JP2010152021A - 信号処理方法、信号処理装置、並びに信号処理プログラム - Google Patents

信号処理方法、信号処理装置、並びに信号処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することのできる信号処理方法、信号処理装置、並びに信号処理プログラムを提供することである。
【解決手段】本発明の信号処理方法は、適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成し、前記複数の係数グループにおける係数代表値を求め、前記係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、信号処理方法、信号処理装置、並びに信号処理プログラムに関し、特にマイクロホン、ハンドセット、通信路等から入力された所望信号に混在する雑音や妨害信号などを適応フィルタによって消去し、または所望信号を強調するための方法、装置、並びにプログラムに関するものである。
マイクロホンやハンドセット等から入力された音声信号は、音声符号化や音声認識処理の対象となる。情報圧縮度の高い狭帯域音声符号化装置や音声認識装置等において、このような背景雑音が重畳された音声信号の音声符号化や音声認識を行う上で、大きな問題となる。上記のように音響的に重畳した雑音の消去を目的とした信号処理装置として、特許文献1、2、3には、適応フィルタを用いた2入力型雑音消去装置が開示されている。
上記特許文献1、2、3に開示されている2入力型雑音消去装置は、雑音源から音声入力端子に至る音響経路(ノイズパス)のインパルス応答を近似する適応フィルタを用いて、音声入力端子において混入する雑音成分に対応した擬似雑音を生成する。そして、音声入力端子に入力された受信信号(主信号)からこの擬似雑音を差し引くことによって、雑音成分を抑圧するように動作する。ここで、受信信号とは、音声信号と雑音とが混在した信号のことであり、一般に、マイクロホンやハンドセットから音声入力端子に供給される。適応フィルタには、参照入力端子に供給される参照信号を入力する。ここで、参照信号とは雑音源における雑音成分と相関のある信号であり、雑音源近傍において捕捉される。このように、雑音源近傍において参照信号を捕捉することで、参照信号は雑音源における雑音成分とほぼ等しいとみなすことができる。
適応フィルタの係数は、受信信号から擬似雑音を差し引いた誤差と参照入力端子に入力された参照信号との相関をとることにより修正される。このような適応フィルタの係数修正アルゴリズムとしては、特許文献1、2、3には、「LMSアルゴリズム(Least Mean−Square Algorithm)」や「LIM(Learning dentification Method)」が開示されている。
LMSアルゴリズムやLIMは、勾配法と呼ばれるアルゴリズムの一種であり、係数更新の速度と精度は、係数更新ステップサイズと呼ばれる定数に依存する。係数更新ステップサイズと誤差との積によってフィルタ係数を更新するが、誤差に含まれる所望信号は係数更新を妨害し、その影響を低減するためには、係数更新ステップサイズを極めて小さな値に設定する必要がある。しかし、係数更新ステップサイズが小さい場合、適応フィルタ係数の環境変化への追従性が低下する。このため、誤差が増大したり、所望信号に歪が生じたりする。
この問題に対して、特許文献1、2、3には、係数更新ステップサイズの適応制御を行う雑音消去装置が記載されている。特許文献1、2、3の雑音消去装置は2つの適応フィルタを備えており、第1の適応フィルタを用いて推定した主信号における信号対雑音比を用いて、第2の適応フィルタの係数更新ステップサイズを制御し、第2の適応フィルタによって雑音の消去された信号を出力とする。音声信号が雑音より大きいときには小さな係数更新ステップサイズを、逆の状態では大きな係数更新ステップサイズを使用することによって、適応フィルタの環境変化への追従性を高め、雑音消去後の信号における歪を低減することができる。
第1の適応フィルタは、第2の適応フィルタと同様に動作するが、第1の適応フィルタの係数更新ステップサイズは第2の適用フィルタの係数更新ステップサイズよりも大きな値に設定される。このため、第1の適応フィルタの出力は、環境変化への追従性が高いが、雑音の推定精度が第2の適応フィルタよりも劣る。このように動作する第1の適応フィルタの出力は、変化によく追従する擬似雑音であり、また主信号と第1の適応フィルタの差分は、擬似所望信号であるとみなすことができる。これにより、上記の信号に基づいて、主信号における所望信号対雑音比を推定することができる。この比が大きな値であるときは所望信号による妨害が大きいので小さな係数更新ステップサイズを、小さな値であるときは妨害が小さいので大きな係数更新ステップサイズを、適応フィルタ2に適用することによって、十分な環境変化への追従性と雑音消去後の信号における低歪を同時に達成することができる。
適応フィルタ2に供給される参照信号、及び適応フィルタの出力である擬似雑音を消去する際に用いられる主信号は、それぞれ遅延されている。これは、適応フィルタ1を用いた所望信号対雑音比を推定する際の推定遅延を補償するためである。この遅延が適用されない場合、主信号における所望信号対雑音比の推定値は正しい値よりも遅れて得られることになり、正しい係数更新ステップサイズ制御を行うことができない。このため、雑音消去後の信号における残留雑音が増大し、さらに歪が増大する。
これまでの説明では、雑音源近傍において参照信号の捕捉を行うことによって、参照信号は雑音そのものである仮定してきた。しかし、現実にはこの条件を満たすことが困難である。このような場合には、参照信号は雑音とそれに混入する所望信号から構成される。このような参照信号に対する所望信号の混入成分はクロストークと呼ばれる。クロストークが存在する際の雑音消去において、十分な環境変化への追従性と雑音消去後の信号における低歪を同時に達成するための構成が、特許文献4に開示されている。
雑音の消去と同様に、係数更新ステップサイズを制御するための第3の適応フィルタとクロストークを消去するための第4の適応フィルタを導入する。所望信号源から参照入力端子に至る音響経路(クロストークパス)のインパルス応答を近似する第3及び第4の適応フィルタを用いて、参照入力端子において混入する所望信号成分に対応した擬似所望信号を生成し、参照入力端子に入力された受信信号(参照信号)からこの擬似所望信号を差し引くことによって、所望信号成分(クロストーク)を抑圧するように動作する。第3の適応フィルタの出力は、変化によく追従する所望信号成分(クロストーク)であり、また参照信号と第3の適応フィルタの差分は、擬似雑音であるとみなすことができる。そこで、これらの信号に基づいて、参照信号における所望信号対雑音比を推定することができる。この比が大きな値であるときは雑音による係数更新に対する妨害が大きいので小さな係数更新ステップサイズを、小さな値であるときは妨害が小さいので大きな係数更新ステップサイズを、適応フィルタ4に適用することによって、十分な環境変化への追従性とクロストーク消去後の信号における低歪を同時に達成することができる。
特許文献4に開示されている構成では、さらに第1と第3の適応フィルタの係数更新ステップサイズを、主信号と参照信号の比によって近似した「主信号における所望信号対雑音比」と「参照信号における所望信号対雑音比」を用いて制御する。第1と第3の適応フィルタの係数更新ステップサイズをこのように制御することによって、主信号や参照信号における広範囲な所望信号対雑音比の入力信号に対して、環境変化への追従性が高く、出力歪の少ない雑音消去を達成することができる。
一方、スピーカにおける再生信号がマイクへ回り込むことによって生じる音響エコーや通信回線の2線4線変換において送信側から受信側へ送信信号が回り込むことによって生じる回線エコーの消去を対象として、非特許文献1に「PNLMSアルゴリズム(Proportionate Normalized Least Mean−Square Algorithm)」が開示されている。
PNLMSアルゴリズムは、フィルタ係数値に応じた係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うことにより、高速な収束を達成する。しかし、PNLMSアルゴリズムでは、エコー消去後の信号における歪については全く議論されておらず、その存在についても言及されていない。
PNLMSアルゴリズムは、本来、小さな係数における係数更新を抑圧し、信号の統計的な性質に基づいた小さな係数の不確実な更新が引き起こす妨害によって、より重要な大きな係数の更新が妨害されることを防ぐ。このため、適応フィルタ係数全体として評価したときに、収束の高速化が達成される。
しかしながら、環境変化への追従の観点からは、PNLMSアルゴリズムは望ましい特性を示さないことが理解できる。例えば、小さな値を有する係数に変化が生じた場合、この係数に適用される係数更新ステップサイズが小さいために、変化への追従には時間がかかる。このため、適応フィルタ係数全体として評価したときに、環境変化への追従に遅れを生じ、出力信号における歪を引き起こす。
特開平8−241086 特開平10-215193 特開2000-172299 WO2005/024787 Donald L. Duttweiler,"Proportionate Normalized Least−Mean−Squares Adaptation in Echo Cancelers," IEEE TRANSACTIONS ON SPEECH AND AUDIO PROCESSING,VOL.8,NO.5,2000,pp.508−518
上述の通り、特許文献1に開示されている構成では、第2の適応フィルタに対して、主信号が遅延されている。これは、雑音抑圧装置の出力信号である雑音抑圧された所望信号が遅延されていることを表している。双方向通信においては、所望信号の遅延により通話が不自然になる。また、第2の適応フィルタの係数更新ステップサイズを制御するために、第1の適応フィルタを必要とし、所要演算量が増大する。クロストークに対応できる特許文献4に開示されている構成でも同様に、雑音消去後の主信号が遅延されている。
また、第2と第4の適応フィルタの係数更新ステップサイズを制御するために、第1と第3の適応フィルタを必要とし、さらに所要演算量が増大する。また、非特許文献1に開示されたPNLMSアルゴリズムでは、環境変化への追従性が不十分で、出力歪を引き起こすという問題がある。
本発明の目的は、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することのできる信号処理方法、信号処理装置、並びに信号処理プログラムを提供することである。
