JP2017033871A - 負極及びリチウムイオン二次電池並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な保護層を有する負極、その製造方法及びその負極を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。【解決手段】集電体に負極活物質を有する負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程と、負極活物質層の表面にセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して保護層を形成する保護層形成工程とを有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池など非水電解質二次電池に用いられる負極とその負極を用いたリチウムイオン二次電池並びにその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量が高く、高出力化が可能な二次電池である。現在、主として携帯電子機器用の電源として用いられており、更に、今後普及が予想される電気自動車用の電源として期待されている。リチウムイオン二次電池は、リチウム(Li)を挿入及び脱離することができる活物質を正極及び負極にそれぞれ有する。そして、リチウムイオン二次電池は、両極間に介在する電解液内をリチウムイオンが移動することによって動作する。
リチウムイオン二次電池の安全性を高めるために、活物質層の表面に保護層を設けて内部短絡の防止を図ることが検討されている。例えば、特許文献1には、負極活物質層の上に酸化マグネシウムとポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと称す。)と、を含む多孔質耐熱層を設けた負極が開示されている。特許文献1に記載の技術において、負極活物質には炭素系材料が使用されている。
近年、リチウムイオン二次電池の負極活物質として、炭素材料の理論容量を大きく超える充放電容量を持つ珪素、珪素合金、珪素酸化物などの珪素系材料が検討されている。
珪素系材料は、リチウムと合金化することで、1000mAh/g以上の高容量を持つことも可能である。しかし、珪素系材料を負極活物質として用いると、リチウムイオン二次電池の充放電におけるリチウム(Li)の吸蔵及び放出に伴って、負極活物質が膨張及び収縮することが知られている。負極活物質が膨張或いは収縮することで、負極活物質を集電体に保持する役割を果たす結着剤に負荷がかかり、負極活物質と集電体との密着性が低下する、電極内の導電パスが破壊されて容量が著しく低下する、或いは膨張と収縮の繰り返しにより負極活物質に歪が生じて負極活物質が微細化して電極から脱離する等の不具合が起こり得る。
このような珪素系材料を負極活物質として用いた負極活物質層の表面に保護層を設ける場合は、保護層と負極活物質層との密着性がより高いことが望まれる。
特開2008−27634号公報
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、珪素系材料を用いた負極活物質層に対しても密着性に優れた保護層を有する負極、その製造方法及びその負極を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、セラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して形成された保護層は、珪素系材料を用いた負極活物質層に対しても密着性に優れることを見いだした。
すなわち、本発明の負極の製造方法は、集電体に負極活物質を有する負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程と、負極活物質層の表面にセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して保護層を形成する保護層形成工程とを有することを特徴とする。
(メタ)アクリル系エマルションは、自己架橋性基を有し、かつスラリーは、さらに水溶性(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系エマルションは自己架橋性基を有さず、かつスラリーは水溶性(メタ)アクリル樹脂を有さないことが好ましい。
保護層において保護層を100質量%としたときのセラミックス粉末の含有量は70質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
セラミックス粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下であることが好ましい。
負極活物質は珪素系材料を含むことが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は上記負極の製造方法で製造された負極を用いることを特徴とする。
本発明の負極は、集電体と、集電体の表面に配置され、負極活物質を有する負極活物質層と、負極活物質層の表面に配置された保護層とからなり、保護層は、セラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系樹脂硬化物とを含み、保護層において保護層を100質量%としたときのセラミックス粉末の含有量は70質量%以上99質量%以下であり、セラミックス粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下であることを特徴とする。
なお本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも1種を意味する。また本発明において「(メタ)アクリル系エマルション」は、分散質として、水に対して難溶性の(メタ)アクリル系樹脂が界面活性剤などにより分散媒である水に分散した分散体、いわゆる樹脂エマルションである。また「水溶性」とは、水に混合したときに分子レベルで水に溶解することを称す。
本発明の負極の製造方法において、負極活物質層の表面にセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して保護層を形成する。本発明の負極の製造方法で製造された負極は、保護層と負極活物質層の密着性が優れるため、負極活物質として珪素系材料を用いても負極活物質層が保護層によって良好に保護される。
本実施形態の負極を説明する模式図である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限aおよび上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の負極の製造方法で製造された負極は、非水電解液二次電池に好適に用いることができる。以下、非水電解液二次電池の一形態としてリチウムイオン二次電池を例に説明するが、本発明の適用対象がかかる形態に限定されるわけではない。
<負極の製造方法>
本発明の負極の製造方法は、集電体に負極活物質を有する負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程と、負極活物質層の表面にセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して保護層を形成する保護層形成工程とを有する。
本発明の負極の製造方法で製造された負極は、集電体と、集電体の表面に配置された負極活物質層と、負極活物質層の表面に配置された保護層とを有する。
(負極活物質層形成工程)
(集電体)
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体の材料として、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、又はステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。また集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いてもよい。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
(負極活物質層)
