JP2023102181A - 信号処理装置、信号処理方法、および信号処理プログラム - Google Patents

信号処理装置、信号処理方法、および信号処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】適切に適応フィルタの係数更新を制御して、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ること。【解決手段】本願に係る信号処理装置は、第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、第1信号と相関のある第3信号と第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、第2混在信号をフィルタ処理して第2信号の推定値を生成する第1適応フィルタと、第1混在信号と第2信号の推定値とから第1信号の推定値を生成する第1減算部と、第1適応フィルタの係数を用いて第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成する第1遅延部と、第1信号の推定値と第2信号の推定値と遅延第2混在信号と第1適応フィルタの係数とを用いて第1信号と第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部とを備え、第1混在比を用いて第1適応フィルタを制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、信号に混在する雑音、妨害信号、エコーなどを消去する信号処理技術に関する。
マイクロホンやハンドセット等から入力された音声信号には、しばしば背景雑音が重畳されており、音声符号化や音声認識を行う上で大きな問題となる。音響的に重畳した雑音の消去を目的とした信号処理装置として、特許文献1および2には、2つの適応フィルタを用いた2入力型雑音消去装置が開示されている。劣化信号(所望の信号と雑音とが混合された信号)と参照信号(主として雑音と相関のある信号を含む)を入力して、雑音の一部または全部を消去し、強調信号(所望の信号を強調した信号)を出力する。2つの適応フィルタの内、第1の適応フィルタを用いて推定した劣化信号における信号対雑音比を用いて、ステップサイズ算出部が第2の適応フィルタの係数更新ステップサイズを算出する。なお、第1の適応フィルタは第2の適応フィルタと同様に動作するが、第1の適応フィルタの係数更新ステップサイズは第2の適応フィルタの係数更新ステップサイズよりも大きな値に設定される。このため、第1の適応フィルタの出力は、環境変化への追従性が高いが雑音の推定精度が第2の適応フィルタよりも劣る。
ステップサイズ算出部は、第1の適応フィルタを用いて推定した劣化信号における信号対雑音比を評価し、音声信号が雑音より大きいときには音声信号による妨害が大きいとみなし、小さい係数更新ステップサイズを第2の適応フィルタに提供する。逆に、音声信号が雑音より小さいときには音声信号による妨害が小さいとみなし、大きな係数更新ステップサイズを第2の適応フィルタに提供する。このように、ステップサイズ算出部から提供された係数更新ステップサイズで第2の適応フィルタを制御することにより、十分な環境変化への追従性と雑音消去後の信号における低歪とを出力される。
特許文献3には、上記特許文献1および2の構成から第1の適応フィルタを削除した構成が開示されている。第2の適応フィルタを用いて推定した所望信号(音声等)と第2の適応フィルタ出力の比で信号対雑音比を近似して、その信号対雑音比に基づいて算出したステップサイズで、第2の適応フィルタ自身を制御する。さらに、特許文献3には、上記特許文献1および2の構成を拡張して、2雑音入力装置の入力において雑音に混入している音声信号の影響が大きい、いわゆる音声信号によるクロストークが存在する際に雑音に混入する音声信号の消去をも行なう雑音消去装置の構成が開示されている。特許文献3においては、上記特許文献1および2の構成に加えて、参照信号からクロストークを消去する第3の適応フィルタを備えている。音声信号入力から正確に雑音を消去するため、第2のステップサイズ算出部において係数更新ステップサイズを算出し、第3の適応フィルタを制御する。
すなわち、特許文献1乃至3の雑音消去装置は、雑音消去後の信号と適応フィルタ出力を用いて推定した信号対雑音比で、適応フィルタの係数更新を制御する。信号対雑音比が高いときには小さなステップサイズを、信号対雑音比が低いときには大きなステップサイズを用いることで、高速収束と低歪出力信号を両立している。
しかしながら、特許文献1乃至3の雑音消去装置では、適応フィルタの係数が全く更新されない。これは、通常、適応フィルタ係数の初期値がゼロに設定されるためである。ゼロ係数の適応フィルタはゼロを出力する。これが信号対雑音比の推定値の分母であるために、信号対雑音比の推定値は極めて大きな値となり、対応するステップサイズとしてゼロが設定される。ゼロのステップサイズは、係数更新を行わないことを意味する。これを避けるためには、係数更新開始直後に強制的にステップサイズを非ゼロの値に設定しなければならないが、実際にどの値をステップサイズに設定するか、どれだけの期間、非ゼロの値に設定しなければならないかに関して明確な設計方法は開示されていない。すなわち、2入力雑音消去装置で高速収束と低歪出力信号を両立するためには、ステップサイズの手動制御が必要である。
特許文献4には、ステップサイズの手動制御が不要で、高速収束と低歪出力信号を両立できる2入力型雑音消去装置の構成が開示されている。雑音消去後の信号と参照信号の比で定義される新たな信号対雑音比を装置の動作直後に用いて適応フィルタの係数更新を制御し、係数更新が行われない問題を解決する。適応フィルタの係数が成長したとき、特許文献3に開示された信号対雑音比に切り替える。係数成長の評価は、前記新たな信号対雑音比が前記従来の信号対雑音比に十分近くなったことによって行う。クロストークが存在する際には、雑音入力信号から音声信号を消去する第3の適応フィルタを導入して、第2の適応フィルタと同様の原理でステップサイズを制御する。
特開平10-215193号公報 特開2000-172299号公報 国際公開第2012/046582号 国際公開第2019/092798号
しかしながら、特許文献4に記載の信号処理装置では、雑音消去後の信号と参照信号の比で定義される信号対雑音比が十分に正確でない。これは、適応フィルタの近似する音響系のインパルス応答が与える遅延の影響が考慮されていないためである。その結果、適応フィルタの係数更新を適切に制御できず、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができない。
本発明の目的は、上記の課題を解決する技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る装置は、
第1信号と第2信号とが混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、
前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、
前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の推定値を生成する第1適応フィルタと、
前記第1混在信号と前記第2信号の推定値とから、前記第1信号の推定値を生成する第1減算部と、
前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成する第1遅延部と、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部と、
を備え、
前記第1混在比を用いて前記第1の適応フィルタを制御する。
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
前記第2混在信号を第1適応フィルタで処理して前記第2信号の推定値を生成し、
前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成し、
前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御する。
上記目的を達成するため、本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、
第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力するステップと、
前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力するステップと、
前記第2混在信号を第1適応フィルタで処理して前記第2信号の推定値を生成するステップと、
前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成するステップと、
前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定するステップと、
前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御するステップと、
を実行させる。
本発明によれば、適応フィルタの近似する音響インパルス応答が与える遅延の影響を考慮することができ、適切に適応フィルタの係数更新を制御して、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができる信号処理装置を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る推定部の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る値の時間推移を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る推定部の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る推定部の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る推定部の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。 図9に示すコンピュータのプロセッサによる信号処理の一例を示すフローチャートである。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔1.第1実施形態〕
本発明の第1実施形態としての信号処理装置100について、図1を用いて説明する。図1の信号処理装置100は、第1信号と第2信号とが混在する第1混在信号xP(k)から、第1信号の推定値e1(k)を求める装置である。
図1に示すように、信号処理装置100は、第1入力部101と、第2入力部102と、適応フィルタ103と、減算部104と、推定部106と、係数更新制御部107と、遅延部110とを含む。
このうち、第1入力部101は第1信号と第2信号とが混在した第1混在信号xP(k)を入力する。第2入力部102は、第3信号と第4信号とが混在した第2混在信号xR(k)を入力する。第1信号と第3信号は、同一の信号源Aから生じており、互いに相関を有する。第2信号と第4信号は、同一の信号源Bから生じており、互いに相関を有する。
