JPH09178740A - 糖尿病または糖尿病合併症用マーカーとしての使用 - Google Patents
糖尿病または糖尿病合併症用マーカーとしての使用Info
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- JPH09178740A JPH09178740A JP27084996A JP27084996A JPH09178740A JP H09178740 A JPH09178740 A JP H09178740A JP 27084996 A JP27084996 A JP 27084996A JP 27084996 A JP27084996 A JP 27084996A JP H09178740 A JPH09178740 A JP H09178740A
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Abstract
合併症の新規な臨床マーカーとして使用できる化合物を
提供する。 【解決手段】 タンパク質もしくはペプチドを構成する
アミノ酸、例えばリジンの側鎖アミノ基がカルボキシメ
チル化されたタンパク質もしくはペプチドまたはカルボ
キシメチルリジンからなる糖尿病または糖尿病合併症用
マーカーの使用。
Description
合併症用マーカーの使用に関する。更に詳しくは、特定
の置換基を有するタンパク質、ペプチドまたはアミノ酸
から成る糖尿病または糖尿病合併症用マーカーの使用に
関する。
素的に反応して糖化され、糖化タンパク質となることが
知られている。該糖化反応はメイラード反応と呼ばれ、
前期段階および後期段階の反応に分けられる。前期段階
の反応は、タンパク質の側鎖アミノ基やN末端アミノ基
と糖のカルボニル基が反応し、シッフ塩基を経由してア
マドリ転位化合物を生成するまでとされている。該前期
段階反応生成物としては、例えば、ヘモグロビンA1C
や糖化アルブミン等が知られており、糖尿病の臨床マー
カーとして用いられているのは周知の事実である。
マドリ転位化合物は2つの方向に変化することが知られ
ている。1つは、蛍光性、褐色変化、或いは分子内また
は/および分子間架橋形成のうちの少なくとも1つを伴
う反応(以下、「後期段階反応A」とも言う。)であ
り、もう1つは、酸素と遷移金属が関与する酸化的開裂
反応(以下、「後期段階反応B」とも言う。)である。
AGE(Advanced Glycation En
d products)と呼ぶこともあるが、該AGE
という用語は一般に上記の後期段階反応Aに見られる3
つの特徴的な現象(蛍光性、褐色変化、或いは分子内ま
たは/および分子間架橋形成)の少なくとも1つを伴う
反応生成物を総称するものとして使用されることが多
く、上記3種類の現象のすべてを伴わない反応によって
生成したものまでを含めてAGEと呼ぶか否かについて
は意見の分かれるところである。即ち、AGEの定義に
関しては、上記定義以外にも、インビトロでグルコース
とタンパク質を37℃で60日以上インキュベーション
したとき(メイラード反応のモデル反応)の生成物すべ
てをAGEとするという説や該生成物のうち糖尿病合併
症を発症させるような生物学的活性を有するもののみを
AGEとするという説等があり、学会においてもその定
義が統一されていないのが現状である。本明細書におい
ては、上記のような混乱を避けるため、AGEという語
を使用する場合には、メイラード反応のうち蛍光性、褐
色変化或いは分子内または/および分子間架橋形成のう
ちの少なくとも1つを伴う反応生成物(即ち、後期段階
反応Aの生成物)のみを指してAGEと称する。
は、複数の化合物の集合体であると考えられている。現
在のところ、AGEの構造体としては、ピラリン、ペン
トシジン、クロスリンA&B、或いはX1等が提唱され
ており、これらの定性、定量は蛍光強度の測定、或いは
抗原抗体反応により行われている。また、AGEを生成
する後期段階反応Aに関しては、該反応が生体内で起こ
り、血管障害合併症の発症に関与しているとの報告がな
され(Monnier,V.M.,et al,New
England Journal of Medic
