WO2015190112A1

WO2015190112A1 - 鞍乗型車両

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Publication number: WO2015190112A1
Application number: PCT/JP2015/002947
Authority: WO
Inventors: 武宏井上; 久保　裕; 池田　毅
Original assignee: ヤマハ発動機株式会社
Priority date: 2014-06-11
Filing date: 2015-06-11
Publication date: 2015-12-17
Also published as: US9487258B2; EP3309048A1; EP3309048B1; ES2668029T3; EP3015348A4; US20160229473A1; BR112016002032A2; EP3015348A1; BR112016002032B1; EP3015348B1; BR122020017514B1

Abstract

　車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上すること。第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部２０Ｒとの間の距離Ｌ１０が、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さく、且つ、第１高指向型ライト部の光学レンズ部の最小幅Ｗ２Ｌと第２高指向型ライト部の光学レンズ部の最小幅Ｗ２Ｒとのうち何れか小さい方の半分より大きくした。また、第１高指向型ライト部の光学レンズ部を通って照射された光は、第２高指向型ライト部の光学レンズ部を通って照射された光と一部が重なり、残りの部分が重ならない構成とした。

Description

鞍乗型車両

　本発明は、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両に関する。

　特許文献１には、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両が開示されている。このような鞍乗型車両は、光源と、光源の光を車体前方に反射するメインリフレクタを有し、メインリフレクタの反射により、鞍乗型車両に求められる配光を形成しているランプユニットを備えている。

　このような鞍乗型車両では、ランプユニットから外部へ照射される光により、外部からの視認性を向上することが望まれている。具体的には、人が車両の前方且つランプユニットの配光の強度が低い範囲から鞍乗型車両を見た場合でも、人が鞍乗型車両の存在を認識できるようにすることが望まれている。

　特許文献１の鞍乗型車両では、配光を形成するメインリフレクタの左方および右方に、メインリフレクタより小さなサブリフレクタを備えている。そして、サブリフレクタにより光源の光を外部へ反射させるサブ発光領域を設けることで、鞍乗型車両に求められる配光を維持しつつ、ランプユニットの発光領域の面積を大きくし、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両の外部からの視認性を向上させている。

特開２０１４－１５９２５７号公報

　特許文献１の鞍乗型車両では、ランプユニットが、メインリフレクタを反射した光を出射するメイン発光領域と、サブリフレクタを反射した光を出射するサブ発光領域とを有する。メイン発光領域は、サブ発光領域がない場合と同様に、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両に求められる配光が維持できる大きさを有する。よって、特許文献１の技術では、サブ発光領域が追加されていることで、ランプユニットが大型化する。さらに、特許文献１の鞍乗型車両では、大型化したランプユニットが搭載されるため、鞍乗型車両が大型化する。

　本発明の目的の一つは、車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上できる、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両を提供することである。

　本発明の態様１に係る鞍乗型車両は、
　車体フレームと、少なくとも１つの前輪を含む前輪部とを含み、前記車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、前記車体フレームを前記車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能であって、
　前記車体フレームに回動可能に支持されるステアリングシャフトと、
　前記車両の左右方向に長く、前記ステアリングシャフトと一体的に回転するハンドルと、
　前記ステアリングシャフトより前記車両の左右方向の左方に位置し、前記車体フレームに支持される上部と、前記前輪部を支持し前記上部に対して前記車両の上下方向に変位可能な下部と、を含み、前記ステアリングシャフトと共に回動する左前輪支持装置と、
　前記ステアリングシャフトより前記車両の左右方向の右方に位置し、前記車体フレームに支持される上部と、前記前輪部を支持し前記上部に対して前記車両の上下方向に変位可能な下部と、を含み、前記ステアリングシャフトと共に回動する右前輪支持装置と、
　指向性の高い光を出射する第１発光部と、前記第１発光部の光を屈折して配光を形成する第１光学レンズ部とを含み、前記第１光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームの少なくとも一部の配光となる第１高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第２発光部と、前記第２発光部の光を屈折して配光を形成する第２光学レンズ部とを含み、前記第２光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームのうち前記第１高指向型ライト部と同じビームの少なくとも一部の配光となり、前記第１高指向型ライト部が点灯しているときに点灯し、前記第１高指向型ライト部が消灯しているときに消灯する第２高指向型ライト部と、
　前記第１高指向型ライト部および前記第２高指向型ライト部を支持し、前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更可能に支持される第１ベース部と、
　を備え、
　前記第１高指向型ライト部および前記第２高指向型ライト部は、
　前記第１光学レンズ部および前記第２光学レンズ部の各最大幅が、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく形成され、
　前記第１光学レンズ部と前記第２光学レンズ部との間の長さが、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく、且つ、前記第１光学レンズ部の最小幅および前記第２光学レンズ部の最小幅とのうち何れか小さい方の半分より大きく形成され、
　前記第１光学レンズ部を通って照射された光が、前記第１光学レンズ部および前記第２光学レンズ部のうち、前記車両の前後方向で最も前方に位置する方の前端より、前記車両の前方へ１０ｍ離れた直立する壁体に描く第１壁配光が、前記第２光学レンズ部を通って照射された光が前記壁体に描く第２壁配光と一部が重なり、かつ、残りの部分が重ならない状態を前記第１ベース部の前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更した時に保持するように前記第１ベース部に固定される。

　特許文献１に開示されている鞍乗型車両の技術思想は、車両に求められる配光を得るために、メイン発光領域を維持したまま、車両の外部からの視認性を向上するために、サブ発光領域を追加するという技術思想である。しかしながら、この技術思想では、メイン発光領域にサブ発光領域が追加されるので、鞍乗型車両が大型化する。そこで、本願発明者は、技術思想を転換し、先ず、光を外部に照射する構成のコンパクト化を図って車両の大型化を抑制し、かつ、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両の外部からの視認性を向上するというアプローチで検討した。その結果、複数の発光領域を有し、複数の発光領域が適切な長さ離れ、これら複数の発光領域が同時に点灯している構成を採用した場合、鞍乗型車両の前方かつ配光の強度が低い範囲から鞍乗型車両を見たときでも、鞍乗型車両の外部からの視認性を向上できることを見出した。

　また、本願発明者は、指向性の高い光を出射する発光部と、その発光部の光を屈折して配光を形成する光学レンズ部とを含み、その光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームの少なくとも一部の配光となる高指向型ライトに着目した。高指向型ライトは、光学レンズ部が、発光部の光を屈折して外部に出射する際に、光学レンズ材料の性質上、光の一部を拡散させながら光を透過させるため、光学レンズ部自体が拡散光により光って見える。そして、拡散光により光って見える光学レンズ部を鞍乗型車両の外部からの視認性の向上に利用することを考えた。

　第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部は、第１光学レンズ部および第２光学レンズ部の各最大幅が、車両の前方から見て、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の長さの半分より小さく形成される。鞍乗型車両の左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の長さは、四輪の自動車に比べて非常に小さい。そのため、第１光学レンズ部および第２光学レンズ部だけでなく、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部を各々コンパクトにできる。

　また、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部は、第１光学レンズ部と第２光学レンズ部との間の長さが、車両の前方から見て、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の長さの半分より小さく、且つ、第１光学レンズ部の最小幅および第２光学レンズ部の最小幅とのうち何れか小さい方の半分より大きく形成される。そのため、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部を各々コンパクトにできたことを利用して、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部の間隔を大きくしても、車両が大型化することを抑制できる。しかも、拡散光により光って見える２つの光学レンズ部が離間して配置されるため、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部の配光の強度が低い範囲から見ても、車両の外部からの視認性を向上できる。

　よって、車両の大型化を抑制しつつ、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部の配光の強度が低い範囲から見ても、拡散光により光って見える第１光学レンズ部および第２光学レンズ部によって、車両の外部からの視認性を向上できる。

　ところが、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部とを各々コンパクトに形成すると、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両に求められる配光を形成するのが困難になるという別の課題が生じる。

　ところで、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部は、指向性の高い光を出射する発光部と、発光部の光を屈折して配光を形成する光学レンズ部とを各々含む。また、第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームのうち第１高指向型ライト部と同じビームの少なくとも一部の配光となり、第１高指向型ライト部が点灯しているときに点灯し、第１高指向型ライト部が消灯しているときに消灯する。さらに、第１光学レンズ部と第２光学レンズ部が離間した位置に配置される。そのため、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部を通って照射された光の配光と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部を通って照射された光の配光各々の設計自由度が高い。そこで、本願発明者は、各々の配光の設計自由度の高さを利用して、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部による配光と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部による配光を各々工夫し、かつ、それらを組み合わせることで、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両に求められる配光を形成すればよいことに気づいた。そして、第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部は、第１光学レンズ部を通って照射された光が壁体に描く第１壁配光が、第２光学レンズ部を通って照射された光が壁体に描く第２壁配光と一部が重なり、かつ、残りの部分が重ならない状態を第１ベース部の車体フレームまたはハンドルに対する相対位置を変更した時に保持するように第１ベース部に固定される。なお、壁体とは、第１光学レンズ部および第２光学レンズ部のうち、車両の前後方向で最も前方に位置する方の前端より、車両の前方へ１０ｍ離れた直立する壁体である。それにより、第１光学レンズ部と第２光学レンズ部とがコンパクトであっても、車両に求められる配光を形成できる。

　さらに、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部とを支持する第１ベース部を有し、第１ベース部は、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部の配光を維持して車体フレームまたはハンドルとの相対位置を変更可能である。よって、離間した位置に配置される第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部により形成される壁配光を維持できる。

　したがって、態様１の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上できる、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両を提供できる。

　また、本発明では、以下の態様を採用してもよい。

　態様２の鞍乗型車両は、態様１の鞍乗型車両において、
　前記車両の前方から見て、前記第１光学レンズ部と前記第２光学レンズ部との間の領域は、前記車両の左右方向の中央にある、
　構成を採る。

　態様２の鞍乗型車両によれば、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部との間の領域が、車両の左右方向の中央に配置されるので、鞍乗型車両の外部からの視認性がより向上する。よって、態様２の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性をより向上できる。

　態様３の鞍乗型車両は、態様１の鞍乗型車両において、
　前記ハンドルの左部に配置される左グリップと、
　前記ハンドルの右部に配置される右グリップと、
　を更に備え、
　前記第１高指向型ライト部の配光と前記第２高指向型ライト部の配光とは、すれ違いビームの少なくとも一部の配光となり、
　前記鞍乗型車両は、
　指向性の高い光を出射する第３発光部と、前記第３発光部の光を屈折して配光を形成する第３光学レンズ部とを含み、前記第３光学レンズ部により形成された配光が、すれ違いビームの少なくとも一部の配光となる第３高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第４発光部と、前記第４発光部の光を屈折して配光を形成する第４光学レンズ部とを含み、前記第４光学レンズ部により形成された配光が、すれ違いビームの少なくとも一部の配光となり、前記第３高指向型ライト部と一緒に点灯され、前記第３高指向型ライト部と一緒に消灯される第４高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第５発光部と、前記第５発光部の光を屈折して配光を形成する第５光学レンズ部とを含み、前記第５光学レンズ部により形成された配光が、主ビームの少なくとも一部の配光となる第５高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第６発光部と、前記第６発光部の光を屈折して配光を形成する第６光学レンズ部とを含み、前記第６光学レンズ部により形成された配光が、主ビームの少なくとも一部の配光となる第６高指向型ライト部と、
　前記第３高指向型ライト部と前記第４高指向型ライト部とを支持し、前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更可能に支持される第２ベース部と、
　をさらに備え、
　前記第３高指向型ライト部および前記第４高指向型ライト部は、
　前記第３光学レンズ部および前記第４光学レンズ部の各最大幅が、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく形成され、
　前記第３光学レンズ部と前記第４光学レンズ部との間の長さが、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく、且つ、前記第３光学レンズ部の最小幅および前記第４光学レンズ部の最小幅とのうち何れか小さい方の半分より大きく形成され、
　前記第３光学レンズ部を通って照射された光が、前記第３光学レンズ部および前記第４光学レンズ部のうち、前記車両の前後方向で最も前方に位置する方の前端より、前記車両の前方へ１０ｍ離れた直立する壁体に描く第３壁配光が、前記第４光学レンズ部を通って照射された光が前記壁体に描く第４壁配光と一部が重なり、かつ、残りの部分が重ならない状態を前記第２ベース部の前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更した時に保持するように前記第２ベース部に固定され、
　前記第１高指向型ライト部から前記第６高指向型ライト部は、
　前記第１光学レンズ部の右端、前記第２光学レンズ部の右端、および、前記第５光学レンズ部の右端が、前記車両の左右方向の中央より左方にあり、前記第１光学レンズ部の左端、前記第２光学レンズ部の左端、および、前記第５光学レンズ部の左端が、前記車両の左右方向で前記左グリップの左端より右方にあり、前記第３光学レンズ部の左端、前記第４光学レンズ部の左端、および、前記第６光学レンズ部の左端が、前記車両の左右方向の中央より右方にあり、前記第３光学レンズ部の右端、前記第４光学レンズ部の右端、および、前記第６光学レンズ部の右端が、前記車両の左右方向で前記右グリップの右端より左方にあるように配置される、構成を採る。

　態様３の鞍乗型車両によれば、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部とを、リフレクタにより配光を形成するランプユニットで形成した場合と比較して、外部からの視認性を向上したまま、構成がコンパクトになる。さらに、第３高指向型ライト部と第４高指向型ライト部とを、リフレクタにより配光を形成するランプユニットで形成した場合と比較して、外部からの視認性を向上したまま、構成がコンパクトになる。よって、リフレクタにより配光を形成する２つのランプユニットがそれぞれすれ違いビームを照射する構成と比較して、外部からの視認性を向上したまま、構成をコンパクトにできる。

　さらに、態様３の鞍乗型車両によれば、車両に求められる主ビームの配光は、第５高指向型ライト部と第６高指向型ライト部とから形成されるので、１個の高指向型ライト部において配光を切り換える構造が不要となる。さらに、車両の前方から見て、第１光学レンズ部、第２光学レンズ部および第５光学レンズ部の各々の左端は、左グリップの左端より、車両の左右方向の右方にあり、車両の前方から見て、第３光学レンズ部、第４光学レンズ部および第６光学レンズ部の各々の右端は、右グリップの右端より、車両の左右方向の左方にある。よって、第１高指向型ライト部から第６高指向型ライト部までを、リフレクタにより配光を形成するランプユニットで形成した場合と比較して、外部からの視認性を向上したまま、構成をコンパクトにできる。

　よって、態様３の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上することができる。

　態様４の鞍乗型車両は、態様１または態様２に記載の鞍乗型車両において、
　前記車両の前方から見て、前記第１光学レンズ部の最大幅は２０ｍｍより大きく、
　前記車両の前方から見て、前記第２光学レンズ部の最大幅は２０ｍｍより大きい、
　構成を採る。

