WO2019092798A1 - 信号処理装置、信号処理方法、および信号処理プログラム - Google Patents

信号処理装置、信号処理方法、および信号処理プログラム Download PDF

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Abstract

ステップサイズを手動制御することなく、高速収束と低歪出力信号を達成するため、第1信号と第2信号とが混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、第1信号と相関のある第3信号と第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、第2混在信号をフィルタ処理して第2信号の第1推定値を生成する第1適応フィルタと、第1混在信号と第2信号の第1推定値とから、第1信号の第1推定値と第1信号の第2推定値とを生成する第1減算部と、第1信号の第2推定値と第2信号の第1推定値と第2混在信号とを用いて第1信号と第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部と、を備え、第1混在比を用いて第1の適応フィルタを制御する。

Description

信号処理装置、信号処理方法、および信号処理プログラム
 本発明は、信号に混在する雑音、妨害信号、エコーなどを消去する信号処理技術に関する。
 マイクロホンやハンドセット等から入力された音声信号には、しばしば背景雑音が重畳されており、音声符号化や音声認識を行う上で大きな問題となる。音響的に重畳した雑音の消去を目的とした信号処理装置として、特許文献1および2には、2つの適応フィルタを用いた2入力型雑音消去装置が開示されている。2つの適応フィルタの内、第1の適応フィルタを用いて推定した主信号における信号対雑音比を用いて、ステップサイズ算出部が第2の適応フィルタの係数更新ステップサイズを算出する。なお、第1の適応フィルタは第2の適応フィルタと同様に動作するが、第1の適応フィルタの係数更新ステップサイズは第2の適応フィルタの係数更新ステップサイズよりも大きな値に設定される。このため、第1の適応フィルタの出力は、環境変化への追従性が高いが雑音の推定精度が第2の適応フィルタよりも劣る。
 ステップサイズ算出部は、第1の適応フィルタを用いて推定した主信号における信号対雑音比を評価し、音声信号が雑音より大きいときには音声信号による妨害が大きいとみなし、小さな係数更新ステップサイズを第2の適応フィルタに提供する。逆に、音声信号が雑音より小さいときには音声信号による妨害が小さいとみなし、大きな係数更新ステップサイズを第2の適応フィルタに提供する。このように、ステップサイズ算出部から提供された係数更新ステップサイズで第2の適応フィルタを制御することにより、十分な環境変化への追従性と雑音消去後の信号における低歪とを同時に達成した雑音消去信号が出力される。
 特許文献3には、上記特許文献1および2の構成から第1の適応フィルタを削除した構成が開示されている。第2の適応フィルタを用いて推定した主信号(目的信号)と第2の適応フィルタ出力の比で信号対雑音比を近似して、その信号対雑音比に基づいて算出したステップサイズで、第2の適応フィルタ自身を制御する。さらに、特許文献3には、上記特許文献1および2の構成を拡張して、2雑音入力装置の入力において雑音に混入している音声信号の影響が大きい、いわゆる音声信号によるクロストークが存在する際に雑音に混入する音声信号の消去をも行なう雑音消去装置の構成が開示されている。特許文献3においては、上記特許文献1および2の構成に加えて、雑音入力信号から音声信号を消去する第3の適応フィルタを備えている。音声信号入力から正確に雑音を消去するため、第2のステップサイズ算出部において係数更新ステップサイズを算出し、第3の適応フィルタを制御する。
 すなわち、特許文献1乃至3の雑音消去装置は、雑音消去後の信号と適応フィルタ出力を用いて推定した信号対雑音比で、適応フィルタの係数更新を制御する。信号対雑音比が高いときには小さなステップサイズを、信号対雑音比が低いときには大きなステップサイズを用いることで、高速収束と低歪出力信号を両立している。
特開平10-215193号公報 特開2000-172299号公報 国際公開WO2012/046582公報
 しかしながら、特許文献1乃至3の雑音消去装置では、適応フィルタの係数が全く更新されない。これは、通常、適応フィルタ係数の初期値がゼロに設定されるためである。ゼロ係数の適応フィルタはゼロを出力する。これが信号対雑音比の推定値の分母であるために、信号対雑音比の推定値は極めて大きな値となり、対応するステップサイズとしてゼロが設定される。ゼロのステップサイズは、係数更新を行わないことを意味する。これを避けるためには、係数更新開始直後に強制的にステップサイズを非ゼロの値に設定しなければならないが、実際にどの値をステップサイズに設定するか、どれだけの期間、非ゼロの値に設定しなければならないかに関して明確な設計方法は開示されていない。すなわち、2入力雑音消去装置で高速収束と低歪出力信号を達成するためには、ステップサイズの手動制御が必要である。
 本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
 上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、
 第1信号と第2信号とが混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、
 前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、
 前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成する第1適応フィルタと、
 前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値とから、前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値とを生成する第1減算部と、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部と、
 を備え、
 前記第1混在比を用いて前記第1の適応フィルタを制御する信号処理装置である。
 上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
 第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
 前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
 前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成し、
 前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値から前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値を生成し、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
 前記第1混在比を用いて前記第2信号の第1推定値の生成を制御する信号処理方法である。
 上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
 コンピュータに、
 第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力するステップと、
 前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力するステップと、
 前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成するステップと、
 前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値から前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値を生成するステップと、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定するステップと、
 前記第1混在比を用いて前記第2信号の第1推定値の生成を制御するステップと、
 を実行させる信号処理プログラムである。
 本発明によれば、ステップサイズを手動制御することなく、高速収束と低歪出力信号を達成する信号処理装置を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る推定部の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る第1減算部の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る第1減算部の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る信号対雑音比の時間推移を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る推定部の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る推定部の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る第2減算部の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る第2減算部の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る推定部の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