負極活物質層は、負極活物質を含み、必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。従って、負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する化合物、あるいは高分子材料を例示することができる。炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類を例示できる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。リチウムと合金化可能な元素としては、具体的にNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが例示でき、特に、SiまたはSnが好ましい。リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、具体的にZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、 CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiO あるいはLiSnOを例示でき、特に、SiO(0.5≦x≦1.5)が好ましい。また、リチウムと合金化反応可能な元素を有する化合物として、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)を例示できる。高分子材料としては、具体的にポリアセチレン、ポリピロールを例示できる。負極活物質としては高容量である珪素、珪素合金、珪素酸化物などの珪素系材料が好ましい。
負極活物質は粉末形状であることが好ましい。負極活物質が粉末形状の場合、負極活物質の平均粒径D50は0.5μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。負極活物質の平均粒径D50が小さすぎると、負極活物質の粉末の比表面積が大きくなり、負極活物質の粉末と電解液との接触面積が大きくなって、電解液の分解が進んでしまい、サイクル特性が悪くなるおそれがある。また、負極活物質の平均粒径D50が大きすぎると、導電性が低い負極活物質を用いた場合、電極全体の導電性が不均一になり、充放電特性が低下するおそれがある。
平均粒径D50は粒度分布測定法によって計測できる。平均粒径D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径のことである。つまり、平均粒径D50とは、体積基準で測定したメディアン径を意味する。
結着剤は活物質を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸などのアクリル系樹脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエンゴム、アルコキシシリル基含有樹脂などの公知のものを用いることができる。これらの結着剤を単独または二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。結着剤の使用量については特に制限はないが、活物質100質量部に対して結着剤1〜50質量部の範囲が好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は導電性を高めるために添加される。導電助剤としては、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。導電助剤の使用量については特に制限はないが、例えば、活物質100質量部に対して導電助剤1〜30質量部とすることができる。
集電体の表面に負極活物質層を形成するには、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に負極活物質を直接塗布すればよい。具体的には、負極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む活物質層形成用組成物を調製し、この組成物に適当な溶媒を加えてペースト状の液とする。あらかじめ結着剤を溶媒に溶解させた溶液又は分散させた懸濁液を用いても良い。上記溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。上記ペースト状の液を集電体の表面に塗布後、乾燥する。乾燥は、常圧条件で行っても良いし、真空乾燥機を用いた減圧条件下で行っても良い。乾燥温度は適宜設定すればよく、上記溶媒の沸点以上の温度が好ましい。乾燥時間は塗布量及び乾燥温度に応じ適宜設定すればよい。負極活物質層の密度を高めるべく、負極活物質層を形成させた乾燥後の集電体に対し、圧縮工程を加えても良い。
(保護層形成工程)
保護層形成工程は、負極活物質層の表面にセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して保護層を形成する。
(保護層)
保護層は、負極活物質層の表面に配置され、セラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して形成されたものである。また必要に応じて上記スラリー中に水溶性(メタ)アクリル系樹脂を含ませてもよい。
負極活物質層の表面が保護層によって被覆されるので、負極活物質は非水電解液と直接接触しにくい。そのため、負極活物質による非水電解液の分解反応が抑制され、保護層を有するリチウムイオン二次電池は、サイクル特性が悪化するのを抑制できる。また非水電解液中に含まれる金属成分の溶出物や非水電解液の分解物を保護層で物理的にトラップできるので、負極活物質の表面に分解物等が堆積するのを抑制できる。その結果としてこの保護層を有するリチウムイオン二次電池は、サイクル特性が悪化するのを抑制できる。
保護層はセラミックス粉末を有する。セラミックス粉末は、導電性が低く、耐熱性が高いため、本発明の負極において負極活物質層の表面に絶縁性と耐熱性を兼ね備えた保護層が配置されることとなる。そのためこの保護層を有するリチウムイオン二次電池は、高温下でも内部短絡が抑制され、安全性が高まる。
セラミックス粉末を含む保護層において、セラミックス粉末間に細孔が形成される。細孔を有する保護層はイオン伝導性を有する。そのためこの保護層を有するリチウムイオン二次電池において保護層は大きな抵抗とはならない。言い換えると、保護層を有するリチウムイオン二次電池において、保護層による著しい電池容量の低下は起こらない。
保護層はセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して形成される。
セラミックス粉末として、水に溶解しないものが使用できる。つまりセラミックス粉末としては、酸化物、窒化物及び炭化物が望ましい。好適なセラミックス粉末として、例えば、Al、SiO、TiO、ZrO、MgO、SiC、AlN、BN、タルク、マイカ、カオリナイト、CaO、ZnO及びゼオライトが挙げられる。セラミックス粉末としては、入手の容易さの点から、Al、SiO、TiOが好ましく、特にAlが好ましい。
セラミックス粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下であることが好ましく、200nm以上900nm以下であることがより好ましく、300nm以上800nm以下であることが特に好ましい。
セラミックス粉末の平均粒径D50が大きすぎると、保護層の厚みが所望の厚みより大きくなってしまう。またセラミックス粉末の平均粒径D50が大きすぎると、保護層形成時にセラミックス粉末がスラリー中で沈降しやすくなり、分散しにくくなる。セラミックス粉末の平均粒径D50が小さすぎると、保護層作成時にセラミックス粉末が負極活物質層の中に入り込むおそれがある。
保護層において保護層を100質量%としたときのセラミックス粉末の含有量は70質量%以上99質量%以下であることが好ましく、80質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。保護層に含まれるセラミックス粉末が少なすぎると、保護層の絶縁性と耐熱性が低下するおそれがある。また保護層に含まれるセラミックス粉末が多すぎるとセラミックス粉末間に細孔が少なくなるおそれがある。セラミックス粉末間に細孔が少なくなると、保護層のイオン伝導性が低下して、電池容量を確保しにくくなるおそれがある。
