WO2017188298A1 - ラベル付き樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

ラベルを樹脂成形品から剥離したとき、多孔質層(B)が、樹脂成形品に貼着したまま残留する第1多孔質分離層(B1)と、基層(A)に伴って剥離した第2多孔質分離層(B2)に分離し、第1多孔質分離層(B1)の剥離後露出面に、インキ組成物による第1インキパターン(P1)が現れる。この第1インキパターン(P1)は目視で確認することができる。

Description

ラベル付き樹脂成形品及びその製造方法
 本発明はラベル付き樹脂成形品に関するものである。より具体的には、ラベルの多孔質層によりラベルが樹脂成形品に貼着しているラベル付き樹脂成形品に関するものである。
 従来から、金型内に予めブランク又はラベルをインサートし、次いで射出成形、中空成形、差圧成形、発泡成形などにより該金型内で容器等の樹脂成形品を成形して、ラベルが一体となった樹脂成形品を成形することが行われている。この様なラベルは、インモールド成形用ラベルと呼ばれている。インモールド成形用ラベルとしては、グラビア印刷された樹脂フィルム、オフセット印刷された合成紙、フレキソ印刷された合成紙、或いは、アルミニウム箔の裏面に高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体をラミネートし、その箔の表面にグラビア印刷したアルミニウムラベルなどが知られ、実用に供されている。
 近年、プラスチック容器の回収利用(マテリアルリサイクル)の観点から、インモールド成形用ラベルを用いたラベル付きプラスチック容器から、ラベルを容易に分離し除去したいという要望が聞かれるようになっている。このような要望に応えるために、ラベル内に界面剥離や層間剥離を可能とする層を設けたものも提案されている。
 このような従来のインモールド成形用ラベルは、樹脂成形品と接合するために高密度ポリエチレンなどをヒートシール層として設けたものがほとんどである。この種のラベルは、成形品の素材がヒートシール層と同じポリエチレン樹脂である場合は、成形品と強固な接着力が得られる。しかし、成形品の素材がヒートシール層とは異なるポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等である場合は、該成形品との接着力が極めて低く、輸送途中に該成形品からラベルが容易に剥がれてしまうという欠点があった。このため、ラベルと成形品の接着を強固にするためには、成形品と同じ素材の樹脂をヒートシール層として用いたラベルを成形品ごとに用意する必要があり、ラベルの在庫管理が複雑化するといった問題を生じていた。また、成形品の成形温度が低い場合は成形品とラベルの間に十分な接着強度が得られないため、成形品の成形温度を高く設定する必要があり、生産性が低下するといった欠点も指摘されていた。
 そこで、低融点樹脂からなるヒートシール層の熱融着により貼着する従来型のインモールド成形用ラベルに代わり、表面が開口した多孔質樹脂層を貼着側表面に有する新しいタイプのインモールド成形用ラベルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このインモールド成形用ラベルでは、成形品樹脂が成形時の圧力で多孔質樹脂層表面の開口部に入り込む投錨効果を発揮するため、成形品の素材を問わずラベルと成形品との接着を強固にすることができる。このような多孔質樹脂層をラベルに採用することにより、広範囲の成形品成形条件でラベルの貼り合わせを行うことが可能になり、且つ、インモールド成形したラベル付き樹脂成形品からラベルを容易に分離することも可能になった。
特許文献1:特開2012-215799号公報
 ところで、上記のような新しいタイプのラベル付き樹脂成形品に用いるラベルの貼着面に予め印刷情報を付与しておき、樹脂成形品からラベルを剥離することにより露出した樹脂成形品側の露出面(剥離により露わになる面)や、樹脂成形品から剥離したラベルの露出面(剥離により露わになる面)において、その印刷情報を確認することができれば、その情報を種々の用途に利用することができ、有用である。例えば、その印刷情報から、ラベルが剥離された樹脂成形品を特定して該樹脂成形品の再利用や偽造を防止することができ、ラベルを剥離した後の樹脂成形品から更なる注意事項や商品情報等を伝えることができ、剥離したラベルをクーポン券等として二次利用したりするなどの更なる機能を持たせることができる。しかしながら、ラベルの貼着面が多孔質層である場合に、そのような機能を実際に実現した報告例はない。
 例えば、特許文献1に記載されるようなラベルの貼着面に印刷を施しておき、ラベル付き樹脂成形品からラベルを剥がした後に、樹脂成形品側の剥離後の露出面に該印刷が残るようにしたり、ラベル側の剥離後の露出面に該印刷が残るようにしたりすることができれば有用である。しかし、同文献には、これを実現するための手段に関する記載や示唆がなされていない。また、本発明者らが、特許文献1に記載の条件で製造したラベルの貼着面にインキのパターンを印刷し、得られた印刷済みラベルを用いてラベル付き樹脂成形品をインモールド成形し、その後に樹脂成形品からラベルを引き剥がしてみたところ、ラベルの剥離後露出面には、そのインキのパターンが全く確認できないことが判明した。
 そこで本発明者らは、多孔質層でラベルが樹脂成形品に貼着しているラベル付き樹脂成形品において、ラベルを樹脂成形品から剥離したときに、樹脂成形品やラベルの剥離後露出面に視認可能なインキパターンが現れるラベル付き樹脂成形品を得ることを課題とした。
 本発明者らは、上記の課題を解決するために、基層(A)と多孔質層(B)の積層構造を有するラベルを用いて鋭意検討を行った。その結果、多孔質層(B)の表面に印刷したインキのパターンが多孔質層(B)に浸透したラベルを用いるとともに、ラベルを樹脂成形品から剥離したときに多孔質層(B)が破壊されるように設計することにより、課題を解決しうることを見いだした。具体的に、本発明は、以下の手段により課題を解決するものである。
[1] 樹脂成形品と、該樹脂成形品に貼着されたラベルを有するラベル付き樹脂成形品であって、前記ラベルは、基層(A)と、該基層(A)の上に設けられた多孔質層(B)と、該多孔質層(B)の内部に存在する空隙と、該空隙の一部を占めるように存在するインキ組成物を含み、前記ラベルは、前記多孔質層(B)側の表面で前記樹脂成形品に貼着しており、前記多孔質層(B)の端面から多孔質層(B)が厚み方向に2分するように切れ込みを入れ、その切れ込みが拡大するように前記基層(A)を引っ張って前記樹脂成形品から前記ラベルを剥離したとき、前記多孔質層(B)が、前記樹脂成形品に貼着したまま残留する第1多孔質分離層(B1)と、前記基層(A)に伴って剥離する第2多孔質分離層(B2)に分離するとともに、前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面に前記インキ組成物による第1インキパターン(P1)が現れ、前記第1インキパターン(P1)を目視で確認できることを特徴とするラベル付き樹脂成形品。
[2] 前記第1インキパターン(P1)は、前記多孔質層(B)の前記基層(A)と反対側の表面に前記インキ組成物を供給して、インキ組成物を多孔質層(B)の空隙の内部に浸透させたものである[1]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[3] 前記インキ組成物が実質的に色材を含まない無色のインキ組成物である[1]または[2]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[4] 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面において、前記第1インキパターン(P1)が形成されているパターン形成領域内の複数の空隙が前記無色のインキ組成物で充填されており、前記パターン形成領域と前記第1インキパターン(P1)が形成されていないパターン非形成領域との間で不透明度が異なる[3]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[5] 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面において、前記第1インキパターン(P1)が形成されていないパターン非形成領域と前記樹脂成形品の表面との色差(ΔEB)と、前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面のうち、前記第1インキパターン(P1)が形成されているパターン形成領域と前記樹脂成形品の表面との色差(ΔEP)との差(ΔEB-ΔEP)が1~50である[3]または[4]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[6] 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面において、前記第1インキパターン(P1)が形成されているパターン形成領域と前記第1インキパターン(P1)が形成されていないパターン非形成領域との色差ΔEが3以上であることを特徴とする[3]~[5]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
[7] 前記第2多孔質分離層(B2)の前記基層(A)と反対側の表面であって、前記第1インキパターン(P1)と鏡像の関係にある対応領域(P')にインキパターンが目視で確認できない[3]~[6]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
[8] 前記対応領域(P')の空隙の内部に前記インキ組成物が存在する[7]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[9] 前記インキ組成物が色材を含む有色のインキ組成物である[1]または[2]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[10] 前記多孔質層(B)の端面から多孔質層(B)が厚み方向に2分するように切れ込みを入れ、その切れ込みが拡大するように前記基層(A)を引っ張って前記樹脂成形品から前記ラベルを剥離したとき、前記インキ組成物が多孔質層(B)の剥離面よりも前記基層(A)側内部の空隙まで浸透することで、前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面に前記インキ組成物による第1インキパターン(P1)が現れるとともに、前記基層(A)に伴って剥離した前記第2多孔質分離層(B2)の前記基層(A)と反対側の表面に前記インキ組成物による第2インキパターン(P2)が現れ、前記第2インキパターン(P2)を目視で確認できる[9]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[11] 前記第2多孔質分離層(B2)の前記基層(A)と反対側の表面のうち、前記第2インキパターン(P2)が形成されているパターン形成領域と、前記第2インキパターン(P2)が形成されていないパターン非形成領域との色差ΔEが3以上であることを特徴とする[10]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[12] 前記第1インキパターン(P1)と前記第2インキパターン(P2)が互いに鏡像の関係にある[10]または[11]に記載のラベル付き樹脂成形品。
[13] 前記第2多孔質分離層(B2)の表面の前記第2インキパターン(P2)の表面に粘着テープの粘着面を貼り付けた後、前記粘着テープを前記第2多孔質分離層(B2)より180°の剥離角および300mm/minの速度で剥がしたとき、前記第2多孔質分離層(B2)の表面において前記第2インキパターン(P2)を目視で確認できるとともに、前記粘着テープの粘着面において前記第2インキパターン(P2)の反転パターンを目視で確認できる[10]~[12]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
[14] 前記多孔質層(B)の厚み方向の断面から観察される空隙率が30~70%である[1]~[13]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
[15] 前記多孔質層(B)の厚み方向の断面から観察される空隙率が、前記基層(A)の厚み方向の断面から観察される空隙率よりも大きい[1]~[14]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
[16] 前記樹脂成形品から前記基層(A)を有するラベルを剥離する際のJIS Z 1707:1997食器包装用プラスチックフィルム通則による180°剥離強度が、0.3~1.6N/15mmである[1]~[15]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
[17] [1]~[16]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品から基層(A)と第2多孔質分離層(B2)を剥離した後に残る、樹脂成形品と第1多孔質分離層(B1)を有する多孔質層付き樹脂成形品。
[18] 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面に、インキ組成物による第1インキパターン(P1)を有する[17]に記載の多孔質層付き樹脂成形品。
[19] [1]~[16]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品を製造する方法であって、基層(A)と、該基層の上に設けられた多孔質層(B)を有する積層樹脂フィルムを形成する積層樹脂フィルム形成工程と、前記積層樹脂フィルムの前記多孔質層(B)の前記基層(A)と反対側の表面に、インキ組成物を印刷してインキパターンを形成してラベルを得る印刷工程と、前記インキパターンが形成された前記ラベルを、前記基層(A)側が金型の内壁側となり、前記多孔質層(B)側がキャビティ側となり溶融樹脂と接しうるように前記金型内に挿入し、インモールド成形法によりラベル付き樹脂成形品を得る成形工程と、を有するラベル付き樹脂成形品の製造方法。
[20] 前記インキ組成物が無色であり、且つ透明である[19]に記載のラベル層付き樹脂成形品の製造方法。
[21] 前記第1インキパターン(P1)と前記樹脂成形品の表面との色差ΔEP0が3未満である[19]に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
[22] 前記インキ組成物が有色であり、且つ前記第1インキパターン(P1)と多孔質層(B)との色差ΔE0が3以上である[19]に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
[23] 前記インキ組成物のJIS Z8803:2011のB型粘度計による粘度が10~1500mPa・sである[19]~[22]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
[24] 前記印刷工程において、インキ組成物の印刷方法としてフレキソ印刷法を用いる[19]~[23]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
[25] 前記印刷工程と前記成形工程の間に、前記インキパターンを形成した前記多孔質層の表面に、ヒートシール樹脂組成物を印刷する工程を有する[19]~[24]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
[26] 前記印刷工程と前記成形工程の間に、前記インキパターンを形成した前記多孔質層の表面に、ヒートシール樹脂組成物を塗工する工程を有する[19]~[24]のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
 本発明のラベル付き樹脂成形品では、基層(A)を有するラベルを樹脂成形品から引き剥がすと、それと同時に、樹脂成形品に貼着しているラベルの多孔質層(B)が凝集破壊して、樹脂成形品に貼着したまま残る成形品側の第1多孔質分離層(B1)と、基層(A)に伴って剥離する基層側の第2多孔質分離層(B2)に分離して、各分離層(B1)、(B2)の表面が外部に露出する。このとき、本発明のラベル付き樹脂成型品では、多孔質層(B)の内部に存在する空隙に、その空隙の空間の一部を占めるようにインキ組成物が存在していることにより、少なくとも第1多孔質分離層(B1)の露出した表面に、目視で確認できるインキパターンが出現する。このインキパターンから多孔質層(B)の表面に付与されたインキ組成物のパターンを確認することができる。
本発明のラベル付き樹脂成形品の一態様を示す正面図である。 本発明で用いるラベルの多孔質層(B)表面に形成されたインキパターン(P)の一例を示す平面図である。 本発明で用いるラベルの一様態を示す断面図である。 本発明のラベル付き樹脂成形品の一例において、その樹脂成形品から基層(A)を有するラベルを引き剥がした後の状態を示し、(a)はラベルを引き剥がした後に残る第1多孔質分離層(B1)を有する樹脂成形品を示す正面図であり、(b)は引き剥がしたラベルを第2多孔質分離層(B2)側からみた平面図である。 本発明のラベル付き樹脂成形品の他の例において、その樹脂成形品から基層(A)を有するラベルを引き剥がした後の状態を示し、(a)はラベルを引き剥がした後に残る第1多孔質分離層(B1)を有する樹脂成形品を示す正面図であり、(b)は引き剥がしたラベルを第2多孔質分離層(B2)側からみた平面図である。
