JP2011179100A - 切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼鈍された磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクであって、Mg:3.5〜10mass%を含有するAl−Mg合金の基板と、当該基板の表面に形成された酸化皮膜とからなり、当該酸化皮膜の平均膜厚が15nm以下であり、酸化皮膜の平均組成がAlとOとMgの原子数で0.05≦Mg/(Al+O+Mg)≦0.25であることを特徴とする切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク、ならびに、その製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクは、所定の合金組成を有するアルミニウム合金を所定のサイズのディスク状に打ち抜き、それを焼鈍し、これによって形成されたブランクの内径側及び外形側の酸化皮膜部分をバイトで切削することによって作製される。以下、詳細に説明する。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク(以下、単に「アルミニウム合金ブランク」と記す)に用いる焼鈍前のアルミニウム合金としては、従来から使用されているJIS 5086合金等の磁気ディスク用Al−Mg系合金が高強度であり好適に用いられる。Mg含有量は3.5〜10mass%である。3.5mass%未満では材料強度が不足するので不適切である。一方、10mass%を超えると、後述する酸化皮膜のMg濃度が0.25を超えてバイト寿命が短くなるので不適切である。
上記のようにして調製されたアルミニウム合金基板は、ディスク状に打ち抜かれる。平坦度を確保するために、ディスク状に打ち抜いたアルミニウム合金基板には焼鈍が施される。焼鈍は、昇温開始から冷却終了までの間、露点が−20℃以上の雰囲気中にて、270℃〜320℃の温度で、30分〜6時間の条件で行う。本発明の酸化皮膜を得るためには前記条件が必要である。
アルミニウム合金基板に焼鈍が施されると、ブランク表面及び端部にMgを含有する硬く厚い酸化皮膜が形成される。酸化皮膜厚や皮膜中におけるMg濃度は焼鈍条件に依存する。本発明では、酸化皮膜厚と皮膜中のMg濃度を規定するものである。
上述のように、酸化皮膜中にはアルミニウム合金に含有されるMgが移動して濃化する。本発明においては、酸化皮膜中のMg濃度を、酸化皮膜中における平均組成として、AlとOとMgの原子数によって表されるMg/(Al+O+Mg)として定義する。このように定義したものを、以下、「酸化皮膜Mg濃度」と記す。酸化皮膜Mg濃度は、0.05≦Mg/(Al+O+Mg)≦0.25に規制される。酸化皮膜Mg濃度が0.25を超えると、酸化皮膜の硬度が大き過ぎてバイトの消耗が著しい。酸化皮膜Mg濃度が低いほど酸化皮膜の硬度が減少して、バイトが摩耗し難く寿命が長くなる。しかしながら、焼鈍によって形成される酸化皮膜Mg濃度を0.05未満とすることは極めて困難なので、下限を0.05とする。
酸化皮膜の平均膜厚は、15nm以下に規制される。15nmを超えると酸化皮膜厚が厚過ぎてバイトの消耗が著しい。酸化皮膜の膜厚が薄いほど、バイトが消耗し難い。しかしながら、焼鈍によって少なくとも7nmの酸化皮膜が形成されるので、酸化皮膜厚の下限は7nmである。酸化皮膜の膜厚測定は、バイトが接触するブランク端部をミクロトームなどで切削して断面薄片を作製し、それを透過電子顕微鏡(TEM)で観察して行う。
アルミニウム合金ブランクの表面における平坦度の最大値は、5μm未満とするのが好ましい。平坦度の最大値が5μm以上では、ブランク端部をバイトで切削加工した際に、バイトの刃が欠けるなどの不具合が生じるので不適当である。ブランクの平坦度は、平坦度測定器等で測定される。
表1に示す7種類の組成のアルミニウム合金(合金A〜G)をDC鋳造後、鋳塊表面を20mm面削し、540℃で4時間均質化処理し、熱間圧延と冷間圧延を行い、板厚1.62mmのアルミニウム合金基板を作製した。次いで、このアルミニウム合金基板を300℃で1時間焼鈍を行いO材化してO材化試料とした。
<引張強さ>
圧延方向に切り出したO材化JIS5号試験片の引張強さを、島津製作所製インストロン型引張試験機AG−50kNGを使用して測定した。測定条件は、標点距離50mm、クロスヘッド速度10mm/分とした。
<耐力>
圧延方向に切り出したO材化試料について、上記と同じく引張強さを測定して応力/歪曲線から0.2%耐力を求めた。
本発明例1、2、4、5では、合金のCr添加量が0.01〜0.1mass%の範囲にあり、かつ、焼鈍雰囲気中の露点が0℃以上であったので、切削性が特に優れていた。
