WO2016024320A1

WO2016024320A1 - トラクタ

Info

Publication number: WO2016024320A1
Application number: PCT/JP2014/071221
Authority: WO
Inventors: 新古忠之; 久保昭博
Original assignee: ヤンマー株式会社
Priority date: 2014-08-11
Filing date: 2014-08-11
Publication date: 2016-02-18

Abstract

同乗者が腰を掛けることができる後輪フェンダを備えたトラクタを提供すること。デファレンシャルケース（５）に左右一対のリヤアクスルケース（１１，１１）を左右外側方へ向けて突設し、両リヤアクスルケース（１１，１１）間に背面視門型に形成されたロプスフレーム（５０）を跨架状に立設したトラクタであって、ロプスフレーム（５０）立上がり部からリヤアクスルケース（１１）の直上方に向けて板状の支持体を延設するとともに、リヤアクスルケース（１１）の上面部に支持体を重合状態に載置して取り付け、支持体上には支持構成体を上方へ向けて立設状に取り付けて、支持構成体により後輪フェンダ（４０）を支持させた。

Description

トラクタ

　本発明は、トラクタ、詳しくは、着座可能な後輪フェンダを備えたトラクタに関する。

　従来、トラクタの一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、デファレンシャルケースに左右一対のリヤアクスルケースを左右外側方へ向けて突設し、各リヤアクスルケースの外側端部には後輪軸を介して後輪を取り付けるとともに、両リヤアクスルケース間には背面視門型に形成されたロプスフレームを跨架上に立設し、ロプスフレームの左・右側立上がり部にはそれぞれ連結ブラケットを介して左右一対の後輪フェンダを取り付けた構造が開示されている。そして、各後輪フェンダは、左右方向に側面を向けた薄肉板状の立上がり面部と、立上がり面部の上端縁部から外側方へ延出させて形成した薄肉板状の上面部とから形成し、各後輪フェンダの立上がり面部により各後輪の内側方を被覆するとともに、各後輪フェンダの上面部により各後輪の上方を被覆して、後輪からの飛散泥土がオペレータに付着するのを防止している。

特開平7－３０４４６７号公報

　ところが、前記した特許文献１の後輪フェンダでは、後輪からの飛散泥土がオペレータに付着するのを防止することはできるものの、後輪フェンダ上に重量物を載置して搬送することは想定されていない。そのため、後輪フェンダには、重量物を載置して搬送可能な支持強度（剛性）は確保されていない。ましてや、補助作業者等の同乗者が後輪フェンダ上に腰を掛けた場合には、後輪フェンダが損傷等される虞がある。

　そこで、本発明は、同乗者が腰を掛けることができる後輪フェンダを備えたトラクタを提供することを目的とする。

請求項１記載の発明は、
　デファレンシャルケースに左右一対のリヤアクスルケースを左右外側方へ向けて突設し、両リヤアクスルケース間に背面視門型に形成されたロプスフレームを跨架状に立設したトラクタであって、
　ロプスフレームの立上がり部からリヤアクスルケースの直上方に向けて板状の支持体を延設するとともに、リヤアクスルケースの上面部に支持体を重合状態に載置して取り付け、
　支持体上には支持構成体を上方へ向けて立設状に取り付けて、支持構成体により後輪フェンダを支持させたことを特徴とする。

　請求項１記載の発明では、ロプスフレームの立上がり部からリヤアクスルケースの直上方に向けて延設するとともに、リヤアクスルケースの上面部に重合状態に載置して取り付けた支持体上に、支持構成体を上方へ向けて立設状に取り付けて、支持構成体により後輪フェンダを支持させているため、この支持構成体により後輪フェンダの支持強度（剛性）を確保することができる。そのため、後輪フェンダ上に重量物を載置して搬送することができる。また、トラクタに同乗した補助作業者等の同乗者が後輪フェンダ上に腰を掛けたとしても、後輪フェンダが損傷等されることがない。この場合、後輪フェンダの支持強度（剛性）を十分に確保した支持構造となすことで、後輪フェンダを同乗者の腰掛けとして利用することができる。そのため、同乗者は楽な着座姿勢を採って同乗することができて、同乗者の安全性も向上させることができる。

　請求項２記載の発明は、請求項１記載の発明であって、
　支持構成体は、支持体上に面接触させて重合状態に取り付ける板状の取付体と、取付体上に立設した支持フレームと、を具備することを特徴とする。

　請求項２記載の発明では、支持構成体が、支持体上に面接触させて重合状態に取り付ける板状の取付体と、取付体上に立設した支持フレームと、を具備しているため、既設の支持体にも取付体を介して支持構成体を後付けすることができる。

