WO2015108082A1 - 免疫クロマト分析方法、免疫クロマト分析装置および免疫クロマト分析キット - Google Patents

免疫クロマト分析方法、免疫クロマト分析装置および免疫クロマト分析キット Download PDF

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Abstract

 陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質と、第1被検出物質との比率を把握して陰性または陽性の判定の基準とする第2被検出物質とを免疫反応により個別に発色させ、両方の被検出物質の発色シグナルが同強度となる濃度を第1被検出物質の判定の境界に設定することにより、特定の装置や分析に対する専門的知識を必要とすることなく、かつ、煩雑な手間をかけることのない、免疫クロマト分析方法を提供する。

Description

免疫クロマト分析方法、免疫クロマト分析装置および免疫クロマト分析キット
 本発明は、免疫クロマト分析方法、免疫クロマト分析装置および免疫クロマト分析キットに関する。
 血液、尿などの検体に含まれる種々の成分を測定することは、患者の健康状態を把握する上で臨床上極めて重要であり、従来、その成分に応じて各種の測定方法が採用されている。その一つとして、検体に含まれる被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認する免疫クロマト分析方法が知られている。
 一方、世界の糖尿病患者数は、2011年で3億6600万人存在し、2030年は5億5200万人(成人人口の約10%)にも及ぶと予測されている。またいわゆる糖尿病予備軍もそれと同等以上であると考えられる。
 従来、糖尿病の診断は血糖値を測定することによりなされていたが、近年では、血中のヘモグロビンに糖が結合した糖化ヘモグロビン(グリコヘモグロビン)、とくにヘモグロビンβ鎖のN末端バリン残基が糖化されたヘモグロビンA1c(以下、「HbA1c」と言う)の血中濃度が、過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映することから、糖尿病の診断や糖尿病の経過観察に適した指標として使用されつつある(例えば特許文献1参照)。
 しかし従来においてHbA1cの測定は、HPLC法、キャピラリー電気泳動法、酵素法、免疫学的測定法等により実施されるが、これらの方法は特定の装置や分析に対する専門的知識を必要とするために、小規模の病院や家庭等ではHbA1cの値を簡単に知ることができない、という問題点があった。
 また、HbA1cの血中濃度は、血中成分に個人差が存在するため、糖化されていないヘモグロビン(以下、「HbA0」と言う)を同時に測定し、HbA1cとHbA0の比率を把握することで、糖尿病の陰性または陽性を判定していたが、この場合、HbA1cとHbA0を個別に上記手段によって測定する必要があるため、測定の煩雑さがさらに悪化するという問題点も存在する。
 またHbA1c以外の成分、例えば、PSA(Free-PSA/Total-PSA比)、動脈硬化指数であるコレステロール(LDLコレステロール/HDLコレステロール比)、または肝機能障害若しくはネフローゼ症候群等のマーカー(アルブミン/グロブリン比)等も、患者の健康状態を把握する上で重要な因子である。しかし、これらの成分においても、前記のHbA1cと同じ問題点が存在する。すなわち、当該成分の測定は、特定の装置や分析に対する専門的知識を必要とすること、また、当該成分の陰性または陽性を正確に確認すべく、HbA0のような参照物質を同時に測定する必要があり、小規模の病院や家庭等では事実上不可能であるという課題がある。
日本国特開2012-251789号公報
 そこで本発明の目的は、上述の従来の課題を解決し、特定の装置や分析に対する専門的知識を必要とすることなく、かつ、煩雑な手間をかけることなく、小規模の病院や家庭等であっても血液、尿等の様々な検体に含まれる種々の成分を測定することのできる、免疫クロマト分析方法、免疫クロマト分析装置および免疫クロマト分析キットを提供することにある。
 本発明者は鋭意研究を重ねた結果、陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質と、第1被検出物質との比率を把握して陰性または陽性の判定の基準とする第2被検出物質とを免疫反応により個別に発色させ、両方の被検出物質の発色シグナルが同強度となる濃度を第1被検出物質の判定の境界に設定することにより、上記のような従来の課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
 すなわち本発明は、以下の通りである。
1.検体に含まれる被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで、陰性または陽性を判定する免疫クロマト分析方法であって、