ine,vol314,p403,1986)、AGE
は糖尿病患者における合併症の発症と進展に関与するも
のとして注目されるようになっている。そして、AGE
には糖尿病合併症の発症と進展に関与する生物学的活性
があるという報告もなされている(森崎ら、最新医学、
第49巻、248頁、1994年)。
つの反応(後期段階反応B)生成物については、N−ε
−カルボキシメチルリジン(ε位のアミノ基がカルボキ
シメチル化されたリジン。以下、「CML」と略すこと
もある。)が同定され(Ahmed,M.U.,et
al,Journal of BiologicalC
hemistry,vol261,p4889,198
6)、老人や糖尿病患者のレンズタンパク質、皮膚コラ
ーゲン等に存在していることが報告されている(Dun
n,J.A.,et al,Biochemistr
y,vol30,p1205,1991)。また、牛血
清アルブミン(以下、「BSA」と略す。)の側鎖アミ
ノ基の水素がカルボキシメチル基で置換された(以下、
「CM化」と略すこともある。)ものはAGEと抗AG
E抗体の反応を強く阻害するとの報告もある(第55回
アメリカ糖尿病学会議抄録集p115A,1995)。
生物学的活性についての報告例はなく、また、糖尿病患
者、或いは腎症や網膜症等の合併症を発症している糖尿
病患者(以下、「糖尿病合併症患者」ともいう。)と健
常者における生体内、特に体液中の後期段階反応B生成
物濃度の違い等も明らかにはなっておらず、その使用に
おいて有効性、特に糖尿病または糖尿病合併症用マーカ
ーとしての使用の有効性は認識されていなかった。即
ち、AGEを糖尿病または糖尿病合併症用マーカーとし
て使用する有効性は、最近、明らかになりつつあるが、
CML、CM化タンパク質またはCM化ペプチド(以
下、単に「CML等」ともいう。)の糖尿病または糖尿
病合併症用マーカーとして使用する場合、その有効性は
認識されていなかった。更に、これらの物質が糖尿病合
併症の原因物質か、或いは糖尿病合併症により蓄積した
物質かも明確ではなかった。
階反応Bの生成物が糖尿病合併症の一原因物質ではない
かと考え、該生成物がAGEと同様の生物学的活性を有
し、また、糖尿病患者或いは糖尿病合併症患者と健常者
の生体内、特に体液中において該生成物濃度に有意な差
が認められるのであれば糖尿病または糖尿病合併症用マ
ーカーとして使用できるのではないかと考えた。従っ
て、本発明の課題(目的)は、CML等がAGEと同様
の生物学的活性を有することを確認し、更に、糖尿病患
者或いは糖尿病合併症患者と健常者の間で、生体内、特
に体液中のCML等濃度に有意な差が認められることを
確認し、CML等が糖尿病または糖尿病合併症用マーカ
ーとなりうることを実証すること、換言すればCML等
の新規な用途を見出すことである。
を解決するために鋭意検討した結果、CML等はAGE
と同様の生物学的活性を有し、更に、糖尿病患者或いは
糖尿病合併症患者と健常者の間で、血液中のCML等濃
度に有意な差が認められることを確認し、糖尿病または
糖尿病合併症用マーカーとして有効に使用できることを
見い出し、本発明を完成するに至った。
ルリジン、タンパク質を構成するアミノ酸単位の少なく
とも一部の側鎖アミノ基がカルボキシメチル化されたカ
ルボキシメチル化タンパク質、またはペプチドを構成す
るアミノ酸単位の少なくとも一部の側鎖アミノ基がカル
ボキシメチル化されたカルボキシメチル化ペプチドの糖
尿病もしくは糖尿病合併症用マーカーとしての使用であ
る。
るが、本発明で使用する物質、製法は下記に限定される
ものではない。
定されず、例えばアルブミン、ヘモグロビン、β2ミク
ログロブリン、ヒストン、プロラミン等の単純タンパク
質、コラーゲン、γグロブリン、赤血球膜タンパク質等
の糖タンパク質、低密度リポタンパク質や高密度リポタ
ンパク質等のリポタンパク質、トランスフェリンやセル
ロプラスミン等の金属タンパク質等の複合タンパク質が
挙げられる。
オリゴペプチドでもポリペプチドでも良く、例えば、上
記タンパク質の分解産物、上記タンパク質の特定の領域
を人工的に合成したもの、前駆体タンパク質から限定加
