WO2011068097A1 - 二次電池用負極及びこれを用いた二次電池 - Google Patents

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Abstract

 サイクル寿命をはじめ、二次電池の入出力特性を十分に向上させることができるとともに、放電容量、初期効率、容量維持率、及び信頼性(安全性)を含むHEV用などの車載用途に要求される実用特性を備えた二次電池用の負極を提供する。 負極活物質をバインダーで一体化した活物質層を備えた二次電池用の負極であって、前記負極活物質が、石炭系又は石油系のいずれか1以上の生コークスと、石炭系又は石油系のいずれか1以上のか焼コークスとが質量比で90:10~10:90に配合されると共に、前記生コークスとか焼コークスの合計量100質量部に対して、リン化合物を必須としてリン化合物、又はリン化合物及びホウ素化合物が添加されたコークス材料を焼成してなり、前記バインダーがポリイミド樹脂である二次電池用負極である。

Description

二次電池用負極及びこれを用いた二次電池
 本発明は、二次電池用の負極、及びそれを用いた二次電池に関する。
 二次電池のひとつであるリチウム二次電池は、他の二次電池と比較して高いエネルギー密度を有することから、小型化・軽量化が可能であるため、携帯電話、パソコン、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)およびハンディビデオカメラ等の移動電子機器の電源として多く利用されており、今後もその需要は益々高くなると予想されている。
 また、エネルギー問題や環境問題に対応するために、電気自動車やニッケル水素電池駆動のモーターとガソリンエンジンとを組み合わせたハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)のほか、電力貯蔵用蓄電池への需要が高まっており、リチウム二次電池の更なる高性能化(特にサイクル特性及び出力特性)が要求されている。
 リチウム二次電池は、負極材(負極活物質)として、安全性および寿命の面で優れる炭素材料が一般に用いられる。炭素材料のなかでも黒鉛材料は、少なくとも2000℃程度以上、通常は2600~3000℃程度の高温で得られる高エネルギー密度を持つ優れた材料であるが、高入出力特性やサイクル特性に課題を有している。このため、例えば電力貯蔵用や電気自動車等の高入出力用途には、黒鉛材料よりも低い温度で焼成され、黒鉛化度の低い低結晶炭素材料の利用が主に研究されている。
 近年においては、ハイブリッド電気自動車のさらなる高性能化の観点から、リチウム二次電池に対してもさらなる高性能化が求められており、その性能の向上が急務となっている。特にリチウム二次電池の特性としては、負極電極側の電位を十分に低減して実電池電圧を向上させ、十分に高い出力特性を呈することが要求される。
 また、ハイブリッド電気自動車のエネルギー源である電流を十分に供給できるように、リチウム二次電池の放電容量が重要な特性として上げられる。加えて、充電電流量に比較して放電電流量が十分に高くなるように、放電容量に対する充電容量の割合、すなわち初期効率が高いことも要求される。
 さらに、短時間での充電を可能とすべく、リチウム二次電池は高電流密度まで高い充電容量を維持することが好ましく、容量維持率が高いことも要求されている。
 すなわち、この様な出力特性、放電容量、初期効率、容量維持率等の特性をバランス良く高めることが要求される。
 この様なリチウム二次電池を目的として、負極材としてコークスや黒鉛等の炭素材料が多く検討されているが、上述した放電容量を増大させることはできるものの、初期効率は十分でない。また、実電池電圧が不十分であって、近年の高出力特性や容量維持率の要件を満足することができない。
 例えば、特許文献1には、インターカレーション又はドーピングを利用した負極材として、有機化合物の熱分解又は焼成炭化により得られる特定の比表面積及びX線回折結晶厚み等を規定した炭素質材料が開示されているが、HEV用などの車載用途においては未だ不十分であった。
 また、特許文献2には、負極材としてか焼されたコークスを原料として不活性雰囲気下、熱処理をすることにより不純物を除去することで、リサイクル特性に優れた比較的高い放電容量を有する炭素材料が開示されているが、HEV用などの車載用途において出力特性等の面で十分でなかった。
 特許文献3には、黒鉛類似構造を有する炭素質などに特定の被覆層を設けて熱処理して得られる炭素質材料を負極材として用いることが開示され、特許文献4には、負極材として低温で熱処理されたコークスを原料として不活性雰囲気下、熱処理をすることにより、より高度に不純物を除去することで、比較的高い放電容量を有する炭素材料が開示されているが、いずれもやはりHEV用などの車載用途において十分な電池特性を有するものではなかった。