 前記被検出物質が、前記陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質と、前記第1被検出物質との比率を把握して前記陰性または陽性の判定の基準とする第2被検出物質とからなり、かつ、前記第2被検出物質に対する前記第1被検出物質の濃度、または第1被検出物質と第2被検出物質との総量に対する第1被検出物質の濃度が、特定の濃度を境界として陰性または陽性と判定されるものであり、
 前記判定方法が、それぞれの被検出物質を個別に発色させ、
 両方の発色シグナルが同強度となる前記第1被検出物質の濃度を前記判定の境界に設定し、
 前記境界に対する前記第1被検出物質の発色シグナルの強度の強弱を確認することにより、前記第1被検出物質の陰性または陽性を判定する
ことを特徴とする免疫クロマト分析方法。
2.前記第1被検出物質と特異的に反応する検出試薬の使用量を調整することにより、前記第1被検出物質および第2被検出物質の夫々の発色シグナルを同強度とすることを特徴とする前記1に記載の免疫クロマト分析方法。
3.検体に含まれる被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで、陰性または陽性を判定する前記1または2に記載の方法を実施するための免疫クロマト分析装置であって、
 前記被検出物質が、前記陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質と、前記第1被検出物質との比率を把握して前記陰性または陽性の判定の基準とする第2被検出物質とからなり、かつ、前記第2被検出物質に対する前記第1被検出物質の濃度、または第1被検出物質と第2被検出物質との総量に対する第1被検出物質の濃度が、特定の濃度を境界として陰性または陽性と判定されるものであり、
 前記判定方法が、それぞれの被検出物質を個別に発色させる手段を有し、
 両方の発色シグナルが同強度となる前記第1被検出物質の濃度を前記判定の境界に設定し、
 前記境界に対する前記第1被検出物質の発色シグナルの強度の強弱を確認することにより、前記第1被検出物質の陰性または陽性を判定する
ように構成したことを特徴とする免疫クロマト分析装置。
4.前記3に記載の免疫クロマト分析装置と、前記第1被検出物質および第2被検出物質の複数の濃度における発色シグナルの強度の度合いを確認できる発色シグナル確認装置と、を少なくとも備えてなる免疫クロマト分析キット。
5.前記第1被検出物質および第2被検出物質の複数の濃度における発色シグナルの強度の度合いを確認できる発色シグナル確認装置が色見本であることを特徴とする前記4に記載の免疫クロマト分析キット。
 本発明の免疫クロマト分析方法および装置によれば、陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質と、第1被検出物質との比率を把握して陰性または陽性の判定の基準とする第2被検出物質とを免疫反応により個別に発色させ、両方の被検出物質の発色シグナルが同強度となる濃度を第1被検出物質の判定の境界に設定したので、特定の装置や分析に対する専門的知識を必要とすることなく、かつ、煩雑な手間をかけることなく、前記第1被検出物質の陰性または陽性を判定することができる。したがって、小規模の病院や家庭等であっても血液、尿等の様々な検体に含まれる種々の成分を測定することが可能となった。
 また本発明の免疫クロマト分析キットによれば、第1被検出物質の発色シグナルの強弱を、確認装置の発色シグナルと比較することができるので、第1被検出物質の陰性または陽性の判定を客観的に行うことができる。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の免疫クロマト分析方法および装置を利用した免疫クロマト分析キットを説明するための概略図であり、図1(a)はキットの断面図、図1(b)は平面図である。 図2(a)~図2(d)は、本発明の免疫クロマト分析方法および装置を利用した免疫クロマト分析キットにおいて複数準備した発色シグナル確認装置を説明するための図である。
 以下、本発明をさらに詳細に説明する。
 本発明に用いられる検体は、例えば、血液、血漿、血清のような血液試料、尿、唾液、髄液、汗、涙、羊水、乳頭分泌液、鼻汁、痰、鼻腔又は咽頭拭い液、皮膚からの浸出液、組織や細胞及び糞便からの抽出物等が挙げられる。
 陰性または陽性を判定すべき被検出物質の種類によっては、その絶対量に個人差が存在する場合や、前記被検出物質と関連性のあるその他の被検出物質との相対量により陰性または陽性と判定すべき場合があり、その被検出物質を発色させてその強度を確認しただけでは、判定が困難となる場合がある。したがって、そのような被検出物質においては、絶対量により陰性または陽性を判定するのではなく、その被検出物質(第1被検出物質)と同一検体中に含まれる他の被検出物質(第2被検出物質)との相対量によって、陰性または陽性を判定する必要がある。たとえば、第1被検出物質及び第2被検出物質の夫々の絶対量が、陰性と判定される健常人の絶対量の範囲内であっても、第1被検出物質と第2被検出物質との比率が健常人の範囲外であることから陽性(非健常人)と判定すべき場合等が挙げられる。本発明では、第1被検出物質と第2被検出物質を同時に発色させ、第1被検出物質と第2被検出物質の比率を把握する。
