WO2019098225A1 - 音響用振動板およびそれを用いたスピーカ - Google Patents

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知之 鈴木
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R7/00Diaphragms for electromechanical transducers; Cones
    • H04R7/02Diaphragms for electromechanical transducers; Cones characterised by the construction

Definitions

  • the acoustic characteristics of the acoustic diaphragm provided with the base material are improved by appropriately enlarging the crystal grain size of the base material of magnesium base alloy to improve the damping property, that is, the internal loss. Findings were also obtained. In particular, suppression of unnecessary resonance in all bands is remarkable, and an acoustic device (speaker) using the diaphragm according to the present invention is excellent in transient characteristics in all bands, can reduce distortion and has a good sound. Can be generated.
  • the present invention based on the above findings is as follows.
  • the substrate obtained from the fifth heat treatment of a 150 ⁇ m thick base material made of magnesium alloy AZ31 is sectioned in the thickness direction along the direction perpendicular to the rolling direction and observed with an optical microscope It is a figure which shows the result. It is a figure which shows the result of having observed the cross section obtained by cut
  • the speaker 30 of the present invention is incorporated in a rear tray or a front panel, and is used as a part of a car navigation system or a car audio system to constitute an automobile 50.

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Abstract

マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を観察したときに、観察される結晶の最大結晶粒径が熱処理によって大きくなっていることを特徴とする音響用振動板は音響特性に優れる。最大結晶粒径の粒径は50μm以上であることが好ましく、マグネシウム基合金の基材を含む部分の損失正接が0.0056以上であることが好ましい。

Description

音響用振動板およびそれを用いたスピーカ
 本発明は、軽量であって高い表面硬度を有するマグネシウム基合金の基材を備え、音響特性に優れた音響用振動板およびそれを用いたスピーカに関するものである。
 音響用振動板用の材料として、アルミ、チタン、マグネシウム、紙、プラスチック等、種々の材料が用いられている。マグネシウムは、これら材料中の実用金属材料として最も軽くかつ適度な硬度を持っており、振動の減衰性が高い(内部損失が高い)という優れた特性を持っている。特に、純マグネシウムは振動板として用いる実用金属の中で最も内部損失が高く、減衰性に優れており、音響特性が良いと言われている。
 しかしながら、純マグネシウムは、非常に減衰率が高いが、基材としての絞り性、加工性の難しさにより、十分に普及されているとは言えない。一方、純マグネシウムの基材との対比で、マグネシウム基合金の基材は、加工性、進展性が良好であるため、マグネシウム基合金を含む基材を有する部分を備える振動板(例えば特許文献1参照。)は、一定程度市場に投入されつつある。
特開2017-92786号
 マグネシウム基合金は合金である性質上、マグネシウム以外の含有する成分が含まれるため、純マグネシウムほど内部損失を高めることは困難である。また、マグネシウム基合金の基材は、その加工性、進展性を向上させるために基材を製造する段階で結晶粒形を微細化している。基材に対して成形加工、つまり、絞り加工などの形状付与加工などを行って振動板として用いた場合には、さらに減衰率、内部損失の低下を招き、本来マグネシウム基合金が有する、振動板としての適性を大きく損なっていた。結果、マグネシウム基合金を含む基材を備える音響用振動板を用いたスピーカ等の音響装置は、聴感上の音質が悪い、不要共振が起きやすいなど、音響特性上課題が多かった。
 そこで、本発明は、マグネシウム基合金の基材を有する部分を備え、音響特性に優れる音響用振動板およびそれを用いたスピーカを提供することを目的とする。
