WO2017179268A1 - ポリイミド水分散体、電極用結着剤、電極、二次電池およびポリイミド水分散体の製造方法 - Google Patents

ポリイミド水分散体、電極用結着剤、電極、二次電池およびポリイミド水分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

水分散体であることから環境適合性が高く、使用設備を防爆構造等にする必要もない。また、得られる皮膜物性も良好であるポリイミド水分散体を提供することを課題とする。 (A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応して得られるポリイミド水分散体に関する。 また、(A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応させプレポリマーを合成する工程、プレポリマーを水中で乳化する工程、を含むポリイミド水分散体の製造方法に関する。

Description

ポリイミド水分散体、電極用結着剤、電極、二次電池およびポリイミド水分散体の製造方法
 本発明は、ポリイミド水分散体、電極用結着剤、電極、二次電池およびポリイミド水分散体の製造方法に関する。
 ポリイミドは幅広い用途で使用されている。例えば、リチウムイオン二次電池用負極への使用について開示されている(特許文献1)。一方、ポリイソシアネートを用い、無溶媒下で得られる熱硬化性ウレタンイミド組成物について開示されている(特許文献2)。
特開2002-37848号公報 特開2015-220221号公報
 しかし、特許文献1の方法では使用設備を防爆構造等にする必要があり、改善が望まれていた。また、機械強度の改善効果も大きなポリイミドが求められていた。
 本発明の発明者らは、上記課題を解決すべくポリイミドの水分散体に着目し、検討を行った。水分散体とすることで、環境適合性が高く、使用設備を防爆構造等にする必要がなく、また機械強度の改善効果も大きなものとなる。鋭意検討を重ねた結果、(A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応して得られるポリイミド水分散体を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
 すなわち、本発明は下記に掲げるに発明に関する。
 (1) (A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応して得られるポリイミド水分散体。
 (2) ポリイミドの酸価が、20~100mgKOH/gである(1)記載のポリイミド水分散体。
 (3) (1)または(2)記載のポリイミド水分散体を鎖伸長して得られるポリイミド水分散体。
 (4) 酸価が50mgKOH/g以下である、(1)記載のポリイミド水分散体。
 (5) (E)アミンを用いて鎖伸長して得られる(4)記載のポリイミド水分散体。
 (6) (4)または(5)記載のポリイミド水分散体を用いたリチウム二次電池の電極用結着剤。
 (7) (6)記載のリチウム二次電池の電極用結着剤を用いた電極。
 (8) (7)記載の電極を有するリチウム二次電池。
 (9) (A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応させプレポリマーを合成する工程と、プレポリマーを水中で乳化する工程と、を含むポリイミド水分散体の製造方法。
 (10) さらに鎖伸長する工程を含む(9)記載のポリイミド水分散体の製造方法。
 (11) 酸価が20~100mgKOH/gである、(9)または(10)記載のポリイミド水分散体の製造方法。
 (12) 酸価が50mgKOH/g以下である、(9)または(10)記載のポリイミド水分散体の製造方法。
 本発明のポリイミド水分散体は水分散体であることから環境適合性が高く、使用設備を防爆構造等にする必要もない。また、機械強度の改善効果も大きい。
[第1の実施の形態]
 まず、本発明の第1の実施の形態のポリイミド水分散体について説明する。本実施の形態のポリイミド水分散体は、(A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応して得られる。
 <(A)酸無水物>
 本実施の形態の(A)酸無水物としては、カルボン酸無水物をいい、2分子のカルボン酸を脱水縮合させた化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸(PMDA)、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、4,4′-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物(BTDA)、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート、4,4′-ビフタル酸無水物(BiPA)、3,3′,4,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物(DPSA)、等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に限定されないが、これらのうち、機械強度、機械強度の改善効果の観点から、PMDA、BTDAが好ましい。
 <(B)ポリイソシアネート>
 本実施の形態の(B)ポリイソシアネートとしては、本技術分野で一般的に使用されるポリイソシアネートであれば特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、(B1)ブロックイソシアネート化合物などをあげることができる。
 前記、脂肪族ポリイソシアネートとしては特に限定されないが、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネートなどをあげることができる。
 前記、脂環族ポリイソシアネートとしては特に限定されないが、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどをあげることができる。
 前記、芳香族ポリイソシアネートとしては特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタフェニレンビス(イソプロピルイソシアナート)(TMXDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネートなどをあげることができる。
 前記、芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては特に限定されないが、例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどをあげることができる。
 これらのうち、機械強度、機械強度の改善効果の観点から、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
 また、これらのポリイソシアネートの2量体又は3量体や、ビュレット化イソシアネート等の変性体を挙げることができる。これらは1種または2種以上を併用することもできる。
 本実施の形態において、(A)酸無水物と(B)イソシアネート化合物の混合割合は、特に限定されないが、例えば、モル比で、(A)/(B)=100/103~100/500が好ましく、より好ましくは(A)/(B)=100/150~100/300である。これらの範囲であれば、機械強度、機械強度の改善効果およびプレポリマーの溶解性の観点から、好ましい。
 <(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物>
