WO2021193782A1

WO2021193782A1 - 粘着テープ

Info

Publication number: WO2021193782A1
Application number: PCT/JP2021/012431
Authority: WO
Inventors: 潤一郎酒井
Original assignee: 三菱ケミカル株式会社
Priority date: 2020-03-25
Filing date: 2021-03-24
Publication date: 2021-09-30
Also published as: EP4129652A4; US20230020822A1; EP4129652A1; JPWO2021193782A1

Abstract

本発明は、粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）、基材層及び第２フィルム層（ＩＩ）の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、前記基材層は所定の要件を満たし、前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記第１フィルム層（Ｉ）側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であり、前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する、粘着テープに関する。

Description

粘着テープ

　本発明は、粘着テープに関し、詳しくは、例えば、航空機部材を一時的に又は恒常的に固定する用途に好適な粘着テープに関する。

　従来、電気、電子、ＯＡ機器、家電、航空機、船舶、車両などの各分野で、部材の固定用として粘着テープが用いられている。
　近年、電子工学、半導体及び磁気体技術の研究と応用の飛躍的な進歩により、電気、電子、ＯＡ機器などの高集積化、小型化、高性能化が進み、機器内部の高温化や畜熱による発火の危険性が高くなっている。そのような危険を防止する必要性から、機器内の各種部品及びそれらの粘着用部材にも高度の難燃性が要求されている。

　また、航空機や家電などの各分野において、プラスチック材料の難燃化について様々な研究が盛んに行われており、それらの固定に用いられる粘着材料にも当然ながら高い難燃性が要求されている。

　従来、難燃性を有する粘着テープは、粘着層に難燃剤を添加することで難燃性が付与されている。例えば特許文献１及び特許文献２には、リン系難燃剤を粘着層に添加した難燃性粘着テープが開示されている。また、特許文献３には、基材の両面に設けられた粘着層の厚みを変えることで難燃性が向上した両面粘着テープが記載されている。

日本国特開平１１－３２３２６９号公報日本国特開２００８－２４８２７号公報国際公開第２０１８／１１７２６４号

　特許文献１や特許文献２などの従来の片面粘着テープでは、粘着層に難燃剤が添加されていても難燃性が不充分であり、難燃性を更に向上させるためには、難燃剤の添加量を増量することが考えられる。
　しかしながら、難燃剤の添加量を増量すると粘着性能が低下するという問題があった。

　本発明は、粘着層がテープの片面に設けられ、難燃剤を含有する粘着テープにおいて、難燃剤の添加量を増量することなく難燃性が更に向上した粘着テープの提供を目的とする。

　しかるに、本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、これまであまり注目されていなかった多層構造の支持体、即ち、基材層を所定の要件を満たす構成とし、かつ、多層構造における各層の厚みの相関関係を所定値に規定する若しくは多層構造の構成を所定のものとすることによって、粘着テープの難燃性が向上することを見出した。

　即ち、本発明の第１の実施形態に係る粘着テープは、粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）、基材層及び第２フィルム層（ＩＩ）の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、
　前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、
　前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記第１フィルム層（Ｉ）側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であり、
　前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であると、それ以外の範囲、即ち比率（ａ）／（ｂ）が０．６より大きく、かつ１．７未満の粘着テープと比較して、接炎時に粘着テープが特定の方向に巻き上がり易くなる。このとき、基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。第１の実施形態に係る粘着テープがかかる構成を有することで、粘着テープに炎が着火する前に粘着テープが火源（火元）から遠ざかることにより粘着テープへの着炎が抑制され、結果的に難燃性を更に向上させることができる。比率（ａ）／（ｂ）が０．６より大きく、かつ１．７未満の粘着テープでは接炎時に巻き上がりがおこらず、火源から近くなり、着炎しやすくなる。

　第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、前記第１フィルム層（Ｉ）の厚みが３０μｍ以上であることが好ましい。
　第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、前記第１フィルム層（Ｉ）の厚みが前記第２フィルム層（ＩＩ）の厚みより大きいことが好ましい。
　第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、前記粘着剤層がアクリル系樹脂（Ａ）を含有する粘着剤組成物からなることが好ましい。
　第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、前記粘着剤組成物が架橋剤（Ｂ）を更に含有することが好ましい。
　第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、前記粘着剤層が前記難燃剤（Ｃ）を含有し、前記粘着剤層中の前記難燃剤（Ｃ）の含有量が、前記アクリル系樹脂（Ａ）１００重量部に対して、１～２５重量部であることが好ましい。
　第１の実施形態に係る粘着テープは、航空機部材固定に用いられることが好ましい。

　本発明の第２の実施形態に係る粘着テープは、粘着剤層及び基材層を有する粘着テープであって、
　前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、
　前記粘着剤層及び前記基材層の少なくとも一方が難燃剤（Ｃ）を含有する。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　第２の実施形態に係る粘着テープにおいては粘着剤層と基材層の間及び基材層の粘着剤層と反対側の面に他の層を有しないことが好ましい。粘着テープを上記のような構成とすることで、接炎時に粘着テープが特定の方向に巻き上がり易くなる。このとき、基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。第２の実施形態に係る粘着テープがかかる構成を有することで、粘着テープに炎が着火する前に粘着テープが火源（火元）から遠ざかることにより粘着テープへの着炎が抑制され、結果的に難燃性を向上させることができる。

　本発明の第３の実施形態に係る粘着テープは粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）及び基材層の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、
　前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、
　前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　第３の実施形態に係る粘着テープにおいては基材層の粘着剤層と反対側の面に他の層を有しないことが好ましい。粘着テープを上記のような構成とすることで、接炎時に粘着テープが特定の方向に巻き上がり易くなる。このとき、基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。第３の実施形態に係る粘着テープがかかる構成を有することで、粘着テープに炎が着火する前に、粘着テープが火源（火元）から遠ざかることで粘着テープへの着炎が抑制され、結果的に難燃性を向上させることができる。

　本発明の第４の実施形態に係る粘着テープは粘着剤層、基材層および第２フィルム層（ＩＩ）の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記粘着剤層側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であり、前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　第４の実施形態に係る粘着テープにおいては基材層と粘着剤層との間に他の層を有しないことが好ましい。基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。その際に前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記粘着剤層側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であることで、粘着テープの難燃性が向上する。具体的には、比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上である場合は、基材層に対して、粘着剤層がある面は収縮しにくくなることから、粘着テープは第２フィルム層（ＩＩ）がある面を内側にして丸まる様に縮むことで、より早く火源から遠ざかり、着炎が抑制され、難燃性が向上する。また、比率（ａ）／（ｂ）が０．６以下である場合は、基材層に対して、第２フィルム層（ＩＩ）がある面は収縮しにくくなることから、粘着テープは粘着剤層がある面を内側にして丸まる様に縮むことで、より早く火源から遠ざかり、着炎が抑制され、難燃性が向上する。

　本発明の粘着テープによれば、難燃剤の添加量を従来に比べて増量することなく難燃性を更に向上させることができる。したがって、本発明の粘着テープは、難燃性と粘着性のいずれにも優れ、そのバランスがよいので、例えば、航空機客室内における内装材や什器類などの航空機部材を一時的に又は恒常的に固定する用途に使用することができる。具体的に例示すれば、本発明の粘着テープは、航空機客室内における鏡や誘導サインを恒常的に固定する用途、又は化粧パネルやオーバーヘッドコンパートメントを一時的に固定する用途等において好適に使用することができる。

　以下、本発明を詳細に説明するが、以下の説明は望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明は以下の説明の内容に限定されない。
　なお、本発明において、「（メタ）アクリル」とはアクリル又はメタクリルを、「（メタ）アクリロイル」とはアクリロイル又はメタクリロイルを、「（メタ）アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートをそれぞれ意味する。また、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも１種の（メタ）アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
　記号「～」を用いて規定された数値範囲は「～」の両端（上限および下限）の数値を含む。例えば「２～１０」は２以上１０以下を表す。
　濃度または量を特定した場合、任意のより高い方の濃度または量と、任意のより低い方の濃度または量とを関連づけることができる。例えば「２～１０重量％」および「好ましくは４～８重量％」の記載がある場合、「２～８重量％」及び「４～１０重量％」の記載も包含される。また、本明細書において、重量基準の割合（百分率、部など）は、質量基準の割合（百分率、部など）と同じである。

