WO2015186799A1

WO2015186799A1 - メタル調可撓管

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Publication number: WO2015186799A1
Application number: PCT/JP2015/066241
Authority: WO
Inventors: 克雅金井
Original assignee: 株式会社トヨックス
Priority date: 2014-06-05
Filing date: 2015-06-04
Publication date: 2015-12-10
Also published as: CN115071234A; CN106461124A

Abstract

金属化層で覆うことなく光沢が有る金属の質感を得る。軟質材料で形成される内層（１）の外側を覆うように、内層（１）と同じ伸び率の軟質材料で形成される外層（２）を備えることにより、内層（１）及び外層（２）が共に曲げ変形や引張り変形や温度変化しても、両者の伸び量に差が生じない。外層（２）には金属色の顔料（２ｂ）を外層（２）の表面（２ａ）全体が金属色となるように配合している。そのため、外層（２）の外観は全体的に光沢がある金属色となる。

Description

メタル調可撓管

　本発明は、例えばシャワーホースなどとして用いられる、その外観が金属色のメタル調可撓管に関する。

　従来、この種のメタル調可撓管として、ＰＣＶのような熱可塑性の材料から造られるキャリヤーホースと、アルミニウムが蒸着された金属化層（アルミニウム蒸着部）及び熱接着する接着層を有する温間スタンピングシートと、無色の透明なＰＣＶからなる外側ホースと、を備え、前記接着層で前記キャリヤーホースの外側面を覆うように前記金属化層が接着され、前記金属化層の上に前記外側ホースが一体的に成形されることで、前記金属化層を保護したシャワー用ホースがある（例えば、特許文献１参照）。
　そして、キャリヤーホースは、押出し成形工程の間、未だ軟らかい材料内にマルチフィラメント糸が圧入されて螺旋状に交差した糸補強部を埋設することにより、キャリヤーホースの表面に溝状の凹部をマルチフィラメント糸の流れに沿って有している。このキャリヤーホースに埋設された糸補強部に基づいて、シャワー用ホースの表面には螺旋状に交差する溝状の凹部が形成されている。

特開平０８－０４７９８２号公報

　しかし乍ら、このような従来のシャワー用ホースでは、ＰＣＶからなるキャリヤーホースの表面全体に金属化層（アルミニウム蒸着部）を接着層で固く結合しているが、金属化層とＰＣＶ製のキャリヤーホースでは、それらの曲げ変形や引張り変形や温度変化に伴う伸び量が大きく異なるため、キャリヤーホースの変形に金属化層が追従できない。
　それにより、長期間に亘り使用すると金属化層（アルミニウム蒸着部）にひび割れや亀裂が発生し、そこから接着層を通ってキャリヤーホースの表面との間に湯水などが浸入してしまい、キャリヤーホースの表面より金属化層が剥離してしまうという問題があった。
　また、シャワー用ホースの表面に溝状の凹部が形成されるため、水垢や湯垢などの異物が溝状の凹部に溜まって付着する可能性が高い。しかも、このような溝状の凹部に溜まった水垢や湯垢などの異物は、清掃で簡単に落とすことが困難であるため、不潔になり易く、長期の使用に伴って外観を低下させてしまうという問題もあった。

　本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、金属化層で覆うことなく光沢が有る金属の質感を得ること、などを目的とするものである。

　このような目的を達成するために本発明に係るメタル調可撓管は、外観が金属色のメタル調可撓管であって、軟質材料で形成される内層と、前記内層の外側を覆うように前記内層と同じ伸び率の軟質材料で形成される外層と、を備え、前記外層は、金属色の顔料を前記外層の表面全体が金属色となるように配合したことを特徴とする。

　前述した特徴を有する本発明は、軟質材料で形成される内層の外側を覆うように、内層と同じ伸び率の軟質材料で形成される外層を備えることにより、内層及び外層が共に曲げ変形や引張り変形や温度変化しても、両者の伸び量に差が生じない。外層には金属色の顔料を外層の表面全体が金属色となるように配合している。そのため、外層の外観は全体的に光沢がある金属色となる。
　したがって、金属化層で覆うことなく光沢が有る金属の質感を得ることができる。
　その結果、軟質樹脂製ホースの表面全体を覆うように金属化層が接着される従来のものに比べ、長期間に亘りシャワーホースなどとして使用しても外層にひび割れや亀裂が発生せず、金属的な輝きを保持できるとともに柔軟性を維持して、商品価値の向上が図れる。

