WO2020031922A1 - 衣服 - Google Patents

Abstract

生体電位を検出する電極の移動を抑制し、生体電位を精度よく検出できる衣服を提供する。　衣服は、電極を着用者の体に接触させるため、体の胴回り方向へ全周にわたって形成する電極バンド３０と、電極バンド３０の上側へ全周にわたって形成する第１の絶縁領域１０と、電極バンド３０の下側へ全周にわたって形成する第２の絶縁領域５０と、を備える。電極バンド３０は、胴回り方向に伸縮性を有し、かつ胴回り方向とはほぼ垂直な縦方向への伸縮率が略ゼロである。

Description

衣服

　本発明は、生体電位を検出可能な電極を備える衣服に関する。

　生体電位を検出可能な衣服において、生体電位を精度よく検出することが求められている。特許文献１は、衣服から首や腕の部分の生地をくり抜いている。この衣服は、首や腕の動きを衣服へ伝えないため、生体電位を検出する電極が移動しないので、生体電位を精度よく検出できる。

国際公開ＷＯ２０１７／００７０１６

　本発明の目的の１つは、特許文献１とは異なる構成をとって、生体電位を検出する電極の移動を抑制し、生体電位を精度よく検出できる衣服を提供することである。

　上記課題を解決するため、本発明の一態様の衣服は、電極を着用者の体に接触させるため、体の胴回り方向へ全周にわたって形成する電極バンドと、前記電極バンドの上側へ全周にわたって形成する第１絶縁領域と、前記電極バンドの下側へ全周にわたって形成する第２絶縁領域と、を備え、前記電極バンドは、胴回り方向に伸縮性を有し、かつ前記胴回り方向とはほぼ垂直な縦方向への伸縮率が略ゼロである。

　本発明によれば、生体電位を検出する電極の移動を抑制し、生体電位を精度よく検出できる衣服を提供できる。

図１は、生体電位を検出する電極を備えた衣服である。 図２は、図１の構成に加え、緩衝帯を備えた衣服である。 図３は、図２の構成に加え、滑り止め部材を備えた衣服である。

　図１の構成を述べる。

　図１は、生体電位を検出する電極を備えた衣服１００であり、第１絶縁領域１０と、電極バンド３０と、第２絶縁領域である第２衣服部分５１とを備える。電極バンド３０は、電極を着用者の体に接触させるため、体の胴回り方向へ衣服の全周にわたって形成されている。

　第１絶縁領域１０は、電極バンド３０の上側に、全周にわたって体の胴回り方向に形成されている。第２絶縁領域である第２衣服部分５１は、電極バンド３０の下側に、全周にわたって体の胴回り方向に形成されている。第１絶縁領域１０の第１衣服部分と第２絶縁領域である第２衣服部分５１は、たとえば、非導電性繊維であるナイロンが使用される。

　電極バンド３０は、肋骨の下限または肋骨の下限近傍に位置する。頭を除く上半身を、上段、中段、下段の３つに分割したとき、肋骨の下限または肋骨の下限近傍は、中段にあたる。中段は体の動きの影響を受けにくい部分なので、体を捻じったとき、中段に配置した電極バンド３０の電極は移動が小さくなり、生体電位の検出精度を高められる。

　第１絶縁領域１０は、電極バンド３０の上側を構成しており、第１衣服部分１１と、袖部分１２と、襟部分１３を有する。第１絶縁領域１０は、頭を除く上半身を、上段、中段、下段の３つに分割したときの上段にあたる。

　電極バンド３０は、バンド基材３１と、電極３２ａおよび電極３２ｂと、トランスミッタ３３と、導電部３４ａおよび導電部３４ｂとを備える。

　バンド基材３１は、弾性繊維のポリウレタンが使用される。バンド基材３１は、たとえば、クロッシェ編みにより形成するが、このとき１方向のみへ伸縮する性質を持たせている。この結果、胴回り方向に伸縮性を有し、胴回り方向とほぼ垂直な縦方向への伸縮率が略ゼロとなる。

　電極バンド３０の形成方法は、上述の実施例に限定されず、いわゆるシングル・デンビー、ヴァンダイク、シングル・コードを適用でき、縦糸方向に弾性伸長収縮する織物であっても構わない。電極バンド３０の形成方法は、ニードル織機製、丸編製、または横編製において、縦方向と横方向とを逆にして織ったり編んだりすることでも実現できる。

　バンド基材３１の胴回り方向の伸縮率、第１絶縁領域１０の第１衣服部分１１の胴回り方向の伸縮率、第２絶縁領域である第２衣服部分５１の胴回り方向の伸縮率は、それぞれ任意の大きさに設定できる。