 本実施の形態の(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物としては、1個以上の活性水素基と親水性基を有する化合物であれば特に限定されるものではない。
 前記、活性水素基としてはNCO基と反応性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、水酸基、第1級又は第2級アミノ基、チオール基(SH基)などがあげられる。前記、親水性基としては、特に限定されないが、例えば、アニオン性親水基、カチオン性親水基、ノニオン性親水基などがあげられる。前記、アニオン性親水基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基及びその塩、スルホン酸基及びその塩などがあげられる。前記、カチオン性親水基としては、特に限定されないが、例えば、第三級アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩などがあげられる。前記、ノニオン性親水基としては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位からなる基や、エチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基などがあげられる。これらのうち、アニオン性親水基、ノニオン性親水基が好ましい。
 前記、1個以上の活性水素基とカルボキシル基を含有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、3,4-ジアミノ安息香酸等のカルボン酸含有化合物及びこれらの誘導体並びにそれらの塩に加え、これらを使用して得られるポリエステルポリオールなどがあげられる。更に、アラニン、アミノ酪酸、アミノカプロン酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン等のアミノ酸類、コハク酸、アジピン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水トリメリット酸等のカルボン酸類などがあげられる。これらのうち、ポリイミドの乳化の容易性の観点からは、2,2-ジメチロールプロピオン酸が好ましい。
 前記、1個以上の活性水素基とスルホン酸基及びその塩を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、2-オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5-スルホイソフタル酸、スルファニル酸、2-アミノエタンスルホン酸、1,3-フェニレンジアミン-4,6-ジスルホン酸、2,4-ジアミノトルエン-5-スルホン酸等のスルホン酸含有化合物及びこれらの誘導体、並びにこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール、ポリアミドポリオール、ポリアミドポリエステルポリオールなどがあげられる。
 前記、カルボキシル基又はスルホン酸基は、中和して塩にすることにより、最終的に得られるポリイミドを水分散性にすることができる。この場合の中和剤としては、特に限定されないが、例えば、不揮発性塩基、第三級アミン類、揮発性塩基などがあげられる。前記、不揮発性塩基としては、特に限定されないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどがあげられる。前記、第三級アミン類としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどがあげられる。前記、揮発性塩基としては、特に限定されないが、例えば、アンモニアなどがあげられる。中和は、ウレタン化反応前、反応中、又は反応後の何れにおいても行うことができる。
 前記、1個以上の活性水素基と第3級アンモニウム塩を含有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルカノールアミンなどがあげられる。前記、アルカノールアミンとしては、特に限定されないが、例えば、メチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミンなどがあげられる。これらを、ギ酸、酢酸などの有機カルボン酸、塩酸、硫酸などの無機酸で中和して塩にすることによりポリウレタンを水分散性にすることができる。中和は、ウレタン化反応前、反応中、又は反応後の何れにおいても行うことができる。これらのうち、ポリイミドの乳化の容易性の観点からは、メチルジエタノールアミンを有機カルボン酸で中和したものが好ましい。
 前記、1個以上の活性水素基と第4級アンモニウム塩を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、前記、メチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミンをジアルキル硫酸により4級化した化合物などがあげられる。前記、ジアルキル硫酸としては、特に限定されないが、例えば、塩化メチル、臭化メチルなどのハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸などがあげられる。これらのうち、ポリウレタンの乳化の容易性の観点からは、メチルジエタノールアミンをジメチル硫酸で4級化した化合物が好ましい。
 前記、1個以上の活性水素基とノニオン性親水基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン-ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン-ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン性基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどがあげられる。これらのうち、エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30質量%以上含有し、数平均分子量300~20,000の化合物が好ましい。
 (C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物としては、これらを1種または2種以上を併用して使用することができる。
 本実施の形態の、(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物の含有量としては、特に限定されないが、ポリイミド水分散体中のポリイミドに対して、3~15質量%が好ましく、5~10質量%がより好ましい。これらの範囲であれば、機械強度、機械強度の改善効果の観点から、好ましい。
 本実施の形態において、(A)酸無水物、(B)イソシアネート化合物、および(C)親水基を有するポリオールを反応する際には、触媒を用いても良い。触媒としては、特に限定されないが、例えば、アミン、四級アンモニウム塩、イミダゾール、アミド、ピリジン、ホスフィン、有機金属塩などがあげられる。機械強度、機械強度の改善効果の観点から、より好ましくはアミン、四級アンモニウム塩であり、四級アンモニウム塩が特に好ましい。具体的にはトリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。 また、(A)酸無水物と(B)イソシアネート化合物を反応させる時に使用することが好ましい。また、触媒の使用量としては、特に限定されないが、酸無水物とイソシアネートの合計重量に対して0.005~3重量部が好ましく、より好ましくは、0.1~2重量部である。