減算部104は、第1混在信号xP(k)に混在する第2信号の推定値n1(k)と第1混在信号xP(k)を受けて、第1信号の推定値e1(k)を出力する。そして、適応フィルタ103は、第2信号の推定値n1(k)を求めるため、第2混在信号xR(k)に対して、第1信号の推定値e1(k)に基づいて更新される係数141を用いてフィルタ処理を施す。
遅延部110は、適応フィルタ103の係数ベクトルw1(k)を用いて第2混在信号xR(k)を遅延させて、遅延第2混在信号xRD(k)を求める。
推定部106は、第1信号の推定値e1(k)と第2信号の推定値n1(k)と遅延第2混在信号xRD(k)と適応フィルタ103の係数ベクトルw1(k)とを用いて、第1信号と第2信号の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定する。係数更新制御部107は、推定部106によって得られた第1混在比R1(k)の値が大きい場合に、適応フィルタ103の係数141の更新量を小さくするための制御信号μ1(k)を適応フィルタ103に出力する。
このような構成を備えた本実施形態によれば、第2混在信号xR(k)を遅延させた遅延第2混在信号xRD(k)を用いて第1混在比R1(k)を推定し、適応フィルタ103の係数更新を制御する。その結果、適応フィルタ103の近似する音響インパルス応答が与える遅延の影響を考慮することができ、第2信号の消し残りが少なく、歪が少ない第1信号の推定値e1(k)を短時間で得ることができる。
〔2.第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る信号処理装置として、劣化信号(所望の信号と雑音とが混合された信号)と参照信号(主として雑音と相関のある信号を含む)を入力して、雑音の一部または全部を消去し、強調信号(所望信号を強調した信号)を出力する雑音消去装置について説明する。ここで、劣化信号は第1信号と第2信号が混在する第1混在信号に相当し、参照信号は第3信号と第4信号が混在する第2混在信号に相当し、強調信号(第1信号の推定値)は所望信号に相当する。
〔2.1.雑音消去の基礎技術の説明〕
以下、マイクロホン、ハンドセット、通信路等から入力された所望信号に混在する雑音、妨害信号、エコーなどを適応フィルタによって消去し、または所望信号を強調する雑音消去の基礎技術の説明を簡単に行なう。
特許文献1乃至3に開示されているように、2入力型の雑音消去装置は、雑音源から音声入力端子に至る音響経路のインパルス応答を近似する適応フィルタを用いて、参照信号から音声入力端子において音声に混入する雑音成分に対応した擬似雑音(第2信号の推定値)を生成する。そして、音声入力端子に入力された信号(第1混在信号)からこの擬似雑音を差し引くことによって、雑音成分を抑圧するように動作する。ここで、混在信号とは、所望(音声)信号と雑音とが混在した信号のことであり、一般に、マイクロホンやハンドセットから音声入力端子に供給される。また、参照信号とは、雑音源における雑音成分と相関のある信号であり、雑音源近傍において捕捉される。このように、雑音源近傍において参照信号を捕捉することで、参照信号は雑音源における雑音成分とほぼ等しいとみなすことができる。適応フィルタには、参照入力端子に供給される参照信号を入力する。
適応フィルタの係数は、劣化信号から擬似雑音を差し引いた誤差と参照入力端子に入力された参照信号との相関をとることにより修正される。このような適応フィルタの係数修正アルゴリズムとして、特許文献1乃至3には、「LMSアルゴリズム(Least Mean-Square Algorithm)」や「LIM(Learning Identification Method):学習同定法」が開示されている。LIMはまた、正規化LMS(NLMS)アルゴリズムとも呼ばれる。
正規化LMSアルゴリズムによる係数更新は、時刻kにおけるステップサイズをμ1(k)とすれば、式(1)で表される。係数ベクトルw1(k)は、その要素を用いて式(2)で定義される。参照信号ベクトルxR(k)は、その要素を用いて式(3)で表される。なお、Tはベクトルの転置を表し、係数の総数はLとする。
Figure 2023102181000002
LMSアルゴリズムやLIMは、勾配法と呼ばれるアルゴリズムの一種であり、係数更新の速度と精度は、係数更新ステップサイズと呼ばれる定数に依存する。係数更新ステップサイズと誤差との積によってフィルタ係数を更新するが、誤差に含まれる所望信号(第1信号の推定値)による係数更新への妨害を低減するためには、係数更新ステップサイズを極めて小さな値またはゼロに設定する必要がある。係数更新ステップサイズを常に小さい値に設定すると、適応フィルタ係数の環境変化への追従性が低下する。上記特許文献1乃至3は、出力誤差が増大し、あるいは所望信号に歪が生じるという問題を解決する1つの方法を開示するものである。また、所望信号は一般的に音声であるために、以降音声と表記するが、本発明の趣旨は音声には限定されず、音響(オーディオ)信号を含むあらゆる種類の信号を表す。また、係数更新アルゴリズムも、LMSやLIMに限定されない。
〔2.2.雑音消去装置の構成〕
図2は、本実施形態としての雑音消去装置200の全体構成を示すブロック図である。雑音消去装置200は、例えばデジタルカメラ、ノートパソコン、携帯電話、補聴器、テレビジョン、スマートスピーカ、またはロボットなどといった装置の一部としても機能するが、本発明はこれに限定されるものではなく、入力信号からの雑音消去を要求されるあらゆる信号処理装置に適用可能である。
図2に示すように、雑音消去装置200は、入力端子201から音声(第1信号)と雑音(第2信号)の混在した劣化信号(第1混在信号)xP(k)を入力する。そして、入力端子202から音声と雑音の混在した参照信号(第2混在信号)xR(k)を入力し、出力端子205から音声の推定値e1(k)(強調信号)を出力する。また、雑音消去装置200は、適応フィルタ203と、減算部204と、推定部206と、遅延部210と、を備えている。適応フィルタ203は、図1における適応フィルタ103と係数更新制御部107とを包含する構成であり、第1混在比R1(k)を受けてステップサイズμ1(k)を算出し、算出したステップサイズμ1(k)を用いて係数ベクトルw1(k)を更新する。雑音消去装置200は、消去しようとする雑音と相関のある参照信号xR(k)を適応フィルタ203で変形して擬似雑音n1(k)を生成し、これを雑音の重畳した音声信号である劣化信号xP(k)から減算することで、雑音の消去を行うものである。
入力端子201には、劣化信号xP(k)が、サンプル値系列として供給される。劣化信号xP(k)は、減算部204に伝達される。入力端子202には、参照信号xR(k)が、サンプル値系列として供給される。参照信号xR(k)は、適応フィルタ203と推定部206に伝達される。
適応フィルタ203は、参照信号xR(k)とフィルタ係数の畳込み演算を行い、その結果を擬似雑音n1(k)として減算部204と推定部206に伝達する。また、適応フィルタ203は、係数ベクトルw1(k)を推定部206に供給する。
減算部204には、入力端子201から劣化信号xP(k)が、適応フィルタ203から擬似雑音n1(k)が供給される。減算部204は、劣化信号xP(k)から擬似雑音n1(k)を減算し、その結果を音声信号の推定値e1(k)(第1信号の推定値)として出力端子205に伝達すると同時に適応フィルタ203に帰還する。
遅延部210は、参照信号xR(k)と適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)を受けて、適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)に基づいて参照信号xR(k)にd1(k)サンプルの遅延を与えて、遅延参照信号xRD(k)を求める。すなわち、xRD(k)=xR(k-d1(k))である。d1(k)は次のようにして求めることができる。
自然数d1(k)は、適応フィルタ103が同定する音響系のインパルス応答における遅延量であり、適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)の絶対値が最大となる要素w1(k、d1(k))に対応する。すなわち、係数ベクトルw1(k)の要素のうち最大の絶対値を有する要素の番号(=先頭を基準とした位置)をd1(k)とする。最大値を見つける方法としては、バブルソートをはじめとして、様々な方法が知られている。例えば、バブルソートでは、最初に定めた仮の最大値とすべての要素を比較して、その都度比較結果のうち大きい方を仮の最大値と置き換える。最後に残った値が真の最大値となる。仮の最大値とその要素の番号を同時に記録しておけば、最後に残った最大値の番号が求めるd1(k)となる。d1(k)の初期値、すなわちd1(0)は、d1(0)=0と設定することができる。
バブルソートにおける仮最大値とすべての要素との比較は、通常、1サンプリング周期内に完了して、d1(k)を決定する。しかし、1サンプリング周期内に比較を1回、あるいは2回など一部しか行わず、結果的に複数のサンプリング周期で一つのd1(k)を決定してもよい。1サンプリング周期内に実行する比較演算を削減することができ、総演算量の削減、消費電力の低減につながる。反対に、d1(k)の更新に時間がかかるので、適応フィルタ203の近似する音響系のインパルス応答における変動に対する追従性が劣化する。
係数ベクトルw1(k)の要素を複数のグループに分割し、各グループに含まれる要素の絶対値総和や2乗総和などを係数情報として、係数情報が最大であるグループに対応する位置をd1(k)としてもよい。グループに対応する位置としては、グループ内の先頭要素の位置、中央要素の位置、末尾要素の位置などを用いることができる。グループ数は全要素数より少ないので、1サンプリング周期内に実行する比較演算を削減することができ、総演算量の削減、消費電力の低減につながる。また、各グループ内要素の平均化効果によって、係数更新に伴う微小な要素値変動を吸収することができ、安定した遅延量の推定結果を得ることができる。
係数ベクトルw1(k)の要素を複数のグループに分割し、各グループの係数情報が最大であるグループに対応する位置をd1(k)とする際に、各グループの係数情報の比較数を削減して複数サンプリング周期に渡って行ってもよい。1サンプリング周期内に実行する比較演算をさらに削減することができ、さらなる総演算量の削減、消費電力の低減につながる。
最も簡単なd1(k)の設定は、d1(k)を定数とすることである。予め定められた唯一の定数を用いてもよいし、予め定められた複数の定数を順に用いてもよい。例えば、M1<M2<…<M5=<Lである自然数M1からM5までと任意の自然数T1、T2…、T5を予め定める。雑音消去装置200の動作開始時にd1(k)を0に設定して、係数更新がT1回完了したときに、d1(T1+1)=M1と設定する。続いてd1(k)=M1(T1<k=<T1+T2)の状態で係数更新がT2回完了したときに、d1(T2+1)=M2と設定する。以降、同様の処理を繰り返して、M3からM5までを順にd1(k)として設定することができる。装置の設計段階でシミュレーションを行い、係数ベクトルw1(k)の収束特性がわかっている場合に、d1(k)を定数に設定することは特に有効である。d1(k)を決定するための比較演算が不要となり、総演算量の削減、消費電力の低減につながる。このとき、遅延部210は、参照信号xR(k)を受けてd1(k)サンプル遅延させ、遅延参照信号xRD(k)を求めることになり、適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)を必要としない構成になる。
