WO2016052092A1 - ジフルオロイオン性錯体の製造方法 - Google Patents

ジフルオロイオン性錯体の製造方法 Download PDF

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Abstract

 開示されているのは、一般式(1)で示される6配位イオン性錯体(1)を非水溶媒中でフッ素化剤によりフッ素化することによる、一般式(2)で示されるジフルオロイオン性錯体(2)を製造する方法である。この方法では、従来のようなSiCl4、BCl3又はAlCl3などの反応助剤を使用しないため、反応助剤と反応したフッ素を廃棄する必要がなく、高いフッ素利用効率にて廃棄物が少ないだけでなく、塩素を含む反応助剤を使用しないため残留塩素成分も少ない。

Description

ジフルオロイオン性錯体の製造方法
 本発明は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、リチウム空気電池、リチウム硫黄電池、リチウムイオンキャパシタなどの電気化学デバイスの電極表面を保護するために電解液に添加される添加剤や電解液の支持電解質として利用されるジフルオロイオン性錯体の製造方法に関するものである。
発明の背景
 電気化学デバイスである電池において、近年、情報関連機器、通信機器、即ちパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン等の小型、高エネルギー密度用途向けの蓄電システムや、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車補助電源、電力貯蔵等の大型、パワー用途向けの蓄電システムが注目を集めている。その一つの候補としてリチウムイオン電池、リチウム電池、リチウムイオンキャパシタ等の非水電解液電池が盛んに開発されている。
 これらの非水電解液電池は既に実用化されているものも多いが、低温時又は充放電を繰り返すこと、更には高温環境下に曝されることで電気容量の低下が起こる。このような理由のため、自動車の電源といったマイナス30℃程度の低温環境、60℃程度の高温環境下や数年間の長期間での使用が求められる用途では、非水電解液電池の性能は充分とは言えない。
 リチウムイオン電池の場合、初充電時に負極にリチウムカチオンが挿入される際に、負極とリチウムカチオン、又は負極と電解液溶媒が反応し、負極表面上に酸化リチウムや炭酸リチウム、アルキル炭酸リチウムを主成分とする被膜を形成する。この電極表面上の被膜はSolid Electrolyte Interface(SEI)と呼ばれ、溶媒の分解を抑制し電池性能の劣化を抑える等、その性質が電池性能に大きな影響を与える。
 低温時、高温時、又は充放電を繰り返すことによる電気容量の低下を抑制するためには、イオン伝導性が高く、且つ電子伝導性が低く、長期に亘って安定なSEIを形成させることが重要である。そのため、添加剤と称される化合物を電解液中に少量(通常は0.01質量%以上10質量%以下)加え、その一部又は全てを初期充電時に分解させることで、積極的に良好なSEIを形成させる試みが広くなされている。
 例えば、特許文献1ではビニレンカーボネートが、特許文献2では1,3―プロペンスルトンを始めとする不飽和環状スルホン酸エステルが、特許文献3では二酸化炭素が、特許文献4では1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを始めとする芳香族化合物が、特許文献5ではピリジンを始めとする含窒素不飽和化合物が、特許文献6ではビスオキサラトホウ酸リチウムが、特許文献7では配位子としてシュウ酸を有するジフルオロイオン性酸錯体、テトラフルオロイオン性錯体の混合物が有効なSEIを形成させる添加剤として用いられている。
 また、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロ砒酸アニオンの様な、ルイス酸とフッ素イオンが結合したイオン性錯体の金属塩(Li、Na他)がその高い溶解性、高いイオン解離性、そして広い電位窓の観点から電気化学デバイスの電解液の支持電解質として使用されている。
 その中でも、ヘキサフルオロリン酸リチウムは(以下LiPF6)は、ヘキサフルオロ砒酸リチウムに比べて毒性が低く、テトラフルオロホウ酸リチウムに比べて溶解性が高いことから特に広く使用されている。
 しかし、このLiPF6にも、熱安定性が低く加熱によりフッ化リチウム(以下LiF)と五フッ化リン(以下PF5)に分解するといった大きな欠点が存在する。LiFは電極表面上に堆積し抵抗成分となることでリチウムイオン電池を始めとするリチウム系電気化学デバイスの性能を低下させ、PF5はその強いルイス酸性から電解液溶媒の分解を加速させることが知られている。
 そのため、ヘキサフルオロ砒酸リチウムより毒性が低く、テトラフルオロホウ酸リチウムより溶解度が高く、LiPF6より熱安定性が高いイオン性錯体の開発が活発に進められており、例えばLiPF6のフッ素の一部を、フルオロアルキル基(CF3、C25)に置き換えたイオン性錯体の利用が特許文献8に、LiPF6のフッ素の一部又は全てをシュウ酸に置き換えたイオン性錯体の利用が特許文献9、非特許文献1、2に開示されている。
 以上の様に電気化学デバイスの電極表面を保護するために電解液に添加する添加剤として、又は電解液の支持電解質として利用されるイオン性錯体の中でも、特にジフルオロイオン性錯体が優れていることが近年の研究で明らかになってきている。
特開平8-045545(特許3573521)号公報 特開2002-329528(特許4190162)号公報 特開平7-176323号公報 特開2003-007334(特許3417411)号公報 特開2003-115324号公報 特開2007-335143公報 特開2011-222193(特許5573313)号公報 特開2003-17118号公報 特開2002-110235(特許3722685)号公報 特開2003-137890(特許3907446)号公報
ECS Transactions 2009, 16 (35), 3-11 Chem.Eur.J. 2004, 10, 2451-2458
 中心元素がリンで且つ配位子としてシュウ酸を有するジフルオロイオン性錯体は特許文献10に開示されている通り、LiPF6とシュウ酸を、SiCl4、BCl3又はAlCl3などの反応助剤の存在下で反応させることにより製造される。反応助剤に含まれるSi、B又はAlがFと強固な結合を形成することを利用してLiPF6からFを除去しつつ、シュウ酸をリンに配位させており、ここでLiPF6から除去されたFは廃棄せざるを得ない状態である。すなわち、Si-F、B-F及びAl-F結合は強固なため、この結合を切断しFを回収再利用するためには大きなエネルギーを必要とし、コストが見合わないため、Fを廃棄せざるを得なかった。
 また、原料となるLiPF6は三塩化リンや五塩化リンといったフッ素を含まない原料をフッ素化することによって製造されている。ジフルオロイオン性錯体を合成する過程で、LiPF6からフッ素を4分子除去したうえで2分子の2座配位子を配位させることが必須であり、一度リンに結合させたフッ素を取り除くことになり、フッ素利用効率が極めて低くなっている。
 以上の様な、反応助剤の使用、除去したフッ素(Si、B、Alのフッ化物)の廃棄/無害化処理、フッ素の利用効率の低さが製造コストの上昇の一因となるだけでなく、反応助剤、又は反応助剤と原料配位子との反応生成物が残留塩素成分として反応液中に残留し、ジフルオロイオン性錯体を電気化学デバイスの電極表面を保護するために電解液に添加される添加剤として、又は電解液の支持電解質として用いた場合に、その残留塩素成分が電気化学デバイス構成部品の腐食を引き起こす原因となっており、反応助剤を使用しない、そしてフッ素利用効率の高い合成法が強く望まれていた。
