JPH06160384A - 糖尿病性腎症の早期診断法 - Google Patents

糖尿病性腎症の早期診断法

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JPH06160384A
JPH06160384A JP4331203A JP33120392A JPH06160384A JP H06160384 A JPH06160384 A JP H06160384A JP 4331203 A JP4331203 A JP 4331203A JP 33120392 A JP33120392 A JP 33120392A JP H06160384 A JPH06160384 A JP H06160384A
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human albumin
urine
antibody
degradation product
albumin
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JP4331203A
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Hirokazu Suzuki
宏和 鈴木
Yoshinori Sakurai
美典 櫻井
Yoshitami Ohashi
良民 大橋
Masayoshi Goto
正義 後藤
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Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Wakamoto Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 糖尿病患者の尿中よりヒトアルブミン分解物
を検出することによって早期の糖尿病性腎症の診断方法
を提供する。 【構成】 健常人と糖尿病患者との尿中のヒトアルブミ
ン分解物を検出するにあたり被検者の尿を 1)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法、 2)等電点ゲル電気泳動法、 3)セルロースアセテート膜電気泳動法、 4)高速液体クロマトグラフ法 により分離を行い、それぞれを免疫転写法もしくは免疫
直接発色法あるいはアフィニティークロマトグラフィー
と高速液体クロマトグラフィーの組合せによる紫外部吸
収スペクトルの検出でヒトアルブミンとヒトアルブミン
分解物を特異的に検出することによって早期の糖尿病性
腎症を診断する。 【効果】 本発明の方法によって従来に比べ早期の糖尿
病性腎症に対する診断が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は糖尿病性腎症の早期診断
方法に関するものである。更に詳しくは糖尿病患者尿中
のアルブミン分解物の検出による糖尿病性腎症の早期診
断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術ならびに発明が解決すべき問題点】糖尿病
性腎症は腎生検が困難なことから持続性蛋白尿、腎機能
障害、高血圧等の知見から臨床診断がなされてきた。し
かし、蛋白尿が出現すると治療が難しく、5〜6年経過
で末期腎不全に陥るのが通例である。そのため、通常の
尿試験紙法で尿蛋白が陽性となる前に腎病変を診断して
早期治療を行なうことが臨床医学の立場から強く望まれ
ている。この目的で開発されたのが尿中アルブミンの微
量測定法であり、近年腎症の診療にとって必須の検査法
になりつつある。
【0003】尿中の微量アルブミンはRIA(ラジオイ
ムノアッセイ)や免疫沈澱法により、正確に定量できる
が、最近は簡易キットが市販されており、アルブシュア
(登録商標)(エーザイ株式会社)もその一つである。
これは免疫凝集阻止反応を原理としており、試薬はアル
ブミン感作ラテックスとアルブミン抗体であり、尿中に
アルブミンが殆どなければ抗原抗体反応でラテックスが
凝集するが、尿中にアルブミンがあればこれを妨害して
凝集が阻止される。
【0004】このように微量のアルブミンを測定するこ
とにより腎疾患を診断する方法はあるが、さらに早期に
腎症の診断ができるものはない。一方、ヒト尿中アルブ
ミン分解物に関する最初の発見はR.C.Wiggin
sら(ClinicaChimica Acta.,
149,155〜163,1985.)によって腎症症
候群(Nephrotic syndrome)の患者
における蛋白尿陽性〔臨床的なタンパク尿は150〜3
00mg/l/日以上もしくは簡易タンパク尿試験法
(タンパク質量200mg/l/日以上のとき陽性)に
よる持続的陽性の尿をもって判定されている〕の検体に
ついて、アルブミン分解物とアルブミン重合複合体が患
者の尿中に排泄されていることをSDS−PAGEによ
る泳動後、イムノブロット法ではじめて検出した。その
論文の中でR.C.Wigginsらは、アルブミンの
分子量67,000(67KD)より大きな分子量のタ
ンパク質は腎糸球体による濾過機能の異常により漏出
し、またヒトアルブミン(67KD)より小さな分子量
のタンパク質は尿細管の障害によって生ずるものと考
え、これらの作用機構は単なる腎の濾過による「分子の
大きさ」に関連した分子ふるいの作用に起因するものと
説明している。この中でR.C.Wigginsらの報
告では糖尿病の病態と長期に及ぶ罹患経過をふまえた上
での腎症への移行と進展を説明したものではなく、ただ
単に腎症症候群に罹患した患者の尿の分析からアルブミ
ン分解物を見出したに過ぎない。
【0005】しかしながら、近年糖尿病性腎症の発生機
序に対する解明が進み、単なる腎糸球体の濾過機能と尿
細管による低分子タンパク質の再吸収の障害だけでは説
明し切れず、腎糸球体の基底膜の構造変化に伴う「Si
ge barrier」と「charge barri
er」の両面から、アルブミンが特に排泄されやすいと
T.Deckertら(Kidney lnt.,
,100〜106,1988.)は説明している。
【0006】したがって、R.C.Wigginsら
(1985)は種々の腎疾患をすべて「分子ふるい」の
作用機作のみで説明するには余りにもその論拠に乏し
く、まして糖尿病によって惹起される腎症に至るまでの
経過について当時の糖尿病に関する学問レベルでは到底
説明し得なかった。
【0007】一方、糖尿病性腎症への移行と微量アルブ
ミン尿(Micro albumin Uria)との
関連を最初に予言したのは糖尿病学の大家の1人である
デンマークのC.E.Mogensenら(Scan
ClinLabInvest.,28,183
〜193,1971)である。彼らは糖尿病性腎症への
移行と増悪について微量アルブミンの尿中への排泄量に
最初に注目し、その後7〜14年間(平均11.5年)
の長期にわたった追跡調査を行い、それらの疫学的立場
から、また尿中アルブミン排泄量、糸球体の濾過率、腎
血流量、血圧、さらには過去2〜3ヶ月の血糖状態を示
すHbAICの得られた一連のデータより、糖尿病から糖
尿病性腎症への移行と進展には尿中の微量アルブミンの
量と密接に関連していることを体系づけてEng
Med.,310,356〜360,1984及び
Kidney lnt.,31,673〜689,19
87に報告した。
【0008】さらに、C.E.Mogensenら(
iabetes32,Suppl2,64,198
4)はインスリン依存型の糖尿病に由来する腎症への移
行と増悪についてI期からV期に分類し、初期腎症をII
I 期と定めた。C.E.Mogensenらによれば、
この病期は可逆的な腎病変を示すが充分な血糖コントロ
ールと血圧コントロールを行えばIV期である顕性腎症へ
進みにくいことを述べており、尿中のアルブミン排泄量
が腎の変化を知る上で重要な手がかりになることを論じ
臨床上の意義を確立してきた。
【0009】C.E.Mogensenらの発表以来、
G Slamaら(Lancet,1338〜13
39,1985)、A.Schimitzら(Urem
ialnvest.,,79〜84,1986)、
C.F.Closeら(Lancet,268〜2
