WO2018051705A1 - ダンパ装置 - Google Patents

Abstract

ストッパ機構に作用する衝撃力を緩和し、各部材を安価に構成できるようにする。この装置は、第１フライホイール（１１）と、第１フライホイール（１１）に対して相対回転可能な第２フライホイール（１２）と、第１スプリング（３１）及び第２スプリングセット（３２）を有する弾性ユニット（１３）と、を備えている。弾性ユニット（１３）は、１対の第１スプリングシート（４１）と、複数の第２及び第３スプリングシート（４２，４３）と、をさらに有している。第１スプリングシート（４１）は、それらの円周方向間に各スプリング（３１，３２）が配置され、第１及び第２フライホイール（１１，１２）に係合する。第２及び第３スプリングシート（４２，４３）は、隣接する各スプリング（３１，３２）の円周方向間に配置され、両フライホイール（１１，１２）の所定角度以上の相対回転を禁止するストッパ部を有し、第１スプリングシート（４１）より低い剛性を有する。

Description

ダンパ装置

　本発明は、複数の弾性部材を含む弾性ユニットを有するダンパ装置に関する。

　例えば、車両のエンジンとトランスミッションとの間には、ダンパ装置の一例として、特許文献１に示されるようなフライホイール組立体が設けられている。このフライホイール組立体は、相対回転自在な第１フライホイール及び第２フライホイールと、これらを回転方向に弾性的に連結する複数のスプリングと、を有している。そして、複数のスプリングの円周方向の端部には、スプリングを支持するためのスプリングシートが設けられている。

特開２０１１－２２０４０９号公報

　ダンパ装置においては、第１回転部材と第２回転部材との相対回転角度を所定の角度範囲に規制するためにストッパ機構が設けられている。例えば特許文献１に示されたフライホイール組立体では、スプリングが所定量だけ変形した際にスプリングシート同士を当接させて、第１フライホイールと第２フライホイールの相対回転を禁止するようにしている。

　ここで、特に特許文献１のフライホイール組立体では、エンジンのアイドル回転数以下で特定の共振周波数を持っている。したがって、共振が生じると、フライホイール組立体に過大なトルクが入力され、ストッパ機構やその他の部材に対して衝撃力が作用する。このため、各部材の強度を高くする必要があり、コストの増加や、寸法の大型化を招く。

　本発明の課題は、ストッパ機構に作用する衝撃力を緩和し、各部材を安価に構成できるようにすることにある。

　（１）本発明に係るダンパ装置は、第１回転部材と、第２回転部材と、弾性ユニットと、を備えている。第２回転部材は第１回転部材に対して回転可能に配置されている。弾性ユニットは、複数の弾性部材を有し、第１回転部材と第２回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。弾性ユニットは、１対の係合用シートと、複数のストッパ用シートと、をさらに有している。１対の係合用シートは、それらの円周方向間に複数の弾性部材が配置され、第１回転部材及び第２回転部材に係合するとともに、弾性部材の端面を支持する。複数のストッパ用シートは、隣接する弾性部材の円周方向間に配置されて弾性部材の両端を支持する支持部と、第１回転部材と第２回転部材の所定角度以上の相対回転を禁止するストッパ部と、を有し、１対の係合用シートより低い剛性を有する。

　この装置では、第１回転部材に動力が入力されると、この動力は係合用シート及び複数の弾性部材を介して第２回転部材に伝達される。このとき、複数の弾性部材はストッパ用シートを介して直列に作用する。そして、複数の弾性部材が所定量だけ弾性変形し、第１回転部材と第２回転部材の相対回転角度が所定角度になると、ストッパ用シートのストッパ部同士が当接し、両回転部材の相対回転が禁止される。

　ストッパ用シートは、係合用シートより低い剛性、すなわち比較的低い剛性であるので、ストッパ部が衝突した際の衝撃力が緩和される。したがって、従来装置に比較して各部材の強度を低くすることができ、安価な装置を実現できる。

　（２）好ましくは、１対の係合用シート及び複数のストッパ用シートは樹脂製である。この場合も、ストッパ用シートのストッパ部が衝突した際の衝撃力を緩和することができる。

　（３）好ましくは、ストッパ用シートは、第１シート、第２シート、及び第３シートを有している。また、弾性部材は、第１弾性部材、第２弾性部材、第３弾性部材、及び第４弾性部材を有している。第１弾性部材は、一方の係合用シートと第１シートとの間に配置されている。第２弾性部材は、第１シートと第２シートとの間に配置され、第１弾性部材より高い剛性を有する。第３弾性部材は、第２シートと第３シートとの間に配置され、第１弾性部材より高い剛性を有する。第４弾性部材は、第３シートと他方の係合用シートとの間に配置され、第２弾性部材及び第３弾性部材より低い剛性を有する。

