WO2014034904A1

WO2014034904A1 - ハーネス保護チューブのクランプ構造

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Publication number: WO2014034904A1
Application number: PCT/JP2013/073444
Authority: WO
Inventors: 伸一稲尾; 英臣足立; 小久江　健; 達也雄鹿; 和晃勝呂; 佳昭尾崎; 博之吉田
Original assignee: 矢崎総業株式会社
Priority date: 2012-09-03
Filing date: 2013-08-30
Publication date: 2014-03-06
Also published as: CN104604064B; JP2014050266A; EP2894742B1; US9358938B2; CN104604064A; US20150151693A1; EP2894742A1; JP5913008B2; EP2894742A4

Abstract

　ハーネス保護チューブ（１）の周壁（２）に形成された孔部（３）から該ハーネス保護チューブ（１）内に挿入されたハーネス押さえ部（６）が、ハーネス（９）に押接して該ハーネス（９）のばたつきを抑制する。

Description

ハーネス保護チューブのクランプ構造

　本発明は、ハーネスが挿通されたハーネス保護チューブをクランプで車体等の取付側に固定した状態において、ハーネスとハーネス保護チューブとの間の隙間に起因するハーネスのばたつきを防止するためのハーネス保護チューブのクランプ構造に関する。

　従来、自動車に配索されるワイヤハーネスをクランプ等で車体等に固定することが知られている。特許文献１には、図６に示す如く、ハイブリッド自動車５１等において、車両前側のモータ５４に続くインバータ５５から車両後側の高圧バッテリ５６にかけてワイヤハーネス５８を配索し、ハイブリッド自動車５１の床下５２にワイヤハーネス５８の一部を露出させて配索するものにおいて、ワイヤハーネス５８をクランプ５９で車体５３に固定することが記載されている。なお、符号６３は補強用のリーンホースを示している。

　ワイヤハーネス５８は、例えば断面円形又は断面長円形の保護部材（すなわち、ハーネス保護チューブ。）６０と、保護部材６０内に挿通される＋極と－極の二本の高圧電線６１と、不図示の低圧電線と、を少なくとも有している。高圧電線６１は高圧バッテリ５６に接続され、低圧電線は高圧バッテリ５６に隣接する低圧バッテリ６２に電気的に接続される。

　保護部材６０は合成樹脂製又は金属製であり、ハイブリッド自動車５１の床下５２に配索される高圧電線６１を飛び石等から安全を保護するために高い剛性（換言すれば、強度。）を有している。保護部材６０が合成樹脂製の場合は、保護部材６０内で高圧電線６１の外側を編組等の不図示の電磁シールド部材で覆う。ワイヤハーネス５８を車体に固定するクランプ５９は、保護部材６０の外周側に配置され、保護部材６０を保持する部分と、車体にねじ締めで固定される部分と、を有している。

　また、図示はしないが、特許文献２には、車両前側のモータに続くインバータから車両後側のバッテリ（換言すれば、電池パック。）に二本の太物の高圧電線を配線したものが記載されている。特許文献２では、各高圧電線は銅又はアルミニウム材の中心導体と、中心導体を覆う絶縁被覆とを有する。また、二本の高圧電線の外側に電磁シールド用の断面長円形の筒状金属箔部材が配設され、当該筒状金属箔部材の外側が断面長円形の電線保護部材で覆われ、電線保護部材の外側を金属製又は合成樹脂製の断面楕円形のパイプ部材（すなわち、電線保護チューブ。）で覆われている。特許文献２のワイヤハーネスは、以上の構成を有している。ワイヤハーネスの一部は車体の床下に配索される。断面楕円形のパイプ部材は板状のブラケット（すなわち、クランプ。）で車体にねじ締められて固定される。

日本国特開２０１１－７２０７９号公報（図１，図２）日本国特開２０１１－１９３６７７号公報（図１）

　しかしながら、上記従来のハーネス保護チューブの固定構造にあっては、電線と絶縁被覆等とを有するハーネスをハーネス保護チューブ内に挿通し、ハーネス保護チューブをクランプで車体等に固定した状態において、例えば車両の走行中の振動や停車中のエンジンの振動等によって、ハーネス保護チューブ内においてハーネスがばたつく（すなわち、振れ動く。）可能性がある。ハーネスがばたつくと、異音を生じたり、ハーネスの絶縁被覆の摩耗を生じるかもしれない。

