JP2019210998A - 密封装置 - Google Patents

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yuya Sakano
祐也 坂野
優 山口
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Abstract

【課題】軸の回転速度に関わらず、軸の正方向回転および逆回転方向に対しても油漏れを抑制し得る密封装置を提供する。【解決手段】軸9よりも外周側に設けられたハウジングと軸9との隙間に取り付けられ、軸9の外周面9aに摺動可能に接触して密封する密封装置1000であって、軸9の軸線x周りに配置されてハウジングに取り付けられた環状の補強環10と、補強環10に取り付けられ軸線x周りに配置された環状の弾性体部20とを備え、弾性体部20は、基部24から軸線x方向に沿って延びるリップ部21と、リップ部21の先端に形成されて軸9の外周面9aと摺動可能に接触するリップ接触端22aを有するリップ先端部22と、リップ接触端22aよりも大気側の大気側面22bに設けられ、リップ接触端22aから大気側へ向かった後にリップ接触端22aへ向かって戻る平面視湾曲形状に形成された油戻し用突起30とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、密封装置に関し、特に回転軸とハウジングとの間の隙間を封止する密封装置に関する。
従来、図8に示すように、回転軸9に対して装着される密封装置としてのオイルシール1において、回転軸9の外周面9aと接触するシールリップ2の摺動接触端であるリップ先端部2aの大気側面2bには、第1リブ群3、および、第2リブ群4が交互に複数設けられたものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
図9に示すように、第1リブ群3は、回転軸9の正方向回転時に、シールリップ2のリップ先端部2aから大気側へ滲み出る潤滑油等の油を当該第1リブ群3の各リブによるポンプ作用によってオイル側へ戻す働きを有している。この場合、第1リブ群3の各リブは、大気側面2bにおいてリップ先端部2aから内周側(矢印d)方向へ向かって傾斜している。
また、第2リブ群4は、回転軸9の逆方向回転時に、シールリップ2のリップ先端部2aから大気側へ滲み出る潤滑油等の油を当該第2リブ群4の各リブによるポンプ作用によってオイル側へ戻す働きを有している。この場合、第2リブ群4の各リブは、大気側面2bにおいてリップ先端部2aから外周側(矢印c)方向へ向かって傾斜している。
すなわち、このオイルシール1では、回転軸9が正方向回転または逆方向回転に回転した場合、回転軸9の回転方向と同様に油が連れ回って移動するが、その際に、シールリップ2のリップ先端部から大気側へ滲み出る油を第1リブ群3または第2リブ群4のポンプ作用でオイル側へ戻すことにより、密封性能を向上させることができる。
特開2001−208210号公報
しかしながら、上述した特許文献1のオイルシール1においては、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時に、図10に示すように、シールリップ2のリップ先端部2aにまで延びている第2リブ群4におけるリブ41乃至43の端部41a乃至43aにより油が掻き出され、その掻き出しにより飛沫状となった油がリブ41乃至43に沿いながら大気側へ滲み出てしまう。
同様に、オイルシール1においては、回転軸9の所定回転数以上の高速の逆方向回転時に、シールリップ2のリップ先端部2aにまで延びている第1リブ群3のリブ31乃至33の端部31a乃至33aにより油が掻き出され、その掻き出しにより飛沫状となった油がリブ31乃至33に沿いながら大気側へ滲み出てしまう。
このような現象は従来から広く知られており、オイルシール1のシールリップ2の大気側面2bに対して、互いに反対方向に傾斜した第1リブ群3、および、第2リブ群4を設けた場合であっても、回転軸9の高速回転時には上述したように大気側へ油漏れが生じていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸の回転速度に関わらず、軸の正方向回転および逆回転方向に対しても油漏れを抑制し得る密封装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明においては、軸と、当該軸よりも外周側に設けられたハウジングと、前記軸と前記ハウジングとの間の隙間に取り付けられ、前記軸の外周面に摺動可能に接触して密封する密封装置であって、前記軸の軸線周りに配置されて前記ハウジングに取り付けられた環状の補強環と、前記補強環に取り付けられ、前記軸線周りに配置された弾性体からなる環状の弾性体部とを備え、前記弾性体部は、当該弾性体部の基部から軸線方向に沿って延びるリップ部と、前記リップ部の先端に形成されて前記軸の外周面と摺動可能に接触するリップ接触端を有する断面楔形状のリップ先端部と、前記リップ先端部の前記リップ接触端よりも大気側の大気側面に設けられ、当該大気側面において、前記リップ接触端から大気側へ向かった後に前記リップ接触端へ向かって戻る平面視湾曲形状に形成された油戻し用突起とを備える。
本発明において、前記油戻し用突起は、半径方向に一定の間隔を隔てて少なくとも2つ以上設けられていることが望ましい。
本発明において、前記油戻し用突起は、その長さの中央部分において所定の距離だけ離れた状態で分離され、その分離されたそれぞれの先端部が互いに対向していることが望ましい。
本発明において、前記油戻し用突起の前記先端部は、前記リップ接触端に向かって湾曲していることが望ましい。
本発明において、前記油戻し用突起のうち最外周側に位置する最外周側突起は、その突起の開始端および終了端が前記リップ接触端から所定距離だけ離れていることが望ましい。