本発明の実施形態に係るメタル調可撓管の全体構成を示す説明図であり、一部切欠した斜視図である。本発明の実施形態に係るメタル調可撓管の変形例を示す説明図であり、一部切欠した斜視図である。本発明の実施形態に係るメタル調可撓管の変形例を示す説明図であり、一部切欠した斜視図である。

　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
　本発明の実施形態に係るメタル調可撓管Ａは、図１～図３に示すように、例えばシャワーホースなどとして用いられる、可撓性を有し且つ外観が金属色のホースやチューブなどである。
　詳しく説明すると、本発明の実施形態に係るメタル調可撓管Ａは、可撓性材料で形成される内層１と、内層１の外側を覆うように形成される外層２と、を主要な構成要素として備えている。
　さらに、内層１の外周面１ａに沿って巻き付けられる補強線材３を備えることが好ましい。

　内層１は、例えば塩化ビニル樹脂などの軟質合成樹脂やシリコーンゴムやその他のゴムなどの軟質材料で可撓性を有する管状に形成される。
　内層１の具体例として図示例の場合には、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂に、適度に柔らかくするための可塑剤、加工時および使用期間中の劣化を防ぐための安定剤、その他の滑剤や充填剤や加工助剤や改良材などが所定比率で添加されたものを用い、例えば押出成形機により押出成形するなどして溶融状態の円筒体を連続形成し、それを冷却し固化させることで構成される。

　外層２は、内層１と同じ伸び率の軟質材料に顔料２ｂを配合するなどして、その外側表面２ａの全体に亘り分散させた管状に形成することにより、多数の顔料２ｂがほぼ均一に配置されて、表面２ａの全体の外観が金属色になるように構成されている。
　金属色の顔料２ｂとしては、鉱物などからなる粒状体の表面を、例えばアルミニウム粉末などの金属色材料でコーティングして一体化されたものや、それに類似する構造のものが用いられる。例えば、金属色として銀色の顔料２ｂを配合することにより、光沢が有る銀色の外層２が製造可能となる。
　外層２の具体例として、図１～図３に示される例の場合には、内層１と同じ塩化ビニル樹脂などの軟質合成樹脂やシリコーンゴムやその他のゴムなどの軟質材料を、押出成形機により押出成形するなどして溶融状態の円筒体が連続形成され、それを冷却し固化させることで、内層１の外側に一体的に積層形成されている。

　補強線材３は、内層１の外周面１ａに沿って螺旋状又は網状に巻き付けられることにより、メタル調可撓管Ａの内部に埋設される補強層を構成して、耐圧性能や保形性能などの物性を向上させるものである。
　補強線材３としては、例えばポリエステルやナイロン（登録商標）やアラミドなどの合成樹脂製繊維からなる補強糸が主に用いられる。その他には、ステンレスなどの金属線又はそれに類する硬質材料からなるコイルなどを用いることもできる。この補強糸としては、複数本の細い合成樹脂製繊維を撚り合わせたマルチフィラメント、一本の合成樹脂製繊維からなるモノフィラメント（monofilament:単繊維）、テープ状の合成樹脂製繊維からなるフラットヤーン（又はテープヤーン）などがある。
　補強線材３の具体例として、図１及び図２に示される例の場合には、合成樹脂製繊維などの径が細い補強糸３ａを複数本、それぞれ内層１の外周面１ａに沿って逆向きの螺旋状に巻き付けることにより、網状のブレード構造としている。図３に示される例の場合には、補強線材３として合成樹脂製繊維以外にモノフィラメントなども含まれる径が太い補強糸３ｂを複数本、それぞれ内層１の外周面１ａに沿って逆向きの螺旋状に巻き付けることにより、網状のブレード構造としている。
　また、その他の例として図示しないが、図１及び図２に示される径の細い補強糸３ａを太い補強糸３ｂに代えたり、図３に示される径の太い補強糸３ｂを細い補強糸３ａに代えたり、マルチフィラメントやモノフィラメントなどに代えてフラットヤーンを螺旋状又は網状に巻き付けたり、細い補強糸３ａなどを内層１の外周面１ａに沿ってニット編みすることで中空円筒形の網状に編み込んだり変更することも可能である。