　本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、ハーネスが挿通されたハーネス保護チューブをクランプで取付側に固定した状態において、ハーネス保護チューブ内のハーネスのばたつきを防ぐことのできるハーネス保護チューブのクランプ構造を提供することを目的とする。

　前述した課題を解決するために、本発明に係るハーネス保護チューブのクランプ構造は、下記（１）～（３）を特徴としている。
（１）　ハーネスが挿通されるハーネス保護チューブと、該ハーネス保護チューブの外周側に配置された固定用のクランプと、を備えるハーネス保護チューブのクランプ構造であって、
　前記クランプは、前記ハーネス保護チューブを支持する基台部と、該基台部から突出形成されたチューブ保持帯部と、を有し、
　前記チューブ保持帯部は、ハーネス押さえ部を有し、
　前記ハーネス保護チューブの周壁に形成された孔部から該ハーネス保護チューブ内に挿入された前記ハーネス押さえ部が、前記ハーネスに押接して該ハーネスのばたつきを抑制する。

　上記（１）の構成によれば、クランプのハーネス押さえ部がハーネス保護チューブの周壁の孔部内に挿入されてハーネス保護チューブ内のハーネスを押さえ、その状態で、ハーネス保護チューブとハーネスとを有するワイヤハーネスがクランプで例えば車体等（すなわち、取付側。）に固定される。このため、車両の走行中等における振動等でハーネスがハーネス保護チューブ内でばたつき（すなわち、大きな振れ動き。）を生じようとしても、クランプのハーネス押さえ部がハーネスをハーネス保護チューブの周壁の内面に押さえ付けているので、ハーネスのばたつきが防止される。

　（２）上記（１）のハーネス保護チューブのクランプ構造であって、
前記ハーネス押さえ部が、前記孔部に係止されるロック部を有する。

　上記（２）の構成によれば、ハーネス押さえ部がハーネス保護チューブの周壁の孔部内に挿入されてハーネスを押さえると同時に、ハーネス押さえ部に設けられたロック部が孔部の内縁に係止されて、ハーネス押さえ部でハーネスを押さえた状態が確実に維持される。クランプのチューブ保持帯部は弾性的に閉じてハーネス保護チューブを保持することが好ましい。あるいは、チューブ保持帯部をロック部とは別のロック手段でクランプの基台部に固定することが好ましい。

　（３）上記（１）のハーネス保護チューブのクランプ構造であって、
　前記チューブ保持帯部が、ロック部を有し、
　前記基台部が、前記ロック部が係止される係止部を有する。

　上記（３）の構成によれば、クランプのチューブ保持帯部に設けたハーネス押さえ部がハーネス保護チューブの周壁の孔部からハーネス保護チューブ内に挿入されてハーネスを押さえると同時に、ハーネス押さえ部とは別にチューブ保持帯部に設けたロック部がクランプの基台部の係止部に係合して（換言すれば、係止されて。）、ハーネス押さえ部がハーネスを押さえた状態で、チューブ保持帯部がロックされてハーネス保護チューブをしっかりと保持する。

　上記（１）の構成によれば、ハーネスが挿通されたハーネス保護チューブをクランプで車体等といった取付側に固定した状態において、ハーネス保護チューブ内のハーネスをクランプのハーネス押さえ部で押さえることで、ハーネスのばたつきを防止することができる。これにより、例えば車両走行中の異音やハーネスの摩耗等を防いで、車両の品質を高めることができる。また、ワイヤハーネス固定用のクランプを用いて、ハーネス保護チューブ内のハーネスのばたつきを防止したことで、他のハーネスばたつき防止用の部品が不要となり、ワイヤハーネス構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。

　上記（２）の構成では、クランプのハーネス押さえ部でハーネス保護チューブ内のハーネスを押さえつつ、ハーネス押さえ部に設けたロック部でハーネス押さえ部を孔部から抜け出さないように係止する。これにより、ハーネス押さえ部によるハーネスの押さえ付けを確実に行えるので、ハーネスのばたつき防止を確実に行える。また、ハーネス押さえ部とロック部とを一体に設けたことで、クランプ構造を簡素化及び低コスト化することができる。

