WO2019022043A1

WO2019022043A1 - 首振り式剃刀

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Publication number: WO2019022043A1
Application number: PCT/JP2018/027611
Authority: WO
Inventors: 健吾橋本
Original assignee: 株式会社貝印刃物開発センター
Priority date: 2017-07-24
Filing date: 2018-07-24
Publication date: 2019-01-31
Also published as: CN110944812A; JP2019022601A; EP3659761A4; US11247358B2; EP3659761A1; JP6755836B2; EP3659761B1; US20200164536A1; CN110944812B

Abstract

首振り式剃刀は、頭部（２４）を有するホルダ（１）と、ホルダ（１）に取り付けられた剃刀ヘッド（２）とを備える。剃刀ヘッド（２）は、刃組付体（４）と、弾性支持体（５）と、ホルダ（１）の頭部（２４）に連続する接続部（６）とを備える。弾性支持体（５）は、刃組付体（４）を支持する支持部（７）と、支持部（７）及び接続部（６）の間に位置する可撓部（８）とを備える。刃組付体（４）が弾性支持体（５）の可撓部（８）により付勢されて静止する位置は中立位置（Ｐ）である。刃組付体（４）は、中立位置（Ｐ）から可撓部（８）の付勢力に抗して移動した少なくとも一つの移動位置（Ｑ）に移動可能である。

Description

首振り式剃刀

　本発明は、刃体を組み付けた剃刀ヘッドがホルダの頭部に対し弾性力に抗して移動し得る首振り式剃刀に関するものである。

　特許文献１には、従来の安全剃刀が開示されている。特許文献１の安全剃刀は、柄と、刃体を有する替刃ユニットと、柄及び替刃ユニットの間に位置するジョイントとを備えている。柄は、ジョイントを枢動可能に支持する枢動軸と、ジョイントをジョイントの中立位置へ向けて付勢する弾性部材とを備えている。ジョイントは、替刃ユニットを支持するための一対のジャーナル軸を備えている。替刃ユニットは、ジョイントの一対のジャーナル軸に対応して設けられた一対のジャーナル軸受と、替刃ユニットを替刃ユニットの中立位置へ向けて付勢する弾性片とを備えている。ジョイントの一対のジャーナル軸が替刃ユニットの一対のジャーナル軸受に受容されることで、替刃ユニットは両ジャーナル軸の周りに揺動可能にジョイントに支持されている。より詳しくは、替刃ユニットは、替刃ユニットの中立位置を基準として、両ジャーナル軸の周りを、弾性片による弾性力に抗して、揺動する。さらに、替刃ユニットを支持するジョイントは、ジョイントの中立位置を基準として、枢動軸の周りを、弾性部材による弾性力に抗して、替刃ユニットとともに揺動する。

特開平４－２２３８８号公報

　特許文献１の安全剃刀では、ジャーナル軸を中心とする揺動方向及び枢動軸を中心とする揺動方向のそれぞれに対して揺動支持構造を必要とするため、剃刀の構造が複雑になっていた。

　この発明は、頭部を有するホルダと、刃体を有する剃刀ヘッドとを備える首振り式剃刀において、剃刀ヘッドをホルダの頭部に対する中立位置から弾性力に抗して移動させ得るように剃刀ヘッドをホルダの頭部に支持するための支持構造を簡単にすることを目的としている。

　本発明の一態様における首振り式剃刀は、頭部を有するホルダと、前記ホルダに取り付けられた剃刀ヘッドとを備え、前記剃刀ヘッドは、刃体を有する刃組付体と、弾性支持体と、前記ホルダの前記頭部に連続する接続部とを備え、前記刃組付体は、前記刃体の刃先が露出する表側と、当該表側とは反対側の裏側とを有し、前記弾性支持体は前記裏側に位置し、前記弾性支持体は、前記刃組付体を支持する支持部と、前記支持部及び前記接続部の間に位置する可撓部とを備え、前記刃組付体が前記弾性支持体の前記可撓部により付勢されて静止する位置は中立位置であり、前記刃組付体は、前記中立位置から前記可撓部の付勢力に抗して移動した少なくとも一つの移動位置に移動可能である。

　この構成によれば、ホルダに取り付けた剃刀ヘッドにおいて、刃組付体が可撓部により支持されるため、刃組付体を可撓部の付勢力に抗して中立位置に対し移動可能に支持する支持構造を簡単にすることができる。また、刃組付体の裏側に可撓部を設けたため、刃体に比較的近い位置に可撓部を配置し易くなる。よって、首振り式剃刀の使用時に肌面で刃組付体を滑らかに操作して肌面に対する感触を良くすることができる。

　上記首振り式剃刀において、前記接続部及び前記刃組付体の各々は、前記接続部に対し前記刃組付体を支持する支点部を有していることが好ましい。
　この構成によれば、首振り式剃刀の使用時に刃組付体を可撓部の付勢力に抗して移動させる際に、刃組付体が支点部で支えられるため、刃組付体の動きを安定させることができる。例えば、それらの支点部が刃組付体の中立位置及び移動位置でそれぞれ互いに当接する場合、中立位置及び移動位置の両位置において刃組付体が支点部同士の当接により支持されるため、接続部に対する刃組付体の移動を中立位置及び移動位置の間で安定させることができる。

