WO2011037174A1

WO2011037174A1 - 薬液容器用ノズル

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Publication number: WO2011037174A1
Application number: PCT/JP2010/066523
Authority: WO
Inventors: 忠史大塚
Original assignee: 千寿製薬株式会社
Priority date: 2009-09-24
Filing date: 2010-09-24
Publication date: 2011-03-31
Also published as: JPWO2011037174A1; US20120271252A1; CN102574615A; EP2481680A1

Abstract

　薬液を滴下後に、先端部に液滴がより残り難い薬液容器用ノズルを提供する。　薬液容器用ノズル１は、略円筒状とされ、先端面が略平面状に形成されている。薬液容器用ノズル１の先端部には、周方向に沿って、環状の突条１０が形成されている。突条１０は、薬液容器用ノズル１の先端面と連続して形成されると共に、薬液容器用ノズル１の先端面と面一となるよう拡径して形成される延出面１１を有する。

Description

薬液容器用ノズル

　本発明は、容器内の薬液を滴下させる薬液容器用ノズルに関するものである。

　従来、図８に示すように、点眼液などの薬液が収容される薬液容器Ａの口部Ｂには、薬液を滴下させるノズルＣが取り付けられている。ノズルＣは、主に低密度ポリエチレン製であり、先端部が略半球状に形成されており、その半球部の先端が偏平に形成されている。

　ノズルＣが取り付けられた薬液容器Ａを用いて薬液を滴下する際、薬液容器Ａを水平または水平に近い角度に保持した状態では、薬液が滴下されずにノズルＣに残ってしまうおそれがある。薬液容器Ａを鉛直または鉛直に近い角度に保持した状態では、薬液が滴下された場合でも、ノズルＣの先端部分にわずかに液滴が残ってしまうおそれがある。

　下記特許文献１には、容器本体の筒状口頚部に挿入されるノズルであって、ノズルの上部の上側が半球状に形成されており、この半球状部の最大外径部分の外周面に、リング状突起部が形成されたノズルが開示されている。ノズルの半球状部の最大外径部分にリング状突起部が形成されているため、液切れが良好となる。また、ノズルをほぼ真下に向けた状態だけでなく、真横や斜め下向きに傾けた状態でも液滴が形成されやすくなり、薬液をノズルのリング状突起部を介して滴下させることができる。

　薬液容器のノズルには、汚染防止の観点から、薬液の滴下後にノズルに液滴が残存しないこと、残った場合でも液だれが防止できること、バリの発生を抑えること、また、生産効率の観点から、ノズルの製造時に割り型構造の金型を使用しないことが求められる。

特許第３９７１３２９号公報

　本発明が解決しようとする課題は、薬液を滴下後に、先端部に液滴がより残り難い、割り型構造の金型を使用しなくても成形可能な薬液容器用ノズルを提供することにある。

　本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項１に記載の発明は、内部に薬液が収容される薬液容器の口部に取り付けられ、薬液を滴下させる筒状の薬液容器用ノズルであって、先端面が略平面状に形成され、先端部には、周方向に沿って環状の突条が形成され、前記突条は、前記先端面と連続して形成されると共に、前記先端面と面一となるよう拡径して形成されるか、または基端側へ行くに従って拡径して形成される延出面を有することを特徴とする薬液容器用ノズルである。

　請求項２に記載の発明は、前記突条の外面形状は、前記先端面と面一となるよう拡径した後、基端側へ延出し、そして基端側へ行くに従って縮径した形状とされたことを特徴とする請求項１に記載の薬液容器用ノズルである。

　請求項３に記載の発明は、前記突条の外面形状は、前記先端面と面一となるよう拡径し
た後、基端側へ行くに従って縮径した形状とされたことを特徴とする請求項１に記載の薬液容器用ノズルである。

　請求項４に記載の発明は、前記突条の外面形状は、基端側へ行くに従って拡径した後、基端側へ行くに従って縮径した形状とされたことを特徴とする請求項１に記載の薬液容器用ノズルである。