　上記（３）の構成によれば、クランプのチューブ保持帯部に設けたハーネス押さえ部でハーネス保護チューブ内のハーネスを押さえてばたつき防止すると同時に、ハーネス押さえ部とは別に設けたロック部でチューブ保持帯部を基台部にロックさせるので、チューブ保持帯部によるハーネス保護チューブの保持及び固定を確実に行うことができる。

図１は、第一の実施形態のハーネス保護チューブのクランプ構造を示す図であり、チューブ固定前の状態における斜視図である。図２は、図１のハーネス保護チューブのクランプ構造におけるチューブ固定後の状態を示す斜視図である。図３は、図２のＡ－Ａ断面図である。図４は、第二の実施形態のハーネス保護チューブのクランプ構造を示す図であり、チューブ固定後の状態における斜視図である。図５は、図４のＢ－Ｂ断面図である。図６は、従来のハーネス保護チューブの使用形態の一例を示す説明図である。

　図１～図３は、本発明に係るハーネス保護チューブのクランプ構造の第一の実施形態を示すものである。

　図１，図２の如く、このハーネス保護チューブ１は、合成樹脂又は金属を材料として断面円形の筒状に形成されている。ハーネス保護チューブ１は、その周壁２の一部に長方形状（換言すれば、スリット状。）の孔部３が貫通して形成されている。孔部３は、合成樹脂製のクランプ４のロック爪（すなわち、ロック部。）５を兼ねたハーネス押さえ部６が挿入されて係止されるために用いられる。ハーネス保護チューブ１の合成樹脂材としては、一例としてポリプロピレン等、金属材としてはアルミニウム又はステンレス等を使用可能である。

　ハーネス保護チューブ１は、例えば従来例の図６に示したようなハイブリッド自動車５１の床下５２に露出して配索される。ハーネス保護チューブ１は、車両の前後方向に長く延長形成されると共に、車体５３の内側に配索される。ハーネス保護チューブ１は、車体前部のモータ５４側のインバータ５５や車体後部の高圧バッテリ５６側に向けて屈曲された状態で、複数のクランプ４（図１参照。）で車体５３等（すなわち、取付部。）に固定される。

　金属材で形成されたハーネス保護チューブ１に比べて、合成樹脂で形成されたハーネス保護チューブ１は、剛性（すなわち、強度。）を増すためにある程度（すなわち、容易に曲がらない程度。）の板厚（すなわち、肉厚。）を有している。図１の如く、ハーネス保護チューブ１の周壁２に設けられた孔部３は、チューブ長手方向の左右の長辺部３ａ，３ｂとチューブ周方向の前後の短辺部３ｃ，３ｄとを有する。

　なお、ハイブリッド自動車５１でなく、エンジン５７（図６参照。）のみで駆動される自動車の車体や、電気自動車の車体にハーネス保護チューブ１（図１参照。）をクランプ４で固定することも可能である。エンジンのみで駆動される自動車の場合、ハーネス保護チューブ１は床下５２（図６参照。）に露出しない場合がある。この場合、ハーネス保護チューブ１は、ハイブリッド自動車用や電気自動車用に比べて強度が低く薄肉に形成され得る。また、この場合、ハーネス保護チューブ１内に挿通される電線は低圧電線のみとなる。

　本実施形態においては、ハイブリッド自動車５１（図６参照。）に適用するものとして、高圧バッテリ５６（図６参照。）に接続する高圧電線７（図３参照。）をハーネス保護チューブ１に挿通した例で説明する。ハーネス保護チューブ１（図１参照。）はハーネス挿通用のチューブ長手方向のスリットを有していないので、高圧電線７（図３参照。）はハーネス保護チューブ１の長手方向両端の不図示の開口のうちの一端側の開口から挿入されて他端側の開口に貫通する。高圧電線７の端末には不図示の端子が接続され、当該端子は例えば不図示のコネクタハウジング内に挿着される。

