WO2018211862A1 - キャリアテープの成形方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、送り穴と部品を収納する収納凹部(3)とを1列以上有するキャリアテープ(10)の成形方法であって、シート材(10A)をドラム式金型(120)に搬送する搬送工程と、ドラム式金型(120)の表面に搬送されたシート材(10A)を吸引して、真空成形する成形工程と、を含み、成形工程では、熱風加熱手段(160)から熱風を吹出してシート材(10A)を加熱しながら真空成形するとともに、熱風の吹出流量を単位面積当り0.125mL/mm2以上3.75mL/mm2以下とするものである。本発明により、収納凹部の開口縁における矩形性を確保したキャリアテープの成形方法を提供することができる。
Description
本発明は、部品を収納する収納凹部を有するキャリアテープの成形方法に関する。
従来、部品を収納する収納凹部を有するキャリアテープは、例えば、母材テープであるシート材を加熱ドラムで加熱軟化させた後、ドラム式金型に連続的に供給して収納凹部を真空成形することにより成形されている(特許文献1参照)。
また、シート材を加熱ドラムで直接加熱した後、ドラム式金型上で成形中の収納凹部に向けて450℃以上550℃以下の熱風を圧力噴射して、収納凹部を真空成形するキャリアテープの成形方法も知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、文献2にみられるように、熱風の加熱温度を調整しても、収納凹部の開口縁が大きな丸みを帯びた形状となり(図6参照)、矩形性が得られず、収納凹部の成形精度を安定させることができなかった。
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、収納凹部の開口縁における矩形性を確保したキャリアテープの成形方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る一つの態様は、部品を収納する収納凹部を1列以上有するキャリアテープの成形方法であって、シート材をドラム式金型に搬送する搬送工程と、前記ドラム式金型の表面に搬送された前記シート材を吸引して、真空成形する成形工程と、を含み、前記成形工程では、熱風加熱手段から熱風を吹出して前記シート材を加熱しながら真空成形するとともに、前記熱風の吹出流量を単位面積当り0.125mL/mm2以上3.75mL/mm2以下とするものである。
(2)前記熱風の吹出温度を、上記(1)に記載のキャリアテープの成形方法において、300℃以上700℃以下としてもよい。
(3)前記熱風の吹出流量を、上記(1)又は(2)に記載のキャリアテープの成形方法において、1列幅当り10L/min以上60L/min以下としてもよい。
(4)前記シート材の搬送速度を、上記(1)から(3)のいずれかに記載のキャリアテープの成形方法において、2m/min以上10m/min以下としてもよい。
(5)前記ドラム式金型を、上記(1)から(4)のいずれかに記載のキャリアテープの成形方法において、20℃以上100℃以下の温度に維持してもよい。
(2)前記熱風の吹出温度を、上記(1)に記載のキャリアテープの成形方法において、300℃以上700℃以下としてもよい。
(3)前記熱風の吹出流量を、上記(1)又は(2)に記載のキャリアテープの成形方法において、1列幅当り10L/min以上60L/min以下としてもよい。
(4)前記シート材の搬送速度を、上記(1)から(3)のいずれかに記載のキャリアテープの成形方法において、2m/min以上10m/min以下としてもよい。
(5)前記ドラム式金型を、上記(1)から(4)のいずれかに記載のキャリアテープの成形方法において、20℃以上100℃以下の温度に維持してもよい。
本発明によれば、収納凹部の開口縁における矩形性を確保したキャリアテープの成形方法を提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
まず、本発明に係る実施形態のキャリアテープ1の成形方法を説明する前に、キャリアテープ1について説明する。図1は、キャリアテープ1の斜視図であり、図2は、複数列のキャリアテープ10を示す平面図である。
図1に示されるキャリアテープ1は、部品Pを複数収納して、保管したり、搬送したり、基板に部品Pを実装する実装機に部品Pを円滑に供給したりするものである。部品Pとしては、例えば、電子部品や精密部品などが挙げられる。
