WO2017163420A1 - 搬送装置及び格納装置 - Google Patents

Abstract

磁性体を含む棒状部材（２Ａ）と、棒状部材（２Ａ）を覆う非磁性体からなるカバー（２０Ａ）と、棒状部材（２Ａ）の一方の端部が挿入される第１の末端部材（２２Ａ）と、棒状部材（２Ａ）の他方の端部が挿入される第２の末端部材（２３Ａ）と、第１の末端部材（２２Ａ）に接続され、棒状部材（２Ａ）の中心軸の周りに棒状部材（２Ａ）を回転させる駆動装置（４Ａ）と、を備え、棒状部材（２Ａ）と第１の末端部材（２２Ａ）とが固着しており、カバー（２０Ａ）と第１の末端部材（２２Ａ）とが固着しており、棒状部材（２Ａ）と第２の末端部材（２３Ａ）とが固着しておらず、カバー（２０Ａ）と第２の末端部材（２３Ａ）とが固着している、搬送装置。

Description

搬送装置及び格納装置

　本発明は搬送技術に関し、特に搬送装置及び格納装置に関する。

　磁気ネジを用いた搬送装置においては、磁性体からなる雄ネジを回転させることにより、磁性体からなるナットを雄ネジの中心軸方向に移動させる。磁性体からなる雄ネジには、ナットの円滑な移動のため、あるいは雄ネジの腐食防止のために、非磁性体からなる円筒状のカバーで覆われることがある（例えば、特許文献１参照。）。

特許第２９３７８８３号

　磁性体からなる雄ネジの両端には、非磁性体からなる心棒が接続され、さらに一方の心棒に、雄ネジを回転させるための駆動装置が接続されることがある。ここで、磁性体からなる雄ネジの熱による伸縮率と、非磁性体からなるカバーや心棒の熱による伸縮率と、は、異なる。そのため、雄ネジと、カバーや心棒と、を、完全に固着させると、熱による伸縮率の違いにより応力が発生し、歪みや破損が生じる。そこで一方の雄ねじ、心棒、カバーを固着し、他方を自由にして熱による応力を緩和させることがあるが、駆動装置に接続される側の軸端を自由にし、他方を固着させるとカバーのねじれにより雄ネジ等の棒状部材と雌ネジ等の対向部材の相対位置の位置決め精度が損なわれる場合があることを本発明者らは見出した。そこで、本発明は、可動部の位置決め精度を損なわずに、熱伸縮により生じうる応力を緩和可能な、搬送装置及び格納装置を提供することを目的の一つとする。

　本発明の態様によれば、（ａ）磁性体を含む棒状部材と、（ｂ）棒状部材を覆う非磁性体からなるカバーと、（ｃ）棒状部材の一方の端部が挿入される第１の末端部材と、（ｄ）棒状部材の他方の端部が挿入される第２の末端部材と、（ｅ）第１の末端部材に接続され、棒状部材の中心軸の周りに棒状部材を回転させる駆動装置と、を備え、（ｆ）棒状部材と第１の末端部材とが固着しており、（ｇ）カバーと第１の末端部材とが固着しており、（ｈ）棒状部材と第２の末端部材とが固着しておらず、（ｉ）カバーと第２の末端部材とが固着している、搬送装置が提供される。

　上記の搬送装置において、棒状部材の他方の端部が挿入される凹部が第２の末端部材に設けられており、棒状部材の他方の端部の挿入深さが、第２の末端部材の凹部の深さより浅く、第２の末端部材の凹部を囲む端面が、棒状部材と接触しなくともよい。

　上記の搬送装置において、棒状部材と第１の末端部材とが溶接により固着していてもよい。棒状部材と第１の末端部材とが締結ピンにより固着していてもよい。棒状部材と第２の末端部材とがキーを介して接触していてもよい。