 以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[第1実施形態]
 本発明の第1実施形態としての信号処理装置100について、図1を用いて説明する。図1の信号処理装置100は、第1信号と第2信号とが混在する第1混在信号xP(k)から、第1信号の第1推定値e1(k)を求める装置である。
 図1に示すように、信号処理装置100は、第1入力部101と、第2入力部102と、減算部103と、適応フィルタ104と、推定部106と、係数更新制御部107とを含む。
 このうち、第1入力部101は第1信号と第2信号とが混在した第1混在信号xP(k)を入力する。第2入力部102は、第3信号と第4信号とが混在した第2混在信号xR(k)を入力する。第1信号と第3信号は、同一の信号源Aから生じており、互いに相関を有する。第2信号と第4信号は、同一の信号源Bから生じており、互いに相関を有する。
 減算部103は、第1混在信号xP(k)に混在する第2信号の第1推定値n1(k)と第1混在信号xP(k)を受けて、第1信号の第1推定値e1(k)と第1信号の第2推定値xC(k)を出力する。そして、適応フィルタ104は、第2信号の第1推定値n1(k)を求めるため、第2混在信号xR(k)または第2混在信号xR(k)に基づく信号に対して、第1信号の第1推定値e1(k)に基づいて更新される係数141を用いてフィルタ処理を施す。
 推定部106は、第1信号の第2推定値と第2信号の第1推定値と第2混在信号とを用いて、第1信号と第2信号の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定する。係数更新制御部107は、推定部106によって得られた第1混在比R1(k)の値が大きい場合に、適応フィルタ104の係数141の更新量を小さくするための制御信号μ(k)を適応フィルタ104に出力する。
 このような構成を備えた本実施形態によれば、第1信号と第2信号とが混在する混在信号から、低演算量で、遅延なく第2信号を除くことができ、結果として、第2信号の消し残りが少なく、かつ、歪が少ない第1信号の推定値を得ることができる。
 [第2実施形態]
 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置として、劣化信号(所望の信号と雑音とが混合された信号)と参照信号(主として雑音と相関のある信号を含む)を入力して、雑音の一部または全部を消去し、強調信号(所望の信号を強調した信号)を出力する雑音消去装置について説明する。ここで、劣化信号は第1信号と第2信号が混在する第1混在信号に相当し、参照信号は第2混在信号に相当し、強調信号は所望信号(第1信号の第1推定値)に相当する。
 (雑音消去の基礎技術の説明)
 以下、マイクロホン、ハンドセット、通信路等から入力された所望信号に混在する雑音、妨害信号、エコーなどを適応フィルタによって消去し、または所望信号を強調する雑音消去の基礎技術の説明を簡単に行なう。
 特許文献1乃至3に開示されているように、2入力型の雑音消去装置は、雑音源から音声入力端子に至る音響経路のインパルス応答を近似する適応フィルタを用いて、参照信号から音声入力端子において音声に混入する雑音成分に対応した擬似雑音(第2信号の第1推定値)を生成する。そして、音声入力端子に入力された信号(第1混在信号)からこの擬似雑音を差し引くことによって、雑音成分を抑圧するように動作する。ここで、混在信号とは、所望(音声)信号と雑音とが混在した信号のことであり、一般に、マイクロホンやハンドセットから音声入力端子に供給される。また、参照信号とは、雑音源における雑音成分と相関のある信号であり、雑音源近傍において捕捉される。このように、雑音源近傍において参照信号を捕捉することで、参照信号は雑音源における雑音成分とほぼ等しいとみなすことができる。適応フィルタには、参照入力端子に供給される参照信号を入力する。
 適応フィルタの係数は、劣化信号から擬似雑音を差し引いた誤差と参照入力端子に入力された参照信号との相関をとることにより修正される。このような適応フィルタの係数修正アルゴリズムとして、特許文献1乃至3には、「LMSアルゴリズム(Least Mean-Square  Algorithm)」や「LIM(Learning  Identification  Method)」が開示されている。LIMはまた、正規化LMSアルゴリズムとも呼ばれる。
 LMSアルゴリズムやLIMは、勾配法と呼ばれるアルゴリズムの一種であり、係数更新の速度と精度は、係数更新ステップサイズと呼ばれる定数に依存する。係数更新ステップサイズと誤差との積によってフィルタ係数を更新するが、誤差に含まれる所望信号(第1信号の第1推定値)は係数更新を妨害し、その影響を低減するためには、係数更新ステップサイズを極めて小さな値またはゼロに設定する必要がある。上記特許文献1乃至3は、係数更新ステップサイズが常に小さい場合には適応フィルタ係数の環境変化への追従性が低下するため、誤差が増大し、あるいは所望信号に歪が生じるという問題を解決する1つの方法を開示するものである。所望信号は一般的に音声であるために、以降音声と表記するが音声には限定されず、音響(オーディオ)信号を含むあらゆる種類の信号を表す。
(雑音消去装置の構成)
 図2は、本実施形態としての雑音消去装置200の全体構成を示すブロック図である。雑音消去装置200は、例えばデジタルカメラ、ノートパソコン、携帯電話などといった装置の一部としても機能するが、本発明はこれに限定されるものではなく、入力信号からの雑音消去を要求されるあらゆる信号処理装置に適用可能である。
 図2に示すように、雑音消去装置200は、入力端子201から音声(第1信号)と雑音(第2信号)の混在した劣化信号(第1混在信号)xP(k)を入力する。そして、入力端子202から音声と雑音の混在した参照信号(第2混在信号)xR(k)を入力し、出力端子205から音声の推定値e1(k)を出力する。また、雑音消去装置200は、適応フィルタ203と、減算部204と、推定部206と、を備えている。適応フィルタ203は、図1における適応フィルタ104と係数更新制御部107とを包含する構成であり、第1混在比R1(k)を受けてステップサイズを算出し、算出したステップサイズを用いて係数を更新する。雑音消去装置200は、消去しようとする雑音と相関のある参照信号xR(k)を適応フィルタ203で変形して擬似雑音n1(k)を生成し、これを雑音の重畳した音声信号xP(k)から減算することで、雑音の消去を行うものである。
 入力端子201には、劣化信号xP(k)が、サンプル値系列として供給される。劣化信号xP(k)は、減算部204に伝達される。入力端子202には、参照信号xR(k)が、サンプル値系列として供給される。参照信号xR(k)は、適応フィルタ203と推定部206に伝達される。
 適応フィルタ203は、参照信号xR(k)とフィルタ係数の畳込み演算を行い、その結果を擬似雑音n1(k)として減算部204と推定部206に伝達する。
 減算部204には、入力端子201から劣化信号xP(k)が、適応フィルタ203から擬似雑音n1(k)が供給される。減算部204は、劣化信号xP(k)から擬似雑音n1(k)を減算し、その結果を音声信号推定値(第1信号の第1推定値)として出力端子205に伝達すると同時に適応フィルタ203に帰還する。また、減算部204は、音声信号の第2推定値xC(k)を求めて、推定部206に供給する。
 推定部206は、音声信号の第2推定値、適応フィルタ203の出力、および参照信号を受けて、音声と雑音の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定し、適応フィルタ203に伝達する。適応フィルタ203は、第1混在比R1(k)が大きいときに小さなステップサイズを、第1混在比R1(k)が小さいときに大きなステップサイズを用いて、係数を更新する。第1混在比R1(k)、すなわち信号対雑音比の推定値を用いてステップサイズを制御する方法に関しては、特許文献1から3に詳細に開示されている。また、特許文献1から3に開示されているように、第1混在比R1(k)を平均化してから、ステップサイズ計算に用いてもよい。音声と雑音の振幅または電力の比に対する推定精度が向上する。
 図3は、推定部206の第1の内部構成を示すブロック図である。推定部206は、信号比推定部301、信号比推定部302、および混合部303を備えている。信号比推定部301は、音声の第2推定値xC(k)と擬似雑音n1(k)とを受けて、音声と雑音の振幅または電力の比を第2混在比R2(k)として推定する。第2混在比R2(k)は、音声の第2推定値xC(k)と擬似雑音n1(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。また、音声の第2推定値xC(k)と擬似雑音n1(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
