JP2014156156A - ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット - Google Patents

ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット Download PDF

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将人 岩川
Atsushi Kawamura
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Abstract

【課題】ピニオン軸6の中間部を回転自在に支持する為の玉軸受16が軸方向に変位するのを有効に防止できて、しかも、小型且つ低コストで構成できる構造を実現する。
【解決手段】ケーシング10cを構成する副収納部12cの内周面開口寄り部分に、全周に亙り係止溝28bを形成し、この係止溝28bに、略C字形の止め輪29bの外径寄り部分を係止する。これにより、前記副収納部12cの内周面に内嵌支持された前記玉軸受16を構成する外輪18の軸方向側面に、止め輪29bの内径寄り部分の軸方向側面を押し付ける。又、副収納部12cの開口縁部に、外径側腕部43と内径側腕部44とを有するクリップ35を装着し、このうちの内径側腕部44の先端部により構成される縮径阻止部36を、止め輪29bの不連続部34に挿入する。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車の操舵輪に舵角を付与する為のステアリング装置を構成するラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットの改良に関する。
ステアリングホイールから入力された回転運動を舵角付与の為の直線運動に変換する為の機構としてラックアンドピニオンを使用する、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットを備えたステアリング装置が、従来から広く知られている。又、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットは、小型且つ軽量に構成でき、しかも剛性が高く良好な操舵感を得られる為、実際に広く使用されている。
図18〜20は、この様なラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットを組み込んだステアリング装置の1例として、特許文献1に記載された構造を示している。このステアリング装置では、ステアリングホイール1の操作に伴って回転するステアリングシャフト2の動きを、自在継手3、3及び中間シャフト4を介して、ステアリングギヤユニット5の入力軸である、ピニオン軸6に伝達する。
前記ステアリングギヤユニット5は、このピニオン軸6の先半部に設けたピニオン歯7と、ラック軸8の前面に設けたラック歯9とを噛合させて成る。これらピニオン軸6及びラック軸8は、それぞれの一部を、ケーシング10内に収納している。このケーシング10は、それぞれが筒状である、主収納部11及び副収納部12を備える。このうちの主収納部11は、両端が開口している。又、この副収納部12は、この主収納部11の一部側方に設けられていて、一端が開口している。これら主収納部11の中心軸と副収納部12の中心軸とは、互いに捩れの位置関係にある。前記ラック軸8は、このうちの主収納部11に、軸方向の変位を可能に挿通しており、両端部をこの主収納部11から突出させている。そして、この両端部に、それぞれ球面継手13、13を介して、タイロッド14、14の基端部を結合している。これら両タイロッド14、14の先端部は、それぞれ図示しないナックルアームの先端部に、枢軸により結合している。尚、前記ラック軸8は、前記ピニオン歯7と前記ラック歯9との噛合により、自身の中心軸回りで回転する事はない。
前記ピニオン軸6は、前記ピニオン歯7を形成した先半部を前記副収納部12内に、回転のみ可能に支持している。この為に、前記ピニオン軸6の先端部をこの副収納部12の奥端部に、ラジアルニードル軸受15により回転自在に支持している。又、前記ピニオン軸6の中間部を前記副収納部12の開口寄り部分に、単列の玉軸受16により回転自在に支持している。この玉軸受16を構成する内輪17と外輪18とのうちの内輪17は、前記ピニオン軸6の中間部に形成した内径側段差面19と、このピニオン軸6の中間部に係止した円すい状の止め輪20との間で挟持している。又、前記外輪18は、前記副収納部12の内周面中間部に形成した外径側段差面21と、この副収納部12の開口側端部の内側に螺着した抑えねじ筒22との間で挟持している。この構成により、前記ピニオン軸6の先半部を、ラジアル荷重及びスラスト荷重を支承可能に(軸方向の変位を阻止して回転可能に)前記副収納部12内に支持している。
又、前記主収納部11の直径方向に関して前記副収納部12と反対側部分にシリンダ筒部23を設け、このシリンダ筒部23内に、押圧ローラ24を回転自在に支承した摺動ブロック25を嵌装している。そして、前記シリンダ筒部23の開口側端部の内側に螺着した蓋体26とこの押圧ブロック25との間にばね27を設けて、前記押圧ローラ24を前記ラック軸8に向け押圧している。そして、このラック軸8を前記ピニオン軸6に向け弾性的に押圧して、前記ピニオン歯7と前記ラック歯9との噛合部のバックラッシを解消している。又、これら両歯7、9同士の噛合部での動力伝達に伴って前記ラック軸8に加わる、前記ピニオン軸6から離れる方向の力に拘らず、前記噛合部の噛合状態を適正に維持できる様にしている。
左右の前輪に舵角を付与する際には、前記ステアリングホイール1の操作により前記ピニオン軸6を回転させると、前記ピニオン歯7と前記ラック歯9との噛合に基づいて、前記ラック軸8が軸方向に変位する。そして、このラック軸8の両端部に結合した、前記両タイロッド14、14を押し引きして、前記両前輪に所望の舵角を付与する。