　上記の搬送装置において、第１の末端部材と、第２の末端部材と、が、非磁性体からなっていてもよい。

　上記の搬送装置において、カバーと第１の末端部材とが溶接により固着していてもよい。カバーと第２の末端部材とが溶接により固着していてもよい。

　上記の搬送装置が、第１の末端部材の荷重を受ける第１の軸受と、第２の末端部材の荷重を受ける第２の軸受と、をさらに備えていてもよい。上記の搬送装置が、棒状部材の側面の一部と対向し、磁性体を含む対向部材をさらに備え、駆動装置が棒状部材を回転させると、対向部材が棒状部材の中心軸に沿って移動してもよい。

　また、本発明の態様によれば、（ａ）物品を格納する格納庫と、（ｂ）磁性体を含む棒状部材と、（ｃ）棒状部材を覆う非磁性体からなるカバーと、（ｄ）棒状部材の一方の端部が挿入される第１の末端部材と、（ｅ）棒状部材の他方の端部が挿入される第２の末端部材と、（ｆ）棒状部材の側面の一部と対向し、磁性体を含む対向部材と、（ｇ）第１の末端部材に接続され、棒状部材の中心軸の周りに棒状部材を回転させ、棒状部材と対向部材の相対位置を変化させる駆動装置と、（ｈ）棒状部材と対向部材の相対位置の変化に付随して格納庫内で移動し、物品に接触して物品を移動させる接触部材と、を備え、（ｉ）棒状部材と第１の末端部材とが固着しており、（ｊ）カバーと第１の末端部材とが固着しており、（ｋ）棒状部材と第２の末端部材とが固着しておらず、（ｌ）カバーと第２の末端部材とが固着している、格納装置が提供される。

　上記の格納装置において、棒状部材の他方の端部が挿入される凹部が第２の末端部材に設けられており、棒状部材の他方の端部の挿入深さが、第２の末端部材の凹部の深さより浅く、第２の末端部材の凹部を囲む端面が、棒状部材と接触しなくてもよい。

　上記の格納装置において、第１の末端部材と、第２の末端部材と、が、非磁性体からなっていてもよい。

　上記の格納装置が、第１の末端部材の荷重を受ける第１の軸受と、第２の末端部材の荷重を受ける第２の軸受と、をさらに備えていてもよい。

　上記の格納装置において、駆動装置が格納庫の外部に配置されていてもよい。棒状部材、対向部材、及び接触部材が格納庫の内部に配置されていてもよい。

　上記の格納装置において、格納庫が、温度管理がなされる空間を有する温度管理炉であってもよい。

　本発明によれば、可動部の位置決め精度を損なわずに、熱伸縮により生じうる応力を緩和可能な、搬送装置及び格納装置を提供可能である。

本発明の実施の形態に係る格納装置の模式的上面図である。 本発明の実施の形態に係る搬送装置の模式的断面図である。 本発明の実施の形態に係る棒状部材と対向部材の模式的断面図である。 本発明の実施の形態に係る搬送装置の模式的断面図である。 本発明の実施の形態に係る搬送装置の模式的断面図である。 本発明の実施の形態の第１の変形例に係る搬送装置の模式的断面図である。 本発明の実施の形態の第１の変形例に係る搬送装置の模式的断面図である。 本発明の実施の形態の第２の変形例に係る搬送装置の模式的断面図である。 本発明の実施の形態の第２の変形例に係る搬送装置の模式的断面図である。 本発明の実施の形態の第２の変形例に係る棒状部材と対向部材の模式図である。 本発明の実施の形態の第２の変形例に係る棒状部材と対向部材の模式図である。

　以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。

　本発明の実施の形態に係る格納装置は、図１に示すように、物品５を格納する格納庫１と、物品５を搬送する搬送装置１５と、を備える。格納庫１は、例えば、物品５が配置され、温度管理がなされる空間を有する温度管理炉である。温度管理炉は、例えば、凍結乾燥炉である。格納庫１内には、例えば水平な棚板７が配置され、棚板７上に、凍結乾燥の対象となる物を含む物品５が配置される。物品５は、例えば医薬品が注入されたバイアルなどである。

