WO2020090502A1 - カットフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを、波長360nm以下のレーザー光で切断して、カットフィルムを得ることを含み、前記カット前フィルムは、前記レーザー光の波長における吸光度が、0.10以上である、カットフィルムの製造方法。

Description

カットフィルムの製造方法
 本発明は、カットフィルムの製造方法に関する。
 熱可塑性樹脂層を含むフィルムは、画像表示装置に備えられる光学フィルムなどとして用いられることがある。近年、このようなフィルムは、最終製品の形態に応じて加工する際の精度を高めることが求められている。そこで、フィルムの加工方法として、ナイフによる機械的な切断と比較して精密な加工が可能であることから、レーザー光による加工方法が用いられることがある(特許文献1~2)。
 他方、レーザー加工に関する技術として、特許文献3記載の技術が知られている。
特開2016-57403号公報 特開2017-151164号公報 国際公開第2018/100638号
 熱可塑性樹脂層を含むフィルムをレーザー光によって切断すると、従来は、その切断面に凹凸が生じ、平坦な切断面が得られないことがあった。この切断には、穿孔も含まれる。切断面の凹凸は、寸法精度の低下の原因となったり、破損の起点となったりする可能性がある。よって、切断面における凹凸を抑制できる切断方法の開発が求められる。
 また、フィルムをレーザー光によって切断すると、通常は、その切断面の周囲に、レーザー処理影響部が形成される。レーザー処理影響部とは、レーザー光によって切断されたフィルムに含まれる熱可塑性樹脂層が切断時に発生した熱によって変形した部分をいう。前記の熱可塑性樹脂層の変形には、熱可塑性樹脂層の厚みが大きくなること、及び、熱可塑性樹脂層の厚みが小さくなることの両方が含まれる。このようなレーザー処理影響部の幅が大きいと、フィルムの端部の盛り上がり、寸法の変化、及び、シワの発生の原因となりうる。よって、レーザー処理影響部の幅を小さくできる切断方法の開発が求められている。
 本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを、レーザー光で切断して、切断面における凹凸が抑制され且つレーザー処理影響部の幅が小さいカットフィルムを製造できる方法を提供することを目的とする。
 本発明者は、前記の課題解決するべく、鋭意検討した。その結果、本発明者は、所定の波長範囲のレーザー光を用い、所定の範囲の吸光度を有するフィルムを切断することにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明は、以下のものを含む。
 〔1〕 熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを、波長360nm以下のレーザー光で切断して、カットフィルムを得ることを含み、
 前記カット前フィルムは、前記レーザー光の波長における吸光度が、0.10以上である、カットフィルムの製造方法。
 〔2〕 前記レーザー光が、希ガス及びハロゲンの混合ガスをレーザー媒質として用いるレーザー発振器から出力される、〔1〕に記載のカットフィルムの製造方法。
 〔3〕 前記レーザー光が、フッ素及び塩素からなる群より選ばれる1以上のガスを含むレーザー媒質を用いたレーザー発振器から出力される、〔1〕又は〔2〕に記載のカットフィルムの製造方法。
 〔4〕 前記レーザー光が、パルス幅30ns以下のパルスレーザー光である、〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載のカットフィルムの製造方法。
 〔5〕 前記熱可塑性樹脂層が、脂環式構造含有樹脂の層である、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のカットフィルムの製造方法。
 〔6〕 前記カット前フィルムの厚みが、100μm以下である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のカットフィルムの製造方法。
 〔7〕 前記カット前フィルムが、更に偏光子層を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のカットフィルムの製造方法。
 本発明によれば、熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを、レーザー光で切断して、切断面における凹凸が抑制され且つレーザー処理影響部の幅が小さいカットフィルムを製造できる方法を提供できる。
図1は、一例としての熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムから製造されたカットフィルムを模式的に示す断面図である。 図2は、別の一例としての熱可塑性樹脂層及び偏光子層を含むカット前フィルムから製造されたカットフィルムを模式的に示す断面図である。
 以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
