JP2008307966A - ラックガイド装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルばねの平行度のバラツキを吸収できる構成のラックガイド装置を提供する。
【解決手段】ギヤハウジング11に摺動可能に収納されピニオン軸12に噛合うラック軸15と、ギヤハウジングにラック軸とピニオン軸との噛合い部の背面側に形成された保持穴22と、保持穴に摺動可能に嵌装されラック軸を軸方向に摺動可能に支持するラックガイド23と、ラックガイドとギヤハウジングに固着されたばね受け部材25との間に介挿されたコイルばね26とを備え、ラックガイドとコイルばねとの間、ばね受け部材とコイルばねとの間の少なくとも一方に、コイルばねが着座するリング状の弾性部材30を介在させた
【選択図】図1

Description

本発明は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置に用いるラックガイド装置に関するものである。
ラックアンドピニオン式ステアリング装置においては、例えば、特許文献1に記載されているように、ピニオン軸に噛合うラック軸はラックガイド装置によって摺動可能に支持されている。かかるラックガイド装置は、ギヤハウジングに形成された保持穴に摺動可能に保持されたラックガイドと、保持穴の開口端部に螺着されたばね受け部材と、ラックガイドとばね受け部材との間に介在されたコイルばねとを備えている。上記ラック軸は、ラックガイドにより軸方向に摺動可能にガイドされ、ラックガイドは、コイルばねによりラック軸をピニオン軸側へ押圧する方向に付勢され、ラック歯とピニオン歯との適正な噛合いを確保している。これによって、ラック歯とピニオン歯の噛合い変動を吸収するとともに、ピニオン軸の回転トルク変動を抑制し、適正な操舵トルクが得られるようにするとともに、ラック歯とピニオン歯の衝撃音を抑制するようになっている。
特開2007−50721号公報(段落0017、図1)
上記したラックガイド装置に用いられるコイルばねは、一般に長尺に製造されたコイルばねを所要長さにカットして使用されるが、所要長さにカットされたコイルばねの両端着座面の平行度を高精度に保つことは製作上難しく、大なり小なり平行度にバラツキを生ずるのは避けられない。
コイルばねの両端着座面の平行度の精度が許容範囲を超えると、図4に示すように、コイルばね1の一端に着座されるラックガイド2がギヤハウジング3に形成した保持穴4内で傾くため、ラックガイド2と保持穴4とが片当たりし、ラックガイド2の摺動性が損われ、適正な操舵トルクが得られない恐れがでてくる。
本発明は、上記した従来の問題点を解消するためになされたもので、コイルばねの平行度のバラツキを吸収できる構成のラックガイド装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、ギヤハウジングに摺動可能に収納されピニオン軸に噛合うラック軸と、前記ギヤハウジングに前記ラック軸と前記ピニオン軸との噛合い部の背面側に形成された保持穴と、該保持穴に摺動可能に嵌装され前記ラック軸を軸方向に摺動可能に支持するラックガイドと、該ラックガイドと前記ギヤハウジングに固着されたばね受け部材との間に介挿されたコイルばねとを備えたラックアンドピニオン形舵取装置において、前記ラックガイドと前記コイルばねとの間および前記ばね受け部材と前記コイルばねとの間の少なくとも一方に、前記コイルばねの一端が着座するリング状の弾性部材を介在させたことである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記コイルばねと前記弾性部材との間に、前記コイルばねおよび前記弾性部材よりも大径の略円板状をなし、前記コイルばねが着座するワッシャを介在させたことである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2において、前記ワッシャの略中央に貫通孔を設け、前記ラックガイドおよび前記ばね受け部材の一方に、前記ワッシャの貫通孔に遊嵌されるガイド突起を設けたことである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記弾性部材の厚み方向の一部が、前記ラックガイドおよび前記ばね受け部材の一方に設けた環状凹部に収容されていることである。