(メタ)アクリル系エマルションと必要に応じて加えられる水溶性(メタ)アクリル系樹脂は加熱硬化されて(メタ)アクリル系樹脂硬化物となると考えられる。またポリビニルアルコールはポリビニルアルコールとして保護層中に存在する。また一部のポリビニルアルコールは、(メタ)アクリル系エマルションと必要に応じて加えられる水溶性(メタ)アクリル系樹脂と加熱硬化されて(メタ)アクリル系樹脂硬化物となるとも考えられる。そして保護層中の(メタ)アクリル系樹脂硬化物及びポリビニルアルコールは、保護層用結着剤として機能する。保護層用結着剤は、負極活物質層と保護層とを結着し、かつ保護層中のセラミックス粉末間を結着する。
ポリビニルアルコールは、多数の水酸基を有し、セラミックス粉末、負極活物質或いは結着剤などの表面に存在する極性官能基と水素結合で吸着しやすい。
(メタ)アクリル系エマルションは、水に対して難溶性の(メタ)アクリル系樹脂が水に分散している分散体である。
(メタ)アクリル系樹脂として、例えば、(メタ)アクリル酸誘導体の重合体、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とエチレン性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸誘導体の重合体又は(メタ)アクリル酸又はその誘導体とエチレン性不飽和モノマーとの共重合体に、エポキシ樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂などの他の樹脂を変性させた変性(メタ)アクリル系樹脂も(メタ)アクリル系樹脂に含まれる。
エチレン性不飽和モノマーとしては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ブタジエンが挙げられる。
変性(メタ)アクリル系樹脂は変性させる樹脂の構成によって、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐アルカリ性などの樹脂硬化物の物性が異なる。電池材料として使用できる物性を有する変性(メタ)アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
(メタ)アクリル系エマルションとしては、市販品を好適に用いることができる。市販されている(メタ)アクリル系エマルションには、非反応型、反応型、自己架橋反応型などのタイプがあり、どのタイプでも使用できる。
非反応型は、(メタ)アクリル系エマルション自身の粘結性によってエマルション同士が結着するものである。反応型は、(メタ)アクリル系エマルションが反応性官能基を有しており、架橋剤を配合することでエマルション同士が架橋するものである。自己架橋反応型は、(メタ)アクリル系エマルション内に自己架橋性の官能基が導入されており、単独でエマルション同士が架橋するものである。
(メタ)アクリル系エマルションが自己架橋反応型の場合、スラリー中でゲル化しやすいため、分散剤として機能する水溶性(メタ)アクリル系樹脂をスラリーに更に併用することが好ましい。
(メタ)アクリル系エマルション内に分散している(メタ)アクリル系樹脂の平均粒径は0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。(メタ)アクリル系エマルション内に分散している(メタ)アクリル系樹脂の平均粒径が大きすぎると、保護層の厚みが厚くなりすぎるおそれがある。ここで平均粒径は、分散媒1L中に分散質が0.01mg〜100g含まれる分散体において、分散質の粒度分布を動的光散乱法を用いて測定して算出したものである。
また(メタ)アクリル系エマルションの最低造膜温度は、0℃〜100℃であることが好ましい。最低造膜温度はエマルション自体が互いに結着して膜を形成するために必要な温度のことである。(メタ)アクリル系エマルションの最低造膜温度がこの範囲であれば、(メタ)アクリル系エマルションは低めの加熱乾燥温度で容易に保護層用結着剤として作用する(メタ)アクリル系樹脂硬化物になる。
(メタ)アクリル系エマルションのpHは、7〜9程度であることが好ましい。pHがこの程度であれば、セラミックス粉末と混合した際にセラミックス粉末のゼータ電位を大幅に変化させることなく混合でき、混合されたあとのスラリーの保存安定性も良好である。
(メタ)アクリル系エマルションに含まれる(メタ)アクリル系樹脂のTgは、0℃以上60℃以下が好ましく、30℃以上55℃以下がより好ましい。(メタ)アクリル系樹脂のTgの範囲が上記範囲であれば、(メタ)アクリル系樹脂は、塗工時の乾燥温度(50℃〜110℃)で容易に融解し、造膜化しやすい。そのため、塗工時の乾燥温度で熱硬化反応が充分に進んで、保護層用結着剤として作用する(メタ)アクリル系樹脂硬化物は負極活物質層と保護層とを良好に結着させ、かつ保護層中のセラミックス粉末間を良好に結着させる。
(メタ)アクリル系エマルションとしては、市販品を好適に使用することができる。(メタ)アクリル系エマルションとして、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−711)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7182)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7696)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7511)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7326)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7370)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7341)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7687)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−74J)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7639)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7323)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7677)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−7600)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−775)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−537J)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7692)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7611)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7630A)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−352J)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−352D)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7145)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7164)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7430)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−7440)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−8380)、(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−8383)が挙げられる。特に、(メタ)アクリル系エマルションとしては、品番:Joncryl−537J(BASFジャパン株式会社)を好ましく用いることができる。品番:Joncryl−537Jは、セラミックス粉末との混合性がよく、また加熱により架橋する。品番:Joncryl−537Jを(メタ)アクリル系エマルションとして用いれば、その硬化物は、負極活物質層と保護層とを良好に結着させ、かつ保護層中のセラミックス粉末間を良好に結着させる。
