WO2011068243A1

WO2011068243A1 - 非水電解液二次電池電極用組成物、電極および電池

Info

Publication number: WO2011068243A1
Application number: PCT/JP2010/071950
Authority: WO
Inventors: 一隆楠
Original assignee: 住友化学株式会社
Priority date: 2009-12-02
Filing date: 2010-12-01
Publication date: 2011-06-09
Also published as: TW201136008A; JP2011138760A

Abstract

　従来の非水電解液二次電池電極用組成物は、乾燥工程において、高温で急激に乾燥させると電極内のバインダー樹脂が電極表面に浮き上がり、電極の剥離やひび割れが生じるため、低温から段階的に温度を上げて乾燥させる必要があり、また、連続的に電極を製造する場合は、限られた乾燥ゾーン内で乾燥を完結する必要があるため、製造ラインのライン速度も１０ｍ／ｍｉｎ程度であり、乾燥工程に長時間を要するという問題があった。　本発明の「電極活物質、バインダー樹脂、液状物質および該液状物質中でカチオン性を示す高分子を含有する非水電解液二次電池電極用組成物」を用いると、乾燥工程の時間を短縮することができ、高温での急激な乾燥でも、バインダー樹脂の電極表面への浮き上がりが抑制でき、且つ、製造ライン速度も大幅に増加させることが可能となり、電極の生産性を向上させることができる。

Description

非水電解液二次電池電極用組成物、電極および電池

　本発明は、非水電解液二次電池電極用組成物、電極および電池に関する。

　特開昭６２−９０８６３号公報には、電極活物質、バインダー樹脂および液状物質からなる非水電解液二次電池負極用組成物や、電極活物質、バインダー樹脂、導電性カーボンおよび液状物質からなる非水電解液二次電池正極用組成物が開示されている。

　本発明は、
［１］電極活物質、バインダー樹脂、液状物質および該液状物質中でカチオン性を示す高分子を含有する非水電解液二次電池電極用組成物；
［２］前項［１］記載の非水電解液二次電池電極用組成物を集電体に塗布し、得られた塗布物から液状物質を除去することにより得られる電極；
［３］前項［２］記載の電極と非水電解液とを含むことを特徴とする非水電解液二次電池；
を提供するものである。

