WO2018066356A1

WO2018066356A1 - ケーブル保持装置

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Publication number: WO2018066356A1
Application number: PCT/JP2017/033803
Authority: WO
Inventors: 真樹鹿内; 昇悟三上; 吉成松山; 智大関口; 毅菊地; 友美西方
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2016-10-06
Filing date: 2017-09-20
Publication date: 2018-04-12
Also published as: US20190229510A1; JPWO2018066356A1; US10483743B2; JP6706765B2

Abstract

ケーブル保持装置（２０）は、ケーブルを保持するケーブル保持装置であって、ケーブルが通過する第１の貫通穴（２２ｃ）を備える第１の部材（２２）と、ケーブルが通過する第２の貫通穴（２４ｄ）を備える第２の部材（２４）と、固定部材（２６）と、を有する。固定部材は、第１の貫通穴に対して第２の貫通穴が部分的にオーバーラップして第１の貫通穴の内周部と第２の貫通穴の内周部とがケーブルを保持する状態で、第１の部材に対して第２の部材を固定する。

Description

ケーブル保持装置

　本開示は、ケーブルを保持するためのケーブル保持装置に関する。

　従来より、例えば特許文献１に記載するように、ケーブルを保持するケーブル保持装置が知られている。特許文献１のケーブル保持装置の場合、ケーブル径方向（ケーブルの延在方向と直交する方向）へのケーブルの移動を規制するように該ケーブルを保持する。

特開２０００－２１４３３５号公報

　ところで、ケーブル径方向に加えてケーブル延在方向についてもケーブルの移動を規制しつつ、ケーブルを保持したい場合がある。

　そこで、本開示は、ケーブルの径方向および延在方向の移動を規制しつつ、ケーブルを保持することを課題とする。

　上記技術的課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
　ケーブルを保持するケーブル保持装置であって、
　ケーブルが通過する第１の貫通穴を備える第１の部材と、
　ケーブルが通過する第２の貫通穴を備える第２の部材と、
　第１の貫通穴に対して第２の貫通穴が部分的にオーバーラップして第１の貫通穴の内周部と第２の貫通穴の内周部とがケーブルを保持する状態で、第１の部材に対して第２の部材を固定する固定部材と、を有するケーブル保持装置が提供される。

　本開示によれば、ケーブルの径方向および延在方向の移動を規制しつつ、ケーブルを保持することができる。

本開示の一実施の形態に係るケーブル保持装置を備える耐圧容器の斜視図である。一実施の形態に係るケーブル保持装置が取り付けられた耐圧容器のエンドプレートの斜視図である。耐圧容器のエンドプレートの斜視図である。ケーブルが通過した状態の耐圧容器のエンドプレートの斜視図である。接着剤によってケーブルが固定された状態の耐圧容器のエンドプレートの斜視図である。ケーブルのエンドプレートへの固定状態を示す断面図である。一実施の形態に係る、ケーブル解放状態のケーブル保持装置の斜視図である。一実施の形態に係る、ケーブル保持装置の分解図である。一実施の形態に係る、ケーブル解放状態のケーブル保持装置の断面図である。一実施の形態に係る、ケーブル保持状態のケーブル保持装置の斜視図である。一実施の形態に係る、ケーブル保持状態のケーブル保持装置の断面図である。別の実施の形態に係る、ケーブル解放状態のケーブル保持装置の断面図である。別の実施の形態に係る、ケーブル保持状態のケーブル保持装置の断面図である。

　本開示の一態様のケーブル保持装置は、ケーブルを保持するケーブル保持装置であって、ケーブルが通過する第１の貫通穴を備える第１の部材と、ケーブルが通過する第２の貫通穴を備える第２の部材と、第１の貫通穴に対して第２の貫通穴が部分的にオーバーラップして第１の貫通穴の内周部と第２の貫通穴の内周部とがケーブルを保持する状態で、第１の部材に対して第２の部材を固定する固定部材と、を有する。

　このような構成によれば、ケーブルの径方向および延在方向の移動を規制しつつ、ケーブルを保持することができる。

　例えば、第２の部材は、第１の貫通穴の貫通方向と交差する方向に移動可能に、第１の部材に支持されている。これにより、ケーブルを保持する、またはその保持を解除することができる。