請求項1に係る発明によれば、ラックガイドとコイルばねとの間およびばね受け部材とコイルばねとの間の少なくとも一方に、コイルばねの一端が着座するリング状の弾性部材を介在させたので、コイルばねの両端着座面が平行でない場合には、弾性リングの弾性変形作用によってコイルばねの両端着座面の平行度のバラツキが吸収できるようになる。これによって、コイルばねの両端が平行でない場合であっても、ラックガイドはコイルばねによって保持穴の軸線と平行に保持され、ラックガイドが傾くことによる保持穴との片当たりによって、ラックガイドの摺動作用が損なわれることがなくなる。この結果、ラックガイド23のスムーズな摺動により、操舵トルクが適正に保持されて操舵フィーリングを向上できるとともに、異音の発生を抑制できるようになる。
請求項2に係る発明によれば、コイルばねと弾性部材との間に、コイルばねおよび弾性部材よりも大径の略円板状をなし、コイルばねが着座するワッシャを介在させたので、ワッシャによってコイルばねの着座面の傾きを弾性部材に確実に伝達することができる。
請求項3に係る発明によれば、ワッシャの略中央に貫通孔を設け、ラックガイドおよびばね受け部材の一方に、ワッシャの貫通孔に遊嵌されるガイド突起を設けたので、ワッシャとラックガイドあるいはばね受け部材とが半径方向に位置ずれするのを防止することができ、ワッシャによる機能を安定的に維持することができる。
請求項4に係る発明によれば、弾性部材の厚み方向の一部が、ラックガイドおよびばね受け部材の一方に設けた環状凹部に収容されているので、弾性部材が半径方向に位置ずれするのを防止することができ、弾性部材を常に的確に弾性変形させることができる。
以下本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、ラックアンドピニオン式ステアリング装置10は、ギヤハウジング11に軸受17、18を介して回転可能に支持され、図略のステアリングホイールに連結されるピニオン軸12と、ピニオン軸12の先端に設けられたピニオン歯13に噛み合うラック歯14を有し、ギヤハウジング11に摺動可能に収納されたラック軸15とを備えている。
ラック軸15の両端部には、図示してないが、周知のようにボールジョイントを介してタイロッドが連結され、タイロッドはナックルアームを介して操向車輪に連結されている。そして、ステアリングホイールの操作によりピニオン軸12が回転されると、この回転はピニオン歯13およびラック歯14によって、ラック軸15の直線運動に変換され、操向車輪が転舵される。
ステアリング装置10には、ラックガイド装置20が備えられている。ラックガイド装置20は、ラック軸15の軸方向移動を許容しつつ、ラック軸15をピニオン軸12側へ押し付けて、ラック軸15とピニオン軸12の噛合いのがたを詰めるためのものである。
ギヤハウジング11には、ラック軸15のピニオン軸12との噛合い部の背面側に延在された略円筒状の張出部21が形成され、この張出部21にラックガイド装置20が組み込まれている。具体的には、張出部21に保持穴22がラック軸15と直交するピニオン軸12の直径方向に形成され、この保持穴22にラックガイド23がピニオン軸12の直径方向に摺動可能に嵌装されている。ラックガイド23は、円弧状凹面23aを有し、この円弧状凹面23aにラック軸15がシート部材24を介して摺動可能に支持されている。
保持穴22の開口部の内周には雌ねじ部22aが形成され、雌ねじ部22aに螺合する雄ねじ部25aを外周に形成したばね受け部材25が保持穴22の開口部近傍に位置調整可能に螺合されている。ばね受け部材25はラックガイド23の後退位置を規制するもので、ばね受け部材25とラックガイド23との間には、ラックガイド23をラック軸15に向けて押圧するコイルばね26が介挿されている。ばね受け部材25はその組付け時に、ラックガイド23との間に僅かなガイドクリアランスが設けられる位置に位置調整され、その位置でロックナット33によりロックされるようになっている。
