JP2010255704A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】原動機から出力部材に伝達するトルクを増加する際に、ショックが生じることを抑制できる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車両の原動機から被駆動部材に至る動力伝達経路に変速機およびトルク伝達装置が配置されている車両の制御装置において、被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件の成立時に、変速機の変速比を小さくする第1変速比制御手段(ステップS1,S2)と、変速機の変速比が制御された後に、トルク伝達装置のトルク容量を増加するトルク容量制御手段(ステップS3)と、トルク伝達装置のトルク容量が増加された後に、変速機の変速比を大きくする第2変速比制御手段(ステップS4)と、第1変速比設定手段が決める変速機の変速比、または第2の変速比制御手段が決める変速比の変更速度を、車両の状態により変更する変更手段(ステップS2,S4)とを備えている。
【選択図】図1

Description

この発明は、原動機から駆動輪に至る動力伝達経路に、変速機およびクラッチが設けられている車両の制御装置に関するものである。
従来、車両の原動機から駆動輪に至る動力伝達経路に、変速機およびクラッチが設けられた車両が知られており、この種の車両が走行する場合には、変速機で変速比を設定し、かつ、クラッチの伝達トルクを相対的に高めることで、原動機のトルクを駆動輪に伝達する制御がおこなわれる。このような車両の制御装置の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1においては、エンジンとベルト式無段変速機とがエンジン出力軸により直結されている。このベルト型無段変速機は、変速機入力軸に設けられたプライマリプーリと、従動軸に設けられたセカンダリプーリとを有しており、そのプライマリプーリおよびセカンダリプーリにベルトが巻き掛けられている。この従動軸とファイナルギヤとの間には、発進クラッチが設けられている。発進クラッチは、従動軸とファイナルギヤとの間の動力伝達を制御するクラッチであり、締結時には動力伝達が可能となり、解放時にはベルト型無段変速機が中立状態となる。そして、車速が予め設定された設定車速以下の場合には、レンジ位置が停止レンジのときベルト式無段変速機の変速比を所定量小さくし、レンジ位置が走行レンジへ切り替わったとき、ベルト式無段変速機の変速比を最大とする制御指令を出力することが記載されている。なお、車両の低速走行時に、自動変速機の変速比を固定する制御が特許文献2に記載され、ニュートラルレンジから走行レンジに切り替えられたときのショックを抑制する制御が、特許文献2に記載されている。さらに、エンジンの出力側に自動変速機が設けられている車両において、ニュートラルレンジから走行レンジへのセレクトを、短時間にかつショックを伴うことなくおこなう油圧制御装置が、特許文献3に記載されている。
特開2004−332904号公報 特開2008−128312号公報 特開平11−37261号公報
しかしながら、特許文献1に記載された変速比制御装置では、レンジ位置が停止レンジから走行レンジに切り替わった時にベルト式無段変速機の変速比を最大にするため、レンジ位置が停止レンジから走行レンジに切り替わることに伴い発進クラッチのトルク容量が増加されると、車両の駆動力が急激に増加してショックを招く虞があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、原動機から出力部材に伝達するトルクを増加する際に、ショックが生じることを抑制することのできる車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車両の原動機から被駆動部材に至る動力伝達経路に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機と、伝達トルクを制御可能なトルク伝達装置とが配置されており、前記原動機のトルクを前記変速機および前記トルク伝達装置を経由させて前記被駆動部材に伝達するように構成されている、車両の制御装置において、前記原動機から