本発明の信号処理方法は、適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成し、前記複数の係数グループにおける係数代表値を求め、前記係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御することを特徴とする。
また、本発明の信号処理装置は、適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成し、前記複数の係数グループにおける係数代表値を求め、前記係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御するステップサイズ制御回路を少なくとも具備し、前記係数更新ステップサイズを用いて適応フィルタの係数を更新することを特徴とする。
さらに、本発明の信号処理プログラムは、コンピュータに、適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成する処理と、前記複数の係数グループにおける係数代表値を求める処理と、前記係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御する処理と、前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する処理と、を実行させることを特徴とする。
本発明では、適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成し、これらの係数グループにおける係数代表値を求め、これらの係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御する。各係数に対する係数更新ステップサイズは近傍にある同一係数グループ内の他の係数に対する係数更新ステップサイズと等しく、大きな係数値が多い係数グループに属する係数値に対しては大きな値に、小さな係数値が多い係数グループに属する係数値に対しては小さな値になるように制御される。従って、同一係数グループに属する極端に大きな係数値を有する係数も極端に小さな係数値を有する係数も、他の係数グループ内係数と同じ係数更新ステップサイズで、平均的に更新される。
また、本発明では、係数グループにおける参照信号代表値を求め、これらの参照信号代表値と前記係数代表値とを用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御する。参照信号サンプルの振幅が大きく、更新対象の係数値が小さいときにも、係数更新による係数値の変化量が過大になることを防止し、誤差に対する妨害成分が無視できないときに、誤った係数更新が行われない。
さらに、本発明では、前記代表値に加えて、所望信号対消去対象信号の比の推定値を用いて前記適応フィルタの係数更新ステップサイズを制御する。係数更新に用いる誤差に対する妨害である所望信号が相対的に大きいときは小さな係数更新ステップサイズを、小さいときには大きな係数更新ステップサイズを用いる。本発明では、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも誤った係数更新が行われることがない。このため、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
本発明を実施するための最良の実施形態について説明する。最初に、本発明に基づく信号処理装置を、音声信号を処理する装置として実現化した形態、特に、雑音消去装置として実現した例を挙げて説明する。しかしながら、以下の各実施形態の信号処理装置は、その構成を変更することなく、雑音消去装置以外の各種の信号処理装置として用いることができることは、いうまでもない。
図1に示す本発明の最良の実施形態の信号処理装置は、音声入力を行うマイクロホン1と、参照信号を入力するマイクロホン2と、出力端子7と、マイクロホン1から入力される主信号xP(k)から第1の擬似信号を減算して第1の誤差を生成する第1の減算器3と、マイクロホン2から入力される参照信号xR(k)を入力として第1の擬似信号を生成して第1の誤差が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ5と、第1の適応フィルタ5から受けた係数値を用いて係数更新ステップサイズを計算し、第1の適応フィルタ5に帰還するステップサイズ制御回路8と、を備えている。第1の減算器3からの第1の誤差e(k)は、雑音が消去された音声信号として、出力端子7にも出力されている。ここに、kは時刻を表す指標である。
最良の実施形態における動作は、ステップサイズ制御回路8を除いて、特許文献1に記載された構成と等しいので、詳細は省略する。ステップサイズ制御回路8は、適応フィルタ5から係数ベクトルW(k)を受け、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。ステップサイズ制御回路8は、求めた係数更新ステップサイズΜ(k)を、適応フィルタ5に帰還する。
(k)とΜ(k)は、次式で与えられる。
〈数1〉
(k)=[w(0, k), w(1, k), …, w(N-1, k)]
〈数2〉
Μ(k)=[μ1(0, k), μ1(1, k), …, μ1(N-1, k)]
ここで、Nは適応フィルタ5のタップ数を表す1以上の整数である。
ステップサイズ制御回路8は、係数ベクトルW(k)を、まずL個のサブベクトル(係数グループ)に分割する。分割に際しては、予め定められたサイズのサブベクトルに分割することができる。また、等しいサイズのサブベクトルに等分割してもよいし、何らかの指標に基づいて不等分割してもよい。この指標としては、例えば、係数絶対値の分散を用いることができる。同一サブベクトル内の係数絶対値分散が小さいときは大きなサブベクトルサイズを、大きいときは小さなサブベクトルサイズを適用して分割する。このような分散とサブベクトルサイズの関係は、予め関数または対応表を定めておき、係数更新に応じてサブベクトルサイズを計算する。
このようにして生成したサブベクトルをWS1(j, k), j=0, 1, …, L-1とすると
〈数3〉
(k)=[WS1(0, k), WS1(1, k), …, WS1(L-1, k)]
となる。LS等分割の場合には、j番目のサブベクトルは、次式で与えられる。
〈数4〉
S1(j,k)=[w(jL/LS, k), w(jL/LS+1, k), …, w((j+1)L/LS-1, k)] (j=0, 1, …, L-1)
ここにLSは、L/LSが整数となるような整数値である。
次に、各サブベクトル(係数グループ)内で係数の代表値を求める。代表値としては、最大値、最小値、中央値、平均値、分散などを用いることができる。j番目のサブベクトルに対する代表値wREP1(j, k)は、最大値を代表値とするとき、
〈数5〉
REP1(j,k)=max{|w(jL/LS, k)|, |w(jL/LS+1, k)|, …, |w((j+1)L/LS-1, k)|}
で与えられる。ここに、max{・}は最大値を求める演算子である。同様に、最小値と中央値も最小値演算子又は中央値演算子によって求めることができる。これらの演算子は、要素の大きさに基づいた並べ替えと最大、最小、又は中央に対応した値の選択によって実現することができる。
また、平均値をj番目のサブベクトルに対する代表値wREP1(j, k)とするときには、
〈数6〉
Figure 2010152021
となる。ここに、ave{・}は平均値を求める演算子である。分散についても、同様に定義に従って計算することができる。
これまでの説明では、各係数値の絶対値に対して係数代表値を求めた。しかし、絶対値の代わりに2乗値を用いても、同様の効果を得ることができる。特に、信号処理専用チップを用いて演算を行う際には、2乗値の計算の方が絶対値の計算よりも容易であるので、2乗値の方が適している。
図2は、L=7、代表値として係数グループ内係数の最大値を選択した場合の係数値と係数グループ(サブベクトル)を示す。係数グループ1、2、3、4は、単一係数から係数グループが構成されている。係数グループ0、5、6は、複数の係数から構成されている。いずれの係数グループにおいても、係数グループ内の係数絶対値の最大値が選択され、係数代表値となっている。これらの係数代表値は、四角印で表されており、丸印で表されている一般の係数とは容易に区別できる。
このようにして計算したサブベクトルの代表値wREP1(j, k), j=0, 1, …, L-1 を用いて、wREP1(j, k)に対応した係数更新ステップサイズを計算する。第1の例は、各サブベクトルの代表値の最大値を求め、その最大値に対する各サブベクトル代表値の割合を求め、この割合で基本となる係数更新ステップサイズμを重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ(j, k)を、次式で求める。
〈数7〉
μ1(j, k)=wREP1(j, k)/max{wREP1(j, k)}・μ0
前記割合は0と1の間の値を取るので、最大の係数はμ0で、それ以外の係数はμ0よりも小さな係数更新ステップサイズで更新されることになる。
第2の例は、各サブベクトルの代表値の平均値を求め、その平均値に対する各サブベクトル代表値の割合を求め、この割合で基本となる係数更新ステップサイズμ0を重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ1(j, k)を、次式で求める。
〈数8〉
μ1(j, k)=wREP1(j, k)/ave{wREP1(j, k)}・μ0
以上説明したように、本発明を実施するための最良の実施形態は、各係数が属する係数サブグループの代表値を用いて決定した係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
次に本発明を実施するための第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態を表すブロック図である。本発明の最良の実施形態を表すブロック図である図1と比較すると、ステップサイズ制御回路8がステップサイズ制御回路9で置換されている。ステップサイズ制御回路9は、適応フィルタ5及びマイクロホン2からそれぞれ係数ベクトルW(k)と参照信号xR(k)を受け、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。ステップサイズ制御回路9は、求めた係数更新ステップサイズΜ(k)を、適応フィルタ5に帰還する。
LMS及びNLMSアルゴリズムによる係数更新では、係数更新量が参照信号サンプルの振幅に比例する。従って、参照信号サンプルの振幅が大きく、更新対象の係数値が小さいときには、相対的に係数更新による係数値の変化量が大きくなり、誤差に対する妨害成分が無視できないときには、誤った係数更新が行われることになる。この観点から、第2の実施形態では、最良の実施形態で用いた係数代表値に加えて、各サブベクトルの参照信号パワーの代表値を用いる。参照信号サンプルが大きいときに係数更新ステップサイズを小さくするように、係数代表値の場合とは逆に、参照信号に対する前記割合の逆数で基本となる係数更新ステップサイズμを重みづける。