 信号比推定部302は、音声の第2推定値xC(k)と参照信号xR(k)(第2混在信号)とを受けて、音声と雑音の振幅または電力の比を第3混在比R3(k)として推定する。第3混在比R3(k)は、音声の第2推定値xC(k)と参照信号xR(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。また、音声の第2推定値xC(k)と参照信号xR(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。
 混合部303は、第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)を混合して、混合結果を第1混在比R1(k)として出力する。第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)は、重み付き加算によって混合してもよいし、さらに複雑な高次多項式を用いて混合してもよい。混合に先立って、第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)のいずれかまたは両方を平均化してもよい。平均化によって、第1混在比R1(k)の計算精度、すなわち音声と雑音の振幅または電力の近似精度を向上することができる。
 ここで、単純化のために、第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)を重み付き加算で混合することで、第1混在比R1(k)を求める場合を考える。また、両社の重みの和が1となるように設定する。適応フィルタ203の係数は、ゼロに初期化されることが一般的である。そのため、係数更新開始時には擬似雑音n1(k)はゼロであり、第2混在比R2(k)は分母がゼロで無限大となる。このため、第2混在比R2(k)によって適応フィルタ203のステップサイズを算出すると、極めて小さな値またはゼロとなり、係数が成長しない。係数が成長しないと、擬似雑音n1(k)も大きくならず、同じ問題が継続する。
 一方、第3混在比R3(k)の分母は参照信号xR(k)であり、係数更新開始時にゼロとは限らない。このため、第3混在比R3(k)が無限大になることはなく、対応するステップサイズも極小値とはならない。したがって、適応フィルタ203の係数は、係数更新とともに成長し、雑音の信号源から入力端子201に至る経路の音響特性を表す値に収束する。参照信号xR(k)がゼロのときは、適応フィルタ203の係数は更新しないので、第3混在比R3(k)が極めて大きな値をとっても問題とはならない。しかし、適応フィルタ203の係数がある程度成長して、擬似雑音n1(k)が十分に大きく成長したときには、第3混在比R3(k)は第2混在比R2(k)よりも、音声と雑音の振幅または電力の比に対する近似精度が低い。
 そこで、混合部303は、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の重みを大きな値に設定し、係数の成長とともに減少させる。第2混在比R2(k)の重みは、適応フィルタ203の係数更新開始時に小さな値に設定し、時間とともに増加させる。これは、第3混在比R3(k)の第1混在比R1(k)における含有割合を、係数更新回数に対応して減少させることを表す。
 例えば、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の重みを1に設定すれば、重みの和が1という条件から、第2混在比R2(k)の重みは0となる。係数の成長は係数更新回数と対応する。したがって、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の重みを1に設定し、係数更新回数に対応してその重みを0に向かって減少させる。対応して、第2混在比R2(k)の重みは、0から1へ増加する。
 第3混在比R3(k)の重みは減少し、第2混在比R2(k)の重みは増加するので、ある係数更新回数で両者の大小関係は逆転する。両者の重みを1と0の2値で表せば、第3混在比R3(k)の重みは1を維持した後に0に変化する。第2混在比R2(k)の重みは0を維持した後に1に変化する。変化点としては、第2混在比R2(k)が十分に小さくなったときに設定することができる。適応フィルタ203の係数更新開始時には、第3混在比R3(k)が第2混在比R2(k)よりも大きく、係数収束後には第2混在比R2(k)が第3混在比R3(k)よりも小さい。したがって、第2混在比R2(k)が十分に小さくなったときを表す変化点として、第3混在比R3(k)より第2混在比R2(k)が小さくなった時を用いる。このとき、混合部303の動作は、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の含有割合を100%に設定し、第3混在比R3(k)より第2混在比R2(k)が小さくなった時、第3混在比R3(k)の含有割合を0%に設定することになる。このような変化点の設定法は、第3混在比R3(k)と第2混在比R2(k)の大小関係が、係数更新開始時と反転する性質を利用しており、必要以上に安全度を見込んでいる可能性が高い。したがって、第3混在比R3(k)と第2混在比R2(k)の比が、十分に1に近づいたときを変化点と設定することもできる。その際に、混合部303の動作は、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の含有割合を100%に設定し、第3混在比R3(k)と第2混在比R2(k)の比が十分1に近くなった時、第3混在比R3(k)の含有割合を0%に設定することになる。前記比が十分に1に近いかどうかの判定は、あらかじめ与えられた閾値、例えば0.8、との比較で行うことができる。また、前記大小関係逆転後に対応した閾値は1以上の値となる。
 図4は、減算部204の第1の内部構成を示すブロック図である。減算部204は、減算器401を備えている。減算器401は、劣化信号xP(k)から擬似雑音(第2信号の第1推定値)n1(k)を減算し、減算結果を強調信号(音声の第1推定値)e1(k)として出力する。また、第1混在信号xP(k)をそのまま、音声の第2推定値xC(k)として出力する。
 図5は、減算部204の第2の内部構成を示すブロック図である。減算部204は、減算器401を備えている。減算器401は、劣化信号xP(k)から擬似雑音(第2信号の第1推定値)n1(k)を減算し、減算結果を強調信号(音声の第1推定値)e1(k)として出力する。また、減算結果e1(k)(音声の第1推定値)を音声の第2推定値xC(k)として出力する。
 図4と図5の差異は、音声の第2推定値として劣化信号xP(k)をそのまま用いるか、減算結果e1(k)を用いるかである。本来、推定値は音声に近いほど高性能なので、係数がある程度成長してからは、減算結果e1(k)を用いる図5の構成の方が優れている。しかし、図4の構成は、音声の第2推定値が適応フィルタ203の動作と無関係なので、適応フィルタ203の制御に問題があった場合にも問題なく利用することができる。すなわち、図4の構成の方が適応フィルタ203の動作の変化に対して頑健である。結局、図4と図5の優劣は一長一短であり、システムの要求条件に応じて適切に選択することがよい。
 第3混在比R3(k)は、音声の第2推定値xC(k)と参照信号xR(k)の振幅または電力の比である。音声の第2推定値xC(k)として劣化信号xP(k)を用いる(図4の構成)と仮定すると、第3混在比R3(k)と第2混在比R2(k)の、係数更新に対応した変化は図6に示す通りとなる。第3混在比R3(k)は、分母分子共に適応フィルタ203の動作と無関係であり、入力信号が定常であれば、図6に示すように一定値となる。一方、第2混在比R2(k)は、図4の構成を仮定すれば、劣化信号xP(k)と擬似雑音n1(k)の振幅または電力の比であり、図6に示すように係数更新に伴って値が減少する。これは、分子が一定、分母が増加するためである。第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)は、係数更新回数がkSのときに交差する。図6は、第2混在比R2(k)が十分に小さくなったときを表す変化点として、第3混在比R3(k)より第2混在比R2(k)が小さくなった時を用いることの有効性を表している。
 図7は、推定部206の第2の内部構成を示すブロック図である。推定部206は、混合部701と信号比推定部702とを備えている。混合部701は、参照信号xR(k)(第2混在信号)と擬似雑音n1(k)(第2信号の第1推定値)とを混合して、第1混合信号を生成する。信号比推定部702は、音声の第2推定値xC(k)と第1混合信号とを受けて、音声と雑音の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定する。第1混在比R1(k)は、音声の第2推定値xC(k)と第1混合信号の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。また、音声の第2推定値xC(k)と第1混合信号のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
 図7に示す推定部206の第2の内部構成は、図3に示す推定部206の第1の内部構成と等価である。すなわち、図3に示す第1の内部構成は、音声と雑音の振幅または電力の比に対して2つの推定値を信号比推定部301、302で生成し、それらを混合して第1混在比R1(k)を算出する。図7に示す推定部206の第2の内部構成は、2種類の雑音の推定値、すなわち参照信号xR(k)と擬似雑音n1(k)を混合して第1混合信号を生成して分母を確定し、分子である音声の第2推定値xC(k)と作用させて第1混在比R1(k)を算出する。これら2種類の構成が可能となったのは、図3に示す第1の内部構成と図7に示す第2の内部構成において、音声と雑音の振幅または電力の比を推定する際に、同一の分子、すなわち音声の第2推定値xC(k)を用いるからである。図7に示す推定部206の第2の内部構成は、図3に示す第1の内部構成よりも、構成が単純である。