 以下において、本発明のラベル付き樹脂成形品およびその製造方法を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明において「~」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
<<ラベル付き樹脂成形品>>
 本発明のラベル付き樹脂成形品を、図1に示すラベル付き樹脂成形品3を例にして説明する。なお、本発明のラベル付き樹脂成形品の構成は、図1に示す構成に限るものではなく、各部の形態は適宜変更が可能である。
 本発明のラベル付き樹脂成形品3は、樹脂成形品1と、該樹脂成形品1に貼着したラベル2を含むものである(図1、2参照)。
 以下において、本発明のラベル付き樹脂成形品を構成する各部について説明する。
<ラベルの基本構成>
 本発明で用いるラベル2は、図3に示すように、基層(A)と、基層(A)の上に設けられた多孔質層(B)と、多孔質層(B)の内部に存在する複数の空隙11と、空隙11の一部を占めるように存在するインキ組成物12を含み、多孔質層(B)側の表面(多孔質層(B)の基層(A)と反対側の表面)で樹脂成形品1に貼着する。さらに、ラベル2は、樹脂成形品1に貼着している状態で、多孔質層(B)の端面から多孔質層(B)が厚み方向に2分するように切れ込みを入れ、その切れ込みが拡大するように基層(A)を引っ張って樹脂成形品1から該ラベル2を剥離したとき、図4、5に示すように、多孔質層(B)が、樹脂成形品1に貼着したまま残留する第1多孔質分離層(B1)と、基層(A)に伴って剥離する第2多孔質分離層(B2)に分離するとともに、第1多孔質分離層(B1)の樹脂成形品1と反対側の表面にインキ組成物12による目視で確認できる第1インキパターン(P1)が現れるものである。
 本発明における「空隙の一部を占めるように存在するインキ組成物」の「空隙の一部を占めるように存在する」とは、多孔質層(B)が有する複数の空隙の少なくとも一部において、その空隙空間の一部を占めるようにインキ組成物が存在していることを意味する。インキ組成物が存在する空隙は、多孔質層(B)が有する複数の空隙の全部であっても一部であってもよい。また、インキ組成物が存在する複数の空隙のうち、インキ組成物が空隙の一部を占めるように存在しているのは、その複数の空隙の全部であっても一部であってもよい。すなわち、複数の空隙の一部は、インキ組成物で充填されていてもよい。
 この多孔質層(B)の空隙の一部を占めるように存在するインキ組成物は、例えば、多孔質層(B)の基層(A)と反対側の表面に供給されたインキ組成物が、同表面上の空隙の開口部から内部に浸透して、多孔質層(B)の内部に吸収されたものである。
 本発明において、「第1インキパターン(P1)」は目視で確認できるものである。ここで、「目視で確認できる」とは、健常で標準的な視力(例えば、色覚異常でない、補正視力が0.7以上の、極端な乱視でない視力)を有する者が、その物を目でみたとき、その物がそこにあることを確認(視認)できることを意味する。
 以下の説明では、多孔質層(B)の基層(A)と反対側の表面を、単に「表面」ということがある。また、上記のように樹脂成形品1からラベル2を剥離することによって表面に現れた露出面であって、第1多孔質分離層(B1)の樹脂成形品1と反対側の表面、および、第2多孔質分離層(B2)の基層(A)と反対側の表面、を「破断面」という。第1多孔質分離層(B1)の破断面のうち、「第1インキパターン(P1)」が形成されている領域(印刷領域)を「パターン形成領域」または「第1インキパターン形成領域」といい、「第1インキパターン(P1)」が形成されていない領域(余白領域)21を「パターン非形成領域」または「第1インキパターン非形成領域」という。
 第2多孔質分離層(B2)の破断面には、目視で確認できるインキパターン(「第2インキパターン(P2)」)が現れても現れなくてもよい。図5に示すように、第2多孔質分離層(B2)の破断面に「第2インキパターン(P2)」が現れる場合、その破断面のうち、「第2インキパターン(P2)」が形成されている領域(印刷領域)を「パターン形成領域」または「第2インキパターン形成領域」といい、「第2インキパターン(P2)」が形成されていない領域(余白領域)22を「パターン非形成領域」または「第2インキパターン非形成領域」という。また、図4に示すように、第2多孔質分離層(B2)の破断面に「第2インキパターン(P2)」が現れない場合、その破断面のうち、第1インキパターン(P1)と鏡像関係にある領域を「インキパターン対応領域(P’)」といい、それ以外の領域(余白領域)22を「パターン非形成領域」または「第2インキパターン非形成領域」という。
 本発明においてインキパターンが「目視で確認できる」ことを示す一般的な指標として、観察面における該インキパターンの形成領域(印刷領域)と非形成領域(余白領域)との間に測定される色差ΔEは、3以上であることが好ましい。
 以下において、本発明で用いるラベルの各層について説明する。
[基層(A)]
 基層(A)は、それ自体の強度が後述の多孔質層(B)の強度よりも高く、(A)層を持ってラベルを引き剥がしたときに、それ自体内は破断をしない強度を有するものである。より具体的には基層(A)自体の凝集力(剥離強度ないし引張破断強度)が200gf/15mm以上のものであることが好ましい。基層(A)の材料は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。また、基層(A)は透明であっても、半透明であっても、不透明であっても良い。
(熱可塑性樹脂)
 基層(A)に用いる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル-1-ペンテン、エチレン-環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル-1-ペンテン、環状オレフィンなどのオレフィン類の単独重合体、及び、これらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げられる。
 官能基含有ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、前記オレフィン類と共重合可能な官能基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。かかる官能基含有モノマーとしては、スチレン、αメチルスチレンなどのスチレン類、酢酸ビニル、ビニルアルコール、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メタロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸エステル類((メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを指す)、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類が特に代表的なものである。これら官能基含有モノマーの中から必要に応じ1種類もしくは2種類以上を適宜選択し重合したものを用いることができる。更にこれらポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂を必要によりグラフト変性して使用することも可能である。
 グラフト変性には公知の手法を用いることができる。具体的な例としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト変性を挙げることができる。該不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を挙げることができる。また上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等も使用可能である。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モノエチルアミド、マレイン酸-N,N-ジエチルアミド、マレイン酸-N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N-モノエチルアミド、フマル酸-N,N-ジエチルアミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミド、マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等を挙げることができる。グラフト変性物はグラフトモノマーをポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂に対して一般に0.005~10重量%、好ましくは0.01~5重量%グラフト変性したものが好ましい。
 基層(A)の熱可塑性樹脂としては、上記の熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。更にこれらポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、耐薬品性、コストの面などから好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、4-メチル-1-ペンテン等のαオレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2~25重量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
 基層(A)には、熱可塑性樹脂以外に、必要に応じて無機微細粉末、有機フィラー、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤などを添加することができる。無機微細粉末を添加する場合は、平均粒径が通常0.01~15μm、好ましくは0.1~5μmのものを使用する。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、珪藻土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。
 有機フィラーを添加する場合は、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムである場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170~300℃)ないしはガラス転移温度(例えば170~280℃)を有し、かつ非相溶のものを使用することができる。有機フィラーは、有機微細粉末として用いることが好ましい。有機フィラーの平均分散粒子径は、熱可塑性樹脂との混合の容易さや空孔成形性から0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。また、有機フィラーの平均分散粒子径は、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
 無機微細粉末と有機フィラーの合計添加量は、基層(A)全体を100重量%として、通常は70重量%以下とし、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。無機微細粉末と有機フィラーを添加する場合の添加量の下限値は、通常0.1重量%以上とし、好ましくは3重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。
 熱安定剤を添加する場合は、基層(A)全体を100重量%として、通常0.001~1重量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤などを使用することができる。光安定剤を使用する場合は、通常0.001~1重量%の範囲内で使用する。具体的には、立体障害アミン系やベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤などを使用することができる。分散剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。添加量は通常0.01~4重量%の範囲内にする。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩などを使用することができる。
 基層(A)の肉厚は通常30~500μm、好ましくは70~300μmの範囲である。30μm以上であれば、インモールド成形用ラベルとして樹脂成形品に貼り付ける際に十分な剛度を有しているため貼り皺が発生しにくくてきれいに成形品に貼着しやすく、剥離する際も破断しにくい傾向がある。500μm以下であれば、インモールド成形用ラベルの剛度が高くなりすぎることがないため、同ラベルを金型内に保持しやすくなる傾向がある。
(多層化)
 基層(A)は、単層構造のものであってもよいし、2層以上の多層構造のものであってもよい。基層(A)の多層化により筆記性、印刷適性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
 基層(A)を多層構造にする場合は、後述の多孔質層(B)に接する層である(A1)層の無機微細粉末及び有機フィラーの合計含有量は多孔質層(B)よりも5重量%以上、好ましくは10重量%以上少ないことが望ましい。(A1)層の無機微細粉末及び有機フィラーの合計含有量が多孔質層(B)に対して、5重量%以上低いことによって多孔質層(B)と(A1)層の空孔率に差ができ、ラベルを樹脂成形品から剥離する際に多孔質層(B)のみに破壊伝播しやすくすることができる。具体的には、(A1)層は熱可塑性樹脂を35~100重量%、好ましくは40~100重量%、無機微細粉末及び有機フィラーの少なくとも一方を0~65重量%、好ましくは0~60重量%を含むことが好ましい。
 この多層構造の延伸軸数は、例えば2層構造の場合は、表面層/(A1)層として、無延伸/1軸、無延伸/2軸、1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、2軸/2軸、を例示できる。
[多孔質層(B)]
 本発明における多孔質層(B)は、該多孔質層(B)の表面に臨んで開口した微細な空隙を多数有する層であり、空隙の内部にインキ組成物が存在している。空隙内に存在するインキ組成物は、例えば、多孔質層(B)の基層(A)と反対側の表面に供給されたインキ組成物が、多孔質層(B)の表面に臨む空隙の開口から内部に浸透し、多孔質層(B)内に吸収されたものである。ここで、例えば、図2に示すように、貼着前のラベル2の多孔質層(B)の表面に、インキ組成物12によるインキパターン(P)を形成した場合には、そのパターンを保持してインキ組成物12が多孔質層(B)内に吸収される。この場合、後述する機構により、ラベルを引き剥がした後の樹脂成形品3上で、そのインキパターン(P)の反転パターンを第1インキパターン(P1)として目視で確認することができる。また、インキ組成物12が多孔質層(B)の比較的深い位置まで浸透している場合には、引き剥がされたラベル上で、そのインキパターン(P)に対応する第2インキパターン(P2)を確認することができる。
 こうした多孔質層(B)によれば、ラベルをインモールド成形用ラベルとして樹脂成形品に貼着する場合には、樹脂成形品の成形時に樹脂圧力で溶融樹脂が多孔質層(B)表面の開口部に入り込み、その投錨効果によってラベルを樹脂成形品に貼着することが可能である。そのため、樹脂成形品の素材を問わずラベルを樹脂成形品に貼着することが可能である。また、多孔質層(B)は基層(A)よりも脆性で強度が弱い層であり、基層(A)を引っ張ってラベルを樹脂成形品から引き剥がすと、それと同時に、多孔質層(B)が容易に凝集破壊し、樹脂成形品に貼着したまま残る樹脂成形品側部分(第1多孔質分離層(B1))と、基層(A)に伴って剥離した基層側部分(第2多孔質分離層(B2))に分離する。このため、基層(A)をラベル付き樹脂成形品から容易に引き剥がすことができる。
 また、本発明における多孔質層(B)は、多数の連通した空隙(連通孔)を内部に有することから、同ラベルを樹脂成形品に貼着した際に、ラベルと樹脂成形品の間に空気が残存しても、空気は連通孔を介して樹脂に押し出されて外部に排出されるので、両者間に残ってラベルにふくれを生じることもない。
 そして、本発明における多孔質層(B)では、特に、その空隙の内部にインキ組成物が存在していることにより、樹脂成形品に貼着したまま残る第1多孔質分離層(B1)の破断面に、インキ組成物による第1インキパターン(P1)が現れ、この第1インキパターン(P1)を目視で確認することができる。このため、図2に示すように、特定の情報を表すインキパターン(P)で多孔質層(B)の表面にインキ組成物を供給した場合には、図4、5に示すように、第1多孔質分離層(B1)の破断面に、そのインキパターン(P)の反転パターンで第1インキパターン(P1)が現れ、そのパターンから情報を知得することができる。これにより、その知得した情報から、ラベルが剥離された樹脂成形品を特定して該樹脂成形品の再利用や偽造を防止するなど、更なる機能を付与することが可能である。
 また、多孔質層(B)の比較的深い位置にある空隙内にもインキ組成物が存在している場合には、図5に示すように、基層(A)に伴って剥離した第2多孔質分離層(B2)の破断面に、第1インキパターン(P1)と鏡像関係にある第2インキパターン(P2)が現れ、この第2インキパターン(P2)を目視で確認することができる。この場合には、第2インキパターン(P2)により知得した情報から、ラベルが剥離された樹脂成形品を特定して該樹脂成形品の再利用や偽造を防止することや、剥がしたラベルをクーポン券等として二次利用するなど、更なる機能を付与することが可能である。