　本発明の非水電解液二次電池電極用組成物は、電極活物質、バインダー樹脂、液状物質および該液状物質中でカチオン性を示す高分子（以下、カチオン性高分子と略記する。）を含有する。
　電極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出することができる活物質が好ましい。電極活物質には負極活物質と正極活物質とがあり、負極活物質としては、各種の炭素質物質および金属複合酸化物が挙げられ、正極活物質としては、金属複合酸化物が上げられ、リチウムと、鉄、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群から選ばれる１種以上の金属とを含有する金属複合酸化物が好ましい。
　好ましい負極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、ＭＣＭＢ、ピッチ系炭素繊維、ポリアセンなどの炭素質材料、および、Ａ_ｘＭ_ｙＯ_ｐで示される複合金属酸化物（式中、ＡはＬｉを、ＭはＣｏ、Ｎｉ、Ａｌ、ＳｎおよびＭｎからなる群から選ばれる少なくとも一種を、Ｏは酸素原子をそれぞれ表わし、ｘは、１．１０≧ｘ≧０．０５を満足する数を、ｙは、４．００≧ｙ≧０．８５を満足する数を、ｐは、５．００≧ｐ≧１．５を満足する数を表わす。）が挙げられる。
　好ましい正極活物質としては、Ｌｉ_ｘＭＯ_２（式中、Ｍは１種以上の遷移金属、好ましくはＣｏ、ＭｎまたはＮｉの少なくとも一種を表わし、ｘは、１．１０＞ｘ＞０．０５を満足する数を表わす。）、および、Ｌｉ_ｘＭ_２Ｏ_４（式中、Ｍは１種以上の遷移金属、好ましくはＭｎを表わし、ｘは、１．１０＞ｘ＞０．０５を満足する数を表わす。）を含む活物質が挙げられ、具体的には、ＬｉＣｏＯ_２、ＬｉＮｉＯ_２、Ｌｉ_ｘＮｉ_ｙＣｏ_{（１−ｙ）}Ｏ_２（式中、ｘは、１．１０＞ｘ＞０．０５を満足する数であり、ｙは、１＞ｙ＞０を満足する数である。）、および、ＬｉＭｎ_２Ｏ_４が挙げられる。
　バインダー樹脂としては、フッ素化ポリマー、ジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、スチレン系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポリアミド系またはポリイミド系ポリマー、エステル系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマーおよびセルロース系ポリマーが挙げられる。
　フッ素化ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
　ジエン系ポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン−イソブチレン共重合体、天然ゴム、スチレン−１，３−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、１，３−ブタジエン−イソプレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−１，３−ブタジエン−イソプレン共重合体、１，３−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−１，３−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−１，３−ブタジエン−イタコン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−１，３−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸共重合体、スチレン−１，３−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−１，３−ブタジエン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−１，３−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体およびスチレン−アクリロニトリル−１，３−ブタジエン−メタクリル酸メチル−フマル酸共重合体が挙げられる。
　オレフィン系ポリマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン系アイオノマー、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびクロロスルホン化ポリエチレンが挙げられる。
　スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−プロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸ｎ−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体およびスチレン−アクリル酸ｎ−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。
　アクリレート系ポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、アクリレート−アクリロニトリル共重合体およびアクリル酸２−エチルヘキシル−アクリル酸メチル−アクリル酸−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートが挙げられる。
　ポリアミド系またはポリイミド系ポリマーとしては、ポリアミド６、ポリアミド６６、ポリアミド１１、ポリアミド１２、芳香族ポリアミドおよびポリイミドが挙げられる。
　エステル系ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。
　セルロース系ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、これらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩等の塩が挙げられる。
　さらに、バインダー樹脂としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−イソプレン・ブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン・ブロック共重合体等のブロック共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびその他のメチルメタクリレート重合体が挙げられる。
　これらのポリマーは単独で用いてもよいし、２種類以上を混合して用いてもよい。
　かかるバインダー樹脂は、粒子であることが好ましく、その粒径は、０．００５~１００μｍであることが好ましく、０．０１~５０μｍであることがより好ましく、０．０５~３０μｍであることが特に好ましい。ここで、”バインダー樹脂の粒径”とは、本発明の非水電解液二次電池電極用組成物を乾燥させることにより得られるバインダー樹脂粒子のうちの１００個の長径と短径とを、電子顕微鏡で測定して得られる値の平均値を意味する。
　本発明において、”液状物質”とは、常温および常圧で、液状である物質を意味する。液状物質としては、水および／または常圧での沸点が５０~３５０℃である含酸素有機化合物を含む物質が挙げられる。沸点が５０~３５０℃である含酸素有機化合物を含む非水電解液二次電池電極用組成物を用いることにより、より操作性よく電極を製造することができ、より均一な電極活物質層を容易に形成することができる。非水電解液二次電池電極用組成物の塗布性や得られる電池の性能低下を起こさない範囲において、液状物質は、含酸素有機化合物以外の液状有機物質を含むことができる。
　常圧での沸点が５０~３５０℃である含酸素有機化合物としては、メタノール、エタノール、ｎ−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ｎ−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ｓｅｃ−ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、２−エチルブタノール、２−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等のアルコール性水酸基を有する化合物；ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−ｎ−アミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルｎ−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルｎ−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテル等の飽和脂肪族エーテル化合物；ジアリルエーテル、エチルアリルエーテル等の不飽和脂肪族エーテル化合物；アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテル等の芳香族エーテル化合物；テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物；エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル化合物；ギ酸、酢酸、無水酢酸、アクリル酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸化合物；ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ｓｅｃ−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸２−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ブチルシクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸ブチル、炭酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、リン酸トリエチル等のカルボン酸エステル化合物；アセトン、エチルケトン、プロピルケトン、ブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン化合物；コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ウンデカン二酸、ピルビン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸化合物；フルフラール；およびＮ−メチルピロリドン：が挙げられ、Ｎ−メチルピロリドンが好ましい。
　液状物質としては、水およびＮ−メチルピロリドンが好ましい。
　液状物質として、水と含酸素有機化合物との混合物を用いることもでき、該混合物における含酸素有機化合物の量は、水１００重量部に対して、０．１~１００重量部であることが好ましく、０．５~５０重量部であることがより好ましく、１~２０重量部であることが特に好ましい。
　カチオン性高分子としては、分子内に窒素原子を含有する高分子化合物が挙げられる。カチオン性高分子は、液状物質中でのｐＫａ値が、通常０以上、好ましくは４以上、より好ましくは８以上である高分子であり、液状物質中でのｐＫａ値が、通常２０以下、好ましくは１５以下である高分子である。ここでいうｐＫａ値は、エー・シー・ディー／ラブズ（富士通株式会社製）のｐＫａ値予測ソフトを用いて計算した値である。
　カチオン性高分子の粘度は、通常１ｍＰａ・ｓ~３０００ｍＰａ・ｓである。ここで、粘度は、カチオン性高分子と水とを混合し、固形分濃度が２５重量％~５０重量％である高分子水溶液を調製し、調製した水溶液の粘度を、２５℃でＢ型粘度計により測定して得られた値である。
　カチオン性高分子としては、
ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアミン樹脂、
ポリアミン樹脂の変性物、
ポリアミドポリ尿素樹脂、
ウレタン樹脂、
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリ尿素−ホルムアルデヒド樹脂、
第２級または第３級アミノ基や第４級アンモニウム基を有するアクリル重合体およびそれらのアクリルアミドの共重合体、
ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体等のジシアン系カチオン性化合物、
ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体等のポリアミン系カチオン性化合物、
エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、
ジアリルジメチルアンモニウム−ＳＯ_２重縮合生成物、
ジアリルアミン塩−ＳＯ_２重縮合生成物、
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物、
アリルアミン塩の共重合体、
ジアルキルアミノエチル（メタ）アクリレート４級塩共重合体、
アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、
ジメチルアミノプロピルアクリルアミド重合体、および、
５員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂が挙げられる。
