JP4903965B2 - 敗血症マーカーとしてのインター−アルファ−トリプシン - Google Patents

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、細菌感染症に関する。
【0002】
背景
敗血症は、例えば、細菌感染などの感染症に全身性の応答である。グラム陰性細菌に由来するエンドトキシン、またはグラム陽性細菌に由来するエキソトキシン(エンドトキシン様の応答を開始させることができる)によって広く引き起こされる。この全身応答によって敗血性ショックが起きることがあるが、これは、血圧の急激な低下、心臓血管の崩壊、および/または多臓器障害などの特徴を有する。敗血性ショックと診断された患者の死亡率は、35〜45%にもなることがある。これまでの診断手段を用いては、迅速かつ確実に敗血症を検出することは困難であった。
【0003】
概要
本発明は、哺乳動物において敗血症を診断する方法を提供する。本方法は、敗血症と診断され、敗血症の治療を受けているヒトの結果を予測する予後手段としても有用である。
【0004】
哺乳動物に由来する、例えば、血液、血漿、または血清などの体液と、インター-アルファ-トリプシンインヒビター(ITI)ポリペプチドに結合するリガンドを、ITI-リガンド複合体を形成させるのに十分な条件下で接触させる段階、およびこの複合体を検出する段階によって、哺乳動物における敗血症を診断または予後診断する方法を提供する。哺乳動物は、好ましくは、ヒト患者であるが、本アッセイ法は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシなどの動物における敗血症を診断または予後診断するために、獣医学的用途に応用することもできる。好ましくは、リガンドは、ヒトITI軽鎖のエピトープに結合する。哺乳動物の成体だけでなく、新生児などの乳児における敗血症を診断または予後診断するために、ITIをマーカーとして使用する。
【0005】
ITIの正常値と比較して、被検試料におけるITI量が低下していれば、敗血症の診断が下されることを示している。ITIの正常値よりも少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも50%減少したITI量であれば、敗血症の診断下されることを示している。例えば、正常なITI量は、血漿中のITIが約1.2 mg/mlであるから、ITI量が0.6 mg/ml(または、それ以下)であれば敗血症の診断が下される。予後目的では、ITIの診断値よりも少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも50%減少したITI量であれば、死亡する危険性が高い(すなわち、予後が悪い)ことを示している。例えば、ITIの診断値は、血漿中でITIが0.6 mg/mlであるから、ITIが0.3 mg/ml(または、それ以下)という値であれば、予後が不良であると予測する、例えば、敗血性ショックおよび/または死に至ると予想されることになる。
【0006】
本方法で用いられるITI-リガンドは、体液の中でITIと検出可能な複合体を形成するものである。例えば、リガンドは、抗体またはITI-結合抗体断片であり、例えば、Fabもしくは(Fab)2断片;操作された一本鎖Fv分子;または、例えばマウスに由来する、ある抗体の結合特異性と、例えばヒトに由来する別の抗体が残りの部分になっているものとを含む抗体などのキメラ分子である。好ましくは、この抗体は、mAb69.31などのモノクローナル抗体(mAb)である。あるいは、リガンドは、合成またはタンパク質分解によって生成された、ITI軽鎖に結合するペプチドである。検出を行うためには、例えばITI特異的抗体などのリガンドを、例えば比色マーカーまたは放射性同位体マーカーを用いて、直接または間接的に標識する。(ITI-特異的抗体に結合したITI抗原を含む)免疫複合体の量を定量して、液体中のITI量を決定し、液体中のITI量を正常な対照用ITI量(例えば、以前決定された基準値、または健常であることが分かっている被験者のITI量)と比較する。本発明で主張されるアッセイ法は、迅速に(これまでの菌血症や敗血症の精密検査から結果を得るよりも短い時間で)、正確かつ確実に敗血症を診断する。
【0007】
敗血症の予後も、ITIを長期間にわたって測定することにより判定する。例えば、本方法は、(a)哺乳動物の体液を、ITI-リガンド複合体を形成させるのに十分な条件下で、ITIポリペプチドに結合するリガンドに接触させる段階、およびこの複合体を検出する段階;(b)複合体の量を定量して、体液中のITI量を測定する段階;および(c)体液中のITI量を長期間にわたって比較する段階であって、長時間にわたって採取された被検試料中のITI濃度が低下していれば予後不良を示すという段階を含んでいる。患者の体液中におけるITI量の長時間にわたる変化を比較することによって、敗血症の重篤度の変化を監視する。このような一時的なデータを用いて、患者の治療コースを決定する。