 以下、本発明の陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質としてHbA1cを、第1被検出物質との比率を把握して陰性または陽性の判定の基準とする第2の被検出物質としてHbA0を例として説明するが、本発明は下記例に制限されるものではなく、例えば、上記被検出物質以外にも、PSA(Free-PSA/Total-PSA比)、動脈硬化指数であるコレステロール(LDLコレステロール/HDLコレステロール比)、または肝機能障害若しくはネフローゼ症候群等のマーカー(アルブミン/グロブリン比)等を被検出物質として分析することができる。すなわち、第2の被検出物質に対する第1の被検出物質の濃度または第1の被検出物質と第2の被検出物質との総量に対する濃度が、特定の濃度を境界として陰性または陽性と判定されるものであれば本発明を適用できる。
 第2被検出物質を、第1被検出物質との比率を把握して陰性または陽性の判定の基準とするとは、例えば、第1被検出物質と第2被検出物質の総量に対し第1被検出物質が6.0%を超える場合に陽性であると判定する場合、94.0%を占める第2被検出物質の発色シグナルを、第1被検出物質が6.0%であるときの発色シグナルと同強度となるようにシグナル強度を調整するということである。
 まず本発明では、陰性または陽性を判定すべきHbA1cと、陰性または陽性の判定の基準となるHbA0とを免疫反応により個別に発色させる。該発色のための方法は公知であり、例えば特許文献1に開示されている。具体的には、以下の各ステップにより行うことができる。まず、患者から血液を採取する。血液の採取場所としては、例えば、指、歯茎、腕静脈および耳等が挙げられる。
 採取した血液中のHbA1cのエピトープをヘモグロビンタンパク質の表面に露出させる。その手段としては、例えば、ヘモグロビンβ鎖N末端をタンパク質表面に露出させる成分(N末端露出剤)を使用してヘモグロビンを処理する方法、ヘモグロビンをラテックス粒子に吸着させてヘモグロビンを処理する方法等が挙げられる。
 N末端露出剤を使用する露出方法としては、例えば、グアニジン、チオシアン酸、あるいはチオシアン酸塩と血液とを混合する方法、各種界面活性剤と血液とを混合する方法、これらのN末端露出剤を併用して血液と混合する方法等がある。
 界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤としてスクロースモノラウレート等が挙げられる。
 アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウロイルメチルアラニン、N-ラウロイルサルコシンナトリウム塩等のアシルアミノ酸塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、βナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤等が挙げられる。
 カチオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミン類及び第4級アンモニウム塩が挙げられ、第4級アンモニウム塩として、モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム等が挙げられる。
 両性界面活性剤としては、例えば、スルホベタイン12~16、ラウリルベタイン、2-アルキル-2-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
 N末端露出剤は、水溶液として使用するのが好ましく、N末端露出剤の濃度は、例えば0.01~10質量%である。また該水溶液には、アジ化ナトリウムのような防腐剤、EDTAのようなキレート剤、NaClまたはMgClのような金属イオンを含んでいてもよいし、免疫クロマト分析時の非特異反応抑制を目的としてBSAまたはカゼイン等のタンパク質等を含んでいてもよい。
 また前記水溶液のpHは、4.0~9.0、さらに5.0~9.0、さらに6.0~8.0が好ましい。該水溶液を用いて血液を処理するには、血液試料に該水溶液を添加し、攪拌すればよい。温度は、1℃~50℃、さらに10℃~40℃、さらに15℃~25℃が好ましい。処理時間は10秒間~30分間、さらに30秒間から5分間が好ましい。
 このようにして、血液試料中のHbA1cは、糖化部位が効率良くヘモグロビンタンパク質表面に露出された前処理試料が得られる。
 続いて、上記工程で調製された前処理試料中のヘモグロビンに対して特異的に結合し得る、標識物質で標識された抗ヘモグロビン抗体を反応させる。このような抗体としては、ポリクローナル抗体やモノクローナル抗体等が挙げられる。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体若しくはそのフラグメントは、公知であり、入手可能であり、公知の方法により調製することができる。
 抗体産生動物種としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ等が挙げられる。免疫グロブリンとしては、IgG、IgM、IgA、IgEまたはIgDのいずれでもよい。
