WO2012096336A1 - 鋼板のプレス成形方法 - Google Patents

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Abstract

 深絞り成形の成形後期に張出し部Aを張出し成形するに際して、深絞り成形工程を100℃~250℃の温間で行い、張出し成形工程を50℃未満の冷間で行うことにより、深絞り成形されるカップ状の底部に張出し部Aが張出し成形され、深絞り成形と張出し成形の成形要素を含むプレス成形部品を、高生産性を確保できる10mm/sec以上の速い成形速度でプレス成形できるようにし、プレス成形中の鋼板温度を100℃~350℃とし、張出し成形を行う成形後期の成形速度を、張出し成形を行わない成形前期の成形速度よりも遅くすることにより、張出し部Aでの割れを防止して、プレス成形限界を向上させ、深絞り成形と張出し成形を含むプレス成形部品を、高強度鋼板でプレス成形できるようにした。

Description

鋼板のプレス成形方法
 本発明は、鋼板のプレス成形方法に関する。
 自動車用等のプレス成形部品には様々な形状のものがあり、これらの部品のプレス成形では、深絞り成形(deep drawing)、張出し成形(bulging)、伸びフランジ成形(stretch flanging)、曲げ成形(bending)等の複数の成形要素が組み合わされるのが一般的である。これらの部品のうち、プレス成形が難しい部品として、例えば図8に示すドアインナ(door inner)のように、本体の底部に凸状や凹状の張出し部Aを有するものがある。このような部品では、深絞り成形の成形後期に、張出し部Aが張出し成形される。この種のプレス成形部品としては、ドアインナの他に、ドアアウタ(door outer)、フロントピラー(front pillar)、センターピラー(center pillar)、リヤフロア(rear floor)、サイドシル(side sill)等が挙げられる。なお、深絞り成形は材料をダイ内に流入させて成形するものであり、張出し成形はダイ内の材料を延伸させて成形するものである。
 通常、これらの部品を生産するプレス工場では、生産性を確保するために、10mm/sec以上の速い成形速度でプレス成形を行っており、高生産性を追求する自動車部品のプレス工場では、70mm/sec程度の高速の成形速度でプレス成形を行うことが多い。なお、ここにいう成形速度は、パンチがブランクに接触し、実際に成形が開始されてから終了するまでの平均成形速度である。
 近年、自動車分野では、燃費を向上させて二酸化炭素の排出量を削減するために、プレス成形部品に高強度鋼板(high tensile steel sheet)を使用して、車体を軽量化する取り組みが積極的に進められている。一部のプレス成形部品には、引張強度980MPa級以上の高強度鋼板も使用されるようになっている。
 鋼板は強度が増加するほど延性が低下することはよく知られており、プレス成形性も低下する。このため、より強度の高い鋼板をより広範囲のプレス成形部品に適用できるように、材料面からは、強度・延性バランスの優れた高強度鋼板の開発が進められ、加工技術の面からは、プレス成形限界を向上させるプレス成形方法の開発が進められている。
 これまでに開発された強度・延性バランスの優れた高強度鋼板としては、フェライト相とマルテンサイト相からなるDP(dual phase)鋼板、残留オーステナイト変態誘起塑性を有するTRIP(transformation induced plasticity)型の鋼板等が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。最近では、さらに強度・延性バランスの優れた高強度鋼板として、TRIP型でベイニティックフェライトを母相とするTBF(trip aided bainitic ferrite)鋼板も開発されている(例えば、非特許文献2参照)。
 一方、プレス成形限界を向上させるプレス成形方法としては、パンチ部の鋼板温度を常温以下、しわ押さえ部の鋼板温度を150℃以上としてプレス成形する方法(例えば、特許文献1参照)や、TRIP型の鋼板を対象として、ダイ肩部の金型温度を150℃~200℃、パンチ肩部の金型温度を-30℃~0℃としてプレス成形する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。特許文献1、2に記載されたものは、いずれも深絞り成形を行って、しわ押さえ部やダイ肩部での部分的な温間成形による深絞り成形限界の向上効果を確認している。
