JP5533372B2 - 密封構造 - Google Patents
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Description
上記ハウジングと、回転軸との間には、軸孔の内周面と、回転軸の外周面との環状隙間を密封するためのシール部材が設けられており、外部の水分や塵埃がハウジング内部に侵入するのを防止するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
このような密封構造では、シール部材104のシールリップ105が回転軸102の外周面103と摺接することで、ハウジング100に対して相対回転する回転軸102と、ハウジング100との間の環状隙間を密封している。
さらに、摩耗したシール部材104を新たなシール部材104に交換したとしても、その交換したシールリップ105は、回転軸102における、それまで使用していたシール部材104の摺接により大きく摩耗した部分に摺接することとなり、密封性能を元の状態に回復させることができない場合もあった。
このように、従来の密封構造では、シール部材を交換したとしても、長期的に密封性能を維持することが困難な場合があった。
さらに、他方周面における特定の一部分のみが大きく摩耗してしまうのを防止できるので、摩耗したシール部材を新たに交換することにより、密封性能を元の状態に十分に回復させることができる。
この構成によれば、摺接位置規定部材がシールリップと同一の材質で一体形成されているので、他方周面に摺接することによるシール部材の摩耗よりも、一方部材に摺接することによる摺接位置規定部材の摩耗の方が促進される。これによって、長時間に亘って軸方向の一定部分にシール部材の摺接位置が留まってしまうのを防止でき、より効果的に他方周面における特定の一部分のみが摩耗するのを防止できる。
図1において、軸受装置1は、風力発電用風車の主軸2を支持するためのものであり、ブレード(図示せず)が取り付けられた主軸2を回転自在に支持する転がり軸受(図示せず)を収納するハウジング3を備えている。
シールリップ4bのスリンガ5に向く側面4b1には、軸方向ハウジング3の内側に向けて突出した摺接位置規定部材7が一体に形成されている。シールリップ4bに一体形成された摺接位置規定部材7は、合成ゴム等により環状に形成されており、その先端がシール部材4に対して対向配置されたスリンガ5に当接し、主軸2の回転によって摺接するように設けられている。この摺接位置規定部材7については、後に詳述する。
図に示すように、シールリップ4bの側面4b1には、摺接位置規定部材7が突設されている。この摺接位置規定部材7は、スリンガ5の円板部5bにおいてシールリップ4b側に向く側面5b1に当接することで、シールリップ4bとスリンガ5との間に介在配置されている。
さらに詳しく説明すると、シールリップ4bは、自由状態においては、図2中の二点鎖線で示すように、径方向に沿った状態で基部5aから延びるように形成されている。摺接位置規定部材7は、シールリップ4bからスリンガ5側へ突設されるとともに、円板部5bの側面5b1と、自由状態にあるシールリップ4bの側面4b1との間の距離よりも軸方向に長い寸法に形成されている。このため、摺接位置規定部材7は、シールリップ4bを円板部5bに対して離間する方向に撓むように弾性変形させており、この弾性変形に伴う復元力によってその先端面7aで円板部5bを押圧する。言い換えると、摺接位置規定部材7は、その先端面7aで円板部5bの側面5b1を押圧しつつ、その反力でシールリップ4bを円板部5bに対して離間する方向に撓むように弾性変形させている。
このように、摺接位置規定部材7は、円板部5bを押圧することで、当該シールリップ4bを弾性的に撓ませ、シールリップ4b先端の外周面2aに対する摺接位置がスリンガ5の円板部5bに対して離間する方向に位置するように規制している。
図2で示す、撓んでいない状態のシールリップ4bは、主軸2の外周面2aに対して、軸方向範囲Qで摺接しており、このシールリップ4bの摺接位置は、軸方向位置Pから、摺接位置規定部材7の減寸に応じて軸方向範囲Qに近づくように軸方向に漸次移動する。
このため、シールリップ4bの摺接によって、主軸2の外周面2aにおける特定の一部分のみが摩耗してしまうのを防止でき、シール部材4による密封性能を長期に亘って維持することができる。
ここで、摺接位置規定部材7とシールリップ4bとが同一の材質で形成されていれば、接触面積がより小さい方がより摩耗が促進されるところ、シールリップ4bに一体に形成された摺接位置規定部材7は、シールリップと同一の材質で形成されている。このため、この構成によれば、主軸2の外周面2aに摺接することによるシール部材4の摩耗よりも、円板部5bに摺接することによる摺接位置規定部材7の摩耗の方が促進される。これによって、長時間に亘って軸方向の一定部分にシールリップ4bの摺接位置が留まってしまうのを防止でき、より効果的に主軸2の外周面2aにおける特定の一部分のみが摩耗するのを防止できる。
