JP2010038735A - 腹膜機能の評価方法および腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 腹膜機能を簡便に評価する方法および腹膜機能評価キットを提供することを目的とする。
【解決手段】 腹腔内から採取された検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度を解析して、当該濃度が200〜230ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類され、当該濃度が70〜100ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類され、当該濃度が200〜230ng/ml以下かつ130〜170ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類され、当該濃度が70〜100ng/ml以上かつ130〜170ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類される腹膜機能の評価方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 腹腔内から採取された検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度を解析して、当該濃度が200〜230ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類され、当該濃度が70〜100ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類され、当該濃度が200〜230ng/ml以下かつ130〜170ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類され、当該濃度が70〜100ng/ml以上かつ130〜170ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類される腹膜機能の評価方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、腹膜機能を簡便に評価するための方法および腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙に関する。
人工透析は、腎機能が低下もしくは喪失した患者に対し、本来腎臓が果たしている血液浄化作用を腎臓に代わって行う血液浄化療法であり、生体内から水を除去することによって体液の組成を一定に保つとともに体液中の尿素等の老廃物を除去することを主な目的としている。現在の人工透析には、主に血液透析療法と腹膜透析療法がある。
腹膜透析療法は腹膜で囲まれた腹腔内に浸透圧の高い透析溶液を貯留することによって生体内の余分な水と老廃物を取り除くことにより、血液を浄化する。即ち腹膜の微小血管から腹腔内に貯留した透析溶液中に水と老廃物が移動することによって透析される。この時の水や老廃物の移動は透析溶液と体液の間に生じる浸透圧格差によって起こる。透析溶液中の浸透圧調節物質はグルコースが用いられることが多く、腹膜透析に於ける除水のドライビングフォースの基である。しかし、腹腔内に非生理的な浸透圧の高い透析溶液を貯留するため、腹膜は傷害を受けやすい。さらに様々な要因が重なることにより、腹膜機能が低下したり、合併症である腹膜硬化症、腹膜線維症、硬化性腹膜炎もしくは被嚢性腹膜硬化症(EPS)を発症することがある。
腹膜透析療法は腹膜で囲まれた腹腔内に浸透圧の高い透析溶液を貯留することによって生体内の余分な水と老廃物を取り除くことにより、血液を浄化する。即ち腹膜の微小血管から腹腔内に貯留した透析溶液中に水と老廃物が移動することによって透析される。この時の水や老廃物の移動は透析溶液と体液の間に生じる浸透圧格差によって起こる。透析溶液中の浸透圧調節物質はグルコースが用いられることが多く、腹膜透析に於ける除水のドライビングフォースの基である。しかし、腹腔内に非生理的な浸透圧の高い透析溶液を貯留するため、腹膜は傷害を受けやすい。さらに様々な要因が重なることにより、腹膜機能が低下したり、合併症である腹膜硬化症、腹膜線維症、硬化性腹膜炎もしくは被嚢性腹膜硬化症(EPS)を発症することがある。
腹膜透析はわが国で開始されてから20年近く経つが、透析患者のほとんどが血液透析であり、腹膜透析患者数は全透析患者の3%にすぎない。腹膜透析は血液透析と異なり自宅で透析が行えるので、通院の頻度が少なくなるといったQOL(クオリティーオブライフ)に優れているだけでなく、循環系への影響や生体内部環境の変動が少ないといった利点を持っている。腹膜透析がこのような利点を持つのにもかかわらず広く普及しない理由として、先に述べたように腹膜機能が低下し、水分や老廃物の除去が困難もしくは出来なくなるため腹膜透析を断念せざるをえなくなるケースが少なからずあることがあげられる。さらには腹膜硬化症、硬化性腹膜炎、EPSといった合併症を発症すると、除水能の低下や溶質除去不全に陥るだけでなく、特にEPSの場合には、臨床的には食欲不振、悪心、嘔気、嘔吐、低栄養による痩せ、腹痛、下痢、便秘、腸管蠕動音低下など腸閉塞症状を示す。剖検時所見では、小腸は癒着して塊状になり、膠原性線維に富む肥厚した腹膜で包まれ、イレウス症状を呈し、致死率が非常に高い。EPSによる直接の死因は、被包により圧迫、癒着した腸管が循環障害、壊死をおこし、これが原因となって敗血症になるためと考えられる。EPSの原因として細菌や真菌感染による腹膜炎、可塑剤、particulate matter等の異物、透析溶液中のグルコースやその分解物であるグルコース分解産物、さらにはその反応産物であるメイラード反応後期生成物(AGE:Advanced glycation endoproduct)、透析液のpH、消毒剤などが考えられる。治療法としてはEPS発症初期ではステロイド剤の投与や被包した腹膜を剥離する外科的治療が有効であることもあるが、病状が進行した場合の効果的な治療法は無いため早期診断による予防が重要である。現在、EPSの診断法としてはイレウス症状等の臨床所見のほか、腹部の触診(塊状物の触知)がなされているが、客観的な基準ではない。さらにEPSが進行した場合でも上述のような典型的症状を起こさない場合も多く、診断が遅れることが多い。一部ではX線やCT検査、超音波検査などの画像解析による診断もなされているが、病状がある程度進行しないと判定できないといった欠点があり、あくまで補助判定の域を出ていない。
このように現在、腹膜硬化症、硬化性腹膜炎およびEPSの発症初期の確実な診断方法はない。病状が進行すると確実な治療法が無い為、EPSに至った患者の半数以上が死に至る。しかしこれら合併症を早期に診断できれば、初期療法としてステロイド剤で対処することが出来る。即ち腹膜機能を定期的に測定して、腹膜傷害を把握し、EPSの発症につながる重度の腹膜傷害に至る前に適切な処置を行えば、EPSの発症を未然に防止することが可能である。
このように現在、腹膜硬化症、硬化性腹膜炎およびEPSの発症初期の確実な診断方法はない。病状が進行すると確実な治療法が無い為、EPSに至った患者の半数以上が死に至る。しかしこれら合併症を早期に診断できれば、初期療法としてステロイド剤で対処することが出来る。即ち腹膜機能を定期的に測定して、腹膜傷害を把握し、EPSの発症につながる重度の腹膜傷害に至る前に適切な処置を行えば、EPSの発症を未然に防止することが可能である。
