WO2020008753A1 - 塗料 - Google Patents
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Abstract
塗料は、基本的な構成として亜鉛粉末および結着剤を含有して構成されている。この塗料に、水に対する溶解度が硫酸カルシウムより高い硫酸塩を含有させる。硫酸塩は、塗料によると膜における亜鉛(酸化亜鉛を含む)の消耗および塗膜に傷がついた場合の基剤の腐食を低減するための、塗料に対する添加剤である。硫酸塩の含有量は、亜鉛の含有量100gに対して0.004~0.65molとすることができる。また、硫酸塩の含有量は、塗膜の加熱残分(添加する硫酸塩は除く)100gに対して0.006~0.186molとすることもできる。
Description
本発明は、鋼材などの金属表面を保護するために用いられる塗料に関するものである。
金属材料(主に鋼)を腐食から守る防食塗料の1つにジンクリッチ塗料(ジンクリッチペイント)がある。ジンクリッチペイントは、亜鉛の粉末が高濃度(塗膜乾燥後70wt%以上)に配合された塗料であり、広く利用されている。ジンクリッチペイントは、高濃度に配合された亜鉛粉末により、塗膜に傷がついて基材の金属が露出した場合においても、亜鉛より貴な金属に対して犠牲防食作用が働く。また、ジンクリッチペイント中の亜鉛粉末から溶出した亜鉛イオンが露出部分で亜鉛の腐食生成物を形成して保護被膜となる。これらのように、ジンクリッチペイントは、亜鉛による犠牲防食作用や保護被膜作用による優れた防食効果が得られる塗膜が形成できる。
日本鉱業協会 鉛亜鉛需要開発センター編、「亜鉛ハンドブック改訂版」、p360頁、1993年。
日本塗料工業会 技術委員会 重防食塗料連絡会編、「重防食塗料ガイドブック第4版」、28頁、2013年。
三輪貴志、竹下幸俊、石井梓、「テクニカルレポート 塗装鋼板を用いた各種促進腐食試験・屋外暴露試験による腐食挙動の比較」、防蝕管理、 61、12、449-455頁、2017年。
N. S. Azmat et al., "Corrosion of Zn under acidifind marine droplets", Corrosion Science, vol. 53, pp. 1604-1615, 2011.
亜鉛めっき鋼構造物研究会、「溶融亜鉛めっきの耐食性,6.水中の耐食性」、[平成30年6月27日検索]、(https://jlzda.gr.jp/mekki/pdf/youyuu.pdf)。
三輪貴志, 石井梓, 小泉弘 著, 「塩害環境での亜鉛の大気腐食をより正確に再現する促進腐食試験溶液の検討」、材料と環境2018講演集、B-308、193-196頁、2018年。
上述したようにジンクリッチペイントは、犠牲防食作用および保護被膜作用などの優れた性能を有しているが、形成した塗膜中の亜鉛が腐食して消耗した後は、犠牲防食作用および保護被膜作用が働かなくなる。
また、ジンクリッチペイントの上に、エポキシ樹脂塗料の下塗り・中塗り塗料やポリウレタン樹脂・フッ素樹脂の上塗りなどの塗料を塗り重ねる場合は問題ないが、ジンクリッチペイントを単独で使用し、ジンクリッチペイントによる塗膜が大気に露出している場合、塗膜中の亜鉛粉末の腐食が進行し、この部分が、水・酸素・塩分等の腐食因子のパスとなり、腐食因子の遮断性が下がり防食性が低下していくことが、発明者らの研究により明らかになった。
従来、塗膜中の亜鉛粉末が腐食すると、塗膜中の空隙を亜鉛の腐食生成物が充填し、水・酸素・塩分などの腐食因子の遮断性は上がると考えられていた(非特許文献1,非特許文献2参照)。しかしながら、この従来の知見は、初期塗膜中に空隙のある無機ジンクリッチペイントに限定される事象と考えられる。有機ジンクリッチペイントの場合、初期塗膜中に空隙はなく、塗膜中の亜鉛が腐食して腐食生成物へと変化すると、この部分は水・酸素・塩分等の腐食因子のパスとなり、腐食因子の遮断性が下がることが、発明者らの研究により確認された。ジンクリッチペイントの塗膜が大気に露出している場合、塗膜中の亜鉛は塗膜表面から塗膜内部に向かって腐食が進行していき、亜鉛が腐食していない健全な部分の膜厚が薄くなっていく。
塗膜中の亜鉛の腐食による消費の対策として、亜鉛の腐食速度を下げることが考えられる。亜鉛の腐食速度が低下できれば、塗膜に傷がついた部分において、亜鉛による犠牲防食作用および保護被膜作用が長期間持続する。
また、亜鉛の腐食速度を下げることができれば、大気に露出している塗膜表面から塗膜内部への亜鉛の腐食の進行も遅くなるため、塗膜に傷がついていない部分においても、塗膜中の亜鉛が腐食して、塗膜の健全な部分の膜厚が薄くなっていく速度も下げることができる。
亜鉛の腐食速度を下げるために、アルミニウムやアルミニウム・マグネシウム合金などを添加したジンクリッチペイントなどが市販されている。また、亜鉛めっきよりも腐食速度の低い亜鉛系合金めっきがあり、これと同様に、ジンクリッチペイントに用いる粉末を、亜鉛よりも腐食速度の低い亜鉛系合金の粉末に変えることなどが考えられる。しかし、これらの技術はコストの上昇につながり、また、ジンクリッチペイントに適した粒子の形状・粒径に加工(製造)することが難しいなどの問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、コストの上昇を招くことなくより容易に製造が可能な塗料により、この塗膜における亜鉛の腐食速度が下げられるようにすることを目的とする。
本発明に係る塗料は、亜鉛粉末と、結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムより高い硫酸塩とを含有する。
本発明に係る塗料は、亜鉛粉末と、結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりもより高い硫酸塩とを含有する。
上記塗料の一構成例において、亜鉛粉末は、亜鉛に、アルミニウムおよびマグネシウムの少なくとも1つを含む亜鉛合金の粉末である。
上記塗料の一構成例において、硫酸塩の含有量は、亜鉛の含有量100gに対して0.004~0.065molとされている。
本発明に係る塗料は、結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりも高い硫酸塩とを含有する。
上記塗料の一構成例において、硫酸塩の含有量は、塗膜の加熱残分(添加する硫酸塩を除く)100gに対して0.006~0.186molとされている。
上記塗料の一構成例において、硫酸塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム 、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムの少なくとも1つである。
上記塗料の一構成例において、結着剤は、水溶性である。
上記塗料の一構成例において、結着剤は、水に分散可能とされている。
以上説明したように、本発明によれば、硫酸塩を添加するようにしたので、コストの上昇を招くことなくより容易に製造が可能な塗料により、この塗膜における亜鉛の腐食速度が下げられるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態に係る塗料について説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る塗料について説明する。実施の形態1に係る塗料は、ジンクリッチ塗料としてよく知られているように、基本的な構成として亜鉛粉末および結着剤を含有して構成されている。結着剤は、一般に、合成樹脂から構成されている。本発明では、この塗料に、水に対する溶解度が硫酸カルシウムより高い硫酸塩を含有させるようにした。また、硫酸塩は、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりも高いものとすることもできる。硫酸塩は、塗料による塗膜における亜鉛(酸化亜鉛を含む)の消耗および塗膜に傷がついた場合の基剤の腐食を低減するための、塗料に対する添加剤である。塗料に含有されている硫酸塩は、溶出可能な硫酸塩である。ただし、実施の形態1に係る塗料は、安息香酸および安息香酸の塩などを含まない。
