WO2013005713A1

WO2013005713A1 - 軸受固定構造およびこの軸受固定構造を用いたステアリングギアユニット

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Publication number: WO2013005713A1
Application number: PCT/JP2012/066869
Authority: WO
Inventors: 寿幸相澤
Original assignee: 日本精工株式会社
Priority date: 2011-07-04
Filing date: 2012-07-02
Publication date: 2013-01-10
Also published as: EP2730483A1; CN103003132A; EP2730483A4; CN103003132B; US20140116167A1; EP2730483B1; US9174665B2

Abstract

　ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットなどの機械装置において、スラスト荷重を支持する軸受をテーパースナップリングにより機械装置を構成する部材に固定するための構造に関して、スラスト荷重に対する剛性が高い、簡易な構造を提供する。玉軸受１５の外輪１７を、係止溝２７の軸方向一側面３２ａの周縁と外輪１７の軸方向一側面３４との間の軸方向長さが、テーパースナップリング２８ａの最大厚さよりも小さくなるように、ハウジング１１ａに対して位置決めして、係止溝２７にテーパースナップリング２８ａを係止する。テーパースナップリング２８ａの軸方向他側面３１と係止溝２７の軸方向他側面３３との間に隙間３５が設けられる。

Description

軸受固定構造およびこの軸受固定構造を用いたステアリングギアユニット

　本発明は、軸受を、機械装置を構成する部材に固定するための構造、より具体的には、スラスト荷重を支持する軸受をテーパースナップリングによりハウジングや軸に固定するための構造に関する。また、本発明は、このような軸受固定構造が用いられる、自動車の操舵輪に舵角を付与するためのステアリング装置を構成するステアリングギアユニット、特に、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットに関する。

　ステアリングホイールから入力された回転運動を、操舵輪に舵角を付与するための直線運動に変換する機構として、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットが使用される。このようなラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットを備えるステアリング装置の構造は、特開２００９－１８４５９１号公報、特開２００４－１７８７２号公報、実開昭６１－１２４４７１号公報などに記載されているように、すでに広く知られている。

　図６は、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットが組み込まれた従来のステアリング装置の１例を示している。このステアリング装置は、ステアリングホイール１の操作力を軽減するために、ステアリングコラム２の中間部に取り付けたモータ３の操作補助力をステアリングシャフト（図示せず）に付与している。ステアリングホイール１の操作に伴って回転するステアリングシャフトの動きを、中間シャフト４に伝達し、ピニオン軸５を介して、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニット６のラック軸９（図７参照）を往復移動させ、左右１対のタイロッド７を介して操舵輪を操舵するようにしている。

　このようなステアリング装置を構成するラックアンドピニオン式ステアリングギアユニット６では、図７および図８に示すように、ピニオン軸５の軸方向の一部（先半部）に設けたピニオン歯８と、ラック軸９の前面（図７および図８における上側の面）に設けたラック歯１０とを噛み合わせている。なお、ラック歯１０は捩れ角を有するヘリカルラックを使用し、これに合わせてピニオン歯８に関しても、捩れ角を有するヘリカルギアを使用している。ピニオン軸５およびラック軸９のそれぞれの一部が、ハウジング１１内に収納される。

　ステアリングギアユニット６を構成する部材であるハウジング１１は、それぞれが筒状である、主収納部１２および副収納部１３を備える。主収納部１２は、両端が開口しており、副収納部１３は、主収納部１２の一部の側方に設けられていて、一端が開口している。主収納部１２の中心軸と副収納部１３の中心軸とは、互いに捩れの位置関係にある。

　ラック軸９は、主収納部１２に軸方向の変位を可能に挿通されており、その両端部は主収納部１２から突出している。また、ピニオン軸５は、ピニオン歯８を形成した先半部を副収納部１３内に、回転のみ可能に支持している。このために、ピニオン軸５の他端（図８の左端）を副収納部１３の奥端部に、ラジアルニードル軸受１４により支持している。また、ピニオン軸５の中間部を、副収納部１３の開口寄り部分に、深溝型、３点接触型もしくは４点接触型などの単列の玉軸受１５により支持している。玉軸受１５を構成する内輪１６と外輪１７とのうちの内輪１６は、ピニオン軸５の中間部に形成した内径側段差面１８と、ピニオン軸５の中間部に係止した円すい止め輪１９との間で挟持されている。また、外輪１７は、副収納部１３の内周面中間部に形成した、外径側段差面２０と、副収納部１３の開口部に螺着した抑えねじ筒２１との間で挟持されている。この構成により、ピニオン軸５の先半部を、副収納部１３内に、ラジアル荷重およびスラスト荷重を支承可能に、かつ、軸方向の変位を阻止しつつ回転可能に、支持している。このようにして、ラック歯とピニオン歯との噛合部の噛合状態を適正に維持して、噛合部で異音が生じることの防止を図っている。

　このようなラックアンドピニオン式のステアリングギアユニット６の作動時には、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合部で発生する反力に基づき、ラック軸９にピニオン軸５から離れる方向の力が加わる。このため、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合部と反対側である、ラック軸９の背面側を支持するための機構を設けて、ラック軸９がピニオン軸５から退避する方向に変位することを抑止している。