本発明によれば、回転軸の回転速度に関わらず、回転軸の正方向回転および逆回転方向に対しても油漏れを抑制し得る密封装置を実現することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る密封装置に設けられた油戻し用突起の構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る密封装置に設けられた油戻し用突起の断面構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る密封装置の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る密封装置に設けられた油戻し用突起の構成を示す平面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る密封装置に設けられた油戻し用突起の構成を示す平面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る密封装置に設けられた油戻し用突起の構成を示す平面図である。 従来の密封装置に設けられた第1リブ群および第2リブ群の構成を示す平面図である。 従来の密封装置に設けられた第1リブ群および第2リブ群の配置状態を示す拡大平面図である。 従来の密封装置に設けられた第2リブ群の構成を示す部分拡大平面図である。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1000の構成を示す断面図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1000に設けられた油戻し用突起30の構成を示す平面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1000に設けられた油戻し用突起30の断面構成を示す断面図である。
以下、説明の便宜上、図面において密封装置1000よりも符号a側を外側、密封装置1000よりも符号b側を内側とする。ここで、外側とは密封装置1000が装着されるケーシング(図示せず)の外部すなわち大気側であり、内側とはケーシングの内部において油が充填されているオイル側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、径方向ともいう。)において、軸線xから遠ざかる方向を外周側とし(矢印c方向)、軸線xに向かう方向を内周側とする(矢印d方向)。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る密封装置1000は、軸線xを中心とする環状の金属製の補強環10と、軸線xを中心とする環状の弾性体からなる弾性体部20とを備えている。
ここで、補強環10の金属材としては、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
補強環10は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋(加硫)成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20と補強環10とが一体的に成形される。
補強環10は、例えば、断面略L字状の形状を有しており、軸線x方向に延びて外周側(矢印c方向)に位置する円筒状の部分である円筒部11と、円筒部11の外側(矢印a方向)の端部から内周側(矢印d方向)へ向かって延びる中空円盤状のフランジ部分である円盤部12とを有している。
この補強環10には、当該補強環10を外側(矢印a方向)かつ外周側(矢印c方向)から包み込むように弾性体部20が一体に取り付けられており、当該補強環10が弾性体部20を補強している。
弾性体部20は、シールリップ21、ダストリップ23、リップ腰部24、ガータスプリング26、後方カバー27、および、ガスケット部28を備えている。弾性体部20において、リップ腰部24は、補強環10の円盤部12における内周側(矢印d方向)の端部の近傍に位置する部分である。
シールリップ21は、リップ腰部24から内側(矢印b方向)に向かって延びる部分であり、補強環10の円筒部11と対向して配置されている。シールリップ21は、内側(矢印b方向)の端部に、軸線xに沿う断面形状が内周側(矢印d方向)に向かって凸の楔形状を有する環状のリップ先端部22を有している。
リップ先端部22は、リップ接触端22aを介して互いに接続された大気側の環状の大気側面22bと、オイル側の環状の密封側面22cとにより画成されている。大気側面22bは、軸線x方向において外側(矢印a方向)に向かうに連れて拡径する円錐面状のテーパ面である。密封側面22cは、軸線x方向において内側(矢印b方向)に向かうに連れて拡径する円錐面状のテーパ面である。
大気側面22bと密封側面22cとは、互いに小径側で交わっており、この交わる部分においてリップ接触端22aが形成されている。リップ接触端22aは、軸線xと直交する断面において軸線xを中心とする円を描いており、リップ先端部22において最も内周側に位置する部分である。リップ先端部22は、使用状態において、回転軸9の外周面9aと摺動自在にリップ接触端22aが密接して接触するように形成されており、回転軸9が挿通される図示しないハウジング等の貫通穴を密封する。
シールリップ21の外周側(矢印c方向)の部分には、リップ先端部22と対向するようにガータスプリング26が嵌着されている。ガータスプリング26は、例えば金属製のバネ部材であり、シールリップ21のリップ先端部22を径方向において内周側(矢印d方向)に付勢して、当該リップ先端部22に回転軸9の外周面9aに対する所定の大きさの緊迫力を付与している。
ダストリップ23は、リップ腰部24から外側(矢印a方向)および内周側(矢印d方向)へ軸線xに向かって延びる部分である。ダストリップ23は、使用状態において、外側(矢印a方向)からリップ先端部22へ向かって泥水や砂、ダスト等の異物が侵入することを防止している。
なお、後方カバー27は、補強環10の円盤部12を外側(矢印a方向)から覆う部分である。ガスケット部28は、補強環10の円筒部11を外周側(矢印c方向)から覆う部分である。ガスケット部28は、回転軸9が挿通されるハウジング(図示せず)の貫通穴に密封装置1000が圧入された際に、当該貫通穴と補強環10の円筒部11との間において径方向に圧縮されて、径方向の外周側(矢印c方向)に向かう嵌合力を所定の大きさ発生するように径方向の厚さが予め設定されている。