ばね受け部材25とラックガイド23との間のガイドクリアランスは、ばね受け部材25の組付け時にばね受け部材25をラック軸15を支持しているラックガイド23に当接する位置まで捩じ込み、しかる後、ばね受け部材25を一定角度だけ緩め方向に戻すことによって形成できる。かかるガイドクリアランスは、ピニオン軸12やラック軸15等の加工公差(噛合い誤差)や組付け誤差を吸収するうえで必要なものであるが、その寸法はピニオン軸12とラック軸15との噛合い反力によってラックガイド23が必要以上に後退しないよう少量に設定される。
図2にも示すように、ばね受け部材25のラックガイド23と対向するばね受け面25bの中心部には、ガイド突起27が突設されている。また、ばね受け部材25のばね受け面25bには、ガイド突起27を取り囲むように断面形状が矩形の環状凹部28がガイド突起27と同心的に凹設されている。環状凹部28には、断面形状が矩形の弾性リング30の一部が収容され、半径方向に位置ずれしないように保持されている。
すなわち、弾性リング30は、環状凹部28の深さより十分に大きな厚み(高さ)を有しており、自由状態においては、その厚みの略半分が環状凹部28に収容されるとともに、厚みの略半分がばね受け部材25のばね受け面25bより突出されるように環状凹部28に装着されるようになっている。かかる弾性リング30は、コイルばね26によって荷重が加えられて弾性変形した際にも、ばね受け部材25のばね受け面25bより埋没しない剛性を有している。
ばね受け部材25のばね受け面25bには、コイルばね26および弾性リング30よりも大径の略円板状をなし、略中心部に前記ガイド突起27に嵌合する貫通孔31a(図2参照)を形成した円板状のワッシャ31が着座され、このワッシャ31によってコイルばね26の一端が受けられるようになっている。上記した弾性リング30によって、請求項における弾性部材を構成している。
上記した実施の形態によれば、ラックガイド23はコイルばね26のばね力によってラック軸15の背面に押付けられているので、運転者のステアリング操舵に基づくピニオン軸12の回転によってラック軸15は、ラック歯14とピニオン歯13との噛合いを確保しつつ、軸方向に摺動可能に案内される。
この際、長尺のコイルばねを所要長さに切断する状況によって、図2に示すように、コイルばね26の両端着座面の平行度が正確に保たれていない場合には、図1に示すように、ワッシャ31がコイルばね26の着座面に倣って傾き、傾いたワッシャ31によって弾性リング30が円周上不均等に押圧されることになるので、コイルばね26の両端着座面の平行度のバラツキが弾性リング30の弾性変形によって吸収される。
これにより、たとえ、コイルばね26の両端が平行でない場合であっても、ラックガイド23はコイルばね26によって保持穴22の軸線と平行に保持され、従来のように傾くことがない。従って、ラックガイド23が傾くことによる保持穴22との片当たりによって、ラックガイド23の摺動作用が損なわれることがなくなり、ラックガイド23のスムーズな摺動により、操舵トルクが適正に保持されて操舵フィーリングを向上できるとともに、異音の発生を抑制できるようになる。
また、上記した実施の形態によれば、コイルばね26と弾性リング30との間に、コイルばね26および弾性リング30よりも大径の略円板状をなし、コイルばね26が着座するワッシャ31を介在させたので、ワッシャ31によってコイルばね26の着座面の傾きを弾性リング30に確実に伝達できるようになる。
しかも、ワッシャ31の略中心部に設けた貫通孔31aを、ばね受け部材25に設けたガイド突起27に遊嵌させたので、ワッシャ31がばね受け部材25に対して半径方向に位置ずれするのを防止することができ、ワッシャ31によってコイルばね26の着座面の傾きを弾性リング30に安定的に伝達できるようになる。また、弾性リング30の一部が、ばね受け部材25に設けた環状凹部28に収容されているので、弾性リング30の半径方向の位置ずれも防止でき、弾性リング30を常に的確に弾性変形させることができる。