はじめに、本発明の実施の形態1に係る塗料について説明する。実施の形態1に係る塗料は、ジンクリッチ塗料としてよく知られているように、基本的な構成として亜鉛粉末および結着剤を含有して構成されている。結着剤は、一般に、合成樹脂から構成されている。本発明では、この塗料に、水に対する溶解度が硫酸カルシウムより高い硫酸塩を含有させるようにした。また、硫酸塩は、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりも高いものとすることもできる。硫酸塩は、塗料による塗膜における亜鉛(酸化亜鉛を含む)の消耗および塗膜に傷がついた場合の基剤の腐食を低減するための、塗料に対する添加剤である。塗料に含有されている硫酸塩は、溶出可能な硫酸塩である。ただし、実施の形態1に係る塗料は、安息香酸および安息香酸の塩などを含まない。
ここで、上述した硫酸塩の含有量は、亜鉛の含有量100gに対して0.004~0.65molとすることができる。また、硫酸塩の含有量は、塗膜の加熱残分(添加する硫酸塩を除く)100gに対して0.006~0.186molとすることもできる。また、実施の形態1に係る塗料が含有する硫酸塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム 、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムの少なくとも1つである。また、硫酸塩は、水和物を用いても良く無水物を用いても良い。なお、結着剤は、例えば、水系塗料用にも値いられる水溶性の材料である。また、結着剤として、水に分散可能とされているものを用いることもできる。
以下、実験の結果を用いてより詳細に説明する。
[実験1]
はじめに、実験1について説明する。
はじめに、実験1について説明する。
[試料作製]
市販されているジンクリッチペイント(ローバル社「水性ローバル」)に硫酸マグネシウム七水和物(以下、硫酸マグネシウム)を添加して、実験1の試料とした。水性ローバルは、亜鉛粉末と水溶性の結着剤とを組成物とする塗料である。
市販されているジンクリッチペイント(ローバル社「水性ローバル」)に硫酸マグネシウム七水和物(以下、硫酸マグネシウム)を添加して、実験1の試料とした。水性ローバルは、亜鉛粉末と水溶性の結着剤とを組成物とする塗料である。
まず、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を0(無添加),1,2,4,8,16の重量比で混合した試料粉末6種類を作製した。
作製した試料粉末と水性ローバル塗料液とを、重量比4:1で混合して6種類の試料塗料を作製した。亜鉛粉末100に対して、硫酸マグネシウム4、8、16の重量比の試料塗料は、成膜(塗装)が困難であったため、規定量よりも溶媒(水)を多く使用した。非晶質シリカは、亜鉛粉末中で0.5%以下の割合であり、実質的に無視できる。
試料塗料を塗装する鋼板として、ブラスト処理による素地調整を施した「ブラストSS400鋼板」および塩化ナトリウム水溶液で腐食させた後、2種ケレン(ISO 8501 St3)で素地調整を実施した「腐食後2種ケレン鋼板」の2種類を利用した。いずれにおいても、平面視150×70(mm),厚さ3.2mmの板材とした。
各試料塗料は、塗布(塗装)量が250g/m2となるように重量を量り、刷毛塗りで鋼板に塗装した。乾燥した後、再度、250g/m2となるように重量を量り取り、刷毛塗りで各試料塗料を塗装(上塗り)し、塗装試料1~6とした。合計で、500g/m2塗装した。
・塗装試料1は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を0(無添加)とした塗料による試料である。
・塗装試料2は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を1の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料3は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を2の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料4は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を4の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料5は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を8の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料6は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を16の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料2は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を1の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料3は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を2の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料4は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を4の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料5は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を8の重量比で混合した塗料による試料である。
・塗装試料6は、水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸マグネシウム粉末を16の重量比で混合した塗料による試料である。
塗料が乾燥した後、塗膜が傷ついた部分への犠牲防食作用および保護被膜作用を評価するために、塗装試料1~6の各々について、下半分の領域に、小型刃のカッターナイフを用いて、鋼材に達する人工的な傷を「×」字状に付け「塗膜損傷部」を作製した。
塗膜損傷部を形成した各塗装試料1~6に対して、塩水噴霧、湿潤、乾燥を繰り返す、複合サイクル試験を実施した。複合サイクル試験の試験条件は非特許文献3に記載されているNTT式複合サイクル試験を960時間実施した。ただし、非特許文献4に記載されているように、海水で亜鉛が腐食すると、海水に含まれる硫酸イオンにより保護性の高いゴルダイト(Gordaite)が生成するが、非特許文献3の技術で用いている塩化ナトリウム水溶液には硫酸イオンが含まれず、ゴルダイトが生成しないため、ジンクリッチペイントの正確な性能評価のため、試験溶液は非特許文献3に記載の溶液ではなく、純水で6倍に希釈した人工海水を使用した。
[実験結果1]
実験1の実験結果1を以下の表1に示す。塗膜に発生したふくれの大きさは、「JIS K 5600-8-2」に従って観察して分類した。硫酸マグネシウムを添加していない塗装試料1と比較すると硫酸マグネシウムを添加したすべての塗装試料2~6で、ふくれの発生が顕著に軽減した。