 本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、反応助剤の使用無しに、高いフッ素利用効率にて廃棄物が少ないだけでなく、残留塩素成分も少ないジフルオロイオン性錯体の製造方法を提供することを目的とする。
 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、2座配位子が3分子配位した6配位イオン性錯体を選択的にフッ素化することで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明では、以下のようなものを提供する。
 本発明は、下記一般式(1)で表される2座配位子が3分子配位した6配位イオン性錯体にフッ素を導入する工程を含む、下記一般式(2)で表されるジフルオロイオン性錯体の製造方法を提供する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 一般式(1)、(2)において、A+は金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれるいずれか1つであり、MはP、As及びSbからなる群から選ばれるいずれか1つである。Fはフッ素原子である。Oは酸素原子である。
Yは炭素原子又は硫黄原子である。Yが炭素原子である場合qは1である。Yが硫黄原子である場合qは1又は2である。
Wは炭素数1~10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)、又は-N(R1)-を表す。このとき、R1は水素原子、アルカリ金属、炭素数1~10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R1は分岐鎖又は環状構造をとることもできる。Zは炭素原子である。pは0又は1、qは0~2の整数、rは0~2の整数、sは0又は1をそれぞれ表し、p+r≧1である。
 前記6配位イオン性錯体(1)、並びにジフルオロイオン性錯体(2)のアニオン部分の各元素が(a)、(b)、(c)から選ばれる少なくとも一つの組み合わせであることが好ましい。
(a)M=P、Y=C、p、q、s=1、r=0
(b)M=P、W=C(CF32、p、q=0、r、s=1
(c)M=P、W=C(CF32、p、q、s=0、r=2
 前記フッ素化剤がイオン性フッ化物であることが好ましく、前記フッ素化剤が、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素過剰の有機アミンフッ化水素塩、フッ化水素からなる群より選ばれる一つ以上であることが好ましい。また、前記フッ素化剤の当量が、前記6配位イオン性錯体(1)に対して1.5から50モル当量であることが好ましい。
 特に、前記フッ素化剤がフッ化水素を含み、前記フッ素化剤としてのフッ化水素の当量が前記6配位イオン性錯体(1)に対して1.5から50モル当量であることが好ましい。
 フッ素化時に前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸を添加することが好ましく、前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸が、硫酸、フルオロ硫酸、塩化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、p-トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、三塩化アルミニウム、五塩化ニオブ、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩からなる群より選ばれる1つ以上であることが好ましい。前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸の当量が前記6配位イオン性錯体(1)に対して0.001~2.0モル当量であることが好ましい。
 特に、前記フッ素化剤以外の酸がトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1つ以上であり、前記フッ素化剤以外の酸の当量が前記6配位イオン性錯体(1)に対して0.001~2.0モル当量であることが好ましい。また、前記フッ素化剤がフッ化水素であり、フッ素化剤以外の酸がトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1つ以上であることが好ましい。
 フッ素化時に前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸が添加され、前記フッ素化剤に、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化アンモニウムからなる群より選ばれる一つ以上が含まれることが好ましい。
 非水溶媒が炭酸エステル類、エステル類、ケトン類、ラクトン類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、スルホン類からなる群より選ばれる一つ、又はこれらの混合物であることが好ましく、前記非水溶媒が炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホランからなる群より選ばれる一つ、又はこれらの混合物であることが好ましい。
 フッ素化を-60℃~150℃の温度で実施することが好ましく、フッ素化後に減圧操作を行うことが好ましい。特に、前記6配位イオン性錯体(1)と前記ジフルオロイオン性錯体(2)の配位子がシュウ酸であり、フッ素化後の減圧操作にて析出したシュウ酸をろ過にて分離することが好ましい。
 本発明は、2座配位子が3分子配位した6配位イオン性錯体を選択的にフッ素化することで、従来のようなSiCl4、BCl3又はAlCl3などの反応助剤を使用しないため、反応助剤と反応したフッ素を廃棄する必要がなく、高いフッ素利用効率にて廃棄物が少ないだけでなく、塩素を含む反応助剤を使用しないため残留塩素成分も少ないジフルオロイオン性錯体の製造方法を提供することができる。
詳細な説明
 以下に、本発明をより詳細に説明する。
 本発明は、下記一般式(1)で表される2座配位子が3分子配位した6配位イオン性錯体(以下、6配位イオン性錯体(1)と呼ぶことがある)にフッ素を導入する工程を含む、下記一般式(2)で表されるジフルオロイオン性錯体(以下、ジフルオロイオン性錯体(2)と呼ぶことがある)の製造方法である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 一般式(1)、(2)において、A+は金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれるいずれか1つであり、非水電解液電池中でのイオン伝導を助ける役割をするという観点から、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又は4級アルキルアンモニウムイオンが好ましい。4級アルキルアンモニウムイオンとしては、特に限定はされないが、例えばトリメチルプロピルアンモニウムや、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムが挙げられる。
 一般式(1)、(2)において、MはP、As及びSbからなる群から選ばれるいずれか1つである。Fはフッ素原子である。Oは酸素原子である。
Yは炭素原子又は硫黄原子である。Yが炭素原子である場合qは1である。Yが硫黄原子である場合qは1又は2である。
Wは炭素数1~10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)、又は-N(R1)-を表す。このとき、R1は水素原子、アルカリ金属、炭素数1~10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R1は分岐鎖又は環状構造をとることもできる。Zは炭素原子である。pは0又は1、qは0~2の整数、rは0~2の整数、sは0又は1をそれぞれ表し、p+r≧1である。