水溶性(メタ)アクリル系樹脂は、スラリー中の分散剤として機能する。水溶性(メタ)アクリル系樹脂は、複数のカルボキシ基を有する。そのため、水溶性(メタ)アクリル系樹脂は、個々のセラミックス粉末の表面の官能基に分子レベルで吸着してセラミックス粉末を良好に分散できる。
水溶性(メタ)アクリル系樹脂は、疎水部を有する(メタ)アクリル酸からなることが好ましい。疎水部を有する(メタ)アクリル酸は、疎水性基と親水性基を両方持っているため、電荷による静電的な分散効果に加えて、親疎水性による分散効果を奏する。そのため疎水部を有する(メタ)アクリル酸は分散効果が大きい。
疎水部を有する(メタ)アクリル酸は、例えば、疎水部を導入可能なモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとを含むモノマー原料を適当な方法で重合させることにより得ることができる。
疎水部を導入可能なモノマー(以下、疎水性官能基含有モノマーと称す。)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ケイ皮酸が挙げられる。
水溶性(メタ)アクリル系樹脂として、スチレンとアクリル酸の共重合物が好ましい。
水溶性(メタ)アクリル系樹脂の好ましい質量平均分子量は、5000以上50万以下であり、より好ましくは6000以上20万以下であり、さらに好ましくは7500以上15万以下である。質量平均分子量が大きすぎるとセラミックス粉末間を分散剤である水溶性(メタ)アクリル系樹脂が橋渡ししてセラミックス粉末が凝集してしまうので好ましくない。質量平均分子量が小さすぎると、分散剤分子の立体障害による反発効果が得られにくくなるため好ましくない。質量平均分子量は、分子量が既知のポリスチレンを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
水溶性(メタ)アクリル系樹脂としては、市販品を好適に使用することができる。水溶性(メタ)アクリル系樹脂として、和光純薬工業株式会社製ポリアクリル酸(以下、PAAと称す。)(質量平均分子量(以下、Mwと称す。)=5000)、和光純薬工業株式会社製PAA(Mw=25万)、和光純薬工業株式会社製PAA(Mw=100万)、株式会社日本触媒製PAANa塩(Mw=5500)、株式会社日本触媒製アクリル酸/マレイン酸共重合体塩、株式会社日本触媒製アクリル酸/スルホン酸系モノマー共重合体塩、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−52J、Mw=1,700)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−57J、Mw=4,900)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−60J、Mw=8,500)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−63J、Mw=12,500)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−70J、Mw=16,500)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−JDX−6180、Mw=14,000)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−HPD−196、Mw=9,200)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−HPD−96J、Mw=16,500)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−6137A、Mw=16,500)、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−6610、Mw=8,500)、アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−JDX−6500、Mw=10,000)、アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−6102B、Mw=60,000)、アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−PDX−6124、Mw=60,000)が挙げられる。
スラリー中の各成分の好ましい配合比は、セラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションの合計質量を100質量部とした場合に、セラミックス粉末は70質量部以上99質量部以下が好ましく、80質量部以上98質量部以下がより好ましい。ポリビニルアルコールは、1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。(メタ)アクリル系エマルションは、1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。
また水溶性(メタ)アクリル系樹脂を併用する場合のスラリー中の各成分の好ましい配合比は、セラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水溶性(メタ)アクリル系樹脂の合計質量を100質量部とした場合に、セラミックス粉末は70質量部以上99質量部以下が好ましく、80質量部以上98質量部以下がより好ましい。ポリビニルアルコールは1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。(メタ)アクリル系エマルションは、1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。水溶性(メタ)アクリル系樹脂0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.2質量部以上2質量部以下がより好ましい。水溶性(メタ)アクリル系樹脂が5質量部を超えると、スラリーの泡立ちが激しくなり、塗工時に気泡によるピンホール発生を起こし易くなる。
水は、蒸留水やイオン交換水など、不純物を取り除いた水が好ましい。
ポルビニルアルコールは、スラリー中の分散性に優れる一方で、単独で保護層用結着剤として使用すると強度が小さい場合がある。例えばポリビニルアルコールのみで保護層用結着剤を形成すると、充放電時に膨張収縮する珪素系材料を負極活物質として用いた場合、充放電時の負極活物質の膨張収縮によって保護層が負極活物質から剥離しやすい。また(メタ)アクリル系エマルションのみで保護層用結着剤を形成しようとすると、強度は高いが、スラリー中の分散性が不足し、均一な保護膜が得られない場合がある。
ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションを併用することによって、スラリー中でセラミックス粉末が分散しやすくなり、かつ形成された保護層と負極活物質層との密着性を向上させることができる。
保護層の厚みは、2μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上8μm以下がより好ましく、3μm以上7μm以下が特に好ましい。保護層の厚みが薄すぎると、リチウムイオン二次電池の短絡防止の効果を発揮できないおそれがある。保護層の厚みが厚すぎると、電池全体において保護層が占める割合が増加するためにリチウムイオン二次電池の体積又は質量あたりの充放電容量が低下するおそれがある。
この負極活物質層へ保護層を配置する方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法で負極活物質層へ保護層を配置できる。保護層の材料を水に分散させてスラリーを作成し、そのスラリーを負極活物質層上に塗布し、塗布後に加熱乾燥することによって負極活物質層に保護層を配置することができる。