 多孔質層(B)の素材は、特に限定されないが、結晶性ポリプロピレン樹脂と該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂とのブレンド物と、微細粉末とを含む樹脂フィルムを少なくとも1軸方向に延伸した延伸フィルムを用いることが好ましい。
 本発明のラベル付き樹脂成形品におけるラベルの剥離は、多孔質層(B)の破壊(凝集破壊)により行われる。ここで、樹脂材料として相互に非相溶の少なくとも2種の樹脂を用い、その樹脂のブレンド物を相分離した状態のまま延伸して多孔質層(B)を形成すると、その多孔質層(B)が破壊する際、上記空隙の界面のみならず、これら樹脂間の界面でも剥離が起こり、多孔質層(B)を均一面状に剥離することが可能になる。
 また、多孔質層(B)が、無機微細粉末、好ましくは表面が親水化処理された無機微細粉末を含むことにより、良好な印刷適性を得ることができる。
(配合割合)
 多孔質層(B)として、結晶性ポリプロピレン樹脂と該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂とを混合したブレンド物と、微細粉末とを含む樹脂フィルムを少なくとも1軸方向に延伸した延伸フィルムを用いる場合、多孔質層(B)における、結晶性ポリプロピレン樹脂と該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂とのブレンド物の含有量は、多孔質層(B)全体を100重量%として、30~60重量%であることが好ましく、35~50重量%であることがより好ましい。また、多孔質層(B)における微細粉末の含有量は40~70重量%であることが好ましく、50~65重量%であることがより好ましい。多孔質層(B)中の微細粉末の含有量が40重量%以上であれば、充分な剥離性が得られやすくなる。また、70重量%以下であれば成形安定性が得られやすくなる。
 該ブレンド物において、結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂の配合割合は、結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して105~300重量部であることが好ましく、120~280重量部であることがより好ましく、140~270重量部であることがさらに好ましい。
(結晶性ポリプロピレン樹脂)
 結晶性ポリプロピレン樹脂には、上記のプロピレン系樹脂であって、その結晶化度が65%以上であるものを用いることが好ましい。結晶性ポリプロピレンの結晶化度は、66%以上であることがより好ましく、67~80%であることが特に好ましい。結晶化度が65%以上であれば、結晶性ポリプロピレン樹脂の非晶部と熱可塑性樹脂の相溶が進みにくくて所期の界面剥離の効果が得られやすくなり、剥離に要する応力(剥離強度)を適度に小さくすることができる。また、結晶化度が80%以下であれば、商業的に入手することが容易である。
 本明細書中において結晶性ポリプロピレン樹脂における結晶化度は、同樹脂サンプルを105℃に設定したオーブン中で90分間アニール処理を施した後、温度23℃の条件下で、密度勾配管法または水中置換法(両者は換算式により相互に補正可能)により求めた結晶性ポリプロピレン樹脂の密度から、下記式(1)を用いて算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
(上記式(1)中、ρSは結晶性ポリプロピレン樹脂の密度であり、ρCは論理的に求められたポリプロピレン樹脂の結晶部の密度(0.938g/cm3)であり、ρAは論理的に求められたポリプロピレン樹脂の非晶部の密度(0.852g/cm3)である。)
 そのため上記の結晶化度を達成するためには、多孔質層(B)に用いる結晶性ポリプロピレン樹脂の密度が0.906g/cm3以上であることが好ましく、0.907g/cm3以上であることがより好ましく、0.908g/cm3以上であることが特に好ましい。
(結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂)
 該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、スチレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、エチレン-環状オレフィン共重合樹脂、プロピレン-αオレフィン共重合樹脂、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、耐薬品性や生産コスト等の観点より、ポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。非相溶性の熱可塑性樹脂の存在により、延伸フィルム作製時に結晶性ポリプロピレン樹脂とポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂間で界面剥離が生じ剥離性を向上させている。ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、非相溶性の熱可塑性樹脂を105~300重量部とすれば、十分な剥離性が得られやすくなる。
 本明細書において「非相溶」とは、結晶性ポリプロピレン樹脂と、非相溶性の熱可塑性樹脂のブレンド物を電子顕微鏡で観察した場合、海島構造のモルフォロジーを有しており、その構造の寸法が0.3~10μmであることを指す。
(微細粉末)
 該微細粉末としては、親水化処理された無機微細粉末や、親水化処理されていない無機微細粉末や有機微細粉末を用いることができる。該微細粉末としては、親水化処理された無機微細粉末だけを用いてもよいし、親水化処理されていない無機微細粉末や有機微細粉末だけを用いてもよいし、親水化処理された無機微細粉末と親水化処理されていない無機微細粉末および/または有機微細粉末とを組み合わせて用いてもよい。
 該無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素などの無機微細粉末、無機微細粉末の核の周囲にアルミニウム酸化物ないしは水酸化物を有する複合無機微細粉末、中空ガラスビーズ等を例示することができる。中でも重質炭酸カルシウム、焼成クレイ、珪藻土は、安価で延伸時に多くの空孔を形成させることができるために好ましい。
 該有機微細粉末としては、多孔質層(B)に用いる熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、多孔質層(B)に用いる熱可塑性樹脂よりも高い融点ないしはガラス転移温度を有し、かつ非相溶のものを使用することが好ましい。例えば、ポリプロピレン樹脂の融点よりも高い融点(例えば170~300℃)ないしはガラス転移温度(例えば170~280℃)を有し、かつ非相溶のものを使用することができる。
 本発明における微細粉末としては、上記に例示した無機微細粉末を表面処理剤により表面を親水化処理したものを少なくとも用いることが好ましい。
 表面を親水化処理した無機微細粉末を用いて多孔質層(B)を形成すれば、該多孔質層(B)表面の印刷適性が向上して美麗なラベル付き成形品が得られると同時に、これらにより形成された多孔質層(B)は無機微細粉末と結晶性ポリプロピレンの界面剥離がより起こりやすいことから、より容易に成形品と分離可能なインモールド成形用ラベルを提供することが可能となる。
 該表面処理剤としては、水溶性アニオン系界面活性剤、水溶性カチオン系界面活性剤、及び水溶性非イオン系界面活性剤が挙げられる。
 かかる界面活性剤の具体例として、例えば水溶性アニオン系界面活性剤としては、炭素数4~40の範囲の炭化水素基を有するスルホン酸塩、炭素数4~40の範囲の炭化水素基を有するリン酸エステル塩、炭素数4~40の範囲の高級アルコールのリン酸モノまたはジエステルの塩、炭素数4~40の範囲の炭化水素基を有するアルキルベタインやアルキルスルホベタインなどが挙げられる。例えば水溶性カチオン系界面活性剤としては、ジアリルアミン塩、炭素数1~4の範囲のアルキルジアリルアミン塩及びジアルキルジアリルアミン塩、すなわちメチルジアリルアミン塩やエチルジアリルアミン塩、ジメチルジアリルアミン塩、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、アクリロイルオキシエチルトリメリルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムやアクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムのクライド、ブロマイド、メトサルフェート、またはエトサルフェート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートやN,N-ジメチルアミノエチルアクリレートをエピクロロヒドリン、グリシドール、グリシシジルトリメチルアンモニウムクロライドなどのエポキシ化合物でアルキル化して得られる4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの中でも、好ましくはジアリルアミン塩、メチルジアリルアミン塩及びジメチルジアリルアミン塩である。例えば水溶性非イオン系界面活性剤としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロドリン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステルが挙げられる。これらの中でも好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミドである。
 無機微細粉末の表面処理方法として、例えば粒径が10~50μmの炭酸カルシウム粗粒子100重量部に対して必要量の表面処理剤の存在下、水性媒体中で湿式粉砕して所望の粒子径とする方法を挙げることができる。具体的には炭酸カルシウム/水性媒体(具体的には水)との重量比が70/30~30/70、好ましくは60/40~40/60の範囲となるように炭酸カルシウムに水を加え、ここに表面処理剤を炭酸カルシウム100重量部あたり0.01~10重量部、好ましくは0.1~5重量部添加し、常法により湿式粉砕する。さらには、上記範囲の量となる表面処理剤を予め溶解してなる水性媒体を準備し、該水性媒体を炭酸カルシウムと混合し、常法により湿式粉砕してもよい。湿式粉砕はバッチ式でも、連続式でもよく、サンドミル、アトライター、ボールミルなどの粉砕装置を使用したミルなどを使用することができる。
 これらの表面処理剤により表面処理された無機微細粉末の具体例として、例えばファイマテック社製の商品名「AFF」等を挙げることができる。
 本発明の多孔質層(B)には、上記の表面が親水化処理された無機微細粉末に加えて、表面が親水化処理されていない無機微細粉末や有機微細粉末を組み合わせて配合することも好ましい。配合割合は、用いる微細粉末を100重量%としたとき、表面が親水化処理されている無機微細粉末を50~99.9重量%、表面が親水化処理されていない無機微細粉末および有機微細粉末の少なくとも一方を0.1~50重量%とすることが好ましく、表面が親水化処理されている無機微細粉末を55~80重量%、表面が親水化処理されていない無機微細粉末および有機微細粉末の少なくとも一方を20~45重量%とすることがより好ましい。多孔質層(B)における、表面が親水化処理されていない無機微細粉末および有機微細粉末の含有量は0.1~30重量%とすることが好ましい。
 ここで「表面が親水化処理されていない無機微細粉末」とは、上記表面処理剤により意図して親水化処理を施していない無機微細粉末を指し、通常の粉砕、分級、沈降等のプロセスを経て得られた無機微細粉末を指す。例えば親水化処理された炭酸カルシウム微細粉末と、通常の重質炭酸カルシウム微細粉末とを混合すれば多孔質層(B)からの溶出物量を調整することができ、例えば親水化処理された炭酸カルシウム微細粉末と、有機微細粉末とを組み合わせれば吸水性を調整することができる。このように異なる種類の微細粉末を配合する場合であっても、多孔質層(B)に含まれる微細粉末の総量が70重量%を超える場合は吸水易剥離性フィルムの延伸成形性が悪化し成形安定性が損なわれるため好ましくない。
(分散剤)
 また本発明の多孔質層(B)は、無機微細粉末を均一に微分散するために、分散剤を含むことが好ましい。
 無機微細粉末の分散剤として、例えば酸変性ポリオレフィン、シラノール変性ポリオレフィンなどを例示することができる。本発明においては、特にマレイン酸変性ポリオレフィン及びシラノール変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。
 該酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸をランダム共重合もしくはグラフト共重合した無水酸基含有ポリオレフィン、あるいはメタクリル酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸をランダム共重合もしくはグラフト共重合したカルボン酸基含有ポリオレフィン、グリシジルメタクリレートをランダム共重合もしくはグラフト共重合したエポキシ基含有ポリオレフィンなどが挙げられる。具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリプロピレン、エチレン・メタクリル酸ランダム共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレートランダム共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレートグラフト共重合体、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレンなどが挙げられ、なかでも特に好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリエチレンである。
 無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリエチレンの具体例としては、三菱化学(株)製のモディックAP、商品名「P513V」や商品名「M513」や商品名「P928」、三洋化成工業(株)製、商品名「Umex1001」や商品名「Umex1010」や商品名「Umex2000」、三井・デュポンケミカル(株)製のHPR、商品名「VR101」が挙げられる。
 酸変性ポリオレフィンの酸変性率は、0.01~20%が好ましく、0.05~15%がより好ましい。酸変性率が0.01%以上であれば、無機微細粉末の樹脂ブレンド物中への分散効果が十分に得られやすい。酸変性率が20%以下であれば、酸変性ポリオレフィンの軟化点が低くなりすぎることがないため熱可塑性樹脂とのコンパウンドが比較的容易である。
 多孔質層(B)へ分散剤を配合する場合の分散剤の含有量は、無機微細粉末100重量部に対して、通常0.5~30重量部、好ましくは1~20重量部である。分散剤の含有量が0.5重量部以上であれば、無機微細粉末が十分に分散するため、所望の表面開口率が得られやすく、液体吸収容積を改善しやすい。また、30重量部以下であれば、延伸性が良好で成形時における延伸切れを抑えることができる。
(多孔質層(B)の厚み)
 多孔質層(B)の肉厚は通常0.1~20μm、好ましくは3~18μm、より好ましくは6~15μm、特に好ましくは7~12μmの範囲である。同層(B)の厚みが薄すぎる場合は、成形品を構成する樹脂の溶融物が多孔質層(B)内部を介して基層(A)近傍まで入り込み、接着強度は向上するものの、ラベル付き樹脂成形品からラベルを剥がそうとしても多孔質層(B)内の凝集破壊を安定して行うことが困難となり、剥離が困難となる傾向がある。また同層(B)の厚みが厚すぎる場合は、剥離する際の剥離強度には問題はないが、剥離位置が安定せず剥離面が均一とはならないために剥離に要する応力が安定せず、また樹脂成形品及び剥離したフィルム両者の表面に凹凸が残り、多孔質層(B)側に印刷を施しても明瞭に見えない傾向がある。多孔質層(B)は少なくとも1軸方向に延伸されている延伸樹脂フィルム層である。延伸成形により表面開口や内部空孔を形成し、樹脂の配向により均一に剥離しやすい層(B)を得ると同時に、厚みの均一性の取れた多孔質層(B)を得ることが可能となる。
(多孔質層(B)表面の開口率)
 多孔質層(B)の表面開口率は7~60%であることが好ましく、12~50%であることがより好ましく、15~40%であることが特に好ましい。表面開口率が7%以上であれば十分な接着性が得られやすい傾向がある。表面開口率が60%以下であれば後述する延伸成形時に多孔質層(B)が破断しにくく安定した積層樹脂フィルムの成形が可能となる。
 本発明における「表面開口率」は、多孔質層(B)側の面を電子顕微鏡で観察したときの観察領域中に空孔が占める面積割合を示す。具体的には、ラベル付き樹脂成形品またはラベルの試料より任意の一部を切り取り、観察試料台に貼り付け、その観察面に金ないしは金-パラジウム等を蒸着して電子顕微鏡(例えば日立製作所(株)製の走査型顕微鏡S-2400)を使用して観察しやすい任意の倍率(例えば500倍~3000倍に拡大)にて表面の空孔を観察することにより求めることができる。さらに観察した領域を写真等に撮影し、空孔をトレーシングフィルムにトレースして塗りつぶした図を画像解析装置(ニレコ(株)製:型式ルーゼックスIID)で画像処理し、空孔の面積率を多孔質層(B)表面の開口率とした。
 多孔質層(B)の表面開口率は、多孔質層(B)となる樹脂組成物層を延伸した後、熱処理を行い、その熱処理温度を調整することにより制御することができる。
(多孔質層(B)の厚み方向の断面空隙率)
