WO2017169586A1

WO2017169586A1 - 保温カバーの取付構造

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Publication number: WO2017169586A1
Application number: PCT/JP2017/009200
Authority: WO
Inventors: 司星野; 健二菅崎; 岡村　和美; 誠新濱; 正信幸徳; 山本　亮; 行矢田中; 鋭長西河
Original assignee: マツダ株式会社
Priority date: 2016-03-29
Filing date: 2017-03-08
Publication date: 2017-10-05
Also published as: DE112017000095T5; CN109070730A; JP6330841B2; JP2017177966A; US20180244216A1; CN109070730B; US10266128B2

Abstract

保温カバー（シリンダヘッド側保温カバー３０）は、エンジン１の上側の面であるエンジン上面の全体を覆う上壁部３１と、上壁部３１と一体に形成されかつエンジン１の車幅方向の両側側面の上部をそれぞれ覆う第１の側壁部３２とを有する。上記保温カバーの車両後側の部分には、上壁部３１全体を含む、上記保温カバーの上部を、上下に回動可能に支持するヒンジ機構３６が設けられている。上記保温カバーの上部は、エンジン１を上方から遮蔽する閉じ位置とエンジン上面を車両前側かつ上側から視認可能な開き位置との間で、ヒンジ機構３６を支点にして回動可能である。

Description

保温カバーの取付構造

　本発明は、保温カバーの取付構造に関する。

　従来より、車両の前部に設けられたエンジンルーム内に配設されたエンジンを保温するための保温カバーが知られている。特許文献１には、エンジンルーム内でエンジンと変速機とが組み合わされたパワートレインの上側を囲むように設置されるエンジンルームカプセル化部材を含み、該エンジンルームカプセル化部材は、エンジンルームの上側遮蔽のための上面カバーと、側面遮蔽のための左右両側面カバーが一体に形成された構造を有し、上記上面カバーと上記側面カバーとの車両後側の端部には、後面を遮蔽する後面カバーが一体に形成されるとともに車両前側の面は空気が流入されるように開放された構造を有する保温カバーが開示されている。

特開２０１３－１１９３８４

　ところで、特許文献１に記載のように、エンジンルームの上側を遮蔽するように保温カバーが配設されている場合、エンジンのメンテナンスを行う時には、上記保温カバーを車体から取り外す必要がある。

　特許文献１に記載の保温カバーでは、上面カバーと側面カバーとが一体に形成されているため、上記保温カバーを車体から取り外す時には、上記保温カバーを上方に持ち上げて、カバー全体を車体から取り外す必要がある。

　しかしながら、上記エンジンが車両の前部に設けられたエンジンルーム内に配設されている場合は、上記保温カバーの上にはボンネットが位置するため、上記保温カバーをボンネットと当接しないように取り外したり、メンテナンス後に、上記保温カバーを再度取り付けたりするのに手間がかかる上に、取り外した保温カバーを保管するためのスペースを確保する必要もあり、メンテナンスの作業効率が悪くなる。

　上記保温カバーの上面カバーに開口を設けて、上記保温カバーを車体から取り外すことなく、メンテナンスを行うことができるようにすることも考えられるが、上記開口から熱気が流出する可能性があるため、上記開口を設けたことによって、上記保温カバーの保温性能が低下してしまうおそれがある。

　本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、保温カバーの保温性能を低下させることなく、エンジンのメンテナンス時の作業効率を向上させることにある。

　上記課題を解決するために、本発明は、車両の前部にありかつボンネットで開閉されるエンジンルーム内に収容されたエンジンを保温するための保温カバーの取付構造を対象として、上記保温カバーは、上記エンジンの上側の面であるエンジン上面の全体を、該エンジン上面に対して上下方向に間隔を空けて覆う上壁部と、上記上壁部と一体に形成されかつ上記エンジンにおける車幅方向の両側側面の上部を、該両側側面の上部に対して車幅方向に間隔を空けてそれぞれ覆う側壁部とを有し、上記保温カバーの車両後側の部分に設けられ、上記上壁部の全体を含む、上記保温カバーの上部を、上下に回動可能に支持する後側支持部と、を備え、上記上壁部の全体を含む、上記保温カバーの少なくとも一部は、上記エンジンを上方から遮蔽する閉じ位置と、上記エンジンの上記エンジン上面を、車両前側かつ上側から視認可能な開き位置との間を、上記後側支持部を支点にして回動可能に構成された回動部である、構成とした。

　この構成によると、上記保温カバーを取り外すことなく、上記エンジンのメンテナンスが可能となり、該メンテナンスの作業効率を向上させることができる。

　具体的には、上記保温カバーにおける車両後側の部分に、上記上壁部全体を含む、上記保温カバーの上部を上下に回動可能に支持する後側支持部が設けられており、上記上壁部全体を含む、上記保温カバーの上部は、上記エンジンを上方から遮蔽する閉じ位置と上記エンジンの上記エンジン上面を車両前側かつ上側から視認可能な開き位置との間を、上記後側支持部を支点にして回動可能に構成された回動部であるため、上記エンジンのメンテナンス時には、上記回動部を、上記後側支持部を支点にして、上記開き位置まで回動させれば、上記エンジン上面を車両前側かつ上側から視認できるようになる。そして、上記エンジンのメンテナンスが完了した後には、上記回動部を、上記開き位置から上記閉じ位置まで回動させれば、再び上記エンジンを上方から遮蔽するように、上記エンジンを上記保温カバーで覆うことができる。これにより、上記保温カバー全体を車体から取り外すことなく、上記エンジンのメンテナンスが可能となり、該メンテナンスの作業効率が向上させることができる。