　あるいは、第２の部材は、第１の貫通穴の貫通方向に移動可能に、第１の部材に支持されている。これにより、ケーブルを保持する、またはその保持を解除することができる。

　例えば、固定部材が固定ねじであり、固定ねじの回転によって、第２の部材が、第１の部材に対して移動する。そして、第１の部材が、固定ねじが通過するねじ通し穴を備える場合は、第２の部材が固定ねじと係合するめねじ穴を備え、第２の部材が、固定ねじが通過するねじ通し穴を備える場合は、第１の部材が固定ねじと係合するめねじ穴を備える。固定ねじを回すことにより、容易にケーブルを保持することができる。

　例えば、第１の貫通穴の両端それぞれの開口縁と第２の貫通穴の両端それぞれの開口縁とが、面取り部を備える。これにより、ケーブルを、傷つけることなく、また滑ることなく、保持することができる。

　例えば、第１の貫通穴が第１の部材に複数形成され、第１の貫通穴と同数の第２の貫通穴が第２の部材に形成されている。これにより、複数のケーブルを、それぞれの径方向および延在方向の移動を規制しつつ、保持することができる。

　以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。

　なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するものであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。

　図１は、本開示の一実施の形態に係るケーブル保持装置を備える耐圧容器を示している。なお、図に示すＸ－Ｙ－Ｚ直交座標系は、本開示の理解を助けるものであって、本開示を限定するものではない。Ｘ軸方向、Ｙ軸方向、およびＺ軸方向は互いに直交し合い、Ｘ軸方向は耐圧容器の奥行き方向を示し、Ｙ軸方向は幅方向を示し、Ｚ軸方向は高さ方向を示している。

　図１に示す耐圧容器１０は、例えば水中などで使用される容器であって、その内部に電力の供給を受けて駆動する装置や外部と通信して駆動する装置を収容している。耐圧容器１０内の装置から該耐圧容器１０の外部に向かって複数のケーブルＷが延在している。複数のケーブルＷは、例えば電力を供給するための電力ケーブルや信号をやり取りするための同軸ケーブルなどのフレキシブルなケーブルである。

　複数のケーブルＷは、外部と内部とを隔てる耐圧容器１０の一部分であって、その高さ方向（Ｚ軸方向）の一端に取り付けられたエンドプレート１２を貫通している。ケーブル保持装置２０は、エンドプレート１２に取り付けられ、ケーブルＷを保持する。なお、ケーブル保持装置２０の詳細については後述する。

　図２は、本実施の形態に係るケーブル保持装置を備えた状態の耐圧容器１０のエンドプレート１２を示している。図３は、エンドプレート１２単体を示している。

　図２および図３に示すように、エンドプレート１２は、例えば金属材料から作製された円盤状の部材であって、外側表面１２ａの中央部に凹部１２ｂを備えるとともに、耐圧容器１０の内部に向かって突出する凸部１２ｃを備える。また、凹部１２ｂの底面から凸部１２ｃの頂面に向かって貫通し（すなわちＺ軸方向に貫通し）、複数のケーブルＷが通過する複数のケーブル通し穴１２ｄがエンドプレート１２に形成されている。

　図２に示すように、複数のケーブルＷは、ケーブル通し穴１２ｄを通過した状態で、接着剤１４によってエンドプレート１２に固定されている。

　具体的には、まず、図４に示すように、エンドプレート１２の複数のケーブル通し穴１２ｄそれぞれにケーブルＷが挿通される。その状態を維持しつつ、液状の接着剤１４がエンドプレート１２の凹部１２ｂに流し込まれる。接着剤１４は、例えば、二液室温硬化型のエポキシ接着剤や工業用エポキシ接着剤などである。特に、本実施の形態の場合、耐圧容器１０が水中で使用されるため、接着剤１４は水中で使用可能な接着剤である。