上述の様な構成を有する従来構造の第1例のステアリングギヤユニット5の場合、前記ピニオン軸6を支持している玉軸受16に、前記抑えねじ筒22を利用して、予圧を付与している。これにより、操舵時に前記ピニオン軸6に加わる力に拘わらず、このピニオン軸6がラジアル方向(図20の左右方向)やスラスト方向(図20の上下方向)に変位する事を防止し、前記ピニオン歯7と前記ラック歯9との噛合部の噛合状態を安定させている。そして、この噛合部での歯打ち音の発生を抑えると共に、操舵力が変動するのを防止している。この様に、前記抑えねじ筒22を利用すれば、前記玉軸受16に対して必要とする予圧を付与し易くなり、前記玉軸受16が軸方向に変位する事を有効に防止できる。但し、抑えねじ筒22を利用する場合には、設置スペースが嵩む為、前記副収納部12の全長が長くなり易く、ステアリングギヤユニット5が大型化し易くなる。又、予圧調整の為の作業時間が長くなる等の問題を生じる。
特許文献2には、上述の様な抑えねじ筒に代え、欠円環状の止め輪を利用して、転がり軸受に予圧を付与する(転がり軸受の抜け止めを図る)構造が記載されている。図21は、前記特許文献2に記載された、従来構造の第2例のステアリングギヤユニット5aを示している。このステアリングギヤユニット5aの場合、ケーシング10aを構成する副収納部12aの内周面の開口寄り部分に、全周に亙り係止溝28を形成している。そして、この係止溝28に、欠円環状の止め輪29の外径寄り部分を係止した状態で、この止め輪29の内径寄り部分の軸方向片側面を、ピニオン軸6の中間部を回転自在に支持した玉軸受16を構成する外輪18の軸方向側面に押し付けている。
又、従来構造の第2例の場合には、前記係止溝28のうちの副収納部12aの開口側(図21の上側)の側面30を、径方向内側に向かう程この係止溝28の幅寸法が広がる方向に傾斜させている。又、前記止め輪29のうちで前記側面30と当接する部分に、テーパ面31を形成し、この止め輪29の外径寄り部分の断面形状を、径方向外側に向かう程軸方向に関する厚さ寸法が小さくなる方向に傾斜した、くさび状としている。この様な従来構造の第2例の場合、止め輪29の設置スペースが小さく済む為、ステアリングギヤユット5aを小型化し易くなる。又、止め輪29を組み付ける為の作業時間が短く済むと共に、予圧調整の必要もない。
但し、上述の様な構成を有する従来構造の第2例の場合、操舵時にピニオン軸6に加わる力に基づき、前記止め輪29に、図21の上方向に向いたスラスト力が作用すると、この止め輪29が、前記側面30に案内されて縮径し軸方向に変位し易くなる。この結果、玉軸受16が軸方向に変位し易くなり、ピニオン歯7とラック歯9との噛合部が適正位置からずれて、異音を発生させたり、操舵力が変動するといった不都合を生じる可能性がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献3には、操舵時にピニオン軸に加わる力に拘わらず、止め輪が縮径するのを防止できる構造が記載されている。図22は、特許文献3に記載された従来構造の第3例のステアリングギヤユニット5bを示している。このステアリングギヤユニット5bの場合、止め輪29aのテーパ面31aの外周縁部に、軸方向に突出した複数の突起32を形成している。又、ケーシング10bを構成する副収納部12bの内周面に形成した係止溝28aの側面30aに、環状凹溝33を形成している。そして、この係止溝28aに前記止め輪29aの外径寄り部分を係止した状態で、前記各突起32を前記環状凹溝33内に配置している。
この様な構成を有する従来構造の第3例のステアリングギヤユニット5bの場合、操舵時にピニオン軸6に加わる力に基づき、前記止め輪29aに、図22の上方向に向いたスラスト力が作用した場合にも、前記各突部32と前記環状凹溝33とが係合する事で、前記止め輪29aが縮径する事が防止される。この為、この止め輪29aが軸方向に変位しにくくなる。従って、玉軸受16が軸方向に変位しにくくなり、ピニオン歯とラック歯との噛合位置を適正に保つ事が可能になる。しかしながら、この様な従来構造の第3例のステアリングギヤユニット5bの場合には、係止溝28a及び止め輪29aの形状が複雑になる為、加工が面倒で、製造コストが嵩むと言った問題を生じる。
特開2012−51406号公報 特開2010−195278号公報 特開2010−38254号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、ピニオン軸の中間部を回転自在に支持する為の転がり軸受が軸方向に変位するのを有効に防止できて、しかも、小型且つ低コストで構成できる、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットの構造を実現すべく発明したものである。
本発明のラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットは、ケーシングと、ラック軸と、ピニオン軸と、転がり軸受と、止め輪と、縮径阻止部とを備える。
このうちのケーシングは、両端が開口した筒状の主収納部、及び、この主収納部に対し捩れの位置に設けられて一端が開口した筒状の副収納部を有する。
前記ラック軸は、前面にラック歯を有し、前記ケーシングの主収納部の内側に軸方向の変位を可能に配置されている。
前記ピニオン軸は、軸方向先半部に形成されたピニオン歯を前記ラック歯に噛合させると共に、軸方向基端部を前記ケーシングの副収納部の開口部を通じて外部に突出させた状態で、この副収納部内に回転自在に支持されている。
前記転がり軸受は、内輪と、外輪と、複数個の転動体とを備え、このうちの内輪は、外周面に内輪軌道を有し、外輪は、内周面に外輪軌道を有する。又、前記各転動体は、これら内輪軌道と外輪軌道との間にそれぞれ転動自在に設けられている。そして、前記副収納部の内側に前記ピニオン軸を回転自在に支持する為、このピニオン軸のうちで前記ピニオン歯が形成された部分よりも軸方向基端側部分に前記内輪を外嵌固定すると共に、前記副収納部の内周面に形成された段差面に前記外輪の軸方向片側面を当接させた状態で、この副収納部にこの外輪を内嵌支持している。
前記止め輪は、欠円環状であり、前記ピニオン軸の軸方向中間部の周囲に配置され、前記副収納部の内周面の開口寄り部分に形成された係止溝にその外径寄り部分を係止した状態で、内径寄り部分の軸方向片側面を前記転がり軸受を構成する外輪の軸方向他側面に押し付けている。
更に、前記縮径阻止部は、前記副収納部に固定された部材の一部に設けられており、前記止め輪の不連続部(開口部)に挿入されて、この止め輪が縮径するのを阻止する。
上述の様な本発明のラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットを実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記止め輪の不連続部を、この止め輪のうちで前記ラック軸側の部分に位置させる。