　さらに、液状物質中でカチオン性を示す高分子としては、
ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂（国際公開第２００８／０２４４４４号、特表第２０１０−５０１６７０号公報および特開平２−１７０８２５号公報参照）、
ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物（特開平６−１８４２４６号公報参照）、
ポリアルキレンポリアミンと尿素と二塩基性カルボン酸との反応により得られる生成物と、アルデヒド化合物、エピハロヒドリン化合物および／またはα，γ−ジハロ−β−ヒドリン化合物とを反応させることにより得られる水溶性ポリマー（特公昭４４−１１６６７号公報、特公昭５６−２８９２９号公報、特公昭６１−４２９３１号公報および特開昭６２−１０１６２１号公報参照）、
ポリアルキレンポリアミンと尿素との縮合反応により得られる生成物と、アルデヒド化合物、エピハロヒドリン化合物および／またはα，γ−ジハロ−β−ヒドリン化合物とを反応させることにより得られる水溶性ポリマー（特開平４−１００９９７号公報参照）、
アンモニアやポリアミンと、アクリル酸化合物やメタクリル酸化合物等の分極したα，β−不飽和単量体とのマイケル付加反応により得られる生成物に、さらにポリアミンとα，β−不飽和単量体とをそれぞれ逐次的に反応させることにより得られる高度に分岐したポリアミドアミン化合物（いわゆるスターバーストデンドリマー、特表昭６０−５００２９５号公報参照）、
特定のアミドアミン構造を有する化合物と尿素類またはシアン酸とを反応させることにより得られるポリアミドポリ尿素樹脂（特開昭５５−３１８３７号公報参照）、
ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、分子内に三級アミノ基と少なくとも２個の水酸基を有するヒドロキシ化合物とを反応させることにより得られる水溶性樹脂（特開平６−１６６９９３号公報参照）、
第１級または第２級アミノ基を有するアミン化合物と、分子内に少なくとも２個のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを反応させることにより得られるポリアミン樹脂の変性物（特開２００１−１８１９９６号公報参照）、
（ａ）アルキレンジアミンおよびポリアルキレンポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種、（ｂ）尿素化合物、（ｃ）芳香環を有する１級または２級アミノ化合物および芳香族エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香族化合物、および、（ｄ）アルデヒド化合物、エピハロヒドリン化合物およびα，γ−ジハロ−β−ヒドリン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物、を反応させることにより得られる水溶性樹脂（特開平６−２２８８９９号公報参照）、および、
（ａ）アルキレンジアミンおよびポリアルキレンポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種、（ｂ）尿素化合物、および、（ｃ）アルデヒド化合物、エピハロヒドリン化合物およびα，γ−ジハロ−β−ヒドリン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物、を反応させることにより得られる水溶性樹脂（特開平７−１５７９９７号公報参照）も挙げられる。
　本発明の非水電解液二次電池電極用組成物は、二種以上のカチオン性高分子を含むことができる。
　カチオン性高分子としては、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリアミン樹脂の変性物およびポリアミドポリ尿素樹脂が好ましく、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物およびポリアミン樹脂の変性物がより好ましい。
　本発明の非水電解液二次電池電極用組成物は、電極活物質、バインダー樹脂、液状物質およびカチオン性高分子を含有する。本発明の非水電解液二次電池電極用組成物は、必要に応じて、その他の添加物をさらに含有することができる。その他の添加物としては、液状物質に溶解または膨潤する粘度調整剤、バインダー補助剤、グラファイトやアセチレンブラック等の導電性カーボン、金属粉末等の導電材および水溶性ポリマーが挙げられる。電極活物質が負極活物質である場合、本発明の非水電解液二次電池電極用組成物は、液状物質に溶解または膨潤する粘度調整剤を含むことが好ましい。電極活物質が正極活物質である場合、本発明の非水電解液二次電池電極用組成物は、導電性カーボンを含むことが好ましい。液状物質が水である場合、本発明の非水電解液二次電池電極用組成物は、水溶性ポリマーを含むことが好ましい。
　本発明の非水電解液二次電池電極用組成物の製造方法は限定されない。具体的な製造法方法としては、電極活物質とバインダー樹脂とカチオン性高分子とを混合し、得られる混合物に液状物質を加える方法、電極活物質と液状物質とカチオン性高分子とを混合し、得られる混合物にバインダー樹脂を加える方法、電極活物質、バインダー樹脂、カチオン性高分子及び液状物質を同時に混合する方法、および、バインダー樹脂と液状物質とカチオン性高分子とを混合し、得られる混合物に電極活物質を加える方法が挙げられる。カチオン性高分子を、予め電極活物質と混合してもよいし、予めバインダー樹脂と混合してもよいし、予め液状物質と混合してもよい。カチオン性高分子を、電極活物質とバインダー樹脂と液状物質との混合物と混合してもよい。特に、カチオン性高分子を、電極活物質とバインダー樹脂と液状物質との混合物と混合することが効率的である。
　本発明の非水電解液二次電池電極用組成物中のカチオン性高分子の含有量は制限されないが、カチオン性高分子量は、重量基準で、バインダー樹脂に対して、好ましくは０．０１~１０倍、より好ましくは０．０５~５倍、さらに好ましくは０．１~１倍、特に好ましくは０．２~０．５倍である。
　本発明の非水電解液二次電池電極用組成物中の電極活物質の含有量は制限されないが、電極活物質量は、重量基準で、バインダー樹脂に対して、好ましくは１~１０００倍、より好ましくは２~５００倍、さらに好ましくは３~３００倍、特に好ましくは５~２００倍である。
　本発明の非水電解液二次電池電極用組成物中の液状物質の含有量も制限されないが、液状物質量は、重量基準で、バインダー樹脂に対して、好ましくは１~１０００倍、より好ましくは２~５００倍、さらに好ましくは３~３００倍、特に好ましくは５~２００倍である。
　電極活物質とバインダー樹脂と液状物質中でカチオン性を示す高分子と液状物質とを混合することにより、容易に、均一な非水電解液二次電池電極用組成物が得られるが、ボールミル、サンドミル等の分散機、超音波分散機、ホモジナイザー等により、さらに混合することにより、より均一な非水電解液二次電池電極用組成物を得ることもできる。
　本発明の電極は、本発明の非水電解液二次電池電極用組成物を集電体に塗布し、得られた塗布物（組成物層が形成された集電体）を乾燥させて、液状物質を除去することにより製造され、集電体表面に形成されたマトリックス中に電極活物質が固定された、電極活物質層が集電体上に形成される。集電体は、導電性材料からなるものであれば制限されないが、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属製が好ましい。その形状も制限されないが、厚さ０．００１~０．５ｍｍ程度のシート状であることが好ましい。
　非水電解液二次電池電極用組成物の集電体への塗布方法も制限されない。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、浸漬、ハケ塗り等によって、非水電解液二次電池電極用組成物が集電体へ塗布される。非水電解液二次電池電極用組成物の塗布量も制限されないが、液状物質を乾燥により除去することにより形成される電極活物質層の厚さが、好ましくは０．００５~５ｍｍ、より好ましくは０．０５~２ｍｍとなるよう、塗布量が調整される。
　電極を乾燥させる工程（以下、”乾燥工程”と略記する。）における乾燥方法は制限されず、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、（遠）赤外線や電子線等の照射による乾燥が挙げられる。乾燥条件は、通常は応力集中が起こって電極活物質層に亀裂が入ったり、電極活物質層が集電体から剥離したりしない乾燥速度範囲の中で、バインダー樹脂の浮き上がりが生じないように調整される。乾燥温度は制限されないが、好ましくは６０~２００℃、より好ましくは８０~１５０℃で、段階的に温度を上げながら乾燥が行われる。本発明の非水電解液二次電池電極用組成物を用いれば、必ずしも低温から高温へ段階的に温度を上げて乾燥させる必要がなく、高温（例えば１００~１５０℃）での急な乾燥が実施でき、バインダー樹脂の電極表面への浮き上がりも抑えられるため、従来の非水電解液二次電池電極用組成物を用いた場合に比べて、電極の生産性が向上する。
　電極の製造を連続的に行う場合、その製造ラインのライン速度も制限されない。本発明の非水電解液二次電池電極用組成物を用いれば、例えば０．５ｍ／ｍｉｎ~１００ｍ／ｍｉｎ、好ましくは２０ｍ／ｍｉｎ．~１００ｍ／ｍｉｎ．のライン速度で乾燥を行っても、電極活物質層に亀裂が入ったり、集電体から電極活物質層が剥離したりしない。
　本発明の非水電解液二次電池は、電解液と本発明の電極とを含む。電解液は、電解質と電解液溶媒とを含み、電極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するものが選択される。電解質としては、公知のリチウム塩が使用できる。具体的には、ＬｉＣｌＯ_４、ＬｉＢＦ_６、ＬｉＰＦ_６、ＬｉＣＦ_３ＳＯ_３、ＬｉＣＦ_３ＣＯ_２、ＬｉＡｓＦ_６、ＬｉＳｂＦ_６、ＬｉＢ_１０Ｃｌ_１０、ＬｉＡｌＣｌ_４、ＬｉＣｌ、ＬｉＢｒ、ＬｉＢ（Ｃ_２Ｈ_５）_４、ＣＦ_３ＳＯ_３Ｌｉ、ＣＨ_３ＳＯ_３Ｌｉ、ＬｉＣＦ_３ＳＯ_３、ＬｉＣ_４Ｆ_９ＳＯ_３、Ｌｉ（ＣＦ_３ＳＯ_２）_２Ｎおよび低級脂肪酸カルボン酸リチウムが挙げられる。
　電解液溶媒は、非水電解液二次電池の分野で通常用いられる溶媒であれば限定されない。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート溶媒；γ−ブチルラクトン等のラクトン溶媒；トリメトキシメタン、１，２−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、２−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、２−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル溶媒；ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒；１，３−ジオキソラン、４−メチル−１，３−ジオキソラン等のオキソラン溶媒；アセトニトリルやニトロメタン等の含窒素溶媒；ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の有機酸エステル溶媒；リン酸トリエステルや炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル等の炭酸ジエステル等の無機酸エステル溶媒；ジグライム溶媒；トリグライム溶媒；スルホラン溶媒；３−メチル−２−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン溶媒；１，３−プロパンスルトン、１，４−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン溶媒；等の単独もしくは二種以上の混合溶媒が挙げられる。
　本発明の非水電解液二次電池は、電解液および本発明の電極に加えて、セパレータ等の部品を含み、常法に従って製造される。例えば、正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせて積層体を形成し、該積層体を、巻く、折る等の操作により、電池形状に応じた形状にした後、電池容器に入れ、電解液を該容器内へ注入した後、封口板または安全弁で封口する。さらに、必要に応じてエキスバンドメタルや、ヒューズ、ＰＴＣ素子等の過電流防止素子、リード板等を電池容器内に入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をすることもできる。電池の形状は限定されず、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型等が挙げられる。
　従来の非水電解液二次電池電極用組成物は、乾燥工程において、高温で急激に乾燥させると電極内のバインダー樹脂が電極表面に浮き上がり、電極の剥離やひび割れが生じるため、低温から段階的に温度を上げて乾燥させる必要があり、また、連続的に電極を製造する場合は、限られた乾燥ゾーン内で乾燥を完結する必要があるため、製造ラインのライン速度も１０ｍ／ｍｉｎ程度であり、乾燥工程に長時間を要するという問題があったが、本発明の非水電解液二次電池電極用組成物を用いることにより、乾燥工程の時間を短縮することができ、高温（例えば１００~１５０℃）での急激な乾燥でも、バインダー樹脂の電極表面への浮き上がりが抑制でき、且つ、製造ライン速度も大幅に増加させることが可能となり、電極の生産性を向上させることができる。