腹膜機能の評価は、従来、腹膜平衡試験(Peritoneal Equilibration Test;PET)もしくはoverall mass transfer-area coefficience(MTAC)法によって検査されることが多いが、これらの検査の操作は極めて複雑である。例えば、最もよく行われているPETは以下のように実施される。まず、8〜12時間腹腔に貯留した透析液を正確に20分間できれいに排液し、グルコース(通常は2.5%のことが多い)を含む腹膜透析液(通常2L)を腹腔に200mL/分の速度で注液し、注液直後、2時間後、4時間後に腹腔に貯留した透析液の一部を回収して、クレアチニン濃度とグルコース濃度を測定する。さらに、注液2時間後に血液を約5ml採取して血中のクレアチニン濃度の測定を行う。各時間の透析液中のクレアチニン濃度の値を血中クレアチニン濃度の値で除することにより、D/Pクレアチニン値を算出し、血液から腹腔内に貯留した透析液中へのクレアチニンの移動のしやすさを調べる。一方、各時間の透析液中のグルコース濃度の値を注液直後の透析液中のグルコース濃度の値で除することにより、D/D0グルコース値を算出し、腹腔内に貯留した透析液中のグルコース濃度の変化の割合を調べる。以上のように算出したD/Pクレアチニン値とD/D0グルコース値から、腹膜の透過性を解析して腹膜機能を評価する。PETの結果から、腹膜における小分子物質の透過性を判断することが出来、High、High average、Low average、Lowの四つのカテゴリーに分けて判定される。Highの方が腹膜における透過性が高いので、血中の老廃物除去能も高いが、除水能は低い。逆にLowの方が、腹膜における透過性が低いので、血中の老廃物の除去能は低いが、除水能は高い。一方、PETは採血が必要であり、患者に対して侵襲を伴う。さらに患者は病院に半日拘束され、かつ医療従事者の負担も多い。そのため病院の中にはPET時に看護師を増やしたり、また、患者を入院させて検査する施設も見受けられる。以上のようにPETは手間がかかるため、医療従事者もPET検査の必要性は認識しながらも、手間やスタッフ不足の問題から、PETが施行されていない医療施設も多いのが現状である。しかし、腹膜透析患者においては、腹膜機能の評価は極めて重要で、その結果は、患者に合った透析処方を設定するために活用される。最近では、腹膜機能の評価によって腹膜の傷害も推測できる為、腹膜透析から血液透析への移行の目安(腹膜透析の中止基準)として腹膜機能の検査結果が利用されることも多い。
以上のように腹膜機能を把握することは、臨床上極めて重要であるにもかかわらず、簡便な腹膜機能測定法がない為、必ずしも該当検査が行われていない。腹膜透析療法を安全に施行し、広く普及させるためには、腹膜機能を把握し、個々の患者にあった適切な透析処方を設定することに加え、腹膜機能から腹膜傷害の程度を推定して、腹膜硬化症、硬化性腹膜炎、およびEPSの発症を未然に防ぐために腹膜透析から血液透析に移行することが重要である。
Twardowski ZJ, et al. Peritoneal equilibration test. Perit Dial Bull 1987; 7: 138-47.
山下明泰. 「よくわかる腹膜透析の基礎」. 東京医学社. 1998年.
従って、本発明は腹膜機能を簡便に評価する方法を発明することを目的とする。
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は金属依存性の細胞外マトリックス分解酵素であり、生理条件下では発生、分化、血管新生、創傷治癒、生殖、組織のリモデリングなどに関与しているだけでなく、癌細胞の浸潤や転移、炎症細胞の組織浸潤や遊走、上皮系細胞の間葉細胞への転移など組織傷害を伴う様々な病態にも関与している。MMPの共通の性質として以下の点が挙げられる。1)活性中心に亜鉛を有し、補酵素としてカルシウムを必要とする。2)前駆体として産生、分泌され、細胞外で活性化される。3)アミノ酸配列に相同性を有する。4)生体内の細胞外マトリックスを分解する。5)組織メタロプロテアーゼインヒビター(TIMP)によって活性が阻害される。
本明細書では、MMPとはコラーゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群、ストロムライシン群、MT-MMP群、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAM)群、その他の6つのサブファミリーを含むこととする。コラーゲナーゼ群のMMPは、一般的なプロテアーゼでは分解されない間質系コラーゲンの初期分解を行い、MMP-1、MMP-8、MMP-13、MMP-18等が該当する。ゼラチナーゼ群のMMPは、コラーゲナーゼ等により初期分解で変性したコラーゲン断片のさらなる分解に関与しているだけでなく、マクロファージや線維芽細胞の組織浸潤や遊走時、血管新生時等における基底膜の分解に関与している。ゼラチナーゼ群に属するMMPには、MMP-2、MMP-9等がある。ストロムライシン群は他のMMPを活性化するだけでなく、プロテオグリカンのコア蛋白質やエラスチン等の様々な細胞外マトリックス成分の分解に関与している。MMP-3、MMP-10、MMP-19等がストロムライシン群に属する。MT-MMP群は、細胞膜貫通領域を含み、通常は細胞膜に存在する。この群には、MMP-14、MMP-15、MMP-16、MMP-17、MMP-24、MMP-25などがある。ADAM群はメタロプロテアーゼドメインとディスインテグリンドメインを有するプロテアーゼで、膜型と分泌型に大別され、40種以上が報告されている。TIMPはこれらMMPの分解活性を阻害する内在性の因子で、組織メタロプロテアーゼインヒビター1(TIMP-1)、組織メタロプロテアーゼインヒビター2(TIMP-2)、組織メタロプロテアーゼインヒビター3(TIMP-3)、組織メタロプロテアーゼインヒビター4(TIMP-4)等がある。
本発明者は、腹膜機能を簡便に測定する方法の開発に誠意取り組んだ結果、腹腔から回収した溶液に含まれるMMP濃度が腹膜機能と相関関係にあることを明らかにした。即ち、腹腔排液中のMMP濃度を測定することで、腹膜機能を簡便に測定することが可能である。
このような目的は、下記(1)から(10)の本発明により達成される。
(1) 腹腔内から採取された検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度を解析して、当該濃度が200〜230ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類されるものである腹膜機能の評価方法。
(2) 当該濃度が70〜100ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類される上記(1)に記載の腹膜機能の評価方法。
(3) 当該濃度が200〜230ng/ml以下かつ130〜170ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類される上記(1)または(2)に記載の腹膜機能の評価方法。
(4) 当該濃度が70〜100ng/ml以上かつ130〜170ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類される上記(2)または(3)に記載の腹膜機能の評価方法。
(5) 前記マトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度は、イムノクロマトグラフィー法を原理とするイムノクロマト試験紙により測定されるものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の腹膜機能の評価方法。
(1) 腹腔内から採取された検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度を解析して、当該濃度が200〜230ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類されるものである腹膜機能の評価方法。
(2) 当該濃度が70〜100ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類される上記(1)に記載の腹膜機能の評価方法。
(3) 当該濃度が200〜230ng/ml以下かつ130〜170ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類される上記(1)または(2)に記載の腹膜機能の評価方法。
(4) 当該濃度が70〜100ng/ml以上かつ130〜170ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類される上記(2)または(3)に記載の腹膜機能の評価方法。