推定部206は、音声の推定値e1(k)、擬似雑音n1(k)(適応フィルタ203の出力)、遅延参照信号xRD(k)、および適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)を受けて、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定し、適応フィルタ203に伝達する。適応フィルタ203は、第1混在比R1(k)が大きいときに小さなステップサイズμ1(k)を、第1混在比R1(k)が小さいときに大きなステップサイズμ1(k)を用いて、係数ベクトルw1(k)を更新する。第1混在比R1(k)、すなわち信号対雑音比の推定値を用いてステップサイズを制御する方法に関しては、特許文献1から3に詳細に開示されている。また、特許文献1から3に開示されているように、第1混在比R1(k)を平均化してから、ステップサイズμ1(k)の計算に用いてもよい。音声と雑音の振幅または電力の比に対する推定精度が向上する。
〔2.3.推定部206の第1の構成〕
図3は、推定部206の第1の内部構成を示すブロック図である。推定部206は、信号比推定部301、信号比推定部302、および混合部305を備えている。信号比推定部301は、音声の推定値e1(k)と擬似雑音n1(k)とを受けて、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比を第2混在比R2(k)として推定する。第2混在比R2(k)は、音声の推定値e1(k)と擬似雑音n1(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。微小定数の加算は、除算による商の発散を防ぐ効果がある。また、音声の推定値e1(k)と擬似雑音n1(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
信号比推定部302は、音声の推定値e1(k)と遅延参照信号xRD(k)とを受けて、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比を第3混在比R3(k)として推定する。第3混在比R3(k)は、音声の推定値e1(k)と遅延参照信号xRD(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。微小定数の加算は、除算による商の発散を防ぐ効果がある。また、音声の推定値e1(k)と遅延参照信号xRD(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。
混合部305は、第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)とを混合して、混合結果を第1混在比R1(k)として出力する。第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)は、重み付き加算によって混合してもよいし、さらに複雑な高次多項式などを用いて混合してもよい。混合に先立って、第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)のいずれかまたは両方を平均化してもよい。平均化によって、第1混在比R1(k)の計算精度、すなわち入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の近似精度を向上することができる。
ここで、単純化のために、第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)を重み付き加算で混合することで、第1混在比R1(k)を求める場合を考える。また、両者の重みの和が1となるように設定する。適応フィルタ203の係数は、ゼロに初期化されることが一般的である。そのため、係数更新開始時には擬似雑音n1(k)はゼロであり、第2混在比R2(k)は分母がゼロで無限大となる。このため、第2混在比R2(k)によって適応フィルタ203のステップサイズμ1(k)を算出すると、極めて小さな値またはゼロとなり、係数が成長しない。係数が成長しないと、擬似雑音n1(k)も大きくならず、同じ問題が継続する。
一方、第3混在比R3(k)の分母は遅延参照信号xRD(k)であり、係数更新開始時にゼロとは限らない。これは、マイク入力には環境雑音など微小な信号が含まれるためである。仮に遅延参照信号xRD(k)がゼロであっても、ゼロが継続することはない。このため、第3混在比R3(k)が無限大になることはなく、対応するステップサイズμ1(k)も極小値とはならない。したがって、適応フィルタ203の係数は、係数更新とともに成長し、雑音の信号源から入力端子201に至る経路の音響特性を表す値に収束する。遅延参照信号xRD(k)がゼロのときは参照信号xR(k)もゼロであって、適応フィルタ203の係数は更新しないので、第3混在比R3(k)が極めて大きな値をとっても問題とはならない。しかし、適応フィルタ203の係数がある程度成長して、擬似雑音n1(k)が成長したときには、第3混在比R3(k)は第2混在比R2(k)よりも、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比に対する近似精度が低い。
そこで、混合部305は、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の重みを大きな値に設定し、係数の成長とともに減少させる。第2混在比R2(k)の重みは、適応フィルタ203の係数更新開始時に小さな値に設定し、時間とともに増加させる。これは、第3混在比R3(k)の第1混在比R1(k)における含有割合を、係数更新回数に対応して減少させることを表す。
例えば、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の重みを1に設定すれば、重みの和が1という条件から、第2混在比R2(k)の重みは0となる。係数の成長は係数更新回数と対応する。したがって、適応フィルタ203の係数更新開始時に第3混在比R3(k)の重みを1に設定し、係数ベクトルw1(k)の係数更新回数に対応してその重みを0に向かって減少させる。対応して、第2混在比R2(k)の重みは0から1へ増加する。第3混在比R3(k)の重みの初期値を1と設定し、ある時点で重みが1になるか重みを1に設定すれば、第3混在比R3(k)から第2混在比R2(k)へ切り換えることになる。前記重みの和として1以外の値を設定しても、第3混在比R3(k)に対する重みの初期値を1以外に設定しても、同様の効果が得られる。重みは、適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)の変化量を用いて決定することができる。
図4は、第2実施形態に係る信号の時間推移を模式的に示す図であり、遅延参照信号xRD(k)、適応フィルタ203の出力である擬似雑音n1(k)、および係数ベクトルw1(k)が示されている。図4の縦軸は、信号の値をパワーで表したものであり、係数は係数ベクトルのノルムとする。横軸は、サンプル数kで表した適応フィルタ203の係数更新回数である。xRD(k)とn1(k)を比較することは、同一の分子を有し、分母がそれぞれxRD(k)とn1(k)である第3混在比R3(k)と第2混在比R2(k)を比較することと等価である。xRD(k)は係数更新と無関係なので、n1(k)が第3混在比R3(k)と第2混在比R2(k)の関係を決定する。n1(k)はxRD(k)と係数ベクトルw1(k)で決定され、xRD(k)の増減に起因する変化を除くと、その振幅またはパワーは係数更新に伴って増加する。すなわち、xRD(k)は一定で、n1(k)は係数更新による係数ベクトルw1(k)の増加と共に増加する。
以上説明した遅延参照信号xRD(k)、適応フィルタ203の出力である擬似雑音n1(k)、および係数ベクトルw1(k)の関係は、図4から明らかである。図4では、係数更新と無関係なxRD(k)は、簡単のため一定として表した。xRD(k)に依存するn1(k)は、スムーズに増加し、係数ベクトルw1(k)が収束するとn1(k)も飽和する。適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)の変化量は係数更新に伴って小さくなるので、n1(k)がゼロからどれだけ成長したかの指標として、係数ベクトルw1(k)の変化量を用いることができる。すなわち、混合部305は、係数ベクトルw1(k)の時間変化によって、第3混在比R3(k)の重みを決定する。
xR(k)をd1(k)遅延させたxRD(k)を用いることで、n1(k)のパワーとxR(k)のパワーとの差、すなわち両者の時間ずれ(図4の横軸方向のずれ)を小さくすることができる。これは、n1(k)のパワーの増減とxR(k)のパワーの増減の間にある時間ずれよりもn1(k)のパワーの増減とxRD(k)のパワーの増減の間にある時間ずれが小さいことを意味する。特に、xR(k)が白色雑音とは異なる、非定常信号であるときに大きな意味を持つ。すなわち、xRD(k)はxR(k)よりも、n1(k)を高精度で近似できる。これは、高精度の第3混在比R3(k)を通じて、より正確なステップサイズ制御につながり、適応フィルタ203の制御に望ましい。したがって、残留雑音が小さく、歪が少ない音声の推定値を短時間で得ることができる。
第1混在比R1(k)の推定に用いる係数ベクトルw1(k)の時間変化は、係数ベクトルw1(k)の要素の2乗総和または絶対値総和の時間変化としてもよいし、2乗部分和または絶対値部分和の時間変化であってもよい。部分和とする際には、係数ベクトルの要素を間引いたものを用いてもよいし、係数ベクトルの一部を切り出したものを用いてもよい。部分和を用いることで、時間変化の評価精度低下を抑えつつ、係数の時間変化に必要とする演算量を削減することができる。また、係数は入力信号に依存しないで変化するので、滑らかである。従って、入力信号に依存する他の指標よりも最小的に変動が小さく、飽和状態を正確に検出できる。
式(4)に、第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)とを重み付き加算によって混合する例を示す。式(5)で表されるζ1(k)はζ1(0)=0を満たし、係数更新と共に増加する。適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)の時間変化に相当するδ1(k)は式(6)で求めることができる。Mは予め定められた自然数であり、係数ベクトルw1(k)の時間変化を計算する頻度を決定する。Mが大きいほどδ1(k)の変動が小さく係数飽和の検出が正確になるが、δ1(k)の変化に生じる大きな遅延によって係数飽和の検出が遅れる。式(5)は、時間変化δ1(k)の値が閾値ε1未満になったとき、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を0に設定する例を表し、第1混在比R1(k)を第3混在比R3(k)から第2混在比R2(k)に切り換える。これは、時間変化δ1(k)の値が十分に小さくなったことを判定する方法の一例である。式(5)の代わりにζ1(k)=δ1(k)/|δ1(M)|とすれば、係数ベクトルw1(k)の時間変化が第3混在比R3(k)の含有割合を定める構成となる。
