WO2010070880A1 - 切断機 - Google Patents

Abstract

【課題】より簡単な構成で、耐久性を向上させると共に、良好な切断面や使用感の維持も可能とする。 【解決手段】卓上マルノコ１において、被切断材を載置するベース２上に、モータ８の駆動で回転する鋸刃１０を備えた本体を上下動可能に設けると共に、モータ８の出力軸９を鋸刃１０のスピンドル１３と平行に設けて、出力軸９とスピンドル１３との間に、駆動プーリ２１，従動プーリ２２，ベルト２３を備えて鋸刃１０の回転時の負荷に応じて出力軸９からスピンドル１３へ伝わるトルクを自動的に調整する自動トルク調整機構２０を設けた。

Description

切断機

　本発明は、卓上マルノコやスライドマルノコ等の切断機に関する。

　例えば卓上マルノコにおいては、被切断材を載置するベース上に、モータの駆動で回転する鋸刃（切断刃）を備えた本体を上下動可能且つ上死点に付勢して設けて、鋸刃を回転させた状態で本体を付勢に抗して下降させることで、ベース上の被切断材が切断可能となっている。

　また、このような卓上マルノコでは、切断の際に本体を押し下げる加減にムラがあると、鋸刃に振動を生じさせて切断面の仕上げが悪くなったり使用感を損なったりする。そこで、モータの駆動中は、モータ又は鋸刃の回転数及びモータの負荷電流を検出して、無端ベルトの許容回転数と許容伝達トルクを超えないようにモータの回転数とトルクを制御するモータコントロール手段と、モータの制動時には無端ベルトの許容伝達トルクを超えない減速トルクでモータを停止させるブレーキ手段とを設けて、モータの回転数とトルクとを関連的に制御するようにしている（特許文献１参照）。

特許第３０７９９３７号公報

　ところが、このような手段を採用しても、寸法の大きい被切断材を切断する際に、トルクが不足するのを解決することができない。かといって減速比の大きいギヤ比を採用した場合は、反対に回転数が不足するため、切り始め等にうまく切断することができない。

　そこで、本発明は、良好な切断面や使用感の維持に関して、様々な切断状況に対応できる切断機を提供することを目的としたものである。

　上記目的を達成するために、請求項１に記載の発明は、被切断材を載置するベース上に、モータの駆動で回転する切断刃を備えた本体を上下動可能に設けると共に、モータの出力軸と切断刃の回転軸との間に、切断刃の回転時の負荷に応じて出力軸から回転軸へ伝わるトルクを自動的に調整する自動トルク調整機構を設けてなるものである。
　なお、「回転軸」とは、切断刃が直接固定される回転軸（スピンドル）の他、当該回転軸の前段に配設されてモータの出力軸の回転を減速して当該回転軸へ伝達する中間軸も含む。
　請求項２に記載の発明は、請求項１の構成において、自動トルク調整機構は、トルクを無段階に調整する構成としたものである。
　請求項３に記載の発明は、請求項１又は２の構成において、自動トルク調整機構は、出力軸に設けられて互いの間隔が調整可能な一対のプーリ板を有する駆動プーリと、回転軸に設けられて負荷に応じて互いの間隔が調整可能な一対のプーリ板を有する従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとの間に張設される無端状のベルトとを備え、負荷に応じて従動プーリがプーリ板の間隔を変更してベルトの巻回位置を無段階に変化させることで、ベルトを介して駆動プーリがプーリ板の間隔を変更してベルトの巻回位置を無段階に変化させてトルク調整を行うことを特徴とするものである。
　請求項４に記載の発明は、請求項３の構成において、出力軸と回転軸とを、本体の左右何れか同じ側へ突出させて平行に配置することを特徴とするものである。
　請求項５に記載の発明は、請求項１乃至３の何れかの構成において、モータを、出力軸が前後方向となる向きで配置したことを特徴とするものである。
　請求項６に記載の発明は、請求項１乃至５の何れかの構成において、回転軸を、切断刃が固定されるスピンドルの前段に配設される中間軸として、中間軸とスピンドルとの間にアイドルギヤを介在させて、中間軸のトルクをアイドルギヤを介してスピンドルに伝達することを特徴とするものである。

