WO2013014993A1 - 媒体収納繰出装置 - Google Patents

Abstract

　回転可能に設けられた複数の一側リールと、複数の一側リールにそれぞれ巻き付けられる複数の一側テープと、回転可能に設けられ一方の方向に回転して複数の一側テープに重ねて媒体を巻き取って収納したり逆方向に回転し巻き取られた媒体を外部へ繰り出したりするドラムと、ドラムに巻き取られまたドラムから繰り出される媒体を介して複数の一側テープのそれぞれと対向する位置に設けられ、媒体の一方の面に当接して媒体を保持する複数の保持部とを有し、複数の一側テープは、媒体の幅よりも短いテープ幅を有し、媒体の幅方向に媒体幅よりも短い間隔を空けて並列に設けられ、媒体の他方の面に当接する媒体収納繰出装置を提供する。これによって、装置内を搬送される媒体の先端がめくれることを防ぎ得る。

Description

媒体収納繰出装置

　本発明は、媒体収納繰出装置および媒体処理装置、より具体的には、例えば紙幣等の媒体を収納するとともに排出する媒体収納繰出装置ならびに媒体の収納、排出およびこれらに類する処理を行う媒体処理装置に関するものである。

　媒体処理装置の一例として、金融機関で使用される現金自動預払機等が挙げられる。現金自動預払機は、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するように構成されている。

　現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金口と、投入された紙幣の種類および真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、種類ごとに紙幣を格納する紙幣貯蔵部とを有するものがある。なお、一時保留部や紙幣貯蔵部などは、媒体収納繰出装置として媒体を収納および排出の用に供し得る。

　現金自動預払機は、入金取引において、顧客が紙幣入出金口に紙幣を投入すると、投入された紙幣を鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部で保留する。その一方、現金自動預払機は取引すべきでないと鑑別された紙幣を紙幣入出金口へ戻して顧客に返却する。続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、鑑別部により一時保留部に保留した紙幣の種類を再鑑別し、鑑別された種類に応じて各紙幣貯蔵部へ収納する。

　米国特許出願公開第2009/0108115号に開示されている一時保留部は、上側リールに巻かれた１本の上側テープおよび下側リールに巻かれた１本の下側テープの間に紙幣を短辺方向に沿って整列させるよう挟持する。

　また、このような構造の一時保留部は、上側テープおよび下側テープを上側リールおよび下側リールにそれぞれ巻き取りながら、ドラムを収納時とは反対方向に回転させることにより、収納している紙幣を放出する。一時保留部には、可動ガイドと対向する位置に搬送ガイド部材が設けられているものもある。かかる一時保留部は、搬送ガイド部材により放出しようとする紙幣の下側面を案内し、紙幣を外部に繰り出す。

　ドラムに紙幣が巻き取られていくにつれて、ドラムの見かけ上の外形が大きくなっていく。このため搬送ガイド部材は、ドラムの見かけ上の外形が最大となった状態においても当該ドラムに接触しないよう、ドラムとの間に所定の空間を空けて設けられている。紙幣の繰出しの際には、紙幣の下側面は１本の下側テープにより保持されつつ、ドラムから搬送ガイド部材へ搬送される。

　ところで、紙幣は市場で流通する過程において端部から切れ目が入ることがある。そのような紙幣をドラムに一旦巻き取った後に放出する場合、切れ目がちょうど下側テープの真上に位置した状態で紙幣が搬送されるとは限らない。紙幣の搬送方向に直交する幅方向に切れ目が下側テープからずれて位置した状態で紙幣が搬送されることがある。

　図28を参照して、切れ目の入った紙幣BLが公知の一時保留部912 内のドラム936 と搬送ガイド部材938 の間に設けられた空間の上方を通過する場合のことを考える。一時保留部912 は１本の上側テープ962 および１本の下側テープ972 のみにより紙幣BLを挟持する構成を採っているので、ドラム936 と搬送ガイド部材938 の間の空間SPには紙幣の下側面を案内する部品がない。このため紙幣BLは、切れ目から幅方向の外側部分がめくれて下に垂れてしまうことがある。

　その場合、紙幣BLにおいて垂れた部分が搬送ガイド部材938 に接触し、切れ目から外側の領域のみが搬送ガイド部材938 の下方向に反れてゆき、切れ目の端部で搬送ガイド部材938 に引っかかり、ジャムを発生させてしまうおそれがある。

　また、仮に搬送ガイド部材938 には衝突しなくとも、現金自動預払機内部に設けられた他の部品に紙幣の一部分が衝突し、ジャムを発生させてしまうおそれがある。

　本発明はこのような課題に鑑み、紙幣等媒体のジャムを防ぎ、信頼性を高め得る媒体収納繰出装置および媒体処理装置を提供することを目的とする。

　本発明によると、媒体収納繰出装置は、回転可能に設けられた複数の一側リールと、複数の一側リールにそれぞれ巻き付けられる複数の一側テープと、回転可能に設けられ一方の方向に回転して複数の一側テープに重ねて媒体を巻き取って収納したり逆方向に回転して巻き取られた媒体を外部へ繰り出したりするドラムと、ドラムに巻き取られまたドラムから繰り出される媒体を介して複数の一側テープのそれぞれと対向する位置に設けられ、媒体の一方の面に当接して媒体を保持する複数の保持部とを有し、複数の一側テープは、媒体の幅よりも短いテープ幅を有し、媒体の幅方向に媒体幅よりも短い間隔を空けて並列に設けられ、媒体の他方の面に当接する。

　また、本発明によると、媒体処理装置は、媒体を搬送する媒体搬送路と、媒体搬送路から媒体を挿入されるとともに媒体を繰り出す媒体入出口と、回転可能に設けられた複数の一側リールと、複数の一側リールにそれぞれ巻き付けられる複数の一側テープと、回転可能に設けられ、一方の方向に回転して複数の一側テープに重ねて媒体を巻き取って収納したり逆方向に回転して巻き取られた媒体を外部へ繰り出したりするドラムと、ドラムに巻き取られまたドラムから繰り出される媒体を介して複数の一側テープのそれぞれと対向する位置に設けられ、媒体の一方の面に当接して媒体を保持する複数の保持部とを有し、複数の一側テープは、媒体の幅よりも短いテープ幅を有し、媒体の幅方向に媒体幅よりも短い間隔を空けて並列に設けられ、媒体の他方の面に当接する。

　本発明によれば、紙幣の装置内搬送中に媒体の先端がめくれることを防止することが可能となる。

　ひいては、本発明によれば、媒体のジャムを防ぎ、信頼性を高め得る媒体収納繰出装置および媒体処理装置を提供することが可能となる。

　本発明の目的と特徴は、以下の添付図面を参照した詳細な説明を考慮することで、さらに明らかになる。
本発明に係る媒体処理装置の実施例の外観構成を概略的に示す斜視図、 図１に示す媒体処理装置の実施例の内部構成を概略的に示す側面図、 本発明に係る媒体収納繰出装置の実施例の構成を概略的に示す概念的側面図、 図３に示す実施例の要部をその駆動機構とともに示す部分断面背面図、 図３に示す実施例の要部を下側リールから上方に見た部分下面図、 図３に示す実施例におけるテープと紙幣の切れ目の位置関係を概略的に示す、図５と同様の部分下面図、 および テープの位置および幅の設定条件を説明する説明的要部下面図、 図３に示す実施例の内部で正常に搬送される媒体を示す要部側面図、 および 図３に示す実施例において媒体を挟持するテープを示す概略図、 および テープの位置および幅の設定条件を説明する、図７と同様の説明的要部下面図、 図３に示す媒体収納繰出装置の変形例の構成を概略的に示す概念的側面図、 図14に示す変形例の要部をその駆動機構とともに示す部分断面背面図、 本発明に係る媒体収納繰出装置の別の実施例の構成を概略的に示す、図３と同様の概念的側面図、 図16に示す実施例の要部をその駆動機構とともに示す、図４と同様の部分断面背面図、 図16に示す実施例の要部下面図、 ないし スクレーパの位置および幅の設定条件を説明する、図７と同様の説明的要部下面図、 図16に示す媒体収納繰出装置の変形例の構成を概略的に示す概念的側面図、 図23に示す変形例の要部をその駆動機構とともに示す部分断面背面図、 本発明に係る媒体収納繰出装置のさらに別の実施例の構成の要部を概略的に示す、図４と同様の部分断面背面図、 および 図25に示す実施例の要部下面図、 従来の媒体収納繰出装置において媒体の一部が切れ目から垂れ下がる状態を示す図、ならびに 従来の媒体収納繰出装置においてカールした媒体を挟持するテープを概略的に示す図である。

　次に添付図面を参照して本発明による媒体処理装置および媒体収納繰出装置の実施例を詳細に説明する。これらの装置で処理される媒体は例えば長方形の平面形状をしている。本実施例は、媒体として紙幣を取り扱う媒体処理装置、すなわち現金自動預払機10であり、現金自動預払機10の内部に設けられた一時保留部12が媒体収納繰出装置として機能する。しかしながら、媒体処理装置で扱われる媒体とは紙幣に限らず、例えば商品券、金券、入場券、小切手、証書、切符などのような薄い紙葉状もしくは条片状の媒体であればどんな媒体でも処理可能である。したがって、当然ながら媒体処理装置の例は紙幣を取り扱う現金自動預払機10に限られない。また、媒体収納繰出装置とは紙葉状もしくは条片状の媒体を収納し、またこれを繰り出す装置であればどのような装置でもよい。そのため、媒体収納繰出装置の例は一時保留部12に限られない。

　図１に外観を示すように、本発明による媒体処理装置の実施例である現金自動預払機10は箱状の筐体14に収められ、顧客との間で現金に関する取引を行う。

　筐体14は、その前面14A 側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、特に前面14A の上部や上面に、接客部16が設けられている。接客部16は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りするとともに、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うように構成されている。

　接客部16には、顧客が入金する紙幣が投入されまた顧客へ出金する紙幣を排出する部分である紙幣入出金口18が設けられている。紙幣入出金口18には図示しないシャッタが設けられ、シャッタを駆動することにより紙幣入出金口18は開放または閉塞する。

　接客部16はまた、顧客が入金する硬貨が投入されまた顧客へ出金する硬貨を排出する硬貨入出金口20、および取引情報を表示し顧客による取引情報の入力を受け付ける表示操作部22を有する。表示操作部22は、取引に際して操作画面を表示する表示部と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額などを入力する入力部を一体的にまたは分離して有する操作機器である。

　接客部はさらに、通帳挿入口24およびカード挿入口26を有する。通帳挿入口24は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳を排出する部分である。この通帳挿入口24の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部（図示せず）が設けられている。カード挿入口26は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード挿入口26の奥部には、カードに記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部（図示せず）が設けられている。