　このような機構として、ハウジング１１には、主収納部１２の直径方向に関して、副収納部１３と反対側部分にシリンダ部２２が設けられており、このシリンダ部２２内に、滑り式ラックガイド２３が設けられている。この滑り式ラックガイド２３は、シリンダ部２２内に嵌装され、ラック軸９を押圧する側にラック軸９の背面形状に合わせた部分円筒状凹面を有する押圧ブロック２４と、シリンダ部２２の開口部に螺着された蓋体２５と、押圧ブロック２４と蓋体２５との間に設けられたばね２６などの弾性部を備え、押圧ブロック２４をラック軸９に向け押圧するように構成される。

　この構成により、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合部のバックラッシを解消するとともに、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合部での動力伝達に伴って、ラック軸９に加わる、ピニオン軸５から離れる方向の力に拘らず、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合部の噛合状態を適正に維持できるようにしている。

　このようなステアリング装置の場合、ステアリングギアユニット６のピニオン軸５の先半部を副収納部１３内に、ラジアル荷重およびスラスト荷重を支承可能に支持するために、副収納部１３の開口部に抑えねじ筒２１を螺着して、玉軸受１５を構成する外輪１７の軸方向に関する変位を規制している。このため、ピニオン軸５を軸方向に変位させようとするスラスト荷重に対する剛性を高くすることができる。ただし、この抑えねじ筒２１を設けた分だけ、ハウジング１１の軸方向に関する寸法が嵩み、ステアリングギアユニット６が大型化してしまう可能性がある。また、抑えねじ筒２１の組み付け作業が面倒で、作業コストが嵩んでしまう可能性がある。

　特開２０１０－３８２５４号公報には、図８に示す構造が有する抑えねじ筒２１に代えて、図９に示すような、テーパースナップリングを用いたラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットの構造が開示されている。このラックアンドピニオン式ギアユニット６ａは、テーパースナップリング２８の軸方向一側面の径方向外端寄り部分に形成された傾斜側面３０の円周方向等間隔位置に、傾斜側面３０から突出した状態で複数の円錐状の突起４６を形成している。また、ハウジング１１の内周面に形成した、テーパースナップリング２８を係止するための環状の係止溝２７の内側面のうち、軸方向一側面を構成する傾斜溝側面３２に環状凹溝４７を形成している。このような構造の場合、テーパースナップリング２８に加わる軸方向の外力（スラスト荷重）に対する係止溝２７の傾斜溝側面３２からの反力の径方向成分に基づいて、テーパースナップリング２８が所定量縮径すると、テーパースナップリング２８の突起４６が環状凹溝４７の内壁面（径方向内側面）４８に係合する。このようにしてテーパースナップリング２８が所定量を超えて縮径することを防止して、テーパースナップリング２８と係止溝２７との係止状態の安定化を図ることにより、テーパースナップリング２８が軸方向に移動することを規制している。このような構造によれば、ハウジング１１の軸方向に関する寸法が嵩むこともなく、テーパースナップリング２８を係止溝２７に係止する組み付け作業が面倒になることもない。ただし、テーパースナップリング２８およびハウジング１１の内周面に形成した係止溝２７の形状が複雑になるため、加工が難しく、製造コストが上昇する問題がある。

特開２００９－１８４５９１号公報特開２００４－１７８７２号公報実開昭６１－１２４４７１号公報特開２０１０－３８２５４号公報

　本発明の目的は、上述のような事情に鑑み、スラスト荷重を支持する軸受をテーパースナップリングによりハウジングや軸などの機械装置を構成する部材に固定するための構造、特に、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットにおいて、スラスト荷重（ステアリングギアユニットを構成するピニオン軸を軸方向に変位させる荷重）に対する剛性が高く、軸方向に関する寸法が嵩むことがなく、組み付け作業が容易な軸受固定構造およびこのような構造を備えるステアリングギアユニットを提供することにある。

　本発明は、
　機械装置を構成する部材と、
　前記部材に嵌合されており、スラスト荷重を支持する軸受と、
　前記部材に嵌合されている前記軸受の軌道輪の一方を、前記部材に固定するためのテーパースナップリングと、
　前記部材に形成され、前記テーパースナップリングを係止するための環状の係止溝と、
を備える軸受固定構造に関する。

　特に、本発明の軸受固定構造では、
　前記テーパースナップリングは、軸方向に厚さを有し、前記係止溝に係止される側に、この係止溝側に進むほど軸方向に関する厚さが小さくなる方向に傾斜した傾斜側面を有する軸方向一側面と、前記軸受の軌道輪の一方の軸方向一側面に当接し、前記軸受の中心軸に対して直交する直交側面からなる軸方向他側面とを備える。

　また、前記係止溝は、前記テーパースナップリングの傾斜側面と同じ方向に傾斜した傾斜溝側面のみからなる軸方向一側面と、前記軸受の中心軸に対して直交する直交溝側面を有する軸方向他側面とを備える。

　そして、本発明の軸受固定構造は、前記軌道輪の一方を、この係止溝の軸方向一側面の周縁と前記軌道輪の一方の軸方向一側面との間の軸方向長さが、前記テーパースナップリングの最大厚さよりも小さくなるように、前記部材に対して位置決めして、前記係止溝に前記テーパースナップリングを係止して前記軌道輪の一方を前記部材に固定した状態で、前記テーパースナップリングの軸方向他側面と前記係止溝の軸方向他側面との間に軸方向の隙間が形成されるように構成される。

