WO2020158840A1 - 抗がん剤 - Google Patents

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泰斗 西野
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日産化学株式会社
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Abstract

新規のがん治療手段の提供。下記、式(I)で示される化合物またはその塩を含む、抗がん剤:{式中、各記号は明細書中で定義される通りである。}。

Description

抗がん剤
 本発明は、新規のがん治療剤およびそれを用いたがんの治療方法に関する。
 がんは、主要な死因として世界中の人々の健康を脅かしている。がんを治療するための重要な方法の一つとして、抗がん剤を用いた化学療法が挙げられる。化学療法は有効な治療手段の一つとして、多くのがん種の治療において採用されている。しかしながら、化学療法によりあらゆる種のがんが治療できるわけではない。また、化学療法を用いることができるがん種の場合に、既存の化学療法の治療効果が十分とは言い難い。従って、適用し得るがん種が拡張され、及び/又は、より高い腫瘍退縮効果を有する、新規抗がん剤の開発が強く求められている(非特許文献1)。
Kumar S et al, Med. Chem. 2015 5 (3):115-123
 本発明は、がん治療の新規手段を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、特定の化合物の投与が、マウスに移植されたがん細胞の体積を減少させ得ることを見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]下記、式(I)で示される化合物またはその塩を含む、抗がん剤:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
{式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、YおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2の整数である。}。
[2]Rが、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
 nが0であり、
 Arが、それぞれハロゲノ基、水酸基またはメチル基で置換されていてもよいフェニル基またはピリジル基であり、
 Yが、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいメチレン基である、
[1]記載の剤。
[3]式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物またはその塩である、[1]又は[2]記載の剤。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
[4]式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物またはその塩である、[1]記載の剤。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
[5]がんが、乳がんまたは肉腫である、[1]~[4]のいずれかに記載の剤。
[6]有効量の下記式(I)で示される化合物またはその塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんの治療方法:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
{式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、YおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2の整数である。}。
[7]フェロトーシス誘導剤との併用を特徴とする[6]記載の方法。
 本発明はまた、以下の通りである。
[1A]下記、式(I)で示される化合物またはその塩を含む、抗がん剤:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
{式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2である。}。
[2A]Rが、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
 nが0であり、
 Arが、水酸基またはメチル基で置換されていてもよいフェニル基であり、
 Yが、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいメチレン基である、
[1A]記載の剤。
[3A]式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物である、[1A]又は[2A]記載の剤。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
[4A]式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物である、[1A]記載の剤。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
[5A]がんが、乳がんである、[1A]~[4A]のいずれかに記載の剤。
[6A]有効量の下記式(I)で示される化合物またはその塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんの治療方法:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
{式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、Y、およびZは、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2である。}。
 本発明によれば、腫瘍或いはがん細胞の増殖を効率的に抑制することができる。従って、本発明によれば、がんを治療することができる。
 本明細書において使用する用語を以下に定義する。
 本明細書において、n-はノルマル、i-はイソ、sec-はセカンダリー及びtert-はターシャリーを各々意味する。また、本明細書において、o-はオルト、m-はメタ及びp-はパラを各々意味する。
 「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。「ハロゲノ基」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードである。
 「炭素数1~6のアルキル基」とは、炭素数1~6の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等の基が挙げられる。かかるアルキル基としては、炭素数1~4の低級アルキル基、特にメチル基及びエチル基が好ましい。
 「アリール基」とは、少なくとも1つの環が芳香族であり、各環が5~8の環原子を有する単環式、二環式、三環式および四環式炭素環式基が挙げられ、具体的には、フェニル、インデニル、ナフチル、フルオレニル等が挙げられる。特に、アリール基は、C6-10の芳香族のフェニル、インデニル、ナフチルであり得る。
 「ヘテロアリール基」とは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を1~3原子単独若しくは組み合わせて含むことができる5~7員環までのC2-6単環式複素環基及び構成原子数が8~10までのC5-9縮合二環式複素環基を意味し、窒素原子を含む場合はN-オキシド体も含む。
 「炭素数1~6のアルキレン基」とは、炭素数1~6の直鎖の炭素鎖を意味し、具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の基が挙げられる。
 「炭素数1~6のアルキル基」、「アリール基」、「ヘテロアリール基」及び「炭素数1~6のアルキレン基」は、それぞれ置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば以下が挙げられる。尚、「炭素数1~6のアルキル基」に対する置換基としては下記(1)~(40)が挙げられ、「アリール基」、「ヘテロアリール基」及び「炭素数1~6のアルキレン基」に対する置換基としては下記(1)~(41)が挙げられる。
(1)ハロゲノ基、
(2)水酸基、
(3)シアノ基、
(4)ニトロ基、
(5)カルボキシル基、