　車両において２５０カンデラから４００カンデラの方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームを照射する前照灯との距離が、２０ｍｍより大きいと、方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームを照射する前照灯との識別性が向上することが、知られている。態様４の鞍乗型車両によれば、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部の最大幅が２０ｍｍより大きいので、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部とのそれぞれの鞍乗型車両の外部からの視認性が確実に向上する。よって、態様４の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を確実に向上することができる。

　態様５の鞍乗型車両は、態様３に記載の鞍乗型車両において、
　前記車両の前方から見て、前記第１光学レンズ部の最大幅、前記第２光学レンズ部の最大幅、前記第５光学レンズ部の最大幅、前記第３光学レンズ部の最大幅、前記第４光学レンズ部の最大幅、および、前記第６光学レンズ部の最大幅は、２０ｍｍより大きい、
　構成を採る。

　車両において２５０カンデラから４００カンデラの方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームを照射する前照灯との距離が、２０ｍｍより大きいと、方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームを照射する前照灯との識別性が向上することが、知られている。態様５の鞍乗型車両によれば、第１高指向型ライト部から第６高指向型ライト部の各光学レンズ部の最大幅が２０ｍｍより大きいので、鞍乗型車両の外部からの視認性が確実に向上する。態様５の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を確実に向上することができる。

　態様６の鞍乗型車両は、態様１から５の何れか一項に記載の鞍乗型車両において、
　前記車両の前方から見て、前記高指向型ライト部以外の電気電子部品、スロットルワイヤー、ブレーキワイヤー、ブレーキホース、クラッチワイヤー、ワイヤーハーネス、および、キーシリンダーのうち、少なくとも一つの少なくとも一部が、前記第１光学レンズ部と前記第２光学レンズ部との間の領域に重なるように配置されている、
　構成を採る。

　態様６の鞍乗型車両によれば、車両の前方から見て、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部との間に、上記他の部品を配置することができる。複数の発光領域を設けて、構成をコンパクトにしつつ、車両の外部からの視認性を向上したことで、同時に、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部との間に間隔が設けられ、この間隔およびこの間隔の車両の前後方向の後方のスペースに余裕が生じる。よって、このスペースの余裕を利用して、上記他の部品を配置することで、鞍乗型車両のボデー部の前後方向の大型化も抑制できる。よって、態様６の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光を維持しつつ、鞍乗型車両の大型化をより抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上することができる。

　態様７の鞍乗型車両は、態様３または態様５に記載の鞍乗型車両において、
　前記車両の前方から見て、前記高指向型ライト部以外の電気電子部品、スロットルワイヤー、ブレーキワイヤー、ブレーキホース、クラッチワイヤー、ワイヤーハーネス、および、キーシリンダーのうち、少なくとも一つの少なくとも一部が、前記第３光学レンズ部と前記第４光学レンズ部との間の領域に重なるように配置されている、
　構成を採る。

　態様７の鞍乗型車両によれば、車両の前方から見て、第３高指向型ライト部の第３光学レンズ部と第４高指向型ライト部の第４光学レンズ部との間に、上記他の部品を配置することができる。複数の発光領域を設けて、構成をコンパクトにしつつ、車両の外部からの視認性を向上したことで、同時に、第３高指向型ライト部と第４高指向型ライト部との間に間隔が設けられ、この間隔およびこの間隔の車両の前後方向の後方のスペースに余裕が生じる。よって、このスペースの余裕を利用して、上記他の部品を配置することで、鞍乗型車両のボデー部の前後方向の大型化も抑制できる。よって、態様７の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光を維持しつつ、鞍乗型車両の大型化をより抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上することができる。

　本発明によれば、車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレームを車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な車両に求められる配光を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上できる。

本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両を示す側面図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の正面図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の左前輪支持装置および右前輪支持装置を説明する正面図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光を示す図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光の変形例１を示す図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光の変形例２を示す図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光の変形例３を示す図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットを示す分解斜視図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットを示す正面図（図１０Ａ）と側面から見た透視図（図１０Ｂ）本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部の第１例Ａと第２例Ｂと第３例Ｃとを説明する図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部の寸法条件を説明する第１例の図（図１２Ａ）および第２例の図（図１２Ｂ）本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部との間隔条件を説明する図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部との配置条件を説明する図第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部の配置の変形例１を説明する図第１高指向型ライト部および第２高指向型ライト部の配置の変形例２を説明する図本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部と他の部品との配置関係を説明する図で、図１７Ａは正面図、図１７Ｂは平面図、図１７Ｃは変形例の平面図本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両を示す側面図本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両の正面図本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部、第２高指向型ライト部、第３高指向型ライト部、第４高指向型ライト部を説明する図本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両のランプユニットを示す分解斜視図本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両のランプユニットの一部を示す正面図図２２のＡ－Ａ線断面図図２２のＢ－Ｂ線断面図本発明の実施の形態３に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部から第６高指向型ライト部の配置を説明する図本発明の実施の形態４に係る鞍乗型車両を示す側面図本発明の実施の形態４に係る鞍乗型車両を示す正面図本発明の実施の形態４に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図本発明の実施の形態５に係る鞍乗型車両を示す側面図本発明の実施の形態５に係る鞍乗型車両を示す正面図本発明の実施の形態５に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両を示す側面図本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両を示す正面図本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両のリンク機構を説明する正面図本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両が左旋回しているときを説明する正面図本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両のハンドルを左に操舵しているときを説明する平面図本発明の実施の形態７に係る鞍乗型車両を示す側面図本発明の実施の形態７に係る鞍乗型車両を示す正面図本発明の実施の形態７に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図本発明の実施の形態８に係る鞍乗型車両を示す側面図本発明の実施の形態８に係る鞍乗型車両を示す正面図本発明の実施の形態８に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図

　以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。

　＜方向についての定義＞
　以下、図中の矢印Ｆは車両の前方向を示し、矢印Ｂは車両の後方向を示す。矢印Ｕは車両の上方向を示し、矢印Ｄは車両の下方向を示す。矢印Ｒは車両の右方向を示し、矢印Ｌは車両の左方向を示す。なお、車両は、車体フレーム２を鉛直に対して車両の左右方向に傾斜させて旋回する。そこで、車両の方向とは別に車体フレーム２を基準とした方向を定めている。図中の矢印ＦＦは車体フレーム２を基準とした前方向を示し、矢印ＦＢは車体フレーム２を基準とした後方向を示す。矢印ＦＵは車体フレーム２を基準とした上方向を示し、矢印ＦＤは車体フレーム２を基準とした下方向を示す。矢印ＦＲは車体フレーム２を基準とした右方向を示し、矢印ＦＬは車体フレーム２を基準とした左方向を示す。

　明細書において、車両の前後方向、車両の上下方向、車両の左右方向とは、車両を運転するライダーから見た前後、左右、上下の方向であり、鞍乗型車両１を基準とした方向である。また、明細書および特許請求の範囲において、鞍乗型車両１を基準とした方向を示したときは、鞍乗型車両１が直立状態のときの方向を示している。明細書において、直立状態とは、ハンドル２３を操舵せずに、車体フレーム２の上下方向が鉛直と一致している状態を示す。

　また、明細書において、車体フレーム２の前後方向、車体フレーム２の上下方向、車体フレーム２の左右方向とは、鞍乗型車両１を運転するライダーから見た前後、左右、上下の方向であり、車体フレーム２を基準とした方向である。鞍乗型車両１が直立状態のとき、鞍乗型車両１の方向と車体フレーム２の方向は一致する。

　［実施の形態１］
　図１は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両を示す側面図である。図２は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の正面図である。図３は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図である。

　図１に示すように、鞍乗型車両１は、車体フレーム２、燃料タンク３、シート４、パワーユニット５を備える。鞍乗型車両１は、ネイキッドタイプの傾斜旋回鞍乗型車両である。

　車体フレーム２は、ヘッドパイプ６と、本体フレーム７とを含む。本体フレーム７は、ヘッドパイプ６に接続されており、ヘッドパイプ６の車両の前後方向の後方に配置されている。

　燃料タンク３は、ヘッドパイプ６の車両の前後方向の後方に配置されている。燃料タンク３は、本体フレーム７の車両の上下方向の上方に配置されている。シート４は、燃料タンク３の車両の前後方向の後方に配置されている。シート４は、本体フレーム７の車両の上下方向の上方に配置されている。

　パワーユニット５は、エンジン部、クランク部、ミッション部を備える。パワーユニット５は、燃料タンク３の車両の上下方向の下方に配置されている。パワーユニット５は、本体フレーム７に支持されている。

　また、図１および図２に示すように、鞍乗型車両１は、ステアリングシャフト８、左カバー部９Ｌ、右カバー部９Ｒ、後輪１０、前輪１１、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、ロワーブラケット１５、アッパーブラケット１６、ランプユニット１８、ハンドル２３、左グリップ２４Ｌ、右グリップ２４Ｒ、フェンダー２５を備える。実施の形態１の鞍乗型車両１は、１つの前輪１１を有するので、前輪１１は前輪部と同じ意味となる。以下、各部について説明する。

　ハンドル２３は、車両の左右方向に長く、ライダーの操舵によってステアリングシャフト８と一体的に回動する。ハンドル２３の左部にはライダーが握る左グリップ２４Ｌが配置される。ハンドル２３の右部にはライダーが握る右グリップ２４Ｒが配置される。

　ステアリングシャフト８は、車体フレーム２に回動可能に支持されている。例えば、ステアリングシャフト８は、ヘッドパイプ６の孔に挿通され、ヘッドパイプ６の中心軸線周りに回動する。

　左カバー部９Ｌは、車体フレーム２の少なくとも左方を覆っている。また、右カバー部９Ｒは、車体フレーム２の少なくとも右方を覆っている。

　図４は、左前輪支持装置１２Ｌおよび右前輪支持装置１２Ｒを説明する正面図である。

　左前輪支持装置１２Ｌおよび右前輪支持装置１２Ｒは、左右に対をなして配置され、前輪１１を回動可能に支持している。また、左前輪支持装置１２Ｌおよび右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１の車両の上下方向の上方を覆うフェンダー２５を固定して支持している。

　図４に示すように、左前輪支持装置１２Ｌは、車両の左右方向でステアリングシャフト８より左方に位置する。左前輪支持装置１２Ｌは、アッパーブラケット１６に支持される上側部材１４Ｌと、前輪１１を支持し、上側部材１４Ｌに対して車両の上下方向に変位可能な下側部材１３Ｌと、を含む。

　また、図４に示すように、右前輪支持装置１２Ｒは、車両の左右方向でステアリングシャフト８より右方に位置する。右前輪支持装置１２Ｒは、アッパーブラケット１６に支持される上側部材１４Ｒと、前輪１１を支持し、上側部材１４Ｒに対して車両の上下方向に変位可能な下側部材１３Ｒと、を含む。

　図４において、仮想線Ｖ１は、左前輪支持装置１２Ｌの下側部材１３Ｌの下部の右端Ｅ１を通り、鉛直に延びる線である。仮想線Ｖ２は、右前輪支持装置１２Ｒの下側部材１３Ｒの下部の左端Ｅ２を通り、鉛直に延びる線である。仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２とは、後に説明するが、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの寸法条件と間隔条件とを規定するために使われる。

　右前輪支持装置１２Ｒおよび左前輪支持装置１２Ｌは、ともに、バネおよびダンパーを内部に備えてもよい。または、右前輪支持装置１２Ｒおよび左前輪支持装置１２Ｌのうち、一方がバネを備え、もう一方がダンパーを備えてもよい。または、右前輪支持装置１２Ｒおよび左前輪支持装置１２Ｌのうち、一方がバネおよびダンパーを備え、もう一方がバネおよびダンパーのいずれも備えなくてもよい。

　ロワーブラケット１５は、左部が左前輪支持装置１２Ｌの上側部材１４Ｌの下部と接続され、右部が右前輪支持装置１２Ｒの上側部材１４Ｒの下部と接続され、中央部がステアリングシャフト８の下部と接続される。

　アッパーブラケット１６は、左部が左前輪支持装置１２Ｌの上側部材１４Ｌの上部と接続され、右部が右前輪支持装置１２Ｒの上側部材１４Ｒの上部と接続され、中央部がステアリングシャフト８の上部と接続される。

　ロワーブラケット１５およびアッパーブラケット１６は、ステアリングシャフト８に固定的に支持されている。ロワーブラケット１５は、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒを、固定的に支持している。アッパーブラケット１６は、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、ハンドル２３を、固定的に支持している。よって、左前輪支持装置１２Ｌの上部である上側部材１４Ｌは、ロワーブラケット１５とアッパーブラケット１６とステアリングシャフト８を介して、車体フレーム２に支持されている。また、右前輪支持装置１２Ｒの上部である上側部材１４Ｒは、ロワーブラケット１５とアッパーブラケット１６とステアリングシャフト８を介して、車体フレーム２に支持されている。

　図３に示すように、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１が左旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の左方に傾斜する。同様に、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１が右旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の右方に傾斜する。

　ランプユニット１８は、光を照射する第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとを備える。ランプユニット１８は、すれ違いビームまたは主ビームを照射する。ランプユニット１８は、車両の前後方向でハンドル２３より前方、且つ、車両の上下方向で前輪１１より上方に配置される。ランプユニット１８は、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に支持される。ランプユニット１８の支持は、直接的な支持と、他の部品やブラケット等を介した間接的な支持を含む。

　ここで、主ビームとは、暗闇でも鞍乗型車両１が走行できるように車両の前方を照らす前照灯の照明のうち、ランプユニット１８の中央と同じ高さ以上の領域にも光を照射するビームを言う。また、すれ違いビームとは、暗闇でも鞍乗型車両１が走行できるように車両の前方を照らす前照灯の照明のうち、対向車が眩しくないように、ランプユニット１８の中央と同じ高さ以上の領域に照射する光を抑制したビームを言う。

　＜配光＞
　図５は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光を示す図である。図５Ａは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの両者が形成する配光を示す。図５Ｂは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌが形成する配光を示す。図５Ｃは、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒが形成する配光を示す。

　ランプユニット１８から壁体Ｗへ光を照射すると、図５Ａに示すように、すれ違いビームの配光Ｄ１が得られる。

　ここで、壁体Ｗは、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとのうち、車両の前後方向で、最も前方の端から車両の前方へ１０ｍ離れ、鞍乗型車両１に真っ直ぐ向かい、直立しているものとする。図５Ａ－図５Ｃ中、仮想線Ｌ１０１は、鞍乗型車両１が直立状態で、ランプユニット１８の中心を通る水平面と壁体Ｗとが交差する線を示す。仮想線Ｌ１０２は、鞍乗型車両１が直立状態で、ランプユニット１８の中心を通り、車両の前後方向および上下方向に広がる垂直面と壁体Ｗとが交差する線を示す。壁体Ｗと仮想線Ｌ１０１、Ｌ１０２とについては、図６、図７、図８においても同様である。