　前記テーパースナップリングの軸方向他側面のうち、前記係止溝の軸方向他側面と対向する位置に、このテーパースナップリングの軸方向他側面から前記係止溝の軸方向他側面に向かって突出する環状突起を形成することが好ましい。

　前記隙間の軸方向長さを、０．１ｍｍ以下とすることが好ましい。

　前記軸受の中心軸と直交する仮想平面と、前記テーパースナップリングの傾斜側面とがなす角度を、前記仮想平面と、前記係止溝の傾斜溝側面とがなす角度よりも大きくすることが好ましい。

　前記軌道輪の一方の前記部材と嵌合する周面と、この軌道輪の一方の軸方向一側面との連続部に面取り部を形成して、この面取り部の曲率半径を０．５ｍｍ以下とすることが好ましい。

　なお、本発明の軸受固定構造は、好ましくは、自動車の操舵輪に舵角を付与するためのステアリング装置を構成する、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットに適用される。

　このラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットは、
　ハウジングと、
　このハウジングに往復移動可能に支持されており、タイロッドを介して車輪の操舵角を変化させるためのラック軸と、
　ステアリングホイールに連結され、前記ラック軸のラック歯と噛合するピニオン歯を有し、このステアリングホイールの回転をこのラック軸に伝達するためのピニオン軸と、
　前記ハウジングの内周面に内嵌される外輪と、前記ピニオン軸の中間部の外周面に外嵌される内輪とを備え、前記ピニオン軸の中間部を前記ハウジングに対して回転可能に支持した状態で、このピニオン軸に作用するスラスト荷重を支持するための第１の軸受と、
　前記ハウジングの内周面に内嵌されており、前記ピニオン軸の他端をこのハウジングに対して回転可能に支持した状態で、このピニオン軸に作用するラジアル荷重を支持するための第２の軸受と、
を備え、
　本発明の軸受固定構造は、第１の軸受を前記ハウジングまたは前記ピニオン軸の中間部に固定するために適用される。

　この場合、前記ハウジングまたは前記ピニオン軸の中間部が前記機械装置を構成する部材に相当し、前記第１の軸受のうち、前記ハウジングが前記部材を構成する場合の前記外輪、または、前記ピニオン軸の中間部が前記部材を構成する場合の前記内輪が、前記軌道輪の一方に相当する。

　本発明の軸受固定構造を、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットにおける、ピニオン軸の中間部に嵌合される第１の軸受の外輪をハウジングの内周面に固定するために適用した場合、このハウジングに形成した係止溝にテーパースナップリングを係止して、第１の軸受の外輪をハウジングの内周面に固定した状態で、この外輪と係止溝との軸方向位置を規制し、テーパースナップリングの軸方向他側面と、係止溝の軸方向他側面との間に隙間を設けることにより、テーパースナップリングの径方向外端部が、係止溝に入り込む量（テーパースナップリングと係止溝との径方向に関する係合量）を小さくしている。すなわち、テーパースナップリングを係止溝に係止した状態において、テーパースナップリングは、外径を大きくする方向への弾性復元力を保持している。このため、テーパースナップリングの傾斜側面が係止溝の傾斜溝側面を径方向（ラジアル方向）に押す力が大きくなり、この径方向に押す力に対して、係止溝の傾斜溝側面がテーパースナップリングを軸方向（外輪側）に押し返す力（軸方向の反力）も大きくなる。その結果、テーパースナップリングの直交側面が、外輪の軸方向一側面を軸方向他方に押す力も大きくなり、第１の軸受に作用する大きなスラスト荷重を安定して支持することが可能となる。

　また、第１の軸受に作用する大きなスラスト荷重によって、テーパースナップリングが傾くと、テーパースナップリングの軸方向他側面の一部と係止溝の軸方向他側面とが当接して、テーパースナップリングの傾きが規制される。このため、テーパースナップリングと係止溝との係合が外れることが防止され、テーパースナップリングの係止溝に対する係合状態の安定化を図ることができる。この結果、第１の軸受の軸方向への変位を、より確実に阻止することができて、ピニオン歯とラック歯との噛合状態を適正に維持できるようになる。

図１は、本発明の実施の形態の第１例を示す、図７のＹ－Ｙ断面に相当する図である。図２（ａ）は、ピニオン軸にスラスト荷重が作用する前の状態を示す図１のＡ部拡大図であり、図２（ｂ）は、ピニオン軸にスラスト荷重が作用した状態を示す図１のＡ部拡大図である。図３は、テーパースナップリングの自由状態を破線で示し、係止溝に係止した状態のテーパースナップリングの状態を実線で示す平面図である。図４は、本発明の実施の形態の第２例を示す、図２と同様の図である。図５（ａ）は、本発明の実施の形態の第３例を示す、図２（ａ）と同様の図であり、図５（ｂ）は、本発明の実施の形態の第３例との対比のための比較例を示す図２（ａ）と同様の図である。図６は、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットを備えるステアリング装置の従来構造の１例を示す斜視図である。図７は、従来構造のステアリングギアユニットの１例を示す、図６のＸ－Ｘ断面に相当する図である。図８は、図７のＹ－Ｙ断面図である。図９は、従来構造のステアリングギアユニットについて、テーパースナップリングによる軸受の取付け構造を適用した１例を示す、要部断面図である。

　以下、本発明の軸受固定構造のいくつかの実施形態について、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットにおける、ピニオン軸の中間部に嵌合される第１の軸受の外輪をハウジングの内周面に固定するために適用した場合を例として、図面を参照しつつ、詳細に説明する。