(6)アルケニル基(C2-10アルケニル基;例、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニル、ヘプテニル、ブタジエニル、ヘキサトリエニル、およびその各異性体)、
(7)アルキニル基(C2-10アルキニル基;例、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、および、その各異性体)、
(8)ハロゲノアルキル基(例、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、およびその各異性体)、
(9)環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでもよい)(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル)、
(10)アリール基(例、フェニル、ナフチル)、
(11)ヘテロアリール基(例、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フリル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(例、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル)、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾイミダゾリル)、
(12)アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、3-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ)、
(13)アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、イソペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、2-ペンチルチオ、3-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、2-ヘキシルチオ)、
(14)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(15)アリール基(上記(10)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(16)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(17)ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換された、アルキルチオ基(上記(13)と同義)、
(18)環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでもよい)オキシ基(例、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、アジリジニルオキシ、アゼチジニルオキシ、ピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ、モルホリニルオキシ)、
(19)アリールオキシ基(例、アリール基(上記(10)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(20)ヘテロアリールオキシ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(21)ハロゲノアルコキシ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が酸素原子に結合した基)、
(22)ハロゲノアルキルチオ基(例、ハロゲノアルキル基(上記(8)と同義)が硫黄原子に結合した基)、
(23)水酸基で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(24)アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換された、アルコキシ基(上記(12)と同義)、
(25)アミノ基、
(26)アルキル基でモノまたはジ置換されたアミノ基、
 ここで、「アルキル基」とは、C1-6アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等が挙げられる。
(27)カルバモイル基、
(28)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル)、
(29)スルファモイル基、
(30)アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)でモノまたはジ置換されたスルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、エチルメチルスルファモイル)、
(31)アルカノイル基(例、水素原子若しくはアルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(32)アロイル基(例、アリール基(上記(10)と同義)が炭素原子に結合したカルボニル基)、
(33)アルキルスルホニルアミノ基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(34)アリールスルホニルアミノ基(例、アリール基(上記(10)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(35)へテロアリールスルホニルアミノ基(例、ヘテロアリール基(上記(11)と同義)で置換されたスルホニルアミノ基)、
(36)アシルアミノ基(例、アシル基で置換されたアミノ基)、
 ここで、「アシル基」とは、C1-6アルキル基、またはC6-10アリール基を有するアシル基である。ここで、「C1-6アルキル基」とは、上記「アルキル基」のうち、炭素数が1~6のものであり、「C6-10アリール基」とは、上記「アリール基」のうち、炭素数が6~10のものである。アシル基としては、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、バレロイル基、イソバレロイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
(37)アルコキシカルボニルアミノ基(例、アルコキシ基(上記(12)と同義)で置換されたカルボニルアミノ基)、
(38)アルキルスルホニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルホニル基)、
(39)アルキルスルフィニル基(例、アルキル基(上記(26)における「アルキル基」と同義)で置換されたスルフィニル基)、
(40)アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、
(41)アルキル基(C1-6アルキル基;例、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシル等)等が挙げられる。
 置換基が2以上存在する場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
 本発明において用いられる特定化合物は、下記式(I)に示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
{式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、YおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2の整数である。}で表される化合物、またはその塩である(以下、式(I)で示される化合物またはその塩を総称して、単に「本発明に用いられる特定化合物」等と称する場合がある)。
 式(I)で示される化合物は、塩の形態であってもよい。前記式(I)で表される化合物の塩としては、例えば、塩酸及び臭化水素酸等の無機酸との塩ならびに酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸及び安息香酸等の有機酸との塩が挙げられる。これらの塩は、自体公知の方法によって製造される。
 式(I)で示される化合物は、置換基の種類によってはEの立体配置を有するE体及びZの立体配置を有するZ体の幾何異性体が存在する場合がある。本発明はこれらE体、Z体またはE体およびZ体を任意の割合で含む混合物を包含するものである。