　エンドプレート１２の凹部１２ｂ内の接着剤１４が硬化すると、図５に示すように複数のケーブルＷがエンドプレート１２に固定される。なお、エンドプレート１２の部分断面図である図６に示すように、ケーブル通し穴１２ｄとケーブルＷとの間の隙間にも接着剤１４が充填される。例えば、エンドプレート１２の凸部１２ｃ側を負圧にして凹部１２ｂ内の接着剤１４をケーブル通し穴１２ｄ内に引き込むことにより、ケーブル通し穴１２ｄとケーブルＷとの間の隙間に接着剤１４が充填される。ケーブル通し穴１２ｄ内の接着剤１４が硬化すると、ケーブル通し穴１２ｄとケーブルＷとの間の隙間が液密にシールされる。なお、接着剤１４が硬化する前に、ケーブル通し穴１２ｄに対してケーブルＷを延在方向（Ｚ軸方向）に往復動させることにより、接着剤１４のフィレット部１４ａを形成するのが好ましい。これにより、接着剤１４とケーブルＷとの間の界面に隙間が発生することが抑制される。

　図２に示すように、接着剤１４によってエンドプレート１２に固定された複数のケーブルＷを保持するために、ケーブル保持装置２０がエンドプレート１２に設けられている。

　図７はケーブル保持装置の斜視図であり、図８はケーブル保持装置の分解図である。

　図７および図８に示す本実施の形態に係るケーブル保持装置２０は、エンドプレート１２に対して接着剤１４によって固定された複数のケーブルＷが揺動しないように、複数のケーブルＷを保持するように構成されている。

　具体的に説明すると、接着剤１４によってエンドプレート１２に固定された部分を除くケーブルＷの部分がその径方向や延在方向に繰り返し揺動すると、接着剤１４とケーブルＷとの間の接着力が徐々に弱まり、最終的に接着剤１４とケーブルＷとの間に隙間が生じうる。本実施の形態の場合、接着剤１４とケーブルＷとの間に隙間が生じると、その隙間を介して液体が耐圧容器１０の内部に侵入する可能性がある。その対処として、ケーブル保持装置２０は、揺動しないように複数のケーブルＷを保持する。

　そのために、ケーブル保持装置２０は、ベース部材２２（第１の部材）と、ベース部材２２に移動可能に支持されるスライド部材２４（第２の部材）と、ベース部材２２に対してスライド部材２４を固定するための固定ねじ２６（固定部材）とを有する。

　ケーブル保持装置２０のベース部材２２は、例えば、金属薄板を板金加工することによって作製されている。ベース部材２２はまた、天板部２２ａと、天板部２２ａの外周縁から該天板部２２ａの厚み方向（Ｚ軸方向）に延在する４本の脚部２２ｂ１～２２ｂ４とを備える。本実施の形態では、図７、図８に示すように、４本の脚部２２ｂ１～２２ｂ４は、天板部２２ａの外周を略４等分する位置に（Ｘ軸方向に２本、Ｙ軸方向に２本）設けられている。また、４本の脚部２２ｂ１～２２ｂ４は、天板部２２ａの外周から－Ｚ軸方向に延在する部分と、ＸＹ平面と略平行にエンドプレート１２に対向する部分とを有するＬ字状に形成され、エンドプレート１２に対向する部分には、ボルト通し穴２２ｄが形成されている。さらに、－Ｙ軸方向側の脚部２２ｂ２にはガイド穴２２ｅが設けられ、＋Ｙ軸方向側の脚部２２ｂ４にはねじ通し穴２２ｆが設けられている。

　ケーブル保持装置２０のベース部材２２の天板部２２ａは、略円形状であって、天板部２２ａの厚み方向（Ｚ軸方向）に貫通してケーブルＷがそれぞれ通過する複数の貫通穴２２ｃ（第１の貫通穴）を備える。なお、図７および図８に示すように、複数の貫通穴２２ｃのサイズは、外径が異なる複数種類のケーブルＷに対応して異なる。また、複数の貫通穴２２ｃのレイアウトは、図３に示す耐圧容器１０のエンドプレート１２に形成された複数のケーブル通し穴１２ｄのレイアウトと同一である。その結果、高さ方向（Ｚ軸方向）に対向するベース部材２２の貫通穴２２ｃとエンドプレート１２のケーブル通し穴１２ｄとを、同一のケーブルＷが大きく撚れることなく通過する。