　［実施の形態の第１例］
　図１～図３は、本発明の実施の形態の第１例を示している。本発明の特徴は、ラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットなどの機械装置における、テーパースナップリングにより軸受をハウジングなどの構成部材に固定するための構造を工夫した点にある。ステアリングギアユニットを含む機械装置を構成するその他の部分の構造については、本発明が適用できる限りにおいて、従来から知られている各種の構造を採用することができる。

　本例のラックアンドピニオン式ステアリングギアユニット６ｂは、ピニオン軸５ａの先半部を、ハウジング１１ａを構成する副収納部１３ａ内に、回転のみ可能に支持している。このために、ピニオン軸５ａの他端（図１の左端）を、副収納部１３ａの奥端部に、第２の軸受であるラジアルニードル軸受１４ａにより支持している。また、ピニオン軸５ａの中間部を、副収納部１３ａの開口寄り部分に、第１の軸受である、深溝型、３点接触型もしくは４点接触型などの単列の玉軸受１５により支持している。なお、玉軸受１５は、軌道輪である内輪１６と外輪１７とを備えるが、外輪１７が軌道輪の一方に相当する。これらの軌道輪のうち、他方の軌道輪である内輪１６は、ピニオン軸５ａの中間部に形成した内径側段差面１８と、ピニオン軸５ａの中間部に係止した円すい止め輪１９との間に挟持される。

　特に、本例の場合、軌道輪の一方である外輪１７を、副収納部１３ａの内周面中間部に形成した、外径側段差面２０と、副収納部１３ａの内周面のうち、外径側段差面２０よりも軸方向一方側（図１の右側）の内周面に形成した係止溝２７に係止したテーパースナップリング２８ａとの間で挟持している。このようにして外輪１７の軸方向に関する変位を規制している。

　テーパースナップリング２８ａは、炭素鋼や炭素工具鋼などの弾性材料からなる部材であり、図３に示すように、円周方向の一部に不連続部２９を有する欠円環状に形成されている。また、テーパースナップリング２８ａは、軸方向に所定の厚さ（一般的な自動車用のラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットの場合、１ｍｍ～５ｍｍ程度）を有するとともに、テーパースナップリング２８ａの軸方向一側面（図１および図２の右側面）の径方向中間部から径方向外端部にかけての部分に、径方向（図１および図２の上下方向）外方に進むほど軸方向（図１および図２の左右方向）に関する厚さが小さくなる方向に傾斜した傾斜側面３０ａを形成している。すなわち、この傾斜側面３０ａは、係止溝２７に係止される側に、この係止溝２７側に進むほど軸方向に関する厚さが小さくなる方向に傾斜する。また、この傾斜側面３０ａと、ピニオン軸５ａの中心軸Ｏ_５ａ（図１の鎖線Ｏ_５ａ）と直交する仮想平面β（図２の鎖線β）とがなす角度をα_３０としている。なお、ピニオン軸５ａの中心軸Ｏ_５ａは、玉軸受１５の中心軸でもある。一方、テーパースナップリング２８ａの軸方向他側面は、ピニオン軸５ａの中心線Ｏ_５ａに対して直交する直交側面３１となっている。

　また、ハウジング１１ａを構成する副収納部１３ａの内周面に形成された係止溝２７は、所定の軸方向幅を有する。係止溝２７の内側面のうち、軸方向一側面は、テーパースナップリング２８の傾斜側面３０ａと同じ方向（径方向外方に向かう程、この係止溝２７の軸方向に関する寸法が小さくなる方向）に傾斜した傾斜溝側面３２ａのみから構成され、環状凹溝などの構造を備えていない。また、この傾斜溝側面３２ａと、ピニオン軸５ａの中心線Ｏ_５ａと直交する仮想平面βとがなす角度をα_３２ａとしている。本例の場合、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ａと、仮想平面βとがなす角度をα_３０ａと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａと仮想平面βとがなす角度α_３２ａとを等しく（α_３０ａ＝α_３２ａ）している。一方、係止溝２７の内側面のうち、軸方向他側面は、ピニオン軸５ａの中心線Ｏ_５ａに対して直交する直交溝側面３３となっている。

　このようなテーパースナップリング２８ａは、その外径を縮める方向に弾性変形させた状態で、ハウジング１１ａの副収納部１３ａの軸方向一方の開口部から、副収納部１３ａの内径側に挿入され、係止溝２７に係止される。

　ここで、本例では、図２（ａ）に示すように、軌道輪の一方である外輪１７は、係止溝２７の軸方向一側面である傾斜溝側面３２ａの内周縁と外輪１７の軸方向一側面３４（図１および図２の右側面）との間の軸方向長さＬ_２７が、テーパースナップリング２８ａの最大厚さである、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ａの径方向内端部における軸方向厚さＴ_２８ａよりも小さくなるように（Ｌ_２７＜Ｔ_２８ａ）、副収納部１３ａに対して位置決めされている。すなわち、テーパースナップリング２８ａを係止溝２７に係止した状態において、外輪１７の軸方向一側面３４の軸方向に関する位置は、係止溝２７の軸方向他側面を構成する直交溝側面３３の軸方向に関する位置よりも、軸方向一方にオフセットする。