 多孔質層(B)の厚み方向の断面空隙率は、30~70%であることが好ましく、31~60%であることがより好ましく、33~55%であることがさらに好ましく、35~50%であることが特に好ましい。厚み方向の断面空隙率が30%以上であれば、多孔質層(B)におけるインク組成物の吸収容量が大きくなるため、多孔質層(B)の凝集破壊により分離した樹脂成形品側の第1多孔質分離層(B1)の破断面に現れる第1インキパターン(P1)、さらには、基層(A)側の第2多孔質分離層(B2)の破断面に現れる第2インキパターン(P2)を、より容易に確認できるようになる。また、厚み方向の断面空隙率が30%以上であれば十分な接着性が得られやすい傾向がある。一方、厚み方向の断面空隙率が70%以下であれば、後述する延伸成形時に多孔質層(B)が破断しにくく安定した積層樹脂フィルムの成形が可能となる。
 多孔質層(B)の厚み方向の断面空隙率は、基層(A)の厚み方向の断面空隙率よりも高いことが好ましい。これにより、基層(A)を引っ張って樹脂成形品からラベルを引き剥がしたとき、基層(A)よりも多孔質層(B)が優先的に凝集破壊されて、基層(A)の形状を保持しつつ、多孔質層(B)を第1多孔質分離層(B1)と第2多孔質分離層(B2)とに分離することが容易となる。また多孔質層(B)の厚み方向の凝集破壊が安定化することで、第1多孔質分離層(B1)の破断面に、さらには、第2多孔質分離層(B2)の破断面に、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域とのコントラストが明瞭に現れ、第1インキパターン(P1)や第2インキパターン(P2)を確認し易くなる。
 本発明における「厚み方向の断面空隙率」は、多孔質層(B)断面の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真に撮影された断面領域内に占める空孔の面積割合(%)を求めることにより得られる。具体的には、ラベル付き樹脂成形品またはラベルの試料より任意の一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いてフィルムの厚さ方向に対して平行(すなわち面方向に垂直)な切断面を作製し、この切断面を蒸着してメタライジングした後、上記電子顕微鏡で観察しやすい任意の倍率(例えば500倍~3000倍)に拡大して撮影した写真を2値化処理し、上記画像解析装置で画像処理を行い、測定範囲を占める空孔の面積割合(%)を求めて厚み方向の断面空隙率(%)とした。
 多孔質層(B)の厚み方向の断面空隙率は、多孔質層(B)となる樹脂組成物を横延伸する際の延伸温度を調整することにより制御することができる。
(多孔質層(B)表面の算術平均粗さ)
 多孔質層(B)表面の算術平均粗さRaは0.3~1.8μmであることが好ましく、0.5~1.6μmであることがより好ましく、0.7~1.4μmであることが特に好ましい。算術平均粗さが0.3μm以上であれば成形品樹脂の成形時の樹脂圧力で多孔質層(B)表面の凹凸に樹脂が入り込む嵌合効果を得て、接着力向上に寄与できる。算術平均粗さが1.8μm以下であれば、印刷を施した際に凹凸に起因するドット抜け等による画質低下を招くこともない。
 本発明における「算術平均粗さ」は、JIS-B0601の規定に基づき、表面粗さ計((株)小坂研究所製、商品名:サーフコーダーSE30)を用いて測定した。
(多孔質層(B)の吸油性)
 本明細書中において多孔質層(B)の吸油性とは、JAPAN TAPPI 67-2000に規定される吸油度試験方法を一部変更して測定される、一定条件での吸油に要する時間である。具体的には、多孔質層(B)の表面にビュレットから鉱物油を20μm滴下すること、試験片を5枚使用すること、試験片だけの場合の読みより5目盛加えたところまで下がるのに要する時間を測定する代わりに、ローラが試験片の上を通過した時の検流計の指針の値に戻るまでに要する時間を測定すること以外は、JAPAN TAPPI 67-2000に規定される吸油度試験方法に従って測定される。この時間が短い程、吸油性が高く、インキ組成物が浸透し易いものと推測することができる。吸油性は、200秒以下であることが好ましく、100秒以下であることがより好ましく、60秒以下であることがさらに好ましい。
[インキ組成物]
 インキ組成物は、多孔質層(B)の空隙の内部に存在している。その存在状態や機能については、多孔質層(B)の項を参照することができる。
 本発明においてインキ組成物は、色材(着色剤)を含む有色の液状材料であってもよく、実質的に色材を含まない無色の液状材料であってもよい。ここで、インキ組成物が「実質的に色材を含まない」とは、インキ組成物中に意図して色材を配合しないことをいい、具体的にはインキ組成物における色材の含有量が0.1質量%以下であることをいう。インキ組成物が色材を実質的に含まない場合の「色材」の説明と範囲、具体例については、下記のインキ組成物が色材を含む場合の色材の説明と範囲、具体例を参照することができる。実質的に色材を含まない無色のインキ組成物は、無色透明であることが好ましい。
 インキ組成物としては、油性オフセットインキ、UV硬化型オフセットインキ、グラビアインキ、水性フレキソインキ、UVフレキソインキ、油性スクリーンインキ、UVスクリーンインキ、水性インクジェットインク、油性インクジェットインク、UVインクジェットインク等が挙げられ、粘度が低く、多孔質層の空隙の内部に浸透し易いことから、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェットインクであることが好ましい。
 インキ組成物が色材を含み有色である場合、色材としては、黒色、白色、通常のプロセス4色や特色を呈する染料や顔料、またはメタリック効果等を呈する金属微粉末等を用いることができる。また、色材には紫外線または赤外線を吸収するものや、紫外線または赤外線を吸収して可視光線を放出するものを含んでいてもよい。なお、インキ組成物の色材が白色であっても、樹脂成形品やラベルの基層(A)、多孔質層(B)側を白以外の色で着色することにより、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域の間に十分な色差ΔEを得て、インキパターンを視認することができる。
 色材には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、蛍光染料、分散染料、反応性染料等の染料が使用でき、例えば金属の酸化物あるいは硫化物を主成分とする無機顔料や、通常レーキと言われている溶解した染料に沈殿剤を加えて不溶性にした有機顔料など広く使用できる。
 具体的な無機顔料としては、チタンホワイト(二酸化チタン)、亜鉛華(酸化亜鉛)、炭酸カルシウム、カオリン、黒鉛(カーボンブラック)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、黄土(イエローオーカー)、黄鉛(クロムイエロー)、亜鉛黄(ジンクイエロー)、ニッケルチタンイエロー、ビスマスバナジウムイエロー、カドミウムイエロー、弁柄(酸化鉄)、鉛丹、辰砂(硫化水銀)、カドミウムレッド、沈降性硫酸バリウム、バライタ粉等が挙げられる。有機顔料としてはレーキ顔料の他に、多環式系、フタロシアニン系、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、ポリアゾ系、染付け系のもの等が挙げられる。
 顔料はプロセス4色顔料、白色顔料、特色顔料、体質顔料の他に、パール顔料(酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄等の無機塩で表面処理したタルク粒子、カオリン粒子、マイカ粒子、板状シリカ、板状アルミナ、板状炭酸カルシウム等)、金属粉(ブロンズ粉、ブロンズペースト、リーフィングタイプアルミニウムペースト、ノンリーフィングタイプアルミニウムペースト等)などを含むものである。これらは組み合わせて用いてもよい。
 また、インキ組成物は、着色剤以外の各種添加剤を含んでいてもよく、例えば、シリコーン樹脂を添加剤として含むことが好ましい。
 実質的に色材を含まない無色のインク組成物としては、色材を実質的に含まないこと以外は、上記のインキ組成物と同じ組成の液状材料を用いることができ、その他に、メジューム、ニス、クリアインク、不可視インク、コンパウンド等も実質的に色材を含まない無色のインク組成物として用いることができる。また、実質的に色材を含まない無色のインク組成物の具体例として、UVフレキソインキ(商品名:UVフレキソメジウム500、T&K TOKA社製)やUVオフセットインキ(商品名:UV161メジウムS、T&K TOKA社製)等を挙げることができる。
 以下に、実質的に色材を含まない無色のインク組成物により目視が可能なインキパターンが現れるメカニズムについて説明する。
 すなわち、多孔質層(B)は通常、層内部の多数の空隙によって透過光が拡散反射するため、不透明性や白色性が高いものになっている。その多孔質層(B)の一定領域において、その領域内の空隙の内部に実質的に色材を含まない無色のインキ組成物を充填すると、インキ組成物が充填されている領域(インキパターン形成領域)の不透明性が低下し、インキパターン形成領域と、その周囲のインキパターン非形成領域との間に不透明性の差異が生じる。その結果、インキパターンを「透かし」として視認することが可能になる。また、この際、樹脂成形品やラベルの基層(A)を白以外の色で着色すれば、インキパターン形成領域でそれらの色が透けて見えるため、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域の間に十分な色差ΔEを得て、インキパターンをより明確に視認することができる。ここで、例えば、インキパターン形成領域で樹脂成形品の色が透けて見えるようにする場合、インキパターン形成領域と樹脂成形品との色差ΔEは、小さいほど好ましく、この色差ΔEを3未満とすることが好ましく、2未満とすることがより好ましく、1未満とすることがさらに好ましい。
[ヒートシール層]
 本発明で用いるラベルは、必要に応じて、多孔質層側の表面にヒートシール層が設けられていてもよい。ヒートシール層とは、ラベルと樹脂成形品との接着力を補強するものであり、常温では固体状であるが、金型内で樹脂成形品を成形するための溶融樹脂の熱で活性化し、溶融樹脂と融着して、冷却後は再度固形状となり強固な接着力を発揮しえるものである。
 ヒートシール層を構成する熱可塑性樹脂は、DSC測定によりピーク温度として求めた融点が60~130℃であることが好ましい。60℃未満であると常温でのべた付きによりラベルのスベリ性が悪くなり、ブロッキング等を起こしやすい。その為ラベルを金型へインサートする際に、2枚挿し等のトラブルが多発しやすい。また130℃を超えて大きいとラベルと成形体との接着性が悪くなりやすいため、好ましくない。
 具体的な熱可塑性樹脂の例としては、ポリオレフィン系樹脂である、低密度ないし中密度の高圧法ポリエチレン、直鎖線状ポリエチレン、エチレン、α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン光重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1~8)、エチレン・メタクリル酸共重合体の金属塩(Zn、Al、Li、K、Naなど)等の融点が60~130℃のポリエチレン系樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
 ヒートシール層には、ヒートシール層に要求される性能を阻害しない範囲で、他の公知の樹脂用添加剤を任意に添加することができる。そのような添加剤としては、染料、核剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、分散剤等を挙げることができる。
 ヒートシール層の厚さは、樹脂成形品への十分な接着力を得る観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。一方、シート状でのオフセット印刷時や、ラベルの金型への挿入時にラベルをカールしにくくする観点から、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
<樹脂成形品>
 本発明で用いる樹脂成形品は、樹脂を含む成形品であればよく、成形が容易であることから、熱可塑性樹脂を含む成形品であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いるものでも良い。
 樹脂成形品の形態としては、例えば中空成形や射出成形により得られる容器を挙げることができる。
<剥離>
 本発明のラベル付き樹脂成形品は、基層(A)を引っ張って樹脂成形品からラベルを引き剥がすと、それと同時に、多孔質層(B)が凝集破壊して、基層(A)が多孔質層の一部を伴って剥離する。このとき、多孔質層(B)は、樹脂成形品に貼着したまま残る第1多孔質分離層(B1)と、基層(A)に伴って剥離する第2多孔質分離層(B2)との2層に分離する。ここで、本発明における多孔質層(B)では、その内部の空隙内にインキ組成物が存在していることにより、図4、5に示すように、第1多孔質分離層(B1)の破断面に第1インキパターン(P1)が現れる。そして、その破断面のうちの第1インキパターン(P1)が形成されているインキパターン形成領域(印刷部分)と、第1インキパターン(P1)が形成されていないインキパターン非形成領域(余白部分)21との十分な色差により、第1インキパターン(P1)を目視で確認することができる。
 また、インキ組成物の多孔質層(B)への浸透が十分である場合には、図5に示すように、基層(A)に伴って剥離する第2多孔質分離層(B2)の破断面に、インキ組成物による第2インキパターン(P2)が現れる。そして、その破断面のうちの第2インキパターン(P2)が形成されているインキパターン形成領域と第2インキパターン(P2)が形成されていないインキパターン非形成領域22との色差が十分である場合、第2インキパターン(P2)を目視で確認することができる。
 一方、インキ組成物の多孔質層(B)への浸透が十分でない場合や、第2インキパターン(P2)が形成されているインキパターン形成領域と第2インキパターン(P2)が形成されていないインキパターン非形成領域との色差が十分でない場合、図4に示すように、第2インキパターン(P2)を目視で確認することができない。この場合の上記の第2インキパターン(P2)に相当する領域、すなわち第1インキパターン(P1)と互いに鏡像の関係にある領域をインキパターン対応領域(P’)という。
<剥離強度>
 樹脂成形品に貼り付けたラベルの基層(A)を剥がす際の剥離強度(剥離に要する応力)は、0.3~1.6N/15mmの範囲であることが好ましく、1~1.6N/15mmの範囲であることがより好ましく、1.2~1.6N/15mmの範囲であることが特に好ましい。同剥離強度は樹脂成形品に貼り付けた後に基層(A)を剥がす際に要する強度を示すものである。剥離は、多孔質層(B)内の凝集破壊により均一面状に進行することが好ましい。
 剥離強度が0.3N/15mm以上であれば、樹脂成形品に貼り付けた際に外部からの衝撃により剥がれにくくなる傾向がある。剥離強度が1.6N/15mm以下であれば、接着剤の強度を上回ったり、樹脂成形品に貼り付けた際に樹脂成形品の表面強度を上回ったりすることがないため、多孔質層(B)内で凝集破壊が発生しやすくなる傾向がある。
 本明細書中における「剥離強度」とは、JIS K 6854-2:1999接着剤-はく離接着強さ試験方法-第2部:180度はく離によるはく離力の推定平均値を援用するものであり、樹脂成形品よりラベル(基材層(A))を剥離する際に要する応力である。具体的には、ラベル付き樹脂成形品において成形品のラベル貼着部分を幅15mm、長さ100mmに切り取り、引張試験機((株)島津制作所製、商品名「AUTOGRAPH」)を使用し、引張速度300mm/分にて、180゜の角度で基層(A)と成形品部分とを剥離させ、安定している時の応力をロードセルにより測定し、ラベルの横方向と縦方向での其々の測定値の平均値をもって求めた。
 この剥離強度は、多孔質層(B)に用いる結晶性ポリプロピレンの結晶化度を65%以上にすることや、これに非相溶性の熱可塑性樹脂や無機微細粉末を所定量ブレンドすること、さらに同多孔質層(B)を少なくとも一軸方向に延伸することにより達成できる。またこの剥離強度は、好ましくは、上記無機微細粉末としてその表面を親水化処理したものを使用すること、上記延伸を結晶性ポリプロピレンの結晶化部位の融点よりも低い温度で実施すること、上記熱可塑性樹脂として比較的低粘度なものを選定すること、上記多孔質層(B)の空孔率を特定の範囲とすること等によって調整することができる。
 また、多孔質層(B)における剥離は、成形品を構成する樹脂の溶融物の浸透が無い多孔質層(B)部分の破壊で進行するため、剥離強度は、ラベルの多孔質層(B)に粘着テープを貼り付け、これを剥がす際に要した強度を測定した値から擬似的に求めて、ラベルにおける多孔質層(B)の実力を量ることもできる。
 ラベル単体における剥離強度は、多孔質層(B)面に粘着テープ(ニチバン(株)製セロハンテープ、商品名「セロテープ(登録商標)」、銘柄名「CT-18」)を貼着し、長さ100mmに切り取り、引張試験機((株)島津制作所製、商品名「AUTOGRAPH」)を使用し、引張速度300mm/分にて、180゜の角度で基層(A)と粘着テープとの剥離を多孔質層(B)にて発生させ、剥離が安定している時の応力をロードセルにより測定し、ラベルの横方向と縦方向での其々の平均値から求めた。この方法により求めた剥離強度は、0.4~2.0N/18mmであることが好ましく、0.5~1.9N/18mmであることがより好ましく、0.6~1.8N/18mmであることが特に好ましい。この剥離強度は、ラベル(基材層(A))を剥離する際に要する応力の調整法として記載した上記方法を用いることによって調整することができる。
