WO2020217722A1

WO2020217722A1 - 足用トレーニング器具および足のトレーニング方法

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Publication number: WO2020217722A1
Application number: PCT/JP2020/009070
Authority: WO
Inventors: 友和那須; 圭一酒井; 直治境
Original assignee: Ｎａｓｙｕ株式会社
Priority date: 2019-04-24
Filing date: 2020-03-04
Publication date: 2020-10-29
Also published as: EP3769821A4; EP3769821B1; CN112135669B; ES2948623T3; US11298589B2; US20210236879A1; JP2020178812A; JP6618064B1; CN112135669A; EP3769821A1; EP3769821C0

Abstract

簡易な構造であって、負荷の大きさを容易に変えることのできる足用トレーニング器具、またそのようなトレーニング器具を用いた足のトレーニング方法を提供することを課題とする。　支点４０を中心に互いに異なる方向へ突出した４つの突出部１１１，１１２，１２１，１２２を有し、４つの突出部は、少なくとも一部に曲げ方向に屈曲可能な弾性部材２０，２１を有し、弾性部材２０，２１を屈伸させることにより足の筋力を鍛えるトレーニング器具１０とする。４つの突出部の内、少なくとも２つの突出部は、突出部の末端に力を印加して弾性部材を屈曲させる際の曲げ弾性の大きさが互いに異なっており、４つの突出部は、支点４０を中心に、十字方向に突出し、支点４０を挟んで対向する２つの突出部同士が、直線上に配置されており、４つの突出部はいずれも、環状構造を有さない。

Description

足用トレーニング器具および足のトレーニング方法

　本発明は、足用トレーニング器具および足のトレーニング方法に関し、さらに詳しくは、足の筋肉により屈曲可能な弾性部材を有する足用トレーニング器具、およびそのような器具を用いた足のトレーニング方法に関するものである。

　従来、腕等の筋力トレーニングには、特許文献１に開示されるような、コイルバネ等の棒状の弾性部材を一部に含むトレーニング器具が用いられてきた。このようなトレーニング器具は、弾性部材の弾性力を負荷として、弾性部材を屈伸させることにより、筋力の増強を図るものである。

　特許文献１のようなトレーニング器具において、トレーニングの負荷の大きさを変えたい場合には、例えば、弾性部材を曲げ弾性率の異なる他の弾性部材に交換すればよいのだが、トレーニング器具は、使用時に大きな荷重がかかるため、その荷重に耐え得る程度に強固な構造である必要があり、多くの場合、トレーニング器具の弾性部材を交換できる構造にはなっていない。また、仮に交換できたとしても、複数の弾性部材を用意する必要があり、負荷の大きさを変えることは容易ではなかった。

　これに対して、特許文献２には、摩擦部材を用い、摩擦部材の押しつけ強さを変化させることで、容易に負荷を変化させることのできるトレーニング器具が開示されている。しかしながら、特許文献２に記載されるトレーニング器具は、特許文献１に記載されるトレーニング器具に比べると、構造が煩雑になってしまっていた。

　また、トレーニング器具として、腕や脚部、体幹部等の筋力を鍛えるものは、特許文献１，２に挙げたものをはじめとして、多様なものが公知であるが、足裏をはじめとして、足の筋力を鍛えるものは、あまり用いられていない。しかし、全身の運動能力の向上や、高齢者の健康維持等において、足の筋肉を鍛えることの重要性に、近年特に注目されている。

特開２０１２－１４８０３８号公報特開昭５４－１５４６３４号公報

　本発明は、上記課題に鑑み、簡易な構造であって、負荷の大きさを容易に変えることのできる足用トレーニング器具、またそのようなトレーニング器具を用いた足のトレーニング方法を提供することを課題とする。

