WO2015029152A1

WO2015029152A1 - 半導体装置

Info

Publication number: WO2015029152A1
Application number: PCT/JP2013/072941
Authority: WO
Inventors: 俊章守田; 雄亮保田
Original assignee: 株式会社日立製作所
Priority date: 2013-08-28
Filing date: 2013-08-28
Publication date: 2015-03-05
Also published as: JPWO2015029152A1

Abstract

　本発明の目的は、銅焼結層からなる接合層とＮｉ電極またはＣｕ電極との接合部における長期接合信頼性が向上された半導体装置を提供することにある。　本発明の半導体装置は、電子部品同士が銅焼結層からなる接合層を介して電気的に接続された構成を備え、前記接合層は、表面がニッケルからなる電極又は接続端子と接合されており、前記接合層と前記電極又は接続端子の接合界面において、前記電極又は接続端子表面のニッケルの結晶粒界に前記接合層の銅が拡散しており、その拡散量が前記焼結層に拡散するニッケルの拡散量よりも多いことを特徴とする。

Description

半導体装置

　本発明は、電子部品中の電気的接合部（例えば、半導体素子と回路部材との接合部）の接合層に関し、特に、酸化銅粒子を主材とする接合材を用いて接合した接合層を有する半導体装置に関する。以下、半導体素子や回路部材等を総称して電子部材と称す。

　一般に半導体装置は電力変換装置、その電力変換装置を搭載した電車、風力発電装置、ハイブリッド自動車等の制御装置に多く使用されている。この半導体装置においては、例えば電子部品の電極端子と回路基板上の回路パターンの電極端子との電気的接合には鉛を含んだ「はんだ」や「はんだ合金」によるものが主流であった。

　ところが、地球環境保全の観点から鉛の使用が厳しく制限されており、鉛の使用を制限して鉛を含まない材料で電極等の接合を行なう開発が進められている。特に、「高温はんだ」に関してはその代替となる有効な材料がまだ見出されていない。実装においては「階層はんだ」を用いることが必要不可欠なため、この「高温はんだ」に代わる材料の出現が望まれている。

　このような背景から、その開発の一環として金属粒子と有機化合物の複合材料を用いて電極を接合する接合材料が提案されている。

　例えば、金属粒子の粒径が１００ｎｍ以下のサイズまで小さくなったナノ粒子のように構成原子数が少なくなると、粒子の体積に対する表面積比は急激に増大し、その融点や焼結温度がバルクの状態（ナノ粒子より大きい状態）に比較して大幅に低下することが知られている。そして、この低温焼成機能を利用して、粒径が１００ｎｍ以下の有機物を被膜した銀粒子を接合材として用いることが検討されている。このような接合材料を用いて、加熱により有機物を分解させて金属粒子同士を焼結させて接合する方法では、接合後の金属粒子はバルク金属へと変化すると同時に接合界面では金属結合により接合されているため、非常に高い耐熱性と高放熱性を有する。

　しかし、粒径が１００ｎｍ以下の有機物を被膜した銀ナノ粒子を用いた接合方法では、貴金属に対しては優れた接合強度が得られるものの、ニッケル（Ｎｉ）や銅（Ｃｕ）に対しては十分な接合強度が得られないという課題がある。

　これに対して、特許文献１には、Ｎｉ又はＣｕ電極に対して優れた接合強度が得られる接合技術として、酸化第二銅（ＣｕＯ）粒子と有機物からなる還元剤を含む接合材料を用いて、還元雰囲気下において接合を行う方法が提案されている。本方法は、加熱還元時に１００ｎｍ以下の銅粒子を生成させ、銅粒子同士を焼結させて接合する方法である。

特開2008-244242号公報

　最近の半導体装置においては価格の低減要請や希少金属の確保の困難性等の理由から金、銀、パラジウム等の貴金属を使用した電極に代えて、ＮｉやＣｕを電極材料として用いる半導体装置の開発が行われている。このような背景からＮｉやＣｕからなる電極に好適な接合材料の探索、開発が要請されている。特許文献１に記載の酸化第二銅（ＣｕＯ）粒子を用いた接合技術は、従来のナノ粒子接合と比較してＮｉやＣｕに対する接合性を改善することができ、Ｎｉ電極又はＣｕ電極用の接合材料として期待できる。

　しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献１に記載の接合方法では初期の接合強度は優れているが、長期的な接合信頼は不十分であり改善の余地があることが判明した。図１１は特許文献１に記載の方法によってＮｉ及びＣｕに接合した従来材の接合部の温度サイクル耐性を示したものである。本検討では、酸化第二銅粒子として平均粒径１μｍ程度の市販材料５種を用いて、接合温度を３００℃、加圧力を１．０ＭＰａ一定とし、水素中でニッケル及び銅電極への接合を行い、接合試験片を作製した。この接合試験片を用いて、－５５℃から１５０℃の温度サイクル回数に対する接合強度推移を測定した。ここでは、市販材料５種のうち、初期強度が一番高い接合試験片の結果を図１１に示す。縦軸の強度値は銅電極に対するせん断強度の初期値で規格化した。その結果、Ｎｉ電極、Ｃｕ電極とも少回数から強度劣化が大きく、Ｎｉ電極に対しては１００回で強度が０、Ｃｕ電極に対しては３００回で強度が０、すなわち完全に破断した状態となった。温度サイクル試験では、一般的に１０００回以上が目標とされることが多い。これを考慮すると、初期には良好に接合できていても、本材料による接合では長期信頼性が確保できないことが判明した。なお、他の市販材料も同様の傾向を示し、図１１と同等かそれよりも強度劣化が大きい結果であった。この原因を詳細に調べたところ、特許文献１で示している通り、接合部界面では約１０ｎｍほどのＮｉとＣｕが相互拡散している領域があることが判ったが、相互拡散が生じていない領域もあり、接合部全体にわたって良好な金属接合になっていないことが判った。特に相互拡散の生じていない領域では、ＣｕとＮｉが接触しているだけの状態であり、このことが繰り返し加わる応力、ひずみに対して強度耐性を欠落させたものと考えられる。