　また、上記保温カバーに、上記エンジンのメンテナンスのための開口等を設ける必要がないため、上記保温カバーの保温性能については低下しない。

　したがって、上記保温カバーの保温性能を低下させることなく、上記エンジンのメンテナンス時の作業効率を向上させることができる。

　上記保温カバーの取付構造の一実施形態では、上記保温カバーは、上記上壁部及び上記側壁部の上部を含む上側保温カバーと上記側壁部の下部を含む下側保温カバーとによって構成されかつ上記上側保温カバーが上記下側保温カバーに対して取り外し可能に構成されており、上記下側保温カバーは、上記車両の車体に取り付けられ、上記上側保温カバーは、上記後側支持部を介して上記車体に取り付けられるとともに、上記回動部として構成されていて、上記上側保温カバーが上記閉じ位置に位置しているときには、上記上側保温カバーは、上記上側保温カバーの下端部と上記下側保温カバーの上端部との間に隙間が形成されないように、上記下側保温カバーと当接する。

　この構成によると、上記保温カバーが、上記上壁部及び上記側壁部の上部を含む上側保温カバーと上記側壁部の下部を含む下側保温カバーによって構成されかつ上記上側保温カバーが上記下側保温カバーに対して取り外し可能に構成されており、上記上側保温カバーが、上記回動部として構成されているため、上記上側保温カバーを上記開き位置まで回動させれば、上記エンジンを車両前側かつ上側から視認できるようになる。

　また、上記回動部を、上記後側支持部を支点に回動させる時には、上記回動部における車両前側の下端部が、上記閉じ位置における上記保温カバーの車両前側の端部よりも車両前側にはみ出すため、上記保温カバー車両前側の端部よりも車両前側の領域に、上記回動部における車両前側の下端部がはみ出す分のスペースを設けておく必要がある。仮に、上記上側保温カバーと上記下側保温カバーとが一体であったとすると、上記保温カバー全体が回動することから、上記保温カバーにおける車両前側の下端部の、車両前側にはみ出す量が比較的多くなる。

　これに対し、上記保温カバーが、上記上側保温カバーと上記下側保温カバーとに分割されて、上記上側保温カバーが上記回動部として構成されていると、上記回動部の上下方向の大きさは、上記上側保温カバーと上記下側保温カバーとが一体のときよりも小さくなる。これにより、上記回動部を、上記後側支持部を支点にして、上記閉じ位置から上記開き位置まで回動させる時に、上記回動部（上側保温カバー）における、上記保温カバーの車両前側の端部よりも車両前側にはみ出す量は、上記上側保温カバーと上記下側保温カバーとが一体のときよりも小さくなる。この結果、上記上側保温カバーと上記下側保温カバーとが一体のときよりも、上記車両前側の領域に設けるスペースを狭くすることができ、コンパクトな構成が可能となる。

　さらに、上記の構成によると、上記上側保温カバーが上記閉じ位置に位置しているときには、上記上側保温カバーの下端部と上記下側保温カバーの上端部との間に隙間が形成されないため、上記保温カバーを、上記上側保温カバーと上記下側保温カバーとに分割することによる、上記保温カバーの保温性能の低下を防止することができる。

　上記保温カバーの取付構造において、上記エンジンルーム内において上記保温カバーよりも車両後側に配置されたカウルメンバをさらに備え、上記後側支持部は、上記カウルメンバに取り付けられている、ことが望ましい。

　すなわち、上記エンジンの作動中には、上記エンジン及び車体に振動が発生するが、一般に、車体の振動は、上記エンジンの振動と比較して小さいため、上記後側支持部を車体の一部であるカウルメンバに取り付けることによって、上記後側支持部の耐久性を確保しやすくなる。

　上記後側支持部が上記カウルメンバに取り付けられている、上記保温カバーの取付構造において、上記保温カバーよりも車両前側に配設されたラジエータシュラウドをさらに備え、上記回動部は、該回動部が上記閉じ位置に位置しているときに、上記ラジエータシュラウドの上部に支持される、ことが望ましい。

　この構成によると、上記回動部を車両前後方向両側で支持することができるため、上記回動部が安定して支持されるようになる。

　また、上記回動部が上記閉じ位置に位置しているときには、該回動部はラジエータシュラウドの上部に支持されるため、上記エンジンの作動中において、上記後側支持部に作用する振動と上記ラジエータシュラウドの上部に作用する振動とは、どちらも車体から伝達される振動となる、これにより、上記後側支持部に作用する振動の大きさと上記ラジエータシュラウドの上部に作用する振動の大きさが同程度になるため、上記後側支持部及び上記ラジエータシュラウドの上部に作用する振動の大きさが互いに異なることによって、上記回動部に捻れが発生するのを防止することができる。この結果、上記回動部の耐久性を確保することができる。

　以上説明したように、本発明の保温カバーの取付構造によると、保温カバーの車両後側の部分に設けられ、上壁部全体を含む、上記保温カバーの上部を、上下に回動可能に支持する後側支持部を備え、上壁部全体を含む、上記保温カバーの上部は、上記エンジンを上方から遮蔽する閉じ位置と上記エンジンの上面を車両前側かつ上側から視認可能な開き位置との間を、上記後側支持部を支点にして回動可能に構成された回動部であるため、上記保温カバー全体を車体から取り外すことなくかつ上記保温カバーに、上記エンジンのメンテナンスのための開口等を設けることなく、上記エンジンのメンテナンスが可能となる。これにより、上記保温カバーの保温性能を低下させることなく、上記エンジンのメンテナンス時の作業効率を向上させることができる。