図1に示されるキャリアテープ1は、部品Pを複数収納して、保管したり、搬送したり、基板に部品Pを実装する実装機に部品Pを円滑に供給したりするものである。部品Pとしては、例えば、電子部品や精密部品などが挙げられる。
このキャリアテープ1には、テープの搬送方向MD(長尺方向)に沿って、送り穴2と部品Pを収納する収納凹部3とが、それぞれ所定の間隔で複数形成されている。なお、本実施形態において、送り穴2は、平面視において円形状であるが、送り穴2の寸法、形状及び間隔は、実装機などの送り機構に合わせて穿設されるとよい。また、送り穴2は、テープの長尺方向MDの二辺に沿って、収納凹部3の両側に穿設されることもある。
収納凹部3は、収納する部品Pの寸法及び形状に合わせて形成されるが、本実施形態では、平面視で略矩形状に形成されている。なお、収納凹部3は、検査用などに用いられる底穴4が底面に形成されることや、更に底面に台座が形成されることもある。なお、収納凹部3の寸法は、通常0.1mm角から16mm角の範囲であり、キャリアテープ1のテープ幅は4mmから24mmである。
そして、このキャリアテープ1は、熱可塑性樹脂を材料として形成されている。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの合成樹脂、これらの樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したもの、表面に導電コーティングを施したものなどが挙げられる。
ところで、このキャリアテープ1は、後述するキャリアテープ10の成形装置100で形成されるが、成形時は、例えば4列、8列などの複数列のキャリアテープ10として形成されており、その後、スリット刃などの切断手段により、1列ごとのキャリアテープ1として切断・分離され、製造されるものである。なお、複数列のキャリアテープ10の列間や両端部に、送り穴2などを形成する際に用いられる位置決め用凹部が設けられることもある。
つぎに、キャリアテープ10の成形装置100及び成形方法について説明する。図3は、本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の成形方法に用いられるキャリアテープ10の成形装置100を示す概略図であり、図4は、本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の成形方法を示すフローチャートである。
図3に示されるキャリアテープ10の成形装置100は、予備加熱ロール110と、ドラム式金型120と、アキューム部130と、プレス金型140と、搬送手段150と、熱風加熱手段160とを、少なくとも備えている。
予備加熱ロール110は、図示しない供給手段から供給されたシート材10Aを、搬送方向MD下流に設けられたドラム式金型120に、回転により搬送しながら、加熱軟化させるものであり、100℃程度の温度で、シート材10Aを加熱できるように構成されている。シート材10Aを予備加熱ロール110で予備加熱することにより、シート材10Aの巻き癖や波状のうねりをある程度矯正することができる。
ドラム式金型120は、成形する収納凹部3の寸法・形状及び間隔に応じたキャビティ(図示なし)を外周に複数有しており、搬送されたシート材10Aを回転により搬送しながら、シート材10Aに収納凹部3を真空形成するものである。なお、各キャビティは、真空発生機などに接続されている。また、ドラム式金型120は、例えば、水などの冷温調媒体により、20℃から100℃程度までの範囲で、一定の温度に維持されている。
アキューム部130は、収納凹部3が形成されたシート材10Aを、滞留させて一度冷却し、真空成形時の熱応力を除去するものである。
プレス金型140は、シート材10Aに送り穴2を打抜くものであり、必要に応じて収納凹部3の底面に底穴4も打抜く。
搬送手段150は、シート材10Aをアキューム部130からプレス金型140に間欠的に搬送するものである。
熱風加熱手段160は、シート材10Aに対して熱風を吹出して吹付けるものであり、図示しない複数の熱風吹出口を有している。この熱風加熱手段160は、熱風吹出口がシート材10Aから1mmから10mm程度離れるように設置されている。