 本発明者らが鋭意検討した結果、マグネシウム基合金を含む基材について、結晶粒径がある程度大きくなると、内部損失が大きくなるとの新たな知見を得た。例えば熱処理などによって結晶粒径を大きくすることは原理的には可能であるが、マグネシウム基合金の基材は酸化しやすく、熱処理における加熱温度を高めたり加熱時間を長くしたりすると、変形してしまうことがあった。
 マグネシウム基合金の基材の結晶粒径を適切に肥大化させて制振性、即ち内部損失を向上させることにより、その基材を備える音響用振動板の音響特性が改善されるとの新たな知見も得られた。特に、全帯域での不要共振の抑制が顕著であり、本発明に係る振動板を用いてなる音響装置(スピーカ)は、全帯域で過渡特性に優れ、歪が低減できて切れの良いサウンドを発生させることができる。
 以上の知見に基づく本発明は次のとおりである。
(1)マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を観察したときに、観察される結晶の最大結晶粒径が熱処理によって大きくなっていることを特徴とする音響用振動板。
(2)マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材の損失正接が熱処理によって大きくなっていることを特徴とする音響用振動板。
(3)前記振動板は、成形工程を経て得られる振動板であって、前記熱処理は前記成形工程の後に行われることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の音響用振動板。
(4)前記結晶の最大結晶粒径が40μm以上であることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の音響用振動板。
(5)前記結晶の最大結晶粒径が70μm以上であることを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の音響用振動板。
(6)前記基材の損失正接が0.0056以上である、上記(1)または上記(2)に記載の音響用振動板。
(7)マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材の損失正接が0.0056以上であることを特徴とする音響用振動板。
(8)マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を観察したときに、観察される結晶の最大結晶粒径が40μm以上であることを特徴とする音響用振動板。
(9)マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を観察したときに、観察される結晶の最大結晶粒径が70μm以上であって、損失正接が0.0056以上であることを特徴とする音響用振動板。
(10)前記マグネシウム基合金は、Mg-Al-Zn系合金であることを特徴とする上記(1)から上記(9)のいずれかに記載の音響用振動板。
(11)前記音響用振動板は、厚みが5μm以上2mm以下であることを特徴とする上記(1)から上記(10)のいずれかに記載の音響用振動板。
(12)前記音響用振動板は、厚みが5μm以上500μm以下であることを特徴とする上記(11)に記載の音響用振動板。
(13)磁気回路と、前記磁気回路に結合されたフレームと、前記フレームの外周部に結合された上記(1)から上記(12)のいずれかに記載の音響用振動板と、前記音響用振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路から発生する磁束の作用範囲内に配置されたボイスコイルとを備えたスピーカ。
 本発明によれば、マグネシウム基合金の基材を有する部分を備え音響特性に優れる音響用振動板およびそれを用いたスピーカが提供される。
厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材について圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材の図1とは異なる場所において圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材について圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第1熱処理して得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第1熱処理して得られた基材における図4とは異なる場所について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第1熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第2熱処理して得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第2熱処理して得られた基材における図7とは異なる場所について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第2熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第3熱処理して得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第3熱処理して得られた基材における図10とは異なる場所について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第3熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第4熱処理して得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第4熱処理して得られた基材における図13とは異なる場所について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第4熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ45μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材について圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ45μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材の図16とは異なる場所において圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ45μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材について圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ45μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第5熱処理して得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ45μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第5熱処理して得られた基材における図19とは異なる場所について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ45μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第5熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ150μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材について圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ150μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材の図22とは異なる場所において圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ150μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材について圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ150μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第5熱処理して得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ150μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第5熱処理して得られた基材における図25とは異なる場所について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ150μmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第5熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91からなる基材について圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91からなる基材について圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91からなる基材を、第6熱処理して得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91からなる基材を、第6熱処理して得られた基材における図30とは異なる場所について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91からなる基材を、第6熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなり異なる熱処理を行って得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察して結晶の最大粒径を測定した結果(最大結晶粒径、単位:μm)と、損失正接tanδとの関係を示すグラフである。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31の基材について、音響特性を測定した結果を示すグラフ(ウォーターフォール)である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなり第3熱処理が施された基材について、音響特性を測定した結果を示すグラフ(ウォーターフォール)である。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91の基材について、振動減衰時間を測定した結果を示すグラフである。 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91からなり第6熱処理が施された基材について、振動減衰時間を測定した結果を示すグラフである。 本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図である。 本発明の一実施の形態における電子機器の外観図である。 本発明の一実施の形態における装置の断面図である。 厚さ2mmのマグネシウム合金AZ31からなる基材について圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ2mmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第1熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ2mmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第2熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ2mmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第3熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ2mmのマグネシウム合金AZ31からなる基材を、第4熱処理して得られた基材について、圧延方向に直交する方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察した結果を示す図である。 厚さ2mmのマグネシウム合金AZ31からなり異なる熱処理を行って得られた基材について、圧延方向に沿って厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡で観察して結晶の最大粒径を測定した結果(最大結晶粒径、単位:μm)と、損失正接tanδとの関係を示すグラフである。 厚さ2mmのマグネシウム合金AZ31からなり異なる熱処理を行って得られた基材について測定した、損失正接tanδの温度依存性関係を示すグラフである。
 本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。
 本発明の一実施形態に係る音響用振動板は、マグネシウム基合金の基材を有する部分を備える。具体的には、この部分は振動板の少なくとも振動板部を含み、好ましくは、振動板全体がマグネシウム基合金の基材を有する。
 マグネシウム基合金の基材を用いて音響用振動板を製造するためには、一般的にプレス加工などの成形加工が行われる。この成形加工性を適切に確保する(成形加工時に割れ、ひび、ピンホールなどが発生しないようにする)観点から、マグネシウム基合金の基材は優れた展伸性を有していることが求められる。この要請に応えるために、通常、マグネシウム基合金の基材は、結晶粒を細かく微細(一般的には長軸の長さとして20μm程度以下)な結晶粒サイズにすることが行われている。
 本発明の一実施形態に係る音響用振動板が備えるマグネシウム基合金の基材を有する部分は、微細結晶の圧延材を用いてプレス加工などの成形加工した後、熱処理により結晶粒を肥大化させることにより、内部損失(損失正接tanδ)が適切に高められている。熱処理の種類は限定されない。上記のように成形加工を経た基材を加熱することを含む処理(アニール処理)でもよいし、微細結晶の圧延材を成形加工する過程で圧延材を加熱することにより結晶粒を肥大化させる熱処理を行ってもよい。結晶粒が小さい方が成形加工性に優れる傾向があるため、成形加工では加熱温度を300℃未満として結晶粒の成長が抑制された状態とすることが好ましい。これらの熱処理における基材の最大到達温度やその温度での保持時間は、所望の大きさに結晶粒が肥大化されるように適宜設定される。限定されない例示を行えば、最大到達温度は300℃から600℃の範囲に設定され、その温度での保持時間は10分から20時間の範囲に設定される。熱処理の雰囲気は、基材の酸化を抑制する観点から、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気とすることが好ましい。
 熱処理により基材の結晶粒を肥大化させることは金属材料において良く知られた方法であるが、マグネシウム基合金はマグネシウムが酸化しやすいため、熱処理における加熱温度を高めると、変形や変色が起こってしまう可能性が高くなる。このため、熱処理における加熱の温度を過度に高めることは現実的に困難である。熱処理を行ってマグネシウム基合金の基材の結晶粒を肥大化させることで、内部損失(損失正接tanδ)を向上させることができるが、後述する実施例において詳細に示すように、マグネシウム基合金の微細結晶の圧延材から形成された基材の場合には、結晶粒の肥大化の程度がある程度進行してから内部損失の増加傾向が顕在化する傾向がある。具体的には、マグネシウム基合金の基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を金属顕微鏡などにより観察したときに、最大結晶粒径が25μm以上となると、内部損失(損失正接tanδ)の増大する傾向がみられるようになり、最大結晶粒径が40μm以上となるとこの傾向が強くなる。最大結晶粒径が50μm以上となるとこの傾向が顕著となって、内部損失は0.0050以上となり、最大結晶粒径が60μm以上となるとこの傾向がさらに顕著となる。そして、最大結晶粒径が70μm以上となるとこの傾向が特に顕著となって内部損失は0.0056以上の値となり、良好な減衰性を有する振動板が得られる。なお、本明細書において、「最大結晶粒径」とは、断面を観察した際に、画像内で最も大きな長軸長を有する結晶の長軸長をいう(単位:μm)。換言すれば、「最大結晶粒径」とは、断面を観察した際に、観察画像内に位置する結晶のうち、結晶を横切って引くことができる直線の長さが最大となる結晶に引かれた直線の最大長さを意味する。
 マグネシウム基合金の種類は限定されない。マグネシウム基合金としては、例えばMg-Al-Zn系合金、Mg-Zn-Zr系合金、Mg-Al系合金、Mg-希土類元素系合金などがある。Mg-Al-Zn系合金としては、具体的にAZ31A、AZ31B、AZ31C、AZ61A、AZ80A、AZ91などがある。Mg-Zn-Zr系合金としては、具体的にZK51A、ZK61A、ZK60、M6、M5、M4などがある。Mg-Al系合金としては、具体的にAM100Aなどがある。Mg-Li-Zn系合金としては、LZ91などがある。