　以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
（カチオン性高分子のｐＫａ値）
　カチオン性高分子のｐＫａ値を、エー・シー・ディー／ラブズ（富士通株式会社製）のｐＫａ値予測ソフトを用いて計算した。
（ＥＰＭＡマッピング）
　ＥＰＭＡマッピングは、下記の方法で測定した。
　デシケータ内に、２％オスミウム水溶液を入れたシャーレと、クロスセクションポリッシャによってその断面を加工した負極とを入れた。デシケータを密閉し、負極を２％オスミウム水溶液の蒸気に２昼夜曝し、バインダー樹脂のオスミウム染色を行った。
　電解放射型電子線マイクロアナライザ（ＥＰＭＡ）（商品名：ＪＸＡ−８５００Ｆ、日本電子製）により、染色後の負極断面の元素カラーマッピング観察を行い、負極内のオスミウム分布状態を確認した。オスミウム分布状態が良好なものは、バインダー樹脂の負極表面への浮き上がりが少なく（○）、良好でないものは、バインダー樹脂の負極表面への浮き上がりが生じている（×）ことがわかった。
（粘度）
　液状物質中でカチオン性を示す高分子の水溶液（固形分濃度は表１に記載のとおり）の２５℃での粘度をＢ型粘度計によって測定した。結果を表１に示す。