 前記6配位イオン性錯体(1)、並びにジフルオロイオン性錯体(2)のアニオン部分の各元素が(a)、(b)、(c)から選ばれる少なくとも一つの組み合わせであることが好ましい。
(a)M=P、Y=C、p、q、s=1、r=0  シュウ酸
(b)M=P、W=C(CF32、p、q=0、r、s=1 ヘキサフルオロヒドロキシイソ酪酸
(c)M=P、W=C(CF32、p、q、s=0、r=2 パーフルオロピナコール
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 6配位イオン性錯体(1)を非水溶媒に溶解、又は懸濁させた後、6配位イオン性錯体(1)に対して1.5倍モル以上50倍モル以下のフッ素化剤を使用して選択的にフッ素化することによりジフルオロイオン性錯体(2)が得られる。この時、フッ素化剤の使用量は1.8~40倍モルが好ましく、2.0~20倍モルが更に好ましい。
 フッ素化剤としては、非水溶媒に添加した際に、フッ化物イオンを生じるイオン性フッ化剤が使用可能であり、中でも酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素過剰の有機アミンフッ化水素塩、フッ化水素などの酸性のものが好ましく、反応速度が速いことからフッ化水素が更に好ましい。
 フッ素化時に、フッ素化剤以外に酸又はルイス酸を添加してもよい。酸、又はルイス酸を添加することでフッ素化剤を用いたフッ素導入時の反応速度を向上させることが可能である。ここでは、フッ素化剤以外の酸(プロトン酸又はブレンステッド酸)として、硫酸、フルオロ硫酸、塩化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、p-トルエンスルホン酸を使用でき、フッ素化剤以外のルイス酸として、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、三塩化アルミニウム、五塩化ニオブ、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩(カチオンはLi、Na、K、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y)を使用することが出来る。特に、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸を用いることが、反応速度を向上させる効果が大きいため好ましい。
 フッ素化剤以外の酸又はルイス酸の当量が、6配位イオン性錯体(1)に対して0.001~2.0モル当量であることが好ましい。フッ素化剤以外の酸又はルイス酸の量が少なすぎると、反応速度を向上させる効果が小さく、量が多すぎると、コストが上がるだけでなく、生成物の分解が進行する。
 酸、又はルイス酸を添加することで、前述の酸性のフッ素化剤以外の使用も可能であり、この場合にはフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化ニッケル、フッ化カルシウム、フッ化アンチモン、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化マンガン、フッ化イッテルビウム、フッ化ハフニウム、フッ化コバルト、フッ化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド等が用いられ、中でもフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ニッケル、フッ化コバルト、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化マンガン、フッ化アンモニウムが好ましく、更には、選択性の観点から、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化アンモニウムが好ましい。
 以上に述べた合成法に用いられる非水溶媒は、原料となる6配位イオン性錯体(1)を極微量でも溶解させるもので、系内の化合物と反応を起こさないものが良く、好ましくは比誘電率2以上のものが良い。ここで全く溶解度の無い非水溶媒を用いた場合、フッ素化が非常に遅くなるため好ましくない。僅かにでも溶解度があれば、目的のジフルオロイオン性錯体(2)の溶解度が高いため反応は進行する。例えば、炭酸エステル類、エステル類、ケトン類、ラクトン類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、スルホン類等が使用でき、単一の溶媒だけでなく二種類以上の混合溶媒でも良い。
 非水溶媒の具体例としては炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることが出来、中でも沸点が120℃以下の溶媒が好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、アセトニトリルが更に好ましい。
 フッ素化剤を用いたフッ素導入時の反応温度は-60℃~150℃、好ましくは-20~120℃である。-60℃より低い温度ではフッ素導入が充分に進行せず、150℃以上では原料となる6配位イオン性錯体(1)又は、生成物であるジフルオロイオン性錯体(2)の分解が起こる可能性がある。充分なフッ素導入速度を得つつ、分解を起こさないためには-20~120℃の範囲が最適である。
 また、反応時間は、反応速度に応じて適宜選択することができるが、長期間装置を占有することは生産コストの上昇につながるため、現実的には72時間以下にすることが好ましい。さらに、系全体の反応を進行させるために、反応中は溶液を攪拌することが好ましい。
 フッ素化後に、残留遊離酸濃度を低減させるために減圧操作を行い、さらに必要に応じて、析出物をろ過にて取り除くことが好ましい。この際、非水溶媒の一部も留去されるため、生成物であるジフルオロイオン性錯体(2)の濃度は濃縮される。減圧操作には、真空ポンプ、アスピレータなどを用いることができる。減圧操作は、反応器を密閉状態としてから、系内を大気圧以下の圧力に保持することにより行う。系内の圧力は、精製対象の液体の温度と蒸気圧によって変わるため、一概には言えないが、減圧は、槽内の真空度が、絶対圧で80kPa以下に保持することが好ましい。保持する圧力が80kPa超では、残留遊離酸濃度が所望の濃度以下になるまで排除するのに長時間を要するため、好ましくない。また、保持する圧力が50kPa以下であると、分解反応物と未反応精製剤を低濃度まで排除できるため、さらに好ましい。なお、装置の負担を考えると、絶対圧を20kPa以上とすることが好ましい。特に、前記6配位イオン性錯体(1)と前記ジフルオロイオン性錯体(2)の配位子がシュウ酸である場合、フッ素化後に減圧操作を行い、溶媒の一部を留去してジフルオロイオン性錯体(2)を濃縮する際に析出したシュウ酸をろ過にて分離することが好ましい。
 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は係る実施例により限定されるものではない。
 いずれも原料や生成物の取り扱いは、露点が-50℃以下の窒素雰囲気下にて行った。また、使用する硝子製反応器、フッ素樹脂製反応器は、150℃で12時間以上乾燥させた後に、露点が-50℃以下の窒素気流下で室温まで冷却させたものを用いた。
 [実施例1-1]
