WO2017061302A1

WO2017061302A1 - 電磁ブレーキ付き車両用モータ

Info

Publication number: WO2017061302A1
Application number: PCT/JP2016/078391
Authority: WO
Inventors: 雄三平井
Original assignee: 株式会社豊田自動織機
Priority date: 2015-10-09
Filing date: 2016-09-27
Publication date: 2017-04-13
Also published as: JP2017073949A

Abstract

電磁ブレーキ付き車両用モータは、駆動用モータと駆動用モータの回転軸と電磁ブレーキとモータケースとブレーキステータと固定板とブレーキアーマチャと付勢部材とブレーキロータと位置決め凸部と位置決め部材とシール部材とを含む。電磁ブレーキ及びブレーキステータは駆動用モータに対して負荷と反対側に配設される。ブレーキステータはモータケースに固定されている。ブレーキステータの内周部には位置決め凹部が凹設されている。付勢部材はブレーキアーマチャを付勢する。ブレーキロータは回転軸と一体回転する。位置決め凸部はモータケースから突出している。位置決め部材は位置決め凸部を取り囲む環状でありブレーキステータの位置決め凹部に隙間嵌めされている。シール部材は位置決め部材の端面と位置決め凹部の内底面との間をシールする。

Description

電磁ブレーキ付き車両用モータ

　本発明は、電磁ブレーキ付き車両用モータに関する。

　フォークリフトとしては、車両用モータを搭載したものがあり、車両用モータは、フォークリフトを駆動させる駆動用モータと、駆動用モータの回転をロックする電磁ブレーキとを備え、電磁ブレーキはフォークリフトのパーキングブレーキとして機能する。

　図４に示すように、例えば、特許文献１に開示の車両用モータ８０において、電磁ブレーキ８１は、駆動用モータ８２に対して負荷と反対側に配置されている。車両用モータ８０は、駆動用モータ８２を囲むモータケース８３を備える。電磁ブレーキ８１は、負荷と反対側のモータケース８３の部位に固定されかつ電磁コイル８４ａを有するブレーキステータ８４を有する。また、電磁ブレーキ８１は、ブレーキステータ８４に固定された固定板８５と、ブレーキステータ８４と固定板８５との間に配設されたブレーキアーマチャ８６と、を有する。また、電磁ブレーキ８１は、ブレーキアーマチャ８６をブレーキステータ８４から離間する方向に付勢する付勢部材（図示せず）と、駆動用モータ８２の回転軸８２ａと一体回転しかつブレーキアーマチャ８６と固定板８５との間に配設されたブレーキロータ８７と、を有する。

　そして、フォークリフトの停止時には、付勢部材の付勢力によってブレーキアーマチャ８６がブレーキロータ８７に押し付けられ、電磁ブレーキ８１が作動する。一方、フォークリフトの停止時以外は、ブレーキステータ８４を励磁させることで、付勢部材の付勢力に抗してブレーキアーマチャ８６がブレーキステータ８４に引き寄せられ、ブレーキアーマチャ８６がブレーキロータ８７から離間する。その結果、駆動用モータ８２の回転軸８２ａが回転自在となる。

　ところで、フォークリフト用の車両用モータには、被水しても駆動用モータ８２及び電磁ブレーキ８１に浸水するのを抑制するための構成が設けられている。特許文献１の車両用モータ８０は、電磁ブレーキ８１を囲む電磁ブレーキケース８８と、その電磁ブレーキケース８８の開口部を閉塞する電磁ブレーキケースカバー８９とを有する。そして、電磁ブレーキケース８８及び電磁ブレーキケースカバー８９は、これらで囲まれた空間内への浸水を抑制している。

　また、電磁ブレーキケース８８は、モータケース８３へのブレーキステータ８４のボルト固定と共にモータケース８３に固定されており、電磁ブレーキケース８８とモータケース８３との間にはＯリング９０が介在されている。そして、このＯリング９０によって、電磁ブレーキケース８８及びモータケース８３におけるボルト貫通部がシールされている。