　上記課題を解決するため本発明にかかる足用トレーニング器具は、支点を中心に互いに異なる方向へ突出した４つの突出部を有し、前記４つの突出部は、少なくとも一部に曲げ方向に屈曲可能な弾性部材を有し、前記弾性部材を屈伸させることにより足の筋力を鍛えるトレーニング器具であって、前記４つの突出部の内、少なくとも２つの前記突出部は、前記突出部の末端に力を印加して前記弾性部材を屈曲させる際の曲げ弾性の大きさが互いに異なっており、前記４つの突出部は、前記支点を中心に、十字方向に突出し、前記支点を挟んで対向する２つの前記突出部同士が、直線上に配置されており、前記４つの突出部はいずれも、環状構造を有さない。

　前記弾性部材は、樹脂材料またはゴム材料からなる板状または棒状の部材であることが好ましい。

　前記４つの突出部の内、少なくとも２つの前記突出部は、互いに長さが異なることが好ましい。特に、前記４つの突出部は、すべてが互いに長さが異なることが好ましい。

　前記弾性部材は、樹脂材料またはゴム材料からなる板状または棒状の部材であり、前記４つの突出部の内、少なくとも２つの前記突出部を構成する前記弾性部材の曲げ弾性率または断面積が互いに異なることが好ましい。

　前記突出部の長さが、５～２０ｃｍであることが好ましい。

　前記足用トレーニング器具は、板状の樹脂材料またはゴム材料からなる弾性体層と、前記弾性体層よりも弾性率が小さく、前記弾性体層よりも発泡倍率が大きい樹脂材料またはゴム材料からなり、前記弾性部材の板面の両面にそれぞれに設けられた２層の保護層とを積層してなることが好ましい。

　本発明の第一の足のトレーニング方法は、上記本発明にかかる足用トレーニング器具を床面に置き、前記足用トレーニング器具に足の踵を当接させ、前記突出部の少なくとも１つの末端の端縁に足指を掛けた状態で、該突出部の末端を引き上げて、足裏の筋肉によって前記突出部を屈伸させることで、足裏の筋力を鍛えるものである。

　本発明の第二の足のトレーニング方法は、上記本発明にかかる足用トレーニング器具の前記突出部のいずれか１つを足の隣接する２つの指の間に挟み、前記トレーニング器具に前記足の踵を当接させた状態で、該突出部を引き上げて、足裏の筋肉によって前記突出部を屈伸させることで、足裏の筋力を鍛えるものである。

　本発明によれば、簡易な構造であって、負荷の大きさを容易に変えることのできる足用トレーニング器具を提供することができる。

　本発明にかかる足用トレーニング器具は、支点を中心に、少なくとも一部に曲げ方向に屈曲可能な弾性部材を有する４つの突出部を有する。４つの突出部の内、少なくとも２つの突出部は、突出部の末端に力を印加して弾性部材を屈曲させる際の曲げ弾性の大きさが互いに異なるため、トレーニング時に使用する突出部を選択することにより、容易に負荷の大きさを変えることができる。

　曲げ弾性の大きさとは、突出部を屈曲させる際の曲げやすさを意味し、曲げ弾性が大きい程、曲げにくく、トレーニング負荷が大きい。弾性部材が樹脂材料またはゴム材料からなる板状または棒状の部材からなる場合、弾性部材の曲げ弾性の大きさは、構成材料の曲げ弾性率または断面積を大きくすることにより増大し、長さを短くすることにより増大する。突出部の曲げ弾性の大きさは、突出部を形成する弾性部材の曲げ弾性を大きくすることで増大するし、突出部全体の長さを短くすることでも増大する。すなわち、突出部の長さが互いに異なる構成とすることや、突出部を構成する弾性部材の曲げ弾性率または断面積が互いに異なる構成とすることにより、突出部の曲げ弾性の大きさを変化させることができる。突出部の長さが互いに異なる構成であると、突出部の曲げ弾性の大きさを変化させることが容易である。一方、突出部を構成する弾性部材の曲げ弾性率または断面積が互いに異なる構成であると、各突出部の曲げ弾性の大きさを大きく変化させやすく、負荷の多様性に優れる。なお、弾性部材の曲げ弾性率とは、弾性部材を曲げた際の変位（歪み）と印加した力の大きさから求められる値である。