本発明の実施形態に係る取付構造によって取り付けられたシリンダヘッド側保温カバーによって覆われたエンジンの概略構成図である。シリンダヘッド側保温カバーの構成を示す斜視図である。エンジンがシリンダヘッド側保温カバーに覆われた状態を反変速機側から見た図である。エンジンがシリンダヘッド側保温カバーに覆われた状態を変速機側から見た図である。シリンダヘッド側保温カバーが車両に搭載された状態において、上部シリンダヘッド側保温カバーの閉じ位置及び開き位置を示す図である。上部シリンダヘッド側保温カバー及びシリンダヘッド側保温カバー全体がヒンジ機構によって回動する際の、上部シリンダヘッド側保温カバー及びシリンダヘッド側保温カバー全体における車両前側の下端部の回動軌跡を示す図である。

　以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

　図１は、本実施形態に係る取付構造によって取り付けられた保温カバーを有する多気筒エンジン（以下、エンジン１という）を示す断面図である。このエンジン１は、車両の前部のエンジンルーム内に気筒列方向が車幅方向（図１における左右方向）を向くように横置きに配置されている。すなわち、エンジン１は横置きエンジンである。このエンジン１は、上側に向かって車両後側に傾斜（スラント）した状態で、車両の前部に配置されている。エンジン１が車両の前部に搭載された状態で、エンジン１の上方には、ボンネット８０（図５参照）が位置している。

　エンジン１は、シリンダヘッド２、シリンダブロック３及びオイルパン４が、この順番で上下に連結されて構成されている。以下の説明では、シリンダヘッド２側を上側、オイルパン４側を下側という。

　シリンダブロック３における上部には、４つの気筒５が直列に気筒列をなしてそれぞれ配設され、シリンダブロック３における下部には、クランクシャフト６が配設されるクランク室７が形成されている。

　各気筒５には、各気筒５の内周面に対して摺動可能なピストン８がそれぞれ嵌挿されている。該ピストン８は、コネクティングロッド９を介して、クランクシャフト６と連結されている。また、ピストン８の頂面と、気筒５と、シリンダヘッド２の下面とによって燃焼室１０が気筒５毎（図１では１つだけ記載）に区画される。

　シリンダヘッド２には、燃焼室１０内に新気を導入するための吸気ポート（図示省略）と燃焼室１０から排気ガスを排出するための排気ポート（図示省略）とが気筒５毎に設けられている。また、シリンダヘッド２には、上記吸気ポート及び上記排気ポートが燃焼室１０に臨む吸気口（図示省略）及び排気口（図示省略）が形成されている。さらに、シリンダヘッド２には、上記吸気口及び上記排気口を開閉させるように構成された吸気バルブ（図示省略）及び排気バルブ（図示省略）と、該吸気バルブ及び排気バルブを開閉動作させるためのバルブ開閉機構（図示省略）とが設けられている。

　また、上記吸気ポートには、エンジン１の車両前側に配設された吸気マニホールド（図示省略）が接続されており、上記排気ポートには、エンジン１の車両後側に配設された排気マニホールド（図示省略）が接続されている。

　シリンダヘッド２には、燃焼室１０内に燃料を噴射するための燃料噴射弁１１及び該燃料噴射弁１１によって燃焼室１０内に噴射された燃料に点火するための点火プラグ１２が、気筒５毎（図１では１つずつ記載）に設けられている。

　また、シリンダヘッド２の上部にはヘッドカバー２ａが取り付けられている。

　オイルパン４には、クランクシャフト６の軸受メタル（図示省略）やバルブ開閉機構のうちの油圧駆動式バルブ開閉機構等に供給するためのオイルが貯留されている。図示は省略するが、シリンダブロック３の下部には、オイルをエンジン１の各部に供給するためのオイルポンプが配設されている。

　エンジン１の気筒列方向一側（本実施形態では、車両左側（図１の右側））には、変速機２０が連結されており、これらエンジン１と変速機２０とでパワープラントを構成している。変速機２０は、本実施形態では、自動変速機であって、変速機ケース内にトルクコンバータ（図示省略）等の変速機構を有している。また、変速機２０は、図示を省略する入力軸及び出力軸が車幅方向に延びる横置きタイプのものであって、上記入力軸は、エンジン１のクランクシャフト６と連結され、上記出力軸は、変速機２０の車両後側に配置された差動装置（図示省略）と連結されている。また、図示は省略するが、上記差動装置からは、左右の前輪とそれぞれ連結される左右の前輪駆動軸が車幅方向の両側にそれぞれ延びている。

　エンジン１は、シリンダヘッド側保温カバー３０（保温カバー）とシリンダブロック側保温カバー４０とによって覆われている。以下、図１～図５を参照しながらシリンダヘッド側保温カバー３０及びシリンダブロック側保温カバー４０の構成について説明する。