　すれ違いビームの配光Ｄ１は、仮想線Ｌ１０１の鉛直下方で、車両の左右方向に所定強度の光が広がる領域Ｄ５と、仮想線Ｌ１０１の鉛直下方で車両の左右方向の中央の範囲で領域Ｄ５より強度が高くなる領域Ｄ４とを有する。

　すれ違いビームの配光Ｄ１は、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌを通過した光が壁体Ｗに描く図５Ｂの第１壁配光Ｄ２と、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒを通過した光が壁体Ｗに描く図５Ｃの第２壁配光Ｄ３とが重なって形成される。第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとは、一方が点灯すれば、他方も点灯し、一方が消灯すれば他方も消灯する。よって、ランプユニット１８が点灯のときには、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの両方が点灯し、図５Ａのすれ違いビームの配光Ｄ１が得られる。

　第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２の光は、一部が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３の光と重なり、残りの部分が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３の光と重ならない。第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３の光は、一部が第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２の光と重なり、残りの部分が第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２の光と重ならない。第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２と第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３とは、同一の形状であり、中心位置Ｐ２、Ｐ３が異なる。

　ここで、配光の形状が同一とは、設計思想上、配光の形状を同一にしていることを示し、設計誤差による差異は含まれない。また、配光の中心位置が異なるとは、設計思想上、位置を異にしていることを示し、設計誤差による差異は含まれない。また、配光の一部が重なり、残りの部分が重ならないとは、設計思想上、配光の一部を重ね、残りの部分を重ねていないことを示し、設計誤差によるものは含まない。

　なお、ランプユニット１８の配光は、次の変形例１から変形例３としてもよい。

　＜配光の変形例１＞
　図６は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光の変形例１を示す図である。図６Ａは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの両者が形成する配光を示す。図６Ｂは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌが形成する配光を示す。図６Ｃは、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒが形成する配光を示す。

　変形例１では、ランプユニット１８から壁体Ｗへ光を照射すると、図６Ａに示すように、すれ違いビームの配光Ｄ１１が得られる。

　すれ違いビームの配光Ｄ１１は、仮想線Ｌ１０１の鉛直下方で、車両の左右方向に所定強度の光が広がる領域Ｄ１５と、仮想線Ｌ１０１の鉛直下方で車両の左右方向の中央の範囲で領域Ｄ１５より強度が高くなる領域Ｄ１４とを有する。

　すれ違いビームの配光Ｄ１１は、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌを通過した光が壁体Ｗに描く配光である、図６Ｂの第１壁配光Ｄ１２と、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒを通過した光が壁体Ｗに描く配光である、図６Ｃの第２壁配光Ｄ１３とが重なって形成される。第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとは、一方が点灯すれば、他方も点灯し、一方が消灯すれば他方も消灯する。よって、ランプユニット１８が点灯のときには、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの両方が点灯し、図６Ａのすれ違いビームの配光Ｄ１１が得られる。

　第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ１２の光は、一部が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ１３の光と重なり、残りの部分が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ１３の光と重ならない。第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ１３は、全体が第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ１２と重なる。第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ１２と第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ１３とは、異なる形状である。異なる形状とは、輪郭が異なる形状と、大きさが異なる形状とを含む。第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ１２と第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ１３とは、中心位置Ｐ１２、Ｐ１３が同一であってもよい。

　ここで、配光の形状が異なるとは、設計思想上、配光の形状を異にしていることを示し、設計誤差による差異は含まれない。また、配光の中心位置が同一とは、設計思想上、位置を同一にしていることを示し、設計誤差による差異は含まれない。

　＜配光の変形例２＞
　配光の変形例２は、ランプユニット１８により鞍乗型車両１に求められる主ビームを照射する場合を示す。

　図７は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光の変形例２を示す図である。図７Ａは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの両者が形成する配光を示す。図７Ｂは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌが形成する配光を示す。図７Ｃは、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒが形成する配光を示す。

　変形例２では、ランプユニット１８から壁体Ｗへ光を照射すると、図７Ａに示すように、主ビームの配光Ｄ２１が得られる。

　主ビームの配光Ｄ２１は、仮想線Ｌ１０１の鉛直上方と鉛直下方とで、車両の左右方向に所定強度の光が広がる領域Ｄ２５と、仮想線Ｌ１０１の鉛直上方と鉛直下方とで車両の左右方向の中央の範囲で領域Ｄ２５より強度が高くなる領域Ｄ２４とを有する。

　主ビームの配光Ｄ２１は、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌを通過した光が壁体Ｗに描く配光である、図７Ｂの第１壁配光Ｄ２２と、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒを通過した光が壁体Ｗに描く配光である、図７Ｃの第２壁配光Ｄ２３とが重なって形成される。第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとは、一方が点灯すれば、他方も点灯し、一方が消灯すれば他方も消灯する。よって、ランプユニット１８が点灯のときには、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの両方が点灯し、図７Ａの主ビームの配光Ｄ２１が得られる。

　第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２２の光は、一部が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ２３の光と重なり、残りの部分が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ２３の光と重ならない。第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ２３の光は、一部が第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２２の光と重なり、残りの部分が第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２２の光と重ならない。第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２２と第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ２３とは、左右を逆転すると同一の形状であり、中心位置Ｐ２２、Ｐ２３が異なる。

　＜配光の変形例３＞
　図８は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットの配光の変形例１を示す図である。図８Ａは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの両者が形成する配光を示す。図８Ｂは、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌが形成する配光を示す。図８Ｃは、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒが形成する配光を示す。

　変形例３では、ランプユニット１８から壁体Ｗへ光を照射すると、図８Ａに示すように、主ビームの配光Ｄ３１が得られる。

　主ビームの配光Ｄ３１は、仮想線Ｌ１０１の鉛直上方と鉛直下方とで、車両の左右方向に所定強度の光が広がる領域Ｄ３５と、仮想線Ｌ１０１の鉛直上方と鉛直下方とで車両の左右方向の中央の範囲で領域Ｄ３５より強度が高くなる領域Ｄ３４とを有する。

　主ビームの配光Ｄ３１は、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌを通過した光が壁体Ｗに描く配光である、図８Ｂの第１壁配光Ｄ３２と、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒを通過した光が壁体Ｗに描く配光である、図８Ｃの第２壁配光Ｄ３３とが重なって形成される。第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとは、一方が点灯すれば、他方も点灯し、一方が消灯すれば他方も消灯する。よって、ランプユニット１８が点灯のときには、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの両方が点灯し、図８Ａの主ビームの配光Ｄ３１が得られる。

　第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ３２の光は、一部が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３３の光と重なり、残りの部分が第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３３の光と重ならない。第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３３は、実質全体の部分が、第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ３２と重なる。第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ３２と第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３３とは、異なる形状である。異なる形状とは、輪郭が異なる形状と、大きさが異なる形状とを含む。第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ３２と第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３３とは、中心位置Ｐ３２、Ｐ３３が同一であってもよい。

　＜ランプユニット＞
　図９は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットを示す分解斜視図である。図１０は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両のランプユニットを示す正面図（図１０Ａ）と側面から見た透視図（図１０Ｂ）である。

　ランプユニット１８は、ケーシング３１と、ベース部３２と、第１高指向型ライト部１９Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒと、アウターカバー３３とを有する。

　ケーシング３１は、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの少なくとも側面と車両の上下方向の上方とを覆う。ケーシング３１は、ベース部３２が角度調整可能に係合される被係合部３１ａ、３１ｂ、３１ｃを有する。ケーシング３１は、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に直接または間接的に支持される。

　ベース部３２は、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとを固定する固定部３２Ｌ、３２Ｒを有する。固定部３２Ｌ、３２Ｒに固定された第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとは相対移動不可能となる。

　ベース部３２はケーシング３１の被係合部３１ａ、３１ｂ、３１ｃに係合する係合部３２ａ、３２ｂ、３２ｃを有する。係合部３２ａ、３２ｂ、３２ｃは、３個あるとよい。図１０Ａ、図１０Ｂに示すように、１個の係合部３２ａは、ケーシング３１の１個の被係合部３１ａと、ユニバーサルジョイントを介して角度自在に係合されるとよい。残りの２個の係合部３２ｂ，３２ｃは、ケーシング３１の被係合部３１ｂ，３１ｃと、それぞれ車両の前後方向に位置調整可能に係合されるとよい。

　このような係合により、第１高指向型ライト部１９Ｌによる第１壁配光Ｄ２と第２高指向型ライト部１９Ｒによる第２壁配光Ｄ３との重なりの位置を変化させずに、ベース部３２を、ケーシング３１に対して相対移動することができる。相対移動可能な方向は、例えば、ユニバーサルジョイントを支点とした回動方向である。ケーシング３１は、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に固定的に支持されているので、上記の係合により、ベース部３２は、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に対して相対移動することができる。これにより、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの光軸調整をまとめて行うことができる。

　なお、ケーシング３１の被係合部３１ａ、３１ｂ、３１ｃの配置と、ベース部３２の被係合部３２ａ、３２ｂ、３２ｃの配置は、例えば、車両の方向において、ベース部３２の左右方向の中央の上端と下端と、ベース部３２の左右方向の左端との３箇所にするなど、適宜変更可能である。

　アウターカバー３３は、透明であり、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの車両の前後方向の前方を覆って、ケーシング３１に固定される。

　＜高指向型ライト部＞
　ここで、図１１Ａから図１１Ｃを用いて、第１高指向型ライト部１９Ｌの詳細な構成例について説明する。図１１Ａから図１１Ｃは、第１高指向型ライト部１９Ｌの側面図である。

　図１１Ａから図１１Ｃに示す第１高指向型ライト部１９Ｌは、１つの第１発光部５１と、１つの第１光学レンズ部２０Ｌとを含むモジュールである。モジュールとは、ひとまとまりに交換可能な構成部品を意味する。

　図１１Ａに示すように、第１高指向型ライト部１９Ｌは、筐体２１Ｌの車両の前後方向の後方に基板５０を備える。基板５０の筐体２１Ｌ内部側の面には、第１発光部５１が配置され、基板５０の筐体２１Ｌ外部側の面には、ヒートシンク５２が配置される。

　図１１Ａにおいて、第１発光部５１は、例えば、ＬＥＤ（light emitting diode）であり、指向性が高い光を出射する。第１光学レンズ部２０Ｌは、第１発光部５１の光を屈折して配光を形成する。第１光学レンズ部２０Ｌから外部に照射された光は、主ビームまたはすれ違いビームの少なくとも一部を構成する。なお、第１光学レンズ部２０Ｌと第１発光部５１は、モジュール化されていてもよいし、モジュール化されていなくてもよい。

　第１高指向型ライト部１９Ｌは、図１１Ｂまたは図１１Ｃに示す構成であってもよい。

　図１１Ｂに示す構成では、基板５０が光ファイバー５３の一端である第１発光部５１を保持している。光ファイバー５３の他端には光源５４が接続されている。光源５４は、例えば、半導体レーザである。

　図１１Ｃに示す構成では、基板５０、第１発光部５１（例えば、ＬＥＤ）、ヒートシンク５２が筐体２１Ｌの側面に配置されている。また、筐体２１Ｌ内には、第１発光部５１の光を反射する反射鏡５５が配置されている。

　第２高指向型ライト部１９Ｒは、第１高指向型ライト部１９Ｌと同様に、図１１Ａから図１１Ｃの構成のいずれかを採る。第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第１発光部５１とに対応して、第２高指向型ライト部１９Ｒには、第２光学レンズ部５０Ｒと第２発光部とを有する。

　第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとは、電源の供給と遮断とを行う電気回路の制御によって、同時点灯する。すなわち、第１高指向型ライト部１９Ｌは、第２高指向型ライト部１９Ｒが点灯すると点灯し、第２高指向型ライト部１９Ｒが消灯すると消灯する。

　＜光学レンズ部の寸法条件＞
　図１２は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの寸法条件を説明する第１例の図（図１２Ａ）および第２例の図（図１２Ｂ）である。図１２の仮想線Ｖ１、Ｖ２は、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の位置を示す（図４を参照）。

　第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとは、次の寸法条件を満たす。

　鞍乗型車両１が直立状態で、車両の前方から見たときに、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌの最大幅Ｗ１Ｌは、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｗ１Ｌ＜Ｌ２）。

　また、鞍乗型車両１が直立状態で、車両の前方から見たときに、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌの最大幅Ｗ１Ｌは、基準長さＷｒｅｆ（２０ｍｍ）より大きいとよい。車両において２５０カンデラから４００カンデラの方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームの灯火器との距離が、基準長さＷｒｅｆより長いと、方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームを照射する前照灯との識別性が向上することが知られている。第１光学レンズ部２０Ｌの最大幅Ｗ１Ｌを基準長さＷｒｅｆより大きくすることで、第１光学レンズ部２０Ｌの外部からの視認性が確実に向上する。

　鞍乗型車両１が直立状態で、車両の前方から見たときに、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒの最大幅Ｗ１Ｒは、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｗ１Ｒ＜Ｌ２）。

　また、鞍乗型車両１が直立状態で、車両の前方から見たときに、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒの最大幅Ｗ１Ｒは、基準長さＷｒｅｆ（２０ｍｍ）より大きいとよい。基準長さＷｒｅｆは、上述したごとくである。第２光学レンズ部２０Ｒの最大幅Ｗ１Ｒを基準長さＷｒｅｆより大きくすることで、第２光学レンズ部２０Ｒの外部からの視認性が確実に向上する。

　ここで、第１光学レンズ部２０Ｌの最大幅Ｗ１Ｌとは、車両の前方から見たときの第１光学レンズ部２０Ｌの輪郭を、輪郭と交わらず、且つ、輪郭と接するように、互いに平行な２つの直線で様々な方向から挟んだときに、２つの直線の間隔が最大となる長さを言う。また、第１光学レンズ部２０Ｌの最小幅Ｗ２Ｌとは、第１光学レンズ部２０Ｌの輪郭を、輪郭と交わらず、且つ、輪郭と接するように、互いに平行な２つの直線で様々な方向から挟んだときに、２つの直線の間隔が最小となる長さを言う。車両の前方から見て、第１光学レンズ部２０Ｌが真円であれば、最大幅Ｗ１Ｌと最小幅Ｗ２Ｌとは等しい。

　第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒの最大幅Ｗ１Ｒと最小幅Ｗ２Ｒについても同様である。

　図１２Ｂに示すように、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌは、新円と異なり、最大幅Ｗ１Ｌと最小幅Ｗ２Ｌとが異なる形状でもよい。第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒは、図１２Ｂに示すように、新円と異なり、最大幅Ｗ１Ｒと最小幅Ｗ２Ｒとが異なる形状でもよい。

　＜光学レンズ部の間隔条件＞
　図１３は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの間隔条件を説明する図である。

