WO2016125856A1

WO2016125856A1 - 錠剤カセット

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Publication number: WO2016125856A1
Application number: PCT/JP2016/053358
Authority: WO
Inventors: 義人大村
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2015-02-05
Filing date: 2016-02-04
Publication date: 2016-08-11
Also published as: JP6384835B2; JP2016140724A; EP3254665A4; EP3254665A1; CN107205883A; US20180028407A1

Abstract

　多少なら形状の異なる別の錠剤にも共用しうる錠剤カセットを実現する。錠剤ランダム収容用の錠剤収容空間４２,４７と錠剤の排出口４３とが形成された錠剤容器４０と、錠剤通過用の錠剤収納部５１が周縁部に列設され且つ錠剤収容空間４２,４７の内底部に設けられた第１のロータ５０と、第１のロータ５０に軸回転駆動を伝える回転軸６２とに加えて、錠剤通過用の錠剤収納部５１が周縁部に形成された第２のロータ７０をも備え、第２のロータ７０の貫通孔７１の個数は第１のロータ５０の錠剤収納部５１の個数より少なくしておき、第２のロータ７０にて錠剤収容空間４２,４７を上下に仕切って下部収容空間４２と上部収容空間４７とに分け、回転軸６２にて第２のロータ７０にも軸回転駆動を伝える。第１のロータ５０も第２のロータ７０も傾斜（θ）させ、第１のロータ５０の錠剤収納部５１の上昇位置に排出口４３を合わせる。

Description

錠剤カセット

　この発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するための錠剤フィーダにおいて被駆動部を成す錠剤カセットに関する。

　従来より多用されている錠剤フィーダは（例えば特許文献１～３，図５参照）、給電や制御のために錠剤分包機の引出棚などに固定して列設される駆動部１０´と、錠剤補充作業の容易化などのため駆動部１０´に対して着脱自在になっている錠剤カセット２０´とからなり、多数の錠剤４´を錠剤カセット２０´にランダム収容しておき、必要に応じて駆動部１０´を間欠動作や連続動作させて錠剤カセット２０´から錠剤４´を一つずつ送り出すようになっている。

　このような錠剤フィーダ（１０´，２０´）のうち、錠剤カセット２０´は、蓋２２´を開けて補充された多数の錠剤４´を内部空間に収容する錠剤容器２１´と、錠剤容器２１´の内部空間の内底部に軸回転可能に設けられているロータ２３´と、ロータ２３´の下端部中央に設けられていて錠剤カセット２０´の駆動部１０´への装着時には駆動部１０´の駆動軸１１´と噛合して駆動軸１１´の軸回転運動をロータ２３´に伝達する回転軸２７´と、錠剤容器２１´とロータ２３´との環状間隙２４´の下端部を画する錠剤容器２１´の底板に貫通形成された排出口２８´に対向させて設けられ環状間隙２４´の上端側の一部を仕切る仕切板２９´とを備えている。

　さらに、ロータ２３´については、錠剤４´の整列箇所である環状間隙２４´を錠剤一つ分ずつ区切るために、環状間隙２４´に突き出た羽根状の隔壁２５´が、ロータ２３´の外周面に等ピッチで多数形成されている隣り合う隔壁２５´，２５´の間が、ロータ２３´の上から落ちてきた錠剤４´を一個ずつ或いは縦一列に並べて収める錠剤収納部２６´になっている。しかも、仕切板２９´は、錠剤収納部２６´の中の最下の錠剤４´を上方の錠剤４´から切り分けることができる所に位置するよう、高低等の位置調整が施されてから、設置位置が固定されている。

　なお、錠剤容器２１´やロータ２３´が硬質材から作られているのに対し、仕切板２９´は、錠剤４´を傷つけないよう、金属や硬質材から軟質材に変更され、高さ調整の容易化のため、ネジ止めから、適切な高さ小孔を選んで係着させるようになっている。

　また、錠剤カセットを異形剤や半錠でも定形剤のように手軽に取り扱えるようにするために、上述した仕切板２９´に代えて、変形容易な弾性体または可撓性部材からなる二重落下防止部材を導入し、それを軸受にて排出口２８´や隔壁２５´の上方に張っておくようになった錠剤カセットもある（例えば特許文献４参照）。

　このような錠剤カセットで取り扱う薬剤は、錠剤であって、散薬は対象外である。そして、よく取り扱われる錠剤としては、円板状の錠剤（図示した円板状錠剤４´）が典型的であるが、その他に、正多角形板状のものや、円筒状カプセル剤なども、しばしば錠剤カセットの取扱対象となる。