　前述した通り、Ｃｕ、Ｎｉ電極はパワー半導体モジュールでは大変多く用いられる電極材である。しかしこれまで述べた通り、これらの電極に対して信頼性の高い接合が確保できず、大きな課題として残っていた。

　本発明の目的は、銅焼結層からなる接合層とＮｉ電極またはＣｕ電極との接合部における長期接合信頼性が向上された半導体装置を提供することにある。

　前述の課題を解決するため、素材を酸化第一銅(Ｃｕ₂Ｏ)、酸化第二銅(ＣｕＯ)とし、先ず酸化銅の還元作用を示す有機化合物の探索を目的として第一原理計算による還元反応経路の計算を行った。その結果、酸化第一銅よりも酸化第二銅の方が還元し易いことが判った。この結果を基に、上記課題を解決するために本発明者らが誠意検討した結果、単結晶あるいは多結晶体で結晶性を有する酸化第二銅粒子を主材とする接合材料を用いて、還元雰囲気下、多段階加熱と加圧を加えて接合を行うことでＮｉ電極、及びＣｕ電極に対して優れた接合強度と長期信頼性が得られることを見出した。ここで、還元雰囲気下とは、酸化第二銅粒子を接合時に還元できる雰囲気であり、水素雰囲気やギ酸を含む還元ガス雰囲気の他、接合材料中に酸化第二銅粒子を還元するための還元剤を含ませた環境を意味する。

　本発明の半導体装置は、電子部品同士が銅焼結層からなる接合層を介して電気的に接続された構成を備え、前記接合層は、表面がニッケルからなる電極又は接続端子と接合されており、前記接合層と前記電極又は接続端子の接合界面において、前記電極又は接続端子表面のニッケルの結晶粒界に前記接合層の銅が拡散しており、その拡散量が前記焼結層に拡散するニッケルの拡散量よりも多いことを特徴とする。

　また、本発明の半導体装置は、酸化銅粒子を主材とする接合材料を用いた銅焼結層からなる接合層を介して電子部品同士を電気的に接続した構成を備えており、前記接合材料の酸化銅粒子は、単結晶あるいは多結晶体で構成される７０％以上が結晶質の粒子で構成されており、前記接合層が前記接合材料を第１の温度で加熱及び加圧を行った後、前記第１の温度より高い第２の温度で加熱することによって形成されており、表面が銅またはニッケルからなる電極又は接続端子と接合されていることを特徴とする。

　本発明により、銅焼結層からなる接合層とＮｉ電極またはＣｕ電極との接合部における長期接合信頼性が向上された半導体装置が提供される。

本発明の一実施例による絶縁型半導体装置の平面図である。図１のＡ－Ａ断面図である。別の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。別の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。本発明による接合部の接合強度を示す図である。本発明による接合部の温度サイクル耐性を示す図である。本発明による接合部に生ずるクラック伸展を示す図である。本発明による接合部の状態を示す図である。各種ＣｕＯ粒子の非晶質の割合を示す図である。各種ＣｕＯ粒子の還元温度を示す図である。従来材による接合部の温度サイクル耐性を示す図である。

　以下、本発明について詳細に説明する。本発明者らが誠意検討した結果、特定の接合材を用いて接合を行うことにより、Ｃｕ、Ｎｉ電極に対して優れた接合強度が得られることを見出した。すなわち、単結晶あるいは多結晶体で結晶性を有する酸化第二銅（ＣｕＯ）粒子を主材とする接合材料を用意し、還元雰囲気下、多段階加熱と加圧を加えて接合を行うことでＣｕ、Ｎｉ電極に対して優れた接合強度と長期接合信頼性が得られることが分かった。ここで、単結晶あるいは多結晶体で結晶性を有するＣｕＯ粒子（以下、高結晶性ＣｕＯ粒子という）は、少なくともエックス線回折（ＸＲＤ）分析で明らかにピークが認められ、かつ透過電子顕微鏡（ＴＥＭ）で格子模様が確認できるものであり、ＣｕＯ粒子材の７０％以上が結晶質であることが望ましい。このような結晶性に優れた高結晶性ＣｕＯ粒子は、例えば、水相反応法を用いた合成を用いることで作製することができる。水相反応法を用いて合成条件を調整することによって、少なくともＣｕＯ粒子の結晶質の割合を４０～８０の範囲で調整できることを確認している。また、結晶性の高いＣｕＯ粒子が作製できれば、他の合成法を用いてもよい。結晶質の割合は透過電子顕微鏡によって撮影したＣｕＯ粒子材像から非晶質部、結晶質部を分け、二値化処理によって判断できる。