最良の実施形態と同様に、時刻kにおける適応フィルタ5の参照信号ベクトルX(k)を次のように定義する。
〈数9〉
(k)=[x(0,k), x(1,k), …, x(N-1, k)]
次に、各サブベクトル内における参照信号の代表値を求める。代表値としては、最大値、最小値、中央値、平均値、分散などを用いることができる。j番目のサブベクトルに対する代表値xREP1(j, k)は、最大値を代表値とするとき、
〈数10〉
xREP1(j, k)=max{|x(jL/LS, k)|, |x(jL/LS+1, k)|, …, |x((j+1)L/LS-1, k)|}
で与えられる。
同様に、最小値と中央値も最小値演算子又は中央値演算子によって求めることができる。また、平均値をj番目のサブベクトルに対する代表値xREP1(j, k)とするときには、
〈数11〉
Figure 2010152021
となる。分散についても、同様に定義に従って計算することができる。係数値の場合と同様に、絶対値の代わりに2乗値を用いても、同様の効果を得ることができる。
このようにして計算したサブベクトルの参照信号代表値xREP1(j, k), j=0, 1, …, L-1と係数代表値wREP1(j, k), j=0, 1, …, L-1を用いて、xREP1(j, k)とwREP1(j, k)に対応した係数更新ステップサイズを計算する。第1の例は、各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の最大値を求め、それらの最大値に対する各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の割合をそれぞれ求め、これらの割合で基本となる係数更新ステップサイズμ0を重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ1(j, k)を、次式で求める。
〈数12〉
μ1(j, k)=[wREP1(j, k) max{xREP1(j, k)}]/[max{wREP1(j, k)} xREP1(j, k)]・μ0
この式から明らかなように、係数代表値だけを用いた場合と同様に最大の係数はμ0で、それ以外の係数はμ0よりも小さな係数更新ステップサイズで更新されることになる。
第2の例は、各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の平均値を求め、それらの平均値に対する各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の割合をそれぞれ求め、これらの割合で基本となる係数更新ステップサイズμ0を重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ1(j, k)を、次式で求める。
〈数13〉
μ1(j, k)=[wREP1(j, k) ave{xREP1(j, k)}]/[ave{wREP1(j, k)} xREP1(j, k)]・μ0
以上説明したように、本発明を実施するための第2の実施形態は、各係数が属する係数サブグループの係数代表値と参照信号代表値を用いて決定した係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記係数代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。また、前記参照信号代表値が小さい係数には大きな係数更新ステップサイズが、大きい係数には小さな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
なお、これまでの説明では、係数代表値と参照信号代表値の決定方法として、同じ方法を用いる場合について説明してきたが、これらは異なってもよい。例えば、係数代表値を各サブグループ内の平均値に基づいて決定し、参照信号代表値を各サブグループ内の最大値に基づいて決定することができる。また、各サブグループ内の値に基づいて最大値、最小値、中央値、平均値、分散などを求める際に、極端な外れ値を除外して計算をすることができる。具体的には、予め定められた閾値よりも大きいものや小さいものを除外したり、最初に平均値を求め、その平均値に対する割合として前記閾値を設定したりすることができる。このような外れ値を除外して計算することによって、代表値に対する極端な外れ値の悪影響を避けることができ、より一層、出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
さらに、最良の実施形態と第2の実施形態では、係数更新ステップサイズを、係数代表値に基づいて制御する方法と係数代表値及び参照信号代表値の双方に基づいて制御する方法について説明した。しかし、参照信号代表値だけに基づいて制御を行うことも可能であり、前記2形態と同様の効果を有する。特に、参照信号代表値に基づく制御は、参照信号パワー総和を用いるNLMSアルゴリズムに類似している。しかし、NLMSアルゴリズムでは、サブベクトルに分割せず、参照信号ベクトル全体を一括して取り扱う。このため、参照信号ベクトル内に参照信号値の偏りがあると、サブベクトル単位で見たときに、不適切な値になっているサブベクトルが存在する可能性がある。本発明では、サブベクトル単位で参照信号を評価して係数更新ステップサイズに反映させるために、参照信号値の偏りによる悪影響を避けることができる。
次に本発明を実施するための第3の実施形態について説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態を表すブロック図である。本発明の最良の実施形態を表すブロック図である図1と比較すると、ステップサイズ制御回路8がステップサイズ制御回路10で置換されている。ステップサイズ制御回路10には、適応フィルタ5及び減算器3からそれぞれ係数ベクトルW(k)と第1の誤差e(k)に加えて、適応フィルタ5の出力であるn(k)が供給されている。ステップサイズ制御回路10は、これらの信号に基づいて、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。ステップサイズ制御回路10は、求めた係数更新ステップサイズΜ(k)を、適応フィルタ5に帰還する。ステップサイズ制御回路10は、係数グループにおける係数代表値に加えて、主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値に基づいて、係数更新ステップサイズを計算する。
ステップサイズ制御回路10において、係数値に基づいて複数の係数グループ内係数に対する係数更新ステップサイズを決定する過程は、すでに本発明の最良の実施形態として説明した通りである。従って、ここでは、主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値を求める過程について、詳細に説明する。
図5は、ステップサイズ制御回路10の構成を表すブロック図である。ステップサイズ制御回路10は、電力平均回路101及び102、SNR推定回路103、及びステップサイズ計算回路104から構成される。電力平均回路101には第1の誤差e(k)が、電力平均回路102には適応フィルタ5の出力である第1の擬似信号n(k)が、それぞれ供給されている。電力平均回路101は、供給された第1の誤差e(k)を2乗してe (k)を求める。電力平均回路101は、さらにその平均値e (k)バーを求めて、SNR推定回路103に供給する。e (k)バーは、次式で求めることができる。

〈数14〉
Figure 2010152021
ここに、Rは平均値を求めるために用いるサンプル数を表す自然数である。平均値はまた、次式で表される漏れ積分演算によって求めてもよい。
〈数15〉
e (k)バー=γ・e (k-1)バー+(1―γ)・e (k)
ここに、γは0<γ<1を満たす定数である。
電力平均回路102は、供給された第1の擬似信号n(k)を2乗してn (k)を求める。電力平均回路102は、さらにその平均値n (k)バーを求めて、SNR推定回路103に供給する。平均値は、数式14及び数式15に示した方法で求めることができる。電力平均回路101及び102は、絶対値平均回路でそれぞれ置換してもよい。その際、SNR推定回路103における計算は、本来得られる値を2倍する必要がある。
SNR推定回路103は、電力平均回路101から供給されたe (k)バーと電力平均回路102から供給されたn (k)バーの比e (k)バー/n (k)バーを求め、その対数log10{e (k)バー/n (k)バー}を、主信号における所望信号対雑音比SNR1(k)としてステップサイズ計算回路104に供給する。すなわち、
〈数16〉
SNR1(k)=log10{e (k)バー/n (k)バー}
である。
ステップサイズ計算回路104は、主信号における所望信号対雑音比SNR1(k)と適応フィルタ5から供給された係数ベクトルW(k)を入力として、係数更新ステップサイズΜ(k)を計算する。ここに、Μ(k)は数式17で表される。
〈数17〉
Μ(k)=m(k)・[μ1(0, k), μ1(1, k), …, μ1(N-1, k)]
(k)は、主信号における所望信号対雑音比SNR1(k)によって定められる項、μ1(j, k), j=0, 1, …, L-1は、係数ベクトルW(k)に基づいて本発明の最良の実施形態で説明した数式7又は数式8などの方法によって定められる項である。
(k)は、SNR1min<SNR1(k)<SNR1maxで単調減少する関数f(v)の値として求める。ここに、SNR1min、SNR1maxは、SNR1min<SNR1maxを満たす定数である。この関係は、数式18〜数式20で表すことができる。
〈数18〉
(k)=m1max (SNR1(k)<SNR1min
〈数19〉
(k)=f(SNR1(k)) (SNR1min≦SNR1(k)≦SNR1max
〈数20〉
(k)=m1min (SNR1(k)>SNR1max
ただし、m1min、m1maxは、m1min<m1maxを満たす定数である。
単調減少関数f(v)は、例えば、数式21〜数式23で表すことができる。
〈数21〉
f1(x)=−A・x+B
〈数22〉
A=(m1max−m1min)/(SNR1max−SNR1min
〈数23〉
B={m1max+m1min+A・(SNR1max+SNR1min)}/2
単調減少関数は、SNR1(k)が大きいときに小さな、小さなときに大きなm(k)を得ることが目的であるので、数式21〜数式23に示した1次関数以外に、高次関数や三角関数などの非線形関数またはそれらの組合せで表現されるさらに複雑な関数などを用いてもよい。以上の手続きで、ステップサイズ計算回路104は、数式17によって求められたΜ(k)をステップサイズとして出力する。