　第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとは、次の間隔条件を満たすように配置される。

　鞍乗型車両１が直立状態で、車両の前方から見たときに、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の長さＬ１０は、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｌ１０＜Ｌ２）。また、距離Ｌ１０は、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌの最小幅Ｗ２Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒの最小幅Ｗ２Ｒのうち、何れか小さい方の半分Ｗ３より、大きい（Ｌ１０＞Ｗ３）。

　＜光学レンズ部の配置条件＞
　図１４は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの配置条件を説明する図である。

　第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとは、次の配置条件を満たすように配置されるとよい。

　鞍乗型車両１が直立状態で、車両の前方から見たときに、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の領域Ｒ１は、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央にある。図１４中、領域Ｒ１を、仮想線Ｖ１１と仮想線Ｖ１２とを用いて示す。領域Ｒ１は、第１光学レンズ部２０Ｌと、第２光学レンズ部２０Ｒと、仮想線Ｖ１１と、仮想線Ｖ１２との間の領域である。すなわち、車両の前方から見て、領域Ｒ１は、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央を鉛直に延びる仮想線Ｖ３と重なる。

　図１５は、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの配置の変形例１を説明する図である。図１６は、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの配置の変形例２を説明する図である。

　上述した第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの配置条件は、図１５の配置、および、図１６の配置でも満たされている。

　図１５の配置は、車両の上下方向において、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとが、異なる位置にある。この場合でも、車両の前方から見て、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の領域Ｒ２が、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央にある。図１５中、領域Ｒ２を、仮想線Ｖ１３と仮想線Ｖ１４とを用いて示す。領域Ｒ２は、第１光学レンズ部２０Ｌと、第２光学レンズ部２０Ｒと、仮想線Ｖ１３と、仮想線Ｖ１４との間の領域である。すなわち、車両の前方から見て、領域Ｒ２は、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央を鉛直に延びる仮想線Ｖ３と重なる。

　図１６に示す配置は、車両の前方から見て、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとが、車両の上下方向に並んで配置されている。この場合でも、車両の前方から見て、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の領域Ｒ３が、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央にある。図１６中、領域Ｒ３を、仮想線Ｖ１５と仮想線Ｖ１６とを用いて示す。領域Ｒ３は、第１光学レンズ部２０Ｌと、第２光学レンズ部２０Ｒと、仮想線Ｖ１５と、仮想線Ｖ１６との間の領域である。すなわち、車両の前方から見て、領域Ｒ３は、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央を鉛直に延びる仮想線Ｖ３と重なる。

　＜高指向型ライト部と他の部品との関係＞
　図１７は、本発明の実施の形態１に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒと他の部品との配置関係を説明する図で、図１７Ａは正面図、図１７Ｂは平面図、図１７Ｃは変形例の平面図である。

　図１７Ａに示すように、車両の前方から見て、鞍乗型車両１の部品６０または部品６１が、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の領域に重なるように配置されている。部品６０は、高指向型ライト部とは異なる電気電子部品であり、具体的には、ＥＣＵ（エンジン制御ユニット）、種々のＥＣＵ（電子制御ユニット）、モータを含み油圧ブレーキの液圧を制御するＨＵ（液圧ユニット）、ＧＰＳ（全地球測位システム）ユニット、ＥＴＣ（Electronic Toll Collection System）、ＥＴＣアンテナ、ホーン、レーザユニット、各種の電子基板、バッテリーの何れかでよい。部品６１は、例えば、スロットルワイヤー、ブレーキワイヤー、ブレーキホース、クラッチワイヤー、ワイヤーハーネスの何れかでよい。

　図１７Ｂに示すように、車両の前後方向において、部品６０または部品６１は、第１高指向型ライト部１９Ｌの後端より後方、第２高指向型ライト部１９Ｒの後端より後方に配置されていてもよい。また、図１７Ｃに示すように、車両の前後方向において、部品６０または部品６１の少なくとも一部は、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの間の領域に配置されてもよい。

　＜実施の形態１の効果＞
　以上のように、実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、次のような作用が得られる。すなわち、第１光学レンズ部２０Ｌは、第１発光部５１の光を屈折して外部に出射する際に、レンズ材料の性質上、光の一部を拡散させながら光を透過させる。また、第２光学レンズ部２０Ｒは、第２発光部の光を屈折して外部に出射する際に、レンズ材料の性質上、光の一部を拡散させながら光を透過させる。よって、この拡散光により、第１光学レンズ部２０Ｌおよび第２光学レンズ部２０Ｒは、それ自体が光って見える。よって、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒによる配光の強度が低い範囲から見ても、第１光学レンズ部２０Ｌおよび第２光学レンズ部２０Ｒは発光領域として見える。

　さらに、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒは、第１光学レンズ部２０Ｌおよび第２光学レンズ部２０Ｒの最大幅Ｗ１Ｌ、Ｗ１Ｒの各々が、車両の前方から見て、左前輪支持装置１２Ｌの下部の左端と右前輪支持装置１２Ｒの下部の右端との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さく形成される。鞍乗型車両の左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の長さは、四輪の自動車に比べて非常に小さい。そのため、第１光学レンズ部２０Ｌおよび第２光学レンズ部２０Ｒだけでなく、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒを各々コンパクトにできる。

　また、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒは、第１光学レンズ部２０Ｌと第２光学レンズ部２０Ｒとの間の長さＬ１０が、車両の前方から見て、左前輪支持装置１２Ｌの下部の左端と右前輪支持装置１２Ｒの下部の右端との車両の左右方向の間隔の半分より小さく、且つ、第１光学レンズ部２０Ｌの最小幅Ｗ２Ｌおよび第２光学レンズ部２０Ｒの最小幅Ｗ２Ｒとのうち何れか小さい方の半分より大きく形成される。そのため、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒを各々コンパクトにできたことを利用して、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの間隔を大きくしても、車両が大型化することを抑制できる。しかも、拡散光により光って見える２つの光学レンズ部が離間して配置されるため、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの配光の強度が低い範囲から見ても、車両の外部からの視認性を向上できる。

　よって、車両の大型化を抑制しつつ、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの配光の強度が低い範囲から見ても、拡散光により光って見える第１光学レンズ部２０Ｌおよび第２光学レンズ部２０Ｒによって、車両の外部からの視認性を向上できる。

　さらに、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒの各々は、指向性の高い光を出射する発光部と、発光部の光を屈折して配光を形成する光学レンズ部とを含む。また、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒにより形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームのうち第１高指向型ライト部１９Ｌと同じビームの少なくとも一部の配光となり、第１高指向型ライト部１９Ｌが点灯しているときに点灯し、第１高指向型ライト部１９Ｌが消灯しているときに消灯する。さらに、第１光学レンズ部２０Ｌと第２光学レンズ部２０Ｒとが離間した位置に配置される。そのため、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌを通って照射された光の配光と第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒを通って照射された光の配光各々の設計自由度が高い。

　そこで、本実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、第１高指向型ライト部１９Ｌおよび第２高指向型ライト部１９Ｒは、第１光学レンズ部２０Ｌを通って照射された光が壁体Ｗに描く第１壁配光Ｄ２が、第２光学レンズ部２０Ｒを通って照射された光が壁体Ｗに描く第２壁配光Ｄ３と一部が重なり、かつ、残りの部分が重ならない状態が、ベース部３２を車体フレーム２またはハンドル２３に対して相対位置を変更した時に、保持されるようにベース部３２に固定される。それにより、第１光学レンズ部２０Ｌと第２光学レンズ部２０Ｒとがコンパクトであっても、車両に求められる配光Ｄ１を形成できる。

　さらに、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとを支持するベース部３２を有し、ベース部３２は、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの配光を維持して車体フレーム２またはハンドル２３との相対位置を変更可能である。よって、離間した位置に配置される第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒにより形成される配光Ｄ１を維持できる。

　したがって、態様１の鞍乗型車両によれば、車両に求められる配光Ｄ１を維持しつつ、車両の大型化を抑制し、且つ、車両の外部からの視認性を向上できる、車体フレーム２を車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、車体フレーム２を車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能な鞍乗型車両を提供できる。

　また、実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、車両の前方から見て、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の領域Ｒ１は、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央にある。よって、鞍乗型車両１の外部からの視認性がより向上する。よって、実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、鞍乗型車両１に求められる配光を維持しつつ、鞍乗型車両１の大型化を抑制し、且つ、鞍乗型車両１の外部からの視認性をより向上できる。

　さらに、実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、車両の前方から見て、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌの最大幅Ｗ１Ｌは２０ｍｍより大きく、車両の前方から見て、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒの最大幅Ｗ１Ｒは２０ｍｍより大きい。車両において２５０カンデラから４００カンデラの方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームの灯火器との距離が、基準長さ２０ｍｍより長いと、方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームを照射する前照灯との識別性が向上することが知られている。上記の第１光学レンズ部２０Ｌと第２光学レンズ部２０Ｒとの最大幅Ｗ１Ｌ、Ｗ１Ｒにより、鞍乗型車両１の外部からの視認性が確実に向上する。よって、実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、鞍乗型車両１に求められる配光を維持しつつ、鞍乗型車両１の大型化を抑制し、且つ、鞍乗型車両１の外部からの視認性を確実に向上することができる。

　さらに、実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、車両の前方から見て、高指向型ライト部以外の電気電子部品、スロットルワイヤー、ブレーキワイヤー、ブレーキホース、クラッチワイヤー、ワイヤーハーネス、および、キーシリンダーのうち、少なくとも一つの部品６０、６１の少なくとも一部が、第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の領域に重なるように配置されている。よって、第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとの間に設けられる間隔およびこの間隔の車両の前後方向の後方のスペースが、部品６０、６１の配置に利用され、鞍乗型車両１のボデー部の前後方向の大型化を抑制できる。よって、実施の形態１の鞍乗型車両１によれば、鞍乗型車両１に求められる配光を維持しつつ、鞍乗型車両１の大型化をより抑制し、且つ、鞍乗型車両１の外部からの視認性を向上することができる。

　［実施の形態２］
　図１８は、本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両を示す側面図である。図１９は、本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両の正面図である。実施の形態２は、ランプユニットが実施の形態１と異なり、その他の構成要素は実施の形態１と同様である。同様の構成要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。

　実施の形態２の鞍乗型車両１Ａは、車体フレーム２、燃料タンク３、シート４、パワーユニット５、ステアリングシャフト８、左カバー部９Ｌ、右カバー部９Ｒ、後輪１０、前輪１１、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、ロワーブラケット１５、アッパーブラケット１６、ランプユニット１８Ａ、ハンドル２３、左グリップ２４Ｌ、右グリップ２４Ｒ、フェンダー２５を備える。

　ランプユニット１８Ａは、第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄを有する。

　第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄの各々は、実施の形態１の第１高指向型ライト部１９Ｌと同様に、図１１Ａから図１１Ｃの何れかの構成を採る。図１１Ａから図１１Ｃの第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第１発光部５１とに対応して、第１高指向型ライト部１９Ａは第１光学レンズ部２０Ａと第１発光部とを有し、第２高指向型ライト部１９Ｂは第２光学レンズ部２０Ｂと第２発光部とを有し、第３高指向型ライト部１９Ｃは第３光学レンズ部２０Ｃと第３発光部とを有し、第４高指向型ライト部１９Ｄは第４光学レンズ部２０Ｄと第４発光部とを有する。

　第１高指向型ライト部１９Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂとは、電源の供給と遮断とを行う電気回路の制御により同時点灯する。すなわち、第１高指向型ライト部１９Ａは、第２高指向型ライト部１９Ｂが点灯すると点灯し、第２高指向型ライト部１９Ｂが消灯すると消灯する。

　第１高指向型ライト部１９Ａの配光は、図５の第１壁配光Ｄ２または図６の第１壁配光Ｄ１２となる。第２高指向型ライト部１９Ｂの配光は、図５の第２壁配光Ｄ３または図６の第２壁配光Ｄ１３となる。よって、第１高指向型ライト部１９Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂとが点灯することにより、鞍乗型車両１Ａに求められるすれ違いビームの配光Ｄ１またはすれ違いビームの配光Ｄ１１が得られる。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａと、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂとは、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央より左方に配置される。

　第３高指向型ライト部１９Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄとは、電源の供給と遮断とを行う電気回路の制御により同時点灯する。すなわち、第３高指向型ライト部１９Ｃは、第４高指向型ライト部１９Ｄが点灯すると点灯し、第４高指向型ライト部１９Ｄが消灯すると消灯する。

　第３高指向型ライト部１９Ｃの配光は、図７の第１壁配光Ｄ２２または図８の第１壁配光Ｄ３２となる。第３高指向型ライト部１９Ｃの光が壁体Ｗに描く配光を、第３壁配光と呼ぶ。第４高指向型ライト部１９Ｄの配光は、図７の第２壁配光Ｄ２３または図８の第２壁配光Ｄ２３となる。第４高指向型ライト部１９Ｄの光が壁体Ｗに描く配光を、第４壁配光と呼ぶ。よって、第３高指向型ライト部１９Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄとが点灯することにより、鞍乗型車両１Ａに主ビームの配光Ｄ２１または配光Ｄ３１が得られる。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃと、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄとは、車両の左右方向で、鞍乗型車両１の中央より右方に配置される。

　＜光学レンズ部の寸法条件および間隔条件＞
　図２０は、本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部、第２高指向型ライト部、第３高指向型ライト部、第４高指向型ライト部を説明する図である。

　図２０の仮想線Ｖ１、Ｖ２は、車両の前方から見て、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の位置を示す。

　第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａと、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂと、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃと、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄとは、次の寸法条件を満たす。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａの最大幅Ｗ１Ａは、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｗ１Ａ＜Ｌ２）。

　また、鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａの最大幅Ｗ１Ａは、基準長さ２０ｍｍより大きいとよい。車両において２５０カンデラから４００カンデラの方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームの灯火器との距離が、基準長さ２０ｍｍより長いと、方向指示器と主ビームまたはすれ違いビームを照射する前照灯との識別性が向上することが知られている。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂの最大幅Ｗ１Ｂは、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｗ１Ｂ＜Ｌ２）。

　また、鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂの最大幅Ｗ１Ｂは、基準長さ２０ｍｍより大きいとよい。基準長さ２０ｍｍの意味は上述したごとくである。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａと、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂとの間の長さＬ１１は、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｌ１１＜Ｌ２）。また、距離Ｌ１１は、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａの最小幅Ｗ２Ａと、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂの最小幅Ｗ２Ｂのうち、何れか小さい方の半分Ｗ３Ａより、大きい（Ｌ１１＞Ｗ３Ａ）。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃの最大幅Ｗ１Ｃは、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｗ１Ｃ＜Ｌ２）。

　また、鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃの最大幅Ｗ１Ｃは、基準長さ２０ｍｍより大きいとよい。基準長さ２０ｍｍの意味は上述したごとくである。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄの最大幅Ｗ１Ｄは、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｗ１Ｄ＜Ｌ２）。