 モノクローナル抗体は、常法に従って、抗原で免疫したマウスの脾臓細胞と骨隋腫細胞をハイブリッドさせ、目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選択し、このハイブリドーマから産生されてくるモノクローナル抗体を収得する(例えば、ケーラーとミルスタインの技法[Nature 256(1975)495-497]を参照)。ポリクローナル抗体は、常法により、抗原を産生動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギおよびウマ等)に免疫して得た抗血清中から目的とする抗体を分離することにより得られる。
 標識物質としては、視覚的に着色を確認できる有色物質が好ましく、当業界で公知のものを適宜採用できる。例えば、金属コロイド粒子、非金属コロイド粒子、着色ラテックスおよび酵素標識等が挙げられるが、時間が経過しても退色し難い金属コロイド粒子が標識の安定性の観点からとくに好ましい。
 金属コロイド粒子としては、例えば、金、白金、銅、銀、パラジウムコロイドの他、それらを混合した粒子等が挙げられる。特に金コロイド粒子は適当な粒径において赤色を呈する点で好ましい。金属コロイド粒子の平均粒径は例えば1~500nm、強い色調が得られる点で10nm~150nm、より好ましくは20~100nmの範囲内である。
 非金属コロイド粒子としては、例えば、セレニウムコロイド等が挙げられる。金属コロイド及び非金属コロイド粒子は、常法により調製することができ、このとき、粒径は所望の色調を呈するよう調節される。また、市販品を利用することもできる。
 着色ラテックスとしては、例えば、ポリスチレン等の高分子重合体の粒子が赤や青色を呈する着色剤により着色したものが挙げられ、常法により調製することができる。酵素標識としては、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼおよびガラクトシダーゼ等が挙げられる。酵素標識を使用する場合、当該酵素に対する基質および必要に応じて発色試薬を作用させ、その反応により生じる発色を検出する。
 なお、標識物質で標識された抗体の調製は、公知の手段にしたがって行うことができる。例えば、金コロイド粒子を抗体に担持する方法としては、物理吸着または化学結合などの公知の方法が挙げられる。具体的には、例えば、金粒子がコロイド状に分散した溶液に抗体を加えて物理吸着させた後、牛血清アルブミン溶液などのブロッキングタンパクを添加して抗体が未結合である粒子表面をブロッキングすることにより調製することができる。
 また、抗原抗体反応は、公知のサンドイッチ法、競合法や、それらを組み合わせた方法を採用することができる。
 続いて、HbA1cおよびHbA0由来の発色シグナルを確認するために、両者を例えば抗HbA1c抗体および抗HbA0抗体にそれぞれ固定化する。これにより、血中におけるHbA1cの濃度が、陰性または陽性であるのかが判定可能となる。なお、抗HbA1c抗体および抗HbA0抗体は、前述のようなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれであってもよい。
 血中成分には個人差が存在し、単にHbA1cを発色させてその強度を確認しただけでは、該判定は困難である。そこで、HbA1cとHbA0を同時に発色させ、HbA1cとHbA0の比率を把握する必要がある。例えば、血中のHbA1cとHbA0の総量に対しHbA1cが6.0%を超える場合に陽性であると判定する場合、このHbA1cが6.0%であるときの発色シグナルが、94.0%を占めるHbA0の発色シグナルと同強度となるように、両方の発色シグナルの強度を調整する。
 この調整方法としては、第1および第2の被検出物質の夫々または両方に特異的に反応し捕捉するための標識物質により標識される捕捉物質の量をコントロールする方法、第1および第2の被検出物質夫々または両方に特異的に反応し捕捉するためのメンブレン中の検出ラインに保持させる捕捉物質の量をコントロールする方法、第1および第2の被検出物質の夫々または両方に特異的に反応し捕捉するための標識された捕捉物質の量をコントロールする方法、またはそれらの2以上の方法を組み合わせる方法等が挙げられる。
 これらの中でも、第1および第2の被検出物質の夫々または両方に特異的に反応し捕捉するためのメンブレン中の検出ラインに保持させる捕捉物質の量をコントロールする方法、第1および第2の被検出物質の夫々または両方に特異的に反応し捕捉するための標識された捕捉物質の量をコントロールする方法、またはそれら方法を組み合わせた方法が好ましい。
 ここで第1および第2の被検出物質の両方に特異的に反応するとは、第1および第2の両方の被検出物質に対して強い反応性を示し、第1および第2の被検出物質以外の物質に対しては反応しない若しくは弱い反応性を示すため、両方の被検出物質とそれ以外の物質とを区別し、選択的に両方の被検出物質と反応するものである。
 第1および第2の被検出物質の両方に特異的に反応する捕捉物質を用いる場合は、同一の捕捉物質を用いても、第1および第2の被検出物質に対し反応性の強さの異なる2以上の捕捉物質を用いてもよいが、後者の2以上の捕捉物質を用いる方がシグナル強度を調整が容易になることから好ましく用いられる。