 また、特許文献5には、石油又は石炭の生コークスを500~850℃にて熱処理した熱処理コークスを負極材とすることで、充・放電容量の大きなリチウム二次電池を供給しうることが開示されているが、HEV用などの車載用途において出力特性の面で十分でなかった。
 以上のようなコークス等を原料とした低結晶炭素材料のリチウム二次電池用負極材の研究は殆んどが小型携帯機器用電源としての二次電池用負極材の特性改善に向けられていて、HEV用二次電池に代表される大電流入出力リチウム二次電池用に適した充分な特性を有する負極材が開発されていなかったのが実情である。
 他方、有機材料又は炭素質材料に、各種化合物を添加して電池特性を向上させることも検討されている。
 例えば、特許文献6には、有機材料又は炭素質材料にリン化合物を添加して炭素化することにより得られる負極材が開示され、特許文献7には、ホウ素及びケイ素を含有する炭素材料を黒鉛化して得られる負極材が開示されているが、いずれも、上記と同様に、HEV用などの車載用途において出力特性等の面で実用化には未だ十分ではない。
 一方で、活物質等を結着する機能を持つ樹脂バインダー(結着剤)は、活物質同士を接着すると共に、負極を形成する集電体と活物質とを接着させる役割を担うものであり、これまでPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が主に使用されてきた。ところが、このPVDFでは、活物質同士及び集電体との接着性の点で劣ることからか、サイクル寿命が短くなるという問題があった。また、短絡等により電池温度が異常に上昇すると、PVDFが分解してHF(フッ化水素)が発生し、このHFがLiと激しく反応(発熱反応)するため、電池が破損、破裂する恐れがあり、信頼性の点でも問題があった。
 このような問題を解決するために、特許文献8において、ポリイミド樹脂をバインダーとして使用しているが、この特許文献8では、大電流を入出力するリチウム二次電池に適した充分な入出力特性を有するかどうかは言及されていない。
特開昭62-90863号公報 特開平1-221859号公報 特開平6-5287号公報 特開平8-102324号公報 特開平9-320602号公報 特開平3-137010号公報 特開平11-40158号公報 特許第3311402号公報
 本発明は、新規な負極活物質をポリイミド樹脂で結着させることで、サイクル寿命をはじめ、二次電池の入出力特性を十分に向上させることができるとともに、放電容量、初期効率、容量維持率、及び信頼性(安全性)を含むHEV用などの車載用途に要求される実用特性を備えた二次電池用の負極を得ることを目的とする。
 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、石炭系及び/又は石油系(以下、石炭系等という)生コークスと、前記石炭系等か焼コークスとが所定の割合で配合されると共に、i)リン化合物又はii)リン化合物及びホウ素化合物を含んだコークス材料を焼成して負極活物質を形成し、これをポリイミド樹脂で一体化してなる活物質層を備えた二次電池用の負極とすることで、リチウム二次電池の負電極の電位を十分に低減して実電池電圧を向上させることができ、サイクル寿命をはじめ、入出力特性、放電容量、初期効率及び容量維持率などの車載用途に要求される実用特性を発現できることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、負極活物質をバインダーで一体化した活物質層を備えた二次電池用の負極であって、前記負極活物質が、石炭系又は石油系のいずれか1以上の生コークスと、石炭系又は石油系のいずれか1以上のか焼コークスとが質量比で90:10~10:90に配合されると共に、前記生コークスとか焼コークスの合計量100質量部に対して、リン化合物を0.1~6.0質量部の割合で添加されたコークス材料を焼成してなり、前記バインダーが、ポリイミド樹脂であることを特徴とする二次電池用負極である。
 また、本発明は、負極活物質をバインダーで一体化した活物質層を備えた二次電池用の負極であって、前記負極活物質が、石炭系又は石油系のいずれか1以上の生コークスと、石炭系又は石油系のいずれか1以上のか焼コークスとが質量比で90:10~10:90に配合されると共に、前記生コークスとか焼コークスの合計量100質量部に対して、リン化合物及びホウ素化合物が、リン及びホウ素換算で各々0.1~6.0質量部の割合で添加されたコークス材料を焼成してなり、前記バインダーが、ポリイミド樹脂であることを特徴とする二次電池用負極でもある。
 また、本発明は、上記負極を用いて得た二次電池である。
