WO2016002136A1 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

Abstract

　ドラム式洗濯機は、標準的な洗い工程を行う標準コースとは別に黒ずみ抑制コースを有し、水槽（２）内の洗濯水の汚れ濃度を検知する汚れ濃度検知部（１８）と、制御部（２０）とを備える。洗い工程は回転ドラム（３）を回転駆動して衣類を洗う攪拌工程を含む。黒ずみ抑制コースの洗い工程において、制御部（２０）は標準コースの洗い工程における所定の攪拌工程時間より短い第１の所定時間（Ｔ１）で第１の攪拌工程を行って水槽（２）内の洗濯水を排水する１回目の洗い動作を実行する。その後、新しい洗濯水を給水し、第２の攪拌工程時間（Ｔ２）で撹拌工程を行って排水する追加の洗い動作を実行する。汚れ濃度検知部（１８）により第１の攪拌工程における洗濯水の汚れ濃度を検知し、この検知した汚れレベルによって、追加の洗い動作の回数を決定する。

Description

ドラム式洗濯機

　本発明は、衣類等を洗濯するドラム式洗濯機に関する。

　従来、この種のドラム式洗濯機には、洗浄性能を高めて、衣類等の黒ずみを防止する黒ずみ防止コースを設けることが考えられている（例えば、特許文献１、２参照）。

　特許文献１に記載された従来のドラム式洗濯機では、黒ずみ防止コースが選択されると、布量検知手段で検知した布量に対応する水位と、その水位に対応する標準洗剤量の約２倍の洗剤量が表示される。これにより、高洗剤濃度で洗浄性能を高めて、衣類の黒ずみを防止する。

　特許文献２に記載された従来のドラム式洗濯機は、黒ずみ防止コースが選択されると、衣類の黒ずみを防止するために、布量検知後に洗剤を投入して予洗いを行った後、予洗いで使用した洗濯水を排水し、再度洗剤を投入して本洗いを行っている。これにより、洗浄性能を高めて、衣類の黒ずみを防止するようにしたものである。

　また、特許文献３では、回転ドラムのバッフル内に皮脂成分を吸着する吸着体を設けている。これにより、洗濯時の水量が少ない場合でも、衣類から洗い出された皮脂成分を吸着体で吸着し、皮脂汚れの再付着による黄ばみや黒ずみを抑える。

　しかしながら、従来の構成では、洗浄力が高められたことと洗い工程時の使用水量が少ないために、洗濯衣類の周囲の洗濯水は衣類から除去された界面活性剤分子も含めた汚れ物質の濃度が高い。従って、除去された汚れが、洗い工程の中、再び衣類に付着する。また、洗濯水の量が少ない場合には、洗い工程後の排水によって汚れ物質が再び衣類に付着する。引き続きドラムを高速で回転させる中間脱水工程において、汚れの種類によっては、衣類の表面に付着した汚れが繊維の奥まで洗濯水とともに入り込む。その結果、洗濯終了時においても汚れが衣類に残留する。このような状態で繰り返し洗濯が行なわれることで、衣類が黒ずんだり、時間の経過とともに黄ばんだりする。また、洗剤が多量に使用され、すすぎに時間がかかる。さらに、吸着体を用いた場合は、交換等のメンテナンスが必要なため、使い勝手が悪い。

特開２０１２－０７５５０５号公報 特開２０１２－０９０８２９号公報 特開２０１１－１５２２４７号公報

　本発明は、従来の課題を鑑み、洗剤を多量に使用したり、吸着体などを使用したりすることなく、衣類から脱離した汚れが衣類に再付着することを抑えることにより、洗濯後の衣類の黒ずみを低減するドラム式洗濯機を提供することを目的とする。