　図２は、図１の現金自動預払機10を矢印Ａ方向から見た内部側面図であり、現金自動預払機10の内部構成のうち主に紙幣の処理に関する部分を示している。同図に示したように、現金自動預払機10の内部には、上側に接客部18、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部28および入金紙幣を一時的に保留する一時保留部12等が設けられている。また、現金自動預払機10の内部下側には、紙幣を種類別に格納しておく入れ物である紙幣貯蔵部30等が設けられている。紙幣は搬送路32を通って、各処理部の間で搬送される。

　現金自動預払機10は、制御部34により全体を統括制御するように構成されれている。制御部34は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、表示操作部22を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口18のシャッタを開いて紙幣を投入させる。続いて制御部34は、投入された紙幣を搬送路32を介して鑑別部28へ搬送させる。制御部34は鑑別部28に紙幣の鑑別をさせ、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部12へ搬送して一時的に保留させる。一方、制御部34は取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を紙幣入出金口18へ搬送して顧客に返却させる。

　その後制御部34は、表示操作部22を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部12に保留している紙幣を再び鑑別部28へ搬送して金種を再鑑別させて、鑑別された紙幣の種類に応じて紙幣貯蔵部30の各カセットへ搬送し収納させる。

　筐体14の前面14A 、背面および両側面のうち少なくとも１つの任意の面には、図示しない扉が設けられている。筐体14は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、図１および図２に示しているように各扉を閉めることにより、紙幣貯蔵部30等に格納している紙幣を保護する。一方筐体14は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じて各扉を開放可能になっている。この構成により、作業者は現金自動預払機10内部の各処理部に対する作業を容易に行うことが可能となる。

　また現金自動預払機10は、保守作業時に、背面の扉を開放した上でスライド機構などを介して一時保留部12を背面方向へ破線12a で示すように引き出すことができるように構成されていてもよい。この場合、現金自動預払機10は一時保留部12の上面を背面方向へ向けるよう傾けることができると特に好ましい構成となる。

　図３ないし図５に、現金自動預払機10に内蔵される装置の１つである一時保留部12を示す。一時保留部12は、本発明による媒体収納繰出装置の一実施例である。図３で示す一時保留部12の左側は現金自動預払機10の前面14A 側、右側は後面側である。図４は、図３で示されている一時保留部12を後側から見て、その駆動機構とともに示す部分断面背面図である。また図５は、図３の一時保留部12を矢印Ｂ方向、すなわちドラム36と搬送ガイド38の間の空間SPの下方から見た図である。

　一時保留部12の前側面には、一時保留部12の内部への紙幣40の出入口となる紙幣受渡口42が設けられている。

　一時保留部12は、紙幣受渡口42から挿入された紙幣40を一時的に収納するドラム36を有し、ドラム36はドラム軸44を固定的に取り付けている。ドラム軸44は例えば図示しない駆動モータの駆動に伴って回転し、ドラム軸44の回転に伴ってドラム36も回転する。図４に示す例では、ドラム軸44は一時保留部12内部に設けられたフレーム46にベアリング48を介して一時保留部12の左右方向に沿って取り付けられる。このように取り付けられることによってドラム軸44はフレーム46に対して回転可能となる。

　ドラム36は円筒状の形状をしていて、ドラム軸44を中心に図３の矢印R1方向に回転することにより、紙幣受渡口42から挿入された紙幣40を円筒状の表面に巻きつけて紙幣40を一時的に収納する。また、ドラム36はドラム軸44を中心に図３の矢印R2方向に回転することにより、円筒状の表面に巻きつけられた紙幣40を巻き戻し、紙幣40を繰り出す。

　ドラム軸44のドラム36が取り付けられている側とは反対方向の端部には、ドラムギア50が取り付けられている。さらに一時保留部12は、ドラムギア50と噛み合うリールギア52a 、リールギア52b を有する。リールギア52a は、ワンウェイクラッチ54a を介してリール軸56に取り付けられている。同様にリールギア52b は、ワンウェイクラッチ54b を介してリール軸58に取り付けられている。

　ワンウェイクラッチ54a 、54b は、ドラム軸44とともに回転するドラムギア50からの回転力を受け取ったリールギア52a 、52b の所定の一方向の回転のみをそれぞれリール軸56、58に伝達する部品である。ドラムギア50、リールギア52およびワンウェイクラッチ54によって、リール軸56および58はドラム軸44と連動して回転する。リール軸56、58はともにドラム軸44と平行に取り付けられている。

　もっとも、リール軸56および58をドラム軸44と連動して回転させるために別の構成を採用しても構わないことはもちろんである。

　リール軸56のリールギア52a が取り付けられている側と反対側の端部には、上側リール60が固定的に取り付けられている。本実施例の場合、上側リール60はリール軸56の先端部に取り付けられた上側リール60a と、上側リール60a よりはリール軸56の中央部側に取り付けられた上側リール60b を有する。

　上側リール60a はドラム36の上方に設けられ、リール軸56を中心に回転する。上側リール60a には、上側テープ62a の一端が固定されている。上側テープ62a の材質は、例えば薄いフィルム状の樹脂である。上側テープ62a の左右方向のテープ幅は、紙幣40の長辺よりも十分に短くなっている。固定された上側テープ62a の一端を引っ張る方向に上側リール60a が回転すると、上側テープ62a は徐々に上側リール60a の外周面に巻き付けられてゆく。

　上側リール60b はドラム36の上方であり上側リール60a よりもリール軸56の中央部側に、紙幣40の幅方向の長さである紙幣幅よりも狭い間隔の分だけ上側リール60a と離して設けられる。かかる構成により、上側リール60b は上側リール60a と同期してリール軸56を中心に回転する。

　上側リール60b には、上側テープ62b の一端が固定されている。上側テープ62b の材質は、上側テープ62aと同様の材質でよい。本実施例における上側テープ62b の左右方向のテープ幅は、上側テープ62a と同じ幅である。もっとも、上側テープ62b のテープ幅は必ずしも上側テープ62a のテープ幅と合わせる必要はない。固定された上側テープ62b の一端を引っ張る方向に上側リール60b が回転すると、上側テープ62b は徐々に上側リール60b の外周面に巻き付けられてゆく。

　このように上側テープ62a と上側テープ62b は、一時保留部12の左右方向に紙幣40の紙幣幅よりも狭い間隔を空けて、並列して設けられている。

　上側リール60a および60b はともに、ドラム36から見て一方の側、すなわち本実施例ではドラム36の上方に設けられている一側リールを構成することになる。また、一側リールを構成する上側リール60a および60b にそれぞれ巻き付けられる上側テープ62a および62b はともに、ドラム36から見て一方の側、すなわち本実施例ではドラム36の上方に配置されている一側テープを構成する。

　上側リール60から見てドラム36よりも前側にある紙幣受渡口42付近には、ドラム軸44と平行に配置された回転軸を中心に回転する上側アイドルプーリ64が左右方向に２つ並んで設けられている。上側アイドルプーリ64は紙幣受渡口42を構成する要素であると捉えることもできる。

　上側リール60a および60b からそれぞれ引き出された上側テープ62a および62b は、リール60から見て前方向にある上側アイドルプーリ64の外周面に架け渡されて後方向へ転回させられる。さらに上側テープ62a および62b は、後述する可動ガイド66に設けられた従動ローラ68によりドラム36に押し当てられる。ドラム36に押し当てられたさらに先にある上側テープ62a および62b の他端部は、ともにドラム36に固定されている。

　リール軸58のリールギア52b が取り付けられている側と反対側の端部には、下側リール70が固定的に取り付けられている。本実施例の場合、下側リール70はリール軸58の先端部に取り付けられた下側リール70a と、下側リール70a よりはリール軸58の中央部側に取り付けられた下側リール70b を有する。

　下側リール70a はドラム36の下方であり上側リール60a と対向する位置に配置され、リール軸58を中心に回転する。

　下側リール70a には、下側テープ72a の一端が固定されている。下側テープ72a の材質は、上側テープ62と同様に例えば薄いフィルム状の樹脂である。下側テープ72a の左右方向のテープ幅は、上側テープ62a と同じ幅であり、紙幣40の長辺よりも十分に短くなっている。もっとも、下側テープ72a のテープ幅は必ずしも上側テープ62a のテープ幅と合わせる必要はない。固定されたテープ72a の一端を引っ張る方向に下側リール70a が回転すると、下側テープ72a は徐々に下側リール70a の外周側面に巻き付けられてゆく。

　下側テープ72a は、上側テープ62a とともに１組のテープを構成すると考えることもできる。

　下側リール70b はドラム36の下方であり上側リール60b と対向する位置に、紙幣40の幅方向の長さである紙幣幅よりも狭い間隔の分だけ下側リール70a と離して設けられる。下側リール70b の中心部もまたリール軸58に取り付けられているため、下側リール70b は下側リール70a と同期して回転する。

　下側リール70b には、下側テープ72b の一端が固定されている。下側テープ72b の材質は、下側テープ72a のものと同様でよい。下側テープ72b の左右方向のテープ幅は、上側テープ62b と同じ幅である。もっとも、下側テープ72b のテープ幅は必ずしも上側テープ62b のテープ幅と合わせる必要はない。固定された下側テープ72b の一端を引っ張る方向に下側リール70b が回転すると、下側テープ72b は徐々に下側リール70b の外周側面に巻き付けられてゆく。

　このように下側テープ72a と下側テープ72b は、一時保留部12の左右方向に紙幣40の紙幣幅よりも狭い間隔を空けて、並列して設けられている。下側テープ72はこのように一時保留部12内に設置されることにより、紙幣の一方の表面に接触し紙幣を保持する保持部としての役割を果たすことができる。

　下側テープ72b は、上側テープ62b とともに１組のテープを構成すると考えることもできる。

　下側リール70a および70b はともに、ドラム36から見て、一側リールを構成する上側リール60a および60b とは反対の側に配置される。この構成から、下側リール70a および70b は一側リールと対向して設けられる他側リールを構成すると捉えることができる。また、他側リールを構成する下側リール70a および70b にそれぞれ巻き付けられる下側テープ72a および72b はともに、一側テープを構成する上側テープ62a および62b とは反対の側に配置される。この構成から、下側テープ72a および72b は一側テープと対向して設けられる他側テープを構成すると捉えることができる。

　下側リール70から見てドラム36よりも前側にある紙幣受渡口42付近には、ドラム軸44と平行に配置された回転軸を中心に回転する下側アイドルプーリ74が左右方向に２つ並んで設けられている。また、下側アイドルプーリ74は上側アイドルプーリ64の下方に配置されている。紙幣40は搬送の際上側アイドルプーリ64と下側アイドルプーリ74の間の空間を通過することから、下側アイドルプーリ74もまた紙幣受渡口42を構成する要素であると捉えることもできる。