 ここで、単純化のために、参照信号xR(k)と擬似雑音n1(k)を重み付き加算で混合することで、第1混在比信号を求める場合を考える。また、両社の重みの和が1となるように設定する。このとき、混合部701は、適応フィルタ203の係数更新開始時に参照信号xR(k)の重みを大きな値に設定し、係数の成長とともに減少させる。擬似雑音n1(k)の重みは、適応フィルタ203の係数更新開始時に小さな値に設定し、時間とともに増加させる。これは、擬似雑音n1(k)が係数更新開始時にゼロとなるので、信号対雑音比が大きくなって係数が更新されないことを回避づるためである。このような制御は、参照信号xR(k)の第1混合信号における含有割合を、係数更新回数に対応して減少させることを表す。
 例えば、適応フィルタ203の係数更新開始時に参照信号xR(k)の重みを1に設定すれば、擬似雑音n1(k)の重みは0となる。係数の成長は係数更新回数と対応する。したがって、適応フィルタ203の係数更新開始時に参照信号xR(k)の重みを1に設定し、係数更新回数に対応してその重みを0に向かって減少させる。対応して、擬似雑音n1(k)の重みは、0から1へ増加する。
 参照信号xR(k)の重みは減少し、擬似雑音n1(k)の重みは増加する。また、ある係数更新回数で両者の大小関係は逆転する。両者の重みを1と0の2値で表せば、参照信号xR(k)の重みは1を維持した後に0に変化する。擬似雑音n1(k)の重みは0を維持した後に1に変化する。変化点としては、擬似雑音n1(k)の振幅または電力が参照信号xR(k)の振幅または電力に十分に近くなった時に設定することができる。これは、参照信号xR(k)が雑音の信号源から入力端子201に至る経路の音響特性と畳み込み演算された結果が擬似雑音n1(k)なので、擬似雑音n1(k)の振幅または電力は参照信号xR(k)の振幅または電力に近づいていくからである。したがって、変化点として、参照信号xR(k)の振幅または電力と擬似雑音n1(k)の振幅または電力の比が1に近づいた時を用いる。このとき、混合部701の動作は、適応フィルタ203の係数更新開始時に参照信号xR(k)の含有割合を100%に設定し、参照信号xR(k)と擬似雑音n1(k)の比が1に近づいた時、参照信号xR(k)の含有割合を0%に設定することになる。前記比が十分に1に近いかどうかの判定は、あらかじめ与えられた閾値、例えば0.8、との比較で行うことができる。
 以上の構成により、本実施形態によれば、ステップサイズに特別な値を強制的に設定することなく、円滑に係数更新を行うことができ、結果として、雑音の消し残りが少なく、かつ、信号歪が少ない出力信号を得ることができる。
[第3実施形態]
 これまでの説明では、雑音源近傍において参照信号の捕捉を行うことによって、参照信号は雑音そのものであると仮定してきた。しかし、現実にはこの条件を満たすことのできない場合が存在する。このような場合には、参照信号は雑音とそれに混入する音声信号とから構成される。このような参照信号に対する音声信号の混入成分はクロストークと呼ばれる。クロストークが存在する際の雑音消去装置の構成が、特許文献3に開示されている。
 本実施形態では、雑音の消去と同様に、クロストークを消去するための第2の適応フィルタを導入する。音声信号源から参照入力端子に至る音響経路(クロストークパス)のインパルス応答を近似する第2の適応フィルタを用いて、参照入力端子において混入する音声信号成分に対応した擬似クロストーク信号を生成する。そして、参照入力端子に入力された信号(参照信号)からこの擬似クロストーク信号を差し引くことによって、音声信号成分(クロストーク)を消去する。
 本発明の第3実施形態としての雑音消去装置について、図8を用いて説明する。第2実施形態と比べた場合、本実施形態に係る雑音消去装置は、減算部204、適応フィルタ203に加えて、減算部802、適応フィルタ801とを備え、推定部206が推定部804に置換されている。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
 雑音消去装置800は、消去しようとするクロストークに相関のある信号(出力端子205における出力=推定音声信号あるいは強調信号)を適応フィルタで変形して擬似クロストークn2(k)(第3信号の第1推定値)を生成する。そして、これを音声と雑音の混在した参照信号xR(k)から減算することで、クロストークの消去を行う。適応フィルタ801の係数更新を行う際に、第4信号と第3信号の振幅またはパワーの比を近似する第4混在比R4(k)を用いてステップサイズを制御するために、係数更新を円滑に進めることができ、結果として、雑音の消し残りが少なく、かつ、信号歪が少ない出力信号を得ることができる。
 入力端子201には、劣化信号xP(k)が、サンプル値系列として供給され、減算部204に伝達される。入力端子202には、参照信号xR(k)がサンプル値系列として供給され、減算部802と推定部804に伝達される。
 減算部802には、入力端子202から参照信号xR(k)が、適応フィルタ801から擬似クロストークn2(k)が供給される。減算部204は、参照信号xR(k)から擬似クロストークn2(k)を減算し、その結果を雑音推定値(第4信号の第1推定値)として出力端子803に伝達すると同時に適応フィルタ801に帰還する。また、減算部204は、雑音の第2推定値xD(k)を求めて、推定部804に供給する。
 適応フィルタ801は、強調信号e1(k)とフィルタ係数の畳込み演算を行い、その結果を擬似クロストークn2(k)(第3信号の第1推定値)として減算部802と推定部804に伝達する。
 減算部802には、入力端子202から参照信号xR(k)が、適応フィルタ801から擬似クロストークn2(k)が供給される。減算部802は、参照信号xR(k)から擬似クロストークn2(k)を減算し、その結果を雑音推定値(第4信号の第1推定値)として出力端子803に伝達すると同時に適応フィルタ801に帰還する。また、減算部802は、雑音の第2推定値xD(k)を求めて、推定部804に供給する。
 推定部804は、音声の第2推定値、適応フィルタ203の出力、および参照入力信号を受けて、音声と雑音の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定し、適応フィルタ203に伝達する。適応フィルタ203は、第1混在比R1(k)が大きいときに小さなステップサイズを、第1混在比R1(k)が小さいときに大きなステップサイズを用いて、係数を更新する。第1混在比R1(k)、すなわち信号対雑音比の推定値を用いてステップサイズを制御する方法に関しては、特許文献1から3に詳細に開示されている。また、特許文献1から3に開示されているように、第1混在比R1(k)を平均化してから、ステップサイズ計算に用いてもよい。音声と雑音の振幅または電力の比に対する推定精度が向上する。
 推定部804は、さらに、第4信号の第2推定値、適応フィルタ801の出力、および劣化信号xP(k)を受けて、第4信号と第3信号の振幅または電力の比を第4混在比R4(k)として推定し、適応フィルタ801に伝達する。適応フィルタ801は、第4混在比R4(k)が大きいときに小さなステップサイズを、第4混在比R4(k)が小さいときに大きなステップサイズを用いて、係数を更新する。第4混在比R4(k)、すなわち信号対雑音比の推定値を用いてステップサイズを制御する方法に関しては、特許文献1から3に詳細に開示されている。また、特許文献1から3に詳細に開示されているように、第4混在比R4(k)を平均化してから、ステップサイズ計算に用いてもよい。第4信号と第3信号の振幅または電力の比に対する推定精度が向上する。
 図9は、推定部804の第1の内部構成を示すブロック図である。推定部804は、推定部206の構成に加えて、信号比推定部901、信号比推定部902、および混合部903を備えている。信号比推定部901は、雑音の第2推定値xD(k)と擬似クロストークn2(k)を受けて、雑音とクロストークの振幅または電力の比を第5混在比R5(k)として推定する。第5混在比R5(k)は、雑音の第2推定値xD(k)と擬似クロストークn2(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。また、雑音の第2推定値xD(k)と擬似クロストークn2(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
 信号比推定部902は、雑音の第2推定値xD(k)と劣化信号xP(k)(第1混在信号)を受けて、雑音とクロストークの振幅または電力の比を第6混在比R6(k)として推定する。第6混在比R6(k)は、雑音の第2推定値xD(k)と劣化信号xP(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。また、雑音の第2推定値xD(k)と劣化信号xP(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。