69,1986)及びG.F.Waltsら(Diab
etic Med.,,298〜303,1988)
によって実際の臨床の場で微量アルブミンの測定を行い
臨床的意義を認めた。なお、最近では繁田ら(繁田幸
男、吉川隆一:臨床と研究 66巻;37−41頁,1
989年)によると、尿中のアルブミンが30〜300
mg/日の範囲にある場合を一般的に微量アルブミン尿
と称し、初期糖尿病性腎症の診断としている。
【0010】その後、これらの研究をもとに微量アルブ
ミンの測定キット(RIA法、LAIT法、EIA法)
が開発され上市されるに至っている。しかしながら、糖
尿病の病態の形成と増悪は長期にわたって徐々に進展し
ていくものであり、特に糖尿病の三大合併症のうち糖尿
病性腎症は患者の生命と予後に直結するのでその早期発
見は臨床上重要な課題となっている。したがって、現
在、微量アルブミンの測定よりさらに早期の糖尿病性腎
症への移行が予測される測定法の開発が望まれている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本明細書に記載した我々
の研究は糖尿病性腎症の早期診断に関する新しいマーカ
ーの探索過程の中で1988年より着手し、確定診断の
下された糖尿病患者および糖尿病性腎症を併発した患者
の尿をSDS−PAGEで泳動後、イムノブロット法で
測定するとヒトアルブミンが生体内で何らかの修飾をう
けたヒトアルブミンとは異なるヒトアルブミン分解物を
検出した。
【0012】本明細書表1に示した通り、糖尿病性腎症
として確定診断が下された患者の尿では従来の微量アル
ブミン測定キット例えばアルブシュア(登録商標)で測
定した結果、全例(4/4)が陽性を示し、同様にアル
ブミン分解物も全例(4/4)検出された。
【0013】一方、糖尿病患者9名について同様に微量
アルブミン測定キットで測定した結果、全例(0/9)
陰性を示しだか、それらの尿からアルブミン分解物が6
名(6/9)も検出された。なお、図1に示した通り健
常者における生理的尿(排尿後そのままの尿)を分析し
てもアルブミン(67KD)のバンドのみを検出し、そ
の他のバンドは検出されなかった。これらの結果は糖尿
病に罹患し糖尿病性腎症へ移行していく過程で微量アル
ブミンより早期診断が可能であることを示唆しているも
のである。
【0014】したがって従来の方法は尿中の微量アルブ
ミンの「量」を測定するものであって、本発明はアルブ
ミン分子(67KD)に由来するアルブミン分解物、す
なわち「質」を検出するものである。
【0015】さらに、本発明は「糖尿病性腎症に関する
早期診断」を目的としたものであって、糖尿病患者のう
ち、いまだ糖尿病性腎症へ移行もしくは進展していない
患者の尿を対象にアルブミン分解物を検出することにあ
るので先のR.C.Wigginsらの報告とは疾患の
対象および本質的に目的が異なる。
【0016】すなわち、糖尿病に罹患した患者のうち微
量アルブミン尿(Microalbuminuria)
として判定されていない尿検体を用いてアルブミン分解
物を検出することは臨床的意義として重要であることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】また、本発明におけるヒトアルブミン分解
物とはヒトアルブミンが酵素などにより生体内で分解さ
れ、本来のヒトアルブミン(67KD)が低分子化され
たものすべてが実質的に対象となる。ヒトアルブミン分
解物の存在は分子量の差異または、荷電状態の差異を利
用してヒトアルブミンと分離し、抗原抗体反応を行なう
ことにより検出することができる。
【0018】ヒトアルブミン及びヒトアルブミン分解物
の検出には、特異的な抗原抗体反応を利用するのが一般
的であり、これらの免疫化学的手法としてはEIA(エ
ンザイムイムノアッセイ)法、RIA法、イムノブロッ
ト法などがあるが、SDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動法やセルロースアセテート膜電気泳動法、さらには
等電点ゲル電気泳動法などとの組合せを考慮すると操作
性、迅速性などの面からイムノブロット法が最適であ
る。
【0019】一方、近年液体クロマトグラフィーによる
生体成分の分析の進歩はめざましく、特に高速液体クロ
マトグラフィーにおいては、カラムの理論段数の増大、
定量ポンプの改良や検出器などの向上により、さらには
全自動化を完遂させるためのオートサンプラー、オート
インジェクターシステムなどの技術が集大成されるに至
り、昼夜を問わず稼動することが可能になってきた。
【0020】特に臨床検査の分野では、より精度が高
く、より早い分析が望まれ、例えば糖尿病患者における
過去1〜2ケ月間の血糖値の推移の指標とされているヘ
モグロビンAICなどの分析にはこの高速液体クロマトグ
ラフィーは今や不可欠の分析機器になりつつある。
【0021】高速液体クロマトグラフィーを含めた液体
クロマトグラフィーを尿中のアルブミン分解物の分離分
析に応用する場合、尿中には複雑かつ多種類の生体成分
が存在するため同一カラムで一挙に分離することも可能
であるが、分離カラムの効率を向上させるためには尿中
のアルブミンおよびアルブミン分解物のみを選択的にポ
ストカラム(前カラム)に吸着せしめた後、溶離液で溶
出して本カラムである分離カラムで各アルブミン分解物
を分離分析することも可能である。以下にヒトアルブミ
ン分解物を分離分析する方法について、詳細に説明する
が本方法はその基本技術の一端を紹介するものであっ
て、これらに限定されるものではない。
【0022】〔SDSポリアクリルアミド電気泳動法〕
(以下SDS−PAGE法と略す。) SDS−PAGE法にはShapiroら(Bioch
emBiophysResCommun.,
,815,1967)とWeberら(Bio
Chem.,244,4406,1969)によっ
て報告された連続緩衝液法やLaemmli(Natu
re277,680,1970)によって報告された
不連続緩衝液法などがあり、いずれの方法でも使用する
ことができるが、分離が優れているLaemmliの方
法が最も好ましい。
【0023】また、分離ゲルの濃度については通常5%
〜12.5%位が使用されているが、ヒトアルブミンと
ヒトアルブミン分解物の分離が可能であれば特に規定す
る必要はない。さらに、ディスク泳動法およびスラブ泳
動法があり、いずれの方法も用いることができるが、ス
ラブ泳動法が好ましい。イムノブロット法はヒトアルブ
ミンとヒトアルブミン分解物を支持体へ転写後、抗原抗
体反応により発色させる。
【0024】すなわち、SDS−PAGE法でヒトアル
ブミンとヒトアルブミン分解物を分離した後、ゲル中の
各タンパク質を速やかにニトロセルロース膜に転写し、
拡散することなく膜に吸着せしめる。膜上のタンパク質
は拡散することがないので、その後の処理は時間をかけ
て行なうこともできる。次に1次抗体(本発明において
は抗ヒトアルブミン抗体を示す)を反応させ、洗浄後、
酵素を標識した2次抗体と反応させる。さらに洗浄後、
酵素の検出試薬を添加することにより存在の有無を確認
する。
【0025】転写方法には様々な方法があり、その中で
もTowbinらの方法(ProcNatlAca
Sci.,76,4350−4354,1979)
が最適である。転写に用いる支持体としてはニトロセル
ロース、アミノフェニルチオエーテルペーパー、アミノ
ベンジルオキシメチルペーパー、ジアミノエチルセルロ
ースなどが使用できるが、特にニトロセルロース膜が最
適である。ニトロセルロース膜はBA85(Schle
icher & Schuell社製)HAHY(Mi
llipore社製)として市販されている。なお、S
DSポリアクリルアミドゲルおよび泳動装置、ニトロセ
ルロース膜および転写装置についてはテフコ株式会社で
一式市販されているのでこれを用いると好都合である。
【0026】ニトロセルロース膜上で抗原抗体反応を行
なう場合には、非特異反応を抑制するためウシ血清アル
ブミン(BSA)、スキムミルクなどを用いるが、好ま
しくは抗ヒトアルブミン抗体と交差反応性の可能性が少
ないスキムミルクが適している。抗ヒトアルブミン抗体
は家兎に免疫して容易に得ることができるが、市販品を