　バンド基材３１の胴回り方向の伸縮率は、第１衣服部分１１の胴回り方向の伸縮率、および第２衣服部分５１の胴回り方向の伸縮率よりも大きいことが望ましい。このように構成すると、腕を動かして胴回り方向の体表面が伸縮し、第１衣服部分１１および第２衣服部分５１がバンド基材３１へ負荷をかけたとき、バンド基材３１は伸縮に余裕があるため、電極３２ａおよび電極３２ｂが移動することを抑制できる。

　電極３２ａおよび電極３２ｂは、導電性繊維を含んだ導電性生地である。バンド基材３１と同様に収縮させるため、１方向のみへ伸縮する性質を持たせるように、クロッシェ編みにより形成することが望ましい。この結果、胴回り方向に伸縮性を有し、胴回り方向とほぼ垂直な縦方向への伸縮率が略ゼロとなる。

　電極３２ａおよび電極３２ｂの形成方法は、上述の実施例に限定されず、いわゆるシングル・デンビー、ヴァンダイク、シングル・コードを適用でき、縦糸方向に弾性伸長収縮する織物であっても構わない。電極３２ａおよび電極３２ｂの形成方法は、ニードル織機製、丸編製、または横編製において、縦方向と横方向とを逆にして織ったり編んだりすることでも実現できる。

　導電部３４ａおよび導電部３４ｂは、電極３２とトランスミッタ３３とを電気的に接続する。トランスミッタ３３は、電極３２ａおよび電極３２ｂを使って検出した生体電位を、図示しない解析装置へ送信する。

　電極バンド３０は、電極３２が心臓に流れる生体電流を検出しやすいように、心臓の高さ、または肋骨の下限、または肋骨の下限近傍に配置することが望ましい。電極３２は、鼻およびヘソを通る中心線に対し、左右対称に配置することが望ましい。

　第２絶縁領域である第２衣服部分５１は、電極バンド３０の下側を構成している。第２衣服部分５１は、頭を除く上半身を、上段、中段、下段の３つに分割したときの下段にあたる。

　図１に開示した実施形態から得られる技術的な効果を述べる。

　従来から存在する袖のある衣服は、腕を動かすと衣服が引っ張られ、電極の位置が移動するため、生体電位を検出する精度が低くなる。詳細に述べると、腕を動かして体表面が伸縮したとき、胴回り方向へ伸縮しない衣服は、体表面の伸縮に追随できない。よって、胴回り方向において、衣服の移動は体表面の伸縮を上回ってしまい、電極の位置が移動する、という知見を得ている。加えて、図１に開示した実施形態は、腕を動かしたとき、電極バンド３０に縦方向へ伸びにくい特性を持たせているため、胴回り方向へ集中して負荷がかかる。この状態に対し、電極バンド３０は、胴回り方向へ伸縮しやすい特性を持たせているので、胴回り方向へ負荷がかかっても、この負荷を分散吸収できる。よって、図１に開示した実施形態は、腕の動作に起因する電極３２ａおよび電極３２ｂの移動を抑制し、生体電位の検出精度を高められる。

　バンド基材３１は、胴回り方向にかかる負荷を分散吸収できる。加えて、バンド基材３１に一体形成している電極３２ａおよび電極３２ｂを、胴回り方向に伸縮性を有し、胴回り方向とほぼ垂直な縦方向への伸縮率が略ゼロとなるように構成しているので、バンド基材３１単体よりも、胴回り方向にかかる負荷を分散吸収する機能に優れている。

　図１に開示した実施形態は、特許文献１のように首や腕の部分の生地をくり抜かなくても、腕や首の動きに起因する電極３２ａおよび電極３２ｂの移動を抑制できる。つまり、特許文献１に比べ、袖部分１２および襟部分１３の有無を含めて、衣服１００のデザインの自由度を高められる。

　図２の構成を述べる。

　図２は、図１の構成に加え、緩衝帯３５、緩衝帯３６を備えた衣服である。

　第１の緩衝帯３５は、第１絶縁領域１０を構成する第１衣服部分１１と、電極バンド３０との第１連結部分である。緩衝帯３６は、第２絶縁領域である第２衣服部分５１と、電極バンド３０との第２連結部分である。緩衝帯３５および緩衝帯３６は、たとえばメッシュ状に形成する。

　図２に開示した実施形態から得られる技術的な効果を述べる。

　電極バンド３０の上側または下側に緩衝帯３５、緩衝帯３６を設けたので、衣服１００へ上下方向に負荷がかかったとき、緩衝帯３５、緩衝帯３６が伸びて負荷を吸収し、電極バンド３０を衣服１００の上下方向へ移動させる力を抑制できる。負荷としては、走ったりジャンプしたりといった大きな動きに対応できる。この結果、電極３２ａ、電極３２ｂの移動を抑制し、生体電位の検出精度を高められる。

　図２に開示した実施形態は、胴回り方向に伸縮する電極バンド３０と、電極バンド３０の上側に緩衝帯３５、電極バンド３０の下側に緩衝帯３６とを有する。この結果、衣服１００の上下方向にかかる負荷と、胴回り方向にかかる負荷の両方に対し、電極の移動を抑制する、という優れた技術的効果を有する。