又、この様な請求項1〜2に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記縮径阻止部を、外径側腕部と内径側腕部とを備え、前記ケーシングを構成する副収納部の開口側端部に弾性的に装着(挟着)されたクリップのうち、この副収納部の内側に配置された前記内径側腕部の先端部により構成する。
又、上述した様な請求項3に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項4に記載した発明の様に、前記クリップと前記副収納部との間に、このクリップがこの副収納部の開口側端部から軸方向(開口側)に抜け出る事を防止する為の抜け止め構造を設ける。
具体的には、例えば請求項5に記載した発明の様に、この抜け止め構造を、前記副収納部の開口側端部の外周面に形成された、開口側に向かう程この開口側端部の肉厚が大きくなる方向に傾斜した傾斜面に、前記クリップの外径側腕部に形成された先端側に向かう程内径側腕部に近づく方向に傾斜した傾斜部を当接させる事により構成する。
又は、請求項6に記載した発明の様に、前記抜け止め構造を、前記副収納部の開口側端部の外周面に形成された係合凹溝に、前記クリップの外径側腕部に形成された外径側係合突部を係合させる事により構成する。
又は、請求項7に記載した発明の様に、前記抜け止め構造を、前記副収納部の内周面に形成された前記係止溝に、前記クリップの内径側腕部の先端部に形成された内径側係合突部を係合させる事により構成する。
或いは、上述した様な請求項1〜2に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項8に記載した発明の様に、前記縮径阻止部を、前記副収納部に形成された貫通孔に挿入された挿入部材又はこの挿入部材に固定された部材のうち、この貫通孔から内径側に突出した部分により構成する。
又、上述した様な請求項8に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項9に記載した発明の様に、前記挿入部材を平板状のキー部材とする。そして、このキー部材を、前記貫通孔内に圧入するか、若しくは、その一部を塑性変形させる事により、前記ケーシングに対し固定する。
又は、請求項10に記載した発明の様に、前記挿入部材をボルトとし、前記縮径阻止部を、このボルトの頭部若しくはこのボルトの軸部に螺着したナットとする。
上述した様な本発明によれば、ピニオン軸を回転自在に支持する為の転がり軸受が軸方向に変位するのを有効に防止できて、しかも、小型且つ低コストで構成できる、ラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニットを実現できる。
先ず、本発明の場合には、ケーシングを構成する副収納部の内周面に形成した係止溝にその外径寄り部分を係止した止め輪を利用して、ピニオン軸を回転自在に支持する為の転がり軸受が軸方向に変位するのを防止する。この為、図20に示した従来構造の第1例の場合の様に、抑えねじ筒を利用する場合に比べて、装置の小型化を図れる。又、本発明の場合には、前記止め輪の不連続部に、前記副収納部に固定された部材の一部に設けられた縮径阻止部を挿入している為、操舵時に前記ピニオン軸に加わる力に基づき、この止め輪に縮径させようとする力が作用した場合にも、この止め輪が縮径する事を阻止できる。これにより、この止め輪が軸方向に変位する事を防止できる為、前記転がり軸受が軸方向に変位する事を有効に防止できる。しかも、本発明の場合には、この様に止め輪が縮径するのを阻止するのに、図22に示した従来構造の第3例の場合の様に、止め輪及び係止溝の形状を複雑にしなくて済む為、低コストで構成できる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、図19のB−B断面に相当する図。 同じく図1の上側から見た図。 同じく図1のD部拡大図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図3のE部に相当する部分の断面図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図3のE部に相当する部分の断面図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図3のF部に相当する部分の断面図。 本発明の実施の形態の第5例を示す、図19のB−B断面に相当する図。 同じく図7の上側から見た図。 同じく、シリンダ筒部及び主収納部を省略して、図7の右側から見た図。 同じく図3に相当する拡大断面図。 本発明の実施の形態の第6例を示す、図19のB−B断面に相当する図。 同じく図11の上側から見た図。 同じく、シリンダ筒部及び主収納部を省略して、図11の右側から見た図。 同じく図3に相当する拡大断面図。 本発明の実施の形態の第7例を示しており、(A)は図14の右上部に相当する部分の断面図であり、(B)は(A)のG−G断面図。 本発明に使用できる止め輪の構造の3例を示す正面図。 本発明に採用できる止め輪及び係止溝の係止構造の1例を示す断面図。 ラックアンドピニオン式のステアリングギヤユニットを組み込んだ自動車用操舵装置の1例を示す部分切断側面図。 図18のA−A断面図。 使用状態に即してピニオン軸の基端部を上方に向けた状態で示す、図19のB−B断面図。 従来構造の第2例のステアリングギヤユニットを示す、図19のB−B断面に相当する図。 従来構造の第3例のステアリングギヤユニットを示す、図21のC部に相当する部分の拡大図。
図1〜3は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の特徴は、止め輪29bの不連続部(開口部)34に、クリップ35の一部に設けた縮径阻止部36を挿入する事により、この止め輪29bがそれ以上縮径する事を阻止している点にある。その他の部分の構造及び作用・効果に就いては、前述した従来構造のラックアンドピニオン式のステアリングギヤユニットの場合と基本的には同じである。従って、重複する部分の図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分並びに先に説明しなかった部分等を中心に説明する。