使用することもできる。さらに好ましくは非特異反応を
防止するために純度の高い抗体を用いるのが好ましい。
高純度にするには、例えば、アフィニティークロマトグ
ラフィーによる精製などを行なう。
【0027】2次抗体は抗ヒトアルブミン抗体を作出し
た動物種により異なるが、通常はウサギ、ヤギ、マウス
などのIgGに対する抗体が用いられる。さらに好まし
くは抗ヒトアルブミンの場合と同様に非特異反応を防止
するために精製を行なう。酵素標識物に用いる酵素とし
てはペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グ
ルコースオキシダーゼなどが使用できるが、好ましくは
純品が入手しやすく、活性検出法が確立されているペル
オキシダーゼが適している。
【0028】なお2次抗体に酵素を標識する方法にはグ
ルタールアルデヒド法(S.Arrameas,Imm
unochemistry,43,1969)や過
ヨウ素酸酸化法(P.K.Nakane,A.Kawa
oi,HisrochemCytochem.,
22,1084,1974)などがあり容易に標識物を
作製することができる。また、酵素標識した2次抗体は
Cappel社などでも市販されており、容易に入手す
ることができる。
【0029】酵素の検出試薬としては、ペルオキシダー
ゼには過酸化水素水とジアミノベンチジンあるいはクロ
ロナフトール、アミノエチルカルバゾールなどが利用で
きるが、過酸化水素水とジアミノベンチジンの組合せが
適している。一方、アルカリフォスファターゼの場合に
は、β−ナフチルリン酸、ブロモクロロインドリルリン
酸、ウンベリフェニルリン酸などが用いられる。さら
に、グルコースオキシダーゼではD−グルコースが用い
られる。
【0030】以下に本診断法の概要について示す。ま
ず、尿中の蛋白質を可溶化する。すなわち、尿中に存在
する蛋白質分解酵素を失活させるとともに、SDSとβ
−メルカプトエタノールによって蛋白質を効果的に変性
させる目的で沸騰水中で一定時間熱処理する。次に可溶
化した尿をSDS−ポリアクリルアミドスラブゲルの各
レーンに一定量注入し、SDSを含むグリシン−トリス
緩衝液を泳動用緩衝液として、定電流で一定時間泳動さ
せる。
【0031】泳動後、ゲルをあらかじめ冷却しておいた
メタノールを含むグリシン−トリス緩衝液(転写用緩衝
液)に一定時間浸漬し、平衡化する。ゲルを陰極側、転
写用支持体を陽極側としてブロッティング装置に装着す
る。転写槽には転写用緩衝液を加え、氷冷下、定電圧で
一定時間転写を行なう。転写後、Tween20を含む
リン酸生理緩衝液(PBS)で転写用支持体を洗浄し、
スキムミルクを含むPBSで一定時間、一定温度でマス
キングを行なう。
【0032】次に、抗ヒトアルブミン抗体をBSAを含
むPBSにて希釈し、一定温度で一定時間反応させる。
さらに、反応後Tween20を含むPBSで洗浄し、
あらかじめBSAを含むPBSにて一定濃度に希釈した
酵素標識二次抗体を一定温度で一定時間反応させ、ヒト
アルブミン分解物の検出を行なう。
【0033】〔等電点ゲル電気泳動法〕一般の電気泳動
はある特定のpHにおける電解質の荷電状態の差を利用
しているのに対し、等電点ゲル電気泳動法は両性電解質
がある値のpHにおいて、その実効電荷が0となり、泳
動しなくなるのを利用して、pH勾配をもったメディウ
ム中で泳動し、等電点の値に従ってタンパク質を分離し
ようとするものである。
【0034】pH勾配を作る担体としては両性電解質
(両性担体Carrier ampholytes)に
より容易にできる。両性担体はVestebergら
ActaChemScand.,20,820−
834,1966)によって開発されたものであるが、
最近、商品名Pharmalyte(ファルマシア社
製)など数社より市販されている。
【0035】等電点ゲル電気泳動に用いる支持体として
は(電気滲透のないことが条件であるが、この条件を満
たすものとして)ポリアクリルアミドゲルがあげられ
る。このゲルは通常、分子ふるい作用を有するが、等電
点ゲル電気泳動に用いる場合には分子ふるい効果は逆に
分離を悪くするため、通常5%あるいはそれ以下のゲル
として使用することが好ましい。
【0036】両性担体を含むゲルの作製については、種
々の実験書に述べられているが例えば、口野嘉幸、平井
久丸、櫻林郁之介(実験操作ブロッティング法、239
−241、ソフトサイエンス社、1987)らの方法が
参考になる。また市販品としてIEF PAGE mi
ni(登録商標)(テフコ株式会社)を利用することも
できる。これらの市販品はスラブゲルとなっており、多
数検体を処理するのに適している。
【0037】また、等電点ポリアクリルアミドゲル電気
泳動の条件は特に限定されるものではないが、電極液と
して通常、陰極液には0.1〜1.0M水酸化ナトリウ
ム、陽極液には0.01〜1Mリン酸が用いられる。検
体は両性担体とグリセロールを含む液で溶解し、試料液
として用いる。泳動電圧は100〜500V程度に変化
させて行なうのが好ましい。
【0038】泳動を終えた各種担体を転写する場合例え
ば、転写に用いる支持体としてはニトロセルロース膜、
アミノフェニルチオエーテルペーパー、アミノベンジル
オキシメチルペーパー、ジアミノエチルセルロースなど
が使用できるが、特にニトロセルロース膜が最適であ
る。ニトロセルロース膜はBA85(Schleich
er & Schuell社製)HAHY(Milli
pore社製)として市販されている。
【0039】なお、泳動を終えた等電点ゲルからの転写
はTowbinらの方法(ProcNatlAca
Sci.,76,4350−4354,1979)
に準じて行なう。この場合、ブロッティング緩衝液には
0.5〜1.0%酢酸を用い、ゲルと膜のセットは逆に
して膜を陰極側に装着する。通電下で転写された例えば
ニトロセルロース膜などの支持体上で特異的にヒトアル
ブミン分解物を検出するには、SDS−PAGE法で用
いた方法と同様の操作を行えば検出が可能である。
【0040】例えば、ニトロセルロース膜上に転写を終
えた膜をBSAやスキムミルクなどでマスキング後、抗
ヒトアルブミン抗体を反応せしめ、さらに酵素標識抗体
を作用させ、発色剤例えば過酸化水素水とジアミノベン
チジンなどを用いてヒトアルブミンとヒトアルブミン分
解物を発色せしめ、検出することができる。以下に、等
電点ゲル電気泳動、転写および発色法について、より具
体的に説明するが、本方法は1例であって、この方法に
限定されるものではない。
【0041】すなわち、等電点電気泳動、転写および発
色法については、まず被検者の尿の一定量に両性担体と
グリセロールを加え、試料液とする。次に試料液を両性
担体を含むポリアクリルアミドスラブゲルの各レーンに
一定量を注入し、泳動用緩衝液として陰極側に水酸化ナ
トリウム溶液、陽極側にリン酸溶液を加え、一定時間泳
動させる。
【0042】泳動後、ゲルをあらかじめ冷却しておいた
酢酸溶液に一定時間浸漬し、平衡化する。転写用支持体
を陰極側、ゲルを陽極側としてブロッティング装置に装
着する。転写槽には酢酸溶液を加え、氷冷下、定電圧で
一定時間転写を行なう。転写後、Tween20を含む
PBSで転写用支持体を洗浄し、スキムミルクを含むP
BSで一定時間、一定温度でマスキングを行なう。次に
抗ヒトアルブミン抗体をBSAを含むPBSにて希釈
し、一定温度で一定時間反応させる。反応後、Twee
n20を含むPBSで洗浄し、あらかじめBSAを含む
PBSにて一定濃度に希釈した酵素標識二次抗体を一定
温度で一定時間反応させ、ヒトアルブミン分解物の検出
を行なう。
【0043】〔セルロースアセテート膜電気泳動法〕こ
の方法はセルロースアセテート膜上に被検者の尿検体を
塗布し、電気泳動を行った後、ニトロセルロース膜に泳
動を完了したセルロースアセテート膜を転写するか、セ
ルロースアセテート膜上の蛋白質を直接固定化した後、
抗原抗体反応を行い、選択的にヒトアルブミン分解物の
検出を行うものである。一般にセルロースアセテート膜
は、セルロースの水酸基の一部ないし全部がアセチル基
で置換されたもので均質な細孔をもった膜にしたもので
ある。この膜は濾紙などの支持体と比較して次のような
利点がある。
【0044】すなわちa.薄く均質な多孔性の膜、b.