　本発明のドラム式洗濯機は、洗濯コースとして標準的な洗い工程を行う標準コースとは別に黒ずみ抑制コースを有し、筐体と、筐体内に設けられた水槽と、水槽内に回転可能に設けられ、衣類を収容する回転ドラムと、回転ドラムを回転駆動する駆動部とを備えている。さらに、水槽内に洗濯水を給水する給水部と、洗濯水を排水する排水部と、洗濯水の水位を検知する水位検知部と、洗濯水の汚れ濃度を検知する汚れ濃度検知部と、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等を制御する制御部とを備える。洗い工程は、回転ドラムを回転駆動して衣類を攪拌して洗う攪拌工程を含む。制御部は、黒ずみ抑制コースの洗い工程において、標準コースの洗い工程における所定の攪拌工程時間より短い第１の攪拌工程時間で第１の攪拌工程を行って洗濯水を排水する１回目の洗い動作を実行する。その後、新しい洗濯水を給水し、第２の攪拌工程時間で撹拌工程を行って排水する追加の洗い動作を実行する。また制御部は、汚れ濃度検知部により第１の攪拌工程における洗濯水の汚れ濃度を検知し、汚れ濃度から判定される汚れレベルに応じて、追加の洗い動作の回数を決定し、追加の洗い動作を決定した回数実行する。

　このような構成によって、所定量の洗剤が投入された洗濯水による１回目の洗い動作において、１回目の攪拌工程時間を短くして衣類から取り除かれた汚れを多く含む洗濯水を一旦排水することにより、汚れた洗濯水に衣類が浸っている時間を短くすることができる。さらに、洗濯水の汚れレベルに応じて新しい洗濯水へ衣類の汚れを確実に放出することができる。すなわち衣類から脱離した汚れが衣類に再付着することを抑えることができるので、洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができる。

図１は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の概略構成図である。 図２は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機のブロック回路図である。 図３は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の洗い工程の動作を示すタイムチャートである。 図４は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の洗濯水の汚れレベルに応じた追加の洗い動作の繰り返し回数を示す図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

　図１は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の概略構成図である。図２は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機のブロック回路図である。図３は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の洗い工程の動作を示すタイムチャートである。

　図１、図２に示されるように、筐体１内にダンパ（図示せず）等で弾性支持した水槽２が設けられている。水槽２内には衣類等の洗濯物（以下、衣類という）を収容する有底円筒状の回転ドラム３が回転可能に設けられ、その回転軸３ａは略水平で前後方向に設けられている。

　回転ドラム３の周壁面には、水槽２内と連通する多数の小孔５が設けられている。また、回転ドラム３の周壁面の内側には、回転軸３ａ方向である回転ドラム３の回転中心に向かって内方へ突出した複数のバッフル４が設けられている。さらに、回転ドラム３の前面側には衣類を出し入れする開口部６が設けられている。開閉自在な扉１ａが筐体１の前面に設けられている。使用者は、この扉１ａを開くことにより、回転ドラム３の開口部６から衣類を出し入れすることができる。

　水槽２の後面に回転ドラム３を回転駆動するモータ７が駆動部として取り付けられている。モータ７はブラシレス直流モータで構成され、インバータ制御によって回転速度を自在に変化させることができる。

　水槽２の上方には、水槽２内に洗濯水を給水する給水部が設けられている。給水部は、給水配管８、給水弁８ａ、および洗剤収納部９により構成されている。給水弁８ａは水道等に接続された給水配管８に設けられている。給水された洗濯水は、給水弁８ａの下流に設けられた洗剤収納部９を通って水槽２内に供給される。そして、洗濯水は水槽２内の底部に貯留されるとともに、小孔５から回転ドラム３内に流入する。

　水槽２の後部側の最低部に取水口１０ａが設けられている。取水管１０が取水口１０ａに接続されている。取水管１０の他端は、糸くずや埃を捕捉するフィルター１１に接続されている。フィルター１１から先は二方に分岐し、一方の分岐に、水槽２内の洗濯水を排水する排水管１２が接続されている。排水管１２は排水弁１２ａを有し、水槽２内の洗濯水は、排水弁１２ａが開放されることにより排水管１２を経て機外へ排出される。