　内層１と外層２の間に補強線材３を挟み込んで一体的に積層させる製造方法としては、先ず内層１を押出成形した後に、内層１の外周面１ａに沿って補強線材３が巻き付けられ、その後に外層２を押出成形して積層することにより、内層１，外層２及び補強線材３が一体的に積層形成される。
　さらに加えて、図１及び図２に示される例のように、外層２の外側を覆って筒状に形成される被覆層４を備えるか、又は図３に示される例のように、補強線材３と外層２の間に中間層５が備えられ、補強線材３の全体を中間層５で覆うことが好ましい。
　また、その他の例として図示しないが、図１及び図２に示される例の被覆層４を図３に示される例に追加したり、図３に示される例において中間層５を備えず、補強線材３の外側に厚肉の外層２を接触するように積層したり、図３に示される例の中間層５を図１及び図２に示される例に追加したり変更することも可能である。

　このような本発明の実施形態に係るメタル調可撓管Ａによると、軟質材料で形成される内層１の外側を覆うように、内層１と同じ伸び率の軟質材料で形成される外層２を備えることにより、内層１及び外層２が共に曲げ変形や引張り変形や温度変化しても、両者の伸び量に差が生じない。外層２には金属色の顔料２ｂを外層２の表面２ａ全体が金属色となるようにほぼ均一に配合している。そのため、外層２の外観は全体的に光沢がある金属色となる。
　したがって、金属化層で覆うことなく光沢が有る金属の質感を得ることができる。
　その結果、軟質樹脂製ホースの表面全体を覆うように金属化層が接着される従来のものに比べ、長期間に亘りシャワーホースなどとして使用しても外層２にひび割れや亀裂が発生せず、金属的な輝きを保持できるとともに柔軟性を維持して、商品価値の向上が図れる。

　次に、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
　この実施例１は、図１又は図２に示すように、外層２の外側を覆って筒状に形成される被覆層４を備え、被覆層４が、透明材料で外層２の顔料２ｂを透過するように積層される
ものである。
　すなわち、本発明の実施例１に係るメタル調可撓管Ａ（Ａ１，Ａ２）では、外層２の外側に透明な被覆層４が積層されている。

　被覆層４は、例えば塩化ビニル樹脂などの軟質合成樹脂やシリコーンゴムやその他のゴムなどの無色透明や無色半透明か又は有色透明や有色半透明の可撓性を有する、内層１や外層２などと同じ伸び率の軟質材料で、外層２の外側全体を覆う筒状に形成されている。被覆層４の内面（内周面）４ａは、外層２の表面（外周面）２ａと密着するように配置されている。
　さらに、被覆層４は、外層２に配合された顔料２ｂを被覆層４の外側から透過して見えるよう隙間なく積層されている。

　このような本発明の実施例１に係るメタル調可撓管Ａ（Ａ１，Ａ２）によると、図１又は図２に示されるように、金属色の顔料２ｂが表面２ａ全体が金属色となるように配合された外層２と、外層２の外側を覆って筒状に積層形成した被覆層４と、が一体的に備えられる。
　それにより、外層２の顔料２ｂが被覆層４を透過して外観が金属色になる。
　ところで、外層２の表面２ａに露出する一部の顔料２ｂは、外気（酸素）や水分（水道水中の塩素も含まれる）などと接して、金属色が黒色などに変色する可能性がある。
　これに対し、本発明の実施例１に係るメタル調可撓管Ａ（Ａ１，Ａ２）は、被覆層４で外層２の外側を筒状に覆って、外層２の表面２ａに露出する一部の顔料２ｂが外気や水分などと接触しないため、外層２の表面２ａに露出する一部の顔料２ｂの金属色が変色せずに保護される。
　したがって、光沢が有る金属の質感をより長期間に亘って保持することができる。
　その結果、より長期に亘って美観が保持され、商品価値の低下を防止することができるという利点がある。
　さらに、外層２の顔料２ｂが被覆層４を透過するため、透明な被覆層４で顔料２ｂの金属色が散乱して、外層２の金属色がより明瞭になって美観に優れるという利点がある。
　また、シャワー用ホースの表面に溝状の凹部が形成される従来のものに比べ、被覆層４で外層２の外側を筒状に覆うことで被覆層４の外表面が平滑化されるため、水垢や湯垢などの異物が付着し難く、しかも簡単な清掃で汚れが落ち、長期に亘って清潔に保てるという利点もある。

