WO2021044726A1

WO2021044726A1 - 密封装置

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Publication number: WO2021044726A1
Application number: PCT/JP2020/026712
Authority: WO
Inventors: 阿部　純一
Original assignee: Nok株式会社
Priority date: 2019-09-04
Filing date: 2020-07-08
Publication date: 2021-03-11
Also published as: JPWO2021044726A1; US11846354B2; EP4027041A1; US20220260157A1; CN114127449A; EP4027041A4

Abstract

保護環の移動を抑制することができる密封装置を提供する。　密封装置（１）は、軸線ｘ周りに環状の補強環（２０）と、補強環（２０）に取り付けられている、弾性体から形成されていてリップ部（３５）を有する軸線ｘ周りに環状の弾性体部（３０）と、補強環（２０）の内周側ｄに嵌着される軸線ｘ周りに環状の保護環（４０）と、を備え、補強環（２０）は、軸線ｘ周りに筒状に形成されている補強環筒状部（２１）を有し、保護環（４０）は、軸線ｘ周りに筒状に形成されている保護環筒状部（４１）と、保護環筒状部（４１）の外周面（４１１）に設けられていて補強環（２０）の内周側ｄに係合する係合部（４３）と、を有する。

Description

密封装置

　本発明は、密封装置に関する。

　従来から、密封装置のうち、例えばパワーショベルやアームクレーンなどの建機の回転軸に用いられるものが知られている。このような密封装置には、リップ部に外部からの石など異物が衝突することを防止するために、外側から金属製の保護環が嵌着されているものがある。なお、密封装置において、オイルシール本体の金属環の内周側であって内面被着部の内周面に軸方向一方から所定の嵌合代をもって嵌合される第２金属環を有するものが開示されている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１０－１１２４８１号公報

　保護環は、密封装置における補強環の筒状部に設けられている弾性体部のうち、内周側に設けられている部分を押し潰している。保護環は、筒状部の内周側に設けられている弾性体部を押し潰していることで生じるゴムの反発力（摩擦力）により、筒状部の内周側に保持されている。

　しかしながら、保護環を備える従来の密封装置は、想定を超えた外部からの力が保護環に加わった場合に、保護環が所定の位置から移動してしまうことがあった。

　本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、密封装置において、保護環の移動を抑制することである。

　上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている、弾性体から形成されていてリップ部を有する前記軸線周りに環状の弾性体部と、前記補強環の内周側に嵌着される前記軸線周りに環状の保護環と、を備え、前記補強環は、前記軸線周りに筒状に形成されている補強環筒状部を有し、前記保護環は、前記軸線周りに筒状に形成されている保護環筒状部と、前記保護環筒状部の外周面に設けられていて前記補強環の内周側に係合する係合部と、を有する。

　本発明の一態様に係る密封装置において、前記弾性体部は、前記補強環筒状部に取り付けられているガスケット部を有し、係合部は、前記ガスケット部の前記補強環筒状部の内周側に係合する。

　本発明の一態様に係る密封装置において、前記補強環は、前記補強環筒状部の軸線方向における一方の端部から内周側に延びる補強環円盤部を有し、前記保護環は、前記軸線方向における他方の端部の側から前記補強環筒状部の内周側に嵌着される。

　本発明の一態様に係る密封装置において、前記係合部は、前記保護環筒状部の外周面において凹溝状に形成されている。

　本発明の一態様に係る密封装置において、前記係合部は、前記保護環筒状部の外周面において他方の側に面する立壁部を有し、前記立壁部は、軸線方向に垂直な径方向に立設されている。

　本発明に係る密封装置によれば、保護環の移動を抑制することができる。

本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。図１に示す密封装置の係合部を示すための、軸線に沿う断面における拡大断面図である。参考例の密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。

　以下、本発明の実施の形態に係る密封装置について図面を参照しながら説明する。

　以下、説明の便宜上、軸線ｘ方向において矢印ａ（図１参照）方向を外側とし、軸線ｘ方向において矢印ｂ（図１参照）方向を内側とする。また、軸線ｘに垂直な方向（以下、「径方向」ともいう。）において、軸線ｘから離れる方向（図１の矢印ｃ方向）を外周側とし、軸線ｘに近づく方向（図１の矢印ｄ方向）を内周側とする。

　図１は、本発明の実施の形態に係る密封装置１の概略構成を示すための、軸線ｘに沿う断面における断面図である。また、図２は、密封装置１の係合部を示すための、軸線ｘに沿う断面における拡大断面図である。図１及び図２を参照して、本実施の形態に係る密封装置１の構成を説明する。