　請求項５に記載の発明は、請求項１～４のいずれか１項に記載の薬液容器用ノズルを備えることを特徴とする点眼容器である。

　さらに、請求項６に記載の発明は、請求項１～４のいずれか１項に記載の薬液容器用ノズルが、薬液容器の口部に取り付けられることを特徴とする薬液容器用ノズルからの液だれを防止する方法である。

　本発明によれば、薬液を滴下後に、先端部に液滴がより残り難い、割り型構造の金型を使用しなくても成形可能な薬液容器用ノズルを提供することができる。

本発明の薬液容器用ノズルの第一実施形態を示す概略正面図であり、一部を断面にして示している。図１の薬液容器用ノズルの使用状態を示す概略正面図である。本発明の薬液容器用ノズルの第二実施形態が薬液容器の口部に取り付けられた状態を示す図であり、一部を断面にして示している。本発明の薬液容器用ノズルの第三実施形態を示す概略正面図であり、一部を断面にして示している。本発明の薬液容器用ノズルの第四実施形態を示す概略正面図であり、一部を断面にして示している。本発明の薬液容器用ノズルの効果を明らかにするための実験器具を示す概略図である。本発明の薬液容器用ノズルの効果を明らかにするための比較例のノズルを示す正面図であり、一部を断面にして示している。従来の薬液容器用ノズルが薬液容器の口部に取り付けられた状態を示す図であり、一部を断面にして示している。

　以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
　図１および図２は、本発明の薬液容器用ノズルの第一実施形態を示す概略図であり、図１は一部を断面にした正面図、図２は使用状態を示す正面図である。薬液容器用ノズルは、薬液容器に取り付けられて、薬液容器内に収容された薬液を滴下させるものである。

　薬液容器用ノズル１は、低密度ポリエチレン製とされ、射出成形により一体形成される。薬液容器用ノズル１は、上下に開口した略円筒状に形成されている。具体的には、薬液容器用ノズル１の外周面は、軸線方向における略中央部まで先端側へ行くに従って緩やかに拡径した後、先端側へ行くに従って縮径した形状に形成されている。

　薬液容器用ノズル１の内穴２は、先端部が円柱状に形成されている一方、それより基端部は基端側へ行くに従って縮径した形状に形成されている。薬液容器用ノズル１の内穴２の内、円柱状に形成された内穴の先端部は、先端側へ行くに従って拡径した略逆円錐台状に形成されている。

　薬液容器用ノズル１には、軸線方向における略中央部に、外周面からツバ状に延出した板片３が一体形成されている。薬液容器用ノズル１は、板片３の先端側に配置される上筒部４と、この上筒部４の先端側に配置される上端筒部３１と、板片３の基端側に配置される下筒部５とを有する。下筒部５は、略円筒状の内筒部６と、この内筒部６との間に円筒状隙間７を形成するように配置される略円筒状の外筒部８とを備える。

　内筒部６の外周面は、基端側へ行くに従って縮径した形状に形成されている。内筒部６の内穴は、薬液容器用ノズル１の内穴２の基端部側を形成している。外筒部８の外周面には、周方向に沿って、円環状の凸部９が形成されている。図示例では、凸部９は、断面略矩形状に形成されており、外筒部８の外周面に、軸線方向に離間して二つの凸部９，９が形成されている。なお、外筒部８の基端面は、内筒部６の基端面よりも基端側に配置されている。

　薬液容器用ノズル１の上端筒部３１は、上筒部４の先端部から先端側に、円錐台状部３２を介して形成されている。具体的には、薬液容器用ノズル１の先端外周面は、上筒部４の先端部から先端側へ行くに従って縮径した後に先端側へ延出し、そして、先端側へ行くに従って拡径した後に先端側へ延出した形状とされている。すなわち、薬液容器用ノズル１の先端部には、周方向に沿って、断面略矩形状で円環状の突条１０が形成されている。具体的には、突条１０の外面形状は、薬液容器用ノズル１の略平面状に形成された先端面と面一となるように拡径した後、基端側へ延出し、そして基端側へ行くに従って縮径した形状とされている。図示例では、突条１０の最大外径部は、薬液容器用ノズル１の上筒部４よりも、外径が小さく形成されている。