　請求項３記載の発明は、請求項２記載の発明であって、
　支持構成体の一部を構成する支持フレームは、上下方向に延伸する上下方向延伸部と、上下方向延伸部から外側方へ張り出し状に延出する延出部と、延出部から前方へ延伸する前方延伸部と、延出部から後方へ延伸する後方延伸部とを具備し、
　後輪フェンダは、左右方向に側面を向けて後輪の内側方を被覆する板状の立上がり面部と、立上がり面部の上端縁部から外側方へ延出させて後輪の上方を被覆する板状の上面部とから形成して、
　支持フレームの上下方向延伸部に後輪フェンダの立上がり面部を取り付けて支持させるとともに、支持フレームの延出部及び前・後方延伸部に後輪フェンダの上面部を取り付けて支持させたことを特徴とする。

　請求項３記載の発明では、支持フレームの上下方向延伸部に後輪フェンダの立上がり面部を取り付けて支持させるとともに、支持フレームの延出部及び前・後方延伸部に後輪フェンダの上面部を取り付けて支持させているため、後輪フェンダの上面部に荷重が作用しても、後輪フェンダを介して支持フレームの上下方向延伸部、延出部、及び前・後方延伸部が一体となってこの荷重に対抗する、そのため、後輪フェンダは堅実に支持される。ここでの荷重には、同乗者が上面部に着座した際の荷重も含まれるものであり、支持フレームの上下方向延伸部、延出部、及び前・後方延伸部の剛性により許容荷重の範囲を適宜設定することができる。その結果、後輪からの飛散泥土を遮蔽する後輪フェンダの本来の機能が確保される。

　請求項４記載の発明は、請求項３記載の発明であって、
　後輪フェンダの上面部は、前後方向に延伸する載置面形成片と、載置面形成片の前端縁部から前下方へ延出させて形成した前傾斜面形成片と、載置面形成片の後端縁部から後下方へ延出させて形成した後傾斜面形成片とから形成したことを特徴とする。

　請求項４記載の発明では、後輪フェンダの上面部を、載置面形成片と前傾斜面形成片と後傾斜面形成片とから形成しているため、後輪からの飛散泥土を遮蔽する後輪フェンダの機能を確保することができるとともに、同乗者は、前後方向に延伸する載置面形成片上に座り心地良く着座することができる。

　請求項５記載の発明は、請求項４記載の発明であって、
　載置面形成片上には、その前部から後部にわたって延伸する側面視門型のガード体を立設したことを特徴とする。

　請求項５記載の発明では、載置面形成片上に、その前部から後部にわたって延伸する側面視門型のガード体を立設しているため、ガード体により載置面形成片上に着座した同乗者をガードすることができる。そのため、載置面形成片上に着座した同乗者は、トラクタが路面の凹凸により振動した場合にも、ガード体を把持することでトラクタから転落するのを防止することができて、同乗者の安全性を確保することができる。

　請求項６記載の発明は、請求項５記載の発明であって、
　支持構成体は、支持フレームから前上方へ延設して前傾斜面形成片を支持する補助支持フレームを具備し、補助支持フレームには前傾斜面形成片を介して乗降用の取っ手を取り付けたことを特徴とする。

　請求項６記載の発明では、支持フレームから前上方へ延設した補助支持フレームに前傾斜面形成片を介して乗降用の取っ手を取り付けているため、乗降時にオペレータ等は取っ手を把持することで楽に乗降することができる。この際、取っ手にはオペレータ等により荷重が作用するが、取っ手が前傾斜面形成片を介して補助支持フレームにより支持されているため、取っ手の支持強度（剛性）を十分に確保することができて、取っ手を介したオペレータ等の乗降性を良好に確保することができる。

　請求項７記載の発明は、請求項６記載の発明であって、
　補助支持フレームは、前上方に傾斜状に延伸する傾斜延伸部と、傾斜延伸部から外側方へ張り出し状に延出する補助延出部とを具備し、
　傾斜延伸部に後輪フェンダの立上がり面部を取り付けるとともに、補助延出部に後輪フェンダの前傾斜面形成片を取り付けたことを特徴とする。

　請求項７記載の発明では、補助支持フレームの傾斜延伸部に後輪フェンダの立上がり面部を取り付けるとともに、補助支持フレームの補助延出部に後輪フェンダの前傾斜面形成片を取り付けているため、補助支持フレームにより後輪フェンダの支持強度（剛性）、特に、前傾斜面形成片の支持強度（剛性）を増大させることができる。

　本発明によれば、同乗者が腰を掛けることができる後輪フェンダを備えたトラクタを提供することができる。

本実施形態に係るトラクタの側面図。本実施形態に係るトラクタの平面図。本実施形態に係るトラクタの正面図。本実施形態に係るトラクタの背面図。後輪フェンダの支持状態を示す左側面図。後輪フェンダの平面図。トラクタの拡大背面図。支持構成体の左側面説明図。支持構成体の平面説明図。支持構成体の左側後方からの斜視説明図。同乗者の後輪フェンダへの着座平面説明図。連結体の側面説明図。連結体の平面説明図。