 非特許文献2に開示された方法に従って、シュウ酸が3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリスオキサラトリン酸リチウム(1a-Li)を得た。500mLフッ素樹脂製反応器に(1a-Li)(30g、99.4mmol)を加え、非水溶媒としてエチルメチルカーボネート(以下EMC)(120mL)を追加して溶解させた後、フッ素化剤としてフッ化水素(以下HF)(3.6g、178.8mmol、1.8モル当量)を添加した。25℃にて24時間攪拌させた後、25℃にて絶対圧50~80kPaに減圧し、残留するHFを除去すると同時に非水溶媒の一部を留去してイオン性錯体の濃縮を行った。析出したシュウ酸をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P-NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするシュウ酸が2配位したジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は25.0%、選択率は98.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
    変換率[%] = 目的物モル%
    選択率[%] = 変換率/(100-残留原料モル%) ×100
 [実施例1-2]
 HFの添加量を(4.0g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は29.6%、選択率は93.4%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例1-3]
 反応時間を24時間から72時間へ変更した以外は実施例1-2と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は37.7%、選択率は95.7%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例1-4]
 温度を25℃から40℃へ変更した以外は実施例1-3と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は50.5%、選択率は94.7%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例1-5]
 温度を25℃から80℃へ変更した以外は実施例1-2と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は51.3%、選択率は94.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例1-6]
 HFの添加量を(11.9g、596.2mmol、6.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は71.0%、選択率は95.4%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例1-7]
 反応時間を24時間から48時間へ変更した以外は実施例1-6と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は90.0%、選択率は95.2%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例1-8]
 HFの添加量を(19.9g、993.6mmol、10.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は92.3%、選択率は93.2%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例1-9]
 HFの添加量を(39.7g、1987.2mmol、20.0モル当量)へ、反応時間を3時間へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は93.4%、選択率は94.3%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、4000質量ppmであった。EMC30mLを加え、再度減圧濃縮にて追加分の30mLを留去したところ、残留遊離酸濃度は2000質量ppmまで低下した。
 [実施例1-10]
 HFの添加量を(79.5g、3974.4mmol、40.0モル当量)へ、反応時間を1時間へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は91.0%、選択率は95.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、7000質量ppmであった。EMC30mLを加え、再度減圧濃縮にて追加分の30mLを留去したところ、残留遊離酸濃度は3000質量ppmまで低下した。
 [実施例1-11]
 フッ素化剤をトリエチルアミン三フッ化水素塩(32.0g、198.7mmol、2.0モル当量)に変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は21.2%、選択率は91.2%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、6000質量ppmであった。EMC30mLを加え、再度減圧濃縮にて追加分の30mLを留去したところ、残留遊離酸濃度は3000質量ppmまで低下した。
 [実施例1-12]
 フッ素化剤をトリエチルアミン三フッ化水素塩(96.1g、596.2mmol、6.0モル当量)に変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は63.1%、選択率は83.5%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、15000質量ppmであった。EMC30mLを加え、再度減圧濃縮にて追加分の30mLを留去したところ、残留遊離酸濃度は6000質量ppmまで低下した。
 [実施例1-13]
 フッ素化剤を酸性フッ化カリウム(15.5g、198.7mmol、2.0当量)に変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は13.6%、選択率は94.4%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、5000質量ppmであった。
 [実施例1-14]
 フッ素化剤を酸性フッ化カリウム(46.6g、596.2mmol、6.0当量)に変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は29.5、選択率は87.5%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、10000質量ppmであった。
 以上の実施例1-1~1-14の内容を以下の表1(条件)、表2(結果)に示す。表1において、3分子配位体(1)とは2座配位子が3分子配位した6配位イオン性錯体(1)を、Et3N・3HFはトリエチルアミン三フッ化水素塩、KF・HFは酸性フッ化カリウムを表す。なお、遊離酸濃度における、「4000→2000」等は、再度の減圧除去を行い、遊離酸濃度を減少させたことを意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 以上の結果をまとめる。フッ素化剤HFのモル当量が1.8、又は2.0で、温度25℃の場合は24時間後に目的物(2a-Li)の生成は確認できるものの、その変換率は25.0~29.6%であった(実施例1-1、1-2)。それに対して、HF2.0モル当量、温度25℃にて、72時間まで延長させた場合、(2a-Li)への変換率は37.7%と向上が見られた(実施例1-3)。更にそこから温度を40℃まで上げた結果、変換率は50.5%まで向上した(実施例1-4)。24時間のままで温度を80℃に上げた場合も、ほぼ同程度の変換率51.3%となった。(実施例1-5)