（第１の実施形態）
　本発明の第１の実施形態に係る粘着テープについて詳細に説明する。第１の実施形態に係る粘着テープは、粘着剤層と支持層とが順に配置（積層）された層構造を有し、支持層は、粘着剤層側から順に、第１フィルム層（Ｉ）、基材層、及び第２フィルム層（ＩＩ）が配置（積層）された層構造を有する。すなわち、第１の実施形態に係る粘着テープは、粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）、基材層、及び第２フィルム層（ＩＩ）がこの順序で配置（積層）された層構造を有する。第１の実施形態に係る粘着テープを構成する各層及び含有される各成分について説明する。

　〔支持層〕
　第１の実施形態に係る粘着テープに用いられる支持層は、中間部に基材層を有し、その片面側に第１フィルム層（Ｉ）、反対面側に第２フィルム層（ＩＩ）が配置された層構造を有する多層構造の支持層である。

　基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たす。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　基材層が上記（Ｘ）を満たす場合、基材層は、第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含む。一軸配向フィルムとは、一軸方向に配向したフィルムのことをいい、例えばフィルムの流れ方向または幅方向に配向したフィルムが挙げられる。フィルムを一軸方向に配向させる方法については特に限定されないが、例えば未延伸フィルムを一軸方向に延伸する方法が挙げられる。一軸方向に延伸することで、延伸方向を配向方向とする一軸配向フィルムが得られる。一軸配向フィルムとしては、例えば流れ方向または幅方向に延伸されたフィルムを使用することが好ましい。フィルムが一軸方向に配向しているかどうかを確認する方法としては赤外吸収二色法、複屈折法、ＳＨＧ法、Ｘ線回折法等が挙げられる。なかでも比較的簡便な方法として赤外吸収二色法が好ましく用いられる。

　赤外吸収二色法により測定された配向度が０．０１以上であれば、一軸方向に配向したフィルムであると判断できる。一軸配向フィルムの配向度としては０．０３以上が更に好ましく、０．０５以上が特に好ましい。

　一軸配向フィルムの材質としては特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレンがより好ましく、特に低密度ポリエチレンが好ましい。
　一軸配向フィルムの厚みとしては１０～１５０μｍが好ましく、より好ましくは１５～１００μｍであり、更に好ましくは２０～６０μｍである。

　第１の一軸配向フィルム及び第２の一軸配向フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、材質や厚み等が互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。

　基材層が上記（Ｘ）を満たす場合、第１の一軸配向フィルム及び第２の一軸配向フィルムは、第１の一軸配向フィルムの配向方向と第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。交差する角度は６０度以上が好ましく、７５度以上がより好ましい。また、交差する角度は１２０度以下が好ましく、１０５度以下がより好ましい。第１の一軸配向フィルムの配向方向と第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が上記範囲であることで、接炎時に温度が上がると、基材層が含む一軸配向フィルムが縮もうとする力が基材全体に働きやすくなるため、粘着テープが火源（火元）から遠ざかるように粘着テープが曲がることで粘着テープへの着炎が抑制され、難燃性が向上すると考えられる。また、交差する角度が上記範囲であることで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮しやすくなる。

　上記（Ｘ）を満たし得る構成として、例えば少なくとも２つの一軸配向フィルムを貼り合せた構成等が挙げられる。より具体的には例えば、互いに延伸方向の異なる少なくとも２つの一軸配向フィルムを貼り合せた構成や、同方向に延伸された少なくとも２つの一軸配向フィルムを延伸方向が互いに異なる方向となるように貼り合せた構成が挙げられる。

　かかる延伸されたフィルムの延伸倍率としては２倍以上が好ましく、３倍以上がより好ましく、４倍以上がさらに好ましく、５倍以上が特に好ましい。

　かかる構成において各一軸配向フィルムの延伸方向（配向方向）の交差する角度が上述の範囲となるように調整されることで、上記（Ｘ）を満たす構成とできる。上記（Ｘ）を満たす構成としては、フィルムの流れ方向に延伸された一軸配向フィルムと、幅方向に延伸された一軸配向フィルムとが延伸方向の交差する角度が９０度となるように貼り合された構成が特に好ましい。

　粘着テープにおいて、基材層が上記（Ｘ）を満たすかどうか確認する方法としては、例えば各フィルムを取り出して、上述の方法により各フィルムが一軸方向に配向しているかどうかを確認し、その配向方向の交差する角度を複屈折測定等を用いて求める方法が挙げられる。

　また、基材層が上記（Ｙ）を満たす場合、基材層は第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含む。フラットヤーンとはフィルムを短冊状にカットして作製された平らな糸である。フラットヤーンは、強度を向上させる為に流れ方向に延伸されたものが好ましい。

　基材層が上記（Ｙ）を満たす場合、第１のフラットヤーン及び第２のフラットヤーンは、第１のフラットヤーンと第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　また、基材層が上記（Ｙ）を満たす場合、好ましくは、基材層は第１のフラットヤーン群と、第２のフラットヤーン群とを含み、第１のフラットヤーン群と第２のフラットヤーン群との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。ここで、第１のフラットヤーン群は第１のフラットヤーン及び第１のフラットヤーンに略平行に配置される１つ以上のフラットヤーンを含む。また、第２のフラットヤーン群は、第２のフラットヤーン及び第２のフラットヤーンに略平行に配置される１つ以上のフラットヤーンを含む。

　上記の交差する角度は６０度以上が好ましく、７５度以上がより好ましい。また、交差する角度は１２０度以下が好ましく、１０５度以下がより好ましい。第１のフラットヤーン（第１のフラットヤーン群）と第２のフラットヤーン（第２のフラットヤーン群）との交差する角度が上記範囲であることで、接炎時に温度が上がると、フラットヤーンが縮もうとする力が基材全体に働き、粘着テープが火源（火元）から遠ざかるように粘着テープが曲がることで粘着テープへの着炎が抑制され、難燃性が向上するものと推定される。また、交差する角度が上記範囲であることで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮しやすくなる。

　上記（Ｙ）を満たし得る構成として、フラットヤーンの織布を含む構成が挙げられる。例えば少なくとも２つのフラットヤーン又はフラットヤーン群を、交差する角度が上記範囲となるように織って織布とすることで、上記（Ｙ）を満たす構成となる。上記（Ｙ）を満たす構成として、少なくとも２つのフラットヤーン又はフラットヤーン群を織布の縦方向と横方向に、交差する角度が９０度となるように織って織布としたものが特に好ましい。
　また基材層がかかる織布を含む場合、織布における第１のフラットヤーン又は第２のフラットヤーンが粘着テープの流れ方向に平行に配置されることが好ましい。また、織布は、フラットヤーンの交差部を熱融着により固定して目ずれしないようにしたものが好ましい。フラットヤーンの織布は、粘着テープの長手方向の引張強度を高くできるという利点がある。

　フラットヤーンの材質としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレンがより好ましく、特に高密度ポリエチレンが好ましい。

　フラットヤーンの織布の厚みとしては１０～１５０μｍが好ましく、特に好ましくは１５～１００μｍ、更に好ましくは２０～６０μｍである。

　第１のフラットヤーン（第１のフラットヤーン群）及び第２のフラットヤーン（第２のフラットヤーン群）は、本発明の効果を損なわない範囲において、材質や厚み等が互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。

　粘着テープにおいて、基材層が上記（Ｙ）を満たすかどうか確認する方法としては、光学顕微鏡等で観察して、フラットヤーンの交差する角度を画像解析等を用いて求める方法が挙げられる。

　フラットヤーンの織布のように織り込まれた基材と比べて、織り込まれていない繊維で強化された基材では、引張強度が非常に低い。そのため、引張強度を補うためには、接着剤を用いて二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートすることにより引張強度を向上させることが考えられる。しかし、かかる方法で得られる基材を用いた粘着テープは幅方向へ引き裂き難くなり、また、縦糸と横糸を接着するために接着剤が必要であるため基材が重くなる傾向にあるという問題がある。

　これに対して、フラットヤーンの織布等、上述の（Ｙ）を満たす基材層を用い、その両面が第１フィルム層（Ｉ）及び第２フィルム層（ＩＩ）でラミネートされた支持層を使用することによって、手切れ性が得られる。これは、フラットヤーンの織布をプラスチックフィルムなどのフィルム層でラミネートすることで、破断点がスムーズに伝播され、破断面の直線性が向上するためと考えられる。
　また、接着剤を用いずに、上述の（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たす基材層に第１フィルム層（Ｉ）又は第２フィルム層（ＩＩ）として例えば薄膜のプラスチックフィルムをラミネートすることにより、支持層を軽量化することができる。