　図５に本発明の接合部位に対して行った接合強度評価結果を示す。高結晶性ＣｕＯ粒子を主材とする接合材料を用いて、還元雰囲気下、多段階加熱と加圧を加えてＮｉ電極との接合を行った。本評価では、水相反応法を用いた合成により高結晶性ＣｕＯ粒子を作製した。［Ｃｕ］０．０１ｍｏｌ／ｌの硝酸銅溶液を主材とし、酸化還元反応促進剤として１ｍｏｌ／ｌのＮａＯＨを加え、窒素によるバブリング撹拌、及び反応温度２０℃一定として２４時間続けることにより合成した。さらに回収したＣｕＯ粉に対して８０℃で窒素中加熱し、未反応部の反応促進、及び不純物除去を行い、平均粒径０．５μｍの高結晶性ＣｕＯ粒子を得た。この高結晶性ＣｕＯ粒子はＸＲＤにより確認した結果、一部に非晶質部はあるものの結晶性が良好であった。高結晶性ＣｕＯ粒子の結晶質の割合は７０％であった。

　上記で作製した平均粒径０．５μｍの高結晶性ＣｕＯ粒子とジエチレングリコールモノブチルエーテル溶剤の混合材を接合材料とした。Ｎｉ電極の表面に接合材料を配置した状態で、（１）５０℃の熱を約３分間加え、同時に１．０ＭＰａの圧力を大気中で加え、（２）加圧を加えたまま水素雰囲気中で温度を２５０℃に上昇させ、５分間保持することでＮｉ電極への接合を行った。比較として図１１に示した一般市販材のＣｕＯ粒子（以下、１材という）の測定結果も示した。図６の縦軸はせん断強度を示し、１材のＮｉ電極に対するせん断強度値で規格化したものである。その結果、接合強度は従来材より約２０％向上し、強固な接合が達成されていることが示唆された。

　図６は、図５の評価で用いた接合材料を用いて１２ｍｍ×１２ｍｍのＩＧＢＴチップと窒化珪素回路基板を接合したサンプルに対して、温度サイクル試験実施後のクラック伸展率を示したものである。クラック伸展率は接合面の長さに対する比である。横軸は温度サイクル回数である。ＩＧＢＴの接合面（コレクタ側）の電極構造はＡｌ／Ｔｉ／Ｎｉで最表面はＮｉである。また、接合相手の窒化珪素回路基板の配線は、表面にＮｉめっきが施された銅配線である。ＩＧＢＴチップのコレクタ電極と窒化珪素回路基板の配線との間に接合材料を配置した状態で、（１）５０℃の熱を約３分間加え、同時に１．０ＭＰａの圧力を大気中で加え、（２）加圧を加えたまま水素雰囲気中で温度を３００℃に上昇させ、５分間保持することでＩＧＢＴチップのコレクタ電極と窒化珪素回路基板の配線とを銅焼結層を介して接合した。比較として図１１に示した一般市販材のＣｕＯ粒子（１材）を用い、同様の接合試験サンプルを作製し、同様の試験に供した。図６において、温度サイクル回数に対してクラックの伸展が１材を用いて作製した比較サンプルより遅いことが判った。１材サンプルは２００回を超えると急激に増加し、３００回で約４０％伸展し、１０００回で８０％以上になり破断した。図７は温度サイクル試験後の各サンプル断面の模式図を示したものである。１材サンプルではクラックは焼結銅層内部の他、チップ側電極界面、あるいは電極側界面にほぼ一直線に伸展している領域が一部にあることが判った。１材は前述したとおり、接合部界面において、相互拡散領域と相互拡散が総じていない領域が混在していた。この状態が反映され、相互拡散領域は界面破断にはならないが、相互拡散がない領域はこのような界面破断に至っていると考えられる。一方、本発明の接合部では、接合部端部がクラック起点ではあるがチップ側、あるいは電極側電極との界面には伸展せず、焼結銅中に、定まった方向では無く複雑な方向に伸展していることが判った。このことは界面が非常に強い接合状態であることを示す。このため破断、クラック伸展が界面に生じることなく、焼結層内で伸展していった。このような界面破断のない破断モードを呈することはモジュール設計に欠かすことのできない指標である。界面破断が支配的であると寿命策定ができず、信頼性設計が困難、あるいは不可能である。　
　本評価で作製したＮｉ電極との接合部の状態を図８に示す。ＥＢＳＤによる結晶方位分布測定、ＴＥＭ－ＥＤＸによる元素分布測定を行った結果、図８に示したように、Ｎｉ電極からなる相手電極との接合部界面にＣｕの高密度接合層がＮｉの結晶成長方向と略同一面方向に結晶成長し、この結晶粒による接合層を接合部界面に形成している。したがって、この銅の高密度接合層は内側（電極表面から遠ざかる方向）の銅の焼結層に比べて空洞部の存在割合が少ない構成となっている。また、ＴＥＭ－ＥＤＸによる元素分布測定の結果、図８に示すように同一面方向に成長した結晶粒内にはＮｉとＣｕの界面が存在していることが確認された。また、同一面方向に成長した結晶粒のＮｉ側表面の結晶粒界に拡散したＣｕが存在することが確認された。一方、同一面方向に成長した結晶粒のＣｕ側表面の結晶粒界に拡散したＮｉはほとんど確認されず、Ｎｉ側表面の結晶粒界へのＣｕの拡散量の方が、Ｃｕ側表面の結晶粒界へのＮｉの拡散量よりも多いことが確認された。このように、接合界面に高密度接合層が形成され、Ｎｉ電極の結晶粒界にＣｕが拡散した構造によって、強固な接合が達成され、長期信頼性が向上していると考えられる。一方、１材を用いた接合部では本発明の接合部のようなＮｉ側表面の結晶粒界にＣｕが拡散した構造は得られていなかった。