熱風吹出口は、シート材10Aの幅方向に沿って、各列の収納凹部3を形成する位置に対応するように設けられており、その開口形状は、矩形状でも、円形状又は楕円形状でもよく、所定の吹出流量で熱風を各列の収納凹部3を形成する位置に均一に吹出すようになっている。通常、熱風の吹出流量は、単位面積当り0.125mL/mm2以上3.75mL/mm2以下の範囲、あるいは、1列幅(8mm)当り10L/min以上60L/min以下の範囲である。
また、熱風の吹出温度は、熱風吹出口の付近で、通常300℃以上700℃以下程度の範囲であり、好ましくは600℃以下である。なお、熱風の吹出温度は、シート材10Aの材料融点に応じて設定してもよい。
そして、成形装置100は、上記の各種手段のほか、複数列に成形したキャリアテープ10を1列のキャリアテープ1に切断・分離する切断手段や、各キャリアテープ1の収納凹部3に部品Pを収納した後、リールに巻取る巻取手段などを備えている。
つづいて、キャリアテープ10の成形方法について説明すると、この成形方法は、シート材10Aをドラム式金型120に搬送する搬送工程S1と、ドラム式金型120の表面に搬送されたシート材10Aを吸引して、真空成形する成形工程S2と、を少なくとも含んでいる(図4参照)。
搬送工程S1では、シート材10Aを一定の搬送速度でドラム式金型120に搬送する。このとき、搬送速度は1m/minから15m/min程度であり、好ましくは2m/minから10m/minである。なお、搬送工程S1の前工程で、シート材10Aを予備加熱ロール110で予備加熱を行ってもよい。
次の成形工程S2では、シート材10Aをドラム式金型120の外周に真空吸着するとともに、熱風加熱手段160から熱風を吹出してシート材10Aを加熱しながら真空成形を行う。このとき、ドラム式金型120は、少なくともシート材10Aの加熱中は真空引きできるように構成されている。
その後、収納凹部3が形成されたキャリアテープ10は、アキューム部130で冷却され、搬送手段150の間欠的に搬送により、プレス金型140で送り穴2などが穿設される。そして、送り穴2及び収納凹部3が形成されたキャリアテープ10は、切断手段で切断分離される。このようにして、単列のキャリアテープ1が成形される。
ここで、本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の成形方法による効果を、実施例1及び実施例2により、詳しく説明する。
図5は、本発明に係る実施形態のキャリアテープ1の成形方法で形成されたキャリアテープ1の、(a)平面図、(b)A-A断面図、(c)B-B断面図であり、図6は、成形性の悪いキャリアテープ1Aの、(a)平面図、(b)C-C断面図、(c)D-D断面図である。なお、図5及び図6におけるハッチングは、開口縁310,310Aの領域差を確認し易いように、付加したものである。
図5は、本発明に係る実施形態のキャリアテープ1の成形方法で形成されたキャリアテープ1の、(a)平面図、(b)A-A断面図、(c)B-B断面図であり、図6は、成形性の悪いキャリアテープ1Aの、(a)平面図、(b)C-C断面図、(c)D-D断面図である。なお、図5及び図6におけるハッチングは、開口縁310,310Aの領域差を確認し易いように、付加したものである。
(実施例1)
本実施例では、8mm幅のキャリアテープ1を、ポリカーボネート製(融点約250℃)のシート材10Aから4列のキャリアテープ1を含むキャリアテープ10を成形した。なお、収納凹部3の設計寸法は、開口縁310が1.0mm×2.5mmの矩形状で、深さが0.8mmで、搬送方向MDの間隔が2mmである。
本実施例では、8mm幅のキャリアテープ1を、ポリカーボネート製(融点約250℃)のシート材10Aから4列のキャリアテープ1を含むキャリアテープ10を成形した。なお、収納凹部3の設計寸法は、開口縁310が1.0mm×2.5mmの矩形状で、深さが0.8mmで、搬送方向MDの間隔が2mmである。
成形装置100による成形条件は、予備加熱ロール110の温度を100℃とした。また、熱風加熱手段160の熱風吹出口を、シート材10Aから1.5mm離して設置し、熱風温度を600℃とした。ドラム式金型120の温度を、60℃とした。
そして、熱風の吹出流量を、一列幅(8mm)当り5L/minから65L/minまで変化させるとともに、搬送速度を、1.0m/minから11m/minまで変化させた。
キャリアテープ1の成形評価は、収納凹部3を搬送方向MDに沿って、幅方向中央で切断した断面における開口縁310をマイクロスコープで観察し、半径R(mm)を測定することにより行った。評価基準は、半径Rが0.3mm以下の場合に、良好(○)とし、半径Rが0.3mmより大きい場合、あるいはキャリアテープ1が破断した場合に、不良(×)とした。表1にこれらの結果を示す。