　ベース部材２２の４本の脚部２２ｂ１～２２ｂ４は、図２に示すように、ベース部材２２を耐圧容器１０のエンドプレート１２に固定するためのブラケットとして機能する。具体的には、ベース部材２２の天板部２２ａがエンドプレート１２の凹部１２ｂの上方に配置されるように、脚部２２ｂ１～２２ｂ４は構成されている。本実施の形態の場合、ベース部材２２の脚部２２ｂ１～２２ｂ４は、ボルト１６とスプリングワッシャ１８によってエンドプレート１２に固定されている。そのボルト１６の軸部が通過するボルト通し穴２２ｄが、図７に示すように、脚部２２ｂ１～２２ｂ４に形成されている。

　図８に示すように、ケーブル保持装置２０のスライド部材２４は、例えば金属薄板を板金加工することによって作製されている。また、スライド部材２４はまた、略円形状の円盤部２４ａと、スライド部材２４をガイドするためのガイドタブ２４ｂと、スライド部材２４をスライドさせるためのスライドレバー２４ｃとを備える。

　図７に示すように、スライド部材２４の円盤部２４ａは、ベース部材２２の天板部２２ａに比べて小さいサイズで作製されている。それにより、ベース部材２２の脚部２２ｂ１～２２ｂ４に干渉することなく、天板部２２ａの裏面（耐圧容器１０のエンドプレート１２に対向する面）に重なることができる。

　また、図８に示すように、スライド部材２４の円盤部２４ａは、円盤部２４ａの厚み方向（Ｚ軸方向）に貫通してケーブルＷがそれぞれ通過する複数の貫通穴２４ｄ（第２の貫通穴）を備える。この円盤部２４ａの貫通穴２４ｄのレイアウトは、ベース部材２２の天板部２２ａの貫通穴２２ｃのレイアウトと同一である。その結果、図７に示すように、スライド部材２４の複数の貫通穴２４ｄそれぞれは、ベース部材２２の対応する貫通穴２２ｃに対して、ケーブルＷが通過可能に重なることができる。

　本実施の形態の場合、同一のケーブルＷが通過するベース部材２２の貫通穴２２ｃとスライド部材２４の貫通穴２４ｄそれぞれの開口は、ケーブルＷの断面に比べてやや大きく、同一の円形状である。したがって、図７に示すように、２つの貫通穴２２ｃ、２４ｄの開口の輪郭が互いに重なるとき（すなわち、それぞれの開口の中心が互いに重なるとき）、それらの貫通穴２２ｃ、２４ｄをケーブルＷは通過可能である。

　図８に示すように、スライド部材２４のガイドタブ２４ｂは、ベース部材２２の貫通穴２２ｃの貫通方向（Ｚ軸方向）に対して交差するスライド方向（Ｙ軸方向）にスライドするようにスライド部材２４をガイドするための部分である。なお、スライド方向は、スライド部材２４の円盤部２４ａの径方向である。

　具体的には、図８に示すように、ガイドタブ２４ｂは、円盤部２４ａの外周縁からスライド方向（円盤部２４ａの径方向（Ｙ軸方向））外側に向かって突出する舌片状の部分である。このガイドタブ２４ｂに係合して該ガイドタブ２４ｂをスライド方向にガイドするガイド穴２２ｅが、ベース部材２２に形成されている。このガイド穴２２ｅは、１本の脚部２２ｂ２をスライド方向に貫通している。したがって、図７に示すように、ガイドタブ２４ｂがガイド穴２２ｅに係合することにより、スライド部材２４は、ベース部材２２の天板部２２ａの下方でスライド方向に移動するようにガイドされる。

　図８に示すように、スライド部材２４のスライドレバー２４ｃは、スライド部材２４をスライドさせるための部分である。

　具体的には、スライドレバー２４ｃは、ガイドタブ２４ｂと対向する円盤部２４ａの外周縁の部分から該円盤部２４ａの厚み方向（Ｚ軸方向）に延在する部分である。ケーブル保持装置２０の断面図である図９に示すように、スライドレバー２４ｃは、ガイド穴２２ｅが形成された脚部２２ｂ２と対向する脚部２２ｂ４に対してスライド方向（Ｙ軸方向）に対向する。