　以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。すなわち、図１～図４を参照しながら本実施形態に係るトラクタ１の構成を概略的に説明し、その後に、図５～図１３を参照しながら本実施形態の特徴的構成について説明する。

　［トラクタの概略的構成の説明］
　トラクタ１は、図１～図４に示すように、機体フレーム２の後端部にエンジン３を取り付け、エンジン３の後端部に伝動変速ケース４を連動連結し、伝動変速ケース４の後端部にデファレンシャルケース５を連動連結している。

　機体フレーム２の下方には、左右方向に軸線を向けた円筒状のフロントアクスルケース６を取り付け、フロントアクスルケース６の中央部にベベルギヤ収容部６ａを設けて、ベベルギヤ収容部６ａ内に収容したベベルギヤ（図示せず）に、フロントアクスルケース６中に挿通した左右一対の前輪軸７,７の内側端部を連動連結する一方、前輪軸７,７の外側端部に前輪８,８を取り付けている。

　エンジン３は、その左右側方と前方と上方をボンネット９により被覆し、その後方をステアリングコラム１０により被覆している。

　伝動変速ケース４は、前後方向に軸線を向けた筒状に形成して、クラッチハウジングとトランスミッションケースを一体的に形成している。伝動変速ケース４内には、エンジン３の駆動軸と連動連結した走行用伝動軸（図示せず）及び後述するＰＴＯ軸（動力取出軸）１５を収容している。伝動変速ケース４の直上方には、運転部３０を配設している。

　デファレンシャルケース５は箱状に形成して、内部にデファレンシャルギヤ（図示せず）を収容している。デファレンシャルケース５の左右側壁には、左右方向に軸線を向けた左右一対のリヤアクスルケース１１,１１の内側端部を連通連結し、デファレンシャルギヤにリヤアクスルケース１１,１１内に挿通した後輪軸１２，１２の内側端部を連動連結する一方、後輪軸１２，１２の外側端部に後輪１３,１３を取り付けている。デファレンシャルケース５と前記したベベルギヤ収容部６ａとの間には、前後方向に延伸する伝動シャフト１４を介設して、伝動シャフト１４を介して前輪８,８を駆動可能としている。つまり、前・後輪の四輪駆動可能としている。

　デファレンシャルケース５の後上部には、図１２及び図１３に示すように、油圧ケース２０を設け、油圧ケース２０に左右一対のリフトアーム１６,１６の基端部を左右方向の軸線廻りに回動自在に枢支し、両リフトアーム１６,１６の先端部を後方へ突出するとともに、昇降回動可能となしている。デファレンシャルケース５の後壁上部には、リンク連結片２２を介して、前後方向に延伸するトップリンク１７の前端部を枢支連結する一方、デファレンシャルケース５の後壁下部には、前後方向に延伸する左右一対のロワリンク１８,１８の前端部を枢支連結し、各ロワリンク１８,１８の中途部とリフトアーム１６,１６の先端部とを、上下方向に延伸するリフトリンク１９,１９を介して連動連結している。２１はロワリンク１８の左右方向の揺動を規制する規制リンクである。

　左右一対のロワリンク１８,１８の前端部間に位置するデファレンシャルケース５の後壁下部には、トラクタ１の後方に作業機等を連結するためのヒッチ体８９を取り付けており、ヒッチ体８９は、適宜、上下位置調節可能としている。デファレンシャルケース５の後壁下部には、ＰＴＯ軸（動力取出軸）１５の先端部を後方へ向けて突出させている。ＰＴＯ軸１５の先端部には、ヒッチ体８９を介してトラクタ１に連結した作業機等を連動連結して、作業機等に動力を取り出し可能としている。つまり、トラクタ1により作業機等（例えば、耕耘装置）を牽引しながら、トラクタ１のＰＴＯ軸１５から作業機等に動力を取り出して、作業機等を駆動することで作業を行うことができる。

　運転部３０は、ステアリングコラム１０からステアリング支軸３１を後上方へ向けて突出させ、ステアリング支軸３１の上端部にステアリングホイール３２を取り付けて、ステアリングホイール３２の後方で、かつ、デファレンシャルケース５上に運転席３３を配設している。ステアリングコラム１０と運転席３３との間には、前後方向に延伸する背面視門型の被覆体３４を配設して、被覆体３４により伝動変速ケース４の上部を被覆している。被覆体３４の左右側方には、扁平板状の左・右側ステップ面部３５,３５を左右外側方へ水平張り出し状に張設して、左・右側ステップ面部３５,３５の各外側端部に乗降用の足掛かり部３６,３６を垂下状に取り付けている。ステアリングコラム１０の上端部と運転席３３の左右側方には、それぞれ変速レバー等の各種操作レバー３８を配設するとともに、左・右側ステップ面部３５,３５の前部にはアクセルペダルやブレーキペダル等の各種ペダル３９を配設している。３７はダッシュボードである。