　この装置では、弾性ユニットにトルクが入力されると、まず低剛性の第１弾性部材及び第４弾性部材が弾性変形し、その後、高剛性の第２弾性部材及び第３弾性部材が弾性変形する。そして、第２弾性部材及び第３弾性部材が所定量弾性変形すると、これらの弾性部材を支持する第１～第３シートのストッパ部が互いに当接する。これにより、第１回転部材と第２回転部材の相対回転が禁止される。

　（４）好ましくは、ストッパ用シートの支持部は、両側面に弾性部材の両端が当接している。また、ストッパ部は、支持部の外周部から円周方向の両方に延びて形成されている。

　以上のような本発明では、ストッパ機構に作用する衝撃力が緩和される。このため、各部材の強度を従来装置に比較して低くでき、装置のコストを抑えることができる。

本発明の一実施形態によるフライホイール組立体の断面図。 図１のフライホイール組立体の正面部分図。 第１スプリングシートの側面図及び正面断面図。 第２スプリングシートの左右側面図及び正面断面図。 第３スプリングシートの左右側面図及び正面断面図。

　［全体構成］
　図１は本発明の一実施形態によるフライホイール組立体１（ダンパ装置の一例）の断面図であり、図２はその正面部分図である。

　フライホイール組立体１は、エンジンからの動力を図示しないクラッチ装置を介してトランスミッションに伝達するための装置である。図１及び図２に示すように、フライホイール組立体は、第１フライホイール１１（第１回転部材の一例）と、第２フライホイール１２（第２回転部材の一例）と、弾性ユニット１３と、を備えている。

　　＜第１フライホイール１１＞
　第１フライホイール１１は、エンジンのクランクシャフトに固定され、エンジンからのトルクが入力される。第１フライホイール１１は、第１プレート１５と、第２プレート１６と、支持部材１７と、を有している。

　第１プレート１５は、リベット１８により支持部材１７に固定された円板状のプレート本体１５ａと、２つの側方部１５ｂと、プレート本体１５ａ及び側方部１５ｂの外周部から軸方向に延びる筒状部１５ｃと、を有している。側方部１５ｂは、プレート本体１５ａよりもエンジン側に迫り出した部分であり、例えばプレス加工により成形されている。２つの側方部１５ｂは、回転方向に等角度間隔で配置されている。側方部１５ｂは、後述する２つの第１スプリング及び２つの第２スプリングセットに対応する領域に形成されている。

　第２プレート１６は、外周部が第１プレート１１の筒状部１５ｃに固定された環状の部材であり、プレート本体１６ａと、２つの側方部１６ｂと、内側筒状部１６ｃと、を有している。側方部１６ｂは、プレート本体１６ａよりもトランスミッション側に迫り出した部分であり、例えばプレス加工により成形されている。２つの側方部１６ｂは、回転方向に等角度間隔で、第１プレート１５の側方部１５ｂと軸方向に対向して配置されている。内側筒状部１６ｃは、プレート本体１６ａの内周部からエンジン側に延びる筒状の部分であり、シール部材１９と接触している。

　　＜第２フライホイール１２＞
　第２フライホイール１２は、第１フライホイール１１に対して回転可能に配置されており、フライホイール本体２１と、出力プレート２２と、を有している。出力プレート２２はリベット２３によりフライホイール本体２１に固定されている。第２フライホイール１２は軸受２５により第１フライホイール１１に対して回転可能に支持されている。

　フライホイール本体２１は第１フライホイール１１を構成する第２プレート１６のトランスミッション側に配置された環状の部材である。このフライホイール本体２１の側面に、クラッチ装置を構成するクラッチディスク組立体（図示せず）が押し付けられる。出力プレート２２は、第１フライホイール１１の第１プレート１５と第２プレート１６との間に配置されている。図２に示すように、出力プレート２２は、環状の本体部２２ａと、本体部２２ａから半径方向に延びる２つの伝達部２２ｂと、を有している。

　　＜弾性ユニット１３＞
　弾性ユニット１３は、第１フライホイール１１と第２フライホイール１２とを回転方向に弾性的に連結する機構であり、図２に示すように、４つの第１スプリング３１と、４つの第２スプリングセット３２と、４つの第１スプリングシート４１（係合用シートの一例）と、４つの第２スプリングシート４２（ストッパ用シートの一例）と、２つの第３スプリングシート４３（ストッパ用シートの一例）と、を有している。

　図２に示すように、２つの第１スプリング３１及び２つの第２スプリングセット３２は、第１フライホイール１１と第２フライホイール１２との間で直列に作用するように配置されている。２つの第１スプリング３１及び２つの第２スプリングセット３２は、第１プレート１５の１側方部１５ｂ、第２プレート１６の側方部１６ｂ、及び第１プレート１５の筒状部１５ｃにより形成された収容空間に、予め圧縮された状態で配置されている。