 また、式(I)で示される化合物は、1個又は2個以上の不斉炭素原子の存在に起因する光学活性体が存在する場合があるが、式(I)で示される化合物は全ての光学活性体又はラセミ体を包含する。
[式(I)で示される化合物の合成]
 式(I)で示される化合物は、下記式で表されるように、ケトン化合物とHN-X-R(式中、X及びRは前記の意味を表し、例えば、ヒドラジド化合物、セミカルバジド化合物等)、それぞれを1当量ずつ用い、トルエン、1,4-ジオキサン、N、N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒中、100℃以上の温度範囲で、1時間から3日間反応を行なうのが好ましい。
[反応式1]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
 反応終了後の反応混合物は、蒸留水を加えて析出させる、又は析出しない場合は、有機溶媒抽出後濃縮といった通常の後処理を行なうことで、目的の化合物を得ることができる。また、精製の必要が生じたときには、再結晶、カラムクロマトグラフ、薄層クロマトグラフ、液体クロマトグラフ分取等の任意の精製方法によって分離、精製することができる。また、式(I)で示される化合物のうち、1個又は2個以上の不斉炭素原子の存在に起因する光学活性体が存在する場合、例えば、光学活性体の原料を用いて前記合成例に準じた方法により合成するか、当該化合物のラセミ体より、キラルカラムを用いた液体クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー等による光学分割を行うことにより、光学活性体を得ることができる。
[1.抗がん剤]
 本発明は、下記、式(I)で示される化合物またはその塩を含む、抗がん剤(以下、「本発明の抗がん剤」等と称することがある)を提供する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
{式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、YおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2の整数である。}。
 一態様において、Yが、単結合である場合は、Zは、置換基を有していてもよいアルキレン基(より好ましくは、置換基を有していないアルキレン基、特に好ましくは、メチレン基)であり、Arは置換基(より好ましくは、ハロゲン原子、メチル基、水酸基、またはメトキシ基)を有していてもよいアリール基(より好ましくは、水酸基を有するアリール基または置換基を有していないアリール基、特に好ましくはフェニル基または水酸基を有するフェニル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキル基、特に好ましくは、エチル基)であり、nは、0、1または2の整数であり、好ましくは、nは0である。
 また、Yが、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基(より好ましくは、置換基を有している炭素数1~6のアルキレン基、特に好ましくは、メチル基またはエチル基で置換されたメチレン基)である場合は、Zは、単結合であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基(より好ましくは、置換基を有しているアリール基、特に好ましくは、ハロゲノ基、メチル基、水酸基もしくはエトキシ基を有する、フェニル基またはナフチル基)または置換基を有していてもよいヘテロアリール基(より好ましくは、置換基を有しているヘテロアリール基、特に好ましくは、ハロゲノ基、メチル基、水酸基もしくはエトキシ基を有するピリジル基)であり、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(より好ましくは、置換基を有していない炭素数1~6のアルキル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基、またはイソブチル基)であり、nは、0、1または2の整数であり、好ましくは、nは0である。
 本発明の別の好ましい態様において、式(I)で示される化合物は以下の通りである。
 (A)
 Xが-NHCO-であり;
 Rが-Y-NH-Z-Arであり;
 YおよびZが、それぞれ独立して、単結合、またはC1-6アルキル基(例、メチル、エチル)から選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基(例、メチレン)であり;
 Arが、ハロゲン原子(例、フッ素原子)および水酸基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基(例、フェニル)またはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子)から選ばれる置換基を有していてもよいヘテロアリール基(例、ピリジル)であり;
 Rが炭素数1~6のアルキル基(例、エチル)であり;
 Rが水酸基であり;
 nが0である;
式(I)で示される化合物。
 (B)
 Xが-NHCO-であり;
 Rが-Y-NH-Z-Arであり;
 YがC1-6アルキル基(例、メチル、エチル)から選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基(例、メチレン)であり;
 Zが単結合であり;
 Arが、水酸基を有していてもよいアリール基(例、フェニル)またはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子)から選ばれる置換基を有していてもよいヘテロアリール基(例、ピリジル)であり;
 Rが炭素数1~6のアルキル基(例、エチル)であり;
 Rが水酸基であり;
 nが0である;
式(I)で示される化合物。
 (C)
 Xが-NHCO-であり;
 Rが-Y-NH-Z-Arであり;
 Yが単結合であり;
 Zが炭素数1~6のアルキレン基(例、メチレン)であり;
 Arが、ハロゲン原子(例、フッ素原子)および水酸基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基(例、フェニル)であり;
 Rが炭素数1~6のアルキル基(例、エチル)であり;
 Rが水酸基であり;
 nが0である;
式(I)で示される化合物。
 好ましい一態様において、本発明に用いられる特定化合物は、以下のいずれかの化合物であり得る。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000036
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000038
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000039
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
または、
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000041
 本発明の抗がん剤の適用対象は、がんを罹患する可能性のある動物であれば特に限定されないが、本発明の抗がん剤の適用対象は通常哺乳動物であり、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、マウス、ラット等が例示される。好ましくは、本発明の抗がん剤の適用対象はヒトである。
 本発明の抗がん剤は、提供時あるいは保存時に任意の形状であり得る。本発明の抗がん剤は、固形状、液体状、及びゲル状等の形状であり得る。本発明の抗がん剤は、通常錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤などの経口投与剤、直腸投与剤、経皮吸収剤あるいは注射剤として投与できる。本剤は1個の治療薬として、あるいはほかの治療薬との混合物として投与できる。それらは単体で投与してもよいが、一般的には医薬組成物の形態で投与する。それらの製剤は、薬理的、製剤学的に許容しうる添加物を加え、常法により製造することができる。すなわち、経口剤には通常の賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、可塑剤、コーティング剤などの添加物を使用することができる。経口用液剤は、水性または油性懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、エリキシルなどの形態であってもよく、あるいは使用前に水またはほかの適当な溶媒で調製するドライシロップとして供されてもよい。前記の液剤は、懸濁化剤、香料、希釈剤あるいは乳化剤のような通常の添加剤を含むことができる。直腸内投与する場合は座剤として投与することができる。座剤はカカオ脂、ラウリン脂、マクロゴール、グリセロゼラチン、ウィテップゾール、ステアリン酸ナトリウムまたはそれらの混合物など、適当な物質を基剤として用い、必要に応じて乳化剤、懸濁化剤、保存剤などを加えることができる。注射剤は、水性剤形あるいは用時溶解型剤形を形成するために、注射用蒸留水、生理食塩水、5%ブドウ糖溶液、プロピレングリコールなどの溶解剤ないし溶解補助剤、pH調節剤、等張化剤、安定化剤などの製剤成分が使用される。以下に、本発明の抗がん剤の製剤例およびその調製方法を例示するが、これらに限定されるものではない。