　ところで、電磁ブレーキの駆動用モータへの組付け方法には、ブレーキステータと、固定板と、ブレーキアーマチャと、ブレーキロータとを予め一体化してブレーキアッシーを組み立てておく方法が採用される場合がある。このようにすることで、固定板と、ブレーキステータと、ブレーキアーマチャと、ブレーキロータとを予め芯合わせしておくことができる。そして、このブレーキアッシーを回転軸に固定する際、ブレーキアッシーと回転軸とを芯合わせして固定することで、全体の芯合わせがされる。さらに、ブレーキアッシーの芯合わせを容易に行うために、芯合わせ用の位置決め部材を車両用モータのモータケースに固定する場合がある。

　位置決め部材は例えば円環状であり、モータケースの凸部を取り囲む状態でモータケースに固定される。モータケースの凸部は、モータケースから突出した回転軸の突出部を囲むようにモータケースから突設している。ブレーキアッシーの一部であるブレーキステータの内周部には位置決め凹部が設けられている。位置決め部材が凸部によって径方向に関し位置決めされた状態で、その位置決め部材を取り囲むように、ブレーキステータの位置決め凹部に位置決め部材が隙間嵌めされる。すると、位置決め凹部の内周面と、位置決め部材の外周縁との接触によって、ブレーキステータが径方向に位置決めされる。その結果、位置決め部材により、ブレーキステータが回転軸に対し芯合わせされるとともに、ブレーキステータと一体のブレーキアッシーも回転軸と芯合わせされる。

特開２００３－２６４９５８号公報

　ところで、位置決め部材を使用した電磁ブレーキ付き車両用モータにおいて、ブレーキステータは、その位置決め凹部の内周面と、位置決め部材の外周縁との位置合わせによって位置決めされる。しかし、組付け性及び生産性の向上の観点から、位置決め凹部と位置決め部材とは無理嵌めではなく、隙間嵌めとなっている。このため、万一、電磁ブレーキ付き車両用モータが被水し、電磁ブレーキ付近が浸水してしまうと、位置決め凹部と位置決め部材との間から電磁ブレーキ内に水が進入して電磁ブレーキが浸水してしまう。そして、浸水した水がブレーキアーマチャの表面に付着すると、ブレーキアーマチャが錆び、停止時におけるブレーキアーマチャとブレーキロータの間の摩擦係数が変化し、ブレーキ性能が変わる虞がある。

　本発明の目的は、電磁ブレーキへの浸水を抑制することができる電磁ブレーキ付き車両用モータを提供することにある。

　上記目的を達成するため、本発明の一態様にかかる電磁ブレーキ付き車両用モータは、車両を駆動する駆動用モータと、前記駆動用モータの回転軸と、電磁ブレーキと、前記駆動用モータを囲むモータケースと、環状のブレーキステータと、固定板と、ブレーキアーマチャと、付勢部材と、ブレーキロータと、位置決め凸部と、位置決め部材と、シール部材と、を含む。前記電磁ブレーキは、前記駆動用モータに対して負荷と反対側に配設され、前記回転軸をロック可能とする。前記環状のブレーキステータは、前記駆動用モータに対して前記負荷と反対側に設けられる。前記環状のブレーキステータは前記モータケースから突出した前記回転軸の突出部を囲む状態で前記モータケースに固定されている。前記ブレーキステータの内周部には位置決め凹部が凹設されている。前記固定板は、前記回転軸の軸方向に沿って前記ブレーキステータと並ぶ状態で前記ブレーキステータに固定されている。前記ブレーキアーマチャは、前記軸方向における前記ブレーキステータと前記固定板との間に配設されている。前記付勢部材は、前記軸方向において前記ブレーキアーマチャを前記ブレーキステータから離間する方向に付勢する。前記ブレーキロータは、前記回転軸と一体回転し、かつ前記軸方向において前記ブレーキアーマチャと前記固定板との間に配設されている。前記位置決め凸部は、前記回転軸の前記突出部を囲む状態で前記モータケースから突出している。前記位置決め部材は、前記位置決め凸部を取り囲む環状であり、前記ブレーキステータの位置決め凹部に隙間嵌めされている。前記シール部材は、前記軸方向に並ぶ前記位置決め部材の端面と前記位置決め凹部の内底面との間をシールする。