 なお、本発明において、石炭系又は石油系のいずれか1以上の生コークスを“石炭系等生コークス”とまとめて呼ぶことがあるが、これは石油系及び/又は石炭系重質油を例えばディレードコーカー等のコークス化設備を用い、最高到達温度が400℃~800℃程度の温度で24時間程度、熱分解・重縮合反応を実施して得たものを意味する。また、同様に石炭系又は石油系のいずれか1以上のか焼コークスを“石炭系等か焼コークス”とまとめて呼ぶことがあるが、これは石炭系等生コークスに対してか焼処理を施したものを意味し、最高到達温度が800℃~1500℃程度でか焼した石油系及び/又は石炭系のコークスを意味する。
 本発明によれば、サイクル寿命をはじめ、二次電池の入出力特性を十分に向上させることが出来るとともに、放電容量、初期効率、容量維持率、及び信頼性(安全性)を含むHEV用などの車載用途に要求される実用特性を備えた、性能バランスに優れた二次電池用の負極を提供することが出来る。
 以下、本発明を、二次電池用負極の実施の形態に基づいて、より詳細に説明する。
 先ず、本発明における負極活物質については、最初に、石炭系等重質油を例えばディレードコーカー等のそれぞれ適宜のコークス化設備を用い、最高到達温度が400℃~800℃程度の温度で24時間程度、熱分解・重縮合反応を進めることによって石炭系等生コークスを得る。その後、得られた石炭系等生コークスの塊を所定の大きさに粉砕する。粉砕には、工業的に用いられる粉砕機を使用することができる。具体的にはアトマイザー、レイモンドミル、インペラーミル、ボールミル、カッターミル、ジェットミル、ハイブリダイザー等を挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。
 ここで使用される石炭系等重質油は、石油系重質油であっても石炭系重質油であっても構わないが、石炭系重質油の方が芳香族性に富んでおり、S、V、Fe等の不純物が少なく、揮発分も少ないため、石炭系重質油を使用する方が好ましい。
 また、上記のようにして得た石炭系等生コークスを最高到達温度800℃~1500℃でか焼して石炭系等か焼コークスを製造する。好ましくは1000℃~1500℃、より好ましくは1200℃~1500℃の範囲である。石炭系等生コークスの焼成には、大量熱処理が可能なリードハンマー炉、シャトル炉、トンネル炉、ロータリーキルン、ローラーハースキルンあるいはマイクロウェーブ等の設備を用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。また、これらの焼成設備は、連続式およびバッチ式のどちらでもよい。次いで、得られた石炭系等か焼コークスの塊を、上記同様に、工業的に用いられるアトマイザー等の粉砕機を用いて所定の大きさに粉砕する。
 なお、粉砕後の石炭系等生コークス粉、及び石炭系等か焼コークス粉の大きさは特に限定されるものではないが、メジアン径として求められる平均粒子径が5~50μmであるのが好ましく、より好ましくは5~15μmであり、このとき、BET比表面積が5m/g以下であるのが好ましく、より好ましくは1m/g以下であるのが良い。平均粒子径が5μmを下回ると比表面積が過度に増加するおそれがあり、一方、平均粒子径が50μmを上回ると充放電特性が低下するおそれがある。BET比表面積は、5m/gを上回ると、二次電池に用いたときのエネルギー効率が低下するおそれがある。BET比表面積は微細細孔を形成する観点からは1m/g以上程度であることが望ましい。
 次いで、上述のようにして得た石炭系等生コークス粉及び石炭系等か焼コークス粉をそれぞれ所定量の割合で配合する。石炭系等生コークス粉及び石炭系等か焼コークス粉の配合量は、質量比で90:10~10:90、好ましくは70:30~30:70である。石炭系等か焼コークスの割合を増大させると出力特性が向上し、石炭系等生コークスの割合を増大させると放電容量や初期特性が向上する。どの特性が高く要求されるかによって異なるが、例えば、出力特性の面からは、石炭系等か焼コークスの含有量を50%以上含有させることが良い。
 石炭系等生コークス粉及び石炭系等か焼コークス粉の割合が上記範囲外になると、得られた負極活物質からなる負電極の電位を十分に低減することができず、実電池電圧を向上させることができなくなり、十分に高い出力特性が得られない場合がある。また、充放電末期における二次電池の抵抗値が増大してしまい、安定した充放電特性を呈することができなくなってしまう場合がある。
 上述したコークス粉には、リン化合物を必須として、i)リン化合物又はii)リン化合物及びホウ素化合物(以下、i)又はii)を“リン化合物等”ともいう。)を添加してコークス材料とする。添加は、上述した石炭系等生コークス粉及び石炭系等か焼コークス粉と、以下に示すような量のi)リン化合物又はii)リン化合物及びホウ素化合物とを配合して所定の型に入れることによって行う(第1の添加法)。