 以上の通り、HF1.8~2.0モル当量では変換率50%程度までしか上昇しなかった。そこで、HFのモル当量を増加させて反応を実施した。HF6.0、10.0モル当量にて、温度25℃、24時間では、それぞれ変換率は71.0%、92.3%と大幅に向上が見られた(実施例1-6、1-8)。HF6.0モル当量、温度25℃でも、48時間まで延長させることで変換率はHF10.0モル当量と同程度の90.0%まで向上した(実施例1-7)。更にHFのモル当量を増やすにつれて、反応速度は向上し、HF20.0モル当量では3時間にて変換率93.4%(実施例1-9)、HF40.0モル当量では1時間にて変換率91.0%(実施例1-10)となった。
 使用するフッ素化剤をHFからトリエチルアミン三フッ化水素塩に変更してフッ素化を行った結果、目的物(2a-Li)の生成は確認できるものの、HFの場合に比べて変換率と選択率の低下が見られた。トリエチルアミンの影響によって目的物以外のリン酸フッ素化物の生成が進行したと思われる(実施例1-11、1-12)。
 使用するフッ素化剤をHFから酸性フッ化カリウムに変更してフッ素化を行った結果、目的物(2a-Li)の生成は確認できるものの、HFの場合に比べて変換率の低下が見られた。(実施例1-13、1-14)。このことから、酸性フッ化カリウム中のフッ化カリウム成分は反応を加速させる効果は低いと考えられる。
 また、実施例1-1~1-14においては原料に塩化物が含まれないことから、残留塩素濃度は何れも100質量ppm未満であった。HFの添加量が特に多い実施例1-9、1-10にて残留遊離酸濃度が上昇する結果となり、再度の減圧除去を行った。また、トリエチルアミン三フッ化水素塩を使用した系では、HFのみの系に比べて残留する遊離酸が多い結果となった。
 [実施例2-1]
 非特許文献2に開示された方法に従って、シュウ酸が3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリスオキサラトリン酸リチウム(1a-Li)を得た。この(1a-Li)(30g、99.4mmol)をEMC(120mL)に溶解させ、HF(4.0g、198.7mmol、2.0モル当量)を加えた後、反応を加速させるための酸として塩化水素(以下HCl)(7.3g、198.7mmol、2.0モル当量)を添加した。25℃にて3時間攪拌させた後、減圧にて残留するHFと添加した酸の除去と濃縮を行った。析出したシュウ酸をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P-NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするシュウ酸が2分子配位したジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は42.6%、選択率は80.4%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-2]
 反応時間を3時間から24時間へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は72.8%、選択率は80.5%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-3]
 酸をHClからトリフルオロメタンスルホン酸(以下TfOH)(0.3g、2.0mmol、0.02モル当量)へ、反応時間を3時間から6時間へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は93.2%、選択率は94.1%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2500質量ppmであった。
 [実施例2-4]
 酸をHClからTfOH(0.3g、2.0mmol、0.02モル当量)へ、反応時間を3時間から24時間へ、反応温度を25℃から0℃へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は94.2%、選択率は95.2%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2500質量ppmであった。
 [実施例2-5]
 酸をHClからTfOH(0.3g、2.0mmol、0.02モル当量)へ、反応時間を3時間から1時間へ、反応温度を25℃から40℃へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は91.2%、選択率は92.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2500質量ppmであった。
 [実施例2-6]
 酸をHClからTfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)へ、反応時間を3時間から72時間へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は95.2%、選択率は96.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-7]
 酸をHClからトリフルオロ酢酸(以下TFA)(0.1g、1.0mmol、0.01モル当量)へ変更した以外は実施例2-2と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は35.6%、選択率は97.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-8]
 酸をHClからTFA(1.1g、9.9mmol、0.1モル当量)へ変更した以外は実施例2-2と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は53.2%、選択率は96.6%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2500質量ppmであった。
 [実施例2-9]
 フッ素化剤をHFからフッ化リチウム(以下LiF)(5.2g、198.7mmol、2.0モル当量)へ、酸をHClからTfOH(29.8g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例2-2と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は30.2%、選択率は95.2%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、4000質量ppmであった。
 [実施例2-10]
 フッ素化剤をHFからフッ化ナトリウム(以下NaF)(8.3g、198.7mmol、2.0モル当量)へ、酸をHClからTfOH(29.8g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例2-2と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は30.9%、選択率は94.3%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、4000質量ppmであった。
 [実施例2-11]
 フッ素化剤をHFからフッ化カリウム(以下KF)(11.5g、198.7mmol、2.0モル当量)へ、酸をHClからTfOH(29.8g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例2-2と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は32.1%、選択率は94.8%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、4000質量ppmであった。
 [実施例2-12]