Figure 2023102181000003
このように、混合部305は、時間変化δ1(k)と閾値ε1との比較結果に基づいて、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を100%および0%のうちのいずれかに設定することができる。なお、係数ベクトルw1(k)の時間変化δ1(k)と閾値ε1とを繰り返し比較し、係数ベクトルw1(k)の時間変化δ1(k)が閾値ε1以上である場合に、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を100%にし、そうでない場合に、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を0%にする処理を繰り返してもよい。これにより、環境の変化に対する追従性の高い第1混在比R1(k)を得ることができ、例えば、適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)の更新量が急増した場合であっても、より正確な係数更新が可能となる。
混合部305は、係数ベクトルw1(k)の時間変化δ1(k)が予め定められた第1定数L1以上連続して閾値ε1未満になった場合に、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を0%にし、それ以外の場合には、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を100%にすることもできる。第3混在比R3(k)の含有割合が1回0%に設定された後、閾値ε1を十分に大きく設定することで、δ1(k)とε1の比較を停止してもよい。ここに、L1は、2以上の整数である。
混合部305は、係数ベクトルw1(k)の時間変化δ1(k)が予め定められた第2定数L2と等しいサンプル数を有する区間において、予め定められた第3定数L3以上連続してδ1(k)が閾値ε1未満になったときに、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を0%にし、それ以外の場合には、第1混在比R1(k)における第3混在比R3(k)の含有割合を100%にすることもできる。第2定数L2及び第3定数L3は共に2以上の整数で、L2>L3を満足する。さらに、上記評価から連続の条件を削除して、予め定められた第3定数L3以上δ1(k)が閾値ε1未満になる回数を評価することもできる。第3混在比R3(k)の含有割合が1回0%に設定された後、L3をL2より大きな値に設定することで、δ1(k)の評価を停止してもよい。
なお、混合部305は、第2混在比R2(k)および第3混在比R3(k)の重みの最小値を0ではなく、0よりも大きな値とすることもできる。
〔2.4.推定部206の第2の構成〕
図5は、推定部206の第2の内部構成を示すブロック図である。推定部206は、混合部506と信号比推定部503とを備えている。混合部506は、遅延参照信号xRD(k)(遅延第2混在信号)と擬似雑音n1(k)(第2信号の推定値)とを係数ベクトルw1(k)に基づいて混合して、第1混合信号n3(k)を生成する。信号比推定部503は、音声の推定値e1(k)と第1混合信号n3(k)とを受けて、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定する。第1混在比R1(k)は、音声の推定値e1(k)と第1混合信号n3(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。微小定数の加算は、除算による商の発散を防ぐ効果がある。また、推定値e1(k)と第1混合信号n3(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
図5に示す推定部206の第2の内部構成は、図3に示す推定部206の第1の内部構成と等価である。すなわち、図3に示す第1の内部構成は、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比に対して2つの推定値を信号比推定部301、302で生成し、それらを混合して第1混在比R1(k)を算出する。図5に示す推定部206の第2の内部構成は、2種類の雑音の推定値、すなわち遅延参照信号xRD(k)と擬似雑音n1(k)を混合して第1混合信号n3(k)を生成して分母を確定し、分子である音声の推定値e1(k)と作用させて第1混在比R1(k)を算出する。これら2種類の構成が可能となったのは、図3に示す第1の内部構成と図5に示す第2の内部構成において、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比を推定する際に、同一の分子、すなわち音声の推定値e1(k)を用いるからである。図5に示す推定部206の第2の内部構成は、図3に示す第1の内部構成よりも、構成要素が少なく、単純である。
混合部506の動作は、入力信号である第2混在比R2(k)と第3混在比R3(k)が擬似雑音n1(k)と遅延参照信号xRD(k)(遅延第2混在信号)にそれぞれ置き換わったことを除いて、混合部305の動作と等しいので、詳細な説明は省略する。
以上の構成により、本実施形態は、適応フィルタ203の近似する音響インパルス応答が与える遅延の影響を考慮することができ、適切に適応フィルタ203の係数更新を制御して、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができる。
〔3.第3実施形態〕
これまでの説明では、雑音源近傍において参照信号の捕捉を行うことによって、参照信号は雑音そのものであると仮定してきた。しかし、現実にはこの条件を満たすことのできない場合が存在する。このような場合には、参照信号は雑音とそれに混入する音声信号とから構成される。このような参照信号に対する音声信号の混入成分はクロストークと呼ばれる。クロストークが存在する際の雑音消去装置の構成が、特許文献3に開示されている。
本実施形態では、雑音の消去と同様に、クロストークを消去するための第2の適応フィルタを導入する。音声信号源から参照入力端子に至る音響経路(クロストークパス)のインパルス応答を近似する第2の適応フィルタを用いて、参照入力端子において混入する音声信号成分に対応した擬似クロストークを生成する。そして、参照入力端子に入力された信号(参照信号)からこの擬似クロストークを差し引くことによって、参照入力に混入する音声信号成分(クロストーク)を消去する。
本発明の第3実施形態としての雑音消去装置800について、図6を用いて説明する。第2実施形態と比べた場合、本実施形態に係る雑音消去装置は、減算部204、適応フィルタ203に加えて、減算部804、適応フィルタ803、遅延部810とを備え、推定部206が推定部806に置換されている。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
雑音消去装置800は、消去しようとするクロストーク(第3信号)に相関のある信号(出力端子205における出力=推定音声信号あるいは強調信号)を適応フィルタ803で変形して擬似クロストークn2(k)(第3信号の推定値)を生成する。そして、これを音声と雑音の混在した参照信号xR(k)から減算することで、クロストークの消去を行う。適応フィルタ803の係数更新を行う際に、第4信号と第3信号の振幅またはパワーの比を近似する第4混在比R4(k)を用いてステップサイズを制御するために、係数更新を円滑に進めることができ、結果として、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができる。
入力端子201には、劣化信号xP(k)が、サンプル値系列として供給され、減算部204に伝達される。入力端子202には、参照信号xR(k)がサンプル値系列として供給され、減算部804に伝達される。
減算部804には、入力端子202から参照信号xR(k)が、適応フィルタ803から擬似クロストークn2(k)が供給される。減算部804は、参照信号xR(k)から擬似クロストークn2(k)を減算し、その結果を雑音の推定値e2(k)(第4信号の推定値)として出力端子805に伝達すると同時に適応フィルタ803に帰還する。また、減算部804は、雑音の推定値e2(k)を推定部806に供給する。
適応フィルタ803は、音声の推定値e1(k)(強調信号)とフィルタ係数の畳込み演算を行い、その結果を擬似クロストークn2(k)(第3信号の推定値)として減算部804と推定部806に伝達する。また、適応フィルタ803は、係数ベクトルw2(k)を推定部806に供給する。
遅延部810は、音声の推定値e1(k)と適応フィルタ803の係数ベクトルw2(k)を受けて、適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)に基づいて音声の推定値e1(k)にd2(k)サンプルの遅延を与えて、音声の遅延推定値e1D(k)を求める。すなわち、e1D(k)=e1(k-d2(k))である。d2(k)は、すでに説明したd1(k)と同じ方法で求めることができる。
推定部806は、音声の推定値e1(k)、擬似雑音n1(k)(適応フィルタ203の出力)、雑音の遅延推定値e2D(k)(第4信号の遅延推定値)、および適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)を受けて、入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定し、適応フィルタ203に伝達する。適応フィルタ203は、第1混在比R1(k)が大きいときに小さなステップサイズμ1(k)を、第1混在比R1(k)が小さいときに大きなステップサイズμ1(k)を用いて、係数を更新する。なお、図6に示す適応フィルタ203は、参照信号xR(k)に代えて雑音の推定値e2(k)が入力される点で、図2に示す適応フィルタ203とは異なる。第1混在比R1(k)、すなわち信号対雑音比の推定値を用いてステップサイズを制御する方法に関しては、特許文献1から3に詳細に開示されている。また、特許文献1から3に開示されているように、第1混在比R1(k)を平均化してから、ステップサイズμ1(k)の計算に用いてもよい。入力端子201における音声と雑音の振幅または電力の比に対する推定精度が向上する。
推定部806は、さらに、雑音の推定値e2(k)、擬似クロストークn2(k)(適応フィルタ803の出力)、音声の遅延推定値e1D(k)、および適応フィルタ803の係数ベクトルw2(k)を受けて、入力端子202における雑音とクロストーク(第4信号と第3信号)の振幅または電力の比を第4混在比R4(k)として推定し、適応フィルタ803に伝達する。式(7)に示す係数ベクトルw2(k)のサイズは、係数ベクトルw1(k)のサイズLと等しくてもよいし、異なってもよい。
Figure 2023102181000004
適応フィルタ803は、第4混在比R4(k)が大きいときに小さなステップサイズμ2(k)を、第4混在比R4(k)が小さいときに大きなステップサイズμ2(k)を用いて、係数を更新する。第4混在比R4(k)、すなわち入力端子202における雑音対クロストーク比の推定値を用いてステップサイズμ2(k)を制御する方法に関しては、特許文献1から3に詳細に開示されている。また、特許文献1から3に詳細に開示されているように、第4混在比R4(k)を平均化してから、ステップサイズμ2(k)の計算に用いてもよい。入力端子202における雑音とクロストークの振幅または電力の比に対する推定精度が向上する。