　突出部の長さを変化させるとは、支点から末端までの突出部全体の長さを変化させればよく、突出部を構成する弾性部材の長さを変化させてもよいし、弾性部材以外の部位の長さを変化させてもよい。突出部全体の長さを変化させたとき、例えば、長い突出部の末端を把持して弾性部材を屈伸させる場合と、短い突出部の末端を把持して弾性部材を屈伸させる場合とでは、梃子の作用により、長い突出部の方が小さな力で屈伸させることができる。すなわち、短い突出部に比べ長い突出部の方が、曲げ弾性が小さく、トレーニングの負荷が小さくなる。また、突出部を構成する弾性部材自体も長さが長いほど、曲げ弾性が小さくなり、トレーニングの負荷が小さくなる。

　特に、４つの突出部を有するトレーニング器具の構造として、支点を中心に十字方向に突出した４つの突出部を有し、支点を挟んで対向する２つの突出部同士が直線上に配置されることにより、トレーニング器具が、足のトレーニングに適したものとなる。特に、４つの突出部のすべてが、互いに長さが異なると、少なくとも４段階の負荷を選択でき、特に好ましい。

　本発明にかかるトレーニング器具は、突出部を足裏の筋肉によって屈伸させ、足裏の筋力を鍛える足用トレーニング器具として適する。足裏の筋力を鍛える方法としては、具体的には、本発明にかかる足のトレーニング方法として挙げているように、トレーニング器具を床面等に置き、トレーニング器具に足の踵を当接させ、突出部の少なくとも１つの末端の端縁に足指を掛けた状態で、突出部の末端を引き上げて、足裏の筋肉によって突出部を屈伸させる方法が考えられる。また、別のトレーニング方法として、足用トレーニング器具の突出部のいずれか１つを足の隣接する２つの指の間に挟み、トレーニング器具に足の踵を当接させた状態で、該突出部を引き上げて、足裏の筋肉によって突出部を屈伸させる方法が考えられる。これらのトレーニング方法を実行することで、横アーチ部や内側縦アーチ部を中心に、足裏の筋肉を効果的に鍛えることができる。

　本発明にかかる足用トレーニング器具は、トレーニングの負荷を選択することができるとともに、多様な使用方法を選択することができ、足裏の筋肉を多様な方法および負荷で鍛えるためのトレーニング器具として、適している。トレーニング器具の突出部に、足指を挿入できるような環状構造が設けられないことにより、トレーニング時に突出部の末端の端縁に足指を掛けて、あるいは足指の間に突出部を挟んで、突出部を屈伸させるように、使用者を促すことができる。その結果、足裏の筋肉、特に各アーチ部の筋肉に、効果的に負荷が印加され、高いトレーニング効率が得られる。

　支点から突出部の末端までの長さが、５～２０ｃｍの範囲内であると足用トレーニング器具として特に好ましい。

　足用トレーニング器具が、板状の樹脂材料またはゴム材料からなる弾性体層と、弾性体層よりも弾性率が小さく、弾性体層よりも発泡倍率が大きい樹脂材料またはゴム材料からなり、弾性部材の板面の両面にそれぞれに設けられた２層の保護層とを積層してなると、保護層を介して足に当接するため、使用時の質感に優れる。弾性体層によるトレーニング効果と、保護層による質感の向上とが、足用トレーニング器具において両立される。

本発明の一施形態にかかる足用トレーニング器具の外観を示す斜視図である。図１の足用トレーニング器具の上面図である。足用トレーニング器具の一の使用の形態を示す概念図である。足用トレーニング器具の他の使用の形態を示す写真である。変形形態にかかるトレーニング器具の外観を示す斜視図である。変形形態にかかるトレーニング器具の使用の形態を示す概念図である。

（足用トレーニング器具の構造）
　本発明の一実施形態にかかる足用トレーニング器具について、図面を参照して詳細に説明する。図１は、本発明の一実施形態にかかる足用トレーニング器具の外観を示す斜視図であり、図２は、その上面図である。本実施形態にかかる足用トレーニング器具（以下、単にトレーニング器具と称する場合がある）は、足のトレーニングを目的として用いられる。