　また、円形や球形あるいは正多角形や正多面形といった謂わば定形剤から外れた菱形板状の異形剤や、中央部の膨らんだ紡錘状の異形剤、一錠未満の単位で服用できるよう一錠を裁断等で２分割して作られた半錠なども、錠剤カセットで取り扱われることがある。

特開２００２－１５３５４１号公報特開２００２－１５４６３７号公報特開２０１２－１２０７１９号公報特開２０１５－０１２８９３号公報

　このような従来の錠剤カセットでは、ロータの周縁部の錠剤収納部の形状を錠剤の形状に適合させておく必要があり而も仕切り等のため高度に適合させなければならないので、種々の錠剤の多くについて剤種毎に専用の錠剤カセットを予め設計および製造しておかないと錠剤分包機に実装して使用することができない。このため、多数の錠剤フィーダを装備した大型の錠剤分包機であっても、多岐に亘る錠剤の総てに錠剤カセットを装備することはできないので、使用頻度の大きい錠剤に対して優先的に錠剤カセットを割り当て、使用頻度の小さい錠剤については薬剤手撒き装置を使用する、といった運用がなされている。

　とはいえ、手撒き作業は、例え小頻度であっても、煩雑で手間が掛かるうえ、作業者の精神的な負担が大きい。そのため、手撒き作業の頻度を下げるべく望ましくは手撒き作業を不要にすべく、使用頻度が小さくて錠剤分包機に常時は実装しておけない錠剤についても、錠剤カセットに収容しておき、必要に応じて他の錠剤カセットと付け替える等のことで一時的に錠剤分包機に実装するといった運用や、それに伴って必要になったカセット付け間違いチェック技術の開発などが、試みられている。

　しかしながら、錠剤カセットが、錠剤を一つずつ収納する錠剤収納部が周縁部に列設されているロータの上に直に多数の錠剤を積み重ね収容する従来のままでは、上述したようにほぼ剤種毎に少しずつとはいえ異なる専用の錠剤カセットが必要になるため、量産しようにも量産効果が大きくなくて設計や製造の負担が大きい。しかも、事前に専用の錠剤カセットを準備しておいたときしか使用できないため、急の用には役立たない。

　本発明の目的は、多少なら形状の異なる別の錠剤にも共用しうる錠剤カセットを提供することにある。

　本発明の錠剤カセットは、複数の錠剤をランダムに収容する錠剤収容空間と、錠剤収容空間内の複数の錠剤を１錠ずつ下させる排出口を底壁部に備えた錠剤容器と、第１のロータと第２のロータとを備えている。第１のロータは、錠剤容器の底壁部と直交する方向に軸線が延びる回転軸を備え、錠剤容器の錠剤収容空間内において軸線を中心にして回転し、さらに錠剤を一つずつ収納して排出口に錠剤を通過させうる複数の錠剤収納部が周縁部に設けられている。第２のロータは、軸線が延びる方向に錠剤が通過する１以上の貫通孔を備え、底壁部との間に第１のロータが位置し且つ第１のロータとの間に、錠剤収納部に収納されなかった錠剤が移動することを許容する錠剤移動許容空間をあけるように錠剤収容空間内に配置されて、軸線を中心にして回転する。本発明においては、特に、１以上の貫通孔の数が、第１のロータが備える複数の錠剤収納部の数よりも少ない。なお第２のロータに設けられる貫通孔は、少なくとも軸線が延びる方向に貫通していればよく、径方向外側に開口していてもよいのは勿論である。

　このような本発明の錠剤カセットにあっては、第１のロータの上方で錠剤収容空間が第２のロータによって上下に２分割される。また、錠剤を通過させる貫通孔が第２のロータに形成され、しかも第２のロータに形成する１以上の貫通孔の数が、第１のロータが備える複数の錠剤収納部の数よりも少なくしている。このことは、第２のロータに形成する１以上の貫通孔の数を適宜設定することにより、第１のロータの上に供給される複数の錠剤の数を制限できることを意味する。

　第１のロータの複数の錠剤収納部の数に対して、第２のロータに設ける貫通孔の数を適宜に制限するとにより、第１のロータの錠剤収納部から排出口を通して排出される錠剤の通過率が、第２のロータの貫通孔を通る錠剤の通過率に近くなると、第１のロータと第２のロータとの間の錠剤移動許容空間内には、錠剤が少数個しかとどまらない。その結果、第１のロータの上の錠剤は、相互に重なることがなくなり、錠剤移動許容空間内で適宜に散らばることになる。