実施例１
　ＬｉＣｏＯ_２（本荘ケミカル社製；製品名「ＨＬＣ−２２」）９０重量部、アセチレンブラック（電気化学社製：ＨＳ−１００）５重量部、ポリアミドポリ尿素樹脂１重量部およびポリフッ化ビニリデン４重量部の混合物に、固形分含量が６０％となるように、Ｎ−メチルピロリドンを添加する。得られた混合物をプラネタリーミキサーで攪拌して、均一な正極用スラリーを得る。該正極用スラリーをアルミニウム箔（厚さ２０μｍ）上にマルチラボコーターによって均一に塗布し、得られた塗布物を１２０℃にて乾燥機で乾燥させて、非水電解液二次電池用正極を得る。
実施例２
　カーボン（ＴＩＭＣＡＬ社製；商品名「ＳＦＧ４４」）９５重量部、スチレン−１，３−ブタジエン共重合体３重量部、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩１重量部およびポリアミドポリ尿素樹脂１重量部の混合物に、固形分含量が６０％となるように、水を添加する。得られた混合物をプラネタリーミキサーで攪拌して、均一な負極用スラリーを得る。該負極用スラリーを銅箔（厚さ２０μｍ）上にマルチラボコーターによって均一に塗布し、得られた塗布物を１２０℃にて乾燥機で乾燥させて、非水電解液二次電池用負極を得る。
参考比較例１
　実施例１において、ポリアミドポリ尿素樹脂を添加しない以外は、実施例１と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極を得るが、実施例１よりも乾燥に長時間を要する。
参考比較例２
　実施例２において、ポリアミドポリ尿素樹脂を添加しない以外は、実施例２と同様にしてリチウムイオン二次電池用負極を得るが、実施例２よりも乾燥に長時間を要する。
実施例３
　マンガン酸リチウム（宝泉株式会社製；製品名「ＨＬＢ−０７１１２１６」）９２重量部、アセチレンブラック（電気化学社製：ＨＳ−１００）５重量部、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩１重量部、フッ素樹脂（Ｋｙｎａｒ　Ａｑｕａｔｅｃ製、ＰＶＤＦ：ポリフッ化ビニリデン）２重量部およびポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１（ｐＫａ値：８．５７）０．３重量部の混合物に、固形分含量が５５％となるように、水を添加した。得られた混合物をフィルミクス（プライミクス株式会社製）で攪拌し、均一な正極用スラリーを得た。得られた正極用スラリーを、厚さ２０μｍのアルミニウム箔上にマルチラボコーターによって均一に塗布し、得られた塗布物を２５℃で乾燥させて、非水電解液二次電池用正極を得た。乾燥に要した時間は４５分であった。乾燥に要した時間は、正極表面の乾燥状態の目視観察により判断した。
実施例４
　実施例３において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物Ａ２（ｐＫａ値：１０．４９）０．３重量部を用いた以外は、実施例３と同様に実施し、非水電解液二次電池用正極を得た。乾燥に要した時間は４５分であった。乾燥に要した時間は、正極表面の乾燥状態の目視観察により判断した。
実施例５
　実施例３において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ポリアミン樹脂の変性物Ａ３（変性ポリアミン樹脂、ｐＫａ値：８．９８）０．３重量部を用いた以外は、実施例３と同様に実施し、非水電解液二次電池用正極を得た。乾燥に要した時間は５５分であった。乾燥に要した時間は、正極表面の乾燥状態の目視観察により判断した。
実施例６
　実施例３において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ポリアミドポリ尿素樹脂Ａ４（ｐＫａ値：−０．９９）０．３重量部を用いた以外は、実施例３と同様に実施し、非水電解液二次電池用正極を得た。乾燥に要した時間は６０分であった。乾燥に要した時間は、正極表面の乾燥状態の目視観察により判断した。
参考比較例３
　実施例３において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ポリビニルピロリドン（ｐＫａ値：−０．４１）０．３重量部を用いた以外は、実施例３と同様に実施し、非水電解液二次電池用正極を得た。乾燥に要した時間は６０分であった。乾燥に要した時間は、正極表面の乾燥状態の目視観察により判断した。