　フィルター１１の他方の分岐に、循環ポンプ１５を有する循環水路１４が接続されている。循環水路１４の先端は、取水口１０ａから取り込んだ水槽２内の洗濯水を、回転ドラム３の開口部６から回転ドラム３内に吐出する吐出口１３になっており、循環ポンプ１５により洗濯水を循環させる循環経路を構成している。すなわち、水槽２内の洗濯水は、循環経路に設けられた循環ポンプ１５が駆動されることにより、循環水路１４を通って吐出口１３から回転ドラム３内に向けて吐出され、回転ドラム３内の衣類にかけられて、さらに水槽２の底部に流れ落ちて、循環する。

　水槽２の後部にオーバーフロー穴１６ａが設けられ、このオーバーフロー穴１６ａと排水管１２とをオーバーフロー水路１６が連通接続している。洗濯水は、オーバーフロー穴１６ａより水位が高くなるとオーバーフロー穴１６ａからオーバーフロー水路１６に入り、排水管１２を介して機外へ排出される。水位検知部１７は、取水管１０の取水口１０ａに近い部分に配設され、水槽２内に給水された洗濯水の水位を検知する。

　汚れ濃度検知部１８が、循環ポンプ１５の手前の循環水路１４に設けられている。汚れ濃度検知部１８は、循環水路１４を流れる洗濯水の汚れ濃度を検知する。汚れ濃度検知部１８は、一般的な濁度センサー（図示せず）で構成され、ＬＥＤ等の発光素子とフォトトランジスタ等の受光素子とが対向している。受光素子は、発光素子から射出された光を循環経路１４を流れる洗濯水を通して受光し、電圧に変換して出力する。

　制御装置１９が、筐体１内の前面上部に設けられている。図２に示されるように、制御装置１９は、マイクロコンピュータで構成された制御部２０を有する。制御部２０は、パワースイッチング部２１を介してモータ７、給水弁８ａ、排水弁１２ａ、循環ポンプ１５等を制御し、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の一連の工程を逐次制御し、洗濯運転を実行する。洗い工程は、給水工程と、回転ドラム３を回転駆動し内部の衣類を攪拌して洗う攪拌工程と、排水工程とを含む。また、洗濯のコースとして、標準的な洗い工程を行う標準コースとは別に、黒ずみ易い衣類のための黒ずみ抑制コースを有している。

　この黒ずみ抑制コースは、図３に示されるように、洗い工程において、給水工程と、給水工程後の攪拌工程と、攪拌工程後の排水工程とを組み合わせた洗い動作を複数回実行する。具体的には、１回目の洗い動作として、１回目の給水工程が行われ、次に、１回目の攪拌工程が標準コースの洗い工程における所定の攪拌工程時間Ｔ０より短い第１の攪拌工程時間Ｔ１で行われ、次に、洗濯水を排水する１回目の排水工程が行われる。その後、追加の洗い動作として、新しい洗濯水を給水する給水工程、攪拌時間が第２の攪拌工程時間Ｔ２である撹拌工程、および排水工程が順次行われる。そして、この追加の洗い動作を所定回数だけ実行する。すなわち、１回目の攪拌工程を標準コースの攪拌工程より短い時間で行い、衣類から取り除かれた汚れを多く含む洗濯水を一旦排水することにより、汚れた洗濯水に衣類が浸っている時間を短くすることができるとともに、新たに給水して残った洗剤成分で２回目以降の攪拌工程を行うことにより、新しい洗濯水へ汚れを放出させることができる。すなわち、衣類から一旦脱離した汚れが、再度衣類に付着してしまうことが抑制されるため、洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができる。

　制御部２０は、さらに、洗濯水の汚れ濃度のデータベースを有しており、上述した第１の攪拌工程における洗濯水の汚れを検知した汚れ濃度検知部１８からの出力信号により、洗濯水の汚れ濃度が、例えば３段階でどの汚れレベルにあるかを判定する。そして、制御部２０は、この汚れレベルに応じて、上述した、新しい洗濯水を給水して行う追加の洗い動作を繰り返す回数を決定する。