前記被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件が成立した際に、前記変速機の変速比を相対的に小さな変速比とする第1変速比制御手段と、この第1変速比制御手段により前記変速機の変速比が制御された後に、前記トルク伝達装置のトルク容量を増加するトルク容量制御手段と、前記トルク伝達装置のトルク容量が増加された後に、前記変速機の変速比を相対的に大きくする変速をおこなう第2変速比制御手段と、前記第1変速比設定手段により制御される前記変速機の変速比、または前記第2の変速比制御手段により制御される前記変速機の変速比の変更速度のいずれか一方を、前記車両の状態に基づいて変更する変更手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、車両の原動機から被駆動部材に至る動力伝達経路に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を無段階に変更可能な無段変速機と、伝達トルクを制御可能なトルク伝達装置とが配置されており、前記原動機のトルクを前記無段変速機および前記トルク伝達装置を経由させて前記被駆動部材に伝達するように構成されている、車両の制御装置において、前記無段変速機は、前記原動機のトルクが伝達される入力部材と、この入力部材の外周面にトルク伝達可能に接触され、かつ、回転中心軸線を傾斜させることができかつ外周面が滑らかな曲面に形成された転動体と、前記回転中心軸線を挟んで前記入力部材とは反対側で前記転動体の外周面にトルク伝達可能に接触し、かつ、相互に相対回転可能な第1出力部材および第2出力部材とを有し、前記転動体の回転中心軸線を傾斜させることにより、前記第1出力部材および第2出力部材が前記転動体に接触している箇所の回転半径を変化させて、前記入力部材の回転数と前記第1出力部材の回転数との間の変速比、および前記入力部材の回転数と第2出力部材の回転数との間の変速比を無段階に変化させることが可能に構成されている。
また、請求項2の発明は上記の構成に加えて、前記第1出力部材または前記第2出力部材と前記被駆動部材との間に、最大変速比を含む変速比を選択的に切り替え可能な変速部と、この変速部の変速比を変更しかつ、トルク容量が制御されるクラッチとが設けられており、このクラッチが前記トルク伝達装置であり、前記原動機から前記被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件が成立した際に、前記無段変速機における前記入力部材と、前記変速部に動力伝達可能に接続された出力部材との間の変速比を相対的に小さな変速比に設定する第1変速比制御手段と、この第1変速比制御手段により前記無段変速機の変速比を相対的に小さな変速比に設定した後に、前記クラッチのトルク容量を相対的に大きくするトルク容量制御手段と、前記クラッチのトルク容量が増加された後に、前記無段変速機の変速比を相対的に大きくする変速をおこなう第2変速比制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記第1変速比設定手段により制御される前記無段変速機の変速比、または前記第2の変速比制御手段が前記無段変速機の変速比を相対的に大きくする際の変速比の変更速度のいずれか一方を、前記車両の状態に基づいて変更する変更手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1または3の構成に加えて、前記変更手段は、前記車両状態として制動要求の有無を判断するとともに、その制動要求がないときの前記無段変速機の変速比を、制動要求があるときの前記無段変速機の変速比よりも小さく設定する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1または3の構成に加えて、前記変更手段は、前記車両状態として前記車両の加速要求が相対的に少ない際における前記原動機の目標回転数を判断するとともに、その目標回転数が相対的に高いときの前記無段変速機の変速比を、その目標回転数が相対的に低いときの前記無段変速機の変速比よりも小さく設定する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1または3の構成に