　トレーニング器具１０は、曲げ方向に屈曲可能な弾性部材からなる弾性体層２０が、互いに長さの異なる突出部である第１突出部１１１、第２突出部１１２、第３突出部１２１および第４突出部１２２を、支点４０を中心に同一平面内の十字方向に有するように成形される。第１突出部１１１と第２突出部１１２、第３突出部１２１と第４突出部１２２はそれぞれ支点４０を挟んで直線上に配置されている。第１突出部１１１と第２突出部１１２とを含む直線部分を第１直線部分１１とし、第３突出部１２１と第４突出部１２２とを含む直線部分を第２直線部分１２とすると、支点４０は、第１直線部分１１と第２直線部分１２とが互いに交差する点であって、２つの直線部分が交差することにより、突出部の他の部位よりも屈曲しにくい、または屈曲しない箇所となる。トレーニング器具１０は、弾性部材からなる突出部を屈伸させることにより、筋力を鍛えることができる。

　弾性体層２０は、全体が曲げ方向に屈曲可能な弾性部材よりなる。曲げ方向に屈曲可能な弾性部材としては、例えば、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、その他のエラストマー等の樹脂材料、天然ゴム、ジエン系合成ゴム、非ジエン系合成ゴム等のゴム材料などが好ましい。樹脂材料やゴム材料は、発泡体として用いてもよい。発泡体として用いる場合、発泡倍率を変化させることで、トレーニングの負荷を所望の大きさに調整することが容易である。

　トレーニング器具１０は、弾性体層２０の外周面の一部または全周にクッション性の保護材を有してもよい。本実施形態においては、本体である弾性体層２０の上下面に保護材２１を設けている。保護材２１は、弾性体層２０よりも弾性率の小さい弾性部材よりなることが好ましく、例えば、弾性体層２０と同様の樹脂材料またはゴム材料の発泡倍率を大きくしたものなどを使用することができる。トレーニング器具１０が保護材２１を有すると、トレーニング器具１０を把持する際の質感に優れる。保護材２１の層を弾性体層２０と組み合わせて足用トレーニング器具１０を構成することで、高弾性率を有する弾性体層２０にトレーニング効果を担わせるとともに、保護材２１の層に表面の質感の向上を担わせ、トレーニング効果と質感を両立することができる。

　トレーニング器具１０は、突出部全体が弾性部材からなり、各突出部の長さが互いに異なる。すなわち、突出部を構成する弾性部材の長さおよび、突出部全体の長さが互いに異なる。これにより、長い突出部は、短い突出部に比べ、弾性部材の曲げ弾性が小さくなるとともに、梃子の作用により、曲げやすくなり、トレーニングの負荷が小さい。長さの異なる突出部を使い分けることにより、トレーニングの負荷を選択することができ、負荷の大きさを容易に変えることができる。

　また、トレーニング器具１０は、突出部全体が弾性部材からなることから、使用時に突出部末端ではない一部を把持するなどし、力を印加して使用することもできる。このとき、支点から近い位置に力を印加するとトレーニングの負荷が大きくなり、支点から遠い位置に力を印加するとトレーニングの負荷が小さくなる。

　第１突出部１１１、第２突出部１１２、第３突出部１２１および第４突出部１２２の長さは、すべて異なることが好ましい。第１突出部１１１の長さをＬ_１１１、第２突出部１１２の長さをＬ_１１２、第３突出部１２１の長さをＬ_１２１、第４突出部１２２の長さをＬ_１２２とし、直線上に配置される第１突出部１１１と第２突出部１１２、第３突出部１２１と第４突出部１２２がそれぞれＬ_１１１＞Ｌ_１１２、Ｌ_１２１＞Ｌ_１２２を満たすとき、直線上に配置される突出部の比Ｌ_１１１：Ｌ_１１２およびＬ_１２１：Ｌ_１２２は、３：１～３：２であることが好ましい。すなわち、直線状の第１直線部分１１と第２直線部分１２とが互いに長さ方向の中心ではない点、具体的には、第１直線部分１１および第２直線部分１２の長さ方向に対して３：１～３：２の位置で互いに交差することが好ましい。各突出部の長さがこのような関係であると、第１突出部１１１と第２突出部１１２の間、および第３突出部１２１と第４突出部１２２の間で、相互の長さの差によって、負荷の大きさを十分に変化させることができるとともに、トレーニング器具全体のバランスを著しく損なうこともない。また、上記範囲内であると、負荷の多様性に優れることにより、足用トレーニング器具として特に好ましい。