製剤例1
 以下の成分を含有する顆粒剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物   10mg
          乳糖  700mg
     コーンスターチ  274mg
       HPC-L   16mg
           計 1000mg
 式(I)で表される化合物と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらをV型混合機にて混合する。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)水溶液を添加し、練合、造粒(押し出し造粒 孔径0.5~1mm)した後、乾燥する。得られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ)で篩過し顆粒剤を得る。
製剤例2
 以下の成分を含有するカプセル充填用散剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物   10mg
          乳糖   79mg
     コーンスターチ   10mg
ステアリン酸マグネシウム    1mg
           計  100mg
 式(I)で表される化合物と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらとステアリン酸マグネシウムをV型混合機にて混合する。10倍散100mgを5号硬ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例3
 以下の成分を含有するカプセル充填用顆粒剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物   15mg
          乳糖   90mg
     コーンスターチ   42mg
       HPC-L    3mg
           計  150mg
 式(I)で表される化合物と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらをV型混合機にて混合する。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)水溶液を添加し、練合、造粒した後、乾燥する。得られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ)で篩過し整粒し、その150mgを4号硬ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例4
 以下の成分を含有する錠剤を製造する。
成分
式(I)で表される化合物   10mg
          乳糖   90mg
    微結晶セルロース   30mg
ステアリン酸マグネシウム    5mg
         CMC-Na   15mg
           計  150mg
 式(I)で表される化合物と乳糖と微結晶セルロース、CMC-Na(カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩)を60メッシュのふるいに通し、混合する。混合末にステアリン酸マグネシウムを添加し、製剤用混合末を得る。本混合末を直打し錠剤を得る。
製剤例5
 静脈用製剤は次のように製造する。
式(I)で表される化合物   100mg
  飽和脂肪酸グリセリド  1000mL
 式(I)で表される化合物を飽和脂肪酸グリセリドに添加し、静脈用製剤を得る。上記成分の溶液は通常、1分間に1mLの速度で患者に静脈内投与される。
 本発明の抗がん剤をヒトに投与する場合は、その投与量を患者の年齢、性別、状態により決定するが、通常成人の場合は、一般に、1日当たり、患者の体重1kg当たり有効成分が約0.01mgから約500mgとなるように投与される。投与は、単回投与又は複数回投与であり得る。好ましくは、有効成分の投与量は、1日当たり約0.1mg/kgから約250mg/kg、さらに好ましくは1日当たり約0.5mg/kgから約100mg/kgである。一態様において、有効成分の投与量は、1日当たり約0.01mg/kgから約250mg/kg、1日当たり約0.05mg/kgから約100mg/kg、又は1日当たり約0.1mg/kgから約50mg/kgとすることができる。この範囲内において、有効成分の投与量は1日当たり0.05mg/kgから0.5mg/kg、0.5mg/kgから5mg/kg、又は5mg/kgから50mg/kgであってもよい。治療対象の患者の症状を調節するために、経口投与において、有効成分を1mgから1000mg、特に1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、600mg、750mg、800mg、900mg、又は1000mgの用量で含有する製剤を提供することができる。本発明の抗がん剤は、1日当たり1から4回の計画、好ましくは1日当たり1回又は2回の計画で投与可能である。これらの数値はあくまでも例示であり、投与量は患者の症状にあわせて決定されるものである。
 また、本発明の抗がん剤は既存の抗がん剤と組み合わせて投与し、その抗がん効果を強化することができる。既存の抗がん剤の例としては、フェロトーシス誘導剤が挙げられ、その例としては、スルファサラジン、エラスチン、Imidazole ketone erastin(IKE)、シンバスタチン、アルテスナート、ソラフェニブなどが挙げられる。
 加溶媒分解によりまたは生理的条件下のインビボにおいて本発明の薬理学的に活性な化合物を生成する、化学的または代謝的に分解できる基を有する本発明に用いられる特定化合物の誘導体を、プロドラッグとして利用し得る。適当なプロドラッグを選択する方法および製造する方法は、例えばDesign of Prodrugs(Elsevier,Amsterdam 1985)に記載されている。本発明において、水酸基を有する化合物である場合は、該化合物と適当なアシルハライドまたは適当な酸無水物とを反応させることによって得られるアシルオキシ誘導体がプロドラッグとして例示される。プロドラッグとして特に好ましいアシルオキシとしては-OCOC、-OCO(t-Bu)、-OCOC1531、-OCO(m-CONa-Ph)、-OCOCHCHCONa、-OCOCH(NH)CH、-OCOCHN(CHなどが挙げられる。本発明を形成する化合物がアミノ基を有する場合は、アミノ基を有する化合物と適当な酸ハロゲン化物または適当な混合酸無水物とを反応させることにより製造されるアミド誘導体がプロドラッグとして例示される。プロドラッグとして特に好ましいアミドとしては、-NHCO(CH20OCH、-NHCOCH(NH)CH等が挙げられる。
 本発明の抗がん剤が適用され得るがん種としては、膀胱がん、乳がん、大腸がん、結腸がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、頭部および頸部のがん、食道がん、胆嚢がん、卵巣がん、卵管がん、膵臓がん、胃がん、子宮頚がん、甲状腺がん、前立腺がん、扁平上皮がんを含む皮膚のがん、線維肉腫、横紋筋肉腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、神経鞘腫、黒色腫、ブドウ膜メラノーマ、眼メラノーマ、転移性脳腫瘍、精上皮腫、泌尿生殖器腫瘍、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞状癌、カポジ肉腫等の固形がんが挙げられる。一態様において、がんは乳がん、肉腫であり得る。
[2.がんの治療方法]
 本発明はまた、有効量の下記式(I)で示される化合物またはその塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんの治療方法(以下、「本発明の方法」と称することがある)を提供する:
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000042