 また、TBF鋼板を用いてプレス成形性(張出し性、深絞り性、伸びフランジ性)に及ぼす成形温度の影響を調査する各試験を行い、張出し性、深絞り性および伸びフランジ性が、冷間よりも向上する温間温度領域があることを見出した試験結果も報告されている(例えば、非特許文献3参照)。非特許文献3に記載されたものは、張出し性試験と伸びフランジ性試験を、実際のプレス工場における成形速度(70mm/sec程度)よりもかなり遅い1mm/min(0.017mm/sec)の成形速度で行っている。深絞り性試験は、200mm/min(3.3mm/sec)の成形速度で行っている。
特開2001-246427号公報 特開2007-111765号公報
小宮幸久著、「自動車用鉄鋼材料の現状と動向」、R&D 神戸製鋼技報、Vol.52、No.3(2002年12月)、p.2~5 粕谷康二、向井陽一著、「TRIP型ベイニティックフェライト鋼板の機械的性質に及ぼす合金元素および焼鈍条件の影響」、R&D 神戸製鋼技報、Vol.57、No.2(2007年8月)、p.27~30 杉本公一 他著、「超高強度低合金TRIP型ベイニティックフェライト鋼板の温間成形性」、鉄と鋼、Vol.91、No.2(2005年2月)、p.34~40
 上述した深絞り成形と張出し成形の成形要素を含むプレス成形部品は、張出し成形される張出し部に割れが発生することが多く、プレス成形性の向上が望まれている。この張出し部での割れは、鋼板の強度が高くなるほど発生しやすくなり、プレス成形部品の高強度化を阻害する要因ともなっている。
 また、図8に示したドアインナ等の部品のように、本体の底部に張出し部を有し、深絞り成形の成形後期に張出し成形が行われるプレス成形部品は、高強度鋼板を用いたプレス成形が困難であり、使用鋼板の高強度化があまり進んでいないのが実態である。
 このような深絞り成形と張出し成形の成形要素を含むプレス成形部品のプレス成形性を向上させるためには、また、このようなプレス成形部品に使用する鋼板の高強度化を推進するためにも、特許文献1、2および非特許文献3に記載されたような温間成形法を採用することが考えられるが、高生産性を確保できる10mm/sec以上の速い成形速度で、このような部品を温間成形した例は報告されていない。本発明者らは、後の表7(a)、(b)に比較例として示すように、このようなプレス成形部品は、強度・延性バランスの優れた高強度鋼板を使用しても、高速の成形速度(70mm/sec)では温間成形できないことを確認している。
 そこで、本発明の第1の課題は、深絞り成形と張出し成形の成形要素を含むプレス成形部品を、高生産性を確保できる10mm/sec以上の速い成形速度でプレス成形できるようにすることである。
 また、本発明の第2の課題は、生産性の低下を抑制して、深絞り成形と張出し成形を含むプレス成形部品を、高強度鋼板でプレス成形できるようにすることである。
 上記第1の課題を解決するために、本発明の第1の態様は、少なくとも1回の深絞り成形工程と少なくとも1回の張出し成形工程を有し、各成形工程でのプレス成形速度を10mm/sec以上とした鋼板のプレス成形方法において、前記少なくとも1回の深絞り成形工程を100℃~250℃の温間で行い、前記少なくとも1回の張出し成形工程を50℃未満の冷間で行う方法を採用した。
 また、上記第2の課題を解決するために、本発明の第2の態様は、深絞り成形の成形後期に張出し成形を行う鋼板のプレス成形方法において、前記鋼板のプレス成形中の温度を100℃~350℃とし、前記張出し成形を行う成形後期の成形速度を、張出し成形を行わない成形前期の成形速度よりも遅くした方法を採用した。
 本発明者らは、鋼板の温度と成形速度を変化させ、円筒パンチとダイを用いて深絞り性試験と張出し性試験を行った。供試ブランクは板厚1.4mmの980MPa級TBF鋼板とし、張出し性試験ではブランク径を大きくするとともに、しわ押さえ力を大きくして、材料がダイ内に流入しないようにした。試験条件は以下の通りである。
(試験条件)
・パンチ径:50mm(肩半径:5mm)
・ダイ径:54mm(肩半径:7mm)
・ブランク径:105mm(深絞り性試験)、150mm(張出し性試験)
・しわ押さえ力:12tonf(深絞り性試験)、20tonf(張出し性試験)
・鋼板温度:20℃~350℃
・成形速度:0.1mm/sec、5mm/sec、10mm/sec、70mm/sec
 図9(a)、(b)は、それぞれ上記深絞り性試験と張出し性試験の結果を示す。これらの試験結果より、深絞り性試験では、成形速度の影響は殆ど認められず、100℃~250℃の温間領域で成形限界高さが室温の冷間よりも向上している。一方、張出し性試験については、低速の0.1mm/secの成形速度では、鋼板温度を高くしても成形限界高さはあまり低下せず、250℃を超える温度領域では成形限界高さが向上しているのに対して、高速の70mm/secの成形速度では、試験温度の上昇とともに成形限界高さが低下している。