　請求項１に記載の発明によれば、自動トルク調整機構の採用により、様々な切断状況に対応して負荷に応じた適切なトルクで切断刃が回転するため、出力軸と回転軸との間にベルトを張設した場合でもそのスリップが防止され、切断時の振動も抑えられる。よって、簡単な構成で耐久性が向上すると共に、良好な切断面及び使用感の維持も期待できる。
　請求項２に記載の発明によれば、請求項１の効果に加えて、トルクを無段階に調整することで、切断状況により適切に対応したトルク調整が可能となる。
　請求項３に記載の発明によれば、請求項１又は２の効果に加えて、ベルトを利用した自動トルク調整機構が簡単に得られる。
　請求項４に記載の発明によれば、請求項３の効果に加えて、本体のコンパクト化が達成できる。
　請求項５に記載の発明によれば、請求項１乃至３の何れかの効果に加えて、傾斜切断時のモータとガイドフェンスとの干渉を効果的に防止可能となり、切断能力を確保することができる。
　請求項６に記載の発明によれば、請求項１乃至５の何れかの効果に加えて、モータの上側へのシフト量を稼ぐことができ、傾斜切断時のモータとガイドフェンスとの干渉防止に有効となる。

卓上マルノコを正面から見た全体図である。 本体の説明図である。 変更例の卓上マルノコの正面説明図である。 図３のＡ－Ａ線断面図である。

発明を実施するための形態

　以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
　図１は、切断機の一例である卓上マルノコを正面から見た全体図である。卓上マルノコ１において、２はベースで、その中央にはターンテーブル３が水平回転可能に載置されている。ターンテーブル３の両側に位置するベース２の左右の端部４，４間には、ガイドフェンス５が架設されて、ターンテーブル３上にセットされる被切断材を位置決め可能としている。
　また、ターンテーブル３の後方には、アーム６が左右へ夫々最大４５°まで傾動可能に立設され、そのアーム６の上端に、モータ８と切断刃である鋸刃１０とを備えた本体７が、図示しない支軸によって上下方向へ回転可能且つ支軸部分に設けたトーションスプリングによって上死点に付勢された状態で設けられている。

　この本体７は、図２に示すように、鋸刃１０を前後方向で縦向きに収容するブレードケース１１の上方に、モータ８を収容するモータハウジング１２を横向きに連結してなり、ブレードケース１１内には、鋸刃１０が固着されるスピンドル１３が軸支されている。ここでのモータ８は、鋸刃１０の回転中心となるスピンドル１３から上側へ大きくシフトして、アーム６を傾動させた際にガイドフェンス５と干渉しないようにしている。
　また、本体７の右側へ突出して互いに平行となるモータ８の出力軸９とスピンドル１３との間には、２本の第１、第２中間軸１４，１５が夫々平行に軸支されて、出力軸９と第１中間軸１４との間は、後述する自動トルク調整機構２０のベルト２３によって回転伝達され、第１中間軸１４とスピンドル１３との間は、各中間軸１４，１５及びスピンドル１３に固着したギヤ１６～１８同士の噛合によって減速して回転伝達されるようになっている。

　そして、自動トルク調整機構２０は、出力軸９に設けられた駆動プーリ２１と、第１中間軸１４に設けられた従動プーリ２２と、両プーリ２１，２２間に張設された無端状のベルト２３とを備える。
　まず駆動プーリ２１は、出力軸９の先端を軸支するボールベアリング２４側に設けられて出力軸９と一体回転する円盤状の固定プーリ板２５と、固定プーリ板２５に対向して設けられ、スプライン結合によって出力軸９に対して一体回転且つ軸方向へ移動可能に連結される円盤状の可動プーリ板２６と、出力軸９の根元側に周設されたフランジ２７と可動プーリ板２６との間に設けられて可動プーリ板２６を固定プーリ板２５側へ付勢するコイルバネ２８とを有している。ベルト２３は、幅が中心側へ行くに従って狭くなる断面略Ｖ字状となっており、固定プーリ板２５と可動プーリ板２６との対向面は、ベルト２３の形状に合わせた円錐状となっている。