<多孔質分離層の破断状態>
 本発明のラベル付き樹脂成形品は、ラベルの多孔質層の端面にカッターナイフで切れ込みを入れて剥し代を作り、引張速度100mm/分で剥し代と樹脂成形品とを互いに遠ざける方向に引っ張ったときに、多孔質層(B)が層内で凹凸なくきれいに破断して、第1多孔質分離層(B1)と第2多孔質分離層(B2)とに分断できることが好ましい。ここでいう切れ込みや剥離条件の詳細については、後述の「破断面のインキパターンの視認性」の欄を参照することができる。
 多孔質層(B)が凹凸なくきれいに破断したことの目安としては、樹脂成形品からラベルを剥離することで露出した表面(樹脂成形品側の破断面および剥離したラベル側の破断面)における各多孔質分離層(B1)、(B2)の残存面積割合を用いることができ、両者のこの割合が大きい程、多孔質層(B)が凹凸なくきれいに破断したことを意味する。具体的には、ラベルの剥離により露出した樹脂成形品側の破断面の80%以上を第1多孔質分離層(B1)が占めていることが好ましく、その割合は90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることがさらにより好ましく、100%であることが特に好ましい。また、剥離により露出したラベル側の破断面の80%以上を第2多孔質分離層(B2)が占めていることが好ましく、その割合は90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることがさらにより好ましく、100%であることが特に好ましい。
<多孔質分離層の破断面での色差ΔE>
 本発明のラベル付き樹脂成形品は、多孔質層(B)の端面から多孔質層(B)が厚み方向に2分するように切れ込みを入れ、その切れ込みが拡大するように基層(A)を引っ張って、ラベルを樹脂成形品から剥離したとき、多孔質層(B)が、樹脂成形品に貼着したまま残留する第1多孔質分離層(B1)と基層(A)を有するラベルに伴って剥離する第2多孔質分離層(B2)に分離するとともに、第1多孔質分離層(B1)の樹脂成形品と反対側の表面(破断面)にインキ組成物による第1インキパターン(P1)が現れる。
 ここで、第1多孔質分離層(B1)の破断面上において、第1インキパターン(P1)が形成されているインキパターン形成領域と、第1インキパターン(P1)が形成されていないインキパターン非形成領域との色差ΔEは、特に制限されないが、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。色差ΔEが3以上であれば、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域との間の色差が高いことにより、第1インキパターン(P1)の視認を容易にすることができる。これにより、多孔質層(B)の表面に、特定の情報を表すインキパターンでインキ組成物を供給した(印刷した)場合には、樹脂成形品からラベルを剥離した後の、第1多孔質分離層(B1)の破断面上の第1インキパターン(P1)から、その情報を知得することができる。このように破断面上で情報が知得できることにより、ラベルが剥がされた樹脂成形品からラベル表面に付与された情報とは異なる追加情報を得る、商品が正規品か否かの真贋判定をする、応募コードなどクーポン等として二次利用するなど、ラベル付き樹脂成形品に更なる機能を付与することが可能である。
 また、インキパターンを形成するインキ組成物として、実質的に色材を含まない無色のインキ組成物を用いる場合には、第1多孔質分離層(B1)の破断面の第1インキパターン(P1)が形成されていないパターン非形成領域と樹脂成形品の表面(ラベル付き樹脂成形品のうち、ラベルが貼着していない部分の表面)との色差ΔEBと、第1多孔質分離層(B1)の破断面の第1インキパターン(P1)が形成されているパターン形成領域と樹脂成形品の表面との色差ΔEPとの差(ΔEB-ΔEP)が、1~50の範囲内であることが好ましく、3~30の範囲内であることがより好ましい。無色のインキ組成物を用いる場合でも差(ΔEB-ΔEP)が1以上であれば、第1多孔質分離層(B1)の破断面において、第1インキパターン(P1)を容易に視認することができる。
 一方、基層(A)を有するラベルに伴って剥離する第2多孔質分離層(B2)の破断面上には、第1多孔質分離層(B1)の第1インキパターン(P1)と鏡像関係にある第2インキパターン(P2)を形成することができる。これは、多孔質層(B)の分離に伴って、その内部のインキ組成物層が厚さ方向に2分した一方に由来するものである。
 第2インキパターン(P2)を視認するためには、第2多孔質分離層(B2)の基層(A)と反対側の表面(破断面)のうち、第2インキパターン(P2)が形成されているインキパターン形成領域と、第2インキパターン(P2)が形成されていないパターン非形成領域との色差ΔEが3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、9以上であることが更に好ましい。色差ΔEが3以上であれば、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域との間の色差が高いことにより、第2インキパターン(P2)を容易に視認することができる。
 また、インキパターンを形成するインキ組成物として、実質的に色材を含まない無色のインキ組成物を用いる場合には、第2多孔質分離層(B2)の破断面上の第2インキパターン(P2)は視認できないものであってもよい。第1インキパターンが視認できる一方、第2インキパターンが視認できない様態は、より偽造防止効果が高いものである。第2インキパターン(P2)が容易に視認できない様態であっても、多孔質層(B)に無色のインキ組成物が十分に浸透している場合は、第2多孔質分離層(B2)の破断面上の第2インキパターン(P2)の対応領域にはインキ組成物が存在する。そのため、同インキ組成物に紫外線または赤外線を吸収して可視光線を放出するもの等を採用すれば、真贋判定をより確実に行うことができ、更に偽造防止効果を高めることができる。
 なお、本発明のラベル付き樹脂成形品において、第1インキパターン(P1)と第2インキパターン(P2)は相互に鏡像の関係にある。ここで、正像を第1インキパターン(P1)側とするか、または第2インキパターン(P2)側とするか(鏡像を第2インキパターン(P2)側とするか、第1インキパターン(P1)側とするか)は、使用者の意向により任意に設定できる。剥がしたラベル側の第2インキパターン(P2)に正像を設けたい場合は、多孔質層(B)への印刷を正像で行えばよく、逆に樹脂成形品側の第1インキパターン(P1)に正像を設けたい場合は、多孔質層(B)への印刷を予め反転した逆像(鏡像)で行えばよい。
 第1多孔質分離層(B1)の表面(破断面)または第2多孔質分離層(B2)の表面(破断面)における「色差ΔE」は、そのインキパターン形成領域(またはインキパターン対応領域)およびインキパターン非形成領域のそれぞれについて、色彩色差計を用いて明度L*値と、色座標a*値およびb*値とを測定し、その測定値から下記式を用いて算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 上記式において、L* xは、インキパターン形成領域のL*値を表し、L* yは、インキパターン非形成領域のL*値を表し、a* xは、インキパターン形成領域のa*値を表し、a* yは、インキパターン非形成領域のa*値を表し、b* xは、インキパターン形成領域のb*値を表し、b* yは、インキパターン非形成領域のb*値を表す。
 また、パターン非形成領域と樹脂成形品の表面との色差ΔEB、パターン形成領域と樹脂成形品の表面との色差ΔEPも、それぞれの領域(表面)について、色彩色差計を用いて明度L*値と、色座標a*値およびb*値とを測定し、その測定値から、上記のΔEの算出方法に倣って求めることができる。この場合、上記式において、L* xは、色差を求める一方の領域(表面)のL*値を表し、L* yは、色差を求める他方の領域(表面)のL*値を表し、a* xは、色差を求める一方の領域(表面)のa*値を表し、a* yは、色差を求める他方の領域(表面)のa*値を表し、b* xは、色差を求める一方の領域のb*値を表し、b* yは、色差を求める他方の領域(表面)のb*値を表すとして、各色差を算出する。
<粘着テープ剥離試験>
 本明細書中において「粘着テープ剥離試験」とは、上記のようにして第2多孔質分離層(B2)の表面に現れた第2インキパターン(P2)の表面に粘着テープの粘着面を貼り付け、粘着テープを180°で300mm/minの速度で剥がした後に、第2多孔質分離層(B2)の表面および粘着テープの粘着面のインキパターンの視認性を評価する試験である。この粘着テープ剥離試験後に、粘着テープの粘着面において第2インキパターン(P2)の反転パターンを視認できるとともに、第2多孔質分離層(B2)の表面において第2インキパターン(P2)を視認できることが好ましい。特に、粘着テープ剥離試験後の、第2多孔質分離層(B2)での第2インキパターン(P2)の視認性は、多孔質層(B)におけるインキ組成物の浸透深さの指標になり、第2多孔質分離層(B2)で視認される第2インキパターン(P2)が明瞭である程、多孔質層(B)におけるインキ組成物の浸透深さが深いことを意味する。
<ラベル付き樹脂成形品、および、多孔質層付き樹脂成形品の用途>
 本発明のラベル付き樹脂成形品、および、基層(A)および第2多孔質分離層(B2)を剥離した後に残る第1多孔質分離層(B1)が貼着した樹脂成形品(多孔質層付き樹脂成形品)は、潤滑油、真空ポンプ油、機械オイル、エンジンオイル、モーターオイル等に用いるオイル用容器(ボトル);家庭用洗剤、洗濯洗剤、食器洗い用洗剤、浴槽用洗剤、便器用洗剤、パイプクリーナー、洗車用洗剤、柔軟剤、漂白剤、蛍光増白剤、洗顔剤、液体石鹸、シャンプー、リンス、口内洗浄剤、消臭剤、液体入浴剤、アイロン用糊剤、消毒液、殺菌剤、殺菌用アルコール、艶出し用ワックス、農薬、除草剤、殺虫剤等に用いる薬品用容器(ボトル);清涼飲料、酒、醤油、たれ、ソース、食用油、ドレッシング等に用いる食品用容器(ボトル);ジャム、マーガリン、ピーナツバター、ケチャップ、マヨネーズ等のスプレッドに用いるスクイーズ容器;アイスクリーム、ヨーグルト等の食品用容器(カップ);ウェットティッシュ等の容器(広口ボトル)として利用可能である。
<<ラベル付き樹脂成形品の製造方法>>
 本発明のラベル付き樹脂成形品の製造方法は、基層(A)と、該基層(A)の上に設けられた多孔質層(B)を有する積層樹脂フィルムを形成する積層樹脂フィルム形成工程と、該積層樹脂フィルムの多孔質層(B)の基層(A)と反対側の表面に、インキ組成物を印刷してインキパターンを形成してラベルを得る印刷工程と、該インキパターンが形成されたラベルを、基層(A)側が金型の内壁側となり、多孔質層(B)側が金型のキャビティ側となり溶融樹脂と接しうるように金型内に挿入し、インモールド成形法によりラベル付き樹脂成形品を得る成形工程と、を有することを特徴とする。
 本発明の製造方法において、用いるインキ組成物が有色である場合、そのインキ組成物とラベルの多孔質層(B)側表面との色差ΔE0が3以上であることが好ましい。一方、用いるインキ組成物が無色である場合、その無色のインキ組成物は更に透明であることが好ましく、その第1インキパターン形成領域と樹脂成形品の表面との色差ΔEP0が3未満であることが好ましい。色差ΔE0、ΔEP0は、上記の<多孔質分離層の破断面での色差ΔE>に記載したΔEの算出方法に倣って求めることができる。この場合、ΔEを算出する式において、L* xは、第1インキパターン形成領域のL*値を表し、L* yは、ラベルの多孔質層(B)側表面または樹脂成形品の表面のL*値を表し、a* xは、第1インキパターン形成領域のa*値を表し、a* yは、ラベルの多孔質層(B)側表面または樹脂成形品の表面のa*値を表し、b* xは、第1インキパターン形成領域のb*値を表し、b* yは、ラベルの多孔質層(B)側表面または樹脂成形品の表面のb*値を表すとして、色差ΔE0、ΔEP0を算出する。
 以下、本発明のラベル付き樹脂成形品の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
[1]積層樹脂フィルムの形成工程
 この工程では、基層(A)と多孔質層(B)とを有する積層樹脂フィルムを形成する。
 積層樹脂フィルムは、基層(A)の材料を含む樹脂組成物により形成された層と多孔質層(B)の材料を含む樹脂組成物により形成された層を積層する積層工程と、各層を延伸する延伸工程とを組み合わせて形成することができる。基層(A)および多孔質層(B)の材料の具体例および好ましい範囲については、上記の<ラベルの基本構成>の欄の記載を参照することができる。
 延伸工程は、各樹脂組成物により形成された層について別々に行ってもよいし、各樹脂組成物を積層してから行ってもよいが、各樹脂組成物を積層した後に少なくとも1軸方向に延伸することが好ましい。本発明の多孔質層(B)は強度が低く、肉厚が薄いため、多孔質層(B)単層での延伸成形は極めて困難である。基層(A)と多孔質層(B)を積層後延伸することにより、多孔質層(B)の延伸が容易となる。従って基層(A)は多孔質層(B)を延伸するための担持体としても有用である。
 具体的な手順としては、基層(A)の材料を含む樹脂組成物の層を縦方向に延伸して縦一軸延伸フィルムを得た後、その上に、多孔質層(B)の材料を含む樹脂組成物の層を積層し、この積層体を横方向に延伸して積層樹脂フィルムを形成する方法を挙げることができる。
(樹脂組成物の積層)
 樹脂組成物の積層方法としては、公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、複数の押出機とフィードブロック、マルチマニホールド、多層ダイスを使用した多層ダイス方式と、複数の押出機とダイスを使用する押出しラミネーション方式等がある。又、多層ダイス方式と押出しラミネーション方式を組み合わせて使用することも可能である。
(延伸)
 延伸には、公知の種々の方法を使用することができる。延伸の温度は、基層(A)に主に用いる熱可塑性樹脂(例えば、基層(A)における熱可塑性樹脂の過半量(50質量%以上)を占める熱可塑性樹脂)のガラス転移点温度以上、その結晶部の融点以下の温度範囲のうち、熱可塑性樹脂の延伸に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、基層(A)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155~167℃)である場合は通常100~166℃、高密度ポリエチレン(融点121~136℃)である場合は通常70~135℃であり、それぞれの融点よりも1~70℃低い温度で延伸を行う。
 ここで、特に、基層(A)となる樹脂組成物の層には、上記の温度範囲よりも2~5℃高い温度で縦延伸を行うことが好ましい。これにより、強度が高い基層(A)を得ることができる。
 また、多孔質層(B)となる樹脂組成物の層には、上記の温度範囲よりも3~10℃低い温度で横延伸を行うことが好ましい。多孔質層(B)となる樹脂組成物の層を横延伸する際の好ましい温度範囲は、多孔質層(B)に用いる材料によって異なるが、多孔質層(B)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体を含む場合は145~160℃が好ましい。このように、上記の温度範囲よりも比較的低い温度範囲で横延伸を行うことにより、多孔質層(B)の厚み方向の断面から観察される空隙が比較的多くなる。その結果、多孔質層での液体等の吸収容量が大きく、インキ組成物の充填率の高いラベルを得ることができる。こうしたラベルを有するラベル付き樹脂成形品では、基層(A)を引き剥がすことで多孔質層(B)が分離したとき、樹脂成形品側の第1多孔質分離層(B1)および基層(A)側の第2多孔質分離層(B2)の各破断面において、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域との色差ΔEを大きくすることができ、第1インキパターン(P1)や第2インキパターン(P2)の視認を容易にすることが可能になる。
 延伸の具体的な方法としては、ロール群の周速差を利用したロール間延伸、テンターオーブンを利用したクリップ延伸などを挙げることができる。これらの延伸方法は組み合わせて実施してもよい。ロール間延伸は、ロール群の周速差の変更により、延伸倍率を容易に調整できるという利点がある。テンター延伸は、広幅の延伸フィルムが得られることから、製品の歩留まりが向上するという利点があり、加熱延伸時にシート表面が機器類に触れないので、シートと機器類の貼り付き等のトラブルが生じにくい利点もある。
 延伸倍率は特に限定されるものではなく、ラベルに用いる熱可塑性樹脂の特性を考慮して決定する。延伸軸数が一軸である場合、延伸倍率は通常は2~11倍であり、好ましくは3~10倍である。例えば、熱可塑性樹脂にポリオレフィン系樹脂を用いる場合には、ロール間延伸時の延伸倍率は4~7倍が好ましく、テンターオーブンを利用したクリップ延伸時の延伸倍率は4~11倍が好ましい。延伸軸数が二軸である場合の面積倍率としては、通常は2~80倍であり、好ましくは3~60倍、より好ましくは4~50倍である。面積倍率が2倍以上であれば、フィルムに所望の空隙率を付与しやすくなる。一方、面積倍率が80倍以下であれば、積層樹脂フィルム形成工程で延伸時のシート切れや粗大な穴あき等のトラブルが生じにくい利点がある。