本例のステアリングギヤユニット5dの場合にも、ピニオン軸6の軸方向の一部に設けたピニオン歯7と、ラック軸8の前面に設けたラック歯9とを噛合させている。これらピニオン軸6及びラック軸8は、それぞれの一部を、ケーシング10c内に収納している。このケーシング10cは、それぞれが略円筒状である、主収納部11(図18、19参照)及び副収納部12cを備える。このうちの主収納部11は、両端が開口している。又、この副収納部12cは、この主収納部11の一部側方に設けられていて、一端(図1、3の上端)が開口している。これら主収納部11の中心軸と副収納部12cの中心軸とは、互いに捩れの位置関係にある。
前記ラック軸8は、このうちの主収納部11に、軸方向の変位を可能に挿通しており、両端部をこの主収納部11から突出させている。そして、この両端部に、図19に示した様な球面継手13、13を介して、タイロッド14、14の基端部を結合している。これら両タイロッド14、14の先端部は、それぞれ図示しないナックルアームの先端部に、枢軸により結合している。又、前記主収納部11の直径方向に関して、前記副収納部12cと反対側部分にシリンダ筒部23を設け、このシリンダ筒部23内に、押圧ブロック63を嵌装している。そして、このシリンダ筒部23の開口部に螺着した図示しない蓋体と、前記押圧ブロック63との間にばね等の弾性部材を設けて、この押圧ブロック63を前記ラック軸8に向け押圧している。これにより、このラック軸8を前記ピニオン軸6に向け弾性的に押圧して、前記ピニオン歯7と前記ラック歯9との噛合部のバックラッシを解消している。更には、これら両歯7、9同士の噛合部での動力伝達に伴って前記ラック軸8に加わる、前記ピニオン軸6から離れる方向の力に拘らず、前記噛合部の噛合状態を適正に維持できる様にしている。尚、前記押圧ブロック63の軸方向両端面のうち、前記ラック軸8を押圧する側の内端面は、このラック軸8の背面の形状に合わせて部分円筒状凹面としている。
前記ピニオン軸6は、前記ピニオン歯7を形成した先半部(図1の下半部)を前記副収納部12c内に、回転のみ可能に支持している。この為に、前記ピニオン軸6の先端部をこの副収納部12cの奥端部に、ラジアルニードル軸受15により回転自在に支持している。又、前記ピニオン軸6の中間部を前記副収納部12cの開口寄り部分に、特許請求の範囲に記載した転がり軸受に相当する、深溝型、3点接触型若しくは4点接触型等の単列の玉軸受16により回転自在に支持している。一方、前記ピニオン軸6の基端部は、前記副収納部12cの開口部を通じて外部に突出しており、図18に示した様に、自在継手3を介して、中間シャフト4に連結している。
前記玉軸受16は、内輪17と、外輪18と、複数個の玉37、37と、保持器38とを備える。このうちの内輪17は、外周面に内輪軌道39を有し、前記外輪18は、内周面に外輪軌道40を有する。又、前記各玉37、37は、これら内輪軌道39と外輪軌道40との間にそれぞれ転動自在に設けられている。又、前記保持器38は、円周方向複数個所にポケットを有しており、これら各ポケット内に、前記各玉37、37を転動自在に保持している。そして、前記副収納部12cの内側に前記ピニオン軸6の中間部を回転自在に支持する為、このピニオン軸6のうちで前記ピニオン歯7が形成された部分よりも軸方向基端側(ステアリングホイール1側)部分に前記内輪17を外嵌固定している。そして、この内輪17を、前記ピニオン軸6の中間部に形成した内径側段差面19と、このピニオン軸6の中間部に係止した円すい状の止め輪20との間で挟持している。又、前記外輪18を、その軸方向片側面を前記副収納部12cの内周面中間部に形成された外径側段差面21に当接させた状態で、この副収納部12cに内嵌支持している。
又、前記副収納部12cの内周面の開口寄り部分に、全周に亙り係止溝28bを形成している。そして、この係止溝28bに、前記ピニオン軸6の軸方向中間部の周囲に配置された、欠円環状(略C字形状)の止め輪29bの外径寄り部分を係止した状態で、この止め輪29bの内径寄り部分の軸方向片側面を、前記外輪18の軸方向他側面に押し付けている。
前記止め輪29bは、ばね鋼、ステンレスばね鋼等の弾性材製の金属板を打ち抜き形成する事により、略C字形の欠円環状としたもので、組み付け状態で直径を拡げる方向の弾力を有する。この様な止め輪29bの不連続部34を挟んで対向する部分には、径方向内方に向けて突出した1対の係止腕部41、41を設けている。又、これら両係止腕部41、41の略中央部には、縮径用工具(図示せず)の先端部を係合させる為の係止孔42、42をそれぞれ形成している。
前記係止溝28bのうちで、前記副収納部12cの開口側(図1、3の上側)の側面30bを、径方向内側に向かう程この係止溝28bの幅寸法が広がる方向に傾斜させている。又、前記止め輪29bのうちで前記側面30bと当接する部分に、テーパ面31bを形成し、この止め輪29bの外径寄り部分の断面形状を、径方向外側に向かう程軸方向に関する厚さ寸法が小さくなる方向に傾斜した、くさび状としている。これにより、前記係止溝28bに前記止め輪29bを係止した状態で、直径を拡げる方向の弾力に基づく軸方向分力により、前記外輪18の軸方向他側面を押圧し、前記玉軸受16に予圧を付与している。
又、本例の場合には、上述の様な構成を有する止め輪29bを前記係止溝28bに係止した状態で、前記不連続部34を、この止め輪29bのうちで前記ラック軸8側の部分(図1の右側部分)に位置させている。この理由は、次の通りである。
ピニオン歯7とラック歯9との噛合部のバックラッシを解消すべく、上述した様な構成により、前記ラック軸8を前記ピニオン軸6に向けて弾性的に押し付けているが、この押し付け力(ラック反力、図1の矢印Fの力)は、前記ラジアルニードル軸受15と前記玉軸受16とのうち、反ラック軸8側の部分(図1の左側部分)で支承される。又、この場合に、前記ラック歯9に捩れがないと仮定すると、前記ラジアルニードル軸受15及び前記玉軸受16には、それぞれの中心軸に対して直角方向に向いた、矢印A0、B0方向の力が作用する。これに対し、前記ラック歯9に捩れがある場合には、矢印A0、B0に対して傾斜した、矢印A1(A2)、B1(B2)方向の力が作用する。そして、このうちのA1方向の力が作用した場合には、前記止め輪29bに対しても、前記玉軸受16を介して力が作用する事になる。ここで、欠円環状の止め輪29bは、前記不連続部34及びその近傍部分での剛性が低くなる為、この不連続部34が反ラック軸8側に存在すると、前記止め輪29bが変形して、前記係止溝28bから脱落し易くなる。そこで、本例の場合には、この止め輪29bを係止した状態で、前記不連続部34を前記ラック軸8側に位置させている。