さらに、シールリップ21において、リップ先端部22の大気側面22bには、周方向に沿って複数の油戻し用突起30が設けられている。油戻し用突起30は、リップ先端部22の大気側面22bに対して周方向に一定間隔ごとに複数設けられているが、隣接する油戻し用突起30が間隔を空けることなく複数設けられていてもよい。また、互いに大きさの異なる油戻し用突起30が交互に配置されていてもよい。
図2に示すように、油戻し用突起30は、最内周側突起301、中間突起302、および、最外周側突起303からなり、最内周側突起301と中間突起302との間の間隔、および、中間突起302と最外周側突起303との間の間隔が一定となっている。この場合、最内周側突起301の半径および周長が一番短く、最外周側突起303の半径および周長が一番長く、中間突起302の半径および周長は最内周側突起301の半径および周長よりも長く、最外周側突起303の半径および周長よりも短い。
ここで、図3(A)に示すように、最内周側突起301、中間突起302、および、最外周側突起303の幅w(太さ)は、それぞれ同じである。この場合、断面形状は全て同じであるため、主に最内周側突起301の断面形状を例に取って説明する。
最内周側突起301は、先尖形状を有する凸の楔形状部分であり、接触端301aを介して側端面301bと側端面301cとが接続されている。なお、側端面301bおよび側端面301cは、油を当該側端面301b、側端面301cに沿って移動させる誘導面として機能する。同様に、中間突起302は、接触端302aを介して側端面302bと側端面302cとが接続され、最外周側突起303は、先端303aを介して側端面303bと側端面303cとが接続されている。
ただし、これに限るものではなく、図3(B)に示すように、最内周側突起301は、先端が円弧状の曲面301dを有していてもよく、または、図3(C)に示すように、最内周側突起301は断面矩形状を有し、リップ先端部22の大気側面22bと平行な上端面301g、当該上端面301gと接続されて大気側面22bと垂直な側端面301eおよび側端面301fを有していてもよい。これは、中間突起302および最外周側突起303においても同様である。因みに、最内周側突起301が図3(A)に示したような先尖形状を有する凸の楔形状部分であり、中間突起302が図3(B)に示したような円弧状の曲面301dを有し、最外周側突起303が図3(C)に示したような断面矩形状を有していてもよく、任意の組み合わせで形成されていてもよい。
図2に示すように、最内周側突起301は、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後に弧状に曲線を描きながらリップ接触端22aにまで戻る平面視半円形状の突起である。この場合、最内周側突起301は、リップ接触端22aと接続された2つの内周側(矢印d方向)の端部(以下、これを「内周側端部」ともいう。)301in、および、外周側(矢印c方向)の端部(以下、これを「外周側端部」ともいう。)301outを有している。
最外周側突起303は、最内周側突起301と同様に、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後に弧状に曲線を描きながらリップ接触端22aにまで戻る平面視半円形状の突起であり、最内周側突起301の外周側に配置されている。この場合、最外周側突起303は、リップ接触端22aと接続された2つの内周側端部303in、および、外周側端部303outを有している。
中間突起302は、最内周側突起301および最外周側突起303と同様に、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後に弧状に曲線を描きながらリップ接触端22aにまで戻る平面視半円形状の突起である。なお、中間突起302は、最内周側突起301よりも外周側かつ最外周側突起303よりも内周側で最内周側突起301および最外周側突起303から一定の同一距離だけ離れた位置に配置されている。この場合、中間突起302は、リップ接触端22aと接続された2つの内周側端部302in、および、外周側端部302outを有している。
なお、最内周側突起301、中間突起302、および、最外周側突起303の半径および曲率は、リップ先端部22の大気側面22bに設ける油戻し用突起30の個数に応じて任意に設定することが可能である。
以上の構成において、密封装置1000は、図示しないケーシングの開口部と回転軸9との間の環状の隙間に嵌着された際、シールリップ21のリップ先端部22におけるリップ接触端22aが所定の締め代で当該回転軸9の外周面9aに押し付けられた状態で摺動自在に接触して使用状態となる。
密封装置1000は、回転軸9が例えば正方向回転された場合、回転軸9の正方向回転に合わせて連れ回されるように正方向へ油が流れるため、最内周側突起301の内周側端部301inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入するが、側端面301bに沿って移動して外周側端部301outを経てオイル側へ戻される。
同時に、密封装置1000では、中間突起302の内周側端部302inにより掻き出された油がオイル側からリップ先端部22との接触面付近から侵入するが、側端面302bに沿って油が移動して外周側端部302outを経てオイル側へ戻される。同時に、密封装置1000では、最外周側突起303の内周側端部303inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入するが、側端面303bに沿って油が移動して外周側端部303outを経てオイル側へ戻される。
一方、密封装置1000は、回転軸9が例えば逆方向回転された場合、回転軸9の逆方向回転に合わせて連れ回されるように逆方向(図3中の矢印とは逆方向)へ油が流れるため、最内周側突起301の外周側端部301outにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入するが、側端面301bに沿って油が移動して内周側端部301inを経てオイル側へ戻される。