 特に好ましい積層樹脂フィルムの形成工程として、基層(A)の材料を含む樹脂組成物をダイスからシート状に押出し、ロール間の周速差を利用して縦延伸して縦一軸延伸フィルムを得た後、その縦一軸延伸フィルムの上に多孔質層(B)の材料を含む樹脂組成物を積層し、次いでテンターを使用して横延伸する方法を挙げることができる。このとき、上記のように、基層(A)の強度を上げるため、通常の熱可塑性樹脂フィルムにおける縦延伸温度より2~5℃高い温度で縦延伸を行ない、かつ多孔質層(B)のインキ吸収容量を増加させるため、通常の熱可塑性樹脂フィルムにおける横延伸温度より3~10℃低い温度で横延伸を行なうことが好ましい。
(熱処理)
 延伸後の積層樹脂フィルムには熱処理を行うのが好ましい。熱処理の温度は、上記の延伸温度より10~30℃高い温度を選択することが好ましい。熱処理の温度の好ましい範囲は、多孔質層(B)に用いる熱可塑性樹脂によって異なるが、基層(A)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体である場合は165~180℃を選択することが好ましい。積層樹脂フィルムに熱処理を行うことにより、延伸方向の熱収縮率が低減し、製品保管時の巻き締まりや、インモールド成形時の収縮による波打ち等が少なくなる。加えて、一般的な延伸フィルムに行う熱処理の温度よりも高い温度で熱処理を行うことにより、多孔質層(B)表面の一部が溶融して空隙が減少する。これにより、次に行う印刷工程で、多孔質層(B)の表面にインキ組成物を印刷したとき、そのインキ組成物が、毛細管現象によって空隙内部に押し出されるように浸透し、多孔質層(B)のより深い位置までインキ組成物を浸透させることができる。
 また熱処理を行うことにより、多孔質層(B)表面の凹凸を均して多孔質層(B)表面をより平滑化させることができるという効果も得られる。ここで、後工程[4]で行うインモールド成形の際に、多孔質層(B)の表面に凸部が多いと、その表面と樹脂成形品とが点接触状態になって接触面積が小さくなり、得られたラベル付き樹脂成形品でラベル(多孔質層(B))と樹脂成形品との界面における接着強度が小さくなる傾向がある。これに対して、熱処理によって多孔質層(B)表面が平滑化されていると、インモールド成形により、ラベルが樹脂成形品に高い強度で接着したラベル付き樹脂成形品を得ることができる。こうしたラベル付き樹脂成形品では、ラベルの基層(A)を樹脂成形品から引き剥がす際、多孔質層(B)と樹脂成形品との界面での剥離が起きにくいため、多孔質層(B)の凝集破壊による剥離が優先的に進行し、多孔質層(B)を第1多孔質分離層(B1)と第2多孔質分離層(B2)とに分離しやすくなる。これにより、第1多孔質分離層(B1)の破断面、さらには、第2多孔質分離層(B2)の破断面に、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域との色差(コントラスト)が明瞭に現れ、第1インキパターン(P1)、さらには第2インキパターン(P2)を視認することが容易になる。
 熱処理の方法は熱ロール及び熱オーブンで行うのが一般的であるが、これらを組み合わせてもよい。これらの処理は延伸したフィルムを緊張下に保持された状態において実施するのがより高い処理効果が得られるので好ましい。
 また、熱処理後には積層樹脂フィルム表面にコロナ放電処理やプラズマ処理などの酸化処理を施すのが好ましい。酸化処理を施すことにより表面の濡れ性がより向上し、印刷時のインキ受理性が向上する利点がある。
[2]印刷工程
 この工程では、工程[1]で形成された積層樹脂フィルムの多孔質層(B)側の表面に、インキ組成物を印刷してインキパターンを形成する。多孔質層(B)の表面に形成されたインキパターンのインキ組成物は、多孔質層(B)表面の開口から空隙内部に浸透し、多孔質層(B)内に吸収される。
 インキ組成物に用いる成分の好ましい範囲と具体例については、上記の[インキ組成物]の欄の記載を参照することができる。
 本発明で用いるインキ組成物の粘度は、10mPa・s以上であることが好ましく、15mPa・s以上であることがより好ましく、20mPa・s以上であることがさらに好ましい。また、インキ組成物の粘度は、1500mPa・s以下であることが好ましく、1200mPa・s以下であることがより好ましく、1000mPa・s以下であることがさらに好ましい。インキ組成物の粘度が10mPa・s以上であれば、インキ組成物が流れ過ぎてしまうことが抑えられ、多孔質層(B)に浸透したインキ組成物によるインキパターンがぼやけにくくなる傾向がある。またインキ組成物の取扱い性がよくなる傾向がある。一方、インキ組成物の粘度が1500mPa・s以下であれば、多孔質層(B)の表面に印刷されたインキ組成物が多孔質層(B)内部の空隙内に浸透しやすく、インキ組成物を多孔質層(B)の深い位置まで吸収させることができる。その結果、得られたラベル付き樹脂成形品から基層(A)を引き剥がすことで現れた第1多孔質分離層(B1)および第2多孔質分離層(B2)の各破断面において、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域との間に高い色差ΔEが得られやすい。
 本明細書中における「インキ組成物の粘度」とは、JIS Z8803:2011の単一円筒型回転粘度計(B型粘度計)により測定されるインキ組成物の粘度をいう。インキ組成物の粘度は、インキ組成物における組成物の種類や、固形分の濃度や、溶剤の種類や、溶剤の濃度や、レデューサーなど添加剤の使用等により調整や制御することができる。
 ここで、特許文献1の実施例で使用しているインキ組成物は粘度が高すぎるため、そのインキ組成物をラベルの多孔質層表面に多量に供給しても、インキ組成物は空隙の開口付近(表面近傍)に留まり多孔質層の内部にまで浸透しにくい。このようにして得たラベルを樹脂成形品に貼着し、ラベルの基層を引き剥がし、多孔質層を基層側の多孔質分離層と成形品側の多孔質分離層に分離させても、その分離位置(破断面)までインキ組成物は到達しておらず、インキパターンは多孔質分離層によって覆われている。このため、成形品側の多孔質分離層の破断面を見ても、インキパターン形成領域とインキパターン非形成領域との色差が十分ではなく、インキパターンを視認することは容易ではない。
 成形品側の第1多孔質分離層(B1)およびラベル側の第2多孔質分離層(B2)の各破断面に、インキ組成物によるインキパターンを現出しやすくするためには、上記したように、(1)多孔質層(B)の横延伸温度を比較的低めに設定して多孔質層(B)の空隙率を大きくし、インク吸収容量を大きくすること、(2)多孔質層(B)の熱処理時の温度を比較的高めに設定して、多孔質層(B)の表面近傍の空隙率を減少させること、および(3)インキパターンの形成に用いるインキ組成物の粘度を比較的低くする(特定範囲とする)こと、等を実施することが好ましい。
 多孔質層(B)表面にインキ組成物を印刷する方法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、電子写真印刷等の各種印刷方式を挙げることができ、中でも、粘度が低いインキ組成物の印刷に適することからフレキソ印刷法を用いることが好ましい。
 多孔質層(B)の表面に印刷するインキパターンは、特に限定されない。具体例として、絵柄や文字、QRコード(登録商標)などのバーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名などの意匠や情報を表すパターンを挙げることができる。
 また、この工程では、多孔質層(B)の表面にインキ組成物を印刷するとともに、基層(A)の多孔質層(B)と反対側の表面にもインキ組成物を印刷してもよい。本発明で用いるラベルは基層(A)の多層化により筆記性、印刷適性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
[3]ヒートシール層形成工程
 この工程は必要に応じて行われる工程であり、工程[2]でインキパターンを形成した多孔質層(B)の表面にヒートシール層を形成する。
 ヒートシール層は、インキパターンを形成した多孔質層(B)の表面に、ヒートシール層の材料を含む樹脂組成物を塗工や印刷等により積層することで形成することができる。ヒートシール層の材料の好ましい範囲と具体例については、上記の[ヒートシール層]の欄の記載を参照することができる。
 印刷方法の具体例については、工程[2]において、インキ組成物を印刷する方法として例示した各種印刷方式を参照することができる。また、塗工方法としては、ロールコート、グラビアコート、カーテンコート、スプレーコート、ダイコート等の塗装方式を挙げることができる。
[4]成形工程
 この工程では、インキパターンが形成されたラベルを、基層(A)側が金型の内壁面側になり、多孔質層(B)側が溶融樹脂と接しうるように金型内に挿入し、インモールド成形法によりラベル付き樹脂成形品を得る。
 本発明で用いるラベルは、溶融樹脂パリソンを圧空により金型内壁に圧着するダイレクトブロー成形用やプリフォームを用いた延伸ブロー成形用としても好適であるが、射出装置で金型内に溶融樹脂を注入し冷却固化するインジェクション成形用のインモールド成形用ラベルとしても好適に成形工程に供することができる。
 更に差圧成形用のラベルとして、差圧成形金型の下雌金型の内面にラベルの印刷面が接するように設置した後、吸引により金型内壁に固定し、次いで成形品成形材料用の樹脂シートの溶融物を下雌金型の上方に導き、差圧によりラベルを成形品外壁に一体に融着させることもできる。差圧成形は、真空成形、圧空成形のいずれも採用できるが、一般には両者を併用し、かつプラグアシストを利用した差圧成形が好ましい。
 本発明のラベル付き樹脂成形品は、ラベルが金型内で固定された後に、ラベルと樹脂成形品が一体に成形されるので、ラベルの変形もなく、成形品とラベルは適度な接着強度を有しており、ふくれ(ブリスター)もなく、ラベルにより加飾された外観が良好な成形品が得られる。
 以下に、実施例および試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例で採用する材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[試験例]
 本実施例で行った試験を以下に示す。温度が記載されていない操作は20℃で行ったものである。
(インキ組成物の粘度)
 各インキ組成物の粘度は、各インキ組成物を恒温室(温度20℃、相対湿度65%)にて12時間保管した後、単一円筒型粘度計(東機産業(株)製、機器名:TV-25)を使用し、JIS Z8803:2011「液体の粘度―測定方法」に記載の単一円筒型回転粘度計の測定方法で、回転速度6rpmにて測定した。
(多孔質層(B)の空孔率)
 各延伸フィルムの製造例で用いた多孔質層(B)用の配合物を押出機で溶融混練して得た組成物[B]を冷却後、JIS K7112:1999に従い真密度ρ0を測定した。
 一方、延伸フィルムの製造例で得た各延伸フィルムの端面にカッターナイフを入れて掴み代とし、ゆっくりと手で多孔質層(B)を剥離した。その多孔質層(B)について、JIS K7222:2005に従い密度ρを測定した。上記によって求めた真密度ρ0と密度ρから、下記式(1)によって多孔質層(B)の空孔率を算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
(吸油性)
 延伸フィルムの製造例で得た各延伸フィルムについて、油吸収メーター(熊谷理機工業(株)製)を用いて吸油性を測定した。吸油性の測定は、多孔質層(B)の表面にビュレットから鉱物油を20μm滴下したこと、試験片を5枚使用したこと、試験片だけの場合の読みより5目盛加えたところまで下がるのに要する時間を測定する代わりに、ローラが試験片の上を通過した時の検流計の指針の値に戻るまでに要する時間を測定したこと以外は、JAPAN TAPPI 67-2000に規定される吸油度試験方法に従って行った。
(ラベル付き樹脂成形品の剥離強度)
 各実施例および各比較例で製造したラベル付き樹脂成形品のラベル貼着部分から幅15mm、長さ100mmの試料を切り出し、各試料を恒温室(温度20℃、相対湿度65%)にて12時間保管した。その後、ラベルの多孔質層の端面にカッターナイフで切れ込みを入れて剥し代を作った。切れ込みは、多孔質層が厚み方向に2分するように多孔質層の端面(厚み方向に広がる面)から端面に垂直な方向に向けて入れ、切れ込み深さは1cmとした。
 引張試験機((株)島津制作所製、機器名:AUTOGRAPH)を使用し、引張速度300mm/分にて、剥し代と樹脂成形品とを180゜の角度で互いに遠ざける方向に引っ張ることにより、基層(A)と樹脂成形品とを剥離させ、剥離が安定している時の応力をロードセルにより測定した。この応力の測定は、各積層樹脂フィルムの横方向と縦方向(多孔質層(B)の延伸方向とそれに直交する方向)についてそれぞれ行い、これらの平均値を算出して剥離強度とした。
(破断面のインキパターンの視認性)
 各実施例および各比較例で製造したラベル付き樹脂成形品のラベルの多孔質層の端面にカッターナイフで切れ込みを入れて剥し代を作った。切れ込みは、多孔質層が厚み方向に2分するように多孔質層の端面から端面に垂直な方向に向けて入れ、切れ込み深さは1cmとした。
 剥し代を指で挟んで、引張速度100mm/分程度の速度で剥し代と樹脂成形品とを180゜の角度で互いに遠ざける方向に引っ張ることにより、ラベルを手で樹脂成形品から剥離した。
 ラベル剥離後、樹脂成形品に残った第1多孔質分離層(B1)の破断面に現れた第1インキパターン(P1)の印刷視認性、および、剥離したラベルの第2多孔質分離層(B2)上の第1インキパターン(P1)の対応領域(P’)または剥離したラベルの第2多孔質分離層(B2)の破断面に現れた第2インキパターン(P2)の印刷視認性をそれぞれ次の通り判定した。
 なお、各実施例のラベル付き樹脂成形品は、ラベル剥離時に、多孔質層(B)内できれいに破断し、樹脂成形品側およびラベル側に2分されて両者に薄皮状に残留積層しており、ラベル側の破断面に基層(A)が露出していることはなく、また樹脂成形品側の破断面に樹脂成形品が露出していることもなかった。
 ◎:印刷部分が濃く視認できる
 ○:印刷部分がやや薄く視認できる
 △:印刷部分が薄く視認できる
 ×:印刷部分の視認は困難であるか不可能
 また、第1インキパターン(P1)と第2インキパターン(P2)との関係を記録した。
(粘着テープ剥離試験)
 上記インキパターンの視認性評価の際に、実施例7~19および比較例4、5のラベル付き樹脂成形品から剥離した各ラベルについて、その第2多孔質分離層(B2)の破断面に現れた第2インキパターン(P2)上に、粘着テープ(ニチバン(株)製のセロハンテープ、商品名:セロテープ(登録商標)、銘柄名:CT-18)を手で貼着し、引張速度100mm/分程度で粘着テープとラベルとを180°の角度で互いに遠ける方向に引っ張ることにより手で剥離した。剥離後の粘着テープの粘着面および第2多孔質分離層(B2)の剥離面について、インキパターンの視認性を次の通りそれぞれ判定した。
 ○:インキパターンが視認できる
 △:インキパターンが不明瞭であるが、視認できる
 ×:インキパターンの視認が不可能
(多孔質層破断面のインキパターン形成領域と同面のインキパターン非形成領域との色差ΔE測定と系統色判定)
 ラベル付き樹脂成形品の剥離強度試験の際に樹脂成形品に残った第1多孔質分離層(B1)上のインキパターン(P1)形成領域、および非形成領域、ならびに剥したラベルの第2多孔質分離層(B2)上の対応領域(P’)またはインキパターン(P2)形成領域、および非形成領域のそれぞれについて、色彩色差計(ビデオジェット・エックスライト(株)製、機器名:X-rite530)を用いて明度L*値、および色座標a*、b*値を測定し、次の式で色差ΔEを求めた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 上記式において、L* xは、インキパターン形成領域または対応領域のL*値を表し、L* yは、インキパターン非形成領域のL*値を表し、a* xは、インキパターン形成領域または対応領域のa*値を表し、a* yは、インキパターン非形成領域のa*値を表し、b* xは、インキパターン形成領域または対応領域のb*値を表し、b* yは、インキパターン非形成領域のb*値を表す。
 ここで、色差ΔEが3以下の場合を「同系統色」であると判定し、ΔEが3を超える場合を「異系統色」であると判定した。
(多孔質層破断面のインキパターン(P1)形成領域と樹脂成形品との色差ΔE測定と系統色判定)
 上記色差ΔE測定の際に、色彩色差計(ビデオジェット・エックスライト(株)製、機器名:X-rite530)を用いて樹脂成形品のラベル非貼着部分(中空成形品の胴部分)の明度L*値、および色座標a*、b*値を測定した。次いで実施例1~6および比較例1~2のラベル付き樹脂成形品について、次の式で多孔質層破断面のインキパターン(P1)形成領域と樹脂成形品との色差ΔEを求めた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 上記式において、L* xは、インキパターン(P1)形成領域のL*値を表し、L* yは、樹脂成形品のL*値を表し、a* xは、インキパターン(P1)形成領域のa*値を表し、a* yは、樹脂成形品のa*値を表し、b* xは、インキパターン(P1)形成領域のb*値を表し、b* yは、樹脂成形品のb*値を表す。
 ここで、色差ΔEが3以下の場合を「同系統色」であると判定し、ΔEが3を超える場合を「異系統色」であると判定した。
(多孔質層破断面のインキパターン(P1)非形成領域と樹脂成形品との色差ΔE測定と系統色判定)