 混合部903は、第5混在比R5(k)と第6混在比R6(k)を混合して、混合結果を第4混在比R4(k)として出力する。第5混在比R5(k)と第6混在比R6(k)は、重み付き加算によって混合してもよいし、さらに複雑な高次多項式を用いて混合してもよい。混合に先立って、第5混在比R5(k)と第6混在比R6(k)のいずれかまたは両方を平均化してもよい。平均化によって、第4混在比R4(k)の計算精度、すなわち雑音とクロストークの振幅または電力の近似精度を向上することができる。
 ここで、単純化のために、第5混在比R5(k)と第6混在比R6(k)を重み付き加算で混合することで、第4混在比R4(k)を求める場合を考える。また、両社の重みの和が1となるように設定する。適応フィルタ801の係数は、ゼロに初期化されることが一般的である。そのため、係数更新開始時には擬似クロストークn2(k)はゼロであり、第5混在比R5(k)は分母がゼロで無限大となる。このため、第5混在比R2(k)によって適応フィルタ801のステップサイズを算出すると、極めて小さな値またはゼロとなり、係数が成長しない。係数が成長しないと、擬似クロストークn2(k)も大きくならず、同じ問題が継続する。
 一方、第6混在比R6(k)の分母は劣化信号xP(k)であり、係数更新開始時にゼロとは限らない。このため、第6混在比R6(k)が無限大になることはなく、対応するステップサイズも極小値とはならない。したがって、適応フィルタ801の係数は、係数更新とともに成長し、音声の信号源から入力端子202に至る経路の音響特性を表す値に収束する。劣化信号xP(k)がゼロのときは、適応フィルタ801の係数は更新しないので、第6混在比R6(k)が極めて大きな値をとっても問題とはならない。しかし、適応フィルタ801の係数がある程度成長して、擬似クロストークn2(k)が十分に大きく成長したときには、第6混在比R6(k)は第5混在比R5(k)よりも、雑音とクロストークの振幅または電力の比に対する近似精度が低い。
 そこで、混合部903は、適応フィルタ801の係数更新開始時に第6混在比R6(k)の重みを大きな値に設定し、係数の成長とともに減少させる。第5混在比R5(k)の重みは、適応フィルタ801の係数更新開始時に小さな値に設定し、時間とともに増加させる。これは、第6混在比R6(k)の第4混在比R4(k)における含有割合を、係数更新回数に対応して減少させることを表す。
 例えば、適応フィルタ801の係数更新開始時に第6混在比R6(k)の重みを1に設定すれば、重みの和が1という条件から、第5混在比R5(k)の重みは0となる。係数の成長は係数更新回数と対応する。したがって、適応フィルタ801の係数更新開始時に第6混在比R6(k)の重みを1に設定し、係数更新回数に対応してその重みを0に向かって減少させる。対応して、第5混在比R5(k)の重みは、0から1へ増加する。
 第6混在比R6(k)の重みは減少し、第5混在比R5(k)の重みは増加するので、ある係数更新回数で両者の大小関係は逆転する。両者の重みを1と0の2値で表せば、第6混在比R6(k)の重みは1を維持した後に0に変化する。第5混在比R5(k)の重みは0を維持した後に1に変化する。変化点としては、第5混在比R5(k)が十分に小さくなったときに設定することができる。適応フィルタ801の係数更新開始時には、第6混在比R6(k)が第5混在比R5(k)よりも大きく、係数収束後には第5混在比R5(k)が第6混在比R6(k)よりも小さい。したがって、第5混在比R5(k)が十分に小さくなったときを表す変化点として、第6混在比R3(k)より第5混在比R5(k)が小さくなった時を用いる。このとき、混合部903の動作は、適応フィルタ801の係数更新開始時に第6混在比R6(k)の含有割合を100%に設定し、第6混在比R6(k)より第5混在比R5(k)が小さくなった時、第6混在比R6(k)の含有割合を0%に設定することになる。このような変化点の設定法は、第6混在比R6(k)と第5混在比R5(k)の大小関係が、係数更新開始時と反転する性質を利用しており、必要以上に安全度を見込んでいる可能性が高い。したがって、第6混在比R6(k)と第5混在比R5(k)の比が、十分に1に近づいたときを変化点と設定することもできる。その際に、混合部903の動作は、適応フィルタ801の係数更新開始時に第6混在比R6(k)の含有割合を100%に設定し、第6混在比R6(k)と第5混在比R5(k)の比が十分1に近くなった時、第6混在比R6(k)の含有割合を0%に設定することになる。前記比が十分に1に近いかどうかの判定は、あらかじめ与えられた閾値、例えば0.8、との比較で行うことができる。また、前記大小関係逆転後に対応した閾値は1以上の値となる。
 図10は、減算部802の第1の内部構成を示すブロック図である。減算部802は、減算器1001を備えている。減算器1001は、参照信号xR(k)から擬似クロストーク(第3信号の第1推定値)n2(k)を減算し、減算結果を強調雑音(第4信号の第1推定値)e2(k)として出力する。また、参照信号xR(k)をそのまま、雑音の第2推定値xD(k)として出力する。
図11は、減算部802の第2の内部構成を示すブロック図である。減算部802は、減算器1001を備えている。減算器1001は、参照信号xR(k)から擬似クロストーク(第3信号の第1推定値)n2(k)を減算し、減算結果を強調雑音(第4信号の第1推定値)e2(k)として出力する。また、減算結果e2(k)を雑音の第2推定値xD(k)として出力する。
 図10と図11の差異は、図4と図5の差異と同様であり、雑音の第2推定値として参照信号xR(k)をそのまま用いるか、減算結果e2(k)を用いるかである。本来、雑音の推定値は雑音に近いほど高性能なので、係数がある程度成長してからは、減算結果e2(k)を用いる図11の構成の方が優れている。しかし、図10の構成は、雑音の第2推定値が適応フィルタ801の動作と無関係なので、適応フィルタ801の制御に問題があった場合にも問題なく利用することができる。すなわち、図10の構成の方が適応フィルタ801の動作の変化に対して頑健である。結局、図10と図11の優劣は一長一短であり、システムの要求条件に応じて適切に選択することがよい。
 図12は、推定部804の第2の内部構成を示すブロック図である。推定部804は、混合部701と信号比推定部702に加えて、さらに混合部1201と信号比推定部1202を備えている。混合部1201は、劣化信号xP(k)(第1混在信号)と擬似クロストークn2(k)(第3信号の第1推定値)を混合して、第2混合信号を生成する。信号比推定部1202は、雑音の第2推定値xD(k)と第2混合信号を受けて、雑音とクロストークの振幅または電力の比を第4混在比R4(k)として推定する。第4混在比R4(k)は、雑音の第2推定値xD(k)と第2混合信号の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。また、雑音の第2推定値xD(k)と第2混合信号のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
 図12に示す推定部804の第2の内部構成は、図9に示す推定部804の第1の内部構成と等価である。すなわち、図9に示す第1の内部構成は、雑音とクロストークの振幅または電力の比に対して2つの推定値を信号比推定部901と902で生成し、それらを混合して第1混在比R1(k)を算出する。図12に示す第2の内部構成は、2種類のクロストークの推定値、すなわち劣化信号xP(k)と擬似クロストークn2(k)を混合して第2混合信号を生成して分母を確定し、分子である雑音の第2推定値xD(k)と作用させて第4混在比R4(k)を算出する。これら2種類の構成が可能となったのは、図9に示す第1の内部構成と図12に示す第2の内部構成において、雑音とクロストークの振幅または電力の比を推定する際に、同一の分子、すなわち雑音の第2推定値xD(k)を用いるからである。図12に示す推定部804の第2の内部構成は、図9に示す第1の内部構成よりも、構成が単純である。
 ここで、単純化のために、雑音の第2推定値xD(k)と第2混合信号を重み付き加算で混合することで、第4混在比R4(k)を求める場合を考える。また、両社の重みの和が1となるように設定する。このとき、混合部1201は、適応フィルタ801の係数更新開始時に劣化信号xP(k)の重みを大きな値に設定し、係数の成長とともに減少させる。擬似クロストークn2(k)の重みは、適応フィルタ801の係数更新開始時に小さな値に設定し、時間とともに増加させる。これは、劣化信号xP(k)の第2混合信号における含有割合を、係数更新回数に対応して減少させることを表す。
 例えば、適応フィルタ801の係数更新開始時に劣化信号xP(k)の重みを1に設定すれば、擬似クロストークn2(k)の重みは0となる。係数の成長は係数更新回数と対応する。したがって、適応フィルタ801の係数更新開始時に劣化信号xP(k)の重みを1に設定し、係数更新回数に対応してその重みを0に向かって減少させる。対応して、擬似クロストークn2(k)の重みは、0から1へ増加する。