　このように、薬液容器用ノズル１の突条１０は、薬液容器用ノズル１の先端面と連続して形成されると共に、薬液容器用ノズル１の先端面と面一となるように拡径して形成された延出面１１を有する。この延出面１１と薬液容器用ノズル１の先端面とにより、薬液容器用ノズル１には、滴下する液滴を形成するための液滴形成面が形成されている。

　薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部厚さａは、約０．３ｍｍとされている。薬液容器用ノズル１の突条１０は、先端部が円柱状とされており、この円柱状部１２の高さが、突条１０の所定部厚さａとされる。また、薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部角度ｂは、約３３．５°とされている。薬液容器用ノズル１の突条１０は、基端部が逆円錐台状とされており、この逆円錐台状部１３の外周面と逆円錐台状部１３の先端面１４とのなす角が、突条１０の所定部角度ｂとされる。

　図２に示すように、薬液容器１５は、内部に薬液１６が収容される容器である。薬液容器１５は、薄肉で押圧変形可能な中空状の容器とされ、プラスチックにより一体形成される。薬液容器１５は、先端部に円筒状の口部１７を有する。口部１７の内径は、薬液容器用ノズル１の凸部９の外径よりも若干小さく形成されている。

　薬液容器１５の口部１７には、薬液容器用ノズル１が取り付けられる。具体的には、薬液容器用ノズル１の板片３が薬液容器１５の口部１７の先端面に当接するまで、口部１７に薬液容器用ノズル１の外筒部８をはめ込むことで取り付けられる。前述したように、薬液容器用ノズル１の凸部９の外径は、薬液容器１５の口部１７の内径よりも若干大きく形成されている。そのため、薬液容器用ノズル１の外筒部８は、薬液容器１５の口部１７に無理嵌めされる。従って、薬液容器１５の口部１７から薬液容器用ノズル１が不測に抜けるのが防止される。また、薬液容器１５の口部１７内面と薬液容器用ノズル１の外筒部８外面との間から、薬液容器１５内に収容された薬液１６が漏れるのが防止される。なお、薬液容器１５の上部には、薬液容器用ノズル１を覆うようにして、キャップ１８が着脱可
能に設けられる。

　薬液容器１５内に収容される薬液１６は、たとえば点眼液とされる。この場合、薬液容器１５に薬液容器用ノズル１が取り付けられて構成される容器は、点眼容器とされる。

　図３は、本発明の薬液容器用ノズルの第二実施形態が薬液容器の口部に取り付けられた状態を示す図であり、一部を断面にして示している。第二実施形態の薬液容器用ノズル１は、前記第一実施形態の薬液容器用ノズルと、基本的には同一の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。

　第二実施形態では、薬液容器用ノズル１の先端外周面は、上筒部４の先端部から先端側へ行くに従って縮径した後に先端側へ延出し、そして先端側へ行くに従って拡径した形状とされている。すなわち、薬液容器用ノズル１の先端部には、周方向に沿って、断面略三角形状で円環状の突条１０が形成されている。具体的には、突条１０の外面形状は、薬液容器用ノズル１の先端面と面一となるように拡径した後、基端側へ行くに従って縮径した形状とされている。図示例では、突条１０の最大外径部は、薬液容器用ノズル１の上筒部４よりも、外径が小さく形成されている。

　薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部厚さａは、約０．１ｍｍとされている。本実施形態では、突条１０の所定部厚さａとは、突条１０の厚さを指している。また、薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部角度ｂは、約６８．０°とされている。本実施形態では、突条１０の所定部角度ｂとは、突条１０の外周面と突条１０の延出面１１とのなす角を指している。