 上記色差ΔE測定の際に、実施例1~6および比較例1~3のラベル付き樹脂成形品について、次の式で多孔質層破断面のインキパターン(P1)非形成領域と樹脂成形品との色差ΔEを求めた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 上記式において、L* xは、インキパターン(P1)非形成領域のL*値を表し、L* yは、樹脂成形品のL*値を表し、a* xは、インキパターン(P1)非形成領域のa*値を表し、a* yは、樹脂成形品のa*値を表し、b* xは、インキパターン(P1)非形成領域のb*値を表し、b* yは、樹脂成形品のb*値を表す。
 ここで、色差ΔEが3以下の場合を「同系統色」であると判定し、ΔEが3を超える場合を「異系統色」であると判定した。
[電子顕微鏡観察]
 各製造例で作製した積層樹脂フィルムをエポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いてフィルムの厚さ方向に対して平行(すなわち面方向に垂直)な切断面を作製した。この切断面を金属蒸着してメタライジングした後、走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)製、機器名:S-2400)を用いて3000倍に拡大して写真撮影し、同画像を画像解析装置(ニレコ(株)製、機器名:ルーゼックスIID)による二値化処理と画像処理を行って断面画像を得た。この断面画像を用いて各層の空孔率を求めた。
(基層(A)および多孔質層(B)の断面空隙率)
 断面画像上の基層(A)および多孔質層(B)のそれぞれについて、熱可塑性樹脂組成物によって区画された空隙領域の面積を、観測領域全体の面積で除した値を断面空隙率として算出した。断面画像で観察される空隙内の無機充填剤は空隙として扱った。
[延伸フィルムの製造]
 表1に各製造例で用いた材料をまとめて記載し、表2に各製造例で用いた配合物の組成をまとめて記載する。表1中の「MFR」はメルトフローレートを意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
(積層樹脂フィルムの製造例1)
 結晶性ポリプロピレン樹脂としてPP-1の34質量%およびPP-2の20質量%、無機微細粉末としてF-3の45質量%、ならびに分散剤としてD-3の1質量%からなる基層(A)用の配合物dを250℃に設定した押出機で溶融混練し、ダイスを介してシート状に押出成形し、冷却装置にて70℃まで冷却して単層無延伸シートを得た。この無延伸シートを145℃に再加熱した後、多数のロール間の周速差を利用して縦方向に5倍に延伸し、縦一軸延伸フィルムを得た。
 これとは別に、結晶性ポリプロピレン樹脂としてPP-1の16質量%、結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂としてPE-1の19.5質量%、無機微細粉末としてF-1の62質量%、ならびに分散剤としてD-1の0.5質量%およびD-2の2質量%からなる多孔質層(B)用の配合物aを250℃に設定した押出機で溶融混練し、ダイスを介してシート状に押出し、前記の縦一軸延伸フィルムの片面に積層し、d/aの2層構造を有する積層物を得た。
 次いで、前記の積層物を、オーブンを用いて153℃に再加熱した後、テンター延伸機を用いて横方向に9倍延伸し、次いで170℃で熱処理して、2軸延伸/1軸延伸された、製造例1の2層延伸フィルム(積層樹脂フィルム)を得た。製造例1の2層延伸フィルムの全厚みは105μmであり、そのうち多孔質層(B)の厚みは6μm、多孔質層(B)の空孔率は60%であった。
(積層樹脂フィルムの製造例2)
 積層物を横方向に延伸する際の再加熱温度を158℃にしたことと、横方向に延伸した後に行う熱処理の温度を160℃にしたこと以外は、製造例1と同様にして2層延伸フィルム(積層樹脂フィルム)を得た。製造例2の2層延伸フィルムの全厚みは95μmであり、そのうち多孔質層(B)の厚みは5μm、多孔質層(B)空孔率は52%であった。
(積層樹脂フィルムの製造例3)
 製造例1における縦一軸延伸フィルムの形成工程と同様の工程で、配合物dよりなる単層の縦一軸延伸フィルムを得た。
 これとは別に、結晶性ポリプロピレン樹脂としてPP-1の50質量%およびPP-2の30質量%、ならびに無機微細粉末としてF-3の20質量%からなる基層(A)用の配合物eを250℃に設定した押出機で溶融混練し、ダイスを介してシート状に押出し、前記の縦一軸延伸フィルムの一方の面に積層した。
 また別に、結晶性ポリプロピレン樹脂としてPP-3の13質量%、結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂としてPE-2の25質量%、無機微細粉末としてF-4の60質量%、および分散剤としてD-3の2質量%からなる多孔質層(B)用の配合物bを250℃に設定した押出機で溶融混練し、ダイスを介してシート状に押出し、前記の縦一軸延伸フィルムの配合物eを積層した面と反対側の面に積層し、e/d/bの3層構造を有する積層物を得た。
 次いで、前記の積層物を、オーブンを用いて153℃に再加熱した後、テンター延伸機を用いて横方向に9倍延伸し、次いで170℃で熱処理して、1軸延伸/2軸延伸/1軸延伸された、製造例3の3層延伸フィルム(積層樹脂フィルム)を得た。製造例3の3層延伸フィルムの全厚みは100μmであり、そのうち多孔質層(B)の厚みは10μm、多孔質層(B)の空孔率は60%であった。
(積層樹脂フィルムの製造例4)
 積層物を横方向に延伸する際の再加熱温度を158℃にしたことと、横方向に延伸した後に行う熱処理の温度を160℃にしたこと以外は、製造例3と同様にして3層延伸フィルム(積層樹脂フィルム)を得た。製造例4の3層延伸フィルムの全厚みは91μmであり、そのうち多孔質層(B)の厚みは9μm、多孔質層(B)の空孔率は50%であった。延伸フィルムの製造例4は、特開2012-215799号公報の実施例3と同じ横延伸温度を採用したものである。
(積層樹脂フィルムの製造例5)
 製造例1における縦一軸延伸フィルムの形成工程と同様の工程で、配合物dよりなる単層の縦一軸延伸フィルムを得た。
 これとは別に、結晶性ポリプロピレン樹脂としてPP-3の42質量%、結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂としてPO-1の3.5質量%、無機微細粉末としてF-2の52.5質量%およびF-5が0.5質量%、ならびに分散剤としてD-1の0.5質量%およびD-2の1質量%からなる多孔質層(B)用の配合物cを250℃に設定した押出機で溶融混練し、ダイスを介してシート状に押出し、前記の縦一軸延伸フィルムの片面に積層し、d/cの2層構造を有する積層物を得た。
 次いで、前記の積層物を、オーブンを用いて158℃に再加熱した後、テンター延伸機を用いて横方向に9倍延伸し、次いで160℃で熱処理して、2軸延伸/1軸延伸された、製造例5の2層延伸フィルム(積層樹脂フィルム)を得た。製造例5の2層延伸フィルムの全厚みは95μmであり、そのうち多孔質層(B)の厚みは4μm、多孔質層(B)の空孔率は30%であった。
 上記の各製造例で用いた配合物と条件、作製した積層樹脂フィルムの多孔質層(B)の空孔率および吸油性を表3にまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
[ラベル付き樹脂成形品の製造]
(実施例1)
 製造例1で得た積層樹脂フィルムの基層(A)側の面に、オフセット印刷機(三菱重工業(株)製、機器名:ダイヤII型)およびUVオフセットインキI-4((株)T&K TOKA製、商品名:ベストキュアー161墨、インキ粘度:25000mPa・s)を用いてキャラクターの絵柄、および50%網点を含む意匠を印刷した。
 次に、同フィルムの多孔質層(B)側の面にフレキソ印刷機(Mark Andy製、機器名:2200)および無色のUVフレキソインキI-1((株)T&K TOKA製、商品名:UVフレキソメジウム500、インキ粘度:600mPa・s)を用いて、線数600本/吋、網点率70%のパターンを印刷した。
 次に、多孔質層(B)側の全面にグラビア印刷機(岡崎機械工業(株)製)およびヒートシール剤H-1(東洋モートン(株)製、商品名:アドコート1790)を用いて、線数200本/吋の100%網点を印刷し、横109mm、縦171mmのサイズに打ち抜いてインモールド成形用ラベルとした。
 次に、中空成形機((株)プラコー製、機器名:V-50型)、自動ラベル供給装置(ぺんてる(株)製)および内容量1,000mlのボトル容器が得られる中空成形用割型を使用して、インモールド成形法によりラベル付き樹脂成形品を得た。具体的には、上記で得たインモールド成形用ラベルをブロー成形用割型の一方に真空を利用して基層(A)側が金型と接するようにラベルを固定した後、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HB330、融点:133℃)を青色に着色した青色樹脂を200℃で溶融押出しパリソンとし、割型間に導入後に割型を型締めし、次いで4.2kg/cm2の圧空をパリソン内に供給し、パリソンを膨張させて型に密着させて容器形状とすると共にインモールド成形用ラベルと接着させ、次いで該割型を10℃の冷却水で冷却した後、約10秒後に型開きをしてラベルが貼着した中空容器を取り出し、これをラベル付き樹脂成形品とした。
(実施例2、3)
 多孔質層(B)側にフレキソ印刷するパターンの線数と網点率を表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(比較例2)
 多孔質層(B)側にフレキソ印刷するパターンの線数と網点率を表4に示すように変更するとともに、青色に着色した高密度ポリエチレンの代わりに、自然色の高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HB330、融点:133℃)を用いて中空容器を成形したこと以外は、実施例1と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(実施例4~6、比較例1)
 製造例1で得た積層樹脂フィルムの代わりに、表4に示す製造例で得た積層樹脂フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(比較例3)
 特開2012-215799号公報に記載の実施例3と同様の条件で製造した積層樹脂フィルムの基層(A)側の面に、オフセット印刷機(三菱重工業(株)製、機器名:ダイヤII型)およびUVオフセットインキI-4((株)T&K TOKA製、商品名:ベストキュアー161墨、インキ粘度:25000mPa・s)を用いてキャラクターの絵柄、および50%網点を含む意匠を印刷した。
 次に、同フィルムの多孔質層(B)側の面に、前記と同様のオフセット印刷機および異なるUVオフセットインキI-2((株)T&K TOKA製、UV161メジウムS、インキ粘度:24000mPa・s)を用い、実施例1と同じパターンを印刷した。
 次に、実施例1と同様に多孔質層(B)側の全面にヒートシール剤H-1を印刷し、横109mm、縦171mmのサイズに打ち抜いて得られたインモールド成形用ラベルを用い、実施例1と同様に青色に着色した高密度ポリエチレンを用いてインモールド成形をしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(実施例7)
 製造例1で得た積層樹脂フィルムの基層(A)側の面に、オフセット印刷機(三菱重工業(株)製、機器名:ダイヤII型)およびUVオフセットインキI-4((株)T&K TOKA製、商品名:ベストキュアー161墨、インキ粘度:25000mPa・s)を用いてキャラクターの絵柄、および50%網点を含む意匠を印刷した。
 次に、同フィルムの多孔質層(B)側の面に、フレキソ印刷機(Mark Andy社製、機器名:2200)およびUVフレキソインキI-3((株)T&K TOKA製、商品名:UVフレキソ500墨、インキ粘度:600mPa・s)を用いて、線数300本/吋、網点率90%のパターンを印刷した。
 次に、多孔質層(B)側の全面にグラビア印刷機(岡崎機械工業(株)製)およびヒートシール剤H-1(東洋モートン(株)製、商品名:アドコート1790)を用いて、線数200本/吋の100%網点を印刷し、横109mm、縦171mmのサイズに打ち抜いてインモールド成形用ラベルとした。
 次に、中空成形機((株)プラコー製、型式:V-50型)、自動ラベル供給装置(ぺんてる(株)製)および内容量1,000mlのボトル容器が得られる中空成形用割型を使用してインモールド成形により、ラベル付き樹脂成形品を得た。具体的には、上記で得たインモールド成形用ラベルを横109mm、縦171mmのサイズに打ち抜いたものをブロー成形用割型の一方に真空を利用して基層(A)側が金型と接するようにラベルを固定した後、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HB330、融点:133℃、自然色)を200℃で溶融押出しパリソンとし、割型間に導入後に割型を型締めし、次いで4.2kg/cm2の圧空をパリソン内に供給し、パリソンを膨張させて型に密着させて容器形状とすると共にインモールド成形用ラベルと接着させ、次いで該割型を10℃の冷却水で冷却した後、約10秒後に型開きをしてラベルが貼着した中空容器を取り出し、これをラベル付き樹脂成形品とした。
(実施例8~10)
 多孔質層(B)側にフレキソ印刷するパターンの網点率を表4に示すように変更したこと以外は、実施例7と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(実施例11)
 多孔質層(B)側の面に、ヒートシール剤H-1をグラビア印刷する代わりに、メイヤーバー#16を用いた手塗りでヒートシール剤を塗工するとともに、自然色の高密度ポリエチレンの代わりに、青色に着色した高密度ポリエチレンを用いて樹脂成形品を成形したこと以外は、実施例7と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(実施例12、13)
 多孔質層(B)側にフレキソ印刷するパターンの網点率を表4に示すように変更するとともに、自然色の高密度ポリエチレンの代わりに、青色に着色した高密度ポリエチレンを用いて樹脂成形品を成形したこと以外は、実施例7と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(実施例14~16、比較例4)
 製造例1で得た積層樹脂フィルムの代わりに、表4に示す製造例で得た積層樹脂フィルムを用いたこと以外は、実施例7と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(比較例5)
 特開2012-215799号公報に記載の実施例3と同様の条件で製造した積層樹脂フィルムの基層(A)側の面に、オフセット印刷機(三菱重工業(株)製、機器名:ダイヤII型)およびUVオフセットインキI-4((株)T&K TOKA製、商品名:ベストキュアー161墨、インキ粘度:25000mPa・s)を用いてキャラクターの絵柄、および50%網点を含む意匠を印刷した。
 次に、同フィルムの多孔質層(B)側の面に、基層(A)側で用いたものと同じオフセット印刷機およびUVオフセットインキI-4((株)T&K TOKA製、商品名:ベストキュアー161墨、インキ粘度:25000mPa・s)を用い、網点50%のパターンを印刷した。
 次に、実施例1と同様に多孔質層(B)側の全面にヒートシール剤H-1を印刷し、横109mm、縦171mmのサイズに打ち抜いて得られたインモールド成形用ラベルを用い、自然色の高密度ポリエチレンを用いてインモールド成形をしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(実施例17)
 製造例2で得た積層樹脂フィルムの基層(A)側の面に、オフセット印刷機(三菱重工業(株)製、機器名:ダイヤII型)およびUVオフセットインキI-4((株)T&K TOKA製、商品名:ベストキュアー161墨、インキ粘度:25000mPa・s)を用いてキャラクターの絵柄、および50%網点を含む意匠を印刷した。
 次に、同フィルムの多孔質層(B)側の面に、インクジェット印刷機(セイコーエプソン(株)製、機器名:PX-V630)およびUVインクジェットインキI-5(シーティーシージャパン株式会社製、商品名:KY-G2-BLACK、インキ粘度:20mPa・s)を用いて、印字モード:スーパーファインで網点率:100%を印刷した。
 次に、多孔質層(B)側の全面にグラビア印刷機(岡崎機械工業(株)製)およびヒートシール剤H-1(東洋モートン(株)製、商品名:アドコート1790)を用いて、線数200本/吋の100%網点を印刷し、横109mm、縦171mmのサイズに打ち抜いてインモールド成形用ラベルとした。
 次に、中空成形機((株)プラコー製、型式:V-50型)、自動ラベル供給装置(ぺんてる(株)製)および内容量1,000mlのボトル容器が得られる中空成形用割型を使用してインモールド成形により、ラベル付き樹脂成形品を得た。具体的には、上記で得たインモールド成形用ラベルを横109mm、縦171mmのサイズに打ち抜いたものをブロー成形用割型の一方に真空を利用して基層(A)側が金型と接するようにラベルを固定した後、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HB330、融点:133℃、自然色)を200℃で溶融押出しパリソンとし、割型間に導入後に割型を型締めし、次いで4.2kg/cm2の圧空をパリソン内に供給し、パリソンを膨張させて型に密着させて容器形状とすると共にインモールド成形用ラベルと接着させ、次いで該割型を10℃の冷却水で冷却した後、約10秒後に型開きをしてラベルが貼着した中空容器を取り出し、これをラベル付き樹脂成形品とした。