　このように第１のロータの上で、直には錠剤が積み重ならないようにしたことにより、第１のロータに設ける複数の錠剤収納部のサイズを従来ほど厳しく錠剤の形状寸法に対応させなくても、また従来のように仕切板が無くても、錠剤が一つずつ排出される。その結果、第１のロータが１種類であっても、従来より多くの種類の錠剤に共用することができる。また、第２のロータの貫通孔の数と面積の調整により錠剤通過率の制約を守れば、一回転中に複数個の錠剤を貫通孔に通過させても問題が無い。そのため、第１のロータに設ける複数の錠剤収納部のサイズについても、従来ほど厳しく錠剤に対応させなくて良いので、第２のロータも多くの種類の錠剤に共用することができる。

　したがって、この発明によれば、比較的簡素な構造で共用化率を高めることができて、多少なら形状の異なる別の錠剤にも共用しうる錠剤カセットを実現することができる。

　見方を変えると、第２のロータの１以上の貫通孔の数及び総開口面積は、１以上の貫通孔を通って第１のロータと第２のロータとの間に形成される錠剤移動許容空間内に入った複数の錠剤が、錠剤移動許容空間内を自由に移動できなくなるのを防ぐことができるように定められているのがこのましいと定義できる。

　第１のロータ及び第２のロータは、回転軸にそれぞれ固定されて、同じ回転数で回転するようにすると、簡単な構造で、第１のロータと第２のロータとを回転駆動することができる。

　なお回転軸と第２のロータとの間に、遊星歯車機構などの増速歯車機構または減速歯車機構を配置すれば、第１のロータ及び第２のロータを、異なる回転数で回転することができる。その結果、貫通孔の数及び面積だけでなく、第２のロータの回転数も錠剤移動許容空間内に残る錠剤の数を調整するパラメータとして利用できる。

　また回転軸の軸線と、該軸線と交差する仮想鉛直線との間の角度を、０°より大きな角度（上限６０°まで）とすると、第１のロータ及び第２のロータを鉛直線に対して傾斜させることができる。これにより第１のロータと第２のロータの上面と重力との相対方向が、回転軸の回転に伴って変化するため、第１及び第２のロータの上の錠剤が揺さぶられて効率良く貫通孔及び錠剤収納部内に入ることとなる。

　そして底壁部に設ける排出口の中心を通る仮想鉛直線と軸線との交点から上方の位置に、排出口が位置するようにすると、第１のロータの錠剤収納部で一時的に錠剤が重なった場合でも、その重なりは不安定なので、第１のロータの軸回転に伴って錠剤収納部が弧状に上昇移動する際に確実に上側の錠剤が転がり落ちる。そのため、比較的簡素な構造で共用化率を高めた錠剤カセットでありながら、安定して能率良く錠剤を逐次排出することができる。

　錠剤容器は、底壁部を有して第１のロータが収納される第１の分割容器と、第１の分割容器と組み合わされて錠剤収納空間を完成する第２の分割容器とが組み合わされて構成されてもよい。この場合、回転軸の底壁部から外に出た端部には第１の歯車が固定されて、第１の分割容器内には、第１の歯車を通る仮想鉛直線に沿って延びる被駆動軸が回転自在に支持され、被駆動軸の一端には第１の歯車と噛み合う第２の歯車が固定されているのが好ましい。錠剤容器を第１の分割容器と第２の分割容器とから構成すると、第２の分割容器を外して清掃することで第２のロータの下も容易に清掃することができる。

　この場合、第１の分割容器内には、一端に排出口を有する錠剤案内路が形成されており、第１の分割容器が錠剤フィーダの駆動部に実装されたときに、錠剤案内路が錠剤フィーダに設けられた延長錠剤案内路と連結され、被駆動軸の他端に駆動部に設けられた駆動軸が結合されるのが好ましい。このようにすると、従来品との互換性が得られる。その結果、既存の錠剤フィーダや錠剤分包機に対してもカセット付け替え等にて直ちに使用することができる。

　また、本発明の錠剤カセットは第１のロータの上面のうち周方向には隣り合う錠剤収納部の中間に位置し径方向には錠剤収納部より内側に位置する部位に突起が設けられていてもよい。このような突起を設けると、第１のロータの回転時に、周縁部より内側の錠剤に対する撹拌効果が期待できるとともに、錠剤収納部の近傍の錠剤に対する分離拡散効果が期待できる。