【0008】
例えば、mAb69.31のようなITI-特異的抗体など、診断または予後のアッセイ法を実施するための試薬をまとめてパッケージングしてキットとすることもできる。哺乳動物における敗血症を診断または予後診断するためのキットには、例えば、ITI軽鎖に結合する抗体または抗体断片などのリガンド、およびITI軽鎖に結合したリガンドを含む複合体を検出する手段が含まれる。検出手段は、好ましくは、比色マーカーまたは放射線同位体マーカーである。例えば、固相上に抗体を固定して、ITI-リガンド複合体を検出するのに適した他の試薬とともにパッケージングする。酵素に結合した試薬をキットに入れることも可能である。いくつかの態様において、抗体またはITIリガンドを、測定プレート、測定ウエル、ニトロセルロース膜、ビーズ、ディップスティック(dipstick)、または溶出用カラムの成分などのような固相上に固定する。固定された抗体は捕捉抗体として作用するので、二次抗体を用いて免疫複合体(例えば、mAb69.31に結合しているITI抗原)を検出する。このキットは、精製したITIポリペプチドまたは精製したITI複合体を対照として任意に含むことができる。ポリペプチドまたは複合体は、天然源から精製するか、または組換えによって生産される。また、キットは、二次抗体、または上記のような他の検出マーカーを含んでもよい。例えば、二次抗体またはマーカーは、例えば放射性同位元素、蛍光色素、またはその他の検出手段を用いて標識される。
【0009】
敗血症を治療する方法、または敗血症に伴う死の危険を低下させる方法も本発明に含まれる。哺乳動物において敗血症を治療する方法には、敗血症を罹患する哺乳動物または敗血症を発症する危険性を有する哺乳動物を同定する段階、および哺乳動物にITI組成物を投与する段階が含まれる。ITI組成物は、ITI軽鎖ポリペプチド、またはITI軽鎖ポリペプチドとITI重鎖ポリペプチドとの複合体を含む。あるいは、ITI組成物は、例えば、ITIポリペプチドをコードする合成オリゴヌクレオチドなどのITIポリペプチドをコードする核酸を含む。ITI組成物は、好ましくは、静脈内に投与される。
【0010】
本発明の上記以外の特徴、目的、および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲の記載より明らかであると思われる。
【0011】
詳細な説明
迅速かつ確実に敗血症を検出することが、敗血性ショックおよび死を防止すべく適時に介入するために重要となる。本明細書に記載する方法を用いて、敗血症を発症しているか、その危険性があると思われる個体の体液中のITIを検出する。このような個体とは、尿生殖管、肝臓または胆(肝臓分泌)管、消化管、および肺に感染症を有する個体である。入院している個体もまた、敗血症を発症する危険性がある。例えば、静脈ライン、手術による創傷、外科的排出、または例えば、皮膚の潰瘍や褥瘡のような皮膚の損傷などの部位から発生する院内感染によって敗血症になることがある。高齢の患者や免疫力のない患者は、特にこの危険性が高い。
【0012】
敗血症に関係するリスク因子には、近年の細菌性肺炎、髄膜炎、抗生物質に反応しない尿道感染症、骨髄炎、細菌性腹膜炎、近年の歯科処置、近年の内視鏡処置、近年の心臓血管処置、留置導尿カテーテル、近年の大手術、セリュライト(cellulite)、または近年の抗体による治療法が含まれる。
【0013】
ITI は敗血症に対する診断および予後マーカーである
ヒトITIは、比較的高濃度(約0.8 mg/ml)で血漿内に存在する複合糖タンパク質である。これは、グリコアミノグリカン結合で共有結合した1つの軽鎖ポリペプチドと2つの重鎖ポリペプチドからなる。軽鎖は、ビクニン(bikunin)と呼ばれ、エラスターゼ、プラスミン、およびカテプシンGなど、凝血や炎症のネットワークに関係するさまざまなセリンプロテアーゼを阻害する。ビクニンは、セリンプロテアーゼによる活性化を受けると、ITI複合体から切り出されて、直ちに腎臓から分泌される。例えばmAb69.31などのヒトITIに対して特異的なモノクローナル抗体を用いて、競合的ELISAアッセイ法を開発した。このアッセイ法は、体液中のヒトITI量を定量的に測定するために使用される。
【0014】
25人の敗血症患者から血液試料を採集して、ITI量を測定するために血漿を分離した。その結果、敗血症患者の血漿ITI量は、健常な自発的提供者の血漿ITI量に較べて20〜90%減少していた。血漿ITI量の減少度は患者の死亡率と相関していた。ITI量が大きく減少している患者(血漿中濃度<0.3 mg/ml)ほど死亡率が高かった。ITI量の平均値±SDは、生存者(0.58±0.13 mg/ml)に比べ、非生存者(0.35±0.20 mg/ml)では有意に低かった。このような違いは、重度の敗血症を起こしてから7日後まで続いた(p<0.05)。