実施例７
　カーボン（住友金属工業製；商品名「ＳＷＦ１５Ｐ２」）１００重量部、スチレン−１，３−ブタジエン共重合体３重量部、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩１重量部およびポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１（ｐＫａ値：８．５７）０．３重量部の混合物に、固形分含量が６０％となるように、水を添加した。得られた混合物をフィルミクスで攪拌して、均一な負極用スラリーを得た。得られた負極用スラリーを、厚さ２０μｍの銅箔上にマルチラボコーターによって均一に塗布し、得られた塗布物を実施例３と同様に乾燥し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表３に示す。
実施例８
　実施例７において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物Ａ２（ｐＫａ値：１０．４９）０．３重量部を用いた以外は、実施例７と同様に実施して、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表３に示す。
実施例９
　実施例７において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ポリアミン樹脂の変性物Ａ３（変性ポリアミン樹脂、ｐＫａ値：８．９８）０．３重量部を用いた以外は、実施例７と同様に実施し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表３に示す。
実施例１０
　実施例７において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ポリアミドポリ尿素樹脂Ａ４（ｐＫａ値：−０．９９）０．３重量部を用いた以外は、実施例７と同様に実施し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表３に示す。
参考比較例４
　実施例７において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１を用いない以外は、実施例７と同様に実施し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表３に示す。