　入力設定部２２は、運転コース等を設定するものである。制御部２０は入力設定部２２からの情報を基に、使用者に知らせる情報を表示部２３に表示する。記憶部２４は、上述したデータベースを含め、制御部２０により制御するために必要なデータを記憶している。

　回転数検知部２５は、回転ドラム３の回転数を検知する。制御部２０は、回転数検知部２５の情報から、パワースイッチング部２１を介して回転ドラム３の回転数を制御する。ドラム式洗濯機は、電源を商用電源２６から供給されている。電源スイッチ２７がオン状態にされることにより、入力設定部２２に入力することが可能になる。

　以上のように構成されたドラム式洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。洗濯は、例えば、洗い工程、すすぎ工程Ａ、すすぎ工程Ｂ、最終脱水工程の順に実行される。

　使用者は、まず、筐体１の前面側に設けられた扉２８を開いて開口部６から回転ドラム３内に衣類を投入する。次に、電源スイッチ２７がオン状態にされると、入力設定部２２によって洗濯のコース等が入力できるようになる。洗濯のコースは、表示部２３に表示され、標準コースや黒ずみ抑制コースを含めて目的に応じて複数の洗濯コースが選択可能である。

　使用者が「黒ずみ抑制コース」を選択し、スタートボタン（図示せず）を操作して運転を開始すると、図３に示されるような洗い工程が開始される。

　洗い工程において、制御部２０は、最初に回転ドラム３内に投入された衣類の量を布量検知部２９によって検知する。回転ドラム３を回転駆動するモータ７のトルク負荷や、電流値等から、衣類の量を判定することができる。

　制御部２０は、布量検知部２９で検知した衣類の量に応じて、予め設定された洗濯水量および洗剤量等を決定し、表示部２３に表示して使用者に知らせる。その後、制御部２０は、使用者が洗剤および柔軟剤を投入する時間を考慮し、所定時間（例えば、１分）が経過した後に、給水を開始して１回目の洗い動作を実行する。

　給水弁８ａを通過した水は、洗剤収納部９を通り、洗剤収納部９に投入されている洗剤とともに水槽２に洗濯水として溜められる。制御部２０は、水位検知部１７によって予め設定された所定量の水位Ｌ１まで給水されたことを検知すると給水弁８ａを閉じ、第１の攪拌工程時間Ｔ１の計測を開始する。このとき、排水弁１２ａは閉じられており、回転ドラム３および循環ポンプ１５は停止している。

　制御部２０は、給水が完了すると、回転ドラム３を回転して、収容された衣類を攪拌する撹拌工程を行う。回転ドラム３は、衣類が持ち上げられては落下するタンブリング動作が可能な回転数（例えば、５０ｒ／ｍｉｎ）となるようにモータ７で回転され、たたき洗いを行う。このとき、制御部２０は、モータ７を、回転ドラム３を所定時間毎に交互に正逆回転するように駆動（例えば、右回転１１秒→停止４秒→左回転１１秒→停止４秒→右回転１１秒）してもよい。

　制御部２０は、攪拌工程において、モータ７とともに、循環ポンプ１５の駆動を制御する。

　循環ポンプ１５が駆動されることにより、水槽２内の洗濯水は、取水口１０からフィルター１１を介して循環水路１４に流入し、吐出口１３から回転ドラム３内の衣類に向けて吐出される。

　汚れ濃度検知部１８は、攪拌工程が終了するまでに洗濯水の汚れ濃度を検知する。制御部２０は、洗濯水の汚れ濃度のデータベースに基づいて、検知した洗濯水の汚れ濃度の汚れレベルを判定し、新しい洗濯水を給水して再度撹拌し、排水する上述の追加の洗い動作の実行回数を決定する。なお、汚れ濃度の検知は、できるだけ攪拌工程が終了する直前に行われることが望ましい。