同時に、密封装置1000では、中間突起302の外周側端部302outにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入するが、側端面302bに沿って油が移動して内周側端部302inを経てオイル側へ戻されると共に、最外周側突起303の外周側端部303outにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入するが、側端面303bに沿って油が移動して内周側端部303inを経てオイル側へ戻される。
ところで、密封装置1000においては、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時に最内周側突起301の内周側端部301inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が最内周側突起301を乗り越えて中間突起302の方へ漏れ出てしまうことがある。しかしながら密封装置1000では、その漏れ出た油が中間突起302の側端面302bに沿って移動して外周側端部302outを経てオイル側へ戻されるので、油を大気側に漏らすことなくオイル側へ戻すことができる。
また、密封装置1000においては、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時に中間突起302の内周側端部302inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が中間突起302を乗り越えて最外周側突起303の方へ漏れ出てしまうことがある。しかしながら密封装置1000では、その漏れ出た油が最外周側突起303の側端面303bに沿って移動して外周側端部303outを経てオイル側へ戻されるので、油を大気側に漏らすことなくオイル側へ戻すことができる。
なお、密封装置1000においては、回転軸9の所定回転数以上の高速の逆方向回転時も同様であり、回転軸9の逆方向回転時に最内周側突起301の外周側端部301outにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が最内周側突起301を乗り越えて中間突起302の方へ漏れ出てしまうことがある。しかしながら、この場合も密封装置1000では、その漏れ出た油が中間突起302の側端面302bに沿って移動して内周側端部302inを経てオイル側へ戻されるので、油を大気側に漏らすことなくオイル側へ戻すことができる。
同様に、密封装置1000においては、回転軸9の所定回転数以上の高速の逆方向回転時に中間突起302の外周側端部302outにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が中間突起302を乗り越えて最外周側突起303の方へ漏れ出てしまうことがある。しかしながら、この場合も密封装置1000では、その漏れ出た油が最外周側突起303の側端面303bに沿って移動して内周側端部303inを経てオイル側へ戻されるので、油を大気側に漏らすことなくオイル側へ戻すことができる。
以上の構成によれば、密封装置1000では、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時および逆方向回転時の何れにおいても、最内周側突起301の内周側端部301inおよび外周側端部301out、中間突起302の内周側端部302inおよび外周側端部302outにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入したとしても、その侵入した油がその外周側に設けられた中間突起302および最外周側突起303に沿って移動し、オイル側へ戻されることになる。したがって、密封装置1000は、回転軸9の回転速度に関わらず、回転軸9の正方向回転および逆回転方向に対しても油漏れを抑制することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2000の構成を示す断面図である。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置2000に設けられた油戻し用突起40の構成を示す平面図である。
図1との対応部分に同一符合を付して示す図2に示すように、第2の実施の形態に係る密封装置2000は、第1の実施の形態に係る密封装置1000と同様に、軸線xを中心とする環状の金属製の補強環10と、軸線xを中心とする環状の弾性体からなる弾性体部220とを備えている。
すなわち、第2の実施の形態における密封装置2000においては、密封装置1000の補強環10と同一であり、弾性体部220についても弾性体部20と基本構成は同じであるが、密封装置1000の油戻し用突起30の代わりに油戻し用突起40がリップ先端部22の大気側面22bに設けられている点だけが異なっている。したがって、以下、油戻し用突起40の構成について主に説明する。
図5に示すように、油戻し用突起40は、第1の油戻し用突起部401および第2の油戻し用突起部405を備えている。第1の油戻し用突起部401および第2の油戻し用突起部405は、軸線xとは垂直な径方向において鏡面状態となるように互いに対向配置されている。
第1の油戻し用突起部401は、最内周側突起部分402、中間突起部分403、および、最外周側突起部分404からなり、最内周側突起部分402と中間突起部分403との間の間隔、および、中間突起部分403と最外周側突起部分404との間の間隔が一定となっている。この場合、最内周側突起部分402の半径および周長が一番短く、最外周側突起部分404の半径および周長が一番長く、中間突起部分403の半径および周長は最内周側突起部分402の半径および周長よりも長く、最外周側突起部分404の半径および周長よりも短い。
ここで、最内周側突起部分402、中間突起部分403、および、最外周側突起部分404の幅w(太さ)は、それぞれ同じである。また、最内周側突起部分402、中間突起部分403、および、最外周側突起部分404の断面形状は、第1の実施の形態における密封装置1000の最内周側突起301の断面形状と同じであるため説明を省略する。