　そして、テーパースナップリング２８ａの軸方向他側面を構成する直交側面３１と、外輪１７の軸方向一側面３４とが当接した状態、かつ、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ａと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａとが当接した状態で、テーパースナップリング２８ａの径方向外端寄り部分が、係止溝２７に係止される。図３に示すように、係止状態（図３に実線で示す状態）におけるテーパースナップリング２８ａの外径寸法Ｄ_２は、自由状態（図３に二点鎖線で示す状態）における外径寸法Ｄ_１よりも小さい（Ｄ_１＞Ｄ_２）。したがって、係止状態において、テーパースナップリング２８は、その外径が大きくなる方向への弾性復元力を保持している。

　テーパースナップリング２８ａを係止溝２７に係止することにより、外輪１７をハウジング１１の副収納部１３ａに固定した状態において、係止溝２７の直交溝側面３３と、テーパースナップリング２８ａの軸方向他側面である直交側面３１との間に軸方向の隙間３５が形成される。本例の場合、この隙間３５の軸方向長さＬ_３５を、０．１ｍｍ以下としている。言い換えれば、係止溝２７の軸方向一側面である直交溝側面３３に対して、外輪１７が軸方向一側面３４の軸方向一方にオフセットする量を、０．１ｍｍ以下としている。

　なお、本例の場合、ステアリングギアユニット６ｂの作動時に、ラック軸９がピニオン軸５ａから退避する方向に変位することを抑止するため、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合部と反対側である、ラック軸９の背面側を支持する機構（ラックガイド）として、転がり式ラックガイドを設けている。

　ハウジング１１ａには、主収納部１２ａの直径方向に関して、副収納部１３ａと反対側部分にシリンダ部２２ａが設けられており、シリンダ部２２ａ内に、転がり式ラックガイド３６が設けられている。この転がり式ラックガイド３６は、ハウジング１１ａのシリンダ部２２ａの先端部（図１の下端部）に螺着した有底円筒状のアジャストスクリュ（図示せず）と、シリンダ部２２ａの内径側に軸方向の変位可能に嵌装した保持筒３７との間に、バネなどの弾性材製の付勢部材（図示せず）を、軸方向に関して弾性的に圧縮挟持している。また、保持筒３７の内径側に設けた支持軸３８の周囲に、ラジアルニードル軸受３９を介して回転自在に支持したローラ４０の外周面を、ラック軸９の背面に転がり接触させることで、この背面を付勢部材の弾力に基づいて押圧している。

　本例では、外輪１７の軸方向一側面３４の軸方向に関する位置を、係止溝２７の直交溝側面３３の軸方向に関する位置よりも、軸方向一方にオフセットさせて、外輪１７を、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａの内周縁と外輪１７の軸方向一側面３４との間の軸方向長さＬ_２７が、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ａの径方向内端部における軸方向厚さＴ_２８ａよりも小さくなるように（Ｌ_２７＜Ｔ_２８ａ）、副収納部１３ａに対して位置決めしている。そして、ハウジング１１ａに形成した係止溝２７にテーパースナップリング２８ａを係止して、外輪１７を副収納部１３ａの内周面に固定した状態で、テーパースナップリング２８ａの直交側面３１と、係止溝２７の直交溝側面３３との間に隙間３５を設けている。このような構成により、図２に示すように、テーパースナップリング２８ａの径方向外端寄り部分が、係止溝２７に入り込む量Ｌ_２８ａ、（テーパースナップリング２８ａと係止溝２７との径方向に関する係合量）を従来構造よりも小さくしている。すなわち、テーパースナップリング２８ａを係止溝２７に係止した状態において、テーパースナップリング２８ａが外径を大きくする方向への弾性復元力を保持している。このため、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ａが係止溝２７の傾斜溝側面３２ａを径方向外方に押す力が大きくなり、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａがテーパースナップリング２８ａを軸方向他方（外輪１７側）に押し返す力（軸方向の反力）も大きくなる。その結果、テーパースナップリング２８ａの直交側面３１が、外輪１７の軸方向一側面３４を軸方向他方に押す力も大きくなり、図２（ｂ）に矢印Ｐで示す、玉軸受１５に作用する軸方向一方へのスラスト荷重を安定して支持することが可能となる。

　また、玉軸受１５に、矢印Ｐの方向に大きなスラスト荷重が作用して、図２（ｂ）に示すように、テーパースナップリング２８ａが傾くと、テーパースナップリング２８ａの軸方向他側面である直交側面３１と係止溝２７の軸方向他側面である直交溝側面３３とが当接して、テーパースナップリング２８ａの傾きが規制される。このため、テーパースナップリング２８ａと係止溝２７との係合が外れることが防止されて、テーパースナップリング２８ａの係止溝２７に対する係合状態の安定化を図ることができる。この結果、玉軸受１５の軸方向への変位を、より確実に阻止することができて、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合状態を適正に維持できる。

　また、本例の場合、係止溝２７の直交溝側面３３の軸方向に関する位置を、外輪１７の軸方向一側面３４との関係で規制するとともに、外輪１７の軸方向一側面と、係止溝２７の軸方向一側面である傾斜溝側面３２ａの内周縁（径方向内端）との間の軸方向長さＬ_２７を、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ａの径方向内端部分の軸方向に関する厚さ寸法Ｔ_２８ａよりも小さくなるように係止溝２７の形状や配置を規制するのみでよい。このため、従来構造と比較して、加工コストを抑え、製造コストの低減を図ることもできる。