　そして、外層２の厚み（肉厚寸法）は、補強線材３や被覆層４などの他の筒状層の厚みに対応して設定される。その具体例として、図１に示される場合には、多数の顔料２ｂが全体的に配合された外層２の厚みを、被覆層４の厚みに比べて厚くなるように形成している。図２に示される場合には、外層２の厚みを被覆層４の厚みに比べて薄くなるように形成している。
　また、その他の例として図示しないが、外層２の厚みを、被覆層４の厚みと同等に形成することも可能である。

　特に、図１に示されるような被覆層４の厚みよりも外層２を厚く形成したメタル調可撓管Ａ（Ａ１）の場合には、外層２の厚みが被覆層２の厚みに比べ厚くて、補強線材３の厚みを吸収するため、補強線材３の外側に積層した外層２が、部分的に盛り上がることがなく、外層２の表面２ａに補強線材３の糸目が浮き出ない。
　したがって、補強線材３を有するメタル調可撓管Ａ（Ａ１）であっても、補強線材３が視認できず、光沢が有る金属の質感を表面平滑状態で得ることができるという利点がある。
　さらに、複数本の補強線材３を逆向きの螺旋状に巻き付けているため、捩れ難く且つ保形性に優れて、折り曲げなどに伴い部分的に潰れ難いメタル調可撓管Ａ（Ａ１）を提供することができる。
　また、外層２の厚みを被覆層４の厚みに比べ厚くなるように形成しても、外層２の外面部位に集中して配置されるように配合すれば、顔料２ｂの配合量を減少させても、外層２の表面２ａに沿って顔料２ｂが緻密に配置されて金属色がまばらにならない。
　したがって、最小量の顔料２ｂで光沢が有る金属の質感を表面平滑に得ることができる。
　その結果、全体的な顔料２ｂの配合量が減るため、コストの軽減化も図れるという利点がある。

　また、図２に示されるような被覆層４の厚みよりも外層２を薄く形成したメタル調可撓管Ａ（Ａ２）の場合には、外層２が薄くなった分だけそれに配合される金属色の顔料２ｂの総量を減少させても、外層２の表面２ａに沿って顔料２ｂが緻密に配置されて金属色がまばらにならない。
　したがって、最小量の顔料２ｂで光沢が有る金属の質感を表面平滑に得ることができる。
　その結果、多量の顔料２ｂが配合される外層２を肉薄に形成できるため、顔料２ｂの配合に伴う外層２の物性低下を防止することができて、全体的に耐圧性能や引っ張り強度などの品質向上が図れるという利点がある。
　さらに、全体的な顔料２ｂの配合量が減るため、コストの軽減化も図れるという利点もある。
　特に、外径が細い補強線材３を用いた場合には、補強線材３の外側に積層した外層２が、部分的に盛り上がることがなく、外層２の表面２ａに補強線材３の糸目が浮き出ないメタル調可撓管Ａ（Ａ２）を製造することも可能である。

　一方、被覆層４は、その透明な軟質材料に赤色系，青色系，緑色系，黄色系などの有色顔料（図示しない）を配合するなどして形成された有色の透明層とすることが好ましい。
　被覆層４となる透明な軟質材料に対し、有色顔料のいずれか一種又は複数種を所定の比率で配合することにより、多色透明の被覆層４を有するメタル調可撓管Ａ（Ａ１，Ａ２）が製造可能となる。また有色顔料を配合しない場合には、無色透明の被覆層４が製造される。
　その具体例としては、光沢が有る銀色の外層２に対し、例えば赤色系の顔料が配合された透明材料からなる被覆層４を被せると、赤系銀色のメタル調可撓管Ａ（Ａ１，Ａ２）が製造される。
　ここで、赤色系の被覆層４に代えて、青色系などの他の色の顔料が配合された被覆層４を被せると、青系銀色などの任意な銀色系のメタル調可撓管Ａ（Ａ１，Ａ２）が製造される。
　それにより、被覆層４の透明色を変えるだけで、目的とする金属色の顔料２ｂを調合しなくても、自由に光沢が有る多色の金属色のメタル調可撓管Ａ（Ａ１，Ａ２）を提供することができる