　一方、従動プーリ２２も、第１中間軸１４の先端を軸支するボールベアリング２９側に設けられて第１中間軸１４と一体回転する円盤状の固定プーリ板３０と、固定プーリ板３０に対向して設けられ、第１中間軸１４に対して別体で回転可能に外装されて軸方向へ移動可能な円盤状の可動プーリ板３１と、可動プーリ板３１とギヤ１６との間に設けられて第１中間軸１４と一体回転し、可動プーリ板３１側へ突出する三角形状のカム爪３３，３３・・を周縁に設けた固定カム３２と、可動プーリ板３１と固定カム３２との間に設けられて可動プーリ板３１を固定プーリ板３０側へ付勢するコイルバネ３４とを有している。

　また、固定プーリ板３０と可動プーリ板３１との対向面も、ベルト２３の断面形状に合わせた円錐状となっており、可動プーリ板３１の周縁で固定カム３２側には、固定カム３２のカム爪３３と噛み合う三角形状のカム爪３５，３５・・が突設されている。このカム爪３３，３５同士の噛み合いは、後述する可動プーリ板３１の軸方向への移動にかかわらず、常に維持される。さらに、ここでは駆動プーリ２１の各プーリ板２５，２６の径が従動プーリ２２の各プーリ板３０，３１の径よりも大きく、駆動プーリ２１側のコイルバネ２８の方が従動プーリ２２側のコイルバネ３４よりも付勢力が大きい設定となっている。

　以上の如く構成された卓上マルノコ１においては、本体７に設けた図示しないスイッチをＯＮ操作すると、モータ８が駆動して出力軸９が回転し、その回転が駆動プーリ２１からベルト２３を介して従動プーリ２２に伝わり、第１中間軸１４を回転させる。よって、第１中間軸１４の回転が第２中間軸１５を介してスピンドル１３へ減速して伝達され、スピンドル１３と共に鋸刃１０を回転させる。

　ここで、鋸刃１０が被切断材を切断しない無負荷状態では、駆動プーリ２１では、コイルバネ２８によって可動プーリ板２６が固定プーリ板２５側へ押圧されて接近し、両プーリ板２５，２６の円錐状の対向面による案内でベルト２３は上側に変位する。これにより、両プーリ板２５，２６間でのベルト２３の巻回位置によって決定されるプーリ径が大きくなる。一方、従動プーリ２２では、ベルト２３の上側への変位により、可動プーリ板３１がコイルバネ３４の付勢に抗して固定カム３２側へ移動して固定プーリ板３０から離れる。これにより、両プーリ板３０，３１間でのベルト２３の巻回位置によって決定されるプーリ径が小さくなる。従って、変速比（駆動プーリ２１のプーリ径／従動プーリ２２のプーリ径）が大きくなる。

　そして、本体７を下降させて鋸刃１０によってターンテーブル３上の被切断材を切断すると、被切断材への切り込みによって鋸刃１０に回転抵抗（負荷）が生じる。すると、従動プーリ２２において可動プーリ板３１と固定カム３２との間に速度差が生じるため、可動プーリ板３１がカム爪３３，３５同士で摺接させながら固定カム３２から離れる。よって、可動プーリ板３１と固定プーリ板３０との間隔が狭まってベルト２３が図２に示すように下側へ変位し、プーリ径が大きくなる。一方、駆動プーリ２１においては、ベルト２３の下側への変位により、可動プーリ板２６がコイルバネ２８の付勢に抗して固定プーリ板２５から離れる方向へ移動し、プーリ径が小さくなる。よって、変速比が小さくなって第１中間軸１４のトルクが大きくなる。この変位は、回転抵抗が増大するに伴って無段階に大きくなるため、変速比も無段階に変化することになる。

