質が好ましい。これらの支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ナイロン、コットン、アセテートレーヨン、レーヨン、レーヨン/ポリエチレンテレフタレート複合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、アクリル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、セロハン等を必須成分とするものが挙げられる。
 また、布類などの支持体は、着色剤により肌色などの色調に着色することにより、貼付時に肌の色との相違を少なくできる。また貼付下の皮膚の色調を透けて出しやすいという点では、透明性に優れたプラスチックフィルムの形態を採用することができる。
 支持体の厚みは、通常5μmから1mm程度である。支持体が布類である場合、その厚みは、好ましくは50μm~1mm、より好ましくは100~800μm、更に好ましくは200~700μmである。支持体がプラスチックフィルムである場合、その厚みは、好ましくは10~300μm、より好ましくは12~200μm、更に好ましくは15~150μmである。支持体の厚みが5μm~30μm程度とごく薄い場合は、支持体上に形成された粘着剤層とは反対の面上に、剥離可能なキャリアフィルム層を設けると、貼付剤としての取り扱い性が向上するので好ましい。但し5μmよりも支持体の厚みが小さいと、貼付剤の強度や取り扱い性が低下して、皮膚への貼付が困難になり、他の部材等との接触によって破れたり、入浴等の水との接触によって短時間で皮膚から剥離したりすることがある。また、支持体の厚みが大きすぎる(1mmより超える)と、貼付剤が、皮膚の動きに追随しにくくなり、貼付剤の辺縁部に剥がれるきっかけを形成しやすくなるため、短時間で皮膚から剥離したり、貼付中の違和感が増えたりする虞がある。
 なお支持体がフィルムである場合は、粘着剤と支持体の投錨性を向上することを目的に、支持体の片面又は両面にサンドブラスト処理、コロナ処理等の処理を行なってもよい。
 また、包材から取り出しやすくするために支持体の片面又は両面にサンドブラスト以外の方法で凹凸を設けてもよい。
[剥離ライナー]
 本発明の医薬品用含水系貼付剤に用いる剥離ライナー(剥離層・剥離紙ともいう)としては、粘着剤層中の薬物等が吸収・吸着しにくい材質であることが好ましく、貼付剤の技術分野において慣用のものを使用することができる。
 例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリプロピレン(無延伸、延伸等)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、クラフト紙等の紙や合成紙;前記プラスチックフィルム、紙又は合成紙、合成繊維等にシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングした剥離加工紙;アルミ箔;これらフィルム・シートを種々積層したラミネート加工紙、及び該ラミネート加工紙に剥離剤をコーティングしたラミネート剥離加工紙などの、無色又は着色したシートを挙げることができる。なお剥離ライナーは、包材から取り出しやすいように凹凸を設けることも可能である。
 これら剥離ライナーの厚さは特に限定されないが、通常10μm~1mm、例えば20μm~500μm、好ましくは40μm~200μmの範囲である。
 剥離ライナーの形状は方形、矩形、円形等とすることができ、所望により角を丸くした形状とすることができる。その大きさは、前記貼付剤における支持体の大きさと同形状か、やや大きめとすることができる。剥離ライナーは1枚または分割されて複数枚から構成されてもよく、その切れ目は直線、波線、ミシン線状で構成されてもよく、剥離ライナー同士の一部が重なる状態としてもよい。
[医薬品用含水系貼付剤の製造方法]
 本発明の医薬品用含水系貼付剤は、従来公知の方法を用いて製造され得る。例えば一例として、以下のi)又はii)の工程を経て製造可能である。
i)支持体上に、粘着剤層形成組成物を塗工し、粘着剤層を形成する工程、及び、支持体上に形成された粘着剤層と、剥離ライナーとを貼り合わせる工程。
ii)剥離ライナー上に、粘着剤層形成組成物を塗工し、粘着剤層を形成する工程、及び、剥離ライナー上に形成された粘着剤層と、支持体とを貼り合わせる工程。
 なお、上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、通常10μm乃至1000μm、例えば20μm乃至800μm程度とすることができる。
 前記粘着剤層形成組成物とは、前述した粘着剤層に含まれる各種成分:有効成分、アクリル系親水性粘着剤、アクリル酸アルキルエステル系共重合体、架橋剤、粘稠化剤、湿潤剤及び水を含有し、清涼化剤、有機溶媒、pH調節剤及びキレート剤を含有し得、さらに、その他の任意の成分を含有し得る半固形状の組成物である。
 なお、粘着剤層形成組成物のpHを4.5~5.5とすることにより、良好な架橋性及び保形性を期待できるため好ましい。
 なお本発明の医薬品用含水系貼付剤は、水分含有時(貼付直後)並びに水分非含有時(貼付後水分が揮散後)における粘着力が維持されることを特徴とし、また、良好に製造でき、実用品質が高い貼付剤である。