 本発明の方法における、式(I)で示される化合物、治療対象、投与量、投与経路、投与回数、適用し得るがん種等は、[1.抗がん剤]に記載したものと同様である。
 以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[化合物の合成例]
 本明細書において2’,4’-ジヒドロキシ-3’-メチルプロピオフェノン(「k-1」とも称することがある。)のケトンについては自体公知の方法により合成が可能である(Sum TH et al., Tetrahedron. 2015 Jul 1;71(26-27): 4557-4564.)。また、2-(フェニルアミノ)アセトヒドラジド(「H-1」とも称することがある。)のヒドラジンも、自体公知の方法により合成が可能である(Samal RP et al., Chem Biol Drug Des. 2013 Jun;81(6):715-29.)。
[合成例1]k-1:B-1の合成法
 2-ブロモプロピオン酸メチル(500mg、3.0mmol)をDMSO(6mL)に溶解させ、アニリン(0.36mL、3.9mmol)、炭酸カリウム(0.54g、3.9mmol)を加えて室温で21時間撹拌した。酢酸エチル(30mL)、水(50mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水(30mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=2/98~15/85)で精製し、N-フェニルアラニン メチル エステル(110)(343mg、1.91mmol、収率64%)を薄黄色液体として得た。
 上記のようにして得られた110(340mg、1.9mmol)をメタノール(3.8mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(0.18mL、3.8mmol)を加えて60℃で24時間撹拌した。ヒドラジン一水和物(0.36mL、7.4mmol)を追加して60℃で更に17時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=0/100~20/80)で精製し、2-(フェニルアミノ)プロパンヒドラジド(111)(321mg、1.79mmol、収率94%)を白色固体として得た。
 上記のようにして得られた111(168mg、0.937mmol)、2’,4’-ジヒドロキシ-3’-メチルプロピオフェノン(k-1)(130mg、0.72mmol)をDMSO(1.4mL)に溶解させ100℃で19時間撹拌した。放冷後、蒸留水(15mL)を加え、析出した固体をろ取、乾燥して得られた黄色固体を塩化メチレンで懸濁洗浄後、減圧下乾燥し、k-1:B-1(173mg、0.507mmol、収率70%)を薄黄色固体として得た。
[合成例2]k-1:J-1の合成法
 氷冷したTHF(10mL)に水素化アルミニウム(1.0g、26mmol)、3-シアノフェノール(0.63g、5.3mmol)を順次加え、室温で1.5時間、60℃で3.5時間撹拌した。放冷後、水素化アルミニウム(1.0g、26mmol)、THF(10mL)を追加して60℃で更に16時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、水(1.5mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)、水(4.5mL)を順次加えて室温で3時間撹拌した。懸濁溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(アミンシリカゲル10g、メタノール/塩化メチレン=0/100~8/92)にて精製した。得られた固体をIPEで懸濁洗浄後、減圧下乾燥し、3-(アミノメチル)フェノール(149)(477mg、3.87mmol、収率73%)を白色固体として得た。
 上記のようにして得られた149(200mg、1.6mmol)を塩化メチレン(2mL)、水(2mL)に溶解させ、炭酸水素ナトリウム(0.27g、3.2mmol)を加えて氷冷下クロロギ酸フェニル(136)(0.22mL、1.7mmol)をゆっくり滴下した。室温で20時間撹拌し、酢酸エチル(20mL)、水(20mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/ヘキサン=5/95~35/65)にて精製しフェニル (3-ヒドロキシベンジル)カーバメート(150)(369mg、1.52mmol、収率95%)を無色液体として得た。
 上記のようにして得られた150(365mg、1.50mmol)をアセトニトリル(3.8mL)に懸濁させ、ヒドラジン一水和物(0.18mL、3.8mmol)を加えて室温で2.5時間、ヒドラジン一水和物(0.18mL、3.8mmol)を追加して55℃で更に20時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、得られた固体をIPE/塩化メチレン(3/1)で懸濁洗浄後、減圧下乾燥し、N-(3-ヒドロキシベンジル)ヒドラジンカルボキシアミド(151)(233mg、1.29mmol、収率86%)を白色固体として得た。
 上記のようにして得られた151(130mg、0.72mmol)、2’,4’-ジヒドロキシ-3’-メチルプロピオフェノン(k-1)(100mg、0.55mmol)をDMSO(1.1mL)に溶解させ100℃で15時間撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=10/90~55/45)にて精製した。得られた精製物に水を加えて析出した固体をろ取後、減圧下乾燥し、k-1:J-1(102mg、0.297mmol、収率54%)を白色固体として得た。
[合成例3]GA-002Aの合成法
 前述の合成例1で合成したk-1:B-1(ラセミ体)を下記分取条件に従ってWaters社製超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)にて光学分割を行い、エナンチオマーを取得した。本エナンチオマーの比旋光度は、旋光度計P-1020(日本分光社製)を用いて測定した。また、エナンチオマーの立体配置(R体、S体)は、X線結晶構造解析によって決定した。
化合物GA-002A(k-1:B-1の左旋性エナンチオマー);保持時間11.95分、分取量475.1mg、光学純度99.9ee%、純度99.0%、比旋光度[α]22D -10.5(c=0.1019、エタノール)、立体配置R体
<分取条件>
 カラム:CHIRALPAK IA<ダイセル社製、20*250mm、5μm>、弱溶媒:CO(70%)、強溶媒:MeOH(30%)、カラム温度:40℃、総チャージ量:1g、流速:15mL/分
[合成例4]GA-005Aの合成
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
(式中、Bnはベンジル基を示す)
 D-アラニンメチル塩酸塩(157)(1.40g、10.0mmol)、3-ベンジルオキシフェニルボロン酸(158)(3.43g、15.1mmol)、酢酸銅(II)一水和物(3.00g、15.1mmol)、モレキュラーシーブ4A(MS4A;20g)を塩化メチレン(200mL)に懸濁させ、トリエチルアミン(4.17mL、30.1mmol)を加えて酸素雰囲気下室温で23時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を半分まで減圧下濃縮、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を加えて分液した。有機層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮した。得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=1/99~10/90)にて精製し、159(595mg、2.09mmol、収率21%)を黄色液体として得た。
 上記のようにして得られた159(595mg、2.09mmol)をメタノール(21mL)に溶解させ、パラジウム炭素エチレンジアミン複合体(241mg)を加えて水素雰囲気下、室温で3.5時間撹拌した。パラジウム炭素をろ別し、ろ液を減圧下濃縮して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル30g、酢酸エチル/ヘキサン=10/90~30/70)にて精製し、160(413mg、2.12mmol、quant.)を黄色液体として得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000044