〔3.1.推定部806の第1の構成〕
図7は、推定部806の第1の内部構成を示すブロック図である。推定部806は、推定部206の構成に加えて、信号比推定部901、信号比推定部902、および混合部905を備えている。図7に示す信号比推定部302は、遅延参照信号xRD(k)に代えて雑音の遅延推定値e2D(k)を用いる点以外は、図3に示す信号比推定部302と等しい。
信号比推定部901は、雑音の推定値e2(k)と擬似クロストークn2(k)を受けて、雑音とクロストークの振幅または電力の比を第5混在比R5(k)として推定する。第5混在比R5(k)は、雑音の推定値e2(k)と擬似クロストークn2(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。微小定数の加算は、除算による商の発散を防ぐ効果がある。また、雑音の推定値e2(k)と擬似クロストークn2(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
信号比推定部902は、雑音の推定値e2(k)と音声の遅延推定値e1D(k)(第1信号の遅延推定値)を受けて、入力端子202における雑音とクロストークの振幅または電力の比を第6混在比R6(k)として推定する。第6混在比R6(k)は、雑音の推定値e2(k)と音声の遅延推定値e1D(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。微小定数の加算は、除算による商の発散を防ぐ効果がある。また、雑音の推定値e2(k)と音声の遅延推定値e1D(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。
混合部905は、第5混在比R5(k)と第6混在比R6(k)とを適応フィルタ803の係数ベクトルw2(k)を用いて混合して、混合結果を第4混在比R4(k)として出力する。第5混在比R5(k)と第6混在比R6(k)は、適応フィルタ803の係数ベクトルw2(k)を用いた重み付き加算によって混合してもよいし、さらに複雑な高次多項式などを用いて混合してもよい。混合に先立って、第5混在比R5(k)と第6混在比R6(k)のいずれかまたは両方を平均化してもよい。平均化によって、第4混在比R4(k)の計算精度、すなわち雑音とクロストークの振幅または電力の近似精度を向上することができる。
混合部905の動作は、混合部305の入出力信号を図7で示されるように混合部905のものに変更することで、混合部305の動作と等しいので、詳細な説明は省略する。
〔3.2.推定部806の第2の構成〕
図8は、推定部806の第2の内部構成を示すブロック図である。推定部806は、混合部506と信号比推定部503に加えて、さらに混合部1106と信号比推定部1103を備えている。図8の混合部506は、図5の混合部506において遅延参照信号xRD(k)(遅延第2混在信号)の代わりに雑音の遅延推定値e2D(k)を入力とする構成である。図8の混合部506の動作は、図5の混合部506の動作と等しいので、詳細な説明は省略する。
混合部1106は、音声の遅延推定値e1D(k)(遅延された強調信号、すなわち第1信号の遅延推定値)と擬似クロストークn2(k)(第3信号の推定値)とを適応フィルタ803の係数ベクトルw2(k)を用いて混合して、第2混合信号n4(k)を生成する。混合部1106の動作は、混合部506の入出力信号を図8で示されるように混合部1106のものに変更することで、混合部506の動作と等しいので、詳細な説明は省略する。
信号比推定部1103は、雑音の推定値e2(k)と第2混合信号n4(k)を受けて、雑音とクロストークの振幅または電力の比を第4混在比R4(k)として推定する。第4混在比R4(k)は、雑音の推定値e2(k)と第2混合信号n4(k)の振幅または電力の比としてもよいし、それらの振幅または電力に微小定数を加算してから比を計算してもよい。微小定数の加算は、除算による商の発散を防ぐ効果がある。また、雑音の推定値e2(k)と第2混合信号n4(k)のいずれかまたは両方を、平均化してから用いてもよい。平均化によって、比の計算精度を向上することができる。
図8に示す推定部806の第2の内部構成は、図7に示す推定部806の第1の内部構成と等価である。すなわち、図7に示す第1の内部構成は、雑音とクロストークの振幅または電力の比に対して2つの推定値を信号比推定部901と902で生成し、それらを混合して第4混在比R4(k)を算出する。図8に示す第2の内部構成は、2種類の推定値、すなわち音声の遅延推定値e1D(k)と擬似クロストークn2(k)を適応フィルタ803の係数ベクトルw2(k)を用いて混合して第2混合信号n4(k)を生成して分母を確定し、分子である雑音の推定値e2(k)と作用させて第4混在比R4(k)を算出する。これら2種類の構成が可能となったのは、図7に示す第1の内部構成と図8に示す第2の内部構成において、入力端子202における雑音とクロストークの振幅または電力の比を推定する際に、同一の分子、すなわち雑音の推定値e2(k)を用いるからである。図8に示す推定部806の第2の内部構成は、図7に示す第1の内部構成よりも、構成要素が少なく、単純である。
以上の構成により、本実施形態は、適応フィルタ203、803の近似する音響インパルス応答が与える遅延の影響を考慮することができ、適切に適応フィルタ203、803の係数更新を制御して、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができる。
〔4.他の実施形態〕
以上、本発明の複数の実施形態について詳述したが、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、上述の実施形態の機能を実現する情報処理プログラム(信号処理プログラム)が、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。そのようなプログラムは、信号処理装置あるいは雑音消去装置を構成するDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサで実行される。さらには、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。
図9は、第1~第3実施形態を信号処理プログラムにより構成する場合に、その信号処理プログラムを実行するコンピュータ1200の構成図である。コンピュータ1200は、入力部1201と、プロセッサ1203と、出力部1202と、メモリ1204とを含む。
プロセッサ1203は、メモリ1204に記憶された信号処理プログラムを読み込むことにより、コンピュータ1200の動作を制御する。プロセッサ1203は、例えば、DSP、CPU(Central Processing Unit)、またはMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサである。メモリ1204は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のうち1つ以上を含む。
図10は、図9に示すコンピュータのプロセッサによる信号処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す例は、コンピュータ1200が第1実施形態に係る信号処理装置100として機能する場合のフローチャートである。
図10に示すように、信号処理プログラムを実行したプロセッサ1203は、ステップS10において、まず、入力部1201から、第1信号と第2信号が混在した第1混在信号xP(k)を入力し、第1信号と相関のある第3信号と第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号xR(k)を入力する。
プロセッサ1203は、ステップS11において、第2混在信号xR(k)を第1適応フィルタ(適応フィルタ103)で処理して第2信号の推定値n1(k)を生成し、ステップS12において、第1混在信号xP(k)と第2信号の推定値n1(k)から第1信号の推定値e1(k)を生成する。
プロセッサ1203は、ステップS13において、第2混在信号xR(k)を遅延させて遅延第2混在信号xRD(k)を生成する。
プロセッサ1203は、ステップS14において、第1信号の推定値e1(k)と第2信号の推定値n1(k)と遅延第2混在信号xRD(k)と第1適応フィルタ(適応フィルタ103)の係数ベクトルw1(k)を用いて第1信号と第2信号の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定する。
プロセッサ1203は、ステップS15において、第1混在比R1(k)を用いて第2信号の推定値n1(k)の生成を制御する。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、コンピュータ1200が第2実施形態に係る信号処理装置として機能する場合、プロセッサ1203は、ステップS10において、第1混在信号xP(k)と第2混在信号xR(k)とを入力し、ステップS11において、第2混在信号xR(k)を第1適応フィルタ(適応フィルタ203)で処理して第2信号の推定値n1(k)を生成する。プロセッサ1203は、ステップS12において第1混在信号xP(k)と第2信号の推定値n1(k)とから第1信号の推定値e1(k)を生成する。プロセッサ1203は、ステップS13において、第2混在信号xR(k)を遅延させて遅延第2混在信号xRD(k)を生成する。プロセッサ1203は、ステップS14において、第1信号の推定値e1(k)と第2信号の推定値n1(k)と遅延第2混在信号xRD(k)と第1混在信号xP(k)と第1適応フィルタ(適応フィルタ203)の係数141とを用いて第1混在比R1(k)を生成する。プロセッサ1203は、ステップS15において、第1混在比R1(k)を用いて第2信号の推定値n1(k)の生成を制御する。
また、コンピュータ1200が第3実施形態に係る信号処理装置として機能する場合、プロセッサ1203は、ステップS14において、第1信号の推定値e1(k)を遅延させて第1信号の遅延推定値e1D(k)を、第4信号の推定値e2(k)を遅延させて第4信号の遅延推定値e2D(k)を生成する。また、プロセッサ1203は、第1信号の推定値e1(k)と第2信号の推定値n1(k)と第4信号の遅延推定値e2D(k)と第1適応フィルタ(適応フィルタ203)の係数141とを用いて第1混在比R1(k)を生成する。さらに、プロセッサ1203は、第1信号の推定値e1(k)を第2適応フィルタ(適応フィルタ803)で処理して第3信号の推定値n2(k)を生成し、第2混在信号xR(k)から第3信号の推定値n2(k)を減算して第4信号の推定値e2(k)を生成する。また、プロセッサ1203は、第1適応フィルタ(適応フィルタ203)において参照信号xR(k)に代えて第4信号の推定値e2(k)を処理し、第4信号の推定値e2(k)と第3信号の推定値n2(k)と第1信号の遅延推定値e1D(k)と第2適応フィルタ(適応フィルタ803)の係数とをさらに用いて、雑音とクロストークの振幅または電力の比を第4混在比R4(k)としてさらに推定する。プロセッサ1203は、ステップS15で、さらに第4混在比R4(k)を用いて第3信号の推定値n2(k)の生成を制御する。