微量の検体で行える、c.泳動時のテーリング現象がほ
とんどない、d.各成分の分離が明瞭である、などの特
徴がある。特に各成分の分離が短い泳動距離で充分に達
成できることなどの利点を有しているので泳動時間の短
縮および支持体の狭小化を可能とし、その結果泳動装置
をより小型化し、ひいては多数の検体を同時に処理し自
動化することが可能となる。セルロースアセテート膜電
気泳動法は血清タンパク分画法などの日常検査の中でも
スクリーニング試験の1つとして広く利用されている。
【0045】本法に用いるセルロースアセテート膜およ
び電気泳動装置は通常使用されているものでよい。セル
ロースアセテート膜は各種市販されているが、タイタン
III (ヘレナ研究所社製)は裏面をプラスチック板でラ
ミネートされているので強度的に好適である。
【0046】セルロースアセテート膜電気泳動の条件は
特に限定されるものではないが、泳動用緩衝液としては
一般に血清タンパク分画法に用いられるベロナール緩衝
液(pH8.6)も使用できるが、より明確な分離を行
なうには0.2〜0.4Mトリス−グリシン緩衝液(p
H9.0〜9.2)が好適である。検体塗布量は幅1c
m当り、一般的には、0.4〜1.2μlとされている
が、ヒトアルブミンとヒトアルブミン分解物の分離が可
能であれば特に規定する必要はない。通電条件について
も通常行われている方法であれば問題ないが、50〜2
00V程度の電流を選択するのが望ましい。
【0047】泳動を完了したセルロースアセテート膜か
らの転写方法は通常ニトロセルロース膜のごとき支持体
を重ね合せ、室温で数分間圧着しておくことで達成され
る。なお、転写に用いる支持体はSDSポリアクリルア
ミドゲル又は等電点ゲルに用いられるものと同様の製品
でよい。また、泳動を完了したセルロースアセテート膜
に蛋白質変性剤を加え、直接固定化することもできる。
【0048】ニトロセルロース膜またはセルロースアセ
テート膜上で抗原抗体反応を行なう場合には非特異反応
を抑制する必要があるが、この方法はSDS−PAGE
法および等電点ゲル電気泳動法と同様の方法でよい。セ
ルロースアセテート膜電気泳動では試料の添加量が少な
いため、抗原抗体反応の感度をさらに上げる必要があ
る。
【0049】検出感度を上げる方法としては種々ある
が、アビジン−ビオチン法が適している。すなわち、抗
ヒトアルブミン抗体を反応させた後、2次抗体にビオチ
ンを結合させたビオチン化2次抗体を反応させ、さらに
酵素標識アビジンを反応させる方法である。ビオチン化
抗体はCappel社、酵素標識アビジンはZymed
社などで市販されており容易に入手することができる。
またアビジン、ビオチン以外の抗ヒトアルブミン抗体、
酵素の検出試薬についてはSDS−PAGE法、等電点
ゲル電気泳動法で用いたものでよい。
【0050】以下にセルロースアセテート膜の電気泳
動、転写および発色法について例示するが、本例は1例
であって、これに限定されるものではない。すなわち、
セルロースアセテート膜の電気泳動、転写および発色法
については、まず被検者の尿の一定量をアプリケーター
でセルロースアセテート膜に塗布を行う。なお、セルロ
ースアセテート膜は泳動用緩衝液であらかじめ平衡化し
ておく。
【0051】市販の泳動装置に装着し、陽極側にトリス
−グリシン緩衝液、陰極側にバルビタールナトリウム−
ホウ酸緩衝液を加え、泳動を定電圧で行う。泳動後、あ
らかじめメタノールを含むグリシン−トリス緩衝液で平
衡化したニトロセルロース膜にセルロースアセテート膜
を数分間圧着する。ヒトアルブミンおよびヒトアルブミ
ン分解物が転写されたニトロセルロース膜に抗ヒトアル
ブミン抗体を一定温度で一定時間反応させる。
【0052】界面活性剤を添加したPBSでニトロセル
ロース膜を洗浄し、ビオチン化した抗IgG抗体を一定
温度で一定時間反応させる。さらに洗浄を行った後、酵
素標識アビジンを一定温度で一定時間反応させる。洗浄
後、発色剤により発色を行ないヒトアルブミン分解物の
有無を確認する。次に、セルロースアセテート膜上で泳
動後、ヒトアルブミンおよびヒトアルブミン分解物を直
接固定化したのちに発色せしめヒトアミブミンおよびヒ
トアルブミン分解物のみを特異的に検出する方法につい
て例示するが、本例はその1例であってこれに限定され
るものではない。
【0053】被検者の一定量の尿をアプリケーターでセ
ルロースアセテート膜に塗布を行う。なお、セルロース
膜は泳動用緩衝液であらかじめ平衡化しておく。市販の
泳動装置に装着し、陽極側にトリス−グリシン緩衝液、
陰極側にバルビタールナトリウム−ホウ酸緩衝液を加
え、泳動を一定の電圧で行う。泳動後、セルロースアセ
テート膜にトリクロロ酢酸−スルホサリチル酸液を加
え、ヒトアルブミンおよびヒトアルブミン分解物の固定
を行う。その後、純水で洗浄して抗ヒトアルブミン抗体
を一定温度で一定時間反応させる。界面活性剤を添加し
たPBSでセルロースアセテート膜を洗浄し、ビオチン
化した抗IgG抗体を一定温度で一定時間反応させる。
さらに洗浄を行った後、酵素標識アビジンを一定温度で
一定時間反応させる。洗浄後、発色剤により発色を行な
いヒトアルブミン分解物の有無を確認する。
【0054】〔液体クロマトグラフ法〕液体クロマトグ
ラフィーの手法には、吸着クロマトグラフィー、イオン
交換クロマトグラフィー、パーティションクロマトグラ
フィー、ゲルフィルトレーションクロマトグラフィーさ
らにはアフィニティークロマトグラフィーなどがある
が、尿中のアルブミン分解物の分離分析にはこれらの液
体クロマトグラフィーの手法を単独もしくは各種液体ク
ロマトグラフィーの組合せで達成することができる。本