　図８に示した特徴的な界面構造が形成される詳細なメカニズムは不明であるが、結晶性が良好な高結晶性ＣｕＯ粒子を用いること、多段階加熱と加圧を用いた還元接合法を採用することが重要な点である。まず、多段階加熱と加圧を用いた還元接合法を用いることによって銅の高密度接合層が形成される。この際、結晶性が良好な高結晶性ＣｕＯ粒子を用いることによって、より低温で還元され、還元時にＣｕＯ周辺から数１０ナノメートルの銅粒子が生成されることによって、Ｎｉの結晶粒界へのＣｕの拡散が促進されたものと考えられる。

　図９に、図５の評価で用いた高結晶性ＣｕＯ粒子と一般市販材のＣｕＯ粒子５種（１材～５材）の非晶質割合を測定した結果を示す。非晶質割合は各粒子材をＴＥＭ観察し、その画像データより結晶部と非晶質部を２値化処理して分け、非晶質部の割合を算出した。縦軸はその割合を示し、１材の割合値で規格化した。これによると１材に対し、非晶質の割合が２、３材は２０％、４、５材は１０％多い。逆に本発明で用いた高結晶性ＣｕＯ粒子では１材に対して非晶質の割合が３０％少なく、換言すれば結晶性が良好と言える。

　次に、図５の評価で用いた高結晶性ＣｕＯ粒子と一般市販材のＣｕＯ粒子５種（１材～５材）について、水素雰囲気中の還元温度を調べた結果を図１０に示す。縦軸は還元温度を示し、１材の還元温度で規格化した。これによると、１材以外の一般市販材はすべて１材より還元温度が高い結果となった。一方、高結晶性ＣｕＯ粒子では１材に比べて還元温度が約２０％低いことが確認できた。この結果は図９に示した非晶質の割合の傾向とほぼ一致しており、非晶質の割合が多いほど還元温度が高くなっている。すなわち、結晶性に優れる高結晶性ＣｕＯ粒子の方が低温還元に有利であることが確認された。このようにＣｕＯ粒子の中でも結晶状態の違いにより低温還元性に違いがあることを見出したことが本発明の根幹になっている。また、還元温度と接合強度の傾向も一致しており、還元温度と強度との間に相関があることが判った。つまり、結晶性が高く、還元温度の低いＣｕＯ粒子の方が高い接合強度が得られる。図５の評価で用いた高結晶性ＣｕＯ粒子では、還元時には母材のＣｕＯ周辺から数１０ナノメートルの銅粒子が生成され、これらが素早く焼結し、低温焼結接合に至ることをＳＥＭ観察により確認している。これに対して、非晶質部の多い一般市販材では還元温度が高いうえに銅微粒子の生成量が少なく、焼結接合がなされ難い。これが接合性の悪い理由である。この結果から、高結晶性ＣｕＯ粒子を用いることでＮｉの結晶粒界にＣｕが拡散した特徴的な界面構造が形成され、その結果、優れた接合信頼性を得られていると考えられる。

　本発明では、ＣｕＯ粒子を非晶質ではなく、単結晶、あるいは多結晶体で結晶性を有する粒子とすることによって、低温でＣｕＯが還元され、その際に平均粒径が１００ｎｍ以下の銅粒子が作製され、金属粒子同士が相互に融合することで接合を達成している。

　平均粒径が１００ｎｍ以下の銅粒子が作製され、銅粒子同士が相互に融合し、接合に至る機構は、（１）生成した１００ｎｍ以下の銅粒子が相手電極表面に高密度焼結層形成、（２）高密度焼結層は相手の金属電極板全体にわたり、特に接合部界面においては電極の面方位方向と同一方向に形成し、(３)かつ高密度焼結層を構成する元素、すなわち銅が相手電極の結晶粒界に拡散し、（４）さらに高密度焼結層の形成に寄与しなかった銅粒子同士の融合によって高密度焼結層よりも空洞部の存在割合が多い銅焼結層を形成し、接合が達成される。機構（１）、(２)、(３)および(４)に示したような接合部界面構造が本発明の特徴である。特に(２)(３)は、ＣｕＯ還元時に生成したＣｕナノ粒子はその表面が非常に活性なため相手電極に拡散しやすく、相手電極との間で良好な金属接合を得るための前駆体となっている。すなわち接合界面において接合する両金属元素が拡散を伴う金属的な接合を達成しており、このことが強固な界面強度を得る下地となっており、長期信頼性が確保できる要因となっている。根本的には、還元しやすい、つまりより低温で還元できるＣｕＯ粒子が必要で、このためには前述したように結晶性の良いＣｕＯ粒子が必要である。

　なお、この界面構造の特徴を確認するには、図８に示すように、まず焼結層か否かの確認は接合界面に形成した空洞、すなわち焼結欠陥部を観る事で判る。次にＥＢＳＤによる結晶方位分布測定、ＴＥＭ－ＥＤＸによる元素分布測定を実施することで確認できる。