　下側リール70a および70b からそれぞれ引き出された下側テープ72a および72b は、リール70から見て前方向にある下側アイドルプーリ74の外周面に架け渡されて後方向へ転回させられる。さらに下側テープ72a および72b は、後述する可動ガイド66に設けられた従動ローラ68によりドラム36に押し当てられる。ドラム36に押し当てられたさらに先にある下側テープ72a および72b の他端部は、それぞれ、ドラム36の外周側面における右端部近傍および左端部近傍に固定されている。

　上側テープ62および下側テープ72のドラム36に対する固定位置の関係をより詳細に述べる。上側テープ62a と下側テープ72a の組は、テープ62および72を巻き取る方向にドラム36を回転させたときにドラム36の外周側面において上側テープ62a が下側テープ72a の外側に重なるように、右端部近傍に固定される。同様に、上側テープ62b と下側テープ72b の組は、テープ62および72を巻き取る方向にドラム36を回転させたときにドラム36の外周側面において上側テープ62b が下側テープ72b の外側に重なるように、左端部近傍に固定される。

　一時保留部12は、紙幣40の搬送路を形成する可動ガイド66を有する。可動ガイド66は、ドラム36の左右方向とほぼ同様の幅を有する板状に形成され、上側アイドルプーリ64近傍からドラム36の上部まで延びている。また、アイドルプーリ64の近傍にある可動ガイド66の前端には、ドラム軸44と平行に延びる回転軸76が設けられている。このため、可動ガイド66は回転軸76を支点として回転可能となる。可動ガイド66の後端部は、図示しない弾性材により下側、すなわちドラム36側へ付勢されている。

　可動ガイド66の後端近傍には従動ローラ68が取り付けられている。従動ローラ68はドラム36の回転に従動して回転し、ドラム36に巻き取られた紙幣40の表面に当接する。

　下側アイドルプーリ74には、可動ガイド66の下方に対向する位置に板状の搬送ガイド38が設けられている。下側アイドルプーリ74に設けられている搬送ガイド38もまた紙幣受渡口42を構成する要素であると捉えることもできる。

　搬送ガイド38は紙幣40の幅方向よりも左右方向に広い形状をしている。搬送ガイド38は、紙幣40を一時保留部12から外部へ繰り出す際、紙幣40が上側アイドルプーリ64と下側アイドルプーリ74との間に導かれるよう紙幣40をガイドする。

　このように、可動ガイド66の下側面に渡って、可動ガイド66と搬送ガイド38の間にある隙間には媒体の搬送路が形成されている。

　ところで、ドラム36にテープ62および72ならびに紙幣40が巻き取られていくと、巻き取られたテープ62および72ならびに紙幣40を含むドラム36の見かけ上の外径が増加していく。搬送ガイド38は、ドラム36の見かけ上の外径が最大となる際においても、巻き取られたテープ62および72ならびに紙幣40に接触しない位置に設けられている。すなわち、ドラム36から巻き戻された下側テープ72の下方近傍にある搬送ガイド38とドラム36の間には、紙幣40の下側面を保持する部材が何ら設けられていない空間SPが存在する。

　かかる構成をとる一時保留部12の基本的な動作を以下において説明する。紙幣40を収納する際、一時保留部12はドラム36を巻取方向R1へ回転させ、その外周側面に下側テープ72および上側テープ62を重ねるようにして巻き付けてゆく。

　紙幣受渡口42を介して挿入された紙幣40は、上側テープ62および下側テープ72により上下から挟まれた状態で搬送され、ドラム36の外周側面に巻き付けられる。

　ドラム36は、多数の紙幣40が順次巻き付けられるにつれて、見かけ上の外径が増加してゆく。これに応じて可動ガイド66は、回転軸76を支点としてドラム36により上方向へ徐々に持ち上げられる。

　これにより可動ガイド66は、ドラム36に巻き取られた紙幣40に従動ローラ68を常に接触させることができる。このため可動ガイド66は、ドラム36が回転する際に、長辺方向に折れ曲がるおそれを有しながらも上側テープ62および下側テープ72により挟持された紙幣40を、長辺方向に伸ばしながらドラム36の外周側面に押し付けるようガイドすることができる。

　一方、紙幣40を繰り出す際には、一時保留部12はドラム36を巻戻方向R2へ回転させるとともに、ドラム36の回転と連動して上側リール60をドラム36の回転方向とは反対方向に、下側リール70をドラム36の回転方向と同一方向にそれぞれ回転させる。この動作により、上側テープ62は上側リール60の外周側面に、下側テープ72は下側リール70の外周側面に巻き付けられてゆく。

　これにより紙幣40は、ドラム36から放出され、上側テープ62と下側テープ72の間で搬送されながら空間SPの上方を通過し、搬送ガイド38によりガイドされて紙幣受渡口42から一時保留部12の外部に繰り出される。

　このとき、図５に示すように、紙幣40における幅方向のほぼ中央部に、繰り出される際の搬送方向の先端から後ろ方向へ向かって切れ目80が存在したとする。

　上側テープ62a および下側テープ72a は、１組のテープとして紙幣40における切れ目80の右側を上下方向から挟持する。また上側テープ62b および下側テープ72b は、１組のテープとして紙幣40における切れ目80の左側を上下方向から挟持する。

　すなわち一時保留部12は、紙幣40の切れ目80の左右両側の上側面および下側面を挟持する。このため一時保留部12は、紙幣40が空間SPの上方を通過する際に、紙幣40の一部が切れ目80から垂れ下がることを防止できる。

　ところで、一時保留部12を含む現金自動預払機10では、図６に示すように、紙幣40が搬送される搬送路において紙幣40の搬送幅82が予め決められている。

　搬送幅82は、右側搬送限界ライン84a と左側搬送限界ライン84b との間の距離を示している。右側搬送限界ライン84a は、搬送中の紙幣40が通過可能な最も右端のラインである。同様に左側搬送限界ライン84b は、搬送中の紙幣40が通過可能な最も左端のラインである。

　紙幣40は、右側搬送限界ライン84a よりも右側に位置ずれしないよう、また左側搬送限界ライン84b よりも左側に位置ずれしないよう、例えば紙幣受渡口42の幅方向の長さの設定等により搬送路における位置が物理的に規制される。

　現金自動預払機10や、現金自動預払機10内の一時保留部12などの各処理部では、紙幣40を搬送する妨げとなる各種部品を、右側搬送限界ライン84a と左側搬送限界ライン84b との間を避けるように配置している。また、搬送幅82は、現金自動預払機10において取り扱われる紙幣のうち最大の紙幣40の紙幣幅よりも大きく設計される。

　これにより、紙幣40が左右方向にずれたりスキューしたりして搬送されたとしても、現金自動預払機10は、預払機10内部の各種部材に紙幣40を衝突させることなく、正常に紙幣40を搬送することができる。

　本実施例における一時保留部12は、下側テープ72a の右端と下側テープ72b の左端の間に紙幣40の切れ目80が位置している場合、紙幣40の垂れ下がりを防止できる。すなわち、切れ目80の左右にそれぞれのテープが配置されている場合、一時保留部12は紙幣40の一部が垂れ下がることを防止できる。

　しかしながら、下側テープ72a よりも右側、もしくは下側テープ72b よりも左側、すなわちテープの左右端部よりも外側に紙幣40の切れ目80が位置している場合、切れ目80の外側部分はテープにより保持されない。そのため、紙幣40の一部は搬送時において垂れ下がってしまう。

　これに対応するため、下側テープ72a およびその上方に設けられている上側テープ62a を可能な限り右側に、また下側テープ72b およびその上方に設けられている上側テープ62b を可能な限り左側に配置すればよいとも考えられる。

　しかしながら、例えば紙幣40が左側に位置ずれした際、位置ずれした紙幣40の右端が上側テープ62a および下側テープ72a の左端よりも左側に位置してしまう可能性がある。そのような場合、紙幣40は上側テープ62a および下側テープ72a により挟持されないため、上側テープ62b および下側テープ72b のみにより挟持される状態になるであろう。この状態では、従来の一時保留部と同様に、上下１組のテープのみにより紙幣40が挟持されることになってしまう。そのため、紙幣40の切れ目80よりも外側の部分がたわみ、搬送ガイド38に衝突してしまう可能性がある。

　これを防ぐため、本実施例における一時保留部12においては、紙幣40における切れ目80を左右両側からテープにより保持しつつ、紙幣40が左右に位置ずれした場合においても紙幣40を左右２組のテープにより常に挟持するようにテープ幅およびテープ位置が設定されている。

　以下において、図７～図13を参照しながら、テープ幅およびテープ位置の設定条件を具体的に説明する。図７に示すように、右端が右側搬送限界ライン84a 上に位置した状態の紙幣を紙幣40R と、左端が左側搬送限界ライン84b 上に位置した状態の紙幣を紙幣40L とする。なお、図７では下側テープ72b の図示を省略している。

　また、右側搬送限界ライン84a からそれぞれ、紙幣40R の想定上の切れ目80があるとする位置までの距離を距離L1、下側テープ72a の右端までの距離を距離L2、紙幣40Lの右端までの距離を距離L3とする。さらに下側テープ72a のテープ幅を長さL4とする。このとき、一時保留部12は下記の式１
　　　L 2＜L1　（式１）
が成り立つように構成される。

　式１は、紙幣40R の切れ目80よりも下側テープ72a の右端の方が右側に位置する条件を表している。これにより一時保留部12は、紙幣40が最も右側に位置ずれした状態においても、下側テープ72a により紙幣40Rの切れ目80の外側を保持することができる。

　さらに一時保留部12は、下記の式２
　　　L2＞L3－L4　（式２）
が成り立つように構成されている。式２は、紙幣40Lの右端よりも下側テープ72a の左端の方が左側に位置することを表している。これにより一時保留部12は、紙幣40が最も左側に位置ずれした状態においても、下側テープ72a により紙幣40Lを保持することができる。

　式１と式２を組み合わせると、下記の式３
　　　L3－L4＜L2＜L1　（式３）
が成り立つ。一時保留部12においては、式３が成り立つように紙幣40の位置および切れ目80の位置に対する下側テープ72a のテープ位置およびテープ幅が設定されている。