以上説明したように、本発明を実施するための第3の実施形態は、各係数が属する係数サブグループの係数代表値と主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値を用いて決定した係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記係数代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。また、全係数に共通に、所望信号と雑音の比の推定値が小さいときには大きな係数更新ステップサイズが、大きいときには小さな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
次に本発明を実施するための第4の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第4の実施形態を表すブロック図である。本発明の第3の実施形態を表すブロック図である図4と比較すると、ステップサイズ制御回路10がステップサイズ制御回路11で置換されている。ステップサイズ制御回路11には、適応フィルタ5から係数ベクトルW(k)と出力n(k)が、減算器3から第1の誤差e(k)が、マイクロホン2から参照信号xR(k)が供給されている。ステップサイズ制御回路11は、係数ベクトルW(k)、第1の誤差e(k)、適応フィルタ5の出力n(k)、及び参照信号xR(k)に基づいて係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。ステップサイズ制御回路11は、求めた係数更新ステップサイズΜ(k)を、適応フィルタ5に帰還する。
ステップサイズ制御回路10は、係数グループにおける係数代表値に加えて、参照信号代表値及び主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値に基づいて、係数更新ステップサイズΜ(k)を計算する。ここに、Μ(k)は数式24で表される。
〈数24〉
Μ(k)=m(k)・[μ1(0, k), μ1(1, k), …, μ1(N-1, k)]
(k)は、主信号における所望信号対雑音比SNR1(k)によって定められる項であり、本発明の第3の実施形態で説明した数式18〜数式20などの方法によって定められる。μ1(j, k), j=0, 1, …, L-1は、係数ベクトルW(k)と参照信号ベクトルX(k)に基づいて、本発明の第2の実施形態で説明した数式12又は数式13などの方法によって定められる項である。
以上説明したように、本発明を実施するための第4の実施形態は、各係数が属する係数サブグループの係数代表値と参照信号代表値、及び主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値を用いて決定した係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記係数代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。また、前記参照信号代表値が小さい係数には大きな係数更新ステップサイズが、大きい係数には小さな係数更新ステップサイズが適用される。さらに、全係数に共通に、所望信号と雑音の比の推定値が小さいときには大きな係数更新ステップサイズが、大きいときには小さな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも、誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
次に、本発明を実施するための第5の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第5の実施形態を表すブロック図である。図7に示す本発明の第5の実施形態の信号処理装置は、音声入力を行うマイクロホン1と、参照信号を入力する入力端子17と、出力端子7と、マイクロホン1から入力される主信号xP(k)から擬似エコーを減算して第1の誤差を生成する第1の減算器3と、入力端子17から入力される参照信号xR(k)を入力として擬似エコーを生成して第1の誤差が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ5と、第1の適応フィルタ5から受けた係数値を用いて係数更新ステップサイズを計算し、第1の適応フィルタ5に帰還するステップサイズ制御回路8と、を備えている。第1の減算器3からの第1の誤差e(k)は、エコーが消去された音声信号として、出力端子7にも出力されている。また、入力端子17から入力される参照信号xR(k)は、スピーカ16に供給されている。スピーカ16は、参照信号xR(k)を音響信号に変換して、音響空間へ放射する。この音響信号は、音響空間を伝搬してマイクロホン1に到達し、主信号xP(k)の一部として減算器3に供給される。このようなスピーカからマイクロホンへの音響信号の回り込みは、音響エコーとして知られている。また、同様の現象が、通信路における2線4線変換の4線側において生じることも、回線エコーとして知られている。すなわち、本発明の第5の実施形態はエコーキャンセラとして動作する。
本発明を実施するための第5の実施形態である図7は、最良の実施形態である図1と、参照信号xR(k)がマイクロホン2ではなく入力端子17から供給されることを除いて全く等しい構成であり、動作も等しい。このため、動作の詳細な説明は省略する。
次に、本発明を実施するための第6の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第6の実施形態を表すブロック図である。図8に示す本発明の第6の実施形態の信号処理装置は、音声入力を行うマイクロホン1と、参照信号を入力する入力端子17と、出力端子7と、マイクロホン1から入力される主信号xP(k)から擬似エコーを減算して第1の誤差を生成する第1の減算器3と、入力端子17から入力される参照信号xR(k)を入力として擬似エコーを生成して第1の誤差が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ5と、第1の適応フィルタ5から受けた係数値及び入力端子17から受けた参照信号を用いて係数更新ステップサイズを計算し、第1の適応フィルタ5に帰還するステップサイズ制御回路9と、を備えている。第1の減算器3からの第1の誤差e(k)は、エコーが消去された音声信号として、出力端子7にも出力されている。また、入力端子17から入力される参照信号xR(k)は、スピーカ16に供給されている。スピーカ16は、参照信号xR(k)を音響信号に変換して、音響空間へ放射する。この音響信号は、音響空間を伝搬してマイクロホン1に到達し、主信号xP(k)の一部として減算器3に供給される。すなわち、本発明の第6の実施形態はエコーキャンセラとして動作する。
本発明を実施するための第6の実施形態である図8は、第2の実施形態である図3と、参照信号xR(k)がマイクロホン2ではなく入力端子17から供給されることを除いて全く等しい構成であり、動作も等しい。このため、動作の詳細な説明は省略する。
次に、本発明を実施するための第7の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第7の実施形態を表すブロック図である。図9に示す本発明の第7の実施形態の信号処理装置は、音声入力を行うマイクロホン1と、参照信号を入力する入力端子17と、出力端子7と、マイクロホン1から入力される主信号xP(k)から擬似エコーを減算して第1の誤差を生成する第1の減算器3と、入力端子17から入力される参照信号xR(k)を入力として擬似エコーを生成して第1の誤差が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ5と、第1の適応フィルタ5から受けた係数値及び入力端子17から受けた参照信号を用いて係数更新ステップサイズを計算し、第1の適応フィルタ5に帰還するステップサイズ制御回路10と、を備えている。第1の減算器3からの第1の誤差e(k)は、エコーが消去された音声信号として、出力端子7にも出力されている。また、入力端子17から入力される参照信号xR(k)は、スピーカ16に供給されている。スピーカ16は、参照信号xR(k)を音響信号に変換して、音響空間へ放射する。この音響信号は、音響空間を伝搬してマイクロホン1に到達し、主信号xP(k)の一部として減算器3に供給される。すなわち、本発明の第7の実施形態はエコーキャンセラとして動作する。
本発明を実施するための第7の実施形態である図9は、第3の実施形態である図4と、参照信号xR(k)がマイクロホン2ではなく入力端子17から供給されることを除いて全く等しい構成であり、動作も等しい。このため、動作の詳細な説明は省略する。
次に、本発明を実施するための第8の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第8の実施形態を表すブロック図である。図10に示す本発明の第8の実施形態の信号処理装置は、音声入力を行うマイクロホン1と、参照信号を入力する入力端子17と、出力端子7と、マイクロホン1から入力される主信号xP(k)から擬似エコーを減算して第1の誤差を生成する第1の減算器3と、入力端子17から入力される参照信号xR(k)を入力として擬似エコーを生成して第1の誤差が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ5と、第1の適応フィルタ5から受けた係数値、入力端子17から受けた参照信号、減算器3から受けた第1の誤差、及び適応フィルタ5の出力を用いて係数更新ステップサイズを計算し、第1の適応フィルタ5に帰還するステップサイズ制御回路11と、を備えている。第1の減算器3からの第1の誤差e(k)は、エコーが消去された音声信号として、出力端子7にも出力されている。また、入力端子17から入力される参照信号xR(k)は、スピーカ16に供給されている。スピーカ16は、参照信号xR(k)を音響信号に変換して、音響空間へ放射する。この音響信号は、音響空間を伝搬してマイクロホン1に到達し、主信号xP(k)の一部として減算器3に供給される。すなわち、本発明の第8の実施形態はエコーキャンセラとして動作する。
本発明を実施するための第8の実施形態である図10は、第4の実施形態である図6と、参照信号xR(k)がマイクロホン2ではなく入力端子17から供給されることを除いて全く等しい構成であり、動作も等しい。このため、動作の詳細な説明は省略する。