　搬送装置１５は、磁性体を含む棒状部材２Ａ、２Ｂと、棒状部材２Ａを覆う非磁性体からなるカバー２０Ａと、棒状部材２Ｂを覆う非磁性体からなるカバーと、棒状部材２Ａ、２Ｂの側面の一部とそれぞれ対向し、磁性体を含む対向部材３Ａ、３Ｂと、中心軸の周りに棒状部材２Ａを回転させ、棒状部材２Ａと対向部材３Ａの相対位置を変化させる駆動装置４Ａと、中心軸の周りに棒状部材２Ｂを回転させ、棒状部材２Ｂと対向部材３Ｂの相対位置を変化させる駆動装置４Ｂと、棒状部材２Ａ、２Ｂと対向部材３Ａ、３Ｂの相対位置の変化に付随して格納庫１内で移動し、物品５に接触して物品５を移動させる接触部材６と、を備える。駆動装置４Ａ、４Ｂは、例えば、格納庫１の外部に配置されている。

　図２に示すように、搬送装置１５は、棒状部材２Ａの一方の端部が挿入される第１の末端部材２２Ａと、棒状部材２Ａの他方の端部が挿入される第２の末端部材２３Ａと、をさらに備える。駆動装置４Ａは、第１の末端部材２２Ａに接続され、第１の末端部材２２Ａを介して、棒状部材２Ａの中心軸の周りに棒状部材２Ａを回転させる。以下において、棒状部材２Ａ、２Ｂの駆動装置４Ａ、４Ｂに接続される側を駆動側、棒状部材２Ａ、２Ｂの駆動装置４Ａ、４Ｂに接続される側の反対側を反駆動側という場合がある。

　図３に示すように、棒状部材２Ａは磁性体を含む磁気ネジであり、外周面にらせん状にネジ山が設けられている。図４に示すように、棒状部材２Ａの一方の端部には突起８２Ａが設けられている。突起８２Ａの外形は円であり、棒状部材２Ａの本体より小さい外周を有する。突起８２Ａの中心軸と、棒状部材２Ａの本体の中心軸と、は、一致する。カバー２０Ａは、例えば、ステンレス鋼、アルミ、又は樹脂等からなる非磁性体の薄肉パイプである。棒状部材２Ａは、円筒形のカバー２０Ａに挿入されている。棒状部材２Ａの中心軸と、カバー２０Ａの中心軸と、は、一致する。棒状部材２Ａが回転すると、カバー２０Ａも棒状部材２Ａの中心軸の周りを回転する。

　第１の末端部材２２Ａは、内部に凹部８４Ａが設けられ、外径がカバー２０Ａと等しい部分を有する勘合部８６Ａと、勘合部８６Ａより外径が小さい、突起状の心棒部８８Ａと、を備える。勘合部８６Ａと心棒部８８Ａは一体化している。勘合部８６Ａと心棒部８８Ａの外形はそれぞれ円であり、勘合部８６Ａの外形の中心と、心棒部８８Ａの外形の中心と、は、同一線上にある。第１の末端部材２２Ａは、ステンレス鋼、アルミ、又は樹脂等の非磁性体からなる。

　第１の末端部材２２Ａの凹部８４Ａの断面形状は円であり、棒状部材２Ａの一方の端部の突起８２Ａの外径と同じ内径を有する。第１の末端部材２２Ａの凹部８４Ａに、棒状部材２Ａの一方の端部の突起８２Ａが挿入される。ここで、棒状部材２Ａの一方の端部の突起８２Ａの挿入深さは、第１の末端部材２２Ａの凹部８４Ａの深さより浅い。そのため、棒状部材２Ａの突起８２Ａの端面と、第１の末端部材２２Ａの凹部８４Ａの底面と、の間には空間がある。ここで、端面とは、棒状部材２Ａの中心軸に対して垂直な面であり、以下においても同様である。

　また、第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａには、カバー２０Ａの厚みと同じ高さの段が設けられている。段の部分の外形も円である。勘合部８６Ａの段で細くなっている部分の外径と、カバー２０Ａの内径は同じである。勘合部８６Ａの段で太くなっている部分の外径と、カバー２０Ａの外径は同じである。第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａの段で細くなっている部分が、カバー２０Ａの内側に挿入される。