 劣化信号xP(k)の重みは減少し、擬似クロストークn2(k)の重みは増加する。また、ある係数更新回数で両者の大小関係は逆転する。両者の重みを1と0の2値で表せば、劣化信号xP(k)の重みは1を維持した後に0に変化する。擬似クロストークn2(k)の重みは0を維持した後に1に変化する。変化点としては、擬似クロストークn2(k)の振幅または電力が劣化信号xP(k)の振幅または電力に近くなった時に設定することができる。これは、劣化信号xP(k)が音声の信号源から入力端子202に至る経路の音響特性と畳み込み演算された結果が擬似クロストークn2(k)なので、擬似クロストークn2(k)の振幅または電力は劣化信号xP(k)の振幅または電力に近づいていくからである。したがって、変化点として、劣化信号xP(k)の振幅または電力と擬似クロストークn2(k)の振幅または電力の比が1に近づいた時を用いる。このとき、混合部1201の動作は、適応フィルタ801の係数更新開始時に劣化信号xP(k)の含有割合を100%に設定し、劣化信号xP(k)と擬似クロストークn2(k)の比が1に近づいた時、劣化信号xP(k)の含有割合を0%に設定することになる。前記比が1に近づいたかどうかの判定は、あらかじめ与えられた閾値、例えば0.3、との比較で行うことができる。この閾値の値は、第2実施形態の混合部701で用いる値よりも小さい値となる。なぜなら、通常はクロストークの振幅が雑音の振幅よりも比較的小さく、劣化信号xP(k)と擬似クロストークn2(k)の比が第2の実施例ほどは1に近づかないからである。
 以上の構成により、本実施形態によれば、クロストークが存在する状況において、ステップサイズに特別な値を強制的に設定することなく、円滑に係数更新を行うことができ、結果として、雑音の消し残りが少なく、かつ、信号歪が少ない出力信号を得ることができる。
 [他の実施形態]
 以上、本発明の複数の実施形態について詳述したが、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
 また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、上述の実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。そのようなプログラムは、信号処理装置あるいは雑音消去装置を構成するDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサで実行される。さらには、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。
 図13は、第1実施形態を信号処理プログラムにより構成する場合に、その信号処理プログラムを実行するコンピュータ1300の構成図である。コンピュータ1300は、入力部1301と、CPU1302と、出力部1303と、メモリ1304とを含む。
 CPU1302は、メモリ1304に記憶された信号処理プログラムを読み込むことにより、コンピュータ1300の動作を制御する。すなわち、信号処理プログラムを実行したCPU1302は、ステップS1311において、まず、入力部1301から、第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、第1信号と相関のある第3信号と第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する。
 CPU1302は、ステップS1313において、第2混在信号をフィルタ処理して第2信号の第1推定値を生成し、第1混在信号と第2信号の第1推定値から第1信号の第1推定値と第1信号の第2推定値を生成する。
 CPU1302は、ステップS1315において、第1信号の第2推定値と第2信号の第1推定値と第2混在信号とを用いて第1信号と第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する。
 CPU1302は、ステップS1317において、第1混在比を用いて第2信号の第1推定値の生成を制御する。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
 [実施形態の他の表現]
 上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
 第1信号と第2信号とが混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、
 前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、
 前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成する第1適応フィルタと、
 前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値とから、前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値とを生成する第1減算部と、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部と、
 を備え、
 前記第1混在比を用いて前記第1適応フィルタを制御する信号処理装置。
(付記2)
 前記推定部は、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部と、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部と、
 前記第2混在比と前記第3混在比を混合して前記第1混在比を生成する第1混合部と、
 を備えた付記1に記載の信号処理装置。
(付記3)
 前記第1混合部は、
 前記第1適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第3混在比の含有割合を減少させる付記2に記載の信号処理装置。
(付記4)
 前記第1混合部は、
 前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第3混在比の含有割合を100%に設定し、前記第3混在比と前記第2混在比との比が1に近くなった時、前記第3混在比の含有割合を0%に設定する付記2または3に記載の信号処理装置。
(付記5)
 前記第1減算部は、
 第1減算器を備え、
 前記第1混在信号から前記第2信号の第1推定値を減算した結果を前記第1信号の第1推定値として出力し、
 前記第1信号の第1推定値を前記第1信号の第2推定値として出力する付記1から4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記6)
 前記第1減算部は、
 第1減算器を備え、
 前記第1混在信号から前記第2信号の第1推定値を減算した結果を前記第1信号の第1推定値として出力し、
 前記第1信号の第1推定値を前記第1信号の第2推定値として出力する付記1から4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記7)
 前記推定部は、
 前記第2混在信号と前記第2信号の第1推定値を混合して第1混合信号を生成する第2混合部と、
 前記第1混合信号と前記第1信号の第2推定値を用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する第3信号比推定部と、
 を備えた付記1に記載の信号処理装置。
(付記8)
 前記第2混合部は、
 前記第1適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第2混在信号の含有割合を減少させる付記7に記載の信号処理装置。
(付記9)
 前記第2混合部は、
 前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第2混在信号の含有割合を100%に設定し、
 前記第2混在信号と前記第1信号の第1推定値との比が1に近くなった時、前記第2混在信号の含有割合を0%に設定する付記7または8に記載の信号処理装置。
(付記10)
 前記第1信号の第1推定値をフィルタ処理して前記第3信号の第1推定値を生成する第2適応フィルタと、
 前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算して前記第4信号の第1推定値と前記第4信号の第2推定値を生成する第2減算部と、
 をさらに備え、
 前記第1適応フィルタは前記第4信号の第1推定値を入力とし、
 前記推定部は前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値と前記第1混在信号とをさらに受けて、
 前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定し、
 前記第3混在比を用いて前記第2適応フィルタを制御する付記1に記載の信号処理装置。
(付記11)
 前記推定部は、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部と、
 前記第1混在信号と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部と、
 前記第2混在比と前記第3混在比を混合して前記第1混在比を生成する第1混合部と、
 前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第5混在比として推定する第4信号比推定部と、
 前記第4信号の第2推定値と前記第1混在信号とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第6混在比として推定する第5信号比推定部と、
 前記第6混在比と前記第5混在比を混合して第4混在比を生成する第3混合部と、
 を備えた付記10に記載の信号処理装置。
(付記12)
 前記第3混合部は、
 前記第2適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第6混在比の含有割合を減少させる付記11に記載の信号処理装置