　制御部２０は、１回目の攪拌工程において第１の撹拌工程時間Ｔ１（例えば、７分）が経過したことを測定すると、モータ７および循環ポンプ１５を停止し、排水弁１２ａを開いて排水管１２から水槽２内の汚れた洗濯水を排水する。

　第１の撹拌工程時間Ｔ１は、衣類の量に対応した標準コースにおける所定の攪拌工程時間Ｔ０より短く設定されている。本実施の形態では、第１の撹拌工程時間Ｔ１は、所定の攪拌工程時間Ｔ０の半分以上の時間に設定されている。例えば、通常の衣類の量に対応した所定の攪拌工程時間Ｔ０が１０分とした場合、第１の撹拌工程時間Ｔ１は５分以上１０分未満であり、具体的には、例えば７分である。このように、標準コースにおける所定の攪拌工程時間Ｔ０より短く設定されていることにより、汚れた洗濯水と衣類との接触時間が短くなる。なお、本実施の形態では、短くしても所定の攪拌工程時間Ｔ０の半分以上の時間に設定されていることにより、所定量が投入された洗剤による汚れ落しが不十分にならない。

　１回目の洗い動作の後に行われる追加の洗い動作の繰り返し回数は、汚れ濃度検知部１８で検知した洗濯水の汚れ濃度で決定される。例えば、洗濯水の汚れ濃度による汚れレベルが３段階に区分される場合、洗濯水の汚れレベルに応じた追加の洗い動作の繰り返し回数は、図４に示されるように決定される。

　追加の洗い動作を実行する所定回数は、例えば、汚れレベル２（汚れ度中）を基準として、２回とする。これに対し、汚れレベル３（汚れ度大）のときは、１回目の洗い動作の後に行われる追加の洗い動作の繰り返し回数は、所定回数に対して１回多い３回である。また、汚れレベル１（汚れ度小）のときは、１回目の洗い動作の後に行われる追加の洗い動作の繰り返し回数は、所定回数に対して１回少ない１回である。なお、汚れレベルの区分数や所定回数、および汚れ度による繰り返し回数の増減などは上述したものに限定されるものではなく、衣類の繊維の種類や洗剤の種類、洗濯水の量や温度などに応じて、任意に決定されればよい。

　汚れレベル３（汚れ度大）の場合について、図３に基づいて説明する。汚れレベル３（汚れ度大）の場合、図３に示されるように、１回目の洗い動作の後に、追加の洗い動作が３回繰り返えされる。制御部２０は、１回目の洗い動作が終わると、２回目の洗い動作（１回目の追加の洗い動作）を行う。制御部２０は、２回目の洗い動作において、給水弁８ａを開いて給水工程を行い、洗剤収納部９を通して水槽２内に洗濯水を貯留する。このとき、排水弁１２ａは閉じられており、回転ドラム３および循環ポンプ１５は停止している。

　制御部２０は、洗濯水が水位検知部１７によって予め設定された所定の水位Ｌ２まで給水されたことを検知すると、給水弁８ａを閉じ、第２の攪拌工程時間Ｔ２の計測を開始する。この給水工程（２回目の洗い動作における給水工程）において、洗剤収納部９の洗剤はすでになくなっており、水のみが給水されるため、洗剤は衣類に浸透している分だけとなり、水槽２内の洗剤濃度は薄くなる。

　制御部２０は、給水が完了すると、回転ドラム３を回転して収容された衣類を攪拌する撹拌工程を行う。回転ドラム３は、衣類が持ち上げられては落下するタンブリング動作が可能な回転数（例えば、５０ｒ／ｍｉｎ）となるようにモータ７で回転され、たたき洗いを行う。このとき、制御部２０は、モータ７を、回転ドラム３を所定時間毎に交互に正逆回転するように駆動（例えば、右回転１１秒→停止４秒→左回転１１秒→停止４秒→右回転１１秒）してもよい。