発明においてはアフィニティークロマトグラフィーとゲ
ルフィルトレーションクロマトグラフィーの組合せの例
を示すが、これに限定するものではない。
【0055】まず、被検者の尿中よりヒトアルブミンと
ヒトアルブミン分解物の混合物を得るためには、抗ヒト
アルブミン抗体を結合した担体を用いるアフィニティー
クロマトグラフィーが有利に利用できる。担体への抗体
の結合は通常アガロースのような多糖類をハロゲン化シ
アン、特にシアノジェンブロマイド(BrCN)で処理
して得られる活性化アガロースに蛋白質のアミノ基を介
して共有結合させる方法が一般に利用されている。(A
xen,R.,Porath,J.& Ernbac
k,S.Nature214,1302,1967)
【0056】アフィニティークロマトグラフィーに用い
る担体としては種々の多糖類などが報告され、担体と抗
体の結合は容易になされる。例えば、セファロース4B
(ファルマシア社製)をアルカリ条件(pH11−1
2)下でBrCNと反応せしめ、BrCN活性化セファ
ロース4Bを作製する。タンパク質溶液、この場合には
抗ヒトアルブミン抗体などを通常pH8−10の条件下
で加え、撹拌することにより目的のアフィニティークロ
マト用担体を得ることができる。
【0057】BrCNは毒物であるので、CNBr−a
ctivated Sepharose 4B(登録商
標)(ファルマシア社製)を用いれば容易にタンパク
質、この場合には抗ヒトアルブミン抗体などをカップリ
ングさせることができる。さらに近年、高速液体グラフ
ィー用の活性化型担体も市販され、利用することができ
る。すなわち親水性ポリマーを利用したTSKgel
G5000PW(東ソー社製)にトレシル基を導入した
TSKgel Tresyl−5PW(東ソー社製)が
あり、これは蛋白質分子の一級アミノ基あるいはチオー
ル基と反応する担体である。
【0058】リガンド部分に使用するタンパク質例え
ば、抗ヒトアルブミン抗体はいずれの動物種で得られた
ポリクロナール抗体、またはモノクロナール抗体でも可
能であり、自家調製でも容易に得ることができる。この
場合にはヒトアルブミンを家兎に免疫して得られた抗血
清をアフィニティーカラム(ヒトアルブミン−セファロ
ース4B)で精製することによりさらに純度のすぐれた
抗ヒトアルブミン抗体を得ることができる。アフィニテ
ィークロマトグラフィーにより得られるヒトアルブミン
とヒトアルブミン分解物の混合物はゲルフィルトレーシ
ョンクロマトグラフィーによりヒトアルブミンとヒトア
ルブミン分解物に分離分析することが可能である。
【0059】一方、通常のセファデックス(ファルマシ
ア社製)などの担体をゲルフィルトレーションクロマト
グラフィーに用いることは可能であるが、サンプルが多
量に必要なこと、操作時間が長いことおよび再現性など
の点で問題となることもあり、通常余り好ましいとは言
えない。一方、高速液体クロマトグラフィーは短時間で
かつ、少量のサンプルで分離分析を行なうことができ、
さらに再現性にすぐれているなどの利点を有している。
通常蛋白質の高速液体クロマトグラフィーの充填剤とし
てはTSKgel(東ソー社製)、CPG−10(El
ectro−Nucleonics社製)、Prote
in column I−125(Waters社製)
などが市販されているが、この中でもTSKgelは分
子量からみて種々の排除限界を有する担体が揃ってお
り、担体への非特異的吸着が非常に弱く、タンパク質の
分離および分析には好適である。特に、TSKgel
G3000SW,TSKgel G3000SWxLお
よびTSKgel G2000SW,TSKgel G
2000SWxLは分子量からみてそれぞれの排除限界
は500KDa,100KDaであり、ヒトアルブミン
(67KD)とヒトアルブミン分解物の分離には両カラ
ムが適している。
【0060】次に測定法の概要を示すが本法はその1例
であってこれに限定されるものではない。被検者の一定
量の尿サンプルを抗ヒトアルブミン結合担体に吸着させ
洗浄後、酸性下で溶出を行いヒトアルブミンとヒトアル
ブミン分解物を得る。得られた混合液を直接、高速ゲル
フィルトレーションクロマトグラフィーに付し、溶離パ
ターンを紫外部(A280nm)の吸収により求める。
なお、検出感度をさらに向上させたい場合にはアフィニ
ティークロマトグラフィーの溶出液にFITCなどの蛍
光物質を結合させ高速ゲルフィルトレーションクロマト
グラフィーの溶離パターンを蛍光強度で求めることもで
きる。
【0061】
【実施例】次に実施例をもってさらに具体的に本発明を
説明するが、これによって本発明が限定されるものでは
ない。 〔実施例1〕尿中のヒトアルブミン分解物のSDS−PAGE法によ
る検出 (SDS−PAGE法) 尿の可溶化:2%SDS、2%2−メルカプトエタノー
ル、40%グリセリンを含む20mMトリス−塩酸緩衝
液(pH6.8)に尿を等量加え5分間沸騰浴中で可溶
化した。 電気泳動:Laemmliの方法に準じて行なった。 濃縮ゲル4%、分離ゲル12%のポリアクリルアミドゲ
ル(商品名SDS−PAGEmini、テフコ株式会社
製)を用いた。各レーンに可溶化した被検尿を10μl
注入した。泳動用緩衝液は0.1%SDSを含む380
mMグリシン−50mMトリス緩衝液(pH8.3)を
用い、泳動は20mAで1.5時間行なった。
【0062】(イムノブロット法) 転写:泳動後のポリアクリルアミドゲルをTowbin
らの方法により、ニトロセルロース膜(テフコ株式会社
製)に転写した。すなわち、泳動後のゲルをあらかじめ
冷却しておいた転写用緩衝液(20%メタノールを含む
190mMグリシン−25mMトリス緩衝液pH8.