比較例14では、焼鈍時間が6時間を超えたために、酸化皮膜厚が厚過ぎ、かつ、酸化皮膜のMg濃度が本発明の範囲外となり、切削性が不合格であった。
比較例15では、焼鈍温度が320℃を超えたために、酸化皮膜厚が厚過ぎ、かつ、酸化皮膜のMg濃度が本発明の範囲外となり、切削性が不合格であった。
比較例16では、焼鈍温度が270℃未満であったため平坦度が不合格であった。そのため、不良と判断し切削性評価に供さなかった。
比較例17では、焼鈍時間が30分未満であったため平坦度が不合格であった。そのため、不良と判断し切削性評価に供さなかった。
比較例18では、アルミニウム合金GのMg含有量が多過ぎたため酸化皮膜のMg濃度が本発明の範囲外となり、切削性が不合格であった。
比較例19では、焼鈍を実施しなかったため、平坦度が劣った。そのため、不良と判断し、切削性評価に供さなかった。
2‥‥‥内径側切削部分
3‥‥‥外径側切削部分
4‥‥‥ブランクの表面
5‥‥‥内径側端面
6‥‥‥外径側端面
Claims (7)
- 焼鈍された磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクであって、Mg:3.5〜10mass%を含有するAl−Mg合金の基板と、当該基板の表面に形成された酸化皮膜とからなり、当該酸化皮膜の平均膜厚が15nm以下であり、酸化皮膜の平均組成がAlとOとMgの原子数で0.05≦Mg/(Al+O+Mg)≦0.25であることを特徴とする切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク。
- 前記基板を構成するAl−Mg合金が、Cr:0.01〜0.1mass%を更に含有する、請求項1に記載の切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク。
- 表面における平坦度の最大値が5μm未満である、請求項1又は2に記載の切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク。
- Mg:3.5〜10mass%を含有するAl−Mg合金の基板を、昇温開始から冷却終了までの間において、露点が−20℃以上の雰囲気中で270〜320℃の温度で30分〜6時間焼鈍することを特徴とする切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの製造方法。
- 前記基板を構成するAl−Mg合金が、Cr:0.01〜0.1mass%を更に含有する、請求項4に記載の切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの製造方法。
- 焼鈍雰囲気中の露点を加湿によって−20℃以上にする、請求項4又は5に記載の切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの製造方法。
- 焼鈍後のブランクの内径側切削部分と外径側切削分を、バイトで切削加工する工程を更に備える、請求項4〜6のいずれか一項に記載の切削加工性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014210968A (ja) * | 2013-04-19 | 2014-11-13 | 株式会社神戸製鋼所 | 磁気ディスク用アルミニウム合金基板およびその製造方法 |
JP2020102294A (ja) * | 2018-12-20 | 2020-07-02 | 古河電気工業株式会社 | 磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、並びに磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスク |
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JPS60194050A (ja) * | 1984-03-14 | 1985-10-02 | Showa Alum Corp | 磁気デイスク用アルミニウム合金基板の製造方法 |
JPH01298134A (ja) * | 1988-05-26 | 1989-12-01 | Kobe Steel Ltd | 砥石による研削性及びメッキ性に優れたディスク用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
-
2010
- 2010-03-04 JP JP2010047249A patent/JP5590661B2/ja active Active
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