　図１及び図２に示すように、本実施の形態に係る密封装置１は、軸線ｘ周りに環状の補強環２０と、弾性体から形成されていてリップ部３５を有する軸線ｘ周りに環状の弾性体部３０と、補強環２０の内周側ｄに嵌着される軸線ｘ周りに環状の保護環４０と、を備える。弾性体部３０は、補強環２０に取り付けられている。補強環２０は、軸線ｘ周りに筒状に形成されている補強環筒状部２１を有する。保護環４０は、軸線ｘ周りに筒状に形成されている保護環筒状部４１と、保護環筒状部４１の外周面４１１に設けられていて補強環２０の内周側ｄに係合する係合部４３と、を有する。以下、密封装置１の構造を具体的に説明する。

　補強環２０は、図１に示すように、軸線ｘを中心又は略中心とする環状の金属製の部材である。補強環２０に用いられる金属製の部材として、例えば、ステンレス鋼やＳＰＣＣ（冷間圧延鋼）が挙げられる。補強環２０は、このような金属製の部材を例えばプレス加工や鍛造することによって製造される。補強環２０は、例えば、軸線ｘ方向に延びる円筒状又は略円筒状などの筒状の部分である補強環筒状部２１と、補強環筒状部２１の一方側、すなわち、内側ｂの端部から内周側ｄに向かって延びる中空円盤状の部分である補強環円盤部２４と、を有している。

　補強環筒状部２１は、後述するように、いずれも不図示の取り付け対象の貫通孔の内周面に密封装置１が嵌合可能となるように形成されている。補強環筒状部２１は、弾性体部３０の部分を介して貫通孔の内周面に接触して嵌合可能となっている。補強環筒状部２１は、その中間部分に不図示の錐環部を形成するような形状となっていてもよい。また、補強環筒状部２１は、一部分が直接貫通孔の内周面に接触して嵌合可能となっていてもよい。補強環筒状部２１は、密封装置１が貫通孔の内周面に嵌着された際に、密封装置１の軸線ｘと不図示の回転軸の軸線ｘとの一致が図られるように貫通孔の内周面に嵌め込まれる。

　補強環２０には、補強環２０を内側（矢印ｂ方向）且つ外周側（矢印ｃ方向）から包み込むように弾性体部３０が取り付けられている。つまり、補強環２０は、弾性体部３０を補強している。

　弾性体部３０は、上述のように、補強環２０に取り付けられている。弾性体部３０は、補強環２０を覆うように補強環２０と一体的に形成されている。弾性体部３０の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム（ＮＢＲ）、水素添加ニトリルゴム（Ｈ－ＮＢＲ）、アクリルゴム（ＡＣＭ）、フッ素ゴム（ＦＫＭ）等の合成ゴムである。弾性体部３０は、成形型を用いて架橋（加硫）成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環２０は成形型の中に配置されている。弾性体部３０は、架橋接着により補強環２０に接着され、弾性体部３０と補強環２０とが一体的に成形される。弾性体部３０は、基部３１と、ガスケット部３２と、カバー部３３と、リップ部３５と、内周面３７とを有している。

　基部３１は、補強環円盤部２４の内周側（矢印ｄ方向）の端部近傍に位置する。基部３１は、リップ部３５のリップ先端部分３６を回転軸の外周面に押し付けた状態で摺接させるように支持する。補強環円盤部２４は、基部３１の内部に入り込んでいる。カバー部３３は、上述のように外側ａから補強環円盤部２４に取り付けられていて、軸線ｘ周りに環状で外側ａに面するように設けられている。基部３１は、弾性体部３０の内周側に面する環状の面である内周面３７を有している。

　ガスケット部３２は、弾性体部３０において、補強環２０の補強環筒状部２１を外周側ｃ及び内周側ｄから覆っている部分である。ガスケット部３２は、その外径が、貫通孔の内周面の内径と同じか、それよりも僅かに大きくなっている。このため、密封装置１が貫通孔の内周面に嵌着された場合、ガスケット部３２は、補強環２０の補強環筒状部２１と貫通孔との間で径方向に圧縮され、貫通孔の内周面と補強環２０の補強環筒状部２１との間を密封する。

　ガスケット部３２が貫通孔の内周面との間を密封することにより、貫通孔の内周面と回転軸との環状の隙間が密封装置１によって密封される。なお、ガスケット部３２は、図１及び図２に示すように補強環筒状部２１の外周側ｃ及び内周側ｄの全体を覆っているものには限定されない。例えば、ガスケット部３２は、補強環筒状部２１の外周側ｃ及び内周側ｄの一部を覆うものであってもよい。