　運転席３３の左右側方には、後輪フェンダ４０,４０を配設しており、各後輪フェンダ４０,４０は、左右方向に側面を向けて各後輪１３,１３の内側方を被覆する多角形板状の立上がり面部４１,４１と、立上がり面部４１,４１の上端縁部から外側方へ延出させて各後輪１３,１３の上方を被覆する前後方向長手四角形板状の上面部４２,４２とから形成している。

　上面部４２は、前後方向に水平に延伸する四角形板状の載置面形成片４３と、載置面形成片４３の前端縁部から前下方へ延出させて形成した四角形板状の前傾斜面形成片４４と、載置面形成片４３の後端縁部から後下方へ延出させて形成した四角形板状の後傾斜面形成片４５とから形成している。上面部４２の外側縁部、つまり、載置面形成片４３の外側縁部と、前傾斜面形成片４４の外側縁部と、後傾斜面形成片４５の外側縁部には、それぞれ垂下片４３ａ,４４ａ,４５ａを鉛直下方に垂下状に形成するとともに、これら垂下片４３ａ,４４ａ,４５ａは、前後方向に接続させて各形成片４３,４４,４５と一体成形している。４６は、前傾斜面形成片４４の外側部に取り付けて、前方へ向けて射光するフロントランプ、４７は、後傾斜面形成片４５の外側部に取り付けて、後方へ向けて射光するリヤランプである。

　このように形成した上面部４２の載置面形成片４３上には、荷物を載置することも、また、図１１に示すように補助作業者等の同乗者Ｆｐが座り心地良く着座することができる。

　左右一対のリヤアクスルケース１１,１１間には、背面視門型に形成されたロプスフレーム５０を跨架状に立設しており、ロプスフレーム５０は、下半部形成体５１の上端部に連結体５３を介して上半部形成体５２の下端部を連結して形成している。下半部形成体５１は、上下方向に延伸する左右一対の立上がり部５４,５４の下部から上下一対の支持体５５,５５，１５５，１５５を前方へ向けて突設して形成している。そして、両支持体５５,５５，１５５，１５５は、各リヤアクスルケース１１,１１に上下方向から挟持状態に連結している。つまり、両立上がり部５４,５４は、両支持体５５,５５，１５５，１５５を介して各リヤアクスルケース１１,１１に強固に立設している。

　すなわち、上側の支持体５５は、平面視五角形板状に形成して、立上がり部５４の下部に取付片１６０を介して基端部（後端部）を取り付けて、先端部（前端部）をリヤアクスルケース１１の後方からその直上方に向けて延設するとともに、リヤアクスルケース１１の上面部に上下重合状態に載置して取り付けている。つまり、本実施形態では立上がり部５４の下部から上側の支持体５５を前方へ向けて延設し、リヤアクスルケース１１の背後からその上面に支持体５５の下面を面接触させるとともに、上下方向に貫通させて螺着するボルト５６により連結して、リヤアクスルケース１１に立上がり部５４を立設している。

　下側の支持体１５５は、平面視五角形板状に形成して、立上がり部５４の下端部に取付板片１６１を介して基端部（後端部）をボルト１６２により取り付けて、先端部（前端部）をリヤアクスルケース１１の後方からその直下方に向けて延設するとともに、リヤアクスルケース１１の下面部に下側の支持体１５５を重合状態に当面接触させて取り付けている。つまり、本実施形態では立上がり部５４の下端部から下側の支持体１５５を前方へ向けて延設し、リヤアクスルケース１１の背後からその下面に下側の支持体１５５の上面を面接触させるとともに、上下方向に貫通させて螺着するボルト１５６により連結して、リヤアクスルケース１１に立上がり部５４,５４を立設している。

　上半部形成体５２は、上下方向に延伸する左右一対の起立部５７,５７の上端部間に、左右方向に延伸する横架部５８を横架して形成している。連結体５３は、上下方向と後方が開口する平面視コ字状に形成して、各立上がり部５４,５４の上端部に各連結体５３,５３の下端部を連設している。そして、各連結体５３,５３中に各起立部５７,５７の下端部を挿入して、左右方向に重合する連結体５３と起立部５７とを横断貫通状に挿通した連結ボルト５９により着脱自在に連結している。

　このように構成したロプスフレーム５０は、横架部５８が運転席３３に着座したオペレータの頭部よりも高位置に配置されるように設定して、トラクタ１が横転事故を起こした際には、ロプスフレーム５０の一部が接地することで、ロプスフレーム５０によりトラクタ１の転倒・回転が防止されるとともに、オペレータ、特に、その頭部が保護されるようにしている。また、トラクタ１を運搬車で搬送する際や格納庫に格納する際には、連結体５３を介してロプスフレーム５０の上半部形成体５２を下半部形成体５１から離脱する（取り外す）ことで、ロプスフレーム５０をコンパクト化することができる。