　第２の末端部材２３Ａは、内部に凹部８５Ａが設けられ、外径がカバー２０Ａと等しい部分を有する勘合部８７Ａと、勘合部８７Ａより外径が小さい、突起状の心棒部８９Ａと、を備える。勘合部８７Ａと心棒部８９Ａは一体化している。勘合部８７Ａと心棒部８９Ａの外形はそれぞれ円であり、勘合部８７Ａの外形の中心と、心棒部８９Ａの外形の中心と、は、同一線上にある。第２の末端部材２３Ａは、ステンレス鋼、アルミ、又は樹脂等の非磁性体からなる。

　第２の末端部材２３Ａの凹部８５Ａの断面形状は円であり、棒状部材２Ａの他方の端部の外径と同じ内径を有する。第２の末端部材２３Ａの凹部８５Ａに、棒状部材２Ａの他方の端部が挿入される。ここで、棒状部材２Ａの他方の端部の挿入深さは、第２の末端部材２３Ａの凹部８５Ａの深さより浅い。そのため、棒状部材２Ａの他方の端部の端面と凹部８５Ａの底面との間には空間がある。また、第２の末端部材２３Ａの凹部８５Ａを囲む端面は、棒状部材２Ａと接触しない。

　また、第２の末端部材２３Ａの勘合部８７Ａには、カバー２０Ａの厚みと同じ高さの段が設けられている。段の部分の外形は円である。勘合部８７Ａの段で細くなっている部分の外径と、カバー２０Ａの内径は同じである。勘合部８７Ａの段で太くなっている部分の外径と、カバー２０Ａの外径は同じである。第２の末端部材２３Ａの勘合部８７Ａの段で細くなっている部分が、カバー２０Ａの内側に挿入される。

　搬送装置１５は、第１の末端部材２２Ａの心棒部８８Ａの荷重を受ける第１の軸受１２Ａと、第２の末端部材２３Ａの心棒部８９Ａの荷重を受ける第２の軸受１３Ａと、をさらに備える。駆動側において、第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａと心棒部８８Ａの段がなす端面と、第１の軸受１２Ａの端面と、が接するよう、第１の軸受１２Ａは軸受ナット５２Ａで締め付けられている。これにより、駆動側において、棒状部材２Ａの中心軸方向の伸縮によるずれが抑制される。

　一方、反駆動側において、第２の末端部材２３Ａの勘合部８７Ａの端面と、第２の軸受１３Ａの端面と、の間には間隔が設けられており、第２の軸受１２Ｂは軸受ナットで締め付けられていない。これにより、反駆動側において、棒状部材２Ａの中心軸方向の伸縮が許容される。

　図５に示すように、駆動側において、カバー２０Ａの端部と、第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａの段の部分と、が接する部分４２Ａが、溶接で固着されている。また、駆動側において、棒状部材２Ａの本体と突起８２Ａの段がなす端面と、第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａの凹部８４Ａを囲む端面と、が、接する部分４４Ａが、溶接で固着されている。駆動側において、端面同士で固着されているため、棒状部材２Ａの中心軸方向の伸縮によるずれが抑制される。

　一方、反駆動側において、カバー２０Ａの端部と、第２の末端部材２３Ａの勘合部８７Ａの段の部分と、が接する部分４３Ａが、溶接で固着されている。しかし、反駆動側において、棒状部材２Ａの他方の端部と、第２の末端部材２３Ａと、は、溶接等により固着されておらず、棒状部材２Ａと、第２の末端部材２３Ａと、は、摩擦力のみによって一体化している。また、棒状部材２Ａの端面と、第２の末端部材２３Ａの端面と、が、接触する部分がない。そのため、反駆動側においては、棒状部材２Ａの中心軸方向の伸縮が許容される。