　シリンダヘッド側保温カバー３０は、シリンダヘッド２の上面（すなわち、ヘッドカバー２ａの上面）であるヘッド上面（エンジン上面）の全体、シリンダヘッド３における車幅方向の両側側面全体及びシリンダブロック３における車幅方向の両側側面の上部をそれぞれ覆う保温カバーである一方、シリンダブロック側保温カバー４０は、シリンダブロック３全体を覆う保温カバーである。すなわち、シリンダヘッド２が配設されるエンジン１の上部は、シリンダヘッド側保温カバー３０に覆われ、さらに、そのシリンダヘッド側保温カバー３０の上から、ボンネット８０に覆われるようになっている。シリンダブロック側及びシリンダブロック側保温カバー３０，４０は、ともにグラスウールなどの断熱性及び吸音性を有する繊維材で構成されている。これにより、シリンダヘッド側及びシリンダブロック側保温カバー３０，４０は、エンジン１の保温以外にも、エンジン音が車両外部に漏れるのを防止する役割も果たすようになる。

　シリンダヘッド側保温カバー３０は、図１に示すように、シリンダヘッド２の上記ヘッド上面の全体を覆う上壁部３１と、シリンダブロック３における車幅方向の両側側面の上部を含めてシリンダヘッド３における車幅方向の両側側面をそれぞれ覆う第１の側壁部３２（側壁部）とによって構成されている。

　上壁部３１は、シリンダヘッド２の上記ヘッド上面と間隔を空けて対向している一方、第１の側壁部３２は、シリンダヘッド２における車幅方向の両側側面及びシリンダブロック３における車幅方向の両側側面とそれぞれ間隔を空けて対向している。

　また、第１の側壁部３２は、それぞれ上下に分割されており、シリンダヘッド２における車幅方向の両側側面の上部をそれぞれ覆う上側側壁部３２ａと、シリンダブロック３における車幅方向の両側側面の上部を含めてシリンダヘッド２における車幅方向の両側側面の下部をそれぞれ覆う下側側壁部３２ｂとを有している。

　すなわち、第１の側壁部３２がそれぞれ上下に分割されることにより、シリンダヘッド側保温カバー３０は、上壁部３１及び第１の側壁部３２の上部である上側側壁部３２ａが一体となって構成される上部シリンダヘッド側保温カバー３３（上側保温カバー）と、第１の側壁部３２の下部である下側側壁部３２ｂによって構成される下部シリンダヘッド側保温カバー３４（下側保温カバー）と、に上下に分割される。

　また、シリンダヘッド側保温カバー３０における車両前後方向の両端部には、壁部が設けられていない部分である開放部３９（図５において車両前側の開放部３９ａのみを記載）がそれぞれ形成されている。

　上部シリンダヘッド側保温カバー３３の上壁部３１は、図３に示すように、シリンダヘッド２よりも車両前側に設けられた部品（上記吸気マニホールド等）を含めてシリンダヘッド２の上面全体を覆っている。

　また、上壁部３１の車両前側には、フロントサイドフレーム１３，１４（図１参照）に固定されたラジエータシュラウド６０があり、上壁部３１は、図３及び図４に示すように、車両側方から見て、ラジエータシュラウド６０の位置から車両後側に行くほど、上側に向かうように傾斜して延び、車両前後方向における、上記排気マニホールドの排気上流側の端部（上記排気マニホールドと上記排気ポートとの接続部分）に相当する位置から、下側に向かって斜めに湾曲して、ダッシュパネルと連結されたカウルメンバ６１の近傍位置まで延びている。上壁部３１の車両後側の湾曲形状は、車両前側の開放部３９ａ（図５参照）から導入される車両走行風が上記排気マニホールド及び上記排気マニホールドに接続された直キャタリスト（図示省略）に向かって流れるように適切な形状に調整されている。

　さらに、上壁部３１は、図３及び図４に示すように、車両前側の端部が、上側側壁部３２ａの車両前側の端部よりも車両前側に突出するようになっており、この突出した部分（以下、突出部３１ａという）が、後述する前側支持部３５に載置されるようになっている。

　上部シリンダヘッド側保温カバー３３における上側側壁部３２ａは、図１に示すように、その上端が、上壁部３１における車幅方向の両端と一体形成されることで、上壁部３１と一体になっており、上壁部３１と一体となっている部分から下方に向かって略垂直に延びている。

　また、図４に示すように、車両左側の上側側壁部３２ａにおける車両後側の部分は上方に向かって切り欠かれており、該切欠は下側側壁部３２ｂに形成された切欠と合わせて貫通孔３０ａを形成している。この貫通孔３０ａは吸気管等をシリンダヘッド側保温カバー３０の外部に通すために設けられているものである。尚、図４では図示を省略しているが、貫通孔３０ａは、上記吸気管等を通した後、ウレタン等の断熱性のある緩衝材によって封止される。

　上部シリンダヘッド側保温カバー３３は、図２～図４に示すように、車両前側の部分及び車両後側の部分で車体部材に支持されている。この上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車体部材に対する支持構造について具体的に説明する。

　図２に示すように、ラジエータシュラウド６０の上面には、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車両前側の部分を支持するための前側支持部３５が設けられている。つまり、上部シリンダヘッド側保温カバー３３は、前側支持部３５を介してラジエータシュラウド６０の上部に支持される。前側支持部３５は、ラジエータシュラウド６０に取り外し可能に固定されている。上述したように、ラジエータシュラウド６０は車体部材であるフロントサイドフレーム１３，１４（図１参照）に固定されているため、前側支持部３５は、ラジエータシュラウド６０を介して車体部材に支持された状態となっている。図３及び図４に示すように、前側支持部３５の車両後側の部分は段差部３５ａが形成されており、該段差部３５ａの上に、上述した上壁部３１の突出部３１ａが載置されるようになっている。これにより、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車両前側の部分が前側支持部３５に支持される。また、前側支持部３５の上面は、段差部３５ａに突出部３１ａが載置した状態で上壁部３１の上面の形状と連続するように、車両後側に向かって上側に傾斜している。