　基材層、第１フィルム層（Ｉ）及び第２フィルム層（ＩＩ）を構成する材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体等のオレフィン系重合体；ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル；ナイロン６、ナイロン６６等のポリアミド；ポリアクリル樹脂；塩化ビニリデン樹脂等を用いることができる。基材層、第１フィルム層（Ｉ）及び第２フィルム層（ＩＩ）を構成する各材料は、それぞれ異なっていてもよく、また、いずれか２つ又は３つの層が同じであってもよい。
　基材層に第１フィルム層（Ｉ）及び第２フィルム層（ＩＩ）をラミネートする方法としては、接着剤を使わず、軽量化できる点で押出ラミネートが好ましい。

　第１フィルム層（Ｉ）及び第２フィルム層（ＩＩ）は、それぞれ単層または多層のいずれでもよい。第１フィルム層（Ｉ）及び第２フィルム層（ＩＩ）の厚みは、例えば１０～１５０μｍが好ましく、より好ましくは２０～１００μｍである。

　また、後に詳述するが、第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、第２フィルム層（ＩＩ）側の基材層表面から、第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、第１フィルム層（Ｉ）側の基材層表面から粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）は１．７以上または０．６以下である。このとき、厚み（ａ）が厚み（ｂ）より大きい、すなわち比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上であることが、粘着テープの設計のバランス上好ましい。このような観点からは、第１フィルム層（Ｉ）の厚みが前記第２フィルム層（ＩＩ）の厚みより大きいことが好ましい。したがって、第１フィルム層（Ｉ）の厚みは、さらに好ましくは３０μｍ以上であり、特に好ましくは５０μｍ以上である。

　第１フィルム層（Ｉ）、基材層、及び第２フィルム層（ＩＩ）を有する支持層の厚みとしては、好ましくは１０～２００μｍであり、より好ましくは５０～１７０μｍであり、更に好ましくは６０～１５０μｍである。
　かかる厚みが薄すぎると粘着テープの手切れ性は向上するものの、粘着テープ製造時にシワが混入する等の不良が増加する傾向があり、厚すぎると粘着テープ製造時の不良は低減するものの、切断により大きな力が必要となり手切れ性が低下する傾向がある。

　本発明の粘着テープを、航空機部材固定用両面粘着テープとして用いる場合には、粘着テープの単位面積当たりの重量が、４００ｇ／ｍ^２以下であることが好ましく、支持層も軽量であることが好ましい。具体的には、支持層の単位面積当たりの重量が、２００ｇ／ｍ^２以下であることが好ましく、１００ｇ／ｍ^２以下であることがより好ましい。支持層の単位面積当たりの重量が２００ｇ／ｍ^２以下であることで難燃性が良好となる傾向がある。
　なお、支持層の単位面積当たりの重量の下限値は例えば１０ｇ／ｍ^２が好ましい。

　〔粘着剤層〕
　本発明の粘着テープは、支持層の第１フィルム層（Ｉ）側に粘着剤層を有する。
　粘着剤層は、種々の樹脂からなる粘着剤組成物を架橋（硬化）することにより得ることができる。

　かかる粘着剤組成物のベースとなる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン－ブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）、ブタジエンゴム、イソブチレン－イソプレンゴム、アクリルゴム、アクリルニトリル－ブタジエン共重合体ゴム、スチレン－イソプレン・ブロック共重合体ゴム（ＳＩＳ）、スチレン－ブタジエン・ブロック共重合体ゴム（ＳＢＳ）、クロロプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム、再生ゴム等が挙げられる。
　粘着剤組成物は、耐候性、再剥離性、耐熱性に優れ、更に粘着特性を比較的容易に調整しやすい点で、アクリル系樹脂（Ａ）を含有することが好ましい。

　アクリル系樹脂（Ａ）は、（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）単位を少なくとも含むことが好ましい。アクリル系樹脂（Ａ）は、より好ましくは（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）単位を主として含有し、更に官能基含有モノマー（ａ２）単位を含有し、必要に応じてその他の重合性モノマー（ａ３）単位を含有するものである。

　上記のアクリル系樹脂（Ａ）を得る方法として、例えば（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）を少なくとも含む重合成分を重合することが挙げられる。かかる方法として、より好ましくは（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）を主として含有し、更に官能基含有モノマー（ａ２）を含有し、必要に応じてその他の重合性モノマー（ａ３）を含有する重合成分を共重合することが挙げられる。

　（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）単位を形成するためのモノマー（（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１））におけるアルキル基の炭素数は、例えば１～２０が好ましく、より好ましくは１～１２であり、さらに好ましくは１～８であり、特に好ましくは４～８である。

　（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）としては、具体的には、例えば、メチル（メタ）アクリレート、エチル（メタ）アクリレート、ｎ－ブチル（メタ）アクリレート、ｉｓｏ－ブチル（メタ）アクリレート、ｔｅｒｔ－ブチル（メタ）アクリレート、ｎ－プロピル（メタ）アクリレート、ｎ－ヘキシル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシル（メタ）アクリレート、ｎ－オクチル（メタ）アクリレート、ｉｓｏ－オクチルアクリレート、イソデシル（メタ）アクリレート、ラウリル（メタ）アクリレート、セチル（メタ）アクリレート、ステアリル（メタ）アクリレート、ｉｓｏ－ステアリルアクリレート等が挙げられる。これらは１種を単独で用いてもよいし２種以上を併用してもよい。
　これらの中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手のしやすさの点で、ｎ－ブチル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシル（メタ）アクリレートが好ましい。

　（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）単位のアクリル系樹脂（Ａ）中における含有量は、好ましくは１０～１００重量％であり、より好ましくは５０～９５重量％であり、さらに好ましくは７０～９５重量％である。（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）単位の含有量が少なすぎると粘着剤層の粘着力が低下する傾向にある。

　官能基含有モノマー（ａ２）単位を形成するための共重合モノマー（官能基含有モノマー（ａ２））としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられる。官能基含有モノマー（ａ２）としては、これらの中でも、効率的に架橋反応ができる点で、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましい。

　水酸基含有モノマーとしては、例えば、２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、５－ヒドロキシペンチル（メタ）アクリレート、６－ヒドロキシヘキシル（メタ）アクリレート、８－ヒドロキシオクチル（メタ）アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル；カプロラクトン変性２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー；ジエチレングリコール（メタ）アクリレート、ポリエチレングリコール（メタ）アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー；その他、２－アクリロイロキシエチル－２－ヒドロキシエチルフタル酸等の１級水酸基含有モノマー；２－ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート、２－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、３－クロロ２－ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート等の２級水酸基含有モノマー；２，２－ジメチル２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート等の３級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
　これらの中でも水酸基含有モノマーとしては、架橋剤（Ｂ）との反応性に優れる点で２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレートが特に好ましい。共重合モノマーとして水酸基含有モノマーを用いることでアクリル系樹脂（Ａ）を水酸基含有モノマー単位を有するアクリル系樹脂とすることができる。

　カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、（メタ）アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドＮ－グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、これらの中でも、（メタ）アクリル酸が好ましい。共重合モノマーとしてカルボシキル基含有モノマーを用いることでアクリル系樹脂（Ａ）をカルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系樹脂とすることができる。

　アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ｔｅｒｔ－ブチルアミノエチル（メタ）アクリレート、エチルアミノエチル（メタ）アクリレート、ジメチルアミノエチル（メタ）アクリレート、ジエチルアミノエチル（メタ）アクリレート等が挙げられる。

　アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、２－（アセトアセトキシ）エチル（メタ）アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。

　イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、２－アクリロイルオキシエチルイソシアネート、２－メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。

　グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、（メタ）アクリル酸グリシジル、（メタ）アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。

　これら官能基含有モノマー（ａ２）は、１種を単独で用いてもよいし２種以上を併用してもよい。

　官能基含有モノマー（ａ２）単位のアクリル系樹脂（Ａ）中における含有量は、好ましくは０．０１～３０重量％であり、より好ましくは０．０５～１０重量％であり、さらに好ましくは０．１～１０重量％であり、特に好ましくは２～５重量％である。官能基含有モノマー（ａ２）単位の含有量が少なすぎると、凝集力が低下することにより、耐久性能が低下する傾向がある。また、官能基含有モノマー（ａ２）単位の含有量が多すぎると粘度が高くなったり、樹脂の安定性が低下したりする傾向がある。