加えて、前記変更手段は、前記車両状態として前後方向における車体の傾斜角度を判断するとともに、その車体の傾斜角度が相対的に大きいときの前記無段変速機の変速比を、車体の傾斜角度が相対的に小さいときの前記無段変速機の変速比よりも大きく設定する手段を含むことを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1または3の構成に加えて、前記変更手段は、前記車両状態として制動要求の有無を判断するとともに、この制動要求がないときにおける前記無段変速機の変速比の変更速度を、前記制動要求があるときにおける前記無段変速機の変速比の変更速度よりも遅くする手段を含むことを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、原動機から被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件が成立した際には、トルク伝達装置のトルク容量を増加する前に、変速機の変速比を相対的に小さな変速比に設定する。ついで、トルク伝達装置のトルク容量を増加する。このため、原動機から被駆動部材に伝達されるトルクが相対的に緩やかに増加するか、またはトルクの増加割合が相対的に小さくなり、ショックが起きることを抑制できる。また、変速機の変速比、または変速機の変速比を相対的に大きくする際の変速比の変更速度を、車両の状態に基づいて変更するため、変速機の変速比を、状況に適した変速比とすることができる。
請求項2の発明によれば、原動機から被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件が成立した際には、クラッチのトルク容量を増加する前に、無段変速機における入力部材と、変速部に動力伝達可能に接続された出力部材との間の変速比を相対的に小さな変速比に設定する。ついで、クラッチのトルク容量を増加する。さらに、無段変速機の変速比を相対的に大きくする変速をおこなう。このため、原動機から被駆動部材に伝達されるトルクが相対的に緩やかに増加するか、またはトルクの増加割合が相対的に少なくなるため、ショックが起きることを抑制できる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる他に、変速機の変速比、または変速機の変速比を相対的に大きくする際の変速比の変更速度を、車両の状態に基づいて変更するため、変速機の変速比を、状況に適した変速比とすることができる。
請求項4の発明によれば、請求項1または3の発明と同様の効果を得られる他に、制動要求がないときの無段変速機の変速比を、制動要求があるときの無段変速機の変速比よりも小さく設定する。したがって、制動要求がないときには、出力部材に伝達されるトルクを相対的に低くすることができ、ショックの発生を確実に抑制できる。
請求項5の発明によれば、請求項1または3の発明と同様の効果を得られる他に、原動機の目標回転数が相対的に高いときの無段変速機の変速比を、目標回転数が相対的に低いときの無段変速機の変速比よりも小さく設定する。したがって、原動機の目標回転数が相対的に高いときに、出力部材に伝達されるトルクを相対的に低くすることができ、ショックの発生を確実に抑制できる。
請求項6の発明によれば、請求項1または3の発明と同様の効果を得られる他に、車体の傾斜角度が相対的に大きいときの無段変速機の変速比を、車体の傾斜角度が相対的に小さいときの無段変速機の変速比よりも大きくする。したがって、車両が登坂路に停止しているときに、出力部材に伝達されるトルクを相対的に高くすることができ、車両の後退を抑制できる。
請求項7の発明は、請求項1または3の発明と同様の効果を得られる他に、制動要求がないときにおける無段変速機の変速比の変更速度を、制動要求があるときにおける無段変速機の変速比の変更速度よりも遅くする。したがって、制動要求がないときには、出力部材に伝達されるトルクを相対的に低くすることができ、ショックの発生を確実に抑制できる。