　また、鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄの最大幅Ｗ１Ｄは、基準長さ２０ｍｍより大きいとよい。基準長さ２０ｍｍの意味は上述したごとくである。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、車両の前方から見たときに、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃと、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄとの間の長さＬ１２は、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１の半分Ｌ２より小さい（Ｌ１２＜Ｌ２）。また、距離Ｌ１２は、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃの最小幅Ｗ２Ｃと、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄの最小幅Ｗ２Ｄのうち、何れか小さい方の半分Ｗ３Ｃより、大きい（Ｌ１２＞Ｗ３Ｃ）。

　＜高指向型ライト部と他の部品との関係＞
　実施の形態２の鞍乗型車両１Ａにおいて、第１高指向型ライト部１９Ａと、第２高指向型ライト部１９Ｂと、他の部品６０、６１とが、図１７Ａから図１７Ｃの配置関係を有してもよい。この場合、図１７Ａから図１７Ｃにおいて、第１高指向型ライト部１９Ｌは、実施の形態２の第１高指向型ライト部１９Ａに置き換わり、第２高指向型ライト部１９Ｒは、実施の形態２の第２高指向型ライト部１９Ｂに置き換わり、左前輪支持装置１２Ｌと右前輪支持装置１２Ｒとの配置が変更される。

　また、第３高指向型ライト部１９Ｃと、第４高指向型ライト部１９Ｄと、他の部品６０、６１とは、図１７Ａから図１７Ｃの配置関係を有してもよい。この場合、図１７Ａから図１７Ｃにおいて、第１高指向型ライト部１９Ｌは、実施の形態２の第３高指向型ライト部１９Ｃに置き換わり、第２高指向型ライト部１９Ｒは、実施の形態２の第４高指向型ライト部１９Ｄに置き換わり、左前輪支持装置１２Ｌと右前輪支持装置１２Ｒとの配置が変更される。

　＜ランプユニットの詳細構造＞
　図２１は、本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両のランプユニットを示す分解斜視図である。図２２は、本発明の実施の形態２に係る鞍乗型車両のランプユニットの一部を示す正面図である。図２３は、図２２のＡ－Ａ線断面図である。図２４は、図２２のＢ－Ｂ線断面図である。

　ランプユニット１８Ａは、図２１に示すように、ケーシング４２と、第１高指向型ライト部１９Ａと、第２高指向型ライト部１９Ｂと、第３高指向型ライト部１９Ｃと、第４高指向型ライト部１９Ｄと、第１ベース部４３Ｌと、第２ベース部４３Ｒと、装飾カバー４４Ｌ、４４Ｒと、アウターカバー４５Ｌ、４５Ｒと、前面カバー４６と、を有する。図２２は、ケーシング４２に、第１ベース部４３Ｌと、第２ベース部４３Ｒと、第１高指向型ライト部１９Ａと、第２高指向型ライト部１９Ｂと、第３高指向型ライト部１９Ｃと、第４高指向型ライト部１９Ｄとを組み付けた構成を示している。

　ケーシング４２は、第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、および、第４高指向型ライト部１９Ｄの少なくとも側面と車両の上下方向の上方および下方を覆う。ケーシング４２は、第１ベース部４３Ｌと第２ベース部４３Ｒとを角度調整可能に支持する。ケーシング４２は、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に直接または間接的に支持される。

　第１ベース部４３Ｌは、第１高指向型ライト部１９Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂとを固定的に支持する。この固定的な支持により、第１高指向型ライト部１９Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂとが相対移動不可能となる。

　第２ベース部４３Ｒは、第３高指向型ライト部１９Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄとを固定的に支持する。この固定的な支持により、第３高指向型ライト部１９Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄとが相対移動不可能となる。

　第１ベース部４３Ｌは、ケーシング４２に係合する係合部４３ａ、４３ｂ、４３ｃを有する。第２ベース部４３Ｒも、同様に、ケーシング４２に係合する係合部４３ａ、４３ｂ、４３ｃを有する。係合部４３ａは、図２２－図２４に示すように、ユニバーサルジョイントＪ１を介して、ケーシング４２に係合される。ユニバーサルジョイントＪ１は、２つの部材を互いに角度自在に係合する継手である。係合部４３ｂは、ケーシング４２の被係合部に対して前後方向に位置調整可能に係合する。係合部４３ｂは、ユニバーサルジョイントＪ１と実質的に水平方向に異なる位置に設けられるとよい。係合部４３ｃは、ケーシング４２の被係合部に対して前後方向に位置調整可能に係合する。係合部４３ｃは、ユニバーサルジョイントＪ１と実質的に鉛直方向に異なる位置に設けられるとよい。

　第１ベース部４３Ｌとケーシングとの係合により、第１高指向型ライト部１９Ａの配光と第２高指向型ライト部１９Ｂの配光との重なりの位置を変化させずに、第１ベース部４３Ｌをケーシング４２に対して相対移動することができる。相対移動可能な方向は、ユニバーサルジョイントＪ１を支点とする回動方向である。ケーシング４２は、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に固定的に支持されているので、上記の係合により、第１ベース部４３Ｌは、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に対して相対移動することができる。これにより、第１高指向型ライト部１９Ａおよび第２高指向型ライト部１９Ｂをまとめて光軸調整することができる。

　同様に、第２ベース部４３Ｒとケーシング４２との係合により、第３高指向型ライト部１９Ｃの配光と第４高指向型ライト部１９Ｄの配光との重なりの位置を変化させずに、第２ベース部４３Ｒをケーシング４２に対して相対移動することができる。相対移動可能な方向は、ユニバーサルジョイントＪ１を支点とする回動方向である。ケーシング４２は、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に固定的に支持されているので、上記の係合により、第２ベース部４３Ｒは、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に対して相対移動することができる。これにより、第３高指向型ライト部１９Ｃおよび第４高指向型ライト部１９Ｄをまとめて光軸調整することができる。

　第１ベース部４３Ｌと第２ベース部４３Ｒとは、互いに干渉せずにケーシング４２に支持されている。よって、第１高指向型ライト部１９Ａおよび第２高指向型ライト部１９Ｂの光軸調整と、第３高指向型ライト部１９Ｃおよび第４高指向型ライト部１９Ｄの光軸調整とは、独立して行うことができる。

　装飾カバー４４Ｌ、４４Ｒは、ケーシング４２に配置された第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄを、４つの第１光学レンズ部２０Ａから２０Ｄを露出させ、その他の部分を隠すように覆う。草食カバー４４Ｌ、４４Ｒは、ケーシング４２に固定される。

　アウターカバー４５Ｌ、４５Ｒは、透明であり、第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄの車両の前後方向の前方を覆う。アウターカバー４５Ｌ、４５Ｒは、ケーシング４２に固定される。

　前面カバー４６は、アウターカバー４５Ｌ、４５Ｒの透過面を露出させて、ケーシング４２の車両の前後方向の前方を覆う。

　＜実施の形態２の効果＞
　以上のように、実施の形態２の鞍乗型車両１Ａによれば、第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄにより、鞍乗型車両１Ａの外部からの視認性が向上する。また、２つのリフレクタ型のランプユニットを車両の中央より左方と右方とにそれぞれ配置して同じ配光を形成する場合と比較して、鞍乗型車両１Ａをコンパクトにできる。

　さらに、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂとは、実施の形態１で説明した寸法条件と間隔条件とを満たしている。そして、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａが形成する第１壁配光Ｄ２と、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂが形成する第２壁配光Ｄ３とが重なって、鞍乗型車両１Ａに求められる配光Ｄ１が形成される。よって、外部からの視認性が向上しつつ、個々の第１光学レンズ部２０Ａ、２０Ｂがコンパクトであっても、鞍乗型車両１Ａに求められる配光を形成しやすい。さらに、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂとが適宜離間して配置されるので、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａの光軸設定と、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂの光軸設定との干渉が生じ難い。よって、外部からの視認性が向上しつつ、鞍乗型車両１Ａに求められる配光を形成しやすい。さらに、第１高指向型ライト部１９Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂとは相対的に移動不可能に第１ベース部４３Ｌに固定される。そして、第１ベース部４３Ｌは、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａを通って照射された光が、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂを通って照射された光に対して有する、一部が重なり、残りの部分が重ならないという関係を変化させずに、車体フレーム２またはハンドル２３との相対位置を変更可能である。よって、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａによる第１壁配光Ｄ２と、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂによる第２壁配光Ｄ３とを重ね合わせて形成した配光Ｄ１が崩れない。よって、第１光学レンズ部２０Ａと第２光学レンズ部２０Ｂとがコンパクトであっても、車両に求められる配光Ｄ１を形成できる。

　同様に、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄとは、実施の形態１で説明した寸法条件と間隔条件とを満たしている。そして、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃが形成する第１壁配光Ｄ２と、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄが形成する第２壁配光Ｄ３とが重なって、鞍乗型車両１Ａに求められる配光Ｄ２１が形成される。よって、外部からの視認性が向上しつつ、個々の第３光学レンズ部２０Ｃ、２０Ｄがコンパクトであっても、鞍乗型車両１Ａに求められる配光を形成しやすい。さらに、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄとが適宜離間して配置されるので、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃの光軸設定と、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄの光軸設定との干渉が生じ難い。よって、外部からの視認性が向上しつつ、鞍乗型車両１Ａに求められる配光を形成しやすい。さらに、第３高指向型ライト部１９Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄとは相対的に移動不可能に第２ベース部４３Ｒに固定される。そして、第２ベース部４３Ｒは、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃを通って照射された光が、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄを通って照射された光に対して有する、一部が重なり、残りの部分が重ならないという関係を変化させずに、車体フレーム２またはハンドル２３との相対位置を変更可能である。よって、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃによる第１壁配光Ｄ２と、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄによる第２壁配光Ｄ３とを重ね合わせて形成した配光Ｄ２１が崩れない。よって、第１光学レンズ部２０Ａと第２光学レンズ部２０Ｂとがコンパクトであっても、車両に求められる配光Ｄ１を形成できる。

　よって、実施の形態２の鞍乗型車両１Ａによれば、鞍乗型車両１に求められるすれ違いビームの配光Ｄ１と主ビームの配光Ｄ２１とを維持しつつ、鞍乗型車両１の大型化を抑制し、且つ、鞍乗型車両１の外部からの視認性を向上できる。

　［実施の形態３］
　図２５は、本発明の実施の形態３に係る鞍乗型車両の第１高指向型ライト部から第６高指向型ライト部の配置を説明する図である。

　実施の形態３の鞍乗型車両１Ｂは、高指向型ライト部の数および配置、ならびに、各高指向型ライト部が形成する配光の種別が、実施の形態２と異なり、他の構成要素は実施の形態２と同様である。同一の構成要素については同一符号を付して説明を省略する。

　実施の形態３の鞍乗型車両１Ｂは、第１高指向型ライト部１９Ｅ、第２高指向型ライト部１９Ｆ、第３高指向型ライト部１９Ｇ、第４高指向型ライト部１９Ｈ、第５高指向型ライト部１９Ｉ、第６高指向型ライト部１９Ｊを有する。第１高指向型ライト部から第６高指向型ライト部の各々は、実施の形態１の第１高指向型ライト部１９Ｌと同様に、図１１Ａから図１１Ｃの何れかの構成を採る。図１１Ａから図１１Ｃの第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第１発光部５１とに対応して、第１高指向型ライト部１９Ｅは第１光学レンズ部２０Ｅと第１発光部とを有し、第２高指向型ライト部１９Ｆは第２光学レンズ部２０Ｆと第２発光部とを有し、第３高指向型ライト部１９Ｇは第３光学レンズ部２０Ｇと第３発光部とを有し、第４高指向型ライト部１９Ｈは第４光学レンズ部２０Ｈと第４発光部とを有し、第５高指向型ライト部１９Ｉは第５光学レンズ部２０Ｉと第５発光部とを有し、第６高指向型ライト部１９Ｊは第６光学レンズ部２０Ｊと第６発光部とを有する。

　第１高指向型ライト部１９Ｅの第１光学レンズ部２０Ｅと第２高指向型ライト部１９Ｆの第２光学レンズ部２０Ｆとは、実施の形態１で説明した高指向型ライト部の寸法条件および両者間の長さＬ１２を規定する間隔条件を満たす。

　第３高指向型ライト部１９Ｇの第３光学レンズ部２０Ｇと第４高指向型ライト部１９Ｈの第４光学レンズ部２０Ｈとは、実施の形態１で説明した高指向型ライト部の寸法条件および両者間の長さＬ１３を規定する間隔条件を満たす。

　第１高指向型ライト部１９Ｅと第２高指向型ライト部１９Ｆとは、電源の供給と遮断とを行う電気回路の制御により同時点灯する。すなわち、第１高指向型ライト部１９Ｅは、第２高指向型ライト部１９Ｆが点灯すると点灯し、第２高指向型ライト部１９Ｆが消灯すると消灯する。

　第１高指向型ライト部１９Ｅの配光は、図５の第１壁配光Ｄ２または図６の第１壁配光Ｄ１２となる。第２高指向型ライト部１９Ｆの配光は、図５の第２壁配光Ｄ３または図６の第２壁配光Ｄ１３となる。よって、第１高指向型ライト部１９Ｅと第２高指向型ライト部１９Ｆとが点灯することにより、鞍乗型車両１Ｂに求められるすれ違いビームの配光Ｄ１または配光Ｄ１１が得られる。

　鞍乗型車両１Ｂが直立状態で、第１高指向型ライト部１９Ｅの第１光学レンズ部２０Ｅと、第２高指向型ライト部１９Ｆの第２光学レンズ部２０Ｆとは、車両の左右方向で、鞍乗型車両１Ｂの中央より左方に配置される。

　第３高指向型ライト部１９Ｇと第４高指向型ライト部１９Ｈとは、電源の供給と遮断とを行う電気回路の制御により同時点灯する。すなわち、第３高指向型ライト部１９Ｇは、第４高指向型ライト部１９Ｈが点灯すると点灯し、第４高指向型ライト部１９Ｈが消灯すると消灯する。

　第３高指向型ライト部１９Ｇの配光は、図５の第１壁配光Ｄ２または図６の第１壁配光Ｄ１２となる。第４高指向型ライト部１９Ｈの配光は、図５の第２壁配光Ｄ３または図６の第２壁配光Ｄ１３となる。よって、第３高指向型ライト部１９Ｇと第４高指向型ライト部１９Ｈとが点灯することにより、鞍乗型車両１Ｂにすれ違いビームの配光Ｄ１または配光Ｄ１１が得られる。

　鞍乗型車両１Ａが直立状態で、第３高指向型ライト部１９Ｇの第３光学レンズ部２０Ｇと、第４高指向型ライト部１９Ｈの第４光学レンズ部２０Ｈとは、車両の左右方向で、鞍乗型車両１Ｂの中央より右方に配置される。