 リン化合物等の添加は、石炭系等生コークス粉及び石炭系等か焼コークス粉を得た後に行なう代わりに、石炭系等生コークスの塊及び石炭系等か焼コークスの塊を得た時点で行なうこともできる(第2の添加法)。この場合は、石炭系等生コークスの塊及び石炭系等か焼コークスの塊を粉砕機に入れると共に、同時に上述したリン化合物等を前記粉砕機に入れて前記塊の粉砕を行なうことによって、前記リン化合物等が添加してなる石炭系等生コークス粉及び石炭系等か焼コークス粉を得ることができる。
 したがって、石炭系等生コークスの塊及び石炭系等か焼コークスの塊の粉砕と同時にリン化合物等を添加させることができるので、焼成の際に別途リン化合物等を添加させる操作を省略することができ、負極活物質の製造工程の全体を簡略化することができる。
 但し、上記第1の添加法及び第2の添加法のいずれも、添加の具体的な手法が異なることによって、負極活物質の製造工程が異なるのみであって、負極活物質自体の出力特性や放電容量及び初期効率及び容量維持率にはほとんど変化がない。
 上記リン化合物の添加量は、石炭系等生コークスと石炭系等か焼コークスの合計量100質量部に対してリン換算で0.1~6.0質量部、好ましくは0.5~5.0質量部である。添加量が下限未満ではリン化合物を添加する効果が十分得られないおそれがあり、一方、添加量が上限質量部を超えるとコークスの表面の低結晶化が進み、出力特性が低下するおそれがあるためである。
 また、上記ホウ素化合物の添加量は、石炭系等生コークスと石炭系等か焼コークスの合計量100質量部に対してホウ素換算で0.1~6.0質量部、好ましくは0.5~5.0質量部である。添加量が下限未満ではホウ素化合物を添加する効果が十分得られないおそれがあり、一方、添加量が上限を超えるとコークスの炭化が過剰に促進されるためと、未反応のホウ素が残存するおそれがあるためである。なお、本発明では上述の通り、ホウ素化合物はリン化合物と併用して用いられるもので、リン化合物だけを添加することでも本発明の目的を達成し、効果を奏することも可能である。
 上述したリン化合物としては、容易に水溶液を調製でき、かつ高い安全性を有する等の観点からリン酸類が好ましい。リン酸類としては、リン酸(オルトリン酸)を用いることがより好ましいが、これに限らず直鎖状ポリリン酸や環状ポリリン酸、あるいは各種リン酸エステル化合物等から適宜選択して用いることができる。これらのリン酸類は、いずれか1つを単独で使用してよく、また、2以上を配合して使用してもよい。
 また、上述したホウ素化合物としては炭化ホウ素(BC)を用いることが好ましい。これは、炭化ホウ素が焼成中に分解したとしても、その結果得られる成分は、本発明の目的を達成するためのホウ素、及び負極活物質の母材であるコークスの構成元素である炭素のみであって、その他の成分を含まないことから、かかる成分による負極活物質への悪影響を抑制することができるからである。
 こうしたコークス材料について、焼成を行う。この焼成温度は、最高到達温度で800℃以上1400℃以下とすることが良い。好ましくは900℃~1400℃の範囲である。焼成温度が上限を超えると、コークス材料の結晶成長が過剰に促進され電池特性バランスに悪影響を及ぼし、量産性の観点からも好ましくない。一方、焼成温度が下限よりも低いと、十分な結晶成長ができないのみならず、コークスの炭化過程でリン化合物及びホウ素化合物の添加効果が十分でなく、電池特性バランスにやはり悪影響を及ぼす傾向となる。
 また、最高到達温度での保持時間は特に限定しないが30分以上が好ましい。また、焼成雰囲気は、特に限定されないが、アルゴンあるいは窒素等の不活性ガス雰囲気でも良く、ロータリーキルンの様な非密閉状態での非酸化雰囲気でも良いし、リードハンマー炉の様な密閉状態での非酸化雰囲気でも良い。
 このようにして得られた負極活物質には、活物質100質量部に対して、上記添加成分に由来するリン元素、ホウ素元素がそれぞれ0.05~5質量部の割合で含有されていることが有利である。
 負極活物質中のリン含有量は、ICP発光分光分析によって測定することができる。具体的には、負極活物質をJIS M8814(灰分試験法)により灰化した後、得られた灰(無機成分)を前述の分析方法により定量する。ICP発光分光分析法は、アルゴンガスに高周波を照射し生成したプラズマ炎によって試料を励起し、基底状態に戻る際の発光スペクトルから元素の同定や定量を行う方法である。
 また、本発明では、バインダーとしてポリイミド樹脂を用いる。ポリイミド樹脂は、これまでバインダーとして主に使用されてきたPVDFと同様、負極活物質同士の結着力に優れるほか、PVDFと比べて負極を形成する集電体に対する接着性に優れる。加えて、ポリイミド樹脂は、フッ素樹脂の一種であるPVDFと異なり、構造内にフッ素を含有せず、また、熱的に安定で耐熱性が高いため、電池温度が異常に上昇したときでも電池が破損、破裂する危険性が低い。
 ポリイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される繰返し単位を有し、一般に、原料のジアミンと酸無水物とを溶媒の存在下で重合し、ポリイミド前駆体樹脂とした後、熱処理によりイミド化することによって製造することができる。なお、負極材バインダーとする場合、一般には、ポリイミド前駆体樹脂の状態で活物質、溶媒、その他必要な添加剤と分散混合され活物質層を形成するための組成物とされる。この際に用いる重合溶媒として、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を併用して使用することもできるが、これらに制限されるものではない。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
[式中、Ar1は、少なくとも2価の芳香族ジアミン残基を示し、Arは、4価の酸二無水物残基を示す。]
 ポリイミド樹脂の原料となるジアミン成分については、HN-Ar-NHによって表される化合物が挙げられ、Arとしては、次の芳香族ジアミン残基を例示することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
 また、酸無水物としては、O(OC)Ar(CO)Oによって表される化合物が挙げられ、Arとしては、次に表わされる芳香族酸二無水物残基を例示することができる。

Figure JPOXMLDOC01-appb-I000003
 また、本発明では、以下の理由から、ポリイミド樹脂を構成する繰り返し単位構造中にエーテル結合が含まれるようにジアミン成分を選定するのが好ましい。繰り返し単位構造中にエーテル結合が含まれたポリイミド樹脂によれば、同一の負極活物質を用いた負極において、PVDFを用いた場合と比較して、サイクル特性(寿命)が著しく向上する。このような観点から、バインダーとして、上記一般式(1)のうち、Ar1が、ジアミノジフェニルエーテルに代表されるエーテル結合を有するもの、好ましくは少なくとも2個のエーテル結合を有した2価の芳香族ジアミン残基であり、Arが、下記式(2)又は式(3)で表される4価の酸二無水物残基であるポリイミド樹脂を用いるようにするのが良い。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000004
[式(3)において、Yは、直結合又は-CO-のいずれかを示す。]
 この一般式(1)における、少なくとも2個のエーテル結合を有した2価の芳香族ジアミン残基Rとして、好適には以下のものを挙げることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000005
〔式(4)においてXは、芳香環を1以上有する2価の有機基を表し、好ましくは、下記(5)に示した構造のものが挙げられる。〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000006
 一般式(1)の構造単位を構成する好ましいジアミン成分として、具体的には2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)等が挙げられる。また、一般式(1)の繰返し単位を構成する好ましい酸二無水物として、具体的には無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)等が挙げられる。なお、ポリイミド樹脂原料となるジアミン及び酸無水物は、それぞれ2種以上のジアミン及び酸無水物を併用してもよく、また、上記以外の他のジアミン及び酸無水物を使用してもよい。
 本発明におけるポリイミド樹脂は、一般式(1)で表される構造単位を50モル%以上含有することが好ましいが、それ以外の構造単位を構成するジアミンや酸無水物は、上記例示した成分を用いてもよく、それ以外の他のジアミンや酸無水物成分を用いてもよい。
 そして、本発明では、上記負極活物質とポリイミド樹脂又はポリイミド前駆体樹脂とを、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)あるいは水、アルコール等の溶媒を用いて混合することによりスラリーを作製し、集電体上に塗布、乾燥することにより、活物質層を備えた負極を得る。
 ここで、集電体として使用される導電性基材の材質は、特に限定されるものではないが、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属箔を用いることができる。また、このような導電性基材の形態は、連続シート、穴あきシート、ネット状(網状)シートなど、いろいろな形態とすることができるが、特に連続シートとすることが好ましい。さらに、導電性基材の厚さは2~30μmとすることが好ましい。