　図１に示す格納庫１内に保持されている対向部材３Ａは磁性体を含む磁気ナットであり、棒状部材２Ａの外周より大きい内周の穴が設けられている。棒状部材２Ａは、ナット状の対向部材３Ａの穴を貫通している。図３に示すように、対向部材３Ａの穴の内周面には、Ｓ極着磁帯とＮ極着磁帯とが、交互にらせん状に設けられている。対向部材３Ａの着磁帯のピッチは、棒状部材２Ａのネジ山のピッチと略同一である。対向部材３Ａの内周面には、ブッシュ等のガイドリング３１、３２が設けられていてもよい。ガイドリング３１、３２のそれぞれの内周は、対向部材３Ａの内周よりも小さく、カバー２０Ａの外周面に接触する。これにより、棒状部材２Ａのネジ山と、対向部材３Ａの着磁帯と、の間に、一定の間隔が保たれる。ガイドリング３１、３２は、例えばフッ素樹脂等の摩擦係数の小さい材料からなる。

　図１に示すように、棒状部材２Ｂは、格納庫１内に、軸受１２Ｂ、１３Ｂによって、棒状部材２Ａと平行に保持されている。棒状部材２Ｂの構成は、棒状部材２Ａと同様であり、カバーで覆われ、一方の端部に第１の末端部材が接続されており、他方の端部に第２の末端部材が接続される。棒状部材２Ｂは、棒状部材２Ａと同様に、駆動側において、第１の末端部材と溶接により固着されるが、反駆動側においては、棒状部材２Ｂと第２の末端部材とは溶接等により固着されていない。

　また、格納庫１内に保持されている対向部材３Ｂの構成は、対向部材３Ａと同様である。格納庫１内に保持されている接触部材６は板状の部材であり、棚板７表面に対して略垂直になるよう、対向部材３Ａと、対向部材３Ｂと、の間に固定されている。

　駆動装置４Ａ、４Ｂは、例えば回転モータを含み、格納庫１の温度管理がなされる空間の外部に配置されている。駆動装置４Ａ、４Ｂは、格納庫１の筐体の外部に配置されていてもよいし、格納庫１の筐体の内部かつ温度管理がなされる空間の外部に配置されていてもよい。駆動装置４Ａ、４Ｂは、発生しうるダスト等の拡散を防止するシールド等によって覆われていてもよい。駆動装置４Ａと棒状部材２Ａとは、例えば格納庫１の側壁を貫通する第１の末端部材２２Ａの心棒部８８Ａを介して接続されている。また、駆動装置４Ｂと棒状部材２Ｂとは、例えば格納庫１の側壁を貫通する心棒部８８Ｂを介して接続されている。心棒部８８Ａ、８８Ｂが貫通する格納庫１の側壁の穴には、例えばオイルシール等の密封部材等が設けられている。

　駆動装置４Ａ、４Ｂは、同期して、棒状部材２Ａ、２Ｂを回転させる。駆動装置４Ａが棒状部材２Ａを回転させると、棒状部材２Ａのネジ山と対向部材３Ａの着磁帯との間に磁力が働く。対向部材３Ａは、接触部材６及び対向部材３Ｂに固定されており、回転することができない。そのため、棒状部材２Ａを回転させると、対向部材３Ａは、棒状部材２Ａの中心軸に沿って移動する。例えば、駆動装置４Ａの駆動電流と、対向部材３Ａの位置と、の予め取得された関係に応じて、対向部材３Ａは所望の位置に移動させられる。また、駆動装置４Ｂが棒状部材２Ｂを回転させると、棒状部材２Ｂのネジ山と対向部材３Ｂの着磁帯との間に磁力が働き、対向部材３Ｂが棒状部材２Ｂの中心軸に沿って移動する。対向部材３Ａ、３Ｂの移動に伴い、対向部材３Ａ、３Ｂの間に固定された接触部材６も、棚板７上を棒状部材２Ａ、２Ｂの中心軸に沿って移動する。棚板７上に配置された物品５は、接触部材６に押されて、棚板７上を移動する。さらには、物品５は、格納庫１の扉から格納庫１の外部に押し出されてもよい。

　以上説明した実施の形態に係る搬送装置１５においては、磁性体を含む棒状部材２Ａの熱による伸縮率と、非磁性体からなるカバー２０Ａ、第１の末端部材２２Ａ、及び第２の末端部材２３Ａの熱による伸縮率と、が異なるが、反駆動側において、棒状部材２Ａの伸縮が許容されるため、熱による伸縮率の違いにより生じうる応力を緩和することが可能となる。そのため、実施の形態に係る搬送装置１５は、温度変化の大きい環境下でも使用可能である。