　また、図８に示すように、スライドレバー２４ｃには、スライド方向（Ｙ軸方向）に貫通するめねじ穴２４ｅが形成されている。このめねじ穴２４ｅに対向するベース部材２２の脚部２２ｂ４の部分にねじ通し穴２２ｆが形成されている。

　スライドレバー２４ｃのめねじ穴２４ｅには、固定ねじ２６が係合（螺合）する。具体的には、固定ねじ２６の軸部（おねじ部）が、スプリングワッシャ２８とベース部材２２のねじ通し穴２２ｆとを通過してスライドレバー２４ｃのめねじ穴２４ｅに係合する。これにより、それに加えてガイドタブ２４ｂとガイド穴２２ｅとの係合により、スライド部材２４がベース部材２２に支持される。

　固定ねじ２６を回すことにより、スライド部材２４は、「ケーブル挟持解除位置」と「ケーブル挟持位置」との間で、スライド方向（Ｙ軸方向）にベース部材２２に対してスライド移動（平行移動）し、これらの位置に固定される。

　「ケーブル挟持解除位置」は、図７および図９に示すように、ベース部材２２の貫通穴２２ｃとスライド部材２４の貫通穴２４ｄとをケーブルＷが通過可能に相互に重なる状態にする、ベース部材２２に対するスライド部材２４の位置である。本実施の形態の場合、「ケーブル挟持解除位置」は、同一のケーブルＷが通過する貫通穴２２ｃ、２４ｄの開口の形状が同一形状であるため、貫通穴２２ｃ、２４ｄを通過するケーブルＷの部分の延在方向（図９ではＺ軸方向）に見た場合に、貫通穴２２ｃに対して貫通穴２４ｄの略全体がオーバーラップする位置である。

　図１０および図１１は、ケーブルＷを保持している状態、すなわちスライド部材２４が「ケーブル挟持位置」に固定されている状態のケーブル保持装置２０の斜視図および断面図を示している。

　図１０および図１１に示すように、ケーブル保持装置２０がケーブルＷを保持するとき、ベース部材２２の貫通穴２２ｃに対してスライド部材２４の貫通穴２４ｄは、スライド方向（Ｙ軸方向）にずれている。すなわち、貫通穴２２ｃ、２４ｄを通過するケーブルＷの部分の延在方向（図１０および図１１ではＺ軸方向）に見た場合に、貫通穴２２ｃに対して貫通穴２４ｄが部分的にオーバーラップしている。

　具体的には、スライド部材２４が「ケーブル挟持解除位置」からベース部材２２に対して適当な変位量でスライド方向（Ｙ軸方向）にスライドすることにより、ベース部材２２の貫通穴２２ｃに対してスライド部材２４の貫通穴２４ｄが適当なオーバーラップ量でオーバーラップする。それにより、図１１に示すように、一方の貫通穴２２ｃの内周面や開口縁などの内周部がケーブルＷに接触する。それとともに、その一方の貫通穴２２ｃのケーブルＷに対する接触方向（Ｙ軸負方向）に対して反対方向（Ｙ軸正方向）に、他方の貫通穴２４ｄの内周面や開口縁などの内周部がケーブルＷに接触する。

　その結果、これらの貫通穴２２ｃ、２４ｄを通過するケーブルＷは、貫通穴２２ｃの内周部と貫通穴２４ｄの内周部とにより、貫通穴２４ｄのオーバーラップ量に対応する挟持力で、ケーブルＷのほぼ径方向（ほぼＹ軸方向）に挟持される。

　このことについて補足する。貫通穴２２ｃと貫通穴２４ｄは、厳密にはスライド部材２４のスライド方向（Ｙ軸方向）に対向していない。理由は、貫通穴２２ｃがベース部材２２に設けられ、貫通穴２４ｄがベース部材２２に重なるスライド部材２４に設けられているからである。そのため、ケーブルＷを挟持する一方の貫通穴２２ｃの内周部と他方の貫通穴２４ｄの内周部は、厳密にはＹ軸方向に対向せず、したがって、それらの部分によってケーブルＷはほぼ径方向（ほぼＹ軸方向）に挟持される。なお、ベース部材２２とスライド部材２４との間の距離が狭くなればなるほど、ケーブルＷは略Ｙ軸方向に挟持される。また、ベース部材２２とスライド部材２４との間の距離が離れていても、ケーブルＷは、少なくともスライド方向（Ｙ軸方向）成分を含む方向に、抜けないように挟持される。