(5) 前記マトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度は、イムノクロマトグラフィー法を原理とするイムノクロマト試験紙により測定されるものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の腹膜機能の評価方法。
(6) 腹膜機能の評価を行なうに際し使用されるイムノクロマトグラフィー法を原理とするイムノクロマト試験紙であって、該イムノクロマト試験紙は、検体を受容するサンプルパッド領域、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2と結合可能な標識化抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体を含有するコンジュゲートパッド領域、検体を展開するメンブレン本体、および該メンブレン本体上で前記マトリックスメタロプロテイナーゼ-2と結合可能な抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体が固定化され前記コンジュゲートパッド領域において前記標識化抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体と結合した前記マトリックスメタロプロテイナーゼ-2と結合可能とされたテストラインとを有し、さらに該テストラインにおいて結合された標識の量を判別可能とするコントロールラインとを有するものである腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(7) 前記コントロールラインは、前記標識化抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体と結合可能な抗体を固定化されてなる上記(6)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(8) 前記標識は濃度依存的に発色が強くなるものであり、前記コントロールラインは前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が200〜230ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであることにより、テストラインとコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインがコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類されるものである上記(6)または(7)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(9) 前記コントロールラインを第1のコントロールラインとし、さらに第2のコントロールラインを有し、該第2のコントロールラインは、前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が70〜100ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであって、テストラインと第2のコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインが前記第2のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類されるものである上記(8)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(10) 前記コントロールラインは、第3のコントロールラインを有し、該第3のコントロールラインは、前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が130〜170ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであって、テストラインと第3のコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインが前記第3のコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示し、かつ前記第1のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類され、テストラインが前記第3のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示し、かつ前記第2のコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類されるものである上記(9)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(7) 前記コントロールラインは、前記標識化抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体と結合可能な抗体を固定化されてなる上記(6)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(8) 前記標識は濃度依存的に発色が強くなるものであり、前記コントロールラインは前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が200〜230ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであることにより、テストラインとコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインがコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類されるものである上記(6)または(7)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(9) 前記コントロールラインを第1のコントロールラインとし、さらに第2のコントロールラインを有し、該第2のコントロールラインは、前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が70〜100ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであって、テストラインと第2のコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインが前記第2のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類されるものである上記(8)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
(10) 前記コントロールラインは、第3のコントロールラインを有し、該第3のコントロールラインは、前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が130〜170ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであって、テストラインと第3のコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインが前記第3のコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示し、かつ前記第1のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類され、テストラインが前記第3のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示し、かつ前記第2のコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類されるものである上記(9)に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
以上述べたごとく、本発明の腹膜機能を評価する方法によれば、腹腔排液中のMMPを測定することで、腹膜機能を簡便に測定することが可能であり、患者もよび医療従事者の負担を軽減すると共に、医療経済性に寄与できるものである。