(実施例18)
 多孔質層(B)側にフレキソ印刷するインキをUVフレキソインキI-6((株)T&K TOKA製、商品名:UVフレキソCF墨、インキ粘度:1200mPa・s)を用いたこと以外は、実施例7と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
(実施例19)
 製造例1で得た積層樹脂フィルムを用い、多孔質層(B)側にインクジェット印刷するインクジェット印刷機にセイコーエプソン(株)製、機器名:PX-V630を用い、インクジェットインキに水性インクジェットインキI-7(セイコーエプソン(株)製、商品名:ICBK31シアン,マゼンタ,イエロー、インキ粘度:10mPa・s)を用いて、印字モード:スーパーファインで50%灰色(R:50%、G:50%、B:50%)、網点率:100%を印刷したこと以外は、実施例17と同様にしてラベル付き樹脂成形品を製造した。
 上記の各実施例および各比較例で作製したラベル付き樹脂成形品について行った樹脂成形品からのラベルの剥離強度の測定、第1インキパターン(P1)および第2インキパターン(P2)の視認性の評価、および上記の実施例7~19、比較例4、5の粘着テープ剥離試験の評価結果を表5に示し、
 上記の各実施例および各比較例で作製したラベル付き樹脂成形品における第1多孔質分離層(B1)におけるインキパターン(P1)形成領域とインキパターン(P1)非形成領域との色差ΔE、および第2多孔質分離層(B2)における対応領域(P’)またはインキパターン(P2)形成領域と対応領域(P’)外またはインキパターン(P2)非形成領域との色差ΔE、および上記の実施例1~6、比較例1~3で作製したラベル付き樹脂成形品におけるインキパターン(P1)形成領域と樹脂成形品との色差ΔEP、およびインキパターン(P1)非形成領域と樹脂成形品との色差ΔEBの評価結果を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 表5に示すように、実施例1~19で製造したラベル付き樹脂成形品は、樹脂成形品からラベルの基層(A)を剥離したとき、多孔質層(B)が樹脂成形品側と基層(A)側の両方に分離し、樹脂成形品側の第1多孔質分離層(B1)には第1インキパターン(P1)が現れた。
 特に、多孔質層(B)側を無色のメジウムインキで印刷したラベルを用いた実施例1~6の各ラベル付き樹脂成形品では、樹脂成形品からラベルの基層(A)を剥離したとき、樹脂成形品側の第1多孔質分離層(B1)には第1インキパターン(P1)が現れた。
 このとき、表6に示すように、インキパターン(P1)形成領域(印刷部)とインキパターン非形成領域(余白部)の色差ΔEは、いずれも3を超えており、異系統色と判定でき、そのインキパターンの視認性は実用的なものであった。
 一方、実施例1~3および実施例5の各ラベル付き樹脂成形品では、基層(A)を有するラベルに伴って剥離した第2多孔質分離層(B2)の対応領域(P’)にはインキパターンが認められなかった。
 また、多孔質層(B)側を有色のフレキソインキまたは有色のインクジェットインクで印刷したラベルを用いた実施例7~19の各ラベル付き樹脂成形品では、樹脂成形品側の第1多孔質分離層(B1)と、基層(A)を有するラベルに伴って剥離した第2多孔質分離層(B2)の両方に、それぞれインキパターン(P1)と第2インキパターン(P2)が現れた。
 このとき、表6に示すように、第1多孔質分離層(B1)上のインキパターン(P1)、第2多孔質分離層(B2)上の第2インキパターン(P2)はともに、インキパターン形成領域(印刷部)とインキパターン非形成領域(余白部)の色差ΔEは、いずれも3を超えており、異系統色と判定でき、そのインキパターンの視認性は実用的なものであった。
 さらに、実施例7~19の各ラベル付き樹脂成形品において、ラベルに伴って第2多孔質分離層(B2)上に現れた第2インキパターン(P2)は、粘着テープ剥離試験によって、第2多孔質分離層(B2)の破断面と、粘着テープの粘着面の両方にそれぞれインキパターンが認められたことから、インキ組成物が多孔質層(B)の深い位置まで浸透していることを確認することができた。
 一方、比較例1、比較例4で製造したラベル付き樹脂成形品では、第1多孔質分離層(B1)および第2多孔質分離層(B2)のいずれの破断面においても、インキパターンを視認することができなかった。これは、製造例5の積層樹脂フィルムの多孔質層(B)の空孔率が低く、吸油性が劣っているために、粘度が低いインキを使用したにもかかわらず多孔質層(B)の内部にまでインキ組成物が浸透していないためと考えられる。
 また、比較例3、比較例5のラベル付き樹脂成形品に用いた、特開2012-215799号公報の実施例3と同様の条件で作製した積層樹脂フィルムは、多孔質層(B)の吸油性が劣っており、インキ組成物の浸透性が低いことが示唆された。さらに、この積層樹脂フィルムの多孔質層(B)側に、粘度の高いインキ組成物I-2および特開2012-215799号公報の実施例で使用しているUVオフセットインキ((株)T&K TOKA製、商品名:ベストキュアー161、インキ粘度:25000mPa・s、インキ組成物I-4)を印刷したラベルを用いた、ラベル付き樹脂成形品では、第1多孔質分離層(B1)および第2多孔質分離層(B2)のいずれの破断面においても、インキパターンを視認することができなかった。これは、粘度の高いインキは多孔質層(B)の表面付近に留まり、層内部には殆ど浸透しないためと推定される。
 また、実施例1に対して多孔質層(B)に印刷するインキパターンの網点比率を変更した実施例2、3、および比較例2の比較、ならびに実施例7に対して同様に網点比率を変更した実施例8、9、および実施例10、13の比較から、インキパターンの網点比率は低くなるほど、インキ組成物が多孔質層(B)の内部に浸透しにくくなり、第1多孔質分離層(B1)および第2多孔質分離層(B2)におけるインキパターンが視認し難くなることがわかった。
 また、表5に示すように、製造例1の積層樹脂フィルムおよび製造例3の積層樹脂フィルムと、これらよりも横延伸時の温度を5℃高くし熱処理時の温度を10℃低くした製造例2の積層樹脂フィルムおよび製造例4の積層樹脂フィルムとを対比すると、製造例2、4の積層樹脂フィルムにおける多孔質層(B)の空孔率は、製造例1、3の積層樹脂フィルムにおける多孔質層(B)の空孔率よりも小さくなっている。
 関連して、表6に示すように、製造例1および3の積層樹脂フィルムを用いた実施例1および5のラベル付き樹脂成形品と、製造例2および4の積層樹脂フィルムを用いた実施例4および6のラベル付き樹脂成形品とを比較すると、実施例4、6で第1多孔質分離層(B1)上のインキパターン(P1)が若干不明瞭になっていた。このことは、実施例4および6における多孔質層(B)は、実施例1および5における多孔質層(B)に比べて、インキ組成物の浸透深さが浅いことを意味している。同様に製造例1および3の積層樹脂フィルムを用いた実施例7および15のラベル付き樹脂成形品と、製造例2および4の積層樹脂フィルムを用いた実施例14および16のラベル付き樹脂成形品とを比較すると、粘着テープ剥離試験後の第2多孔質分離層(B2)上のインキパターン(P2)が不明瞭になっていた。このことは、実施例14および16における多孔質層(B)は、実施例7および15における多孔質層(B)に比べて、インキ組成物の浸透深さが浅いことを意味している。
 よって、インキ組成物の多孔質層(B)への浸透深さをより深くするには、多孔質層(B)の空孔率を高める方が好ましく、多孔質層(B)を形成する際の横延伸温度を低めに設定し、熱処理温度を高めに設定することが好ましいことがわかった。また、粘度が低いインキを使用することが好ましいことがわかった。
  1  樹脂成形品
  2  ラベル
  3  ラベル付き樹脂成形品
  A  基層
  B  多孔質層
  P  インキパターン
 11  空隙
 12  インキ組成物
 B1   第1多孔質分離層(樹脂成形品側)
 B2   第2多孔質分離層(基層側)
 P’  インキパターンの対応領域
 P1   第1インキパターン
 P2   第2インキパターン
 21  第1インキパターンが形成されていないパターン非形成領域
 22  第2インキパターンが形成されていないパターン非形成領域

Claims (26)

  1. 樹脂成形品と、該樹脂成形品に貼着されたラベルを有するラベル付き樹脂成形品であって、
     前記ラベルは、基層(A)と、該基層(A)の上に設けられた多孔質層(B)と、該多孔質層(B)の内部に存在する空隙と、該空隙の一部を占めるように存在するインキ組成物を含み、
     前記ラベルは、前記多孔質層(B)側の表面で前記樹脂成形品に貼着しており、
     前記多孔質層(B)の端面から多孔質層(B)が厚み方向に2分するように切れ込みを入れ、その切れ込みが拡大するように前記基層(A)を引っ張って前記樹脂成形品から前記ラベルを剥離したとき、前記多孔質層(B)が、前記樹脂成形品に貼着したまま残留する第1多孔質分離層(B1)と、前記基層(A)に伴って剥離する第2多孔質分離層(B2)に分離するとともに、前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面に前記インキ組成物による第1インキパターン(P1)が現れ、
     前記第1インキパターン(P1)を目視で確認できることを特徴とするラベル付き樹脂成形品。
  2. 前記第1インキパターン(P1)は、前記多孔質層(B)の前記基層(A)と反対側の表面に前記インキ組成物を供給して、インキ組成物を多孔質層(B)の空隙の内部に浸透させたものである請求項1に記載のラベル付き樹脂成形品。
  3. 前記インキ組成物が実質的に色材を含まない無色のインキ組成物である請求項1または2に記載のラベル付き樹脂成形品。
  4. 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面において、前記第1インキパターン(P1)が形成されているパターン形成領域内の複数の空隙が前記無色のインキ組成物で充填されており、前記パターン形成領域と前記第1インキパターン(P1)が形成されていないパターン非形成領域との間で不透明度が異なる請求項3に記載のラベル付き樹脂成形品。
  5. 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面において、前記第1インキパターン(P1)が形成されていないパターン非形成領域と前記樹脂成形品の表面との色差(ΔEB)と、前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面のうち、前記第1インキパターン(P1)が形成されているパターン形成領域と前記樹脂成形品の表面との色差(ΔEP)との差(ΔEB-ΔEP)が1~50である請求項3または4に記載のラベル付き樹脂成形品。
  6. 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面において、前記第1インキパターン(P1)が形成されているパターン形成領域と前記第1インキパターン(P1)が形成されていないパターン非形成領域との色差ΔEが3以上であることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
  7. 前記第2多孔質分離層(B2)の前記基層(A)と反対側の表面であって、前記第1インキパターン(P1)と鏡像の関係にある対応領域(P')にインキパターンが目視で確認できない請求項3~6のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
  8. 前記対応領域(P')の空隙の内部に前記インキ組成物が存在する請求項7に記載のラベル付き樹脂成形品。
  9. 前記インキ組成物が色材を含む有色のインキ組成物である請求項1または2に記載のラベル付き樹脂成形品。
  10. 前記多孔質層(B)の端面から多孔質層(B)が厚み方向に2分するように切れ込みを入れ、その切れ込みが拡大するように前記基層(A)を引っ張って前記樹脂成形品から前記ラベルを剥離したとき、
     前記インキ組成物が多孔質層(B)の剥離面よりも前記基層(A)側内部の空隙まで浸透することで、
     前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面に前記インキ組成物による第1インキパターン(P1)が現れるとともに、前記基層(A)に伴って剥離した前記第2多孔質分離層(B2)の前記基層(A)と反対側の表面に前記インキ組成物による第2インキパターン(P2)が現れ、前記第2インキパターン(P2)を目視で確認できる請求項9に記載のラベル付き樹脂成形品。
  11. 前記第2多孔質分離層(B2)の前記基層と反対側の表面のうち、前記第2インキパターン(P2)が形成されているパターン形成領域と、前記第2インキパターン(P2)が形成されていないパターン非形成領域との色差ΔEが3以上であることを特徴とする請求項10に記載のラベル付き樹脂成形品。
  12. 前記第1インキパターン(P1)と前記第2インキパターン(P2)が互いに鏡像の関係にある請求項10または11に記載のラベル付き樹脂成形品。
  13. 前記第2多孔質分離層(B2)の表面の前記第2インキパターン(P2)の表面に粘着テープの粘着面を貼り付けた後、前記粘着テープを前記第2多孔質分離層(B2)より180°の剥離角および300mm/minの速度で剥がしたとき、前記第2多孔質分離層(B2)の表面において前記第2インキパターン(P2)を目視で確認できるとともに、前記粘着テープの粘着面において前記第2インキパターン(P2)の反転パターンを目視で確認できる請求項10~12のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
  14. 前記多孔質層(B)の厚み方向の断面から観察される空隙率が30~70%である請求項1~13のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
  15. 前記多孔質層(B)の厚み方向の断面から観察される空隙率が、前記基層(A)の厚み方向の断面から観察される空隙率よりも大きい請求項1~14のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
  16. 前記樹脂成形品から前記基層(A)を有するラベルを剥離する際のJIS Z 1707:1997食器包装用プラスチックフィルム通則による180°剥離強度が、0.3~1.6N/15mmである請求項1~15のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品から基層(A)と第2多孔質分離層(B2)を剥離した後に残る、樹脂成形品と第1多孔質分離層(B1)を有する多孔質層付き樹脂成形品。
  18. 前記第1多孔質分離層(B1)の前記樹脂成形品と反対側の表面に、インキ組成物による第1インキパターン(P1)を有する請求項17に記載の多孔質層付き樹脂成形品。
  19. 請求項1~16のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品を製造する方法であって、
    基層(A)と、該基層の上に設けられた多孔質層(B)を有する積層樹脂フィルムを形成する積層樹脂フィルム形成工程と、
     前記積層樹脂フィルムの前記多孔質層(B)の前記基層(A)と反対側の表面に、インキ組成物を印刷してインキパターンを形成してラベルを得る印刷工程と、
    前記インキパターンが形成された前記ラベルを、前記基層(A)側が金型の内壁側となり、前記多孔質層(B)側がキャビティ側となり溶融樹脂と接しうるように前記金型内に挿入し、インモールド成形法によりラベル付き樹脂成形品を得る成形工程と、を有するラベル付き樹脂成形品の製造方法。
  20. 前記インキ組成物が無色であり、且つ透明である請求項19に記載のラベル層付き樹脂成形品の製造方法。
  21. 前記第1インキパターン(P1)と前記樹脂成形品の表面との色差ΔEP0が3未満である請求項19に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
  22. 前記インキ組成物が有色であり、且つ前記第1インキパターン(P1)と多孔質層(B)との色差ΔE0が3以上である請求項19に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
  23. 前記インキ組成物のJIS Z8803:2011のB型粘度計による粘度が10~1500mPa・sである請求項19~22のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
  24. 前記印刷工程において、インキ組成物の印刷方法としてフレキソ印刷法を用いる請求項19~23のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
  25. 前記印刷工程と前記成形工程の間に、前記インキパターンを形成した前記多孔質層の表面に、ヒートシール樹脂組成物を印刷する工程を有する請求項19~24のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
  26. 前記印刷工程と前記成形工程の間に、前記インキパターンを形成した前記多孔質層の表面に、ヒートシール樹脂組成物を塗工する工程を有する請求項19~24のいずれか1項に記載のラベル付き樹脂成形品の製造方法。
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