　図３（図３は、図２のＡ－Ａ断面図である。）の如く、本例の高圧電線７は、中心導体７ａを絶縁被覆７ｂで覆った＋極と－極の二本の高圧電線７を水平方向に左右並列に配置したもので、二本の高圧電線７は外側を断面長円形状の絶縁被覆８で覆われている。ハーネス保護チューブ１が導電金属製ではなく合成樹脂製の場合は、外側の絶縁被覆８の内側に二本の高圧電線７を覆うように断面長円形状の導電性の不図示のシールド編組やシールド箔といったシールド部材を配設することが好ましい。

　本実施形態のハーネス保護チューブのクランプ構造では、ハーネス保護チューブ１が断面円形に形成されており、一方、二本の高圧電線７と断面長円形の絶縁被覆８とを少なくとも有するハーネス９が、ハーネス保護チューブ１の内径よりも小径な長径をなす断面長円形に形成されている。このため、ハーネス９がハーネス保護チューブ１内の上下方向（すなわち、ハーネス９の短径方向。）においてばたつき（すなわち、大きな振幅での振れ動き。）を生じやすい。

　このばたつきの発生を防止するために、本実施形態のハーネス保護チューブのクランプ構造では、ハーネス保護チューブ１の長方形状（すなわち、スリット状。）の孔部３からハーネス押さえ部６が挿入される。ハーネス押さえ部６は、クランプ４のロック爪５を一体に有しており、孔部３に係止される。ハーネス押さえ部６がハーネス保護チューブ１内のハーネス９の短径側の外面９ａを押圧することにより（すなわち、ハーネス押さえ部６がハーネス９の短径側の外面９ａに当接することにより。）、ハーネス保護チューブ１内でのハーネス９の上下方向（すなわち、短径方向。）のばたつきが防止される。

　図１の如く、クランプ４は、基台部１０と、基台部１０に該基台部１０よりも少し薄肉のヒンジ部１１を介して一体に突出形成された湾曲バンド状のチューブ保持帯部１２と、チューブ保持帯部１２の突出先端側に一体に延長形成されたロック爪５を兼ねたハーネス押さえ部６と、を有している。

　基台部１０は、ハーネス保護チューブ１の周壁２の外周面２ａ（図３参照。）に接触する断面円弧状の内面１３ａ（図３参照。）を有するチューブ支持壁１３を一方に有し、不図示の車体等の取付側に固定されるボルト挿通孔（図示せず。）又はクリップ挿通孔（図示せず。）を有するブラケット部（図示せず。）を他方（すなわち、図１で破断された部分１０ａの左側。）に有している。チューブ支持壁１３は、ハーネス保護チューブ１の半径よりも高く図１でハーネス保護チューブ１の左側に上向きに突出した側壁部１４と、基台部１０における車体等の取付側に接する底面（すなわち、取付外面。）１５ａに沿った底壁部１５とを備え、底壁部１５の先端にヒンジ部１１を介して湾曲ベルト状のチューブ保持帯部１２が一体に続いている。

　チューブ保持帯部１２は、閉じ方向（すなわち、図１の矢印Ｃ方向。）すなわちハーネス保護チューブ１を側壁部１４との間で保持（換言すれば、把持。）する方向の弾性力を有していることが好ましい。このような構成の場合、例えば図１の如く弾性力（換言すれば、付勢力。）に抗してヒンジ部１１を支点にチューブ保持帯部１２を外向きに撓ませた状態で、ハーネス保護チューブ１を基台部１０の円弧状の内面１３ａ側に上方から挿入できる。なお、チューブ保持帯部１２を、当該チューブ保持帯部１２の内向きの付勢力に抗して外向きに撓ませ、ハーネス保護チューブ１を挿入することができれば、ヒンジ部１１はなくてもよい。本明細書では基台部１０の底面１５ａ側を下として説明する。実際には、クランプ４は例えば上下反転して車体５３（図６参照。）の床下５２（図６参照。）の車両外側面に取付けられることもある。