 本発明の一実施形態に係る音響用振動板が備えるマグネシウム基合金の基材の厚さは限定されない。一般的な傾向として、厚さが薄いほどマグネシウム基合金の基材を備える音響用振動板が軽くなり、スピーカの能率向上や高音域の再生能力が良好となる。したがって、マグネシウム基合金の基材の厚さは、1mm以下の部分を有することが好ましい場合があり、500μm以下の部分を有することがより好ましい場合がある。ただし、低音域の再生能力を重視するスピーカや大音量で再生するスピーカに用いられる場合には、マグネシウム基合金の基材の厚さが1mmを超える(2mm程度が具体例として挙げられる。)部分を有するものが用いられる場合がある。そのような場合であっても、最大結晶粒径を40μm程度以上とすることにより、内部損失が大きくなって、音響特性に優れるスピーカを得ることができる。この場合には、マグネシウム基合金の基材の厚さは3mm程度まで達してもよい。その一方で、マグネシウム基合金の基材の厚さが5μm未満だと、結晶粒を肥大化するための熱処理等の工程で酸化や変形が起こる可能性がある。したがって、マグネシウム基合金の基材の厚さは5μm以上が望ましい。
 マグネシウム基合金の基材について、組成や厚さが異なる場合であっても、熱処理における条件を適切に設定して最大結晶粒径を25μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは60μm以上、特に好ましくは70μm以上とすることにより、内部損失(損失正接tanδ)が効率的に高まり、音響特性に優れる振動板とすることができる。
 以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。本発明は、他の一態様において、マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板の製造方法であって、前記基材の形状加工を行う成形工程と、前記成形工程を経た成形品に対して、加熱を含むアニール処理を行うアニール工程とを備える製造方法である。アニール処理における最大到達温度は300℃から600℃の範囲とすることが好ましい。前記成形加工は前記基材の加熱を含む製造方法であってもよく、その加熱温度は300℃未満とすることが好ましい。
 以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
 また、図面の一部は、本開示を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
(実施の形態1)
 図1から図32は、マグネシウム合金の圧延材からなる基材の断面を観察した結果を示す図である。いずれの基材についても、次のようにして得られた断面を観察し、いくつかの断面(図2、図5、図8、図11、および図14)については最大結晶粒径(各図中、両矢印)を測定した。
(1)基材を厚さ方向に沿って切断し、樹脂に埋め込む。
(2)番手の異なる耐水研磨紙(#320、#500、#1000、および#2000)を段階的に用いて、研磨する。
(3)粒径の異なるダイヤモンドペースト(粒径:9μmおよび3μm)を段階的に用いてバフ研磨する。
(4)コロイダルシリカを用いて研磨する。
(5)酢酸20mL、蒸留水20mL,64%ピクリン酸を適量溶解したエタノール溶液50mLを混合して調製した腐食液に、上記のようにして用意した断面を3~5秒間接触させ、その後、水洗、乾燥する。
(6)金属顕微鏡(ニコンインスティック社製、倒立型金属顕微鏡「TME300U-NR」)にて観察する。
(7)断面画像において長軸長が最大となる結晶を選択し、その結晶の長軸長を最大結晶粒径(単位:μm)とする。
 図1から図3に示される基材は熱処理が行われていない基材であり、図4から図15に示される基材は熱処理が行われたものであって、具体的には、基材に対する投入熱量が大きくなる順番で、第1熱処理、第2熱処理、第3熱処理、および第4熱処理が行われたものである。図16から図18に示される基材は熱処理が行われていない基材であり、図19から図32に示される基材は熱処理が行われたものであって、具体的には、基材に対する投入熱量が大きくなる順番で、第5熱処理および第6熱処理が行われたものである。各熱処理における最大到達温度は300℃から600℃の範囲であって、この最大到達温度での保持時間は1時間から10時間の範囲であった。熱処理を行わない基材については、結晶粒径が相対的に小さく、また、圧延方向に沿った断面と圧延方向に直交する方向に沿った断面とで、結晶の形状や粒径の基本的傾向が異なっていた。しかしながら、熱処理を行った基材については、結晶の形状や粒径の基本的傾向に与える圧延方向の影響が少なく、熱処理における投入熱量が大きくなるほど結晶サイズは大きくなり、圧延方向の影響は少なくなった。
 最大結晶粒径を測定した基材と同様の圧延材を成形加工(プレス加工)して得られた基材について、曲げ弾性率(貯蔵弾性率、損失弾性率)を動的粘弾性測定器(TAインスツルメント社「RSA-G2」)により測定した。成形加工の際の加熱温度は最大でも300℃未満であり、測定温度は室温(23℃)であった。これらの弾性率の測定結果から、損失正接tanδを求めた。その結果を表1の「未処理」の行に示す。
 プレス加工に続いて異なる熱処理(第2熱処理から第4熱処理)が施された板厚300μmのAZ31合金基材についての最大結晶粒径(単位:μm)および損失正接tanδの結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示されるように、基本的な傾向としては、熱処理における投入熱量が増大することにより、最大結晶粒径も損失正接tanδも大きくなる。しかしながら、これらの傾向にはずれがあることが確認された。図33に示されるように、横軸を最大結晶粒径(単位:μm)、縦軸を損失正接tanδとしてグラフ化すると、単純な正の相関がみられるのではなく、最大結晶粒径が30μm程度までは最大結晶粒径が大きくなっても損失正接tanδにはほとんど変化が認められないが、最大結晶粒径が35μm程度となると、傾向線から明らかなように、損失正接tanδは増大する傾向を示し、最大結晶粒径が40μm程度となるとこの傾向が明確となる。そして、最大結晶粒径が50μm以上となると、損失正接tanδは0.0050を超え、顕著に大きくなる傾向を示すことが確認された。したがって、最大結晶粒径を35μm以上の範囲、好ましくは40μm以上の範囲、より好ましくは50μm以上の範囲に設定することにより、損失正接tanδが高い基材を得ることが安定的に実現される。