 図10は、上記張出し性試験における成形限界高さを、成形速度に対してプロットしたグラフである。このグラフから分かるように、350℃の温間で張出し成形したものは、成形速度の増大に伴って成形限界高さが低下するのに対して、冷間で張出し成形したものは成形速度が増大しても成形限界高さがあまり低下せず、10mm/sec以上の成形速度では、冷間で張出し成形したものもの方が温間で張出し成形したものよりも成形限界高さが高くなっている。
 このような試験で得られた知見に基づいて、本発明の第1の態様においては、少なくとも1回の深絞り成形工程を100℃~250℃の温間で行い、少なくとも1回の張出し成形工程を50℃未満の冷間で行うことにより、深絞り成形と張出し成形の成形要素を含むプレス成形部品を、高生産性を確保できる10mm/sec以上の速い成形速度でプレス成形できるようにした。なお、ここに定義する深絞り成形工程とは、その工程における成形要素の過半を深絞り成形が占めるものであり、張出し成形工程とは、その工程における成形要素の過半を張出し成形が占めるものである。
 前記鋼板を、組織中に残留オーステナイトを3体積%以上含むものとすることにより、強度・延性バランスの優れたものとして、張出し成形限界をより向上させることができる。
 前記残留オーステナイトを3体積%以上含む鋼板を、ベイニティックフェライトを母相とする鋼板とすることにより、さらに強度・延性バランスの優れたものとして、張出し成形限界をさらに向上させることができ、プレス成形部品の高強度化を推進できるとともに、プレス成形部品への適用範囲を拡大することができる。
 前記残留オーステナイトを3体積%以上含む鋼板に対しては、前記冷間の張出し成形工程を、前記温間の深絞り成形工程よりも後で行うことにより、冷間の張出し成形工程における成形限界をより向上させることができる。
 本発明者らは、残留オーステナイト量が3体積%以上の980MPa級TBF鋼板を用いて、温間(100℃、200℃)で引張の予ひずみを付与したのち冷間で引っ張る引張試験を行い、予ひずみなしで冷間または温間(100℃、200℃)で引っ張った引張試験の結果と全伸びを比較した。引張試験片は、板厚1.4mmのJIS13号B試験片とし、引張速度は高速の17mm/secとした。
 図11は、上記引張試験の結果を示す。これらの試験結果より、温間で引張の予ひずみを付与したものは、いずれも予ひずみを加えた全伸びが予ひずみなしの冷間引張試験よりも大幅に向上している。なお、予ひずみなしの温間引張試験における全伸びは、冷間引張試験よりも低くなっている。温間で引張の予ひずみを付与することにより全伸びが向上した理由は、100℃または200℃の温間で予ひずみを付与したときに、母相の変形のみで伸びを稼ぎ、後の冷間引張時に、温存した残留オーステナイトの塑性誘起変態を活用して高延性を実現できたためと考えられる。すなわち、予ひずみなしの冷間引張試験に対する全伸びの向上代は、温間での引張予ひずみ時に得られた母相の伸び変形分に相当する。このような試験結果より、残留オーステナイト量が3体積%以上の鋼板については、冷間の張出し成形工程を、温間の深絞り成形工程よりも後で行うことにより、冷間の張出し成形工程における成形限界をより向上させることが期待できる。
 前記温間の深絞り成形工程と前記冷間の張出し成形工程とを、同一のプレスストローク内で行うことにより、プレスストローク数を少なくすることができる。
 また、前記試験で得られた知見に基づいて、本発明の第2の態様においては、鋼板のプレス成形中の温度を100℃~350℃とし、このような温度領域で成形速度の増大に伴って成形限界高さが著しく低下する張出し成形を行う成形後期の成形速度のみを、深絞り成形のみで、成形速度の影響を受けない成形前期の成形速度よりも遅くすることにより、生産性の低下を抑制して、深絞り成形と張出し成形を含むプレス成形部品を、高強度鋼板でプレス成形できるようにした。
 前記成形後期の成形速度は10mm/sec以下とするのが好ましく、前記成形前期の成形速度を10mm/sec以上とするのが好ましい。この成形速度の限界値は図10の試験結果に基づくものであり、張出し成形限界を冷間よりも向上させることができる。
 前記鋼板を、引張強度が980MPa以上、好ましくは組織中に残留オーステナイトを3体積%以上含むものとすることにより、強度・延性バランスの優れたものとして、張出し成形限界をより向上させることができる。
 前記残留オーステナイトを3体積%以上含む鋼板を、ベイニティックフェライトを母相とするものとすることにより、さらに強度・延性バランスの優れたものとして、張出し成形限界をさらに向上させ、プレス成形部品の高強度化を推進できるとともに、プレス成形部品への適用範囲を拡大することができる。