 以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。フィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
 下記においては、カット前フィルムを水平に載置し、これに対し垂直方向からレーザー光を照射する例を参照して説明を行う。
[1.カットフィルムの製造方法の概要]
 本発明の一実施形態に係るカットフィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを、波長360nm以下のレーザー光で切断して、カットフィルムを得ることを含む。本実施形態のカットフィルムの製造方法によれば、カットフィルムの切断面における凹凸を抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を小さくすることができる。
[2.カット前フィルムを用意する工程]
 本実施形態に係るカットフィルムの製造方法は、カット前フィルムを用意する工程を含む。カット前フィルムは、本実施形態に係る製造方法において切断される対象である。
 カット前フィルムは、切断に用いるレーザー光の波長において、所定の範囲の吸光度を有する。具体的には、レーザー光の波長におけるカット前フィルムの吸光度は、通常0.10以上、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上である。カット前フィルムがこのように高い吸光度を有するので、そのカット前フィルムをレーザー光によって切断することができる。吸光度の上限は、特段の制限は無いが、カット前フィルムの入手を容易にする観点から、通常6.0以下、好ましくは5.5以下である。
 カット前フィルムの吸光度は、カット前フィルムの一方の面から他方の面へ透過する光の吸収を示したものである。
 レーザー光の波長における吸光度は、紫外可視分光光度計(例、島津製作所製「UV-1800」)によって測定できる。本実施形態において用いるレーザー光の波長は、特に深紫外領域の波長200nm以下では、通常、空気中の酸素によって吸収され得る。よって、酸素による吸収の影響を排除するため、測定は、窒素ガスやアルゴンガス等のパージにより、測定波長における吸収の無いアシストガス中で行うことが望ましい。
 カット前フィルムの吸光度は、例えば、熱可塑性樹脂層に含まれる重合体としてレーザー光の波長に吸収を有するものを採用する方法;レーザー光を吸収可能な光吸収剤を含む熱可塑性樹脂を用いる方法;などが挙げられる。
 カット前フィルムは、熱可塑性樹脂層を含む。熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂により形成された層である。熱可塑性樹脂は、通常、熱可塑性の重合体を含む。熱可塑性樹脂に含まれる重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 重合体としては、例えば、脂環式構造含有重合体、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、及びポリカーボネートが挙げられる。中でも、透明性、寸法安定性、位相差発現性、及び低温での延伸性等の特性に優れることから、脂環式構造含有重合体が好ましい。脂環式構造含有重合体を含む熱可塑性樹脂を、以下「脂環式構造含有樹脂」ということがある。よって、熱可塑性樹脂層は、脂環式構造含有樹脂の層であることが好ましい。
 脂環式構造含有重合体は、重合体の構造単位が脂環式構造を有する重合体である。脂環式構造含有重合体は、主鎖に脂環式構造を有する重合体、側鎖に脂環式構造を有する重合体、主鎖及び側鎖に脂環式構造を有する重合体、並びに、これらの2以上の任意の比率の混合物でありうる。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を有する重合体が好ましい。
 脂環式構造の例としては、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、及び不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造が挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
 脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲であると、脂環式構造含有樹脂の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
 脂環式構造含有重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、カットフィルムの使用目的に応じて選択しうる。脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、脂環式構造含有樹脂の透明性及び耐熱性が良好となる。