　上記のように構成したトラクタ１において、本実施形態では左右一対の後輪フェンダ４０,４０の支持構造に特徴的な構成を有しており、次に、特徴的な構成である後輪フェンダ４０,４０の支持構造について説明する。

　［特徴的構成の説明］
　左右一対の後輪フェンダ４０,４０は、図５～図１１に示すように、それぞれ同様に構成して、左右対称位置に配設している。したがって、以下では基本的に左側の後輪フェンダ４０の構成について説明して、右側の後輪フェンダ４０には同一の符号を付してその説明を省略する。

　ロプスフレーム５０の立上がり部５４の下部から前方に向けて延設した板状の支持体５５上に、支持構成体６０を上方へ向けて立設状に取り付けて、支持構成体６０により後輪フェンダ４０を支持させている。そのため、この支持構成体６０により後輪フェンダ４０の支持強度（剛性）を確保することができる。

　したがって、後輪フェンダ４０上に重量物を載置して搬送することができる。また、図１１に示すように、トラクタ１に同乗した補助作業者等の同乗者Ｆｐが後輪フェンダ４０上に腰を掛けたとしても、後輪フェンダ４０が損傷等されることがない。この場合、後輪フェンダ４０の支持強度（剛性）を十分に確保した支持構造となすことで、後輪フェンダ４０を同乗者Ｆｐの腰掛けとして利用することができる。そのため、同乗者Ｆｐは楽な着座姿勢を採って同乗することができて、同乗者Ｆｐの安全性も向上させることができる。

　支持構成体６０は、支持体５５上に積層状態に重合させて取り付ける四角形板状の取付体６１と、取付体６１から鉛直上方へ向けて突設した突設体６２と、突設体６２の外側方に一定の間隔をあけて取付体６１上に立設した支持フレーム６３と、支持フレーム６３の中途部から前上方へ向けて延設した補助支持フレーム６４と、を具備している。

　取付体６１は、四角形板状に形成して、支持体５５上に面接触させて重合状態（積層状態）となし、同状態にて上下方向に挿通する連結ボルト６５により着脱自在に取り付けている。そして、リヤアクスルケース１１の上面に支持体５５と取付体６１を積層状態に重合させて、これらを一体的に連結している。

　このように構成することで、上方から下方へ向けて荷重が作用した場合には、その荷重が取付体６１と支持体５５を介して堅固なリヤアクスルケース１１に堅実に伝播されるようにしている。また、既設の支持体５５にも取付体６１を介して支持構成体６０を後付け可能としている。

　突設体６２は、上下方向と内側方が開口する平面視コ字状に形成して、取付体６１の上面において、扁平な壁面６２ａが鉛直上方へ向けて起立するように突設している。

　支持フレーム６３は、上下方向に直状に延伸する上下方向延伸部６６と、上下方向延伸部６６から外側方へ張り出し状に直状に延出する延出部６７と、延出部から前方へ直状に延伸する前方延伸部６８と、延出部から後方へ直状に延伸する後方延伸部６９とを具備しており、これらの各部６６～６９は、断面四角形のパイプ材により形成して、各部６６～６９を一体的に連結している。

　すなわち、上下方向延伸部６６は、その右側面６６ａと突設体６２の壁面６２ａとが、とともに、一定の間隔をあけて左右方向において対面するように配置している。一定の間隔は、対面する上下方向延伸部６６の右側面６６ａと突設体６２の壁面６２ａとの間に、後輪フェンダ４０の立上がり面部４１を立上がり状に介在可能な間隔としている。そして、上下方向延伸部６６と突設体６２と立上がり面部４１に連結ボルト７０を横断貫通させて一体的に連結している。

　延出部６７は、上下方向延伸部６６の上端部から外側方（左側方）へ屈曲するとともに、上面部４２の載置面形成片４３の左側縁部の近傍位置まで水平張り出し状に直状に延出して形成している。つまり、上下方向延伸部６６の右側面（内側面）が水平張り出し状に延出されて、水平な上面を形成している。

　前方延伸部６８は、延出部６７の左右幅の中央部から上面部４２の載置面形成片４３の前端縁部の近傍位置まで前方へ直状に延伸させて形成するとともに、前方延伸部６８の上面は延出部６７の上面と面一の水平面となしている。

　後方延伸部６９は、延出部６７の左右幅の中央部から上面部４２の載置面形成片４３の後端縁部の近傍位置まで後方へ直状に延伸させて形成するとともに、後方延伸部６９の上面は延出部６７の上面と面一の水平面となしている。

　このように、支持フレーム６３の上下方向延伸部６６に後輪フェンダ４０の立上がり面部４１を取り付けて支持させるとともに、支持フレーム６３の延出部６７及び前・後方延伸部６８,６９に後輪フェンダ４０の上面部４２の載置面形成片４３を取り付けて支持させている。そして、延出部６７と前方延伸部６８と後方延伸部６９の各上面は、面一の水平面となして、載置面形成片４３を下方から水平状態に支持するようにしている。しかも、延出部６７と前方延伸部６８と後方延伸部６９の連結部は、載置面形成片４３の中央部に配置している。