【0015】
本明細書に記載されたアッセイ法は、敗血症を診断するために用いられ、且つ敗血症に伴う死亡の危険性を低下させるためにより積極的な治療を要する敗血症患者の亜集団を識別するための予後マーカーとして用いられる。ITIは、治療において敗血症による死亡率を低下させるために投与される。例えば、臨床転帰を向上させるための代償療法において、血漿ITI量が低い敗血症患者にITIが投与される。
【0016】
ITIの治療目的での投与は、ラット盲腸結紮穿刺(CLP)による複数菌敗血症モデルを用いて評価された。その結果、CLPを行なった1時間後に体重1kg当たり30 mg用量のITIを静脈内投与した場合に、溶媒処理した敗血症ラットで生存率が30%であったものが89%(p<0.05; n=9〜10)に上昇することが示された。この結果は、血漿ITI量の減少が敗血症患者の高死亡率に関係しており、ITI投与によって、敗血症が原因となる致死率が低下することが示された。
【0017】
新生児敗血症
成人または新生児の敗血症の診断は、一般的には、例えば、新生児の血液を採取して、細菌細胞を培養し、血液細胞数を数えるなど、標準的な菌血症の診断検査法を用いて実施される。ヒト新生児敗血症は、B群連鎖球菌、大腸菌、リステリア菌、およびウイルスを含む、さまざまな病原菌によって起こりうる。
【0018】
通常の新生児敗血症の精密検査には、いくつか不利な点がある。乳児から採取できる血液容量は、通常の検査を行なうには最適とはいえないことが多く(成人から採取できる血液容量の5〜10倍少ない)、精密検査には3日かかることがある。母親が抗生物質による治療を受けているときには、新生児に細菌が存在したとしても、その細菌培養の結果が陰性になることがある。
【0019】
ヒトの乳児患者の敗血症を検出するには、常法を用いて、乳児から血液試料を採取する。新生児にとっては、採取できる血液試料の量は一般的には200 μlである。標準的な医療行為によって、乳児の大きさおよび年齢を考慮しながら、試料の量を増加させることができる。200 μl前後の血液試料の量を用いることができる。母親に、新生児敗血症に対する臨床的なリスク因子があることが分かっている場合には、乳児の生まれた後、簡単な検査を行なうために、乳児から血液試料を採取する。母親によるリスク因子には、母親の発熱、胎児頻脈、出産12時間より前の羊膜破裂、羊水の悪臭(foul smelling amniotic fluid)、子宮圧痛、白血球数の増加、および胎便汚染羊水が含まれる。
【0020】
母親によるリスク因子の存在が知られていない場合には、乳児が感染の徴候を示したところで血液試料を採取する。乳児感染の徴候は、当技術分野において周知であり、呼吸困難、無呼吸、点状出血(皮下の小さな挫傷)、不規則な心拍、呼吸促迫、頻呼吸、大泉門の隆起、低血糖、および低核心温が含まれる。
【0021】
本明細書記載の方法は迅速で(すなわち、1日のうちに、大抵は数時間で結果を得ることができる)、患者血漿が少量あれば実施することができる(複数回の検査をするために4〜5 Tlよりも少ない血清または血漿)。
【0022】
ITI 特異的抗体の作製
標準的なサブトラクション免疫(subtractive immunization)プロトコールを用いて、2種類の異なるヒト血漿由来ヒト第VII因子調製物に対するmAbのパネルを作製した。まず、非滅菌調製物(ITIを含む)でマウスを免疫し、シクロフォスファミドで処理し、さらに、低温滅菌した調製物を注射した。このマウスを屠殺して、ハイブリドーマを作製し、周知の方法によってスクリーニングを行なった。一つの抗体(mAb69.31)が、何種類かのポリペプチド鎖を含む複合糖タンパク質に結合することが分かった。固定したmAb69.31と抗原との複合体をアフィニティークロマトグラフィーによって精製したところ、250 kDaと125 kDaの大きさのポリペプチド抗原が単離された。N-末端アミノ酸配列解析によって、このバンド(SDS-PAGEによる)がITIであることが確認された。
Figure 0004903965
アフィニティー精製されたITIは、トリプシン、プラスミン、エラスターゼなどのセリンプロテアーゼを阻害した。
【0023】
ヒト被験者の血清または血漿に存在するITIには、コンドロイチン硫酸鎖で共有結合した1個の軽鎖と2個の重鎖ポリペプチド鎖が含まれている。軽鎖(見かけの分子量30 kDa)は、トリプシン、ヒト白血球エラスターゼ(HLE)、プラスミン、カテプシンGなど、炎症、ショック、腫瘍侵襲、および転移形成に関与する、いくつかのセリンプロテアーゼを阻害する。天然および組換えによるITI軽鎖を69.31などのITI mAbによって精製する。精製されたITI軽鎖は、セリンプロテアーゼを治療上阻害するのに役立つ。