 脂環式構造含有重合体の中でも、シクロオレフィン重合体が好ましい。シクロオレフィン重合体とは、シクロオレフィン単量体を重合して得られる構造を有する重合体である。また、シクロオレフィン単量体は、炭素原子で形成される環構造を有し、かつ該環構造中に重合性の炭素-炭素二重結合を有する化合物である。重合性の炭素-炭素二重結合の例としては、開環重合等の重合が可能な炭素-炭素二重結合が挙げられる。また、シクロオレフィン単量体の環構造の例としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらを組み合わせた多環等が挙げられる。中でも、得られる重合体の誘電特性及び耐熱性等の特性を高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィン単量体が好ましい。
 前記のシクロオレフィン重合体の中でも好ましいものとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体は、成形性が良好なため、特に好適である。
 ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素化物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。更に、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。
 脂環式構造含有樹脂は、脂環式構造含有重合体に加えて、脂環式構造含有重合体以外の任意の重合体を含みうる。脂環式構造含有重合体以外の任意の重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
 脂環式構造含有樹脂における脂環式構造含有重合体の割合は、理想的には100重量%であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。脂環式構造含有重合体の割合を前記範囲の下限値以上にすることにより、ヘイズの小さい脂環式構造含有樹脂を得ることができる。
 熱可塑性樹脂は、重合体以外に、更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、レーザー光を吸収できる光吸収剤が挙げられる。熱可塑性樹脂における光吸収剤の含有率は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下であり、通常0重量%以上であり、0.01重量%以上であってもよい。
 さらに、任意の成分としては、顔料、染料等の着色剤;蛍光増白剤;分散剤;可塑剤;熱安定剤;光安定剤;帯電防止剤;酸化防止剤;微粒子;界面活性剤等の添加剤が挙げられる。
 熱可塑性樹脂層は、切断に用いられるレーザー光の波長における吸光度が、高いことが好ましい。具体的には、レーザー光の波長における熱可塑性樹脂層の吸光度は、カット前フィルムの吸光度として上述した範囲と同じ範囲に収まることが好ましい。このような吸光度を熱可塑性樹脂層が有する場合に、カットフィルムの切断面における凹凸を効果的に抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を効果的に小さくできる。
 熱可塑性樹脂層は、延伸処理が施されていてもよい。延伸処理が施された熱可塑性樹脂層は、通常、層内の重合体分子が配向し、光学異方性を有することができる。よって、レターデーション等の光学特性を所望の範囲に調整することができる。
 熱可塑性樹脂層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、また、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。熱可塑性樹脂層の厚みが前記範囲の下限値以上である場合、カット前フィルム及びカットフィルムのハンドリングが容易になる。また、上限値以下である場合、レーザー光での切断が容易になる。
 カット前フィルムは、1層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、2以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。
 例えば、カット前フィルムは、組成の異なる熱可塑性樹脂で形成された複数の熱可塑性樹脂層を備えていてもよい。
 また、例えば、カット前フィルムは、熱可塑性樹脂層以外の任意の層として、更に偏光子層を含んでいてもよい。偏光子層としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の適切なビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素及び二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したフィルムが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール樹脂フィルムからなる偏光子層が好ましい。このような偏光子層は、自然光を入射させると直線偏光を透過させうるものであり、特に、光透過率及び偏光度に優れるものが好ましい。偏光子層の厚さは、5μm~80μmが一般的であるが、これに限定されない。
 さらに、カット前フィルムは、偏光子層以外にも、接着層、粘着層などの任意の層を備えていてもよい。