3)に30分間浸漬し、平衡化する。ポリアクリルアミ
ドゲルを陰極側、ニトロセルロース膜を陽極側としてブ
ロッティング装置に装着する。転写槽にはあらかじめ冷
却した転写用緩衝液を入れる。転写は氷冷下42V、2
時間で行なった。
【0063】ヒトアルブミンの検出:転写後、0.05
%Tween20−PBS(pH7.2)でニトロセル
ロース膜を3回洗浄後、3%スキムミルク/PBSにて
4℃で1晩マスキングした。次にウサギ抗ヒトアルブミ
ン血清(MBL社製)を1%BSA/PBSにて1:2
00に希釈し、室温で1時間反応させた。反応後0.0
5%Tween20−PBSで3回洗浄し、1%BSA
/PBSにて1:400に希釈したHRPO抗ウサギI
gG抗体(Cappel社製)と室温で1時間反応させ
た。洗浄後、0.007%過酸化水素水と0.025%
3,3′−ジアミノベンチジンを含む0.05Mトリス
−塩酸緩衝液(pH7.2)(尾形研二、他、臨床病
理、31,215,1983)にて発色させた。反応停
止は蒸留水により行ない、ヒトアルブミン分解物の有無
を確認した。健常者について行なったところ、ヒトアル
ブミン(67KD)にのみにバンドが検出され、ヒトア
ルブミン分解物の存在は認められなかった。
【0064】〔比較例1〕健常者5名、糖尿病性腎症の
患者4名、糖尿病患者9名の尿について各々実施例1と
同様の操作でヒトアルブミン分解物の検出を行なった。
図1に健常者尿のイムノブロットパターンの結果を示
す。健常者5名はすべてヒトアルブミン(67KD)に
由来する1本のバンドしか検出されなかった。図2に健
常者の尿と糖尿病性腎症患者尿のイムノブロットパター
ンの結果を示す。糖尿病性腎症の患者ではヒトアルブミ
ン以外にさらに低分子域にヒトアルブミン分解物が4名
すべてに検出された。図3に健常者の尿と糖尿病患者尿
のイムノブロットパターンの結果を示す。糖尿病患者9
名のうち、6名にヒトアルブミン以外にさらに低分子域
にヒトアルブミン分解物が検出された。
【0065】〔比較例2〕比較例1で使用した尿サンプ
ルを用いて微量アルブミンの検出を行ない、本法との感
度における比較を行なった。なお、微量アルブミンの検
出にはアルブシュア(登録商標)(エーザイ株式会社)
を用いた。表1に結果を示す。
【0066】〔実施例2〕尿中のヒトアルブミン分解物の等電点電気泳動法による
検出 ヒト尿を下記に示すサンプルバッファーで5倍に希釈し
た。 〔サンプルバッファー:Servalyt(Serva
社)pH3−10,0.2ml、グリセロール3.0m
lを蒸留水で10mlとしたもの。〕 上記で調製した尿試料液をIEF PAGEmini
pH3−10(テフコ社製)のレーンに10μl注入し
た。泳動緩衝液は陰極側に0.05M NaOH、陽極
側に0.01M H3 PO4 を用い、100V30分、
200V30分、500V60分と段階的に電圧をかけ
て泳動を行なった。泳動後、ゲルをあらかじめ冷却して
おいた0.5%酢酸に30分浸漬し平衡化した。ニトロ
セルロース膜(S&S社製)をブロッティング装置の陰
極側にポリアクリルアミドゲルを陽極側に装着した。転
写槽にはあらかじめ冷却した0.5%酢酸を入れ、転写
は氷冷下42V、2時間で行なった。
【0067】転写後、0.05%Tween20−PB
S(pH7.2)でニトロセルロース膜を3回洗浄後、
3%スキムミルク/PBSにて4℃、1晩マスキングし
た。次にウサギ抗ヒトアルブミン血清(MBL社製)を
1%BSA/PBSにて1:200に希釈し、室温で1
時間反応させた。反応後、0.05%Tween20−
PBSで3回洗浄し、1%BSA/PBSにて1:40
0に希釈したHRPO抗ウサギIgG抗体(Cappe
l社製)と室温で1時間反応させた。洗浄後、0.00
7%過酸化水素水と0.025%3,3′−ジアミノベ
ンチジンを含む0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH
7.2)(尾形研二、他、臨床病理,31,215,1
983)にて発色させた。発色後、蒸留水で洗浄しヒト
アルブミン分解物の有無を確認した。なお、健常者の尿
について行なったところ、対照のヒトアルブミン(67
KD)と移動度が同じ等電点(以下pIと略す)4.0
付近に単一バンドとして検出された。
【0068】〔比較例3〕健常者1名、糖尿病患者2
名、糖尿病性腎症の患者1名について等電点電気泳動転
写法にて検出を行なった。その結果を図4に示す。健常
者および糖尿病患者1についてはヒトアルブミン(67
KD)に由来するバンドがpI 4.0付近に単一バン
ドとして認められたが、糖尿病患者2および糖尿病性腎
症の患者についてはpI5〜7付近にヒトアルブミン分
解物が数本から十数本のバンドとして認められた。
【0069】〔実施例3〕セルロースアセテート膜からの転写発色法を用いた尿中
のヒトアルブミン分解物の検出 (電気泳動操作)0.34Mトリス−グリシン緩衝液
(pH9.1)にて平衡化したセルロースアセテート膜
(商品名タイタンIII −ZZ、ヘレナ研究所社製)に尿
サンプルをアプリケーター(商品名スーパーZアプリケ
ーター、ヘレナ研究所社製)を用い、約1μlを塗布し
た。泳動用緩衝液は陽極側に0.34Mトリス−グリシ
ン緩衝液(pH9.1)、陰極側に0.05Mバルビタ
ールナトリウム−ホウ酸緩衝液(pH8.9)(商品名
エレクトラACバッファー、ヘレナ研究所社製)を用
い、泳動条件は100Vで45分間で行った。
【0070】(転写操作)泳動後のセルロースアセテー
ト膜をニトロセルロース膜に転写するにあたり、泳動後
のセルロースアセテート膜に20%メタールを含む0.
19Mグリシン−0.025Mトリス緩衝液(pH8.
3)で平衡化したニトロセルロース膜を圧着し、室温で
5分間転写を行った。
【0071】(発色操作)ウサギ抗ヒトアルブミン抗体
(MBL社製)を1%BSA/PBSにて1:400に
希釈し、室温で30分反応させた。反応後、0.05%
Tween20−PBSで3回洗浄し、1%BSA/P
BSにて1:2000に希釈したビオチン抗ウサギIg
G抗体(Cappel社製)と室温で30分間反応させ
た。次に0.05%Tween20−PBSで洗浄後、
ストレプトアビジン−HRPO(Zymed社製)を1
%BSA/PBSにて1:1000に希釈し、室温で3
0分間反応させた。反応後、0.05%Tween20
−PBSで洗浄を行い、0.007%過酸化水素水と
0.025%3,3′−ジアミノベンチジンを含む0.