 本発明に係る鋼板のプレス成形方法の第1の態様は、少なくとも1回の深絞り成形工程を100℃~250℃の温間で行い、少なくとも1回の張出し成形工程を50℃未満の冷間で行うようにした。このため、深絞り成形と張出し成形の成形要素を含むプレス成形部品を、高生産性を確保できる10mm/sec以上の速い成形速度でプレス成形することができる。
 本発明に係る鋼板のプレス成形方法の第2の態様は、鋼板のプレス成形中の温度を100℃~350℃とし、張出し成形を行う成形後期の成形速度を、張出し成形を行わない成形前期の成形速度よりも遅くした。このため、生産性の低下を抑制して、深絞り成形と張出し成形を含むプレス成形部品を、高強度鋼板でプレス成形することができ、プレス成形部品の高強度化を推進できるとともに、プレス成形部品への適用範囲を拡大することができる。
本発明に係る鋼板のプレス成形方法を実施したプレス金型を示す縦断面図である。 第1の実施形態のプレス成形方法におけるプレス成形工程を示す概念断面図である。 図1のプレス成形工程で成形されたプレス成形品を示す縦断面図である。 図1のプレス成形工程の各工程での成形を成形限界まで行ったときの合計成形高さと初期残留オーステナイト量との関係を示すグラフである。 第2の実施形態のプレス成形方法におけるプレス成形工程を示す概念断面図である。 第3の実施形態のプレス成形方法におけるプレス成形工程を示す概念断面図である。 (a)、(b)、(c)は、第4の実施形態のプレス成形方法におけるプレス成形工程を示す断面図ある。 深絞り成形と張出し成形を含むプレス成形部品の例を示す外観斜視図である。 (a)、(b)は、それぞれ深絞り性試験と張出し性試験の結果を示すグラフである。 図6(b)の張出し性試験における成形速度と成形限界高さとの関係を示すグラフである。 温間で予ひずみを付与した引張試験の結果を示すグラフである。
 以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る鋼板のプレス成形方法を実施したプレス金型を示す。このプレス金型は、頭部に円形凹部1aが形成された上向きの円筒パンチ1と、円筒パンチ1が進入する下向きのダイ2と、ブランクBのフランジ部をダイ2に押圧するしわ押さえ板3と、円筒パンチ1の凹部1aに向けられた下向きの球頭パンチ4とからなる。なお、円筒パンチ1は、直径50mmで肩半径と凹部1aの肩半径を5mmとし、ダイ2は、直径54mmで、肩半径を7mmとし、球頭パンチ4は直径10mmとした。
 図2は、第1の実施形態のプレス成形方法を実施したプレス成形工程を示す。このプレス成形工程は、温間で深絞り成形を行う第1工程と、冷間で張出し成形を行う第2工程とからなる。前記第1工程では、円筒パンチ1、ダイ2およびしわ押さえ板3を所定の温度に昇温するとともに、これらのプレス金型に接触させたブランクBの温度も上昇させたのち、円筒パンチ1をダイ2に進入させて深絞り成形を温間で行う。ブランクBは予め炉等を用いて所定の温度に昇温してもよい。第2工程では、円筒パンチ1、ダイ2、しわ押さえ板3および深絞り成形されたカップ状の半成形品を室温まで冷却したのち、予め室温とされている球頭パンチ4を円筒パンチ1の円形凹部1aの中に進入させ、カップ状の半成形品の底部に凹状の張出し成形を冷間で行う。
 図3は、このように成形された鋼板のプレス成形品を示す。このプレス成形品は、深絞り成形された本体の底部に、凹状の張出し部Aが張出し成形されている。プレス成形品の寸法は、内径Dが50mm、深絞り成形高さHdが30mm、張出し成形高さHsが可変とされている。
 TBF鋼板とDP鋼板を2種類ずつ、合計4種類の鋼板を用意した。これらの鋼板の化学成分を表1に、機械的特性とミクロ組織構成を表2に示す。機械的特性はJIS13号B試験片を用いた引張試験により求め、ミクロ組織中の残留オーステナイト量はX線回折法により測定した。各鋼板はいずれも板厚が1.4mmの980MPa級高強度冷延鋼板である。各TBF鋼板1、2は、全伸びと均一伸びが各DP鋼板1、2よりも上回り、強度-延性バランスがより優れている。また、残留オーステナイト量は、TBF鋼板1、TBF鋼板2、DP鋼板1、DP鋼板2の順に多くなっており、DP鋼板2を除いていずれも3体積%以上となっている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 まず、TBF鋼板1とDP鋼板1から供試した各ブランクを、図2に示したプレス成形工程によって、図3に示したプレス成形品に成形した。各ブランクの直径は103mmとした。第1および第2工程での成形速度はいずれも70mm/secとした。