保護層の材料を水に分散させるには、ミキサーを用いた湿式分散法を用いるのが好ましい。ミキサーは市販品を用いることができる。セラミックス粉末の平均粒径D50は1μm以下が好ましい。このような微細なセラミックス粉末を水に分散させるには、ミキサーなどを用いる方がセラミックス粉末を均一に分散させやすい。分散条件としては、例えば塗料の分散に用いられる分散条件が好適に用いられる。
またポリビニルアルコールを水に溶かした水溶液にセラミックス粉末を分散させてから(メタ)アクリル系エマルションを混合してスラリーを形成するのが好ましい。また水溶性(メタ)アクリル系樹脂を併用する場合は、水溶性(メタ)アクリル系樹脂を水に溶かした水溶液にセラミックス粉末を分散させてからポリビニルアルコール及び(メタ)アクリル系エマルションを混合してスラリーを形成するのが好ましい。保護層の材料を一度に全て水に分散させるよりも、この方法を取ることで、セラミックス粉末を水中で細かく分散することができ、ゲル化することなく安定性の高いスラリーが作製しやすい。
スラリー中における固形分濃度は20質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。固形分濃度が上記範囲にあれば、スラリー中に固形分材料が分散しやすい。
スラリーの塗布方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。
加熱乾燥により、スラリーから水を蒸発させ、かつ(メタ)アクリル系エマルションを架橋させて硬化させる。加熱乾燥温度は、水を蒸発させることができる温度で、かつ使用する(メタ)アクリル系エマルションの最低造膜温度よりも高い温度であることが好ましい。加熱乾燥条件は、使用する(メタ)アクリル系エマルションによって異なるが、例えば、加熱温度は50℃〜200℃が好ましく、加熱時間は2分〜20分が好ましい。保護層の形成は減圧下で行ってもよい。
図1に本実施形態の負極を説明する模式図を示す。図1において、集電体1の上に負極活物質層4が配置され、負極活物質層4の表面に保護層5が配置されている。負極活物質層4において負極活物質3が結着剤2によって結着されている。
図1に示す保護層5において、複数のセラミックス粉末51は負極活物質層4の表面の凹凸に沿って配置され、保護層用結着剤52はセラミックス粉末51同士及び保護層5と負極活物質層4とを結着する。セラミックス粉末51間には、細孔6が形成される。この保護層用結着剤52には、ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系樹脂硬化物が含まれる。
<負極>
本発明の負極は、集電体と、集電体の表面に配置され、負極活物質を有する負極活物質層と、負極活物質層の表面に配置された保護層とからなり、保護層は、セラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系樹脂硬化物とを含み、保護層において保護層を100質量%としたときのセラミックス粉末の含有量は70質量%以上99質量%以下であり、セラミックス粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下であることを特徴とする。
セラミックス粉末の平均粒径D50は、200nm以上900nm以下であることがより好ましく、300nm以上800nm以下であることが特に好ましい。セラミックス粉末の平均粒径D50が大きすぎると、保護層の厚みが所望の厚みより大きくなってしまう。またセラミックス粉末の平均粒径D50が大きすぎると、保護層形成時にセラミックス粉末がスラリー中で沈降しやすくなり、分散しにくくなる。セラミックス粉末の平均粒径D50が小さすぎると、保護層作成時にセラミックス粉末が負極活物質層の中に入り込むおそれがある。
保護層において保護層を100質量%としたときのセラミックス粉末の含有量は、80質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。保護層に含まれるセラミックス粉末が少なすぎると、保護層の絶縁性と耐熱性が低下するおそれがある。また保護層に含まれるセラミックス粉末が多すぎるとセラミックス粉末間に細孔が少なくなるおそれがある。セラミックス粉末間に細孔が少なくなると、保護層のイオン伝導性が低下して、電池容量を確保しにくくなるおそれがある。更に、保護層中においてセラミック粉末が多くなると結着剤が少なくなることになり、セラミックス粉末同士の密着性の低下及び負極活物質層と保護層との密着性の低下に繋がるおそれがある。
本発明の負極において負極活物質層の表面に絶縁性と耐熱性を兼ね備えた保護層が配置されることとなる。そのためこの保護層を有する負極を用いるリチウムイオン二次電池は、高温下でも内部短絡が抑制され、安全性が高まる。セラミックス粉末を含む保護層において、セラミックス粉末間に細孔が形成される。細孔を有する保護層はイオン伝導性を有する。そのためこの保護層を有する負極を用いるリチウムイオン二次電池において保護層は大きな抵抗とはならない。言い換えると、保護層を有する負極を用いるリチウムイオン二次電池において、保護層による著しい電池容量の低下は起こらない。
(メタ)アクリル系樹脂硬化物は強度が高く、さらに負極活物質層と保護層とを良好に結着させ、かつ保護層中のセラミックス粉末間を良好に結着させる。
ポリビニルアルコールは、多数の水酸基を有し、セラミックス粉末、負極活物質或いは結着剤などの表面に存在する極性官能基と水素結合で吸着しやすい。
ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系樹脂硬化物を併用することによって、保護層と負極活物質層との密着性を向上させることができる。
集電体、負極活物質層、保護層、セラミックス粉末、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル系樹脂硬化物の説明は上記で説明したものと同様である。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記負極を有する。本発明のリチウムイオン二次電池は、電池構成要素として、正極、負極、セパレータ、電解液を有する。
(正極)
正極は、集電体と、集電体に配置された正極活物質層とを有する。集電体は上記で説明したものと同様のものが使用できる。
正極活物質層は、正極活物質を含み、必要に応じて結着剤、導電助剤をさらに含む。結着剤及び導電助剤は上記で説明したものと同様のものが使用できる。
正極活物質としては、リチウム含有化合物あるいは他の金属化合物よりなるものを用いることができる。リチウム含有化合物としては、例えば、層状構造を有するリチウムコバルト複合酸化物、層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、一般式: LiCoNiMn(Dは、Al、Mg、Ti、Sn、Zn、W、Zr、Mo、Fe及びNaから選択される少なくとも一種、p+q+r+s=1、0<p<1、0≦q<1、0≦r<1、0≦s<1、0.8≦a<2.0、−0.2≦x−(a+p+q+r+s)≦0.2)で表される層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物、一般式:LiMPOで示されるオリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:LiMPOFで示されるフッ化オリビン型リチウムリン酸複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)、一般式:LiMSiOで示されるケイ酸塩系型リチウム複合酸化物(MはMn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも一種)を用いることができる。また他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム若しくは二酸化マンガンなどの酸化物、又は硫化チタン若しくは硫化モリブデンなどの硫化物が挙げられる。
正極活物質は、化学式:LiMO(MはNi、Co及びMnから選択される少なくとも1つである)で表されるリチウム含有酸化物よりなることが好ましく、さらに上記した層状構造を有するリチウムコバルト含有複合金属酸化物よりなることが好ましい。