　チューブ保持帯部１２は、チューブ支持壁１３の側壁部１４の先端（図３中における右端。）すなわちヒンジ部１１から、ハーネス保護チューブ１の略半周又はそれ以上の周方向長さでハーネス保護チューブ１の外周面２ａ’に沿って内向きに湾曲した湾曲部１６を有している。また、チューブ保持帯部１２は、湾曲部１６の突出先端からハーネス保護チューブ１の径方向内向きに（すなわち、下向きに。）折れ曲がったハーネス押さえ部６と、ハーネス押さえ部６に一体に形成されたロック爪５と、を有している。

　ハーネス押さえ部６がハーネス保護チューブ１の孔部３に係合した状態において、ハーネス押さえ部６は、ハーネス保護チューブ１の頂部（すなわち、上端。）２ｂよりも左側（すなわち、クランプ４のチューブ支持壁１３の側壁部１４寄り。）に位置している。また、当該状態において、ハーネス押さえ部６は、チューブ保持帯部１２から略９０°程度の交差角度で内向きに屈曲して、同じく側壁部１４寄りに配置されたハーネス保護チューブ１の孔部３を貫通してハーネス保護チューブ１内に突出している。そして、ハーネス押さえ部６は、二本の高圧電線７と少なくとも絶縁被覆８とで成るハーネス９をチューブ支持壁１３の底壁部１５に向けて（すなわち、下向きに。）押圧している。

　図１，図３の如く、ハーネス押さえ部６は、チューブ保持帯部１２とほぼ同じ板厚の突出部分６ａと、突出部分６ａの内面側に一体に突出形成されたロック爪５と、を有している。突出部分６ａの先端すなわちハーネス押さえ部の先端は尖っておらず、湾曲面６ｂが形成されている。ハーネス押さえ部６は、湾曲面６ｂでハーネス９を比較的大きな面積でしっかりと下向きに押圧する。

　ロック爪５は、図３で上に向かうにつれて（すなわち、ハーネス保護チューブ１の孔部３に向かうにつれて。）突出部分６ａの板厚を漸次増加させた傾斜面５ａと、傾斜面５ａの上端に交差して突出部分６ａの内面に略直交する係止面５ｂとを有している。ロック爪５の係止面５ｂの幅と、係止面５ｂと同一面上の突出部分６ａの板厚との総和がハーネス保護チューブ１の孔部３の長辺部３ａ，３ｂ間の内幅よりも少し大きく規定されている。ロック爪５は、ハーネス押さえ部６と共に圧入気味にハーネス保護チューブ１の孔部３内に挿入され、内向きに少し撓み変形しつつ孔部３を貫通する。そして、ロック爪５は、当該貫通後、外向きに弾性復帰して孔部３の内縁（すなわち、ハーネス保護チューブ１の内面。）２ｃに抜け出しなく係合する（換言すれば、抜け止めされる。）。なお、ロック爪５と突出部分６ａとの間に不図示のスリットを設けて、ロック爪５をアーム状に弾性変形させることも可能である。

　図３の如く、クランプ４のチューブ保持帯部１２がチューブ支持壁１３に向けてハーネス保護チューブ１を径方向に弾性的に保持しつつ、チューブ保持帯部１２の先端側のハーネス押さえ部６が、ハーネス９をチューブ支持壁１３の底壁部１５に向けて下向きに押して、ハーネス９の外周の絶縁被覆８の左右両側の下側の外面９ｂをハーネス保護チューブ１の下部側の内面２ｄに押し付けて、ハーネス９の上下方向及び左右方向のばたつきを抑止する。

　チューブ保持帯部１２をヒンジ部１１からチューブ保持方向（すなわち、図１の矢印Ｃ方向。）に弾性的に閉じると、ハーネス押さえ部６がチューブ保持帯部１２の閉じ方向の軌跡に沿って自動的にハーネス保護チューブ１の孔部３に位置決めされる（すなわち、ハーネス押さえ部６の湾曲面（突出先端）６ｂが孔部３の開口３ｅに対向するように位置決めされる。）。その状態から作業者がハーネス押さえ部６の基端（すなわち、付根。）側でチューブ保持帯部１２の外面を手で下向きに押すことで、ロック爪５がハーネス押さえ部６と共に孔部３内に圧入されて、孔部３の内縁（すなわち、ハーネス保護チューブ１の内面。）２ｃに作業性良くスムーズに係合する。