　このように被覆層４が有色の透明層である場合には、被覆層４の透明色を色換えするだけで、外層２中の顔料２ｂの金属色が被覆層４の有色透明を透過して、被覆層４の外観は任意な色の金属色になる。
　したがって、金属色の光沢を保ちながら多色化することができる。
　その結果、異色の鉱物材料などからなる金属色の顔料を組み合わせて多色の金属色を作り出すものに比べ、色合いと品質が一定な多色の金属色を低コストで作り出すことができて、品質性及び経済性に優れるという利点がある。

　この実施例２は、図３に示すように、内層１の外周面１ａに沿って巻き付けられる補強線材３と、補強線材３と外層２の間に、内層１と同じ伸び率の軟質材料で形成される中間層５と、を備え、中間層５が、補強線材３の肉厚を吸収するように厚肉に形成されるようにした構成が、図１又は図２に示した実施例１とは異なり、それ以外の構成は図１又は図２に示した実施例１と同じものである。
　すなわち、本発明の実施例２に係るメタル調可撓管Ａ（Ａ３）では、内層１の外側に補強線材３を挟んで中間層５が積層されている。

　中間層５は、外層２と同様に内層１と同じ伸び率の軟質材料で、補強線材３の肉厚を吸収するように厚肉に形成されている。すなわち、中間層５の肉厚を、補強線材３の肉厚よりも厚く形成することで、補強線材３の配置箇所のみ現れる糸筋や糸目が、中間層５の外周面５ａにおいて凸状に現れることを防止している。
　中間層５の具体例として図示例の場合には、外層２と同様に内層１と同じ塩化ビニル樹脂などの軟質合成樹脂やシリコーンゴムやその他のゴムなどの軟質材料を、押出成形機により押出成形するなどして溶融状態の円筒体が連続形成され、それを冷却し固化させて一体的に形成している。それにより、中間層５の内周面が補強線材３及び内層１の外周面１ａと全周に亘って接触するとともに、中間層５の外周面４ａが平滑となるように積層される。
　さらに、中間層５の色は、その内側に配置した補強線材３が外層２側から透視できないように不透明にすることが好ましい。
　中間層５の着色方法としては、金属色の顔料２ｂが配合された外層２の銀色に近い色となるように、透明な軟質材料に灰色などの顔料（図示しない）を配合するなどして、中間層５の外観が明度の低い無彩色や有彩色に着色することが好ましい。それにより、補強線材３が配置された箇所のみ現れる糸筋や糸目が、外層２側から透けて見えなくなる。

　このような本発明の実施例２に係るメタル調可撓管Ａ（Ａ３）によると、中間層５が補強線材３の肉厚を吸収するように厚肉に形成されるため、補強線材３の有無によって、外層２の表面２ａ全体に凹凸ができない。
　したがって、外層２の表面２ａ全体が平滑状態で光沢の有る金属の質感を得ることができる。
　その結果、シャワー用ホースの表面に溝状の凹部が形成される従来のものに比べ、外層２の表面２ａに水垢や湯垢などの異物が付着し難く、しかも簡単な清掃で汚れが落ち、長期に亘って清潔に保てるという利点がある。

　ところで、本発明のメタル調可撓管Ａが、シャワーヘッドや湯水混合栓などの吐水口に接続されるシャワーホースなどである場合には、シャワーヘッドや吐水口の接続口径が予め所定寸法に設定されているため、その内径（内層１の内径）と外径（外層２の外径）も同様に決められてしまう。
　さらに、メタル調可撓管Ａにおいて所定の耐圧性能や所定の許容曲げ半径などを維持するためには、内層１の肉厚や補強線材３の太さなどを減少変更することは困難である。
　このような事情から、外層２の厚み（肉厚寸法）と中間層５の厚み（肉厚寸法）の合計は常に一定となるが、外層２の厚みと中間層５の厚みは、性能向上のために変更可能である。しかし、外層２の厚みと中間層５の厚みは反比例の関係となるという制約がある。
　このような問題点を解決するためには、図３に示されるように、外層２の肉厚を中間層５の肉厚よりも薄く形成することが好ましい。