【0024】
寄託
mAb69.31を産生するハイブリドーマ細胞株RI 69.31は1999年12月16日に、特許手続上の目的のために微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の条項に従って、アメリカン・タイプカルチャー・コレクション(American Type Culture Collection (ATCC))に寄託され、特許寄託番号PTA-1066を得た。本出願人の指定代理人は、本件に付与された特許の期間が満了するまでは、寄託機関が試料を提供することができなくなった場合に、寄託条件にしたがって請求を受けたときには、寄託物を差し替える義務があること、および、本出願に対する特許が付与されたときには、その旨をATCCに通知し、寄託物を一般に利用可能なものにする責任を負うことを承認するものである。それ以前は、本寄託は連邦法施行規則1.14条および特許法112条の規定に基づいて、特許庁長官が利用できるものとする。
【0025】
ITI 特異的抗体の結合特性
mAb69.31は、ITI軽鎖に対して反応性があった。mAb69.31を用いて、ヒト血清からITIを精製し、0、1、5および10 gのヒアルロニダーゼで処理して、ITIの重鎖と軽鎖を切断した。この試料を12.5%のSDS-PAGEで分離し、ウエスタンブロットで解析するためにニトロセルロース膜に移行させた。ヒアルロニダーゼを入れなかった場合には、mAb69.31によって2つの主要なバンド(250 kDaと125 kDa)が検出された。ヒアルロニダーゼの量を増加させるとともに、分子量の低い別のバンド(約25〜30 kDa)が、この抗体によって検出された。この低分子のバンドは、ITI軽鎖に相当する。ITI軽鎖とITI重鎖はグリコアミノグリカンによって結合している。ヒアルロニダーゼは、ITI複合体の重鎖と軽鎖を結合しているグリコアミノグリカン(コンドロイチン硫酸)鎖を切断して、2種類の鎖を放出する。これらの結果は、mAb69.31がITIの軽鎖上に存在するエピトープに結合することを示すものである。
【0026】
mAb69.31をITIに添加すると、ITIのセリンプロテアーゼ阻害活性を遮断した(抗体存在下ではITIのトリプシン阻害活性が減少するという観察結果と同様である)。これらのデータは、mAb69.31のエピトープがITI分子の活性部位中か、その近辺にあること、すなわち、69.31抗体がITI軽鎖分子に結合すると、この分子は基体に結合できなくなることを示している。あるいは、抗体結合によってITIの三次元構造が変化し、その結果、セリンプロテアーゼ阻害活性が低下する。mAb69.31の結合特性をもつ別のモノクローナル抗体を、例えば、競合結合アッセイ法のような、当技術分野において周知の方法を用いて作製・同定した。例えば、ITI軽鎖の活性部位は、配列番号:5に記載の20〜32位、241〜242位、または297〜298位の残基を含む(表1)。
【表1】
ヒトITI軽鎖のアミノ酸配列
Figure 0004903965
【0027】
診断/予後アッセイ法およびキット
本明細書に記載されたデータによって、敗血症を罹患していない患者に対して有意に低いITI量が、敗血症患者の血漿または血清で検出されたことが明らかになった。ウエスタンブロットアッセイ法は、ITIを検出する際に高度の特異性を備えているが、体液中のITI量を定量化するには、ELISA法のような定量アッセイ法の方が好適である。正常な個体(例えば、健常な自発的提供者)の有するITI量の正常値範囲を基準として測定した。
【0028】
正常な基準となるデータの収集は、通常の解析技術と公知の統計解析法を用いて実施する。ITIの「正常値」とは、敗血症に罹っていない個体集団について、一定の体液中におけるITI量の平均値を意味する。正常範囲は、敗血症でない個体の集団内における平均値を10%増減したものか、平均値からの標準偏差の2つ分を増減させたものである。正常範囲は、年齢に適合したものであることが好ましい。すなわち、新生児のITI量の正常範囲は、敗血症でない新生児の平均値であり、また、成人のITI量の正常範囲は、敗血症でない成人の平均値であることが好ましい。
【0029】
アフィニティー精製されたヒトITIおよびmAb69.31を用いる標準的な競合的ELISA法を用いて、患者のITI量を定量化する。あるいは、捕捉抗体(mAb69.31)、およびITIに対する酵素標識したウサギポリクローナル二次抗体を検出抗体として用いるサンドイッチELISA法を用いる。
【0030】
体液中のITI量を検出する方法は、体液成分を、微量滴定用プレート、ビーズ、ディップスティックなどの固形基体上に結合させたITI特異的抗体に接触させる段階を含む。例えば、患者に由来する体液試料中に固形基体を浸し、洗浄後、この固形基体を試薬に曝して固形基体上に存在する免疫複合体の存在を検出する。