　制御部２０は、攪拌工程において、モータ７とともに、循環ポンプ１５を駆動する。循環ポンプ１５が駆動されることにより、水槽２内の洗濯水は、取水口１０からフィルター１１を介して循環水路１４に流入し、吐出口１３から回転ドラム３内の衣類に向けて吐出される。

　このようにして、洗剤濃度は薄くなっているが、衣類に残った汚れは洗剤成分とともに新しく供給された洗濯水に溶け出す。これにより、衣類の黒ずみの原因となる汚れが、衣類と接触している時間が短くなるとともに、新しい洗濯水に放出されることになる。すなわち、衣類から脱離した汚れが衣類に再付着することを抑えられるので、洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができる。

　制御部２０は、２回目の攪拌工程において、第２の撹拌工程時間Ｔ２（例えば５分）が経過したことを測定すると、モータ７および循環ポンプ１５を停止し、排水弁１２ａを開いて２回目の排水を行い、排水管１２から水槽２内の洗濯水を排水する。

　このようにして、洗剤濃度は薄くなっているが、衣類に残った汚れは洗剤成分とともに新しく供給された洗濯水に溶け出す。これにより、衣類の黒ずみの原因となる汚れが、衣類と接触している時間が短くなるとともに、新しい洗濯水に放出されることになる。すなわち、衣類から脱離した汚れが衣類に再付着することを抑え、洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができる。

　以上のように２回目の洗い動作が終わると、同様に、３回目の洗い動作（２回目の追加の洗い動作）、４回目の洗い動作（３回目の追加の洗い動作）を、順次行う。なお、３回目の洗い動作における攪拌工程は第３の攪拌工程時間Ｔ３（例えば、５分）、４回目の洗い動作における攪拌工程は第４の攪拌工程時間Ｔ４（例えば、５分）行われる。

　追加の洗い動作では、いずれにおいても、洗剤収納部９には洗剤がなく水のみが給水されるため、水槽２内の洗剤濃度は薄くなっていく。しかしながら、衣類から放出される汚れもますます薄くなることで、衣類から脱離した汚れの再付着を効果的に抑えて洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができる。

　制御部２０は、４回目の洗い動作が終われば、洗い工程を終了する。

　図には示されていないが、洗い工程に続いてすすぎ工程と最終脱水工程が実行される。制御部２０は、すすぎ工程が２回設定されている場合、すすぎ工程Ａにおいて、１回目のすすぎ動作の中間脱水を開始する。中間脱水は、回転ドラム３を回転させてバランスコントロールを行った後に、所定回転数（例えば９００ｒ／ｍｉｎ）まで回転ドラム３の回転数を上昇し、所定時間後に停止することにより行われる。中間脱水により、洗い工程の終了時に衣類に残存している洗濯水は機外へ排出され、衣類に含まれる洗濯水は少なくなる。

　中間脱水に続いて給水が行われる。すなわち、制御部２０は、給水弁８ａを開いて給水を行い、洗剤収納部を通して水槽２内に洗濯水を貯留し、水位検知部１７によって所定の水位まで給水されたことを検知されると給水弁８ａを閉じる。

　制御部２０は、給水が完了すると、回転ドラム３を回転して収容された衣類を攪拌する撹拌を行う。回転ドラム３は、洗い工程と同様に、衣類が持ち上げられては落下するタンブリング動作が可能な回転数（例えば、５０ｒ／ｍｉｎ）となるようにモータ７で回転され、たたき洗いが行われる。このとき、制御部２０は、モータ７を、回転ドラム３を所定時間毎に交互に正逆回転するように駆動してもよい。制御部２０は、モータ７とともに、循環ポンプ１５を駆動する。循環ポンプ１５が駆動されることにより、水槽２内の洗濯水は、取水口１０からフィルター１１を介して循環水路１４に流入し、吐出口１３から回転ドラム３内の衣類に向けて吐出される。制御部２０は、所定のすすぎ時間が経過すると、排水弁１２ａを開いて水槽２内のすすぎに使用された洗濯水を排水する。