 以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<貼付剤の作製>
 以下の手順にて、実施例及び比較例の貼付剤を製造した。
実施例1:
 ポリビニルアルコール1質量部を、精製水10質量部に70℃に加熱して溶解させた後、室温まで冷却した(予製剤1)。
 次に、ロキソプロフェンナトリウム1.13質量部(水和物換算)及びl-メントール1質量部に、マクロゴール(登録商標)400 1.5質量部並びに乳酸1質量部を加えて40℃で溶解させた後、室温まで冷却した(予製剤2)。
 更に、ポリアクリル酸部分中和物4質量部、カルメロースナトリウム3質量部、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート0.25質量部を、濃グリセリン20質量部中で均一に分散させた(予製剤3)。
 撹拌機中に、予製剤1、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(アクリル酸メチル(ハードセグメント)46.7%含有、固形分60%、エマルジョン中にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(30EO)微量含有)40質量部、エデト酸ナトリウム水和物0.2質量部の順に投入し、脱気条件下、均一に分散又は溶解させた。ここに、予製剤2を投入し、脱気条件下、均一に練合した。更に、予製剤3を投入し、精製水で全100質量部となるように質量補正した後、脱気条件下、均一に練合し実施例1の粘着剤層形成組成物(膏体)を得た。
 得られた粘着剤層形成組成物をスリット幅0.5mmに調整した展延機でライナー(片面シリコーン処理したPET(75μm))のシリコーン面上に展延し、ニット支持体(ポリエステル製)をラミネートした後、任意の形状に打ち抜き、これをアルミ袋に密封し、40℃で1週間熟成させ、実施例1の製剤を得た。
実施例2:
 ポリアクリル酸部分中和物の配合量を3.5質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の製剤を得た。
実施例3:
 ポリアクリル酸部分中和物の配合量を3.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の製剤を得た。
実施例4:
 ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.5質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の製剤を得た。
実施例5:
 ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の製剤を得た。
実施例6:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を30質量部及びポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例6の製剤を得た。
実施例7:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を50質量部及びポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例7の製剤を得た。
実施例8:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を60質量部、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部及び濃グリセリンの配合量を15質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例8の製剤を得た。
比較例1:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を10質量部及びポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の製剤を得た。
比較例2:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を20質量部及びポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の製剤を得た。
比較例3:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を70質量部、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部及び濃グリセリンの配合量を15質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして粘着剤層形成組成物を得ようとしたが、得られた粘着剤層形成組成物にダマが多数発生し、その後のライナーへの展延に至らず、製剤を得ることはできなかった。