また、TBF鋼板1については、第1工程での深絞り成形高さHd=30mm、第2工程での張出し成形高さHs=8mmとし、DP鋼板1については、深絞り成形高さHd=28mm、張出し成形高さHs=7mmとした。実施例として、第1工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を100~250℃の範囲で変化させ、第2工程での鋼板温度をダイとの接触部で40℃、パンチとの接触部で25℃としたプレス成形(実施例A~C)を行った。また、比較例として、第1および第2工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度をいずれも25℃とした全て冷間でのプレス成形(比較例A)と、第1工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を200℃、第2工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を350℃とした全て温間でのプレス成形(比較例B)も行った。なお、しわ押さえ板3のダイ2に対する押圧力は、第1工程において12tonf、第2工程において20tonfとした。
 表3(a)、(b)は、それぞれTBF鋼板1とDP鋼板1について、実施例と比較例のプレス成形結果を示す。いずれの鋼板の場合も、各実施例A~Cのものは、良好なプレス成形結果が得られている。これに対して、比較例Aのものは、第1工程で割れが発生し、第2工程を実施することができなかった。また、比較例Bのものは、第1工程は成形できたが、第2工程で割れが発生した。なお、これらの成形不可となった比較例Aにおける深絞り成形高さHdと、比較例Bにおける張出し成形高さHsは、いずれも強度・延性バランスの優れたTBF鋼板の方がDP鋼板よりも高くなっている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 つぎに、TBF鋼板1、2およびDP鋼板1、2から供試した直径103mmの各ブランクを用いて、前記第1工程の深絞り成形での鋼板温度を200℃、第2工程の張出し成形での鋼板温度を25℃として、各工程での深絞り成形高さHdと張出し成形高さHsを、成形限界まで成形するプレス成形を行った。なお、第2工程での張出し成形高さHsは最大8mmとした。しわ押さえ板3のダイ2に対する押圧力は、第1工程において12tonf、第2工程において20tonfとした。
 このプレス成形結果を表4に示す。表4には、第1工程での最大成形荷重と、第1工程後の残留オーステナイト量も併記した。初期の残留オーステナイト量が最も多いTBF鋼板1は、第1工程で深絞り成形限界を超えて絞り抜けするとともに、第2工程での張出し成形高さHsも最大の8mmとなった。つぎに残留オーステナイト量が多いTBF鋼板2は、第1工程での深絞り成形高さHdが30mmとなり、第2工程での張出し成形高さHsは最大の8mmに達している。これに対して、各DP鋼板1、2の深絞り成形高さHdはTBF鋼板2よりも低く、張出し成形高さHsも最大の8mmに達していない。また、第1工程での最大成形荷重は、初期残留オーステナイト量の多い順に低くなっており、TBF鋼板1が最も低い。第1工程後の残留オーステナイト量も、初期残留オーステナイト量の多い順に多くなっている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 図4は、表4に示した第1工程での深絞り成形高さHdと第2工程での張出し成形高さHsの合計成形高さHd+Hsを、初期残留オーステナイト量に対してプロットしたグラフである。グラフ中に示した基準成形高さは、590MPa級高強度鋼板(全伸び25%)を第1および第2工程とも冷間でプレス成形したときの合計成形高さHd+Hs(26+8=34mm)である。このグラフより、第1および第2工程の合計成形高さHd+Hsは、初期残留オーステナイト量が多くなるほど高くなり、初期残留オーステナイト量が3体積%以上になると、強度のはるかに低い590MPa級高強度鋼板を冷間でプレス成形する場合よりも、成形限界が向上することが分かる。
 図5は、第2の実施形態のプレス成形方法を実施したプレス成形工程を示す。このプレス成形工程は、冷間で張出し成形を行う第1工程と、温間で深絞り成形を行う第2工程とからなる。プレス機械とプレス金型は、第1の実施形態と同じものを用いた。この実施形態は、第1工程では、円筒パンチ1、ダイ2、しわ押さえ板3および球頭パンチ4を室温として、ダイ2としわ押さえ板3で挟持したブランクBの中央部で、円筒パンチ1の円形凹部1aの中に球頭パンチ4を進入させて、張出し成形を行う。第2工程では、円筒パンチ1、ダイ2、しわ押さえ板3および球頭パンチ4を所定の温度に昇温するとともに、これらのプレス金型に接触させたブランクBの温度も上昇させたのち、円筒パンチ1をダイ2に進入させて深絞り成形を行う。