 ポリイミド樹脂又はポリイミド前駆体樹脂をNMP等の有機溶媒に溶かした溶液に、負極活物質及び必要に応じて導電助剤を混合してスラリーとした後、エクストルージョン塗布、カーテン塗布、ロール塗布、グラビア塗布等の公知の手段により集電体に均一な厚みで塗工し、乾燥して有機溶媒を除去した後、加熱イミド化させることにより活物質層を形成する。この際、結着性と放電容量とのバランスの観点から、負極活物質に対するポリイミド樹脂又はポリイミド前駆体樹脂の含有割合が、0.1~10質量%の範囲となるようにするのが良い。また、活物質層の厚みについては、公知の二次電池用の負極を形成する場合と同程度であればよく、特に制限はないが、一般には10~500μm程度である。
 こうして得た負極は、リチウム二次電池をはじめとした二次電池の電極として好適に用いることができる。本発明の負極を用いてリチウム二次電池を構成する場合、相対する正極としては、リチウム含有遷移金属酸化物LiM(1)(式中、xは0≦x≦1の範囲の数値であり、式中M(1)は遷移金属を表し、Co、Ni、Mn、Ti、Cr、V、Fe、Zn、Al、Sn、Inの少なくとも1種類からなる)、あるいはLiM(1)M(2)2-y(式中、yは0≦y≦1の範囲の数値であり、式中、M(1)、M(2)は遷移金属を表し、Co、Ni、Mn、Ti、Cr、V、Fe、Zn、Al、Sn、Inの少なくとも1種類からなる)、LiM(1)M(2)M(3)(式中x、y及びzはx+y+z=1の関係を満たす範囲の数値であり、式中M(1)、M(2)及びM(3)は遷移金属を表し、Co、Ni、Mn、Ti、Cr、V、Fe、Zn、Al、Sn、Inの少なくとも1種類からなる)、LiM(1)PO(式中xは0≦x≦1の範囲の数値であり、式中M(1)は遷移金属を表し、Co、Ni、Mn、Ti、Cr、V、Fe、Zn、Al、Sn、Inの少なくとも1種類からなる)、遷移金属カルコゲン化物(Ti、S、NbSe等)、バナジウム酸化物(V、V13、V、V等)およびリチウム化合物、一般式MMoCh6-y(式中、xは0≦x≦4、yは0≦y≦1の範囲の数値であり、式中Mは遷移金属をはじめとする金属、Chはカルコゲン金属を表す)で表されるシュブレル相化合物、あるいは活性炭、活性炭素繊維等の正極活物質を用いることができる。
 また、上記正極と負極との間を満たす電解質としては、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えばLiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiB(C)、LiCl、LiBr、LiSO、Li(CFSO)N、Li(CFSO)C、Li(CFCHOSO)N、Li(CFCFCHOSO)N、Li(HCFCFCHOSO)N、Li((CF)CHOSO)N、LiB[C(CF)]等の1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
 また、非水系電解質としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,1-ジメトキシエタン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3-メチル-2-オキサゾリドン、エチレングリコール、サルファイト、ジメチルサルファイト等の単独溶媒もしくは2種類以上の混合溶媒を使用できる。
 以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
 石炭系重質油よりキノリン不溶分を除去した精製ピッチを用い、ディレードコーキング法によって500℃の温度で24時間熱処理して製造した塊状コークス(生コークス)を得て、ジェットミルにて微粉砕及び整粒し、平均粒径が9.9μmの生コークス粉を得た。
 上述のようにして得た塊状の生コークスを、ロータリーキルンによって入口付近温度700℃から出口付近温度1500℃(最高到達温度)の温度で1時間以上熱処理して塊状のか焼コークスを得て、同じくジェットミルにて微粉砕及び整粒し、平均粒径が9.5μmのか焼コークス粉を得た。
 上述のようにして得た生コークス粉の50質量部とか焼コークス粉の50質量部の合計(コークス粉100質量部)に対し、リン酸エステル(14質量%活性リン固形樹脂:三光社製商品名HCA、化学名:9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-オスファフェナントレン-10-オキサイド )17.9質量部(リン換算:2.5質量部)、及び炭化ホウ素3.2質量部(ホウ素換算:2.5質量部)を添加してコークス材料とした。