　本実施形態において、ハーネス押さえ部６は、チューブ保持帯部１２の閉じ方向（すなわち、図１の矢印Ｃ方向。）の軌跡に沿うように少し外向きに湾曲形成されている。また、孔部３の左端の長辺部３ａは、ハーネス押さえ部６の先端外面（すなわち、図３における左面。）６ｃをスムーズに摺接案内させるように、ハーネス保護チューブ１の中心に向かう仮想線に対して外向きに偏心しつつ傾斜している（すなわち、孔部３の長辺部（左端面）３ａと長辺部（右端面３）ｂとは平行ではない。）。

　本実施形態においてハーネス押さえ部６は断面長円形状のハーネス９の左半部の外面９ａに押接する。なお、ハーネス押さえ部６を図３における長さよりも長く突出形成し、湾曲部（チューブ保持帯部本体）１６とハーネス押さえ部６の突出部分６ａとの交差角度を図３におけるよりも鋭角的に規定すれば、ハーネス押さえ部６の湾曲面（突出先端）６ｂでハーネス９の幅方向中央部の外面９ａを押さえることができる。

　ハーネス保護チューブ１とハーネス９とを有するワイヤハーネス１７を自動車の床下に露出して配索する場合に、ハーネス保護チューブ１の孔部３を地面に向けて下向きに配置すれば、孔部３をハーネス保護チューブ１の水抜き孔として作用させることができる。また、クランプ４のハーネス押さえ部６と孔部３との隙間からチューブ１内への水の浸入を防ぐためには、孔部３の隙間をシール剤等で埋めることが好ましい。なお、自動車の車体の内側にハーネス保護チューブ１を配索する場合は、孔部３の隙間を防水する必要性は高くない。

　なお、上記図１～図３の第一の実施形態においては、チューブ保持帯部１２を弾性的に閉じ方向（すなわち、図１の矢印Ｃ方向。）に付勢してその付勢力でハーネス保護チューブ１を保持することが好ましいと説明した。これに対して、例えば、後述の図４～図５の第二の実施形態におけるような、ロック爪５とは別のロック部（ロック手段であるロック片２３。）をチューブ保持帯部１２に設ければ、チューブ保持帯部１２に閉じ方向の弾性力を付与する必要はない。

　図４～図５は、本発明に係るハーネス保護チューブのクランプ構造の第二の実施形態を示すものである。上記図１～図３の第一の実施形態と同じ構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

　このハーネス保護チューブ１のクランプ構造は、上記図１～図３の第一の実施形態の構造に比べて、クランプ２１のハーネス押さえ部２２の形状を変更している。具体的には、ハーネス押さえ部２２とロック片２３とを別々に形成して、ロック片２３をハーネス保護チューブ１の孔部３ではなくクランプ２１の基台部１０’に係止する。これに伴って、チューブ保持帯部２４の内向きの弾性力を不要として、基台部１０’のチューブ支持壁１３とチューブ保持帯部２４とを連結するヒンジ部２５の更なる薄肉化を実現している。

　ハーネス保護チューブ１は上記第一の実施形態におけるものと同じであり、チューブ長手方向の左右の長辺部３ａ，３ｂとチューブ周方向の前後の短辺部３ｃ，３ｄとを有する矩形スリット状の孔部３を有している。ワイヤハーネス１７は、ハーネス保護チューブ１と、二本の高圧電線７とその外側の少なくとも絶縁被覆８とを有するハーネス９と、を備えている。

　クランプ２１の円弧状（換言すれば、湾曲状。）のチューブ保持帯部２４の突出先端側にハーネス押さえ部２２とロック片２３とが順に並んで配設されている。ハーネス押さえ部２２は、チューブ保持帯部２４の先端側の内面からハーネス保護チューブ１の径方向内側に向けて突出し、チューブ保持帯部２４の湾曲形状とは逆反方向に円弧状に湾曲している。ハーネス押さえ部２２の先端面２２ａは、チューブ保持帯部２４の長手方向中間部を向いている。ハーネス押さえ部２２は板厚方向（すなわち、図５の上下方向。）の可撓性（換言すれば、弾性。）を有したものであってもよい。