　カバー部３３は、基部３１とガスケット部３２との間において外側（矢印ａ方向）から補強環円盤部２４に取り付けられている部分である。

　弾性体部３０のリップ部３５は、基部３１から軸線ｘに沿って延びる先端に、不図示の回転軸の外周面が摺動可能に形成されたリップ先端部分３６を有している。リップ先端部分３６は、内周側（矢印ｄ方向）へ突出している。リップ部３５は、軸線ｘ方向において外側（矢印ａ方向）に向かうに連れて内周側ｄに縮径する円錐筒状の形状を有している。つまり、リップ部３５は、軸線ｘに沿う断面（以下、「断面」ともいう。）において、基部３１から外側（矢印ａ方向）及び内周側（矢印ｄ方向）のリップ先端部分３６のリップ接触端３６１に向けて、軸線ｘに対して斜めに延びている。リップ部３５は、リップ先端部分３６と背向する外周側（矢印ｃ方向）に凹部が設けられている。この凹部には、緊迫力付与部材としての環状の弾性部材であるガータスプリング３８が装着されている。

　リップ先端部分３６は、内周側（矢印ｄ方向）へ向かって断面が凸の楔形状を有する環状の部分である。リップ先端部分３６は、回転軸の外周面と摺動自在に接触するリップ接触端３６１を有している。

　ガータスプリング３８は、例えば金属製のバネ部材であり、リップ先端部分３６を径方向において内周側（矢印ｄ方向）へ付勢し、リップ先端部分３６を回転軸の外周面に押し付ける所定の大きさの緊迫力を付与するものである。なお、ガータスプリング３８は、緊迫力を付与するものであれば、金属製に限らず、樹脂製等のその他種々の材料によるものであってもよい。

　保護環４０は、図１に示すように、軸線ｘを中心又は略中心とする環状の金属製の部材である。保護環４０は、保護環４０に用いられる金属製の部材として、例えば、ステンレス鋼やＳＰＣＣ（冷間圧延鋼）が挙げられる。保護環４０は、このような金属製の部材を例えばプレス加工や鍛造することによって製造される。保護環４０は、保護環筒状部４１と、保護環円盤部４２と、係合部４３と、を備える。保護環４０は、保護環筒状部４１が他方の側から（外側ａから内側ｂに向かって）、補強環２０における補強環筒状部２１の内周側ｄに嵌着される。

　保護環筒状部４１は、例えば、軸線ｘ方向に延びる円筒状又は略円筒状などの筒状の部分である。保護環筒状部４１は、密封装置１における補強環筒状部２１の内周面２１１、より具体的には弾性体部３０のガスケット部３２の内周面３２１に接触して嵌着可能となるように形成されている。保護環筒状部４１は、その中間部分に不図示の錐環部を形成するような形状となっていてもよい。また、保護環筒状部４１は、少なくとも一部分が直接的に補強環筒状部２１の内周面２１１に接触して嵌合可能となっていてもよい。保護環筒状部４１は、密封装置１が貫通孔の内周面に嵌着された際に、密封装置１の軸線ｘと保護環４０の軸線ｘとの一致が図られるように補強環筒状部２１の内周面２１１に嵌め込まれる。

　保護環円盤部４２は、保護環筒状部４１の他方側、すなわち、外側ａの端部から内周側ｄに向かって延びる中空円盤状の部分である。保護環円盤部４２は、保護環４０が補強環２０の補強環筒状部２１の内周面２１１に取り付けられる際に、外側ａに面するように配置されている。

　係合部４３は、保護環４０における、密封装置１の保護環筒状部４１に設けられている。係合部４３は、弾性体部３０、具体的にはガスケット部３２の内周側の部分である内周面３２１との嵌合面である保護環筒状部４１の外周面４１１に設けられている。係合部４３は、例えば、保護環筒状部４１の外周面４１１において凹溝状に形成されている。係合部４３は、保護環４０の保護環筒状部４１の周方向において環状に設けられていてもよい。また、係合部４３は、保護環４０の保護環筒状部４１の周方向において複数箇所に点在して設けられていてもよい。

　係合部４３は、保護環筒状部４１の外周面４１１において外側ａから内側ｂに向かって縮径している傾斜面４３１と、保護環筒状部４１の外周面４１１において他方の側、すなわち、外側ａに面する立壁状の立壁部４３２を有している。立壁部４３２は、軸線ｘ方向に垂直な径方向に向かって延びるように立設されている。つまり、立壁部４３２は、密封装置１において軸線ｘ方向における保護環４０が抜ける方向である内側ｂから外側ａに向かう方向とは逆向きに立ち上がっている。