　このようにケーブルＷが挟持されることにより、そのケーブルＷは、その径方向（Ｘ軸方向、Ｙ軸方向）および延在方向（Ｚ軸方向）の移動を規制されつつ、ケーブル保持装置２０によって保持される。

　したがって、本実施の形態の場合には、ベース部材２２の貫通穴２２ｃに対してスライド部材２４の貫通穴２４ｄの略全体がオーバーラップするときは、ケーブルＷの挟持を解除可能である（すなわちケーブルＷを解放可能である）。ベース部材２２の貫通穴２２ｃに対してスライド部材２４の貫通穴２４ｄが所定量以下のオーバーラップ量でオーバーラップするときは、ケーブルＷが抜けないように保持される。

　なお、ケーブルＷの種類に応じて、図１１に示すように、ケーブルＷを保持するときに該ケーブルＷに傷がつかないように、また、ケーブルＷを滑ることなく保持するために、ベース部材２２の貫通穴２２ｃの両端それぞれの開口縁は、面取り部２２ｇを備えてもよい。同様に、スライド部材２４の貫通穴２４ｄの両端それぞれの開口縁も、面取り部２４ｆを備えてもよい。これにより、ケーブルＷを、傷つけることなく、また滑ることなく、ケーブル保持装置２０は保持することができる。

　また、このような構成の本実施の形態のケーブル保持装置によれば、複数のケーブルＷを同時にワンアクションで保持することができる。

　さらに、上述したように、また、図６に示すように、接着剤１４のフィレット部１４ａを形成するためにケーブル保持装置２０を利用することも可能である。例えば、接着剤１４が硬化する前に、エンドプレート１２に固定されていないケーブル保持装置２０によって複数のケーブルＷを保持する。複数のケーブルＷを保持した後、ケーブル保持装置２０をケーブルＷの延在方向に往復動させることにより、複数のケーブルＷそれぞれを同時に往復動させることができる。その結果、複数のケーブルＷそれぞれに対して、同様の接着剤１４のフィレット部１４ａを形成することができる。その接着剤１４が硬化した後、ケーブル保持装置２０をケーブル解放状態にし、そのケーブル保持装置２０をエンドプレート１２に固定する。そして、その固定後、ケーブル保持装置２０によって複数のケーブルＷを再び保持する。

　以上のような本実施の形態によれば、ケーブルＷの径方向および延在方向の移動を規制しつつ、ケーブルＷを保持することができる。

　なお、本開示の実施形態は、上述の実施の形態に限らない。

　例えば、上述の実施の形態の場合、ケーブル保持装置２０が保持するケーブルＷは、複数本であるが、これに代わって一本であってもよい。

　また、上述の実施の形態の場合、図７に示すように、スライド部材２４は、直接的にベース部材２２に取り付けられている。これに代わって、別の部材を介してスライド部材２４がベース部材２２に取り付けられてもよい。すなわち、ケーブルＷを保持するために、ベース部材に対して直接的または間接的にスライド部材を固定できればよい。

　また、ケーブル保持装置２０では、スライド部材２４はベース部材２２の－Ｚ軸方向側に配置されているが、スライド部材はベース部材の上部（＋Ｚ軸方向側）に配置されてもよい。この場合、ベース部材のガイド穴とスライド部材のガイドタブとが係合するように、それらの形状を構成すればよい。また、ケーブル保持装置２０におけるベース部材２２のねじ通し穴２２ｆに対応する部分にめねじ穴が設けられ、スライド部材２４のめねじ穴２４ｅに対応する部分にねじ通し穴が設けられることにより、固定ねじの回転によって、スライド部材がベース部材に対して、貫通穴の貫通方向と交差する方向（Ｙ軸方向）にスライドするように構成できる。