特に本例の場合には、前記止め輪29bの縮径防止と回転防止とを図る為に、前記ケーシング10cを構成する副収納部12cの開口側端部(開口縁部)のうちで、前記ラック軸8側の部分(図1、2の右側部分)に、前記クリップ35を装着(挟着)している。このクリップ35は、略U字形に折り曲がった形状であり、互いに略平行に配置された外径側腕部43及び内径側腕部44と、これら両腕部43、44の基端部同士を連続させる基部45とから構成されている。そして、このうちの外径側腕部43と内径側腕部44とにより、前記副収納部12cの開口側端部のうちで前記ラック軸8側に設けられた互いに平行な外径側、内径側平坦面部46、47を両側から弾性的に挟着した状態で、前記基部45の内側面を前記副収納部12cの開口側端面に近接対向若しくは突き当てている。又、この様に前記クリップ35を前記副収納部12cに装着した状態で、この副収納部12cの内側に設けられた、前記縮径阻止部36に相当する前記内径側腕部44の先端部を、前記止め輪29bの不連続部34に挿入している。本例の場合には、この様な構成により、この止め輪29bがそれ以上縮径する事を阻止すると共に、この止め輪29bが回転する事を防止している。この為、前記内径側腕部44の先端部(縮径阻止部36)の幅寸法を、前記止め輪29cを係止した状態(止め輪29cを自由状態から或る程度縮径した状態)での前記不連続部34の幅寸法よりも僅かに小さい値としている。ここで、クリップ35が十分な剛性を有する場合には、止め輪29bに回転力が掛かった時は、止め輪29bの不連続部34に挿入されたクリップ35はまず止め輪29bに当接し、回転力が小さな場合にはその時点で止め輪29bは停止する。しかし回転力が大きな場合には、クリップ35に当接した止め輪29bには過大な力が掛かりそれに耐え切れずに止め輪29bは変形し、破損もしくはギヤボックスから外れてしまう可能性がある。そのため、クリップ35は止め輪29bよりも強度の低い材質であるマグネシウムで構成されていて、止め輪29bから大きな力を受けた際には、変形してエネルギー吸収可能な様にすることが望ましい。クリップ35をマグネシウムで構成することは軽量化の面からも有利である。
以上の様な構成を有する本例の場合には、前記ピニオン軸6を回転自在に支持する為の玉軸受16が軸方向に変位するのを有効に防止できて、しかも、小型且つ低コストで構成できる、ステアリングギヤユニット5bを実現できる。先ず、本例の場合には、前記ケーシング10cを構成する副収納部12cの内周面に形成した係止溝28bにその外径寄り部分を係止した止め輪29bを利用して、前記玉軸受16が軸方向に変位するのを防止している(予圧を付与している)。この為、図20に示した従来構造の第1例の場合の様に、抑えねじ筒を利用する場合に比べて、前記副収納部12の全長を短くし易くなり、装置の小型化を図れる。又、本例の場合には、前記止め輪29bの不連続部34に、前記クリップ35の内径側腕部44の先端部により構成される縮径阻止部36を挿入している。この為、操舵時に前記ピニオン軸6に加わる力に基づき、この止め輪29bに縮径させようとする力(径方向内向の力)が作用した場合にも、この止め輪29bが縮径する事を確実に阻止できる。即ち、図1の上方向に向いたスラスト力が前記止め輪29bに加わると、この力が前記案内溝28bの側面30bにより支承されて、この止め輪29bに径方向内向の分力が作用し、この止め輪29bを縮径させようとする。但し、本例の場合には、前記縮径阻止部36を前記止め輪29bの不連続部34に挿入している為、この止め輪29bが縮径する事を確実に阻止できる。これにより、この止め輪29bが軸方向に変位する事を防止できる為、前記玉軸受16が軸方向に変位する事を有効に防止できる。しかも、本例の場合には、この様に止め輪29bが縮径するのを阻止するのに、図22に示した従来構造の第3例の場合の様に、止め輪及び係止溝の形状を複雑にしなくて済む為、低コストで構成できる。
又、本例の場合には、前記止め輪29bの不連続部34を、前記ラック軸8側に位置させており、この止め輪29bのうちで剛性の低くなった部分を、ラック反力の作用方向から遠い側(直径方向反対側)に配置している。この為、車両の走行時に、タイヤが縁石に乗り上げる等して、前記ラック軸8から前記ピニオン軸6に大きな力が加わった場合にも、前記止め輪29bが変形する事を有効に防止できて、この止め輪29bが前記係止溝28bから脱落しにくくなる。しかも、前記止め輪29bの回り止めが図られている為、この止め輪29bの脱落防止を長期間に亙り有効に図れる。
その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、前述した従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第2例]
図4は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の特徴は、ケーシング10dを構成する副収納部12dの開口側端部に装着されたクリップ35aが、軸方向(副収納部12dの開口側)に抜け出る事を防止する為の抜け止め構造48を設けた点にあり、その他の部分の構造は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。本例の場合には、前記副収納部12dの外周面のうちの外径側平坦面部46に、この副収納部12dの開口側に向かう程、前記開口側端部の肉厚が大きくなる方向に傾斜した傾斜面49を形成している。又、前記クリップ35aを構成する外径側腕部43aの基端部乃至中間部に、先端側に向かう程内径側腕部44(図1〜3参照)に近づく方向に傾斜した傾斜部64を形成している。そして、この様な傾斜部64を前記傾斜面49に当接(係合)させる事により、前記抜け止め構造48を構成している。
この様な構成を有する本例の場合には、悪路走行時等に、前記クリップ35aに前記副収納部12dの開口側に向かう方向(図4の上向き)の力が作用した場合にも、このクリップ35aがこの副収納部12dから脱落する事を有効に防止できる。これにより、止め輪29b(図1〜3参照)が縮径して係止溝28b(図1、3参照)から抜け出る事を長期間に亙り安定して防止できる。
その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、上述した実施の形態の第1例、及び、前述した従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