　また、仮に、駆動側において、棒状部材２０Ａと第１の末端部材２２Ａとが固着しておらず、カバー２０Ａと第１の末端部材２２Ａとが固着しており、棒状部材２０Ａと第２の末端部材２３Ａとが固着しており、カバー２０Ａと第２の末端部材２３Ａとが固着している場合、駆動側において、棒状部材２Ａの伸縮が許容されるものの、駆動装置４Ａの回転トルクは、カバー２０Ａを介して棒状部材２０Ａに伝達される。そのため、カバー２０Ａにねじれが生じ、棒状部材２０Ａの回転角度にもずれが生じる。そのため、対向部材３Ａの位置決め精度が低下し得る。

　これに対し、実施の形態に係る搬送装置１５においては、駆動側において、棒状部材２Ａと、カバー２０Ａと、第１の末端部材２２Ａと、を溶接により固着することにより、駆動装置４Ａの回転トルクを損なうことなく、棒状部材２Ａに伝達することが可能となる。そのため、熱応力を緩和しつつ、対向部材３Ａの位置決め精度の低下を抑制することが可能である。棒状部材２Ｂ及び対向部材３Ｂについても同様である。

　また、以上説明した実施の形態に係る格納装置においては、棒状部材２Ａ、２Ｂと対向部材３Ａ、３Ｂとの間は、磁力によって非接触で駆動伝達がなされる。したがって、棒状部材２Ａ、２Ｂと対向部材３Ａ、３Ｂとの間で駆動伝達がなされる際に、熱やダストが発生しにくい。そのため、棒状部材２Ａ、２Ｂと対向部材３Ａ、３Ｂが格納庫１の温度管理がなされる空間内に配置されていても、温度管理がなされる空間内における発熱の影響を抑制し、かつ温度管理がなされる空間を清潔に保つことが可能である。

　さらに、駆動装置４Ａ、４Ｂが格納庫１の温度管理がなされる空間の外部に配置されているため、仮に駆動装置４Ａ、４Ｂでダストが発生しても、格納庫１の温度管理がなされる空間内にダストが侵入しにくい。また、仮に駆動装置が温度管理炉内部に配置されると、発熱した駆動装置によって、凍結乾燥炉等の温度管理炉内部において温度分布のムラが生じうる。この場合、温度管理炉内部に配置された複数の物品の品質にムラが生じうる。これに対し、実施の形態に係る格納装置においては、駆動装置４Ａ、４Ｂが格納庫１の温度管理がなされる空間の外部に配置されているため、格納庫１内部において温度ムラが生じにくい。

　またさらに、実施の形態に係る格納装置においては、接触部材６を移動させる際に、棒状部材２Ａ、２Ｂが格納庫１の外部に出ない。そのため、棒状部材２Ａ、２Ｂが格納庫１外部から格納庫１内部に異物を引き込むことがない。したがって、実施の形態に係る格納装置は、格納庫１内部を清潔に保ち、かつ、格納庫１内部の温度ムラを抑制することが可能である。

　（第１の変形例）
　図５では、駆動側において、棒状部材２Ａと、第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａと、が接する部分４４Ａが、溶接で固着されている例を説明したが、固着する方法は、溶接に限られない。例えば、図６に示すように、駆動側において、棒状部材２Ａと、第１の末端部材２２Ａと、が、締結ピン６２Ａにより固着されていてもよい。図７に示すように、棒状部材２Ａの一方の端部の突起８２Ａに貫通孔を設け、かつ、第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａにも貫通孔を設けて、棒状部材２Ａの突起８２Ａの貫通孔と第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａの貫通孔の両方を貫通するように、締結ピン６２Ａを差し込むことにより、棒状部材２Ａの中心軸方向の伸縮によるずれが抑制される。この場合も、駆動側において、カバー２０Ａと、第１の末端部材２２Ａの勘合部８６Ａと、が接する部分が、溶接で固着されていてもよい。