 実際の分析の際は、HbA1cとHbA0の発色シグナルを比較し、HbA1cの発色シグナルがHbA0のそれよりも強い場合、HbA1cが6.0%を超えていることが分かり、陽性と判定される。逆にHbA1cの発色シグナルがHbA0と同等またはそれよりも弱い場合、HbA1cが6.0%以下であることが分かり、陰性と判定される。
 本発明の免疫クロマト分析方法および装置は、キットとして使用する形態がとくに好ましい。以下、該キットについて説明する。図1(a)及び図1(b)は、本発明の免疫クロマト分析方法および装置を利用した免疫クロマト分析キットを説明するための概略図であり、図1(a)はキットの断面図、図1(b)は平面図である。
 図1(a)及び図1(b)に示すように、免疫クロマト分析キット1は、プラスチック製粘着シート11上に、サンプルパッド12、標識物質で標識された抗ヘモグロビン抗体含有パッド13、抗体固定化メンブレン14、吸水パッド15の順でキットの長手方向に沿ってそれぞれ設けられている。また、抗体固定化メンブレン14上には、抗HbA1c抗体が塗布された抗HbA1c抗体塗布部16、抗HbA0抗体が塗布された抗HbA0抗体塗布部17、コントロールとして抗IgG抗体が塗布された抗IgG抗体塗布部18がそれぞれ設けられている。
 プラスチック製粘着シート11は、キットの基材をなすものであり、片面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けることにより片面が粘着面となり、該粘着面上に下記の各構成部位の一部または全部が密着する。プラスチック製粘着シート11の材質は、試料に対して不透過性、非透湿性となるようなものを適宜選択すればよい。
 サンプルパッド12は、試料が迅速に吸収されるが、保持力は弱く、速やかに抗原抗体反応領域へと試料が移動していくような性質の多孔質シートで構成することができる。多孔質シートとしては、セルロース濾紙、ガラスファイバー濾紙、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、綿布等が挙げられる。
 抗ヘモグロビン抗体含有パッド13には、標識物質で標識された抗ヘモグロビン抗体が保持され、その材質としては、グラスファイバー等が挙げられる。
 抗体固定化メンブレン14は、毛細管現象により試料検体を吸収し移動させることができるものであればよく、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ガラスファイバー、ポリオレフィン、セルロース、これらの混合繊維等から構成することができる。
 抗体固定化メンブレン14上に設けられた、抗HbA1c抗体塗布部16、抗HbA0抗体塗布部17、抗IgG抗体塗布部18は、例えばそれぞれの抗体を担持固定できる材料から構成され、該材料としては、例えばニトロセルロース等が挙げられる。
 吸水パッド15は、過剰の試料を迅速に吸収する能力を有する材料が挙げられ、ガラス濾紙等が用いられる。
 次に本発明のキットの使用方法について説明する。まず、上記のように血液試料中のHbA1cの糖化部位をヘモグロビンタンパク質表面に露出させた前処理試料を準備し、この前処理試料および展開液をサンプルパッド12に滴下する。
 滴下された前処理試料および展開液は、毛細管現象により抗ヘモグロビン抗体含有パッド13に到達し、標識物質により標識された抗ヘモグロビン抗体と抗原抗体反応することで、複合体を形成する。該複合体は、続いて抗体固定化メンブレン14に展開され、抗HbA1c抗体塗布部16に到達し、HbA1cはそこを通過する間に抗HbA1c抗体と反応して固定化される。
 HbA0および展開液は、抗HbA1c抗体塗布部16を反応せずに通過するが、抗HbA0抗体塗布部17に到達すると、HbA0は抗HbA0抗体と反応し固定化される。なお、その他のヘモグロビンおよび水分は反応せずに吸水パッド15まで移動する。このようにして、各塗布部においてHbA1cおよびHbA0の存在による発色シグナルが確認できる。
 これとは別に、本発明のキットでは、発色シグナル確認装置を準備しておく。発色シグナル確認装置は、HbA1cおよびHbA0の複数の濃度における発色シグナルの強度の度合いを確認できるものである。
 例えば、上記のように血中のHbA1cとHbA0の総量に対しHbA1cが6.0%を超える場合に陽性であると判定する場合、このHbA1cが6.0%であるときの発色シグナルが、94.0%を占めるHbA0の発色シグナルと同強度となるように調整したキットの写真またはカラーコピーを、色見本として前記発色シグナル確認装置として準備しておく。
 実際の分析の際は、上記のように前処理試料および展開液をキットにより展開し、HbA1cとHbA0の発色シグナルを比較し、HbA1cの発色シグナルがHbA0のそれよりも強い場合、HbA1cが6.0%を超えていることが分かり、陽性と判定する。逆にHbA1cの発色シグナルがHbA0と同等またはそれよりも弱い場合、HbA1cが6.0%以下であることが分かり、陰性と判定する。