　上記首振り式剃刀において、前記支持部は前記刃組付体を支持する二つの支持部のうちの一つであり、前記可撓部は二つの可撓部のうちの一つであり、前記二つの可撓部のうちの一方は前記二つの支持部のうちの一方と前記接続部との間に位置し、前記二つの可撓部のうちの他方は、前記二つの支持部のうちの他方と前記接続部との間に位置することが好ましい。

　この構成によれば、各支持部と接続部との間で可撓部を安定した状態で設けることができる。
　上記首振り式剃刀において、前記刃先の延在方向は左右方向と一致し、前記二つの可撓部は前記接続部に対して前記左右方向の両側に配置されていることが好ましい。

　この構成によれば、前後方向における剃刀ヘッドの寸法を低減できるため、剃刀ヘッドをコンパクトにすることができる。
　上記首振り式剃刀において、前記刃先の延在方向は左右方向と一致し、前記接続部の前記支点部と前記刃組付体の前記支点部とは、前記左右方向に対し直交する上下方向において前記刃先の下方に配置されていることが好ましい。

　この構成によれば、支点部の上方で刃組付体及び刃体に付与される力により、刃組付体を容易に移動させることができる。
　上記首振り式剃刀において、前記接続部は、前記刃組付体の前記裏側に位置するとともに当該刃組付体に向けて突出して自由端部を有する突片部を有し、前記接続部の前記支点部は前記自由端部に形成されていることが好ましい。

　この構成によれば、支点部を容易に形成することができる。
　上記首振り式剃刀において、前記刃組付体は、前記中立位置と前記移動位置との間で弧状の軌跡を描くように弧に沿った移動方向に移動することが好ましい。

　この構成によれば、支点部の周りに刃組付体を容易に移動させることができる。
　上記首振り式剃刀において、前記接続部の前記支点部は、前記移動方向に沿う弧形状を有していることが好ましい。

　この構成によれば、刃組付体の支点部に対する接続部の支点部の当接位置が刃組付体の移動に伴い変化するため、支点部同士の接触抵抗が低減される。よって、首振り式剃刀の使用時に刃組付体が滑らかに移動するため、肌面に対する感触を良くすることができる。

　上記首振り式剃刀において、各可撓部は、前記接続部に隣接する内端部と、前記二つの支持部のうちその可撓部に隣接する一方の支持部に隣接する外端部とを備え、両可撓部の両外端部の間の空間は想定空域を構成し、前記接続部の前記支点部と前記刃組付体の前記支点部とは、前記想定空域の内側に配置されていることが好ましい。

　この構成によれば、両可撓部の両外端部の間の想定空域の内側に支点部が配置されているため、刃組付体を可撓部の付勢力に抗して移動させる際の可撓部の動きが安定する。よって、刃組付体を滑らかに移動させることができる。

　上記首振り式剃刀において、前記刃組付体は複数の移動方向に移動可能であり、少なくとも一つの前記移動位置は複数の移動位置であり、前記刃組付体は、前記中立位置と各移動位置との間で複数の前記移動方向のうちの少なくとも一つの移動方向に移動することが好ましい。

　この構成によれば、刃組付体が複数の移動方向に移動するため、首振り式剃刀の剃り味を高めることができる。例えば、接続部の支点部と刃組付体の支点部とが、刃組付体の各移動位置で互いに当接すれば、各移動位置において、刃組付体が、支点部同士の当接により支持されるため、接続部に対する刃組付体の移動を各移動位置で安定させることができる。

　上記首振り式剃刀において、前記刃先の延在方向は左右方向と一致し、前記左右方向に直交する方向は前後方向であり、前記左右方向及び前記前後方向の両方向に直交する方向は上下方向であり、前記前後方向及び前記上下方向は鉛直面を規定し、前記左右方向及び前後方向は水平面を規定し、複数の前記移動位置は第１の移動位置及び第２の移動位置を含み、前記刃組付体は、前記中立位置と前記第１の移動位置との間では、前記鉛直面上で弧状の軌跡を描くように弧に沿った移動方向に移動し、前記刃組付体は、前記中立位置と前記第２の移動位置との間では、前記水平面上で弧状の軌跡を描くように弧に沿った移動方向に移動することが好ましい。

　この構成によれば、刃組付体が鉛直面上の移動方向と水平面上の移動方向とで弧状の軌跡を描くように移動するため、首振り式剃刀の剃り味を高めることができる。
　上記首振り式剃刀において、各可撓部は、前記接続部に隣接する内端部と、前記二つの支持部のうちその可撓部に隣接する一方の支持部に隣接する外端部と、前記内端部及び前記外端部の間に位置する傾斜部とを備え、両可撓部の両外端部の間の空間は想定空域を構成し、各可撓部の前記傾斜部は、その可撓部の前記内端部からその可撓部の前記外端部に向かうに従い前記想定空域に接近するように傾斜していることが好ましい。