　すすぎ工程Ａの排水が終わると、すすぎ工程Ａと同様にすすぎ工程Ｂが行われる。

　２回のすすぎ工程に続いて最終脱水工程が実行される。最終脱水工程は、回転ドラム３を回転させて、バランスコントロールを行った後に、所定回転数（例えば９００ｒ／ｍｉｎ）まで回転ドラム３の回転数を上昇させ、所定時間後に停止することにより行われる。この最終脱水工程により、すすぎ工程の終了時に衣類に残存している洗濯水は機外へ排出され、衣類に含まれる洗濯水は少なくなる。回転ドラム３が停止した時点で、一連の洗濯運転が終了する。

　なお、詳細な説明はしないが、汚れレベル１（汚れ度小）の場合においては、１回目の洗い動作の後に行われる追加の洗い動作の繰り返し回数は、所定回数に対して１回少ない１回である。しかし、洗い動作の繰り返し回数を減らしても、元々汚れが少ないために衣類から脱離した汚れの再付着を抑えて洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができる。さらに、洗濯水量の低減と洗濯時間の短縮を図ることができる。

　以上のように、第１の発明に係るドラム式洗濯機は、水槽２内に回転可能に設けた回転ドラム３と、回転ドラム３を回転駆動する駆動部７と、水槽２内に洗濯水を給水する給水部（給水弁８ａ）とを備えている。さらに、水槽２内の洗濯水を排水する排水部（排水弁１２ａ）と、水槽２内の洗濯水の水位を検知する水位検知部１７と、水槽２内の洗濯水の汚れ濃度を検知する汚れ濃度検知部１８と、洗い、すすぎ、脱水等の各工程を制御する制御部２０とを備えている。そして、制御部２０は、黒ずみ抑制コースが設定されると、洗い工程において、標準コースにおける所定の洗い工程の攪拌工程時間より短い第１の攪拌工程時間で第１の攪拌工程を行って水槽２内の洗濯水を排水する１回目の洗い動作を実行する。その後、制御部２０は、新しい洗濯水を給水して、第２の攪拌工程時間で撹拌工程を行って排水する追加の洗い動作を所定回数だけ実行する。制御部２０は、汚れ濃度検知部１８により第１の攪拌工程における洗濯水の汚れレベルを検知し、この検知した汚れレベルに応じて、追加の洗い動作の回数を決定し、追加の洗い動作を決定した回数実行する。

　この構成により、所定量の洗剤が投入された洗濯水による１回目の洗い動作において、１回目の攪拌工程時間を短くして衣類から取り除かれた汚れを多く含む洗濯水を一旦排水することにより、汚れた洗濯水に衣類が浸っている時間を短くすることができる。さらに、洗濯水の汚れレベルに応じて新しい洗濯水へ衣類の汚れを放出できる。すなわち、衣類から脱離した汚れが衣類に再付着することを抑えることができるので、洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができる。

　第２の発明に係るドラム式洗濯機は、特に、第１の発明において、汚れレベルは汚れ度に応じて区分され、汚れ度は大、中および小に区分され、制御部は、汚れ度が中の場合、追加の洗い動作を所定回数だけ実行するように構成されている。