 酸をHClからTfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)へ、反応時間を3時間から72時間へ、溶媒をEMCからジメチルカーボネート(以下DMC)へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は94.9%、選択率は95.7%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-13]
 酸をHClからTfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)へ、反応時間を3時間から72時間へ、溶媒をEMCからジエチルカーボネート(以下DEC)へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は93.5%、選択率は94.6%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2500質量ppmであった。
 [実施例2-14]
 酸をHClからTfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)へ、反応時間を3時間から72時間へ、溶媒をEMCからテトラヒドロフラン(以下THF)へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は92.2%、選択率は93.9%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-15]
 酸をHClからTfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)へ、反応時間を3時間から72時間へ、溶媒をEMCから酢酸エチル(以下AcOEt)へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は91.1%、選択率は92.2%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-16]
 酸をHClからTfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)へ、反応時間を3時間から72時間へ、溶媒をEMCからアセトニトリル(以下CH3CN)へ変更した以外は実施例2-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は90.5%、選択率は92.3%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、3000質量ppmであった。
 [実施例2-17]
 非特許文献2に開示された方法に従って、シュウ酸が3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリスオキサラトリン酸リチウム(1a-Li)を得た。ダウケミカル製強酸性陽イオン交換樹脂252(以後、イオン交換樹脂)を500g量り取り、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液(2.5kg)に浸漬させ、25℃で6時間攪拌を行った。ろ過でイオン交換樹脂を回収し、洗液のpHが8以下になるまで純水で充分に洗浄した。その後、12時間の減圧乾燥(120℃、1.3kPa)にて水分を除去した。(1a-Li)(30g、99.4mmol)をEMC(270mL)に溶解させ、そこに150gの乾燥済み前記イオン交換樹脂を加え、25℃にて6時間攪拌を行った。その後、ろ過にてイオン交換樹脂を取り除くことで、カチオンがLi+からNa+へ交換された(1a-Na)/EMC溶液が得られた。イオンクロマトグラフィーにてカチオンの定量を行うと、Na+/Li+の比率は99.5であった。
 (1a-Na)/EMC溶液の塩濃度が約20質量%となるまで、減圧濃縮を行った。その後、HF(4.0g、198.7mmol、2.0モル当量)と、TfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)を添加した。温度25℃にて72時間攪拌させた後、減圧にて残留するHFと添加した酸の除去と濃縮を行った。析出したシュウ酸をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P-NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするジフルオロイオン性錯体(2a-Na)への変換率は94.8%、選択率は96.0%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Na)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、2000質量ppmであった。
 [実施例2-18]
 非特許文献2に開示された方法に従って、シュウ酸が3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリスオキサラトリン酸リチウム(1a-Li)を得た。この(1a-Li)(30g、99.4mmol)をEMC(150mL)に溶解させ、そこにトリメチルプロピルアンモニウムクロリド(14.4g、104.4mmol)を加えて45℃にて6時間攪拌を行った。5℃まで冷却した後に不溶解物をろ過で取り除くことでカチオンがLi+からトリメチルプロピルアンモニウムカチオン(以下、TMPA)へ交換された(1a-TMPA)/EMC溶液が得られた。イオンクロマトグラフィーにてカチオンの定量を行ったところTMPA/Li+の比率は98.4であった。
(1a-TMPA)/EMC溶液へ、HF(4.0g、198.7mmol、2.0モル当量)と、TfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)を添加した。温度25℃にて72時間攪拌させた後、減圧にて残留するHFと添加した酸の除去と濃縮を行った。析出したシュウ酸をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P-NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするジフルオロイオン性錯体(2a-TMPA)への変換率は90.1%、選択率は93.5%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-TMPA)を基準としてそれぞれ200質量ppm、2000質量ppmであった。
 [実施例2-19]
 非特許文献2に開示された方法を参考に、ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシイソ酪酸が3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリス(ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシイソブチラト)リン酸リチウム(1b-Li)を得た。この(1b-Li)(66.4g、99.4mmol)をEMC(150mL)に溶解させ、HF(4.0g、198.7mmol、2.0モル当量)と、TfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)を添加した。温度25℃にて72時間攪拌させた後、減圧にて残留するHFとヘキサフルオロ-2-ヒドロキシイソ酪酸と添加した酸の除去と濃縮を行った。析出した固体をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P-NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするヘキサフルオロ-2-ヒドロキシイソ酪酸が2分子配位したジフルオロイオン性錯体(2b-Li)への変換率は92.1%、選択率は94.5%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2b-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、20000質量ppmであった。