次に、本発明を実施するための第9の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第9の実施形態を表すブロック図である。図11に示す本発明の第9の実施形態の信号処理装置は、音声入力を行うマイクロホン1と、参照信号を入力するマイクロホン2と、出力端子7と、マイクロホン1から入力される主信号xP(k)から第1の擬似信号を減算して第1の誤差を生成する第1の減算器3と、マイクロホン2から入力される参照信号xR(k)から第2の擬似信号を減算して第2の誤差を生成する第2の減算器4と、減算器3の出力である第1の誤差e(k)を入力として第2の擬似信号を生成して第2の誤差が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ6と、減算器4の出力である第2の誤差e(k)を入力として第1の擬似信号を生成して第1の誤差が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ5と、第1の適応フィルタ5から受けた係数値を用いて第1の係数更新ステップサイズを、第2の適応フィルタ6から受けた係数値を用いて第2の係数更新ステップサイズを計算し、それぞれを第1の適応フィルタ5と第2の適応フィルタ6に帰還するステップサイズ制御回路12と、を備えている。第1の減算器3からの第1の誤差e(k)は、雑音が消去された音声信号として、出力端子7にも出力されている。
本発明を実施するための第9の実施形態である図11は、最良の実施形態である図1に、適応フィルタ6と減算器4が追加され、ステップサイズ制御回路8がステップサイズ制御回路12に置換されたことを除いて全く等しい構成である。このため、これらの相違点に関する動作だけを詳細に説明し、共通部分の説明は省略する。
適応フィルタ6と減算器4は、参照信号に対する所望信号の混入成分、すなわちクロストークを消去するために導入されている。二つの適応フィルタを用いた雑音とクロストークの消去に関しては、特許文献4に詳細な動作が記述されている。本発明を実施するための最良の実施形態で説明したように、雑音を消去するための適応フィルタ5は、第1の誤差e(k)に誤差以外の妨害信号が含まれる際にも、妨害に対して頑健でなければならない。同様に、クロストークを消去するための適応フィルタ6は、第2の誤差e(k)に誤差以外の妨害信号が含まれる際にも、妨害に対して頑健でなければならない。このため、ステップサイズ制御回路12は、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズに加えて、適応フィルタ6のための係数更新ステップサイズも計算する。なお、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズの計算法については、本発明を実施するための最良の実施形態において説明したので、ここでは省略する。
ステップサイズ制御回路12は、適応フィルタ6から係数ベクトルW(k)を受け、ステップサイズΜ(k)を求める。W(k)とΜ(k)は、次式で与えられる。
〈数25〉
(k)=[w(0, k), w(1, k), …, w(N-1, k)]
〈数26〉
Μ(k)=[μ2(0,k), μ2(1, k), …, μ2(N-1, k)]
ここに、Nは適応フィルタ6のタップ数を表す1以上の整数である。
ステップサイズ制御回路12は、係数ベクトルW(k)を、まずL個のサブベクトル(係数グループ)に分割する。分割に際しては、予め定められたサイズのサブベクトルに分割することができる。分割方法については、既に最良の実施形態で説明したとおりである。
このようにして生成したサブベクトルをWS2
(j, k), j=0, 1, …, L-1とすると、
〈数27〉
(k)=[WS2(0, k), WS2(1, k), …, WS2(L-1, k)]
となる。LS等分割の場合には、j番目のサブベクトルは、次式で与えられる。
〈数28〉
S2(j, k)=[w(jL/LS, k), w(jL/LS+1, k), …, w((j+1)L/LS-1, k)] (j=0, 1, …, L-1)
ここにLSは、L/LSが整数となるような整数値である。
次に、各サブベクトル(係数グループ)内で係数の代表値を求める。代表値としては、最大値、最小値、中央値、平均値、分散などを用いることができる。j番目のサブベクトルに対する代表値wREP2(j, k)は、最大値を代表値とするとき、
〈数29〉
REP2(j, k)=max{|w(jL/LS, k)|, |w(jL/LS+1, k)|, …, |w((j+1)L/LS-1, k)|}
で与えられる。同様に、最小値と中央値も最小値演算子又は中央値演算子によって求めることができる。
また、平均値をj番目のサブベクトルに対する代表値wREP2(j, k)とするときには、
〈数30〉
Figure 2010152021
となる。分散についても、同様に定義に従って計算することができる。既に最良の実施形態で説明したとおり、各係数の絶対値の代わりに2乗値を用いて、係数代表値を求めてもよい。
このようにして計算したサブベクトルの代表値wREP2(j, k), j=0, 1, …, L-1を用いて、cREP2(j, k)に対応した係数更新ステップサイズを計算する。第1の例は、各サブベクトルの代表値の最大値を求め、その最大値に対する各サブベクトル代表値の割合を求め、この割合で基本となる係数更新ステップサイズμ0を重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ2(j, k)を、次式で求める。
〈数31〉
μ2(j, k)=wREP2(j, k)/max{wREP2(j, k)}・μ0
前記割合は0と1の間の値を取るので、最大の係数はμ0で、それ以外の係数はμ0よりも小さな係数更新ステップサイズで更新されることになる。
第2の例は、各サブベクトルの代表値の平均値を求め、その平均値に対する各サブベクトル代表値の割合を求め、この割合で基本となる係数更新ステップサイズμ0を重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ2(j, k)を、次式で求める。
〈数32〉
μ2(j, k)=wREP2(j, k)/ave{wREP2(j, k)}・μ0
以上説明したように、本発明を実施するための第9の実施形態は、雑音消去用の適応フィルタとクロストーク消去用の適応フィルタの双方で、それぞれに属する係数サブグループの代表値を用いて係数更新ステップサイズを決定する。これらの係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも、誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
次に、本発明を実施するための第10の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第10の実施形態を表すブロック図である。本発明の第9の実施形態を表すブロック図である図11と比較すると、ステップサイズ制御回路12がステップサイズ制御回路13で置換されている。ステップサイズ制御回路13は、適応フィルタ5及び減算器4からそれぞれ係数ベクトルW(k)と第2の誤差e(k)を受け、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。また、ステップサイズ制御回路13は、適応フィルタ6及び減算器3からそれぞれ係数ベクトルW(k)と第1の誤差e(k)を受け、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。ここで、減算器3及び4の出力である第1と第2の誤差は、それぞれ適応フィルタ6及び5の参照入力信号となっている。ステップサイズ制御回路13は、求めた係数更新ステップサイズΜ(k)及びΜ(k)を、適応フィルタ5及び6にそれぞれ帰還する。ステップサイズ制御回路13は、係数グループにおける係数代表値と参照信号代表値に基づいて、適応フィルタ5及び6の係数更新ステップサイズを計算する。
本発明を実施するための第10の実施形態である図12は、第2の実施形態である図3に、適応フィルタ6と減算器4が追加され、ステップサイズ制御回路9がステップサイズ制御回路13に置換されたことを除いて全く等しい構成である。このため、これらの相違点に関する動作だけを詳細に説明し、共通部分の説明は省略する。
本発明を実施するための第9の実施形態である図11と同様に、ステップサイズ制御回路13は、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズに加えて、適応フィルタ6のための係数更新ステップサイズも計算する。なお、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズの計算法については、本発明を実施するための第2の実施形態において説明したので、ここでは省略する。
第2の実施形態と同様に、時刻kにおける適応フィルタ6の参照信号ベクトルX(k)を次のように定義する。
〈数33〉
(k)=[x(0, k), x(1, k), …, x(N-1, k)]
次に、各サブベクトル内における参照信号の代表値を求める。代表値としては、最大値、最小値、中央値、平均値、分散などを用いることができる。j番目のサブベクトルに対する代表値xREP2(j, k)は、最大値を代表値とするとき、
〈数34〉
xREP2(j, k)=max{|x(jL/LS, k)|, |x(jL/LS+1, k)|, …, |x((j+1)L/LS-1, k)|}
で与えられる。同様に、最小値と中央値も最小値演算子又は中央値演算子によって求めることができる。
また、平均値をj番目のサブベクトルに対する代表値xREP2(j, k)とするときには、
〈数35〉
Figure 2010152021
となる。分散についても、同様に定義に従って計算することができる。
これまでの説明では、各参照信号値の絶対値に対して参照信号代表値を求めた。しかし、係数値の場合と同様に、絶対値の代わりに2乗値を用いても、同様の効果を得ることができる。
このようにして計算したサブベクトルの参照信号代表値xREP2(j, k), j=0, 1, …, L-1と係数代表値wREP2(j, k), j=0, 1, …,L-1を用いて、xREP2(j, k)とwREP2(j, k)に対応した係数更新ステップサイズを計算する。第1の例は、各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の最大値を求め、それらの最大値に対する各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の割合をそれぞれ求め、これらの割合で基本となる係数更新ステップサイズμ0を重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ2(j, k)を、次式で求める。