【0031】
被検試料中のタンパク質を固形基体上に固定する(結合させる)。タンパク質を共有結合的または非共有結合的に固形基体上に結合させる方法および手段は、当技術分野において周知されている。固相表面の性質は、測定方式によってさまざまである。微量滴定用プレート上で行なわれるアッセイ法では、固相の表面はウエルまたはカップの壁である。ビーズを用いるアッセイ法では、固相の表面はビーズの表面である。ディップスティック(すなわち、布や紙などの多孔性または繊維性の材料から作られた固形物)を用いるアッセイ法においては、ディップスティックが作られた材料の表面が固相表面である。有用な固形支持体の例には、ニトロセルロース(例えば、膜や微量滴定用ウエルの状態)、ポリ塩化ビニール(例えば、シート状または微量滴定用ウエル)、ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたは微量滴定用プレート)、ポリビニリジンフルオリド(登録商標IMMULONとして知られている)、ジアゾ化ペーパー、ナイロン膜、活性化ビーズ、プロテインAビーズなどがある。微量滴定用プレートを活性化して(例えば、化学的に処理またはコートして)タンパク質を共有結合させることができる。一般的には、被検試料と接触させた後、結合した免疫複合体を検出する前に、抗体を含む固形支持体を洗浄する。
【0032】
これらのアッセイ法すべてに共通する特徴は、ITIが抗体に結合して、ITI特異的抗体に結合した患者のITIを含む免疫複合体が形成される条件下で、ITI特異的抗体を体液に接触させる点である。このような条件は、一般的に、生理学的な温度、pH、およびイオン強度である。抗体と被検試料のインキュベーションを行なった後、検出可能な標識により免疫複合体の検出を行なう。例えば、標識は、酵素、蛍光、化学発光、放射性の標識、または色素である。例えば、ビオチンとアビジンを利用するアッセイ法など、免疫複合体からのシグナルを増強するアッセイ法も当技術分野において知られている。
【0033】
例えば、抗体などのITI検出用試薬をパッケージングしてキットの形にする。キットには、抗体(固形基体にすでに結合しているもの、または、それらを基体に結合する試薬と分離してパッケージングしたもの)、対照用調製物(陽性および/または陰性)、および/または検出用標識が別々の容器に入れられている。アッセイ法を実施するための使用説明書(例えば、書面、テープ、VCR、CD ROMなど)をキットに入れることができる。アッセイ法は、当技術分野において既知の標準的サンドイッチELISA法の方式で行なうことができる。
【0034】
例えば、mAb69.31のようなITI捕捉抗体を、多孔性ストリップなどの固形基体に固定して、少なくとも1つの検出部位を作り出す。多孔性ストリップの測定または検出用領域には、固定された抗体を含む部位を複数置くことができる。また、試験用ストリップには、陰性対照および/または陽性対照のための部位を置くこともできる。あるいは、対照用部位を、試験用ストリップとは別のストリップ上に置くこともできる。選択的には、最初の検出用部位には多量の抗体を固定し、量を減らしながら、その後に続く部位に固定するというように、さまざまな量の固定化した抗体をそれぞれの検出部位に置くことも可能である。例えば、20ナノグラムの抗体が1 nmol/分/mlのITIに相当するものを捕捉し、アッセイ装置の最初の部位が50ナノグラムの抗体を含み、その後の部位が10、20、30ナノグラムなどの抗体を含むことができると思われる。被検試料を加えたとき検出シグナルを示した部位の数が、試料中に存在するITI量を定量的に示す。検出用部位は、検出に適した如何なる形にも配置することができるが、一般的には、試験用ストリップの幅をもつ棒の形になっている。
【0035】
被検試料中に閾値となる量のITIが含まれていないときには、実質的に全てのITIが最初の捕捉部位に存在する抗体に結合して、その部位に固定されるように、複数捕捉測定の構成を作成することができる。被検試料に閾値量よりも多くのITIが含まれているときには、残りのITIは、試験用ストリップの長辺に沿って固定された抗体の下流にある検出用領域に結合する。被検試料中に含まれるITIの量が多くなるほど、ITIの存在すると検出シグナルを表示する捕捉部位の数は増加する。
【0036】
ITI の治療のための投与
敗血症の治療、敗血症の発症予防、または敗血症による死亡率の低下のためにITIを投与する。ITIポリペプチド、またはITIポリペプチドをコードするDNAを投与して、重度の細菌感染症患者や以前に敗血症と診断された患者におけるITI量を上昇させる。常法を用いて生理食塩水などの薬学的に許容される担体の中に入れて、常法を用いてITIポリペプチドを患者に投与する。血漿血清量を、例えば、ITI濃度の正常な範囲に持ち込むためにITIを投与する。下記のラットモデルにおいて、30 mg/kgのITIを一用量とした。ヒト患者に対する用量は、当技術分野において既知の方法を用いて、動物モデルから推定される。一日当たり体重1 kgにつき、本発明に係るポリペプチドを約1〜100モルの用量で静脈内投与することが予想される。本発明に係る組成物は、静脈、皮下、筋肉内、および腹腔内などの非経口で投与するのに有用である。