〔5.その他〕
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
〔6.効果〕
上述してきたように、第1実施形態に係る信号処理装置100は、第1入力部101(第1入力手段の一例に相当)と、第2入力部102(第2入力手段の一例に相当)と、適応フィルタ103(第1適応フィルタの一例に相当)と、減算部104(第1減算部の一例に相当)と、遅延部110と、推定部106とを備える。第1入力部101は、第1信号と第2信号が混在した第1混在信号xP(k)を入力する。第2入力部102は、第1信号と相関のある第3信号と第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号xR(k)を入力する。適応フィルタ103は、第2混在信号xR(k)をフィルタ処理して第2信号の推定値n1(k)を生成する。減算部104は、第1混在信号xP(k)と第2信号の推定値n1(k)とから第1信号の推定値e1(k)を生成する。遅延部110は、第2混在信号xR(k)を適応フィルタ103の係数に基づいて遅延させ、遅延第2混在信号xRD(k)を生成する。推定部106は、第1信号の推定値e1(k)と第2信号の推定値n1(k)と遅延第2混在信号xRD(k)と適応フィルタ103の係数141とを用いて、入力端子201における第1信号と第2信号の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定する。係数更新制御部107は、推定部106によって得られた第1混在比R1(k)の値が大きい場合に、適応フィルタ103の係数141の更新量を小さくするための制御信号μ1(k)を適応フィルタ103に出力する。信号処理装置100は、制御信号μ1(k)を用いて適応フィルタ103を制御する。これにより、信号処理装置100は、適応フィルタの近似する音響インパルス応答が与える遅延の影響を考慮することができ、適切に適応フィルタの係数更新を制御して、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができる。
また、第2実施形態に係る信号処理装置は、入力端子201(第1入力手段の一例に相当)と、入力端子202(第2入力手段の一例に相当)と、適応フィルタ203(第1適応フィルタの一例に相当)と、減算部204(第1減算部の一例に相当)と、遅延部210と、推定部206とを備える。入力端子201は、音声信号(第1信号の一例に相当)と雑音(第2信号の一例に相当)とが混在した劣化信号xP(k)(第1混在信号の一例に相当)を入力する。入力端子202は、音声信号と相関のある信号(第3信号の一例に相当)と雑音と相関のある信号(第4信号の一例に相当)とが混在した参照信号xR(k)(第2混在信号の一例に相当)を入力する。適応フィルタ203は、参照信号xR(k)をフィルタ処理して擬似雑音n1(k)(第2信号の推定値の一例に相当)を生成する。減算部104は、劣化信号xP(k)と擬似雑音n1(k)とから音声の推定値e1(k)(第1信号の推定値e1(k)の一例に相当)を生成する。遅延部210は、参照信号xR(k)を適応フィルタ203の係数に基づいて遅延させ、遅延参照信号xRD(k)を生成する。推定部206は、音声の推定値e1(k)と擬似雑音n1(k)と遅延参照信号xRD(k)と適応フィルタ203の係数ベクトルw1(k)とを用いて、入力端子201における音声信号と雑音の振幅または電力の比を第1混在比R1(k)として推定する。雑音消去装置200は、第1混在比R1(k)を用いて適応フィルタ203を制御する。これにより、第2実施形態に係る信号処理装置は、適応フィルタの近似する音響インパルス応答が与える遅延の影響を考慮することができ、適切に適応フィルタの係数更新を制御して、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができる。
また、第3実施形態に係る信号処理装置は、入力端子201と、入力端子202と、適応フィルタ203と、遅延部210と、減算部204と、減算部804(第2減算部の一例に相当)と、適応フィルタ803(第2適応フィルタの一例に相当)と、遅延部810と、推定部806とを備える。適応フィルタ803は、第1信号の推定値e1(k)をフィルタ処理して擬似クロストークn2(k)(第3信号の推定値の一例に相当)を生成する。減算部804は、参照信号xR(k)から擬似クロストークn2(k)を減算して雑音の推定値e2(k)(第4信号の推定値の一例に相当)を生成する。適応フィルタ203は、参照信号xR(k)に代えて雑音の推定値e2(k)を入力とする。推定部806は、推定部206の機能に加えて、雑音の推定値e2(k)と雑音の遅延推定値e2D(k)と擬似クロストークn2(k)と第1信号の遅延推定値e1D(k)と適応フィルタ803の係数とをさらに用いて、入力端子202における雑音とクロストークの振幅または電力の比を第4混在比R4(k)としてさらに推定する。第3実施形態に係る信号処理装置は、第4混在比R4(k)を用いて適応フィルタ803を制御する。これにより、第3実施形態に係る信号処理装置は、適応フィルタの近似する音響インパルス応答が与える遅延の影響を考慮することができ、適切に適応フィルタの係数更新を制御して、残留雑音が小さく信号歪が少ない出力信号を短時間で得ることができる。
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、減算部は、減算手段や減算回路に読み替えることができる。

(付記1)
第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、
前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、
前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の推定値を生成する第1適応フィルタ(適応フィルタ103、203)と、
前記第1混在信号と前記第2信号の推定値とから前記第1信号の推定値を生成する第1減算部(減算部104、204)と、
前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成する第1遅延部(遅延部210)と、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部(推定部106、206、806)と、
を備え、
前記第1混在比を用いて前記第1適応フィルタを制御する
信号処理装置。
(付記2)
前記推定部(推定部106、206)は、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部(信号比推定部301)と、
前記第1信号の推定値と前記遅延第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部(信号比推定部302)と、
前記第2混在比と前記第3混在比を、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して前記第1混在比を生成する第1混合部(混合部305)と、
を備えた付記1に記載の信号処理装置。
(付記3)
前記第1混合部(混合部305)は、
前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき、前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を0%に設定する
付記2に記載の信号処理装置。
(付記4)
前記推定部(推定部106、206)は、
前記遅延第2混在信号と前記第2信号の推定値とを、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して第1混合信号を生成する第2混合部(混合部506)と、
前記第1混合信号と前記第1信号の推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を前記第1混在比として推定する第3信号比推定部(信号比推定部503)と、
を備えた付記1に記載の信号処理装置。
(付記5)
前記第2混合部(混合部506)は、
前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混合信号における前記遅延第2混在信号の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき、前記第1混合信号における前記遅延第2混在信号の含有割合を0%に設定する
付記4に記載の信号処理装置。
(付記6)
前記第1信号の推定値をフィルタ処理して前記第3信号の推定値を生成する第2適応フィルタ(適応フィルタ803)と、
前記第2混在信号から前記第3信号の推定値を減算して前記第4信号の推定値を生成する第2減算部(減算部804)と、
前記第2適応フィルタの係数を用いて前記第1信号の推定値を遅延させて第1信号の遅延推定値を生成する第2遅延部(遅延部810)と、をさらに備え、
前記第1適応フィルタは、
前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を入力とし、
前記第1遅延部は、前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を遅延させて第4信号の遅延推定値を生成し、
前記推定部は、
前記遅延第2混在信号に代えて前記第4信号の遅延推定値を入力とし、
前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値と前記第2適応フィルタの係数とをさらに用いて、前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比としてさらに推定し、
前記第4混在比を用いて前記第2適応フィルタを制御する
付記1に記載の信号処理装置。
(付記7)
前記推定部(推定部806)は、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部(信号比推定部301)と、
前記第1信号の推定値と前記第4信号の遅延推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部(信号比推定部302)と、
前記第2混在比と前記第3混在比を、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して前記第1混在比を生成する第1混合部(混合部305)と、
前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第5混在比として推定する第4信号比推定部(信号比推定部901)と、
前記第4信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第6混在比として推定する第5信号比推定部(信号比推定部902)と、
前記第5混在比と前記第6混在比を、前記第2適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して前記第4混在比を生成する第3混合部(混合部905)と、
を備えた付記6に記載の信号処理装置。
(付記8)
前記第1混合部(混合部305)は、
