WO2011001608A1

WO2011001608A1 - 一方向クラッチ

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Publication number: WO2011001608A1
Application number: PCT/JP2010/003868
Authority: WO
Inventors: 神保直人
Original assignee: 株式会社ニフコ
Priority date: 2009-06-30
Filing date: 2010-06-10
Publication date: 2011-01-06
Also published as: JP2011012716A; CN102472336A; EP2450588B1; KR101188957B1; EP2450588A4; US8702556B2; US20120125729A1; JP5405211B2; EP2450588A1; CN102472336B; KR20110001928A

Abstract

【課題】一方向クラッチにおいて、部品点数を増大させることなく、バックラッシュを小さくすると共に静粛性や耐久性を向上し得る。【解決手段】アウタ部材２の内歯車２ｂに噛合する遊星歯車４ａを有する遊星歯車部材４に、遊星歯車に対して同軸かつ一体にフランジ４ｃを介してロック歯４ｂを設ける。インナ部材３に、ロック歯４ｂを受容するＵ字状壁部３ｂを設け、Ｕ字状壁部にロック歯の一部の歯が係合し得る係合部５を設ける。ロック歯によりロック状態を実現することから、遊星歯車が歯数に制約を受けても、ロック歯の歯数（ピッチ）を任意に細かく設定することができ、遊星歯車部材の回転に伴うロック状態の間隔が細かくなり、部品点数が増加することなく、一方向クラッチにおけるバックラッシュを低減できる。

Description

一方向クラッチ

　本発明は、一方向クラッチに関し、特に、負荷側から駆動側が逆駆動されることを防止するのに適した一方向クラッチに関するものである。

　従来、一方向クラッチが用いられている機械装置は種々あり、例えばコピー機の紙送り機構においては、紙詰まりの際の用紙除去に支障が生じないようにするために、用紙搬送ローラと駆動モータとの間に一方向クラッチが設けられている。

　この一方向クラッチとして、内歯車を有するアウタ部材と、アウタ部材に同軸的に且つ回動自在に受容されると共に、その外周部に凹部を有するインナ部材と、凹部に回転自在に受容され且つ内歯車に噛合する遊星歯車とを有し、アウタ・インナ部材の相対回転により転動する遊星歯車の一方への転動時には遊星歯車の一部の歯が係合するが、他方への転動時には係合解除となるように凹部側に係合部を設け、アウタ・インナ部材の相対回転の一方向へはトルクが伝達され、他方向へはトルクが伝達されなくなるようにした一方向クラッチが知られている（例えば特許文献１・２参照）。

特許第３８６２３６０号公報特開２００５－１７２１９９号公報

　上記特許文献１のものでは、一方向クラッチにおけるバックラッシュを低減するために、遊星歯車の隣り合う歯の間隔よりも狭くかつ歯先部分の歯厚よりも広い間隔を有する複数の突起を凹部の凹面に設けている。しかしながら、突起の形状は、遊星歯車の係合・非係合位置間の移動量の制限を受け、小さい突起となり、その成形性に難があるという問題がある。

　また、上記特許文献２のものでは、凹部の凹面に歯先が摺接しながら遊星歯車が回転するものにおける静粛性や耐久性を改善すべく、遊星歯車の移動範囲規定手段（ガイド）を設けて遊星歯車のフリー回転時に歯先が凹部の凹面に当たらないようにしている。それにより、静粛性や耐久性が向上するが、別部品を設けてガイドするようにしていることから、部品点数の増大や大型化してしまうという問題がある。

　このような課題を解決して、部品点数を増大させることなく、バックラッシュを小さくすると共に静粛性や耐久性を向上し得る一方向クラッチを提供するために、本発明に於いては、一方向クラッチであって、内歯車を備えた第１の部材（２）と、前記第１の部材に対して同軸的に相対回転自在に支持され、前記内歯車の歯に向けて開かれた凹部を有する第２の部材（３）と、前記凹部内に回転可能に受容され、かつ前記内歯車に噛合する遊星歯車を有する遊星歯車部材（４）とを有し、前記遊星歯車部材が、前記遊星歯車と同軸かつ一体的に設けられた延長部を有し、前記延長部の外周に前記係合部に係合するロック歯が設けられ、前記ロック歯が前記遊星歯車の歯よりも高ピッチに配設され、前記第２の部材が、前記第１の部材と前記第２の部材とが一方の方向に相対回転しようとするときにのみ、前記遊星歯車部材の一部に係合する係合部を有するものとした。