　ＣｕＯ粒子は還元剤の存在下では、２００℃以下で１００ｎｍ以下の銅粒子が作製され始めることから、従来困難であった２５０℃以下の低温でも接合を達成することが可能である。特に前記接合機構（１）にある相手電極表面に高密度焼結層を形成させるには、接合材料を銅粒子が作製される温度以下で保持し、その後、銅粒子焼結に必要な温度に昇温して保持する多段階加熱することによってより促進される。

　また、接合中においてその場で粒径が１００ｎｍ以下の銅粒子が作製されるため、有機物で表面を保護した銅粒子の作製が不要であり、接合用材料の製造、接合プロセスの簡易化、接合材料の大幅なコストダウンを達成することが可能である。

　なお、以上の説明では相手電極がＮｉ電極の場合について説明したが、Ｎｉ電極の場合と同様に相手電極がＣｕ電極の場合にも一般市販材の１材よりも初期接合強度、温度サイクル試験によるクラック進展ともに優れた結果が得られた。具体的には、初期接合強度は１材よりも約２０％向上しており、温度サイクル１０００回においてもクラック進展率は１０％以下であった。よって、相手電極がＣｕ電極の場合にも図８で示した状態と同様の現象が生じて、強固な接合が達成されていると考えられる。

　本発明では、単結晶あるいは多結晶体で結晶性を有するＣｕＯ粒子を主材とする接合用材料が適用される。ＣｕＯ粒子は還元接合時にＣｕＯを還元して１００ｎｍ以下のＣｕ粒子を生成する銅粒子前駆体である。ＣｕＯ粒子の平均粒径は１ｎｍ～５μｍとすることが好ましい。これは、銅粒子前駆体中における銅含有量が高く、接合時における体積収縮が小さく、かつ分解時に酸素を発生して有機物の酸化分解を促進するからである。平均粒径が５μｍより大きくなると、接合過程において粒径が１００ｎｍ以下の銅粒子が生成されにくくなり、これによって銅粒子間の隙間が多くなり、緻密な接合層を得ることが困難になる。一方、１ｎｍ以上としたのは、平均粒子が１ｎｍ以下の酸化第二銅の銅粒子前駆体を実際に作製することが技術的に困難なためである。なお、ＣｕＯ粒子は還元されて１００ｎｍ以下のＣｕ粒子を生成されることから、ＣｕＯ粒子の平均粒径は有機物による被覆を必要としない１００ｎｍよりも大きくすることが、取扱い性、粒子作製のコストや有機物の残渣を低減する観点から好ましい。

　接合材料にはＣｕＯ粒子を還元するための有機物からなる還元剤が混合される。有機物からなる還元剤としては、アルコール類、カルボン酸類、アミン類から選ばれた１種以上の混合物を用いることができる。

　金属粒子前駆体と有機物からなる還元剤の組み合わせとしては、これらを混合することにより金属粒子を作製可能なものであれば特に限定されないが、接合用材料としての保存性の観点から、常温で金属粒子を作製しない組み合わせとすることが好ましい。

　また、接合材料中には比較的粒径の大きい平均粒径５０μm～１００μmの金属粒子を混合して用いることも可能である。これは接合中において作製された１００ｎｍ以下の金属粒子が、平均粒径５０μm～１００μmの金属粒子同士を焼結させる役割を果たすからである。また、粒径が１００ｎｍ以下の金属粒子を予め混合しておいてもよい。この金属粒子の種類としては、金、銀、銅、ニッケルなどがあげられる。その添加金属の割合は３ｗｔ％程度が実際的である。

　また、粒径が１００ｎｍ以下の他の金属粒子を予め混合しておいても良い。例えば、この銅粒子前駆体が主材であることは変わりないが、これに他の金属粒子を添加することも可能であり、添加する金属粒子の種類としては、金、銀、銅、ニッケル等があげられ、その添加金属の割合は３ｗｔ％程度が実際的である。

　更に本発明でいうＣｕ電極やＮｉ電極は、全体をＣｕやＮｉで形成した電極はもちろんのこと、表面にＣｕやＮｉをメッキした電極や、表面にＣｕやＮｉが露出したクラッド材による電極等を意味し、要は電極表面にＣｕやＮｉが存在している電極を意味するものである。

　本発明で使用する接合材料は有機溶剤に溶けたペースト状の態様を呈しており、電極への塗布方法は種々あるが以下にその代表的な方法を説明する。例えば、
（１）　　　　　　塗布部分を開口したメタルマスクやメッシュ状マスクを用いて必要部分にのみ　塗布を行う方法
（２）　　　　　　ディスペンサを用いて必要部分に塗布する方法
（３）　　　　　　シリコーンやフッ素等を含む撥水性の樹脂を必要な部分のみ開口したメタルマスクやメッシュ状マスクで塗布したり、感光性のある撥水性樹脂を基板あるいは電子部品上に塗布し、露光および現像することにより接合材料のペーストを塗布する部分を除去し、その後に接合材料のペーストをその開口部に塗布する方法
（４）　　　　　　撥水性樹脂を基板あるいは電子部品に塗布後、接合材料のペーストを塗布した塗布部分をレーザーにより除去し、その後に接合材料のペーストをその開口部に塗布する方法
等がある。これらの塗布方法は接合する電極の面積や形状に応じて組み合わせて実施することが可能である。