前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を0%に設定し、
前記第3混合部(混合部905)は、
前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第4混在比における前記第6混在比の含有割合を100%に設定し、前記第2適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第4混在比における前記第6混在比の含有割合を0%に設定する
付記7または8に記載の信号処理装置。
(付記9)
前記推定部(推定部806)は、
前記第4信号の遅延推定値と前記第2信号の推定値を、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して第1混合信号を生成する第2混合部(混合部506)と、
前記第1混合信号と前記第1信号の推定値を用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を前記第1混在比として推定する第3信号比推定部(信号比推定部503)と、
前記第1信号の遅延推定値と前記第3信号の推定値を、前記第2適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して第2混合信号を生成する第4混合部(混合部1106)と、
前記第2混合信号と前記第4信号の推定値を用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を前記第4混在比として推定する第6信号比推定部(信号比推定部1103)と、
を備えた付記6に記載の信号処理装置。
(付記10)
前記第2混合部(混合部506)は、
前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混合信号における前記第4信号の遅延推定値の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第1混合信号における前記第4信号の補正推定値の含有割合を0%に設定し、
前記第4混合部(混合部1106)は、
前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第2混合信号における前記第1信号の遅延推定値の含有割合を100%に設定し、前記第2適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第2混合信号における前記第1信号の補正推定値の含有割合を0%に設定する
付記9に記載の信号処理装置。
(付記11)
前記係数の時間変化は、
前記係数の2乗総和または絶対値総和の時間変化である
付記3または5または8または10に記載の信号処理装置。
(付記12)
前記係数の時間変化は、
前記係数の2乗部分和または絶対値部分和の時間変化である
付記3または5または8または10に記載の信号処理装置。
(付記13)
第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
前記第2混在信号を第1適応フィルタ(適応フィルタ103、203)で処理して前記第2信号の推定値を生成し、
前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成し、
前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御する
信号処理方法。
(付記14)
前記第1信号の推定値を第2適応フィルタ(適応フィルタ803)で処理して前記第3信号の推定値を生成し、
前記第2混在信号から前記第3信号の推定値を減算して前記第4信号の推定値を生成し、
前記第2適応フィルタの係数を用いて前記第1信号の推定値を遅延させて第1信号の遅延推定値を生成し、
前記第1適応フィルタは前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を処理し、
前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を遅延させて第4信号の遅延推定値を生成し、
前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値と前記第2適応フィルタの係数とをさらに用いて、
前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比としてさらに推定し、
前記第4混在比を用いて前記第3信号の推定値の生成を制御する
付記13に記載の信号処理方法。
(付記15)
コンピュータに、
第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力するステップと
前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力するステップと、
前記第2混在信号を第1適応フィルタ(適応フィルタ103、203)で処理して前記第2信号の推定値を生成するステップと、
前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成するステップと、
前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定するステップと、
前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御するステップと
を実行させる信号処理プログラム。
(付記16)
コンピュータに、
前記第1信号の推定値を第2適応フィルタ(適応フィルタ803)で処理して前記第3信号の推定値を生成するステップと、
前記第2混在信号から前記第3信号の推定値を減算して前記第4信号の推定値を生成するステップと、
前記第2適応フィルタの係数を用いて前記第1信号の推定値を遅延させて第1信号の遅延推定値を生成するステップと、
前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を前記第1適応フィルタで処理するステップと、
前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値と前記第2適応フィルタの係数とをさらに用いて、
前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比としてさらに推定するステップと、
前記第4混在比を用いて前記第3信号の推定値の生成を制御するステップと
を実行させる付記16に記載の信号処理プログラム。
(付記17)
第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
前記第2混在信号を第1適応フィルタ(適応フィルタ103、203)で処理して前記第2信号の推定値を生成し、
前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成し、
前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御する
信号処理方法。
100 信号処理装置
101 第1入力部
102 第2入力部
103、203 適応フィルタ(第1適応フィルタの一例に相当)
104、204 減算部(第1減算部の一例に相当)
106、206、806 推定部
107 係数更新制御部
141 係数
200、800 雑音消去装置(信号処理装置の一例に相当)
201 入力端子(第1入力部の一例に相当)
202 入力端子(第2入力部の一例に相当)
205、805 出力端子
301 信号比推定部(第1信号比推定部の一例に相当)
302 信号比推定部(第2信号比推定部の一例に相当)
305 混合部(第1混合部の一例に相当)
310 補正部(第1補正部の一例に相当)
506 混合部(第2混合部の一例に相当)
503 信号比推定部(第3信号比推定部の一例に相当)
710 補正部(第2補正部の一例に相当)
803 適応フィルタ(第2適応フィルタの一例に相当)
804 減算部(第2減算部の一例に相当)
901 信号比推定部(第4信号比推定部の一例に相当)
902 信号比推定部(第5信号比推定部の一例に相当)
905 混合部(第3混合部の一例に相当)
1106 混合部(第4混合部の一例に相当)
1103 信号比推定部(第6信号比推定部の一例に相当)
A 信号源
B 信号源
xP(k) 第1混在信号
xR(k) 第2混在信号
xRD(k) 遅延第2混在信号
e1(k) 第1信号の推定値、音声信号の推定値
e2(k) 雑音の推定値(第4信号の推定値の一例に相当)
e1D(k) 第1信号の遅延推定値、音声信号の遅延推定値
e2D(k) 雑音の遅延推定値(第4信号の遅延推定値の一例に相当)
n1(k) 第2信号の推定値、擬似雑音(第2信号の推定値の一例に相当)
n2(k) 擬似クロストーク(第3信号の推定値の一例に相当)
n3(k) 混合信号(第1混合信号の一例に相当)
n4(k) 混合信号(第2混合信号の一例に相当)
R1(k) 第1混在比
R2(k) 第2混在比
R3(k) 第3混在比
R4(k) 第4混在比
R5(k) 第5混在比
R6(k) 第6混在比

Claims (17)

  1. 第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力する第1入力手段と、
    前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力する第2入力手段と、
    前記第2混在信号をフィルタ処理して前記第2信号の推定値を生成する第1適応フィルタと、
    前記第1混在信号と前記第2信号の推定値とから前記第1信号の推定値を生成する第1減算部と、
    前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成する第1遅延部と、
    前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定する推定部と、
    を備え、
    前記第1混在比を用いて前記第1適応フィルタを制御する
    信号処理装置。
  2. 前記推定部は、
    前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部と、
    前記第1信号の推定値と前記遅延第2混在信号とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部と、
    前記第2混在比と前記第3混在比を、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して前記第1混在比を生成する第1混合部と、
    を備えた請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記第1混合部は、
    前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき、前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を0%に設定する
    請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 前記推定部は、
    前記遅延第2混在信号と前記第2信号の推定値とを、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して第1混合信号を生成する第2混合部と、