 カット前フィルムが複層構造を有する場合、最も外側に熱可塑性樹脂層が配置されていることが好ましい。また、レーザー発振器側に熱可塑性樹脂層が向くようにカット前フィルムを設置して、レーザー光により切断することが好ましい。これにより、カットフィルムの切断面における凹凸を効果的に抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を効果的に小さくできる。
 カット前フィルムは、長尺のフィルムであってもよいし、枚葉のフィルムであってもよく、好ましくは長尺のフィルムである。
 カット前フィルムの厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。カット前フィルムの厚みが前記範囲の下限値以上である場合、カット前フィルム及びカットフィルムのハンドリングが容易になる。また、上限値以下である場合、レーザー光での切断が容易になる。
[3.レーザー光による切断工程]
 本実施形態に係る製造方法では、カット前フィルムを用意した後、そのカット前フィルムをレーザー光で切断して、カットフィルムを得る工程を行う。通常は、レーザー発振器からレーザー光を出力させ、そのレーザー光をカット前フィルムの切断したい部分に照射して、切断を行う。
 切断に用いるレーザー光の波長は、通常360nm以下、好ましくは320nm以下、より好ましくは280nm以下である。レーザー光の波長が、前記範囲に収まることにより、カットフィルムの切断面における凹凸を抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を小さくすることができる。レーザー光の波長の下限は、特段の制限は無いが、レーザー発振器の入手を容易にする観点から、100nm以上が好ましい。
 レーザー光の波長は、当該レーザー光を出力するレーザー発振器のレーザー媒質によって調整できる。このレーザー媒質としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンガスを含むレーザー媒質が好ましく、フッ素及び塩素からなる群より選ばれる1以上のガスを含むレーザー媒質が更に好ましい。このようなレーザー媒質を用いたレーザー発振器から出力されるレーザー光を用いることにより、カットフィルムの切断面における凹凸を効果的に抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を効果的に小さくできる。
 レーザー媒質としては、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスとハロゲンとの混合ガスが特に好ましい。この混合ガスをレーザー媒質として用いたレーザー発振器は、通常、エキシマレーザー発振器に含まれる。このようなレーザー発振器から出力されるレーザー光を用いることにより、カットフィルムの切断面における凹凸を効果的に抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を効果的に小さくできる。
 好ましいレーザー媒質の具体例としては、フッ素ガス(F2レーザー、発振波長157nm);アルゴンとフッ素との混合ガス(ArFレーザー、発振波長193nm);クリプトンとフッ素との混合ガス(KrFレーザー、発振波長248nm);キセノンと塩素との混合ガス(XeClレーザー、発振波長308nm);キセノンとフッ素との混合ガス(XeFレーザー、発振波長351nm);等が挙げられる。
 レーザー光は、パルスレーザー光であることが好ましい。また、このパルスレーザー光のパルス幅は、好ましくは30ns以下、より好ましくは20ns以下、特に好ましくは15ns以下である。このようにパルス幅が小さいパルスレーザー光を用いることにより、レーザー光の照射による熱の発生を効果的に抑制できるので、カットフィルムの切断面における凹凸を効果的に抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を効果的に小さくできる。更には、パルス幅が小さいと、通常、特に精密な切断加工が可能である。パルス幅の下限は、通常は1ns以上であるが、パルス幅1ns未満のパルスレーザー光を用いてもよい。
 レーザー光の平均出力(出力強度)は、好ましくは0.01W以上、より好ましくは0.1W以上、更に好ましくは1W以上であり、好ましくは1kW以下、より好ましくは100W以下、更に好ましくは50W以下である。レーザー光の出力強度が前記範囲の下限値以上である場合、カット前フィルムを速やかに切断できる。また、上限値以下である場合、カットフィルムの切断面における凹凸を効果的に抑制でき、また、カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅を効果的に小さくできる。
 レーザー光の照射回数は、1回でもよく、複数回でもよい。例えば、カット前フィルムのある地点にパルスレーザー光を複数回照射して、当該地点でカット前フィルムを切断してもよい。また、例えば、カット前フィルムの同一線上を繰り返し走査するようにレーザー光を照射して、その線でカット前フィルムを切断してもよい。具体的な照射回数は、カット前フィルムの厚み、レーザー光の出力強度等の要素に応じて、適切に設定しうる。