　この構成によれば、各可撓部における内端部と外端部との間の長さを傾斜部により長くして可撓部を撓み易くすることができる。
　上記首振り式剃刀において、両可撓部同士の間隔は前記内端部から前記外端部に向かうに従い次第に大きくなっていることが好ましい。

　この構成によれば、両可撓部に傾斜部を容易に形成することができる。
　上記首振り式剃刀において、前記弾性支持体の各支持部は、前記二つの可撓部のうちその支持部に隣接する一方の可撓部と一体成形された連続部を有し、前記接続部は、両可撓部と一体成形された連続部を有していることが好ましい。

　この構成によれば、連続部を介して弾性支持体の両支持部及び剃刀ヘッドの接続部に両可撓部を容易に取り付けることができる。
　上記首振り式剃刀において、前記剃刀ヘッドの前記接続部と前記ホルダの前記頭部との各々は、前記頭部に対し前記接続部を着脱可能に連結する連結部を有していることが好ましい。

　この構成によれば、連結部を介してホルダに対して剃刀ヘッドを着脱させることができる。

　本発明によれば、首振り式剃刀において、剃刀ヘッドをホルダの頭部に対する中立位置から弾性力に抗して移動させ得るように剃刀ヘッドをホルダの頭部に支持するための支持構造を簡単にすることができる。

（ａ）はホルダに取り付けた剃刀ヘッドにキャップを被せた首振り式剃刀の全体を示す側面図であり、（ｂ）は図１（ａ）の首振り式剃刀の正面図であり、（ｃ）は図１（ａ）の首振り式剃刀の背面図である。（ａ）は図１（ａ）の部分拡大側面図であり、（ｂ）は図１（ｂ）の部分拡大正面図であり、（ｃ）は図１（ｃ）の部分拡大背面図である。（ａ）はキャップを取り外した状態の剃刀ヘッドを示す部分拡大側面図であり、（ｂ）はキャップを取り外した状態の剃刀ヘッドを示す部分拡大正面図であり、（ｃ）はキャップを取り外した状態の剃刀ヘッドを示す部分拡大背面図である。（ａ）は剃刀ヘッド及びホルダの頭部を示す部分拡大側断面図であり、（ｂ）はホルダの頭部から取り外された剃刀ヘッドを示す部分拡大背面図であり、（ｃ）はホルダの頭部から取り外された剃刀ヘッドを示す部分拡大平面図である。（ａ）はホルダの頭部から取り外された剃刀ヘッドにおいて刃組付体と弾性支持体及び接続部とを互いに組み付けた状態を示す背面斜視図であり、（ｂ）は組付け前の刃組付体を示す背面斜視図であり、（ｃ）は組付け前の弾性支持体及び接続部を示す背面斜視図である。（ａ）は刃体を有する中間部から上部及び下部を分離した刃組付体を示す正面斜視図であり、（ｂ）は刃体を有する中間部に上部及び下部を組み付けた刃組付体を示す正面斜視図である。（ａ）は刃体を有する中間部から上部及び下部を分離した刃組付体を示す背面斜視図であり、（ｂ）は刃体を有する中間部に上部及び下部を組み付けた刃組付体を示す背面斜視図である。（ａ）は刃組付体が中立位置にある剃刀ヘッドを側面から見た部分拡大断面図であり、（ｂ）（ｃ）はそれぞれ刃組付体が移動位置にある剃刀ヘッドの部分拡大側断面図である。（ａ）は刃組付体が中立位置にある剃刀ヘッドを示す部分拡大平断面図であり、（ｂ）（ｃ）はそれぞれ刃組付体が移動位置にある剃刀ヘッドを示す部分拡大平断面図である。

　以下、本発明の一実施形態にかかる首振り式剃刀について図面を参照して説明する。
　図１（ａ）～図１（ｃ）に示す首振り式剃刀は、ホルダ１、剃刀ヘッド２、及びキャップ３を備えている。剃刀ヘッド２は刃組付体４、弾性支持体５、及び接続部６を備えている。弾性支持体５は支持部７及び可撓部８を備えている。

　図３（ａ）～図３（ｃ）、図６（ａ）（ｂ）、及び図７（ａ）（ｂ）に示すように、剃刀ヘッド２の刃組付体４は、中間部９ａ、上部９ｂ、及び下部９ｃにより構成された枠部９を備えている。上部９ｂ及び下部９ｃは中間部９ａに対し離脱不能に取り付けられている。中間部９ａには各々が刃先１０ａを有する複数の刃体１０が組み付けられている。複数の刃体１０は上下方向Ｚへ並べられている。各刃体１０の刃先１０ａは、中間部９ａの表側に露出しており、かつ左右方向Ｙへ延在している。図５（ｂ）に示すように、枠部９内において、中間部９ａの裏側には凹凸状の載置台部１１が設けられている。載置台部１１の下方には板状の規制部１２が設けられている。規制部１２は刃組付体４における左右方向Ｙの中央部に位置している。規制部１２は中間部９ａの後面から後向きＸＢへ突出している。規制部１２と載置台部１１との間には左右方向Ｙへ延在する支点溝部１３（支点部）が設けられている。枠部９の上部９ｂ及び下部９ｃの表面にはシェービングエイドが取着されている。さらに、下部９ｃの表面には髭を起こすことができるように軟質樹脂製のフィン９ｄが設けられている。