比較例4:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を80質量部、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部及び濃グリセリンの配合量を8.1質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして粘着剤層形成組成物を得ようとしたが、得られた粘着剤層形成組成物にダマが多数発生し、その後のライナーへの展延に至らず、製剤を得ることはできなかった。
実施例9:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンのグレードをアクリル酸メチル(ハードセグメント)23.8%含有に、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例9の製剤を得た。
実施例10:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンのグレードをアクリル酸メチル(ハードセグメント)31.1%含有に、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例10の製剤を得た。
実施例11:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンのグレードをアクリル酸メチル(ハードセグメント)40.8%含有に、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例11の製剤を得た。
比較例5:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンをメタクリル酸n-ブチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(メタクリル酸n-ブチル(ハードセグメント)43.3%含有)に、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例5の製剤を得た。
比較例6:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンをメタクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(メタクリル酸メチル(ハードセグメント)43.4%含有)に、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例6の製剤を得た。
比較例7:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンをアクリル酸メチル・アクリル酸n-ブチル共重合樹脂エマルジョン(アクリル酸メチル(ハードセグメント)45.4%含有)に、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例7の製剤を得た。
比較例8:
 アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンをメタクリル酸エチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(メタクリル酸エチル(ハードセグメント)41.4%含有)に、ポリアクリル酸部分中和物の配合量を2.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例8の製剤を得た。
実施例12:
 濃グリセリンの配合量を25.0質量部に変え、1N 塩酸10質量部を新たに加えた以外は、実施例1と同様にして実施例12の製剤を得た。
実施例13:
 濃グリセリンの配合量を25.0質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例13の製剤を得た。
実施例14:
 濃グリセリンの配合量を25.0質量部に変え、1N 水酸化ナトリウム 10質量部を新たに加えた以外は、実施例1と同様にして実施例14の製剤を得た。
試験例1(粘着剤層(粘着剤層形成組成物(膏体))の外観)
 実施例1乃至実施例14、及び比較例1乃至比較例8の製剤について、水分含有時(熟成後)、並びに水分非含有時(熟成後、ライナーを剥離して粘着剤層を露出させた状態で、50℃にて16時間保管にて乾燥させた後)に、粘着剤層(粘着剤層形成組成物)の色を目視で評価した。
試験例2(粘着剤層(粘着剤層形成組成物(膏体))のライナー剥離性)
 実施例1乃至実施例14、及び比較例1乃至比較例8の製剤について、4cm×4cmに裁断して製剤からライナーを剥離し、下記評価基準によりライナー剥離性を評価した。剥離性が+~+++の範囲で実用性がある。
  <評価基準>
   -  :剥離できない
   +  :剥離が重い
   ++ :剥離が中程度
   +++:剥離が軽い
試験例3(粘着剤層(粘着剤層形成組成物(膏体))の膏体間剥離性)
 実施例1乃至実施例14、及び比較例1乃至比較例8の製剤について、4cm×4cmに裁断して製剤からライナーを剥離し、膏体面同士を30秒間貼り合わせ、剥離した時の膏体間剥離性を下記評価基準により評価した。剥離性が+~+++の範囲で実用性がある。
  <評価基準>
   -  :剥離できない
   +  :剥離が重い