　第１直線部分１１の長さＬ_１１および第２直線部分１２の長さＬ_１２が、Ｌ_１１＞Ｌ_１２の関係であることが好ましく、長さの比Ｌ_１１／Ｌ_１２＝１．２５～１．５０となることが好ましい。このような範囲内であると、第１直線部分１１と第２直線部分１２の長さの差によって、負荷の大きさを十分に変化させることができるとともに、トレーニング器具全体のバランスを著しく損なうこともない。また、上記範囲内であると、負荷の多様性に優れることにより、足用トレーニング器具として特に好ましい。

　第１突出部１１１、第２突出部１１２、第３突出部１２１および第４突出部１２２の長さは、支点４０から各突出部の末端までが、５～２０ｃｍの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であると足用トレーニング器具として使用しやすい。

　本実施形態にかかるトレーニング器具１０は、各突出部１１１，１１２，１２１，１２２に、足指を挿入可能な環状構造を有さない。足指を挿入可能な環状構造としては、突出部を構成する材料（弾性部材）に形成された穴や、突出部に取り付けられたゴムバンドや紐等を例示することができる。図１に示した形態では、各突出部１１１，１１２，１２１，１２２は、支点４０から外側に直線的に突出した、一定の幅および厚さを有する板状部材あるいは棒状部材として構成されており、環状構造を備えるものではない。

（足のトレーニング方法）
　次に、本発明の実施形態にかかるトレーニング器具１０を用いて、足のトレーニングを行う方法について説明する。

　トレーニング器具１０は、図３に示すように、本体を床面等に置き、いずれかの突出部の末端を把持し、支点４０を中心に突出部を上方向に屈伸させてトレーニングを行うことができる。具体的には、支点４０付近に足の踵を当接させ、突出部の末端の端縁に足指を掛けた状態で、その突出部の末端部を引き上げるようにして、足裏を屈曲させることにより、トレーニングすることができる。足指で突出部の末端を把持し、これを引き上げる運動により、足裏の筋肉を鍛えることができ、特に足の横アーチ周辺のトレーニングに効果的である。本実施形態にかかるトレーニング器具１０は、上記のように使用することに特に適する。また、１つの突出部の末端を足指で把持し、その突出部と対向する突出部上に踵を当接させて、同様のトレーニングを行うこともできる。

　このとき、梃子の作用により、末端までの長さが長い方が小さな力で屈伸させることができ、トレーニングの負荷が小さくなる。一方、末端までの長さが短い突出部の末端を把持して屈伸させると大きな負荷がかかり、トレーニング効果が大きい。すなわち、支点４０から各末端までの長さが、Ｌ_１１１＞Ｌ_１２１＞Ｌ_１１２＞Ｌ_１２２である場合に、トレーニング効果は、第４突出部１２２＞第２突出部１１２＞第３突出部１２１＞第１突出部１１１となる。使用する突出部は、所望の負荷の大きさや、トレーニングの種類、足の大きさによって適宜選択することができ、足用トレーニング器具として優れる。