実施例１１
　カーボン（住友金属工業製；商品名「ＳＷＦ１５Ｐ２」）１００重量部、スチレン−１，３−ブタジエン共重合体３重量部、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩１重量部およびポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂Ａ１（ｐＫａ値：８．５７）０．３重量部の混合物に、固形分含量が６０％となるように、水を添加した。得られた混合物をフィルミクスで攪拌して、均一な負極用スラリーを得た。得られた負極用スラリーを、厚さ２０μｍの銅箔上にマルチラボコーターによって均一に塗布し、得られた塗布物を１２０℃で急激に乾燥させ、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表４に示す。得られた非水電解液二次電池用負極の断面のバインダー樹脂の分布状態をＥＰＭＡマッピングにより観察した。結果を表４に示す。
実施例１２
　実施例１１において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂Ａ１に代えて、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物Ａ２（ｐＫａ値：１０．４９）０．３重量部を用いた以外は、実施例１１と同様に実施し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表４に示す。バインダー樹脂の分布状態をＥＰＭＡマッピングにより観察した。結果を表４に示す。
実施例１３
　実施例１１において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂に代えて、ポリアミン樹脂の変性物Ａ３（変性ポリアミン樹脂、ｐＫａ値：８．９８）０．３重量部を用いた以外は、実施例１１と同様に実施し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表４に示す。バインダー樹脂の分布状態をＥＰＭＡマッピングにより観察した。結果を表４に示す。
実施例１４
　実施例１１において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂に代えて、ポリアミドポリ尿素樹脂Ａ４（ｐＫａ値：−０．９９）０．３重量部を用いた以外は、実施例１１と同様に実施し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表４に示す。バインダー樹脂の分布状態をＥＰＭＡマッピングにより観察した。結果を表４に示す。
参考比較例５
　実施例１１において、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を用いない以外は、実施例１１と同様に実施し、非水電解液二次電池用負極を得た。負極表面の乾燥状態の目視観察により判断した乾燥時間を表４に示す。バインダー樹脂の分布状態をＥＰＭＡマッピングにより観察した。結果を表４に示す。