　さらに、上述の実施の形態の場合、図８に示すように、ケーブル保持装置２０のベース部材２２の貫通穴２２ｃとスライド部材２４の貫通穴２４ｄそれぞれの開口は、同一の円形状である。しかしながら、本開示の実施の形態は、これに限らない。ベース部材の貫通穴とスライド部材の貫通穴それぞれの開口は、例えば楕円状、ひし形状、矩形状などであってもよい。また、同一のケーブルが通過するベース部材の貫通穴の開口形状とスライド部材の貫通穴の開口形状とが異なっていてもよい。すなわち、それぞれの貫通穴の内周面によってケーブルを挟持できるのであれば、開口の形状は問わない。

　さらにまた、上述の実施の形態の場合、図７および図９に示すように、ケーブル保持装置２０がケーブルＷを解放しているとき、ベース部材２２の貫通穴２２ｃに対してスライド部材２４の貫通穴２４ｄの略全体がオーバーラップしている。しかしながら、本開示の実施の形態は、これに限らない。ケーブルが解放可能であれば、ベース部材の貫通穴に対してスライド部材の貫通穴の一部がオーバーラップしてもよい。この場合、ケーブルを保持しているときは、ベース部材の貫通穴に対して第１のオーバーラップ量でスライド部材の貫通穴が部分的にオーバーラップする。一方、ケーブルを解放しているときは、ベース部材の貫通穴に対して、第１のオーバーラップ量に比べて大きい第２のオーバーラップ量でスライド部材の貫通穴が部分的にオーバーラップする。

　加えて、上述の実施の形態の場合、ケーブル保持装置２０は、同一方向（Ｚ軸方向）に貫通する貫通穴２２ｃ、２４ｄを備えるベース部材２２とスライド部材２４を有し、スライド部材２４がベース部材２２の貫通穴２２ｃの貫通方向に交差するスライド方向（Ｙ軸方向）にスライド可能にベース部材２２に支持されている。しかしながら、本開示の実施の形態は、これに限らない。

　図１２Ａおよび図１２Ｂは、別の実施の形態に係るケーブル保持装置の断面を示している。図１２ＡはケーブルＷを解放している状態のケーブル保持装置を示し、図１２ＢはケーブルＷを保持している状態のケーブル保持装置を示している。

　図１２Ａおよび図１２Ｂに示すように、別の実施の形態に係るケーブル保持装置１２０は、凸形状のベース部材１２２（第１の部材）と、ベース部材１２２に対して摺動可能に係合するキャップ状のスライド部材１２４（第２の部材）と、ベース部材１２２に対してスライド部材１２４を移動させ、固定するための固定ねじ１２６（固定部材）とを有する。

　ベース部材１２２は、ケーブルＷの延在方向（Ｚ軸方向）に貫通する複数の貫通穴１２２ｃを備える。

　スライド部材１２４は、ベース部材１２２の貫通穴１２２ｃの貫通方向（Ｚ軸方向）に摺動して移動可能に該ベース部材１２２に支持されている。また、スライド部材１２４にも、同一方向に貫通する複数の貫通穴１２４ｄが形成されている。貫通方向に見た場合、ベース部材１２２の貫通穴１２２ｃに対して、スライド部材１２４の貫通穴１２４ｄは部分的にオーバーラップしている。

　また、図１２Ａおよび図１２Ｂに示すように、スライド部材１２４の天板部１２４ａには固定ねじ１２６が通過するねじ通し穴が設けられ、ベース部材１２２の天板部１２２ａには固定ねじ１２６が係合（螺合）するめねじ穴が設けられている。固定ねじ１２６を回すことにより、スライド部材１２４は、「ケーブル挟持解除位置」と「ケーブル挟持位置」との間で、スライド方向（Ｚ軸方向）にベース部材１２２に対してスライド移動（平行移動）し、これらの位置に固定される。

　このような構成のケーブル保持装置１２０によれば、図１２Ａに示すように、ベース部材１２２に対して離れるように、ベース部材１２２の貫通穴１２２ｃの貫通方向（Ｚ軸方向）にスライド部材１２４が移動すると、ケーブルＷが解放される。すなわち、ケーブルＷが、ベース部材１２２の貫通穴１２２ｃとスライド部材１２４の貫通穴１２４ｄとを移動可能な状態にされる。

　一方、図１２Ｂに示すように、スライド部材１２４がベース部材１２２に接近すると（重なると）、ベース部材１２２の貫通穴１２２ｃの内周面とスライド部材１２４の貫通穴１２４ｄの内周面とにより、ケーブルＷが、ほぼその径方向（Ｙ軸方向）に挟持される。その結果、ケーブルＷがケーブル保持装置１２０によって保持される。