　ところで、紙幣40は市場で流通する過程において折り曲げられて扱われることがあり、その場合紙幣40には折り目がついてしまう。同じ折り目で繰返し折り曲げられると、紙幣40はその折り目から切れやすくなる。特に、紙幣40は長辺方向に２つ折りまたは４つ折りにされることが多いため、紙幣40の長手方向の中央部分、または長手方向の両端から長手方向長さの１／４だけ内側部分が、特に切れ目が入りやすい箇所である。

　そこで、本発明の実施例に係る一時保留部12は、紙幣40の右端から紙幣幅の１／４だけ左側に寄った位置に想定上の切れ目80R があるとして設計されてもよい。

　なお、紙幣40の長手方向の中央部分もまた、折り曲げられることが多いため切れやすい。しかしながら、長手方向の中央部分は、紙幣40が左右に位置ずれしたとしても、本実施例では通常は左右のテープにより外側を挟持される。そのため、上述した条件においては、紙幣40の長手方向の中央部分に入りやすい切れ目のことは考慮せず、紙幣40の右端から紙幣幅の１／４だけ左側に寄った位置に切れ目80R が存在することとした。

　このとき、紙幣40の紙幣幅をLa、搬送幅82をLbとおくと、距離L1はLa／４、距離L3はLb－Laとなる。したがって、距離L1と距離L3を式３に代入すると下記の式４、
　　　Lb－La－L4＜L2＜La／４　（式４）
が成り立つ。

　このように、紙幣40の端から紙幣幅の１／４の位置に存在する可能性が高い切れ目80R に対応するため、一時保留部12においては、現金自動預払機10で取り扱われる紙幣40の紙幣幅Laおよび搬送幅Lbに対し、式４を満たすように下側テープ72a のテープ位置およびテープ幅が設定されている。

　ところで、現金自動預払機10においては、サイズの異なる複数種類の紙幣が取り扱われるのが通常である。紙幣幅Laが短い紙幣の場合、その分距離L1、例えばLa／４もまた短くなるため、下側テープ72a をできるだけ右側に位置させることが望ましい。一方、紙幣幅Laが短くなるとその分距離L3は長くなるため、下側テープ72a を過度に右側に位置させると下側テープ72a を用いて紙幣を挟持すること自体できなくなる。

　このように、紙幣幅Laが短くなると式４を満足させることが厳しくなってゆく。しかしながら、一時保留部12においては、取り扱う複数種類の紙幣のうち紙幣幅Laが最も短い紙幣であっても式４を満たすように設定されることが望ましい。

　これにより、一時保留部12は、取り扱うどの種類の紙幣40に切れ目80R が生じていたとしても、切れ目80R の左右両側をそれぞれ左右２組のテープで挟持することにより、紙幣40の一部をたわませることなく搬送することができる。

　以上においては、紙幣40における右端から紙幣幅の１／４の距離に切れ目80R が存在する紙幣40ならびに下側テープ72a の位置および幅の関係について述べた。他方、図８に示すように、紙幣40における左端から紙幣幅の１／４の距離に切れ目80L が存在する紙幣40と下側テープ72b の関係については、上述した説明における左右方向を反転して設定すればよい。

　具体的には、左側搬送限界ライン84b からそれぞれ、紙幣40の切れ目80L があると仮定する位置までの距離を距離L11、下側テープ72b の左端までの距離を距離L12、紙幣40Rの左端までの距離を距離L13とする。さらに下側テープ72b のテープ幅を長さL14とする。そして、上述した距離L1、L2、L3および長さL4をそれぞれ距離L11、L12、L13および長さL14に置き換えて、式１ないし式４が成り立つように下側テープ72b の位置や幅を構成すればよい。

　もちろんのこと、長辺方向端から紙幣幅の１／４だけ内側の位置の切れ目を想定してテープの位置および幅を設定する場合に限らずとも本発明は適用可能である。現金自動預払機等の媒体処理装置で取り扱われる商品券、各種チケット等の媒体の種類毎に切れ目が入る可能性が高い位置に対応させて媒体処理装置および媒体収納繰出装置を構成してもよい。

　以上の構成を有する一時保留部12では、紙幣40を外部へ繰り出す際、回転可能に設けられた一側リールを構成する上側リール60a および60b の外周側面に、紙幣40の一方の面としての上側面に当接する一側テープを構成する上側テープ62a および62b をそれぞれ巻き付けてゆく。それとともに一時保留部12は、回転可能に設けられた他側リールを構成する下側リール70a および70b の外周側面に、紙幣40の他方の面としての下側面に当接する他側テープを構成する下側テープ72a および72b をそれぞれ巻き付けてゆくように構成されている。

　この動作により、紙幣40はドラム36から放出され、上側テープ62と下側テープ72の間を搬送されながら空間SPの上方を通過する。さらに紙幣40は搬送ガイド38によりガイドされて紙幣受渡口42から一時保留部12の外部へ繰り出される。

　このとき一時保留部12は、上側テープ62a と下側テープ72a により紙幣40の右端部近傍を上下方向から挟持するとともに、上側テープ62b と下側テープ72b により紙幣40の左端部近傍を上下方向から挟持する。

　このため一時保留部12は、右側に位置する組のテープの右端と左側に位置する組のテープの左端の間に紙幣40の切れ目80が位置する場合、切れ目80の左右部分をそれぞれ上下方向から挟持することができる。図28に示す従来の装置912 のように紙幣の一部が垂れ下がることもない。

　これにより一時保留部12は、図９に示すように紙幣40が空間SP部分を搬送される間に紙幣40が切れ目から上方向または下方向にめくれることを防ぎながら、紙幣40を搬送ガイド38まで搬送し、一時保留部12の外部に繰り出すことができる。かくして一時保留部12は、紙幣40が搬送ガイド38に衝突することを防止することができる。

　ところで、例えば日本国公開特許公報、特開2008－123093号に開示されているように、紙幣下側の面を２本のテープにより保持し、当該下側面の２本のテープとは紙幣の厚み方向に重複しない位置で、紙幣上側の面を１本のテープにより保持する紙幣収納繰出装置が提案されている。しかしながらこの装置の場合、紙幣40の上側の面に対しては１本のテープしか設けられていないので、先に述べた従来の装置と同程度にしか紙幣40を保持できない。

　また、紙幣40は流通の過程で形状がカールする場合がある。紙幣上側の面を１本のテープ962 により保持し、紙幣下側の面を2本のテープ972aおよび972bにより保持する公知の装置の場合、図29に示すように長辺方向（図29における左右方向）の中央部がたわむようにカールしている紙幣40については、上下計３本のテープでは挟持することができない。このため紙幣40は切れ目から垂れ下がり、搬送ガイド等に衝突してしまう可能性がある。

　これに対し本実施例による一時保留部12は、図10に示すように、右と左に並べて設けられた上側テープ62a および62b と、これらにそれぞれ対向して設けられた下側テープ72a および72bを有している。

　かかる構成により一時保留部12は、図11に示すように、カールしている紙幣40であってもその左右部分を上下方向からそれぞれ挟持することができる。このため一時保留部12は、紙幣40のたわんだ中央部分の垂れ下がりを抑止することができる。紙幣40が搬送ガイド38に衝突することもなくなる。

　本実施例の構成によれば、一時保留部12は、上側テープ62a と下側テープ72a により紙幣40の右端部近傍を上下方向から挟持するとともに、上側テープ62b と下側テープ72b により紙幣40の左端部近傍を上下方向から挟持する。

　このため一時保留部12は、紙幣40における切れ目80の左右両側を挟持し、紙幣40の先端が搬送中にめくれることを防止することができる。かくして現金自動預払機10は、紙幣40のジャムを防ぎ、信頼性を高めることができる。

　ところで、国によっては偽造防止などの目的でセキュリティスレッドの入った紙幣が流通している。また、セキュリティスレッド入りの紙幣を発行していない国であっても、紙幣に限らず商品券などの媒体について、やはり偽造目的などの目的でセキュリティスレッドを入れた媒体が事業者により発行され流通する場合がある。

　以下においては、本発明の実施例に係る現金自動預払機10および一時保留部12がスレッドを有する紙幣140 を取り扱う場合の装置構成について説明する。

　現金自動預払機10がスレッドを有する紙幣140 を取り扱う場合であっても、その本質的な構成は図１および図２に示す実施例の構成と同様である。一時保留部12の本質的な構成についても、図３に示す構成と同様である。

　本実施例に係る現金自動預払機10および一時保留部12で処理される紙幣140 は、図12に示すように、紙幣の長辺の一端から他端までのうちいずれかの位置から短辺方向に沿って直線状に織り込まれた薄型帯状でなるセキュリティ用のスレッド142 を有している。

　スレッド142 は、紙幣140 の紙部分144 とは異なる材質でなり、一般的に紙部分144 よりも固く形成されている。そこで、スレッド142 と紙部分144 の境目は、材質の違いにより切れ目が入りやすい傾向にある。このため、境目に入った切れ目から紙幣140 の一部が搬送中にめくれてしまう可能性がある。

　一時保留部12においては、スレッド144 を有する紙幣140 に対し、切れ目の入りやすいスレッド142 と紙部分144 の境目を左右両側からテープ62および72により保持しつつ、紙幣140 が左右に位置ずれした場合においても紙幣140 を左右２組のテープにより常に挟持するようにテープ幅およびテープ位置等が設定されている。

　より具体的なスレッドに対するテープ幅およびテープ位置の条件については、以下において説明する。図12に示したように、右端が右側搬送限界ライン84a 上に位置した状態の紙幣を紙幣140Rと、左端が左側搬送限界ライン84b 上に位置した状態の紙幣を紙幣140Lとする。なお、図12では下側テープ72b の図示は省略している。

　また、右側搬送限界ライン72a からそれぞれ、紙幣140Rにおけるスレッド142 の右端があると想定する位置までの距離を距離L5、下側テープ72a の右端までの距離を距離L6、紙幣140Lの右端までの距離を距離L7とする。さらに下側テープ72a のテープ幅を長さL8としたとき、一時保留部12は下記の式５が成り立つように構成される。

　なお、スレッド142 の左端は右端よりも中央寄りに位置している。スレッド142 の右端の外側を下側テープ72a で保持できていれば、当然にスレッド142 の左端の外側を保持できていることになる。したがって、スレッドの左端については設定すべき条件から除外する。

　　　L6＜L5　（式５）
　式５は、紙幣140Rにおけるスレッド142 の右端よりも下側テープ72a の右端の方が右側に位置する条件を表している。これにより一時保留部12は、紙幣140 が最も右側に位置ずれした状態においても、下側テープ72a により紙幣140Rにおけるスレッド142 の右側を保持することができる。

　さらに一時保留部12は、下記の式６
　　　L6＞L7－L8　（式６）
が成り立つように構成されている。式６は、紙幣140Lの右端よりも下側テープ72a の左端の方が左側に位置することを表している。これにより一時保留部12は、紙幣140 が最も左側に位置ずれした状態においても、下側テープ72a により紙幣140Lを保持することができる。