　本接合材料を用いた接合では、接合過程で銅粒子前駆体から粒径が１００ｎｍ以下の銅粒子を生成し、高密度接合層における有機物を排出しながら粒径が１００ｎｍ以下の銅粒子の拡散接合による金属結合を行うため、所定の温度に保つための加熱と、０．０１～５ＭＰａの圧力を加えて接合することが望ましい。

　Ｎｉ電極やＣｕ電極の接合過程においては、接合材料の主材が高結晶性ＣｕＯ粒子であるため接合過程では低い温度で加熱すれば良く、この時の還元剤の還元作用によって純銅の粒子を生成させ、この純銅の粒子同士は相互に融合してバルク状態となる。

　バルク状態になった後の銅の溶融温度は通常のバルクの状態での銅の溶融温度と同じであるので、銅粒子は低温の加熱で溶融し、溶融後はバルクの状態での溶融温度に加熱されるまで再溶融しないという特徴を有する。

　この特徴は、上述したようにナノ粒子を用いた場合に低い温度で接合を行うことができ、接合後は溶融温度が高くなることから、その後の他の電子部品を接合している際に接合部が再溶融しないという長所をもたらすことになる。

　また、接合後の高密度接合層及び焼結層の熱伝導率は５０～３９０Ｗ/ｍＫとすることが可能であり放熱性にも優れている。さらに前駆体が銅酸化物であるため低価格にできるという長所もある。

　尚、本発明の接合過程のプロセス雰囲気は窒素雰囲気、水素雰囲気、ギ酸を含んだ還元雰囲気、非酸化雰囲気のもとで接合プロセスを実行することができる。ここで、プロセス雰囲気を還元ガス雰囲気とした場合には、有機物からなる還元剤を省略することも可能である。

　還元雰囲気を用いた接合方法の一例を述べる。接合材料は高結晶性ＣｕＯ粒子と有機溶剤の混合物を用いて行うことができ、高結晶性ＣｕＯ粒子９０ｗｔ％と１０ｗｔ％のαテルピネオール溶剤を混合した接合材料を接合すべきＣｕ電極やＮｉ電極の塗布部分にメタルマスクによって印刷する。

　このとき４０℃で１０分に亘り塗布した接合材料を乾燥、固化させ、更にその上に厚さの異なるメタルマスクで再び上述の接合材料を塗布する２度塗りを行っても良い。その上に半導体素子を配置する。このとき半導体素子に超音波振動を加え、接合材料の濡れを増加させるとより良好に接合できる。

　この後、０．１ＭＰａで加圧状態にした後にその状態を維持したままで、９５ｖｏｌ％の窒素と、５ｖｏｌ％のギ酸を混合した還元雰囲気下で常温から５℃/ｍｉｎの昇温速度で温度を２５０℃まで上昇させて１０分間に亘りこの状態を維持することで良好な接合状態を得ることができる。

　この様な接合プロセスを実行することにより、Ｃｕ電極やＮｉ電極と還元雰囲気中でＣｕＯが還元されたＣｕ粒子との間に高密度接合層を形成し、更に還元雰囲気中で温度を２５０℃に上昇させてバルク状態のＣｕを融合してＣｕ粒子を焼結させて銅の焼結層を形成するものである。

　以上の接合プロセスはギ酸を加えた還元雰囲気での接合プロセスを示したものであるが、水素雰囲気を用いても良好な接合が得られるものである。

　次にこの水素雰囲気を用いた接合方法の一例を述べる。接合材料は高結晶性ＣｕＯ粒子と有機溶剤の混合物を用いて行うことができ、高結晶性ＣｕＯ粒子８５ｗｔ％と、１５ｗｔ％のトリエチレングリコール溶剤を混合した接合材料を接合すべきＣｕ電極やＮｉ電極の塗布部分にメタルマスクによって印刷して、その上に半導体素子を配置する。

　この後、０．１ＭＰａで加圧状態にした後にその状態を維持したままで、水素雰囲気下で常温から３０℃/ｍｉｎの昇温速度で温度を２５０℃まで上昇させて１０分間に亘りこの状態を維持することで良好な接合状態を得ることができる。

　以上の接合材料と接合方法を経て接合された界面構造は、図８に示したように以下の特徴を有しており、非常に高い接合強度を有する。
（１）接合層とＮｉ電極又は接続端子の接合界面において、電極又は接続端子表面のＮｉの結晶粒界に接合層のＣｕが拡散しており、その拡散量が焼結層に拡散するＮｉの拡散量よりも多い。
（２）接合層とＮｉ電極又は接続端子の接合界面にＮｉの結晶面方位と同一面方向に成長した銅焼結層の結晶粒を有し、同一面方向に成長したＮｉおよびＣｕからなる結晶粒のＮｉ側表面の結晶粒界にＣｕが分布している。
（３）同一面方向に成長したＮｉおよびＣｕからなる結晶粒内にはＣｕとＮｉの界面がある。
（４）接合層はＮｉ電極又は接続端子との接合界面側にその内側よりも密度の高い高密度接合層を有する。

　以上で説明した接合材、接合方法を半導体装置の電極の接合に用いることにより、優れた接合信頼性を得ることが可能となる。

　本発明の一実施例になる半導体装置を図面に従い詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
（実施形態１）
　図１，図２は本発明を適用した絶縁型半導体装置を示したものであり、図１は平面図、図２は図１のＡ－Ａ’の断面図を示したものである。