　［実施の形態の第２例］
　図４は、本発明の実施の形態の第２例を示している。本例のステアリング装置を構成するラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットは、テーパースナップリング２８ｂの軸方向他側面（図４の左側面）のうち、係止溝２７の軸方向他端面である直交溝側面３３と対向する、直交側面３１ａの径方向外端部（図４の左端部）に、直交側面３１ａから軸方向他方に突出した状態で、テーパースナップリング２８ｂの全周にわたり環状突起４１を形成している。その他のテーパースナップリング２８ｂの形状は、実施の形態の第１例のテーパースナップリング２８ａの形状と同様である。また、ハウジング１１ａの副収納部１３ａの内周面に形成された係止溝２７の構造は、実施の形態の第１例と同様である。

　このようなテーパースナップリング２８ｂは、その外径を縮める方向に弾性変形させた状態で、ハウジング１１ａの副収納部１３ａの軸方向一方の開口部から、副収納部１３ａの内径側に挿入し、係止溝に図４（ａ）に示す様な状態で係止される。

　図４（ａ）に示す、テーパースナップリング２８ｂを係止溝２７に係止した状態において、係止溝２７の直交溝側面３３と、テーパースナップリング２８ｂの直交側面３１ａのうち、環状突起４１が形成された以外の部分との間の隙間３５ａの軸方向長さＬ_３５ａは、実施の形態の第１例と同様に、０．１ｍｍ以下としている。また、係止溝２７の直交溝側面３３と、テーパースナップリング２８ｂの環状突起４１の先端（図４の左端）との間の隙間４２の軸方向長さＬ_４２は、隙間３５ａの軸方向に関する寸法Ｌ_３５ａよりも小さい（Ｌ_４２＜Ｌ_３５ａ）。より具体的には、隙間３５ａの軸方向長さＬ_３５ａが０．１ｍｍの場合、環状突起４１の突出量を０．０５ｍｍとして、隙間４２の軸方向長さＬ_４２が、０．０５ｍｍとなるようにする。

　本例の場合、テーパースナップリング２８ｂの直交側面３１ａの径方向外端部に、環状突起４１を形成している。このため、玉軸受１５に、矢印Ｐの方向の大きなスラスト荷重が作用して、図４（ｂ）に示すようにテーパースナップリング２８ｂが傾くと、実施の形態の第１例の場合よりも、テーパースナップリング２８ｂの、ピニオン軸５ａの中心軸Ｏ_５ａ（図６参照）と直交する仮想平面βに対する傾斜角度が小さい状態で、環状突起４１の先端と係止溝２７の直交溝側面３３とが当接する。このため、テーパースナップリング２８ｂと係止溝２７との係合が外れることをより確実に防止して、テーパースナップリング２８ｂの係止溝２７に対する係合状態の安定化を図ることができる。この結果、玉軸受１５の軸方向への変位を、より確実に阻止することができて、ピニオン歯８とラック歯１０との噛合状態を適正に維持できる。実施の形態の第２例のその他の構成および作用は実施の形態の第１例と同様である。

　［実施の形態の第３例］
　図５（ａ）は、本発明の実施の形態の第３例を示している。本例のラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットは、テーパースナップリング２８ｃの傾斜側面３０ｂと、ピニオン軸５ａの中心軸Ｏ_５ａ（図１参照）と直交する仮想平面βとがなす角度α_３０ｂを、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａと仮想平面βとがなす角度α_３２ａよりも大きくしている（α_３０ｂ＞α_３２ａ）。

　本例のテーパースナップリング２８ｃを係止溝２７に係止した状態において、外輪１７の軸方向一側面３４の軸方向に関する位置は、係止溝２７の内側面の軸方向他側面を構成する直交溝側面３３の軸方向に関する位置よりも、軸方向一方にオフセットしている。これにより、外輪１７の軸方向一側面３４と、係止溝２７の軸方向一側面を構成する傾斜溝側面３２の内周縁（径方向内端）との軸方向に関する寸法Ｌ_２７を、テーパースナップリング２８ｃの最大厚さである、テーパースナップリング２８ｃの傾斜側面３０ｂの径方向内端部分の軸方向に関する厚さ寸法Ｔ_３０ｂよりも小さくしている（Ｌ_２７＜Ｔ_３０ｂ）。また、外輪１７の外周面と、この外輪１７の軸方向一側面３４との連続部に面取り部４３を形成している。この面取り部４３の曲率半径Ｒ_４３は、０．５ｍｍ以下（Ｒ_４３≦０．５ｍｍ）とすることが好ましい。その他の構成は、実施の形態の第１例と同様である。

　本例の場合、テーパースナップリング２８ｃの傾斜側面３０ｂと、仮想平面βとがなす角度α_３０ｂと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａと仮想平面βとがなす角度α_３２ａとを、α_３０ｂ＞α_３２ａの関係となるように規制している。また、外輪１７の軸方向一側面３４と、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａの径方向内端との間の軸方向長さＬ_２７と、テーパースナップリング２８ｃの傾斜側面３０ｂの径方向内端部分の軸方向に関する厚さ寸法Ｔ_３０ｂとを、Ｌ_２７＜Ｔ_３０ｂの関係となるように規制している。このため、テーパースナップリング２８ｃの傾斜側面３０ｂと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａとの係合位置を、図５（ａ）に示すように、係止溝２７の傾斜溝側面３２の径方向内端縁もしくはその近傍に配置することができる。