　こうして変速比が回転抵抗に応じて小さくなることで、第１中間軸１４から第２中間軸１５を介してスピンドル１３に伝わるトルクも増大し、鋸刃１０は最適なトルクで回転する。
　なお、切断が終了して回転抵抗がなくなると、駆動プーリ２１では、可動プーリ板２６がコイルバネ２８の付勢によって固定プーリ板２５側へ移動するため、ベルト２３が上側へ変位してプーリ径が大きくなる。一方、従動プーリ２２では、ベルト２３の上側への変位によって可動プーリ板３１が固定カム３２側へ移動してプーリ径が小さくなる。よって、最初の変速比に復帰する。

　このように、上記形態の卓上マルノコ１によれば、被切断材を載置するベース２上に、モータ８の駆動で回転する鋸刃１０を備えた本体７を上下動可能に設けると共に、モータ８の出力軸９を鋸刃１０のスピンドル１３との間に、鋸刃１０の回転時の負荷に応じて出力軸９からスピンドル１３へ伝わるトルクを自動的に調整する自動トルク調整機構２０を設けたことで、寸法の大きい被切断材を切断する場合や切り始め等の様々な切断状況に対応して、負荷に応じた適切なトルクで鋸刃１０が回転するため、ベルト２３のスリップが防止されて切断時の振動も抑えられる。よって、簡単な構成で、ベルト２３の低寿命化が防止されて耐久性が向上すると共に、良好な切断面及び使用感の維持も期待できる。
　特に、自動トルク調整機構２０においては、トルクを無段階に調整するため、切断状況により適切に対応したトルク調整が可能となる。

　また、自動トルク調整機構２０を、出力軸９に設けられて互いの間隔が調整可能な一対のプーリ板２５，２６を有する駆動プーリ２１と、スピンドル１３に設けられて負荷に応じて互いの間隔が調整可能な一対のプーリ板３０，３１を有する従動プーリ２２と、駆動プーリ２１と従動プーリ２２との間に張設される無端状のベルト２３とを備えたものとし、負荷に応じて従動プーリ２２が両プーリ板３０，３１の間隔を変更してベルト２３の巻回位置を無段階に変化させることで、ベルト２３を介して駆動プーリ２１が両プーリ板２５，２６の間隔を変更してベルト２３の巻回位置を無段階に変化させてトルク調整を行う構成としたことで、ベルト２３を利用した自動トルク調整機構が簡単に得られる。
　さらに、出力軸９とスピンドル１３とを、本体７の同じ側（ここでは右側）へ突出させて平行に配置しているので、本体７のコンパクト化が達成できる。

　なお、上記形態では、中間軸を２本設けているが、この数は適宜増減可能であるし、中間軸をなくしてスピンドルに自動トルク調整機構の従動プーリを直接設けても差し支えない。また、駆動プーリと従動プーリとは、固定プーリ板と可動プーリ板との配置を逆にしてもよいし、駆動プーリの可動プーリ板はキー結合によって軸方向へ移動可能としてもよい。

　一方、上記形態では、アーム６の傾動の際にガイドフェンス５と干渉しないようにモータ８をスピンドル１３の上側へシフトさせ、且つブレードケース１１へ横向きに連結しているが、同様の趣旨で図３，４に示すような変更例も考えられる。すなわち、卓上マルノコ１ａにおいては、ブレードケース１１の右側面上方に、出力軸９が手前となる前後方向の向きでモータ８を収容したモータハウジング１２を連結している。このようにモータ８を、出力軸９が前後方向となる向きで配置しても、右側への突出量を一層小さくして傾斜切断時のモータハウジング１２とガイドフェンス５との干渉を効果的に防止可能となり、切断能力を確保することができる。なお、出力軸９の向きに合わせて第１中間軸１４もその下方で前後方向に軸支されるが、出力軸９と第１中間軸１４との間の自動トルク調整機構２０は上記形態と同じである。