図5は、請求項1〜4、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合にも、上述した実施の形態の第2例の場合と同様に、クリップ35bとケーシング10eを構成する副収納部12eとの間に抜け止め構造48aを設けて、このクリップ35bの脱落を防止している。本例の場合には、前記副収納部12eの開口側端部の外周面のうちの外径側平坦面部46に、断面矩形状の係止凹溝50を形成している。又、前記クリップ35bを構成する外径側腕部43bの先端寄り部分に、内径側腕部44(図1〜3参照)に近づく方向に向けて突出した、断面略V字形の外径側係合突部51を形成している。そして、この様な外径側係合突部51を前記係止凹溝50に係合させる事により、前記抜け止め構造48aを構成している。
この様な構成を有する本例の場合にも、前記第2例の構造の場合と同様、前記クリップ35bが前記副収納部12eから脱落する事を有効に防止できる。
その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、上述した実施の形態の第1〜2例、及び、前述した従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
図6は、請求項1〜4、7に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合にも、上述した実施の形態の第2例及び第3例の場合と同様に、クリップ35cとケーシング10cを構成する副収納部12cとの間に抜け止め構造48bを設けて、このクリップ35cの脱落を防止している。本例の場合には、このクリップ35cを構成する内径側腕部44aの先端部を、外径側腕部43(図1〜3参照)に近づく方向にほぼ直角に折り曲げて、当該部分に内径側係合突部52を形成している。そして、この様な内径側腕部44aの先端部を、止め輪29b(図1〜3参照)の不連続部34に挿入した状態で、前記内径側係合突部52を、前記副収納部12cの内周面に形成された、前記止め輪29bを係止する為の係止溝28bに係合させる事により、前記抜け止め構造48bを構成している。
この様な構成を有する本例の場合にも、前記第2例及び第3例の構造の場合と同様、前記クリップ35cが前記副収納部12cから脱落する事を有効に防止できる。しかも、本例の場合には、前記係止溝28bを利用して、前記クリップ35cの抜け止めを図れる為、前記副収納部12cに、このクリップ35cの抜け止めを図る為の専用の加工を施す必要がない。この為、加工コストを低く抑えられる。尚、本例の抜け止め構造48bは、前記第2例又は第3例の抜け止め構造48、48aと併せて実施する事もできる。
その他の構成及び作用・効果に就いては、上述した実施の形態の第1〜3例、及び、前述した従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第5例]
図7〜10は、請求項1、2、8、9に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例のステアリングギヤユニット5eの特徴は、止め輪29bの不連続部34に、矩形平板状のキー部材53の一部に設けた縮径阻止部36aを挿入する事により、この止め輪29bがそれ以上縮径する事を阻止している点にある。その他の部分の構造及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び従来構造のラックアンドピニオン式のステアリングギヤユニットの場合と基本的には同じである。従って、重複する部分の図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合には、ケーシング10fを構成する副収納部12fの開口寄り部分のうち、円周方向に関してラック軸8側の部分(図7、8の右側部分)に、直径方向に貫通する状態で、断面略矩形状の貫通孔54を形成している。そして、この貫通孔54内に、止め輪29bよりも強度の低いマグネシウムの板材で、略矩形板状の前記キー部材53を圧入し、このキー部材53を前記ケーシング10fに対し固定している。又、この様に固定したキー部材53のうちで、前記貫通孔54から内径側に突出した部分を、前記縮径阻止部36aとして、前記止め輪29bの不連続部34に挿入している。
以上の様な構成を有する本例の場合にも、操舵時にピニオン軸6に加わる力に基づき、この止め輪29bに縮径させようとする力(径方向内向の力)が作用した場合にも、この止め輪29bが縮径する事を確実に阻止できる。これにより、この止め輪29bが軸方向に変位する事を防止できる為、玉軸受16が軸方向に変位する事を有効に防止できる。
又、本例の場合には、形状が単純で小型のキー部材53を利用して、前記止め輪29bが縮径する事を阻止できる為、前記実施の形態の第1〜4例の様なクリップ35〜35cを使用する場合に比べて、材料コストの低減を図れると共に加工コストの低減を図れる。又、前記キー部材53を前記貫通孔54に圧入する事で、前記ケーシング10fに固定している為、前記クリップ35〜35cを使用する場合に比べて、このキー部材53の脱落防止を有効に図れる。尚、キー部材をケーシング10に固定する為に、例えばキー部材のうちで、副収納部の外周面から突出した部分を塑性変形させる(かしめ変形させる)事もできる。
その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第6例]
図11〜14は、請求項1、2、8、10に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例のステアリングギヤユニット5fの特徴は、止め輪29bの不連続部34に、ボルト55の一部に設けた縮径阻止部36bを挿入する事により、この止め輪29bがそれ以上縮径する事を阻止している点にある。その他の部分の構造及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例、第5例、及び、従来構造のラックアンドピニオン式のステアリングギヤユニットの場合と基本的には同じである。従って、重複する部分の図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合には、前記ボルト55として、直方体状の頭部56と、外周面に雄ねじが形成された円柱状の軸部57とを備えたものを使用している。又、ケーシング10gを構成する副収納部12gの開口寄り部分のうち、円周方向に関してラック軸8側の部分(図11、12の右側部分)に、直径方向に貫通する状態で、貫通孔54aを形成している。この貫通孔54aは、外径側半部に形成された円孔部58と、内径側半部に形成された四角孔状の非円孔部59とから成る。又、前記副収納部12gの外周面のうちで、前記貫通孔54a(円孔部58)が開口している部分の周囲には、外径側平坦面部46aを形成している。