　したがって、後輪フェンダ４０の上面部４２、特に、載置面形成片４３に荷重が作用しても、後輪フェンダ４０を介して支持フレーム６３の上下方向延伸部６６、延出部６７、及び前・後方延伸部６８,６９が一体となってこの荷重に対抗する、そのため、後輪フェンダ４０は堅実に支持される。ここでの荷重には、図１１に示す同乗者Ｆｐが載置面形成片４３上に着座した際の荷重も含まれるものであり、載置面形成片４３上に載置される許容荷重の範囲は、支持フレーム６３の上下方向延伸部６６、延出部６７、及び前・後方延伸部６８,６９の剛性により適宜設定している。その結果、後輪１３からの飛散泥土を遮蔽する後輪フェンダ４０の本来の機能が確保される。

　補助支持フレーム６４は、上下方向延伸部６６の下部寄りの中途部に連結板７２を介して基端部を取り付けるとともに、前上方へ延設して、前傾斜面形成片４４を下方から支持している。

　補助支持フレーム６４は、前上方に傾斜状に延伸する傾斜延伸部８０と、傾斜延伸部８０から外側方へ張り出し状に延出する補助延出部８１とを具備しており、断面四角形のパイプ材をL字状に屈曲させて一体成形している。傾斜延伸部８０の内側面には、後輪フェンダ４０の立上がり面部４１を面接触させて取り付けるとともに、補助延出部８１の上面には、後輪フェンダ４０の前傾斜面形成片４４の下面（内面）を面接触させて取り付けている。補助延出部８１に取り付けられている前傾斜面形成片４４の上面（外面）には、平面視コ字状に形成した取っ手７３を配置するとともに、前傾斜面形成片４４を介して補助延出部８１に取っ手７３の両端部を取り付けている。

　このように、支持フレーム６３から前上方へ延設した補助支持フレーム６４には、前傾斜面形成片４４を介して乗降用の取っ手７３を取り付けているため、乗降時に図１１に示すオペレータＯｐ等は取っ手７３を把持することで楽に乗降することができる。この際、取っ手７３にはオペレータＯｐ等により荷重が作用するが、取っ手７３が前傾斜面形成片４４を介して補助支持フレーム６４により支持されているため、取っ手７３の支持強度（剛性）を十分に確保することができて、取っ手７３を介したオペレータＯｐ等の乗降性を良好に確保することができる。

　そして、補助支持フレーム６４の傾斜延伸部８０には、後輪フェンダ４０の立上がり面部４１を取り付けるとともに、補助支持フレーム６４の補助延出部８１には、後輪フェンダ４０の前傾斜面形成片４４を取り付けているため、補助支持フレーム６４により後輪フェンダ４０の支持強度（剛性）、特に、前傾斜面形成片４４の支持強度（剛性）を増大させることができる。

　また、後輪フェンダ４０の立上がり面部４１は、その下端縁前部から連結片１７０を下方へ向けて垂設している。連結片１７０は、ステップ面部３５の後端縁部を下方から片持ち支持するステップ面部支持体１７１を介して、伝動変速ケース４に連結している。つまり、立上がり面部４１の前下部は、ステップ面部支持体１７１を介して伝動変速ケース４に支持させている。

　ステップ面部支持体１７１は、伝動変速ケース４に面接触状態に取り付けた板状の内側取付片１７２と、内側取付片１７２からステップ面部３５の後端縁部に沿わせて外側方へ延伸させた支持体本片１７３と、支持体本片１７３の外側端部に取り付けた外側取付片１７４とから形成している。外側取付片１７４には、連結片１７０の下部を内外側（左右側）に重合状態となして、左右方向に軸線を向けた連結ボルト１７５により連結している。つまり、立上がり面部４１の前下部は、そこに垂設した連結片１７０を、伝動変速ケース４から外側方へ向けて延設したステップ面部支持体１７１の外側端部に、外側取付片１７４を介して連結ボルト１７５により連結することで、伝動変速ケース４に支持させている。

　載置面形成片４３上には、その前部から後部にわたって延伸する側面視門型のガード体７５を立設しており、ガード体７５は、棒状体を屈曲させて一体成形している。すなわち、ガード体７５は、前方延伸部６８に載置面形成片４３を介して前部立上がり片７５aの下端を取り付けるとともに、後方延伸部６９に載置面形成片４３を介して後部立上がり片７５ｂの下端を取り付けている。そして、前後方向に対向する両前・後部立上がり片７５a,７５bは、前後に並行させて一定幅だけ上方へ立ち上げて形成している。両前・後部立上がり片７５a,７５bの上端は、載置面形成片４３の外側縁部の直上方位置まで外側上方へ向けて張り出し状に延出させて外側上方延出片７５c,７５dを形成している。両外側上方延出片７５c,７５dの外側端間には、載置面形成片４３の外側縁部に沿わせて前後方向に水平に延伸する前後方向延伸片７５ｅを介設して形成している。