　式５と式６を組み合わせると、下記の式７
　　　L7－L8＜L6＜L5　（式７）
が成り立つ。一時保留部12においては、式７が成り立つように紙幣140 の位置およびスレッド142 の位置に対する下側テープ72a のテープ位置およびテープ幅が設定されている。

　現金自動預払機10においては一般的に、複数種類のサイズの紙幣が取り扱われる。一時保留部12は、そのような紙幣のうち、紙幣幅の長さLaが最も短い紙幣であっても、式７を満たすように各距離および長さの関係を設定することが望ましい。

　また、スレッド142 が設けられる長辺方向の位置は紙幣の種類によって様々である。紙幣の右端からスレッド142 の右端までの距離が短い紙幣140 の場合、その分距離L5もまた短くなるため、下側テープ72a を極力右側に位置させる必要がある。しかしながら下側テープ72a を過度に右側に位置させると下側テープ72a が紙幣自体を挟持できなくなる。

　そこで、一時保留部12は、取り扱う複数種類の紙幣のうち、最もスレッド142 が外側に寄って設けられている紙幣140 であっても、式７を満たすように構成されている。

　以上においては、紙幣140 における右端寄りにスレッド142 が設けられている場合について述べた。他方、図13に示すように紙幣140 における左端寄りにスレッド142 が設けられている場合においては、上述した説明における左右方向を反転して一時保留部12を構成すればよい。

　より具体的には、左側搬送限界ライン84b からそれぞれ、紙幣140Lにおけるスレッド142 の左端までの距離を距離L15 、下側テープ72b の左端までの距離を距離L16 、紙幣140Rの左端までの距離を距離L17 とする。さらに下側テープ72b のテープ幅を長さL18 とする。そして、上述した距離L5、L6、L7および長さL8を、それぞれ距離L15 、L16 、L17 および長さL18 に置き換えて、式５ないし式７が成り立つようにすればよい。

　以上の構成によれば、本発明の実施例に係る一時保留部12は、スレッド142 が設けられた紙幣140 を常に左右２組のテープで挟持しつつ、切れ目が発生するおそれのある、紙幣140 に設けられたスレッド142 と紙部分144 との境目部分の両側をテープで保持することにより、紙幣の一部を反らせることなく搬送することができる。

　なお、上述した実施例の説明では、紙幣140 に切れ目が入りやすい箇所として、スレッド142 と紙部分144 との境目を挙げてきた。しかしながら、本発明の思想はスレッドを有する媒体に限らず、要は媒体において異なる材質が組み合わされた境目であればどのような媒体でも適用可能である。また例えば、乗車券等の端部がパンチで穴あけされたことにより切れ易くなった部分を媒体における境目と同様に扱ってもよい。

　ところで、ここまでは図３に示すように、搬送中の紙幣40の上側に可動ガイド66が、下側に搬送ガイド38が設けられる実施例について述べてきた。しかしながら本発明はこれに限らず、図14および図15に示す一時保留部12a のように、搬送中の紙幣40の下側に可動ガイド66が、上側に搬送ガイド38が設けられるように構成してもよい。

　一時保留部12a のような構成の場合、紙幣40の下側面は可動ガイド66により保持されるため、紙幣40に切れ目が入っていたとしても、当該紙幣40の搬送方向の先端部は下側には垂れにくくなっている。また、本実施例に係る一時保留部12a は、紙幣40の左右両端部を２組のテープにより挟持しているため、紙幣40を繰り出す際に搬送される勢いにより紙幣40が上方向へ反ることを抑止する。ひいては、紙幣40が空間SPを通過する際に紙幣40が搬送ガイド38に衝突してしまうことを防ぐことができる。

　続いて、図16ないし図18を参照しながら、本発明に係る媒体収納繰出装置の別の実施例である一時保留部212 の構成についての説明をする。なお、一部保留部12にも使用された構成要素と同様の部分には同一の参照符号を付し、冗長な記載を避けるために詳細な説明を繰り返さない。また、一時保留部212 を有する現金自動預払機10の構成は、一時保留部12の代わりに一時保留部212 が搭載されていることを除いては先の実施例の構成と同様なので、重複した詳細な説明は避ける。

　一時保留部212 の構成は図16、一時保留部212 を後側から見た背面図である図17、そして図16を矢印Ｂ方向、すなわち空間SPの下方から見た図である図18で示されている。これらの図に示される通り、一時保留部212 には、一時保留部12とは異なり下側リール70および下側テープ72は設けられていない代わりに、スクレーパ220 が設けられている。

　スクレーパ220 は、上側テープ62a の下部において紙幣40を挟んで上側テープ62a と対向する位置に設けられたスクレーパ220aと、上側テープ62b の下部において紙幣40を挟んで上側テープ62b と対向する位置に設けられたスクレーパ220bを有する。

　すなわち、スクレーパ220aおよび220bは互いに上側テープ62a と上側テープ62b の間の距離と同じ間隔を空けて、上側テープ62a および62b の下部にそれぞれ設けられている。スクレーパ220aおよび220bは並列して、一時保留部212 の左右方向に紙幣40の紙幣幅よりも狭い間隔を空けて設けられることになるので、紙幣40の一方の表面に接触し紙幣40を保持する保持部としての役割を果たすことができる。

　スクレーパ220aおよび220bは、下側アイドルプーリ74の回転軸を軸として互いに独立して双方向に回転可能に設けられている。

　スクレーパ220aおよび220bはともにドラム36まで延びていて、図示しない弾性材により後方端部が下側、すなわちドラム36側へ付勢されている。

　本実施例におけるスクレーパ220aおよび220bは、前端部から後端部に向かうに連れて左右方向の幅が細くなっていて、ドラム36に巻かれた上側テープ62に接触する後端部が、最も幅が狭い最小幅部分となっている。さらにスクレーパ220aおよび220bの後端部の幅はそれぞれ、上側テープ62a および62b のテープ幅よりも短くなるように構成されている。

　かかる構成により、スクレーパ220aおよび220bの後端部はそれぞれ、ドラム36に巻かれた上側テープ62a および62b の外周面に常時接触する。

　またかかる構成により、紙幣40を収納する際に一時保留部212 はドラム36を巻取方向R1へ回転させると、その外周側面に上側テープ62を巻き付けていく。

　ドラム36への上側テープ62の巻取り動作に伴い、紙幣受渡口42を介して挿入された紙幣40は、上側テープ62により外周側から抑えられるようにしてドラム36の外周側面に巻き付けられる。

　可動ガイド66は、紙幣40が順次巻き付けられるにつれて見かけ上の外径が増加していくドラム36によって、回転軸76を支点として上方向へ徐々に持ち上げられる。これにより、可動ガイド66は従動ローラ68を常にドラム36に当接させ、上側テープ62により抑えられた紙幣40をドラム36の外周側面に押し付けるようガイドする。

　一方、紙幣40を繰り出す際には、一時保留部212 はドラム36を巻戻方向R2へ回転させるとともに、ドラム36の回転と連動して上側リール60をドラム36の回転方向とは反対方向に回転させる。上側リール60の回転により、上側テープ62は上側リール60の外周側面に巻き付けられてゆく。

　この動作により、上側テープ62によってドラム36に押し付けられていた紙幣40は、スクレーパ220 により剥離される。スクレーパ220 により剥離された紙幣40は空間SPの上方を通過し、搬送ガイド38によりガイドされつつ、紙幣受渡口42から一時保留部212 の外部に繰り出される。

　このとき、図18に示したように、紙幣40における長辺方向のほぼ中央部に、先端から後ろ方向へ向かって切れ目80が存在したとする。

　スクレーパ220aおよびスクレーパ220bは、紙幣40における切れ目80の右側および左側の下側面に設置されると、紙幣40の一部が切れ目80から垂れないよう紙幣40を下側から保持することができる。

　本実施例における一時保留部212 は、スクレーパ220aの最小幅部分における右端とスクレーパ220bの最小幅部分における左端の間に紙幣40の切れ目80が位置している場合、すなわち切れ目80の左右にスクレーパ220 が配置されている場合、紙幣40の垂れ下がりを防止できる。

　しかしながら、スクレーパ220aの最小幅部分よりも右側、またはスクレーパ220bの最小幅部分よりも左側に紙幣40の切れ目80が位置している場合、切れ目80の外側にある部分はスクレーパ220 により保持されないため、垂れ下がってしまうであろう。

　これに対応するため、スクレーパ220aを可能な限り右側に、スクレーパ220bを可能な限り左側に配置すればよいとも考えられる。しかしながらその場合、例えば紙幣40が左側に位置ずれした際、紙幣40の右端がスクレーパ220aの最小幅部分における左端よりも左側に位置してしまう可能性がある。紙幣40はスクレーパ220aによっては保持されないため、スクレーパ220bのみにより保持される状態になるであろう。

　この状態では、上側面からは１本のテープ62b のみで、下側面からは１つのスクレーパ220b のみで保持されるだけになってしまうため、紙幣40が切れ目80からたわみ、搬送ガイド38に衝突してしまう可能性がある。

　このため、本実施例の一時保留部212 においては、紙幣40における切れ目80を左右両側の下方からスクレーパ220 により保持しつつ、紙幣40が左右に位置ずれした場合においても紙幣40を左右２つのスクレーパ220 により常に保持できるようにスクレーパ220 の最小幅部分の幅（以下、スクレーパ幅と呼ぶ場合がある）およびスクレーパの位置が設定されている。

　以下において、図19～図22を参照しながら、スクレーパの幅および位置の設定条件を具体的に説明する。図19に示すように、右側搬送限界ライン84a からそれぞれ、紙幣40R の切れ目80R までの距離を距離L21 、スクレーパ220aの最小幅部分における右端までの距離を距離L22 、紙幣40Lの右端までの距離を距離L23とする。さらにスクレーパ220aのスクレーパ幅を長さL24 としたとき、一時保留部212 は下記の式８が成り立つように構成される。なお、図19ではスクレーパ220bの図示は省略されている。
　　　L22 ＜ L21　（式８）

　式８は、紙幣40R の切れ目80R よりもスクレーパ220aの最小幅部分における右端の方が右側に位置する条件を表している。この条件を満たせば一時保留部212は、紙幣40が最も右側に位置ずれした状態においても、スクレーパ220aにより紙幣40Rの切れ目80Rの外側を保持することができる。