　緩衝帯３５、緩衝帯３６は、衣服１００の上下方向へかかる負荷を吸収するものであればよく、メッシュ形状に限定されない。

　緩衝帯３５、緩衝帯３６は、いずれか一方だけでも電極の移動を抑制できるが、両方あれば電極の移動を抑制する効果が高まる。

　緩衝帯３５、緩衝帯３６は、電極バンド３０と一体形成してもよい。この場合、衣服１００は、第１絶縁領域１０、電極バンド３０、第２絶縁領域である第２衣服部分５１、の３つのパーツに分けることができ、いわゆるモジュール的な発想で衣服１００を生産することができる。

　図３の構成を述べる。

　図３は、図２の構成に加え、第１滑り止め部材１４、第２滑り止め部材５２を備えた衣服である。第２絶縁領域５０は、第２衣服部分５１と滑り止め部材５２を有する。

　第１滑り止め部材１４は、第１衣服部分１１の下端に位置する。第１衣服部分１１は、電極ベルト３０と接し、かつ着用者の体と接する部分に、第１滑り止め部材１４を有する。第２滑り止め部材５２は、第２絶縁領域５０である第２衣服部分５１の上端に位置する。第２衣服部分５１は、電極ベルト３０と接し、かつ着用者の体と接する部分に、第２滑り止め部材５２を有する。

　図３に開示した実施形態から得られる技術的な効果を述べる。

　電極バンド３０および緩衝帯３５の上側、または電極バンド３０および緩衝帯３６の下側に滑り止め部材１４、滑り止め部材５２を設けたので、衣服１００へ上下方向に負荷がかかったとき、電極バンド３０を衣服１００の上下方向へ移動させる力を抑制できる。この結果、電極３２ａ、電極３２ｂの移動を抑制し、生体電位の検出精度を高められる。

　滑り止め部材１４、滑り止め部材５２は、いずれか一方だけでも電極の移動を抑制できるが、両方あれば電極の移動を抑制する効果が高まる。

　第１滑り止め部材１４は、第１絶縁領域１０と一体形成してもよい。第２滑り止め部材５２は、第２絶縁領域５０と一体形成してもよい。これらの場合、衣服１００は、第１絶縁領域１０、電極バンド３０、第２絶縁領域５０、の３つのパーツに分けることができ、いわゆるモジュール的な発想で衣服１００を生産することができる。

　以上、本発明の例示的な実施の形態の衣服について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。

　本国際出願は２０１８年８月７日に出願した日本国特許出願２０１８－１５５８２７号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願２０１８－１５５８２７号の全内容を本国際出願に援用する。

１００　衣服
１０　第１絶縁領域
１１　第１衣服部分
１２　袖部分
１３　襟部分
１４　第１滑り止め部材
３０　電極バンド
３１　バンド基材
３２ａ、３２ｂ　電極
３３　トランスミッタ
３４ａ、３４ｂ　導電部
３５、３６　緩衝帯
５０　第２絶縁領域
５１　第２衣服部分
５２　第２滑り止め部材

Claims (7)

1. 　衣服は、
   　電極を着用者の体に接触させるため、体の胴回り方向へ全周にわたって形成する電極バンドと、
   　前記電極バンドの上側へ全周にわたって形成する第１の絶縁領域と、
   　前記電極バンドの下側へ全周にわたって形成する第２の絶縁領域と、
   を備え、
   　前記電極バンドは、胴回り方向に伸縮性を有し、かつ前記胴回り方向とはほぼ垂直な縦方向への伸縮率が略ゼロであることを特徴とする衣服。
2. 　前記電極は、導電性繊維を含んだ導電性生地であり、
   　当該導電性生地は、胴回り方向に伸縮性を有し、かつ前記胴回り方向とはほぼ垂直な縦方向の伸縮率が略ゼロであることを特徴とする請求項１に記載の衣服。
3. 　前記電極バンドと前記第１の絶縁領域との連結部分、または前記電極バンドと前記第２の絶縁領域との連結部分は、緩衝帯であることを特徴とする請求項１または２に記載の衣服。
4. 　前記第１の絶縁領域または前記第２の絶縁領域において、着用者の体と前記連結部分に接する部分に、滑り止め部材を備えることを特徴とする請求項３に記載の衣服。
5. 　前記電極バンドの胴回り方向の伸縮率は、前記第１の絶縁領域の伸縮率および前記第２の絶縁領域の伸縮率よりも大きいことを特徴とする請求項１～４のいずれかに記載の衣服。
6. 　前記緩衝帯は、前記電極バンドに一体形成することを特徴とする請求項３～５のいずれかに記載の衣服。
7. 　前記電極は、前記電極バンドに一体形成することを特徴とする請求項１～６のいずれかに記載の衣服。

Images