05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)にて発色させ
た。発色後、純水で洗浄しヒトアルブミン分解物の有無
を確認した。健常者の尿について行ったところ、対照の
ヒトアルブミン(67KD)と移動度が同じ単一バンド
で検出され、ヒトアルブミン分解物の存在は認められな
かった。
【0072】〔実施例4〕セルロースアセテート膜上での直接固定化発色法による
尿中のヒトアルブミン分解物の検出 (電気泳動操作)0.34Mトリス−グリシン緩衝液
(pH9.1)にて平衡化したセルロースアセテート膜
(商品名タイタンIII −ZZ、ヘレナ研究所社製)に被
検尿をアプリケーター(商品名スーパーZアプリケータ
ー、ヘレナ研究所社製)を用い、約1μl塗布した。泳
動用緩衝液は陽極側に0.34Mトリス−グリシン緩衝
液(pH9.1)、陰極側に0.05Mバルビタールナ
トリウム−ホウ酸緩衝液(pH8.9)(商品名エレク
トラACバッファー、ヘレナ研究所社製)を用い、泳動
条件は100Vで45分間行った。
【0073】(タンパク質の固定化操作)泳動終了後、
5%トリクロロ酢酸−5%スルホサリチル酸液でセルロ
ースアセテート膜上のタンパク質を固定し、蒸留水で3
回洗浄した。
【0074】(発色操作)ウサギ抗ヒトアルブミン抗体
(MBL社製)を1%BSA/PBSにて1:400に
希釈し、室温で30分反応させた。反応後、0.05%
Tween20−PBSで3回洗浄し、1%BSA/P
BSにて1:2000に希釈したビオチン抗ウサギIg
G抗体(Cappel社製)と室温で30分反応させ
た。次に0.05%Tween20−PBSにて洗浄
後、ストレプトアビジン−HRPO(Zymed社製)
を1%BSA/PBSにて1:1000に希釈し、室温
で30分反応させた。反応後、0.05%Tween2
0−PBSにて洗浄を行い、0.007%過酸化水素水
と0.025%3,3′−ジアミノベンチジンを含む
0.05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)にて発色
させた。発色後、蒸留水で洗浄してヒトアルブミン分解
物の有無を確認した。健常者の尿について行ったとこ
ろ、対照のヒトアルブミン(67KD)と移動度が同じ
単一バンドで検出され、ヒトアルブミン分解物の存在は
認められなかった。
【0075】〔比較例4〕健常者1名、糖尿病患者2
名、糖尿病性腎症の患者1名について、各々の尿を先の
実施例3,4で記載した方法すなわち、セルロースアセ
テート膜からの転写発色法およびセルロースアセテート
膜上での直接固定化発色法を用い、それぞれの泳動パタ
ーンの比較を行った。その結果を図5にセルロースアセ
テート膜からの転写発色法でのイムノブロットパターン
を示す。健常者および糖尿病患者1についてはヒトアル
ブミン(分子量67,000)に由来する単一バンドの
みが検出された。一方、糖尿病患者2および糖尿病性腎
症の患者では、アルブミン分解物が数多くのバンドとし
て検出された。一方、図6にセルロースアセテート膜上
での直接固定化発色法のイムノブロットパターンの結果
を示す。セルロースアセテート膜からの転写発色法と同
様の泳動パターンを示したが、拡散または発色などの強
弱によりヒトアルブミン分解物の各バンドが巾の広いバ
ンドとして検出された。
【0076】〔実施例5〕ゲルフィルトレーションクロマトグラフィーによるヒト
アルブミンとヒトアルブミン分解物(BrCN分解)の
分離分析 (標品の調製)ヒトアルブミンの標品はクロマトグラフ
ィーによる精製品(Cappel社製)を用いた。一
方、BrCNによるアルブミン分解物はMcMenam
yらの方法(BiolChem.,246,47
44−4750,1971)に準じて調製した。すなわ
ち、ヒトアルブミン(フラクションV、シグマ社製)1
gを蒸留水4mlに溶解した後、蟻酸16ml、BrC
N1gを加え、4℃、24時間反応させた。次に、あら
かじめ1%プロピオン酸で平衡化したセファデックスG
−25(ファルマシア社製)に付し、280nmの吸収
を示す画分を集め、アルブミン分解物800mgを得
た。
【0077】(ゲルフィルトレーションクロマトグラフ
ィー)TSKgel G3000SW(7.5mmφ×
60cm)を、pH3.0の0.55Mグリシン−塩酸
緩衝液を作り、これにNaClを0.15モルになるよ
うに加え、さらにSDSを0.1重量%になるように加
え、均一な溶液とし、これを用いて平衡化を行った。ヒ
トアルブミンおよびヒトアルブミン分解物を上記緩衝液
で1mg/mlに溶解した。ヒトアルブミン分子にはS
−S結合が17個所にわたって存在するため1%2−メ
ルカプトエタノールを加えた試料も別途に調製した。こ
の試料をカラムに100μl注入し、溶離液を流速0.
6ml/minで通液し、検出は紫外部(A280n
m)で行った。その結果を図7に示すように、非還元条
件下でヒトアルブミンは単一のピークとして示される
が、ヒトアルブミン分解物は4つのピークに分離した。
また、還元条件下ではヒトアルブミンは非還元と同様に
単一ピークであるがヒトアルブミン分解物は先きの4ピ
ークがさらに低分子領域に移動し、還元条件下でのクロ
マトグラフィーの方が分子量の差による分離が明確に示
された。
【0078】〔実施例6〕糖尿病患者尿を用いたアフィニティークロマトグラフィ
ー、ゲルフィルトレーションクロマトグラフィーの組合
せによるヒトアルブミン分解物の検出 (その1)(抗ヒ
トアルブミン抗体−セファロース4Bの調製法) CNBr−activated Sepharose
4B(登録商標)(ファルマシア社製)3g(約10m
lのゲル)を1mM HCl中で膨潤させ、1mM H
Cl 500mlで洗浄後、0.5M NaClを含む
0.1M NaHCO3 溶液(pH8.3)(以下カッ
プリングバッファーと呼ぶ)500mlで洗浄を行っ
た。あらかじめカップリングバッファーに溶解したアフ
ィニティークロマトグラフィーで精製したウサギ抗ヒト
アルブミン抗体50mgを加え、室温2時間反応させ
た。その後、カップリングバッファー500mlで洗浄
後、0.2Mグリシン溶液、pH8.0 50mlで室
温、2時間残存活性基をブロックし、過剰の吸着タンパ
ク質を除去するため、カップリングバッファーと0.5
5Mグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)で交互にアフ
ィニティークロマトグラフ用担体を洗浄した。本担体は
1mlゲルあたり5mgの抗ヒトアルブミン抗体が結合
したものであった。
【0079】(イムノアフィニティークロマトグラフィ
ー)尿サンプル(2ml)をあらかじめ5mMホウ酸緩
衝液(pH8.0)で平衡化した抗ヒトアルブミン抗体
−セファロース4B(3ml)に吸着させた。吸着後5
倍量の5mMホウ酸緩衝液(pH8.0)で洗浄し、
0.5Mグリシン緩衝液(pH3.0)にて溶出を行っ
た。紫外部(A280nm)の吸収を示す分画を集めヒ
トアルブミンおよびヒトアルブミン分解物の混合液(2
ml)を得た。
【0080】(TSKgel G3000SWを用いた
アルブミンとアルブミン分解物の分離分析)TSKge
l G3000SW(7.5mmφ×60cm)を、p
H3.0の0.55Mグリシン−塩酸緩衝液を作り、こ
れにNaClを0.15モルになるように加えさらにS
DSを0.1重量%になるように加え、均一な溶液と
し、これを用いて平衡化を行った。イムノアフィニティ
ークロマトグラフィーの溶離液〔ヒトアルブミンとヒト
アルブミン分解物の混合液(1ml)〕に終濃度0.1
%になるようにSDSを加え、その100μlを注入し
た。溶離液は流速0.6ml/min通液し、検出は紫
外部(A280nm)で行った。
【0081】(尿サンプル)健常者1名、糖尿病患者2
名、糖尿病性腎症1名の尿について分析を行った。その
結果を図8に示すと、健常者および糖尿病患者1の尿で
はヒトアルブミンの単一ピークが認められたが、糖尿病
患者尿2ではヒトアルブミンのピークの他にヒトアルブ
ミン分解物のピークが認められた。さらに糖尿病性腎症
患者においてもヒトアルブミン分解物が顕著に認められ