本発明の実施の形態１について、錠剤カセットの構造を示し、（ａ），（ｂ）が外観斜視図、（ｃ）が縦断面図、（ｄ）が縦断部分の斜視図である。（ａ）が錠剤カセットの展開斜視図、（ｂ）が第１のロータと回転軸との外観斜視図である。錠剤カセットの動作状態を時系列で示し、（ａ）～（ｃ）何れも第１のロータと第２のロータと底壁部との斜視図である。本発明の実施の形態２について、錠剤カセットの縦断面図である。従来の錠剤カセットを組み込んだ錠剤フィーダを示し、（ａ）が駆動部に錠剤カセットを装着したところの側面外観図、（ｂ）が駆動部から錠剤カセットを外したところの縦断側面図、（ｃ）が錠剤カセットの要部の横断平面図、（ｄ）が錠剤を収容した錠剤カセットの要部の縦断側面図である。

　このような本発明の錠剤カセットについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の図１～図４に示す実施例の形態１及び２により説明する。

　なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や，ヒンジ等の連結具，モータドライバ等の電気回路，コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。

実施の形態１

　本発明の錠剤カセットの実施の形態１について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図１は、（ａ），（ｂ）が錠剤カセット３０の外観斜視図、（ｃ）が錠剤カセット３０を縦に二分割した半身の縦断面図、（ｄ）がその縦断半身の斜視図である。

　また、図２は、（ａ）が錠剤カセット３０の展開図、（ｂ）が回転軸６２が付いている第１のロータ５０に係る外観斜視図である。

　この錠剤カセット３０は（図１，図２（ａ）参照）、既述した駆動部１０に着脱可能な錠剤容器４０と、錠剤容器４０に内蔵された第１のロータ５０と回転軸６２と第２のロータ７０とを具備している。錠剤容器４０が駆動部１０に装着されると第１のロータ５０と回転軸６２と。第２のロータ７０とが一緒に駆動部１０の軸回転駆動を受けるようになっている。その結果、本実施の形態１の錠剤カセット３０は、従来技術の錠剤カセット２０´と代替できるものとなっている。

　錠剤容器４０は、以下の点で従来の錠剤カセットと共通する。まず、多数個の錠剤をランダムに収容するための錠剤収容空間（４２，４７）を囲っている中央部の錠剤収容部を主体としたものである点で、従来の錠剤カセットと共通する。また錠剤補充等のため上端部には開閉可能な蓋４８が装備されていること、及び底壁部４１ａが錠剤カセット２０´の下端部と同様に駆動部１０の上端へ着脱しうる形状になっている点で従来の錠剤カセットと共通する。さらに、錠剤収容空間（４２，４７）の底壁から下方へ錠剤を落下させるための排出口４３が錠剤容器４０の底壁部４１ａに形成されている点で、従来の錠剤カセット２０´と共通する。しかし本実施の形態の錠剤カセットは、次のように改造された点で、錠剤カセット２０´とは異なるものとなっている。

　錠剤容器４０によって囲われている錠剤収容空間（４２，４７）は、内底に第１のロータ５０を軸回転可能な状態で収めている下部が、軸方向の鉛直な円筒状空間でなく、軸方向を傾斜角θだけ傾けた円筒状空間になっており、第１のロータ５０の斜め上方には第２のロータ７０も軸回転可能に収めていて、第２のロータ７０のところで、第２のロータ７０と第１のロータ５０及び底壁部４１ａとの間の下部収容空間４２と、第２のロータ７０と蓋４８との間の上部収容空間４７とに分割されている。また、錠剤容器４０は、第１のロータ５０を囲い底壁部４１ａを備えた第１の分割容器４１と、第２のロータ７０を囲う第２の分割容器４５とに分かれている。第１の分割容器４１の上端部と第２の分割容器４５の下端部とが嵌合可能なので、第２の分割容器４５を第１の分割容器４１に着脱することができる。装着時には第１の分割容器４１の突片４４を第２の分割容器４５の切欠４６に差し込んで第２の分割容器４５を回すことで容易に第１の分割容器４１を第２の分割容器４５に固定できるものとなっている。また、第１の分割容器４１内には、一端に排出口４３を有する錠剤案内路４９が形成されている。第１の分割容器４１が錠剤フィーダの駆動部１０に実装されたときに、錠剤案内路４９が錠剤フィーダに設けられた延長錠剤案内路４９ａと連結される。なお、実施の形態１では、下部収容空間４２が錠剤移動許容空間を構成している。

　第１のロータ５０は（図２（ｂ）参照）、平坦な円板状の部材であり、その周縁部には、円板の縁を切り欠いて作ったような錠剤収納部５１が、多数個（図示の例では１０個）、等ピッチで設けられている。第１のロータ５０の上では少数個の錠剤が散在するので、それぞれの錠剤収納部５１は、錠剤を一つずつ収容して通過させることができれば良く、上下に重なった錠剤を仕切板で上下に仕切る必要が無いので、既述した従来の錠剤収納部２６´ほど錠剤形状にキッチリ適合させる必要がない。例えば、各種錠剤に採用されている円板状の錠剤を取り扱う場合、径方向にも厚み方向にも２５％程度まで遊びがあっても不都合がない。