この発明の車両の制御装置で実行可能な制御例を示すフローチャートである。 この発明に用いる無段変速機の一例を一部省略して模式的に示す断面図である。 図2に示す無段変速機の転動体を傾転させる傾転角調整機構の一例を模式的に示す断面図である。 (a)および(b)のそれぞれは、図3に示す傾転角調整機構の動作状態を模式的に示す断面図である。 図2に示す無段変速機の機構説明図である。 この発明に用いる無段変速機の転動体の傾転角度と、cos(α+β)およびcos(α−β)の値との関係を示す線図である。 図2に示す無段変速機の転動体の傾転角度と、各ディスクの回転数との関係を示す線図である。 この発明で用いる無段変速機と出力部材との間に設けられる変速機の一例を模式的に示す図である。 この発明の車両の制御装置に用いられる電子制御装置に入力される信号、および電子制御装置から出力される信号を示すブロック図である。 (a)ないし(d)は、図8に示す変速機の各変速状態での各中間軸およびギヤ対の回転数と、無段変速機の転動体の傾転角度との関係を説明するための線図である。 図1の制御例に対応するタイムチャートの一例である。 図1の制御例のステップS2,S4でおこなわれる無段変速機の変速比の制御例を示すタイムチャートである。 図1の制御例のステップS4でおこなわれる無段変速機の変速速度の制御例を示すタイムチャートである。 図1の制御例のステップS4でおこなわれる無段変速機の変速速度の他の制御例を示すタイムチャートである。 図1の制御例のステップS1からステップS2に進む過程でおこなわれる無段変速機の変速比の制御例を示すタイムチャートである。
この発明における車両は、原動機から駆動輪(前輪または後輪の少なくとも一方)にトルクが伝達されて駆動力が発生する移動体であり、その車両は、乗用車、トラック、バスなどのいずれでもよい。この発明における原動機は、被駆動部材に伝達する動力を発生する動力装置であり、原動機としては、燃料を燃焼させてその熱エネルギを運動エネルギに変換するエンジン、電気エネルギを運動エネルギに変換する電動モータなどを用いることができる。この発明における被駆動部材は、原動機から駆動輪に至る動力伝達経路に配置されたトルク伝達部材であり、被駆動部材には、回転軸、ギヤ、プーリ、スプロケット、チェーン、ベルトなどの回転要素が含まれる。この発明における変速機は、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な伝動装置であり、変速比を無段階(連続的)に変更可能な無段変速機、または変速比を不連続(段階的)に変更可能な有段変速機のいずれでもよい。上記の無段変速機には、ベルト型無段変速機およびトロイダル型無段変速機が含まれる。さらに有段変速機には、選択歯車式変速機、常時噛み合い式変速機、遊星歯車式変速機が含まれる。この発明におけるトルク伝達装置は、伝達トルクもしくはトルク容量を変更可能に構成されており、トルク伝達装置には、電磁力により動力伝達をおこなう装置、摩擦力により動力伝達をおこなう装置、噛み合い力により動力伝達をおこなう装置などが含まれる。この発明における車両状態(を表すパラメータ)には、車両に設けられている各種の装置の状態の他に、車両が位置する道路(外部環境)の状態が含まれる。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。この発明に用いる無段変速機(DUO−CVT)1の一例を図2に示す。この無段変速機1は、三つの回転要素の間でトルクの伝達を行い、かつ入力部材と第1出力部材との間の変速比、および入力部材と第2の部材との間の変速比を連続的(無段階)に変化させるように構成されている。図2において、符号2は入力軸を示し、その外周側に入力軸2と一体となって回転するローラ3が取り付けられている。そのローラ3は、円筒状の部材であって、その外周面がトルク伝達面となっている。そのトルク伝達面に接触した状態に複数の転動体4が配置されている。なお、入力軸2には図8に示すように原動機50がトルク伝達可能に接続されている。この原動機50は、車両の動力源であり、原動機50としては、例えばエンジン、電動モータのうちの少なくとも一方を用いることができる。エンジンは燃料を燃焼させて動力を発生する動力装置である。電動モータは電気エネルギを運動エネルギに変換してトルクを発生する動力装置である。この実施例では、原動機50としてエンジンが用いられている場合について説明し、以下、便宜上、原動機50をエンジン50と記す。