　その他の重合性モノマー（ａ３）単位を形成するための共重合モノマー（その他の重合性モノマー（ａ３））としては、例えば、シクロヘキシル（メタ）アクリレート、イソボルニル（メタ）アクリレート等の脂環構造含有（メタ）アクリレート系化合物；フェニル（メタ）アクリレート、ベンジル（メタ）アクリレート、フェノキシエチル（メタ）アクリレート、フェニルジエチレングリコール（メタ）アクリレート、２－ヒドロキシ－３－フェノキシプロピル（メタ）アクリレート、スチレン、α―メチルスチレン等の１つの芳香環を含有するモノマー；ビフェニルオキシエチル（メタ）アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有（メタ）アクリル酸エステル系モノマー；エトキシメチル（メタ）アクリルアミド、ｎ－ブトキシメチル（メタ）アクリルアミド、（メタ）アクリロイルモルホリン、ジメチル（メタ）アクリルアミド、ジエチル（メタ）アクリルアミド、（メタ）アクリルアミドＮ－メチロール（メタ）アクリルアミド等の（メタ）アクリルアミド系モノマー；２－メトキシエチル（メタ）アクリレート、２－エトキシエチル（メタ）アクリレート、メトキシジエチレングリコール（メタ）アクリレート、エトキシジエチレングリコール（メタ）アクリレート、メトキシポリエチレングリコール（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコール－モノ（メタ）アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー；アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。

　これらの中でもその他の重合性モノマー（ａ３）としては、低極性被着体に対する粘着力が優れる点で、脂環構造含有（メタ）アクリレート系化合物が好ましい。

　その他の重合性モノマー（ａ３）単位のアクリル系樹脂（Ａ）中における含有量は、好ましくは４０重量％以下であり、より好ましくは３０重量％以下であり、さらに好ましくは２５重量％以下である。その他の重合性モノマー（ａ３）単位が多すぎると所望の粘着特性が得られにくい傾向がある。

　一例として、上記したような（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）、必要に応じて官能基含有モノマー（ａ２）、その他の重合性モノマー（ａ３）を重合成分として共重合することによりアクリル系樹脂（Ａ）を製造することができる。安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂（Ａ）を製造できる点から、かかる共重合にあたっては溶液重合でアクリル系樹脂（Ａ）を製造することが好ましい。

　溶液重合では、例えば、有機溶媒中に、（メタ）アクリル酸アルキルエステル系モノマー（ａ１）、官能基含有モノマー（ａ２）、その他の重合性モノマー（ａ３）等のモノマー成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、例えば還流状態あるいは５０～９８℃で０．１～２０時間重合を行う。上記の重合方法で得られたアクリル系樹脂（Ａ）は有機溶剤系アクリル系樹脂である。

　重合開始剤としては、例えば、一般的なラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ－ｔｅｒｔ－ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。

　アクリル系樹脂（Ａ）の重量平均分子量は、例えば１０万～５００万が好ましく、より好ましくは３０万～１５０万であり、さらに好ましくは５０万～９０万である。重量平均分子量が小さすぎると、耐久性能が低下する傾向があり、大きすぎると製造が難しくなる傾向がある。

　アクリル系樹脂（Ａ）の分散度（重量平均分子量／数平均分子量）は、２０以下であることが好ましく、より好ましくは１５以下であり、更に好ましくは１０以下であり、特に好ましくは７以下である。分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、例えば１．１以上が好ましい。

　アクリル系樹脂（Ａ）のガラス転移温度は、例えば－８０～１０℃が好ましく、より好ましくは－７０～－１０℃であり、さらに好ましくは－６５～－２０℃である。ガラス転移温度が高すぎるとタックが不足する傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。

　なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー（日本Ｗａｔｅｒｓ社製、「Ｗａｔｅｒｓ　２６９５（本体）」と「Ｗａｔｅｒｓ　２４１４（検出器）」）に、カラム：Ｓｈｏｄｅｘ　ＧＰＣ　ＫＦ－８０６Ｌ（排除限界分子量：２×１０^７、分離範囲：１００～２×１０^７、理論段数：１０，０００段／本、充填剤材質：スチレン－ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径：１０μｍ）の３本直列を用いることにより測定することができる。
　数平均分子量も同様の方法を用いることにより測定することができる。分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。ガラス転移温度は下記のＦｏｘの式より算出される。
　アクリル系樹脂（Ａ）を構成するモノマーを用いて得られたホモポリマーのガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計（ＤＳＣ）により測定することができるが、カタログ値を用いてもよい。

Ｔｇ：共重合体のガラス転移温度（Ｋ）
Ｔｇａ：モノマーＡのホモポリマーのガラス転移温度（Ｋ）
Ｗａ：モノマーＡの重量分率
Ｔｇｂ：モノマーＢのホモポリマーのガラス転移温度（Ｋ）
Ｗｂ：モノマーＢの重量分率
Ｔｇｎ：モノマーＮのホモポリマーのガラス転移温度（Ｋ）
Ｗｎ：モノマーＮの重量分率
（Ｗａ＋Ｗｂ＋・・・＋Ｗｎ＝１）

　〔架橋剤（Ｂ）〕
　上記粘着剤組成物は、架橋剤（Ｂ）をさらに含有することが好ましい。粘着剤組成物は、架橋剤（Ｂ）により架橋され硬化することで粘着剤層となることが好ましい。

　架橋剤（Ｂ）としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、非アミノ樹脂系アミノ系架橋剤、尿素系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤等が挙げられる。架橋剤（Ｂ）は、好ましくは金属キレート系架橋剤である。

　架橋剤（Ｂ）の含有量は、アクリル系樹脂（Ａ）１００重量部に対して、０．０１～１０重量部であることが好ましく、より好ましくは０．０１～５重量部である。かかる含有量が少なすぎると、凝集力が低下して剪断に対して弱くなる傾向がある。また、架橋剤（Ｂ）の含有量が多すぎると架橋反応が過剰となり、粘着力が低下する傾向がある。

　特に、架橋剤（Ｂ）が金属キレート系架橋剤系である場合には、その含有量はアクリル系樹脂（Ａ）１００重量部に対して、０．０１～５重量部であることが好ましく、より好ましくは０．１～１重量部である。

　また、架橋剤（Ｂ）がエポキシ系架橋剤である場合には、その含有量はアクリル系樹脂（Ａ）１００重量部に対して、０．０１～１重量部であることが好ましく、より好ましくは０．０１～０．５重量部である。

　〔難燃剤（Ｃ）〕
　第１の実施形態に係る粘着テープは、層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する。難燃剤（Ｃ）を含有する層は、上述した粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）、基材層及び第２フィルム層（ＩＩ）のいずれか１以上であれば特に限定されないが、粘着テープの引張強度を維持する観点からは粘着剤層が難燃剤（Ｃ）を含有することが好ましい。なお、以下では粘着剤層が難燃剤（Ｃ）を含有する場合を例に難燃剤（Ｃ）の好ましい一態様を説明するが、難燃剤（Ｃ）は以下に限定されない。例えば粘着剤層以外の層が難燃剤（Ｃ）を含有する場合等において、難燃剤（Ｃ）は各層の材質等に応じて適宜異なる態様を有してもよい。

　すなわち、第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、粘着剤層（粘着剤組成物）は、難燃剤（Ｃ）を含有することが好ましい。
　難燃剤（Ｃ）としては、公知の難燃剤であり、一般に粘着剤の難燃剤として用いられる難燃剤を用いることができる。例えば、リン系難燃剤、金属水酸基系難燃剤、ホスフィン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンの併用、メラミンシアヌレートやトリアジン化合物等の含窒素化合物、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。

　リン系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、２－ナフチルジフェニルホスフェート、クレジルジ２，６－キシレニルホスフェート等の非ハロゲン系リン酸エステル；大八化学工業株式会社製の商品名「ＣＲ－７３３Ｓ」、「ＣＲ－７４１」、「ＰＸ－２００」等の芳香族縮合リン酸エステル；大八化学工業株式会社製の商品名「ＤＡＩＧＵＡＲＤ－５８０」、「ＤＡＩＧＵＡＲＤ－６１０」、「ＤＡＩＧＵＡＲＤ－８８０」等の非ハロゲン縮合リン酸エステル；ポリリン酸メラミン等のリン酸アミン塩；樹脂で被覆されていないあるいはメラミン等で被覆されたポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。