以下に、本発明の好適例について詳細に説明する。
本発明は腹腔内から回収した排液を検体として採取し、次いで該検体中に存在する腹膜機能を反映して増減する指標物質を検出し、当該指標物質の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量を測定することにより、腹膜機能を簡便に評価することを特徴とする。
本発明者は腹腔内から回収した排液に対して調査、研究を重ねた結果、腹膜機能の変化に相関して検体中の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量が変化するタンパク質が存在することを発見した。したがって腹腔内から回収した排液中からこのような物質、すなわち指標物質を検出し、濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量を調べることにより、腹膜機能を簡便に評価することができる。このような指標物質の一例としては腹膜組織の細胞外マトリックスの分解、破壊もしくは再構築に関与している生体由来タンパク質が好ましい。指標物質の例としてMMPが挙げられる。腹膜機能の変化は、細胞外マトリックスを分解しながら形成される微小血管の新生や、もしくは腹膜組織の細胞外マトリックスの破壊と新しい細胞外マトリックスの産生が行われることにより、腹膜組織の再構築が行われるためおきると考えられる。このため、腹膜組織の細胞外マトリックスの破壊もしくは再構築に関与している物質を指標物質とすると、腹膜機能を簡単に検査することができ、腹膜傷害を評価することが可能である。その中でも特に、腹膜機能の変化に相関して、指標物質の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量が変化することが好ましい。このような物質を指標物質として用いると、腹膜機能を正確に検査することができる。
本発明は腹腔内から回収した排液を検体として採取し、次いで該検体中に存在する腹膜機能を反映して増減する指標物質を検出し、当該指標物質の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量を測定することにより、腹膜機能を簡便に評価することを特徴とする。
本発明者は腹腔内から回収した排液に対して調査、研究を重ねた結果、腹膜機能の変化に相関して検体中の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量が変化するタンパク質が存在することを発見した。したがって腹腔内から回収した排液中からこのような物質、すなわち指標物質を検出し、濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量を調べることにより、腹膜機能を簡便に評価することができる。このような指標物質の一例としては腹膜組織の細胞外マトリックスの分解、破壊もしくは再構築に関与している生体由来タンパク質が好ましい。指標物質の例としてMMPが挙げられる。腹膜機能の変化は、細胞外マトリックスを分解しながら形成される微小血管の新生や、もしくは腹膜組織の細胞外マトリックスの破壊と新しい細胞外マトリックスの産生が行われることにより、腹膜組織の再構築が行われるためおきると考えられる。このため、腹膜組織の細胞外マトリックスの破壊もしくは再構築に関与している物質を指標物質とすると、腹膜機能を簡単に検査することができ、腹膜傷害を評価することが可能である。その中でも特に、腹膜機能の変化に相関して、指標物質の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量が変化することが好ましい。このような物質を指標物質として用いると、腹膜機能を正確に検査することができる。
以上のような観点から総合して考慮すると、指標物質として特にMMPが好ましい。我々は、MMPが、腹膜機能と相関して検体中の濃度もしくは絶対量あるいは活性量が変化することを見出した。したがって、指標物質としてMMPを用いることによって腹膜機能の検査を簡単に行うことができる。
腹膜機能の指標となるMMPとしては、例えば、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、ADAM等が挙げられる。
本発明に用いる検体は、特に限定されないが、例えば、腹膜透析時の透析排液、腹膜平衡試験(PET)時の排液、腹腔内洗浄液、腹腔に溶液を注液した後排液した液、腹水等、腹腔内から得られた液体であれば特に限定しない。望ましくは2.5%グルコースを含有する腹膜透析液2Lを腹腔内に4時間貯留した液が好適であるが、腹腔に貯留せずに注液直後に検体を採取しても構わない。また腹腔内に貯留する溶液はグルコースを含んでいると、その浸透圧によって指標物質を貯留液中に誘導しやすいが、グルコースを含まない溶液、例えば、生理食塩水等でも構わない。本発明者は、このようにして採取した検体中の指標物質が特に腹膜機能と相関することを発見した。したがって、このようなものを検体として用いると、腹膜機能の測定が容易になる。
腹膜機能の指標となるMMPとしては、例えば、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、MMP-13、ADAM等が挙げられる。
本発明に用いる検体は、特に限定されないが、例えば、腹膜透析時の透析排液、腹膜平衡試験(PET)時の排液、腹腔内洗浄液、腹腔に溶液を注液した後排液した液、腹水等、腹腔内から得られた液体であれば特に限定しない。望ましくは2.5%グルコースを含有する腹膜透析液2Lを腹腔内に4時間貯留した液が好適であるが、腹腔に貯留せずに注液直後に検体を採取しても構わない。また腹腔内に貯留する溶液はグルコースを含んでいると、その浸透圧によって指標物質を貯留液中に誘導しやすいが、グルコースを含まない溶液、例えば、生理食塩水等でも構わない。本発明者は、このようにして採取した検体中の指標物質が特に腹膜機能と相関することを発見した。したがって、このようなものを検体として用いると、腹膜機能の測定が容易になる。
腹膜透析を施行している患者の場合、腹膜透析のため腹部に留置されたカテーテルを介して検体を採取することが好ましい。さらには腹膜透析の排液バッグに設けられたサンプリングチューブから採取する方法、もしくは排液バッグに連通するチューブの一部を融着により封止、切断して、かかるチューブ内あるいは排液バッグ内の排液を採取する方法などが挙げられる。排液バッグは、腹膜透析を行っている患者の腹部に接続されたカテーテルから分離され、流路が遮蔽されるので、検体を採取するときに、当該患者の体内に細菌等が進入することがなく、感染症等の誘発を防止することができる。
採取した検体から、指標物質を検出する際には、例えば、電気泳動法、ザイモグラフィー法、もしくはアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、イムノクロマトグラフィー等を用いたクロマトグラフィー法、マススペクトルを測定する方法、あるいは放射性同位元素標識免疫測定法(RIA法:Radio Immuno Assay)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA法:Electro ChemiLuminescence Immuno Assay)、酵素免疫測定法(ELISA法:Enzyme linked immmo-sorbent Assay)や免疫比濁法、ウエスタンブロット法、免疫沈降法等の各種免疫学的手法および活性測定法などが挙げられる。
指標物質の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量と、PETの結果との相関関係を予め調べておけば、指標物質の解析結果と比較することにより、容易に腹膜機能を判定することが可能である。