 本実施の形態のポリイミド水分散体中のポリイミドの酸価は、10~100mgKOH/gであることが好ましく、20~100mgKOH/gであることがより好ましく、20~60mgKOH/gであることがさらに好ましい。これらの範囲であれば、ポリイミドの乳化安定性が良好であり、機械強度、機械強度の改善効果の観点からも好ましい。本明細書においてポリイミドの酸価は、原料の仕込み量に基づいて、カルボキシル基を有するポリイミド固形分1g中に含まれる遊離カルボキシル基を中和するのに要するKOHのmg数から算出される理論酸価をいう。
 本実施の形態のポリイミド水分散体は、(A)酸無水物、(B)イソシアネート化合物、および(C)親水基を有するポリオールの反応物に、さらに(D)ポリオール(ただし(C)を除く)を反応させることも好ましい形態である。前記(D)ポリオールとしては、分子内に2個以上の活性水素基を有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、分子量400以下の低分子量ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、又は炭化水素系ポリオール等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、成膜性、機械強度、機械強度の改善効果の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素系ポリオールが好ましい。
 前記低分子量ポリオールは、分子量400以下のものであれば、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチルペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、又はトリメチロールプロパン等が挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパンが好ましい。
 前記ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、前記低分子量ポリオールと多価カルボン酸とを反応させてなる水酸基末端エステル化縮合物等が挙げられる。前記多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフラン酸、エンドメチンテトラヒドロフラン酸、又はヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、芳香族環式構造を有するフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸が好ましい。
 前記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの前記低分子量ポリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、又はショ糖などにアルキレンオキサイドを付加重合したもの、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等があげられる。前記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中で強度および弾性率の観点から、芳香族環式構造を有するもの、すなわち、ビスフェノールAおよびビスフェノールFにアルキレンオキサイドを付加重合したものが好ましく、ビスフェノールAにエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加重合したものがより好ましい。
 前記ひまし油系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ひまし油、ひまし油に水素付加した水添ひまし油、ひまし油脂肪酸又はこれに水素付加した水添ひまし油脂肪酸を用いて製造されたポリオール等が挙げられる。また、ひまし油と他の天然油脂とのエステル交換物、ひまし油と多価アルコールとの反応物、ひまし油脂肪酸と多価アルコールとのエステル化反応物、又はこれらにアルキレンオキサイドを付加重合したポリオール等が挙げられる。
 前記ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されず、従来公知のものが挙げられる。このようなポリカーボネートポリオールは、例えば、前記低分子量ポリオールとジフェニルカーボネートとの反応により、または、前記低分子量ポリオールとホスゲンとの反応により得られる。
 前記炭化水素系ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、又は水添ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
 本実施の形態のポリイミド水分散体は、鎖伸長することも好ましい態様である。前記鎖伸長としては、(E)アミンを用いて鎖伸長、水中に分散乳化時に系中に存在する水分子により鎖伸長を行うことができる。本実施の形態に用いる(E)アミンとしては特に限定されないが、例えば、ジアミンやポリアミンなどがあげられる。前記、ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどがあげられる。前記、ポリアミンとしては、特に限定されないが、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどがあげられる。これらのうち、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンが好ましい。
 本実施の形態の(E)アミンの含有量としては、特に限定されないが、イミドプレポリマーに対して、0.5~2.5質量%が好ましく、0.7~1.5質量%がより好ましい。残存するイソアネート基を(C)鎖伸長剤を加えて、乳化ミセル中のイソシアシネート基と(C)鎖伸長剤とを界面重合反応させてウレア結合を生成させる。これにより乳化ミセル内の架橋密度が向上し、三次元架橋構造が形成される。このように三次元架橋構造の形成により、優れた機械強度、機械強度の改善効果が得られる。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、(A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物、必要に応じて(D)ポリオールを反応させプレポリマーを合成する工程、プレポリマーを水中で乳化する工程を含む。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、プレポリマー中のアニオン性親水基、カチオン性親水基の中和、又は4級化を行ってから、プレポリマーを水中で乳化する工程を行うことも好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、機械強度、機械強度の改善効果の観点から、プレポリマーを水中で乳化分散した後、鎖伸長する工程を含むことも好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、特に限定されないが、必要に応じて溶剤の存在下、プレポリマーを合成する工程、鎖伸長工程を行なうことができる。前記溶剤としては、イソシアネート基と不活性で、かつ、生成するポリイミドを溶解し得る溶剤であれば特に限定されない。これらの溶剤としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドンなどがあげられる。反応で使用したこれら親水性有機溶剤は、最終的には除去するのが好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体を製造の際には架橋剤を使用することもできる。架橋剤としては、特に限定されないが、アジリジン、オキサゾリン、カルボジイミド、変性ポリイソシアネート、ポリエポキシド化合物などがあげられる。これらの架橋剤は1種または2種以上を併用して使用することができる。