　本実施形態において、半導体素子１０１の一方の面は、図示しないコレクタ電極が、水相反応法を用いた合成で作製した８８ｗｔ％の高結晶性ＣｕＯ粒子（接合後は純銅化）と１２ｗｔ％のジエチレングリコールモノブチルエーテルを混合した接合材料によって形成された接合層１０５によって、セラミックス絶縁基板１０３上の配線層１０２に接合されている。セラミックス絶縁基板１０３は支持部材１１０にはんだ層１０９を介して接合されている。セラミックス絶縁基板１０３と配線層１０２をもって配線基板と称する。配線層１０２は表面にＮｉめっきを有する銅配線である。コレクタ電極の電極構造はＡｌ／Ｔｉ／Ｎｉで最表面はＮｉである。接合層１０５は厚さ８０μｍである。半導体素子１０１の他方の面は、エミッタ電極が接続用アルミワイヤ２０１を用いて接合されており、アルミワイヤ２０１はセラミックス絶縁基板上の配線１０２に接合されている。なお、図１における他の符号は、それぞれ、ケース１１１、外部端子１１２、ボンディングワイヤ１１３、封止材１１４を示している。

　接合材料を接合すべき部材の個所にメタルマスクによって印刷し、その上に半導体素子を配置する。このとき４０℃１０分で塗布した接合材料を固化させ、さらにその上に厚さの異なるメタルマスクで再び接合材料を塗布する２度塗りを加えても良い。また、半導体素子に超音波振動を加え、接合材料の濡れを増加させるとより良好に接合できる。この後、０．５ＭＰａで加圧状態にする。その状態で窒素中６０℃の熱を約１０分間加える。次に水素中で温度を２５０℃に上昇させ、５分間保持する。このときにも圧力は加えたままとしたが、２段目の加熱では加圧を加えなくてもよい。
（実施形態２）
　図１，図２を用いて、他の実施例を述べる。本実施形態において、実施形態１と同様、半導体素子１０１の一方の面は、図示しないコレクタ電極が、水相反応法を用いた合成で作製した８８ｗｔ％の高結晶性ＣｕＯ粒子（接合後は純銅化）と１２ｗｔ％のジエチレングリコールモノブチルエーテルを混合した接合材料によって形成された接合層１０５によって、セラミックス絶縁基板１０３上の配線層１０２に接合されている。セラミックス絶縁基板１０３は支持部材１１０にはんだ層１０９を介して接合されている。セラミックス絶縁基板１０３と配線層１０２をもって配線基板と称する。配線層１０２は表面にＮｉめっきを有する銅配線である。コレクタ電極の電極構造はＡｌ／Ｔｉ／Ｎｉで最表面はＮｉである。接合層１０５は厚さ８０μｍである。半導体素子１０１の他方の面は、エミッタ電極が接続用アルミワイヤ２０１を用いて接合されており、アルミワイヤ２０１はセラミックス絶縁基板上の配線１０２に接合されている。

　接合材料を接合すべき部材の個所にメタルマスクによって印刷し、その上に半導体素子を配置する。このとき４０℃１０分で塗布した接合材料を固化させ、さらにその上に厚さの異なるメタルマスクで再び接合材料を塗布する２度塗りを加えた。この後、０．５ＭＰａで加圧状態にする。その状態で窒素中６０℃の熱を約１０分間加える。次に水素中で温度を２５０℃に上昇させ、５分間保持することにより半導体素子を搭載した。

　ここで、セラミックス絶縁基板１０３よりも配線層１０２が厚く、熱放散に優れた構造としている。本発明構造であれば、前述したように界面の接合強度が非常に強く、かつ繰り返し付加される熱応力に対する耐性が高いため、従来ならば接合部にひずみが増大するために実現できなかった配線層の厚板化を実現することができる。
（実施形態３）
　図３を用いて、他の実施形態を述べる。本実施形態において、実施形態１と同様、半導体素子１０１の一方の面は、図示しないコレクタ電極が、水相反応法を用いた合成で作製された８８ｗｔ％の高結晶性ＣｕＯ粒子（接合後は純銅化）と１２ｗｔ％のジエチレングリコールモノブチルエーテルを混合した接合材料によって形成された接合層１０５によって、セラミックス絶縁基板１０３上の配線層１０２に接合されている。配線層１０２は表面にＮｉめっきを有する銅配線である。コレクタ電極の電極構造はＡｌ／Ｔｉ／Ｎｉで最表面はＮｉである。ここで、セラミックス絶縁基板１０３よりも配線層１０２が厚く、熱放散に優れた構造としている。さらに図１に示された支持部材１１０、はんだ１０９を省き、簡素化した構造の半導体装置も実現できる。
（実施形態４）
　次に、別の実施形態による半導体装置の例について説明する。

　図４はワイヤボンディングではなく、銅などの金属板で結線した半導体装置の例である。半導体素子１０１のコレクタ電極１０６’と配線層１０２が高結晶性ＣｕＯ粒子を主材とする接合材料によって形成された接合層１０５で接合されている。高結晶性ＣｕＯ粒子を主材とする接合材料によって形成された接合層１０５は、半導体素子のエミッタ電極１０６と接続用端子２０１の接合部、及び接続用端子２０１と配線層１０４の接合部にも、同様の構成で適用されている。配線層１０２，１０４は表面にＮｉめっきを有する銅配線である。接続用端子２０１は銅または銅合金で構成され、その表面にＮｉめっきを有する。コレクタ電極、エミッタ電極の電極構造はそれぞれＡｌ／Ｔｉ／Ｎｉ、Ａｌ／Ｎｉで最表面はＮｉである。それぞれの接合層１０５は個別に接合してもよいし、同時に接合してもよい。本実施形態では、水相反応法を用いた合成で作製した高結晶性ＣｕＯ粒子９０ｗｔ％とトリエチレングリコール１０ｗｔ％を混合した接合材料を用い、これを接合すべき部材の間にメタルマスクを用いて塗布し、その状態で６０℃の熱を約１０分間加え、同時に１．０ＭＰａの圧力を水素雰囲気中で加える。次に温度を２５０℃に上昇させ、５分間保持する。このときにも圧力は加えたままで作製した。