水分解によって生合成されたもの等が挙げられる。
るアミノ酸の側鎖アミノ基またはリジンの側鎖アミノ基
をカルボキシメチル化(CM化)する方法、即ち、上記
各アミノ基の水素を−CH2−COOH基に置換する方
法は、公知の方法が何ら制限無く使用される。例えば
「新生化学実験講座1、タンパク質4」(日本生化学会
編、第13〜16頁、東京化学同人、1991年3月2
0日発行)に記されている還元アルキル化法のように、
グリオキシル酸(CHO−COOH)の如きアルデヒド
化合物とタンパク質またはペプチドをホウ酸緩衝液やリ
ン酸緩衝液等の水溶液に溶解し、水素化ホウ素ナトリウ
ムや水素化シアノホウ素ナトリウム等の水素化物還元剤
の存在下でpH8〜10で反応させればよい。これより
高いpHだとタンパク質等が変性する恐れがあり、これ
より低いpHだと水素化物還元剤が不安定になる。該反
応を特異的、且つ定量的に進行させるために、反応温度
は0〜10℃で行うのがよい。得られたCM化されたタ
ンパク質またはCM化されたペプチドは一般に水に可溶
で、アセトン、アルコール、硫酸アンモニウム、重金属
塩等の添加で沈澱する。また、上記のCM化されたタン
パク質またはCM化されたペプチドの検出には、アミノ
基を検出する方法以外の既知の方法であれば良く、例え
ば紫外吸収法、色素結合法、フェノール試薬法等が挙げ
られる。なお、上記方法においては一般に、タンパク
質、脂質、糖質等、アミノ基の存在する物質はCM化さ
れやすいが、タンパク質もしくはペプチドにおいては、
リジンの側鎖或いはN末端が選択的にCM化されやす
い。特に、タンパク質もしくはペプチド1分子にN末端
のアミノ基は1つしか存在しないが、リジンの側鎖アミ
ノ基は複数個存在する場合が多く、カルボキシメチル基
をタンパク質もしくはペプチドにより多く導入するため
には該タンパク質もしくはペプチドを構成するアミノ酸
がリジンであることが好適である。
して上記のようなCM化を行って得ることもできるが、
上記方法で得られたCM化タンパク質もしくはCM化ペ
プチドを強酸を用いて加水分解することによって得るこ
ともできる。
は、透析、遠心濃縮、或いは液体クロマトグラフィー等
によって精製した後に、生物学的活性の測定に供され
る。
ーカーとなり得るか否かは、上記方法で得られたCML
等を生体或いは生体成分に作用させたときに、腎症、網
膜症、動脈硬化症等の糖尿病合併症が発症するか否かで
判断することができる。例えば、モデル細胞にCML等
を作用させ、腎症や動脈硬化症の一因とされている毛細
管の閉塞促進に関与している凝固能、網膜症の発症と進
展に関与している透過性等を測定すればよい(森崎ら、
最新医学、第49巻、248頁、1994年)。
を有する内皮細胞のトロンボモジュリンの活性を測定す
ればよい。該活性の測定には、CM化したタンパク質を
内皮細胞に作用させた後、トロンビンとプロテインCを
添加し、生成した活性化プロテインCを測定する等の公
知の方法が問題なく使用される。
したタンパク質の内皮細胞への取り込み量を測定すれば
よく、標識したCM化したタンパク質を内皮細胞に添加
して培養し、内皮細胞に取り込まれた該CM化したタン
パク質量を測定する等の公知の方法が用いられる。
明で使用するCML等は上記のような測定において生物
学的な活性を示す。更に、糖尿病患者や糖尿病合併症患
者の体内に存在するCML等の濃度は健常者のそれに比
べて有意に高かったことから(図2参照)、本発明で使
用するCML等は、臨床検査の領域において、糖尿病ま
たは糖尿病合併症のマーカーとなりうる。即ち、腎糸球
体やコラーゲン等の組織、或いは尿、血液等の体液中の
CML等の濃度を測定することにより、糖尿病にかかっ
ているか否かを判断したり、糖尿病の進行度合いや糖尿
病合併症発症の可能性を予測したりすることが可能とな
る。
や尿中のCM化タンパク質濃度)を測定する方法は特に
限定されず、CML等を検出する公知の方法が任意に採
用できる。検出方法を例示すれば、抗原抗体反応にて生
体内のCM化タンパク質或いはCM化ペプチドを検出す
る方法、液体クロマトグラフィーにてCML等を検出す
る方法、CM化タンパク質或いはCM化ペプチドを加水
分解して液体クロマトグラフィー/質量分析にてCML