　そこで、品質に優れた外観が金属色のメタル調可撓管Ａを製造する目的として、金属色の顔料２ｂが含まれる外層２の肉厚と中間層５の肉厚の理想的な比率と、外層２に配合される顔料２ｂの理想的な部数を求めるための実験を行った。
　この実験では、メタル調可撓管Ａ（Ａ３）として図３に示されるように、内層１の肉厚が１．５ｍｍ、外層２の厚みと中間層５の厚みの合計値が１．５ｍｍで、補強線材３として太さが５６０～１，１００デシテックスのポリエステル繊維からなる補強糸３ｂを網状に交差させてブレード構造としたものを用いた。
　実験の結果、外層２の肉厚と中間層５の肉厚の理想的な比率は、３～７：１２～８に設定することが好ましい。つまり、外層２の肉厚が０．３ｍｍである時には中間層５の肉厚が１．２ｍｍとなる。
　さらに、外層２に配合される顔料２ｂの部数として、金属色の顔料２ｂが０．３重量部未満の場合には、金属色が透けて見えたり色むらが生じたりする。また金属色の顔料２ｂが１．２重量部よりも多い場合には、金属色の顔料２ｂの凝集が生じ易い。したがって、外層２に配合される顔料２ｂの部数は、外層２が１００重量部に対して金属色の顔料２ｂを０．３～１．２重量部にすることが好ましい。
　このような比率及び部数に設定すれば、外層２の肉厚が最も薄い０．３ｍｍで且つ外層２が１００重量部に対して金属色の顔料２ｂを０．３重量部配合した場合でも、外層２の外観として光沢が有る金属の質感を得られ、所定の耐圧性能や所定の許容曲げ半径なども維持できることが解った。
　特に、外層２が１００重量部に対して金属色の顔料２ｂを０．５重量部配合した場合には、金属色の顔料２ｂの分散が安定し、且つ色むらが無い安定した金属の質感を得られることも解った。

　このような図３に示されるメタル調可撓管Ａ（Ａ３）によると、外層２の肉厚が中間層５の肉厚よりも薄く形成されるため、外層２に配合される金属色の顔料２ｂの総量を減少させても、外層２の表面２ａに沿って顔料２ｂが緻密に配置されて金属色がまばらにならない。
　したがって、最小量の顔料２ｂで光沢が有る金属の質感を得ることができる。
　その結果、多量の顔料２ｂが配合される外層２を肉薄に形成できるため、顔料２ｂの配合に伴う外層２の物性低下を防止することができて、全体的に耐圧性能や引っ張り強度などの品質向上が図れるという利点がある。
　さらに、全体的な顔料２ｂの配合量が減るため、コストの軽減化も図れるという利点もある。

　なお、前示実施例では、内層１，補強線材３からなる補強層，外層２及び被覆層４からなる四層構造や内層１，補強線材３からなる補強層，中間層５及び外層２からなる四層構造の場合を示したが、これに限定されず、内層１及び外層２からなる二層構造であったり、内層１，補強線材３からなる補強層，中間層５，外層２及び被覆層４からなる五層構造であったり、内層１の内側に最内層などを具備する三層構造～六層構造以上であっても良い。

　１　内層　　　　　　　　　　　　　　　１ａ　外周面
　２　外層　　　　　　　　　　　　　　　２ａ　表面
　２ｂ　金属色の顔料　　　　　　　　　　３　補強線材
　４　被覆層　　　　　　　　　　　　　　５　中間層

Claims

　外観が金属色のメタル調可撓管であって、
　軟質材料で形成される内層と、
　前記内層の外側を覆うように前記内層と同じ伸び率の軟質材料で形成される外層と、を備え、
　前記外層は、金属色の顔料を前記外層の表面全体が金属色となるように配合したことを特徴とするメタル調可撓管。
　前記外層の外側を覆って筒状に形成される被覆層を備え、前記被覆層が、透明材料で前記外層の前記顔料を透過するように積層されることを特徴とする請求項１記載のメタル調可撓管。
　前記被覆層の厚みよりも前記外層を薄く形成することを特徴とする請求項２記載のメタル調可撓管。
　前記被覆層が有色の透明層であることを特徴とする請求項２又は３記載のメタル調可撓管。
　前記内層の外周面に沿って巻き付けられる補強線材と、前記補強線材と前記外層の間に、前記内層と同じ伸び率の軟質材料で形成される中間層と、を備え、前記中間層が、前記補強線材の肉厚を吸収するように厚肉に形成されることを特徴とする請求項１記載のメタル調可撓管。
　前記外層の肉厚を前記中間層の肉厚よりも薄く形成することを特徴とする請求項５記載のメタル調可撓管。