　また、第１のロータ５０には、その上面のうち、周方向には隣り合う２つの錠剤収納部５１，５１の中間に位置し、径方向には錠剤収納部５１より内側に位置する部位に、突起５２が設けられている。突起５２は、図示の例では、小さな三角板状の部材からなり、錠剤収納部５１，５１の間すべてでなく一つ置きに配設されている。さらに（図１，図２（ａ）参照）、第１のロータ５０は、錠剤容器４０の第１の分割容器４１の底壁部４１ａ上面に載せられて、錠剤収容空間（４２，４７）の下部収容空間４２の内底部に収まり、その中心を貫いて表裏へ垂直に伸びる回転軸６２によって軸回転させられるようになっている。

　回転軸６２の第１の分割容器４１の底壁部４１ａから外に出た端部には第１の歯車６３が固定されており、第１の分割容器４１内には、第１の歯車６３を通る仮想鉛直線に沿って延びる被駆動軸６１ａが回転自在に支持され、被駆動軸６１ａの一端には第１の歯車６３と噛み合う第２の歯車６１が固定されている。第１の分割容器４１が錠剤フィーダの駆動部１０に実装されたときに、被駆動軸６１ａの他端に駆動部１０に設けられた駆動軸１１が結合される。駆動軸１１と回転軸６２とが傘歯車からなる第１の歯車６３と第２の歯車６１の介在により軸回転伝動可能に連結されている。回転軸６２は（図１，図２参照）、上述した第１のロータ５０だけでなく後で詳述する第２のロータ７０にも駆動部１０の軸回転駆動を伝えるためのものである。本実施の形態１では、回転軸６２の軸線と、該軸線と交差する仮想鉛直線との間の角度θが４５°となるように配置されている。回転軸６２は、第１のロータ５０の中心を貫いて上下に伸びており、上端部が第２のロータ７０の中心の貫通穴７２に挿入されて第２のロータ７０を軸回転伝動可能に支持するようになっている。図示の例では回転軸６２が第１のロータ５０と一体になっているが、それらは組立可能な別体のものであっても良い。なお、被駆動軸６１ａの下端から内部へ彫り込み形成された内歯ギヤは、既述した従来の回転軸２７´と同じく、外歯の駆動軸１１と噛合して、軸回転駆動を伝達するようになっている。

　第２のロータ７０は、平坦な円板状の部材であり、その周縁部には、径方向外側に開口し回転軸６２の軸線が延びる方向に錠剤が通過する貫通孔７１が、少数個（図示の例では１個だけ）、形成されている。貫通孔７１の数及び総開口面積は、貫通孔７１を通って下部収容空間４２（錠剤移動許容空間）内に入った複数の錠剤が、下部収容空間４２を自由に移動できなくなるのを防ぐことができるように定められている。この第２のロータ７０が、錠剤収容空間（４２，４７）の中で第１のロータ５０の上方に配置されており、上述したように第１のロータ５０から上へ伸びている回転軸６２によって軸回転可能に支持されて錠剤収容空間（４２，４７）を上下に仕切っているので、錠剤収容空間（４２，４７）が下部収容空間４２と上部収容空間４７とに分割されるとともに、下部収容空間４２と上部収容空間４７とが貫通孔７１を介して連通するものとなっている。

　しかも、第２のロータ７０の貫通孔７１の個数が第１のロータ５０の錠剤収納部５１の個数より少ない。図示の例では、貫通孔７１が１個なのに対し錠剤収納部５１が１０個なので、貫通孔７１は錠剤収納部５１の１０分の１しかない。そのため、貫通孔７１も、錠剤収納部５１と同様、既述した従来の錠剤収納部２６´ほど錠剤形状にキッチリ適合させる必要がない。詳述すると、第２のロータ７０の上には、錠剤がランダムに収容され、錠剤が多数個であれば積み重なるが、貫通孔７１を複数の錠剤が続けて通過しても、それが時々なら、それらの錠剤が第１のロータ５０の上で散らばることと、第１のロータ５０が傾斜して回転することとから、複数個の錠剤が錠剤収納部５１に入ってとどまるということが無いので、錠剤収納部５１と同様に、貫通孔７１にも、錠剤に対して、既述した従来の錠剤収納部２６´よりも大きな遊びを持たせることができる。