　図５（ｃ）に示すように、剃刀ヘッド２の弾性支持体５の支持部７は、上部１４ａ、左部１４ｂ（支持部）、及び右部１４ｃ（支持部）により略Ｕ字形状に形成された載置部１４を備えている。剃刀ヘッド２の接続部６は、左部１４ｂ及び右部１４ｃの間に配置されている。接続部６と左部１４ｂとの間及び接続部６と右部１４ｃとの間には断面矩形の板状をなす可撓部８がそれぞれ配置されている。左部１４ｂ及び右部１４ｃの各々には、可撓部８と一体成形された連続部１５（支持部）が設けられている。支持部７の載置部１４は刃組付体４の載置台部１１に対し離脱不能に取り付けられている。図４（ｂ）に示すように、左右両可撓部８の各々は、接続部６に隣接する内端部８ａと、内端部８ａとは反対側の外端部８ｂとを有している。詳しくは、左側の可撓部８の外端部８ｂは支持部７の左部１４ｂに隣接している。右側の可撓部８の外端部８ｂは支持部７の右部１４ｃに隣接している。図９（ａ）～図９（ｃ）に示すように、左右両可撓部８の両外端部８ｂの間の空間は想定空域Ｓを構成している。詳しくは、想定空域Ｓは、左右両可撓部８の外端部８ｂ同士を結ぶ想定線Ｌ上の空間、または、その想定線Ｌの外周を囲う筒状空域である。換言すれば、想定空域Ｓは、矩形状などの所定断面形状を有する外端部８ｂの外周縁の延長線を含む筒状空域である。各可撓部８は、その可撓部８の内端部８ａから外端部８ｂに向かうに従い想定空域Ｓに接近するように傾斜する傾斜部１６を有している。左右両可撓部８の傾斜部１６同士の間隔は内端部８ａから外端部８ｂに向かうに従い次第に大きくなっている。傾斜部１６は前後方向Ｘ及び上下方向Ｚで見て共に想定空域Ｓに対し傾斜している。

　図５（ａ）及び図５（ｃ）に示すように、剃刀ヘッド２の接続部６は、主体部１８と、板状の舌片部１９（突片部）と、連結筒部２０（連結部）とを備えている。主体部１８は、左右両可撓部８と一体成形された連続部１７を有している。図４（ａ）に示すように、主体部１８は、刃組付体４の規制部１２の上方に位置し、かつ当該規制部１２に面している。舌片部１９は、主体部１８から前向きＸＦに延在している。すなわち、舌片部１９（突片部）は刃組付体４の裏側に位置し、かつ刃組付体４に向けて突出している。連結筒部２０は、主体部１８から後向きＸＢに延在している。刃体１０の刃先１０ａの延在方向に沿う左右方向Ｙにおける舌片部１９の寸法は、舌片部１９の幅寸法に対応する。左右方向Ｙに対し直交する前後方向Ｘにおける舌片部１９の寸法は、舌片部１９の長さ寸法に対応する。左右方向Ｙ及び前後方向Ｘの両方向に直交する上下方向Ｚにおける舌片部１９の寸法は、舌片部１９の厚さ寸法に対応する。このとき、舌片部１９の厚さ寸法は舌片部１９の幅寸法及び長さ寸法よりも小さく設定されている。また、舌片部１９の幅寸法は、舌片部１９の長さ寸法より小さく設定されている。舌片部１９の自由端部には、左右方向Ｙに延在し、かつ刃組付体４の支点溝部１３に当接する支点縁部２１（支点部）が設けられている。支点縁部２１の上面と下面との間の寸法は、支点縁部２１の厚さ寸法に対応する。支点縁部２１の上面は、支点縁部２１の厚さ寸法が自由端部に向かうに従い小さくなるように傾斜している。刃組付体４の支点溝部１３と舌片部１９の支点縁部２１とは刃体１０の刃先１０ａよりも下側かつ想定空域Ｓの内側に配置されている。支点縁部２１及び支点溝部１３が互いに当接することにより、刃組付体４が弾性支持体５の支持部７に支持されている。