　これによれば、第１の部材と前記第２の部材とが一方の方向に相対回転しようとするときにのみ、遊星歯車部材のロック歯が係合部に係合して第１・第２の部材が一方向クラッチとしてのロック状態になるが、そのロック状態を、内歯車に噛合する遊星歯車の歯を係合部に係合させるのではなく、遊星歯車部材の遊星歯車と同軸かつ一体的に設けられた延長部の外周に設けたロック歯を係合部に係合させることにより行うことから、ロック歯を遊星歯車の歯よりも高ピッチに設定することにより、一方向クラッチにおけるバックラッシュを低減できる。

　特に、前記第２の部材（３）が軸部材及び又はディスク部材を含み、前記凹部が前記軸部材の外周及び前記ディスク部材の軸線方向端面の少なくとも一方に結合された壁部材により画定されていると良い。これによれば、例えば第２の部材を樹脂成形する場合に一体成形により簡単に壁部材を形成することができると共に、壁部材が少なくとも軸部材又はディスク部材に結合されていることにより、壁部材の強度の確保が容易である。

　さらに、前記係合部が、前記壁部材に設けられていると良い。これによれば、ロック歯を係合部に係合させる場合に壁部材の壁面により好適にロック歯を係合部まで案内することができる。また、前記壁部材の前記係合部が設けられた側の、前記遊星歯車の一方の側部に対向する部分が切欠されていると良い。これによれば、壁部材により遊星歯車を案内する場合に、遊星歯車の一方の側部に対向する部分が切欠されていることから、遊星歯車の歯が回転時に当たることが無く、静粛性及び耐久性を向上し得る。

　また、遊星歯車部材の、前記遊星歯車と前記ロック歯との間の部分に同軸的にフランジを設けると良い。これによれば、遊星歯車の歯をフランジと一体化して形成することができ、それにより遊星歯車の歯の強度を高めることができると共に、遊星歯車の回転においてフランジの外周面が凹部の凹面を摺接するようにすることにより、滑らかな面同士の摺接となり、遊星歯車部材の転動時の静音化を向上し得る。

　さらに、前記フランジは、前記遊星歯車の歯先円と同一またはやや大径に形成されていると良い。これによれば、遊星歯車の歯を歯先に至るまでフランジと一体に形成することができると共に、遊星歯車の歯が凹部の凹面に摺接することを確実に防止することができるため、耐久性及び静音化をより一層向上し得る。

　また、前記ロック歯が鋸歯状をなし、前記ロック歯の前記係合部に係合する歯面が、前記ロック歯のピッチ円方向に対して略直交すると良い。これによれば、ロック歯と係合部との係合方向が、遊星歯車部材の回転方向と略一致するようになるため、ロック時の強度が大きくなり、同じ強度であればロック歯と係合部との大きさを小さくすることができる。

　このように本発明によれば、遊星歯車部材を、アウタ部材の内歯車に噛合する遊星歯車と、遊星歯車と同軸かつ一体的に設けられた延長部とを有するように形成して、延長部に遊星歯車の歯よりも高ピッチのロック歯を配設してロック状態を実現することから、遊星歯車が歯数に制約を受けることなくロック歯を高ピッチに配設することができ、遊星歯車部材の回転に伴うロック状態の間隔が細かくなり、部品点数が増加することなく、一方向クラッチにおけるバックラッシュを低減できると共に、遊星歯車を係合させてロック状態にしないため、遊星歯車の歯の強度を必要最小限とすることができ、コンパクト化が可能である。