 なおこの場合、HbA1cの発色シグナルを濃度ごとに示した発色シグナル確認装置を複数準備しておくのが好ましい。
 図2(a)~図2(d)は、複数準備した発色シグナル確認装置を説明するための図である。なお図2(a)~図2(d)における黒いバンドは発色シグナルの強弱を表し、黒いバンドが太いほど発色強度が強く、細いほど発色強度が弱いことを意味している。
 図2(b)は、HbA1cが6.0%であるときの発色シグナル161(図1(a)及び図1(b)の抗HbA1c抗体塗布部16からの発色シグナル)が、94.0%を占めるHbA0の発色シグナル171(図1(a)及び図1(b)の抗HbA0抗体塗布部17からの発色シグナル)と同強度となるように調整したキットの写真またはカラーコピーからなる色見本を示している。
 なお、181は抗IgG抗体塗布部18からのコントロールの発色シグナルである。さらにキットには、図2(a)に示すようなHbA1cが5.5%である色見本、図2(c)に示すようなHbA1cが6.5%である色見本、図2(d)に示すようなHbA1cが7.0%である色見本も同時に備えている。この形態によれば、検体の発色シグナルと各色見本との発色シグナルの度合いを目視で比較することにより、陰性または陽性の判定を客観的に行うことができ、好ましい。
 なお、上記の展開液としては、0.01~0.25w/v%の炭素数10~30の炭化水素基を有するスルホン酸塩の陰イオン界面活性剤を含むことが、HbA1cの糖化部位を露出させつつ発色強度の低下を抑制する点で好ましい。
 以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
キットの作製
 以下の手順で、図1(a)及び図1(b)に示すような免疫クロマト分析キット1を作製した。
(1)抗HbA1c抗体塗布部16、抗HbA0抗体塗布部17、抗IgG抗体塗布部18の作製
 メンブレンとしてニトロセルロースからなるシート(ミリポア社製、商品名:HF12250mm×25mm)を用いた。5質量%のスクロースおよび5質量%のイソプロパノールを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.4)で抗HbA1cモノクローナル抗体、抗HbA0モノクローナル抗体または抗IgGモノクローナル抗体を夫々0.6g/ml、0.1mg/ml、1.3mg/ml、となるように希釈し、その希釈された溶液150μLを抗体塗布機(BioDot社製)によりメンブラン上に1mmの幅で別々の場所に塗布し、50℃で30分間乾燥させ、室温で一晩乾燥させ、抗体固定化メンブレン14上に抗HbA1c抗体塗布部16、抗HbA0抗体塗布部17、抗IgG抗体塗布部18をそれぞれ設けた。
(2)標識物質溶液の作製
 金コロイド懸濁液(田中貴金属工業社製:平均粒子径40nm)0.5mLに、Tris緩衝(pH8.5)でHbA0よりもHbA1cに強い反応性を示す抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-1またはHbA1cよりもHbA0に強い反応性を示す抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-2を夫々0.1mg/mlとなるように希釈した溶液を0.1mL加え、室温で10分間静置し2種の抗ヘモグロビンモノクローナル抗体が夫々担持された金コロイド懸濁液を得た。次いで、その夫々の懸濁液に0.01質量%のPEG-SH(日本油脂株式会社製、商品名:SUNBRIGHT ME-200SH、分子量20000)を含むTris緩衝液(pH8.5)を0.1ml加え(添加後のPEG-SH濃度:0.001質量%)、室温で10分間静置した。その後、十分撹拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後、1質量%の牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝液(pH7.4)0.1mLを加え、標識された抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-1および抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-2の液を夫々得た。標識された抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-1の液0.2mlと標識された抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-2の液0.02mlとを混合し、標識物質溶液を作製した。この時、標識抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-1および抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-2の使用された液中に含有する金の量は、夫々64μg、6.4μgであった。
(3)免疫クロマトグラフィー用試験片の作製