(付記13)
 前記第3混合部は、
 前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第6混在比の含有割合を100%に設定し、
 前記第6混在比と前記第5混在比との比が1に近くなった時、前記第6混在比の含有割合を0%に設定する付記11または12に記載の信号処理装置
(付記14)
 前記第2減算部は、
 第2減算器を備え、
 前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算した結果を前記第4信号の第1推定値として出力し、
 前記第2混在信号を前記第4信号の第2推定値として出力する付記10から13のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記15)
 前記第2減算部は、
 第2減算器を備え、
 前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算した結果を前記第4信号の第1推定値として出力し、
 前記第4信号の第1推定値を前記第4信号の第2推定値として出力する付記10から13のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記16)
 前記推定部は、
 前記第2混在信号と前記第2信号の第1推定値を混合して第1混合信号を生成する第2混合部と、
 前記第1混合信号と前記第1信号の第2推定値を用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する第3信号比推定部と、
 前記第1混在信号と前記第3信号の第1推定値を混合して第2混合信号を生成する第4混合部と、
 前記第2混合信号と前記第4信号の第2推定値を用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比として求める第6信号比推定部と、
 を備えた付記10に記載の信号処理装置。
(付記17)
 前記第4混合部は、
 前記第2適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第1混在信号の含有割合を減少させる付記16に記載の信号処理装置。
(付記18)
 前記第4混合部は、
 前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混在信号の含有割合を100%に設定し、
 前記第1混在信号と前記第3信号の第1推定値との比が1に近くなった時、前記第1混在信号の含有割合を0%に設定する付記16または17に記載の信号処理装置。
(付記19)
 第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
 前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
 前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成し、
 前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値から前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値を生成し、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
 前記第1混在比を用いて前記第2信号の第1推定値の生成を制御する信号処理方法。
(付記20)
 前記第1信号の第1推定値をフィルタ処理して前記第3信号の第1推定値を生成し、
 前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算して前記第4信号の第1推定値と前記第4信号の第2推定値を生成し、
 前記第4信号の第1推定値を用いて前記第2信号の第1推定値を生成し、
 前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値と前記第1混在信号とを用いて、
 前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比として推定し、
 前記第4混在比を用いて前記第3信号の第1推定値の生成を制御する付記19に記載の信号処理方法。
(付記21)
 コンピュータに、
 第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力するステップと、
 前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力するステップと、
 前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成するステップと、
 前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値から前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値を生成するステップと、
 前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定するステップと、
 前記第1混在比を用いて前記第2信号の第1推定値の生成を制御するステップと、
 を実行させる信号処理プログラム。
(付記22)
 前記第1信号の第1推定値をフィルタ処理して前記第3信号の第1推定値を生成するステップと、
 前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算して前記第4信号の第1推定値と前記第4信号の第2推定値を生成するステップと、
 前記第4信号の第1推定値を用いて前記第2信号の第1推定値を生成するステップと、
 前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値と前記第1混在信号とを用いて、
 前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比として推定するステップと、
 前記第4混在比を用いて前記第3信号の第1推定値の生成を制御するステップと、
 を実行させる付記21に記載の信号処理プログラム。

Claims (22)

  1.  第1信号と第2信号とが混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、
     前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、
     前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成する第1適応フィルタと、
     前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値とから、前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値とを生成する第1減算部と、
     前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部と、
     を備え、
     前記第1混在比を用いて前記第1適応フィルタを制御する信号処理装置。
  2.  前記推定部は、
     前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部と、
     前記第1信号の第2推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部と、
     前記第2混在比と前記第3混在比を混合して前記第1混在比を生成する第1混合部と、
     を備えた請求項1に記載の信号処理装置。
  3.  前記第1混合部は、
     前記第1適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第3混在比の含有割合を減少させる請求項2に記載の信号処理装置。
  4.  前記第1混合部は、
     前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第3混在比の含有割合を100%に設定し、前記第3混在比と前記第2混在比との比が1に近くなった時、前記第3混在比の含有割合を0%に設定する請求項2または3に記載の信号処理装置。
  5.  前記第1減算部は、
     第1減算器を備え、
     前記第1混在信号から前記第2信号の第1推定値を減算した結果を前記第1信号の第1推定値として出力し、
     前記第1信号の第1推定値を前記第1信号の第2推定値として出力する請求項1から4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  6.  前記第1減算部は、
     第1減算器を備え、
     前記第1混在信号から前記第2信号の第1推定値を減算した結果を前記第1信号の第1推定値として出力し、
     前記第1信号の第1推定値を前記第1信号の第2推定値として出力する請求項1から4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  7.  前記推定部は、
     前記第2混在信号と前記第2信号の第1推定値を混合して第1混合信号を生成する第2混合部と、