　このような第２のロータ７０に係る水平からの傾斜と、第１のロータ５０に係る水平からの傾斜と、回転軸６２の軸線の鉛直からの傾斜と、錠剤容器４０のうち下部収容空間４２を囲っている円筒状部分の軸心に係る鉛直からの傾斜は、同じ傾斜角θだけ同じ方向へ傾いている。この傾斜角θは、球状形や楕円球状形といった転がりやすい錠剤を取り扱うのなら１０゜程度でも十分であるが、円筒状形など転動したり滑落したりする錠剤を取り扱うときにはそれより大きいのが良く、板状形や角形といった転動せずに滑落する錠剤を取り扱うのなら３０゜～６０゜程度に大きくするのが良い。

　また、傾斜角θは、上述した第１のロータ５０の上での錠剤の転動や滑落の考慮だけでなく、錠剤収納部５１にたまたま複数個の錠剤が入ってしまったときでも、傾斜している第１のロータ５０の軸回転に伴って錠剤収納部５１が弧状の傾斜経路を辿り、そのときに変化する重力等によって錠剤収納部５１の中の錠剤が揺さぶられることで、上側の錠剤が確実に転げ落ちるようにすることも、勘案して、２０゜～６０゜程度にされる。しかも、そのような傾斜状態で第１のロータ５０が軸回転すると、それに随伴して錠剤収納部５１が傾斜円の軌跡を描いて移動し、その移動には上下移動の成分が含まれているので、錠剤収納部５１が昇降も行うことになるが、第１の分割容器４１の底壁部４１ａのうち、上記昇降の際の錠剤収納部５１の上昇位置（図示の例では昇りきった所）に対して下から直面するような部位に、排出口４３が形成されている。底壁部４１ａに設ける排出口４３の中心を通る仮想鉛直線と回転軸６２の軸線との交点から上方の位置に、排出口４３が位置している。

　この実施の形態１の錠剤カセット３０について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図３は、（ａ）～（ｃ）が何れも第１のロータ５０と第２のロータ７０と底壁部４１ａとの斜視図であり、錠剤カセット３０の動作状態を時系列で示している。

　ここでは円板状の錠剤４を錠剤カセット３０にて逐次供給するところを述べる。錠剤４を既に十分に収容している錠剤カセット３０が有ればそれを使用するが、そうでなければ、使用可能な空の錠剤カセット３０の選出から始める。主な選出基準は、第２のロータ７０の貫通孔７１及び第１のロータ５０の錠剤収納部５１のサイズが錠剤４の外寸より約０．５ｍｍ～２５％程度大きい範囲に入っていることと、第１のロータ５０及び第２のロータ７０の傾斜角θが滑落タイプの円板状錠剤に適合した３０゜～６０゜程度（図示の例では約４５゜）になっていることなので、作業者は、そのような基準を満たした空の錠剤カセット３０を選出する。

　空カセット選出後、作業者が、空の錠剤カセット３０の蓋４８を開けて、そこから錠剤カセット３０の上部収容空間４７へ使用予定以上の個数の錠剤４を投入し、それから蓋４８を閉めると、錠剤補充が済んで、錠剤カセット３０の使用準備が整う。この時点では（図３（ａ）参照）、錠剤４は、ほとんどが第２のロータ７０より上の上部収容空間４７に留まっており、貫通孔７１を通過して第１のロータ５０の上に落下するものは全く無いか有ったとしても僅かにすぎないうえ、落下したとしても第１のロータ５０のうち下降側に位置していて排出口４３から斜め下方へ最も遠い所にとどまるので、不所望な錠剤排出は起こらない。

　錠剤補充後、作業者は、錠剤カセット３０を薬剤分包機や錠剤半切機といった自動調剤機の駆動部１０に装着してその駆動部１０及び錠剤カセット３０を動作可能な錠剤フィーダにするとともに、その錠剤フィーダから錠剤４を逐次供給・逐次落下排出させる調剤データを、手動操作で或いは処方データ等に基づく自動処理で、自動調剤機の制御部に設定する。これで、錠剤４の逐次供給については自動調剤機が動作可能な状態となる。

　そして、自動調剤機が始動し、その制御に従って錠剤フィーダが動作し、その駆動部１０の駆動軸１１が軸回転を行うと、錠剤カセット３０では、回転軸６２が軸回転を始め、それに随伴して第１のロータ５０と第２のロータ７０も軸回転を行う。第２のロータ７０が軸回転すると、それに伴って貫通孔７１が円軌跡を移動し、上部収容空間４７に収容されている多数の錠剤４のうち貫通孔７１が直下に来た錠剤４であって他の錠剤４等の束縛から逃れられた錠剤４が貫通孔７１を通過して下部収容空間４２に落下する（図３（ｂ）参照）。