　第１スプリング３１の剛性は第２スプリングセット３２の剛性よりも低く設定されている。また、第２スプリングセット３２は、親スプリング３２ａと、子スプリング３２ｂと、を有している。子スプリング３２ｂは親スプリング３２ａの内周部に並列に作用するように配置されている。

　第１スプリングシート４１は、図２、図３（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、第１スプリング３１の一方の端部を支持しており、支持部４１ａと、支持部４１ａから軸方向に延びる環状のストッパ部４１ｂと、を有している。第１スプリングシート４１は樹脂により一体で形成されている。

　支持部４１ａは、第１スプリング３１の端部と出力プレート２２の伝達部２２ｂとの間に配置されており、第１スプリング３１の端部を支持している。ストッパ部４１ｂは、第１スプリング３１の端部の外周を取り囲んでおり、端部がはめ込まれる円形の支持孔４１ｃを形成している。ストッパ部４１ｂは環状の当接面４１ｄを有している。

　第２スプリングシート４２は、図１、図４（Ａ）～（Ｃ）に示すように、第１スプリング３１の他方の端部と第２スプリングセット３２の一方の端部との間に配置されており、各スプリング３１，３２の端部を半径方向及び軸方向に支持している。第２スプリングシート４２は、支持部４２ａと、第１ストッパ部４２ｂと、第２ストッパ部４２ｃと、内側支持部４２ｄと、を有している。第２スプリングシート４２は、樹脂により一体で形成されており、第１スプリングシート４１より低い剛性を有している。

　支持部４２ａは第２スプリングセット３２の端部と第１スプリング３１の端部とに当接している。第１ストッパ部４２ｂは、支持部４２ａから第１スプリング３１側に延びており、第１スプリング３１の端部がはめ込まれる円形の支持孔４２ｅを有している。第１ストッパ部４２ｂは環状の第１当接面４２ｆを有しており、第１当接面４２ｆは第１スプリングシート４１の当接面４１ｄと当接可能である。第２ストッパ部４２ｃは、支持部４２ａから第２スプリングセット３２側に延びており、第２スプリングセット３２の端部の外周を取り囲んでいる。この第２ストッパ部４２ｃにより、第２スプリングセット３２の径方向外側及び軸方向への移動を規制している。内側支持部４２ｄは、支持部４２ａから第２スプリングセット３２側に延びており、第２スプリングセット３２の端部の径方向内側及び軸方向への移動を規制している。また、第２ストッパ部４２ｃは第２当接面４２ｇを有している。

　第３スプリングシート４３は、図１、図５（Ａ）～（Ｃ）に示すように、隣り合う第２スプリングセット３２の間に配置されており、第２スプリングセット３２の端部を径方向及び軸方向に支持している。第３スプリングシート４３は、支持部４３ａと、１対のストッパ部４３ｂと、１対の内側支持部４３ｃと、を有している。第３スプリングシート４３は、樹脂により一体で形成されており、第１スプリングシート４１より低く第２スプリングシート４２と同じ剛性を有している。

　支持部４３ａは隣り合う第２スプリングセット３２の端部を支持している。１対のストッパ部４３ｂは、支持部４３ａから回転方向両側に延びており、第２スプリングセット３２の端部の外周側に配置されている。このストッパ部４３ｂにより、第２スプリングセット３２の端部の径方向外側及び軸方向への移動を規制している。１対の内側支持部４３ｃは、支持部４３ａから回転方向両側に延びており、第２スプリングセット３２の端部の内周側に配置されている。この内側支持部４３ｃにより、第２スプリングセット３２の端部の径方向内側及び軸方向への移動を規制している。１対のストッパ部４３ｂはそれぞれ当接面４３ｄを有している。当接面４３ｄは、第２スプリングシート４２の第２当接面４２ｇに当接可能である。

　［動作］
　クラッチディスク組立体が第２フライホイール１２に押し付けられると、エンジンからの動力がフライホイール組立体１及びクラッチディスク組立体を介してトランスミッションに伝達される。具体的には、第１フライホイール１１に動力が入力されると、第１フライホイール１１と第２フライホイール１２との間で第１スプリング３１及び第２スプリングセット３２が圧縮され、第２フライホイール１２にトルクが伝達される。このとき、第１スプリング３１は第２スプリングセット３２に比較して剛性が低いので、まず第１スプリング３１が圧縮され、その後第２スプリングセット３２が圧縮される。