採取した検体から、指標物質を検出する際には、例えば、電気泳動法、ザイモグラフィー法、もしくはアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、イムノクロマトグラフィー等を用いたクロマトグラフィー法、マススペクトルを測定する方法、あるいは放射性同位元素標識免疫測定法(RIA法:Radio Immuno Assay)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA法:Electro ChemiLuminescence Immuno Assay)、酵素免疫測定法(ELISA法:Enzyme linked immmo-sorbent Assay)や免疫比濁法、ウエスタンブロット法、免疫沈降法等の各種免疫学的手法および活性測定法などが挙げられる。
指標物質の濃度もしくは絶対量あるいは相対量または活性量と、PETの結果との相関関係を予め調べておけば、指標物質の解析結果と比較することにより、容易に腹膜機能を判定することが可能である。
以下に、指標物質の解析による腹膜機能の判定方法の例を挙げる。
まず、ELISA法による指標物質の解析方法について説明する。ELISA法は、少ない検体の量で、指標物質の濃度を正確に調べることができるが、手間と時間がかかり、ELISAプレートリーダー等の特殊装置が必要といった欠点がある。ELISAキットが、GEヘルスケア社やR&D SYSTEMS INC社から市販されているので、これらを活用すると便利である。予め指標物質の濃度とPETの結果の相関を調べておき、PETの各カテゴリーに対する指標物質の境界閾値を設定しておけば、ELISAの解析結果からPETの各カテゴリーを容易に判定することが出来る。
まず、ELISA法による指標物質の解析方法について説明する。ELISA法は、少ない検体の量で、指標物質の濃度を正確に調べることができるが、手間と時間がかかり、ELISAプレートリーダー等の特殊装置が必要といった欠点がある。ELISAキットが、GEヘルスケア社やR&D SYSTEMS INC社から市販されているので、これらを活用すると便利である。予め指標物質の濃度とPETの結果の相関を調べておき、PETの各カテゴリーに対する指標物質の境界閾値を設定しておけば、ELISAの解析結果からPETの各カテゴリーを容易に判定することが出来る。
次にザイモグラフィー法による指標物質の解析方法について述べる。ザイモグラフィー法は、少ない検体の量で、安価に、検体中の指標物質の活性量を調べることができるが、操作が煩雑で時間がかかるといった欠点がある。ザイモグラフィー法で指標物質であるプロテイナーゼもしくはその阻害剤の検出を行うと、指標物質以外の不純物が検出されにくいので、より正確に指標物質を検出することができる。ザイモグラフィー法に用いられる電気泳動用ゲルは、ポリアクリルアミドとSDS等の界面活性剤を含有していることが望ましく、ポリアクリルアミドの含有量は5〜15 W/V%程度であることがより好ましく、界面活性剤の含有量は、0.01〜5 W/V%程度であることがより好ましい。また、ザイモグラフィー法に用いられる電気泳動用ゲルは、プロテイナーゼの検出をより好適に行うため、例えば、ゼラチン、カゼイン、エラスチン、フィブリンなどの基質を含有させると、ゲル中で酵素反応させて基質を分解することにより、指標物質の活性量を可視化できる。かかる基質の濃度は特に限定されないが、0.01〜1 W/V%程度が好ましく、0.05〜0.5 W/V%程度がより好ましい。基質の濃度をこの範囲とすると、指標物質の解析をより好適に行うことができる。また、予め指標物質の活性量とPETの結果との相関を調べておき、PETの各カテゴリーの境界閾値に対応する標準物質を設定し、検体と同時に解析すれば、これらの解析結果を比較することで、PETの各カテゴリーを容易に判定することが出来る。
次にイムノクロマトグラフィー法による指標物質の検出方法および検出方法に用いる試験紙について図1を参照して説明する。イムノクロマトグラフィー法は、少ない検体の量で、簡易にかつ短時間で指標物質を調べることができる。また、特別な装置も必要としない。この方法は、通常イムノクロマト試験紙上で解析される。本発明のイムノクロマト試験紙は、サンプルパッド1、コンジュゲートパッド2、メンブレン本体5、吸収パッド6からなる主用構成部材が順に接して位置する構造をとることが望ましく、主要構成部材を収容するケース(ハウジング)は必ずしも必要としない。サンプルパッド1は、被検物質を含む検体を滴下する部位であり、保水力があり、検体と化学反応しない素材で構成されることが望ましい。コンジュゲートパッド2は、多孔質材質の繊維性フィルターから構成することが好ましいが、この限りではない。メンブレン本体5は、親水性、多孔質であることが好ましく、例えばニトロセルロース膜もしくは酢酸セルロース膜、ナイロン膜あるいは親水処理した濾紙やガラス繊維濾紙が挙げられるが、これらに限定されない。メンブレンの素材はミリポア社やニップンテクノクラスタ社、ワットマン社等から購入すると便利である。本発明で使用する展開溶媒としては、pHが4〜10の溶液などが望ましく、生理食塩水、燐酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液などが好ましいが、これらに限定されるものではない。また本発明で使用する抗体は、指標物質を特異的に認識できれば、抗体を産生させる生物種やイムノグロブリンのタイプは限定しないが、例えばマウスIgGモノクローナル抗体が挙げられる。抗体は自作しても構わないが、シグマ、サンタクルズバイオテクノロジーINC、アブカム、EPITOMICS INC、ONCOGENE RESARCH PRODUCTS、R&D SYSTEMS INC、ABGENT CORPもしくは第一ファインケミカル株式会社から購入することも出来る。抗体は、ペプシンもしくはパパイン等の酵素で処理した後、ゲルロカクロマトグラフィー法にてFab分画を精製して使用することが好ましいがこの限りではない。解析は通常以下のように行われる。まず、検体をイムノクロマト試験紙上の一端に位置するサンプルパッド上に滴下する。サンプルパッド1上の検体は、毛細管現象で拡散し、サンプルパッドに隣接するコンジュゲートパッド2に浸透する。検体中の指標物質は、予めコンジュゲートパッド2に塗布してある色素標識抗体と抗原抗体反応により、複合体を形成する。抗体を標識する色素は、金コロイドもしくはラテックス等が好ましいが、これらに限定されない。次に、指標物質/色素標識抗体複合体もしくは指標物質と未結合の色素標識抗体複合体は、毛細管現象により、コンジュゲートパッド2に隣接したメンブレン5上に移動する。指標物質/色素標識抗体複合体が、メンブレン上を吸収パッド6に向かって移動する時、予めメンブレン5上の所定の位置に固定しておいた指標物質特異的抗体でトラップされることにより、指標物質/色素標識抗体複合体が濃縮されて、標識色素をテストライン3として目視で検出することが可能となる。即ちテストライン3の濃淡を判断することで指標物質を半定量的に解析することが出来る。一方、メンブレン5上には指標物質特異的抗体の固定部(テストライン3)よりも吸収バッド6寄りに、コントロールライン4として色素標識抗体特異抗体を固定しておく。色素標識抗体特異抗体は例えば抗マウスIgG抗体が挙げられる。指標物質と結合しなかった色素標識抗体は、色素標識抗体特異抗体にトラップされ、コントロールライン4として目視することが出来、イムノクロマトグラフィーの成功を担保することが可能である。また、コントロールライン4の発色強度を、PETの各カテゴリーの境界閾値の被験者を評価した時に得られるテストラインの濃さと同レベルに設定すれば、解析時に得られるテストライン3に現れたバンドの色の濃さ(発色の強度)をコントロールライン4の色の濃さ(発色の強度)と比較することにより、PETのカテゴリーを容易に判定することが出来る。したがって、PETは4つのカテゴリーに判定されるので、コントロールラインは必要に応じて1〜3本設定することが望ましい。もしくはテストラインを、PETの各カテゴリーの境界値以上で検出できるように設定することにより、PETのカテゴリーを容易に判定することが出来る。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実験1) 腹膜平衡試験(PET)