第1の油戻し用突起部401の最内周側突起部分402は、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後に弧状の曲線を描きながらリップ接触端22aに向かって僅かに戻る平面視湾曲状の突起である。ただし、最内周側突起部分402は、その先端402pがリップ先端部22のリップ接触端22aに到達することのない途中の位置まで延びているだけである。この場合、最内周側突起部分402は、リップ接触端22aと接続された1つの端部402inだけを有している。
第1の油戻し用突起部401の中間突起部分403は、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後に弧状の曲線を描きながらリップ接触端22aに向かって僅かに戻る平面視湾曲状の突起である。ただし、中間突起部分403は、その先端403pがリップ先端部22のリップ接触端22aに到達することのない途中の位置まで延びているだけである。この場合も、中間突起部分403は、リップ接触端22aと接続された1つの端部403inだけを有している。
第1の油戻し用突起部401の最外周側突起部分404は、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後に弧状の曲線を描きながらリップ接触端22aに向かって僅かに戻る平面視湾曲状の突起である。ただし、最外周側突起部分404は、その先端404pがリップ先端部22のリップ接触端22aに到達することのない途中の位置まで延びているだけである。この場合も、最外周側突起部分404は、リップ接触端22aと接続された1つの端部404inだけを有している。
第2の油戻し用突起部405は、最内周側突起部分406、中間突起部分407、および、最外周側突起部分408からなり、最内周側突起部分406と中間突起部分407との間の間隔、および、中間突起部分407と最外周側突起部分408との間の間隔が一定となっている。この場合、最内周側突起部分406の半径および周長が一番短く、最外周側突起部分408の半径および周長が一番長く、中間突起部分407の半径および周長は最内周側突起部分406の半径および周長よりも長く、最外周側突起部分408の半径および周長よりも短い。
この場合も、最内周側突起部分406、中間突起部分407、および、最外周側突起部分408の幅w(太さ)は、それぞれ同じであり、かつ、第1の油戻し用突起部401の最内周側突起部分402、中間突起部分403、および、最外周側突起部分404の幅wとも同じである。また、最内周側突起部分406、中間突起部分407、および、最外周側突起部分408の断面形状は、第1の油戻し用突起部401の断面形状と同じであるため説明を省略する。
第2の油戻し用突起部405の最内周側突起部分406は、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後、第1の油戻し用突起部401における最内周側突起部分402とは逆向きの弧状の曲線を描きながらリップ接触端22aに向かって僅かに戻る平面視湾曲状の突起である。ただし、最内周側突起部分406は、その先端406pがリップ先端部22のリップ接触端22aに到達することのない途中の位置まで延びているだけである。この場合、最内周側突起部分406は、リップ接触端22aと接続された1つの端部406outだけを有している。
第2の油戻し用突起部405の中間突起部分407は、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後、第1の油戻し用突起部401における中間突起部分403とは逆向きの弧状の曲線を描きながらリップ接触端22aに向かって僅かに戻る平面視湾曲状の突起である。ただし、中間突起部分407は、その先端407pがリップ先端部22のリップ接触端22aに到達することのない途中の位置まで延びているだけである。この場合も、中間突起部分407は、リップ接触端22aと接続された1つの端部407outだけを有している。
第2の油戻し用突起部405の最外周側突起部分408は、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、リップ先端部22のリップ接触端22aから一旦外側(矢印a方向)へ延びた後、第1の油戻し用突起部401における最外周側突起部分404とは逆向きの弧状の曲線を描きながらリップ接触端22aに向かって僅かに戻る平面視湾曲状の突起である。ただし、最外周側突起部分408は、その先端408pがリップ先端部22のリップ接触端22aに到達することのない途中の位置まで延びているだけである。この場合も、最外周側突起部分408は、リップ接触端22aと接続された1つの端部408outだけを有している。
ここで、第1の油戻し用突起部401の最内周側突起部分402の先端402pと、第2の油戻し用突起部405の最内周側突起部分406の先端406pとが互いに対向するように配置され、かつ、最内周側突起部分402の先端402pと、最内周側突起部分406の先端406pとの間には一定の距離Lだけ離間されている。この場合、最内周側突起部分402および最内周側突起部分406により全体として略W字状の油導出経路が形成されている。但し、これに限らず、第1における油戻し用突起部401の最内周側突起部分402の先端402pと、第2の油戻し用突起部405における最内周側突起部分406の先端406pとが互いに対向するように配置された状態において、全体として略U字状の油導出経路が形成されるようにしてもよい。
すなわち、この場合、第1の油戻し用突起部401の最内周側突起部分402および第2の油戻し用突起部405の最内周側突起部分406によって、リップ先端部22のリップ接触端22aよりも大気側の大気側面22bに設けられ、当該大気側面22bにおいて、リップ接触端22aから大気側へ向かった後にリップ接触端22aへ向かって戻る平面視湾曲形状に形成された油戻し用突起が略全体として形成されることになる。
同様に、第1の油戻し用突起部401の中間突起部分403の先端403pと、第2の油戻し用突起部405の中間突起部分407の先端407pとが互いに対向するように配置され、かつ、互いの先端同士との間には一定の距離Lだけ離間されている。この場合も、中間突起部分403および中間突起部分407により全体として略W字状の油導出経路が形成されている。但し、これに限らず、第1の油戻し用突起部401における中間突起部分403の先端403pと、第2の油戻し用突起部405における中間突起部分407の先端407pとが互いに対向するように配置された状態において、全体として略U字状の油導出経路が形成されるようにしてもよい。