本実施形態の摺接位置規定部材7は、円板部5bの側面5b1に突出して一体回転可能に固定され、その先端面7aは、シールリップ4bの側面4b1に摺接する。摺接位置規定部材7は、合成ゴム等からなるシールリップ4bとの間の摺動によって適度に摩耗しかつ、シールリップ4bの復元力を支持することが可能な材料によって形成されている。
本実施形態の場合、摺接位置規定部材7が円板部5bに突設されているので、摺接位置規定部材7を形成するための材料の選択範囲が広がる。これによって、より好適にシールリップ4bを規制しうる摺接位置規定部材7とすることができる。
本実施形態の摺接位置規定部材7は、スリンガ5とシールリップ4bとの間に介在する介在部7bと、介在部7bを支持するとともに主軸2の外周面2aに一体回転可能に外嵌された内筒部7cとを備えている。この摺接位置規定部材7は、内筒部7cが主軸2に固定されることで、主軸2と一体回転可能であり、介在部7bの先端面7aは、シールリップ4bの側面4b1に摺接する。
本実施形態の場合も、図3(a)に示したものと同様、摺接位置規定部材7を形成するための材料の選択範囲を広げることができる。
上記各実施形態では、ハウジング3側にシール部材4、回転軸である主軸2側にスリンガ5を設けたが、主軸2側にシール部材、ハウジング3側にスリンガを設けることもできる。
また、上記各実施形態では、摺接位置規定部材7は、環状に形成した場合を例示したが、例えば、図4(a)に示すように、円弧状に形成された複数の摺接位置規定部材7を周方向等間隔に配置してもよいし、図4(b)に示すように、柱状に形成された複数の規制部材を周方向等間隔に配置してもよい。
この場合、摺接位置規定部材7が周方向に複数配置されているので、その個数を調整することで、当該摺接位置規定部材7の側面5b1に対する接触面積を容易に調整することができる。さらに、摺接位置規定部材7としてシールリップ4bの復元力を支持するのに必要な強度を確保するために、摺接位置規定部材7が側面5b1に摺接している先端面7aの径方向範囲R(図2)(摺接位置規定部材7の径方向の寸法)について一定の厚みを確保したとしても、個数を調整することで、前記接触面積を減少するように調整でき、先端面7aにおける面圧を高めることで、摺接位置規定部材7の摩耗を促進させることができる。
この場合、摺接位置規定部材7は、粗面部8に摺接することで、その摩耗が促進され、より効果的に主軸2の外周面2aにおける特定の一部分のみが摩耗するのを防止できる。
さらに、環状部は、図7に示すように、主軸2の外周面2aから径方向外側に突出して一体的に形成された鍔部11により構成されていてもよい。この場合、摺接位置規定部材7は、鍔部11の側面11aに摺接する。
3a 内周面 3c 軸孔 4 シール部材
4b シールリップ 5 スリンガ(環状部材) 7 摺接位置規定部材
8 粗面部 10 大径部(環状部材)
11 鍔部(環状部材)
Claims (4)
- ハウジングに設けられた軸孔と、前記軸孔に挿通された回転軸との間の環状隙間を密封する密封構造であって、
前記ハウジングの内周面及び前記回転軸の外周面のいずれか一方周面に突設され、円環状のシールリップを他方周面に摺接させて前記環状隙間を密封する環状のシール部材と、
前記他方周面に突設されるとともに、前記環状のシール部材に対して軸方向に対向配置された環状部材と、
前記シール部材のシールリップと前記環状部材との間に介在し、前記シールリップを前記環状部材に対して離間する方向へ弾性的に撓ませるとともに、前記シールリップと前記環状部材のいずれか一方部材との摺接に伴う軸方向の摩耗によって、前記撓ませたシールリップを前記環状部材に接近する方向へ漸次復元させて、前記他方周面に対するシールリップの摺接位置を漸次移動させる摺接位置規定部材と、を備えていることを特徴とする密封構造。 - 前記摺接位置規定部材が摺接する前記一方部材の摺接面には、当該摺接位置規定部材の摩耗を促進させるための粗面部が設けられている請求項1に記載の密封構造。
- 前記摺接位置規定部材は、前記シールリップに、当該シールリップと同一の材質で一体形成されている請求項1又は2に記載の密封構造。
- 前記摺接位置規定部材における前記一方部材に対する接触面積が、前記シールリップの前記他方周面に対する接触面積よりも小さく設定されている請求項3に記載の密封構造。
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