表1に示すように、吹出流量が60L/minを超えた場合は、シート材10Aが高温となり、溶融することがあり、結果的にシート材10Aが破断し、連続的に成形することができなかった。同様に、搬送速度が2m/min未満の場合も、シート材10Aが破断し、連続的に成形することができなかった。
また、吹出流量が10L/min未満の場合は、シート材10Aが十分に加熱されず、ドラム式金型120のキャビティに追従するように延伸できなかったため、収納凹部3Aの開口縁310Aの半径Rが大きくなった(図6参照)。同様に、搬送速度が10m/minを超えた場合も、追従するように延伸できなかったため、開口縁310Aの半径Rが大きくなった。
一方、吹出流量10L/minから60L/minで、搬送速度2m/min以上10m/min以下の範囲(単位面積当りに換算すると、0.125mL/mm2以上3.75mL/mm2以下。)では、開口縁310の半径Rが大きくならず(図5参照)、良好な評価(○)が多く得られた。
よって、この表1から、搬送速度にかかわらず、熱風加熱手段160の吹出流量が10L/min未満あるいは60L/minを超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。逆に、吹出流量にかかわらず、搬送速度が2m/min未満あるいは10m/minを超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。また、搬送速度が6m/minを超えると、低い吹出流量では、良好な評価(○)が得られない場合が起きることがわかる。
つぎに、搬送速度を6.0m/minとし、熱風の吹出流量を5L/minから65L/min、ドラム式金型120の温度を10℃から110℃に変化させて、開口縁310の半径R(mm)を測定し、上記同様に評価した。表2にこれらの結果を示す。
表2に示すように、吹出流量が60L/minを超えた場合は、シート材10Aが高温となり、溶融することがあり、結果的にシート材10Aが破断し、連続的に成形することができなかった。吹出流量が10L/min未満の場合は、シート材10Aが十分に加熱されず、ドラム式金型120のキャビティに追従するように延伸できなかったため、収納凹部3Aの開口縁310Aの半径Rが大きくなった。
また、ドラム式金型120の加熱温度が100℃を超えた場合は、シート材10Aが高温となり、溶融することがあり、ドラム式金型120からの離形時に、収納凹部3Aが大きく変形して成形された。そのため巻取り不良が起こり、連続的に成形することができなかった。また、ドラム式金型120の加熱温度が20℃未満の場合は、シート材10Aが十分に加熱されず、ドラム式金型120のキャビティに追従するように延伸できなかったため、収納凹部3Aの開口縁310Aの半径Rが大きくなった。
一方、吹出流量10L/minから60L/min(単位面積当りに換算すると、0.2mL/mm2以上1.25mL/mm2以下。)で、ドラム式金型120の加熱温度が20℃以上100℃以下の範囲では、開口縁310の半径Rが大きくならず、良好な評価(○)が多く得られた。
よって、この表2から、ドラム式金型120の温度にかかわらず、熱風加熱手段160の吹出流量が10L/min(単位面積当りに換算すると、0.2mL/mm2。)未満あるいは60L/min(単位面積当りに換算すると、1.25mL/mm2。)を超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。逆に、吹出流量にかかわらず、ドラム式金型120の温度が20℃未満あるいは100℃を超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。また、ドラム式金型120の温度が60℃未満になると、低い吹出流量では、良好な評価(○)が得られない場合が起きることがわかる。
(実施例2)
本実施例では、カーボネート製のシート材10Aに代えて、ポリスチレン製(融点約240℃)のシート材10Aを用いた以外の成形条件は、実施例1と同様とした。表3及び表4にこれらの結果を示す。
本実施例では、カーボネート製のシート材10Aに代えて、ポリスチレン製(融点約240℃)のシート材10Aを用いた以外の成形条件は、実施例1と同様とした。表3及び表4にこれらの結果を示す。