　本実施形態にかかるトレーニング器具１０によって、足をトレーニングする他の使用方法を図４に示す。例えば、（ａ）突出部のいずれか１つを、足の第１趾および第２趾の間等、２つの隣接する足指の間に挟むようにして使用することもできる。このとき、支点４０付近を把持することが好ましい。トレーニング器具１０をこのように使用すると、足の骨格を矯正するとともに、足裏の筋肉を鍛えることができ、特に内側縦アーチ周辺のトレーニングに効果的である。さらに、この状態で、足の踵をトレーニング器具１０に当接させ、把持した突出部を引き上げるように屈曲させて使用することで、足裏全体の筋肉を鍛えることができるし、トレーニング器具１０を足指で把持した状態で、大腿部の筋肉でトレーニング器具１０を床面から持ち上げるように運動することで、足裏の筋肉と連動する股関節の筋肉を同時に鍛えることもできる。また、（ｂ）突出部の１つを、足裏で踏み、体重をかけて使用することもできる。トレーニング器具１０は、十分にトレーニング効果を得られる弾性部材を有することから、踏みつけた際に、過度に変形することがなく、足裏を十分に刺激することができる。このような使用方法としては、具体的には、突出部を外側縦アーチ後方の立方骨の位置に当接させることにより、立方骨の位置を矯正し、足裏全体の筋肉の活性化につなげることができる。上記のような使用方法においても、本実施形態にかかるトレーニング器具１０は、長さの異なる突出部から使用する突出部を適宜選択することができ、足の活性化を図る種々の使用方法に適する。

　トレーニング器具が、各突出部に、足指を挿入することができる環状構造を有さないことにより、突出部を引き上げるトレーニングを行う際に、図３のように、足指を突出部の末端の端縁に掛けることや、図４（ａ）のように、足指の間に挟むことで、突出部を保持するように、使用者を誘導することになる。このように、足指を突出部の端縁に掛けて曲げた状態、あるいは足指で突出部を挟みこんだ状態を維持したまま、その突出部を引き上げる動作を行う場合には、持ち上げを容易には達成することができず、さらに、横アーチ部や内側縦アーチ部のはじめとする足裏の筋肉に、大きな負荷がかかることになる。その結果、各アーチ部をはじめとする筋肉を効果的に鍛えることができる。もし、足用トレーニング器具が突出部に環状構造を有しており、その環状構造に足指を挿入した状態で、突出部を引き上げるとすれば、環状構造への足指の係止を利用して、足指自体の筋肉や足の甲の筋肉の力によって、突出部の引き上げを容易に達成することができ、足裏の各アーチ部の筋肉を使わなくても、突出部を簡単に引き上げられるため、各アーチ部をはじめ、足裏の筋肉を効果的に鍛えることはできない。

（変形形態にかかるトレーニング器具）
　次に、変形形態にかかるトレーニング器具について説明する。上記足用トレーニング器具１０は、板状の弾性材料により、支点および突出部が一体に形成され、突出部の全体が弾性部材よりなるのに対し、ここで説明する変形形態においては、支点と突出部とが個々に形成された後に接合され、突出部はその一部に弾性部材を有する。上記で説明した足用トレーニング器具１０は、比較的筋力の弱い身体部位である足裏のトレーニングに適するのに対し、本変形形態にかかるトレーニング器具は、比較的筋力の強い、腕等のトレーニングに適する。鍛える部位によって、形態や、弾性部材の材質、全体の大きさ等を適宜選択すればよい。

　図５は、変形形態にかかるトレーニング器具１００の外観を示す斜視図である。トレーニング器具１００は、支点となる中央接続部４００を中心とし、中央接続部４００にそれぞれ長さの異なる弾性部材であるコイルバネが連結されることにより、第１突出部１１１、第２突出部１１２、第３突出部１２１および第４突出部１２２を形成する。第１突出部１１１と第２突出部１１２、第３突出部１２１と第４突出部１２２はそれぞれ中央接続部４００を挟んで直線上に配置され、先に説明した実施形態にかかる足用トレーニング器具１０と同様に、第１直線部分１１および第２直線部分１２を形成する。各コイルバネの先端には、金属パイプを介して、保護材であるグリップ４１０が形成され、使用時には、グリップ４１０を把持して使用することができる。

　中央接続部４００は、円筒状のパイプを四又に組み合わせた形状の金属部材であり、先端にコイルバネが接合される。中央接続部４００とコイルバネとの接続部には、使用時に大きな負荷がかかるため、負荷に耐え得る程度に強固に接合されることが好ましい。