を検出する方法、CM化タンパク質或いはCM化ペプチ
ドを加水分解してガスクロマトグラフィー/質量分析に
てCMLを検出する方法等が挙げられる。
症の罹患の有無あるいはその程度等を判定、予測する診
断用マーカーとして使用できる。また、糖尿病または糖
尿病合併症の予防薬あるいは治療薬等の薬効の評価用マ
ーカーとして使用できる。
併症の発症と進展に関与していることが明確になったの
で、該CML等は、臨床検査の領域において糖尿病また
は糖尿病合併症の新規な臨床マーカーとして使用できる
ことが明らかとなった。このことは、糖尿病または糖尿
病合併症の診断において、上記新規マーカーを利用した
新たな診断システムの構築の可能性を意味するものであ
り、その工業的意義は大きい。
実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定
されるものではない。
に調整した1mg/mlのヒト血清アルブミン(Fra
ction V、シグマ社製)1mlに、pH9に調整
した0.25Mのグリオキシル酸(シグマ社製)1ml
を混合し、0℃で12時間放置した。その後、1mgの
水素化シアノホウ素ナトリウムを加え、更に12時間放
置した。
しないこと以外は同様の方法でヒト血清アルブミンを処
理した。
M化率を、未反応アミノ基をトリニトロベンゼンスルホ
ン酸(以下TNBSと略す)を用いて次のような方法に
より測定して求めた。
四ほう酸ナトリウムを含む0.1Mの水酸化ナトリウム
水溶液0.5mlに各々加えた。次いで、再結晶化し、
希塩酸で洗浄した1.1MのTNBSを20μl加え、
攪拌した。30分後に1.5mMの亜硫酸ナトリウムを
含む98.5mMのリン酸二水素ナトリウムを2ml加
えて反応を停止させ、420nmの吸光度を測定したと
ころ、CM化ヒト血清アルブミンの吸光度は0.03で
あり、グリオキシル酸処理をしていないヒト血清アルブ
ミン(対象)の吸光度は1.25であった。上記のいず
れのヒト血清アルブミンも含まない系で同様の測定を行
ったところ、吸光度は0.03であったので、CM化ヒ
ト血清アルブミンのCM化率は100%であることが解
った。
ブミンは、20mMリン酸緩衝液(pH7.4)で4℃
にて2日間透析され、未反応のグリオキシル酸や水素化
シアノホウ素ナトリウムを除去した後に、血液凝固能の
亢進、即ち毛細管の閉塞促進を調べるためにトロンボモ
ジュリン活性の測定に供された。測定は、次のようにし
て行った。
(大日本製薬社製)に10μMになるように上記のCM
化ヒト血清アルブミンを添加し、37℃で20時間培養
した。この培養したヒト動脈内皮細胞をアール平衡塩溶
液で洗浄した後、1U/mlとなるようにトロンビン、
および1mg/mlとなるようにプロテインCを加え、
更に37℃で15分間培養した。このヒト動脈内皮細胞
を含む培養液にアンチトロンビンIIIを加え、活性化
プロテインCの形成を停止した後に、リジン-プロリン-
アルギニン-パラニトロアニリドから成る基質を1mM
になるように添加した。5分後、および10分後の40
5nmの吸光度を測定し、その吸光度差を求めた。動脈
内皮細胞由来のタンパク質1mg当たりの吸光度差は、
後述する比較例1で求めた吸光度差を100%とする
と、CM化ヒト血清アルブミンのそれは60%であっ
た。
トロンボモジュリン活性を40%低下させることを表
し、ひいては線溶能の低下、即ち血液凝固能の亢進によ
り毛細管の閉塞を促進させることを意味する。また、後
述する参考例1に示すように、参考例1で得られたAG
Eはトロンボモジュリン活性を80%低下させることか
ら、本CMヒト血清アルブミンは、該AGEと同様の毛
細管の閉塞促進性を有することが明らかである。
ト血清アルブミン(対象)を実施例1と同様の方法で透
析した後、実施例1と同様にしてトロンボモジュリン活
性の測定を行った。このときの5分後の405nmの吸
光度と10分後の405nmの吸光度の差は0.915
であり、この値を100%とした。
gのヒト血清アルブミンと1.7Mのグルコースを加
え、0.45μmのフィルターで濾過滅菌した後、37
℃で3ヶ月間放置し、AGEを得た(蛍光性、褐色変