 また、本実施の形態のポリイミド水分散体には、触媒、酸化防止剤、吸湿剤、防黴剤、シランカップリング剤など、必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。シランカップリング剤としては、例えばアルコキシシラン類、ビニル基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、メタクリル基含有シランカップリング剤、アクリル基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の貯蔵安定性としては、特に限定されないが、実施例に記載の方法において、分離、沈殿が見られないことが好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の機械強度の改善効果としては、特に限定されないが、実施例に記載の方法において、100%、200%、300%およびモジュラス改善効果が105%以上であることが好ましく、120%以上であることがより好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体から得られる皮膜の皮膜強度、100%モジュラス、ヤング率、伸度としては、特に限定されないが、実施例に記載の方法において、それぞれ5(N/mm)、4(N/mm)、4(N/mm)、30%以上であることが好ましい。
 [第1の実施の形態に係る実施例]
 以下、実施例及び比較例に基づいて、第1の実施の形態について詳細に説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表している。
 <実施例1>
 撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにピロメリット酸二無水物(PMDA(ダイセル社製))10.2重量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)31.1重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド0.5重量部、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)38.0重量部と加え、120℃で2時間反応させた後、DMAc23.8重量部、ジメチロールプロピオン酸(BisMPA)6.2重量部と加えて75℃で2時間反応させた。この溶液にポリブタジエンポリオール(Krasol LBH-P2000)52.5重量部、メチルエチルケトン(MEK)50.0重量部、トリエチルアミン4.8重量部と加えてさらに75℃で3時間反応させた後、MEK20.0重量部を加えて希釈し、ウレタンイミドプレポリマー溶液(A)を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は1.91%であった。
 Aに対し、水166.8重量部を加えてホモミキサーを用いて乳化し、続いて、ジエチレントリアミン0.8重量部を加えて鎖伸長反応を30℃で1時間行った。かかる反応後、MEKを減圧留去して、水中にポリウレタンイミド樹脂が乳化されてなるポリイミド水分散体(不揮発分:31.6%、pH:7.9、粘度:601mPas、粒子径:0.06μm)を作製した。
 <実施例2~10>
 表1記載の処方に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、合成を行った。
 用いた化合物の略称を以下に示す。
PMDA:無水ピロメリット酸二無水物 (ダイセル製)
BTDA:ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 (ダイセル製)
BisMPA:ジメチロールプロピオン酸
LBH-P2000:Krasol LBH-P2000(CRAY VALLEY製、末端水酸基変性液状ポリブタジエン)
LBH-P3000:Krasol LBH-P3000(CRAY VALLEY製、末端水酸基変性液状ポリブタジエン)
HBH-P2000:Krasol HLBH-P2000(CRAY VALLEY製、末端水酸基変性液状水素添加ポリブタジエン)
PTMG-2000:(三菱化学製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)
R-15HT:Polybd R-15HT(出光興産社製、末端水酸基変性液状ポリブタジエン)
PCDL T-6002:デュラノールPCDL T-6002(旭化成ケミカルズ製、ポリカーボネートジオール)
IPDI:イソホロンジイソシアネート
 <比較例1~3>
(比較例1)
 撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにイソホロンジアミン44.6重量部、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)618.2重量部、ピロメリット酸二無水物55.4重量部と加え、50℃で3時間反応させてポリアミック酸溶液を得た。この溶液を180℃で1時間加熱してイミド化を実施した。赤外吸収スペクトルにて1780cm-1、1340cm-1にイミド構造由来の吸収が出現したことから反応の進行を確認した。しかし、この生成物は溶剤不溶であり、以降のウレタン化反応に用いることはできなかった。
(比較例2)
 撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにイソホロンジアミン61.0重量部、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)99.2重量部、ピロメリット酸二無水物39.0重量部と加えたが、すぐに白色の不溶物が生成し、ポリアミック酸溶液を得ることはできなかった。
(比較例3)
 撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにポリブタジエンポリオール (Krasol LBH-P2000)292.1重量部、イソホロ
ンジイソシアネート123.4重量部、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)200.0重量部と加え、75℃で2時間反応させた後、DMAc250.0重量部、ジメチロールプロピオン酸37.2重量部と加えて75℃で4時間反応させた。この溶液にイソホロンジアミン48.2重量部、DMAc50.0重量部と加えてさらに室温で30分反応させた後、この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量が0%となったことを確認した。続いてこの溶液をDMAc306.1重量部を加えて希釈し、ピロメリット酸二無水物 10.1重量部を加えて室温で一晩反応させてウレタンアミック酸溶液(A)を得た。さらにトリエチルアミンを28.1重量部加えた後、撹拌しながら水を添加したところ、沈殿を生じて乳化は不可能であった。また、(A)を180 ℃で1時間加熱したところ、生成物のIRスペクトルにおいてイミド構造由来の吸収は見られなかった。
 <評価方法>
(貯蔵安定性)
 得られたポリイミド水分散体を40℃の恒温槽に保管し、1ヶ月後の変化を目視にて確認した。
○:分離および沈殿がみられない。
×:分離または沈殿がみられる。
(皮膜、評価サンプルの調製方法)
 機械強度の改善効果および皮膜強度、100%モジュラス、ヤング率、伸度測定に使用する皮膜は下記方法で調製した。