実験1の実験結果1を以下の表1に示す。塗膜に発生したふくれの大きさは、「JIS K 5600-8-2」に従って観察して分類した。硫酸マグネシウムを添加していない塗装試料1と比較すると硫酸マグネシウムを添加したすべての塗装試料2~6で、ふくれの発生が顕著に軽減した。
塗膜損傷部の錆びについては、腐食の進行が進んだ順に、「流れ錆>赤錆>赤点錆>白錆」に分類した。亜鉛粉末100:硫酸マグネシウム16の重量比の塗装試料6は、分類上は無添加のものと同じ分類先となったが、無添加の塗装試料1よりも腐食が進行していることが確認された。一方、亜鉛粉末100:硫酸マグネシウム1~8の重量比の塗装試料2~5は、塗膜損傷部の錆びも軽減した。ふくれと錆びの両面から判断すると、亜鉛粉末100に対して硫酸マグネシウム2、4、8の重量比とした塗装試料2~5が性能のバランスが良かった。
[実験2]
次に、実験2について説明する。
次に、実験2について説明する。
[試料作製]
実験1で用いた硫酸マグネシウムを、実験2では硫酸ナトリウムに変更し、これを水性ローバルに添加して実験2の試料とした。
実験1で用いた硫酸マグネシウムを、実験2では硫酸ナトリウムに変更し、これを水性ローバルに添加して実験2の試料とした。
水性ローバルの亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸ナトリウム十水和物の粉末を5.23の重量比で混合した粉末を作製し、この粉末と水性ローバル塗料液とを、重量比4:1で混合して試料塗料を作製した。なお、実験1における亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、 硫酸マグネシウム(七水和物)粉末4の重量比の粉末と、硫酸イオンの物質量が同じになるように調整した。
実験1と同様に、鋼板に試料塗料を塗装して塗装試料7を作製し、作製した塗装試料7に塗膜損傷部を形成し、複合サイクル試験を実施した。
[実験結果2]
以下、実験2の実験結果2について説明する。実験1の塗装試料4と同様に、亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸ナトリウム十水和物の粉末を4.23の重量比で混合した実験2の塗装試料7は、塗装試料4とほぼ同じ結果が得られた。塗装試料4と塗装試料7とを比較観察すると、塗装試料4の方がやや防食性が高いが、塗装試料7においても無添加の場合と比較して、顕著に防食性が向上した。
以下、実験2の実験結果2について説明する。実験1の塗装試料4と同様に、亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100に対して、硫酸ナトリウム十水和物の粉末を4.23の重量比で混合した実験2の塗装試料7は、塗装試料4とほぼ同じ結果が得られた。塗装試料4と塗装試料7とを比較観察すると、塗装試料4の方がやや防食性が高いが、塗装試料7においても無添加の場合と比較して、顕著に防食性が向上した。
上述した2つの実験結果から、水溶性の硫酸塩であれば、何を用いても同様な効果が期待できること、マグネシウム塩の方が、ナトリウム塩よりやや防食効果が高いことがわかった。
実験1の塗装試料2~6における硫酸マグネシウムの添加量1~16の重量比は、molで示すと、亜鉛粉末(亜鉛+酸化亜鉛+非晶質シリカ)100gに対して0.004mol~0.065molとなる。従って、他の硫酸塩を添加する場合もこの範囲が望ましい。また、前述したように、塗装試料2~5が性能のバランスがよいことより、亜鉛粉末100gに対して0.008~0.032molの範囲がより望ましいものとなる。
硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムの添加で防食性が向上した理由は、亜鉛粉末から溶出する亜鉛イオンと、人工海水(≒海水)に含まれるナトリウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオンによって、防食性の高い、ゴルダイト[NaZn4(SO4)(OH)6Cl・6H2O]の保護被膜が形成されるためと考えられる(非特許文献4参照)。
海塩粒子が飛来する塩害地において、亜鉛の表面にはこのゴルダイトが生成すると考えられるが、発明者らは、ゴルダイトを意図的により多量に形成させることで、塗料の防食性を向上させることを検討した。亜鉛の腐食生成物として主なものとしては、ゴルダイトのほかに、紅亜鉛鉱[Zincite、ZnO]、水亜鉛土[Hydrozincite、Zn5(CO3)2(OH)6]、層状水酸化亜鉛塩化物[Simonkolleite、Zn5(OH)8Cl2・H2O]などができることが知られている。
主要な亜鉛の腐食生成物のうち、層状水酸化亜鉛塩化物とゴルダイトの2つが、塩化物イオンが存在しないと生成しない腐食生成物である。亜鉛を人工海水で腐食させて作製した亜鉛の腐食生成物について、メノウ乳鉢で粉末化し,X線回折分析(XRD分析)により,層状水酸化亜鉛塩化物のピーク強度(6.5°)に対するゴルダイトのピーク強度(11.0°)の比(ゴルダイト/層状水酸化亜鉛塩化物比)を求めた。用いたピーク位置は、近くに他の腐食生成物のピークがない位置より選択した。
亜鉛の腐食生成物は、作製した後、このままXRD分析に供したものと、作製した後、大量の純水で長時間洗浄した後XRD分析に供したものとを比較した。この比較の結果、洗浄なしの試料からは、ゴルダイトのピークが出現し、ゴルダイト/層状水酸化亜鉛塩化物比が約1となった。これに対し、洗浄後の試料では、ゴルダイトのピークが非常に小さくなり、ゴルダイト/層状水酸化亜鉛塩化物比は1/10程度の0.1まで低下していた。これらのことから、ゴルダイトは、層状水酸化亜鉛塩化物よりも水に溶けやすいことがわかった。
以上の結果より、発明者らは、海塩粒子により亜鉛が腐食し、ゴルダイトおよび層状水酸化亜鉛塩化物が析出する際のプロセスを以下のように考察した。
亜鉛が腐食した水溶液には、亜鉛イオンに加え、ナトリウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオン、その他多数の海水由来イオンが存在しているが、海水中には硫酸イオンよりも塩化物イオンの方が多量に存在しており、かつ、層状水酸化亜鉛塩化物の方が水に溶けにくく(≒溶解度積が低い)、析出しやすい。このことから、この水溶液が乾燥して、溶液の濃度が高まると、層状水酸化亜鉛塩化物の方が先に析出しはじめる。この、層状水酸化亜鉛塩化物の析出によって、溶液中の塩化物が消費され、塩化物イオンに対する硫酸イオンの割合が高まり、さらに水溶液が乾燥・濃縮した後に、ゴルダイトが析出する。
これらのことにより、海水以外からも硫酸イオンを供給すれば、ゴルダイトの割合が増え、亜鉛の防食性が向上し、亜鉛の腐食性が低下するため、従来技術の課題である経時的な塗料の性能低下が軽減できるものと発明者らは考え、塗料に水溶性の硫酸塩を添加することとした。
通常、塗料中に水溶性の塩を加えると、添加した塩は水中では電離してイオンとなり、水の導電性を上げる(電気抵抗を下げる)。このため、腐食の進行を促進する方向に働くというデメリットが考えられる。このため、塗料に水溶性の硫酸塩を加える場合、保護性の高いゴルダイトの割合が増えるメリットと、腐食反応における溶液抵抗が下がるデメリットのどちらが大きいかについては、発明者らが実験するまで、不明であったため、塗料に硫酸塩を加えることによって防食性が向上するものとは考えられておらず、容易に類推できるものではない。
また、海水に含まれる硫酸イオンにより、保護性の高い亜鉛の腐食生成物であるゴルダイトが形成されることは知られているが(非特許文献4)、層状水酸化亜鉛塩化物とゴルダイトの溶解度積に着目し、硫酸イオンを海水とは別に供給することで、通常(海水のみ)であれば、まだ層状水酸化亜鉛塩化物だけが析出して、ゴルダイトが形成されないような早い段階から、ゴルダイトを意図的に通常より多く析出させ、亜鉛の腐食速度を低下させることで、塗料の経時的な性能低下を軽減させることも、容易には類推できない。