　このように形成したガード体７５では、前後方向延伸片７５ｅが、載置面形成片４３上に進行方向に対して横向きに着座した同乗者Ｆｐ（図１１参照）の腰部の直後方に配置されて、その腰部を背後から支持する。そして、外側上方延出片７５c,７５dがその同乗者Ｆｐの前後両側方に配置されて、同乗者Ｆｐをガードする。そのため、同乗者Ｆｐは、着座姿勢にてガード体７５の適当な個所を把持することで、トラクタ１が路面の凹凸により振動した場合にも、ガード体７５を把持することでトラクタ１から転落するのを防止することができる。つまり、載置面形成片４３上に着座姿勢で同乗する同乗者Ｆｐの安全性がガード体７５により確保される。

　次に、その他の特徴的構成について説明する。すなわち、右側の後輪フェンダ４０の前傾斜面形成片４４には、リヤビューミラー８２を取り付けている。すなわち、リヤビューミラー８２は、前傾斜面形成片４４の左側部に支持ブラケット８３を前方へ突設し、支持ブラケット８３から上方へ支持アーム８４を立ち上げて、支持アームの８４の上端部に縦長四角形状のミラー本体８５の背面部を取り付けて、ミラー本体８５の鏡面を後方に指向させている。このように構成して、図１１に示すように、運転席３３に着座して操向操作を行うオペレータＯｐが、着座姿勢のままミラー本体８５の鏡面を介して右側後方を楽に視認することができるようにしている。

　作業機等を連結するための前記ヒッチ体８９は、図１２及び図１３に示すように、デファレンシャルケース５の後端部に固定する固定側部９０と、固定側部９０に上下取付位置を調節可能とした調節側部１００とを具備している。

　固定側部９０は、対面状態に配置した左右一対の固定側片９１,９１と、両固定側片９１,９１の下部間に架設した固定側底片９２とから形成している。すなわち、デファレンシャルケース５の左右側壁５ａ,５ａの後端部に、上下方向に縦長板状に形成した各固定側片９１,９１の前端縁部を固定ボルト９３により固定して、各固定側片９１,９１の後端縁部を後方へ突出させるとともに、左右方向に対面状態となしている。両固定側片９１,９１の下部間には水平な四角形板状に形成した固定側底片９２の後部を架設するとともに、デファレンシャルケース５の底壁５ｂの後端部に固定側底片９２の前部を下方から面接触させて、固定ボルト９４により固定している。各固定側片９１,９１の後端縁部には、上下方向に一定の間隔をあけて複数個（本実施形態では４個）の固定側連結孔９５を形成している。

　調節側部１００は、固定側部９０に連結する前部側調節体１０１と、作業機等に連結する後部側調節体１０２とから形成している。すなわち、前部側調節体１０１は、板状に形成した左右一対の前部側調節側片１０３,１０３の後端縁部間に四角形板状の前部側調節後片１０４を起立状に架設して、平面視コ字状に形成している。前部側調節側片１０３,１０３の前端縁部には、固定側連結孔９５と符合する複数個（本実施形態では２個）の調節側連結孔１０５を上下方向に一定の間隔をあけて形成している。

　そして、左右一対の固定側片９１,９１の後端縁部の外側方に、前部側調節側片１０３,１０３の前端縁部を内外側重合状態に配置し、所望の固定側連結孔９５に調節側連結孔１０５を符合させて、符合する両孔９５,１０５中に左右方向に軸線を向けた調節連結ピン１０６（本実施形態では２本）を横断貫通状に挿通することで、固定側部９０に前部側調節体１０１を連結している。さらには、調節連結ピン１０５を抜き差しすることで、固定側部９０に前部側調節体１０１を着脱自在かつ上下位置調節自在に連結可能としている。ここでの前部側調節体１０１の上下位置調節作業は、連結する作業機等の連結高さに適応させて適宜行うものである。１０７は、調節連結ピン１０６の先端部に、その軸線と直交する横断方向に抜き差し自在に挿通した抜け止めピンである。

　後部側調節体１０２は、上下一対の水平板状の上・下部片１１０,１１１と、両上・下部片１１０,１１１の前半部間に架設した左右一対の起立状の左・右側部片１１２,１１３を架設して前後方向に軸線を向けた四角形筒状に形成している。上・下部片１１０,１１１の後半部には、上下方向に開孔する連結ピン挿通孔１１４,１１５を上下に対向させて形成し、両連結ピン挿通孔１１４,１１５中に連結ピン１１６を上下方向に抜き差し自在に挿通している。１１７は、連結ピン１１６の先端部に、その軸線と直交する横断方向に抜き差し自在に挿通した抜け止めピンである。