　さらに一時保留部212 は、下記の式９
　　　L22 ＞ L23－L24 　（式９）
が成り立つように構成される。式９は、紙幣40L の右端よりもスクレーパ220aの最小幅部分における左端の方が左側に位置することを表している。式９が成り立つとき、紙幣40が最も左側に位置ずれした状態においても、一時保留部212 はスクレーパ220aにより紙幣40Lを保持することができる。

　式８と式９を組み合わせると、下記の式10が成り立つ。すなわち一時保留部212 においては、下記の式10
　　　L23 －L24 ＜ L22＜ L21　（式10）
が成り立つように、紙幣40の位置および切れ目80の位置に対するスクレーパ220aのスクレーパ位置およびスクレーパ幅が設定されている。

　ところで上述したように、紙幣40は長辺方向に２つ折りまたは４つ折りにされることが多い。そのため、紙幣40の長手方向の中央部分、または長手方向の両端から長手方向長さの１／４だけ内側部分に、特に切れ目が入りやすい。そこで、上述した切れ目80は紙幣40の右端から紙幣幅の１／４だけ左側に寄った位置にあるとして一時保留部212 を構成してもよい。

　紙幣40の長手方向の中央部分もまた切れやすい。しかしながら、紙幣40の中央部分は、紙幣40が右か左に位置ずれしたとしても、通常はスクレーパにより切れ目の外側が保持されるものである。そのため、上述した条件においては、紙幣40の右端から紙幣幅の１／４だけ左側に寄った位置に切れ目80が存在することとした。

　このとき、紙幣40の紙幣幅を長さLa、搬送幅82を長さLbとすると、距離L21 はLa／４、距離L23 はLb－Laとなるので、この距離L21 と距離L23 を式10に代入すると、下記の式11
　　　Lb－La－L24 ＜L22 ＜La／４　（式11）
が成り立つ。

　このように、一時保留部212 においては、紙幣の端から紙幣幅の１／４の位置に存在する可能性が高い切れ目に対応するため、現金自動預払機10において取り扱われる紙幣40の紙幣幅Laおよび搬送幅Lbに対し、式11を満たすようにスクレーパ220a の位置および幅が設定されている。

　ところで、現金自動預払機10においては、サイズの異なる複数種類の紙幣が取り扱われるのが通常である。紙幣幅Laが短い紙幣の場合、その分距離L21 、例えばLa／４もまた短くなるため、スクレーパ220aをできるだけ右側に位置させることが望ましい。一方、紙幣幅Laが短くなるとその分距離L23 は長くなるため、スクレーパ220aを過度に右側に位置させるとスクレーパ220aが紙幣自体を保持できなくなる。

　このように、紙幣幅Laが短くなるにつれて式11を満足させることが厳しくなってゆく。しかしながら、一時保留部212 においては、取り扱う複数種類の紙幣のうち紙幣幅Laが最も短い紙幣40であっても式11を満たすように構成されることが望ましい。

　これにより、一時保留部212 は、取り扱うどの種類の紙幣に切れ目が生じていたとしても、切れ目の左右両側を左右のスクレーパ220 でそれぞれ保持することにより、紙幣の一部をたわませることなく搬送することができる。

　以上においては、右端から紙幣幅の１／４の距離に切れ目80が存在する紙幣40ならびにスクレーパ220aの位置および幅の関係について述べた。他方、図20に示すように、紙幣40における左端から紙幣幅の１／４の距離に切れ目80L が存在する紙幣40とスクレーパ220bの関係については、上述した説明における左右方向を反転して構成すればよい。

　具体的には、左側搬送限界ライン84b からそれぞれ、紙幣40L の切れ目80L があると仮定する位置までの距離を距離L31 、スクレーパ220bの最小幅部分における左端までの距離を距離L32 、紙幣40R の左端までの距離を距離L33 とする。さらにスクレーパ220bの最小幅部分におけるスクレーパ幅を長さL34 とする。そして、上述した距離L21 、L22 、L23 および長さL24 をそれぞれ距離L31 、L32 、L33 および長さL34 に置き換え、式８ないし式11が成り立つようにすればよい。

　もちろんのこと、長辺方向端から紙幣幅の１／４だけ内側の位置の切れ目を想定してスクレーパ220の位置および幅を設定する場合に限らずとも本発明は適用可能である。現金自動預払機等の媒体処理装置で取り扱われる媒体の種類毎に切れ目が入る可能性が高い位置に対応させて媒体処理装置および媒体収納繰出装置を任意に構成し得る。

　以上の構成を有する一時保留部212 は、紙幣40を外部へ繰り出す際、回転可能に設けられた一側リールを構成する上側リール60a および60b の外周側面に、紙幣40の一側面としての上側面に当接する一側テープを構成する上側テープ62a および62b をそれぞれ巻き付けてゆく。

　この動作により、紙幣40はドラム36に巻かれた上側テープ62a および62b からそれぞれスクレーパ220aおよび220bにより剥がされ、空間SPの上方を通過する。さらに紙幣40は、搬送ガイド38によりガイドされて紙幣受渡口42から一時保留部212 の外部に繰り出される。

　このとき一時保留部212 は、スクレーパ220aにより紙幣40の右端部近傍を下方向から保持するとともに、スクレーパ220bにより紙幣40の左端部近傍を下方向から保持する。

　このため一時保留部212 は、紙幣40の切れ目80が、スクレーパ220aの最小幅部分における右端とスクレーパ220bの最小幅部分における左端の間に位置する場合には、切れ目80の左右部分をそれぞれ下方向から保持することができる。

　これにより一時保留部212 は、空間SPの近傍を搬送する間に紙幣40が切れ目から下方向にめくれることを防ぎながら、紙幣40を搬送ガイド38まで搬送しさらに一時保留部212 の外部に繰り出すことができる。かくして一時保留部212 は、紙幣40が搬送ガイド38に衝突してしまうことを防止することができる。

　ところで、一時保留部212 においては、ドラム36に収納する紙幣40の厚みが不均一である等の理由で、上側テープ62a がドラム36に巻かれている部分と、上側テープ62b がドラム36に巻かれている部分では、ドラム36を含めた全体の見かけ上の外径が異なってしまう場合がある。

　しかしながら、本実施例においてスクレーパ220aおよびスクレーパ220bは互いに独立して所定の角度だけ双方向に回転する構成にしている。そのため、場所によってドラム36の外周の見かけ上の外径が異なることになっても、スクレーパ220aおよび220bはそれぞれドラム36に巻かれた上側テープ62a および62b の外周面に追従して常時当接し、ドラム36から紙幣を剥がすことができる。

　もっとも、スクレーパ220aおよび220bは必ずしも独立して回動しなくてもよい。例えば、スクレーパ220aおよび220bは前方向側で一体化している構成となっていてもよい。

　続いて、本実施例に係る現金自動預払機10および一時保留部212 がスレッド142 を有する紙幣140 を取り扱う場合の装置構成について説明する。

　本実施例に係る一時保留部212 においては、紙幣140 のうち切れ目の入りやすいスレッド142 と紙部分144 の境目の左右両側をスクレーパ220 により保持しつつ、紙幣140 が左右に位置ずれした場合においても紙幣140 を左右２つのスクレーパ220 により常に保持できるように、スクレーパの幅および位置が設定されている。

　スレッド142 に対するスクレーパ220 の幅および位置についてのより具体的な条件については、以下において説明する。図21に示したように、右側搬送限界ライン84a からそれぞれ、紙幣140Rにおけるスレッド142 の右端までの距離を距離L25 、スクレーパ220aの最小幅部分における右端までの距離を距離L26 、紙幣140Lの右端までの距離を距離L27 とする。さらにスクレーパ220aのスクレーパ幅を長さL28 としたとき、一時保留部212 は下記の式12が成り立つように構成される。なお、図21ではスクレーパ220bの図示は省略している。
　　　L26 ＜ L25　（式12）

　なお、スレッド142 の左端はスレッド右端よりも中央寄りに位置している。スレッド142 の右端の外側をスクレーパ220aで保持できていれば、当然にスレッド142 の左端の外側を保持できていることになるため、スレッド左端については設定すべき条件から除外する。

　式12は、紙幣140Rにおけるスレッド142 の右端よりもスクレーパ220a の最小幅部分における右端の方が右側に位置する条件を表している。これにより一時保留部212 は、紙幣140 が最も右側に位置ずれした状態においても、スクレーパ220aにより紙幣140Rにおけるスレッド142 の右端を保持することができる。

　さらに一時保留部212 は、下記の式13
　　　L26 ＞ L27－L28 　（式13）
が成り立つように構成される。式13は、紙幣140Lの右端よりもスクレーパ220aの最小幅部分における左端の方が左側に位置する条件を表している。これにより一時保留部212 は、紙幣140 が最も左側に位置ずれした状態においても、スクレーパ220a により紙幣140Lを保持することができる。

　式12と式13を組み合わせると、下記の式14
　　　L27 －L28 ＜ L26＜ L25　（式14）
が成り立つ。一時保留部212 においては、式14が成り立つように紙幣140 の位置およびスレッド142 の位置に対するスクレーパ220aの位置および幅が設定されている。

　現金自動預払機10においては一般的に、複数種類のサイズの紙幣が取り扱われる。一時保留部212 は、そのような紙幣のうち紙幣幅の長さLaが最も短い紙幣であっても、式14を満たすように構成されていることが望ましい。

　また、紙幣の種類によってスレッドが設けられる長辺方向の位置は様々である。一時保留部212 は、取り扱う複数種類の紙幣のうち最もスレッドが外側に寄って設けられている紙幣であっても、式14を満たすように構成されていることが望ましい。

　以上においては、紙幣140 における右端寄りにスレッド142 が設けられている場合について述べた。他方、図22に示すように、紙幣140 における左端寄りにスレッド142 が設けられている場合においては、上述した説明における左右方向を反転してスクレーパ220b の位置および幅を設定すればよい。

　具体的には、左側搬送限界ライン84b からそれぞれ、紙幣140Lのスレッド142 の左端までの距離を距離L35 、スクレーパ220bの最小幅部分における左端までの距離を距離L36 、紙幣140Rの左端までの距離を距離L37 とする。さらにスクレーパ220bのスクレーパ幅を長さL38 とする。

　そして、上述した距離L25 、L26 、L27 および長さL28 をそれぞれ距離L35 、L36 、L37 および長さL38 に置き換えて、式12ないし式14が成り立つように一時保留部212 を構成すればよい。

　以上の構成によれば、本発明の一実施例に係る一時保留部212 は、スレッド142 が設けられた紙幣140 を常に左右２つのスクレーパ220 で保持することができる。特に、一時保留部212 は切れ目が発生するおそれのある、紙幣140 に設けられたスレッド142 と紙部分144 との境目部分の両側を左右２つのスクレーパ220 で保持することにより、紙幣の一部を反らせることなく搬送することができる。