【0037】
治療用ITIポリペプチドは、例えば、配列番号:5などの天然に存在するITIアミノ酸配列と少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列をもつ。より好ましくは、天然に存在するITI配列と少なくとも75%、さらに好ましくは85%、より好ましくは95%、なおより好ましくは99%、最も好ましくは100%の同一性を有する。
【0038】
レーザージーンソフトウェアパッケージ(Lasergene software package)(DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて塩基配列とアミノ酸配列の比較を行なう。使用したメグアライン(MegAlign)モジュールは、クラスタルV法(Clustal V)(Higginsら、1989, CABIOS 5(2): 151-153)によるものであった。使用したパラメータは、ギャップペナルティが10、ギャップ長ペナルティが10であった。
【0039】
投与されるITI断片は、天然に存在するITI配列と少なくとも50%(より好ましくは99%、最も好ましくは100%)の同一性を有し、天然に存在するITIポリペプチドの生物活性を有する。例えば、ITIの生物活性は、セリンプロテアーゼ活性の低下、または、例えば、本明細書に記載された3-D細胞侵襲アッセイ法で測定されるように、癌細胞の転移や侵襲性を阻害する。治療用ポリペプチドは、好ましくは、配列番号:5に記載の20〜32位、241〜242位、または297〜298位の残基を含む(表1)。このポリペプチドは、好ましくは、コンドロイチン硫酸によるITI重鎖への結合に関与する215位の残基を含む。
【0040】
治療のために投与されるITIは実質的に純粋である。好ましくは、ITIポリペプチドは成熟した形態のポリペプチド、すなわち、シグナルペプチドを含まないものである。重量(乾燥重量)にして少なくとも60%が目的化合物である調製物中にある場合に、そのポリペプチドは「実質的に純粋」である。調製物は、重量にして、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%が目的化合物である。純度は、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC解析によって測定される。
【0041】
治療用ペプチドが、ペプチダーゼによる切断に対してより感受性が低くなるように、ペプチドのペプチド結合を別の型の共有結合に置き換えることができる(「ペプチド模倣物(peptide mimetic)」)。被験者に注射した後にペプチドがタンパク質分解されることが問題である場合には、特定の感受性ペプチド結合を切断不能のペプチド模倣物と置換することで、得られたペプチドはより安定となり、そのため、治療薬としてより有用である。このような模倣物、およびそれらをポリペプチドに取り込ませる方法は、当技術分野において周知である。同様に、L-アミノ酸残基をD-アミノ酸に置き換えることも、ポリペプチドのタンパク質分解に対する感受性を低下させる標準的な方法である。また、t-ブチルオキシカルボニル基、アセチル基、チエニル(theyl)基、スクシニル基、メトキシスクシニル基、サブエリル(suberyl)基、アジピル(adipyl)基、アゼライル(azelayl)基、ダンシル基、ベンジルオキシカルボニル基、フルオルエニルメトキシカルボニル基、メトキシアゼライル(methoxyazelayl)基、メトキシアジピル(methoxy adipyl)基、メトキシサブエリル(methoxysuberyl)基、および2,4,-ジニトロフェニル基などのアミノ末端保護基も有用である。
【0042】
標準的なベクターおよび/または遺伝子送達法によって、ITIポリペプチドをコードするDNAを患者の標的細胞に導入する。適当な遺伝子送達法には、リポソーム法、レセプターを介する送達系、裸のDNA、ならびに、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、およびアデノウイルスなどのウイルスベクターなどがある。
【0043】
実施例1:敗血症のマーカーとしての血漿 ITI