 水分散体を、膜厚500μmとなるようにテフロン(登録商標)コーティングシャーレに投入し、80℃で6時間、120℃で30分、150℃で1時間乾燥し、皮膜を作製した。
 上記皮膜をダンベル状試験片(3号)の大きさに切断することにより評価サンプルを作製した。
(機械強度の改善効果)
 水系ウレタン樹脂(スーパーフレックス470、第一工業製薬社製)/得られたポリイミド水分散体=85/15(重量比)で混合した水分散体を使用した。
 JIS-K-6301に準じて、引張速度100mm/minで引張強度(N/mm)、伸度(%)、100%(N/mm)モジュラスおよびを測定した。なお、評価はスーパーフレックス470で作成した皮膜の測定結果を100としたときの指数として表した。すなわち、実施例1の場合、(実施例1の実測値)/(スーパーフレックス470で作成した皮膜の測定結果)×100として算出した。
(皮膜強度、100%モジュラス、ヤング率、伸度)
 得られたポリイミド水分散体のみを使用し、皮膜を作成した。JIS-K-6301に準じて測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 <評価結果>
 実施例1~10から分かるように、本実施の形態のポリイミド水分散体は、貯蔵安定性、機械強度の改善効果、得られる皮膜の機械強度が良好であることが分かる。
 一方、比較例1のようにアミン末端ポリイミドを合成し、NCO基末端ウレタンプレポリマーと反応させる方法では、ポリイミドが溶剤不溶となり、ウレタンプレポリマーとの反応に至らず、ポリイミド水分散体を得られなかった。比較例2のような設計では、ポリイミドの前駆体を得ることができなかった。比較例3のように、アミン末端ウレタンプレポリマーと酸無水物を反応させる方法では、生成物においてイミド化が見られず、乳化も不可能であり、ポリイミド水分散体を得られなかった。
[第2の実施の形態]
 次に、本発明の第2の実施の形態のポリイミド水分散体について説明する。以下に説明する内容以外については、本発明の第1の実施の形態と同様である。
 第2の実施の形態に係るポリイミド水分散体は、(A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応して得られるポリイミド水分散体であって、酸価が50mgKOH/g以下である。
 このような特徴により、本実施の形態のポリイミド水分散体は、水分散体であることから環境適合性が高く、使用設備を防爆構造等にする必要もない。また、電極用結着剤としての性能も有する。
 <(A)酸無水物>
 本実施の形態の(A)酸無水物としては、カルボン酸無水物をいい、2分子のカルボン酸を脱水縮合させた化合物であれば特に限定されるものではない。たとえば、第1の実施
の形態において例示した化合物のうち、耐電解液性、結着性の観点から、PMDA、BTDAが好ましい。
 <(B)ポリイソシアネート>
 本実施の形態の(B)ポリイソシアネートとしては、本技術分野で一般的に使用されるポリイソシアネートであれば特に限定されるものではない。たとえば、第1の実施の形態において例示した化合物のうち、耐電解液性、結着性の観点から、脂環族ポリイソシアネートが好ましく、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
 本実施の形態において、(A)酸無水物と(B)イソシアネート化合物の混合割合は、特に限定されないが、例えば、モル比で、(A)/(B)=100/103~100/500が好ましく、より好ましくは(A)/(B)=100/150~100/300である。これらの範囲であれば、耐電解液性、結着性が良好である。
 <(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物>
 本実施の形態の(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物としては、1個以上の活性水素基と親水性基を有する化合物であれば特に限定されない。たとえば、第1の実施の形態で例示した化合物であればよい。なお、(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物は、2,6-ジオキシ安息香酸であってもよい。
 本実施の形態の、(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物の含有量としては、特に限定されないが、ポリイミド水分散体中のポリイミドに対して、3~15質量%が好ましく、5~10質量%がより好ましい。これらの範囲であれば、ポリイミドの乳化安定性が良好であり、かつ耐電解液性が良好である。
 本実施の形態のポリイミド水分散体中のポリイミドの酸価は、50mgKOH/g以下である。5~45mgKOH/gであることが好ましく、10~40mgKOH/gであることがより好ましい。これらの範囲であれば、ポリイミドの乳化安定性が良好であり、かつ耐電解液性、結着性の観点からも好ましい。本明細書においてポリイミドの酸価は、原料の仕込み量に基づいて、カルボキシル基を有するポリイミド固形分1g中に含まれる遊離カルボキシル基を中和するのに要するKOHのmg数から算出される理論酸価をいう。
 本実施の形態のポリイミド水分散体は、(A)酸無水物、(B)イソシアネート化合物、および(C)親水基を有するポリオールの反応物に、さらに(D)ポリオール(ただし(C)を除く)を反応させることも好ましい形態である。前記(D)ポリオールとしては、分子内に2個以上の活性水素基を有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、分子量400以下の低分子量ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、又は炭化水素系ポリオール等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、耐電解液性、結着性の観点から、ポリエーテルポリオール、炭化水素系ポリオールが好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体は、鎖伸長することも好ましい態様である。前記鎖伸長としては、(E)アミンを用いて鎖伸長、水中に分散乳化時に系中に存在する水分子により鎖伸長を行うことができる。これらのうち、耐電解液性、結着性の観点から、アミン伸長が好ましい。本実施の形態に用いる(E)アミンとしては特に限定されないが、例えば、第1の実施の形態で例示したジアミンやポリアミンなどがあげられる。これらのうち、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンが好ましい。
 本実施の形態の(E)アミンの含有量としては、特に限定されないが、イミドプレポリマーに対して、0.5~2.5質量%が好ましく、0.7~1.5質量%の範囲であれば耐電解液性、結着性が特に優れたものとなる。残存するイソアネート基を(C)鎖伸長剤を加えて、乳化ミセル中のイソシアシネート基と(C)鎖伸長剤とを界面重合反応させてウレア結合を生成させる。これにより乳化ミセル内の架橋密度が向上し、三次元架橋構造が形成される。このように三次元架橋構造の形成により、優れた耐電解液性、結着性が得られる。
 本発明のポリイミド水分散体の製造方法としては、(A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物、必要に応じて(D)ポリオールを反応させプレポリマーを合成する工程、プレポリマーを水中で乳化する工程を含む。
 本発明のポリイミド水分散体の製造方法としては、プレポリマー中のアニオン性親水基、カチオン性親水基の中和、又は4級化を行ってから、プレポリマーを水中で乳化する工程を行うことも好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、生成物の耐電解液性、結着性の観点から、プレポリマーを水中で乳化分散した後、鎖伸長する工程を含むことも好ましい。