　また、図３及び図４に示すように、突出部３１ａが前側支持部３５の段差部３５ａに載置した状態で、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の上側側壁部３２ａの車両前側の端部とラジエータシュラウド６０との間にはスペース６２が形成されるようになっている。このスペース６２は、後述するヒンジ機構３６を支点にして、上部シリンダヘッド側保温カバー３３が上方に向かって回動する際に、上側側壁部３２ａの車両前側の端部（特に、上側側壁部３２ａの車両前側の下端部）とラジエータシュラウド６０とが当接しないようにするためのスペースである。

　一方で、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車両後側には、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車両後側の部分を支持するための後側支持部材としてのヒンジ機構３６が設けられている。図２に示すように、ヒンジ機構３６は、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車両後側の部分における車幅方向両側にそれぞれ１つずつ設けられている。各ヒンジ機構３６は、図３及び図４に示すように、シリンダヘッド側保温カバー３０よりも車両後側に配置された車体部材であるカウルメンバ６１に固定されたブラケット３６ａと、該ブラケット３６ａに取り付けられたピン３６ｂとによって構成されている。具体的には、ブラケット３６ａは、車両後側の部分がボルト等によってそれぞれカウルメンバ６１に固定され、固定された部分から車両前側に向かって延びている。ピン３６ｂは、ブラケット３６ａの車両前側の部分に、ブラケット３６ａよりも車幅方向外側に突出するように取り付けられる。そして、ピン３６ｂにおける車幅方向外側に突出した部分は、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の上側側壁部３２ａにおける車両後側の端部に挿通される。これにより、上部シリンダヘッド側保温カバー３３は、ピン３６ｂを支点にして上下に回動可能になる。また、ピン３６ｂが上側側壁部３２ａにおける車両後側の端部に挿通されることによって、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車両後側の部分が車体部材であるカウルメンバ６１に支持される。すなわち、ヒンジ機構３６は、シリンダヘッド側保温カバー３０、詳しくは、上壁部３１全体を含む、シリンダヘッド側保温カバー３０の一部である、上部シリンダヘッド側保温カバー３３を回動可能に支持している。

　シリンダヘッド側保温カバー３０が、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とに上下に分割されかつ上部シリンダヘッド側保温カバー３３がヒンジ機構３６によって上下に回動可能に支持されることによって、上部シリンダヘッド側保温カバー３３は、シリンダヘッド側保温カバー３０における、エンジン１を上方から遮蔽するように、エンジン１を上方から覆う閉じ位置と、エンジン１を上方から視認可能な開き位置との間を、ヒンジ機構３６のピン３６ｂを支点にして回動可能な部分である回動部として構成される。

　上部シリンダヘッド側保温カバー３３は、図５に示すように、ピン３６ｂを支点にして、上方に向かって回動されたときには、エンジン１を上方から視認可能な開き位置に位置する一方、該開き位置から、下方に向かって回動されたときには、図５に仮想線で示すような、エンジン１を上方から遮蔽するように、エンジン１を上方から覆った閉じ位置に位置する。

　下部シリンダヘッド側保温カバー３４は、図１に示すように、上部シリンダヘッド側保温カバー３３よりも車幅方向外側にそれぞれ位置している。下部シリンダヘッド側保温カバー３４の上端部、すなわち、下側側壁部３２ｂの上端部には、ゴム部材３７が該上端部に沿って車両前後方向全体に設けられている。上部シリンダヘッド側保温カバー３３（厳密には、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の上側側壁部３２ａ）は、上記閉じ位置のときには、この下部シリンダヘッド側保温カバー３４（すなわち、下側側壁部３２ｂ）におけるゴム部材３７と車両側方から当接するようになっている。これにより、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の下端部と下部シリンダヘッド側保温カバー３４の上端部との間、詳しくは、上側側壁部３２ａと下側側壁部３２ｂとの間に、車両前後方向全体に亘って、隙間が形成されなくなるため、シリンダヘッド側保温カバー３０を、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とに分割したことによる、シリンダヘッド側保温カバー３０の保温性能の低下が防止される。

　下部シリンダヘッド側保温カバー３４における車両前後方向の長さは、図３及び図４に示すように、上側側壁部３２ａの車両前後方向の長さよりも短い。具体的には、下部シリンダヘッド側保温カバー３４における車両前側の端部は、上側側壁部３２ａにおける車両前側の端部と略同じ位置に位置する一方、下部シリンダヘッド側保温カバー３４における車両後側の端部が、上側側壁部３２ａにおける車両後側の端部よりも車両前側に位置している。これにより、下部シリンダヘッド側保温カバー３４における車両後側の端部よりも後側、すなわち、上部シリンダヘッド側保温カバー３３における車両後側の部分、詳しくは、上部シリンダヘッド側保温カバー３３におけるヒンジ機構３６の取付部分よりも下方にスペースができる。この結果、上部シリンダヘッド側保温カバー３３が、ヒンジ機構３６によって、上記閉じ位置から上記開き位置まで回動するときには、上部シリンダヘッド側保温カバー３３における、ヒンジ機構３６の周辺部分は、上記スペースを利用して回動することができる。