この転動体4は、後述するようにトルクの伝達を媒介するとともに、無段変速機1の変速比を変化させるためのものであって、その外周面は、入力軸2およびローラ3の回転に伴って円滑に回転するように滑らかな曲面に形成されている。具体的には、この転動体4は、鋼球などの球体、あるいはラグビーボールのような断面が楕円形状もしくは長円形状を成す部材などによって構成されている。なお、以下の説明では、転動体4が鋼球などのボール(球体)によって構成されている例を説明し、したがって転動体4をボール4と記すことがある。
これら複数のボール4は、ローラ3の外周側に等間隔に配置され、かつそれぞれローラ3とはトルク伝達可能に接触している。図3および図4に示すように、各ボール4は、その中心を貫通する支持軸5を備えており、その支持軸5を中心にして、すなわち回転中心軸線X1を中心にして自転するように保持されている。そのボール4を公転させずに自転するように保持するための機構として、図3に示すように無段変速機1のケースに一体化されているサポート部(もしくはキャリヤ)53を設けてある。このサポート部53がボール4の近傍にまで延ばした状態に形成されており、そのサポート部53によって支持軸5が保持されている。具体的には、ボール4を貫通している支持軸5の両端部には、スラストアイドラ22の表面の近くにまで先端部が延びたボールステータ23が取り付けられており、そのボールステータ23がサポート部53に形成された溝に沿って動作することで、支持軸5の回転中心軸線X1が図3に示された平面内で揺動するように構成されている。その場合、サポート部53は支持軸5を回転自在に保持してもよく、あるいは支持軸5は回転しないように保持し、その支持軸5に対してボール4が回転するように構成してもよい。上記のサポート部53は、無段変速機1のケースに固定して設けられており、そのサポート部53は回転不可能に構成されている。
前記転動体4を支持する支持軸5の回転中心軸線X1は、図5に示すように、入力軸2およびローラ3の回転中心軸線X2を含む平面内に位置し、かつその状態で回転中心軸線X1が回転中心軸線X2に対して傾斜するように保持されている。すなわち、図2では、支持軸5が左右に揺動するように構成されている。このようにボール4あるいはその支持軸5を傾斜させるための傾転角調整機構6の一例を、図3および図4に示してある。
図3および図4に示す例では、入力軸2の内部に中空部7が形成されており、その中空部7と同一内径の貫通孔8を有する中空円筒状のスライドピン9が、入力軸2の軸線方向での中間部に挟み込まれている。その中空部7と貫通孔8とが繋がって一つのシリンダ10を形成しており、そのシリンダ10の内部にピストン11が、液密状態を維持して軸線方向に前後動するように配置されている。そのピストン11の軸線方向での一方の端部側には、ピストン11を軸線方向に押圧するリターンスプリング12が配置されている。また、シリンダ10における前記リターンスプリング12とは反対側の部分には、入力軸2の内部にその軸線方向に沿って形成された油路13が連通している。その油路13の他方の端部は、入力軸2の外周面のうちケース14に嵌合している部分に開口している。そして、そのケース14には、油圧発生装置15に連通している油路16が形成されており、これらの油路13,16が、入力軸2とケース14との嵌合箇所で連通している。なお、油圧発生装置15は、油路16に対する圧油の供給および排出を制御するための制御機器(図示せず)を含んでいる。したがって、前記ピストン11を図3および図4の左方向に押圧して移動させる油圧をシリンダ10に供給する制御と、その油圧を排出する制御とを、油圧発生装置15によって行うように構成されている。
前記スライドピン9には、その内外に貫通した所定長さのスリット17が、軸線方向に沿って形成されている。このスリット17の長さは、前述したピストン11の長さより短く、したがってピストン11が軸線方向に前後動した場合であっても、ピストン11によって閉じられている。そのピストン11には、スライドピン9のスリット17を貫通してスライドピン9の外周側に突出したピン18が取り付けられている。また、スライドピン9の外周面には、軸線方向には移動可能であり、かつ回転方向には一体化された円筒状のローラステータ19が嵌合している。そして、ピストン11に取り付けられている前記ピン18の先端が、ローラステータ19に差し込まれて連結されている。したがって、ピストン11とローラステータ19とが、ピン18によって一体化するように連結されている。