　そのとき、貫通孔７１が少数個（図示の例では１個だけ）しかないので、錠剤４は、一気に纏めて落下することがなく、少しずつ間欠的に落下する。

　下部収容空間４２に落下した錠剤４は、第１のロータ５０の上を転がったり滑ったりしながら傾斜下方へ移動して、最下降位置か近くの錠剤収納部５１に入る。錠剤収納部５１は多数個（図示の例では１０個も）有るので、また下部収容空間４２には錠剤４が未だ少数個しか落ちて来ていないので、錠剤４は大抵が散らばって一つずつ別の錠剤収納部５１に入る。そして、錠剤収納部５１に入った錠剤４は、第１のロータ５０の軸回転に伴う錠剤収納部５１の円軌跡移動によって、その円軌跡のうち上昇側の円弧状部分を移送され、上昇位置の排出口４３の上まで運ばれる（図３（ｃ）参照）。

　また、錠剤収納部５１に収容済みの他の錠剤４の上にたまたま乗り上げてしまう錠剤４も有るが、そのような錠剤４は、円弧状軌跡に沿って上昇する際に重力方向に対する姿勢の変化によって揺さぶられて、排出口４３に到達する前に途中離脱し、第１のロータ５０の上を転がり落ちるか滑り落ちるので、不所望な二錠排出を引き起こすことなく、逐次排出の再試行に回され、何れは排出口４３の上まで一つずつ運ばれる。

　しかも、その際や上述した貫通孔７１通過後に錠剤４が第１のロータ５０の上を転がって又は滑って下降側へ落ちるとき、さらには錠剤４が下降側へ落ちてからも、整列盤の回転に伴って移動して来た突起５２が錠剤４に当接して錠剤４を撹拌するため、例え第１のロータ５０の上に複数個の錠剤４，４の塊が出来たとしても、それは速やかに散開させられるので、そもそも複数の錠剤４，４が同じ錠剤収納部５１に重なって留まることは滅多に起こらない。そして、それがたまたま起きたときには上述のようにして速やかに解消される。

　こうして、一つずつ排出口４３の上まで運ばれた錠剤４は、排出口４３と、錠剤案内路４９及び延長錠剤案内路４９ａを通って下方へ落下し（図３（ｃ）参照）、自動調剤機による分包や裁断といった後処理に供される。

　そして、錠剤４の供給を終えた錠剤カセット３０は、引き続き他の処方等にも使用されるのであれば自動調剤機への装着状態を維持するが、そうでなければ、作業者が装着先の駆動部１０から取り外す。そして、将来の再装着に備えてそのまま保管するか、あるいは錠剤４の回収が必要な場合や他の錠剤への使用のため空けておく場合等には、突片４４が切欠４６から抜けるように錠剤容器４０を操作して第１の分割容器４１から第２の分割容器４５を取り外し、さらに第２のロータ７０を回転軸６２から取り外して、錠剤カセット３０を分解し（図２（ａ）参照）、内部を綺麗に清掃してから組み立て直して保管する。

実施の形態２

　図４は本発明の実施の形態２の錠剤カセット１３０の要部を説明するために用いる図である。図１乃至図３の実施の形態１の構成と同様の部分には、図１乃至図３に付した符号の数に１００の数を加えた数の符号を付して説明を省略する。

　本発明の錠剤カセットの実施の形態２について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。

　この錠剤カセット１３０が上述した実施の形態１の錠剤カセット３０と相違するのは、第２のロータ１７０と回転軸１６２との間に、遊星歯車機構１７５を配置した構成である点である。

　図４は、錠剤カセット１３０を縦に二分割した半身の縦断面図である。錠剤カセット１３０では、遊星歯車機構１７５に回転軸１６２の上端部が連結され、遊星歯車機構１７５の出力軸１７６が貫通穴１７２に挿入されている。このような遊星歯車機構１７５を配置すれば、第１のロータ１５０及び第２のロータ１７０を、異なる回転数で回転することができるため、貫通孔１７１の数及び面積だけでなく、第２のロータ１７０の回転数も錠剤移動許容空間内に残る錠剤の数を調整するパラメータとして利用できる。
［その他］
　上記実施の形態では、円板状の錠剤４を取り扱っていたが、これは本発明の錠剤カセットで取り扱える錠剤の典型例であり、正多角形板状のものや、円筒状カプセル剤なども、本発明の錠剤カセットの取扱対象になりうる。また、そのような定形剤から外れた菱形板状の異形剤や、中央部の膨らんだ紡錘状の異形剤、裁断された半錠なども、本発明の錠剤カセットの取扱対象になりうる。