化、および分子内或いは分子間架橋形成を確認してい
る。)。実施例1においてCM化ヒト血清アルブミンの
代わりに上記方法で得たAGEを用いたこと以外は、す
べて同様の方法でトロンボモジュリン活性の測定を行っ
た。
100%としたときの上記AGEのトロンボモジュリン
活性に基づく吸光度差の相対比は20%であった。これ
は、AGEがトロンボモジュリン活性を80%低下させ
ることを表している。
をCM化するために、pH9に調整した1mg/mlの
ヒトトランスフェリン(和光純薬工業(株)社製)1m
lに、pH9に調整した0.25Mのグリオキシル酸
(シグマ社製)1mlを混合し、0℃で12時間放置し
た。その後、1mgの水素化シアノホウ素ナトリウムを
加え、更に12時間放置した。また、対象として、グリ
オキシル酸を添加しないこと以外は同様の方法でヒトト
ランスフェリンを処理した。
リオキシル酸処理をしていないヒトトランスフェリンを
それぞれ0.2mlのバイオライト(レンジpH3−1
0、バイオラッド社製)、3mlのグリセロールおよび
6.8mlの蒸留水から成る水溶液で5倍に希釈し、各
希釈液の内の10μlをそれぞれ等電点電気泳動に使用
した。等電点電気泳動はpH3−10用の市販ゲル(テ
フコ社製)にて、陰極液に0.05Mの水酸化ナトリウ
ム、陽極液に0.01Mのリン酸を使用して、100V
で30分、200Vで30分、500Vで60分泳動し
た。電気泳動の結果、CM化ヒトトランスフェリンの等
電点は4.6〜4.9であり、グリオキシル酸処理をし
ていないヒトトランスフェリンの等電点は5.2〜5.
5であった。この結果は、上記CM化処理によってヒト
トランスフェリンの側鎖アミノ基にカルボキシメチル基
が導入されていることを示唆している。
フェリンは、20mMリン酸緩衝液(pH7.4)で4
℃にて2日間透析され、未反応のグリオキシル酸や水素
化シアノホウ素ナトリウムを除去した後に、単球への透
過性(網膜症の発症及び進展に関与している)を測定す
るために、取り込み量の測定に供された。該取り込み量
の測定は、次のような方法によって行った。
7細胞を2×105個ずつ12穴プレートに播き、10
%の牛胎児血清を含むRPMI培地で37℃にて18時
間培養した。次いで培地を除去した後、リン酸緩衝液で
1回洗浄し、3%のBSAを含む1mlのDMEM培地
に交換した。37℃にて1時間培養した後に、125Iで
標識したCM化ヒトトランスフェリンを10μMになる
ように添加し、更に37℃で12時間培養した。125I
で標識したCM化ヒトトランスフェリンは、2.5μg
のCM化ヒトトランスフェリン10μlに0.5mCi
のNa125I水溶液を5μl加え、15分間反応させて
作製した。12時間の培養の後、1%BSAを含むリン
酸緩衝液で3回洗浄し、更にリン酸緩衝液で3回洗浄し
た。次いで、0.1Mの水酸化ナトリウム1mlを加
え、37℃にて1時間培養した後に細胞を剥がして、シ
ンチレーションカウンターで放射能を測定した。マウス
単球由来のタンパク質1mg当たり0.4μgのCM化
ヒトトランスフェリンがマウス単球に取り込まれた。後
述する比較例2に示されるように、CM化されていない
ヒトトランスフェリンは単球にほとんど取り込まれず、
一方、CM化ヒトトランスフェリンは単球に取り込まれ
たことから、CM化ヒトトランスフェリンが網膜症の発
症や進展に関与している単球への透過性を亢進すること
が明らかになった。
施例のCM化ヒトトランスフェリンは参考例1で得られ
たAGEと同様、単球への透過性を亢進することが明ら
かである。
ないヒトトランスフェリンを実施例2と同様の方法で透
析した後、実施例2と同様の方法で単球への取り込み量
を測定した結果、マウス単球由来のタンパク質1mg当
たりに取り込まれたヒトトランスフェリンは0.05μ
g以下であった。
例1で得られたAGEを用いたこと以外は、すべて同様
の方法で単球への取り込み量の測定を行った。その結
果、マウス単球由来のタンパク質1mg当たりに取り込
まれたAGEは1.0μgであった。
化ヒト血清アルブミンを抗原として以下の要領で免疫し
た。
溶液0.5mlに、フロイントの完全アジュバント0.