〈数36〉
μ2(j, k)=[wREP2(j, k) max{xREP2(j, k)}]/[max{wREP2(j, k)} xREP2(j, k)]・μ0
この式から明らかなように、係数代表値だけを用いた場合と同様に最大の係数はμ0で、それ以外の係数はμ0よりも小さな係数更新ステップサイズで更新されることになる。
第2の例は、各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の平均値を求め、それらの平均値に対する各サブベクトルの参照信号代表値と係数代表値の割合をそれぞれ求め、これらの割合で基本となる係数更新ステップサイズμ0を重みづけて係数更新ステップサイズとする方法である。すなわち、各サブベクトルに対応した係数更新ステップサイズμ2(j, k)を、次式で求める。
〈数37〉
μ(j, k)=[wREP2(j, k) ave{xREP2(j, k)}]/[ave{wREP2(j, k)} xREP2(j, k)]・μ0
以上説明したように、本発明を実施するための第10の実施形態は、雑音消去用の適応フィルタとクロストーク消去用の適応フィルタの双方で、それぞれに属する係数サブグループの参照信号代表値と係数代表値を用いて係数更新ステップサイズを決定する。これらの係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記係数代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。また、前記参照信号代表値が小さい係数には大きな係数更新ステップサイズが、大きい係数には小さな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも、誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
次に、本発明を実施するための第11の実施形態について説明する。
図13は、本発明の第11の実施形態を表すブロック図である。本発明の第9の実施形態を表すブロック図である図11と比較すると、ステップサイズ制御回路12がステップサイズ制御回路14で置換されている。ステップサイズ制御回路14には、適応フィルタ5から係数ベクトルW(k)及び出力n(k)が、減算器3から第1の誤差e(k)が供給されている。ステップサイズ制御回路14は、これらの信号に基づいて、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。また、ステップサイズ制御回路14には、適応フィルタ6から係数ベクトルW(k)及び出力n(k)が、減算器4から第2の誤差e(k)が供給されている。ステップサイズ制御回路14は、これらの信号に基づいて、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。ステップサイズ制御回路14は、求めた係数更新ステップサイズΜ(k)及びΜ(k)を、適応フィルタ5及び6にそれぞれ帰還する。ステップサイズ制御回路14は、係数グループにおける係数代表値に加えて、主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値又は参照信号xR(k)における所望信号と雑音の比の推定値に基づいて、適応フィルタ5又は6の係数更新ステップサイズを計算する。
本発明を実施するための第11の実施形態である図13は、第3の実施形態である図4に、適応フィルタ6と減算器4が追加され、ステップサイズ制御回路10がステップサイズ制御回路14に置換されたことを除いて全く等しい構成である。このため、これらの相違点に関する動作だけを詳細に説明し、共通部分の説明は省略する。
本発明を実施するための第10の実施形態である図12と同様に、ステップサイズ制御回路14は、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズに加えて、適応フィルタ6のための係数更新ステップサイズも計算する。なお、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズの計算法については、本発明を実施するための第3の実施形態において説明したので、ここでは省略する。
ステップサイズ制御回路14において、係数値に基づいて複数の係数グループ内係数に対する係数更新ステップサイズを決定する過程は、すでに本発明の第9の実施形態として説明した通りである。従って、ここでは、参照信号xR(k)における所望信号と雑音の比の推定値を求める過程について、詳細に説明する。
図14は、ステップサイズ制御回路14の構成を表すブロック図である。ステップサイズ制御回路14は、電力平均回路101、102、141及び142、SNR推定回路103及び143、並びにステップサイズ計算回路104及び144から構成される。電力平均回路101及び102、SNR推定回路103、及びステップサイズ計算回路104の動作については、図5を参照して既に説明した。これらの構成要素と全く同様に、電力平均回路141及び142、SNR推定回路143、及びステップサイズ計算回路144は動作する。
電力平均回路141には第2の誤差e(k)が、電力平均回路142には適応フィルタ6の出力である第2の擬似信号n(k)が、それぞれ供給されている。電力平均回路141は、供給された第2の誤差e(k)を2乗してe (k)を求める。電力平均回路141は、さらにその平均値e (k)バーを求めて、SNR推定回路143に供給する。e (k)バーは、次式で求めることができる。

〈数38〉
Figure 2010152021
平均値はまた、次式で表される漏れ積分演算によって求めてもよい。
〈数39〉
e (k)バー=γ・e (k-1)バー+(1―γ)・e (k)
電力平均回路142は、供給された第2の擬似信号n(k)を2乗してn (k)を求める。電力平均回路142は、さらにその平均値n (k)バーを求めて、SNR推定回路143に供給する。平均値は、数式38及び数式39に示した方法で求めることができる。電力平均回路141及び142は、絶対値平均回路でそれぞれ置換してもよい。その際、SNR推定回路143における計算は、本来得られる値を2倍する必要がある。
SNR推定回路143は、電力平均回路141から供給されたe (k)バーと電力平均回路142から供給されたn (k)バーの比e (k)バー/n (k)バーを求め、その対数log10{e (k)バー/n (k)バー}を、第2の所望信号対雑音比SNR2(k)としてステップサイズ計算回路144に供給する。すなわち、
〈数40〉
SNR2(k)=log10{e (k)バー/n (k)バー}
である。
ステップサイズ計算回路134は、参照信号における所望信号対雑音比SNR2(k)と適応フィルタ6から供給された係数ベクトルW(k)を入力として、係数更新ステップサイズΜ(k)を計算する。ここに、Μ(k)は数式41で表される。
〈数41〉
Μ(k)=m(k)・[μ2(0, k), μ2(1, k), …, μ2(N-1, k)]
(k)は、参照信号における所望信号対雑音比SNR2(k)によって定められる項、μ2(j, k), j=0, 1, …, L-1は、係数ベクトルW(k)に基づいて本発明の第9の実施形態で説明した数式31又は数式32などの方法によって定められる項である。
(k)は、SNR2min<SNR2(k)<SNR2maxで単調増加する関数f(v)の値として求める。ここに、SNR2min、SNR2maxは、SNR2min<SNR2maxを満たす定数である。この関係は、数式42〜数式44で表すことができる。
〈数42〉
(k)=m2min (SNR2(k)<SNR2min
〈数43〉
(k)=f(SNR2(k)) (SNR2min≦SNR2(k)≦SNR2max
〈数44〉
(k)=m2max(SNR2(k)>SNR2max
ただし、m2min、m2maxは、m2min<m2maxを満たす定数である。
単調増加関数f(v)は、例えば、数式45〜数式47で表すことができる。
〈数45〉
f2(x)=C・x+D
〈数46〉
C=(m2max−m2min)/(SNR2max−SNR2min
〈数47〉
D={m2max+m2min+C・(SNR2max+SNR2min)}/2
単調増加関数は、SNR2(k)が大きいときに大きな、小さなときに小さなm(k)を得ることが目的であるので、数式45〜数式47に示した1次関数以外に、高次関数や三角関数などの非線形関数またはそれらの組合せで表現されるさらに複雑な関数などを用いてもよい。以上の手続きで、ステップサイズ計算回路144は、数式41によって求められたΜ(k)をステップサイズとして出力する。
以上説明したように、本発明を実施するための第11の実施形態は、雑音消去用の適応フィルタとクロストーク消去用の適応フィルタの双方で、それぞれに属する係数サブグループの係数代表値と主信号xP(k)又は参照信号xR(k)における所望信号と雑音の比の推定値を用いて決定した係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記係数代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。また、雑音を消去するための適応フィルタ5には、所望信号と雑音の比の推定値が小さいときには大きな係数更新ステップサイズが、大きいときには小さな係数更新ステップサイズが適用される。また、クロストークを消去するための適応フィルタ6には、所望信号と雑音の比の推定値が小さいときには小さな係数更新ステップサイズが、大きいときには大きな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも、誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
次に本発明を実施するための第12の実施形態について説明する。
図15は、本発明の第12の実施形態を表すブロック図である。本発明の第11の実施形態を表すブロック図である図14と比較すると、ステップサイズ制御回路14がステップサイズ制御回路15で置換されている。
ステップサイズ制御回路15には、適応フィルタ5から係数ベクトルW(k)と出力n(k)、減算器3から第1の誤差e(k)が供給されている。また、ステップサイズ制御回路15には、適応フィルタ6から係数ベクトルW(k)と出力n(k)、減算器4から第2の誤差e(k)が供給されている。ステップサイズ制御回路15は、係数ベクトルW(k)、第1の誤差e(k)、適応フィルタ5の出力n(k)、及び適応フィルタ5の参照入力信号である第2の誤差e(k)に基づいて、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。また、ステップサイズ制御回路15は、係数ベクトルC(k)、第2の誤差e(k)、適応フィルタ6の出力n(k)、及び適応フィルタ6の参照入力信号である第1の誤差e(k)に基づいて、係数更新ステップサイズΜ(k)を求める。ステップサイズ制御回路15は、求めた係数更新ステップサイズΜ(k)及びΜ(k)を、適応フィルタ5及び6にそれぞれ帰還する。