　刃体１０の刃先１０ａの延在方向は左右方向Ｙに一致する。前後方向Ｘは左右方向Ｙに直交する。上下方向Ｚは左右方向Ｙ及び前後方向Ｘの両方向に直交する。刃組付体４は、図８（ａ）～図８（ｃ）に示すように、可撓部８の変形に伴い、前後方向Ｘ及び上下方向Ｚにより規定される鉛直面Ｖ上で中立位置Ｐから前後方向Ｘへ弧状の軌跡を描くように移動し得る。すなわち、このときの刃組付体４の移動方向を移動方向ＸＶと称すると、刃組付体４は、鉛直面Ｖ上で、弧状の軌跡を描くように、弧に沿った移動方向ＸＶに移動し得る。そして、刃組付体４は、図８（ａ）～図８（ｃ）に示すように、可撓部８の変形に伴い移動方向ＸＶに移動することで、移動位置Ｑに配置され得る。また、刃組付体４は、図９（ａ）～図９（ｃ）に示すように、可撓部８の変形に伴い、左右方向Ｙ及び前後方向Ｘにより規定される水平面Ｈ上で中立位置Ｐから前後方向Ｘへ弧状の軌跡を描くように移動し得る。すなわち、このときの刃組付体４の移動方向を移動方向ＸＨと称すると、刃組付体４は、水平面Ｈ上で、弧状の軌跡を描くように、弧に沿った移動方向ＸＨに移動し得る。そして、刃組付体４は、図９（ａ）～図９（ｃ）に示すように、可撓部８の変形に伴い移動方向ＸＨに移動することで、移動位置Ｑに配置され得る。刃組付体４の支点溝部１３及び舌片部１９の支点縁部２１は、移動方向ＸＶに沿う弧形状に形成されている。舌片部１９の支点縁部２１は、移動方向ＸＨに沿う弧形状に形成されている。

　剃刀ヘッド２においては、弾性支持体５の支持部７と接続部６とを連続部１５，１７を除いて一つの型内で同時に成形する。その後、連続部１５，１７とともに可撓部８を成形して、支持部７と接続部６とを連続部１５，１７で互いに繋いで一体的に形成する。

　図１（ａ）～図１（ｃ）に示すように、ホルダ１は、上下方向Ｚに長い主体部２２と、主体部２２の外周に設けられた把持部２３と、主体部２２の上端部に設けられた頭部２４とを備えている。頭部２４には当該頭部２４を前後方向Ｘへ貫通する連結孔部２５（連結部）が設けられている。接続部６の連結筒部２０には後向きＸＢに延在する弾性係脱部２６が設けられている（図４（ｃ）参照）。弾性係脱部２６による係合を介して連結筒部２０が連結孔部２５に着脱可能に挿着されている。その挿着状態では、頭部２４と接続部６とが互いに一体的に連続する。弾性係脱部２６による係合を解除して連結筒部２０を連結孔部２５から引き抜くと、頭部２４及び接続部６が互いに分離される。

　図１（ａ）～図２（ｃ）に示すように、キャップ３は、剃刀ヘッド２の刃組付体４に上下方向Ｚの上側から着脱可能に被せられている。図４（ａ）に示すように、キャップ３は刃組付体４の裏側に面する裏板部２７を有している。剃刀ヘッド２の接続部６の主体部１８上にはストッパ段部２８（ストッパ部）が形成されている。裏板部２７の下端部にはストッパ縁部２９（ストッパ部）が形成されている。そして、キャップ３のストッパ縁部２９が剃刀ヘッド２のストッパ段部２８に係入されている。なお、剃刀ヘッド２の刃組付体４に上下方向Ｚの下側から着脱可能に被せられるようにキャップを構成してもよい。

　ちなみに、刃組付体４の主要部と、弾性支持体５の支持部７の載置部１４と、接続部６と、ホルダ１の主体部２２と、キャップ３とは、ＡＢＳ樹脂やポリプロピレン樹脂などの硬質樹脂により成形されている。また、弾性支持体５の支持部７の連続部１５と、弾性支持体５の可撓部８と、接続部６の連続部１７と、ホルダ１の把持部２３とは、ポリエステル系エラストマー樹脂やスチレン系エラストマー樹脂などの軟質樹脂により成形されている。可撓部８を形成するためのエラストマー樹脂としては、ショアＡ４０～ショアＤ７０の範囲の硬度を有する材料が採用される。例えば、可撓部８を形成するためのエラストマー樹脂としては、ショアＡ９０の硬度を有する材料が採用される。

　次に、首振り式剃刀の使用態様について述べる。
　図８（ａ）及び図９（ａ）に示すように、首振り式剃刀の中立位置Ｐにおいては、刃組付体４の支点溝部１３と舌片部１９の支点縁部２１とが互いに当接した状態で左右両可撓部８が静止している。中立位置Ｐにおいては、剃刀ヘッド２が上下方向Ｚ及び左右方向Ｙに沿うように延びて静止している。図８（ａ）に示すように、剃刀ヘッド２の刃組付体４の規制部１２と剃刀ヘッド２の接続部６の主体部１８及び舌片部１９との間には若干の隙間Ｇが形成されている。