　伝達されるトルクが大きくなると、第１スプリング３１及び第２スプリングセット３２の圧縮量が大きくなって第１フライホイール１１と第２フライホイール１２との間の捩り角度（すなわち相対回転）が大きくなる。このとき、第２スプリングセット３２に比較して第１スプリング３１の圧縮量の方が大きいので、まず、第１スプリングシート４１のストッパ部４１ｂの当接面４１ｆと第２スプリングシート４２の第１ストッパ部４２ｂの第１当接面４２ｆとが当接する。これにより、第１スプリング３１の圧縮は停止する。

　そして、さらに伝達されるトルクが大きくなって第１フライホイール１１と第２フライホイール１２との間の捩り角度がより大きくなると、第２スプリングシート４２の第２ストッパ部４２ｃの第２当接面４２ｇと、第３スプリングシート４３のストッパ部４３ｂの当接面４３ｄと、が当接する。この結果、第１フライホイール１１と第２フライホイール１２との相対回転が禁止される。

　ここで、本実施形態のようなフライホイール組立体１では、エンジンのアイドル回転数以下で共振周波数を有している。したがって、エンジン始動時には、共振が発生して過大なトルクがフライホイール組立体１に入力されることになる。

　過大なトルクが入力されると、前述のように第１フライホイール１１と第２フライホイール１２との捩り角度が大きくなるので、第２スプリングシート４２と第３スプリングシート４３とが衝突する。しかし、第２スプリングシート４２と第３スプリングシート４３とは比較的低い剛性の樹脂で形成されているので、従来装置のように全てのスプリングシートを同じ高い剛性の部材で形成している場合に比較して、衝突時の衝撃力が低減される。

　したがって、従来装置に比較して、各部材の強度を低くでき、コストを抑えることができる。

　［他の実施形態］
　本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。

　（ａ）スプリングの構成及び個数や、スプリングシートの個数は前記実施形態に限定されない。

　（ｂ）前記実施形態では、本発明をフライホイール組立体に適用したが、他のダンパ装置にも本発明を適用することができる。

　本発明のダンパ装置では、ストッパ機構に作用する衝撃力が緩和される。このため、各部材の強度を従来装置に比較して低くでき、装置のコストを抑えることができる。

１　フライホイール組立体
１１　第１フライホイール（第１回転部材）
１２　第２フライホイール（第２回転部材）
１３　弾性ユニット
３１　第１スプリング（第１弾性部材、第４弾性部材）
３２　第２スプリングセット（第２弾性部材、第３弾性部材）
４１　第１スプリングシート（係合用シート）
４１ａ　支持部
４１ｂ　ストッパ部
４２　第２スプリングシート（ストッパ用シート、第１シート、第３シート）
４２ａ　支持部
４２ｂ，４２ｃ　ストッパ部
４３　第３スプリングシート（ストッパ用シート、第２シート）
４３ａ　支持部
４３ｂ　ストッパ部

Claims (4)

1. 　第１回転部材と、
   　前記第１回転部材に対して回転可能に配置された第２回転部材と、
   　複数の弾性部材を有し、前記第１回転部材と前記第２回転部材とを回転方向に弾性的に連結する弾性ユニットと、
   を備え、
   　前記弾性ユニットは、
   　それらの円周方向間に前記複数の弾性部材が配置され、前記第１回転部材及び前記第２回転部材に係合するとともに、前記弾性部材の端面を支持する１対の係合用シートと、
   　隣接する前記弾性部材の円周方向間に配置されて前記弾性部材の両端を支持する支持部と、前記第１回転部材と前記第２回転部材の所定角度以上の相対回転を禁止するストッパ部と、を有し、前記１対の係合用シートより低い剛性を有する複数のストッパ用シートと、
   をさらに有する、
   ダンパ装置。
2. 　前記１対の係合用シート及び複数の前記ストッパ用シートは樹脂製である、請求項１に記載のダンパ装置。
3. 　前記ストッパ用シートは、第１シート、第２シート、及び第３シートを有し、
   　前記弾性部材は、
   　一方の前記係合用シートと前記第１シートとの間に配置された第１弾性部材と、
   　前記第１シートと前記第２シートとの間に配置され、前記第１弾性部材より高い剛性を有する第２弾性部材と、
   　前記第２シートと前記第３シートとの間に配置され、前記第１弾性部材より高い剛性を有する第３弾性部材と、
   　前記第３シートと他方の前記係合用シートとの間に配置され、前記第２弾性部材及び前記第３弾性部材より低い剛性を有する第４弾性部材と、
   を有する、
   請求項１又は２に記載のダンパ装置。
4. 　前記ストッパ用シートの支持部は、両側面に前記弾性部材の両端が当接しており、
   　前記ストッパ部は、前記支持部の外周部から円周方向の両方に延びて形成されている、
   請求項１から３のいずれかに記載のダンパ装置。

Images