 次いで、上記コークス材料を、室温から600℃/時間の速度で昇温して、900℃に到達(最高到達温度)後、さらに2時間保持して炭化処理(焼成)を行い、リチウム二次電池用負極活物質Aを得た。
 また、上記活物質AをICP発光分光分析を行った結果、活物質A中のリン及びホウ素含有量は、それぞれ12000ppm、14000ppmであった。
 一方、バインダーの重合は、酸二無水物として無水ピロメリット酸(PMDA)と、ジアミンとして2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)とをほぼ同モル使用して、ジメチルアセトアミド(DMAC)中において常温で4時間反応させることにより、重量平均分子量が144,000のポリイミド樹脂1の前駆体を得た。
 次に、上記で得られた負極活物質Aとポリイミド樹脂1の前駆体を用いて以下の要領で負極を作製し、二次電池としての性能を評価した。
 下記表1に示すように、負極活物質Aとポリイミド樹脂1の前駆体をそれぞれ95質量%及び5質量%の比率とし、ジメチルアセトアミド(DMAC)を溶媒として用いて混練してスラリーを作製し、これを厚さ10μmの銅箔に厚みが均一となるように塗布し、その後窒素雰囲気中350℃で30分間熱処理することにより、銅箔上に活物質層を形成した。活物質層を備えた銅箔を乾燥し、所定の電極密度になるようにプレスして、トータル厚みとして60μmの電極シートを作製し、このシートから直径15mmΦの円形に切り出すことにより負極電極を得た。
 得られた負極電極について、負極電極単極での電極特性を評価するために、次のようにして試験用リチウム二次電池を作製した。対極には約15.5mmΦに切り出した金属リチウムを用いた。また、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:1混合)にLiPF6を1mol/lの濃度で溶解したものを用い、セパレーターにプロピレンの多孔質膜を用いてコインセルを作製した。
 得られたこのコインセルを使用して、25℃の恒温下、端子電圧の充電下限電圧を0V、放電の上限電圧を1.5Vとした電圧範囲で、0.5mA/cmの定電流放電により初期の放電容量を、5mA/cm2の定電流放電及び充電を実施した際の出力特性及び入力特性を容量維持率で調べたところ、放電容量は313mAh/gであり、出力特性に関する容量維持率が78.2%、入力特性に関する容量維持率が56.2%であった。また、これらの割合の積を入出力バランスとして評価したところ、0.44であった。ここで、出力特性に関する容量維持率は、初期の放電容量に対する5mA/cm2定電流放電時の放電容量の比から求め、入力特性に関する容量維持率は、初期の充電容量に対する5mA/cm2定電流充電時の充電容量の比から求めた。また、この定電流放電及び充電を100サイクル繰り返して、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比から求めた100サイクル後の容量維持率は87.7%であった。この100サイクル後の容量維持率(サイクル特性)については、容量維持率が80%以上であれば◎、70%以上80%未満であれば○、70%未満であれば△として、表1には3段階で評価した結果を記した。
(比較例1)
 実施例1において使用した負極活物質Aのかわりに天然黒鉛を用いた以外は、実施例1と同様にして負極電極を得た。得られた負極電極について、実施例1と同様にして評価したところ、放電容量は352mAh/gであり、出力特性に関する容量維持率が93.7%、入力特性に関する容量維持率が4.9%であった。また、これらの割合の積から得られる入出力バランスは0.05であった。
(比較例2)
 実施例1において使用したバインダーをポリフッ化ビニリデン(PVDF)とし、350℃での熱処理を省略した以外は実施例1と同様にして負極電極を得た。得られた負極電極について、実施例1と同様にして評価したところ、放電容量は291mAh/gであり、出力特性に関する容量維持率が61.2%、入力特性に関する容量維持率が32.8%であった。また、これらの割合の積から得られる入出力バランスは0.20であり、定電流放電及び充電を100サイクル繰り返して求めた100サイクル後の容量維持率は63.9%であった。
(実施例2~5)
 実施例1において使用したバインダーを、表1に示す組成を有するポリイミド樹脂2~5にかえた以外は、実施例1と同様にして負極電極を得た。得られた負極電極について、実施例1と同様にして放電容量、出力特性、及びサイクル特性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1に記した略称の意味は以下のとおりであり、ポリイミド樹脂2~5は、実施例1と同様の操作によってそれぞれ前駆体を重合し、活物質層を形成する際の熱処理によりイミド化させた。