また、亜鉛の腐食速度が低下しすぎると、第1に、塗膜損傷部において露出している鋼材(鉄)に対する防食電流が流れなくなり、犠牲防食作用が働かなくなり、第2に亜鉛イオンの塗膜損傷部への供給が少なくなり、塗膜損傷部を覆うように亜鉛の腐食生成物が形成されず、保護被膜作用も機能しなくなるために、防食性が低下する。
このように、亜鉛の腐食速度は下げ過ぎても良くないため、適度な腐食速度が必要であるが、水溶性の硫酸塩を添加した場合に、塗料中の亜鉛の腐食速度が、従来技術よりは腐食速度が低下するものの、塗膜損傷部において露出している鋼材(鉄)を無添加の場合よりも良好に防食できる程度の腐食速度となることは、本発明で初めて示しており、容易には推定できない。
また、本発明の硫酸塩を添加した塗料は塗膜が損傷していない部分に発生する、「ふくれ」も著しく軽減しているが、これは塗料塗膜中の亜鉛粉末の腐食が軽減できたのみならず、溶出した亜鉛イオンが、塗膜が損傷していない部分の塗膜上でもゴルダイトを形成し、それによって水・酸素・塩化物イオンといった腐食因子の遮断性を向上させているためと考えられる。このような「ふくれ」軽減の効果が得られることも容易には類推できない。
本発明に使う硫酸塩は、水に溶けて硫酸イオンを放出すれば良いため、水溶性のある硫酸塩であれば何でも良い。ゴルダイトの化学式はNaZn4(SO4)(OH)6Cl・6H2Oであり、Na、Clは海水中に豊富に含まれており、海水のpHは弱アルカリ性であるためOHも比較的豊富である。そのため残る、Zn、SO4を供給できる「硫酸亜鉛」を加えると最も効率的にゴルダイトを析出させられると考えられる。
なお、環境に対する影響を考慮し、また、比較的安価に入手できることを考慮すると、用いる硫酸塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムなどが好適である。
実験1,実験2の結果から、硫酸マグネシウムと硫酸ナトリウムを添加した場合、硫酸マグネシウムの方が、やや防食効果が高いことがわかった。ゴルダイトの化学式はNaZn4(SO4)(OH)6Cl・6H2Oであり、マグネシウムイオンはゴルダイトの析出に関係していない。非特許文献5に示されているように、マグネシウム塩類が亜鉛の腐食を抑制する効果の方が高いためと考えられる。非特許文献5ではマグネシウム塩類の他に、カルシウム塩類も亜鉛の腐食を抑制するとされており、硫酸カルシウムが好適に用いられることも容易に類推できる。
[実験3]
次に、実験3について説明する。
次に、実験3について説明する。
[試料作製3]
市販されているジンクリッチペイント(関西ペイント社「SDジンク500マイルド」)に硫酸カルシウム二水和物(以下、硫酸カルシウム)を添加して、実験3の試料とした。SDジンク500マイルドは、亜鉛粉末と結着剤とを主な組成物とする塗料(ジンクリッチ塗料)である。実験3では、試料として、塗料A、塗料B、塗料C、塗料D、塗料E、塗料F、塗料Gを作製した。
市販されているジンクリッチペイント(関西ペイント社「SDジンク500マイルド」)に硫酸カルシウム二水和物(以下、硫酸カルシウム)を添加して、実験3の試料とした。SDジンク500マイルドは、亜鉛粉末と結着剤とを主な組成物とする塗料(ジンクリッチ塗料)である。実験3では、試料として、塗料A、塗料B、塗料C、塗料D、塗料E、塗料F、塗料Gを作製した。
・塗料Aは、SDジンク500マイルドにおける、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の0wt%(無添加)となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Bは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の1wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Cは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の2wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Dは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の4wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Eは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の8wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Fは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の16wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Gは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の32wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Bは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の1wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Cは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の2wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Dは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の4wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Eは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の8wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Fは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の16wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Gは、SDジンク500マイルドの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の32wt%となるよう添加した塗料による試料である。
実験3では、硫酸カルシウムは水への溶解度が低いため、水を溶媒とするジンクリッチペイントの溶媒(水)に溶かして添加するのではなく、弱溶剤を溶媒とするジンクリッチペイントに粉末のまま分散させて添加した。また、実験3では硫酸カルシウム粉末の添加量を、亜鉛に対する重量比でなく、硫酸カルシウムを除く乾燥塗膜(加熱残分)に対する重量比で示した。市販の溶剤系のジンクリッチペイントの多くが、「亜鉛粉末と樹脂と溶剤が混合された液体」と「硬化剤」の組み合わせとなっており、正確な亜鉛の量が不明であるため、塗料説明書に記載のあるパラメータである加熱残分に対する重量比で硫酸カルシウムを添加した。実験3で用いたSDジンク500マイルドは、「JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイント2種」に準拠しているため、加熱残分中の金属亜鉛の量は、少なくとも70wt%以上である。なお、通常、有機ジンクリッチペイントの亜鉛含有量は70~90wt%程度である。