 本発明のポリイミド水分散体の製造方法としては、特に限定されないが、必要に応じて溶剤の存在下、プレポリマーを合成する工程、鎖伸長工程を行なうことができる。前記溶剤としては、イソシアネート基と不活性で、かつ、生成するポリイミドを溶解し得る溶剤であれば特に限定されない。これらの溶剤としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドンなどがあげられる。反応で使用したこれら親水性有機溶剤は、最終的には除去するのが好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体は、得られる皮膜の耐電解液性、結着性が良好であることから、リチウム二次電池の電極用結着剤として用いることができる。結着剤としては、本実施の形態のポリイミド水分散体を単独で使用することもでき、他の結着剤を併用することもできる。前記他の結着剤としては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体樹脂、フッ素系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリル共重合体、およびウレタン樹脂(ただし(X)を除く)の水分散体、からなる群より選ばれる1種以上(Y)が好ましい。これらのうち、スチレン-ブタジエンゴム、ウレタン樹脂の水分散体が好ましい。
 本実施の形態のリチウム二次電池の電極用結着剤は、電極に用いることもできる。本実施の形態の結着剤は正極と負極のどちらにでも利用可能である。本実施の形態の電極は、電極用結着剤を使用したものであれば特に限定されないが、電極活物質、導電剤、及び電極活物質並びに導電剤を集電体に結着させる結着剤等から構成される。
 本実施の形態のリチウム二次電池の正極に使用する正極活物質としては、リチウムイオンの挿入、脱離が可能であるものであれば、特に制限されることはない。例えば、CuO、CuO、MnO、MoO、V、CrO、MoO、FeO3、NiO3、CoO等の金属酸化物、LixCoO、LixNiO、LixMn、LiFePOなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物や、TiS、MoS、NbSeなどの金属カルコゲン化物、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子化合物等が挙げられる。上記の中でも、一般に高電圧系と呼ばれる、コバルト、ニッケル、マンガン等の遷移金属から選ばれる1種以上とリチウムとの複合酸化物が、リチウムイオンの放出性や、高電圧が得られやすい点で好ましい。コバルト、ニッケル、マンガンとリチウムとの複合酸化物の具体例としては、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNixCo(1-x)O、LiMnaNibCoc(a+b+c=1)などがあげられる。また、これらのリチウム複合酸化物に、少量のフッ素、ホウ素、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、モリブデン、鉄などの元素をドーブしたものや、リチウム複合酸化物の粒子表面を、炭素、MgO、Al、SiOなどで表面処理したものも使用できる。これらのうち、LiFePO、LiMn、LiNixCo(1-x)Oが好ましい。上記正極活物質は2種類以上を併用することも可能である。
 本実施の形態のリチウム二次電池の負極に使用する負極活物質としては、金属リチウム又はリチウムイオンの挿入、脱離が可能であるものであれば、特に制限されることはない。例えば、炭素材料、金属材料、リチウム遷移金属窒化物、結晶性金属酸化物、非晶質金属酸化物、ケイ素化合物、導電性ポリマーなどがあげられる。前記、炭素材料としては、特に限定されないが、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素などがあげられる。前記、金属材料としては、特に限定されないが、例えば、金属リチウムや合金、スズ化合物などがあげられる。具体例としては、LiTi12、NiSiなどがあげられる。これらのうち、天然黒鉛、SiO、LiTi12が好ましい。
 本実施の形態の電極に用いられる導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば、特に制限なく使用することができる。通常は、アセチレンブラックやケッチンブラック等のカーボンブラックが使用されるが、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンウイスカー、炭素繊維や金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉末、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料も使用可能である。これらは2種類以上の混合物として使用することもできる。これらのうち、カーボンブラックが好ましい。その添加量は活物質量に対して0.1~30質量%が好ましく、0.2~20質量%がより好ましい。
 本実施の形態のリチウム二次電池の電極活物質の集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば特に制限なく使用可能である。例えば、正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面を、カーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。また、負極用集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理したものを用いることができる。これらの集電体材料は表面を酸化処理することも可能である。また、その形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発泡体等の成形体も用いられる。厚みは特に限定されないが、1~100μmのものが通常用いられる。
 本実施の形態のリチウム二次電池の電極は、電極活物質、導電剤、電極活物質の集電体、及び電極活物質並びに導電剤を集電体に結着させる結着剤等を混合してスラリー状の電極材料を調製し、集電体となるアルミ箔或いは銅箔等に塗布して分散媒を揮発させることにより製造することができる。
 本実施の形態のリチウム二次電池の電極材料にはスラリー化の粘性調整剤として、水溶性高分子などの増粘剤を使用できる。具体的には、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダなどのポリカルボン酸系化合物;ポリビニルピロリドンなどのビニルピロリドン構造を有する化合物;ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、カンテン、デンプンなどから選択された1種又は2種以上が使用可能であり、中でもカルボキシメチルセルロース塩が好ましい。
 上記電極材料の混合の方法や順序等は特に限定されず、例えば、活物質と導電剤は予め混合して用いることが可能であり、その場合の混合には、乳鉢、ミルミキサー、遊星型ボールミル又はシェイカー型ボールミルなどのボールミル、メカノフュージョン等を用いることができる。
 本実施の形態のリチウム二次電池は、ポリイミド水分散体を用いたリチウム二次電池の電極用結着剤を用いた電極を使用して構成されるものである。前記リチウム二次電池の電極用結着剤を用いた電極は、正極または負極の少なくとも一方に使用されていればよい。本実施の形態のリチウム二次電池としては特に限定されないが、例えば、正極と負極、この正極と負極との間に設けられ両者を隔離するセパレータと、リチウムイオンを伝導するための溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解した非水電解液やポリマーまたは高分子ゲル電解質を含む電解質層とで構成される。