本発明に基づく一方向クラッチの軸線方向に沿って破断して示す断面図である。図１のII－II線に沿って見た矢視図である。図１のIII－III線に沿って見た矢視図である。一方向クラッチの構成要素を示す分解組立斜視図である。インナ部材に遊星歯車部材を組み付けた状態を示す要部拡大斜視図である。図５にアウタ部材を組み付けた状態を示す要部拡大斜視図である。ロック歯部の係合状態を示す要部拡大正面図である。

　以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図１は、本発明に基づく一方向クラッチの軸線方向に沿って破断して示す断面図であり、図２は図１のII－II線に沿って見た矢視図であり、図３は図１のIII－III線に沿って見た矢視図であり、図４は一方向クラッチの構成要素を示す分解組立斜視図である。なお、この一方向クラッチは、例えばプリンタの紙送り機構に設けられるものであって良い。

　図示例の一方向クラッチ１は、第１の部材としてのアウタ部材２と、第２の部材としてのインナ部材３と、両部材２・３間に介装された図示例では４個の遊星歯車部材４とにより構成されている。それら各部材２・３・４は合成樹脂材を一体成形して形成されるものであって良い。

　アウタ部材２は、図２に併せて示されるように、外周面に図示されないモータにギア結合される外歯車２ａと、内周面に内歯車２ｂとを有し、浅底の筒状に形成されている。なお、底部の外側には外方に同軸に突出する環状ボス部２ｃが形成されている。

　インナ部材３は、図３に示されるように、アウタ部材２の環状ボス部２ｃに挿通状態で相対的に回転自在に支持される軸部材としての環状胴部３ａと、環状胴部３ａに結合されると共にその外周面に９０度間隔で配置されかつ半径方向外向きすなわち内歯車２ｂの歯に向けて開かれた凹部を画定する４つのＵ字状の壁部材３ｂと、軸線方向外側端面に形成されたトルク伝達用の一対の係合突部３ｃとを有する浅底の筒状に形成されている。なお、図示例では、環状胴部３ａの軸線方向端には同軸のディスク部材３ｅが一体的に形成されており、壁部材３ｂの一部（ディスク部材３ｅ側）がディスク部材３ｅにも結合されている。これにより、上記環状胴部３ａとの結合と合わせて、壁部材３ｂの強度が高くなるが、いずれか一方のみに結合されていて良い。また、環状胴部３ａの貫通孔に挿通される図示されない支持軸によりインナ部材３が回転自在に支持され、そのインナ部材３に対して上記したようにアウタ部材２が相対的に回転自在に支持される構成となっている。

　遊星歯車部材４は、図４では代表して１つのみ図示されているが、その図に示されるように、アウタ部材２の内歯車２ｂに噛合する遊星歯車４ａと、インナ部材３のＵ字状の壁部材３ｂに受容されるロック歯４ｂと、遊星歯車４ａとロック歯４ｂとの間に設けられた円筒面を有するフランジ４ｃとをそれぞれ同軸に有するように形成されている。遊星歯車部材４には、遊星歯車４ａと同軸かつ一体的に延長部が形成され、その外周にフランジ４ｃとロック歯４ｂとが設けられている。なお、フランジ４ｃの外径は、遊星歯車４ａの歯先円よりやや大径にされているが、同一径であっても良く、同様にロック歯４ｂに対してもその外径よりやや大径にされているが、また同一径であっても良い。このようにすることにより、壁部材３ｂによりフランジ４ｃを回転支持する構造において、壁部材３ｂの湾曲状の支持面の形状を凹凸の無い面に形成することができ、形成が容易である。

　アウタ部材２の内歯車２ｂの歯幅は、遊星歯車部材４の遊星歯車４ａの歯幅に対応する長さにされており、遊星歯車４ａに隣接するフランジ４ｃは組み付け状態でインナ部材３側に受容される。ロック歯４ｂは、断面形状で鋸歯状に形成されていると共に、遊星歯車４ａの歯数の倍またはそれ以上の歯数（遊星歯車の歯よりも高ピッチ）で設けられている。