　また、下部シリンダヘッド側保温カバー３４における上下方向の大きさは、シリンダヘッド２を十分に保温できる程度の大きさとなっている。具体的には、車両側方から見たときに、下側側壁部３２ｂの下部と後述する第２の側壁部４３の上部とが重複する程度の大きさとなっている。

　車両右側の下部シリンダヘッド側保温カバー３４は、図１に示すように、右側のフロントサイドフレーム１３にボルト１００で固定される一方、車両左側の下部シリンダヘッド側保温カバー３４は、左側のフロントサイドフレーム１４にブラケット１５を介して固定された、バッテリ１６のトレイ１７にボルト１０１で固定される。これにより、下部シリンダヘッド側保温カバー３４は、上下に動かないように、車体に対して取り付けられる。

　シリンダブロック側保温カバー４０は、図３に示すように、シリンダブロック３における車両前側の面を覆う前壁部４１と、シリンダブロック３における車両後側の面を覆う後壁部４２と、シリンダブロック３における車幅方向の両側側面を覆う第２の側壁部４３と、オイルパン４の略全体を覆う底部４４とを有している。

　シリンダブロック側保温カバー４０の各部４１～４４は、シリンダブロック３及びオイルパン４の各面と略密着して配設されている。詳しくは、図３に示すように、シリンダブロック３に設けられた、ウォータポンプ（図示省略）、オルタネータ（図示省略）、エアコンプレッサ（図示省略）及びタイミングチェーンスプロケット１８等の補機や、図１に示すように変速機２０とエンジン１との締結部を避けながら、シリンダブロック３及びオイルパン４の各面と略密着している。尚、ここでいう略密着とは、シリンダブロック側保温カバー４０がシリンダブロック３及びオイルパン４の各面に隙間無く張り付いた状態（密着した状態）だけでなく、シリンダブロック側保温カバー４０とシリンダブロック３との間に、エンジンルーム内に流入した車両走行風が流入しない程度の隙間が形成された状態も含むものである。

　シリンダブロック側保温カバー４０における前壁部４１、後壁部４２及び第２の側壁部４３は、シリンダブロック３の各側面における上端部まで、各側面を覆うように広がっている。これにより、図３に示すように、車両側方から見たときには、シリンダヘッド側保温カバー３０における第１の側壁部３２の下部、すなわち、下部シリンダヘッド側保温カバー３４の下部と、シリンダブロック側保温カバー４０における第２の側壁部４３の上部とが上下方向に重複するようになる。

　シリンダブロック側保温カバー４０は、図示は省略するが、シリンダブロック３の各側面やオイルパン４の各側面に設けられたブラケットに対してボルトを締結することによって、シリンダブロック３の各面及びオイルパン４の各面に取り付けられる。

　本実施形態では、図１及び図４に示すように、変速機２０も、変速機２０を保温するためのカバー（以下、変速機保温カバー５０という）によって覆われている。

　変速機保温カバー５０は、シリンダブロック側保温カバー４０と同様に、変速機２０に接続される補機等を避けるようにして、変速機２０の表面全体に略密着して配設されている。

　変速機保温カバー５０は、ボルト等によって変速機２０に取り付けられる。

　このように、変速機２０を変速機保温カバー５０で覆って、変速機２０を保温することによって、変速機２０のトルクコンバータ等に供給する潤滑油の粘度が低くなる。これにより、変速機２０に配設されかつエンジン１によって駆動されかつ上記トルクコンバータ等に潤滑油を供給するオイルポンプの駆動力を下げたとしても、上記トルクコンバータ等の潤滑に必要な量の潤滑油を供給することができるようになる。この結果、上記オイルポンプの駆動力を発生させるためのエンジン出力を抑えることができ、燃費を向上させることができる。尚、変速機２０が手動変速機である場合は、手動変速機自体を車両走行風によって冷却する必要があるため、変速機保温カバー５０は設けないようにすることが望ましい。

　本実施形態のように、シリンダヘッド側及びシリンダブロック側保温カバー３０，４０によって、エンジン１を覆い、エンジン１を保温することで、例えば、エンジン１を一時的に停止させた後に再始動させる場合やエンジン１の冷間始動の場合に、エンジン１を迅速に温めることができる。このように、エンジン１を迅速に温めることができれば、エンジン始動時の排気ガスの排出量を抑えることができる。

　一方で、エンジン１のメンテナンスを行う時には、エンジン１を視認可能な状態とする必要があるが、上述したように、シリンダヘッド側保温カバー３０の上方にはボンネット８０があるため、メンテナンスを行う際に、ボンネット８０と当接しないように、シリンダヘッド側保温カバー３０を車体から取り外したり、メンテナンス後に、ボンネット８０と当接しないように、シリンダヘッド側保温カバー３０を再度車体に取り付けたりするには手間がかかる。また、取り外したシリンダヘッド側保温カバー３０を補完するためのスペースを確保する必要もある。