 本実施の形態のリチウム二次電池に使用するセパレータとしては、通常のリチウム二次電池に用いられるセパレータであれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン等よりなる多孔質樹脂、セラミック、不織布などがあげられる。
 本実施の形態のリチウム二次電池に使用する電解液としては、従来からリチウム二次電池に用いられている有機電解液及びイオン液体等を特に制限なく使用することができる。
 本実施の形態のリチウム二次電池に使用する電解液塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCl、LiBr、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI、LiAlCl、NaClO、NaBF、NaI等を挙げることができ、特に、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsFなどの無機リチウム塩、LiN(SOCxF+1)(SOCyF2y+1)で表される有機リチウム塩を挙げることができる。ここで、x及びyは、0又は1~4の整数を表し、また、x+yは2~8の整数である。有機リチウム塩としては、具体的には、LiN(SOF)、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SO、LiN(SO)(SO)、LiN(SO)(SO)等が挙げられる。中でも、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiN(SOF)、LiN(SOなどを電解質に使用すると、電気特性に優れるので好ましい。上記電解質塩は1種単独で用いることもでき、2種以上用いることもできる。このようなリチウム塩は、通常、0.1~2.0モル/リットル、好ましくは0.3~1.5モル/リットルの濃度で、電解液に含まれていることが望ましい。
 本実施の形態のリチウム二次電池の電解質塩を溶解させる有機溶媒としては、通常のリチウム二次電池の非水電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、スルホラン類、ジオキソラン類、ケトン類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、イオン性液体などがあげられる。前記、カーボネート類としては特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジメチルカーボネート、プロピレングリコールジメチルカーボネート、エチレングリコールジエチルカーボネート、ビニレンカーボネートなどがあげられる。前記、ラクトン類としては特に限定されないが、例えば、γ-ブチロラクトンなどがあげられる。前記、エーテル類としては特に限定されないが、例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサンなどがあげられる。前記、スルホラン類としては特に限定されないが、例えば、スルホラン、3-メチルスルホランなどがあげられる。前記、ジオキソラン類としては特に限定されないが、例えば、1,3-ジオキソランなどがあげられる。前記、ケトン類としては特に限定されないが、例えば、4-メチル-2-ペンタノンなどがあげられる。前記、ニトリル類としては特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリルなどがあげられる。前記、ハロゲン化炭化水素類としては特に限定されないが、例えば、1,2-ジクロロエタンなどがあげられる。前記、イオン性液体としては特に限定されないが、例えば、メチルフオールメート、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、イミダゾリウム塩、4級アンモニウム塩などがあげられる。これらの有機溶媒は1種または2種以上を併用して使用することができる。これらの有機溶媒のうち、特に、カーボネート類からなる群より選ばれた非水溶媒を一種類以上含有することが、電解質の溶解性、誘電率及び粘度において優れている点から好ましい。
 本実施の形態のリチウム二次電池において、ポリマー電解質又は高分子ゲル電解質を用いる場合は、エーテル、エステル、シロキサン、アクリロニトリル、ビニリデンフロライド、ヘキサフルオロプロピレン、アクリレート、メタクリレート、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、オキセタンなどの重合体又はその共重合体構造を有する高分子又はその架橋体などの高分子化合物が用いられ、これらは1種単独でも使用でき、2種以上使用することもできる。特に限定されるものではないが、ポリエチレンオキサイドなどのエーテル構造を有する高分子化合物がより好ましい。
 本実施の形態のリチウム二次電池において、液系の電池は電解液を、ゲル系の電池はポリマーを電解液に溶解したプレカーサー溶液を、固体電解質電池は電解質塩を溶解した架橋前のポリマーをそれぞれ電池容器内に収容する。
 本実施の形態のリチウム二次電池は、円筒型、コイン型、角型、その他任意の形状に形成することができ、電池の基本構成は形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更して実施することができる。例えば、円筒型では、負極集電体に負極活物質を塗布してなる負極と、正極集電体に正極活物質を塗布してなる正極とを、セパレータを介して捲回した捲回体を電池缶に収納し、非水電解液を注入し上下に絶縁板を載置した状態で密封して得られる。また、コイン型リチウム二次電池に適用する場合では、円盤状負極、セパレータ、円盤状正極、及びステンレスの板が積層された状態でコイン型電池缶に収納され、非水電解液が注入され、密封される。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、(A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応させプレポリマーを合成する工程、プレポリマーを水中で乳化する工程を含む。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、プレポリマー中のアニオン性親水基、カチオン性親水基の中和、又は4級化を行ってから、プレポリマーを水中で乳化する工程を行うことも好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、耐電解液性、結着性の観点から、プレポリマーを水中で乳化分散した後、鎖伸長する工程を含むことも好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体の製造方法としては、特に限定されないが、必要に応じて溶剤の存在下、プレポリマーを合成する工程、鎖伸長工程を行なうことができる。前記溶剤としては、イソシアネート基と不活性で、かつ、生成するポリイミドを溶解し得る溶剤であれば特に限定されない。これらの溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどがあげられる。反応で使用したこれら親水性有機溶剤は、最終的には除去するのが好ましい。
 本実施の形態のポリウレタン樹脂(X)の水分散体を製造の際には架橋剤を使用することもできる。架橋剤としては、特に限定されないが、アジリジン、オキサゾリン、カルボジイミド、変性ポリイソシアネート、ポリエポキシド化合物などがあげられる。これらの架橋剤は1種または2種以上を併用して使用することができる。