　これらの中でも、ハロゲンを含まないがリン濃度が高いため難燃性が高く、少量添加で粘着物性を低下させずに難燃性を付与できる点で、リン系難燃剤としてはポリリン酸アンモニウムが好ましく、更には、加水分解を抑制し耐湿熱性に優れる点で、メラミン等で被覆されたポリリン酸アンモニウムが特に好ましい。

　金属水酸基系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。

　ホスフィン酸金属塩系難燃剤としては、例えば、クラリアント社製の商品名「ＥｘｏｌｉｔＯＰ１２３０」、「ＥｘｏｌｉｔＯＰ９３０」等が挙げられる。

　ハロゲン系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールＡ、ヘキサブロモシクロデカン、ジブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールＡポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の臭素系難燃剤；塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン等の塩素系難燃剤；トリス（トリブロモネオペンチル）ホスフェート、トリス（クロロプロピル）ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル；大八化学工業株式会社製の商品名「ＣＲ－５０４Ｌ」、「ＣＲ－５７０」、「ＤＡＩＧＵＡＲＤ－５４０」等の含ハロゲン縮合リン酸エステル等が挙げられる。

　これらの中でも、ハロゲンを含有する難燃剤は、焼却時に有毒なハロゲンガスを発生させたり、金属を腐食させたりすることがある。したがって、難燃剤（Ｃ）は、ハロゲンを含有しない難燃剤であることが好ましい。

　また、難燃剤（Ｃ）は、例えばコンパウンド品（複合物、複合材料）とすることで、単独で使用するよりも、作用機構が異なる難燃剤を併用することによる相乗効果が得られるとされているが、本発明においては、粘着力や粘着剤との相溶性を低下させない観点から、単独で使用するほうが好ましい。
　難燃剤（Ｃ）は、上記に例示したリン系難燃剤が特に好ましく、粘着物性の低下が少なく優れた難燃性が得られることから、また加水分解を抑制し耐湿熱性に優れることから、メラミン等で被覆されたポリリン酸アンモニウムが特に好ましい。

　粘着剤層中の難燃剤（Ｃ）の含有量は、アクリル系樹脂（Ａ）１００重量部に対して、１～２５重量部が好ましく、より好ましくは１．５～２０重量部であり、更に好ましくは２～１５重量部であり、特に好ましくは３～８重量部である。
　難燃剤（Ｃ）の含有量が多すぎると、粘着テープの粘着物性が低下したり、テープ重量が増加したりする傾向がある。

　粘着テープに全体に対する難燃剤の含有量としては、粘着テープ１００重量部に対して０．５～５重量部、更に好ましくは１～４重量部、特に好ましくは１．５～３重量部である。難燃剤の含有量が多すぎると、粘着テープの粘着物性が低下したり、テープ重量が増加したりする傾向がある。少なすぎると、難燃性が低下する傾向がある。

　上記粘着剤層は、アクリル系樹脂（Ａ）等のベース樹脂、架橋剤（Ｂ）、難燃剤（Ｃ）に加えて、タッキファイヤー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、顔料、安定化剤、充填剤等を適宜含有していてもよい。

　タッキファイヤーとしては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、クマロン系樹脂、石油樹脂系等が挙げられる。
　ベース樹脂がアクリル系樹脂（Ａ）である場合には、タッキファイヤーはロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂が好ましく、ベース樹脂がゴム系樹脂の場合には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂が好ましい。

　上記のように有機溶剤系アクリル系樹脂を含有する粘着剤は有機溶剤系粘着剤である。

　〔比率（ａ）／（ｂ）〕
　第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、第２フィルム層（ＩＩ）側の基材層表面から第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、第１フィルム層（Ｉ）側の基材層表面から粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）は１．７以上または０．６以下である。
　上記比率（ａ）／（ｂ）をこの範囲にすることにより、上記比率（ａ）／（ｂ）が０．６より大きく、かつ１．７未満の粘着テープと比較し、接炎時にテープが特定の方向に巻き上がり易くなり、粘着テープに炎が着火する前に粘着テープが火源（火元）から遠ざかることになるので、テープへの着炎が抑制される。このとき、基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。
　すなわち、第２フィルム層（ＩＩ）側の基材層表面から第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）と、第１フィルム層（Ｉ）側の基材層表面から粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の違いが大きく、その比が１．７以上または０．６以下であることで、基材層が多方向に収縮しようとした際に、厚み（ａ）または厚み（ｂ）の厚い側は縮みにくく、薄い側が縮み易いという差が生じるため、粘着テープは丸まる様に縮みやすくなる。これにより、粘着テープはより早く火源から遠ざかり、着炎が抑制され、難燃性が向上する。
　したがって、第１の実施形態に係る粘着テープによれば、難燃性と粘着性のいずれにもバランスよく優れるという効果が得られる。

　なお、「外側表面」における「外側」とは第２フィルム層（ＩＩ）または粘着剤層における基材層側と反対の側をいう。また「表面」は必ずしも露出しているとは限らず、他の層に接している場合はその界面をいう。例えば、基材上に粘着剤層付きリリースライナーを貼り合わせた場合、リリースライナーとの界面が粘着剤層の表面となることがある。

　第１の実施形態に係る粘着テープにおいて、第１フィルム層（Ｉ）及び第２フィルム層（ＩＩ）はそれぞれ多層構造であってもよく、また第１フィルム層（Ｉ）と基材層との間、または第２フィルム層（ＩＩ）と基材層との間に、プラスチックフィルム以外の他の層が介在していてもよい。他の層が介在する場合、厚み（ａ）または厚み（ｂ）は、当該他の層の厚みを加えた厚みとなる。例えば、基材層と第１フィルム層（Ｉ）との間に接着剤層があれば、厚み（ａ）は第１フィルム層と粘着剤層と接着剤層の合計の厚みとなる。また、第２フィルム層（ＩＩ）が二層のフィルムの積層フィルムであり、かつその二層のフィルムの間に接着剤層があれば、厚み（ｂ）は二層のフィルム層と接着剤層の合計の厚みとなる。

　上記比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上である場合、比率（ａ）／（ｂ）は、好ましくは２．０以上であり、より好ましくは２．５以上であり、更に好ましくは３．０以上である。また、上記比率（ａ）／（ｂ）が０．６以下である場合、比率（ａ）／（ｂ）は、好ましくは０．５５以下であり、より好ましくは０．５０以下であり、更に好ましくは０．４０以下である。
　なお、上記比率（ａ）／（ｂ）は、典型的には、上限が５．８５であることが好ましく、下限が０．３０であることが好ましい。
　また、厚み（ａ）が厚み（ｂ）より大きいことが、粘着テープの設計のバランス上、好ましい。

　粘着剤層の厚みは、被着体に対し十分な粘着力をもたせる観点から、好ましくは２０～１５０μｍであり、より好ましくは３０～１３０μｍであり、更に好ましくは４０～１２０μｍであり、特に好ましくは４５～１１５μｍである。

　粘着剤層の粘着力は、被着体に対し十分な粘着力をもたせる観点から、例えば、被着体として１７５℃で１時間の熱乾燥処理を施したＳＵＳ－ＢＡ板（光輝焼鈍処理ステンレス鋼板）の試験板を使用した場合は、１０～２００Ｎ／２５ｍｍであることが好ましく、より好ましくは１５～１５０Ｎ／２５ｍｍであり、更に好ましくは２０～１２０Ｎ／２５ｍｍである。

　また、例えば、被着体としてＣａｒｐｅｔ（Ｌａｎｔａｌ社製、ＡＩＲＣＲＡＦＴ向け、材質：Ｗｏｏｌ／Ｐｏｌｙａｍｉｄｅ）を使用した場合は、粘着剤層の粘着力は３～１００Ｎ／２５ｍｍであることが好ましく、より好ましくは４～７５Ｎ／２５ｍｍであり、更に好ましくは５～５０Ｎ／２５ｍｍである。
　なお、粘着力は被着体の組成（材質）や表面状態（表面粗さ）、処理（洗浄）条件等で変わるため、上記の粘着力範囲に限定されるものではない。

　粘着力を上記範囲より高くすると、粘着剤層の厚みを厚くすることとなりテープ重量が重くなる傾向があり、低くすると十分な接着力が得られず固定している部材が脱落しやすくなる傾向がある。