 表1および表2に示したTBF鋼板1とDP鋼板1から供試した各ブランクを、図5に示したプレス成形工程によって、図3に示したプレス成形品に成形した。各ブランクの直径は103mmとし、各工程での成形速度は70mm/secとした。また、TBF鋼板1については、第1工程での張出し成形高さHs=8mm、第2工程での深絞り成形高さHd=30mmとし、DP鋼板1については、張出し成形高さHs=7mm、深絞り成形高さHd=28mmとした。実施例として、第1工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を25℃とし、第2工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を100℃~250℃の範囲で変化させたプレス成形(実施例D~F)を行った。また、比較例として、第1および第2工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度をいずれも25℃とした全て冷間でのプレス成形(比較例C)と、第1工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を350℃、第2工程でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を200℃とした全て温間でのプレス成形(比較例D)も行った。いずれの場合も、しわ押さえ板3のダイ2に対する押圧力は、第1工程において12tonf、第2工程において20tonfとした。
 表5(a)、(b)は、それぞれの鋼板について、実施例と比較例のプレス成形結果を示す。TBF鋼板1およびDP鋼板1のいずれの場合も、各実施例D~Fのものは、良好なプレス成形結果が得られている。これに対して、比較例Cのものは、第1工程は成形できたが、第2工程で割れが発生した。また、比較例Dのものは、第1工程で割れが発生し、第2工程を実施することができなかった。なお、これらの成形不可となった比較例Cにおける深絞り成形高さHdと、比較例Dにおける張出し成形高さHsは、いずれも強度・延性バランスの優れたTBF鋼板1の方がDP鋼板1よりも高くなっている。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 以上の実施例1および実施例2でのプレス成形結果より、深絞り成形工程を100℃~250℃の温間で行い、張出し成形工程を50℃未満の冷間で行う本発明に係るプレス成形方法は、高強度鋼板を用いても、高生産性を確保できる高速の成形速度で良好なプレス成形結果を得ることができ、プレス成形部品の高強度化を推進できるとともに、プレス成形部品への高強度鋼板の適用範囲を拡大することもできる。
 前記TBF鋼板1のプレス成形結果を示す表3(a)および表5(a)には、温間の深絞り成形でのダイとパンチとの各接触部の鋼板温度を200℃とした実施例Aと実施例Dについて、プレス成形品の張出し部A中央での板厚減少率を測定した結果を併記した。冷間の張出し成形工程を温間の深絞り成形工程の後に行った実施例Aは、冷間の張出し成形工程を温間の深絞り成形工程の前に行った実施例Dよりも、張出し部Aの板厚減少率が5%程度小さくなっており、より成形限界を高めることが期待できる。この板厚減少率の測定結果は、図11に示した引張試験の結果とよく対応しており、実施例Aでは、第1工程の深絞り成形では母相の変形のみで伸びを稼ぎ、第2工程の張出し成形で、温存した残留オーステナイトの塑性誘起変態を活用して高延性を実現できたものと考えられる。
 図6は、第3の実施形態のプレス成形方法を実施したプレス成形工程を示す。このプレス成形工程は、温間で深絞り成形を行う第1工程と、冷間で張出し成形を行う第2工程とを同一のプレスストローク内で行うようになっている。プレス機械とプレス金型は、第1の実施形態と同じものを用いた。ただし、張出し成形を行う球頭パンチ4は、冷媒を噴出する冷媒噴出口4aを頂部に設けたものとした。冷媒としては、空気、水、油等を用いることができる。
 この実施形態では、円筒パンチ1、ダイ2およびしわ押さえ板3を昇温するとともに、これらのプレス金型に接触させたブランクBの温度も上昇させたのち、第1工程となるプレスストロークの前期に、円筒パンチ1をダイ2に進入させて深絞り成形を100~250℃の範囲の温間で行い、第2工程となるプレスストロークの後期に、球頭パンチ4の噴出口4aから冷媒を噴射して、深絞り成形されたカップ状の半成形品の底部を冷却し、この底部に凹状の張出し成形を50℃未満の冷間で行う。なお、カップ状の半成形品の底部を冷却する冷媒は、円筒パンチ1側から噴射するようにしてもよい。