　Ｕ字状の壁部材３ｂの一方の壁の幅（インナ部材３の軸線方向と同方向の長さ）は、遊星歯車部材４の軸線方向長さにおけるロック歯４ｂとフランジ４ｃとを合わせた長さとなる短い幅にて形成され、壁部材３ｂの他方の壁の幅は、遊星歯車部材４の全長（軸線方向長さ）と略同一長さの長い幅にて形成されている。壁部材３ｂのインナ部材３の周方向と同方向の内幅は、その中に受容されるロック歯４ｂがインナ部材３の周方向に少しだけ移動し得る長さに設定されている。

　そして、Ｕ字状の壁部材３ｂの上記した短い幅の一方の壁には、その内周面に係合部５が設けられている。係合部５は、図示例では、壁部材３ｂの全体としてＵ字状をなす内周面の上記一方の壁に対応する部分を半径方向外向きに掘り下げかつＵ字の開放側を取り除いて形成された段部からなる。遊星歯車部材４がＵ字状の壁部材３ｂ内を係合部５側に回転した場合には、遊星歯車部材４の延長部の一部であるロック歯４ｂの一部（１つ）が係合部５に係合し得るようにされている。

　また、壁部材３ｂの一方の壁（短い幅の壁）は、壁部材３ｂに受容された状態の遊星歯車部材４の遊星歯車４ａの一方の側部に対向する部分が切欠されている。その切欠により、ロック歯４ｂが係合部５に係合する方向に遊星歯車部材４が回転する場合に、遊星歯車部材４が傾いて遊星歯車４ａがロック歯４ｂよりも先行するようになったとしても、壁部材３ｂの一方の壁に遊星歯車４ａが接触しないため、ロック歯４ｂと係合部５との係合が確実に行われる。

　なお、壁部材３ｂの一方の壁には、係合部５が設けられている部分からアウタ部材２側に、フランジ４ｃの幅に対応する長さに延出されたアーム３ｆが設けられている。アーム３ｆは、ロック歯４ｂが係合部５に係合する方向に遊星歯車部材４が回転する場合にフランジ４ｃの外周面が摺接する位置に設けられている。これにより、ロック歯４ｂが係合部５に係合する方向に遊星歯車部材４が回転する場合に、図７の二点鎖線で示されるようにアーム３ｆとフランジ４ｃとが摺接し得るため、ロック歯４ｂの歯先を壁部材３ｂの壁面に摺接させてロック歯４ｂをガイドしなくても良くなり、ロック歯４ｂの歯先の損傷が防止される。また、アーム３ｆの周方向長さ（歯車部材４の回転方向に対応する方向の長さ）は強度を確保し得る範囲でできるだけ短くされており、これにより、アーム４ｆとフランジ５との摺接音も抑制される。

　次に、各部材２・３・４の組み付け要領について説明する。図５に示されるように、遊星歯車部材４のロック歯４ｂがインナ部材３のＵ字状の壁部材３ｂにより受容される状態に載置する。その状態のインナ部材３に対してアウタ部材２を同軸に被せるように、アウタ部材２の環状ボス部２ｃをインナ部材３の環状胴部３ａに嵌装する（図６）。

　図６の嵌装状態で、各遊星歯車部材４の遊星歯車４ａはアウタ部材２の内歯車２ｂと噛合する。また、環状ボス部２ｃの内周面と環状胴部３ａの外周面とには、アウタ部材２とインナ部材３とが互いに同軸に対向しかつ重ね合わされた状態で互いに嵌り合う周方向突条２ｄと周方向溝３ｄとが設けられている。図６に示されるように、周方向突条２ｄと周方向溝３ｄとの凹凸係合により、アウタ部材２とインナ部材３とは、互いに相対回転可能であるが軸線方向には抜け止めされた状態で一体的に組み付けられる。