本発明にかかる電磁ブレーキ付き車両用モータを示す分解斜視図。（ａ）は図１の電磁ブレーキ付き車両用モータを示す部分断面図、（ｂ）は図２（ａ）の位置決め部材とブレーキステータとシールリングを示す部分拡大断面図。図１のモータケースに位置決め部材を組付けた状態を示す斜視図。背景技術を示す図。

　以下、電磁ブレーキ付き車両用モータを具体化した一実施形態を図１～図３にしたがって説明する。
　図１又は図２（ａ）に示すように、車両としてのフォークリフト１０には電磁ブレーキ付き車両用モータ１１が搭載されている。電磁ブレーキ付き車両用モータ１１は、駆動用モータ１２と、駆動用モータ１２の回転軸１２ａをロック可能とする電磁ブレーキ３０とを備える。

　図２（ａ）に示すように、電磁ブレーキ付き車両用モータ１１は、モータケース１３を備え、このモータケース１３は駆動用モータ１２を囲む。駆動用モータ１２は回転軸１２ａを回転させる。図示しないが、回転軸１２ａの軸方向一端は負荷としてのフォークリフト１０に作動連結され、駆動用モータ１２は、回転軸１２ａの回転によりフォークリフト１０を駆動させる。

　一方、回転軸１２ａの軸方向他端は、フォークリフト１０と作動連結されず、駆動用モータ１２に対して負荷と反対側に位置する。そして、回転軸１２ａの軸方向他端は、モータケース１３のエンドカバー１３ａから突出している。エンドカバー１３ａの内周部にはベアリング１４が固定され、このベアリング１４は回転軸１２ａを回転可能に支持している。モータケース１３は、エンドカバー１３ａから突出している回転軸１２ａの突出部１２ｂを取り囲む位置決め凸部１３ｂを備える。位置決め凸部１３ｂは、円筒状である。

　図１に示すように、電磁ブレーキ付き車両用モータ１１は、位置決め凸部１３ｂを取り囲む状態でモータケース１３に固定された位置決め部材２０を備える。位置決め部材２０は、円環状及び板状である。位置決め部材２０は、厚み方向に貫通する貫通孔２１を複数備える。そして、位置決め部材２０は、貫通孔２１を貫通したボルト２２をモータケース１３に螺合することにより、モータケース１３に固定されている。

　図２（ａ）に示すように、電磁ブレーキ３０は、位置決め部材２０によって径方向への移動が規制された状態でモータケース１３に取り付けられている。電磁ブレーキ３０は、モータケース１３のエンドカバー１３ａに固定されたブレーキステータ３１を備える。ブレーキステータ３１は、位置決め部材２０によって径方向への移動が規制されている。ブレーキステータ３１は、中央に回転軸１２ａが貫通する貫通孔３１ｂを備える円筒状（円環状）である。ブレーキステータ３１は、電磁コイル３２を内蔵している。ブレーキステータ３１は、電磁コイル３２への通電により、励磁し、電磁コイル３２への通電を停止すると、非励磁となる。

　ブレーキステータ３１は、電磁コイル３２よりも外周側に複数の付勢部材３３を内蔵し、複数の付勢部材３３はコイルバネ製である。複数の付勢部材３３は、ブレーキステータ３１の周方向に沿って等間隔おきに配置されているとともに、各付勢部材３３の中心軸が回転軸１２ａの軸方向に沿って延びている状態でブレーキステータ３１に内蔵されている。