ヒトITIに結合する特異的なモノクローナル抗体(例えば、mAb69.31)を用いて、競合的ELISA法によって、健常者と敗血症患者の血漿中におけるITI量を測定した。既知量の精製ITIの連続希釈を用いて、免疫アッセイ法の標準曲線を確定した(図1)。このアッセイ法を利用して、0.1〜2.5μg/mLの範囲で正確かつ確実に血漿中のITI量を測定することができる。被検血漿または血清試料中のITI量を測定するために、試料をPBSで1:1000から1:2500に希釈して、標準曲線に基づいてITIの濃度を計算した。
【0044】
健常個体、敗血症に罹患していることが分かっている個体(通常の臨床パラメータによって判定された)、敗血症に罹患した生存者、および敗血症による死亡者における血漿中のITI量を測定した。競合的ELISA法を用いて、健常個体群(n=17)の血漿ITI量と敗血症患者(n=52)の血漿ITI量とを比較した。その結果(図2)、健常個体の平均ITI量は、敗血症患者群の平均値に較べて有意に高いことが示された(0.498±0.165 mg/mlに対し1.266±0.519 mg/ml)。この差は統計学的に有意である(p=<0.0001)。
【0045】
この結果に基づいて敗血症患者からの25の血漿試料をさらに解析したところ、生存者グループが、敗血症で死亡した患者(非生存者)に較べて高いITI量を示した。平均ITI量は、それぞれ、0.58±0.13 mg/mlと0.35±0.20mg/mlであった。各グループ間のITI量の違いは統計的に有意なものであった(p=0.031)。これらの結果は、ITIの減少量(正常で敗血症でないものと較べたときの量)が、敗血症による死亡率の上昇と相関していることを示している。図2に示した結果を、32人の生存者と20人の非生存者を含む、より多数の敗血症患者における研究によってさらに確認した。その結果(図3)は、図2に示すデータに矛盾しなかった。
【0046】
実施例2:血漿中の ITI 量は死亡を予後診断となる
血漿の低ITI量と死亡率との相関関係を図4A〜Bに示す。死亡した敗血症患者の60%(10人のうち6人)は、血漿においてITI量の大きな減少を示した(<0.3 mg/ml)。これに対して、死亡した敗血症患者の19%(42人のうち8人)でITI量の増加(ITI量が>0.3 mg/ml)が検出された。この差は、p=0.016で統計的に有意であった。
【0047】
長時間にわたって患者を追跡調査すると、ITI量の低い患者は、高いITI量をもつ患者によりも高い死亡率を示した(図4B)。これらの違いは、重度の敗血症が開始してから7日目まで続いた(p<0.05)。
【0048】
これらのデータは、血清または血漿のITI量が感染症患者(例えば、敗血症を発症する危険性のある人、または敗血症の治療を受けている人)の予後を判定するのに役立つことを示している。例えば、本明細書に記載したアッセイ法は、敗血症の診断および予後診断の手段として使用するだけでなく、特定の治療法(感染および/または敗血症)を受けている人の進行状況を監視して、定められた治療計画を変更するための基礎を提供する上で有用である。
【0049】
実施例3: ITI の治療目的での投与は敗血症による死亡率を低下させた
当技術分野において認められているインビボ敗血症動物モデルを用いて、ITIによる治療法の死亡率に対する効果を評価した。このラットモデルは、複数細菌性敗血症の盲腸結紮穿刺(CLP)および盲腸切除(CLPE)モデルである。常法を用いて、CPLとCPLEによって、オスの成獣スプレーグ-ドーリーラットを敗血症にした。CLPの開始後1時間経過してから、精製ITI(体重1 kg当たり生理食塩水1 mL中30 mg)の静脈からの灌流を開始して30分間続けた。対照用ラットにはITIの代わりに生理食塩水だけを与えた。CLP後20時間目に壊死した盲腸を切除し、死亡率を10日間観察した。
【0050】
その結果、CLP後1時間してから体重1 kg当たり30 mgのITI処理を一用量として静脈から投与すると、生存率が、生理食塩水対照用敗血症ラットの30%から89%に上昇した(p<0.05;n=9〜10)。これらのデータは、血漿のITI量の減少と、敗血症患者の高い死亡率が関連していることを示しており、また、敗血症患者または敗血症を発症する危険性のある人にITI組成物を投与すれば、例えば、敗血症による致死率が低下するなど、臨床上の恩典がもたらされることを示している。ヒトITIポリペプチドの投与は、敗血症による死亡率を低下させるのに役立つ。
【0051】
本発明の態様をいくつか説明してきたが、本明細書に記載した方法および組成物の改変を、本発明の精神と範囲から逸脱することなく行なうことができる。この他の態様も特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 競合的ELISAアッセイ法を用いて、mAb69.31の結合特異性を示した線グラフである。
【図2】 ヒト患者における血漿中のITI量の範囲を示す線グラフである。図2Aは、敗血症に罹った患者と健常患者における血漿ITI量の比較を示したものであり、図2Bは、敗血症で死亡した者と生き残った者の血漿ITI量を示したものである。