 損失正接tanδは、振動の減衰特性に関連するため、最大結晶粒径が50μm以上のマグネシウム基合金の基材を備える音響用振動板は、音響特性に優れる。音響特性が良好であることをより安定的に実現させる観点から、マグネシウム基合金の基材の最大結晶粒径は60μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが特に好ましい。
 厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91の基材、および厚さ300μmのマグネシウム合金AZ91からなり第6熱処理が施された基材について、振動減衰時間を測定した。その結果を図36および図37に示した。図36に示されるように、第6熱処理が行われていない振動板の場合(図36)には、減衰を開始してからノイズレベルに達するまで7秒間程度要していたが、第6熱処理が行われた振動板の場合(図37)には、減衰を開始してからノイズレベルに達するまで4秒間程度となり、第6熱処理を施すことにより過渡特性のうちの減衰特性に優れ、よって音響特性が改善することが確認された。
 以上の結果から、熱処理により最大結晶粒径を25μm以上、好ましくは70μm以上とすることにより、マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板は、良好な音響特性を有することが確認された。
(実施の形態2)
 図38は、本発明の一実施形態におけるスピーカの断面図を示したものである。
図38に示すように、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで内磁型の磁気回路24を構成している。
 この磁気回路24のヨーク23にフレーム26を結合している。
 このフレーム26の周縁部に、本発明の振動板27の外周をエッジ29を介して接着している。
 そして、この振動板本体27の中心部にボイスコイル28の一端を結合するとともに、反対の一端を前記磁気回路24の磁気ギャップ25にはまり込むように結合して構成している。
 従来の厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31の基材(最大結晶粒径:17.5μm、表1参照)により作製された振動板を用いたスピーカ、および本発明の厚さ300μmのマグネシウム合金AZ31からなり第4熱処理が施された基材(最大結晶粒径:82.5μm、表1参照)により作製した振動板を用いたスピーカの音響特性を測定した。その結果をいわゆるウォーターフォールグラフとして図34および図35に示した。図34に示されるように、最大結晶粒径が17.5μmである振動板の場合には、40ms以降も減衰が不十分な音域が存在し、50ms以降も減衰が不十分な周波数帯が認められた。これに対し、図35に示されるように、最大結晶粒径が67μmである振動板の場合には、40msまでに全域で音が適切に減衰し、全体的に不要共振の少ない振動板であることが確認されたことから、本発明のスピーカは非常に音響特性に優れていることが分かる。
 以上は、内磁型の磁気回路24を有するスピーカについて説明したが、これに限定されず、外磁型の磁気回路を有するスピーカに適用してもよい。
 以下、上記のスピーカを備える機器の具体例について説明する。
 (実施の形態3)
 図39は、本発明の一実施形態の電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステムの外観図を示したものである。
 スピーカ30は、エンクロジャー41に組込まれてスピーカシステムが構成されている。
 アンプ42はスピーカシステムに入力する電気信号の増幅回路を含む。
 プレーヤ等の操作部43はアンプ42に入力されるソースを出力する。
 電子機器であるオーディオ用のミニコンポシステム44は、このようにアンプ42、操作部43、スピーカシステムを有する。
 アンプ42、操作部43、エンクロジャー41は、ミニコンポシステム44の本体部である。
 すなわちスピーカ30は、ミニコンポシステム44の本体部に装着されている。
 またスピーカ30のボイスコイルは、本体部のアンプ42から給電されて振動板から音を発する。
 この構成により、従来では実現できなかった音響特性に優れたミニコンポシステム44が得られる。
 なおスピーカ30の機器への応用として、オーディオ用のミニコンポシステム44について説明したが、これに限定されない。
 持運び可能なポータブル用のオーディオ機器等への応用も可能である。
 さらに、液晶テレビやプラズマディスプレイテレビ等の映像機器、携帯電話等の情報通信機器、コンピュータ関連機器等の電子機器に広く応用、展開が可能である。
 (実施の形態4)
 図40は、本発明の一実施形態の装置である自動車50の断面図を示したものである。
 図40に示すように、本発明のスピーカ30をリアトレイやフロントパネルに組込んで、カーナビゲーションやカーオーディオの一部として使用して自動車50を構成したものである。
 この構成とすることにより、スピーカ30を搭載して、このスピーカ30の特長を活かした音響特性の優れた自動車等の装置を実現させることができる。
(実施の形態3)
 図41から図45は、いずれも板厚が2mmであってAZ31合金からなるマグネシウム合金の圧延材からなる基材の断面を観察した結果を示す図である。いずれの基材についても、圧延方向に直交する方向に沿った断面を観察し、観察された断面から最大結晶粒径(各図中、両矢印)を測定した。断面を得るための手順は実施の形態1において説明したとおりである。図41に示される基材は熱処理が行われていない基材であり、図42から図45に示される基材は熱処理が行われたものであって、具体的には、基材に対する投入熱量が大きくなる順番で、第1熱処理、第2熱処理、第3熱処理、および第4熱処理が行われたものである。
 最大結晶粒径を測定した基材と同様の圧延材を成形加工(プレス加工)して得られた基材について、曲げ弾性率(貯蔵弾性率、損失弾性率)を動的粘弾性測定器(TAインスツルメント社「RSA-G2」)により測定した。成形加工の際の加熱温度は最大でも300℃未満であり、測定温度は室温(23℃)であった。これらの弾性率の測定結果から、損失正接tanδを求めた。その結果を表1の「未処理」の行に示す。