前述したローラ3は、上記のようにピストン11と共に軸線方向に前後動するローラステータ19の外周面に嵌合され、かつキー20によって回転方向に対して一体化され、かつスナップリング21によって軸線方向に対して一体化されている。ローラ3は、軸線方向に移動してもボール4との接触を維持するように、軸線方向に所定の長さを有している。そして、このローラ3の軸線方向の両端部には、外表面がテーパ状をなすスラストアイドラ22が取り付けられている。そして、ボール4を貫通している支持軸5の両端部には、スラストアイドラ22の表面の近くにまで先端部が延びたボールステータ23が取り付けられており、そのボールステータ23の先端部に、スラストアイドラ22の表面に接触するガイドローラ24が取り付けられている。前記支持軸5およびこれによって支持されているボール4は、入力軸2の回転中心軸線X2に沿った方向には移動せずに、支持軸5が傾転するように保持されている。したがって、図3および図4に示す傾転角調整機構6は、スラストアイドラ22およびこれが取り付けられたローラ3が軸線方向に移動すると、ガイドローラ24がスラストアイドラ22の表面に沿って図3および図4の上下方向に移動し、支持軸5およびこれによって支持されているボール4が傾転するように構成されている。
上記図4(a)および図4(b)は、傾転角調整機構6の動作状態を示しており、油圧発生装置15からシリンダ10に圧油を供給すると、その圧力がリターンスプリング12の弾性力より大きくなることにより、ピストン11がリターンスプリング12を圧縮しつつ図4の左方向に移動する。このピストン11にはピン18を介してローラステータ19が連結されているので、ローラ3およびその左右両側のスラストアイドラ22が図4の左方向に移動する。そのため、スラストアイドラ22の傾斜している表面に接触しているガイドローラ24がスラストアイドラ22の表面に沿って転動し、ボールステータ23を介してガイドローラ24に連結されている支持軸5が、図4(a)に示すように右下がりに傾斜する。
これとは反対にシリンダ10から圧油を排出すると、その圧力がリターンスプリング12の弾性力より小さくなることにより、ピストン11がリターンスプリング12に押されて図4の右方向に移動する。このピストン11にはピン18を介してローラステータ19が連結されているので、ローラ3およびその左右両側のスラストアイドラ22が図4の右方向に移動する。そのため、スラストアイドラ22の傾斜している表面に接触しているガイドローラ24がスラストアイドラ22の表面に沿って転動し、ボールステータ23を介してガイドローラ24に連結されている支持軸5が、図4(b)に示すように左下がりに傾斜する。このように、シリンダ10内の圧油の量を制御することにより、ピストン11の位置、すなわちボール4およびこれを支持している支持軸5の傾転角度を調整することができる。そして、その傾転角度の制御は、無段変速機1で目標とする変速比を算出し、その目標変速比と実変速比との偏差に基づくフィードバック制御によって行うことができる。
前記ボール4およびその支持軸5を傾転させるのは、無段変速機1の変速比を変化させるためであり、このボール4を介してトルクを伝達される二つの出力部材が、ボール4の外周面に接触した状態に配置されている。図2および図5に示す例においては、2つの出力部材として、第1出力ディスク25および第2出力ディスク26が設けられている。これらのディスク25,26は、前記入力軸2の回転中心軸線X2を中心に回転するように配置された薄い皿形状もしくは薄い椀形状をなす回転部材であり、その開口端の内周縁をボール4の外周面にトルク伝達可能な状態に接触させている。なお、ボール4と各ディスク25,26との接触、およびボール4と前記ローラ3との接触は、それぞれの素材が直接接触する金属接触であってもよく、あるいはトラクションオイルの油膜を介した接触であってもよい。