リチウム含有酸化物としては、例えば、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiCoO、LiNi0.8Co0.2、LiCoMnOを用いることができる。中でもLiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3は、熱安定性の点で好ましい。
正極活物質はその平均粒径D50が1μm〜20μmである粉末形状であることが好ましい。正極活物質の平均粒径D50が小さいと、正極活物質の比表面積が大きくなる。このため、正極活物質の平均粒径D50が小さすぎると正極活物質と電解液との反応面積が過度に増えることになり、その結果、電解液の分解が促進されて、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が悪くなるおそれがある。正極活物質の平均粒径D50が大きすぎるとリチウムイオン二次電池の抵抗が大きくなり、リチウムイオン二次電池の出力特性が下がるおそれがある。平均粒径D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径のことである。つまり、平均粒径D50とは、体積基準で測定したメディアン径を意味する。
(セパレータ)
セパレータは正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータは、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、又はセラミックス製の多孔質膜が使用できる。
(電解液)
電解液は、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質とを含んでいる。
溶媒として、例えば、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類が使用できる。環状エステル類として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンが使用できる。鎖状エステル類として、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステルが使用できる。エーテル類として、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンが使用できる。
また上記電解液に溶解させる電解質として、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を使用することができる。
電解液として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/lから1.7mol/l程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極用集電体および負極用集電体から外部に通ずる正極タブ部および負極タブ部までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されればよい。
上記リチウムイオン二次電池は車両に搭載することができる。
車両としては、電池による電気エネルギーを動力源の全部又は一部に使用する車両であればよく、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、電動フォークリフト、電気車椅子、電動アシスト自転車、電動二輪車が挙げられる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
<保護層形成の準備>
セラミックス粉末として、Al粉末(住友大阪セメント株式会社製、平均粒径D50:650nm)を準備した。
ポリビニルアルコール(以下、PVAと称すときもある。)として、日本酢ビ・ポバール株式会社製、Mw=2,300、ケン化度97mol%を準備し、蒸留水に溶解させ不揮発分:10.0%の水溶液を調整した。
(メタ)アクリル系エマルションとして、BASFジャパン株式会社製Joncryl−537J、BASFジャパン株式会社製Joncryl−PDX−7430を準備した。BASFジャパン株式会社製Joncryl−537J、Joncryl−PDX−7430の物性などは以下の通りである。
Joncryl−537J:不揮発分:46.0%、粘度:150(mPa・s)、pH:8.8、固形分酸価:40(mgKOH/g)、Tg:49℃、最低造膜温度:42℃、平均粒径:0.07μm、分子量(MW):>2×10、比重:1.05(g/cc)
Joncryl−PDX−7430:常温自己架橋タイプ,不揮発分:38.0%、粘度:50(mPa・s)、pH:8.0、固形分酸価:21(mgKOH/g)、Tg:34℃、最低造膜温度:44℃、平均粒径:0.12μm、分子量(MW):>2×10、比重:1.04(g/cc)
水溶性(メタ)アクリル系樹脂として、スチレン−アクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−63J、Mw=12,500)を準備した。
<保護層形成用スラリーの作製>
(保護層形成用スラリーA)
蒸留水1079質量部をステンレス容器に秤量し、水溶性(メタ)アクリル系樹脂であるスチレンーアクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−63J)を20.2質量部入れて、スチレンーアクリル共重合体を蒸留水に溶解した。この水溶液にAl粉末540質量部を添加し、ホモディスパー(プライミクス株式会社製)で回転数1500rpmで60分攪拌して、Al粉末を分散させた分散液を得た。この分散液に、自己架橋性基を有する(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製Joncryl−PDX−7430)79.8質量部と、ポリビニルアルコール水溶液(不揮発分:10.0%)303.4質量部を添加し、ホモディスパーで回転数1500rpmで更にそのまま60分間攪拌して、保護層形成用スラリーAを得た。保護層形成用スラリーAの固形分濃度は30質量%であった。
(保護層形成用スラリーB)
蒸留水1064質量部、スチレンーアクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−63J)の添加量を4.0質量部、自己架橋性基を有する(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製Joncryl−PDX−7430)86.2質量部と、ポリビニルアルコール水溶液(不揮発分:10.0%)327.6質量部とした以外は保護層形成用スラリーAと同様にして保護層形成用スラリーBを得た。保護層形成用スラリーBの固形分濃度は30質量%であった。
(保護層形成用スラリーC)
蒸留水1152質量部、スチレンーアクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−63J)の添加量を101.1質量部、自己架橋性基を有する(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製Joncryl−PDX−7430)47.9質量部と、ポリビニルアルコール水溶液(不揮発分:10.0%)182質量部とした以外は保護層形成用スラリーAと同様にして保護層形成用スラリーCを得た。保護層形成用スラリーCの固形分濃度は30質量%であった。
(保護層形成用スラリーD)
蒸留水1076質量部をステンレス容器に秤量し、ポリビニルアルコール水溶液(不揮発分:10.0%)333.7質量部入れて、ポリビニルアルコールを蒸留水に溶解した。この水溶液にAl粉末540質量部を添加し、ホモディスパー(プライミクス株式会社製)で回転数1500rpmで60分攪拌して、Al粉末を分散させた分散液を得た。この分散液に自己架橋性基を有さない(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製Joncryl−537J)72.5質量部を添加し、ホモディスパーで回転数1500rpmで更にそのまま60分間攪拌して、保護層形成用スラリーDを得た。保護層形成用スラリーDの固形分濃度は30質量%であった。
(保護層形成用スラリーE)
蒸留水815質量部、(メタ)アクリル系エマルションを添加しないこと、及びポリビニルアルコール水溶液(不揮発分:10.0%)の添加量を667.4質量部としたこと以外は保護層形成用スラリーDと同様にして保護層形成用スラリーEを得た。保護層形成用スラリーEの固形分濃度は30質量%であった。