BTDA:3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
APB:1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
(実施例6)
 石炭系重質油よりキノリン不溶分を除去した精製ピッチを用い、ディレードコーキング法によって500℃の温度で24時間熱処理して製造した塊状コークス(生コークス)を得て、ジェットミルにて微粉砕及び整粒し、平均粒径が9.9μmの生コークス粉を得た。
 上述のようにして得た塊状の生コークスを、ロータリーキルンによって入口付近温度700℃から出口付近温度1500℃(最高到達温度)の温度で1時間以上熱処理して塊状のか焼コークスを得て、同じくジェットミルにて微粉砕及び整粒し、平均粒径が9.5μmのか焼コークス粉を得た。
 上述のようにして得た生コークス粉の50質量部とか焼コークス粉の50質量部の合計(コークス粉100質量部)に対し、リン酸エステル(14質量%活性リン固形樹脂:三光社製商品名HCA、化学名:9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-オスファフェナントレン-10-オキサイド)17.9質量部(リン換算:2.5質量部)を添加してコークス材料とした。
 次いで、上記コークス材料を、室温から600℃/時間の速度で昇温して、900℃に到達(最高到達温度)後、さらに2時間保持して炭化処理(焼成)を行い、リチウム二次電池用負極活物質Bを得た。
 また、上記活物質BをICP発光分光分析を行った結果、活物質B中のリン含有量は、14000ppmであった。
 バインダーには、実施例1において使用したポリイミド樹脂1の前駆体を用いて、実施例1と同様にして負極電極を得た。得られた負極電極について、実施例1と同様にして評価したところ、放電容量は313mAh/gであり、出力特性に関する容量維持率が80.1%、入力特性に関する容量維持率が57.0%であった。また、これらの割合の積から得られる入出力バランスは0.46であった。
(実施例7及び8)
 実施例6において使用したバインダーを、表1に示す組成を有するポリイミド樹脂2及び3にかえた以外は、実施例6と同様にして負極電極を得た。得られた負極電極について、実施例6と同様にして放電容量、出力特性、及びサイクル特性を評価した。結果を表1に示す。
 上記実施例1~8、及び比較例1~2の結果から明らかなように、天然黒鉛を負極活物質として使用した比較例1では、活物質A或いはBを使用した実施例1、6と比べて、放電容量では優れるものの、入力特性が大きく劣るため入出力バランスが悪化していることが分かった。また、バインダーとしてPVDFを使用した比較例2では、ポリイミド樹脂を使用した実施例と比べて、総じて放電容量、入出力バランス、及びサイクル特性に劣ることが分かった。このように、本発明によれば、放電容量、入出力バランス及びサイクル特性が総合的に優れた負極が得られることが確認された。

Claims (5)

  1.  負極活物質をバインダーで一体化した活物質層を備えた二次電池用の負極であって、
     前記負極活物質が、石炭系又は石油系のいずれか1以上の生コークスと、石炭系又は石油系のいずれか1以上のか焼コークスとが質量比で90:10~10:90に配合されると共に、前記生コークスとか焼コークスの合計量100質量部に対して、リン化合物が、リン換算で0.1~6.0質量部の割合で添加されたコークス材料を焼成してなり、
     前記バインダーが、ポリイミド樹脂であることを特徴とする二次電池用負極。
  2.  負極活物質をバインダーで一体化した活物質層を備えた二次電池用の負極であって、
     前記負極活物質が、石炭系又は石油系のいずれか1以上の生コークスと、石炭系又は石油系のいずれか1以上のか焼コークスとが質量比で90:10~10:90に配合されると共に、前記生コークスとか焼コークスの合計量100質量部に対して、リン化合物及びホウ素化合物が、リン及びホウ素換算で各々0.1~6.0質量部の割合で添加されたコークス材料を焼成してなり、
     前記バインダーが、ポリイミド樹脂であることを特徴とする二次電池用負極。
  3.  前記バインダーが、繰り返し単位構造中にエーテル結合を有するポリイミド樹脂である請求項1又は2に記載の二次電池用負極。
  4.  負極活物質に対するポリイミド樹脂の含有割合が、0.1~10質量%の範囲である請求項1~3のいずれかに記載の二次電池用負極。
  5.  請求項1~4のいずれかに記載の負極を用いて得た二次電池。
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