第1出力ディスク25および第2出力ディスク26は、共に同一形状もしくは対称形状に形成されていることが好ましく、これらのディスク25,26は、ボール4を挟んで左右対称の位置に配置されている。したがって、各ディスク25,26は、ボール4の外周面における左右対称の位置に接触している。より具体的に説明すると、図5は機構説明図であって、ボール4の中心Oと、ボール4が前記ローラ3に接触する点Pとを結んだ線Lを挟んだ左右両側の互いに対称となる位置に各ディスク25,26の開口端部が接触している。それぞれの接触位置P1,P2の周速は、ボール4の回転中心軸線X1からの距離r1,r2に比例するから、ボール4が傾転していずに支持軸5が入力軸2と平行になっている状態では、各接触位置P1,P2の周速すなわち各ディスク25,26の回転速度が等しくなり、ボール4が傾転して支持軸5が入力軸2に対して傾斜すると、いずれか一方のディスク25(26)の回転速度が相対的に速くなり、かつ他方のディスク26(25)の回転速度が相対的に遅くなる。なお、支持軸5が傾斜した状態で各ディスク25,26の回転速度が等しくなるように構成することも可能であり、その場合には、ボール4に対する各ディスク25,26の接触位置は、上記の線Lを挟んだ対称位置から幾分外れた位置になる。
ボール4と各ディスク25,26との間のトルク伝達は、摩擦によって行われ、あるいはトラクションオイルを介した摩擦によって行われるので、伝達可能なトルクは、ボール4と各ディスク25,26との接触圧力に比例したトルクとなる。したがって、各ディスク25,26は、所期の伝達トルク容量となるように、ボール4に向けて押圧され、所定の圧力でボール4に接触している。そのための押圧機構は特には図示しないが、皿ばねなどの弾性機構や油圧によってディスク25,26を軸線方向に押圧する油圧機構などによって構成されている。
上述した無段変速機1の作用について次に説明する。例えば、シフトポジションとしてD(ドライブレンジ)レンジが選択され、エンジン50から入力軸2にトルクが伝達されて、入力軸2と共にローラ3が回転すると、その外周面に接触しているボール4にトルクが伝達されてボール4が回転する。その回転方向はローラ3の回転方向とは反対の方向である。ボール4の外周面には第1出力ディスク25および第2出力ディスク26がトルク伝達可能に接触しているから、ボール4から各ディスク25,26にトルクが伝達されて各ディスク25,26が回転する。これら各ディスク25,26の回転方向はボール4の回転方向と同じであり、したがって各ディスク25,26は入力軸2とは反対の方向に回転する。すなわち、ボール4がアイドラーとして機能し、入力軸2のトルクがボール4を介して各ディスク25,26に伝達される。その場合、ローラ3に対するボール4の回転数や各ディスク25,26の回転数(もしくは回転速度)は、それぞれのボール4との接触位置の回転半径(ボール4の回転中心軸線あるいは支持軸5の中心軸線からの距離)に応じて決まり、それらの回転半径は以下に説明するように、ボール4(もしくはその支持軸5)の傾転角度αによって変化する。したがって、ボール4の傾転角度αを変化させることにより、入力軸2の回転数に対する第1出力ディスク25および第2出力ディスク26の回転数の比率、すなわち変速比を変化させることができる。
これを図5を参照して具体的に説明すると、ボール4の外周面のうち、前述した線Lを中心とした左右対称位置に各ディスク25,26が接触しているとした場合、傾斜していない状態の支持軸5の中心線からその接触位置P1,P2までの距離(すなわち回転半径)は、ボール4の半径rより小さくなる。その割合(接触位置係数)をkとすれば、
β=cos-1
である。ここで、βは、前記各接触位置P1,P2の前記線Lからの開き角度である。支持軸5が傾斜していない場合の中心軸線から各接触位置P1,P2までの距離は(k×r)となる。また、ローラ3の半径をrs、各ディスク25,26のボール4に接触する部分の半径(入力軸2の中心軸線からの半径:回転半径)をrdとすると、
rd=rs+r(1+k)
である。
ボール4の傾転角度(すなわち支持軸5の入力軸2に対する傾斜角度)をαとした場合における第1出力ディスク25のボール4に対する接触位置P1の回転半径r1、第2出力ディスク26のボール4に対する接触位置P2の回転半径r2、ボール4のローラ3に対する接触点Pの回転半径r3は、それぞれ下記の式で表される。なお、回転半径とは、支持軸5の中心軸線(ボール4の回転中心軸線)からの距離である。
r1=r×sin[π/2−(α+β)]=r×cos(α+β)
r2=r×sin[π/2+(α−β)]=r×cos(α−β)
r3=r×cosα