すなわち、この場合も、第1の油戻し用突起部401の中間突起部分403および第2の油戻し用突起部405の中間突起部分407によって、リップ先端部22のリップ接触端22aよりも大気側の大気側面22bに設けられ、当該大気側面22bにおいて、リップ接触端22aから大気側へ向かった後にリップ接触端22aへ向かって戻る平面視湾曲形状に形成された油戻し用突起が略全体として形成されることになる。
更に、第1の油戻し用突起部401の最外周側突起部分404の先端404pと、第2の油戻し用突起部405の最外周側突起部分408の先端408pとが互いに対向するように配置され、かつ、互いの先端同士との間には一定の距離Lだけ離間されている。この場合も、最外周側突起部分404および最外周側突起部分408により全体として略W字状の油導出経路が形成されている。但し、これに限らず、第1の油戻し用突起部401の最外周側突起部分404の先端404pと、第2の油戻し用突起部405の最外周側突起部分408の先端408pとが互いに対向するように配置された状態において、全体として略U字状の油導出経路が形成されるようにしてもよい。
すなわち、この場合も、第1の油戻し用突起部401の最外周側突起部分404および第2の油戻し用突起部405の最外周側突起部分408によって、リップ先端部22のリップ接触端22aよりも大気側の大気側面22bに設けられ、当該大気側面22bにおいて、リップ接触端22aから大気側へ向かった後にリップ接触端22aへ向かって戻る平面視湾曲形状に形成された油戻し用突起が略全体として形成されることになる。
以上の構成において、密封装置2000は、回転軸9が例えば正方向回転された場合、回転軸9の正方向回転に合わせて連れ回されるように正方向へ油が流れるため、第1の油戻し用突起部401における最内周側突起部分402の端部402inから油が導入され、当該最内周側突起部分402の側端面に沿って油が移動して先端402pまで導かれる。
ここで、第1の油戻し用突起部401における最内周側突起部分402の先端402pは、リップ先端部22のリップ接触端22aへ僅かに戻るような湾曲状に形成されているため、最内周側突起部分402の先端402pと最内周側突起部分406の先端406pとの隙間から油が漏れることなく導出された後、当該最内周側突起部分406の側端面に沿って油が移動した後、端部406outからオイル側へ戻されることになる。
同様に、密封装置2000では、第1の油戻し用突起部401における中間突起部分403の端部403inから油が導入され、当該中間突起部分403の側端面に沿って油が移動して先端403pまで導かれた後、第2の油戻し用突起部405における中間突起部分407の先端407pから当該中間突起部分407の側端面に沿って油が移動した後、端部407outからオイル側へ戻される。
また同様に、密封装置2000では、第1の油戻し用突起部401における最外周側突起部分404の端部404inから油が導入され、当該最外周側突起部分404の側端面に沿って油が移動して先端404pまで導かれた後、第2の油戻し用突起部405における最外周側突起部分408の先端408pから当該最外周側突起部分408の側端面に沿って油が移動した後、端部408outからオイル側へ戻される。
一方、密封装置2000は、回転軸9が例えば逆方向回転された場合であっても、正方向回転の場合と逆の動作により油が第2の油戻し用突起部405から第1の油戻し用突起部401を経てオイル側へ戻される。
なお、密封装置2000においては、回転軸9の所定回転数以上の正方向回転時に、第1の油戻し用突起部401における最内周側突起部分402の端部402inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が最内周側突起部分402を乗り越えて中間突起部分403の方へ漏れ出てしまうことがある。しかしながら密封装置2000では、その漏れ出た油が中間突起部分403の側端面に沿って移動し、第2の油戻し用突起部405における中間突起部分407を介してオイル側へ戻されるので、油を大気側に漏らすことなくオイル側へ戻すことができる。
同様に、密封装置2000においては、回転軸9の所定回転数以上の正方向回転時に、第1の油戻し用突起部401における中間突起部分403の端部403inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が中間突起部分403を乗り越えて最外周側突起部分404の方へ漏れ出てしまうことがある。しかしながら密封装置2000では、その漏れ出た油が最外周側突起部分404の側端面に沿って移動し、第2の油戻し用突起部405における最外周側突起部分408を介してオイル側へ戻されるので、油を大気側に漏らすことなくオイル側へ戻すことができる。
因みに、密封装置2000においては、回転軸9の所定回転数以上の逆方向回転時であっても、同様であり、第2の油戻し用突起部405における最内周側突起部分406の端部406out、および、中間突起部分407の端部407outにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が最内周側突起部分406および中間突起部分407を乗り越えて中間突起部分407および最外周側突起部分408の方へ漏れ出てしまうことがある。しかしながら、この場合であっても密封装置2000では、その漏れ出た油が中間突起部分407および最外周側突起部分408の側端面に沿って移動しオイル側へ戻されるので、油を大気側に漏らすことなくオイル側へ戻すことができる。
以上の構成によれば、密封装置2000では、回転軸9の所定回転数以上の正方向回転時および逆方向回転時の何れにおいても、第1の油戻し用突起部401および第2の油戻し用突起部405を介して油を移動してオイル側へ戻すことができる。したがって、密封装置2000は、回転軸9の回転速度に関わらず、回転軸9の正方向回転および逆回転方向に対しても油漏れを抑制することができる。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図6は、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置に設けられた油戻し用突起の構成を示す平面図である。