5mlを加えたものをウサギの耳静脈に注射した。その
後、2週間おきに2mg/mlの該抗原0.25mlに
フロイントの不完全アジュバント0.25mlを加えた
ものを追加免疫した。この間、CM化ヒト血清アルブミ
ンに対する抗体が産生されたか否かを確認するために、
2週間に1回ウサギの外縁耳静脈から部分採血した。6
週間後、CM化ヒト血清アルブミンに対する抗体が産生
されたことを酵素免疫測定(ELISA)法で確認し、
全採血した。
mlの10mM酢酸緩衝液(pH4.5)で洗浄した
後、10mg/mlのヒト血清アルブミン溶液を62.
5ml加え、室温で1時間緩やかに攪拌した。次いで、
未反応のヒト血清アルブミンを濾過にて除去し、1Mの
エタノールアミンを30ml加え、室温で緩やかに攪拌
し、未反応のN−ヒドロキシサクシイミドエステルをブ
ロッキングした。該ヒト血清アルブミンを固定化した支
持体をカラムに詰め、280nmの吸光度が0になるま
でイオン交換水で洗浄した。更に、0.15Mの塩化ナ
トリウムを含む20mMのリン酸緩衝液(pH7.4)
でカラムを平衡化した。
る抗体のアフィニティ精製 作成したCM化ヒト血清アルブミンに対する抗体を1m
g/mlになるように0.15Mの塩化ナトリウムを含
む20mMのリン酸緩衝液(pH7.4)で希釈したも
のを、100mg程度になるように該アフィニティ精製
カラムにアプライした。次いで、280nmの吸光度が
0になるまで前記リン酸緩衝液を流速0.5ml/mi
nで流した。カラムに結合しなかった抗体をCM化ヒト
血清アルブミンに対する抗体として回収した。280n
mの吸光度が0になったところでリン酸緩衝液から0.
1Mのグリシン緩衝液(pH3.0)に換え、カラムに
結合している抗体を溶離させ、0.15Mの塩化ナトリ
ウムを含む20mMのリン酸緩衝液(pH7.4)でカ
ラムを平衡化し、回収した抗体を再度カラムにアプライ
し、カラムに結合しなかった抗体を回収した。この操作
を、更に1回繰り返し、ビオチン標識用の抗体に供され
た。
る抗体のビオチン標識 精製した抗体のビオチン標識はプロテインビオチレーシ
ョンシステム(ギブコ社製)を用いて行った。
る抗体を1.5mg/mlになるように0.15Mの塩
化ナトリウムを含む20mMのリン酸緩衝液(pH7.