　また、ブレードケース１１には、第１中間軸１４と同じ高さで平面視で直交となる第２中間軸１５が左右方向に軸支されて、第１中間軸１４の前端に設けた第１ベベルギヤ４０を、第２中間軸１５の中間部位に設けた第２ベベルギヤ４１と噛合させている。
　さらに、第２中間軸１５の下方には、第３中間軸４３が平行に軸支されて、第２中間軸１５の左側に設けた第３ギヤ４２を、第３中間軸４３に設けた第４ギヤ４４と噛合させている。この第４ギヤ４４が、スピンドル１３に設けた第５ギヤ４５と噛合することで、第１中間軸１４の回転を減速してスピンドル１３へ伝達可能となっている。但し、第４ギヤ４４は、第５ギヤ４５と歯数を等しくして減速を行わないアイドルギヤで、このアイドルギヤの採用により、モータ８の上側へのシフト量を稼ぐことができ、ガイドフェンス５との干渉防止により有効となっている。

　そして、切断機としては上記形態や変更例の卓上マルノコに限らず、ターンテーブルを備えない卓上マルノコや、本体が前後へスライドするスライドマルノコであっても本発明は適用可能である。

符号の説明

　１・・卓上マルノコ、２・・ベース、３・・ターンテーブル、５・・ガイドフェンス、６・・アーム、７・・本体、８・・モータ、９・・出力軸、１０・・鋸刃、１２・・モータハウジング、１３・・スピンドル、１４・・第１中間軸、１５・・第２中間軸、２０・・自動トルク調整機構、２１・・駆動プーリ、２２・・従動プーリ、２３・・ベルト、２５，３０・・固定プーリ板、２６，３１・・可動プーリ板、２８，３４・・コイルバネ、３２・・固定カム、３３，３５・・カム爪、４３・・第３中間軸、４４・・第４ギヤ。

Claims (6)

1. 　被切断材を載置するベース上に、モータの駆動で回転する切断刃を前後方向で縦向きに備えた本体を上下動可能に設けると共に、前記モータの出力軸と前記切断刃の回転軸との間に、前記切断刃の回転時の負荷に応じて前記出力軸から前記回転軸へ伝わるトルクを自動的に調整する自動トルク調整機構を設けてなる切断機。
2. 　前記自動トルク調整機構は、前記トルクを無段階に調整するものである請求項１に記載の切断機。
3. 　前記自動トルク調整機構は、前記出力軸に設けられて互いの間隔が調整可能な一対のプーリ板を有する駆動プーリと、前記回転軸に設けられて前記負荷に応じて互いの間隔が調整可能な一対のプーリ板を有する従動プーリと、前記駆動プーリと従動プーリとの間に張設される無端状のベルトとを備え、前記負荷に応じて前記従動プーリが前記プーリ板の間隔を変更して前記ベルトの巻回位置を無段階に変化させることで、前記ベルトを介して前記駆動プーリが前記プーリ板の間隔を変更して前記ベルトの巻回位置を無段階に変化させてトルク調整を行うことを特徴とする請求項１又は２に記載の切断機。
4. 　前記出力軸と回転軸とを、前記本体の左右何れか同じ側へ突出させて平行に配置することを特徴とする請求項３に記載の切断機。
5. 　前記モータを、前記出力軸が前後方向となる向きで配置したことを特徴とする請求項１乃至３の何れかに記載の切断機。
6. 　前記回転軸を、前記切断刃が固定されるスピンドルの前段に配設される中間軸として、前記中間軸とスピンドルとの間にアイドルギヤを介在させて、前記中間軸のトルクを前記アイドルギヤを介して前記スピンドルに伝達することを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の切断機。

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