　電磁ブレーキ３０は、回転軸１２ａの軸方向においてブレーキステータ３１と対向するブレーキアーマチャ３４を備える。ブレーキアーマチャ３４は、円板状であり、中央部を回転軸１２ａが貫通している。ブレーキアーマチャ３４は、回転軸１２ａの軸方向に移動可能である。また、ブレーキステータ３１に内蔵の付勢部材３３の軸方向の一端はブレーキステータ３１に連結されている。付勢部材３３の軸方向の他端は、ブレーキステータ３１から突出するとともにブレーキアーマチャ３４に連結されている。付勢部材３３は、ブレーキアーマチャ３４を、回転軸１２ａの軸方向に沿ってブレーキステータ３１から離間する方向へ付勢する。

　そして、電磁コイル３２への通電によってブレーキステータ３１が励磁すると、ブレーキアーマチャ３４は、付勢部材３３の付勢力に抗してブレーキステータ３１に吸着される。電磁コイル３２への通電がなされず、ブレーキステータ３１が非励磁の場合は、付勢部材３３の付勢力により、ブレーキアーマチャ３４はブレーキステータ３１から離間する方向へ移動する。

　電磁ブレーキ３０は、ブレーキステータ３１に固定された固定板３６を備える。固定板３６は、回転軸１２ａの軸方向に沿ってブレーキステータ３１から一定距離離れた位置に配置され、ブレーキステータ３１と固定板３６は軸方向に並んでいる。固定板３６は円板状である。固定板３６は、該固定板３６、及びブレーキアーマチャ３４を貫通したボルト３６ａをブレーキステータ３１に螺合することで、ブレーキステータ３１に固定されている。ブレーキアーマチャ３４は、回転軸１２ａの軸方向において、ブレーキステータ３１と固定板３６の間に配設されている。

　電磁ブレーキ３０は、回転軸１２ａと一体回転するブレーキハブ３７を備え、このブレーキハブ３７にはブレーキロータ３８が固定されている。ブレーキロータ３８は円板状であり、回転軸１２ａの軸方向において、ブレーキアーマチャ３４と固定板３６の間に配設され、回転軸１２ａの軸方向に移動可能である。電磁ブレーキ３０は、電磁ブレーキ３０を固定板３６近傍から覆う防水カバー３９を備える。防水カバー３９は、蓋部３９ａと、蓋部３９ａの縁部に一体の円筒状の周壁部３９ｂとを有する。周壁部３９ｂは、固定板３６と、ブレーキロータ３８と、ブレーキアーマチャ３４を径方向外側から覆う。

　そして、上記構成の電磁ブレーキ３０では、電磁コイル３２が励磁されると、ブレーキアーマチャ３４がブレーキステータ３１に吸着され、ブレーキアーマチャ３４がブレーキロータ３８から離間し、ブレーキロータ３８の固定板３６への押し付けが解除される。その結果、回転軸１２ａが開放され、回転自在となる。

　一方、電磁コイル３２が励磁されない場合には、付勢部材３３によってブレーキアーマチャ３４がブレーキロータ３８に向けて押し付けられ、ブレーキロータ３８が固定板３６に押し付けられる。その結果、ブレーキロータ３８がブレーキアーマチャ３４と固定板３６とによって挟み込まれる。その結果、ブレーキアーマチャ３４とブレーキロータ３８との間で発生する摩擦力により回転軸１２ａがロックされ、パーキングブレーキが作動する。