 [実施例2-20]
 非特許文献2に開示された方法を参考に、パーフルオロピナコールが3分子配位した6配位イオン性錯体であるトリス(テトラトリフルオロメチルエタンジオラト)リン酸リチウム(1c-Li)を得た。この(1c-Li)(102.7g、99.4mmol)をEMC(200mL)に溶解させ、HF(4.0g、198.7mmol、2.0モル当量)と、TfOH(0.03g、0.2mmol、0.002モル当量)を添加した。温度25℃にて72時間攪拌させた後、減圧にて残留するHFとパーフルオロピナコールと添加した酸の除去と濃縮を行った。析出した固体をろ過にて取り除いた後に、変換率と選択率をF、P-NMRにて、残留塩素濃度を硝酸銀滴定にて、残留遊離酸濃度を遊離酸滴定により求めた結果、目的とするパーフルオロピナコールが2分子配位したジフルオロイオン性錯体(2c-Li)への変換率は90.5%、選択率は91.6%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2c-Li)を基準としてそれぞれ100質量ppm未満、10000質量ppmであった。
 以上の実施例2-1~2-20の内容を以下の表3(条件)、表4(結果)に示す。表3において、HHIBはヘキサフルオロ-2-ヒドロキシイソ酪酸を、PFPはパーフルオロピナコールを表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 以上の結果をまとめる。HFを過剰に用いることで高い変換率で3分子配位体(1a-Li)のフッ素化が進行することが明らかになった。過剰のHFにより反応液中のプロトン濃度が上昇し、それによって反応速度が向上したと推測できるため、より解離度の高い酸の添加を試みた。HF2.0モル当量に加えてHCl2.0モル当量を添加してフッ素化反応を行ったところ、25℃3時間で変換率42.6%、24時間で72.8%となった(実施例2-1、2-2)。HClを使用しない実施例1-2の結果と比較して大幅に反応速度が向上したことが分かる。但し、HClが引き起こす副反応により選択率の低下が見られるため、より効果的な酸の探索を行うこととした。
 酸をTfOHに換えてフッ素化を行った結果、0.02モル当量でも極めて高い添加効果が見られ、25℃6時間で変換率93.2%(実施例2-3)、40℃1時間で変換率91.2%(実施例2-5)であり、0℃においても24時間まで延長させることで変換率94.2%(実施例2-4)となった。更に添加量を削減したTfOH0.002モル当量においても、時間を72時間まで延長させることで、選択率を低下させること無く変換率を95.2%まで向上させることができた(実施例2-6)。
 次に、酸をTFAに換えてフッ素化を行った結果、25℃24時間の条件において0.01モル当量では変換率35.6%(実施例2-7)、0.1モル当量では変換率53.2%(実施例2-8)となり、TFA無しに比べると向上は見られたものの、TfOH程の効果は得られなかった。
 フッ素化剤を金属フッ化物(LiF、NaF、KF)に変更し、TfOHの存在下でフッ素化反応を行った。その結果変換率30%程度で目的物(2a-Li)が得られた(実施例2-9、2-10、2-11)。これは、TfOHを使用せずにHFのみを2.0モル当量使用した実施例1-2の結果から僅かではあるが向上が見られる。TfOHによって金属フッ化物がプロトン化されて、2.0モル当量のHFが系内で発生し、それによりフッ素化が進行したと考えられるが、そこにトリフルオロメタンスルホン酸塩がルイス酸効果を発揮した結果として変換率が向上した可能性が高い。
 HF2.0モル当量、TfOH0.002モル当量、25℃72時間の条件にて、溶媒をEMCから変更してフッ素化反応を実施した。その結果、変換率はDMC、DECではEMCと同等(実施例2-12、2-13)であり、THF、AcOEt、CH3CNではEMCに比べて若干低下した(実施例2-14、2-15、2-16)ものの、何れも変換率90%以上であった。
 原料のカチオンがLi+からNa+に換わった(1a-Na)や、TMPAに換わった(1a-TMPA)を使用し、HF2.0モル当量、TfOH0.002モル当量、25℃72時間の条件でフッ素化を行った結果、問題なく反応は進行し、(2a-Na)が変換率94.8%(実施例2-17)で、(2a-TMPA)が変換率90.1%(実施例2-18)で得られた。
 原料の配位子がシュウ酸からHHIBに換わった(1b-Li)や、PFPに換わった(1c-Li)を使用し、HF2.0モル当量、TfOH0.002モル当量、25℃72時間の条件でフッ素化を行った結果、問題なく反応は進行し、(2b-Li)が変換率92.1%(実施例2-19)で、(2c-Li)が変換率90.5%(実施例2-20)で得られた。
 以上の通り、酸を添加することでHFによるフッ素化速度が大幅に向上することが明らかになった。また、カチオンがLi+からNa+やTMPAへ、配位子がシュウ酸からHHIBやPFPに換わっても効率的に目的物であるジフルオロイオン性錯体を得ることが出来た。
 残留塩素濃度は実施例2-18を除いて100質量ppm未満であった。実施例2-18の残留塩素濃度が200質量ppmとなっているのは、原料である3分子配位体(1a-TMPA)を合成する際に使用した塩化物からの持込であると思われる。
 残留遊離酸濃度は、配位子がシュウ酸である場合、酸の添加量が多い系(実施例2-9、2-10、2-11)にて4000質量ppmまでの上昇が見られたのと、溶媒がCH3CNの系(実施例2-16)にて3000質量ppmとなった以外は2000~2500質量ppmであった。配位子がHHIBの場合、残留遊離酸濃度が20000質量ppmと極めて高くなった。これはHHIBの高い溶解度により濃縮、ろ過操作にて充分に除去することができなかったためである。同様に高い溶解度を有するPFPの場合も残留遊離酸濃度は10000質量ppmと高い値となった。PFPはHHIBに比べて揮発性が高いため、濃縮時に一部留去されたものと考えられる。
 [比較例1-1]
 特許文献10に記載された方法を参考に反応を実施した。LiPF6(20.0g、132.0mmol)とEMC110mL、そしてシュウ酸(11.9g、132.0mmol)を容積500mLの硝子製フラスコに加えた。このとき、LiPF6は完全に溶解したが、シュウ酸の大部分は溶け残っていた。40℃撹拌下、四塩化ケイ素(13.4g、79mmol)をフラスコ内へ1.5時間かけて滴下した後、撹拌を2.5時間継続した。続いて、減圧にてテトラフルオロシラン及び塩酸を除去し、不溶解物をろ過にて取り除いた後に、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を得た。ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)への変換率は92.5%、選択率は92.5%であり、残留塩素濃度と残留遊離酸濃度は、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)を基準としてそれぞれ1500質量ppm、2000質量ppmであった。
 [比較例1-2]
 フッ素化剤をHFからフッ化リチウム(以下LiF)(5.2g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)の生成は確認できなかった。
 [比較例1-3]
 フッ素化剤をHFからフッ化ナトリウム(以下NaF)(8.3g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)の生成は確認できなかった。
 [比較例1-4]