塗料A、塗料B、塗料C、塗料D、塗料E、塗料F、塗料Gを塗装する鋼板として、ブラスト処理による素地調整を施した「ブラストSS400鋼板」および塩化ナトリウム水溶液で腐食させた後、2種ケレン(ISO 8501-1 St3)で素地調整を実施した「腐食後2種ケレン鋼板」の2種類を利用した。いずれにおいても、平面視150×70(mm),厚さ3.2mmの板材とした。
塗料A、塗料B、塗料C、塗料D、塗料E、塗料F、塗料Gの各々は、塗布(塗装)量が320g/m2となるように重量を測り、刷毛塗りで鋼板に塗装した。乾燥した後、再度、320g/m2となるように重量を測り取り、刷毛塗りで各試料塗料を塗装(上塗り)し、塗料A、塗料B、塗料C、塗料D、塗料E、塗料F、塗料Gとした。全ての塗料(試料)の合計で、640g/m2塗装した。
硫酸カルシウムを添加したジンクリッチペイントを塗装して乾燥した後、塗膜が傷ついた部分への犠牲防食作用および保護被膜作用を評価するために、塗料A~Gの各々について、下半分の領域に、小型刃のカッターナイフを用いて、鋼材に達する人工的な傷を「×」字状に付け「塗膜損傷部」を作製した。
実験1と同様に、塗膜損傷部を形成した各塗料に対して、塩水噴霧、湿潤、乾燥を繰り返す、複合サイクル試験を実施した。複合サイクル試験の試験条件は非特許文献3に記載されているNTT式複合サイクル試験を2400時間実施した。ところで、非特許文献4に記載されているように、海水で亜鉛が腐食すると、海水に含まれる硫酸イオンにより保護性の高いゴルダイト(Gordaite)が生成する。しかしながら、非特許文献3の技術で用いている塩化ナトリウム水溶液には硫酸イオンが含まれていない。このため、実験3では、各塗料の正確な性能評価のため、試験溶液として、非特許文献3に記載の溶液ではなく、非特許文献6に記載の「新腐食試験溶液(pH5)」を使用した。
[実験結果3]
実験3の実験結果3を以下の表2に示す。硫酸カルシウムを添加していない塗料Aによる塗装試料と比較すると、硫酸カルシウムを添加したすべての塗料による塗装試料で、塗膜損傷部での赤錆の発生が顕著に軽減した。硫酸カルシウムを塗膜の加熱残分の重量の2~8wt%となるように添加した塗料C~Eの結果は、特に良好であった。硫酸カルシウムの添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の32wt%となるように添加した塗料Gは、塗膜損傷部での赤錆の発生はやや軽減したが、塗膜損傷部以外、特に塗料のエッジの部分において、塗料Aでは発生していない赤錆が発生した。
実験3の実験結果3を以下の表2に示す。硫酸カルシウムを添加していない塗料Aによる塗装試料と比較すると、硫酸カルシウムを添加したすべての塗料による塗装試料で、塗膜損傷部での赤錆の発生が顕著に軽減した。硫酸カルシウムを塗膜の加熱残分の重量の2~8wt%となるように添加した塗料C~Eの結果は、特に良好であった。硫酸カルシウムの添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の32wt%となるように添加した塗料Gは、塗膜損傷部での赤錆の発生はやや軽減したが、塗膜損傷部以外、特に塗料のエッジの部分において、塗料Aでは発生していない赤錆が発生した。
試料として作製した塗装(塗装試料)のエッジの部分は、他の部分より塗膜が薄いため、塗膜中に硫酸カルシウムが添加されていると、やがて、塗膜中の硫酸カルシウムが少しずつ溶出して、硫酸カルシウムがあった部分が空隙となる。このため、塗膜の薄い塗装試料のエッジの部分に硫酸カルシウムが偏って存在している部分があると、赤錆が発生しやすくなるものと推測される。上記塗装試料の断面を電子顕微鏡で観察したところ、塗膜中で硫酸カルシウムの分布が均一でない様子が観察された。従って、硫酸カルシウムの粒子径や分散剤・撹拌方法などを工夫することで、上記塗装試料を形成した塗料と同じ硫酸カルシウムの添加量でもより良い結果が得られることが推測される。
実験3では、硫酸カルシウムの添加量を塗膜の加熱残分の重量の1~32wt%になるように添加したが、これは、モル量でいうと、塗膜の加熱残分(添加する硫酸塩を除く)の重量100gに対して0.006~0.186molの硫酸カルシウムを添加している状態である。このため、硫酸カルシウム以外の硫酸塩を、溶剤系のジンクリッチペイントに添加する場合は、添加量を塗膜の加熱残分の重量100gに対して0.006~0.186molとなるように添加する。
また、硫酸カルシウム(二水和物)を塗膜の加熱残分の重量の2~8wt%となるように添加した塗装試料は、特に良好な結果が得られた。従って、硫酸カルシウムを除く塗膜の加熱残分の重量100gに対して0.011~0.047molの範囲における硫酸塩の添加が特に望ましい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る塗料について説明する。実施の形態2に係る塗料は、結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりも高い硫酸塩とを含有する。結着剤は、一般に、合成樹脂から構成されている。硫酸塩は、塗料による塗膜に傷がついた場合の基剤の腐食を低減するための、塗料に対する添加剤であり、実施の形態1と同様である。塗料に含有されている硫酸塩は、溶出可能とされている。実施の形態2に係る塗料は、実施の形態1とは異なり、亜鉛粉末を含まない。また、実施の形態2に係る塗料においても、安息香酸および安息香酸の塩などを含まない。
次に、本発明の実施の形態2に係る塗料について説明する。実施の形態2に係る塗料は、結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりも高い硫酸塩とを含有する。結着剤は、一般に、合成樹脂から構成されている。硫酸塩は、塗料による塗膜に傷がついた場合の基剤の腐食を低減するための、塗料に対する添加剤であり、実施の形態1と同様である。塗料に含有されている硫酸塩は、溶出可能とされている。実施の形態2に係る塗料は、実施の形態1とは異なり、亜鉛粉末を含まない。また、実施の形態2に係る塗料においても、安息香酸および安息香酸の塩などを含まない。
実施の形態2に係る塗料が含有する硫酸塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム 、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムの少なくとも1つである。また、硫酸塩は、無水物を用いても水和物を用いても良い。なお、結着剤は、例えば、水系塗料用にも値いられる水溶性の材料である。また、結着剤として、水に分散可能とされているものを用いることもできる。
実施の形態2に係る塗料によれば、例えば、亜鉛めっきや亜鉛溶射などの基材に塗る塗料として、コストの上昇を招くことなくより容易に製造が可能であり、基材における亜鉛の腐食速度が下げられるようになる。また、実施の形態2に係る塗料によれば、塗料に含まれている硫酸塩により、基材における亜鉛の腐食生成物による保護被膜が形成されるようになり、この保護被膜により塗装基材の腐食が抑制できるようになる。
実施の形態1では、ジンクリッチペイントに硫酸塩を添加した場合について説明してきたが、亜鉛めっきや亜鉛合金めっきが施された鋼材の上に、亜鉛粉末を含まず、硫酸塩を含む塗料を塗ることもできる。
亜鉛めっき鋼板は、形成されている塗膜、および亜鉛めっきに形成された傷が、亜鉛めっきの下の鋼材(鉄)にまで達すると、亜鉛より貴な金属(この場合は鉄)に対して犠牲防食作用が働く。また、亜鉛めっきから溶出した亜鉛イオンが、露出部分で亜鉛の腐食生成物を形成して保護被膜となる。