 上記のようにして得られた160(413mg、2.12mmol)をメタノール(4.2mL)に溶解させ、ヒドラジン一水和物(1.0mL、21mmol)を加えて60℃で3.5時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮、トルエン共沸して得られた残渣を中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、メタノール/塩化メチレン=1/99~10/90)にて精製し、161(391mg、2.00mmol、収率95%)を褐色アモルファスとして得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000045
 上記のようにして得られた161(72mg、0.37mmol)、2’,4’-ジヒドロキシ-3’-メチルプロピオフェノン(100)(60mg、0.33mmol)をDMSO(0.67mL)に溶解させ100℃で3日撹拌した。放冷後、反応溶液をそのまま中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル/塩化メチレン=5/95~50/50)にて精製し、得られた精製物を蒸留水、イソプロピルアルコール(IPA)/ヘキサン、蒸留水で順次懸濁洗浄して、GA-005A(ZX-01-R(40.5mg、0.113mmol、収率34%))を薄茶色固体として得た。比旋光度は、旋光度計P-1020(日本分光社製)を用いて測定した。
化合物GA-005A;光学純度99.9ee%、純度99.2%、比旋光度[α]22D -11.4(c=0.0264、エタノール)、立体配置R体
 式(I)に示される化合物は、前記の合成例1~2に準じて合成することができる。前記の合成例により合成した式(I)に示される化合物の例を第1表に示すが、本発明に用いられる特定化合物はこれらのみに限定されるものではない。
 表中、Meとの記載はメチルを表し、以下同様に、Etとの記載はエチルを表す。また、Rは、アリール基の置換基であり、アリール基の置換基は前記したものと同様である。なお、(Rおよび(Rにおける「-」との記載は無置換を表す。構造式に記載された番号は、(Rまたは(Rの置換位置を表す。nは、0、1または2であり、mは、0、1、2、3、4または5である。Rが複数存在する場合、Rは、それぞれ同一であってもよく、または異なっていてもよい。
 〔第1表〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000046
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000047
 式(I)に示される化合物のうち、第1表に記載の化合物のH-NMRデータを以下に示す。
 プロトン核磁気共鳴ケミカルシフト値は、重ジメチルスルホキシドの値を2.49ppmとして、重ジメチルスルホキシド中で、270MHzまたは400MHzにて測定した。尚、表中の記号は下記の意味を表す。s:シングレット、brs:ブロードシングレット、d:ダブレット、dd:ダブルダブレット、t:トリプレット、q:カルテット、m:マルチプレット。
k-1:B-1; 400MHz
δ10.82(s, 1H), 9.71(s, 1H), 7.25(d, J=8.0Hz, 1H), 7.07(t, J=8.0Hz, 2H), 6.63(d, J=8.0Hz, 2H), 6.56(t, J=8.0Hz, 1H), 6.39(d, J=8.0Hz, 1H), 5.93(d, J=12Hz, 1H), 4.28(m, 1H), 2.80(q, J=8.0Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.40(d, J=8.0Hz, 3H)1.03(t, J=8.0Hz, 3H).(NHの一つのシグナルは観測されなかった。)
k-1:J-1; 270MHz
δ13.45(br, 1H), 9.57(s, 1H), 9.53(s, 1H), 9.36(s, 1H), 7.17(d, J=8.1Hz, 1H), 7.11(d, J=8.1Hz, 1H), 6.80-6.70(m, 3H), 6.64(br, NH), 6.37(d, J=8.1Hz, 1H), 4.25(d, J=5.4Hz, 2H), 2.65(q, J=8.1Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
k-1:D-1; 270MHz
δ 13.66(s, 1H), 10.76(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.98(s, 1H), 7.25(d, J=10.8Hz, 1H), 6.86(t, J=10.8Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.20-5.95(m, 3H), 5.87(t, J=5.4Hz, NH), 3.88(d, J=5.4Hz, 2H), 2.78(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.05(t, J=8.1Hz, 3H).
GA-005A; 270MHz
δ13.65(s, 1H), 10.75(s, 1H), 9.70(s, 1H), 8.97(s, 1H), 7.25(d, J=8.1Hz, 1H), 6.83(t, J=8.1Hz, 1H), 6.39(d, J=8.1Hz, 1H), 6.15-5.95(m, 3H), 5.81(d, J=8.1Hz, 1H), 4.18(m, 1H), 2.78(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.37(d, J=8.1Hz, 3H), 1.03(t, J=8.1Hz, 3H).
A-005; 270MHz
δ13.67(s, 1H), 10.95(s, 1H), 9.75(brs, 1H), 8.05(brs, 1H), 7.77(brs, 1H), 7.27(d, J=8.1Hz, 1H), 7.08(d, J=8.1Hz, 1H), 7.00(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.21(d, J=8.1Hz, 1H), 5.77(s, 1H), 4.21(m, 1H), 2.82(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s,3H), 1.78(m, J=8.1Hz, 2H), 1.06(t, J=8.1Hz, 3H), 0.99(t, J=8.1Hz, 3H).
A-007R; 270MHz
δ13.63(s, 1H), 10.97(s, 1H), 9.73(s, 1H), 7.91(brs, 1H), 7.73(brs, 1H), 7.28(d,J=8.1Hz, 1H), 6.81(d, J=13.5Hz, 1H), 6.69(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 4.35(m, 1H), 2.84(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.42(d, J=5.4Hz, 3H) , 1.07(t, J=8.1Hz, 3H).
A-010; 270MHz
δ13.64(s, 1H), 10.93(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.53(brs, 1H), 7.27(d, J=8.1Hz, 1H), 7.19(m, 1H), 6.92(m, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 6.23(d, J=8.1Hz, 1H), 4.31(m, 1H), 2.81(q, J=8.1Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.41(d, J=8.1Hz, 3H) , 1.06(m, 3H).
A-012; 270MHz
δ13.63(s, 1H), 10.95(s, 1H), 9.72(s, 1H), 7.79(d, J=2.7Hz, 1H), 7.27(d, J=8.1Hz, 1H), 7.20(d, J=8.1Hz, 1H), 7.06(m, 1H), 6.48(d, J=8.1Hz, 1H), 6.40(d, J=8.1Hz, 1H), 4.33(m, 1H), 2.82(q, J=5.4Hz, 2H), 1.95(s, 3H), 1.41(d, J=5.4Hz, 3H) , 1.07(t, J=8.1Hz, 3H).