 上記作製した標識物質溶液220μlに100μlの25質量%トレハロース水溶液を含むリン酸緩衝液(pH9.0)、を加えたものを8mm×100mmのグラスファイバーパッド(ミリポア社製)に均一になるように添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、抗ヘモグロビン抗体含有パッド13を作製した。次に、プラスチック製粘着シート11上に、上記作製した標識物質で標識された抗ヘモグロビン抗体含有パッド13、抗体固定化メンブレン14を貼り合わせ、汎用のサンプルパッド12、吸水パッド15をさらに貼り合わせ、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、免疫クロマトグラフィー用試験片とした。
 下記表1に記載の処方にて、各成分を攪拌し、展開液(水溶液)を調製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 なお表1において、Triton-XとはSIGMA社製商品名であり、その成分はオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。
 Tween-20とは和光純薬社製商品名であり、その成分はモノラウリル酸ポリオキシエチレンソルビタンである。
 Bicineとは同仁化学社製商品名であり、その成分はN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシンである。
 Microcide IIIとはAMRESCO社製商品名であり、その成分は5-クロロ-2-メチル-1,2-チアゾール-3-オンと2-メチル-1,2-チアゾール-3-オンの混合物である。
検体の採取
 健康成人男性および糖尿病男性患者それぞれの指先を穿刺することにより、血液を採取し、ラテックス凝集法によりHbA0及びHbA1cの濃度を測定した夫々の血液試料を、HbA1cの濃度が、5.5%、6.0%、または7.0%となるように混合し試料とした。
前処理試料の調製
 前記血液と下記表2の処方のN末端露出剤(水溶液)とを室温で0.5分間攪拌し、室温で2分間静置し前処理試料を得た。なお、N末端露出剤は、血液に対して1000容量倍使用した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
免疫クロマト分析の実施
 上記のようにして作製した免疫クロマトグラフィー用試験片のサンプルパッド12に、前処理試料10μlおよび展開液100μlを供給し、10分後の抗HbA1c抗体塗布部16および抗HbA0抗体塗布部17における赤色の発色シグナルを目視で確認した。
発色シグナル確認装置の作製
 常法により精製したHbA1cおよびHbA0を用い、上記表2の処方のN末端露出剤と混合し、前処理試料を得た。前処理試料と展開液を、上記と同様に免疫クロマトグラフィー用試験片に展開させた。HbA1cおよびHbA0の総量に対するHbA1cの濃度は、5.5%、6.0%、または7.0%の3種類とした。ここで、6.0%のHbA1cの濃度を、陰性または陽性の判定の境界に設定し、第1および第2の被検出物質に対し夫々特異的に反応し捕捉するためのメンブレン中の検出ラインに保持させる捕捉物質の量をコントロールする方法、または第1および第2の被検出物質に対し両方に特異的に反応し捕捉するための捕捉物質を標識した標識物質の使用量をコントロールする方法により、HbA1cおよびHbA0の発色シグナルを同強度とした。詳細には次のとおり調製した。
〔第1および第2の被検出物質に対し夫々特異的に反応し捕捉するためのメンブレン中の検出ラインに保持させる捕捉物質の量をコントロールする方法〕
 上記の抗HbA1c抗体塗布部16、抗HbA0抗体塗布部17、抗IgG抗体塗布部18の作製において抗HbA0抗体の希釈濃度を表3に記載の濃度となるように希釈したこと以外は同様の方法で作製し、抗体固定化メンブレンに用いる第2被険物質の捕捉物質をコントロールした。作製された免疫クロマトグラフィー用試験片へ前処理試料を展開液と共に展開し、10分後のHbA1cおよびHbA0の夫々の検出ラインを目視で観察し、他方の検出ラインより発色が弱いものを「弱」、他方より強いものを「強」、両方が同強度のものを「同」とし判定した。判定結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3に示すように、抗体固定化メンブレンに用いる抗HbA0モノクローナル抗体希釈液の濃度が0.1mg/mlにコントロールされたとき、HbA1c濃度が6.0%においてHbA1cおよびHbA0の検出ラインの発色強度が同強度であった。
〔第1および第2の被検出物質に対し両方に特異的に反応し捕捉するための標識された捕捉物質の量をコントロールする方法〕
 上記の標識物質溶液の作製において標識した抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-2の液量を表4に記載する量となるようにしたこと以外は同様の方法で作製し、標識された第2被険物質の捕捉物質の量をコントロールした。標識物質作製された免疫クロマトグラフィー用試験片へ前処理試料を展開液と共に展開し、10分後のHbA1cおよびHbA0の夫々の検出ラインを目視で観察し、判定を行った。結果を表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表4に示すように、抗ヘモグロビンモノクローナル抗体-2を標識した液量を20μlにコントロールされたとき、HbA1c濃度が6.0%においてHbA1cおよびHbA0の検出ラインの発色強度が同強度であった。