　中立位置Ｐに配置された刃組付体４の上部が後向きＸＢに押されると、図８（ｂ）に示すように、支点溝部１３と支点縁部２１とが当接部ＣＶで互いに当接しながら、左右両可撓部８が変形する。その結果、刃組付体４の上部が弾性支持体５の支持部７とともに後向きＸＢに当接部ＣＶの周りに鉛直面Ｖに沿って回動する。この回動により刃組付体４が弾性支持体５の支持部７とともに傾き、刃組付体４が移動位置Ｑ（第１の移動位置）で停止する。刃組付体４の規制部１２は接続部６の主体部１８及び舌片部１９から下方へ離間して隙間Ｇが広げられる。刃組付体４は弾性支持体５の支持部７が接続部６に当接するまで回動し得る。

　中立位置Ｐに配置された刃組付体４の下部が後向きＸＢに押されると、図８（ｃ）に示すように、支点溝部１３と支点縁部２１とが当接部ＣＶで互いに当接しながら、左右両可撓部８が変形する。その結果、刃組付体４の下部が弾性支持体５の支持部７とともに後向きＸＢに当接部ＣＶの周りに鉛直面Ｖに沿って回動する。この回動により刃組付体４が弾性支持体５の支持部７とともに傾き、刃組付体４が移動位置Ｑ（第１の移動位置）で停止する。刃組付体４は規制部１２が接続部６に当接するまで隙間Ｇの範囲で回動し得る。すなわち、移動方向ＸＶは、当接部ＣＶを中心とする弧に沿う方向に対応する。

　中立位置Ｐに配置された刃組付体４の左部が後向きＸＢに押されると、図９（ｂ）に示すように、支点溝部１３と支点縁部２１とが互いに当接しながら、左右両可撓部８が変形する。その結果、刃組付体４の左部が弾性支持体５の支持部７とともに後向きＸＢに支点縁部２１の後方の仮想位置ＣＨの周りに水平面Ｈに沿って回動する。この回動により刃組付体４が弾性支持体５の支持部７とともに傾き、刃組付体４が移動位置Ｑ（第２の移動位置）で停止する。刃組付体４は接続部６に当接するまで回動し得る。

　中立位置Ｐに配置された刃組付体４の右部が後向きＸＢに押されると、図９（ｃ）に示すように、支点溝部１３と支点縁部２１とが互いに当接しながら、左右両可撓部８が変形する。その結果、刃組付体４の右部が弾性支持体５の支持部７とともに後向きＸＢに仮想位置ＣＨの周りに水平面Ｈに沿って回動する。この回動により刃組付体４が弾性支持体５の支持部７とともに傾き、刃組付体４が移動位置Ｑ（第２の移動位置）で停止する。刃組付体４は接続部６に当接するまで回動し得る。すなわち、移動方向ＸＨは、仮想位置ＣＨを中心とする弧に沿う方向に対応する。

　図示しないが、刃組付体４を鉛直面Ｖに沿って回動させる首振り（図８（ｂ）及び図８（ｃ）参照）と、刃組付体４を水平面Ｈに沿って回動させる首振り（図９（ｂ）及び図９（ｃ）参照）とを組み合わせた首振りも行うことができる。

　本実施形態は下記の効果を有する。
　（１）　剃刀ヘッド２において刃組付体４を可撓部８により支持した。よって、刃組付体４を可撓部８の付勢力に抗して回動可能に支持する支持構造を簡単にすることができる。

　（２）　刃組付体４の裏側に可撓部８を設けた。よって、刃体１０に比較的近い位置に可撓部８を配置し易くなるため、使用時に肌面で刃組付体４を滑らかに操作して肌面に対する感触を良くすることができる。

　（３）　首振り式剃刀の使用時に刃組付体４を可撓部８の付勢力に抗して回動させる際、刃組付体４が支点部（支持溝部１３、支持縁部２１）で支えられるため、刃組付体４の動きを安定させることができる。

　前記実施形態を例えば下記のように変更してもよい。
　・　前記実施形態において、剃刀ヘッド２の接続部６と刃組付体４とは、接続部６に対し刃組付体４を移動可能に支え得る支点部（支点縁部２１、支点溝部１３）を有している。しかし、それらの支点部を省略して左右両可撓部８により刃組付体４及び弾性支持体５の支持部７を支えてもよい。また、一つの支点部以外に、複数の支点部を設けてもよい。

　・　前記実施形態では、支点部（支点縁部２１、支点溝部１３）を想定空域Ｓの内側に配置したが、支点部を想定空域Ｓの外側に配置してもよい。
　・　前記実施形態において、接続部６の支点縁部２１と刃組付体４の支点溝部１３とは、中立位置Ｐ及び移動位置Ｑでそれぞれ互いに当接する。すなわち、中立位置Ｐ及び移動位置Ｑの両位置において、刃組付体４は支点縁部２１及び支点溝部１３の当接により接続部６に支持される。しかし、接続部６の支点縁部２１と刃組付体４の支点溝部１３とは、中立位置Ｐと移動位置Ｑとのうち少なくとも一方で互いに当接すればよい。すなわち、中立位置Ｐ及び移動位置Ｑの少なくとも一方において、刃組付体４は支点縁部２１及び支点溝部１３の当接により接続部６に支持されればよい。例えばそれらの支点部（支点縁部２１、支点溝部１３）を中立位置Ｐで離間させ、中立位置Ｐから移動位置Ｑに移動する際にそれらの支点部を当接させるようにしてもよい。