　次に、位置決め部材２０とブレーキステータ３１との間をシールする構成について説明する。
　図２（ｂ）に示すように、ブレーキステータ３１において、回転軸１２ａの軸方向に沿ってモータケース１３に対峙する端面をモータ側端面３１ａとする。ブレーキステータ３１は、回転軸１２ａの軸方向に沿ってモータ側端面３１ａから凹む位置決め凹部４０を内周部に備える。位置決め凹部４０は、ブレーキステータ３１の貫通孔３１ｂを取り囲む。位置決め凹部４０の内底面４０ａは、ブレーキステータ３１のモータ側端面３１ａより後退した位置にある円環状である。また、位置決め凹部４０の内周面４０ｂは、位置決め凹部４０の内底面４０ａを取り囲む円筒状である。なお、位置決め部材２０において、モータケース１３のエンドカバー１３ａに接触する端面は第１面２０ａであり、第１面２０ａと平行な端面は第２面２０ｂである。そして、回転軸１２ａの軸方向に沿って、位置決め部材２０の第１面２０ａと、第２面２０ｂと、位置決め凹部４０の内底面４０ａが並んでいる。

　電磁ブレーキ付き車両用モータ１１は、回転軸１２ａの軸方向に沿った、ブレーキステータ３１と位置決め部材２０の間をシールするシール部材としてのシールリング４１を備える。シールリング４１は、ＥＰＤＭ混和物を半独立半連続状態で発泡させた高機能発泡体を主体とし、水密特性・気密特性を有する。シールリング４１の外径は、位置決め部材２０の外径と略同一であり、シールリング４１の内経は、位置決め部材２０の内径より大きい。また、シールリング４１は、厚み方向に沿う断面が矩形状である。

　そして、シールリング４１は、位置決め部材２０の第２面２０ｂのうち、位置決め凹部４０の内底面４０ａと対向する位置に接合されている。シールリング４１の外周縁と、位置決め部材２０の外周縁とは一致しており、第２面２０ｂの外周部がシールリング４１によって覆われている一方で、第２面２０ｂの内周部は露出している。

　シールリング４１は、ブレーキステータ３１のモータケース１３への固定に伴い、位置決め部材２０の第２面２０ｂと、位置決め凹部４０の内底面４０ａとの間に挟持され、この挟持によって厚み方向に押し潰されている。このため、シールリング４１は、位置決め部材２０の第２面２０ｂと、位置決め凹部４０の内底面４０ａに密着している。よって、シールリング４１は、回転軸１２ａの軸方向に並ぶ位置決め部材２０の第２面２０ｂと、位置決め凹部４０の内底面４０ａの間をシールしている。

　次に、電磁ブレーキ３０のモータケース１３への組付け方法を説明する。
　まず、ブレーキステータ３１と、付勢部材３３と、ブレーキアーマチャ３４と、固定板３６と、ブレーキハブ３７と、ブレーキロータ３８とを予め一体化し、図１に示すように、ブレーキアッシー５０を組み立てる。ブレーキアッシー５０では、ブレーキステータ３１と、ブレーキアーマチャ３４と、固定板３６と、ブレーキハブ３７と、ブレーキロータ３８とが芯合わせされている。

　次に、図３に示すように、位置決め部材２０の第２面２０ｂの外周部にシールリング４１を接合する。次に、位置決め部材２０を、モータケース１３の位置決め凸部１３ｂの外周側に配置し、位置決め部材２０の貫通孔２１にボルト２２を挿通するとともに、そのボルト２２をモータケース１３に螺合して、位置決め部材２０をモータケース１３に固定する。その結果、位置決め凸部１３ｂ及びボルト２２の螺合により、位置決め部材２０は、径方向及び厚み方向への移動が規制されて位置決めされる。

　次に、ブレーキステータ３１の位置決め凹部４０の内側に位置決め部材２０を隙間嵌めし、それにより位置決め凹部４０の内底面４０ａと位置決め部材２０の第２面２０ｂとの間にシールリング４１を配置する。