　また、図６に示すように、反駆動側において、棒状部材２Ａと、第２の末端部材２３Ａと、がキー６３Ａを介して接していてもよい。例えば、図７に示すように、キー６３Ａは、棒状部材２Ａの他方の端部に設けられたキー溝にはめ込まれる。反駆動側において、キー６３Ａは、棒状部材２Ａが回転する際に、第２の末端部材２３Ａが滑ることを抑制するが、棒状部材２Ａの中心軸方向の伸縮は許容する。この場合も、反駆動側において、カバー２０Ａと、第２の末端部材２３Ａの勘合部８７Ａと、が接する部分が、溶接で固着されていてもよい。

　（第２の変形例）
　図２から図７では、ネジ山が設けられた棒状部材２Ａを示した。これに対し、図８及び図９に示すように、棒状部材２Ａには、外周面にＳ極着磁帯とＮ極着磁帯とが、交互にらせん状に設けられていてもよい。図１０に示す棒状部材２Ａの着磁帯のピッチは、対向部材３Ａの着磁帯のピッチと略同一である。棒状部材２Ａを回転させると、棒状部材２Ａの着磁帯と対向部材３Ａの着磁帯との間に磁力が働き、対向部材３Ａが移動する。

　あるいは、図１１に示すように、対向部材３Ａが、ネジ山が設けられた磁性体であってもよい。対向部材３Ａのネジ山が設けられた穴の表面は、非磁性体の薄肉パイプ３０Ａで覆われていてもよい。これにより、対向部材３Ａのネジ溝に異物が付着することを防止することが可能となる。棒状部材２Ａの構成は、図１０と同様である。図１１に示す対向部材３Ａのネジ山のピッチは、棒状部材２Ａの着磁帯のピッチと略同一である。棒状部材２Ａを回転させると、棒状部材２Ａの着磁帯と対向部材３Ａのネジ山との間に磁力が働き、対向部材３Ａが移動する。

　（その他の実施の形態）
　上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、対向部材の形状はナット状に限定されず、例えば凹状であってもよい。この場合、棒状部材は、凹状の対向部材の凹部を通る。凹状の対向部材の凹部側面には、Ｓ極着磁帯とＮ極着磁帯とが、交互に設けられている。また、格納庫は、滅菌処理炉や発酵炉であってもよく、温度管理がなされない格納庫であってもよい。さらに、格納庫内外に搬送される物品は医薬品を含むことに限定されず、食品、飲料、及び精密部品等でもよいし、その他、あらゆる物品を含む。またさらに、搬送装置は、必ずしも格納庫と組み合わされる必要はない。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。

１     格納庫
２Ａ、２Ｂ    棒状部材
３Ａ、３Ｂ    対向部材
４Ａ、４Ｂ    駆動装置
５     物品
６     接触部材
７     棚板
１２Ａ、１２Ｂ、１３Ａ、１３Ｂ     軸受
１５   搬送装置
２０Ａ カバー
２２Ａ 第１の末端部材
２３Ａ 第２の末端部材
３０Ａ 薄肉パイプ
３１   ガイドリング
４２Ａ、４３Ａ、４４Ａ      溶接されている部分
５２Ａ 軸受ナット
６２Ａ 締結ピン
６３Ａ キー
８２Ａ 突起
８４Ａ、８５Ａ       凹部
８６Ａ、８７Ａ       勘合部
８８Ａ、８８Ｂ、８９Ａ      心棒部

Claims (17)