 本実施の形態のポリイミド水分散体から形成された皮膜の耐電解液性は、実施例に記載の方法において、1000%以下であることが好ましく、750%以下であることがより好ましく、500%以下であることがさらに好ましい。
 本実施の形態のポリイミド水分散体から形成された皮膜の結着性は、実施例に記載の方法において、0.30N/cm以上であることが好ましく、0.35N/cm以上であることがより好ましく、0.40N/cm以上であることがさらに好ましい。
 [第2の実施の形態に係る実施例]
 以下、実施例及び比較例に基づいて、第2の実施の形態について詳細に説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表している。
 <実施例1>
 撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにピロメリット酸二無水物(PMDA(ダイセル社製))10.2重量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)31.1重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド0.5重量部、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)38.0重量部と加え、120℃で2時間反応させた後、DMAc23.8重量部、ジメチロールプロピオン酸(BisMPA)6.2重量部と加えて75℃で2時間反応させた。この溶液にポリブタジエンポリオール(Krasol LBH-P2000)52.5重量部、メチルエチルケトン(MEK)50.0重量部、トリエチルアミン4.8重量部と加えてさらに75℃で3時間反応させた後、MEK20.0重量部を加えて希釈し、ウレタンイミドプレポリマー溶液(A)を得た。この溶液の不揮発分に対する遊離のイソシアネート基含有量は1.91%であった。
 Aに対し、水166.8重量部を加えてホモミキサーを用いて乳化し、続いて、ジエチレントリアミン0.8重量部を加えて鎖伸長反応を30℃で1時間行った。かかる反応後、MEKを減圧留去して、水中にポリウレタンイミド樹脂が乳化されてなるポリイミド水分散体(不揮発分:31.6%、pH:7.9、粘度:601mPas、粒子径:0.06μm)を作製した。
 <実施例2~7、比較例>
 表3記載の処方に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、合成を行った。
 用いた化合物の略称を以下に示す。
PMDA:無水ピロメリット酸二無水物 (ダイセル製)
BTDA:ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 (ダイセル製)
BisMPA:ジメチロールプロピオン酸
LBH-P2000:Krasol LBH-P2000(CRAY VALLEY製、末端水酸基変性液状ポリブタジエン)
LBH-P3000:Krasol LBH-P3000(CRAY VALLEY製、末端水酸基変性液状ポリブタジエン)
HBH-P2000:Krasol HLBH-P2000(CRAY VALLEY製、末端水酸基変性液状水素添加ポリブタジエン)
PTMG-2000:(三菱化学製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)
R-15HT:Polybd R-15HT(出光興産社製、末端水酸基変性液状ポリブタジエン)
IPDI:イソホロンジイソシアネート
 <評価方法>
(耐電解液性)
 ポリイミド水分散体を、40℃8時間の条件で予備乾燥させた後、80℃6時間、120℃1時間、150℃30分の順で本乾燥させ、2cm×2cm、膜厚500μmの試験片を得た。
 得られた試験片を、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートの5種類からなるカーボネート系混合溶媒(重量比で1:1:1:1:1となる組成)に60℃条件下3日間浸漬後させ、浸漬前後の重量増加率を測定した。
(結着性)
 バインダーとなる樹脂にグラファイト系活物質やCMCを加えたスラリーを、集電体となる銅箔に塗工して作成した電極の剥離強度を測定した。具体的には、負極活物質として、天然黒鉛81.0g (日本カーボン社製AZB-A)およびSiO9.0g (日下レアメタル社製)、導電剤としてカーボンブラック3.0g(Timcal社製、Super-P)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬製、品名:セロゲンWS―C)2重量%水溶液175.0g、結着剤として実施例1で合成したポリイミド水分散体 (不揮発分: 31.6%) 11.1gを遊星型ミキサーで混合し、負極スラリーを調製した。この負極スラリーを塗工機で厚み10μmの電解銅箔上にコーティングし、120℃で乾燥後、ロールプレス処理を行い、負極活物質7mg/cmの負極を得た。上記で作製した電極を130℃×8時間減圧乾燥し、プレス後、180°ピール剥離強度試験をJIS Z0237:2009に基づき実施した。幅18mm、長さ300mmに切断した一般用粘着テープでSUS304鋼板に貼り付けた試験片を、テープの背面が重なるようにテープの端を把持して180°に折り返して試験板から25mmはがした後,試験機に設置した下側の治具にそのテープをはがした部分の試験板の片端を固定し,上側の治具に粘着テープを固定した。試験は50mm/minの負荷速度で実施し、測定開始後、最初の25mm間の測定値は無視し,25mm経過後,試験板から引きはがされたときの引きはがし粘着力の平均値を測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 <評価結果>
 実施例1~7から分かるように、本実施の形態のポリイミド水分散体は、得られる皮膜の耐電解液性、結着性が良好であることが分かる。一方、比較例1のように酸価が高い系は、耐電解液性および結着性が劣ることがわかる。

Claims (12)

  1. (A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応して得られるポリイミド水分散体。
  2.  ポリイミドの酸価が、20~100mgKOH/gである、請求項1記載のポリイミド水分散体。
  3.  請求項1または2記載のポリイミド水分散体を鎖伸長して得られるポリイミド水分散体。
  4.  酸価が50mgKOH/g以下である、請求項1記載のポリイミド水分散体。
  5.  (E)アミンを用いて鎖伸長して得られる請求項4記載のポリイミド水分散体。
  6.  請求項4または5記載のポリイミド水分散体を用いたリチウム二次電池の電極用結着剤。
  7.  請求項6記載のリチウム二次電池の電極用結着剤を用いた電極。
  8.  請求項7記載の電極を有するリチウム二次電池。
  9.  (A)酸無水物、(B)ポリイソシアネート、および(C)1個以上の活性水素基と親水基を有する化合物を反応させプレポリマーを合成する工程と、
     プレポリマーを水中で乳化する工程と、を含むポリイミド水分散体の製造方法。
  10.  さらに鎖伸長する工程を含む請求項9記載のポリイミド水分散体の製造方法。
  11.  酸価が20~100mgKOH/gである、請求項9または10記載のポリイミド水分散体の製造方法。
  12.  酸価が50mgKOH/g以下である、請求項9または10記載のポリイミド水分散体の製造方法。
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