　左右一対の後輪フェンダ４０,４０間には、図７に示すように、デファレンシャルケース５上において燃料タンク１２０を配設している。また、左右一対の後輪フェンダ４０,４０間には、燃料タンク１２０の直上方において、板状のカバー兼横架体１２１を横架状に架設している。そして、カバー兼横架体１２１により燃料タンク１２０の直上方を被覆するとともに、両後輪フェンダ４０,４０を補強している。１２２はカバー兼横架体１２１の右側部に開口した給油口部突出口であり、給油口部突出口１２２から燃料タンク１２０の給油口部１２３を後上方へ向けて突出させている。

　カバー兼横架体１２１の中央部には、多角形板状の低速車マーク１３０を後方に表示面を指向させて突設しており、低速車マーク１３０は、本トラクタ１が低速走行を行っていることを、後続の車両ドライバーが早めに視認することができるようにして、追突事故を回避するようにしたものである。低速車マーク１３０は、正三角形状に形成した合成樹脂製の基板１３１の表示面（後面）に昼間や夕暮れ時にめだつ蛍光シートを張設し、基板１３１の三辺から外側方へ張り出し帯状の周縁部１３２,１３２,１３２を形成して、周縁部１３２,１３２,１３２の表示面（後面）にヘッドライトの光等を反射して明るく輝く反射シート（プリズム型）を張設している。

　カバー兼横架体１２１の左側部には、図６及び図７に示すように、ライセンスプレートフレーム１４０を取り付けて、ライセンスプレートフレーム１４０にライセンスプレート１４１を取り付け可能としている。ライセンスプレートフレーム１４０には、ライセンスプレート１４１の上方に位置させてランプ１４２を取り付けるとともに、ランプ１４２が下方に向けて射光するようにして、ランプ１４２によりライセンスプレート１４１の表面を射光して、ライセンスプレートを視認容易にしている。

　１　トラクタ
　２　機体フレーム
　３　エンジン
　４０　後輪フェンダ
　５０　ロプスフレーム
　６０　支持構成体
　６３　支持フレーム
　６４　補助支持フレーム
　６７　延出部
　６８　前方延伸部
　６９　後方延伸部」

Claims

　デファレンシャルケースに左右一対のリヤアクスルケースを左右外側方へ向けて突設し、両リヤアクスルケース間に背面視門型に形成されたロプスフレームを跨架状に立設したトラクタであって、
　ロプスフレームの立上がり部からリヤアクスルケースの直上方に向けて板状の支持体を延設するとともに、リヤアクスルケースの上面部に支持体を重合状態に載置して取り付け、
　支持体上には支持構成体を上方へ向けて立設状に取り付けて、支持構成体により後輪フェンダを支持させたことを特徴とするトラクタ。
　支持構成体は、支持体上に面接触させて重合状態に取り付ける板状の取付体と、取付体上に立設した支持フレームと、を具備することを特徴とする請求項１記載のトラクタ。
　支持構成体の一部を構成する支持フレームは、上下方向に延伸する上下方向延伸部と、上下方向延伸部から外側方へ張り出し状に延出する延出部と、延出部から前方へ延伸する前方延伸部と、延出部から後方へ延伸する後方延伸部とを具備し、
　後輪フェンダは、左右方向に側面を向けて後輪の内側方を被覆する板状の立上がり面部と、立上がり面部の上端縁部から外側方へ延出させて後輪の上方を被覆する板状の上面部とから形成して、
　支持フレームの上下方向延伸部に後輪フェンダの立上がり面部を取り付けて支持させるとともに、支持フレームの延出部及び前・後方延伸部に後輪フェンダの上面部を取り付けて支持させたことを特徴とする請求項２記載のトラクタ。
　後輪フェンダの上面部は、前後方向に延伸する載置面形成片と、載置面形成片の前端縁部から前下方へ延出させて形成した前傾斜面形成片と、載置面形成片の後端縁部から後下方へ延出させて形成した後傾斜面形成片とから形成したことを特徴とする請求項３記載のトラクタ。
　載置面形成片上には、その前部から後部にわたって延伸する側面視門型のガード体を立設したことを特徴とする請求項４記載のトラクタ。
　支持構成体は、支持フレームから前上方へ延設して前傾斜面形成片を支持する補助支持フレームを具備し、補助支持フレームには前傾斜面形成片を介して乗降用の取っ手を取り付けたことを特徴とする請求項５記載のトラクタ。
　補助支持フレームは、前上方に傾斜状に延伸する傾斜延伸部と、傾斜延伸部から外側方へ張り出し状に延出する補助延出部とを具備し、
　傾斜延伸部に後輪フェンダの立上がり面部を取り付けて支持させるとともに、補助延出部に後輪フェンダの前傾斜面形成片を取り付けて支持させたことを特徴とする請求項６記載のトラクタ。