ステップサイズ制御回路15は、適応フィルタの各係数グループにおける係数代表値と参照信号代表値に加えて、主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値又は参照信号xR(k)における所望信号と雑音の比の推定値に基づいて、適応フィルタ5及び6の係数更新ステップサイズΜ(k)及びΜ(k)を計算する。
本発明を実施するための第12の実施形態である図15は、第4の実施形態である図6に、適応フィルタ6と減算器4が追加され、ステップサイズ制御回路11がステップサイズ制御回路15に置換されたことを除いて全く等しい構成である。このため、これらの相違点に関する動作だけを詳細に説明し、共通部分の説明は省略する。
本発明を実施するための第11の実施形態である図13と同様に、ステップサイズ制御回路15は、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズに加えて、適応フィルタ6のための係数更新ステップサイズも計算する。なお、適応フィルタ5のための係数更新ステップサイズの計算法については、本発明を実施するための第4の実施形態において説明したので、ここでは省略する。
ステップサイズ制御回路15は、係数グループにおける係数代表値に加えて、参照信号代表値及び参照信号xR(k)における所望信号と雑音の比の推定値に基づいて、係数更新ステップサイズΜ(k)を計算する。ここに、Μ(k)は数式48で表される。
〈数48〉
Μ(k)=m(k)・[μ2(0, k), μ2(1, k), …, μ2(N2-1, k)]
(k)は、参照信号における所望信号対雑音比SNR2(k)によって定められる項、μ2(j, k), j=0, 1, …, L-1は、係数ベクトルW(k)と参照信号ベクトルX(k)に基づいて、本発明の第10の実施形態で説明した数式36又は数式37などの方法によって定められる項である。
以上説明したように、本発明を実施するための第12の実施形態は、雑音消去用の適応フィルタとクロストーク消去用の適応フィルタの双方で、それぞれに属する係数サブグループの係数代表値と参照信号代表値、及び主信号xP(k)における所望信号と雑音の比の推定値を用いて決定した係数更新ステップサイズを用いて係数更新を行うので、前記係数代表値が小さい係数には小さな係数更新ステップサイズが、大きい係数には大きな係数更新ステップサイズが適用される。また、前記参照信号代表値が小さい係数には大きな係数更新ステップサイズが、大きい係数には小さな係数更新ステップサイズが適用される。さらに、全係数に共通に、雑音を消去するための適応フィルタ5には、所望信号と雑音の比の推定値が小さいときには大きな係数更新ステップサイズが、大きいときには小さな係数更新ステップサイズが適用される。一方、クロストークを消去するための適応フィルタ6には、所望信号と雑音の比の推定値が小さいときには小さな係数更新ステップサイズが、大きいときには大きな係数更新ステップサイズが適用される。このため、誤差に対する妨害成分が無視できないときにも、誤った係数更新が行われず、所望信号に対する遅延がなく、低演算量で出力歪が少ない信号消去を実現することができる。
これまで説明した本発明の最良の実施形態から第12の実施形態において、適応フィルタの係数が収束するまでは、予め定められた係数更新ステップサイズを用い、適応フィルタが収束した後に係数更新ステップサイズを各実施形態で説明した方法で制御することもできる。その際には、適応フィルタの収束を判定しなければならない。収束の判定には、係数ベクトルに関する情報を用いることができる。
例えば、全タップにおいて、係数ベクトルのノルム、すなわち係数2乗値総和を求め、このノルムの変化率を評価すると、収束を判定することができる。適応フィルタが収束すると、係数ベクトルのノルムはほぼ一定値になり、その増加率はゼロに極めて近い値となる。特に、係数初期値をゼロに設定してから係数更新を開始したときは、前記ノルムはゼロから始まって増加し、最終的には飽和する。従って、変化率は増加率に等しい。この増加率は、始めは高く、収束に近づくに連れて低くなる。このため、この増加率が予め定められた値より小さくなったときに、適応フィルタが収束したと判定することができる。
適応フィルタ係数の収束判定を、前記係数グループ毎に独立に行うこともできる。このときは、前記係数ベクトルの代わりに係数グループ内の係数からなるサブベクトルのノルムの変化率や増加率を評価することで、該当する係数グループの収束を判定することができる。適応フィルタが音響空間の伝達関数を近似する際には、係数の位置するタップの遅延が大きいほど係数の値が小さく、収束が速い。このため、係数グループ毎に独立に収束判定を行うことで、係数による収束時間の不均一性に合わせた正確な収束判定を行うことができる。
上記、係数値を用いた適応フィルタの収束判定において、極端に大きな値や小さな値を有する外れ値の係数を除外するもできる。外れ値の除外により、これら極端な値の係数値による好ましくない影響を避け、正確な収束判定を行うことができる。
ここに説明した係数値に基づく収束判定以外にも、適応フィルタの収束判定には、出力誤差の減少、誤差の自己相関の減少、誤差と参照信号の相関の減少、誤差と主信号の相関の減少などを利用できることが、広く文献を通して知られている。
以上説明した本発明に基づく信号処理装置は、ソフトウェアによって実現することもできる。すなわち、上述した各実施形態の信号処理装置における各回路の処理動作をソフトウェアにおけるステップまたは手続きとして構成することで、信号処理に用いられるプログラムを構成することができる。そのようなプログラムは、信号処理装置あるいは雑音消去装置を構成するDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサで実行される。
さらには、そのようなプログラムからなるプログラムプロダクトあるいはそのようなプログラムを格納した記憶媒体も、本発明の範疇に含まれる。
本発明の最良の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 係数値と係数グループ、及び係数代表値の関係を表す図である。 本発明の第2の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 ステップサイズ制御回路の第1の構成を表す図である。 本発明の第4の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第5の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第6の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第8の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第9の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第10の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第11の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。 ステップサイズ制御回路の第2の構成を表す図である。 本発明の第12の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1,2 マイクロホン
3,4 減算器
5,6 適応フィルタ
7 出力端子
8,9,10,11,12,13,14,15 ステップサイズ制御回路
16 スピーカ
17 入力端子
101,102,141,142 電力平均回路
103,143 SNR推定回路
104,144 ステップサイズ計算回路

Claims (30)

  1. 適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成し、
    前記複数の係数グループにおける係数代表値を求め、
    前記係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御し、前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする信号処理方法。
  2. 前記複数の係数グループにおける参照信号代表値を求め、
    前記係数代表値と前記参照信号代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
  3. 前記係数代表値を規格化して複数の規格化係数代表値を求め、
    前記複数の規格化係数代表値を用いて前記係数グループ内の係数に対する係数更新ステップサイズを制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の信号処理方法。
  4. 前記参照信号代表値を規格化して複数の規格化参照信号代表値を求め、
    前記複数の規格化参照信号代表値を用いて前記係数グループ内の係数に対する係数更新ステップサイズを制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の信号処理方法。
  5. 前記適応フィルタが収束した後に係数更新ステップサイズを制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理方法。
  6. 前記適応フィルタの係数値の変化率を検出し、前記変化率が予め定められた値より小さくなったときに前記係数更新ステップサイズを制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項5に記載の信号処理方法。
  7. 第1の信号(所望信号)と第2の信号(雑音)とが混在した主信号から第2の信号の推定値を減算して第1の信号の推定値を生成し、
    前記第2の信号と相関のある参照信号を入力として前記主信号に含まれる第2の信号の推定値を適応フィルタによって求め、
    前記適応フィルタの係数更新ステップサイズを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法で制御することを特徴とする信号消去の方法。
  8. 前記第1の信号の推定値及び前記第2の信号の推定値に基づいて前記主信号における第1の信号対第2の信号の比の推定値を求め、