これらの亜鉛の防食効果は、ジンクリッチペイントと同じである。このような防食効果を有する亜鉛めっきの上の塗膜に硫酸塩が添加されていると、塗膜から硫酸塩が溶出し、硫酸イオンが供給されるようになる。この硫酸イオンが、亜鉛めっきから溶出した亜鉛イオンや、海塩由来の塩化物イオンやナトリウムイオンと反応し、保護性の高い亜鉛の腐食生成物であるゴルダイトが生成する。前述したようにゴルダイトは、海塩由来の硫酸イオンのみでも析出する。これに加え、水に溶解する硫酸塩が添加されている塗料を用いれば、塗膜およびめっきが傷ついた際により多くの硫酸イオンが塗膜およびめっきの損傷部へ供給され、ゴルダイトの析出量が多くなり、より高い保護被膜効果が得られる。
[実験4]
以下、実施の形態2における実験4について説明する。以下では、硫酸カルシウムを添加したエポキシ樹脂塗料(亜鉛粉末は含まない)を、HDZ35の亜鉛めっき鋼材(平面視150×70(mm),厚さ3.2mmの板材)に塗装した試料を用いた。
以下、実施の形態2における実験4について説明する。以下では、硫酸カルシウムを添加したエポキシ樹脂塗料(亜鉛粉末は含まない)を、HDZ35の亜鉛めっき鋼材(平面視150×70(mm),厚さ3.2mmの板材)に塗装した試料を用いた。
実験4では、市販されている弱溶剤変性エポキシ樹脂塗料(関西ペイント社「エスコNBマイルドH」)に硫酸カルシウム二水和物(以下、硫酸カルシウム)を添加した塗料をHDZ35の亜鉛めっき鋼材に塗装して、実験4の試料とした。エスコNBマイルドHの塗料密度は、実験3で用いたSDジンク500マイルドの塗料密度の約半分の値である。実験3では、SDジンク500マイルドに、加熱残分の重量の0~32wt%になるように硫酸カルシウムを添加して実験を行ったが、実験4では、エスコNBマイルドHに、実験3の半分の添加量となる加熱残分の重量の0~16wt%の添加量の試料を作製した。実験4では、試料として、塗料H、塗料I、塗料J、塗料K、塗料L、塗料Mを作製した。
・塗料Hは、エスコNBマイルドHにおける、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分の重量の0wt%(無添加)となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Iは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の1wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Jは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の2wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Kは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の4wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Lは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の8wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Mは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の16wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Iは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の1wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Jは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の2wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Kは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の4wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Lは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の8wt%となるよう添加した塗料による試料である。
・塗料Mは、エスコNBマイルドHの乾燥塗膜における、硫酸カルシウム粉末の添加量を塗膜の加熱残分(硫酸カルシウムを除く)の重量の16wt%となるよう添加した塗料による試料である。
各試料塗料は、塗布(塗装)量が320g/m2となるように重量を測り、刷毛塗りで鋼板に塗装して塗装試料とした。
塗料が乾燥した後、塗膜が傷ついた部分への犠牲防食作用および保護被膜作用を評価するために、各々の塗装試料について、下半分の領域に、小型刃のカッターナイフを用いて、塗膜および亜鉛めっき下の鋼材に達する人工的な傷を「×」字状に付け「塗膜損傷部」を作製した。
塗膜損傷部を形成した各塗装試料に対して、塩水噴霧、湿潤、乾燥を繰り返す、複合サイクル試験を実施した。複合サイクル試験の試験条件は非特許文献3に記載されているNTT式複合サイクル試験を2400時間実施した。ただし、非特許文献4に記載されているように、海水で亜鉛が腐食すると、海水に含まれる硫酸イオンにより保護性の高いゴルダイトが生成するが、非特許文献3の技術で用いられる塩化ナトリウム水溶液には硫酸イオンが含まれず、ゴルダイトが生成しない。このため、実験4では、塗料H、塗料I、塗料J、塗料K、塗料L、塗料Mによる塗装試料の正確な性能評価のため、試験溶液は非特許文献3に記載の溶液ではなく、非特許文献6に記載の「新腐食試験溶液(pH5)」を使用した。
[実験結果4]
実験4の実験結果4を以下の表3に示す。硫酸カルシウムを添加していない塗料Iによる塗装試料と比較すると、硫酸カルシウムを添加したすべての塗料による塗装試料で、塗膜損傷部での赤錆の発生が顕著に軽減した。硫酸カルシウムを塗膜の加熱残分の重量の1~4wt%となるように添加した塗料I,塗料J,塗料Kの結果は、特に良好であった。
実験4の実験結果4を以下の表3に示す。硫酸カルシウムを添加していない塗料Iによる塗装試料と比較すると、硫酸カルシウムを添加したすべての塗料による塗装試料で、塗膜損傷部での赤錆の発生が顕著に軽減した。硫酸カルシウムを塗膜の加熱残分の重量の1~4wt%となるように添加した塗料I,塗料J,塗料Kの結果は、特に良好であった。
実験4では、亜鉛めっき鋼材の上に、亜鉛を含まず、硫酸カルシウムのみを添加した変性エポキシ樹脂塗料を塗装した場合について説明したが、他の硫酸塩や変性エポキシ樹脂以外の結着剤を用いた塗料によっても、ゴルダイトが通常より多く生成し、同様の効果が得られることは明らかである。
また、実験4では、亜鉛めっきの上に、直接、硫酸カルシウムを添加した変性エポキシ樹脂塗料を塗装して実験の試料としたが、これに限るものではない。亜鉛めっき鋼材以外にも、例えば、亜鉛合金めっき鋼材、既にジンクリッチペイントが塗装されている鋼材、および亜鉛合金ダイキャストなど、亜鉛が含まれている層や素材の上に硫酸塩が含まれている塗料を塗装すれば、前述同様な効果が得られることは明らかである。また、鋼材に亜鉛溶射や亜鉛合金溶射を行い、この封孔処理に、硫酸塩を添加した塗料を用いることもできる。
加えて、亜鉛めっきやジンクリッチペイントなどの亜鉛を含む層と、硫酸塩を添加した塗料の層との間に、別の塗膜が形成されているようにすることもできる。例えば、既に塗装が形成されている亜鉛めっき鋼板の、形成されている塗装の上に、硫酸カルシウムを添加した変性エポキシ樹脂塗料を塗装することもできる。このように塗装した場合、塗膜およびめっきが損傷し、鋼材にまで達する傷がついた場合、硫酸塩を添加した塗料から溶出した硫酸イオンと、外部から供給される海塩粒子と、亜鉛めっきから溶出する亜鉛イオンにより、塗膜・めっき損傷部に通常より多くのゴルダイトが生成し、この部分の防食性が向上する。