     前記第1混合信号と前記第1信号の第2推定値を用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する第3信号比推定部と、
     を備えた請求項1に記載の信号処理装置。
  8.  前記第2混合部は、
     前記第1適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第2混在信号の含有割合を減少させる請求項7に記載の信号処理装置。
  9.  前記第2混合部は、
     前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第2混在信号の含有割合を100%に設定し、
     前記第2混在信号と前記第1信号の第1推定値との比が1に近くなった時、前記第2混在信号の含有割合を0%に設定する請求項7または8に記載の信号処理装置。
  10.  前記第1信号の第1推定値をフィルタ処理して前記第3信号の第1推定値を生成する第2適応フィルタと、
     前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算して前記第4信号の第1推定値と前記第4信号の第2推定値を生成する第2減算部と、
     をさらに備え、
     前記第1適応フィルタは前記第4信号の第1推定値を入力とし、
     前記推定部は前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値と前記第1混在信号とをさらに受けて、
     前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定し、
     前記第3混在比を用いて前記第2適応フィルタを制御する請求項1に記載の信号処理装置。
  11.  前記推定部は、
     前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部と、
     前記第1混在信号と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部と、
     前記第2混在比と前記第3混在比を混合して前記第1混在比を生成する第1混合部と、
     前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第5混在比として推定する第4信号比推定部と、
     前記第4信号の第2推定値と前記第1混在信号とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第6混在比として推定する第5信号比推定部と、
     前記第6混在比と前記第5混在比を混合して第4混在比を生成する第3混合部と、
     を備えた請求項10に記載の信号処理装置。
  12.  前記第3混合部は、
     前記第2適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第6混在比の含有割合を減少させる請求項11に記載の信号処理装置
  13.  前記第3混合部は、
     前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第6混在比の含有割合を100%に設定し、
     前記第6混在比と前記第5混在比との比が1に近くなった時、前記第6混在比の含有割合を0%に設定する請求項11または12に記載の信号処理装置
  14.  前記第2減算部は、
     第2減算器を備え、
     前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算した結果を前記第4信号の第1推定値として出力し、
     前記第2混在信号を前記第4信号の第2推定値として出力する請求項10から13のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  15.  前記第2減算部は、
     第2減算器を備え、
     前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算した結果を前記第4信号の第1推定値として出力し、
     前記第4信号の第1推定値を前記第4信号の第2推定値として出力する請求項10から13のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  16.  前記推定部は、
     前記第2混在信号と前記第2信号の第1推定値を混合して第1混合信号を生成する第2混合部と、
     前記第1混合信号と前記第1信号の第2推定値を用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する第3信号比推定部と、
     前記第1混在信号と前記第3信号の第1推定値を混合して第2混合信号を生成する第4混合部と、
     前記第2混合信号と前記第4信号の第2推定値を用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比として求める第6信号比推定部と、
     を備えた請求項10に記載の信号処理装置。
  17.  前記第4混合部は、
     前記第2適応フィルタの係数更新回数に対応して、前記第1混在信号の含有割合を減少させる請求項16に記載の信号処理装置。
  18.  前記第4混合部は、
     前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混在信号の含有割合を100%に設定し、
     前記第1混在信号と前記第3信号の第1推定値との比が1に近くなった時、前記第1混在信号の含有割合を0%に設定する請求項16または17に記載の信号処理装置。
  19.  第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
     前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
     前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成し、
     前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値から前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値を生成し、
     前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
     前記第1混在比を用いて前記第2信号の第1推定値の生成を制御する信号処理方法。
  20.  前記第1信号の第1推定値をフィルタ処理して前記第3信号の第1推定値を生成し、
     前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算して前記第4信号の第1推定値と前記第4信号の第2推定値を生成し、
     前記第4信号の第1推定値を用いて前記第2信号の第1推定値を生成し、
     前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値と前記第1混在信号とを用いて、
     前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比として推定し、
     前記第4混在比を用いて前記第3信号の第1推定値の生成を制御する請求項19に記載の信号処理方法。
  21.  コンピュータに、
     第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力するステップと、
     前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力するステップと、
     前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の第1推定値を生成するステップと、
     前記第1混在信号と前記第2信号の第1推定値から前記第1信号の第1推定値と前記第1信号の第2推定値を生成するステップと、
     前記第1信号の第2推定値と前記第2信号の第1推定値と前記第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定するステップと、
     前記第1混在比を用いて前記第2信号の第1推定値の生成を制御するステップと、
     を実行させる信号処理プログラム。
  22.  前記第1信号の第1推定値をフィルタ処理して前記第3信号の第1推定値を生成するステップと、
     前記第2混在信号から前記第3信号の第1推定値を減算して前記第4信号の第1推定値と前記第4信号の第2推定値を生成するステップと、
     前記第4信号の第1推定値を用いて前記第2信号の第1推定値を生成するステップと、
     前記第4信号の第2推定値と前記第3信号の第1推定値と前記第1混在信号とを用いて、
     前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比として推定するステップと、
     前記第4混在比を用いて前記第3信号の第1推定値の生成を制御するステップと、
     を実行させる請求項21に記載の信号処理プログラム。
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