　・　前記実施形態では、刃組付体４を鉛直面Ｖに沿って回動させる首振りと、刃組付体４を水平面Ｈに沿って回動させる首振りと、それらを互いに組み合わせた首振りとを行うことができるが、いずれか一つの首振りのみを行うことができるようにしてもよい。

　・　板状の舌片部１９を厚み方向（上下方向Ｚ）に変形可能に構成してもよい。
　・　前記実施形態では、板状の舌片部１９を採用しているが、舌片部１９の代わりに棒状の突片部を採用してもよい。その際、突片部の先端部に半球状の支点部を形成してもよい。

　・　前記実施形態では、剃刀ヘッド２の接続部６とホルダ１の頭部２４とをそれらの連結部（連結筒部２０、連結孔部２５）を介して着脱させることができる。しかし、それらの連結部を省略して剃刀ヘッド２をホルダ１に対し一体的に設けてもよい。また、接続部６と頭部２４とにおいて、着脱可能な凹凸関係を逆にした連結構造を採用してもよい。また、他の連結構造を採用してもよい。

　・　前記実施形態では、断面矩形の板状の可撓部８を採用したが、円形、三角形、Ｔ字形などの断面形状を有する可撓部を採用してもよい。
　・　前記実施形態では、傾斜部１６を有する可撓部８を主に左右方向Ｙに延在するように配置した。しかし、主に上下方向Ｚに延在するように可撓部８を配置してもよい。

　・　前記実施形態では、左右方向Ｙの両側で両支持部７と接続部６との間に可撓部８を配置したが、一または三以上の可撓部８を支持部７と接続部６との間に配置してもよい。
　・　前記実施形態では、可撓部８、支持部７の連続部１５、及び接続部６の連続部１７を軟質樹脂により成形した。しかし、これら可撓部８、連続部１５、及び連続部１７を軟質樹脂を用いないで薄板状に形成したり薄肉ヒンジ部を形成したりして変形可能に構成してもよい。

　・　前記実施形態では、剃刀ヘッド２の刃体１０の刃先１０ａが左右方向Ｙに延在し、かつホルダ１が上下方向Ｚに延在しているが、上下方向Ｚ以外の方向に延在するようにホルダ１を配置してもよい。

　・　前記実施形態では、枠部９の上部９ｂ及び下部９ｃの表面にシェービングエイドが取着されているが、枠部９の中間部９ａと上部９ｂと下部９ｃとのうち、任意の一つまたは二つまたは三つにシェービングエイドを取着することができる。

　・　枠部９の上部９ｂの表面に取着するシェービングエイドと枠部９の下部９ｃの表面に取着するシェービングエイドとは、互いに同じ成分を有するものであってもよい。枠部９の上部９ｂの表面に取着するシェービングエイドと枠部９の下部９ｃの表面に取着するシェービングエイドとは、互いに異なる成分を有するものであってもよい。保湿性成分を有するシェービングエイドを上部９ｂの表面に設けてもよい。

　・　前記実施形態では、シェービングエイドが取着された上部９ｂ及び下部９ｃが中間部９ａに対し離脱不能に取り付けられているが、上部９ｂ及び下部９ｃを交換し得るように上部９ｂ及び下部９ｃを中間部９ａに対し着脱可能に取り付けてもよい。

　１…ホルダ、２…剃刀ヘッド、４…刃組付体、５…弾性支持体、６…接続部、７…支持部、８…可撓部、１０…刃体、１０ａ…刃体の刃先、１３…支点溝部（支点部）、１４ｂ…載置部の左部（支持部）、１４ｃ…載置部の右部（支持部）、１５…可撓部の連続部（支持部）、１９…舌片部（突片部）、２１…支点縁部（支点部）、２４…ホルダの頭部、Ｐ…中立位置、Ｑ…移動位置（第１及び第２の移動位置）、Ｘ…前後方向、Ｙ…左右方向、Ｚ…上下方向。