また、通常、亜鉛めっきやジンクリッチペイントは、犠牲防食作用を得るために、鋼材(鉄)と亜鉛が電気的に導通している必要があるため、通常、鋼材に直接、亜鉛めっきないしジンクリッチペイントの塗装が施される。しかし、保護被膜効果を得るだけであれば、必ずしも亜鉛が鋼と電気的に導通している必要はなく、塗膜やめっきの損傷部に通常より多くの硫酸イオンと、亜鉛の腐食により生じる亜鉛イオンと、外部から供給される海塩成分があれば、通常より多くのゴルダイトが生成し、この部分の防食性が向上する。
例えば、鋼材の上にジンクリッチペイントを含まない塗装が既に形成されており、この塗膜を活膜として残し、この上に新たな塗料を塗装する場合、実験1~3で示したような、硫酸塩入りジンクリッチペイントを塗装する、もしくはジンクリッチペイントを塗装し、この上に亜鉛を含まない硫酸塩入り塗料を塗装することもできる。このような層構成の塗膜を形成すれば、塗膜が損傷した場合、犠牲防食効果は得られないが、保護被膜効果は得られる。
この場合、必ずしもジンクリッチペイントの塗膜が、基材の側で、硫酸塩入り塗料がこの上に形成されている必要はなく、硫酸塩入り塗料による塗膜が基材の側で、この上にジンクリッチペイントの塗膜が形成される層構成とすることもできる。また、硫酸塩入り塗料による塗膜とジンクリッチペイントの塗膜との間に、別の塗料による塗膜の層を挿入することもできる。また、基材の側に、ジンクリッチペイントの塗膜ではなく、亜鉛溶射や亜鉛合金溶射が施されている状態とすることもできる。
なお、通常ジンクリッチペイントとは、亜鉛粉末が70wt%以上添加されたものを示すが、これは、犠牲防食作用を得るため、鋼材と亜鉛粉末、および亜鉛粉末どうしが電気的に導通しやすくするため、亜鉛粉末を高濃度に添加する必要があるためである。しかし、保護被膜効果を得るだけであれば、硫酸塩を添加した塗料から溶出した硫酸イオンと、外部から供給される海塩粒子と、ジンクリッチペイントから溶出する亜鉛イオンにより、塗膜損傷部にゴルダイトが生成しさえすればよいため、亜鉛粉末の含有量は70wt%以上でなくてもよく、70wt%未満でも良い。
[実験5]
次に、実験5により、硫酸カルシウムよりも水溶性の低い硫酸塩を使った場合の効果について検証した。硫酸カルシウムの飽和水溶液の濃度は、20℃で0.0116mol/Lであるため、硫酸カルシウムを含む塗膜に水が長時間接すると、硫酸イオンおよびカルシウムイオンの濃度は最大で0.0116mol/Lとなる。この水に、海塩由来のナトリウムイオンや塩化物イオン等も加わった状態から、乾燥する際にゴルダイトが析出し、その結果、防食性が向上すると考えられる。
次に、実験5により、硫酸カルシウムよりも水溶性の低い硫酸塩を使った場合の効果について検証した。硫酸カルシウムの飽和水溶液の濃度は、20℃で0.0116mol/Lであるため、硫酸カルシウムを含む塗膜に水が長時間接すると、硫酸イオンおよびカルシウムイオンの濃度は最大で0.0116mol/Lとなる。この水に、海塩由来のナトリウムイオンや塩化物イオン等も加わった状態から、乾燥する際にゴルダイトが析出し、その結果、防食性が向上すると考えられる。
そこで、硫酸カルシウムを溶解し、硫酸イオンおよびカルシウムイオン濃度が、ゼロおよび、硫酸カルシウムの飽和水溶液(0.0116mol/L)の約1/16(0.000725mol/L)、1/8(0.00145mol/L)、1/4(0.0029mol/L)、1/2(0.058mol/L)の濃度になるように、7g/L塩化ナトリウム水溶液に硫酸カルシウムを溶解した水溶液を用いて、非特許文献3に記載されているNTT式複合サイクル試験を240時間実施し、亜鉛板を腐食させ、その腐食量を測定した。
[実験結果5]
実験5の実験結果5を以下の表4に示す。硫酸カルシウム濃度がゼロの場合の亜鉛の腐食量を100としてすると、硫酸カルシウム濃度0.000725mol/Lでは大きな変化がなかったものの、0.00145mol/Lでは腐食量が有意に低下することがわかった。
実験5の実験結果5を以下の表4に示す。硫酸カルシウム濃度がゼロの場合の亜鉛の腐食量を100としてすると、硫酸カルシウム濃度0.000725mol/Lでは大きな変化がなかったものの、0.00145mol/Lでは腐食量が有意に低下することがわかった。
表4に示されているように、硫酸イオンの濃度が0.00145mol/L以上の場合(硫酸カルシウムの飽和濃度の約1/8以上の場合)、亜鉛の腐食速度が有意に低下している。このことから、硫酸塩の水に対する溶解度は、硫酸カルシウムより低くてもよく、常温で0.00145mol/Lよりも水への溶解度が高い硫酸塩が存在すれば、この硫酸塩を添加した塗料を、亜鉛を主成分とする塗装表面(塗膜表面)に塗装することで、硫酸塩を添加しない場合と比較して防食性向上の効果が得られることがわかった。
実験5の結果から、常温で硫酸カルシウムの1/8よりも水溶性が低い(難溶性)の硫酸塩は、硫酸イオンを十分に供給できないと考えられる。硫酸カルシウムの水への溶解度は、0.24g/100ml(20℃,無水物)0.2g/100ml(20℃,二水和物)である。従って、硫酸カルシウムの水への溶解度の1/8以上の水溶性を有する硫酸塩であれば好適に利用できる。
ここで、重要なのは硫酸イオン濃度であるため、水溶性が硫酸カルシウムの1/8以上というのは、硫酸塩が単位体積あたりの水にとける重量ではなく、モル量である。したがって、硫酸カルシウム二水和物(分子量172.17)の水への溶解度、0.2g/100ml(2g/L)の1/8以上の硫酸塩とは、本発明では常温で2g/L÷172.17=0.0116mol/Lの1/8以上、すなわち0.00145mol/L以上の水溶性を示す硫酸塩を指す。
なお、硫酸カルシウムは水溶性が20℃で約0.2%と低いため、水溶性が高い硫酸塩よりも硫酸イオンを少しずつ、長期間に亘って供給できる。硫酸カルシウムの1/8未満の水溶性(難溶性)の硫酸塩は硫酸イオンを十分に供給できないため、本発明の用途には不適である。
水溶性が低い硫酸カルシウムは、水溶性の結着剤が用いられて溶媒を水とする水性塗料に添加すると、溶媒(水)に溶けきれない部分が粒状になり、塗装が困難になる。一方、有機系の結着剤が用いられて溶媒を有機溶剤とする塗料に対しては、亜鉛粉末と同様、溶媒に溶けない体質顔料として硫酸カルシウムを添加することができる。溶媒が有機溶剤の塗料には、硫酸カルシウム以外の硫酸塩も体質顔料として添加することができる。
また、本発明においては、水溶性のある硫酸塩であれば、好適に利用できるが、添加する硫酸塩はいずれか1種類ではなく、複数の硫酸塩を組み合わせて添加することなども容易に類推できる。ところで、本発明では、硫酸イオンが少しずつ、長期にわたって供給されることが重要となる。水溶性が高すぎる硫酸塩を用いると、硫酸イオンが短期に発生し、この後は硫酸イオンの供給ができなくなる。
例えば、実験1で用いた硫酸マグネシウムを添加した試料は、NTT式複合サイクル試験を960時間実施した後でも、無添加の試料より良好に防食されていたが、480時間実施時には無添加の試料と比較して、その効果がより顕著であった。これは、硫酸マグネシウムの水溶性が高いため、試験中に塗膜の損傷部や表面付近の硫酸マグネシウムが短時間で溶出して減少し、試験の途中からは硫酸イオンが十分に供給されなくなり、無添加の試料に対するアドバンテージが、小さくなったものと考えられる。硫酸マグネシウム七水和物は分子量が246.48で水への溶解度が71g/100ml(20℃)であるから、水への溶解度をmol/Lで示すと、2.88mol/L(20℃)である。したがって、硫酸マグネシウムよりも長期にわたって効果を得ようとした場合、硫酸塩の水に対する溶解度は、2mol/L(20℃)以下とすることが好ましい。