4)で希釈または濃縮した溶液に、0.05Mになるよ
うに炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)を加えた。次
いで、該抗体溶液6.7mlに、説明書に従って作成し
た50mg/mlのCAB−NHSエステル溶液26μ
lを加え、室温で1時間緩やかに攪拌し、0.11Mに
なるように塩化アンモニウムを加えて反応を停止させ
た。その後、本キットに付属のカラムで抗体溶液を脱塩
した。更に、キット付属のAvidin/HABAで導
入されたビオチンのモル数を計算したところ、CM化ヒ
ト血清アルブミンに対する抗体1モルに対してビオチン
は14モル結合していた。
る抗体の抗原特異性 CM化ヒト血清アルブミンに対する抗体の抗原特異性は
競合法ELISAにて確認した。
化ナトリウムを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.
4)(以下PBSと略す)で希釈したCM化ヒト血清ア
ルブミンに対する抗体に、作成したCM化ヒト血清アル
ブミンをそれぞれ0.1,1,10,100μg/ml
となるように添加した。この溶液を37℃で1時間放置
し、CM化ヒト血清アルブミンで阻害された抗体溶液と
して使用した。
方法で、ヘモグロビン(シグマ社製)より作成したCM
化ヘモグロビンを調製した。該CM化ヘモグロビンを1
μg/mlのCM化ヒト血清アルブミンに対する抗体溶
液に、それぞれ0.1,1,10,100μg/mlと
なるように添加した。この溶液を37℃で1時間放置
し、CM化ヘモグロビンで阻害された抗体溶液として使
用した。
たCM化ヒト血清アルブミンを1μg/mlとなるよう
にPBSで希釈した。次いで、上記希釈したCM化ヒト
血清アルブミン溶液を96穴イムノプレート(NUNC
社製)に1ウェル当たり100μlアプライし、37℃
で1時間放置し、該CM化ヒト血清アルブミンをイムノ
プレートに固定した。1時間後、イムノプレートに結合
していないCM化ヒト血清アルブミンを除去し、0.5
%のゼラチンを含むPBSを1ウェル当たり100μl
アプライし、37℃で1時間放置し、CM化ヒト血清ア
ルブミンが結合していない部分をブロッキングした。1
時間後、該ゼラチン溶液を除去し、PBSで3回洗浄し
た後、上記濃度のCM化ヒト血清アルブミンで阻害され
た抗体溶液、又は上記濃度のCM化ヘモグロビンで阻害
された抗体溶液を1ウェル当たり100μlアプライ
し、37℃で1時間放置した。その後、PBSで3回洗
浄し、1μg/mlのアルカリホスファターゼで標識さ
れた抗ウサギIgG抗体溶液(コスモバイオ社製)を1
ウェル当たり100μlアプライし、37℃で1時間放
置した。更に、PBSで3回洗浄し、アルカリホスファ
ターゼ基質キット(バイオラッド社製)を用いて能書に
従い調製した基質溶液を1ウェル当たり100μlアプ
ライした。室温で5分間放置した後、0.4Mの水酸化
ナトリウム溶液を1ウェル当たり100μl加え、アル
カリホスファターゼの反応を停止させ、405nmの吸
光度を測定した。その結果を表1および図1に示す。
ルブミンに対する抗体は、CM化ヒト血清アルブミンの
みならず、CM化ヘモグロビンでもCM化ヒト血清アル
ブミンとCM化ヒト血清アルブミンに対する抗体の抗原
抗体反応が阻害されたことから、CM化ヘモグロビンと
も反応性を示すことが示唆された。
モグロビンの測定 合併症を発症していない糖尿病患者15人よりEDTA
−2Kを含む真空採血管にて採血した血液50μlを、
250μlの生理食塩水で1回洗浄した後、1mlの精
製水を加え溶血させたものを被検体とした。該患者の平
均年齢は55.7歳であった。
ットブロッティング法にて行った。ヘモグロビン濃度を
シアンメトヘモグロビン法にて測定した後、該ヘモグロ
ビンが500ngとなるようにドットブロッティング装
置(バイオラッド社製)を用いてPVDF膜(バイオラ
ッド社製)に吸着させた。該膜を10%のスキムミルク
を含む20mMのリン酸緩衝液(pH7.4)に室温で
1時間浸せきし、該膜を取り出し、前記ビオチン標識し
た1μg/mlのCM化ヒト血清アルブミンに対する抗