　本構造のパワー半導体モジュールは、半導体素子１０１と熱膨張係数が約９ｐｐｍ／℃の絶縁配線基板とが、熱膨張係数約１６ｐｐｍ／℃の接合材を介して接合されているため、高温環境で顕著になる各部材の熱膨張差に起因する熱応力を小さくすることができる。理想的には接合材の熱膨張係数を配線基板のそれに一致させることで、接合材に生じる熱応力が最小になり、長期信頼性が向上する。

　本発明の半導体装置は各種の電力変換装置に適用することができる。電力変換装置に本発明の半導体装置を適用することによって、高温環境の場所に搭載でき、かつ専用の冷却器を持たなくても長期的な信頼性を確保することが可能になる。

　また、インバータ装置及び電動機は、電気自動車にその動力源として組み込むことができる。この自動車においては、動力源から車輪に至る駆動機構を簡素化できたため、ギヤーの噛込み比率の違いにより変速していた従来の自動車に比べ、変速時のショックが軽減され、スムーズな走行が可能で、振動や騒音の面でも従来よりも軽減することができる。更に、本実施例の半導体装置を組み込んだインバータ装置は冷暖房機に組み込むことも可能である。この際、従来の交流電動機を用いた場合よりも高い効率を得ることができる。これにより、冷暖房機使用時の電力消費を低減することができる。また、室内の温度が運転開始から設定温度に到達するまでの時間を、従来の交流電動機を用いた場合よりも短縮できる。

　これらの効果は、半導体装置が他の流体を撹拌又は流動させる装置、例えば洗濯機、流体循環装置等に組み込まれた場合でも享受できる。

　１０１…半導体素子、１０２…配線層、１０３…セラミックス絶縁基板、１０４…配線層、１０５…接合層、１０６…エミッタ電極、１１０…支持部材、２０１…接続用端子

Claims

　電子部品同士が銅焼結層からなる接合層を介して電気的に接続された構成を備える半導体装置において、
　前記接合層は、表面がニッケルからなる電極又は接続端子と接合されており、
　前記接合層と前記電極又は接続端子の接合界面において、前記電極又は接続端子表面のニッケルの結晶粒界に前記接合層の銅が拡散しており、その拡散量が前記焼結層に拡散するニッケルの拡散量よりも多いことを特徴とする半導体装置。
　請求項１に記載の半導体装置において、前記接合層と前記電極又は接続端子の接合界面にニッケルの結晶面方位と同一面方向に成長した銅焼結層の結晶粒を有し、同一面方向に成長したニッケルおよび銅からなる結晶粒のニッケル側表面の結晶粒界に銅が分布していることを特徴とする半導体装置。
　請求項２に記載の半導体装置において、同一面方向に成長したニッケルおよび銅からなる結晶粒内には銅とニッケルの界面があることを特徴とする半導体装置。
　請求項２に記載の半導体装置において、前記接合層は前記電極又は接続端子との接合界面側にその内側よりも密度の高い高密度接合層を有していることを特徴とする半導体装置。
　請求項１に記載の半導体装置において、前記接合層を介して電気的に接続される前記電子部品が、半導体素子の電極と配線が形成された絶縁回路基板であることを特徴とする半導体装置。
　請求項５に記載の半導体装置において、前記絶縁回路基板が配線と窒化物系絶縁板とで構成され、前記配線の厚みが前記窒化物系絶縁板よりも厚いことを特徴とする半導体装置。
　請求項１に記載の半導体装置において、
　主電流の入出力に上下２面の電極を用いる複数の半導体素子と、
　前記半導体素子と電気的に接続される配線が形成された絶縁回路基板と、
　前記半導体素子の上面電極と前記絶縁回路基板とを電気的に接続するための接続端子とを備え、
　前記半導体素子の下面電極と前記絶縁回路基板の配線との間、前記半導体素子の上面電極と接続端子との間、および、前記接続端子と前記絶縁回路基板の配線との間の少なくとも一つが前記接合層によって接合されていることを特徴とする半導体装置。
　酸化銅粒子を主材とする接合材料を用いた銅焼結層からなる接合層を介して電子部品同士を電気的に接続した構成を備える半導体装置において、
　前記接合材料の酸化銅粒子は、単結晶あるいは多結晶体で構成される７０％以上が結晶質の粒子で構成されており、
　前記接合層は、前記接合材料を第１の温度で加熱及び加圧を行った後、前記第１の温度より高い第２の温度で加熱することによって形成されており、表面が銅またはニッケルからなる電極又は接続端子と接合されていることを特徴とする半導体装置。
　請求項５に記載の半導体装置おいて、前記第１の温度は前記酸化銅粒子が還元されて銅粒子が生成される温度以下であることを特徴とする半導体装置。