　図４は、本発明の薬液容器用ノズルの第三実施形態を示す概略正面図であり、一部を断面にして示している。第三実施形態の薬液容器用ノズル１は、前記第一実施形態の薬液容器用ノズルと、基本的には同一の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。

　第三実施形態では、薬液容器用ノズル１の先端外周面は、上筒部４の先端部から先端側へ行くに従って縮径した後、先端側へ行くに従って拡径し、そして先端側へ行くに従って縮径した形状とされている。すなわち、薬液容器用ノズル１の先端部には、周方向に沿って、断面略三角形状で円環状の突条１０が形成されている。具体的には、突条１０の外面形状は、基端側へ行くに従って拡径した後、基端側へ行くに従って縮径した形状とされている。図示例では、突条１０の最大外径部は、薬液容器用ノズル１の上筒部４の外周面よりも、外径が小さく形成されている。

　このように、薬液容器用ノズル１の突条１０は、薬液容器用ノズル１の先端面と連続して形成されると共に、基端側へ行くに従って拡径して形成された延出面１１を有する。ところで、前記第一実施形態では、薬液容器用ノズル１の先端面と延出面１１とにより液滴形成面が形成されたが、本実施形態では、薬液容器用ノズル１の先端面が液滴形成面とされる。

　薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部厚さａは、約０．３ｍｍとされている。薬液容
器用ノズル１の突条１０は、先端部が円錐台状とされており、この円錐台状部２０の高さが、突条１０の所定部厚さａとされる。また、薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部角度ｂは、約６９．６°とされている。薬液容器用ノズル１の突条１０は、基端部が逆円錐台状とされており、この逆円錐台状部２１の外周面と逆円錐台状部２１の先端面２２とのなす角が、突条１０の所定部角度ｂとされる。

　図５は、本発明の薬液容器用ノズルの第四実施形態を示す概略正面図であり、一部を断面にして示している。第四実施形態の薬液容器用ノズル１は、前記第一実施形態の薬液容器用ノズルと、基本的には同一の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。

　第四実施形態では、薬液容器用ノズル１の先端外周面は、上筒部４の先端部から先端側へ行くに従って縮径した後、先端側へ行くに従って拡径し、そして先端側へ行くに従って緩やかに縮径した形状とされている。すなわち、薬液容器用ノズル１の先端部には、周方向に沿って、断面略三角形状で円環状の突条１０が形成されている。具体的には、突条１０の外面形状は、基端側へ行くに従って緩やかに拡径した後、基端側へ行くに従って縮径した形状とされている。図示例では、突条１０の最大外径部は、薬液容器用ノズル１の上筒部４の外周面よりも、外径が若干小さく形成されている。

　このように、薬液容器用ノズル１の突条１０は、薬液容器用ノズル１の先端面と連続して形成されると共に、基端側へ行くに従って緩やかに拡径して形成された延出面１１を有する。ところで、前記第一実施形態では、薬液容器用ノズル１の先端面と延出面１１とにより液滴形成面が形成されたが、本実施形態では、薬液容器用ノズル１の先端面が液滴形成面とされる。

　薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部厚さａは、約０．７ｍｍとされている。薬液容器用ノズル１の突条１０は、先端部が略円錐台状とされており、この略円錐台状部２３の高さが、突条１０の所定部厚さａとされる。また、薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部角度ｂは、約８２．１°とされている。薬液容器用ノズル１の突条１０は、基端部が逆円錐台状とされており、この逆円錐台状部２４の外周面と逆円錐台状部２４の先端面２５とのなす角が、突条１０の所定部角度ｂとされる。