そして、本例の場合には、前記ボルト55を前記貫通孔54aに内径側から挿入する事により、前記軸部57を前記円孔部58の内側に配置すると共に、前記頭部56を前記非円孔部59の内側にがたつきなく配置する。又、この状態で、前記軸部57の先端部を、前記副収納部12gの外周面(外径側平坦面部46a)から外部に突出させると共に、前記頭部56の内径側部分を、前記非円孔部59の内側から内径側に突出させている。そして、前記軸部57のうちで、前記副収納部12gの外周面から突出した部分に、ナット60を螺着して、前記ボルト55及びこのナット60を前記副収納部12gに対し固定している。
特に本例の場合には、前記ボルト55を構成する頭部56のうちで、前記非円孔部59から内径側に突出した部分を、前記縮径阻止部36bとして、前記止め輪29bの不連続部34の内側に挿入している。
以上の様な構成を有する本例の場合にも、操舵時にピニオン軸6に加わる力に基づき、前記止め輪29bに縮径させようとする力(径方向内向の力)が作用した場合にも、この止め輪29bが縮径する事を確実に阻止できる。これにより、この止め輪29bが軸方向に変位する事を防止できる為、玉軸受16が軸方向に変位する事を有効に防止できる。
又、本例の場合には、上述の様に、前記副収納部12gに固定されたボルト55の頭部56を、前記縮径阻止部36bとして利用している為、この縮径阻止部36bが、前記止め輪29bの不連続部34から抜け出る事を有効に防止できる。又、ボルト55及びナット60として汎用品を使用する事により、コストの低減を図る事もできる。
その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、前述した実施の形態の第1例、第5例、及び、従来構造の場合と同様である。
[実施の形態の第7例]
図15は、やはり請求項1、2、8、10に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合にも、上述した実施の形態の第6例の場合と同様に、ボルト55aとナット60aとを利用して、止め輪29bが縮径する事を阻止している。本例の場合には、前記ボルト55aとして、六角形状の頭部56aと、外周面に雄ねじが形成された円柱状の軸部57aとを備えたものを使用している。又、ケーシング10hを構成する副収納部12hの開口寄り部分のうち、円周方向に関してラック軸8(図1、7、11等参照)側の部分に、直径方向に貫通する状態で、貫通孔54bを形成している。この貫通孔54bは、外径側半部に形成された円孔部58aと、内径側半部に形成された六角孔状の非円孔部59aとから成る。
そして、本例の場合には、前記非円孔部59aの内側に、前記ナット60aをがたつきなく配置した状態で、前記ボルト55aを前記貫通孔54bに外径側から挿入し、前記軸部57aを前記ナット60aに螺着させる。これにより、前記ボルト55a及びこのナット60aを、前記副収納部12hに固定している。
特に本例の場合には、前記ナット60aのうちで、前記非円孔部59aから内径側に突出した部分を、縮径阻止部36cとして、前記止め輪29bの不連続部34の内側に挿入している。
以上の様な構成を有する本例の場合にも、操舵時にピニオン軸6に加わる力に基づき、前記止め輪29bに縮径させようとする力(径方向内向の力)が作用した場合にも、この止め輪29bが縮径する事を確実に阻止できる。これにより、この止め輪29bが軸方向に変位する事を防止できる為、玉軸受16が軸方向に変位する事を有効に防止できる。
又、本例の場合にも、前記副収納部12hに対して固定されたナット60aを、前記縮径阻止部36cとして利用している為、この縮径阻止部36cが、前記止め輪29bの不連続部34から抜け出る事を有効に防止できる。又、ボルト55a及びナット60aとして汎用品を使用する事により、コストの低減を図る事もできる。
その他の部分の構成及び作用・効果に就いては、上述した実施の形態の第1例、第5例、第6例、及び、従来構造の場合と同様である。
本発明を実施する場合に、止め輪の構造(形状)は、前述した実施の形態の各例で示した様なものに限定されず、例えば図16に示した様な、止め輪を使用する事もできる。このうちの(A)は、JIS B 2804 に規定される、C形穴用偏心止め輪の1例を示している。この(A)の構造の様に、止め輪29cの径方向に関する幅寸法が円周方向に関して一定でない(不連続部34の直径方向反対側での幅寸法が大きい)構造を採用する事もできる。又、(B)は、JIS B 2804 に規定される、C形穴用同心止め輪の1例を示している。この(B)の構造の様に、止め輪29dの径方向に関する幅寸法が円周方向に関して一定であり、この止め輪29dの不連続部34を挟んで対向する部分に、係止腕部を設けない構造を採用する事もできる。更に、(C)に示した構造の様に、ワイヤーを略C字形に曲げ形成して成る止め輪29eを採用する事もできる。
又、本発明を実施する場合に、例えば図17に示した様な、係止溝28cと止め輪29fとの係合構造を採用する事もできる。即ち、止め輪29fのテーパ面31cの傾斜角度αを、係止溝28cの側面30cの傾斜角度βよりも大きくし、このテーパ面31cに対しこの側面30cの開口縁部を当接させる。又、係止溝28cのうちで、前記側面30cと反対側の側面61と、前記止め輪29fとの間に隙間62を設ける。この様な構成を採用すれば、玉軸受16を構成する外輪18から作用するスラスト力に基づき、前記止め輪29fに作用するモーメントを小さくできる。即ち、力点(X)から支点(Y)までの距離(Z)を短くできる為、この止め輪29fに作用するモーメントを小さくできる。従って、この止め輪29fの脱落をより有効に防止できる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 自在継手
4 中間シャフト
5、5a、5b、5c、5d、5e、5f ステアリングギヤユニット
6 ピニオン軸
7 ピニオン歯
8 ラック軸
9 ラック歯
10、10a〜10h ケーシング
11 主収納部
12、12a〜12h 副収納部