＜電池評価＞
　実施例７~１０および参考比較例４で得た負極をそれぞれ直径１５ｍｍの円形になるよう切り抜き、円形の負極を調製した。調製した円形の負極と正極のリチウム箔を、それぞれの活物質層が互いに向き合うように配置し、負極と正極との間に、直径１８ｍｍ、厚さ２５μｍの円形ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレータを差し込み、積層体を形成した。該積層体を、ステンレス鋼製のコイン型外装容器（直径２０ｍｍ、高さ１．８ｍｍ、ステンレス鋼厚さ０．２５ｍｍ）内に、該容器の底面に正極が接触するように入れた。負極の銅箔上にエキスパンドメタルを入れた。容器内を、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比１：１で混合して得られた混合溶媒に、電解質ＬｉＰＦ_６を溶解して得られた電解液（ＬｉＰＦ_６濃度：１モル／リットル）で満たした。ポリプロピレン製パッキンを容器上部に載せた後、厚さ０．２ｍｍのステンレス鋼のキャップで封止して、直径２０ｍｍ、厚さ約２ｍｍのコイン型電池を作製した。
　東洋システム（株）製のＴＯＳＣＡＴ−３１００充放電評価装置により、作製したコイン型電池の充放電容量を測定し、電池の評価を行った。
　作製したコイン型電池を、２５℃、６０ｍＡ／ｇの電流密度で０．００５Ｖの電圧値に達するまで定電流充電を行った。その後、０．００５Ｖの電圧値で定電圧充電を行った。定電流充電時間と定電圧充電時間との合計が１２時間となるよう充電を行った。定電圧充電終了後の充電容量（ｍＡｈ／ｇ）（以下、初回充電容量と略記する。）を測定した。
　定電圧充電後、６０ｍＡ／ｇの電流密度で１．５Ｖの電圧値に達するまで定電流放電を行った。定電流放電終了後の充電容量（ｍＡｈ／ｇ）（以下、初回放電容量と略記する。）を測定した。
　初回放電容量（ｍＡｈ／ｇ）を初回充電容量（ｍＡｈ／ｇ）で除し、得られた値に１００を乗じた値を、初回充放電効率（％）とした。結果を表５に示す。
　初回の充放電を終えた前記コイン型電池を、前記と同様に充放電することをさらに４回繰り返した。４回目の充電終了後の充電容量（ｍＡｈ／ｇ）（以下、５サイクル目充電容量と略記する。）と４回目の放電終了後の放電容量（ｍＡｈ／ｇ）（以下、５サイクル目放電容量と略記する。）を測定した。結果を表５に示す。

　本発明によれば、電極製造における乾燥工程の時間を短縮できるため、電極の生産性を向上させることができる。

Claims

　電極活物質、バインダー樹脂、液状物質および該液状物質中でカチオン性を示す高分子を含有する非水電解液二次電池電極用組成物。
　請求項１に記載の非水電解液二次電池電極用組成物を集電体に塗布し、得られた塗布物から液状物質を除去することにより得られる電極。
　請求項２に記載の電極と非水電解液とを含むことを特徴とする非水電解液二次電池。