　このようにして組み付けられた一方向クラッチ１では、インナ部材３に対してアウタ部材２が相対的に図２の矢印Ａの向きに回転しようとする場合には、遊星歯車４ａが内歯車２ｂと噛合している遊星歯車部材４が矢印Ａ方向に回転する。これにより、図７に示されるように、ロック歯４ｂの一部が係合部５に係合し、遊星歯車部材４の回転が止められて、アウタ部材２とインナ部材３とが互いにロック状態になる。モータでアウタ部材２が駆動される場合には、モータトルクがインナ部材３に伝達され、例えばインナ部材３に連結される紙送りローラ（図示せず）が回転する。

　逆に、上記紙送りローラが停止時に紙に加わる張力で図２の矢印Ａの向きに回転しようとするトルクがインナ部材３に作用した場合には、アウタ部材２に対してインナ部材３が相対的に矢印Ａの向きに回転するため、ロック歯４ｂに対して係合部５が先行するように遊星歯車部材４が回転し、ロック歯４ｂと係合部５との係合状態が解除されて一方向クラッチ１のロック状態が解除される。その状態では、遊星歯車部材４はＵ字状の壁部材３ｂの長い幅の方により押されるようになり、内歯車２ｂに遊星歯車４ａが噛み合いながら遊星歯車部材４がフリー回転する。

　上記したように、遊星歯車部材４のフランジ４ｃの外径は遊星歯車４ａの歯先円より大径であることから、上記遊星歯車部材４のフリー回転状態ではフランジ４ｃの外周面がＵ字状壁部３ｂの内周面に摺接する。フランジ４ｃの外周面は円周となるように形成されており、フランジ４ｃの外周面とＵ字状壁部３ｂの内周面との接触状態は遊星歯車部材４の回転位置にかかわらず常に一定である。

　従来のように歯車の歯先が直接Ｕ字状壁部３ｂの内周面（凹部の凹面）に摺接する場合には、歯数に対応した多角形の各角部が摺接するのと同じようになる。その場合には、遊星歯車部材４の回転位置により段差が生じて摺接するようになるため、タタキ音が発生する。

　それに対して、本発明の上記構造によれば、常に同一径のフランジ４ｃの外周面が摺接し得るため、上記したようなタタキ音は発生せず、静粛性が確保される。

　また、遊星歯車４ａの歯先円より大径のフランジ４ｃが遊星歯車４ａと一体成形により形成されていることにより、遊星歯車４ａの歯の強度が高くなり、遊星歯車部材４を小径化した場合でも遊星歯車４ａの歯の強度を高く保つことができ、一方向クラッチ１を何等問題なくコンパクト化し得る。

　また、従来の一方向クラッチでは、遊星歯車の歯の一部を、凹部に設けた係合部に係合させてロック状態にしており、その場合には遊星歯車の隣り合う歯の間隔によるバックラッシュが大きかった。

　それに対して、遊星歯車４ａではなく、ロック歯４ｂの歯を係合部５に係合させてロック状態としており、ロック歯４ｂの歯を係合状態に合わせて自由に設計できる。図７に示されるように、ロック歯４ｂの歯６は、ロック歯４ｂのピッチ円方向（矢印Ｂ）に対して直交する（９０度）面６ａを有する。係合部５を形成する段の面も、ロック状態においてロック歯４ｂのピッチ円方向Ｂに対して直交する（９０度）ように形成されており、ロック状態でロック歯４ｂの歯６の面６ａと係合部５の段の面とが互いに正対して係合する。

　このような正対し得る形状同士の係合により、ロック歯４ｂの回転方向のトルクが分力として逃げることなく係合部５により受け止められる。これにより、ロック歯４ｂの歯６の高さなどの形状を小さくしても十分な係合力が得られ、歯６の高さを小さくかつピッチも小さくすることができる。そのようにロック歯４ｂを形成することにより、高ピッチでロック状態になり得るため、従来の遊星歯車の歯を係合させてロック状態にしていた構造のものに対してバックラッシュが小さくなるため、高精度かつ高品質な一方向クラッチを提供し得る。