　なお、本明細書において、粘着力の測定は、ＪＩＳ　Ｚ０２３７に準じて測定される値である。

　〔粘着テープ〕
　第１の実施形態に係る粘着テープは、優れた難燃性に加え、初期も含め中長期にわたる強粘着性を有する態様とすれば、例えば、航空機客室内における鏡やカーペット類等を恒常的に固定する用途に用いることができる。また、第１の実施形態に係る粘着テープは、優れた難燃性に加え、適当な粘着性及び再剥離性の両方を有する態様とすれば、例えば、航空機客室内における化粧パネルやオーバーヘッドコンパートメント類の一時的な固定等の種々の用途に用いることができる。このように、第１の実施形態に係る粘着テープは、航空機部材固定に好適に用いられる。

　第１の実施形態に係る粘着テープは、支持層と粘着剤層との合計の単位面積当たりの重量が、４００ｇ／ｍ^２以下であることが好ましく、より好ましくは３００ｇ／ｍ^２以下であり、さらに好ましくは２５０ｇ／ｍ^２以下であり、特に好ましくは２２５ｇ／ｍ^２以下である。
　なお、上記重量の下限は例えば５０ｇ／ｍ^２が好ましい。

　第１の実施形態に係る粘着テープの厚みとしては、１５～４００μｍであることが好ましく、より好ましくは３０～３００μｍであり、さらに好ましくは４０～２５０μｍである。
　かかる厚みが厚すぎると航空機での使用に適した重量域を超過してしまう傾向があり、薄すぎると十分な難燃性や粘着性が得られ難くなる傾向がある。

　第１の実施形態に係る粘着テープの粘着剤層厚みと、支持層の厚みとの比率（粘着剤層／支持層）は、０．１～５０が好ましく、より好ましくは０．２～２５であり、さらに好ましくは０．４～１５である。
　かかる比率が小さすぎると支持層に対して粘着剤層が薄すぎるため、十分な粘着力を得ることが難しくなる傾向があり、かかる比率が大きすぎると支持層に対して粘着剤層が厚すぎるため、粘着テープの製造時に粘着剤層に発泡が生じる等の不都合が生じたり、コストが高くなったりする傾向がある。

　〔粘着テープの製造方法〕
　第１の実施形態に係る粘着テープの製造方法については、公知一般の粘着テープの製造方法を用いることができる。例えば、支持層の一方の面に粘着剤組成物を塗布・乾燥し、形成された粘着剤層の表面にリリースライナーを重ねる方法、あるいはリリースライナーの一方の面に粘着剤組成物を塗布・乾燥し、形成された粘着剤層の表面に支持層を重ねる方法によって製造することができる。

　支持層の上に粘着剤層を設けるにあたり、支持層の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理を適宜施してもよい。

　リリースライナーとしては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、セロハンなどのプラスチックからなるプラスチックフィルム；クラフト紙、和紙等の紙；天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート；ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム等を発泡させてなる発泡体シート；アルミニウム箔、銅箔等の金属箔；これらの複合体などが挙げられる。また、これらはその片面または両面にコロナ処理などの表面処理が施されていてもよい。

　また、リリースライナーとして、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙にポリエチレン等のフィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル酸エステル共重合体等の樹脂を塗布した紙、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム等に、剥離剤であるフッ素樹脂やシリコーン樹脂等を塗布してなるものも挙げられる。

　これらの中でも、容易に手で引き裂きやすいという点で、紙製のリリースライナーが好ましく、特に、原紙の坪量が４０～１２０ｇ／ｍ^２である紙製リリースライナーが好ましい。ここで、原紙の坪量は好ましくは５０～８０ｇ／ｍ^２である。さらに、かかるリリースライナーの厚みとしては、４０～１８０μｍであることが好ましく、より好ましくは６０～１４０μｍであり、更に好ましくは８０～１２０μｍである。かかる厚みが薄すぎると巻き取り時にシワが入る等、製造が困難になる傾向があり、厚すぎると手切れ性が低下する傾向がある。

　粘着剤を形成する粘着剤組成物を種々のシート状基材に塗布する際に用いる塗布装置としては、一般的に使用される塗布装置を用いることができる。例えば、塗布装置としてはロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーターなどが挙げられる。

　粘着剤組成物を塗布した後の乾燥条件は、乾燥時に粘着剤組成物中の溶剤や残留モノマーが乾燥し除去される条件であればよい。架橋剤（Ｂ）を使用する場合には、上記に加えて、ベース樹脂が有する官能基と架橋剤（Ｂ）とが反応し、架橋構造が形成され得る条件であればよい。具体的な乾燥条件として、例えば、６０～１２０℃で１～２０分乾燥することが好ましい。乾燥後、シート状基材で粘着剤層を覆った状態で熟成（エージング）し、さらに架橋反応を進行させることができる。熟成は、例えば３０～５０℃で９６時間～７日行うことが好ましい。

　第１の実施形態に係る粘着テープは、ロール状態であってもよいし、枚葉状態であってもよいし、あるいはさらに種々の形状に加工されたものであってもよい。

　第１の実施形態に係る粘着テープは引張強度が大きいことが好ましい。具体的には例えば、床や壁に貼り付ける際、歪まない様に引っ張ったり、貼り直すために剥がしたり、使用後に、粘着テープを剥がすために引っ張った時に粘着テープが千切れない程度の強度が求められる。

　粘着テープの引張強度としては、好ましくは２０Ｎ／２５ｍｍ以上であり、より好ましくは３０Ｎ／２５ｍｍ以上であり、更に好ましくは５０Ｎ／２５ｍｍ以上である。なお、引張強度の上限としては、例えば２５０Ｎ／２５ｍｍが好ましい。

　前述のとおり、本発明の粘着テープは、航空機部材固定に好ましく用いられる。航空機部材としては、例えば、航空機客室内における内装材や什器類等が挙げられ、具体的には、カーペット、床材、化粧パネル、樹脂製部品、樹脂シート、樹脂塗膜等が挙げられる。
　航空機部材は、特に好ましくは、カーペット、床材、化粧パネル、樹脂製部品である。

　カーペットとしては、例えば、航空機客室内で使用される公知一般のカーペットが挙げられ、具体的には、ナイロン繊維やオレフィン繊維を用いたカーペット等が挙げられる。

　床材としては、例えば、アルミニウム合金やチタン合金等の金属合金、ガラス強化繊維とエポキシ樹脂の複合材、ガラス強化繊維とフェノール樹脂の複合材等を用いた床材等が挙げられる。

　化粧パネルとしては、例えば、アルミニウム合金板にポリフッ化ビニルフィルムやポリ四フッ化エチレンフィルム、メラミン樹脂フィルムをラミネートしたもの等が挙げられる。

　樹脂製部品としては、例えば、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル－ブタジエン－スチレン樹脂、ポリフェニルスルホン等を所望の形状に成型した部品が挙げられる。

　樹脂シートとしては、例えば、航空機内で使用される公知一般の樹脂シートが挙げられ、具体例には、ポリフッ化ビニリデンからなる樹脂シート等が挙げられる。

　樹脂塗膜としては、例えば、航空機内で使用される公知一般の樹脂塗膜が挙げられ、具体例には、アクリル－スチレン系樹脂やポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリウレタンからなる樹脂塗膜等が挙げられる。

　また、第１の実施形態に係る粘着テープを用いて貼り合わされる航空機部材の組み合わせは特に限定されず、例えば、カーペット、床材、化粧パネル、樹脂製部品、樹脂シート、樹脂塗膜等を適宜組み合わせて貼り合せることができる。

（第２の実施形態）
　本発明の第２の実施形態に係る粘着テープについて説明する。第２の実施形態に係る粘着テープは、粘着剤層及び基材層を有する粘着テープであって、前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、前記粘着剤層及び前記基材層の少なくとも一方が難燃剤（Ｃ）を含有する。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　第２の実施形態に係る粘着テープにおいては粘着剤層と基材層の間及び基材層の粘着剤層と反対側の面に他の層を有しないことが好ましい。第２の実施形態に係る粘着テープにおいて、基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。その際に粘着剤層がある面は収縮しにくくなることから、粘着テープは粘着剤層がない面を内側にして丸まる様に縮むことで、より早く火源から遠ざかり、着炎が抑制され、難燃性が向上する。