た。
【0082】〔実施例7〕糖尿病患者の尿を用いたアフィニティークロマトグラフ
ィー、ゲルフィルトレーションクロマトグラフ法の組合
せによるヒトアルブミン分解物の検出 (その2) (抗ヒトアルブミン抗体−TSKgel 5PWの調
製)TSKgel Tresyl−5PW0.5gに
1.0Mリン酸カリウム2ml、ウサギ抗ヒトアルブミ
ン抗体20mgを加え、三角フラスコで室温16時間振
とうしながら固定化を行なった。固定された抗ヒトアル
ブミン抗体量はゲル1mlあたり9mgであった。この
抗ヒトアルブミン抗体−TSKgel 5PW(1.0
ml)を10mmφ×20mmにアスピレーターによる
減圧下で充填し、高速イムノアフィニティーカラムとし
た。カラムのヒトアルブミン結合量はゲル1mlあたり
2mgであった。
【0083】(抗ヒトアルブミン抗体−TSKgel
5PWを用いたヒトアルブミンおよびヒトアルブミン分
解物の精製)抗ヒトアルブミン抗体−TSKgel 5
PWカラム(10mmφ×20mm)を高速液体クロマ
トグラフ装置に装着し、0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.4)を流速2.0ml/minで洗浄した。尿検体
50〜100μlを注入し、溶出は0.1Mクエン酸−
塩酸(pH1.6)で行い、溶出時間は10分以内で完
了した。
【0084】(TSKgel G3000SWを用いた
ヒトアルブミンとヒトアルブミン分解物の分離)TSK
gel G3000SW(7.5mmφ×60cm)
を、pH3.0の0.55Mグリシン−塩酸緩衝液を作
り、これにNaClを0.15モルになるように加えさ
らにSDSを0.1重量%になるように加え、均一な溶
液とし、これを用いて平衡化を行った。イムノアフィニ
ティークロマトグラフィーの溶離液〔ヒトアルブミンと
ヒトアルブミン分解物の混合液(2ml)〕をpH3.
0に調整し、終濃度0.1%になるようにSDSを加え
た試料を100μl注入した。溶離液は流速0.6ml
/minで通液し、検出は紫外部(A280nm)で行
った。
【0085】(尿サンプル)健常者1名、糖尿病患者2
名、糖尿病性腎症1名の尿について分析を行ったが、実
施例6と全く同様な結果が得られたのでデーターは省略
した。
【0086】
【表1】
【0087】SDS−PAGE法による分析の結果、糖
尿病では本法9例中6例が陽性であったのに対し、微量
アルブミン検出法では全例陰性を示した。さらに、糖尿
病腎症では本法および微量アルブミン検出法とも全例陽
性であった。一方、健常者においては両方とも全例陰性
であった。したがって、本法は糖尿病に対して従来の方
法より感度が良く、特に糖尿病の腎症の早期発見に役立
つことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】SDS−PAGE法による健常者5名の免疫転
写法のパターンを示す写真である。
【図2】SDS−PAGE法による健常者と糖尿病性腎
症4名の免疫転写法のパターンを示す写真である。
【図3】SDS−PAGE法による健常者と糖尿病9名
の免疫転写法のパターンの写真である。
【図4】等電点ゲル電気泳動−免疫転写法による健常者
と糖尿病患者の尿中のヒトアルブミンおよびヒトアルブ
ミン分解物の比較である。
【図5】セルロースアセテート膜電気泳動−免疫転写法
による健常者と糖尿病患者の尿中のヒトアルブミンおよ
びヒトアルブミン分解物の比較である。
【図6】セルロースアセテート膜電気泳動−免疫直接発
色法による健常者と糖尿病患者の尿中のヒトアルブミン
およびヒトアルブミン分解物の比較である。
【図7】ヒトアルブミンをBrCNで分解したヒトアル
ブミン分解物の高速液体クロマトグラムである。
【図8】高速液体クロマトグラフィーによる健常人およ
び糖尿病患者の尿中のヒトアルブミン、ヒトアルブミン
分解物の比較である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/493 A 7055−2J 33/561 9015−2J 33/68 7055−2J

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微量アルブミン尿(マイクロアルブミン
    ウリヤ)を呈しない糖尿病患者の尿中のヒトアルブミン
    分解物を検出することによる糖尿病性腎症の早期診断
    法。
  2. 【請求項2】 上記の微量アルブミン尿を呈しない糖尿
    病患者の尿中のヒトアルブミン分解物の検出が電気泳動
    法で尿中のタンパク質を分離後、免疫化学的分析方法に
    より検出する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 微量アルブミン尿を呈しない糖尿病患者
    の尿をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動または等
    電点ゲル電気泳動で尿中のタンパク質を分離後、ゲル中
    の分離されたタンパク質を転写用支持体に転写固相化
    し、該固相化支持体に一次抗体として抗ヒトアルブミン
    抗体を反応させた後、酵素を標識した2次抗体を反応さ
    せ、しかる後、酵素の検出試薬を用いてヒトアルブミン
    とヒトアルブミン分解物を着色させ、ヒトアルブミン分
    解物を検出することを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 微量アルブミン尿を呈しない糖尿病患者
    の尿をセルロースアセテート膜上で電気泳動を行うこと
    により、尿中のタンパク質を分離して、次いで膜上の分
    離されたタンパク質を直接または転写用支持体に固相化
    し、該固相化支持体に一次抗体として抗ヒトアルブミン
    抗体を反応させた後、二次抗体としてビオチン抗IgG
    抗体を反応させ、さらに酵素標識したアビジンを反応さ
    せ、しかる後に酵素の検出試薬を用いてヒトアルブミン
    とヒトアルブミン分解物を着色させ、ヒトアルブミン分
    解物を検出することを特徴とする請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記微量アルブミン尿を呈しない糖尿病
    患者の尿中のヒトアルブミン分解物の検出が液体クロマ
    トグラフィーを用いた分析方法である請求項1記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 微量アルブミン尿を呈しない糖尿病患者
    の尿から抗ヒトアルブミン抗体を用いたアフィニティク
    ロマトグラフィーにより、ヒトアルブミンとヒトアルブ
    ミン分解物の混合物を収得し、さらにこの混合物をゲル
    クロマトグラフィーを用いてヒトアルブミンとヒトアル
    ブミン分解物に分離することによりヒトアルブミン分解
    物を検出することを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 アフィニティークロマトグラフィーのリ
    ガンドが抗ヒトアルブミン抗体である請求項6記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 ゲルフィルトレーションに用いる担体が
    タンパク質の分離分析に用いられる担体である請求項6
    記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002042774A1 (fr) * 2000-11-24 2002-05-30 Japan Science And Technology Corporation Methode hautement efficace de criblage d'anticorps
CN109765380A (zh) * 2018-12-27 2019-05-17 郑州大学第一附属医院 一种检测早期糖尿病肾病的标记物及应用方法

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