　また、遊星歯車として機能する遊星歯車４ａと、ロック状態を実現するロック歯４ｂとを１つの部材である遊星歯車部材４として形成することができる。その遊星歯車部材４を一部品として形成することができるため、従来のアウタ・インナ部材と遊星歯車との３部品と部品点数は何等変わらずに一方向クラッチを構成することができ、部品点数の増加を伴わずにバックラッシュの小さな一方向クラッチ１を実現し得る。

　なお、ロック歯４ｂの歯６の係合する面６ａと係合部５の段の面とをロック歯４ｂのピッチ円方向Ｂに対してそれぞれ９０度になる面として形成したが、９０度に限られるものではなく、ロック状態のトルク設計値が確保されるのであれば略９０度であって良く、それにより成形誤差が許容され、加工コストの低廉化を促進し得る。

　また、ロック歯４ｂもフランジ４ｃと一体成形されており、それにより歯６の強度も高まり、耐久性も向上する。フランジ４ｃは遊星歯車４ａとロック歯４ｂとの間に設けられており、上記したようにフランジ４ｃの外周面をＵ字状壁部３ｂの内周面に摺接させている。ロック状態で係合部５及びロック歯４ｂの係合部分と遊星歯車４ａ及び内歯車２ｂの噛合部分とが遊星歯車部材４の軸線方向に互いにずれており、係合部分と噛合部分とが力点と作用点となる杆において、その支点がフランジ４ｃとなり得るため、遊星歯車４ａやロック歯４ｂの各歯先に一方的に荷重が加わることがなく、過荷重による各歯の摩耗や変形を防止し得る。

　本発明にかかる一方向クラッチは、バックラッシュを小さくすることができ、プリンタの紙送り機構に限られず、種々の装置に用いられる一方向クラッチとして有用である。

１　一方向クラッチ
２　アウタ部材
２ｂ　内歯車
３　インナ部材
３ｂ　Ｕ字状壁部
４　遊星歯車部材
４ａ　遊星歯車
４ｂ　ロック歯
４ｃ　フランジ
５　係合部
６　歯
６ａ　面

Claims

　一方向クラッチであって、
　内歯車を備えた第１の部材（２）と、
　前記第１の部材に対して同軸的に相対回転自在に支持され、前記内歯車の歯に向けて開かれた凹部を有する第２の部材（３）と、
　前記凹部内に回転可能に受容され、かつ前記内歯車に噛合する遊星歯車を有する遊星歯車部材（４）とを有し、
　前記遊星歯車部材が、前記遊星歯車と同軸かつ一体的に設けられた延長部を有し、
　前記延長部の外周に前記係合部に係合するロック歯が設けられ、前記ロック歯が前記遊星歯車の歯よりも高ピッチに配設され、
　前記第２の部材が、前記第１の部材と前記第２の部材とが一方の方向に相対回転しようとするときにのみ、前記遊星歯車部材の一部に係合する係合部を有することを特徴とする一方向クラッチ。
　前記第２の部材（３）が軸部材及び又はディスク部材を含み、前記凹部が前記軸部材の外周及び前記ディスク部材の軸線方向端面の少なくとも一方に結合された壁部材により画定されていることを特徴とする請求項１に記載の一方向クラッチ。
　前記係合部が、前記壁部材に設けられていることを特徴とする請求項２に記載の一方向クラッチ。
　前記壁部材の前記係合部が設けられた側の、前記遊星歯車の一方の側部に対向する部分が切欠されていることを特徴とする請求項３に記載の一方向クラッチ。
　前記遊星歯車部材の、前記遊星歯車と前記ロック歯との間の部分に同軸的にフランジを設けたことを特徴とする請求項１に記載の一方向クラッチ。
前記フランジは、前記遊星歯車の歯先円と同一またはやや大径に形成されていることを特徴とする請求項５に記載の一方向クラッチ。
前記ロック歯が鋸歯状をなし、前記ロック歯の前記係合部に係合する歯面が、前記ロック歯のピッチ円方向に対して略直交することを特徴とする請求項１に記載の一方向クラッチ。