　本発明の錠剤カセットは、装着可能な錠剤フィーダの駆動部を具備した機器であれば、上述した薬剤分包機や錠剤半切機に限らず、瓶詰機など他の調剤機にも適用できる。

　全自動の調剤機に限らず、例えば手動操作の度に一錠ずつ処理する半自動の調剤機などにも、使用することができる。

４…錠剤、１０…駆動部、
３０…錠剤カセット、
４０…錠剤容器、
４１…第１の分割容器、４２…下部収容空間、４３…排出口、４４…突片、
４５…第２の分割容器、４６…切欠、４７…上部収容空間、４８…蓋、
５０…第１のロータ、５１…錠剤収納部、５２…突起、
θ…傾斜角、
６１…第２の歯車、６２…回転軸、６３…第１の歯車、
７０…第２のロータ、７１…貫通孔、７２…貫通穴

Claims

　複数の錠剤をランダムに収容する錠剤収容空間と、前記錠剤収容空間内の前記複数の錠剤を１錠ずつ落下させる排出口を底壁部に備えた錠剤容器と、
　前記底壁部と直交する方向に軸線が延びる回転軸を備え、前記錠剤容器の前記錠剤収容空間内において前記軸線を中心にして回転し、さらに前記錠剤を一つずつ収納して前記排出口に前記錠剤を通過させうる複数の錠剤収納部が周縁部に設けられた第１のロータと、
　前記軸線が延びる方向に前記錠剤が通過する１以上の貫通孔を備え、前記底壁部との間に前記第１のロータが位置し且つ前記第１のロータとの間に、前記錠剤収納部に収納されなかった前記錠剤が移動することを許容する錠剤移動許容空間をあけるように前記錠剤収容空間内に配置されて、前記軸線を中心にして回転する第２のロータとを備え、
　前記１以上の貫通孔の数は、前記第１のロータが備える前記複数の錠剤収納部の数よりも少ないことを特徴とする錠剤カセット。
　前記１以上の貫通孔の数及び総開口面積は、前記１以上の貫通孔を通って前記錠剤移動許容空間内に入った前記複数の錠剤が、前記錠剤移動許容空間内を自由に移動できなくなるのを防ぐことができるように定められていることを特徴とする請求項１に記載の錠剤カセット。
　前記第１のロータ及び前記第２のロータは、前記回転軸にそれぞれ固定されて、同じ回転数で回転することを特徴とする請求項１または２に記載の錠剤カセット。
　前記回転軸と前記第２のロータとの間には、遊星歯車機構などの増速歯車機構または減速歯車機構が配置されており、前記第１のロータ及び前記第２のロータとは、異なる回転数で回転することを特徴とする請求項１または２に記載の錠剤カセット。
　前記回転軸の前記軸線と、該軸線と交差する仮想鉛直線との間の角度が、０°から６０°までの間の角度である請求項１に記載の錠剤カセット。
　前記底壁部に設ける前記排出口の中心を通る仮想鉛直線と前記軸線との交点から上方の位置に、前記排出口が位置する請求項５に記載の錠剤カセット。
　前記錠剤容器は、前記底壁部を有して前記第１のロータが収納される第１の分割容器と、前記第１の分割容器と組み合わされて前記錠剤収容空間を完成する第２の分割容器とが組み合わされて構成され、
　前記回転軸の前記底壁部から外に出た端部には第１の歯車が固定されており、
　前記第１の分割容器内には、前記第１の歯車を通る仮想鉛直線に沿って延びる被駆動軸が回転自在に支持され、前記被駆動軸の一端には前記第１の歯車と噛み合う第２の歯車が固定されている請求項１に記載の錠剤カセット。
　前記第１の分割容器内には、一端に前記排出口を有する錠剤案内路が形成されており、
　前記第１の分割容器が錠剤フィーダの駆動部に実装されたときに、前記錠剤案内路が前記錠剤フィーダに設けられた延長錠剤案内路と連結され、前記被駆動軸の他端に前記駆動部に設けられた駆動軸が結合されることを特徴とする請求項７に記載の錠剤カセット。
　前記第１のロータの上面のうち周方向には隣り合う２つの前記錠剤収納部の中間に位置し、径方向には前記複数の錠剤収納部より内側に位置する部位に突起が設けられていることを特徴とする請求項１乃至請求項８の何れか１項に記載された錠剤カセット。