(保護層形成用スラリーF)
蒸留水1260質量部、PVAと(メタ)アクリル系エマルションとを添加しないこと、及びスチレンーアクリル共重合体(BASFジャパン株式会社製、品番:Joncryl−63J)の添加量を222.5質量部としたこと以外は保護層形成用スラリーAと同様にして保護層形成用スラリーFを得た。保護層形成用スラリーFの固形分濃度は30質量%であった。
(保護層形成用スラリーG)
蒸留水1061質量部、スチレンーアクリル酸共重合体を添加しないこと、自己架橋性基を有する(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製Joncryl−PDX−7430)87.8質量部、及びポリビニルアルコール水溶液(不揮発分:10.0%)333.7質量部としたこと以外は保護層形成用スラリーAと同様にして保護層形成用スラリーGを作製しようとしたが、ゲル化してスラリーが得られなかった。
(保護層形成用スラリーH)
蒸留水1307質量部をステンレス容器に秤量し、自己架橋性基を有する(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製Joncryl−PDX−7430)175.6質量部を入れて(メタ)アクリル系エマルションを蒸留水で希釈した。この(メタ)アクリル系エマルションにAl粉末540質量部を添加し、ホモディスパー(プライミクス株式会社製)で回転数1500rpmで60分攪拌して、保護層形成用スラリーHを作製しようとしたが、ゲル化してスラリーが得られなかった。
(保護層形成用組スラリーI)
蒸留水1338質量部をステンレス容器に秤量し、自己架橋性基を有さない(メタ)アクリル系エマルション(BASFジャパン株式会社製Joncryl−537J)145.1質量部を入れて(メタ)アクリル系エマルションを蒸留水で希釈した。この(メタ)アクリル系エマルションにAl粉末540質量部を添加し、ホモディスパー(プライミクス株式会社製)で回転数1500rpmで60分攪拌して、保護層形成用スラリーIを作製しようとしたが、ゲル化してスラリーが得られなかった。
表1に各配合比をまとめて表す。また自己架橋性基を有する(メタ)アクリル系エマルションを自己架橋(メタ)アクリル系エマルション、自己架橋性基を有さない(メタ)アクリル系エマルションを非自己架橋(メタ)アクリル系エマルションと記す。
Figure 2017033871
<分散性試験>
保護層形成用スラリーA〜Iを作製したあと、蒸留水で測定可能濃度まで希釈し、スラリー中の各Al粉末の粒子径をレーザー回析法による粒度分布測定を行って求めた。粒子径がD90において5μm以下であれば、分散性が○と判定した。また5μmより大きな粒子が見られた場合は△と判定した。また分散していないまたはゲル化した場合は×と判定した。結果を表2に示す。
<保護層形成用スラリーの保存安定性の検討>
保護層形成用スラリーA〜Iを各サンプル瓶に入れて常温で3日間静置した。その後目視で沈殿があるかどうかを確認した。沈殿がなかったものを○、一部沈殿が観察されたものを△、水相と固相に分離してしまったものを×と判定した。また保存安定性が△と判定されたものであっても実用的には全く問題ないことを確認した。結果を表2に示す。
<塗工性試験>
各スラリーを、下記の方法で作製した負極活物質層が形成された銅箔にドクターブレードを用いて一定量塗布し、その塗工ムラを目視で観察した。塗工ムラがみられなかったものを○、塗工ムラが観察されたものを△と判定した。結果を表2に示す。
Figure 2017033871
表2の結果から、保護層形成用スラリーA〜Fは、分散性、保存安定性、塗工性に優れていることがわかった。また保護層形成用スラリーH及びIは分散性が悪くスラリーとして使用することができなかった。このことから自己架橋(メタ)アクリル系エマルションでも非自己架橋(メタ)アクリル系エマルションでも(メタ)アクリル系エマルションのみを保護層用結着剤として使用するのは難しいことがわかった。また保護層形成用スラリーGは自己架橋(メタ)アクリル系エマルションとPVAとを併せて使用したが、分散性が悪くスラリーとして使用することができなかった。保護層形成用スラリーA〜Cの結果から、自己架橋(メタ)アクリル系エマルションは水溶性(メタ)アクリル系樹脂を更に併用することでスラリーとして使用することができるようになることがわかった。保護層形成用スラリーDの結果から、非自己架橋(メタ)アクリル系エマルションはPVAと併用すれば、分散性、保存安定性、塗工性に優れることがわかった。
<リチウムイオン二次電池の作製>
保護層形成用スラリーA〜Fを用いてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池)
負極活物質として、平均粒径D50が5μmのSiO及び天然黒鉛(平均粒径D50が20μmのSMG(日立化成工業株式会社製)以下、SMGと称す。)を準備した。結着剤としてポリアミドイミド樹脂(以下、PAIと称す。)(荒川化学工業株式会社製)を準備した。導電助剤としてアセチレンブラック(以下、ABと称す。)を準備した。
SiO/SMG/AB/PAI=58/24.5/6.5/11(質量比)の割合で混合して混合物とした。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと称す。)に分散させて、スラリーを作製した。
このスラリーを負極用集電体である厚み20μmの銅箔にドクターブレードを用いて膜状になるように塗布した。この時、負極活物質層の密度は1.1g/cmとなるようにした。ここでいう負極活物質層の密度は、負極活物質層の質量(g)÷((負極活物質層の厚み(cm))×(負極活物質層の面積(cm)))の式から算出した。スラリーを塗布した集電体を乾燥後プレスし、接合物を得た。接合物を200℃で2時間、真空乾燥機で加熱乾燥して、負極活物質層が形成された銅箔を得た。これを負極Aとした。負極Aの負極活物質層の厚みは44μmであった。負極Aに保護層形成用スラリーAをアプリケーターを用いて塗布した。スラリーを塗布した負極Aを100℃で6時間、真空乾燥機で加熱乾燥して、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、実施例1の負極とした。実施例1の負極の保護層の厚みは5μmであった。
ここで保護層の厚みは、実施例1の負極の厚みから負極Aの厚みを引くことで求めた。各負極の厚みは、各負極を5mm間隔で10点測定した結果の平均値とした。
正極は以下のように作製した。正極活物質として平均粒径D50が5μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.3と導電助剤としてABと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと称す。)とを、それぞれ94質量部、3質量部、3質量部として混合し混合物とした。この混合物を適量のNMPに分散させて、スラリーを作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。集電体にスラリーをのせ、ドクターブレードを用いてスラリーが膜状になるように塗布した。得られたシートを100℃で15分間乾燥してNMPを揮発させて除去した。その後、ロ−ルプレス機により、集電体と集電体上の塗布物を強固に密着接合させた。この時、正極活物質層の密度は3.1g/cmとなるようにした。正極活物質層の密度は、正極活物質層の質量(g)÷((正極活物質層の厚み(cm))×(正極活物質層の面積(cm)))の式より算出した。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱した。加熱後の接合物を、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、正極とした。正極活物質層の厚さは81μm程度であった。
上記正極及び実施例1の負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極及び実施例1の負極の間に、セパレータを挟装して極板群とした。セパレータとして、ポリプロピレン樹脂/ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂の3層多孔質膜構造で、正極側及び負極側の両面にアルミナがコートされた矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を用いた。