 フッ素化剤をHFからフッ化カリウム(以下KF)(11.5g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)の生成は確認できなかった。
 [比較例1-5]
 フッ素化剤をHFから濃度1mol/Lのテトラブチルアンモニウムフルオリド/THF溶液(199mL、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)の生成は確認できなかった。
 [比較例1-6]
 フッ素化剤をHFからトリエチルアミンフッ化水素塩(24.1g、198.7mmol、2.0モル当量)へ変更した以外は実施例1-1と同じ手順にて反応を行った結果、ジフルオロイオン性錯体(2a-Li)の生成は確認できなかった。
 以上の比較例1-1~1-6の内容を以下の表5(条件)、表6(結果)に示す。表5において、TBAFはテトラブチルアンモニウムフルオリドを表し、Et3N・3HFはトリエチルアミン三フッ化水素塩を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 比較例1-2~1-6は非酸性条件にてフッ素化を試みたものであるが、何れも目的物(2a-Li)の生成は確認できず、3分子配位体のフッ素化にはプロトン酸、又はルイス酸の助けが必要であることは明らかである。また、比較例1-1は特許文献10に開示された手法にて実施したものであるが、変換率、選択率は3分子配位体をフッ素化した結果(実施例2-6)から若干の低下が見られる上、塩素濃度は1500質量ppmと大幅に高くなった。

Claims (17)

  1. 一般式(1)で示される6配位イオン性錯体(1)を非水溶媒中でフッ素化剤によりフッ素化することを特徴とする、一般式(2)で示されるジフルオロイオン性錯体(2)の製造方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
     一般式(1)、(2)において、A+は金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれるいずれか1つであり、MはP、As及びSbからなる群から選ばれるいずれか1つである。Fはフッ素原子である。Oは酸素原子である。
    Yは炭素原子又は硫黄原子である。Yが炭素原子である場合qは1である。Yが硫黄原子である場合qは1又は2である。
    Wは炭素数1~10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)、又は-N(R1)-を表す。このとき、R1は水素原子、アルカリ金属、炭素数1~10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R1は分岐鎖又は環状構造をとることもできる。Zは炭素原子である。pは0又は1、qは0~2の整数、rは0~2の整数、sは0又は1をそれぞれ表し、p+r≧1である。
  2. 前記6配位イオン性錯体(1)と前記ジフルオロイオン性錯体(2)の各元素が下記の(a)、(b)、(c)から選ばれる少なくとも一つの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
    (a)M=P、Y=C、p、q、s=1、r=0
    (b)M=P、W=C(CF32、p、q=0、r、s=1
    (c)M=P、W=C(CF32、p、q、s=0、r=2
  3. 前記フッ素化剤がイオン性フッ化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記フッ素化剤が、酸性フッ化カリウム、酸性フッ化ナトリウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化水素過剰の有機アミンフッ化水素塩、フッ化水素からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記フッ素化剤の当量が、前記6配位イオン性錯体(1)に対して1.5から50モル当量であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記フッ素化剤がフッ化水素を含み、
    前記フッ素化剤としてのフッ化水素の当量が前記6配位イオン性錯体(1)に対して1.5から50モル当量であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. フッ素化時に前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸を非水溶媒に添加することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸が、硫酸、フルオロ硫酸、塩化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、p-トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、三塩化アルミニウム、五塩化ニオブ、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩からなる群より選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸の当量が前記6配位イオン性錯体(1)に対して0.001~2.0モル当量であることを特徴とする請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 前記フッ素化剤以外の酸がトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1つ以上であり、前記フッ素化剤以外の酸の当量が前記6配位イオン性錯体(1)に対して0.001~2.0モル当量であることを特徴とする請求項7又は8に記載の製造方法。
  11. 前記フッ素化剤がフッ化水素であり、前記フッ素化剤以外の酸がトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  12. フッ素化時に前記フッ素化剤以外の酸又はルイス酸が添加され、
    前記フッ素化剤に、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化亜鉛、フッ化アンモニウムからなる群より選ばれる一つ以上が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  13. 前記非水溶媒が炭酸エステル類、エステル類、ケトン類、ラクトン類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、スルホン類からなる群より選ばれる一つ、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記非水溶媒が炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホランからなる群より選ばれる一つ、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. フッ素化を-60℃~150℃の温度で実施する請求項1~14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. フッ素化後に減圧操作を行うことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 前記6配位イオン性錯体(1)と前記ジフルオロイオン性錯体(2)の配位子がシュウ酸であり、フッ素化後の減圧操作にて析出したシュウ酸をろ過にて分離することを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の製造方法。
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