　ヒンジ部２５からチューブ保持帯部２４をハーネス保護チューブ１の外周面２ａ’に向けて閉じると、チューブ保持帯部２４の閉じ方向の軌跡に沿ってハーネス押さえ部２２が自動的にハーネス保護チューブ１の孔部３内に挿入される。そして、孔部３内に挿入されたハーネス押さえ部２２の湾曲状の外面の先端部分２２ｂがハーネス９の左半分の外面９ａに押接する。ハーネス押さえ部２２の突出長さを図５における長さよりも長く規定すれば、ハーネス９の幅方向中央を下向きに押すこともできる。

　ハーネス押さえ部２２のさらに外側（すなわち、図５における左側。）すなわちチューブ保持帯部２４のさらに先端側にロック片（ロック部）２３が一体に突出形成されている。ロック片２３は、チューブ保持帯部２４の湾曲形状に沿って湾曲状に且つ薄肉に延長形成されたロック片本体２３ａと、ロック片本体２３ａの突出先端側の内面に突出形成された爪部（突起）２３ｂと、を有している。

　クランプ２１の基台部１０’のチューブ支持壁１３の左端側において上向きに突出した側壁部１４には、ロック片挿入用の矩形状の有底の孔部（凹部）２６が形成されている。また、側壁部１４における孔部２６の右壁１４ａの上縁（開口端縁）には、ロック片２３の爪部２３ｂが係止される下向きの水平な係止面２７ａを有する係止段部又は係止突部（すなわち、係止部。）２７が形成されている。

　チューブ保持帯部２４の先端側のハーネス押さえ部２２の先端部分２２ｂが、二本の高圧電線７と絶縁被覆８とを少なくとも有するハーネス９を下向きに押した状態で、チューブ保持帯部２４のさらに先端側のロック片２３がクランプ２１の係止突部２７に係止される。これにより、ハーネス押さえ部２２によるハーネス９の押圧（すなわち、ばたつき防止。）が良好に維持される。

　第二の実施形態のハーネス保護チューブのクランプ構造では、ハーネス押さえ部２２とロック片２３とが分離されている。このため、例えばハーネス押さえ部２２を、図５に示す例よりも大きくヒンジ部２５から離間させてチューブ保持帯部２４の長手方向中間部又はチューブ保持帯部２４の基端寄り（すなわち、ヒンジ部２５寄り。）に配設することもできる。この場合、ハーネス保護チューブ１の孔部３を、図５に示す例よりもハーネス保護チューブ１の頂部（すなわち、上端。）又はその近傍、あるいは図５とは左右対称の位置（すなわち、右側。）に配設する。

　図５に示す第二の実施形態では、ハーネス押さえ部２２からロック片２３にかけてのチューブ保持帯部２４の先端側壁部２４ａで孔部３の長辺部（左端面）３ａとハーネス押さえ部２２の湾曲状の左面２２ｃとの間の隙間２８を覆うので、外部から孔部３内への水や塵の侵入は、図１～図３に示す第一の実施形態よりも軽減される。なお、孔部３を完全に防水するためにはシール剤等を用いることが好ましい。

　なお、上記各実施形態においては、二本の高圧電線７を用いた例で説明したが、三本の高圧電線７を並列に配置したり、三角形の各頂点に位置するように配置した場合においても、上記各クランプ４，２１による固定構造すなわちクランプ構造を適用可能である。例えば車両の前部にインバータ５５（図６参照。）を配置し、車両の後部にモータ５４（図６）を配置した場合に、三本の高圧電線７を車両の前部から後部にかけて配索する。高圧電線７のみならず低圧電線を一緒に配線した場合や、各高圧電線７の外側を断面長円形の編組シールドやシールド箔といったシールド部材で覆い、シールド部材の外側を絶縁被覆（換言すれば、外皮。）８で覆ってハーネス９を構成した場合でも、上記クランプ構造を適用可能である。