1. 　磁性体を含む棒状部材と、
   　前記棒状部材を覆う非磁性体からなるカバーと、
   　前記棒状部材の一方の端部が挿入される第１の末端部材と、
   　前記棒状部材の他方の端部が挿入される第２の末端部材と、
   　前記第１の末端部材に接続され、前記棒状部材の中心軸の周りに前記棒状部材を回転させる駆動装置と、
   　を備え、
   　前記棒状部材と前記第１の末端部材とが固着しており、
   　前記カバーと前記第１の末端部材とが固着しており、
   　前記棒状部材と前記第２の末端部材とが固着しておらず、
   　前記カバーと前記第２の末端部材とが固着している、
   　搬送装置。
2. 　前記棒状部材の他方の端部が挿入される凹部が前記第２の末端部材に設けられており、
   　前記棒状部材の他方の端部の挿入深さが、前記第２の末端部材の凹部の深さより浅く、
   　前記第２の末端部材の凹部を囲む端面が、前記棒状部材と接触しない、
   　請求項１に記載の搬送装置。
3. 　前記棒状部材と前記第１の末端部材とが溶接により固着している、請求項１又は２に記載の搬送装置。
4. 　前記棒状部材と前記第１の末端部材とが締結ピンにより固着している、請求項１又は２に記載の搬送装置。
5. 　前記棒状部材と前記第２の末端部材とがキーを介して接触している、請求項１から４のいずれか１項に記載の搬送装置。
6. 　前記第１の末端部材と、前記第２の末端部材と、が、非磁性体からなる、請求項１から５のいずれか１項に記載の搬送装置。
7. 　前記カバーと前記第１の末端部材とが溶接により固着している、請求項１から６のいずれか１項に記載の搬送装置。
8. 　前記カバーと前記第２の末端部材とが溶接により固着している、請求項１から７のいずれか１項に記載の搬送装置。
9. 　前記第１の末端部材の荷重を受ける第１の軸受と、前記第２の末端部材の荷重を受ける第２の軸受と、を更に備える、請求項１から８のいずれか１項に記載の搬送装置。
10. 　前記棒状部材の側面の一部と対向し、磁性体を含む対向部材を更に備え、
    　前記駆動装置が前記棒状部材を回転させると、前記対向部材が前記棒状部材の中心軸に沿って移動する、
    　請求項１から９のいずれか１項に記載の搬送装置。
11. 　物品を格納する格納庫と、
    　磁性体を含む棒状部材と、
    　前記棒状部材を覆う非磁性体からなるカバーと、
    　前記棒状部材の一方の端部が挿入される第１の末端部材と、
    　前記棒状部材の他方の端部が挿入される第２の末端部材と、
    　前記棒状部材の側面の一部と対向し、磁性体を含む対向部材と、
    　前記第１の末端部材に接続され、前記棒状部材の中心軸の周りに前記棒状部材を回転させ、前記棒状部材と前記対向部材の相対位置を変化させる駆動装置と、
    　前記棒状部材と前記対向部材の相対位置の変化に付随して前記格納庫内で移動し、前記物品に接触して前記物品を移動させる接触部材と、
    　を備え、
    　前記棒状部材と前記第１の末端部材とが固着しており、
    　前記カバーと前記第１の末端部材とが固着しており、
    　前記棒状部材と前記第２の末端部材とが固着しておらず、
    　前記カバーと前記第２の末端部材とが固着している、
    　格納装置。
12. 　前記棒状部材の他方の端部が挿入される凹部が前記第２の末端部材に設けられており、
    　前記棒状部材の他方の端部の挿入深さが、前記第２の末端部材の凹部の深さより浅く、
    　前記第２の末端部材の凹部を囲む端面が、前記棒状部材と接触しない、
    　請求項１１に記載の格納装置。
13. 　前記第１の末端部材と、前記第２の末端部材と、が、非磁性体からなる、請求項１１又は１２に記載の格納装置。
14. 　前記第１の末端部材の荷重を受ける第１の軸受と、前記第２の末端部材の荷重を受ける第２の軸受と、を更に備える、請求項１１から１３のいずれか１項に記載の格納装置。
15. 　前記駆動装置が前記格納庫の外部に配置されている、請求項１１から１４のいずれか１項に記載の格納装置。
16. 　前記棒状部材、前記対向部材、及び前記接触部材が前記格納庫の内部に配置されている、請求項１１から１５のいずれか１項に記載の格納装置。
17. 　前記格納庫が、温度管理がなされる空間を有する温度管理炉である、請求項１１から１６のいずれか１項に記載の格納装置。
     
     

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