13 球面継手
14 タイロッド
15 ラジアルニードル軸受
16 玉軸受
17 内輪
18 外輪
19 内径側段差面
20 止め輪
21 外径側段差面
22、22a 抑えねじ筒
23 シリンダ筒部
24 押圧ローラ
25 摺動ブロック
26 蓋体
27 ばね
28、28a、28b、28c 係止溝
29、29a、29b、29c、29d、29e、29f 止め輪
30、30a、30b、30c 側面
31、31a、31b、31c テーパ面
32 突起
33 環状凹溝
34 不連続部(開口部)35、35a、35b、35c クリップ
36、36a、36b、36c 縮径阻止部
37 玉
38 保持器
39 内輪軌道
40 外輪軌道
41 係止腕部
42 係止孔
43、43a、43b 外径側腕部
44、44a 内径側腕部
45 基部
46、46a 外径側平坦面部
47 内径側平坦面部
48、48a、48b、48c 抜け止め構造
49 傾斜面
50 係止凹溝
51 外径側係合突部
52 内径側係合突部
53 キー部材
54、54a、54b 貫通孔
55、55a ボルト
56、56a 頭部
57 軸部
58、58a 円孔部
59、59a 非円形孔部
60、60a ナット
61 側面
62 隙間
63 押圧ブロック
64 傾斜部

Claims (12)

  1. 両端が開口した筒状の主収納部及びこの主収納部に対し捩れの位置に設けられて一端が開口した筒状の副収納部を有するケーシングと、
    前面にラック歯を有し、このケーシングの主収納部の内側に軸方向の変位を可能に配置されたラック軸と、
    軸方向先半部に形成されたピニオン歯を前記ラック歯に噛合させると共に、軸方向基端部を前記ケーシングの副収納部の開口部を通じて外部に突出させた状態で、この副収納部内に回転自在に支持されたピニオン軸と、
    外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えたもので、前記副収納部の内側に前記ピニオン軸を回転自在に支持する為、このピニオン軸のうちで前記ピニオン歯が形成された部分よりも軸方向基端側部分に前記内輪を外嵌固定すると共に、前記副収納部の内周面に形成された段差面に前記外輪の軸方向片側面を当接させた状態で、この副収納部にこの外輪を内嵌支持した、転がり軸受と、
    前記ピニオン軸の軸方向中間部の周囲に配置され、前記副収納部の内周面の開口寄り部分に形成された係止溝にその外径寄り部分を係止した状態で、内径寄り部分の軸方向片側面を前記転がり軸受を構成する外輪の軸方向他側面に押し付けている、欠円環状の止め輪と、
    前記副収納部に固定された部材の一部に設けられ、前記止め輪の不連続部に挿入されてこの止め輪が縮径するのを阻止する縮径阻止部とを、
    備えた事を特徴とするラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  2. 前記止め輪の不連続部が、この止め輪のうちで前記ラック軸側の部分に位置している、請求項1に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  3. 前記縮径阻止部が、外径側腕部と内径側腕部とを備え、前記ケーシングを構成する副収納部の開口側端部に弾性的に装着されたクリップのうち、この副収納部の内側に配置された前記内径側腕部の先端部により構成されている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  4. 前記クリップと前記副収納部との間に、このクリップがこの副収納部の開口側端部から軸方向に抜け出る事を防止する為の抜け止め構造が設けられている、請求項3に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  5. 前記抜け止め構造が、前記副収納部の開口側端部の外周面に形成された、開口側に向かう程この開口側端部の肉厚が大きくなる方向に傾斜した傾斜面に、前記クリップの外径側腕部に形成された先端側に向かう程内径側腕部に近づく方向に傾斜した傾斜部を当接させる事により構成されている、請求項4に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  6. 前記抜け止め構造が、前記副収納部の開口側端部の外周面に形成された係合凹溝に、前記クリップの外径側腕部に形成された外径側係合突部を係合させる事により構成されている、請求項4に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  7. 前記抜け止め構造が、前記副収納部の内周面に形成された前記係止溝に、前記クリップの内径側腕部の先端部に形成された内径側係合突部を係合させる事により構成されている、請求項4に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  8. 前記縮径阻止部が、前記副収納部に形成された貫通孔に挿入された挿入部材又はこの挿入部材に固定された部材のうち、この貫通孔から内径側に突出した部分により構成されている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  9. 前記挿入部材が、平板状のキー部材であり、このキー部材が、前記貫通孔内に圧入若しくはその一部を塑性変形させる事により、前記ケーシングに対し固定されている、請求項8に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  10. 前記挿入部材が、ボルトであり、前記縮径阻止部が、このボルトの頭部若しくはこのボルトの軸部に螺着したナットである、請求項8に記載したラックアンドピニオン式ステアリングギヤユニット。
  11. 前記挿入部材が、前記止め輪よりも強度の低い材質で構成される、請求項1〜10のうち何れか1項に記載したラックアンドピニオン式ステアリングユニット。
  12. 前記挿入部材が、マグネシウムで構成される、請求項11に記載したラックアンドピニオン式ステアリングユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105584523A (zh) * 2015-12-04 2016-05-18 株洲易力达机电有限公司 一种p-eps用小齿轮轴及其轴承安装结构

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