　第５高指向型ライト部１９Ｉの第５光学レンズ部２０Ｉは、鞍乗型車両１Ｂに求められる主ビームの配光を形成する。第５高指向型ライト部１９Ｉは、車両の左右方向で、鞍乗型車両１Ｂの中央より左方に配置されている。

　第６高指向型ライト部１９Ｊの第６光学レンズ部２０Ｊは、鞍乗型車両１Ｂに求められる主ビームの配光を形成する。第６高指向型ライト部１９Ｉは、車両の左右方向で、鞍乗型車両１Ｂの中央より右方に配置されている。

　鞍乗型車両１Ｂが直立状態で、第１高指向型ライト部１９Ｅの第１光学レンズ部２０Ｅ、第２高指向型ライト部１９Ｆの第２光学レンズ部２０Ｆ、第５高指向型ライト部１９Ｉの第５光学レンズ部２０Ｉは、車両の左右方向で、各右端が車両中央より左方に配置され、各左端が仮想線Ｖ３より右方に配置されている。仮想線Ｖ３は、鞍乗型車両１Ｂが直立状態で、左グリップ２４Ｌの左端を通る鉛直線である。

　鞍乗型車両１Ｂが直立状態で、第３高指向型ライト部１９Ｇの第３光学レンズ部２０Ｇ、第４高指向型ライト部１９Ｈの第４光学レンズ部２０Ｈ、第６高指向型ライト部１９Ｊの第６光学レンズ部２０Ｊは、車両の左右方向で、各左端が車両中央より右方に配置され、各右端が仮想線Ｖ４より左方に配置されている。仮想線Ｖ４は、鞍乗型車両１Ｂが直立状態で、右グリップ２４Ｒの右端を通る鉛直線である。

　以上のように、実施の形態３の鞍乗型車両１Ｂによれば、第１高指向型ライト部１９Ｅと第２高指向型ライト部１９Ｆとを、リフレクタにより配光を形成するランプユニットで形成した場合と比較して、外部からの視認性を向上しつつ、構成がコンパクトになる。さらに、第３高指向型ライト部１９Ｇと第４高指向型ライト部１９Ｈとを、リフレクタにより配光を形成するランプユニットで形成した場合と比較して、外部からの視認性を向上しつつ、構成がコンパクトになる。よって、リフレクタにより配光を形成する２つのランプユニットがそれぞれすれ違いビームを照射する構成と比較して、外部からの視認性を向上したまま、構成をコンパクトにできる。

　さらに、実施の形態３の鞍乗型車両１Ｂによれば、車両に求められる主ビームの配光は、第５高指向型ライト部１９Ｉと第６高指向型ライト部１９Ｊとから形成されるので、１個の高指向型ライト部において配光を切り換える構造が不要となる。さらに、車両の前方から見て、第１高指向型ライト部１９Ｅの第１光学レンズ部２０Ｅ、第２高指向型ライト部１９Ｆの第２光学レンズ部２０Ｆおよび第５高指向型ライト部１９Ｉの第５光学レンズ部２０Ｉの各左端は、左グリップ２４Ｌの左端より、車両の左右方向で右方にある。また、車両の前方から見て、第３高指向型ライト部１９Ｇの第３光学レンズ部２０Ｇ、第４高指向型ライト部１９Ｈの第４光学レンズ部２０Ｈ、および第６高指向型ライト部１９Ｊの第６光学レンズ部２０Ｊの各右端は、右グリップ２４Ｒの右端より、車両の左右方向の左方にある。よって、第１高指向型ライト部１９Ｅから第６高指向型ライト部１９Ｊまでを、リフレクタにより配光を形成するランプユニットで形成した場合と比較して、外部からの視認性を向上したまま、構成をコンパクトにできる。

　よって、実施の形態３の鞍乗型車両１Ｂによれば、鞍乗型車両１Ｂに求められる配光を維持しつつ、鞍乗型車両１Ｂの大型化を抑制し、且つ、鞍乗型車両１Ｂの外部からの視認性を向上することができる。

　［実施の形態４］
　上述した実施の形態２では、大型ネイキッド型の鞍乗型車両１Ａにランプユニット１８Ａを設けた構成について説明したが、続いて、小型ネイキッド型の鞍乗型車両１Ｃにランプユニット１８Ａを設けた構成について説明する。

　図２６は、本発明の実施の形態４に係る鞍乗型車両を示す側面図である。図２７は、本発明の実施の形態４に係る鞍乗型車両を示す正面図である。図２８は、本発明の実施の形態４に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図である。

　図２６から図２８では、図１８と図１９に示す構成要素と同じ構成要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。

　図２６から図２８に示すように、鞍乗型車両１Ｃは、車体フレーム２、燃料タンク３、シート４、パワーユニット５、ステアリングシャフト８、カバー部９、後輪１０、前輪１１、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、ロワーブラケット１５、アッパーブラケット１６、ランプユニット１８Ａ、ハンドル２３、左グリップ２４Ｌ、右グリップ２４Ｒ、フェンダー２５を備える。

　図２８に示すように、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｃが左旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の左方に傾斜する。同様に、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｃが右旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の右方に傾斜する。

　ランプユニット１８Ａは、実施の形態２で説明したものと同様である。第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄにより得られる配光も、実施の形態２で説明したものと同様である。

　ランプユニット１８Ａは、車両の前後方向で、ハンドル２３より前方に配置され、且つ、車両の上下方向で、前輪１１より上方に配置される。ランプユニット１８Ａは、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に直接または間接的に支持され、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に対して固定される。

　小型の鞍乗型車両１Ｃは、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の長さＬ１が、大型の鞍乗型車両１Ａと比較して短くなる。図２７中、仮想線Ｖ１、Ｖ２は、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の位置を示す。

　しかしながら、ランプユニット１８Ａの第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄの各寸法と、２つの仮想線Ｖ１、Ｖ２の車両の左右方向の長さＬ１との関係は、実施の形態２で説明したものと同様である。第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａと第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂとの間の長さＬ１１と、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃと第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄとの間の長さＬ１２と、２つの仮想線Ｖ１、Ｖ２の車両の左右方向の長さＬ１との関係も、実施の形態２で説明したものと同様である。

　このように、小型の鞍乗型車両１Ｃにおいても、実施の形態２と同様のランプユニット１８Ａを装備して、実施の形態２と同様の効果を得ることができる。

　［実施の形態５］
　続いて、カウル付の鞍乗型車両１Ｄにランプユニット１８Ａを設けた構成について説明する。

　図２９は、本発明の実施の形態５に係る鞍乗型車両を示す側面図である。図３０は、本発明の実施の形態５に係る鞍乗型車両を示す正面図である。図３１は、本発明の実施の形態５に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図である。

　図２９から図３１では、図１８と図１９に示す構成要素と同じ構成要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。

　図２９から図３１に示すように、鞍乗型車両１Ｄは、車体フレーム２、燃料タンク３、シート４、パワーユニット５、ステアリングシャフト８、カウル９、後輪１０、前輪１１、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、ロワーブラケット１５、アッパーブラケット１６、ランプユニット１８Ａ、ハンドル２３、左グリップ２４Ｌ、右グリップ２４Ｒ、フェンダー２５を備える。

　図３１に示すように、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｄが左旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の左方に傾斜する。同様に、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｄが右旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の右方に傾斜する。

　カウル９は、車体フレーム２に直接または間接的に支持される。カウル９は、車両の前後方向、左右方向、および上下方向で、ハンドル２３の前方と上方の一部、パワーユニット５の左方、右方、下方の少なくとも一部を覆う。

　ランプユニット１８Ａは、車両の前後方向で、ハンドル２３より前方に配置され、且つ、車両の上下方向で、前輪１１より上方に配置される。ランプユニット１８Ａは、車体フレーム２に直接または間接的に支持され、車体フレーム２に対して固定される。ランプユニット１８Ａは、前面カバー４６がカウル９と一体的に構成されてもよい。

　鞍乗型車両１Ｄにおいて、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪長さ装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の長さＬ１は、他の鞍乗型車両と比較して異なる場合もある。図３０中、仮想線Ｖ１、Ｖ２は、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の位置を示す。

　このように、カウル付きの鞍乗型車両１Ｄにおいても、実施の形態２と同様のランプユニット１８Ａを装備して、実施の形態２と同様の効果を得ることができる。

　［実施の形態６］
　続いて、左前輪１１Ｌと右前輪１１Ｒとを有する鞍乗型車両１Ｅにランプユニット１８Ａを設けた構成について説明する。

　図３２は、本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両を示す側面図である。図３３は、本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両を示す正面図である。

　図３２と図３３に示すように、鞍乗型車両１Ｅは、車体フレーム２、シート４、パワーユニット５、ステアリングシャフト８、前カバー９Ａ、後輪１０、左前輪１１Ｌと右前輪１１Ｒとを有する前輪部、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、リンク機構１４０、ランプユニット１８Ａ、ハンドル２３、左グリップ２４Ｌ、右グリップ２４Ｒ、左フェンダー２５Ｌ、右フェンダー２５Ｒを備える。

　前カバー９Ａは、車両の前後方向および左右方向で、リンク機構１４０の前方、左方、右方、後方の少なくとも一部を覆っている。前カバー９Ａは、車体フレーム２に支持されている。前カバー９Ａの前部には、ランプユニット１８Ａが設けられている。

　左前輪１１Ｌと右前輪１１Ｒとは、車体フレーム２の左右方向に並んで配置されている。左前輪１１Ｌおよび右前輪１１Ｒは、車体フレーム２と共に車両の左右方向に傾斜する。

　図３４は、本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両のリンク機構を説明する正面図である。図３５は、本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両が左旋回しているときを説明する正面図である。図３６は、本発明の実施の形態６に係る鞍乗型車両のハンドルを左に操舵しているときを説明する平面図である。

　図３４、図３５、図３６に示すように、リンク機構１４０は、平行四節リンク方式（パラレログラムリンクとも呼ぶ）の機構である。

　リンク機構１４０は、車体フレーム２に支持されている。リンク機構１４０は、鞍乗型車両１Ｅの旋回時に車体フレーム２を地面Ｇに対して傾斜させるための構成として、上クロスメンバ１４１、下クロスメンバ１４２、左サイドロッド１４３および右サイドロッド１４４を備えている。

　上クロスメンバ１４１、下クロスメンバ１４２、左サイドロッド１４３および右サイドロッド１４４は、車両の上下方向で、ハンドル２３より下方、左前輪１１Ｌおよび右前輪１１Ｒの上端より上方に配置されている。

　上クロスメンバ１４１は、車両の左右方向に長く、中間部が車体フレーム２に支持される。上クロスメンバ１４１は、車体フレーム２の前後方向に延びる上軸線Ａ（図３２、図３４、図３５を参照）の回りに回動可能に支持される。上軸線Ａは、車体フレーム２の上下方向の成分が含まれてもよい。

　上クロスメンバ１４１の左端部は、左サイドロッド１４３に支持されている。上クロスメンバ１４１は、上軸線Ａと平行な左上軸線ＡＬ（図３２、図３４、図３５を参照）の回りに、左サイドロッド１４３に対して回動可能である。上クロスメンバ１４１の右端部は、右サイドロッド１４４に支持されている。上クロスメンバ１４１は、上軸線Ａと平行な右上軸線ＡＲ（図３２、図３４、図３５を参照）の回りに、右サイドロッド１４４に対して回動可能である。

　下クロスメンバ１４２は、車両の左右方向に長く、中間部が車体フレーム２に支持される。下クロスメンバ１４２は、上軸線Ａと平行な下軸線Ｃ（図３４参照）の回りに回動可能に支持される。下クロスメンバ１４２は、上クロスメンバ１４１よりも車体フレーム２の上下方向の下方に配置される。下クロスメンバ１４２は、車体フレーム２の左右方向で、上クロスメンバ１４１と略同じ長さを有し、上クロスメンバ１４１と平行に配置されている。

　下クロスメンバ１４２の左端は、左サイドロッド１４３に支持されている。下クロスメンバ１４２は、下軸線Ｃと平行な左下軸線ＣＬの回りに、左サイドロッド１４３に対して回動可能である。下クロスメンバ１４２の右端部は、右サイドロッド１４４に支持されている。下クロスメンバ１４２は、下軸線Ｃと平行な右下軸線ＣＲの回りに、右サイドロッド１４４に対して回動可能である。

　左サイドロッド１４３は、車体フレーム２の上下方向に長く、ステアリングシャフト８の車両の左右方向の左方に配置され、ステアリングシャフト８の延びる方向と平行に延びる向きに配置されている。左サイドロッド１４３は、左前輪１１Ｌの車体フレーム２の上下方向の上方に配置されている。左サイドロッド１４３は、左前輪支持装置１２Ｌを、左軸線Ｙ１を中心に回動可能に支持している。

　右サイドロッド１４４は、車体フレーム２の上下方向に長く、ステアリングシャフト８の車両の左右方向の右方に配置され、ステアリングシャフト８の延びる方向と平行に延びる向きに配置されている。右サイドロッド１４４は、右前輪１１Ｒの車体フレーム２の上下方向の上方に配置されている。右サイドロッド１４４は、右前輪支持装置１２Ｒを、右軸線Ｙ２を中心に回動可能に支持している。

　上クロスメンバ１４１、下クロスメンバ１４２、左サイドロッド１４３、および右サイドロッド１４４は、上クロスメンバ１４１と下クロスメンバ１４２とが相互に平行な姿勢を保ち、左サイドロッド１４３と右サイドロッド１４４とが相互に平行な姿勢を保つように支持されている。

　ハンドル２３と左前輪１１Ｌおよび右前輪１１Ｒとの間には、操舵機構が設けられている。操舵機構は、ステアリングシャフト８、中央操舵アーム１６２、タイロッド１６５、左操舵アーム１６３、右操舵アーム１６４、左前輪支持装置１２Ｌ、および、右前輪支持装置１２Ｒを有している。

　左前輪支持装置１２Ｌは、左緩衝器１２Ｌａ、左ブラケット１４６、および、左回転防止機構１２Ｌｂ、を有している。左前輪支持装置１２Ｌは、左サイドロッド１４３に支持されて左サイドロッド１４３とともに傾斜する。

　左緩衝器１２Ｌａは、例えばテレスコピック構造により路面からの振動を減衰させる。左緩衝器１２Ｌａの上端は左ブラケット１４６に固定されている。左緩衝器の下端は左前輪１１Ｌを支持している。これにより、左緩衝器１２Ｌａは、左緩衝器１２Ｌａの上部に対する左前輪１１Ｌの車体フレーム２の上下方向における変位を緩衝する。

　左回転防止機構１２Ｌｂは、左緩衝器１２Ｌａと平行に配置されている。左回転防止機構１２Ｌｂは、テレスコピック構造を有している。左回転防止機構１２Ｌｂの上端は左ブラケット１４６に固定されている。左回転防止機構１２Ｌｂの下端は左前輪１１Ｌを支持している。