   ++ :剥離が中程度
   +++:剥離が軽い
試験例4(粘着剤層(粘着剤層形成組成物(膏体))の膨潤度及び架橋状態)
 実施例1乃至実施例14、及び比較例1乃至比較例8の製剤について、水分含有時(熟成後)、並びに水分非含有時(熟成後、ライナーを剥離して粘着剤層を露出させた状態で、50℃にて16時間保管にて乾燥させた後)に、1cm×4cmに裁断後、製剤からライナー剥離してその質量を測定した(初期製剤質量)。次に、該製剤の製造に使用する支持体(ニット支持体、ポリエステル製)を1cm×4cmに裁断し、その質量を測定した(初期支持体質量)。
 上記実施例及び比較例の製剤及び支持体を、精製水20mLに室温下24時間浸漬した。浸漬後、製剤を取り出し表面の水分を拭いた後、その質量を測定した(浸漬後製剤質量)。同様に浸漬後に取り出した支持体の質量を測定した(浸漬後支持体質量)。
 製剤及び支持体の各測定値から、下記式を用いて膨潤度を算出した。
 膨潤度=(浸漬後製剤質量-浸漬後支持体質量)/(初期製剤質量-初期支持体質量)
 また、下記評価基準で水分含有時(熟成後)の架橋度を評価した。なお、架橋度は++以上が好ましく、+もしくは-であると膏体の保形性が不十分となり、貼付後の剥離時に膏体が皮膚に多量に残存する虞がある。
  <評価基準>
   -  :架橋していない(膏体が精製中に溶解して回収できない)
   +  :軽度の架橋(膨潤度50以上)
   ++ :中等度の架橋(膨潤度10以上50未満)
   +++:重度の架橋(膨潤度10未満)
試験例5(粘着剤層(粘着剤層形成組成物(膏体))のpH)
 実施例1乃至実施例14、及び比較例1乃至比較例8の製剤について、4cm×4cmに裁断後、ライナーを剥離して精製水20mLに浸漬した。30分間振とう後、pHメーターを用いてpH測定した。
試験例6(粘着剤層(粘着剤層形成組成物(膏体))の粘着力試験)
 実施例1乃至実施例14、及び比較例1乃至比較例8の製剤について、水分含有時(熟成後)、並びに水分非含有時(熟成後、ライナーを剥離して粘着剤層を露出させた状態で、50℃にて16時間保管にて乾燥させた後)に、プローブタックによる粘着力試験を、日局一般試験法 6.12粘着力試験法 3.4プローブタック試験法に従い実施した。
 なお本評価は粘着剤層の粘着力を反映したものであり、その値は、好ましくは水分非含有時で市販テープ剤と同等以上となる1.13N/5mmφ以上である。
<参考例>
 下記参考例1乃至参考例3(市販品)の各製剤については、製品の包装を開封した後、試験例4及び6に従って試験を実施した。
 なお参考例1乃至参考例3の製剤は以下のとおりである。
 参考例1:テープ剤(ロキソニンSテープ、第一三共ヘルスケア(株)、ロット番号CO58S)
 参考例2:パップ剤(ロキソニンSパップ、第一三共ヘルスケア(株)、ロット番号JO297)
 参考例3:パップ剤(バンテリンコーワパットEX、興和(株)、ロット番号FA9W)
 アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションとアクリル系親水性粘着剤の配合比の影響についての結果を参考例と共に表2に、アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションの配合量の影響についての結果を表3にそれぞれ示した。
 また、アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションのモノマーの種類の影響についての結果を表4に、塩酸及び水酸化ナトリウム添加による粘着剤層のpH変化の影響についての結果を表5にそれぞれ示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表2に示した実施例1乃至実施例5は、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン/ポリアクリル酸部分中和物の配合比(質量比)を10~20の範囲において変化させたものである。これらの製剤はいずれも製造性に問題はなく、ライナー剥離性、膏体間剥離性、架橋度はいずれも実用性に問題ない範囲であった。また、水分非含有時の粘着力は参考例1に示した市販テープ剤より優れていた。
 表3に示した実施例5乃至実施例8、及び比較例1乃至比較例4は、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量を10~80%の範囲において変化させたものである。アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量が70%以上(比較例3及び比較例4)となると、製剤中に得られた粘着剤層形成組成物にダマが多数発生し均一とはならず、製剤を得ることはできなかった。アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量が20%以下(比較例1及び比較例2)では、製造上問題なく製剤を得ることはできたが、水分非含有時のプローブタック粘着力が市販テープ剤以下となり、粘着力が十分とは言えなかった。アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョンの配合量が20質量%超70質量%未満の範囲では、製造性に問題はなく、ライナー剥離性、膏体間剥離性、架橋度はいずれも実用性に問題ない範囲であった。また、水分非含有時の粘着力は市販テープ剤より優れていた。