　そして、位置決め部材２０の外周縁と、位置決め凹部４０の内周面４０ｂとの接触により、ブレーキステータ３１、ひいてはブレーキアッシー５０がブレーキステータ３１の径方向に移動することが規制され、ブレーキステータ３１（ブレーキアッシー５０）が位置決めされる。この位置決めにより、ブレーキステータ３１と回転軸１２ａとが芯合わせされる。なお、ブレーキアッシー５０では、ブレーキステータ３１と、ブレーキアーマチャ３４と、ブレーキハブ３７と、固定板３６とが芯合わせされている。このため、ブレーキアッシー５０が回転軸１２ａと芯合わせされることで、ブレーキステータ３１と、ブレーキアーマチャ３４と、ブレーキハブ３７と、固定板３６とが回転軸１２ａと芯合わせされる。

　ブレーキアッシー５０のモータケース１３への固定により、シールリング４１が、位置決め凹部４０の内底面４０ａと位置決め部材２０の第２面２０ｂとに挟持され、シールリング４１が第２面２０ｂ及び内底面４０ａに密着する。なお、ブレーキハブ３７は回転軸１２ａに固定される。

　次に、電磁ブレーキ付き車両用モータ１１の作用を記載する。
　フォークリフト１０が被水し、電磁ブレーキ付き車両用モータ１１が被水しても、シールリング４１により、ブレーキステータ３１における位置決め凹部４０と、位置決め部材２０との間をシールできる。

　上記実施形態によれば、以下のような利点を得ることができる。
　（１）電磁ブレーキ３０の組付け時、ブレーキステータ３１は、その位置決め凹部４０に隙間嵌めされた位置決め部材２０によって径方向に位置決めされる。位置決め凹部４０の内底面４０ａと位置決め部材２０の第２面２０ｂにはシールリング４１が密着し、このシールリング４１によって、ブレーキステータ３１と位置決め部材２０の間をシールすることができる。よって、位置決め部材２０でブレーキステータ３１を位置決めした構造では、位置決め部材２０の外周縁と、ブレーキステータ３１の位置決め凹部４０における内周面４０ｂとの間に隙間が生じるが、この隙間にまで浸水しても、それ以上の電磁ブレーキ３０内への浸水をシールリング４１で抑止することができる。

　よって、電磁ブレーキ３０に浸入した水によってブレーキアーマチャ３４が錆びることを抑制でき、停止時におけるブレーキアーマチャ３４とブレーキロータ３８の間の摩擦係数が変化することも抑制できる。よって、位置決め部材２０でブレーキステータ３１を位置決めした電磁ブレーキ３０であっても、錆びによるブレーキ性能の変化を抑制することができる。

　（２）シールリング４１は、高機能発泡体を主体とした環状である。このため、例えば、シール部材として液体ガスケットを使用する場合と異なり、シールリング４１の劣化等による交換等の際にシール部材が位置決め部材２０やブレーキステータ３１に付着して残ることを抑制できる。また、液体ガスケットを設置する場合と比べると、シールリング４１の設置が容易となる。

　（３）シールリング４１は、位置決め部材２０の第２面２０ｂに接合される。このため、シールリング４１を位置決め部材２０と一体に扱うことができ、電磁ブレーキ３０の組付け作業が容易となる。また、位置決め部材２０の外側にブレーキアッシー５０を組付ける際、シールリング４１が移動せず、位置決め凹部４０へのシールリング４１の挿入が容易となり、ブレーキアッシー５０の組付け作業も容易となる。

　（４）シールリング４１の外径は、位置決め部材２０の外径とほぼ同じである。このため、シールリング４１の外周縁と位置決め部材２０の外周縁とを一致させることで、シールリング４１を位置決め部材２０の所定位置、すなわち位置決め凹部４０と対向する位置に簡単に接合することができる。

　（５）シールリング４１は、位置決め凹部４０の内底面４０ａと位置決め部材２０の第２面２０ｂに挟まれて、第２面２０ｂ及び内底面４０ａをシールする。よって、第２面２０ｂ及び内底面４０ａのシールをＯリングで行う場合のように、第２面２０ｂ又は内底面４０ａにＯリングの位置決め用の溝が必要ない。したがって、Ｏリング用の溝を設けるために位置決め部材２０の厚みが厚くなったり、ブレーキステータ３１の厚みが厚くなったりせずに済み、電磁ブレーキ３０の大型化もない。