　なお本発明の第２の実施形態で使用される基材層および粘着剤層については第１の実施形態で説明される基材層、粘着剤層と同様のものが使用され、その好ましい態様も同様である。また、第２の実施形態に係る粘着テープにおいて、上記した以外の好ましい構成や製造方法及び用途等は、第１の実施形態に係る粘着テープの好ましい構成、製造方法及び用途等と同様である。なお、第２の実施形態においては、基材層が上述の支持層に相当する。

（第３の実施形態）
　本発明の第３の実施形態に係る粘着テープについて説明する。第３の実施形態に係る粘着テープは粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）及び基材層の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　第３の実施形態に係る粘着テープにおいては基材層の粘着剤層と反対側の面に他の層を有しないことが好ましい。第３の実施形態に係る粘着テープにおいて、基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。その際に基材層に対して、粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）がある面は収縮しにくくなることから、粘着テープは粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）がない面を内側にして丸まる様に縮むことで、より早く火源から遠ざかり、着炎が抑制され、難燃性が向上する。

　なお本発明の第３の実施形態で使用される基材層、第１フィルム層（Ｉ）および粘着剤層については第１の実施形態で説明される基材層、第１フィルム層（Ｉ）および粘着剤層と同様のものが使用され、その好ましい態様も同様である。また、第３の実施形態に係る粘着テープにおいて、上記した以外の好ましい構成や製造方法及び用途等は、第１の実施形態に係る粘着テープの好ましい構成、製造方法及び用途等と同様である。なお、第３の実施形態においては、基材層及び第１フィルム層（Ｉ）が上述の支持層に相当する。

（第４の実施形態）
　本発明の第４の実施形態に係る粘着テープについて説明する。第４の実施形態に係る粘着テープは粘着剤層、基材層および第２フィルム層（ＩＩ）の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記粘着剤層側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であり、前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。

　第４の実施形態に係る粘着テープにおいては基材層と粘着剤層との間に他の層を有しないことが好ましい。第４の実施形態に係る粘着テープにおいて、基材層が上記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たすことで、接炎で温度が上昇した際に基材層が一方向だけでなく、多方向に収縮する。その際に前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記粘着剤層側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であることで、粘着テープの難燃性が向上する。具体的には、比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上である場合は、基材層に対して、粘着剤層がある面は収縮しにくくなることから、粘着テープは第２フィルム層（ＩＩ）がある面を内側にして丸まる様に縮むことで、より早く火源から遠ざかり、着炎が抑制され、難燃性が向上する。また、比率（ａ）／（ｂ）が０．６以下である場合は、基材層に対して、第２フィルム層（ＩＩ）がある面は収縮しにくくなることから、粘着テープは粘着剤層がある面を内側にして丸まる様に縮むことで、より早く火源から遠ざかり、着炎が抑制され、難燃性が向上する。

　第４の実施形態において、上記比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上である場合、比率（ａ）／（ｂ）は、好ましくは２．０以上であり、より好ましくは２．５以上であり、更に好ましくは３．０以上である。また、上記比率（ａ）／（ｂ）が０．６以下である場合、比率（ａ）／（ｂ）は、好ましくは０．５５以下であり、より好ましくは０．５０以下であり、更に好ましくは０．４０以下である。
　なお、上記比率（ａ）／（ｂ）は、典型的には、上限が５．８５であることが好ましく、下限が０．３０であることが好ましい。
　また、厚み（ａ）が厚み（ｂ）より大きいことが、粘着テープの設計のバランス上、好ましい。

　なお本発明の第４の実施形態で使用される基材層、粘着剤層および第２フィルム層（ＩＩ）については第１の実施形態で説明される基材層、粘着剤層および第２フィルム層（ＩＩ）と同様のものが使用され、その好ましい態様も同様である。また、第４の実施形態に係る粘着テープにおいて、上記した以外の好ましい構成や製造方法及び用途等は、第１の実施形態に係る粘着テープの好ましい構成、製造方法及び用途等と同様である。なお、第４の実施形態においては、基材層及び第２フィルム層（ＩＩ）が上述の支持層に相当する。

　以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「％」とあるのは、重量基準の割合を意味する。

　まず、下記のようにしてアクリル系樹脂（Ａ）を調製するとともに、粘着剤組成物を調製するためにその他の原料を準備した。なお、アクリル系樹脂（Ａ）の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
　また、粘度の測定に関しては、ＪＩＳ　Ｋ５４００（１９９０）の４．５．３回転粘度計法に準じて測定した。

　［製造例１］
　＜アクリル系樹脂（Ａ－１）の調製＞
　温度計、攪拌機及び還流冷却機を備えた反応器内に、２－エチルヘキシルアクリレート５１部、ブチルアクリレート４０部、酢酸ビニル５部、アクリル酸３．９部、２－ヒドロキシエチルメタクリレート０．１部、酢酸エチル４０部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル０．１８部を仕込み、攪拌しながら昇温し、酢酸エチル還流温度にて７時間重合させた。その後、酢酸エチルで希釈してアクリル系樹脂（Ａ－１）の５０％溶液を得た。
　得られたアクリル系樹脂（Ａ－１）の重量平均分子量は６０万、分散度５．０、粘度は１０，０００ｍＰａ・ｓ／２５℃、ガラス転移温度は－５９℃であった。

　〔実施例１〕
　製造例１で調製したアクリル系樹脂（Ａ－１）の固形分１００部に対して、難燃剤（Ｃ）としてメラミン樹脂コーティング型ポリリン酸アンモニウム（ＩＩ型）系難燃剤（ＢＵＤＥＮＨＥＩＭ，ＩＮＣ．製、商品名「ＴＥＲＲＡＪＵ　Ｃ－８０」）を５部、架橋剤（Ｂ）としてアルミニウムキレート架橋剤（三菱ケミカル株式会社製、商品名「Ｎ－２１２８」）を０．４１２部及び適量の酢酸エチルを添加して均一になるまで混合し、粘着剤組成物を調製した。かかる粘着剤組成物を紙製リリースライナー（住化加工紙株式会社製、商品名「ＳＬＢ－５０ＫＷＤ」；原紙坪量５３ｇ／ｍ^２）の軽剥離面に塗工後の厚みが６０μｍになるようにアプリケーターを用いて塗工し、８０℃で５分間乾燥し、厚み６０μｍの粘着剤層付き紙製リリースライナーを製造した。

　高密度ポリエチレン製の延伸されたフラットヤーンを平織したクロス（厚み４０μｍ）を基材層としてその両面に、低密度ポリエチレンを押出ラミネートして第１フィルム層（Ｉ）、基材層、第２フィルム層（ＩＩ）が順に配置された支持層を作製した。このとき第１フィルム層（Ｉ）の厚みは６８μｍ、第２フィルム層（ＩＩ）の厚みは２４μｍであった。なお、フラットヤーンを平織したクロスとは、第１のフラットヤーン群と第２のフラットヤーン群とを含み、第１のフラットヤーン群と第２のフラットヤーン群との交差する角度が９０度となるように配置されたものである。

　上記の複合シート（支持層）の第１フィルム層（Ｉ）の面に、上記粘着剤層付き紙製リリースライナーの粘着剤面を貼り合わせた。その後、４０℃乾燥機中で７日間の加熱エージング処理を行い、粘着テープを得た。

　この粘着テープにおいて、基材層の粘着剤層側の低密度ポリエチレンフィルムが第１フィルム層（Ｉ）となり、基材層を介して反対側の低密度ポリエチレンフィルムが第２フィルム層（ＩＩ）となる。
　したがって、第１フィルム層（Ｉ）側の基材層表面から粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）が１２８μｍであり、第２フィルム層（ＩＩ）側の基材層表面から第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）が２４μｍであるから、比率（ａ）／（ｂ）＝５．３である。

　［燃焼性試験（ＦＡＲ２５）］
　上記で得られた粘着テープを用いて、１４ＣＦＲ　Ｐａｒｔ　２５　Ａｐｐｅｎｄｉｘ　Ｆ　Ｐａｒｔ　Ｉ　Ｓｅｃｔｉｏｎ　（ａ）（１）（ｉｉ）Ａｍｅｎｄｍｅｎｔ　２５－１１６に記載された燃焼性試験を実施して、その試験項目の中で燃焼時間と燃焼長について評価した。燃焼時間については試験片から火源を遠ざけた後、消火するまでの時間を評価した。なお、消火しなかったものは全焼とした。燃焼時間が１５秒以内に消火したものを合格として評価した。なお、火源を遠ざけると即座に消火したものは燃焼時間を０秒とした。
　燃焼長については２０ｃｍ以下のものを合格とした。なお消火しなかったものは全焼し、燃焼長は２０ｃｍ以上であった。
　燃焼時間、燃焼長ともに基準内で合格のものを、燃焼性試験合格とした。
　その結果を表１に示す。