　左緩衝器１２Ｌａおよび左回転防止機構１２Ｌｂが左前輪１１Ｌを支持することで、左ブラケット１４６の向きと左前輪１１Ｌとの向きとが相対的に変化しないように、左ブラケット１４６と左前輪１１Ｌとが関係づけられる。

　右前輪支持装置１２Ｒは、右緩衝器１２Ｒａ、右ブラケット１４７、および、右回転防止機構１２Ｒｂ、を有している。右前輪支持装置１２Ｒは、右サイドロッド１４４に支持されて右サイドロッド１４４とともに傾斜する。

　右緩衝器１２Ｒａは、例えばテレスコピック構造により路面からの振動を減衰させる。右緩衝器１２Ｒａの上端は右ブラケット１４７に固定されている。右緩衝器１２Ｒａの下部は右前輪１１Ｒを支持している。これにより、右緩衝器１２Ｒａは、右緩衝器１２Ｒａの上部に対する右前輪１１Ｒの車体フレーム２の上下方向における変位を緩衝する。

　右回転防止機構１２Ｒｂは右緩衝器１２Ｒａと平行に配置されている。右回転防止機構１２Ｒｂは、テレスコピック構造を有している。右回転防止機構１２Ｒｂの上端は右ブラケット１４７に固定されている。右回転防止機構１２Ｒｂの下端は右前輪１１Ｒを支持している。

　右緩衝器１２Ｒａおよび右回転防止機構１２Ｒｂが右前輪１１Ｒを支持することで、右ブラケット１４７の向きと右前輪１１Ｒとの向きとが相対的に変化しないように、右ブラケット１４７と右前輪１１Ｒとが関係づけられる。

　中央操舵アーム１６２およびタイロッド１６５は、左前輪１１Ｌおよび右前輪１１Ｒよりも車体フレーム２の上下方向の上方に配置されている。中央操舵アーム１６２は、一端部がステアリングシャフト８に固定され、ステアリングシャフト８と共に回動する。中央操舵アーム１６２の他端部は、タイロッド１６５に支持されている。中央操舵アーム１６２は、ステアリングシャフト８の回動をタイロッド１６５に伝達する。

　左操舵アーム１６３は、左ブラケット１４６に固定されている。

　右操舵アーム１６４は、右ブラケット１４７に固定されている。

　タイロッド１６５は、中央操舵アーム１６２と、左操舵アーム１６３と、右操舵アーム１６４とをそれぞれ支持し、中央操舵アーム１６２の回動を、左操舵アーム１６３と、右操舵アーム１６４とに伝達する。

　これらの構成により、図３６に示すように、ハンドル２３が操作され、ステアリングシャフト８および中央操舵アーム１６２が回動したときに、左ブラケット１４６と右ブラケット１４７とが同一角度で回動する。これにより、左前輪１１Ｌおよび右前輪１１Ｒが互いに同一方向Ｔに転舵する。

　また、左前輪支持装置１２Ｌは、上部がリンク機構１４０を介して車体フレーム２に支持され、下部が上部に対して車体フレーム２の上下方向に変位可能に前輪部の左前輪１１Ｌを支持し、車両の左右方向でステアリングシャフト８より左方に位置し、ハンドル２３の操舵により、ステアリングシャフト８と共に回動して、鞍乗型車両１Ｅが左旋回するときに前輪部の左前輪１１Ｌと一緒に車両の左方に傾斜し、鞍乗型車両１Ｅが右旋回するときに前輪部の左前輪１１Ｌと一緒に車両の右方に傾斜する。なお、左前輪支持装置１２Ｌの下部が上部に対して変位する方向には、車体フレーム２の前後方向および左右方向の成分が含まれていてもよい。

　また、右前輪支持装置１２Ｒは、上部がリンク機構１４０を介して車体フレーム２に支持され、下部が上部に対して車両の上下方向に変位可能に前輪部の右前輪１１Ｒを支持し、車両の左右方向でステアリングシャフト８より右方に位置し、ハンドル２３の操舵により、ステアリングシャフト８と共に回動して、鞍乗型車両１Ｅが左旋回するときに前輪部の右前輪１１Ｌと一緒に車両の左方に傾斜し、鞍乗型車両１Ｅが右旋回するときに前輪部の右前輪１１Ｒと一緒に車両の右方に傾斜する。なお、右前輪支持装置１２Ｒの下部が上部に対して変位する方向には、車体フレーム２の前後方向および左右方向の成分が含まれていてもよい。

　左前輪支持装置１２Ｌは、左前輪１１Ｌの車両の上下方向の上方を覆う左フェンダー２５Ｌを固定的に支持している。

　右前輪支持装置１２Ｒは、右前輪１１Ｒの車両の上下方向の上方を覆う右フェンダー２５Ｒを固定的に支持している。

　図３３において、仮想線Ｖ１は、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１を通り、鉛直に延びる線である。仮想線Ｖ２は、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２を通り、鉛直に延びる線である。

　鞍乗型車両１Ｅにおいて、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の長さＬ１は、他の鞍乗型車両と比較して異なる場合もある。

　このように、左前輪１１Ｌと右前輪１１Ｒとを有する鞍乗型車両１Ｅにおいても、実施の形態２と同様のランプユニット１８Ａを装備して、実施の形態２と同様の効果を得ることができる。

　［実施の形態７］
　続いて、正面視で丸型のランプユニット１８Ｂを有するネイキッド型の鞍乗型車両１Ｆについて説明する。

　図３７は、本発明の実施の形態７に係る鞍乗型車両を示す側面図である。図３８は、本発明の実施の形態７に係る鞍乗型車両を示す正面図である。図３９は、本発明の実施の形態７に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図である。

　図３７から図３９では、図１８と図１９に示す構成要素と同じ構成要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。

　図３７から図３９に示すように、鞍乗型車両１Ｆは、車体フレーム２、燃料タンク３、シート４、パワーユニット５、ステアリングシャフト８、後輪１０、前輪１１、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、ロワーブラケット１５、アッパーブラケット１６、ランプユニット１８Ｂ、ハンドル２３、左グリップ２４Ｌ、右グリップ２４Ｒ、フェンダー２５を備える。

　図３９に示すように、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｆが左旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の左方に傾斜する。同様に、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｆが右旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の右方に傾斜する。

　ランプユニット１８Ｂは、正面視で丸型のケーシング４２Ｂおよびアウターカバー４４Ｂを有している。丸型には、正面視で真円、楕円、真円または楕円の一部に角張り、張出しまたは切欠きを有する形状などを含む。ケーシング４２Ｂは車両の前後方向の前方が開放され、アウターカバー４５Ｂはケーシング４２Ｂの車両の前後方向の前方を覆う。

　ランプユニット１８Ｂは、図２１のランプユニット１８Ａと比較して、前面カバー４６がなく、ケーシング４２とアウターカバー４５Ｌ、４５Ｒとが、形状の異なるケーシング４２Ｂとアウターカバー４５Ｂに変更されている。ランプユニット１８Ｂは、図２１に示した、第１高指向型ライト部１９Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄ、第１ベース部４３Ｌ、第２ベース部４３Ｒを同様に有している。

　ランプユニット１８Ｂは、車両の前後方向で、ハンドル２３より前方に配置され、且つ、車両の上下方向で、前輪１１より上方に配置される。ランプユニット１８Ａは、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に直接または間接的に支持され、ハンドル２３またはアッパーブラケット１６に対して固定される。

　第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄの各最大幅および各最小幅と、第１光学レンズ部２０Ａと第２光学レンズ部２０Ｂとの間の長さＬ１１と、仮想線Ｖ１と仮想線Ｖ２との車両の左右方向の長さＬ１との関係は、実施の形態２で説明した条件を満たしている。図３８中、仮想線Ｖ１、Ｖ２は、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の位置を示す。

　このように、丸型のランプユニット１８Ｂを有する鞍乗型車両１Ｆにおいても、第１高指向型ライト部１９Ａの第１光学レンズ部２０Ａ、第２高指向型ライト部１９Ｂの第２光学レンズ部２０Ｂ、第３高指向型ライト部１９Ｃの第３光学レンズ部２０Ｃ、第４高指向型ライト部１９Ｄの第４光学レンズ部２０Ｄを、実施の形態２のランプユニット１８Ａと同様の配置にすることができる。よって、丸型のランプユニット１８Ｂを有する鞍乗型車両１Ｆにおいても、実施の形態２と同様の効果を得ることができる。

　［実施の形態８］
　続いて、ハンドルカバー２６を有するスクータータイプの鞍乗型車両１Ｇにランプユニット１８を設けた構成について説明する。

　図４０は、本発明の実施の形態８に係る鞍乗型車両を示す側面図である。図４１は、本発明の実施の形態８に係る鞍乗型車両を示す正面図である。図４２は、本発明の実施の形態８に係る鞍乗型車両が左旋回しているときの正面図である。

　図４０から図４２では、図１８と図１９に示す構成要素と同じ構成要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。

　図４０から図４２に示すように、鞍乗型車両１Ｇは、車体フレーム２、シート４、パワーユニット５、ステアリングシャフト８、車体カバー９Ｇ、後輪１０、前輪１１、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒ、ロワーブラケット１５、ランプユニット１８、ハンドル２３、左グリップ２４Ｌ、右グリップ２４Ｒ、フェンダー２５、ハンドルカバー２６を備える。

　左前輪支持装置１２Ｌの上部と、右前輪支持装置１２Ｒの上部とは、ロワーブラケット１５に固定的に支持されている。

　車体カバー９Ｇは、ステアリングシャフト８の周囲の少なくとも一部、車体フレーム２の周囲の少なくとも一部、パワーユニット５の一部を覆う。

　ハンドルカバー２６は、ハンドル２３の中間部の周囲を覆う。ハンドルカバー２６の上部にはメータ等が配置される。ハンドルカバー２６の前部にはランプユニット１８が設けられる。

　図４２に示すように、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｇが左旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の左方に傾斜する。同様に、ライダーがハンドル２３を操舵して鞍乗型車両１Ｇが右旋回するとき、左前輪支持装置１２Ｌ、右前輪支持装置１２Ｒは、前輪１１と一緒に、地面Ｇに対して車両の右方に傾斜する。

　ランプユニット１８は、実施の形態１で説明したものと同様である。第１高指向型ライト部１９Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒとにより得られる配光も、実施の形態１で説明したものと同様である。

　ランプユニット１８の第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌ、第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒの各寸法と、２つの仮想線Ｖ１、Ｖ２の車両の左右方向の長さＬ１との関係は、実施の形態１で説明したものと同様である。第１高指向型ライト部１９Ｌの第１光学レンズ部２０Ｌと第２高指向型ライト部１９Ｒの第２光学レンズ部２０Ｒとの間の長さＬ１０と、２つの仮想線Ｖ１、Ｖ２の車両の左右方向の長さＬ１との関係も、実施の形態１で説明したものと同様である。図４１中、仮想線Ｖ１、Ｖ２は、左前輪支持装置１２Ｌの下部の右端Ｅ１と、右前輪支持装置１２Ｒの下部の左端Ｅ２との車両の左右方向の位置を示す。

　ランプユニット１８は、ハンドルカバー２６の前部の一部として配置され、ハンドル２３に支持されている。

　このように、ハンドルカバー２６を有するスクータ型の鞍乗型車両１Ｇにおいても、実施の形態１と同様のランプユニット１８を装備して、実施の形態１と同様の効果を得ることができる。

　以上、本発明の各実施の形態について説明した。

　なお、上記実施の形態では、ハンドルとして、車両の左右方向に長い棒状のハンドルを示したが、本発明のハンドルはこれに限定されない。本発明のハンドルは、車両の左右方向に長く、ステアリングシャフトと一体的に回動すれば、どのような形態でもよく、例えば、左ハンドルと右ハンドルとを含み、左ハンドルがアッパーブラケットの左部に固定され、右ハンドルがアッパーブラケットの右部に固定されるセパレートハンドルでもよい。

　また、上記実施の形態では、左前輪支持装置と右前輪支持装置とは、両者が、バネおよびダンパーを内部に備えている形態として説明した。しかし、本発明の左前輪支持装置は、ステアリングシャフトより車両の左右方向の左方に位置し、車体フレームに支持される上部と、前輪部を支持し上部に対して車両の上下方向に変位可能な下部と、を含み、ステアリングシャフトと共に回動すれば、どのような構成であってもよい。また、本発明の右前輪支持装置は、ステアリングシャフトより車両の左右方向の右方に位置し、車体フレームに支持される上部と、前輪部を支持し上部に対して上下方向に変位可能な下部と、を含み、ステアリングシャフトと共に回動すれば、どのような構成であってもよい。例えば、右前輪支持装置および左前輪支持装置のうち、一方がバネを備え、もう一方がダンパーを備えてもよい。または、右前輪支持装置および左前輪支持装置のうち、一方がバネおよびダンパーを備え、もう一方がバネおよびダンパーのいずれも備えずに、下部が上部に対して車両の上下方向に変位可能であってもよい。また、左前輪支持装置の下部が上部に対して変位する方向には、車両の前後方向および左右方向の成分が含まれていてもよい。また、右前輪支持装置の下部が上部に対して変位する方向には、車両の前後方向および左右方向の成分が含まれていてもよい。

　また、上記実施の形態では、高指向型ライト部（第１高指向型ライト部から第６高指向型ライト部）として、発光部がＬＥＤであり、発光部の光軸が光学レンズ部に向いた形態を示した。しかし、本発明の第１高指向型ライト部、第２高指向型ライト部などの高指向型ライト部は、指向性の高い光を出射する発光部と、発光部の光を屈折して配光を形成する光学レンズ部とを含み、光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームの少なくとも一部の配光となればよい。例えば、指向性の高い光を出射する発光部として、半導体レーザの光を導き出射する光ファイバーの出射端を適用してもよい。また、光学レンズ部と発光部との間に反射鏡を置いて、発光部から出射した光を反射させて光学レンズ部へ送る形態を適用してもよい。

　さらに、上記実施の形態では、上記実施の形態では、高指向型ライト部（第１高指向型ライト部から第６高指向型ライト部）として、筐体を有するモジュール化された構成を示したが、本発明の高指向型ライト部はこれに限定されない。本発明の高指向型ライト部は、指向性の高い光を出射する発光部と、発光部の光を屈折して配光を形成する光学レンズ部とを含み、光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームの少なくとも一部の配光となるものであればよい。本発明の高指向型ライト部は、例えば、発光部と光学レンズ部とが分離可能な構成で組み付けられる構成としてもよい。

　また、上記実施の形態では、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部との間の長さＬ１０、Ｌ１１を、図面を用いて具体的に示したが、本発明において第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部との間の長さは、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の間隔の半分より小さく、且つ、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部の最小幅と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部の最小幅とのうち何れか小さい方の半分より大きければよい。