    前記主信号における第1の信号対第2の信号の比の推定値を用いて請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法で前記適応フィルタの係数更新ステップサイズを制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新することを特徴とする信号消去の方法。
  9. 第1の信号(所望信号)と第2の信号(雑音)とが混在した主信号から第2の信号の第1の推定値(推定雑音)を減算して第1の信号の第1の推定値を生成し、
    前記第2の信号と前記第1の信号とが混在した参照信号から第1の信号の第2の推定値(推定クロストーク)を減算して第2の信号の第2の推定値を生成し、
    前記第2の信号の第2の推定値を入力として前記主信号に含まれる第2の信号を第1の適応フィルタによって推定して前記第2の信号の第1の推定値(推定雑音)を求め、
    前記第1の信号の第1の推定値を入力として前記参照信号に含まれる第1の信号を第2の適応フィルタによって推定して前記第1の信号の第2の推定値(推定クロストーク)を求め、
    前記第1の適応フィルタ及び前記第2の適応フィルタのステップサイズを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法で制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて第1及び第2の適応フィルタの係数を更新することを特徴とする信号消去の方法。
  10. 前記第1の信号の第1の推定値及び前記第2の信号の第1の推定値に基づいて前記主信号における第1の信号対第2の信号比の推定値、
    更に前記第1の信号の第2の推定値及び前記第2の信号の第2の推定値に基づいて前記参照信号における第1の信号対第2の信号比の推定値をそれぞれ求め、
    前記主信号における第1の信号対第2の信号比の推定値を用いて請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法で前記第1の適応フィルタのステップサイズを制御し、
    前記参照信号における第1の信号対第2の信号比の推定値を用いて請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法で前記第2の適応フィルタのステップサイズを制御し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて第1及び第2の適応フィルタの係数を更新する
    ことを特徴とする信号消去の方法。
  11. 前記第1の信号が近端信号であり、前記第2の信号がエコーである
    ことを特徴とする請求項7乃至8のいずれか1項に記載の信号消去の方法。
  12. 前記第1の信号が所望信号であり、前記第2の信号が雑音である
    ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の信号消去の方法。
  13. 適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成し、
    前記複数の係数グループにおける係数代表値を求め、
    前記係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御するステップサイズ制御回路を少なくとも具備し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新することを特徴とする信号処理装置。
  14. 前記複数の係数グループにおける参照信号代表値を求め、
    前記係数代表値と前記参照信号代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御するステップサイズ制御回路を具備し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新することを特徴とする請求項13に記載の信号処理装置。
  15. 前記係数代表値を規格化して複数の規格化係数代表値を求め、
    前記複数の規格化係数代表値を用いて前記係数グループ内の係数に対する係数更新ステップサイズを制御するステップサイズ制御回路を具備し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項13又は14に記載の信号処理装置。
  16. 前記参照信号代表値を規格化して複数の規格化参照信号代表値を求め、
    前記複数の規格化参照信号代表値を用いて前記係数グループ内の係数に対する係数更新ステップサイズを制御するステップサイズ制御回路を具備し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項14又は15に記載の信号処理装置。
  17. 前記適応フィルタが収束した後に係数更新ステップサイズを制御するステップサイズ制御回路を具備し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  18. 前記適応フィルタの係数値の変化率を検出し、前記変化率が予め定められた値より小さくなったときに収束したと判定するステップサイズ制御回路を具備し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する
    ことを特徴とする請求項17に記載の信号処理装置。
  19. 第1の信号(所望信号)と第2の信号(雑音)が混在した主信号から第2の信号の推定値を減算して第1の信号の推定値を求める第1の減算器と、
    前記第2の信号と相関のある参照信号を入力として前記主信号に含まれる第2の信号の推定値を求める第1の適応フィルタと、
    請求項13乃至18のいずれか1項に記載のステップサイズ制御回路を具備し、
    前記係数更新ステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する
    ことを特徴とする信号処理装置。
  20. 第1の信号(所望信号)と第2の信号(雑音)が混在した主信号から第2の信号の第1の推定値(推定雑音)を減算して第1の信号の第1の推定値を求める第1の減算器と、
    前記第2の信号と前記第1の信号が混在した参照信号から第1の信号の第2の推定値(推定クロストーク)を減算して第2の信号の第2の推定値を求める第2の減算器と、
    前記第2の信号の第2の推定値を入力として前記主信号に含まれる第2の信号を推定して前記第2の信号の第1の推定値(推定雑音)を求める第1の適応フィルタと、
    前記第1の信号の第1の推定値を入力として前記参照信号に含まれる第1の信号を推定して前記第1の信号の第2の推定値(推定クロストーク)を求める第2の適応フィルタと、
    請求項13乃至18のいずれか1項に記載のステップサイズ制御回路を具備し、
    前記第1及び第2の係数更新ステップサイズを用いてそれぞれ前記第1及び第2の適応フィルタの係数を更新することを特徴とする信号処理装置。
  21. 前記第1の信号が近端信号であり、前記第2の信号がエコーである
    ことを特徴とする請求項19に記載の信号処理装置。
  22. 前記第1の信号が所望信号であり、前記第2の信号が雑音である
    ことを特徴とする請求項19又は20に記載の信号処理装置。
  23. コンピュータに、
    適応フィルタの係数を順に複数まとめて複数の係数グループを生成する処理と、
    前記複数の係数グループにおける係数代表値を求める処理と、
    前記係数代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御する処理と、
    前記係数更新ステップサイズを用いて係数を更新する処理と、
    を実行させることを特徴とする信号処理プログラム。
  24. コンピュータに、
    前記複数の係数グループにおける参照信号代表値を求める処理と、
    前記係数代表値と前記参照信号代表値を用いて前記係数グループ内の各係数の係数更新ステップサイズを制御する処理と、
    を実行させることを特徴とする請求項23に記載の信号処理プログラム。
  25. 前記係数代表値を求める処理は、
    前記係数代表値を規格化して複数の規格化係数代表値を求める処理であることを特徴とする請求項23又は24に記載の信号処理プログラム。
  26. 前記参照信号代表値を求める処理は、前記参照信号代表値を規格化して複数の規格化参照信号代表値を求める処理であることを特徴とする請求項24又は25に記載の信号処理プログラム。
  27. 前記係数更新ステップサイズを制御する処理は、
    前記適応フィルタの収束を検出する処理を含み、
    前記適応フィルタが収束した後に実行することを特徴とする請求項23乃至26のいずれか1項に記載の信号処理プログラム。
  28. 前記適応フィルタの収束を検出する処理は、
    前記適応フィルタの係数値の変化率を評価する処理と、
    前記変化率が予め定められた値より小さくなったときに収束したと判定する処理を含むことを特徴とする請求項27に記載の信号処理プログラム。
  29. コンピュータに、
    第1の信号(所望信号)と第2の信号(雑音)が混在した主信号から第2の信号の推定値を減算して第1の信号の推定値を求める処理と、
    前記第2の信号と相関のある参照信号を入力として適応フィルタによって前記主信号に含まれる第2の信号の推定値を求める処理と、
    請求項23乃至28のいずれか1項に記載のステップサイズ制御処理と、
    前記係数更新ステップサイズで前記適応フィルタの係数を更新する処理と、
    を実行させることを特徴とする信号処理プログラム。
  30. コンピュータに、
    第1の信号(所望信号)と第2の信号(雑音)が混在した主信号から第2の信号の第1の推定値(推定雑音)を減算して第1の信号の第1の推定値を求める処理と、
    前記第2の信号と前記第1の信号が混在した参照信号から第1の信号の第2の推定値(推定クロストーク)を減算して第2の信号の第2の推定値を求める処理と、
    前記第2の信号の第2の推定値を入力として第1の適応フィルタによって前記主信号に含まれる第2の信号を推定して前記第2の信号の第1の推定値(推定雑音)を求める処理と、
    前記第1の信号の第1の推定値を入力として第2の適応フィルタによって前記参照信号に含まれる第1の信号を推定して前記第1の信号の第2の推定値(推定クロストーク)を求める処理と、
    請求項23乃至28のいずれか1項に記載のステップサイズ制御処理と、
    前記代及び第2の係数更新ステップサイズでそれぞれ前記第1及び第2の適応フィルタの係数を更新する処理と、
    を実行せることを特徴とする信号処理プログラム。
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