 さらに、図7は、前記プレス金型を用いてブランクBをプレス成形する過程を示す。まず、図7(a)に示すように、円筒パンチ1がダイ2に進入すると、ブランクBのフランジ部の材料がダイ2内に流入して、深絞り成形が開始される。この深絞り成形高さは成形の進行に伴って増大し、図7(b)に示すように、円筒パンチ1頭部にある材料に球頭パンチ4が当接される。さらに成形が進行すると、図7(c)に示すように、深絞り成形高さがさらに増大するとともに、円筒パンチ1頭部にある材料が、球頭パンチ4によって円筒パンチ1の円形凹部1aの中へ張出し成形される。
 表1および表2に示したTBF鋼板2、DP鋼板1およびDP鋼板2の合計3種類の鋼板から供試した各ブランクを、図1に示したプレス金型にセットし、図3に示したプレス成形品を成形した。各ブランクの直径は103mmとした。また、張り出し成形高さHsは8mmとした。これらのプレス成形に際しては、プレス成形中の鋼板温度θを室温~350℃の範囲で変化させた。プレス成形中の鋼板温度θは、所定の温度に昇温したプレス金型にブランクを所定時間接触させることにより確保した。ブランクを予め炉等を用いて所定の温度に昇温してもよい。また、深絞り成形のみが行われる成形前期(S=0~22mm)における成形速度V1は、実際のプレス工場における成形速度を想定して高速の70mm/secとし、成形後期(S=22~30mm)における成形速度V2を0.1~70mm/secの範囲で変化させた。なお、一部のものでは、成形前期の成形速度V1も変化させた。しわ押さえ板3のダイ2に対する押圧力は、図7(a)から図7(b)までは12tonf、図7(b)から図7(c)までは20tonfとした。
 表6(a)、(b)、(c)は、それぞれTBF鋼板2と各DP鋼板1、2について、鋼板温度θを200℃としたときのプレス成形結果を示す。残留オーステナイト量が3体積%のDP鋼板1では、成形後期の成形速度V2を2.5mm/sec以下としたときに成形が可能となり、残留オーステナイト量が2体積%のDP鋼板2では、成形後期の成形速度V2を極端に遅い0.1mm/secとしたときのみに成形が可能となっている。これに対して、残留オーステナイト量が8体積%で、強度-延性バランスがより優れたTBF鋼板2では、成形後期の成形速度V2を10mm/sec以下としたときに成形が可能となっている。なお、成形速度V2をこれらの限界速度よりも速くしたものでは、いずれも前記張出し部Aに割れが発生し、成形不可となっている。したがって、残留オーステナイト量が3体積%以上のものは、生産性をそれほど低下させない成形速度で、成形後期の張出し成形を可能とすることが期待できる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 表7(a)、(b)は、それぞれTBF鋼板2とDP鋼板1について、鋼板温度θを変化させたときのプレス成形結果を示す。成形前期の成形速度V1と成形後期の成形速度V2の組み合わせを、TBF鋼板2については、V1=70mm/sec、V2=10mm/secとし、DP鋼板1については、V1=70mm/sec、V2=2.5mm/secとした。比較例として、V1=V2=70mm/secとし、全成形期間を高速としたプレス成形結果も示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 これらのプレス成形結果によれば、TBF鋼板2およびDP鋼板1のいずれについても、鋼板温度θを100℃~350℃の範囲とし、成形速度V2をそれぞれ2.5mm/sec、10mm/secと遅くした実施例のものは、いずれも成形が可能となっている。また、全成形期間を高速(70mm/sec)とした比較例のものは、鋼板温度θを100℃~350℃の範囲としても、張出し部Aに割れが発生し、成形不可となっている。
 以上のプレス成形結果より、プレス成形中の鋼板温度を100℃~350℃とし、張出し成形を行う成形後期の成形速度を、張出し成形を行わない成形前期の成形速度よりも遅くする本発明に係る鋼板のプレス成形は、深絞り成形と張出し成形を含む成形が困難なプレス成形部品の成形限界を顕著に高めることができ、プレス成形部品の高強度化を推進できるとともに、プレス成形部品への高強度鋼板の適用範囲を拡大することができる。