腹膜機能をPETで評価した。腹膜透析患者に対し、8〜12時間腹腔に貯留した透析液をきれいに排液し、2.5%グルコースを含む腹膜透析液2Lを腹腔に注液し、注液直後、2時間後、4時間後に腹腔に貯留した透析液の一部を回収して、これを検体(自治医科大学内科学講座より分与)とし、クレアチニン濃度とグルコース濃度を測定した。一方、注液2時間目に血液を採取して血中のクレアチニン濃度を測定した。各時間の透析液中のクレアチニン濃度の値を血清クレアチニン濃度の値で除することにより、D/Pクレアチニン値を算出し、血液から腹腔内に貯留した透析液中へのクレアチニンの移動のしやすさを調べた。一方、各時間の透析液中のグルコース濃度の値を注液直後の透析液中のグルコース濃度の値で除することにより、D/D0グルコース値を算出し、腹腔内に貯留した透析液中のグルコース濃度の変化の割合を調べた。以上のように算出したD/Pクレアチニン値とD/D0グルコース値を以下の指標物質の濃度もしくは活性量と比較した。
実験2)透析排液中からの指標物質の濃度の解析
指標物質であるMMP-2の濃度を解析するために、上記実験1の解析で得られた4時間目の透析排液を検体として、ELISA法で指標物質を解析した。MMP-2の濃度はGEヘルスケア社の(h)MMP-2 ELISA systemで、ヒアルロン酸の濃度は生化学バイオビジネス社のヒアルロン酸測定キットで解析した。得られた指標物質の濃度をPETの結果とスピアマンの相関係数検定で統計解析した結果、腹腔から回収して得られた排液中の指標物質の濃度と腹膜機能の相関関係を示した表である表1に示すとおり、MMPはD/P クレアチニンおよびD/D0 グルコースと高い相関を示した。以上の結果から、排液中のMMPの濃度を調べるだけで、腹膜機能を評価できることがわかった。一方、腹膜傷害の指標としてしばしば検査されているヒアルロン酸はD/P クレアチニンおよびD/D0 グルコースと相関を示さなかった為、腹膜機能の指標としては適していないと判断された。
実験1) 腹膜平衡試験(PET)
腹膜機能をPETで評価した。腹膜透析患者に対し、8〜12時間腹腔に貯留した透析液をきれいに排液し、2.5%グルコースを含む腹膜透析液2Lを腹腔に注液し、注液直後、2時間後、4時間後に腹腔に貯留した透析液の一部を回収して、これを検体(自治医科大学内科学講座より分与)とし、クレアチニン濃度とグルコース濃度を測定した。一方、注液2時間目に血液を採取して血中のクレアチニン濃度を測定した。各時間の透析液中のクレアチニン濃度の値を血清クレアチニン濃度の値で除することにより、D/Pクレアチニン値を算出し、血液から腹腔内に貯留した透析液中へのクレアチニンの移動のしやすさを調べた。一方、各時間の透析液中のグルコース濃度の値を注液直後の透析液中のグルコース濃度の値で除することにより、D/D0グルコース値を算出し、腹腔内に貯留した透析液中のグルコース濃度の変化の割合を調べた。以上のように算出したD/Pクレアチニン値とD/D0グルコース値を以下の指標物質の濃度もしくは活性量と比較した。
実験2)透析排液中からの指標物質の濃度の解析
指標物質であるMMP-2の濃度を解析するために、上記実験1の解析で得られた4時間目の透析排液を検体として、ELISA法で指標物質を解析した。MMP-2の濃度はGEヘルスケア社の(h)MMP-2 ELISA systemで、ヒアルロン酸の濃度は生化学バイオビジネス社のヒアルロン酸測定キットで解析した。得られた指標物質の濃度をPETの結果とスピアマンの相関係数検定で統計解析した結果、腹腔から回収して得られた排液中の指標物質の濃度と腹膜機能の相関関係を示した表である表1に示すとおり、MMPはD/P クレアチニンおよびD/D0 グルコースと高い相関を示した。以上の結果から、排液中のMMPの濃度を調べるだけで、腹膜機能を評価できることがわかった。一方、腹膜傷害の指標としてしばしば検査されているヒアルロン酸はD/P クレアチニンおよびD/D0 グルコースと相関を示さなかった為、腹膜機能の指標としては適していないと判断された。
実験3)指標物質の解析結果から腹膜機能の判定
指標物質のひとつであるMMP-2の濃度から腹膜機能を判定するため、上記2で得られたMMP-2の濃度とPETのD/Pクレアチニン値をROC解析した。各PETのカテゴリーに対するMMP-2濃度の範囲をPETの各カテゴリーに対する腹腔から回収して得られた排液中の指標物質であるMMP-2の濃度の範囲を示した表である表2に示した。以上の設定により、PETのHighカテゴリーを感度0.81、特異度0.79で鑑別することができ、PETのLowカテゴリーを感度0.72、特異度0.89で鑑別することができた。
指標物質のひとつであるMMP-2の濃度から腹膜機能を判定するため、上記2で得られたMMP-2の濃度とPETのD/Pクレアチニン値をROC解析した。各PETのカテゴリーに対するMMP-2濃度の範囲をPETの各カテゴリーに対する腹腔から回収して得られた排液中の指標物質であるMMP-2の濃度の範囲を示した表である表2に示した。以上の設定により、PETのHighカテゴリーを感度0.81、特異度0.79で鑑別することができ、PETのLowカテゴリーを感度0.72、特異度0.89で鑑別することができた。
実験4)透析排液中からの指標物質の活性量の解析による腹膜機能評価
指標物質のひとつであるMMP-2の活性量を解析するために、上記実験1の解析で得られた4時間目の透析排液を検体として、ゼラチンザイモグラフィー法で指標物質を解析した。
まず、上記実験1の解析で得られた透析排液から分取した検体、および予め濃度がわかっている85ng/ml、150ng/ml、215ng/mlのMMP-2標準検体を、常温(20℃)の電気泳動用緩衝液(0.09Mトリス塩酸(pH6.8)/3%SDS/10%グリセロール/ブロムフェノールブルー)で100倍希釈した。次に、この電気泳動用緩衝液で希釈した透析排液をピペットマンで10μL 採取し、これをポリアクリルアミドゲル(14%ゼラチン/0.1%SDS/8%ポリアクリルアミド)にて電気泳動を行った。電気泳動用緩衝液(ランニングバッファー)は、0.025Mトリス塩酸/0.19Mグリシン/0.001%SDSの組成で調製した。電気泳動終了後、50mMトリス塩酸(pH7.5)/0.1M塩化ナトリウム/2.5%Triton X-100溶液(リナチュレーションバッファー)にゲルを浸し、45回/分で1.5時間振盪した。次に、このゲルを蒸留水で3回洗浄し、続いて50mMトリス塩酸(pH7.5)/10mM塩化カルシウム溶液(リアクションバッファー)に浸し、37℃で18時間反応させた。反応終了後、このゲルを蒸留水で洗浄したのち、染色液(1.25%クマシーブリリアントブルーR-250 /45%エタノール/10%酢酸水溶液)に20分間浸して染色を行った。染色終了後、洗浄液(25%エタノール/8%酢酸水溶液)でゲルを洗浄し、最後に蒸留水でゲルを洗浄した。これにより、指標物質であるMMP-2のゼラチン分解活性がゲル(ザイモグラフィー)内で未染色バンドとして可視化された(図2、レーン1:85ng/ml MMP-2標準検体、レーン2:150ng/ml MMP-2標準検体、レーン3:215ng/ml MMP-2標準検体、レーン4:被験者から得た検体)。
このゲル上のバンドの画像をスキャナーにとりこみ、NIHイメージソフト(NIH image quantitation program, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA)でバンドを定量した。MMP-2標準検体の濃度とバンドの濃さ(相対活性量)から検量線を作成し、被検者から得た検体のMMP-2のバンドの濃さ(相対活性量)と比較することにより、MMP-2濃度を算出した。得られたMMP-2濃度を、上記1で得られたPETの結果とスピアマンの相関係数検定で解析した結果、D/P クレアチニンとはp<0.001、r = 0.69で、D/D0 グルコースとはp<0.001、r = -0.59で高い相関が認められた。以上の結果から、腹腔からの排液中のMMP-2の活性量は腹膜機能と高い相関を示すことが明らかとなり、排液中のMMP-2の活性量を調べるだけで、腹膜機能を測定できることがわかった。また、MMP-2標準検体として、PETの4つのカテゴリーの境界閾値に対応するMMP-2濃度の検体を用いると、腹膜機能のカテゴリーを容易に判別することが出来る。即ち、85ng/ml MMP-2はPETのLowとLow average、150ng/ml MMP-2はPETのLow averageとHigh average、215ng/ml MMP-2はPETのHigh averageとHighの境界閾値に相当し、これらMMP-2標準検体のバンドの濃さと被検者から得た検体のバンドの濃さを比較するだけで、検体中のMMP-2の濃度を算出しなくても腹膜機能を判定することが出来た。以上の解析から、この被験者の腹膜機能はLow averageであると判定された。