　なお、ケーブル保持装置１２０では、スライド部材１２４はベース部材１２２の＋Ｚ軸方向側に配置されているが、スライド部材はベース部材の凹部の内部（－Ｚ軸方向側）に配置されてもよい。この場合、ベース部材の天板部にねじ通し穴が設けられ、スライド部材の天板部にめねじ穴が設けられることにより、固定ねじが回ることによって、ベース部材とスライド部材とが、貫通穴の貫通方向（Ｚ軸方向）に接近または離反するように構成できる。

　このように、本開示に係るケーブル保持装置は、様々な形態が可能である。すなわち、本開示の実施の形態に係るケーブル保持装置は、広義には、ケーブルを保持するケーブル保持装置であって、ケーブルが通過する第１の貫通穴を備える第１の部材と、ケーブルが通過する第２の貫通穴を備える第２の部材と、第１の貫通穴に対して第２の貫通穴が部分的にオーバーラップして第１の貫通穴の内周面と第２の貫通穴の内周面とによってケーブルを保持する状態で、第１の部材に対して第２の部材を固定する固定部材と、を有する。

　なお、上述の実施の形態に係るケーブル保持装置は、耐圧容器の内部から外部に向かって延在する複数のケーブルを保持するためのものであるが、本開示のケーブル保持装置はこれに限定されない。

　以上のように、本開示における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。

　また、前述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。

　本開示は、径方向および延在方向への移動を規制する必要がある少なくとも１つのケーブルを備える装置などに適用可能である。

　　２０，１２０　　　ケーブル保持装置
　　２２，１２２　　　第１の部材（ベース部材）
　　２２ｃ，１２２ｃ　第１の貫通穴（貫通穴）
　　２２ｆ　　　　　　ねじ通し穴
　　２２ｇ，２４ｆ　　面取り部
　　２４，１２４　　　第２の部材（スライド部材）
　　２４ｄ，１２４ｄ　第２の貫通穴（貫通穴）
　　２４ｅ　　　　　　めねじ穴
　　２６，１２６　　　固定部材（固定ねじ）
　　Ｗ　　　　　　　　ケーブル

Claims

　ケーブルを保持するケーブル保持装置であって、
　前記ケーブルが通過する第１の貫通穴を備える第１の部材と、
　前記ケーブルが通過する第２の貫通穴を備える第２の部材と、
　前記第１の貫通穴に対して前記第２の貫通穴が部分的にオーバーラップして前記第１の貫通穴の内周部と前記第２の貫通穴の内周部とが前記ケーブルを保持する状態で、前記第１の部材に対して前記第２の部材を固定する固定部材と、を有するケーブル保持装置。
　前記第２の部材が、前記第１の貫通穴の貫通方向と交差する方向に移動可能に、前記第１の部材に支持されている、請求項１に記載のケーブル保持装置。
　前記第２の部材が、前記第１の貫通穴の貫通方向に移動可能に、前記第１の部材に支持されている、請求項１に記載のケーブル保持装置。
　前記固定部材が、固定ねじであり、
　前記固定ねじの回転によって、前記第２の部材が、前記第１の部材に対して移動する、請求項１から３のいずれか一項に記載のケーブル保持装置。
　前記第１の部材が、前記固定ねじが通過するねじ通し穴を備える場合は、前記第２の部材が、前記固定ねじと係合するめねじ穴を備え、
　前記第２の部材が、前記固定ねじが通過するねじ通し穴を備える場合は、前記第１の部材が、前記固定ねじと係合するめねじ穴を備える、請求項４に記載のケーブル保持装置。
　前記第１の貫通穴の両端それぞれの開口縁と前記第２の貫通穴の両端それぞれの開口縁とが、面取り部を備える、請求項１から５のいずれか一項に記載のケーブル保持装置。
　前記第１の貫通穴が前記第１の部材に複数形成され、
　前記第１の貫通穴と同数の前記第２の貫通穴が前記第２の部材に形成されている、請求項１から６のいずれか一項に記載のケーブル保持装置。