 プレス加工に続いて異なる熱処理(第2熱処理から第4熱処理)が施された板厚300μmのAZ31合金基材についての最大結晶粒径(単位:μm)および損失正接tanδの結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2およびその結果をグラフ化した図46から明らかなように、基材の厚さが2mmの場合における最大結晶粒径と損失正接tanδとの関係は、基材の厚さが300μmの場合における最大結晶粒径と損失正接tanδとの関係と同様であった。すなわち、最大結晶粒径が35μm程度となると、損失正接tanδは増大する傾向を示し、最大結晶粒径が40μm程度となるとこの傾向が明確となる。そして、最大結晶粒径が50μm以上となると、損失正接tanδは顕著に大きくなる傾向を示すことが確認された。したがって、最大結晶粒径を35μm以上の範囲、好ましくは40μm以上の範囲、より好ましくは50μm以上の範囲に設定することにより、損失正接tanδが高い基材を得ることが安定的に実現される。また、表1と表2との対比から、基材の厚さが300μmの場合も基材の厚さが2mmの場合も、熱処理条件が第3熱処理またはそれ以上の加熱温度の熱処理となることにより、最大結晶粒径の増大が顕著となって、損失正接tanδの増加も顕著となることが確認された。すなわち、マグネシウム合金の基材の厚さにかかわらず、最大結晶粒径を大きくすること(具体的には50μm以上とすること)により、損失正接tanδを増加させる(具体的には0.005以上とすること)ことができる。
 図47は、本実施形態において測定した各基材の損失正接tanδの測定温度依存性を示すグラフである。図47に示されるように、第1熱処理を受けた基材および第2熱処理を受けた基材では、環境温度(測定温度)が60℃程度までは環境温度異存なく損失正接tanδは0.001から0.003程度の範囲にあるが、環境温度が60℃以上になると損失正接tanδが増加する傾向が見られた。この傾向は未処理の場合と同様であった。第3熱処理を受けた基材および第4熱処理を受けた基材では、低温(-40℃)から100℃程度まで損失正接tanδが0.01程度であった。これの結果から、第3熱処理を受けた基材および第4熱処理を受けた基材では、未処理の場合との対比で、環境温度が室温(23℃)程度における損失正接tanδが高く、かつ損失正接tanδの環境温度依存性が低いことが確認された。
 本発明は、音響特性の優れた振動板およびそれを用いたスピーカに有用である。
 21 マグネット
 22 上部プレート
 23 ヨーク
 24 磁気回路
 25 磁気ギャップ
 26 フレーム
 27 振動板(音響用振動板)
 28 ボイスコイル
 29 エッジ
 30 スピーカ(音響機器)
 41 エンクロジャー
 42 アンプ
 43 操作部
 44 ミニコンポシステム
 50 自動車

Claims (13)

  1.  マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を観察したときに、観察される結晶の最大結晶粒径が熱処理によって大きくなっていることを特徴とする音響用振動板。
  2.  マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材の損失正接が熱処理によって大きくなっていることを特徴とする音響用振動板。
  3.  前記振動板は、成形工程を経て得られる振動板であって、前記熱処理は前記成形工程の後に行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響用振動板。
  4.  前記結晶の最大結晶粒径が40μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響用振動板。
  5.  前記結晶の最大結晶粒径が70μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響用振動板。
  6.  前記基材の損失正接が0.0056以上である、請求項1または請求項2に記載の音響用振動板。
  7.  マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材の損失正接が0.0056以上であることを特徴とする音響用振動板。
  8.  マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を観察したときに、観察される結晶の最大結晶粒径が40μm以上であることを特徴とする音響用振動板。
  9.  マグネシウム基合金の基材を含む部分を備える音響用振動板であって、前記基材を厚さ方向に沿って切断して得られた断面を観察したときに、観察される結晶の最大結晶粒径が70μm以上であって、損失正接が0.0056以上であることを特徴とする音響用振動板。
  10.  前記マグネシウム基合金は、Mg-Al-Zn系合金であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の音響用振動板。
  11.  前記音響用振動板は、厚みが5μm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の音響用振動板。
  12.  前記音響用振動板は、厚みが5μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項11に記載の音響用振動板。
  13.  磁気回路と、前記磁気回路に結合されたフレームと、前記フレームの外周部に結合された請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の音響用振動板と、前記音響用振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路から発生する磁束の作用範囲内に配置されたボイスコイルとを備えたスピーカ。
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