　これにより、第１の発明の効果に加え、追加の洗い動作を実行する回数の基準を設けて、新しい洗濯水への汚れの放出を確実に行うことができる。

　第３の発明に係るドラム式洗濯機は、特に、第２の発明において、制御部は、汚れ度が大の場合、追加の洗い動作を所定回数より多く実行するように構成されている。

　これにより、第１の発明の効果に加え、新しい洗濯水への汚れの放出を効果的に行うことができる。

　第４の発明に係るドラム式洗濯機は、特に、第２の発明において、制御部は、汚れ度が小の場合、追加の洗い動作を所定回数より少なく実行するように構成されている。

　これにより、第１の発明の効果に加え、新しい洗濯水への汚れの放出を効果的に行うことができる。

　第５の発明に係るドラム式洗濯機は、特に、第１から第４のいずれか１つの発明において、汚れ濃度検知部は濁度センサーで構成されている。

　これにより、洗濯水の汚れ濃度を簡略な構成で精度よく検知することができる。

　なお、洗い、すすぎの各工程における給水および吐出口１３からの洗濯水の吐出と回転ドラム３の回転とのタイミングは、特に限定されるものではない。例えば、水槽２内に洗濯水を給水する給水時に、回転ドラム３を低速で回転させて衣類を撹拌するようにしてもよい。また、給水しながら循環ポンプ１５を駆動して洗濯水を回転ドラム３へ吐出するようにしてもよい。また、回転ドラム３の回転数等も、攪拌や、脱水の状態が維持されれば、特に限定されるものではない。

　また、洗い工程において、新しい洗濯水を給水して撹拌、排水する工程が繰り返されているため、衣類に含まれる洗剤量は少なくなっており、１回目のすすぎ工程において中間脱水は省略されてもよい。

　また、本実施の形態では、水槽２および回転ドラム３は水平に配置されているが、前上がりに傾斜していてもよい。

　以上のように、本発明によれば、衣類から脱離した汚れが衣類に再付着することを抑えて、洗濯後の衣類の黒ずみを低減することができるので、ドラム式洗濯機に有用である。

　１　筐体
　２　水槽
　３　回転ドラム
　７　モータ（駆動部）
　８　給水配管（給水部）
　８ａ　給水弁（給水部）
　９　洗剤収納部（給水部）
　１２　排水管（排水部）
　１２ａ　排水弁（排水部）
　１７　水位検知部
　１８　汚れ濃度検知部
　２０　制御部

Claims (5)

1. 筐体と、
   前記筐体内に設けられた水槽と、
   前記水槽内に回転可能に設けられ、衣類を収容する回転ドラムと、
   前記回転ドラムを回転駆動する駆動部と、
   前記水槽内に洗濯水を給水する給水部と、
   前記洗濯水を排水する排水部と、
   前記洗濯水の水位を検知する水位検知部と、
   前記洗濯水の汚れ濃度を検知する汚れ濃度検知部と、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等を制御する制御部と、を備え、
   洗濯コースとして、標準的な洗い工程を行う標準コースとは別に黒ずみ抑制コースを有するドラム式洗濯機であって、
   前記洗い工程は、前記回転ドラムを回転駆動して前記衣類を攪拌して洗う攪拌工程を含み、
   前記制御部は、前記黒ずみ抑制コースの前記洗い工程において、
   前記標準コースの前記洗い工程における所定の攪拌工程時間より短い第１の攪拌工程時間で第１の攪拌工程を行って前記洗濯水を排水する１回目の洗い動作を実行し、
   前記１回目の洗い動作の後、新しい洗濯水を給水し、第２の攪拌工程時間で撹拌工程を行って前記新しい洗濯水を排水する追加の洗い動作を実行するとともに、
   前記汚れ濃度検知部により第１の攪拌工程における洗濯水の汚れ濃度を検知し、前記汚れ濃度から判定される汚れレベルに基づいて、前記追加の洗い動作の回数を決定して実行するように構成されたドラム式洗濯機。
2. 前記汚れレベルは汚れ度に応じて区分され、前記汚れ度は大、中および小に区分され、前記制御部は、前記汚れ度が中の場合、前記追加の洗い動作を所定回数だけ実行するように構成された請求項１記載のドラム式洗濯機。
3. 前記制御部は、前記汚れ度が大の場合、前記追加の洗い動作を前記所定回数より多く実行するように構成された請求項２記載のドラム式洗濯機。
4. 前記制御部は、前記汚れ度が小の場合、前記追加の洗い動作を前記所定回数より少なく実行するように構成された請求項２記載のドラム式洗濯機。
5. 前記汚れ濃度検知部は濁度センサーで構成された請求項１から４のいずれか１項に記載のドラム式洗濯機。

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