　しかしながら、本実施形態では、上壁部３１全体を含む、シリンダヘッド側保温カバー３０の一部である、上部シリンダヘッド側保温カバー３３を、ヒンジ機構３６（厳密には、ヒンジ機構３６のピン３６ｂ）を支点にして、上方に向かって上記開き位置まで回動させることによって、エンジン１を上方から視認可能な状態にすることができる。これにより、シリンダヘッド側保温カバー３０全体を車体から取り外すことなく、エンジン１のメンテナンスを行うことができる。また、メンテナンスの終了後には、上部シリンダヘッド側保温カバー３３を、ヒンジ機構３６（ピン３６ｂ）を支点にして、下方に向かって回動させることで、再度シリンダヘッド側保温カバー３０（厳密には、上部シリンダヘッド側保温カバー３３）でエンジン１を覆うことができる。この結果、エンジン１のメンテナンスの作業効率を向上させることができる。また、シリンダヘッド側保温カバー３０に、メンテナンス用の開口等を設ける必要がないため、シリンダヘッド側保温カバー３０の保温性能が低下することもない。したがって、シリンダヘッド側保温カバー３０の保温性能を低下させることなく、エンジン１のメンテナンスの作業効率を向上させることができる。

　また、上部シリンダヘッド側保温カバー３３を下部シリンダヘッド側保温カバー３４から取り外し可能にするとともに、上部シリンダヘッド側保温カバー３３を、ヒンジ機構３６を支点にして回動可能に構成する一方、下部シリンダヘッド側保温カバー３４を上下に動かないように固定しているため、シリンダヘッド側保温カバー３０を開閉させるために必要なスペース、具体的には、第１の側壁部３２の車両前側の端部とラジエータシュラウド６０との間のスペース６２を狭くすることができる。

　すなわち、シリンダヘッド側保温カバー３０における上記回動部を、ヒンジ機構３６を支点にして、回動させる時には、上記回動部における車両前側の下端部が、上記閉じ位置におけるシリンダヘッド側保温カバー３０の車両前側の端部よりも、車両前側にはみ出すため、シリンダヘッド側保温カバー３０の車両前側の端部よりも車両前側に、上記回動部における車両前側の下端部がはみ出す分のスペースを設けておく必要がある。仮に、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とが一体であったとすると、図６に破線で示すように、シリンダヘッド側保温カバー３０の車両前側の下端部が、車両前側にはみ出す量が比較的多くなる。そのため、シリンダヘッド側保温カバー３０の車両前側の端部とラジエータシュラウド６０との間に比較的大きなスペース６２を設けておかなければ、シリンダヘッド側保温カバー３０がラジエータシュラウド６０に当接してしまい、シリンダヘッド側保温カバー３０の回動範囲が狭くなってしまう。

　これに対し、本実施形態のように、シリンダヘッド側保温カバー３０が、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とに上下に分割され、上部シリンダヘッド側保温カバー３３が上記回動部として構成されていると、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の上下方向の大きさは、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とが一体のときよりも小さくなる。これにより、図６に一点鎖線で示すように、上部シリンダヘッド側保温カバー３３を、ヒンジ機構３６を支点に回動させる時に、上部シリンダヘッド側保温カバー３３における車両前側の下端部が、上記閉じ位置におけるシリンダヘッド側保温カバー３０の車両前側の端部よりも、車両前側にはみ出す量が、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とが一体のときよりも少なくなる。これにより、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の車両前側の端部とラジエータシュラウド６０との間に設けるスペース６２を比較的狭くしたとしても、上部シリンダヘッド側保温カバー３３とラジエータシュラウド６０とが当接しないため、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の回動範囲が狭くなることがない。この結果、シリンダヘッド側保温カバー３０の車両前側の端部とラジエータシュラウド６０との間に設けるスペース６２を狭くすることができ、コンパクトな構成にすることができる。

　さらに、本実施形態のように、上側側壁部３２ａの上下方向の大きさを、シリンダヘッド２における車幅方向の両側側面の上部を覆う程度の大きさにしておくと、図５に示すように、上部シリンダヘッド側保温カバー３３を上記開き位置まで回動させることで、車両側方が上側側壁部３２ａによって遮蔽されない状態とすることができる。これにより、車両側方からも作業を行うことができるようになり、エンジン１のメンテナンスの作業効率がより向上される。

　また、上述したように、本実施形態では、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の下部は、上部シリンダヘッド側保温カバー３３が上記閉じ位置に位置しているときには、下部シリンダヘッド側保温カバー３４におけるゴム部材３７に車両側方から当接するようになっている。これにより、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４との間に、車両前後方向全体に亘って、隙間が形成されなくなり、シリンダヘッド側保温カバー３０を、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とに分割したことによって、シリンダヘッド側保温カバー３０の保温性能が低下するのを確実に防止することができる。

　さらに、本実施形態では、ヒンジ機構３６が、カウルメンバ６１に固定され、前側支持部３５が、ラジエータシュラウド６０を介して車体部材に支持されているため、エンジン１の作動中において、ヒンジ機構３６に作用する振動と前側支持部３５に作用する振動とは、どちらも車体部材から伝達される振動になる。これにより、ヒンジ機構３６に作用する振動の大きさと前側支持部３５に作用する振動の大きさとが同程度になるため、ヒンジ機構３６及び前側支持部３５に作用する振動の大きさが互いに異なることによって、シリンダヘッド側保温カバー３０、詳しくは、上部シリンダヘッド側保温カバー３３に捻れが発生するのを防止することができる。この結果、シリンダヘッド側保温カバー３０（本実施形態では、上部シリンダヘッド側保温カバー３３）の耐久性を確保することができる。また、一般に、エンジン１の作動時における車体部材の振動は、エンジン１の振動と比較して小さいため、ヒンジ機構３６及び前側支持部３５をともに車体部材に支持された状態にすることによって、ヒンジ機構３６及び前側支持部３５の耐久性を確保しやすくなる。