表3に示すように、吹出流量が60L/minを超えた場合は、シート材10Aが高温となり、溶融することがあり、結果的にシート材10Aが破断し、連続的に成形することができなかった。同様に、搬送速度が2m/min未満の場合も、シート材10Aが破断し、連続的に成形することができなかった。
また、吹出流量が10L/min未満の場合は、シート材10Aが十分に加熱されず、ドラム式金型120のキャビティに追従するように延伸できなかったため、収納凹部3Aの開口縁310Aの半径Rが大きくなった。同様に、搬送速度が10m/minを超えた場合も、追従するように延伸できなかったため、開口縁310Aの半径Rが大きくなった。
一方、吹出流量10L/minから60L/minで、搬送速度2m/min以上10m/min以下の範囲では、開口縁310の半径Rが大きくならず、良好な評価(○)が得られた。
よって、この表3から、搬送速度にかかわらず、熱風加熱手段160の吹出流量が10L/min未満あるいは60L/minを超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。逆に、吹出流量にかかわらず、搬送速度が2m/min未満あるいは10m/minを超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。
また、表1及び表3の対比から、ポリスチレン製のシート材10Aは、低流量・高速度の領域、又は低流量・温度の領域でも、開口縁310の半径Rが大きくならず、ポリカーボネート製のシート材10Aよりも、成形性が良いことがわかる。
表4に示すように、吹出流量が60L/minを超えた場合は、シート材10Aが高温となり、溶融することがあり、結果的にシート材10Aが破断し、連続的に成形することができなかった。吹出流量が10L/min未満の場合は、シート材10Aが十分に加熱されず、ドラム式金型120のキャビティに追従するように延伸できなかったため、収納凹部3Aの開口縁310Aの半径Rが大きくなった。
また、ドラム式金型120の加熱温度が100℃を超えた場合は、シート材10Aが高温となり、溶融することがあり、ドラム式金型120からの離形時に、収納凹部3が大きく変形して成形された。そのため巻取り不良が起こり、連続的に成形することができなかった。また、ドラム式金型120の加熱温度が20℃未満の場合は、シート材10Aが十分に加熱されず、ドラム式金型120のキャビティに追従するように延伸できなかったため、収納凹部3Aの開口縁310Aの半径Rが大きくなった。
一方、吹出流量10L/minから60L/minで、ドラム式金型120の加熱温度が20℃以上100℃以下の範囲では、開口縁310の半径Rが大きくならず、良好な評価(○)が多く得られた。
よって、この表4から、ドラム式金型120の温度にかかわらず、熱風加熱手段160の吹出流量が10L/min(単位面積当りに換算すると、0.2mL/mm2。)未満あるいは60L/min(単位面積当りに換算すると、1.25mL/mm2。)を超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。逆に、吹出流量にかかわらず、ドラム式金型120の温度が20℃未満あるいは100℃を超えると、良好な評価(○)が得られないことがわかる。また、ドラム式金型120の温度が60℃未満になると、低い吹出流量では、良好な評価(○)が得られない場合が起きることがわかる。
また、表2及び表4の対比から、ポリスチレン製のシート材10Aは、低流量・高速度の領域、又は低流量・温度の領域でも、開口縁310の半径Rが大きくならず、ポリカーボネート製のシート材10Aよりも、成形性が良いことがわかる。
以上の実施例1及び実施例2から、熱風加熱手段160から熱風の吹出流量を、1列幅(8mm)当り10L/min以上60L/min以下とするのが好ましいといえる。言い換えると、熱風の吹出流量を、単位面積当り0.125mL/mm2以上3.75mL/mm2以下とするのが好ましい。
また、シート材10Aの搬送速度を、2m/min以上10m/min以下とするのが好ましい。さらに、ドラム式金型120の加熱温度を、20℃以上100℃以下の温度に維持するのが好ましいといえる。