図3は本発明の第2の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態と異なる点は、上記したガイド突起27および環状凹部28を、ラックガイド23のばね受け底面23bに形成するとともに、弾性リング30およびワッシャ31をラックガイド23のばね受け底面23b側に配設したことであり、その他の点は第1の実施の形態と同じであるので、同一の構成部品については同一の符号を用い、説明を省略する。
かかる第2の実施の形態においても、第1の実施の形態において述べたと同様に、ラックガイド23のばね受け底面23b側に配設されたワッシャ31がコイルばね26の着座面に倣って傾いて、弾性リング30を押圧するため、コイルばね26の両端着座面の平行度のバラツキが弾性リング30の弾性変形によって吸収される。これにより、ラックガイド23は保持穴22の軸線方向と平行に保持され、ラックガイド23の摺動性が向上される。従って、ラックガイド23のスムーズな摺動によって、操舵トルクが適正に保持されて操舵フィーリングが向上できるとともに、異音の発生を抑制できるようになる。
上記した実施の形態においては、コイルばね26のばね力をワッシャ31を介して弾性リング30に伝え、弾性リング30を弾性変形させるようにしたが、ワッシャ31を省略して、コイルばね26の一端を弾性リング30によって直接受けるようにしてもよい。なお、弾性リング30は、必ずしもエンドレス状のリングである必要はなく、円周上の一部が欠如した略C形のリングであってもよい。
また、上記した実施の形態においては、環状凹部28に嵌装される弾性リング30の断面形状を矩形としたが、弾性リング30の断面形状は円形であってもよく、弾性リング30の形状は、コイルばね26の両端着座面の平行度のバラツキを吸収できるものであれば、どのような形状であってもよい。
斯様に、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得ることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態を示すラックガイド装置の断面図である。 図1のラックガイド装置の分解図である。 本発明の第2の実施の形態を示すラックガイド装置の断面図である。 従来のラックガイド装置を示す図である。
符号の説明
10…ラックアンドピニオン式ステアリング装置、11…ギヤハウジング、12…ピニオン軸、13…ピニオン歯、14…ラック歯、15…ラック軸、20…ラックガイド装置、21…張出部、22…保持穴、22a…雌ねじ部、23…ラックガイド、23b…ばね受け底面、24…第1ねじ部材、24a…雄ねじ部、25…ばね受け部材、25b…ばね受け面、26…コイルばね、27…ガイド突起、28…環状凹部、30…弾性部材(弾性リング)、31…ワッシャ。

Claims (4)

  1. ギヤハウジングに摺動可能に収納されピニオン軸に噛合うラック軸と、前記ギヤハウジングに前記ラック軸と前記ピニオン軸との噛合い部の背面側に形成された保持穴と、該保持穴に摺動可能に嵌装され前記ラック軸を軸方向に摺動可能に支持するラックガイドと、該ラックガイドと前記ギヤハウジングに固着されたばね受け部材との間に介挿されたコイルばねとを備えたラックアンドピニオン形舵取装置において、前記ラックガイドと前記コイルばねとの間および前記ばね受け部材と前記コイルばねとの間の少なくとも一方に、前記コイルばねの一端が着座するリング状の弾性部材を介在させたことを特徴とするラックガイド装置。
  2. 請求項1において、前記コイルばねと前記弾性部材との間に、前記コイルばねおよび前記弾性部材よりも大径の略円板状をなし、前記コイルばねが着座するワッシャを介在させたことを特徴とするラックガイド装置。
  3. 請求項2において、前記ワッシャの略中央に貫通孔を設け、前記ラックガイドおよび前記ばね受け部材の一方に、前記ワッシャの貫通孔に遊嵌されるガイド突起を設けたことを特徴とするラックガイド装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記弾性部材の厚み方向の一部が、前記ラックガイドおよび前記ばね受け部材の一方に設けた環状凹部に収容されていることを特徴とするラックガイド装置。
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