　したがって、本例の場合、外輪１７の軸方向一側面３４とテーパースナップリング２８ｃの直交側面３１ｂとの接触点４４（作用点）と、テーパースナップリング２８ｃの傾斜側面３０ｂと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａとの係合位置４５（支点）との径方向に関する距離Ｌ_４５を小さくすることができる。このため、外輪１７に、図５（ａ）の矢印Ｐに示す方向のスラスト荷重が加わった場合でも、スラスト荷重に基づいてテーパースナップリング２８ｃに加わるモーメントが小さくなる。その結果、テーパースナップリング２８ｃの耐久性の向上を図ることができるとともに、係止溝２７に対するテーパースナップリング２８ｃの係止状態の安定性を向上させることができる。なお、外輪１７の外周面と、この外輪１７の軸方向一側面３４との連続部に設けた面取り部４３の曲率半径Ｒ_４３を０．５ｍｍ以下と小さくすれば、外輪１７の軸方向一側面３４とテーパースナップリング２８ｃの直交側面３１ｂとの接触点４４（作用点）の位置をさらに径方向外方にずらして、接触点４４（作用点）と、係合位置４５（支点）との径方向に関する距離Ｌ_４５をさらに小さくすることができる。

　図５（ｂ）に、本例の構成およびその効果と対比するための比較例として、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ｃと、仮想平面βとがなす角度α_３０ｃと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａと仮想平面βとがなす角度α_３２ａとの関係を、本例と逆の関係（α_３０ｃ＜α_３２ａ）とした構造を示している。この場合、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ｃと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａとの係合位置４５ａが、図５（ａ）に示す本例の場合と比較して、径方向外方となることが理解される。

　したがって、外輪１７の軸方向一側面３４とテーパースナップリング２８ｃの直交側面３１ｂとの接触点４４（作用点）と、テーパースナップリング２８ａの傾斜側面３０ｃと、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａとの係合位置４５ａ（支点）との径方向に関する距離Ｌ_４５ａは、図５（ａ）に示す構造の接触点４４（作用点）と、係合位置４５（支点）との径方向に関する距離Ｌ_４５よりも大きくなる（Ｌ_４５ａ＞Ｌ_４５）。

　本例の場合、係止溝２７の軸方向幅を適切に規制することにより、テーパースナップリング２８ｃを係止溝２７に係止した状態において、テーパースナップリング２８ｃの径方向外端部が、係止溝２７に入り込む量Ｌ_２８ｃ（テーパースナップリング２８ｃと係止溝２７との径方向に関する係合量）をより小さくすることができる。したがって、テーパースナップリング２８ｃが、外径を大きくする方向への弾性復元力をより大きく保持できる。このため、テーパースナップリング２８ｃの傾斜側面３０ｂが係止溝２７の傾斜溝側面３２ａを径方向外方に押す力がより大きくなり、係止溝２７の傾斜溝側面３２ａがテーパースナップリング２８ｃを軸方向他方（外輪側）に押し返す力（軸方向の反力）もより大きくなる。この結果、テーパースナップリング２８ｃの直交側面３１ｂが、外輪１７の軸方向一側面３４を軸方向他方に押す力も大きくなり、玉軸受１５に作用する軸方向一方へのスラスト荷重を安定して支持することが可能となる。実施の形態の第３例のその他の構成および作用は、実施の形態の第１例と同様である。

　本発明について、本発明の軸受固定構造を採用したラックアンドピニオン式ステアリングギアユニットに適用した実施の形態の各例に基づいて、説明をおこなった。本発明が適用されたステアリングギアユニットは、図６に示すコラムアシスト型のラックピニオン式パワーステアリング装置だけでなく、ピニオンアシスト型ラックピニオン式パワーステアリング装置やマニュアル型ラックピニオン式ステアリング装置にも適用することができる。

　また、本発明におけるテーパースナップリングを係止する対象部材には、例示したステアリングギアユニットのハウジングのほか、特にスラスト荷重を支持する軸受を構成する外輪がその内周面に固定される機械装置を構成する部材も含まれる。さらに、本発明におけるテーパースナップリングを係止する対象部材には、スラスト荷重を支持する軸受を構成する内輪がその外周面に固定される、ピニオン軸などの軸部材も含まれる。この場合、軸部材の外周面に形成した係止溝、および、テーパースナップリングの構造は、実施の形態の各例の場合と、径方向に関して逆にすればよい。具体的には、テーパースナップリングの軸方向一側面の傾斜側面を、テーパースナップリングの径方向中間部から径方向内端部にかけての部分に形成する。また、傾斜側面の傾斜方向が、径方向内方に進むほど、軸方向に関する厚さが小さくなるように形成する。さらに、係止溝の内側面の軸方向一側面を構成する傾斜溝側面の傾斜方向は、テーパースナップリングの傾斜側面と同じ方向になるように形成する。そして、このようなテーパースナップリングを、その外径を拡げる方向に弾性変形させた状態で、軸の端部から挿通して係止溝に係止させる。この場合、テーパースナップリングは、係止溝に係止された状態で、その外径が小さくなる方向への弾性復元力を有する。さらに、本発明の範囲には含まれないが、軸受以外のスラスト荷重を受ける部材を、この部材が固定される機械装置を構成する部材に取付固定するにあたっても、本発明の固定構造を採用することは可能である。