指標物質のひとつであるMMP-2の活性量を解析するために、上記実験1の解析で得られた4時間目の透析排液を検体として、ゼラチンザイモグラフィー法で指標物質を解析した。
まず、上記実験1の解析で得られた透析排液から分取した検体、および予め濃度がわかっている85ng/ml、150ng/ml、215ng/mlのMMP-2標準検体を、常温(20℃)の電気泳動用緩衝液(0.09Mトリス塩酸(pH6.8)/3%SDS/10%グリセロール/ブロムフェノールブルー)で100倍希釈した。次に、この電気泳動用緩衝液で希釈した透析排液をピペットマンで10μL 採取し、これをポリアクリルアミドゲル(14%ゼラチン/0.1%SDS/8%ポリアクリルアミド)にて電気泳動を行った。電気泳動用緩衝液(ランニングバッファー)は、0.025Mトリス塩酸/0.19Mグリシン/0.001%SDSの組成で調製した。電気泳動終了後、50mMトリス塩酸(pH7.5)/0.1M塩化ナトリウム/2.5%Triton X-100溶液(リナチュレーションバッファー)にゲルを浸し、45回/分で1.5時間振盪した。次に、このゲルを蒸留水で3回洗浄し、続いて50mMトリス塩酸(pH7.5)/10mM塩化カルシウム溶液(リアクションバッファー)に浸し、37℃で18時間反応させた。反応終了後、このゲルを蒸留水で洗浄したのち、染色液(1.25%クマシーブリリアントブルーR-250 /45%エタノール/10%酢酸水溶液)に20分間浸して染色を行った。染色終了後、洗浄液(25%エタノール/8%酢酸水溶液)でゲルを洗浄し、最後に蒸留水でゲルを洗浄した。これにより、指標物質であるMMP-2のゼラチン分解活性がゲル(ザイモグラフィー)内で未染色バンドとして可視化された(図2、レーン1:85ng/ml MMP-2標準検体、レーン2:150ng/ml MMP-2標準検体、レーン3:215ng/ml MMP-2標準検体、レーン4:被験者から得た検体)。
このゲル上のバンドの画像をスキャナーにとりこみ、NIHイメージソフト(NIH image quantitation program, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA)でバンドを定量した。MMP-2標準検体の濃度とバンドの濃さ(相対活性量)から検量線を作成し、被検者から得た検体のMMP-2のバンドの濃さ(相対活性量)と比較することにより、MMP-2濃度を算出した。得られたMMP-2濃度を、上記1で得られたPETの結果とスピアマンの相関係数検定で解析した結果、D/P クレアチニンとはp<0.001、r = 0.69で、D/D0 グルコースとはp<0.001、r = -0.59で高い相関が認められた。以上の結果から、腹腔からの排液中のMMP-2の活性量は腹膜機能と高い相関を示すことが明らかとなり、排液中のMMP-2の活性量を調べるだけで、腹膜機能を測定できることがわかった。また、MMP-2標準検体として、PETの4つのカテゴリーの境界閾値に対応するMMP-2濃度の検体を用いると、腹膜機能のカテゴリーを容易に判別することが出来る。即ち、85ng/ml MMP-2はPETのLowとLow average、150ng/ml MMP-2はPETのLow averageとHigh average、215ng/ml MMP-2はPETのHigh averageとHighの境界閾値に相当し、これらMMP-2標準検体のバンドの濃さと被検者から得た検体のバンドの濃さを比較するだけで、検体中のMMP-2の濃度を算出しなくても腹膜機能を判定することが出来た。以上の解析から、この被験者の腹膜機能はLow averageであると判定された。
実施例1)
イムノクロマト試験紙を用いて透析液排液中からの指標物質の濃度の解析による腹膜機能評価を行なった。
イムノクロマトグラフィー法で使用するイムノクロマト試験紙は、図1に示したように作成した。まず、イムノクロマト試験紙は、サンプルパッド1、コンジュゲートパッド2、メンブレン本体5、吸収パッド6からなる主要構成部材が順に接して位置するように設計した。また本試験紙で使用する抗体は、第一ファインケミカル株式会社もしくはシグマからモノクローナル抗体を購入して使用した。メンブレンはミリポアから購入したニトロセルロース紙を使用した。解析は以下のように行った。まず、検体50マイクロリットルをイムノクロマト試験紙上の一端に位置するサンプルパッド上に滴下した。サンプルパッド上の検体は、毛細管現象で拡散し、サンプルパッドに隣接するコンジュゲートパッドに移動させた。検体中の指標物質は、予めコンジュゲートパッドに塗布しておいた金コロイド標識抗体と抗原抗体反応により、複合体を形成させた。次に、指標物質/色素標識抗体複合体もしくは指標物質と未結合の色素標識抗体複合体は、毛細管現象により、コンジュゲートパッドに隣接したメンブレン上に移動させた。指標物質/色素標識抗体複合体が、メンブレン上を吸収パッドに向かって移動する時、予めメンブレン上の所定の位置に固定しておいた指標物質特異的抗体(テストライン3)でトラップされることにより、指標物質/色素標識抗体複合体が濃縮されて、標識色素をテストラインとして目視で検出することが可能となった。テストラインの濃淡を判断することで指標物質を半定量的に解析することが出来た。一方、メンブレン上には指標物質特異的抗体の固定部よりも吸収バッド寄りに、コントロールライン4として色素標識抗体特異抗体である抗マウスIgG抗体を固定しておいた。指標物質と結合しなかった色素標識抗体は、色素標識抗体特異抗体にトラップされ、コントロールラインとして目視することが出来、イムノクロマトグラフィーの成功を担保することが可能となった。また、コントロールライン4(第1のコントロールライン)の発色強度を、215ng/ml MMPの解析時に得られるテストラインの発色強度と同レベルの発色強度を示すように設定し、解析時に得られたテストラインの濃さをコントロールラインと比較することにより、PETのHighカテゴリーを容易に判定することが可能となった。以上、イムノクロマト試験紙に検体を滴下してから15分以内で腹膜機能を評価することが出来た。
イムノクロマト試験紙を用いて透析液排液中からの指標物質の濃度の解析による腹膜機能評価を行なった。
イムノクロマトグラフィー法で使用するイムノクロマト試験紙は、図1に示したように作成した。まず、イムノクロマト試験紙は、サンプルパッド1、コンジュゲートパッド2、メンブレン本体5、吸収パッド6からなる主要構成部材が順に接して位置するように設計した。また本試験紙で使用する抗体は、第一ファインケミカル株式会社もしくはシグマからモノクローナル抗体を購入して使用した。メンブレンはミリポアから購入したニトロセルロース紙を使用した。解析は以下のように行った。まず、検体50マイクロリットルをイムノクロマト試験紙上の一端に位置するサンプルパッド上に滴下した。サンプルパッド上の検体は、毛細管現象で拡散し、サンプルパッドに隣接するコンジュゲートパッドに移動させた。検体中の指標物質は、予めコンジュゲートパッドに塗布しておいた金コロイド標識抗体と抗原抗体反応により、複合体を形成させた。次に、指標物質/色素標識抗体複合体もしくは指標物質と未結合の色素標識抗体複合体は、毛細管現象により、コンジュゲートパッドに隣接したメンブレン上に移動させた。指標物質/色素標識抗体複合体が、メンブレン上を吸収パッドに向かって移動する時、予めメンブレン上の所定の位置に固定しておいた指標物質特異的抗体(テストライン3)でトラップされることにより、指標物質/色素標識抗体複合体が濃縮されて、標識色素をテストラインとして目視で検出することが可能となった。テストラインの濃淡を判断することで指標物質を半定量的に解析することが出来た。一方、メンブレン上には指標物質特異的抗体の固定部よりも吸収バッド寄りに、コントロールライン4として色素標識抗体特異抗体である抗マウスIgG抗体を固定しておいた。指標物質と結合しなかった色素標識抗体は、色素標識抗体特異抗体にトラップされ、コントロールラインとして目視することが出来、イムノクロマトグラフィーの成功を担保することが可能となった。また、コントロールライン4(第1のコントロールライン)の発色強度を、215ng/ml MMPの解析時に得られるテストラインの発色強度と同レベルの発色強度を示すように設定し、解析時に得られたテストラインの濃さをコントロールラインと比較することにより、PETのHighカテゴリーを容易に判定することが可能となった。以上、イムノクロマト試験紙に検体を滴下してから15分以内で腹膜機能を評価することが出来た。