　また、上記各実施形態においては、断面円形のハーネス保護チューブ１を用いたが、例えば断面長円形のハーネス保護チューブを用いた場合でも、ハーネス９の外面とハーネス保護チューブ１の内面との間の隙間に起因するハーネス９すなわち高圧電線７のばたつきを防止するために、上記クランプ構造を適用可能である。

　また、ハーネス９を断面長円形ではなく断面円形に形成し、断面円形のハーネス９を断面円形のハーネス保護チューブ１内に挿通した場合においても、上記クランプ構造を適用可能である。また、断面円形のハーネス９を断面長円形のハーネス保護チューブ１内に挿通した場合は、断面長円形のハーネス保護チューブ１の長径側において上記クランプ構造のハーネス押さえ部６，２２を適用可能である。

　また、上記各実施形態においては、ロック爪（ロック部）５，２３でチューブ保持帯部１２，２４をハーネス保護チューブ１又はクランプ４，２１に固定したが、例えばチューブ保持帯部１２，２４の閉じ方向（すなわち、チューブ把持方向。）の弾性力を強く規定して、ロック爪５，２３を省略することも可能である。この場合、付根側にヒンジ部１１，２５は設けない構成とすることができる。

　なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。

　以下では、実施形態に係るハーネス保護チューブのクランプ構造について纏める。
（１）実施形態に係るハーネス保護チューブのクランプ構造は、ハーネス９が挿通されるハーネス保護チューブ１と、該ハーネス保護チューブ１の外周側に配置された固定用のクランプ４（２１）と、を備える。前記クランプ４（２１）は、前記ハーネス保護チューブ１を支持する基台部１０（１０’）と、該基台部（１０’）から突出形成されたチューブ保持帯部１２（２４）と、を有する。前記チューブ保持帯部１２（２４）は、ハーネス押さえ部６（２２）を有する。そして、前記ハーネス保護チューブ１の周壁２に形成された孔部３から該ハーネス保護チューブ１内に挿入された前記ハーネス押さえ部６（２２）が、前記ハーネス９に押接して該ハーネス９のばたつきを抑制する。
（２）第一の実施形態に係るハーネス保護チューブのクランプ構造では、前記ハーネス押さえ部６が、前記孔部３に係止されるロック爪５（ロック部）を有する。
（３）第二の実施形態に係るハーネス保護チューブのクランプ構造では、前記チューブ保持帯部２４が、ロック片２３（ロック部）を有し、前記基台部（１０’）が、前記ロック片２３が係止される係止突部２７（係止部）を有する。

　本出願は、２０１２年９月３日出願の日本特許出願（特願２０１２－１９２８８１）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明に係るハーネス保護チューブのクランプ構造は、ハーネスが挿通されたハーネス保護チューブをクランプで取付側に固定した状態において、ハーネス保護チューブ内のハーネスのばたつきを防ぐために利用することができる。

　１　　　ハーネス保護チューブ
　２　　　周壁
　３　　　孔部
　４，２１　　クランプ
　５　　　ロック爪（ロック部）
　６，２２　　ハーネス押さえ部
　９　　　ハーネス
　１０，１０’　基台部
　１２，２４　チューブ保持帯部
　２３　　　ロック片（ロック部）
　２７　　　係止突部（係止部）

Claims

　ハーネスが挿通されるハーネス保護チューブと、該ハーネス保護チューブの外周側に配置された固定用のクランプと、を備えるハーネス保護チューブのクランプ構造であって、
　前記クランプは、前記ハーネス保護チューブを支持する基台部と、該基台部から突出形成されたチューブ保持帯部と、を有し、
　前記チューブ保持帯部は、ハーネス押さえ部を有し、
　前記ハーネス保護チューブの周壁に形成された孔部から該ハーネス保護チューブ内に挿入された前記ハーネス押さえ部が、前記ハーネスに押接して該ハーネスのばたつきを抑制するハーネス保護チューブのクランプ構造。
　前記ハーネス押さえ部が、前記孔部に係止されるロック部を有する
　請求項１記載のハーネス保護チューブのクランプ構造。
　前記チューブ保持帯部が、ロック部を有し、
　前記基台部が、前記ロック部が係止される係止部を有する
　請求項１記載のハーネス保護チューブのクランプ構造。