Claims

　頭部を有するホルダと、前記ホルダに取り付けられた剃刀ヘッドとを備え、
　前記剃刀ヘッドは、刃体を有する刃組付体と、弾性支持体と、前記ホルダの前記頭部に連続する接続部とを備え、
　前記刃組付体は、前記刃体の刃先が露出する表側と、当該表側とは反対側の裏側とを有し、
　前記弾性支持体は前記裏側に位置し、
　前記弾性支持体は、前記刃組付体を支持する支持部と、前記支持部及び前記接続部の間に位置する可撓部とを備え、
　前記刃組付体が前記弾性支持体の前記可撓部により付勢されて静止する位置は中立位置であり、
　前記刃組付体は、前記中立位置から前記可撓部の付勢力に抗して移動した少なくとも一つの移動位置に移動可能である
　ことを特徴とする首振り式剃刀。
　前記接続部及び前記刃組付体の各々は、前記接続部に対し前記刃組付体を支持する支点部を有していることを特徴とする請求項１に記載の首振り式剃刀。
　前記支持部は前記刃組付体を支持する二つの支持部のうちの一つであり、
　前記可撓部は二つの可撓部のうちの一つであり、
　前記二つの可撓部のうちの一方は前記二つの支持部のうちの一方と前記接続部との間に位置し、
　前記二つの可撓部のうちの他方は、前記二つの支持部のうちの他方と前記接続部との間に位置する
　ことを特徴とする請求項２に記載の首振り式剃刀。
　前記刃先の延在方向は左右方向と一致し、
　前記二つの可撓部は前記接続部に対して前記左右方向の両側に配置されている
　ことを特徴とする請求項３に記載の首振り式剃刀。
　前記刃先の延在方向は左右方向と一致し、
　前記接続部の前記支点部と前記刃組付体の前記支点部とは、前記左右方向に対し直交する上下方向において前記刃先の下方に配置されていることを特徴とする請求項２～４のうちいずれか一項に記載の首振り式剃刀。
　前記接続部は、前記刃組付体の前記裏側に位置するとともに当該刃組付体に向けて突出して自由端部を有する突片部を有し、
　前記接続部の前記支点部は前記自由端部に形成されている
　ことを特徴とする請求項２～５のうちいずれか一項に記載の首振り式剃刀。
　前記刃組付体は、前記中立位置と前記移動位置との間で弧状の軌跡を描くように弧に沿った移動方向に移動する請求項２～６のうちいずれか一項に記載の首振り式剃刀。
　前記接続部の前記支点部は、前記移動方向に沿う弧形状を有していることを特徴とする請求項７に記載の首振り式剃刀。
　各可撓部は、前記接続部に隣接する内端部と、前記二つの支持部のうちその可撓部に隣接する一方の支持部に隣接する外端部とを備え、
　両可撓部の両外端部の間の空間は想定空域を構成し、
　前記接続部の前記支点部と前記刃組付体の前記支点部とは、前記想定空域の内側に配置されている
　ことを特徴とする請求項３または請求項４に記載の首振り式剃刀。
　前記刃組付体は複数の移動方向に移動可能であり、
　少なくとも一つの前記移動位置は複数の移動位置であり、
　前記刃組付体は、前記中立位置と各移動位置との間で複数の前記移動方向のうちの少なくとも一つの移動方向に移動する
　ことを特徴とする請求項２～９のうちいずれか一項に記載の首振り式剃刀。
　前記刃先の延在方向は左右方向と一致し、
　前記左右方向に直交する方向は前後方向であり、
　前記左右方向及び前記前後方向の両方向に直交する方向は上下方向であり、
　前記前後方向及び前記上下方向は鉛直面を規定し、
　前記左右方向及び前後方向は水平面を規定し、
　複数の前記移動位置は第１の移動位置及び第２の移動位置を含み、
　前記刃組付体は、前記中立位置と前記第１の移動位置との間では、前記鉛直面上で弧状の軌跡を描くように弧に沿った移動方向に移動し、
　前記刃組付体は、前記中立位置と前記第２の移動位置との間では、前記水平面上で弧状の軌跡を描くように弧に沿った移動方向に移動する
　ことを特徴とする請求項１０に記載の首振り式剃刀。
　各可撓部は、前記接続部に隣接する内端部と、前記二つの支持部のうちその可撓部に隣接する一方の支持部に隣接する外端部と、前記内端部及び前記外端部の間に位置する傾斜部とを備え、
　両可撓部の両外端部の間の空間は想定空域を構成し、
　各可撓部の前記傾斜部は、その可撓部の前記内端部からその可撓部の前記外端部に向かうに従い前記想定空域に接近するように傾斜している
　ことを特徴とする請求項３、４、及び９のうちいずれか一項に記載の首振り式剃刀。
　両可撓部同士の間隔は前記内端部から前記外端部に向かうに従い次第に大きくなっていることを特徴とする請求項１２に記載の首振り式剃刀。
　前記弾性支持体の各支持部は、前記二つの可撓部のうちその支持部に隣接する一方の可撓部と一体成形された連続部を有し、
　前記接続部は、両可撓部と一体成形された連続部を有している
　ことを特徴とする請求項３、４、9、１２、及び１３のうちいずれか一項に記載の首振り式剃刀。
　前記剃刀ヘッドの前記接続部と前記ホルダの前記頭部との各々は、前記頭部に対し前記接続部を着脱可能に連結する連結部を有していることを特徴とする請求項１～１４のうちいずれか一項に記載の首振り式剃刀。