以上説明したとおり、実施形態のキャリアテープ10の成形方法は、送り穴2と部品Pを収納する収納凹部3とを1列以上有するキャリアテープ10の成形方法であって、シート材10Aをドラム式金型120に搬送する搬送工程S1と、ドラム式金型120の表面に搬送されたシート材10Aを吸引して、真空成形する成形工程S2と、を含み、成形工程S2では、熱風加熱手段160から熱風を吹出してシート材10Aを加熱しながら真空成形するとともに、熱風の吹出流量を単位面積当り0.125mL/mm2以上3.75mL/mm2以下とするものである。これにより、ドラム式金型120で成形中のシート材10A(又は収納凹部3)に向けて、熱風を圧力噴射することで、シート材10Aを加熱して軟化させることができ、キャビティに馴染むため、収納凹部3の開口縁310における矩形性を確保することができる。言い換えると、収納凹部3の開口縁310を小さな半径Rに抑えることができる。
実施形態では、熱風の吹出温度を、300℃以上700℃以下とする。これにより、ドラム式金型120で成形中のシート材10A(又は収納凹部3)に向けて、熱風を圧力噴射することで、シート材10Aを加熱して軟化させることができる。
実施形態では、熱風の吹出流量を、1列幅当り10L/min以上60L/min以下とする。これにより、適切な吹出流量でシート材10Aを加熱軟化させることができる。
実施形態では、シート材10Aの搬送速度を、2m/min以上10m/min以下とする。これにより、適切な吹出流量(加熱熱量)でシート材10Aを加熱軟化させることができる。
実施形態では、ドラム式金型120を、20℃以上100℃以下の温度に維持する。これにより、適切な加熱熱量でシート材10Aを加熱軟化させることができる。
(変形例)
上記実施形態では、熱風加熱手段160の熱風吹出口は、各列に対応するように複数個設けられたが、4列幅に対応した幅広いスリット開口を1つだけ設けてもよい。
上記実施形態では、熱風加熱手段160の熱風吹出口は、各列に対応するように複数個設けられたが、4列幅に対応した幅広いスリット開口を1つだけ設けてもよい。
上記実施形態では、ドラム式金型120は、少なくともシート材10Aの加熱中は真空引きできるように構成されていたが、加熱の直前から真空引きさせたり、加熱の終了後も真空引きさせたりするように構成されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
1,1A,10 キャリアテープ、10A シート材
2 送り穴
3,3A 収納凹部、310,310A 開口縁
4 検査孔
100 成形装置
110 予備加熱ロール、120 ドラム式金型、130 アキューム部、140 プレス金型、150 搬送手段、160 熱風加熱手段
MD 搬送方向(長手方向)
P 部品
2 送り穴
3,3A 収納凹部、310,310A 開口縁
4 検査孔
100 成形装置
110 予備加熱ロール、120 ドラム式金型、130 アキューム部、140 プレス金型、150 搬送手段、160 熱風加熱手段
MD 搬送方向(長手方向)
P 部品
Claims (5)
- 部品を収納する収納凹部を1列以上有するキャリアテープの成形方法であって、
シート材をドラム式金型に搬送する搬送工程と、
前記ドラム式金型の表面に搬送された前記シート材を吸引して、真空成形する成形工程と、を含み、
前記成形工程では、熱風加熱手段から熱風を吹出して前記シート材を加熱しながら真空成形するとともに、前記熱風の吹出流量を単位面積当り0.125mL/mm2以上3.75mL/mm2以下とする
ことを特徴とするキャリアテープの成形方法。 - 前記熱風の吹出温度を、300℃以上700℃以下とする
ことを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープの成形方法。 - 前記熱風の吹出流量を、1列幅当り10L/min以上60L/min以下とする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリアテープの成形方法。 - 前記シート材の搬送速度を、2m/min以上10m/min以下とする
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のキャリアテープの成形方法。 - 前記ドラム式金型を、20℃以上100℃以下の温度に維持する
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のキャリアテープの成形方法。
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