【図3】 患者の数を増加させた集団におけるヒト患者の血漿ITI量の範囲を示す線グラフである。検出された量を、敗血症で生き残った者と死亡した者とで比較すると、図2Bにおいて示されたデータが確認される。
【図4】 血漿ITI量と死亡率との相関関係を示す棒グラフである。図4Aにプロットされたデータは、血漿ITI量が高い患者に較べて、血漿ITI量の低い患者の死亡率が高いことを示している。図4Bは、患者のITI量を長時間追跡調査した結果を示している。
【図5】 CLPおよび盲腸切除後の死亡率に与えるITIの影響を示す線グラフである。

Claims (24)

  1. 組成物と哺乳動物の体液とを接触させることにより、哺乳動物における敗血症を診断するための組成物であって、該組成物はインター-アルファ-トリプシンインヒビター(ITI)-リガンド複合体を形成するのに十分な条件下でITI糖タンパク質の軽鎖部分に結合するリガンドを含み、該体液中の複合体のレベルが検出可能かつ定量可能であり、通常の複合体のレベルに比べて減少した複合体のレベルの検出が敗血症の診断の指標となる組成物。
  2. 哺乳動物がヒトである、請求項1記載の組成物。
  3. 哺乳動物がヒト乳児である、請求項1記載の組成物。
  4. 体液が血液である、請求項1記載の組成物。
  5. 体液が血漿である、請求項1記載の組成物。
  6. 体液が血清である、請求項1記載の組成物。
  7. リガンドが抗体である、請求項1記載の組成物。
  8. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項7記載の組成物。
  9. モノクローナル抗体が、ATCC受託番号PTA-1066として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって生産される69.31である、請求項8記載の組成物。
  10. 組成物と哺乳動物の体液とを接触させる段階を含む、哺乳動物の敗血症の予後診断を行うための組成物であって、該組成物はITI-リガンド複合体を形成するのに十分な条件下でITI糖タンパク質の軽鎖部分に結合するリガンドを含み、該体液中における複合体のレベルは一定期間にわたって検出可能かつ定量可能であり、経時的に減少する複合体レベルの検出が予後不良の指標となる組成物。
  11. 体液が血液である、請求項10記載の組成物。
  12. 体液が血漿または血清である、請求項10記載の組成物。
  13. リガンドが抗体である、請求項10記載の組成物。
  14. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項13記載の組成物。
  15. モノクローナル抗体が、ATCC受託番号PTA-1066として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって生産される69.31である、請求項14記載の組成物。
  16. 哺乳動物における敗血症を診断または予後診断するキットであって、インター-アルファ-トリプシンインヒビター(ITI)糖タンパク質の軽鎖部分に結合するリガンドを含む組成物、および該ITI糖タンパク質の軽鎖部分に結合した該リガンドを検出する手段を含むキット。
  17. 哺乳動物における敗血症を診断または予後診断するキットであって、ITI糖タンパク質の軽鎖部分に結合するモノクローナル抗体を含む組成物、および該ITI糖タンパク質の軽鎖部分に結合した該モノクローナル抗体を検出する手段を含むキット。
  18. 抗体が、ATCC受託番号PTA-1066として寄託されたハイブリドーマ細胞株によって生産されるモノクローナル抗体69.31である、請求項17記載のキット。
  19. 抗体が固相に固定されている、請求項18記載のキット。
  20. 固相が、測定用プレート、測定用ウエル、ニトロセルロース膜、ビーズ、ディップスティック(dipstick)、および溶出用カラムの成分からなる群より選択される、請求項19記載のキット。
  21. 体液中のITI糖タンパク質のレベルが0.6mg/ml以下であることが敗血症の診断の指標となる、請求項1記載の組成物。
  22. 体液中のITI糖タンパク質のレベルが0.3mg/ml以下であることが敗血性ショックまたは死の予後の指標となる、請求項10記載の組成物。
  23. 該ITI糖タンパク質のレベルが該通常のレベルよりも少なくとも10%低い、ITI糖タンパク質のレベルの減少が敗血症の診断の指標となる、請求項1記載の組成物。
  24. 該ITI糖タンパク質のレベルが該通常のレベルよりも少なくとも25%低い、ITI糖タンパク質のレベルの減少が敗血症の診断の指標となる、請求項1記載の組成物。
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