    前記第1混合信号と前記第1信号の推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を前記第1混在比として推定する第3信号比推定部と、
    を備えた請求項1に記載の信号処理装置。
  5. 前記第2混合部は、
    前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混合信号における前記遅延第2混在信号の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき、前記第1混合信号における前記遅延第2混在信号の含有割合を0%に設定する
    請求項4に記載の信号処理装置。
  6. 前記第1信号の推定値をフィルタ処理して前記第3信号の推定値を生成する第2適応フィルタと、
    前記第2混在信号から前記第3信号の推定値を減算して前記第4信号の推定値を生成する第2減算部と、
    前記第2適応フィルタの係数を用いて前記第1信号の推定値を遅延させて第1信号の遅延推定値を生成する第2遅延部と、をさらに備え、
    前記第1適応フィルタは、
    前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を入力とし、
    前記第1遅延部は、前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を遅延させて第4信号の遅延推定値を生成し、
    前記推定部は、
    前記遅延第2混在信号に代えて前記第4信号の遅延推定値を入力とし、
    前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値と前記第2適応フィルタの係数とをさらに用いて、前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比としてさらに推定し、
    前記第4混在比を用いて前記第2適応フィルタを制御する
    請求項1に記載の信号処理装置。
  7. 前記推定部は、
    前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第2混在比として推定する第1信号比推定部と、
    前記第1信号の推定値と前記第4信号の遅延推定値とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第3混在比として推定する第2信号比推定部と、
    前記第2混在比と前記第3混在比を、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して前記第1混在比を生成する第1混合部と、
    前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第5混在比として推定する第4信号比推定部と、
    前記第4信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値とを用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第6混在比として推定する第5信号比推定部と、
    前記第5混在比と前記第6混在比を、前記第2適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して前記第4混在比を生成する第3混合部と、
    を備えた請求項6に記載の信号処理装置。
  8. 前記第1混合部は、
    前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第1混在比における前記第3混在比の含有割合を0%に設定し、
    前記第3混合部は、
    前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第4混在比における前記第6混在比の含有割合を100%に設定し、前記第2適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第4混在比における前記第6混在比の含有割合を0%に設定する
    請求項7に記載の信号処理装置。
  9. 前記推定部は、
    前記第4信号の遅延推定値と前記第2信号の推定値を、前記第1適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して第1混合信号を生成する第2混合部と、
    前記第1混合信号と前記第1信号の推定値を用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を前記第1混在比として推定する第3信号比推定部と、
    前記第1信号の遅延推定値と前記第3信号の推定値を、前記第2適応フィルタの係数の時間変化に基づいて混合して第2混合信号を生成する第4混合部と、
    前記第2混合信号と前記第4信号の推定値を用いて前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を前記第4混在比として推定する第6信号比推定部と、
    を備えた請求項6に記載の信号処理装置。
  10. 前記第2混合部は、
    前記第1適応フィルタの係数更新開始時に前記第1混合信号における前記第4信号の遅延推定値の含有割合を100%に設定し、前記第1適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第1混合信号における前記第4信号の補正推定値の含有割合を0%に設定し、
    前記第4混合部は、
    前記第2適応フィルタの係数更新開始時に前記第2混合信号における前記第1信号の遅延推定値の含有割合を100%に設定し、前記第2適応フィルタの係数の時間変化が十分に小さくなったとき前記第2混合信号における前記第1信号の補正推定値の含有割合を0%に設定する
    請求項9に記載の信号処理装置。
  11. 前記係数の時間変化は、
    前記係数の2乗総和または絶対値総和の時間変化である
    請求項3または5または8または10に記載の信号処理装置。
  12. 前記係数の時間変化は、
    前記係数の2乗部分和または絶対値部分和の時間変化である
    請求項3または5または8または10に記載の信号処理装置。
  13. 第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
    前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
    前記第2混在信号を第1適応フィルタで処理して前記第2信号の推定値を生成し、
    前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成し、
    前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
    前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
    前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御する
    信号処理方法。
  14. 前記第1信号の推定値を第2適応フィルタで処理して前記第3信号の推定値を生成し、
    前記第2混在信号から前記第3信号の推定値を減算して前記第4信号の推定値を生成し、
    前記第2適応フィルタの係数を用いて前記第1信号の推定値を遅延させて第1信号の遅延推定値を生成し、
    前記第1適応フィルタは前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を処理し、
    前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を遅延させて第4信号の遅延推定値を生成し、
    前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値と前記第2適応フィルタの係数とをさらに用いて、
    前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比としてさらに推定し、
    前記第4混在比を用いて前記第3信号の推定値の生成を制御する
    請求項13に記載の信号処理方法。
  15. コンピュータに、
    第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力するステップと
    前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力するステップと、
    前記第2混在信号を第1適応フィルタで処理して前記第2信号の推定値を生成するステップと、
    前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成するステップと、
    前記第1適応フィルタの係数を用いて前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
    前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定するステップと、
    前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御するステップと
    を実行させる信号処理プログラム。
  16. コンピュータに、
    前記第1信号の推定値を第2適応フィルタで処理して前記第3信号の推定値を生成するステップと、
    前記第2混在信号から前記第3信号の推定値を減算して前記第4信号の推定値を生成するステップと、
    前記第2適応フィルタの係数を用いて前記第1信号の推定値を遅延させて第1信号の遅延推定値を生成するステップと、
    前記第2混在信号に代えて前記第4信号の推定値を前記第1適応フィルタで処理するステップと、
    前記第4信号の推定値と前記第3信号の推定値と前記第1信号の遅延推定値と前記第2適応フィルタの係数とをさらに用いて、
    前記第4信号と前記第3信号の振幅または電力の比を第4混在比としてさらに推定するステップと、
    前記第4混在比を用いて前記第3信号の推定値の生成を制御するステップと
    を実行させる請求項15に記載の信号処理プログラム。
  17. 第1信号と第2信号が混在した第1混在信号を入力し、
    前記第1信号と相関のある第3信号と前記第2信号と相関のある第4信号とが混在した第2混在信号を入力し、
    前記第2混在信号を第1適応フィルタで処理して前記第2信号の推定値を生成し、
    前記第1混在信号と前記第2信号の推定値から前記第1信号の推定値を生成し、
    前記第2混在信号を遅延させて遅延第2混在信号を生成し、
    前記第1信号の推定値と前記第2信号の推定値と前記遅延第2混在信号と前記第1適応フィルタの係数とを用いて前記第1信号と前記第2信号の振幅または電力の比を第1混在比として推定し、
    前記第1混在比を用いて前記第2信号の推定値の生成を制御する
    信号処理方法。
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