CE-001; 270MHz
δ 13.41(s, 1H), 9.87(s, 1H), 9.61(s, 1H), 9.54(s, 1H), 7.17(d, J=8.1Hz, 1H), 6.84(t, J=8.1Hz, 1H), 6.60-6.50(m, 2H), 6.45-6.35(m, 2H), 4.26(d, J=8.1Hz, 2H), 2.66(q, J=8.0Hz, 2H), 1.97(s, 3H), 1.08(t, J=8.1Hz, 3H).
[実施例1]マウスがん細胞を用いた同所性移植モデルによる抗腫瘍性試験
(マウスがん細胞培養)
 細胞は、マウス乳がん細胞株4T1(American Type Culture Collection社製)を用いた。細胞の培養には、10%FBS(BioSera社製)と1mMピルビン酸ナトリウム溶液(富士フイルム和光純薬社製)を含むRPMI-1640培地(富士フイルム和光純薬社製)を用いた。細胞は、37℃/COインキュベーター内にて5%二酸化炭素濃度を保った状態で、直径10cmのシャーレ(培地10mL)を用いて2日間以上静置培養した。引き続き、本細胞をPBS5mlで洗浄した後、0.5mMのEDTA/PBS溶液(ナカライテスク社製)5mLを添加し、細胞を剥がして懸濁した。本懸濁液を遠心分離(株式会社トミー精工製、型番LC-200、1000rpm/3分、室温)後、上清を除き、氷冷したDMEM(富士フイルム和光純薬社製)を添加して細胞懸濁液を調製した。一部をトリパンブルー(富士フイルム和光純薬社製)で懸濁してTC-20(BIO-RAD社製)にて生細胞数をカウントすることで計測した。5×10cells/mLになるように、氷冷DMEMにて希釈、調製し、マウス移植用の細胞懸濁液とした。
(同所性移植モデルマウスの作製)
 4T1細胞懸濁液2.5×10cells/50μLを30Gの注射針付き注射筒(BD社製)に充填し、6週齢の雌のBALB/cAjclマウス(日本クレア社より購入)の左右の乳房脂肪組織に対して注入した。
(本発明に用いられる特定化合物を含有する投与液の調製)
 各化合物(k-1:B-1又はk-1:J-1)100mgを秤量し、メノウ製の乳鉢と乳棒を用いて破砕し、次いで10mLの0.5w/v%メチルセルロース400溶液(富士フイルム和光純薬社製)へ懸濁させ、投与液とした。
(本発明に用いられる特定化合物の投与および腫瘍体積の評価)
 がん細胞の移植から4日目の時点で、腫瘍の生着が認められた個体を無差別に5匹ずつ群分けした。群分け直後から7日後まで、1日1回、本発明に用いられる特定化合物を含有する投与液をマウスに投与した。用量は100mg/10mL/kgで、化合物k-1:B-1は腹腔内、化合物k-1:J-1は背部皮下へそれぞれ投与した。一方、対照群には10mL/kgの用量で0.5w/v%メチルセルロース400溶液のみを投与した。本発明に用いられる特定化合物の投与から7日目に、デジタルノギス(ミツトヨ社製)を用いて腫瘍の長径、短径、厚みを計測し、計算式(長径×短径×厚み×π/6)を用いて概算腫瘍体積を算出した。
 化合物投与7日目の時点における、各群の概算腫瘍体積を表2に示す(表中、*:P<0.05(対照群に対するt検定))。表2に示されるように、化合物投与群では、対照群と比較して概算腫瘍体積が有意に減少した。したがって、本発明に用いられる特定化合物の抗がん効果が認められた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000048
[実施例2]フェロトーシス誘導下における細胞生存試験
(ヒトがん細胞培養)
 細胞は、ヒト肉腫細胞株HT-1080(ATCC社製)を用いた。細胞の培養には、10%FBS(BioSera社製)を含むE-MEM培地(富士フイルム和光純薬社製)を用いた。細胞は、37℃/COインキュベーター内にて5%二酸化炭素濃度を保った状態で、直径10cmのシャーレ(培地10mL)を用いて2日間以上静置培養した。引き続き、本細胞をPBS5mlで洗浄した後、0.25w/v%トリプシン-1mM EDTA・4Na溶液(富士フイルム和光純薬社製)1mLを添加して細胞を剥がし、培養培地9mlを加えて懸濁した。本懸濁液を遠心分離(株式会社トミー精工製、型番LC-200、1000rpm/3分、室温)後、上清を除き、培養培地を添加して細胞懸濁液を調製した。一部をトリパンブルー(富士フイルム和光純薬社製)で懸濁してTC-20(BIO-RAD社製)にて生細胞数をカウントすることで細胞数を計測した。
(フェロトーシスの誘導)
 HT-1080細胞懸濁液を6.25×10cells/mLとなるよう調製し、96ウェルU底プレート(住友ベークライト社製)へ5000cells/80μL/ウェルで播種した。DMSOに溶解したImidazole ketone erastin(以下、IKE)(MedChem Express社製)、フェロトーシス阻害剤Ferrostatin-1(以下、Fer-1)(SelleckChemicals社製)、本発明に用いられる特定化合物を、培養培地を用いて希釈した。引き続き、希釈溶液を20μL/ウェルずつ細胞へ添加することによりIKEの終濃度を0.05μM、Fer-1の終濃度を1μM、本発明に用いられる特定化合物の終濃度を1μMまたは5μMとした。本発明に用いられる特定化合物ならびにFer-1非添加群には、それぞれ等量のDMSO(富士フイルム和光純薬社製)を添加した。化合物を添加した後24時間、37℃/COインキュベーターで培養した。
(細胞生存率評価)
 ATP試薬(Promega社製,CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay)を用いて生細胞数を計測した。化合物処置24時間後の培養液に対してATP試薬を100μL/ウェル添加し懸濁させ、懸濁液100μL/ウェルをアッセイ用白色プレート(コーニング社,#3912)へ移した。10分間室温で静置した後、プレートリーダー(パーキンエルマー社,EnSpire)を用いて発光量を測定した。
 測定した発光量について、IKEのみを添加した対照群に対する相対値を算出したところ、下記の化合物を添加することで細胞生存率を50%または70%以上阻害した。また減少した生存率はフェロトーシス阻害剤の同時添加により全て90%以上に回復した。すなわち、下記の化合物の添加によりフェロトーシスの誘導が促進された。このことから本発明に用いられる特定化合物はフェロトーシスによる抗がん作用の亢進効果を有していることが示された。
0.05μMのIKEとの同時添加により細胞生存率を50%以上阻害した化合物:
k-1:B-1(5μM)、GA-002A(5μM)、k-1:D-1(5μM)、k-1:J-1(5μM)、A-005(5μM)、GA-005A(5μM)、A-007R(5μM)、A-010(5μM)、A-012(1μM)、CE-001(1μM)
0.05μMのIKEとの同時添加により細胞生存率を70%以上阻害した化合物:
k-1:B-1(5μM)、GA-002A(5μM)、A-005(5μM)、GA-005A(5μM)、A-007R(5μM)、A-010(5μM)
[実施例3]フェロトーシス誘導下における細胞生存試験
(ヒトがん細胞培養)
 細胞は、ヒト肉腫細胞株HT-1080(ATCC社製)を用いた。細胞の培養には、10%FBS(BioSera社製)を含むE-MEM培地(富士フイルム和光純薬社製)を用いた。細胞は、37℃/COインキュベーター内にて5%二酸化炭素濃度を保った状態で、直径10cmのシャーレ(培地10mL)を用いて2日間以上静置培養した。引き続き、本細胞をPBS5mlで洗浄した後、0.25w/v%トリプシン-1mM EDTA・4Na溶液(富士フイルム和光純薬社製)1mLを添加して細胞を剥がし、培養培地9mlを加えて懸濁した。本懸濁液を遠心分離(株式会社トミー精工製、型番LC-200、1000rpm/3分、室温)後、上清を除き、培養培地を添加して細胞懸濁液を調製した。一部をトリパンブルー(富士フイルム和光純薬社製)で懸濁してTC-20(BIO-RAD社製)にて生細胞数をカウントすることで細胞数を計測した。
(フェロトーシスの誘導)
 HT-1080細胞懸濁液を6.25×10cells/mLとなるよう調製し、96ウェルU底プレート(住友ベークライト社製)へ5000cells/80μL/ウェルで播種した。DMSOに溶解したソラフェニブ(SelleckChemicals社製)、フェロトーシス阻害剤Ferrostatin-1(以下、Fer-1)(SelleckChemicals社製)、本発明に用いられる特定化合物を、培養培地を用いて希釈した。引き続き、希釈溶液を20μL/ウェルずつ細胞へ添加することによりソラフェニブの終濃度を1.0μM、Fer-1の終濃度を1μM、本発明に用いられる特定化合物の終濃度を1μMまたは5μMとした。本発明に用いられる特定化合物ならびにFer-1非添加群には、それぞれ等量のDMSO(富士フイルム和光純薬社製)を添加した。化合物を添加した後24時間、37℃/COインキュベーターで培養した。
(細胞生存率評価)
 ATP試薬(Promega社製,CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay)を用いて生細胞数を計測した。化合物処置24時間後の培養液に対してATP試薬を100μL/ウェル添加し懸濁させ、懸濁液100μL/ウェルをアッセイ用白色プレート(コーニング社,#3912)へ移した。10分間室温で静置した後、プレートリーダー(パーキンエルマー社,EnSpire)を用いて発光量を測定した。
 測定した発光量について、ソラフェニブのみを添加した対照群に対する相対値を算出したところ、下記の化合物を添加することで細胞生存率を50%以上阻害した。また減少した生存率はフェロトーシス阻害剤の同時添加により全て90%以上に回復した。すなわち、下記の化合物の添加によりフェロトーシスの誘導が促進された。このことから本発明に用いられる特定化合物はフェロトーシスによる抗がん作用の亢進効果を有していることが示された。
1.0μMのソラフェニブとの同時添加により細胞生存率を50%以上阻害した化合物:
GA-002A(5μM)、A-005(5μM)、GA-005A(5μM)、A-007R(5μM)、A-010(5μM)、A-012(1μM)
 本発明の抗がん剤の投与により、悪性腫瘍を縮小させることができる。従って、本発明の抗がん剤は、各種がんの治療に好適に用いられ得、医療分野において極めて有益である。
 本出願は、日本で出願された特願2019-014896を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (7)

  1.  下記、式(I)で示される化合物またはその塩を含む、抗がん剤:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    {式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、YおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2の整数である。}。
  2.  Rが、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、
     nが0であり、
     Arが、それぞれハロゲノ基、水酸基またはメチル基で置換されていてもよいフェニル基またはピリジル基であり、
     Yが、メチル基またはエチル基で置換されていてもよいメチレン基である、
    請求項1記載の剤。
  3.  式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物またはその塩である、請求項1又は2記載の剤。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
  4.  式(I)で示される化合物が、以下で示される化合物またはその塩である、請求項1記載の剤。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
    または、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
  5.  がんが、乳がんまたは肉腫である、請求項1~4のいずれか一項に記載の剤。
  6.  有効量の下記式(I)で示される化合物またはその塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんの治療方法:
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
    {式中、Xは、-NHCO-であり、Rは、-Y-NH-Z-Arであり(式中、YおよびZは、それぞれ独立して、単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、水酸基であり、nは、0、1または2の整数である。}。
  7.  フェロトーシス誘導剤との併用を特徴とする請求項6記載の方法。
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