体溶液を5ml加えた。室温で1時間のインキュベーシ
ョンの後に、0.05%のTween20を含む20m
Mのリン酸緩衝液(pH7.4)50mlで該膜を3回
洗浄した。次いで、該膜にアビジン−ペルオキシダーゼ
標識ビオチン複合体溶液(ベクタステインABCキッ
ト:フナコシ社製)を5ml加え、室温で1時間のイン
キュベーションした。0.05%のTween20を含
む20mMのリン酸緩衝液(pH7.4)50mlで該
膜を3回洗浄した後、ECLウエスタンブロッティング
検出試薬(アマシャム社製)を2ml加えた。該膜にお
ける発光強度の検出は、バイオラッドGS−363モレ
キュラーイメージャーを用いて行った。
製)を被検体として上記と同様の方法にてCM化ヘモグ
ロビンの測定を行った。その結果を表2に示す。
1として、上記糖尿病患者由来のヘモグロビンの発光強
度を、被検体1つが白抜きの丸1つに対応するように図
2にプロットした。
に腎症または網膜症を併発している糖尿病合併症患者1
2人から得た血液を被検体としたこと以外は、実施例3
の方法に従って被検体中のCM化ヘモグロビンの測定を
行った。その結果を表3に示す。
た。実施例3と同様、上記市販ヘモグロビンの発光強度
を1として、上記糖尿病合併症患者由来のヘモグロビン
の発光強度を、被検体1つが白抜きの丸1つに対応する
ように図2にプロットした。
ない健常者47人から得た血液を被検体としたこと以外
は、実施例3の方法に従って被検体中のCM化ヘモグロ
ビンの測定を行った。その結果を表4に示す。
実施例3と同様、上記市販ヘモグロビンの発光強度を1
として、上記健常者由来のヘモグロビンの発光強度を、
被検体1つが白抜きの丸1つに対応するように図2にプ
ロットした。
群の発光強度を統計学的に比較(t検定)したところ、
危険率5%未満で、糖尿病患者群の発光強度の方が健常
者群の発光強度に比べて有意に高かった。このことは、
糖尿病患者由来の血液中には、健常者由来の血液中より
も、有意にCM化ヘモグロビンが多いことを意味する。
病合併症患者群の発光強度をt検定にて比較したとこ
ろ、危険率5%未満で、糖尿病合併症患者群の発光強度
の方が健常者群の発光強度に比べて有意に高かった。こ
のことは、糖尿病合併症患者由来の血液中には、健常者
由来の血液中よりも、有意にCM化ヘモグロビンが多い
ことを意味する。
は糖尿病合併症用マーカーとしての使用が有効であるこ
とが明確になった。
発光強度と実施例4で測定した糖尿病合併症患者群の発
光強度をt検定にて比較したところ、危険率5%未満
で、糖尿病合併症患者群の発光強度の方が健常者群の発
光強度に比べて有意に高かった。このことからも、CM
L等が糖尿病の進行度合いや糖尿病合併症発症の可能性
を判断する臨床マーカーとしても使用できることが明ら
かとなった。
対する抗体の抗原特異性を競合法ELISAにて調べた
結果で、縦軸が405nmの吸光度、横軸が各阻害剤の
添加量である。
併症患者の血液中のCM化ヘモグロビン濃度との関係を
示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 N−ε−カルボキシメチルリジン、タン
パク質を構成するアミノ酸単位の少なくとも一部の側鎖
アミノ基がカルボキシメチル化されたカルボキシメチル
化タンパク質、またはペプチドを構成するアミノ酸単位
の少なくとも一部の側鎖アミノ基がカルボキシメチル化
されたカルボキシメチル化ペプチドの糖尿病もしくは糖
尿病合併症用マーカーとしての使用。 - 【請求項2】 カルボキシメチル化タンパク質およびカ
ルボキシメチル化ペプチドのカルボキシメチル化された
アミノ酸単位がリジンである請求項1の使用。 - 【請求項3】 マーカーが診断用もしくは薬効評価用で
ある請求項1の使用。
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- 1996-10-14 JP JP27084996A patent/JP3579549B2/ja not_active Expired - Fee Related
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