　ところで、ここまでは図16に示すように、搬送される紙幣40の上側に可動ガイド66を、また下側に搬送ガイド38およびスクレーパ220 を設ける一時保留部212 について述べてきた。しかしながら本発明はこれに限らず、図23および図24に示す一時保留部212aのように、紙幣40の下側に可動ガイド66を、また上側に搬送ガイド38およびスクレーパ220 を設けるように構成してもよい。

　このような構成の場合、紙幣40の下側面は可動ガイド66により保持されるため、紙幣40に切れ目が入っていたとしても、紙幣40の搬送方向の先端部は下側には垂れにくくなっている。また、本実施例に係る一時保留部212aにおいては、紙幣40の上側面の左右両端部を２つのスクレーパ220 により保持しているため、紙幣40を繰り出す際に搬送される勢いにより紙幣40が上方向へ反ることを抑止することができる。ひいては、一時保留部212aは紙幣40が空間SPを通過する際に紙幣40が搬送ガイド38に衝突してしまうことを防ぐことができる。

　また、図19を参照して述べた通り、本実施例は紙幣40R の切れ目80R よりもスクレーパ220aの後端部にある最小幅部分の右端の方が右側に位置する条件を満たす構成を採っている。ただし、スクレーパ220aの前端部にある最大幅部分の右端の方が紙幣40R の切れ目80よりも右側に位置する条件で媒体収納繰出装置を構成してもよい。その場合、スクレーパ220aの最小幅部分の右端よりもやや右側の位置に紙幣40R の切れ目80R が存在していると、切れ目80R から紙幣40の一部が垂れ下がる可能性が考えられよう。しかしながら、前方向に向かって幅が広がるスクレーパ220aにより、紙幣40が前方向に搬送されるに従って紙幣40を保持することができる。

　さらに、上述した実施例は、紙幣40L の右端よりもスクレーパ220aの後端部にある最小幅部分における左端の方が左側に位置する条件を満たす構成を採っている。ただし、スクレーパ220aの前端部にある最大幅部分の左端の方が紙幣40L の右端よりも左側に位置する条件で媒体収納繰出装置を構成してもよい。その場合、スクレーパ220aの最小幅部分の左端よりもやや左側の位置に紙幣40L の右端が存在していると、紙幣40L はスクレーパ220aにより保持されない可能性が考えられよう。しかしながら、前方向に向かって幅が広がるスクレーパ220aにより、紙幣40が前方向に搬送されるに従って紙幣40を保持することができる。

　続いて、図25ないし図27を参照しながら、本発明に係る媒体収納繰出装置のさらに別の実施例である一時保留部312 の構成についての説明をする。なお、一部保留部12や212 にも使用された構成要素と同様の部分には同一の参照符号を付し、冗長な記載になることを避けるために詳細な説明の繰返しを避ける。また、一時保留部312 を有する現金自動預払機10の構成は、一時保留部12または212 の代わりに一時保留部312 が設置されていることを除いてはここまでに述べてきた実施例の構成と同様なので、詳細な説明の繰返しは避ける。

　本実施例に係る一時保留部312 の一時保留部12に対する構成上の相違点は、一時保留部312 を後面もしくは下面から見たときにより明確に理解できる。よって、一時保留部312 を後面から見た図である図25、およびドラム36と搬送ガイド38の間に設けられた空間SPの下方から見た図である図26、図27を参照しながら本実施例の構成について説明を行う。

　一時保留部312 には、図25に示すように、上側リール60a と60b の中間位置に位置しリール軸56を中心に回転する上側リール60c が設けられている。また、上側テープ62a と62b の中間位置には、その一端が上側リール60c に固定され上側テープ62a および62b と同じテープ幅を有する上側テープ62c が設けられている。なお、本実施例では上側テープ62のテープ幅をすべて同一にしているが、必ずしも上側テープ62c のテープ幅を他の上側テープのテープ幅と同じ幅にする必要はない。

　上側テープ62c の他端部は、ドラム36の外周側面における中心部に固定されている。上側テープ62c は、ドラム36や上側リール60c の回転方向に応じて、ドラム36に巻き取られたり上側リール62c に巻き取られたりする。

　また一時保留部312 には、下側リール70a と70b の中間位置に位置しリール軸58を中心に回転する下側リール70c が設けられている。さらに、下側テープ72a と72b の中間位置でもある、紙幣40を挟んで上側テープ62c に対向する位置には、その一端が下側リール70c に固定され下側テープ72a および72b と同じテープ幅を有する下側テープ72c が設けられている。下側テープ72c の他端部は、ドラム36の外周側面における中心部に固定されている。下側テープ72c は、ドラム36や下側リール70c の回転方向に応じて、ドラム36に巻き取られたり下側リール70c に巻き取られたりする。

　本実施例では、可動ガイド66の後部近傍には２つの従動ローラ268aおよび268bが取り付けられている。従動ローラ268aおよび268bはともにドラム36の回転に従動して回転し、ドラム36に巻き取られた紙幣40の表面に当接する。本実施例では、従動ローラ268aは、紙幣40の表面のうち中央部よりやや右側に当接するよう配置されている。他方、従動ローラ268bは、紙幣40の表面のうち中央部よりやや左側に当接するよう配置されている。

　上述したように、紙幣40は長辺方向に２つ折りまたは４つ折りにされることが多い。そのため、紙幣40の長手方向の両端から長手方向長さの１／４だけ内側の部分と、紙幣長手方向の中央部分というように、紙幣の２箇所以上に切れ目が入ることがある。以後の説明においては、紙幣40の長手方向の両端から長手方向長さの１／４だけ内側部分に入った切れ目を切れ目80a と、また紙幣長手方向の中央部分に入った切れ目を切れ目80b とする。

　まずは、２本の下側テープ72a および72b が配置される図３および図４で示す一時保留部12において、２箇所の切れ目の入った紙幣を取り扱う場合について検討する。下側テープ72a および72b が配置された位置によっては、搬送中の紙幣40の２本の切れ目80a および80b はともに下側テープ72a と72b の間に位置してしまう可能性がある。そのような場合、下側テープ72a と72b はどちらも、紙幣40に入った切れ目80a と80b の間の部分を保持することができない。このため、紙幣40における切れ目80a と80b の間の部分が搬送中に垂れ下がってしまうおそれがある。

　他方、本実施例による一時保留部312 は、図25および図26に示すように、それぞれ、上側テープ62a と62b の中間位置に上側テープ62c を、また下側テープ72a と72b の中間位置にさらなる保持部として下側テープ72c を設けるように構成している。そのため、一時保留部312 は切れ目80b を含む部分を１組のテープ62c および72c により挟持することができる。

　また、図27に示すように、紙幣40が例えば左側に位置ずれしたとしても、一時保留部312 は切れ目80a の左右両側を下側テープ72c および72a によって、切れ目80b の左右両側を下側テープ72b および72c によって保持することができる。

　かかる構成により、一時保留部312 は切れ目80a および80b の左右両側をともに隣り合うテープ組により挟持し、紙幣40が切れ目から垂れ下がってしまうことを防止することができる。

　このように、３組以上のテープを有する一時保留部312 は、隣り合うテープ組同士の間に紙幣40における２本以上の切れ目が位置しない限り、紙幣40が切れ目から垂れ下がってしまうことを防止できる。

　なお、ここまでは２組または３組のテープ組が左右方向に並べて配置されている媒体収納繰出装置の実施例について説明したが、本発明はこれに限らず、４組以上のテープ組を左右方向に並べて配置してもよい。配置されるテープの組数が多くなればなるほどテープ組の間隔が狭まるため、テープ組同士の間に切れ目が２本以上位置する可能性が下がる。

　また、媒体収納繰出装置の保持部として下側テープ72の代わりにスクレーパ220 を用いてもよいことは先の実施例として述べたが、下側テープ72を３本以上配置してもよいことと同様、３本以上の上側テープ62に対向させて３つ以上のスクレーパ220 を設けてもよい。

　３つ以上の下側テープやスクレーパなどを保持部として用いる場合には、３つ以上の保持部のうち、左右方向において最も外側に位置する保持部が、上述した保持部の幅および位置に関する条件を満たすようにすればよい。

　さらに、上述した実施例は、いずれも紙幣40を短辺方向に沿って搬送する現金自動預払機および一時保留部であった。しかしながら本発明は、紙幣40を長辺方向に沿って搬送した場合にも適用し得る。その場合、例えば短辺方向に２つ折りされた場合を想定し、短辺方向の中央部分に切れ目がある場合に対応させてテープの位置および幅ならびにスクレーパの位置および幅を設定すればよい。また、スレッドが設けられた紙幣を長辺方向に沿って搬送するときは、紙幣の短辺の一端から他端まで長辺方向に沿って直線状に織り込まれたスレッドと紙部分の境目に対応させればよい。

　また、上述した実施例は、現金を取引する現金自動預払機に設けられる一時保留部において紙幣を収納し繰り出す際に本発明を適用するものであった。しかしながら、本発明は一時保留部に限らず、例えば紙幣貯蔵部30等の装置に適用されてもかまわない。要は、ドラムとリールの間でテープを巻き取り、また巻き戻すことにより紙葉状もしくは条片状の媒体を収納したり繰り出したりする媒体収納繰出装置であれば、いかなる装置にも本発明は適用可能である。

　ここまでの説明では、一側リールとしての上側リール60、一側テープとしての上側テープ62およびドラムとしてのドラム36を用いて、さらに保持部として下側リール70および下側テープ72を含む組立体ならびにスクレーパ220 のうちいずれか一方を選択して媒体収納繰出装置としての一時保留部を構成するいくつかの実施例について述べてきた。しかしながら本発明はこれらの実施例に限らず、それらの構成要素が本質的に備える機能を損なわない範囲で媒体収納繰出装置内の各機器を任意に構成してもよい。

　また、ここまでの説明では、媒体搬送路としての搬送路32、媒体入出口としての紙幣受渡口42、一側リールとしての上側リール60、一側テープとしての上側テープ62およびドラムとしてのドラム36を用いて、さらに保持部として下側リール70および下側テープ72を含む組立体ならびにスクレーパ220 のうちいずれか一方を選択して媒体処理装置としての現金自動預払機10を構成するいくつかの実施例について述べてきた。しかしながら本発明はこれらの実施例に限らず、それらの構成要素が本質的に備える機能を損なわない範囲で媒体処理装置内の各機器を任意に構成してもよい。

　ここまでの説明では、現金自動預払機を本発明の媒体処理装置の実施例として説明してきた。しかしながら、本発明は現金自動預払機に限らず、搬送された紙葉状もしくは条片状の媒体を収納しまた繰り出す処理を行う種々の装置でも当然に利用できることは先にも述べた通りである。