　〔実施例２～４〕
　第１フィルム層（Ｉ）、第２フィルム層（ＩＩ）、粘着剤層の厚みを表１に記載の様に変えた以外は実施例１と同様に粘着テープを作製した。これらの粘着テープについて燃焼性試験を行った。その結果を表１に示す。

　〔実施例５〕
　製造例１で調製したアクリル系樹脂（Ａ－１）の固形分１００部に対して、ハロゲン含有正リン酸エステル系難燃剤（大八化学工業株式会社製、商品名「ＣＲ－９００」）を５部、アルミニウムキレート架橋剤（三菱ケミカル株式会社製、商品名「Ｎ－２１２８」）を０．０７２部及び適量の酢酸エチルを添加して均一になるまで混合し、粘着剤組成物を調製した。かかる粘着剤組成物を紙製リリースライナー（住化加工紙株式会社製、商品名「ＳＬＢ－５０ＫＷＤ」；原紙坪量５３ｇ／ｍ２）の軽剥離面に塗工後の厚みが４５μｍになるようにアプリケーターを用いて塗工し、８０℃で５分間乾燥し、厚み４５μｍの粘着剤層付き紙製リリースライナーを製造した。

　高密度ポリエチレン製の延伸されたフラットヤーンを平織したクロス（厚み４０μｍ）を基材層としてその片面に、低密度ポリエチレンを押出ラミネートして基材層、第２フィルム層（ＩＩ）が順に配置された支持層を作製した。第２フィルム層（ＩＩ）の厚みは２０μｍであった。なお、フラットヤーンを平織したクロスとは、第１のフラットヤーン群と第２のフラットヤーン群とを含み、第１のフラットヤーン群と第２のフラットヤーン群との交差する角度が９０度となるように配置されたものである。

　上記の複合シート（支持層）の基材層の面に、上記粘着剤層付き紙製リリースライナーの粘着剤面を貼り合わせた。その後、４０℃乾燥機中で７日間の加熱エージング処理を行い、粘着テープを得た。

　上記粘着テープの基材層表面から粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）が４５μｍであり、第２フィルム層（ＩＩ）側の基材層表面から第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）が２０μｍであるから、比率（ａ）／（ｂ）＝２．３である。この粘着テープについて燃焼性試験を行い、その結果を表１に示す。

　〔比較例１、２〕
　第１フィルム層（Ｉ）、第２フィルム層（ＩＩ）、粘着剤層の厚みを表１にの記載の様に変えた以外は実施例１と同様に粘着テープを作製作成した。これらの粘着テープについて燃焼性試験を行い、その結果を表１に示す。

　〔比較例３〕
　基材層を二軸延伸のＰＥＴフィルム１層とし、第１フィルム層（Ｉ）、第２フィルム層（ＩＩ）、粘着剤層の厚みを表１に記載の様に変えた以外は実施例１と同様に粘着テープを作製した。この粘着テープについて燃焼性試験を行った。その結果を表１に示す。

　〔比較例４、５〕
　粘着剤層に難燃剤（Ｃ）を含有させず、第１フィルム層（Ｉ）、第２フィルム層（ＩＩ）、粘着剤層の厚みを表１に記載の様に変えた以外は実施例１と同様に粘着テープを作製した。これらの粘着テープについて燃焼性試験を行った。その結果を表１に示す。

　表１に示す判定結果より、第２フィルム層（ＩＩ）の厚み（ｂ）に対する、第１フィルム層（Ｉ）及び粘着剤層の厚みの合計（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上である実施例の粘着テープは、１４ＣＦＲ　Ｐａｒｔ　２５　Ａｐｐｅｎｄｉｘ　Ｆ　Ｐａｒｔ　Ｉ　Ｓｅｃｔｉｏｎ　（ａ）（１）（ｉｉ）に記載された燃焼性試験の燃焼時間、燃焼長が基準以内で合格であることから、優れた難燃性を有していることが分かる。また、実施例の粘着テープは、粘着剤層中の難燃剤の含有量が５部と従来に比べ少ない含有量であっても難燃性が良好となる。

　一方、比率（ａ）／（ｂ）が１．７未満、かつ０．６を超える比較例１、２の粘着テープは、１４ＣＦＲ　Ｐａｒｔ　２５　Ａｐｐｅｎｄｉｘ　Ｆ　Ｐａｒｔ　Ｉ　Ｓｅｃｔｉｏｎ（ａ）（１）（ｉｉ）Ａｍｅｎｄｍｅｎｔ　２５－１１６に記載された燃焼性試験の燃焼時間、燃焼長が基準以上で不合格であることから、難燃性に劣ることが分かる。また、基材層に二軸延伸のＰＥＴフィルム１層を用いた比較例３についても同様に難燃性に劣ることが分かる。また、比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上であっても難燃剤を含まない比較例４、５では燃焼時間、燃焼長が共に基準以上か、一方が基準以上で不合格であることから難燃性に劣ることが分かる。

　本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、２０２０年３月２５日出願の日本特許出願（特願２０２０－０５５２０５）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明の粘着テープは、難燃性と粘着性のいずれにも優れ、そのバランスがよいので、航空機部材を一時的に又は恒常的に固定する用途に好適である。例えば、本発明の粘着テープは航空機客室内における内装材や什器類を一時的に又は恒常的に固定する用途に使用することができる。具体的に例示すれば、本発明の粘着テープは、航空機客室内における鏡や誘導サインを恒常的に固定する用途、又は化粧パネルやオーバーヘッドコンパートメントを一時的に固定する用途等において好適に使用することができる。

Claims

　粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）、基材層及び第２フィルム層（ＩＩ）の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、
　前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、
　前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記第１フィルム層（Ｉ）側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であり、
　前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する、粘着テープ。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　前記第１フィルム層（Ｉ）の厚みが３０μｍ以上である請求項１に記載の粘着テープ。
　前記第１フィルム層（Ｉ）の厚みが前記第２フィルム層（ＩＩ）の厚みより大きい請求項１または２に記載の粘着テープ。
　前記粘着剤層がアクリル系樹脂（Ａ）を含有する粘着剤組成物からなる請求項１～３のいずれか一項に記載の粘着テープ。
　前記粘着剤組成物が架橋剤（Ｂ）を更に含有する請求項４に記載の粘着テープ。
　前記粘着剤層が前記難燃剤（Ｃ）を含有し、前記粘着剤層中の前記難燃剤（Ｃ）の含有量が、前記アクリル系樹脂（Ａ）１００重量部に対して、１～２５重量部である請求項４または５に記載の粘着テープ。
　航空機部材固定に用いられる請求項１～６のいずれか一項に記載の粘着テープ。
　粘着剤層及び基材層を有する粘着テープであって、
　前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、
　前記粘着剤層及び前記基材層の少なくとも一方が難燃剤（Ｃ）を含有する、粘着テープ。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　粘着剤層、第１フィルム層（Ｉ）及び基材層の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、
　前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、
　前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する、粘着テープ。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　粘着剤層、基材層および第２フィルム層（ＩＩ）の順序で配置された層構造を有する粘着テープであって、前記第２フィルム層（ＩＩ）側の前記基材層表面から、前記第２フィルム層（ＩＩ）の外側表面までの厚み（ｂ）に対する、前記粘着剤層側の前記基材層表面から前記粘着剤層の外側表面までの厚み（ａ）の比率（ａ）／（ｂ）が１．７以上または０．６以下であり、
　前記基材層は、下記（Ｘ）及び（Ｙ）の少なくとも一方を満たし、
　前記層構造を構成する少なくとも１以上の層が難燃剤（Ｃ）を含有する、粘着テープ。
　（Ｘ）第１の一軸配向フィルムと、第２の一軸配向フィルムとを少なくとも含み、前記第１の一軸配向フィルム及び前記第２の一軸配向フィルムは、前記第１の一軸配向フィルムの配向方向と前記第２の一軸配向フィルムの配向方向との交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。
　（Ｙ）第１のフラットヤーンと、第２のフラットヤーンとを少なくとも含み、前記第１のフラットヤーン及び前記第２のフラットヤーンは、前記第１のフラットヤーンと前記第２のフラットヤーンとの交差する角度が４５度以上１３５度以下となるように配置されている。