　次に、上述の構成を備える密封装置１の作用について説明する。

　図３は、参考例の密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。図３に示すように、参考例に係る密封装置１００は、保護環４００の保護環筒状部４１０に密封装置１のような係合部４３を有していない。

　以上のように構成されている参考例に係る密封装置１００では、想定を超えた外部からの力が保護環４００に加わった場合に、保護環４００が所定の位置から移動してしまうことがある。

　一方、本実施の形態に係る密封装置１は、図２に示すように、密封装置１は、使用状態において、保護環４０は、軸線ｘ方向における他方の側である外側ａから補強環筒状部２１の内周側ｄに嵌着される。ここで、係合部４３は、ガスケット部３２の内周側に設けられている内周面３２１と係合する。

　密封装置１の使用状態において、保護環４０が有する係合部４３は、保護環筒状部４１の外周面４１１において他方の側、すなわち、外側ａに面する立壁部４３２を有している。立壁部４３２は、軸線ｘ方向に垂直な径方向に立設されている。このため、立壁部４３２は、密封装置１において軸線ｘ方向における保護環４０が抜ける方向である内側ｂから外側ａに向かう方向とは逆向きに立ち上がっている。

　以上説明したように、密封装置１によれば、係合部４３を有することにより、保護環４０に対して外側ａへの力が加わったときに、係合部４３の立壁部４３２が弾性体部３０のガスケット部３２の内周面３２１に入り込む。このため、密封装置１では、保護環４０が抜けにくくなる。従って、密封装置１によれば、保護環４０の移動を抑制することができる。

＜他の実施の形態＞
　以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に係る密封装置１に限定されるものではなく、本発明の概念及び請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本考案の具体的使用態様によって適宜変更され得る。

　例えば、密封装置１において、係合部４３の立壁部４３２は、弾性体部３０のガスケット部３２の内周面３２１に入り込むことができれば、図１及び図２に示すように軸線ｘ方向に垂直な径方向に立ち上がったものに限定されない。立壁部４３２は、例えば径方向から外側ａに向かって立ち上がったものでもよい。

　例えば、密封装置１において、弾性体部３０が、基部３１から軸線ｘ方向において内周側（矢印ｄ方向）、且つ、外側（矢印ａ方向）に向かって延びていて軸線ｘ方向において内周側ｄに向かうに連れて縮径する先端部分を有するダストリップを有していてもよい。

　例えば、密封装置１において、保護環４０は、保護環円盤部４２の内周側ｄの端部に、弾性体により形成されていて、不図示の回転軸の外周面が摺動可能に形成された先端部分を有している第２リップ部を有していてもよい。

１，１００…密封装置、２０…補強環、２１…補強環筒状部、２４…補強環円盤部、３０…弾性体部、３１…基部、３２…ガスケット部、３３…カバー部、３５…リップ部、３６…リップ先端部分、３７…内周面、３８…ガータスプリング、４０，４００…保護環、４１，４１０…保護環筒状部、４２…保護環円盤部、４３…係合部、２１１…内周面、３２１…内周面、３６１…リップ接触端、４１１…外周面、４３１…傾斜面、４３２…立壁部

Claims

　軸線周りに環状の補強環と、
　前記補強環に取り付けられている、弾性体から形成されていてリップ部を有する前記軸線周りに環状の弾性体部と、
　前記補強環の内周側に嵌着される前記軸線周りに環状の保護環と、
　を備え、
　前記補強環は、前記軸線周りに筒状に形成されている補強環筒状部を有し、
　前記保護環は、前記軸線周りに筒状に形成されている保護環筒状部と、
　前記保護環筒状部の外周面に設けられていて前記補強環の内周側に係合する係合部と、
　を有する、密封装置。
　前記弾性体部は、前記補強環筒状部に取り付けられているガスケット部を有し、
　前記係合部は、前記ガスケット部の前記補強環筒状部の内周側に係合する、
　請求項１に記載の密封装置。
　前記補強環は、前記補強環筒状部の軸線方向における一方の端部から内周側に延びる補強環円盤部を有し、
　前記保護環は、前記軸線方向における他方の端部の側から前記補強環筒状部の内周側に嵌着される、
　請求項１または２に記載の密封装置。
　前記係合部は、前記保護環筒状部の外周面において凹溝状に形成されている、
　請求項３に記載の密封装置。
　前記係合部は、前記保護環筒状部の外周面において他方の側に面する立壁部を有し、
　前記立壁部は、軸線方向に垂直な径方向に立設されている、
　請求項４に記載の密封装置。