また、実験3および実験4で用いた硫酸カルシウムはNTT式複合サイクル試験2400時間実施時でも無添加の試料と比較して、その効果がより顕著であった。硫酸カルシウム二水和物の水に対する溶解度は0.2g/100mL(20℃)であるから、水への溶解度をmol/Lに直すと、0.0116mol/L(20℃)である。したがって、硫酸マグネシウムよりも長期にわたって効果を得ようとした場合、より望ましくは、硫酸塩の水に対する溶解度は、0.1mol/L(20℃)以下とすることが好ましい。
また、硫酸カルシウムを用いるかわりに、硫酸カルシウム以外の硫酸塩とカルシウム塩の組合せを用いることも考えられる。例えば、硫酸ナトリウムと水酸化カルシウムの組合せを用いた場合、試料が腐食する際には、硫酸カルシウムを用いた場合と同様に硫酸イオンとカルシウムイオンが供給され,同様な効果(ゴルダイトの析出量が増加し、防食性が向上)が得られる。しかし、前述の水への溶解度の観点より、硫酸ナトリウムと水酸化カルシウムの水への溶解度は硫酸カルシウムより高いため、降雨などにより溶出して失われやすく、硫酸カルシウムを用いた場合よりも、短時間で効果が失われるため、望ましくない。
また、飛来海塩による塩害地域では、ナトリウムイオンは豊富に供給されるが、融雪剤による塩害地域の場合、融雪剤は塩化カルシウムや塩化マグネシウムが用いられることが多い。この場合、ナトリウムが含まれないため、塗料やジンクリッチ塗料中に硫酸カルシウムのみを添加した場合、ゴルダイト[NaZn4(SO4)(OH)6Cl・6H2O]の生成に必要なナトリウムイオンが供給されず、防食性が向上しない。これを防ぐためには、ナトリウムイオンを放出する塩を添加する。
しかし、硫酸ナトリウムの水溶性は高いため、硫酸ナトリウムのみを添加すると、硫酸塩を添加した部分が短期間で空隙となってしまい、塗膜として酸素、水、塩分を遮断するバリア性が低下してしまう。これに対しては、硫酸ナトリウムの割合を減らすために、硫酸ナトリウムと硫酸カルシウムの混合粉末や、グラウバーライト[Na2Ca(SO4)2]のような複数の陽イオンを放出できる硫酸塩を用いても良いことは容易に類推できる。もしくは、ナトリウムを含まない低水溶性の硫酸塩(例えば硫酸カルシウム)と硫酸塩以外の低水溶性のナトリウム塩の混合粉末が適用可能であることも容易に類推できる。
また、硫酸ナトリウムを適度な水溶性を有するカプセルに入れたものと、硫酸カルシウム粉末とを混合させて用いれば、カプセルに入れた硫酸ナトリウムは粉末のまま混合するよりも、少しずつナトリウムイオンを供給することができ、より長期に効果を得られることも容易に類推できる。
また、本発明においては、硫酸塩の水和物(硫酸マグネシウム七水和物、硫酸ナトリウム十水和物、硫酸カルシウム二水和物)を利用したが、水に溶けて硫酸イオンを生じることができれば良いため、添加する硫酸塩は無水物を用いても良く、n水和物のnの値が異なる硫酸塩を用いても良いことは容易に類推できる。
また、本発明ではジンクリッチ塗料として、ローバル社の水性ローバルおよび関西ペイント社のSDジンク500マイルドを用いて実験を行ったが、高濃度に亜鉛粉末が配された塗料(塗料)であれば、バインダの種類や、亜鉛粉末以外の含有物の種類に関係なく、同様の効果が得られることは容易に類推できる。また、亜鉛めっきの上に塗装する、亜鉛粉末を含まない塗料として、関西ペイント社のエスコNBマイルドHを用いて実験を行ったが、バインダの種類に関係なく、同様の効果が得られることは容易に類推できる。
またジンクリッチペイントに用いる亜鉛粉末には、耐食性向上を目的として、亜鉛に少量のアルミニウムやマグネシウムを添加した亜鉛合金の粉末を用いる場合がある。このような亜鉛を主とする合金を用いて作製された粉末を用いるジンクリッチペイントであれば、通常のジンクリッチペイントと同じように、亜鉛合金の腐食によっても亜鉛イオンが放出されるため、本発明を用いることで、同様の効果が得られることは容易に類推できる。
また、前述した実施の形態2の実験では、亜鉛めっき鋼板の上に亜鉛粉末を含まず、硫酸カルシウムだけを含む塗料を塗装した場合について説明したが、亜鉛めっき以外にも亜鉛を主成分とする被塗物(亜鉛合金めっき、亜鉛合金ダイキャストなど)の上に塗装した場合、本発明を用いることで、同様の効果が得られることは容易に類推できる。
また、本発明では硫酸塩を粉末のまま塗料に添加したが、硫酸塩の粉末と水溶性のカプセルに入れた硫酸塩を混在させておけば、水溶性のカプセルに入れた硫酸塩は時間遅れで硫酸イオンの供給源になり、より長期に効果を得られることも容易に類推できる。
以上に説明したように、本発明によれば、硫酸塩を添加するようにしたので、コストの上昇を招くことなくより容易に製造が可能な塗料により、この塗膜における亜鉛の腐食速度が下げられるようになる。
本発明によれば、塗料(亜鉛粉末を含有するもの)を単独で使用する場合であっても、塗膜中の亜鉛粉末の腐食を軽減できるのみならず、溶出した亜鉛イオンが、塗膜損傷部の露出した基材(鋼)の上のみではなく、塗膜が損傷していない部分の塗膜上でもゴルダイトを形成し、これによって水・酸素・塩化物イオンといった腐食因子の遮断性を向上させるため、塗膜が損傷していない部分でのふくれの発生も軽減できる。
従来用いられてきた塗料よりも亜鉛の腐食速度が遅く、経時的な性能低下が進みにくいことから、この塗料を採用した塗装系は、より長寿命・高防食となる。この結果、塗り替え間隔が長期化でき、鋼構造物の保守コストを低減できる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
Claims (9)
- 亜鉛粉末と、結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムより高い硫酸塩とを含有する塗料。
- 亜鉛粉末と、結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりもより高い硫酸塩とを含有する塗料。
- 請求項1または2記載の塗料において、
前記亜鉛粉末は、亜鉛に、アルミニウムおよびマグネシウムの少なくとも1つを含む亜鉛合金の粉末であることを特徴とする塗料。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の塗料において、
硫酸塩の含有量は、亜鉛の含有量100gに対して0.004~0.065molとされている
ことを特徴とする塗料。 - 結着剤と、水に対する溶解度が硫酸カルシウムの1/8よりも高い硫酸塩とを含有する塗料。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の塗料において、
硫酸塩の含有量は、塗膜の加熱残分(添加する硫酸塩を除く)100gに対して0.006~0.186molとされている
ことを特徴とする塗料。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の塗料において、
硫酸塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム 、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムの少なくとも1つである
ことを特徴とする塗料。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の塗料において、
前記結着剤は、水溶性であることを特徴とする塗料。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の塗料において、
前記結着剤は、水に分散可能とされていることを特徴とする塗料。
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