　西暦2011年７月25日に出願された日本国特許出願、特願2011-162419号の明細書、特許請求の範囲、添付図面および要約書を含むすべての開示内容は、この明細書にそのすべてが含まれて、参照される。

　本発明を特定の実施例を参照して説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。いわゆる当業者は、本発明の範囲および概念から逸脱しない範囲で、これらの実施例を変更または修正することができることは、認識されるべきである。
 

Claims (17)

1. 　回転可能に設けられた複数の一側リールと、
   　前記複数の一側リールにそれぞれ巻き付けられる複数の一側テープと、
   　回転可能に設けられ、一方の方向に回転して前記複数の一側テープと重ねて媒体を巻き取って収納したり逆方向に回転して前記巻き取られた媒体を外部へ繰り出したりするドラムと、
   　該ドラムに巻き取られまた該ドラムから繰り出される媒体を介して前記複数の一側テープのそれぞれと対向する位置に設けられ、該媒体の一方の面に当接して該媒体を保持する複数の保持部とを有し、
   　前記複数の一側テープは、前記媒体の搬送方向に直交する方向の長さである媒体幅よりも短いテープ幅を有し、前記媒体幅の方向に該媒体幅よりも短い間隔を空けて並列に設けられ、前記媒体の他方の面に当接することを特徴とする媒体収納繰出装置。
2. 　請求項１に記載の装置において、前記複数の一側リールは第１および第２の一側リールを含み、
   　前記複数の一側テープは、第１の一側リールに巻き付けられる第１の一側テープおよび第１の一側リールに巻き付けられる第２の一側テープを含み、
   　前記複数の保持部は、第１の一側テープと対向する位置に設けられる第１の保持部および第２の一側テープと対向する位置に設けられる第２の保持部を含むことを特徴とする媒体収納繰出装置。
3. 　請求項２に記載の装置において、第１の保持部は回転可能に設けられた第１の他側リールおよび第１の他側テープを有し、
   　第１の他側テープは第１の他側リールに巻き付けられ、前記媒体幅よりも短いテープ幅を有し、前記媒体を介して第１の一側テープと対向して前記媒体の一方の面に当接し、
   　第２の保持部は回転可能に設けられた第２の他側リールおよび第２の他側テープを有し、
   　第２の他側テープは第２の他側リールに巻き付けられ、前記媒体幅よりも短いテープ幅を有し、前記媒体を介して第２の一側テープと対向して前記媒体の一方の面に当接することを特徴とする媒体収納繰出装置。
4. 　請求項３に記載の装置において、該装置は１種類以上の媒体の収納および繰出しを実行し、
   　第２の他側テープから前記媒体幅の方向に沿って第１の他側テープへ向かう方向を第１方向と、また第１方向の逆方向を第２方向とし、さらに該装置内で前記媒体が搬送される際に該媒体の第２方向端部が通過する最も第２方向側のラインを第２方向搬送限界ラインとしたとき、
   　前記１種類以上の媒体のうち前記媒体幅が最小である種類の媒体の第２方向端部が第２方向搬送限界ラインに位置した際、第１の他側テープの第２方向端部は、前記媒体幅が最小である種類の媒体の第１方向端部よりも第２方向側に位置することを特徴とする媒体収納繰出装置。
5. 　請求項４に記載の装置において、該装置内で前記媒体が搬送される際に該媒体の第１方向の端部が通過する最も第１方向側のラインを第１方向搬送限界ラインとしたとき、
   　前記１種類以上の媒体のうち前記媒体幅が最小である媒体の第１方向端部が第１方向搬送限界ラインに位置した際、第１の他側テープの第１方向端部は、前記媒体幅が最小である種類の媒体における想定上の切れ目の位置よりも第１方向側に位置することを特徴とする媒体収納繰出装置。
6. 　請求項５に記載の装置において、第１の他側テープの第１方向端部は、前記媒体幅が最小である種類の媒体における第１方向端部から前記媒体幅の１／４の長さだけ第２方向側の位置よりも第１方向側に位置することを特徴とする媒体収納繰出装置。
7. 　請求項４に記載の装置において、該装置はスレッドを有する１種類以上の媒体の収納および繰出しを実行し、
   　該装置内で前記媒体が搬送される際に該媒体の第１方向の端部が通過する最も第１方向側のラインを第１方向搬送限界ラインとしたとき、
   　前記１種類以上の媒体のうち該媒体の第１方向端部から前記スレッドの第１方向端部までの長さが最小である種類の媒体の第１方向端部が第１方向搬送限界ラインに位置した際、第１の他側テープの第１方向端部は、前記長さが最小である種類の媒体における前記スレッドの第１方向端部よりも第１方向側に位置するよう設置されることを特徴とする媒体収納繰出装置。
8. 　請求項２に記載の装置において、第１の保持部は第１の一側テープと対向する位置に設けられた第１のスクレーパを有し、第１のスクレーパは、前記ドラムに巻き付いた第１の一側テープの外周面に追従して当接し、前記ドラムから前記媒体を剥離させ、
   　第２の保持部は第２の一側テープと対向する位置に設けられた第２のスクレーパを有し、第２のスクレーパは、前記ドラムに巻き付いた第２の一側テープの外周面に追従して当接し、前記ドラムから前記媒体を剥離させることを特徴とする媒体収納繰出装置。
9. 　請求項８に記載の装置において、該装置は１種類以上の媒体の収納および繰出しを実行し、
   　第２のスクレーパから前記媒体幅の方向に沿って第１のスクレーパへ向かう方向を第１方向と、また第１方向の逆方向を第２方向とし、さらに該装置内で前記媒体が搬送される際に該媒体の第２方向の端部が通過する最も第２方向側のラインを第２方向搬送限界ラインとしたとき、
   　前記１種類以上の媒体のうち前記媒体幅が最小である種類の媒体の第２方向端部が第２方向搬送限界ラインに位置した際、第１のスクレーパの第２方向端部は、前記媒体幅が最小である種類の媒体の第１方向端部よりも第２方向側に位置することを特徴とする媒体収納繰出装置。
10. 　請求項９に記載の装置において、該装置内で前記媒体が搬送される際に該媒体の第１方向の端部が通過する最も第１方向側のラインを第１方向搬送限界ラインとしたとき、
    　前記１種類以上の媒体のうち前記媒体幅が最小である種類の媒体の第１方向端部が第１方向搬送限界ラインに位置した際、第１のスクレーパの第１方向端部は、前記媒体幅が最小である種類の媒体における想定上の切れ目の位置よりも第１方向側に位置することを特徴とする媒体収納繰出装置。
11. 　請求項10に記載の装置において、第１のスクレーパの第１方向端部は、前記媒体幅が最小である種類の媒体における第１方向端部から前記媒体幅の１／４の長さだけ第２方向側の位置よりも第１方向側に位置することを特徴とする媒体収納繰出装置。
12. 　請求項９に記載の装置において、該装置はスレッドを有する１種類以上の媒体の収納および繰出しを実行し、
    　該装置内で前記媒体が搬送される際に該媒体の第１方向の端部が通過する最も第１方向側のラインを第１方向搬送ラインとしたとき、
    　前記１種類以上の媒体のうち該媒体の第１方向端部から前記スレッドの第１方向端部までの長さが最小である種類の媒体の第１方向端部が第１方向搬送限界ラインに位置した際、第１のスクレーパの第１方向端部は、前記長さが最小である種類の媒体における前記スレッドの第１方向端部よりも第１方向側に位置するよう設置されることを特徴とする媒体収納繰出装置。
13. 　請求項２に記載の装置において、前記複数の一側リールはさらに第３の一側リールを含み、
    　前記複数の一側テープは、さらに第３の一側リールに巻き付けられる第３の一側テープを含み、
    　前記複数の保持部は、さらに第３の一側テープと対向する位置に設けられる第３の保持部を含むことを特徴とする媒体収納繰出装置。
14. 　媒体を搬送する媒体搬送路と、
    　該媒体搬送路から前記媒体を挿入されるとともに該媒体を繰り出す媒体入出口と、
    　回転可能に設けられた複数の一側リールと、
    　前記複数の一側リールにそれぞれ巻き付けられる複数の一側テープと、
    　回転可能に設けられ、一方の方向に回転して前記複数の一側テープと重ねて媒体を巻き取って収納したり逆方向に回転して前記巻き取られた媒体を外部へ繰り出したりするドラムと、
    　該ドラムに巻き取られまた該ドラムから繰り出される媒体を介して前記複数の一側テープのそれぞれと対向する位置に設けられ、該媒体の一方の面に当接して該媒体を保持する複数の保持部とを有し、
    　前記複数の一側テープは、前記媒体の搬送方向に直交する方向の長さである媒体幅よりも短いテープ幅を有し、前記媒体幅の方向に該媒体幅よりも短い間隔を空けて並列に設けられ、前記媒体の他方の面に当接することを特徴とする媒体処理装置。
15. 　請求項14に記載の装置において、前記複数の一側リールは第１および第２の一側リールを含み、
    　前記複数の一側テープは、第１の一側リールに巻き付けられる第１の一側テープおよび第１の一側リールに巻き付けられる第２の一側テープを含み、
    　前記複数の保持部は、第１の一側テープと対向する位置に設けられる第１の保持部および第２の一側テープと対向する位置に設けられる第２の保持部を含むことを特徴とする媒体処理装置。
16. 　請求項15に記載の装置において、第１の保持部は回転可能に設けられた第１の他側リールおよび第１の他側テープを有し、
    　第１の他側テープは第１の他側リールに巻き付けられ、前記媒体幅よりも短いテープ幅を有し、前記媒体を介して第１の一側テープと対向して前記媒体の一方の面に当接し、
    　第２の保持部は回転可能に設けられた第２の他側リールおよび第２の他側テープを有し、
    　第２の他側テープは第２の他側リールに巻き付けられ、前記媒体幅よりも短いテープ幅を有し、前記媒体を介して第２の一側テープと対向して前記媒体の一方の面に当接することを特徴とする媒体処理装置。
17. 　請求項15に記載の装置において、第１の保持部は第１の一側テープと対向する位置に設けられた第１のスクレーパを有し、第１のスクレーパは、前記ドラムに巻き付いた第１の一側テープの外周面に追従して当接し、前記ドラムから前記媒体を剥離させ、
    　第２の保持部は第２の一側テープと対向する位置に設けられた第２のスクレーパを有し、第２のスクレーパは、前記ドラムに巻き付いた第２の一側テープの外周面に追従して当接し、前記ドラムから前記媒体を剥離させることを特徴とする媒体処理装置。
     

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