図2との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、第3の実施の形態における密封装置3000においては、第1の実施の形態における密封装置1000の油戻し用突起30に代えて、リップ先端部22の大気側面22bに油戻し用突起30Sが設けられている。その他の構成は、第1の実施の形態における密封装置1000と同様であるため、ここでは説明を省略する。
油戻し用突起30Sは、油戻し用突起30と同様に、最内周側突起301、中間突起302、および、最外周側突起303Sを有している。但し、最外周側突起303Sについては、リップ先端部22の大気側面22bにおいて、突起の開始端または終了端となる内周側端部303Sin、および、突起の終了端または開始端となる外周側端部303Soutがリップ先端部22のリップ接触端22aに到達しておらず、リップ接触端22aから内周側端部303Sinおよび外周側端部303Soutまで所定の距離qだけ離れている。
以上の構成において、密封装置3000では、第1の実施の形態における密封装置1000と同様に、回転軸9の所定回転数以上の正方向回転時に最内周側突起301の内周側端部301inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が最内周側突起301を乗り越えて中間突起302の方へ漏れ出てしまうが、その漏れ出た油が中間突起302の側端面302bに沿って移動して外周側端部302outを経てオイル側へ戻される。
また、密封装置3000においては、密封装置1000と同様に、回転軸9の所定回転数以上の正方向回転時に中間突起302の内周側端部302inにより掻き出された油がリップ先端部22との接触面付近から侵入し、その侵入した油が中間突起302を乗り越えて最外周側突起303の方へ漏れ出てしまうが、その漏れ出た油が最外周側突起303の側端面303bに沿って移動して外周側端部303outを経てオイル側へ戻される。
ところで、密封装置3000においては、内周側端部303Sinがリップ先端部22のリップ接触端22aから所定の距離qだけ離れている。このため、密封装置3000では、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時に最外周側突起303の内周側端部303Sinにより油が掻き出されることがないので、油がリップ先端部22との接触面付近から侵入することを未然に防止し得、かくして最外周側突起303Sの更に外周側へ油が漏れ出てしまうことを抑制することができる。
また、密封装置3000は、最外周側突起303の外周側端部303Soutがリップ先端部22のリップ接触端22aから所定の距離qだけ離れている。このため、密封装置3000では、回転軸9の所定回転数以上の高速の逆方向回転時にも、最外周側突起303の外周側端部303Soutにより油が掻き出されることがないので、油がリップ先端部22との接触面付近から侵入することを未然に防止し得、かくして最外周側突起303の更に外周側へ油が漏れ出てしまうことを抑制することができる。
すなわち、密封装置3000では、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時および逆方向回転時の何れにおいても、最内周側突起301、中間突起302、および、最外周側突起303により油を大気側に漏らすことなく、効率的にオイル側に戻すことができる。
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図7は、本発明の第4の実施の形態に係る密封装置に設けられた油戻し用突起の構成を示す平面図である。
図5との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、第4の実施の形態における密封装置4000においては、第2の実施の形態における密封装置2000の油戻し用突起40に代えて、リップ先端部22の大気側面22bに油戻し用突起40Sが設けられている。その他の構成は、第2の実施の形態における密封装置2000と同様であるため、ここでは説明を省略する。
油戻し用突起40Sは、油戻し用突起40と同様に、第1の油戻し用突起401Sおよび第2の油戻し用突起405Sを備えている。第1の油戻し用突起部401Sは、最内周側突起部分402、中間突起部分403、および、最外周側突起部分404Sからなり、第2の油戻し用突起部405Sは、最内周側突起部分406、中間突起部分407、および、最外周側突起部分408Sからなる。
ここで、最外周側突起部分404S、408Sについては、リップ接触端22aと接続することがなく、当該リップ接触端22aから所定の距離qだけ離れており、最外周側突起部分404Sの開始端または終了端となる端部404Sin、最外周側突起部分408Sの終了端または開始端となる端部408Soutを有している。
以上の構成において、密封装置4000では、第2の実施の形態における密封装置2000と同様に、回転軸9の所定回転数以上の正方向回転時または逆方向回転時に、第1の油戻し用突起部401Sにおける最内周側突起部分402および中間突起部分403では、第2の実施の形態と同様に油をオイル側へ戻すことができる。
なお、密封装置4000では、第1の油戻し用突起部401Sにおける最外周側突起部分404Sの端部404Sinがリップ先端部22のリップ接触端22aから所定の距離qだけ離れている。このため、密封装置4000では、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時に最外周側突起部分404Sの端部404Sinにより油が掻き出されることがないので、油がリップ先端部22との接触面付近から侵入することを未然に防止し得、かくして最外周側突起部分404の更に外周側へ油が漏れ出てしまうことを抑制することができる。