　中央接続部４００に接合されるコイルバネについて、それぞれ第１コイルバネ３１１は第１突出部１１１を形成し、第２コイルバネ３１２は第２突出部１１２を形成し、第３コイルバネ３２１は第３突出部１２１を形成し、第４コイルバネ３２２は第４突出部１２２を形成する。

　第１突出部１１１、第２突出部１１２、第３突出部１２１および第４突出部１２２は、互いに長さが異なる。突出部の長さは、支点から末端までの突出部全体の長さが互いに異なればよく、各突出部において、突出部を構成するコイルバネの長さを変化させてもよいし、弾性部材以外の部位、例えば、コイルバネとグリップ４１０の間に位置する金属パイプの長さを変化させてもよい。突出部全体の長さを変化させると、梃子の作用により、突出部の長さに応じて、曲げやすさ、すなわち曲げ弾性の大きさが変化する。また、コイルバネの長さが変化することで、コイルバネ自体の曲げやすさ、すなわち曲げ弾性も変化し、トレーニングの負荷の多様性に優れる。

　本変形形態にかかるトレーニング器具１００の使用方法を図６に示す。なお、図６においては、トレーニング器具１００の中央接続部４００、各コイルバネ等の詳細な構造は省略し、単に十字方向に突出した突出部の概念のみを示す。トレーニング器具１００の使用方法としては、例えば、（ａ）第１直線部分１１の両末端、すなわち第１突出部１１１と第２突出部１１２の末端を把持し、末端同士が互いに近接するようにトレーニング器具１０を屈伸させる方法や、（ｂ）第２直線部分１２の両末端、すなわち第３突出部１２１と第４突出部１２２の末端を把持し、末端同士が互いに近接するようにトレーニング器具１０を屈伸させる方法が挙げられる。この場合、各末端間の長さが短いほど負荷が大きく、トレーニング効果はｂ＞ａとなる。なお、先に説明した実施形態にかかる足用トレーニング器具１０において、図３または図４（ａ）のように使用するとき、１つの突出部を足指で把持し、その突出部と対向する突出部上に踵を当接させて使用する場合にも、上記のように、全体の長さの短い直線部分を用いるとトレーニングの負荷が大きくなる。トレーニング器具１００は、互いに正対しない突出部同士を把持して用いることもでき、（ｃ）第１突出部１１１と第３突出部１２１の末端、（ｄ）第２突出部１１２と第３突出部１２１の末端、（ｅ）第２突出部１１２と第４突出部１２２の末端、（ｆ）第１突出部１１１と第４突出部１２２の末端をそれぞれ把持し、各末端同士が互いに近接するように屈伸させることもできる。中央接続部４００から各末端までの長さが、Ｌ_１１１＞Ｌ_１２１＞Ｌ_１１２＞Ｌ_１２２であるとき、負荷の大きさは、ｅ＞ｄ＞ｆ＞ｃの順となる。

　本変形形態にかかるトレーニング器具１００は、グリップ４１０を手で把持して使用するのに適しており、上記のように、いずれか２点のグリップ４１０を把持し、トレーニング器具１００を曲げ方向に屈伸させることにより、足よりも大きな力を印加可能な腕部や胸部、背中等の筋力を増強するトレーニングに適する。このとき、各突出部の長さは、１５～６０ｃｍとするとよい。