　（６）シールリング４１は、ＥＰＤＭ混和物を半独立半連続状態で発泡させた高機能発泡体を主体としている。このため、シールリング４１を位置決め部材２０とブレーキステータ３１で挟んだとき、シールリング４１を押し潰しつつ、位置決め部材２０とブレーキステータ３１に密着させ、シール機能を好適に発揮させることができる。

　なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
　○　シールリング４１は、位置決め部材２０ではなく、ブレーキステータ３１における位置決め凹部４０の内底面４０ａに接合されていてもよい。

　○　シールリング４１は、位置決め部材２０又はブレーキステータ３１に接合されておらず、ブレーキアッシー５０の組付け時に、位置決め部材２０の第２面２０ｂと、位置決め凹部４０の内底面４０ａとの間に配置してもよい。

　○　シール部材は、シールリング４１のような固体の環状でなくてもよく、液体ガスケットでもよい。
　○　実施形態では、ブレーキアッシー５０を組み立てた状態で、ブレーキステータ３１を位置決め部材２０で径方向に位置決めするようにしたが、ブレーキアッシー５０を組み立てずにブレーキステータ３１のみを位置決め部材２０でモータケース１３に対して位置決めした後、電磁ブレーキ３０の各部品をモータケース１３に組付けてもよい。

　○　実施形態の車両はフォークリフト１０であったが、車両のうちの別の産業車両であってもよく、例えば、トーイングトラクタであってもよい。
　○　車両は産業車両でなく、自動車であってもよい。

Claims

　車両を駆動する駆動用モータと、
　前記駆動用モータの回転軸と、
　該駆動用モータに対して負荷と反対側に配設され、前記回転軸をロック可能とする電磁ブレーキと、
　前記駆動用モータを囲むモータケースと、
　前記駆動用モータに対して前記負荷と反対側に設けられる環状のブレーキステータであって、該環状のブレーキステータは前記モータケースから突出した前記回転軸の突出部を囲む状態で前記モータケースに固定されており、前記ブレーキステータの内周部には位置決め凹部が凹設されている、前記環状のブレーキステータと、
　前記回転軸の軸方向に沿って前記ブレーキステータと並ぶ状態で前記ブレーキステータに固定された固定板と、
　前記軸方向における前記ブレーキステータと前記固定板との間に配設されたブレーキアーマチャと、
　前記軸方向において前記ブレーキアーマチャを前記ブレーキステータから離間する方向に付勢する付勢部材と、
　前記回転軸と一体回転し、かつ前記軸方向において前記ブレーキアーマチャと前記固定板との間に配設されたブレーキロータと、
　前記回転軸の前記突出部を囲む状態で前記モータケースから突出した位置決め凸部と、
　前記位置決め凸部を取り囲む環状であり、前記ブレーキステータの位置決め凹部に隙間嵌めされている位置決め部材と、
　前記軸方向に並ぶ前記位置決め部材の端面と前記位置決め凹部の内底面との間をシールするシール部材と、を備える電磁ブレーキ付き車両用モータ。
　前記シール部材は環状である請求項１に記載の電磁ブレーキ付き車両用モータ。
　前記シール部材は、前記位置決め部材に接合されている請求項２に記載の電磁ブレーキ付き車両用モータ。
　前記シール部材は高機能発泡体を主体としている請求項１～３のいずれか一項に記載の電磁ブレーキ付き車両用モータ。
　前記環状の前記シール部材の外径は前記位置決め部材の外径と同じである請求項２または３に記載の電磁ブレーキ付き車両用モータ。
　前記回転軸は、第１端と第２端とを有しており、
　前記第１端は負荷に接続されており、
　前記第２端は前記突出部を含んでおり、前記電磁ブレーキに接続されている請求項１～５のいずれか一項に記載の電磁ブレーキ付き車両用モータ。