 表8(a)、(b)は、それぞれTBF鋼板2とDP鋼板1について、プレス成形時のフランジ部の鋼板温度θ1と張出し部Aの鋼板温度θ2とを別々に変化させて、プレス成形の可否と張出し部Aでの板厚減少率を調査した結果を示す。前記成形前期の成形速度V1と成形後期の成形速度V2の組み合わせを、TBF鋼板2については、V1=70mm/sec、V2=10mm/sec、DP鋼板1については、V1=70mm/sec、V2=2.5mm/secとした。フランジ部の鋼板温度θ1と張出し部Aの鋼板温度θ2の組み合わせは、鋼板温度θ1を200℃一定とし、鋼板温度θ2を100~400℃の範囲で変化させた系列のものと、鋼板温度θ2を350℃一定とし、鋼板温度θ1を100~400℃の範囲で変化させた系列のものとした。比較例として、両方の鋼板温度θ1、θ2を室温とした調査結果も示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 表8(a)、(b)に示した調査結果より、鋼板温度θ1、θ2を100℃~350℃の範囲で組み合わせた実施例のものは、TBF鋼板2とDP鋼板1のいずれについても成形が可能であり、張出し部Aの板厚減少率は、強度・延性バランスの優れたTBF鋼板2の方がDP鋼板1よりも少なくなっている。特に、フランジ部の鋼板温度θ1を200℃、張出し部Aの鋼板温度θ2を350℃としたものは、板厚減少率がTBF鋼板では12%、DP鋼板1では14%と最も少なく、より困難なプレス成形部品の成形限界を向上できる最適な温度条件として期待することができる。なお、鋼板温度θ1、θ2のいずれかを400℃とした比較例のものが成形不可となったのは、400℃では残留オーステナイトが分解されることにより、TRIP効果の発現が抑制され、延性が低下したためと思われる。
 上述した各実施形態では、深絞り成形工程と張出し成形工程がそれぞれ1回ずつのものとしたが、本発明に係るプレス成形方法は、これらのいずれかの工程が2回以上あるものや、伸びフランジ工程、曲げ工程、打ち抜き工程等の他の工程が含まれるものにも採用することができる。なお、打ち抜き工程が含まれるものでは、打ち抜き工程を温間の深絞り成形工程と同時に行うことにより、打ち抜き荷重の低減も期待することができる。
 また、上述した実施例では、鋼板を980MPa級のTBF鋼板およびDP鋼板としたが、本発明に係る鋼板のプレス成形方法は、このような980MPa級のDP鋼板やTBF鋼板に限定されることはなく、軟鋼板を含む任意の鋼種の任意の強度クラスの鋼板に適用することができる。
 また、上述した実施例では、深絞り成形のみを行う成形前期と、張出し成形を行う成形後期とを同一のプレス成形工程で行うようにしたが、これらの成形前期と成形後期を別のプレス成形工程に分けて行うこともできる。
 A…張出し部
 B…ブランク
 1…円筒パンチ
 1a…凹部
 2…ダイ
 3…しわ押さえ板
 4…球頭パンチ
 4a…冷媒噴出口

Claims (11)

  1.  少なくとも1回の深絞り成形工程と少なくとも1回の張出し成形工程とを含み、各成形工程での成形速度を10mm/sec以上とした鋼板のプレス成形方法において、前記少なくとも1回の深絞り成形工程を100℃~250℃の温間で行い、前記少なくとも1回の張出し成形工程を50℃未満の冷間で行うことを特徴とする鋼板のプレス成形方法。
  2.  前記鋼板を、組織中に残留オーステナイトを3体積%以上含むものとした請求項1に記載の鋼板のプレス成形方法。
  3.  前記残留オーステナイトを3体積%以上含む鋼板を、ベイニティックフェライトを母相とする鋼板とした請求項2に記載の鋼板のプレス成形方法。
  4.  前記冷間の張出し成形工程を、前記温間の深絞り成形工程よりも後で行うようにした請求項1~3のいずれかに記載の鋼板のプレス成形方法。
  5.  前記温間の深絞り成形工程と前記冷間の張出し成形工程とを、同一のプレスストローク内で行うようにした請求項1~3のいずれかに記載の鋼板のプレス成形方法。
  6.  深絞り成形の成形後期に張出し成形を行う鋼板のプレス成形方法において、前記鋼板のプレス成形中の温度を100℃~350℃とし、前記張出し成形を行う成形後期の成形速度を、張出し成形を行わない成形前期の成形速度よりも遅くしたことを特徴とする鋼板のプレス成形方法。
  7.  前記成形後期の成形速度を10mm/sec以下とした請求項6に記載の鋼板のプレス成形方法。
  8.  前記成形前期の成形速度を10mm/sec以上とした請求項6に記載の鋼板のプレス成形方法。
  9.  前記鋼板の引張強度が980MPa以上である請求項6~8のいずれかに記載の鋼板のプレス成形方法。
  10.  前記鋼板を、組織中に残留オーステナイトを3体積%以上含むものとした請求項9に記載の鋼板のプレス成形方法。
  11.  前記残留オーステナイトを3体積%以上含む鋼板を、ベイニティックフェライトを母相とするものとした請求項10に記載の鋼板のプレス成形方法。
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