（その他の形態）
　ここまで、足用トレーニング器具１０および変形形態にかかるトレーニング器具１００として、各突出部の長さを変化させることにより、曲げ弾性の大きさを変化させる形態について説明したが、トレーニング器具において、各突出部を構成する弾性部材の曲げ弾性率または断面積を変化させることによって、突出部の曲げ弾性の大きさを変化させてもよい。突出部を構成する弾性部材は、曲げ弾性率が大きい程、曲げ弾性の大きさが大きくなり、断面積が大きい程、曲げ弾性の大きさが大きくなる。このようなトレーニング器具としては、具体的には、図１に示す足用トレーニング器具１０のように、一体に形成された弾性部材において、各突出部の幅方向または厚さ方向の長さを変化させた構造や、図５に示すトレーニング器具１００のように、支点に複数の弾性部材が接続される形態において、中央接続部４００に接続されるコイルバネに、互いに曲げ弾性率の異なるコイルバネを用いた構造などが挙げられる。このとき、各突出部の長さは、同じでもよいし、互いに異なってもよい。各突出部の長さが同じ場合、弾性部材の曲げ弾性率または断面積のみによって、曲げ弾性の大きさを変化させることができ、所望のトレーニング負荷を得やすい。突出部を構成する弾性部材の曲げ弾性率または断面積を変化させることによって、各突出部の曲げ弾性の大きさを変化させると、各突出部の曲げ弾性の大きさを大きく変化させやすく、負荷の多様性に優れる。

　また、ここまで、足用トレーニング器具１０および変形形態にかかるトレーニング器具１００として、それぞれ、４つの曲げ弾性の大きさの異なる突出部を有するトレーニング器具を示したが、突出部の数は特に限定されず、少なくとも２つの曲げ弾性率の異なる突出部を有すればよい。トレーニング器具が２つの突出部のみからなる場合、支点を形成しやすいなどの観点から、２つの突出部は、直線上に配置されないことが好ましい。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

Claims

　支点を中心に互いに異なる方向へ突出した４つの突出部を有し、
　前記４つの突出部は、少なくとも一部に曲げ方向に屈曲可能な弾性部材を有し、前記弾性部材を屈伸させることにより足の筋力を鍛えるトレーニング器具であって、
　前記４つの突出部の内、少なくとも２つの前記突出部は、前記突出部の末端に力を印加して前記弾性部材を屈曲させる際の曲げ弾性の大きさが互いに異なっており、
　前記４つの突出部は、前記支点を中心に、十字方向に突出し、前記支点を挟んで対向する２つの前記突出部同士が、直線上に配置されており、
　前記４つの突出部はいずれも、環状構造を有さないことを特徴とする足用トレーニング器具。
　前記弾性部材は、樹脂材料またはゴム材料からなる板状または棒状の部材であることを特徴とする請求項１に記載の足用トレーニング器具。
　前記４つの突出部の内、少なくとも２つの前記突出部は、互いに長さが異なることを特徴とする請求項１または２に記載の足用トレーニング器具。
　前記４つの突出部は、すべてが互いに長さが異なることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の足用トレーニング器具。
　前記弾性部材は、樹脂材料またはゴム材料からなる板状または棒状の部材であり、
　前記４つの突出部の内、少なくとも２つの前記突出部を構成する前記弾性部材の曲げ弾性率または断面積が互いに異なることを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の足用トレーニング器具。
　前記突出部の長さが、５～２０ｃｍであることを特徴とする請求項１から５のいずれか１項に記載の足用トレーニング器具。
　板状の樹脂材料またはゴム材料からなる弾性体層と、
　前記弾性体層よりも弾性率が小さく、前記弾性体層よりも発泡倍率が大きい樹脂材料またはゴム材料からなり、前記弾性部材の板面の両面にそれぞれに設けられた２層の保護層とを積層してなることを特徴とする請求項１から６のいずれか１項に記載の足用トレーニング器具。
　請求項１から７のいずれか１項に記載の足用トレーニング器具を床面に置き、前記足用トレーニング器具に足の踵を当接させ、前記突出部の少なくとも１つの末端の端縁に足指を掛けた状態で、該突出部の末端を引き上げて、足裏の筋肉によって前記突出部を屈伸させることで、足裏の筋力を鍛えることを特徴とする足のトレーニング方法。
　請求項１から７のいずれか１項に記載の足用トレーニング器具の前記突出部のいずれか１つを足の隣接する２つの指の間に挟み、前記トレーニング器具に前記足の踵を当接させた状態で、該突出部を引き上げて、足裏の筋肉によって前記突出部を屈伸させることで、足裏の筋力を鍛えることを特徴とする足のトレーニング方法。