 上述したレーザー光は、その波長によっては、空気中の酸素によって吸収されることがありうる。そこで、前記のレーザー光によるカット前フィルムの切断は、レーザー光の吸収が無いか小さいアシストガス雰囲気において行うことが好ましい。アシストガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。具体例を挙げると、レーザー発振器とカットフィルムとの間の光路部分にアシストガスを充填したり、前記の光路部分にアシストガスを吹き込んだりした状態で、切断を行うことが好ましい。
[4.製造されるカットフィルム]
 上述した製造方法によれば、カットフィルムを製造できる。カットフィルムは、カット前フィルムを切断して得られるフィルムであるので、熱可塑性樹脂層を含む。また、カット前フィルムが、接着層、粘着層及び偏光子層などの任意の層を含む場合、カットフィルムもかかる任意の層を含む。これら熱可塑性樹脂層及び任意の層の組成、物性及び寸法は、通常、カット前フィルムにおけるものと同じである。
 本実施形態に係る製造方法により製造されたカットフィルムは、熱可塑性樹脂層の切断面における凹凸の形成が抑制できる。よって、カットフィルムは、通常、レーザー光による平坦な切断面を有することができる。
 本実施形態に係る製造方法により製造されたカットフィルムは、熱可塑性樹脂層におけるレーザー処理影響部の幅を小さくできる。具体的には、カットフィルムの熱可塑性樹脂層におけるレーザー処理影響部の幅は、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下にできる。レーザー処理影響部の幅の下限は、理想的には0μmであるが、1μm以上であってもよい。
 レーザー処理影響部の幅は、下記方法により測定できる。
 カットフィルムを、ミクロトームを用いて切断する。この際、ミクロトームを用いた切断は、レーザー光がカット前フィルムの表面を走査した線に垂直な断面が得られるように行なう。その後、ミクロトームで切った断面を光学顕微鏡で観察することで、レーザー処理影響部の幅Lを測定できる。
 カットフィルムにおけるレーザー処理影響部の幅Lについて、図を用いて更に詳細に説明する。図1は、一例としての熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムから製造されたカットフィルムを模式的に示す断面図である。
 図1に示すように、カットフィルム100に含まれる熱可塑性樹脂層110には、切断時に発生した熱によって変形した部分として、レーザー処理影響部111が形成されうる。通常、熱可塑性樹脂層110のレーザー処理影響部111は、熱可塑性樹脂層110の切断面112と、熱可塑性樹脂層110の切断面112に隣接する領域において熱可塑性樹脂層110の厚みが切断前よりも厚くなった部分113とを含む。熱可塑性樹脂層110において、この熱可塑性樹脂層110の厚みが切断前よりも厚くなった部分113は、レーザー処理影響部111以外の部分114よりも盛り上がった部分として観察されることが多い。
 レーザー処理影響部の幅Lとは、カットフィルム100の熱可塑性樹脂層110における、レーザー処理により影響を受けた部分のフィルム面内方向の幅を表す。このレーザー処理影響部の幅Lは、カットフィルム100の熱可塑性樹脂層110における、「切断箇所の中心Xに最も近い部分の位置」から、「切断箇所の中心Xから最も遠い、レーザー処理により影響を受けた部分の位置」までの距離である。また、フィルム面内方向とは、フィルムの厚み方向に垂直な方向を表す。具体的には、レーザー処理影響部111の幅Lは、「熱可塑性樹脂層110の切断面112の、切断箇所の中心Xに最も近い部分の位置」から、「熱可塑性樹脂層110の厚みDが切断前よりも厚くなった部分113の切断面112とは反対側の端」までの長さである。
 図2は、別の一例としての熱可塑性樹脂層及び偏光子層を含むカット前フィルムから製造されたカットフィルムを模式的に示す断面図である。
 図2に示す熱可塑性樹脂層210及び偏光子層220を含むカットフィルム200においても、図1に示すカットフィルム100と同様に、レーザー処理影響部211の幅Lを決定しうる。具体的には、レーザー処理影響部211の幅Lは、カットフィルム200の切断面212の、切断箇所の中心Xに最も近い部分の位置から、カットフィルム200の厚みDが切断前よりも厚くなった部分213の切断面212とは反対側の端までの長さである。
 こうして得られたカットフィルムには、必要に応じて、任意の処理を施してもよい。このような任意の処理としては、例えば、延伸処理、表面処理、他のフィルムとの貼り合わせ処理等が挙げられる。
 前記のカットフィルムは、任意の用途に用いうる。例えば、カットフィルムを光学フィルムとして用いてもよい。また、カットフィルムは、それ単独で用いてもよく、他の任意の部材と組み合わせて用いてもよい。例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置等の表示装置に組み込んで用いてもよい。更に、カットフィルムは、偏光子の保護フィルムとして用いてもよい。