　１　ステアリングホイール
　２　ステアリングコラム
　３　モータ
　４　中間シャフト
　５、５ａ　ピニオン軸
　６、６ａ、６ｂ　ステアリングギアユニット
　７　タイロッド
　８　ピニオン歯
　９　ラック軸
　１０　ラック歯
　１１、１１ａ　ハウジング
　１２、１２ａ　主収納部
　１３、１３ａ　副収納部
　１４、１４ａ　ラジアルニードル軸受
　１５　玉軸受
　１６　内輪
　１７　外輪
　１８　内径側段差面
　１９　円すい止め輪
　２０　外径側段差面
　２１　抑えねじ筒
　２２、２２ａ　シリンダ部
　２３　滑り式ラックガイド
　２４　押圧ブロック
　２５　蓋体
　２６　ばね
　２７　係止溝
　２８、２８ａ、２８ｂ、２８ｃ、２８ｄ　テーパースナップリング
　２９　不連続部
　３０、３０ａ、３０ｂ、３０ｃ　傾斜側面
　３１、３１ａ、３１ｂ　直交側面
　３２、３２ａ　傾斜溝側面
　３３　直交溝側面
　３４　軸方向一側面
　３５、３５ａ　隙間
　３６　転がり式ラックガイド
　３７　保持筒
　３８　支持軸
　３９　ラジアルニードル軸受
　４０　ローラ
　４１　環状突起
　４２　隙間
　４３　面取り部
　４４　接触点
　４５、４５ａ　係合位置
　４６　突起
　４７　環状凹溝

Claims

　機械装置を構成する部材と、
　前記部材に嵌合されており、スラスト荷重を支持する軸受と、
　前記部材に嵌合されている前記軸受の軌道輪の一方を、前記部材に固定するためのテーパースナップリングと、
　前記部材に形成され、前記テーパースナップリングを係止するための環状の係止溝と、
を備え、
　前記テーパースナップリングは、軸方向に厚さを有し、前記係止溝に係止される側に、この係止溝側に進むほど軸方向に関する厚さが小さくなる方向に傾斜した傾斜側面を有する軸方向一側面と、前記軸受の軌道輪の一方の軸方向一側面に当接し、前記軸受の中心軸に対して直交する直交側面からなる軸方向他側面とを備え、
　前記係止溝は、前記テーパースナップリングの傾斜側面と同じ方向に傾斜した傾斜溝側面のみからなる軸方向一側面と、前記軸受の中心軸に対して直交する直交溝側面を有する軸方向他側面とを備え、
　前記軌道輪の一方は、この係止溝の軸方向一側面の周縁と前記軌道輪の一方の軸方向一側面との間の軸方向長さが、前記テーパースナップリングの最大厚さよりも小さくなるように、前記部材に対して位置決めされ、
　前記係止溝に前記テーパースナップリングを係止して前記軌道輪の一方を前記部材に固定した状態で、前記テーパースナップリングの軸方向他側面と前記係止溝の軸方向他側面との間に軸方向の隙間が形成されている、
ことを特徴とする軸受固定構造。
　前記テーパースナップリングの軸方向他側面のうち、前記係止溝の軸方向他側面と対向する位置に、このテーパースナップリングの軸方向他側面から前記係止溝の軸方向他側面に向かって突出する環状突起が形成されている、請求項１に記載した軸受固定構造。
　前記隙間の軸方向長さが、０．１ｍｍ以下である、請求項１に記載した軸受固定構造。
　前記軸受の中心軸と直交する仮想平面と、前記テーパースナップリングの傾斜側面とがなす角度が、前記仮想平面と、前記係止溝の傾斜溝側面とがなす角度よりも大きい、請求項１に記載した軸受固定構造。
　前記軌道輪の一方の前記部材と嵌合する周面と、この軌道輪の一方の軸方向一側面との連続部に面取り部が形成されており、この面取り部の曲率半径が０．５ｍｍ以下である、請求項１に記載した軸受固定構造。
　ハウジングと、
　このハウジングに往復移動可能に支持されており、タイロッドを介して車輪の操舵角を変化させるためのラック軸と、
　ステアリングホイールに連結され、前記ラック軸のラック歯と噛合するピニオン歯を有し、このステアリングホイールの回転をこのラック軸に伝達するためのピニオン軸と、
　前記ハウジングの内周面に内嵌される外輪と、前記ピニオン軸の中間部の外周面に外嵌される内輪とを備え、前記ピニオン軸の中間部を前記ハウジングに対して回転可能に支持した状態で、このピニオン軸に作用するスラスト荷重を支持するための第１の軸受と、
　前記ハウジングの内周面に内嵌されており、前記ピニオン軸の他端をこのハウジングに対して回転可能に支持した状態で、このピニオン軸に作用するラジアル荷重を支持するための第２の軸受と、
を備え、
　前記機械装置を構成する部材が、前記ハウジングまたは前記ピニオン軸の中間部であり、前記軌道輪の一方が、前記第１の軸受のうち、前記ハウジングが前記部材を構成する場合の前記外輪、または、前記ピニオン軸の中間部が前記部材を構成する場合の前記内輪であり、
　請求項１～５のいずれかに記載の軸受固定構造により、前記第１の軸受を前記ハウジングまたは前記ピニオン軸の中間部に固定していることを特徴を有する、ステアリングギアユニット。