この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに非水電解液を注入した。非水電解液としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)をFEC:EC:EMC:DMC=0.4:2.6:3:4(体積比)で混合した溶媒にLiPF6を1mol/lとなるように溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群及び非水電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極及び負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で、実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池)
保護層形成用スラリーAの代わりに保護層形成用スラリーBを用いて実施例2の負極を作製し、実施例2の負極を用いた以外は実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池と同様にして実施例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池)
保護層形成用スラリーAの代わりに保護層形成用スラリーCを用いて実施例3の負極を作製し、実施例3の負極を用いた以外は実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池と同様にして実施例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例4のラミネート型リチウムイオン二次電池)
保護層形成用スラリーAの代わりに保護層形成用スラリーDを用いて実施例4の負極を作製し、実施例4の負極を用いたた以外は実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池と同様にして実施例4のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池)
保護層形成用スラリーAの代わりに保護層形成用スラリーEを用いて比較例1の負極を作製し、比較例1の負極を用いた以外は実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池と同様にして比較例1のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池)
保護層形成用スラリーAの代わりに保護層形成用スラリーFを用いて比較例2の負極を作製し、比較例2の負極を用いた以外は実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池と同様にして比較例2のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池)
負極として負極Aを用いた以外は実施例1のラミネート型リチウムイオン二次電池と同様にして比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。
<充放電容量測定>
実施例1〜4及び比較例1〜3のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量を測定した。充電は、25℃において0.33Cレート、電圧4.5VでCCCV充電(定電流定電圧充電)、CV時間2.5時間をした。放電の際は2.5Vまで、0.33CレートでCCCV放電(定電流定電圧放電)、CV時間2.5時間を行った。この時の放電容量を測定し、初期容量とした。比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量と実施例1〜4及び比較例1〜2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量とを比較し、実施例1〜4及び比較例1〜2のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量が比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池の初期容量の95%以上であれば初期容量が低下しなかったと判断し、○とした。結果を表3に示す。
<密着性判定>
充放電容量を測定後の実施例1〜4及び比較例1〜2のラミネート型リチウムイオン二次電池を解体して負極の保護層が剥離しているかどうかを目視で確認した。保護層が剥離していなかったものを○とし、保護層が一部剥離したものを△とした。結果を表3に示す。
Figure 2017033871
表3の結果から、実施例1〜4のラミネート型リチウムイオン二次電池は、密着性に優れており、かつ初期容量も保護層がない負極を用いた比較例3のラミネート型リチウムイオン二次電池に対して遜色がないものであることがわかった。
表2及び表3の結果から、PVAのみを保護層用結着剤として用いた保護層形成用スラリーE及び水溶性(メタ)アクリル系樹脂のみを保護層用結着剤として用いた保護層形成用スラリーFでは、分散性、保存安定性、塗工性に問題はなかったが、保護層の密着性がないことがわかった。このことから密着性を保護層に持たせるために、(メタ)アクリル系エマルションが必要であることがわかった。
このことからセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して形成された保護層を用いることで、密着性に優れる保護層を有する負極とすることができることがわかった。
1:集電体、2:結着剤、3:負極活物質、4:負極活物質層、5:保護層、51:セラミックス粉末、52:保護層用結着剤、6:細孔。

Claims (9)

  1. 集電体に負極活物質を有する負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程と、
    前記負極活物質層の表面にセラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系エマルションと水とを含むスラリーを加熱乾燥して保護層を形成する保護層形成工程とを有することを特徴とする負極の製造方法。
  2. 前記(メタ)アクリル系エマルションは自己架橋性基を有し、かつ前記スラリーはさらに水溶性(メタ)アクリル系樹脂を含む請求項1に記載の負極の製造方法。
  3. 前記(メタ)アクリル系エマルションは自己架橋性基を有さず、かつ前記スラリーは水溶性(メタ)アクリル樹脂を有さない請求項1に記載の負極の製造方法。
  4. 前記保護層において前記保護層を100質量%としたときの前記セラミックス粉末の含有量は70質量%以上99質量%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の負極の製造方法。
  5. 前記セラミックス粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の負極の製造方法。
  6. 前記負極活物質は珪素系材料を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の負極の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で製造された負極を用いるリチウムイオン二次電池の製造方法。
  8. 集電体と、
    該集電体の表面に配置され、負極活物質を有する負極活物質層と、
    該負極活物質層の表面に配置された保護層とからなり、
    該保護層は、セラミックス粉末とポリビニルアルコールと(メタ)アクリル系樹脂硬化物とを含み、
    前記保護層において前記保護層を100質量%としたときの前記セラミックス粉末の含有量は70質量%以上99質量%以下であり、
    前記セラミックス粉末の平均粒径D50は100nm以上1μm以下であることを特徴とする負極。
  9. 請求項8に記載の負極を有するリチウムイオン二次電池。
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