　本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。

　例えば、上述の実施形態では、シリンダヘッド側保温カバー３０は、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とに分割されていたが、これに限らず、上部シリンダヘッド側保温カバー３３と下部シリンダヘッド側保温カバー３４とが一体となっていてもよい。この場合、上述したように、シリンダヘッド側保温カバー３０の回動範囲を広くするには、シリンダヘッド側保温カバー３０の車両前側の端部とラジエータシュラウド６０との間に、シリンダヘッド側保温カバー３０全体を、上記閉じ位置と上記開き位置との間で回動可能にする程度のスペースを設ける必要がある。

　また、上述の実施形態では、シリンダブロック側保温カバー４０における第２の側壁部４３は、シリンダブロック３における車幅方向の両側側面と略密着していたが、これに限らず、第２の側壁部４３が第１の側壁部３２よりも車幅方向内側に位置していれば、第２の側壁部４３とシリンダブロック３における車幅方向の両側側面との間に間隔が空いていてもよい。このとき、第２の側壁部４３とシリンダブロック３における車幅方向の両側側面との間の間隔は、第１の側壁部３２とシリンダヘッド２及びシリンダブロック３における車幅方向の両側側面との間の間隔よりも狭い間隔となる。

　さらに、上述の実施形態では、上部シリンダヘッド側保温カバー３３は、上記閉じ位置において、下部シリンダヘッド側保温カバー３４のゴム部材３７に車両側方から当接するようになっていたが、これに限らず、上部シリンダヘッド側保温カバー３３の下端部と下部シリンダヘッド側保温カバー３４の上端部との間に隙間が形成されなければ、上部シリンダヘッドカバー３３の下端部と下部シリンダヘッド側保温カバー３４の上端部とが上下に直接当接するような構成であってもよい。また、下部シリンダヘッド側保温カバー３４は上部シリンダヘッド側保温カバー３３よりも車幅方向外側に位置していたが、上部シリンダヘッド側保温カバー３３よりも車幅方向内側に位置していてもよい。

　また、上述の実施形態では、横置きエンジンを対象としていたが、これに限らず、実施形態に係る保温カバーの取付構造を、気筒列方向が車両前後方向を向いた縦置きエンジンに適用してもよく、気筒がＶ字をなすように配置されたＶ型エンジンに適用してもよい。

　上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。

　本発明は、車両の前部に設けられたエンジンルーム内に配設されたエンジンを保温するための保温カバーであって、該エンジンを上方から覆う保温カバーの取付構造として有用である。

　１　エンジン
３０　シリンダヘッド側保温カバー（保温カバー）
３１　上壁部
３２　第１の側壁部（側壁部）
３２ａ　上側側壁部（側壁部の上部）
３２ｂ　下側側壁部（側壁部の下部）
３３　上部シリンダヘッド側保温カバー（上側保温カバー）
３４　下部シリンダヘッド側保温カバー（下側保温カバー）
３５　前側支持部
３６　ヒンジ機構（後側支持部）
６０　ラジエータシュラウド
６１　カウルメンバ
８０　ボンネット

Claims

　車両の前部にありかつボンネットで開閉されるエンジンルーム内に収容されたエンジンを保温するための保温カバーの取付構造であって、
　上記保温カバーは、
　　上記エンジンの上側の面であるエンジン上面の全体を、該エンジン上面に対して上下方向に間隔を空けて覆う上壁部と、
　　上記上壁部と一体に形成されかつ上記エンジンにおける車幅方向の両側側面の上部を、該両側側面の上部に対して車幅方向に間隔を空けてそれぞれ覆う側壁部とを有し、
　上記保温カバーの車両後側の部分に設けられ、上記上壁部の全体を含む、上記保温カバーの上部を、上下に回動可能に支持する後側支持部と、を備え、
　上記上壁部の全体を含む、上記保温カバーの少なくとも一部は、上記エンジンを上方から遮蔽する閉じ位置と、上記エンジンの上記エンジン上面を、車両前側かつ上側から視認可能な開き位置との間を、上記後側支持部を支点にして回動可能に構成された回動部であることを特徴とする保温カバーの取付構造。
　請求項１に記載の保温カバーの取付構造において、
　上記保温カバーは、上記上壁部及び上記側壁部の上部を含む上側保温カバーと上記側壁部の下部を含む下側保温カバーとによって構成されかつ上記上側保温カバーが上記下側保温カバーに対して取り外し可能に構成されており、
　上記下側保温カバーは、上記車両の車体に取り付けられ、
　上記上側保温カバーは、上記後側支持部を介して上記車体に取り付けられるとともに、上記回動部として構成されていて、
　上記上側保温カバーが上記閉じ位置に位置しているときには、上記上側保温カバーは、上記上側保温カバーの下端部と上記下側保温カバーの上端部との間に隙間が形成されないように、上記下側保温カバーと当接することを特徴とする保温カバーの取付構造。
　請求項１又は２に記載の保温カバーの取付構造において、
　上記エンジンルーム内において上記保温カバーよりも車両後側に配置されたカウルメンバをさらに備え、
　上記後側支持部は、上記カウルメンバに取り付けられていることを特徴とする保温カバーの取付構造。
　請求項３に記載の保温カバーの取付構造において、
　上記保温カバーよりも車両前側に配設されたラジエータシュラウドをさらに備え、
　上記回動部は、該回動部が上記閉じ位置に位置しているときに、上記ラジエータシュラウドの上部に支持されることを特徴とする保温カバーの取付構造。