　前記各実施形態によれば、薬液容器用ノズル１の先端部に環状の突条１０が形成されている。従って、薬液容器用ノズル１を取り付けた薬液容器１５を、鉛直または鉛直に近い角度に保持した状態で薬液１６を滴下した場合だけでなく、水平または水平に近い角度に保持した状態で薬液１６を滴下した場合でも、薬液容器用ノズル１の先端部には液滴が残り難い。また、液滴が残った場合において、薬液容器１５を滴下状態から立てた状態に回転させても、残った液滴の液だれが防止される。特に液だれしやすい表面張力の低い液を充填したときに、本実施形態による液だれ防止効果は顕著にあらわれる。また、薬液容器用ノズル１を取り付けた薬液容器１５を、水平または水平に近い角度に保持した状態で薬液１６を滴下させようとした場合において、薬液１６が滴下されずにノズルに残ってしまうケースが極端に減少する。

　また、薬液容器用ノズル１の先端部は、尖った形状とされていない。従って、薬液容器用ノズル１が取り付けられた薬液容器１５は、点眼に好適に用いられる。また、前記各実施形態の薬液容器用ノズル１は、前述した形状とされているため、鉛直方向に成形品を引き抜くことで金型から取り出すことが可能であるためキャビティー金型を分割させる必要がない。これにより、薬液容器用ノズル１の外周上には、バリが形成されない。従って、薬液容器用ノズル１は、薬液容器１５の口部１７に水密状態で取り付けられる。さらに、前記各実施形態の薬液容器用ノズル１は、キャビティー金型を分割させる必要が無いため
、安価に作成することができる。

　本発明の薬液容器用ノズルは、前記各実施形態の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記各実施形態では、薬液容器用ノズル１は、低密度ポリエチレン製とされたが、射出成形に通常用いられる原料樹脂であれば特に限定されず、例えば直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が用いられる。

　また、薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部厚さａは、通常約０．１～約１．０ｍｍとされ、好ましくは約０．２～約０．７ｍｍ、さらに好ましくは約０．３～約０．７ｍｍとされる。また、薬液容器用ノズル１の突条１０の所定部角度ｂは、通常約５～約８５°とされ、好ましくは約１０～約７０°、さらに好ましくは約２０～約４５°とされる。また、薬液容器用ノズル１の突条１０の基端部に形成される逆円錐台状部（第二実施形態では突条１０）において、軸線方向両端面の外径差ｃは、通常約０．０１～約０．２ｍｍとされ、好ましくは約０．１～約０．２ｍｍとされる。また、薬液容器用ノズル１に形成される液滴形成面と、薬液容器用ノズル１に形成される突条１０の外周面とのなす角ｄは、通常約８０～約１７０°とされ、好ましくは約９０～約１４０°とされる。なお、第四実施形態では、角ｄは、薬液容器用ノズル１の先端面と、薬液容器用ノズル１の先端面の外縁部と突条１０の最大外径部とを結んだ直線である鎖線Ｌとのなす角とされる。

　また、薬液容器１５に収容される薬液１６の表面張力は、通常約３０～約６０ｍＮ／ｍとされ、好ましくは約３５～約４５ｍＮ／ｍとされる。さらに、薬液容器１５に収容される薬液１６は、点眼液に限定されるわけではなく、点耳液や点鼻液としてもよい。

　次に、前記各実施形態の薬液容器用ノズル１の効果を明らかにするための実験について説明する。表１は、実験に用いた薬液容器用ノズル各部の測定値である。図６は、本発明の薬液容器用ノズルの効果を明らかにするための実験器具を示す概略図である。図７は、本発明の薬液容器用ノズルの効果を明らかにするための比較例２のノズルを示す正面図であり、一部を断面にして示している。

　図６に示すように、実験器具２６は、水平に配置される固定台２７と、この固定台２７に回動可能に設けられるアーム２８とを備える。アーム２８は、固定台２７に取り付けられた状態において、水平面とのなす角ｅを所定角度に保持することができる。

　図７に示すように、比較例２のノズル２９は、先端部が縮径されて、小径部３０が形成されている。小径部３０は、略半球状に形成されており、先端面が偏平に形成されている。なお、その他の構成は、前記各実施形態と同様の構成である。