　また、上記実施の形態では、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部の最大幅と第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部の最大幅とを、図面を用いて具体的に示したが、本発明の第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部の最大幅は、車両の前方から見て、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の間隔の半分より小さければよい。また、第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部の最大幅が、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の間隔の半分より小さければよい。なお、これらの最大幅は基準長さ２０ｍｍより大きいとよい。

　また、上記実施の形態では、第３高指向型ライト部の第３光学レンズ部の最大幅と第４高指向型ライト部の第４光学レンズ部の最大幅とを、図面を用いて具体的に示したが、本発明の第３高指向型ライト部の第３光学レンズ部の最大幅は、車両の前方から見て、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の間隔の半分より小さければよい。また、第４高指向型ライト部の第４光学レンズ部の最大幅が、左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との車両の左右方向の間隔の半分より小さければよい。なお、これらの最大幅は基準長さ２０ｍｍより大きいとよい。

　さらに、上記実施の形態では、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部を通って照射された光の配光と、第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部を通って照射された光の配光との関係を、図面を用いて具体的に示したが、本発明に係る第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部を通って照射された光の配光と、第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部を通って照射された光の配光との関係は、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部を通って照射された光が、第２高指向型ライト部の第２光学レンズ部を通って照射された光と一部が重なり、残りの部分が重ならなければよい。

　また、上記の実施の形態では、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部とによりすれ違いビームの配光を形成すると説明した。しかし、本発明の第１高指向型ライト部は、第１光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームのうち少なくとも一部の配光となればよい。また、本発明の第２高指向型ライト部は、第２光学レンズ部により形成された配光が、第１高指向型ライト部と同じビームの少なくとも一部の配光となればよい。例えば、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部とにより、主ビームが形成されてもよい。さらに、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部と、さらに他の１つ又は複数の高指向型ライト部とにより、すれ違いビームの配光が形成されてもよい。また、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部と、さらに他の１つ又は複数の高指向型ライト部とにより、主ビームの配光が形成されてもよい。

　また、上記の実施の形態では、第１高指向型ライト部の第１光学レンズ部を通過した光が壁体に描く第１壁配光の光が、一部が第２高指向型ライト部による第２壁配光の光と重なり、残りの部分が第２高指向型ライト部による第２壁配光の光と重ならないと説明した。しかしながら、本発明の第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部とは、第１光学レンズ部を通って照射された光が、第１光学レンズ部および第２光学レンズ部のうち、車両の前後方向で最も前方に位置する方の前端より、車両の前方へ１０ｍ離れた直立する壁体に描く第１壁配光が、第２光学レンズ部を通って照射された光が壁体に描く第２壁配光と一部が重なり、かつ、残りの部分が重ならない状態となればよい。例えば、第１高指向型ライト部と第２高指向型ライト部と他の高指向型ライト部とが主ビーム又はすれ違いビームの配光を形成する場合、他の高指向型ライト部の光学レンズ部を通って照射された光が上記壁体に描く壁配光が、第１の高指向型ライト部の第１壁配光と全て重なっていてもよいし、一部重なっていても良いし、全て重なっていなくてもよい。また、他の高指向型ライト部の壁配光が、第２の高指向型ライト部の第２壁配光と全て重なっていてもよいし、一部重なっていても良いし、全て重なっていなくてもよい。

　本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ／または図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、多くの図示実施形態がここに記載されている。

　本発明の図示実施形態を幾つかここに記載した。本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ（例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ）、改良および／または変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、この開示において、「好ましくは」や「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」や「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。

　２０１４年６月１１日出願の特願２０１４－１２０２３５の日本出願、２０１４年６月１１日出願の特願２０１４－１２０２３６の日本出願および２０１４年１２月１８日出願の特願２０１４－２５６３７９の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書は、すべて本願に援用される。

　本発明は、鞍乗型車両に有用である。

　１、１Ａ、１Ｂ、１Ｃ、１Ｄ、１Ｅ、１Ｆ、１Ｇ　鞍乗型車両
　２　車体フレーム
　１１　前輪
　１１Ｌ　左前輪
　１１Ｒ　右前輪
　１２Ｌ　左前輪支持装置
　１２Ｒ　右前輪支持装置
　１８、１８Ａ、１８Ｂ　ランプユニット
　１９Ｌ、１９Ａ、１９Ｅ　第１高指向型ライト部
　１９Ｒ、１９Ｂ、１９Ｆ　第２高指向型ライト部
　１９Ｃ、１９Ｇ　第３高指向型ライト部
　１９Ｄ、１９Ｈ　第４高指向型ライト部
　１９Ｉ　第５高指向型ライト部
　１９Ｊ　第６高指向型ライト部
　２０Ｌ、２０Ａ、２０Ｅ　第１光学レンズ部
　２０Ｒ、２０Ｂ、２０Ｆ　第２光学レンズ部
　２０Ｃ、２０Ｇ　第３光学レンズ部
　２０Ｄ、２０Ｈ　第４光学レンズ部
　２０Ｉ　第５光学レンズ部
　２０Ｊ　第６光学レンズ部
　５１　第１発光部
　Ｗ１Ｌ、Ｗ１Ｒ、Ｗ１Ａ、Ｗ１Ｂ、Ｗ１Ｃ、Ｗ１Ｄ　最大幅
　Ｗ２Ｌ、Ｗ２Ｒ、Ｗ２Ａ、Ｗ２Ｂ、Ｗ２Ｃ、Ｗ２Ｄ　最小幅
　Ｌ１　左前輪支持装置の下部の左端と右前輪支持装置の下部の右端との間隔
　Ｌ１０、Ｌ１１、Ｌ１２　光学レンズ部の間の長さ
　Ｄ１、Ｄ２、Ｄ３、Ｄ１１、Ｄ１２、Ｄ１３、Ｄ２１、Ｄ２２、Ｄ２３、Ｄ３１、Ｄ３２、Ｄ３３　壁配光
　Ｗ　壁体
　３２　ベース部
　６０、６１　部品
　４３Ｌ　第１ベース部
　４３Ｒ　第２ベース部

Claims

　車体フレームと、少なくとも１つの前輪を含む前輪部とを含み、前記車体フレームを車両の左右方向の左方に傾斜させた状態で左方に旋回可能、かつ、前記車体フレームを前記車両の左右方向の右方に傾斜させた状態で右方に旋回可能であって、
　前記車体フレームに回動可能に支持されるステアリングシャフトと、
　前記車両の左右方向に長く、前記ステアリングシャフトと一体的に回転するハンドルと、
　前記ステアリングシャフトより前記車両の左右方向の左方に位置し、前記車体フレームに支持される上部と、前記前輪部を支持し前記上部に対して前記車両の上下方向に変位可能な下部と、を含み、前記ステアリングシャフトと共に回動する左前輪支持装置と、
　前記ステアリングシャフトより前記車両の左右方向の右方に位置し、前記車体フレームに支持される上部と、前記前輪部を支持し前記上部に対して前記車両の上下方向に変位可能な下部と、を含み、前記ステアリングシャフトと共に回動する右前輪支持装置と、
　指向性の高い光を出射する第１発光部と、前記第１発光部の光を屈折して配光を形成する第１光学レンズ部とを含み、前記第１光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームの少なくとも一部の配光となる第１高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第２発光部と、前記第２発光部の光を屈折して配光を形成する第２光学レンズ部とを含み、前記第２光学レンズ部により形成された配光が、主ビームまたはすれ違いビームのうち前記第１高指向型ライト部と同じビームの少なくとも一部の配光となり、前記第１高指向型ライト部が点灯しているときに点灯し、前記第１高指向型ライト部が消灯しているときに消灯する第２高指向型ライト部と、
　前記第１高指向型ライト部および前記第２高指向型ライト部を支持し、前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更可能に支持される第１ベース部と、
　を備え、
　前記第１高指向型ライト部および前記第２高指向型ライト部は、
　前記第１光学レンズ部および前記第２光学レンズ部の各最大幅が、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく形成され、
　前記第１光学レンズ部と前記第２光学レンズ部との間の長さが、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく、且つ、前記第１光学レンズ部の最小幅および前記第２光学レンズ部の最小幅とのうち何れか小さい方の半分より大きく形成され、
　前記第１光学レンズ部を通って照射された光が、前記第１光学レンズ部および前記第２光学レンズ部のうち、前記車両の前後方向で最も前方に位置する方の前端より、前記車両の前方へ１０ｍ離れた直立する壁体に描く第１壁配光が、前記第２光学レンズ部を通って照射された光が前記壁体に描く第２壁配光と一部が重なり、かつ、残りの部分が重ならない状態を前記第１ベース部の前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更した時に保持するように前記第１ベース部に固定される
　鞍乗型車両。
　前記車両の前方から見て、前記第１光学レンズ部と前記第２光学レンズ部との間の領域は、前記車両の左右方向の中央にある、
　請求項１に記載の鞍乗型車両。
　前記ハンドルの左部に配置される左グリップと、
　前記ハンドルの右部に配置される右グリップと、
　を更に備え、
　前記第１高指向型ライト部の配光と前記第２高指向型ライト部の配光とは、すれ違いビームの少なくとも一部の配光となり、
　前記鞍乗型車両は、
　指向性の高い光を出射する第３発光部と、前記第３発光部の光を屈折して配光を形成する第３光学レンズ部とを含み、前記第３光学レンズ部により形成された配光が、すれ違いビームの少なくとも一部の配光となる第３高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第４発光部と、前記第４発光部の光を屈折して配光を形成する第４光学レンズ部とを含み、前記第４光学レンズ部により形成された配光が、すれ違いビームの少なくとも一部の配光となり、前記第３高指向型ライト部と一緒に点灯され、前記第３高指向型ライト部と一緒に消灯される第４高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第５発光部と、前記第５発光部の光を屈折して配光を形成する第５光学レンズ部とを含み、前記第５光学レンズ部により形成された配光が、主ビームの少なくとも一部の配光となる第５高指向型ライト部と、
　指向性の高い光を出射する第６発光部と、前記第６発光部の光を屈折して配光を形成する第６光学レンズ部とを含み、前記第６光学レンズ部により形成された配光が、主ビームの少なくとも一部の配光となる第６高指向型ライト部と、
　前記第３高指向型ライト部と前記第４高指向型ライト部とを支持し、前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更可能に支持される第２ベース部と、
　をさらに備え、
　前記第３高指向型ライト部および前記第４高指向型ライト部は、
　前記第３光学レンズ部および前記第４光学レンズ部の各最大幅が、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく形成され、
　前記第３光学レンズ部と前記第４光学レンズ部との間の長さが、前記車両の前方から見て、前記左前輪支持装置の前記下部の左端と前記右前輪支持装置の前記下部の右端との前記車両の左右方向の長さの半分より小さく、且つ、前記第３光学レンズ部の最小幅および前記第４光学レンズ部の最小幅とのうち何れか小さい方の半分より大きく形成され、
　前記第３光学レンズ部を通って照射された光が、前記第３光学レンズ部および前記第４光学レンズ部のうち、前記車両の前後方向で最も前方に位置する方の前端より、前記車両の前方へ１０ｍ離れた直立する壁体に描く第３壁配光が、前記第４光学レンズ部を通って照射された光が前記壁体に描く第４壁配光と一部が重なり、かつ、残りの部分が重ならない状態を前記第２ベース部の前記車体フレームまたは前記ハンドルに対する相対位置を変更した時に保持するように前記第２ベース部に固定され、
　前記第１高指向型ライト部から前記第６高指向型ライト部は、
　前記第１光学レンズ部の右端、前記第２光学レンズ部の右端、および、前記第５光学レンズ部の右端が、前記車両の左右方向の中央より左方にあり、前記第１光学レンズ部の左端、前記第２光学レンズ部の左端、および、前記第５光学レンズ部の左端が、前記車両の左右方向で前記左グリップの左端より右方にあり、前記第３光学レンズ部の左端、前記第４光学レンズ部の左端、および、前記第６光学レンズ部の左端が、前記車両の左右方向の中央より右方にあり、前記第３光学レンズ部の右端、前記第４光学レンズ部の右端、および、前記第６光学レンズ部の右端が、前記車両の左右方向で前記右グリップの右端より左方にあるように配置される、
　請求項１に記載の鞍乗型車両。
　前記車両の前方から見て、前記第１光学レンズ部の最大幅は２０ｍｍより大きく、
　前記車両の前方から見て、前記第２光学レンズ部の最大幅は２０ｍｍより大きい、
　請求項１に記載の鞍乗型車両。
　前記車両の前方から見て、前記第１光学レンズ部の最大幅、前記第２光学レンズ部の最大幅、前記第５光学レンズ部の最大幅、前記第３光学レンズ部の最大幅、前記第４光学レンズ部の最大幅、および、前記第６光学レンズ部の最大幅は、２０ｍｍより大きい、
　請求項３に記載の鞍乗型車両。
　前記車両の前方から見て、前記高指向型ライト部以外の電気電子部品、スロットルワイヤー、ブレーキワイヤー、ブレーキホース、クラッチワイヤー、ワイヤーハーネス、および、キーシリンダーのうち、少なくとも一つの少なくとも一部が、前記第１光学レンズ部と前記第２光学レンズ部との間の領域に重なるように配置されている、
　請求項１に記載の鞍乗型車両。
　前記車両の前方から見て、前記高指向型ライト部以外の電気電子部品、スロットルワイヤー、ブレーキワイヤー、ブレーキホース、クラッチワイヤー、ワイヤーハーネス、および、キーシリンダーのうち、少なくとも一つの少なくとも一部が、前記第３光学レンズ部と前記第４光学レンズ部との間の領域に重なるように配置されている、
　請求項３に記載の鞍乗型車両。
　前記壁体に前記第３高指向型ライト部の前記光第３学レンズを通った光により描かれる第３壁配光と、前記壁体に前記第４高指向型ライト部の前記第４光学レンズを通った光により描かれる第４壁配光とは、輪郭または大きさが異なる、
　請求項３に記載の鞍乗型車両。
　前記壁体に前記第３高指向型ライト部の前記第３光学レンズを通った光により描かれる第３壁配光と、前記壁体に前記第４高指向型ライト部の前記光学レンズを通った光により描かれる第４壁配光とは、同じ形状で配光中心の位置が異なる、
　請求項３に記載の鞍乗型車両。
　前記壁体に前記第１高指向型ライト部の前記第１光学レンズを通った光により描かれる第１壁配光と、前記壁体に前記第２高指向型ライト部の前記第２光学レンズを通った光により描かれる第２壁配光とは、輪郭または大きさが異なる、
　請求項１に記載の鞍乗型車両。
　前記壁体に前記第１高指向型ライト部の前記第１光学レンズを通った光により描かれる第２壁配光と、前記壁体に前記第２高指向型ライト部の前記第２光学レンズを通った光により描かれる第３壁配光とは、同じ形状で配光中心の位置が異なる、
　請求項１に記載の鞍乗型車両。