 表4に示した実施例5、実施例9乃至実施例11、及び比較例5乃至比較例8は、アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションを構成するモノマーの種類の影響についての結果を示したものである。アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン(共重合体)におけるアクリル酸メチルの含量を23.8~46.7%の範囲において変化させたとき、製造性に問題はなく、ライナー剥離性、膏体間剥離性、架橋度はいずれも実用性に問題ない範囲であった。また、水分非含有時の粘着力は市販テープ剤より優れていた。アクリル酸アルキルエステル共重合体のモノマーを変えた場合、すなわち、モノマーA(ハードセグメント)を、メタクリル酸n-ブチル(比較例5:ホモポリマーのTg 293.1K)、メタクリル酸メチル(比較例6:ホモポリマーのTg 378.1K)及びメタクリル酸エチル(比較例8:ホモポリマーのTg 338.1K)に変えると水分非含有時のプローブタック粘着力が0.53~0.73N/5mmφと市販テープ剤以下であった。同様にモノマーB(ソフトセグメント)を、アクリル酸n-ブチル(比較例7:ホモポリマーのTg 218.1K)に変えると水分非含有時のプローブタック粘着力が0.66N/5mmφと市販テープ剤以下であった。
 表5に示した実施例12乃至実施例14は、塩酸及び水酸化ナトリウムを添加することで粘着剤層(粘着剤層形成組成物(膏体))のpHを変化させた際の影響を評価したものである。pHは5.27までの範囲で、製造性に問題はなく、ライナー剥離性、膏体間剥離性、架橋度はいずれも実用性に問題ない範囲であった。また、水分非含有時の粘着力は市販テープ剤より優れていた。
 以上の結果より、アクリル酸アルキルエステル系共重合体のエマルジョンを、粘着剤層に20質量%超70質量%未満の割合にて含有してなる医薬品用含水系貼付剤は、製造性に問題はなく、ライナー剥離性、膏体間剥離性、架橋度はいずれも実用性に問題ない範囲であった。また、水分非含有時の粘着力は市販テープ剤より優れていた。

Claims (4)

  1. 支持体と、該支持体上に設けられた粘着剤層及び剥離ライナーからなる医薬品用含水系貼付剤であって、
    前記粘着剤層が、
    1)有効成分、
    2)アクリル系親水性粘着剤、
    3)アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルション(固形分57~61質量%)、
    4)架橋剤、
    5)粘稠化剤、
    6)水をほとんど含まない湿潤剤(水分含量17%以下)を含む、湿潤剤、及び
    7)水
    を含有し、
    前記アクリル酸アルキルエステル共重合体は、モノマーAとモノマーBからなるモノマー混合物の共重合体であって、
    前記モノマーAは、該モノマーAをホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が270以上290K以下のポリマーとなるモノマーであり、
    前記モノマーBは、該モノマーBをホモ重合したときガラス転移温度(Tg)が210K以下のポリマーとなるモノマーであり、
    該粘着剤層の全質量に対して20質量%超70質量%未満の割合にてアクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションを含有する、
    医薬品用含水系貼付剤。
  2. 下記a)乃至c)のうち1項もしくは2項以上を備えることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品用含水系貼付剤。
    a)前記アクリル酸アルキルエステル系共重合体エマルションと、前記アクリル系親水性粘着剤の質量比が5以上30以下である。
    b)前記粘着剤層は、pH4.5~5.5である。
    c)粉状成分(前記アクリル系親水性粘着剤、架橋剤及び粘稠化剤)と、前記水をほとんど含まない湿潤剤の質量比が0.01以上0.35以下である。
  3. 前記水をほとんど含まない湿潤剤が、濃グリセリン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、流動パラフィン、1,3-プロパンジオール及び1,4-ブタンジオールからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の医薬品用含水系貼付剤。
  4. 前記粘着剤層が、さらに
    8)清涼化剤
    9)有機溶媒、
    10)pH調節剤、
    11)キレート剤、
    を含有する、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の医薬品用含水系貼付剤。
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