 以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
 以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法]
(吸光度の測定方法)
 実施例1~5、比較例1及び比較例3では、紫外可視赤外分光光度計(日本分光社製「V-7200」)を用いて、カット前フィルムの厚み方向における吸光度を測定した。空気中の酸素による吸収の影響を避けるため、実施例1~5及び比較例3では、前記の測定は、系内にアシストガス(窒素ガス)を充填させた状態で行った。
 比較例2では、FT-IR赤外分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「Nicolet iS5」)を用いて、カット前フィルムの厚み方向における吸光度を測定した。
(レーザー光による切断面の評価方法)
 レーザー光による切断面を有する試料フィルムを観察して、未切断部分の有無を調べた。
 また、前記の試料フィルムを、ミクロトームを用いて切断した。この際、ミクロトームを用いた切断は、レーザー光が走査した線に垂直な断面が得られるように行った。このミクロトームによる断面を光学顕微鏡で観察し、レーザー光による切断面の凹凸の有無を調べた。
 こうして調べた結果から、レーザー光による切断面を、下記の基準で評価した。
 A:フィルムが、レーザー光が走査した線に沿って、均一に完全に切断されている。且つ、レーザー光による切断面が、平坦である。
 B:フィルムの一部に、レーザー光によって切断できなかった未切断部分がある。且つ、レーザー光による切断面に、小さい凹凸がある。
 C:フィルムが、レーザー光によっては切断できない。又は、フィルムは切断できたが、熱溶融し、レーザー光による切断面に凹凸がある。
[レーザー処理影響部の幅の測定方法]
 レーザー光による切断面を有する試料フィルムを、ミクロトームを用いて切断した。この際、ミクロトームを用いた切断は、レーザー光が走査した線に垂直な断面が得られるように行った。この断面を光学顕微鏡で観察し、レーザー処理影響部の幅Lを測定した。
[実施例1]
(熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを用意する工程)
 熱可塑性樹脂として、ノルボルネン系重合体を含む脂環式構造含有樹脂(日本ゼオン社製「ゼオノア」、ガラス転移点温度138℃)を用意した。この脂環式構造含有樹脂を、Tダイ式のフィルム溶融押出成形機を使用して、フィルム状に溶融押出して、脂環式構造含有樹脂の層のみからなるカット前フィルムを得た。溶融押出の条件は、ダイリップ800μm、Tダイの幅300mm、溶融樹脂温度260℃、キャストロール温度115℃であった。カット前フィルムの厚み、すなわち樹脂層の厚みは、25μmであった。
 カット前フィルムの吸光度を、前記の方法により、測定波長185nm~360nmの範囲で測定した。波長185nm~360nmでの吸光度の平均は0.6であった。また、後述するパルスレーザー光の波長224nm~248nmでの吸光度の平均は0.34であった。以上のことから、後述するパルスレーザー光の波長224nm~248nmでの吸光度が0.1以上であることが確認された。
(切断工程)
 レーザー発振器として、エキシマレーザー発振器(コヒレント社製「ExciStarXSシリーズ500」)を用意した。このエキシマレーザー発振器から、クリプトン及びフッ素の混合ガスをレーザー媒質として用いて、表1に示す出力条件でパルスレーザー光を出力させた。出力されたパルスレーザー光の波長は、前記発振器の仕様調整範囲224nm~248nmの範囲にあり、よって360nm以下であった。このパルスレーザー光を、カット前フィルムの表面に複数回にわたって照射した。前記のパルスレーザー光の照射は、1ショットのパルスレーザー光がカット前フィルムの表面に当たる照射エリアが、幅20μm、長さ400μmの矩形となるように行った。また、前記のパルスレーザー光の照射は、カット前フィルムを前記照射エリアの長さ方向に移動させることにより、パルスレーザー光がカット前フィルムの表面を一方向に走査するように行った。この際、カット前フィルムの移動速度は、ある回に照射されたパルスレーザー光が当たる照射エリアと、その後の所定の回数に照射されたパルスレーザー光が当たる照射エリアとが重なり合うことで、カット前フィルムの表面の一地点当たり100回のパルスレーザー光が当たるように調整した。さらに、前記のパルスレーザー光の照射は、窒素雰囲気中で行った。カット前フィルムは、パルスレーザー光が当たる度に次第に掘り下げられ、最終的にはレーザー光が走査した部分で切断された。これにより、切断面を有するカットフィルムが得られた。
 得られたカットフィルムを、上述した方法で評価した。
[実施例2]
 パルスレーザー光の出力条件を表1に示すように変更した。
 以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、カットフィルムの製造及び評価を行った。
[実施例3]
 熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを用意する工程において、脂環式構造含有樹脂の溶融押出の条件を変更することにより、カット前フィルムの厚みを30μmに変更した。このカット前フィルムの吸光度を、前記の方法により、測定波長185nm~360nmの範囲で測定した。波長185nm~360nmでの吸光度の平均は0.6であった。また、後述するパルスレーザー光の波長193nmでの吸光度は、2.9であった。以上のことから、パルスレーザー光の波長193nmでの吸光度が0.1以上であることが確認された。
 切断工程において、レーザー媒質を、アルゴン及びフッ素の混合ガスに変更した。このレーザー媒質を用いたレーザー発振器から出力されるパルスレーザー光の波長は、193nmであった。また、パルスレーザー光の出力条件を表1に示すように変更した。さらに、カット前フィルムの移動速度を、カット前フィルムの表面の一地点当たり120回のパルスレーザー光が当たるように調整した。
 以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、カットフィルムの製造及び評価を行った。
[実施例4]
 熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを用意する工程において、カット前フィルムとして、厚み50μmの市販のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。このカット前フィルムの吸光度を、前記の方法により、測定波長185nm~360nmの範囲で測定した。波長185nm~360nmでの吸光度の平均は3.6であった。また、パルスレーザー光の波長224nm~248nmでの吸光度の平均は、6.0であった。以上のことから、パルスレーザー光の波長224nm~248nmでの吸光度が0.1以上であることが確認された。
 切断工程において、カット前フィルムの移動速度を、カット前フィルムの表面の一地点当たり200回のパルスレーザー光が当たるように調整した。
 以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、カットフィルムの製造及び評価を行った。
[実施例5]
(熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを用意する工程)
 ヨウ素及びポリビニルアルコールを含む樹脂で形成された厚み25μmのフィルムを、偏光子層として用意した。この偏光子層において、ヨウ素は、配向した状態でポリビニルアルコールに吸着していた。この偏光子層の一方の面に、実施例1で製造した脂環式構造含有樹脂の層を、粘着剤を用いて貼り合わせた。粘着剤としては、CS9621(日東電工社製)を使用した。これにより、脂環式構造含有樹脂の層、粘着層(厚み25μm)及び偏光子層をこの順に備える、カット前フィルムを得た。
 カット前フィルムの吸光度を、前記の方法により、測定波長185nm~360nmの範囲で測定した。波長185nm~360nmでの吸光度の平均は5.5であった。また、パルスレーザー光の波長193nmでの吸光度は、2.9であった。以上のことから、パルスレーザー光の波長193nmでの吸光度が0.1以上であることが確認された。
(切断工程)
 レーザー発振器として、エキシマレーザー発振器(コヒレント社製「ExciStarXSシリーズ500」)を用意した。このエキシマレーザー発振器から、アルゴン及びフッ素の混合ガスをレーザー媒質として用いて、表1に示す出力条件でパルスレーザー光を出力させた。このレーザー媒質を用いたレーザー発振器から出力されるパルスレーザー光の波長は、193nmであった。このパルスレーザー光を、カット前フィルムの脂環式構造含有樹脂の層側の表面に複数回にわたって照射した。前記のパルスレーザー光の照射は、1ショットのパルスレーザー光がカット前フィルムの表面に当たる照射エリアが、幅20μm、長さ400μmの矩形となるように行った。また、前記のパルスレーザー光の照射は、カット前フィルムを前記照射エリアの長さ方向に移動させることにより、パルスレーザー光がカット前フィルムの表面を一方向に走査するように行った。この際、カット前フィルムの移動速度は、ある回に照射されたパルスレーザー光が当たる照射エリアと、その後の所定の回数に照射されたパルスレーザー光が当たる照射エリアとが重なり合うことで、カット前フィルムの表面の一地点当たり300回のパルスレーザー光が当たるように調整した。さらに、前記のパルスレーザー光の照射は、窒素雰囲気中で行った。カット前フィルムは、パルスレーザー光が照射される度に次第に掘り下げられ、最終的にはレーザー光が走査した部分で切断された。これにより、切断面を有するカットフィルムが得られた。
 得られたカットフィルムを、上述した方法で評価した。
[比較例1]
(熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを用意する工程)
 実施例1と同じカット前フィルムを用意した。このカット前フィルムの吸光度を、前記の方法により、後述するパルスレーザー光の波長532nmで測定した結果、0.04であった。
(切断工程)