 また、表3および表4の結果から、6.0%よりもHbA1cの濃度が低い試料の発色シグナルは、HbA0の発色シグナルよりも低くなることが確認され、逆に6.0%よりもHbA1cの濃度が高い試料の発色シグナルは、HbA0の発色シグナルよりも濃度が高くなるにつれてその強度も高くなることが確認された。得られた各種試験片の写真を撮影し、色見本とし、発色シグナル確認装置を作製した。
 上記で得られた健康成人の検体を展開した免疫クロマトグラフィー用試験片と、上記で得られた色見本とを比較観察した結果、健康成人のHbA1cの発色シグナルは、HbA0の発色シグナルよりも強度が弱く、健康成人の血中のHbA1c濃度が6.0%未満であることが判明し、陰性であると判定することができた。
 これに対し、糖尿病患者の検体を展開した免疫クロマトグラフィー用試験片と、上記で得られた色見本とを比較観察した結果、糖尿病患者のHbA1cの発色シグナルは、HbA0の発色シグナルよりも強度が強く、色見本における7.0%に相当することが判明し、陽性であると判定することができた。
 本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2014年1月14日付で出願された日本特許出願(特願2014-004289)に基づいており、その全体が引用により援用される。
1 免疫クロマト分析キット
11 プラスチック製粘着シート
12 サンプルパッド
13 標識物質で標識された抗ヘモグロビン抗体含有パッド
14 抗体固定化メンブレン
15 吸水パッド
16 抗HbA1c抗体が塗布された抗HbA1c抗体塗布部
17 抗HbA0抗体が塗布された抗HbA0抗体塗布部
18 コントロールとして抗IgG抗体が塗布された抗IgG抗体塗布部

Claims (5)

  1.  検体に含まれる被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで、陰性または陽性を判定する免疫クロマト分析方法であって、
     前記被検出物質が、前記陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質と、前記第1被検出物質との比率を把握して前記陰性または陽性の判定の基準とする第2被検出物質とからなり、かつ、前記第2被検出物質に対する前記第1被検出物質の濃度、または第1被検出物質と第2被検出物質との総量に対する第1被検出物質の濃度が、特定の濃度を境界として陰性または陽性と判定されるものであり、
     前記判定方法が、それぞれの被検出物質を個別に発色させ、
     両方の発色シグナルが同強度となる前記第1被検出物質の濃度を前記判定の境界に設定し、
     前記境界に対する前記第1被検出物質の発色シグナルの強度の強弱を確認することにより、前記第1被検出物質の陰性または陽性を判定する
    ことを特徴とする免疫クロマト分析方法。
  2.  前記第1被検出物質と特異的に反応する検出試薬の使用量を調整することにより、前記第1被検出物質および第2被検出物質の夫々の発色シグナルを同強度とすることを特徴とする請求項1に記載の免疫クロマト分析方法。
  3.  検体に含まれる被検出物質を免疫反応により発色させ、その発色シグナルを確認することで、陰性または陽性を判定する請求項1または2に記載の方法を実施するための免疫クロマト分析装置であって、
     前記被検出物質が、前記陰性または陽性を判定すべき第1被検出物質と、前記第1被検出物質との比率を把握して前記陰性または陽性の判定の基準とする第2被検出物質とからなり、かつ、前記第2被検出物質に対する前記第1被検出物質の濃度、または第1被検出物質と第2被検出物質との総量に対する第1被検出物質の濃度が、特定の濃度を境界として陰性または陽性と判定されるものであり、
     前記判定方法が、それぞれの被検出物質を個別に発色させる手段を有し、
     両方の発色シグナルが同強度となる前記第1被検出物質の濃度を前記判定の境界に設定し、
     前記境界に対する前記第1被検出物質の発色シグナルの強度の強弱を確認することにより、前記第1被検出物質の陰性または陽性を判定する
    ように構成したことを特徴とする免疫クロマト分析装置。
  4.  請求項3に記載の免疫クロマト分析装置と、前記第1被検出物質および第2被検出物質の複数の濃度における発色シグナルの強度の度合いを確認できる発色シグナル確認装置と、を少なくとも備えてなる免疫クロマト分析キット。
  5.  前記第1被検出物質および第2被検出物質の複数の濃度における発色シグナルの強度の度合いを確認できる発色シグナル確認装置が色見本であることを特徴とする請求項4に記載の免疫クロマト分析キット。
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