また、同様にして、図1に示したように第1〜3の3本のコントロールラインを以下のように設けたイムノクロマト試験紙を作製した。すなわち、第2のコントロールラインの発色強度を、85ng/ml MMPの解析時に得られるテストラインの発色強度と同レベルの発色強度を示すように設定し、さらに第3のコントロールラインの発色強度を、150ng/ml MMPの解析時に得られるテストラインの発色強度と同レベルの発色強度を示すように設定して第2および第3のコントロールラインを設けることにより、PETのLowカテゴリー、Low averageカテゴリー High averageカテゴリーを容易に判定することが可能となった。
本発明によれば、検体を採取した被験者の腹膜機能を容易に検査することができる。しかも本発明によれば、指標物質の検出を行うだけでよいので、かかる検査を簡単に行うことができ、その精度も高い。被験者が腹膜透析患者の場合、検体として腹膜透析における腹膜透析排液や腹腔洗浄液を用いれば、指標物質を採取するために特別な操作を行う必要がなく、しかも、検体を採取する被験者に対して特別の処置を施す必要がないので、被験者への侵襲もない。特に、腹膜透析の透析排液を検体とすれば、検体の採取が非常に容易となり、被験者等が自ら、自宅等で検体を採取することも可能である。また、検体として、腹膜透析の排液容器に回収された排液をサンプリングすれば、被験者に感染症等を引き起こす恐れもない。さらにはイムノクロマトグラフィー法により指標物質を検出すれば、腹膜機能をより簡易かつ短時間で測定可能となり、被験者および医療従事者の負担を著しく軽減することが可能である。
以上のような利点を本発明は有しているので、本発明を用いることにより、腹膜透析の安全性を高めることができ、腎機能が低下もしくは喪失した患者に対して計り知れない利益をもたらすことができる。
Claims (10)
- 腹腔内から採取された検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度を解析して、当該濃度が200〜230ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類されるものであることを特徴とする腹膜機能の評価方法。
- 当該濃度が70〜100ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類される請求項1に記載の腹膜機能の評価方法。
- 当該濃度が200〜230ng/ml以下かつ130〜170ng/ml以上のときに腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類される請求項1または2に記載の腹膜機能の評価方法。
- 当該濃度が70〜100ng/ml以上かつ130〜170ng/ml以下のときに腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類される請求項2または3に記載の腹膜機能の評価方法。
- 前記マトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度は、イムノクロマトグラフィー法を原理とするイムノクロマト試験紙により測定されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の腹膜機能の評価方法。
- 腹膜機能の評価を行なうに際し使用されるイムノクロマトグラフィー法を原理とするイムノクロマト試験紙であって、該イムノクロマト試験紙は、検体を受容するサンプルパッド領域、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2と結合可能な標識化抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体を含有するコンジュゲートパッド領域、検体を展開するメンブレン本体、および該メンブレン本体上で前記マトリックスメタロプロテイナーゼ-2と結合可能な抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体が固定化され前記コンジュゲートパッド領域において前記標識化抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体と結合した前記マトリックスメタロプロテイナーゼ-2と結合可能とされたテストラインとを有し、さらに該テストラインにおいて結合された標識の量を判別可能とするコントロールラインとを有するものであることを特徴とする腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
- 前記コントロールラインは、前記標識化抗マトリックスメタロプロテイナーゼ-2抗体と結合可能な抗体を固定化されてなる請求項6に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
- 前記標識は濃度依存的に発色が強くなるものであり、前記コントロールラインは前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が200〜230ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであることにより、テストラインとコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインがコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「High」カテゴリーに分類されるものである請求項6または7に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
- 前記コントロールラインを第1のコントロールラインとし、さらに第2のコントロールラインを有し、該第2のコントロールラインは、前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が70〜100ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであって、テストラインと第2のコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインが前記第2のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「Low」カテゴリーに分類されるものである請求項8に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
- 前記コントロールラインは、第3のコントロールラインを有し、該第3のコントロールラインは、前記検体に含まれるマトリックスメタロプロテイナーゼ-2の濃度が130〜170ng/mlの時のテストラインと同程度の発色強度を示すものであって、テストラインと第3のコントロールラインの発色の強さを比較して、テストラインが前記第3のコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示し、かつ前記第1のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「High average」カテゴリーに分類され、テストラインが前記第3のコントロールラインと同程度以下の発色の強さを示し、かつ前記第2のコントロールラインと同程度以上の発色の強さを示した場合に腹膜平衡試験における「Low average」カテゴリーに分類されるものである請求項9に記載の腹膜機能評価用イムノクロマト試験紙。
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