 レーザー発振器として、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)をレーザー媒質として用いるYAGレーザー発振器(スペクトロニクス社製「LDH-G1000」)を用意した。このレーザー発振器から、表1に示す出力条件でパルスレーザー光を出力させた。出力されたパルスレーザー光の波長は、532nmであった。このパルスレーザー光を、カット前フィルムの表面に連続発振(CW)で照射した。前記のパルスレーザー光の照射は、パルスレーザー光がカット前フィルムの表面を一方向に1回走査するように行った。カット前フィルムは、パルスレーザー光が走査した部分で切断された。これにより、切断面を有するカットフィルムが得られた。
 得られたカットフィルムを、上述した方法で評価した。
[比較例2]
(熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを用意する工程)
 実施例1と同じカット前フィルムを用意した。このカット前フィルムの吸光度を、前記の方法により、後述するパルスレーザー光の波長10.6μmで測定した結果、0.14であった。
(切断工程)
 レーザー発振器として、COをレーザー媒質として用いるCOレーザー発振器(コヒレント社製「J-3-10.6」)を用意した。このレーザー発振器から、表1に示す出力条件でパルスレーザー光を出力させた。出力されたパルスレーザー光の波長は、10.6μmであった。このパルスレーザー光を、カット前フィルムの表面に連続発振(CW)で照射した。前記のパルスレーザー光の照射は、パルスレーザー光がカット前フィルムの表面を一方向に1回走査するように行った。カット前フィルムは、パルスレーザー光が走査した部分で切断された。これにより、切断面を有するカットフィルムが得られた。
 得られたカットフィルムを、上述した方法で評価した。
[比較例3]
 熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを用意する工程において、カット前フィルムとして、厚み0.2mmのMgFガラス製のガラス板(ピアーオプティクス社製「M10-0.2」)を用意した。このカット前フィルムの吸光度を、前記の方法により、測定波長185nm~360nmの範囲で測定した。波長185nm~360nmでの吸光度の平均は0.07であったことから、後述するパルスレーザー光の波長224nm~248nmでの吸光度が0.1未満であることが確認された。
 切断工程において、パルスレーザー光の出力条件を表1に示すように変更した。また、カット前フィルムの移動速度を、カット前フィルムの表面の一地点当たり800回のパルスレーザー光が当たるように調整した。
 以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、カットフィルムの製造及び評価を行った。
[結果]
 実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。表1において、略称の意味は、下記の通りである。
 COP:脂環式構造含有樹脂
 PET:ポリエチレンテレフタレート
 COP/PVA:脂環式構造含有樹脂/ポリビニルアルコール
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 100 カットフィルム
 110 熱可塑性樹脂層
 111 レーザー処理影響部
 112 切断面
 113 部分
 200 カットフィルム
 210 熱可塑性樹脂層
 211 レーザー処理影響部
 212 切断面
 213 部分
 220 偏光子層
 L レーザー処理影響部の幅
 X 切断箇所の中心

Claims (7)

  1.  熱可塑性樹脂層を含むカット前フィルムを、波長360nm以下のレーザー光で切断して、カットフィルムを得ることを含み、
     前記カット前フィルムは、前記レーザー光の波長における吸光度が、0.10以上である、カットフィルムの製造方法。
  2.  前記レーザー光が、希ガス及びハロゲンの混合ガスをレーザー媒質として用いるレーザー発振器から出力される、請求項1に記載のカットフィルムの製造方法。
  3.  前記レーザー光が、フッ素及び塩素からなる群より選ばれる1以上のガスを含むレーザー媒質を用いたレーザー発振器から出力される、請求項1又は2に記載のカットフィルムの製造方法。
  4.  前記レーザー光が、パルス幅30ns以下のパルスレーザー光である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカットフィルムの製造方法。
  5.  前記熱可塑性樹脂層が、脂環式構造含有樹脂の層である、請求項1~4のいずれか一項に記載のカットフィルムの製造方法。
  6.  前記カット前フィルムの厚みが、100μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のカットフィルムの製造方法。
  7.  前記カット前フィルムが、更に偏光子層を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のカットフィルムの製造方法。
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