　実験を行うに際し、まず、薬液容器１５内に点眼液が詰められる。点眼液は、ｐＨ７、表面張力が４２ｍＮ／ｍ（表面張力計Ｋ１００Ｃ　クルス社製）とされる。そして、薬液容器１５の口部１７に、薬液容器用ノズル１が取り付けられる。ここでは、前記第二実施形態の薬液容器用ノズル１の場合について説明する。

　薬液容器用ノズル１が取り付けられた点眼液入り薬液容器１５は、実験器具２６のアーム２８の傾斜時において薬液容器用ノズル１が下方へ向くように、アーム２８の先端部に固定される。その際、薬液容器用ノズル１の軸線と水平面とのなす角（滴下角度）ｆは、アーム２８と水平面とのなす角ｅと同一角度とされる。

　そして、実験器具２６のアーム２８と水平面とのなす角ｅが、９０°となる位置で１滴を滴下する。滴下直後のノズル付き薬液容器の重量を測定した後、ノズル先端部に付着し
た液滴を完全に拭き取り、再度ノズル付き薬液容器の重量を測定し、「滴下直後のノズル付き薬液容器の重量－液滴を完全に拭き取った後のノズル付き薬液容器の重量」の計算式により、「先端に残った液滴残存量」を求めた。なお、実験器具２６のアーム２８と水平面とのなす角ｅが、６０°、３０°、０°の場合についても、同様にして「先端に残った液滴残存量」を求めた。

　第一、第三、第四の各実施形態の薬液容器用ノズル１、図８の比較例１のノズルＣ、および図７の比較例２のノズル２９についても、同様にして実験を行った。表２は、実験結果を示す表であり、１滴を滴下した後のノズル先端の液滴残存量（単位ｍｇ）を示している。なお、液滴残存量は、各滴下角度ｆについての１０例の平均値であり、「平均値±標準偏差」で表わしている。

　表２から分かるように、前記各実施形態の薬液容器用ノズル１と、比較例１のノズルＣや比較例２のノズル２９とを比較して、滴下角度ｆがより水平に近い角度である３０°の場合でも、ノズル先端部の突条１０による液滴の残存抑制効果が確認された。また、前記第一実施形態の薬液容器用ノズル１は、その他のノズルとを比較して、ノズル先端部の突条１０の液滴の残存抑制効果が特にあることが確認された。

　　１　薬液容器用ノズル
　１０　突条
　１１　延出面
　１５　薬液容器
　１６　薬液
　１７　口部

Claims

　内部に薬液が収容される薬液容器の口部に取り付けられ、薬液を滴下させる筒状の薬液容器用ノズルであって、
　先端面が略平面状に形成され、
　先端部には、周方向に沿って環状の突条が形成され、
　前記突条は、前記先端面と連続して形成されると共に、前記先端面と面一となるよう拡径して形成されるか、または基端側へ行くに従って拡径して形成される延出面を有する
　ことを特徴とする薬液容器用ノズル。
　前記突条の外面形状は、前記先端面と面一となるよう拡径した後、基端側へ延出し、そして基端側へ行くに従って縮径した形状とされた
　ことを特徴とする請求項１に記載の薬液容器用ノズル。
　前記突条の外面形状は、前記先端面と面一となるよう拡径した後、基端側へ行くに従って縮径した形状とされた
　ことを特徴とする請求項１に記載の薬液容器用ノズル。
　前記突条の外面形状は、基端側へ行くに従って拡径した後、基端側へ行くに従って縮径した形状とされた
　ことを特徴とする請求項１に記載の薬液容器用ノズル。
　請求項１～４のいずれか１項に記載の薬液容器用ノズルを備えることを特徴とする点眼容器。
　請求項１～４のいずれか１項に記載の薬液容器用ノズルが、薬液容器の口部に取り付けられる
　ことを特徴とする薬液容器用ノズルからの液だれを防止する方法。