同様に、密封装置4000は、第2の油戻し用突起部405Sにおける最外周側突起部分408Sの端部408Soutがリップ先端部22のリップ接触端22aから所定の距離qだけ離れている。このため、密封装置4000では、回転軸9の所定回転数以上の高速の逆方向回転時にも、最外周側突起部分408Sの端部408Soutにより油が掻き出されることがないので、油がリップ先端部22との接触面付近から侵入することを未然に防止し得、かくして最外周側突起部分408の更に外周側へ油が漏れ出てしまうことを抑制することができる。
すなわち、密封装置4000では、回転軸9の所定回転数以上の高速の正方向回転時および逆方向回転時の何れにおいても、第1の油戻し用突起部401Sおよび第2の油戻し用突起部405Sにより油を大気側に漏らすことなく、効率的にオイル側に戻すことができる。
<他の実施の形態>
以上、本発明の第1乃至第4の実施の形態について説明したが、本発明は上記第1乃至第4の実施の形態に係る密封装置1000、2000、3000、4000に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本考案の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
上述した第1乃至第4の実施の形態においては、3つの油導出経路が形成されるように最内周側突起301、402、406、中間突起302、403、407、および、最外周側突起303、404、408等を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、4つ以上の油導出経路が形成されるように複数の突起を設けるようにしてもよい。
上述した第3の実施の形態においては、最外周側突起303Sの内周側端部303Sinおよび外周側端部303Soutがリップ先端部22のリップ接触端22aから所定の距離qだけ離れるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、最内周側突起301の内周側端部301inおよび外周側端部301out、中間突起302の内周側端部302inおよび外周側端部302outについてもリップ先端部22のリップ接触端22aから所定の距離qだけ離れるようにしてもよい。
ただし、この場合、最内周側突起301、中間突起302および最外周側突起303Sの全てにおいて油が掻き出されてリップ先端部22との接触面付近から侵入することを防止できるが、油をオイル側へ戻す量が減ることになるので、 油をオイル側へ戻す効率性を考慮して、最外周側突起303Sの内周側端部303Sinおよび外周側端部303Soutだけをリップ先端部22のリップ接触端22aから所定の距離qだけ離すようにすることが好ましい。この点は、第4の実施の形態における第1の油戻し用突起部401Sおよび第2の油戻し用突起部405Sにおいても同様である。
1000、2000、3000、4000…密封装置、9…回転軸、9a…外周面、10…補強環、11…円筒部、12…円盤部、20、220…弾性体部、21…シールリップ、22…リップ先端部、22a…リップ接触端、22b…大気側面、22c…密封側面、23…ダストリップ、24…リップ腰部、26…ガータスプリング、27…後方カバー、28…ガスケット部、30、30S、40、40S…油戻し用突起、301…最内周側突起、301a、302a…接触端、301b、301c、302b、302c…側端面、301d…曲面、301g…上端面、301e、301f…側端面、301in、302in、303in…内周側端部、301out、302out、303out…外周側端部、302…中間突起、302in…内周側端部、302out…外周側端部、303、303S…最外周側突起、303in…内周側端部、303out…外周側端部、401…第1の油戻し用突起部、405…第2の油戻し用突起部、402、406…最内周側突起部分、402in…端部、402s…先端、403、407…中間突起部分、403in…端部、404、404S、408、408S…最外周側突起部分、404in…端部、406p、407p、408p…先端、406out、407out、408out…端部

Claims (5)

  1. 軸と、当該軸よりも外周側に設けられたハウジングと、前記軸と前記ハウジングとの間の隙間に取り付けられ、前記軸の外周面に摺動可能に接触して密封する密封装置であって、
    前記軸の軸線周りに配置されて前記ハウジングに取り付けられた環状の補強環と、
    前記補強環に取り付けられ、前記軸線周りに配置された弾性体からなる環状の弾性体部とを備え、
    前記弾性体部は、
    当該弾性体部の基部から軸線方向に沿って延びるリップ部と、
    前記リップ部の先端に形成されて前記軸の外周面と摺動可能に接触するリップ接触端を有する断面楔形状のリップ先端部と、
    前記リップ先端部の前記リップ接触端よりも大気側の大気側面に設けられ、当該大気側面において、前記リップ接触端から大気側へ向かった後に前記リップ接触端へ向かって戻る平面視湾曲形状に形成された油戻し用突起と
    を備える密封装置。
  2. 前記油戻し用突起は、半径方向に一定の間隔を隔てて少なくとも2つ以上設けられている
    請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記油戻し用突起は、その長さの中央部分において所定の距離だけ離れた状態で分離され、その分離されたそれぞれの先端部が互いに対向している
    請求項1に記載の密封装置。
  4. 前記油戻し用突起の前記先端部は、前記リップ接触端に向かって湾曲している
    請求項3に記載の密封装置。
  5. 前記油戻し用突起のうち最外周側に位置する最外周側突起は、その突起の開始端および終了端が前記リップ接触端から所定距離だけ離れている
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の密封装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021131103A (ja) * 2020-02-18 2021-09-09 光洋シーリングテクノ株式会社 密封装置及び密封構造
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