となる。
したがって、入力軸2(ローラ3)の回転数をnrとした場合の第1出力ディスク25の回転数n1、第2出力ディスク26の回転数n2は、
n1=nr×rs/r3×r1/rd
n2=nr×rs/r3×r2/rd
となる。さらに、これらの回転数比は、
n2/n1=cos(α−β)/cos(α+β)
である。
上記のβの値を一定(例えば30°)としてボール4の傾転角度αを変化させた場合におけるcos(α−β)およびcos(α+β)の値の変化を線図で示せば図6のとおりである。すなわち、傾転角度αが正方向あるいは負方向に変化すると、cos(α−β)およびcos(α+β)の一方が増大し、かつ他方が減少する。そして、その変化は連続的である。
傾転角度αの変化に伴う各ディスク25,26の回転数の変化を求めて線図で示すと、図7のとおりである。図7における符号D1は、第1出力ディスク25の回転数を示し、符号D2は、第2出力ディスク26の回転数を示す。この図7から明らかなように、傾転角度αが正方向に増大する(図5では支持軸5が右下がりに傾斜する)と、傾転角度αの増大に従って第1出力ディスク25の回転数が低下し、かつ第2出力ディスク26の回転数が増大する。これとは反対に傾転角度αが負方向に増大する(図5では支持軸5が左下がりに傾斜する)と、傾転角度αが負方向に増大するのに従って、第1出力ディスク25の回転数が増大し、かつ第2出力ディスク26の回転数が低下する。
このように、前記無段変速機1によれば、入力軸2と二つの出力ディスク25,26との合計三つの回転部材の間でトルク伝達することができる。また、入力軸2と一方の出力ディスク25(26)との間の変速比と、入力軸2と他方の出力ディスク26(25)との間の変速比とを同時に、かつ、無段階に変化させることができ、しかも増速と減速とを同時に生じさせることができる。そして、入力軸2の回転数に対して各ディスク25,26の回転数を小さくする減速機として機能させることができる。
上記の無段変速機1と、被駆動部材である出力軸42との間に設けられる変速機30の一例を図8により説明する。出力軸42はエンジン50から伝達されるトルクにより駆動される部材であり、エンジン50から出力されるトルクの伝達方向で、無段変速機1よりも変速機30側に配置されている。図8に示す変速機30は、前進4段の変速段を設定できるように構成した例であり、入力軸2は入力用伝動機構31を介してエンジン50に連結されている。この入力伝動機構31は、発進クラッチあるいはトルクコンバータなどによって構成されており、変速機30を搭載した車両が停止している状態であっても、エンジン50を回転させ続け得るようにするために、入力伝動機構31が設けられている。図8に示す例では、前述した第1出力ディスク25および第2出力ディスク26は、外周面に歯車を備えたカウンタドライブギヤとして構成されている。その第2出力ディスク26に噛み合っている第1カウンタドリブンギヤ32と、第1出力ディスク25に噛み合っている第2カウンタドリブンギヤ33とが設けられている。さらに、第1カウンタドリブンギヤ32は第1中間軸34に取り付けられ、また第2カウンタドリブンギヤ33は第2中間軸35に取り付けられている。したがって、各中間軸34,35は互いに平行に配置され、また前記入力軸2と平行になっている。
第1中間軸34には、第1速用駆動ギヤ36と第3速用駆動ギヤ37とが回転自在に取り付けられている。また、これら第1速用駆動ギヤ36と第3速用駆動ギヤ37との間に、第1ドグクラッチ38が設けられている。この第1ドグクラッチ38は、第1速用駆動ギヤ36と第3速用駆動ギヤ37とを、第1中間軸34に対して選択的に連結するためのものであって、これらの駆動ギヤ36,37に選択的に噛み合いかつ第1中間軸34にスプライン嵌合されたドグを備えている。そのドグを第1中間軸34の軸線方向に移動させる機構は、手動操作されてドグを移動させる機構や、電気的に制御されて油圧もしくは電磁力によって動作する機構のいずれであってもよい。なお、第1切替機構はドグクラッチ38に替えて、シンクロナイザーや多板クラッチなどに置き換えることもできる。
また、第2中間軸35には、第2速用駆動ギヤ39と第4速用駆動ギヤ40とが回転自在に取り付けられている。また、これら第2速用駆動ギヤ39と第4速用駆動ギヤ40との間に、第2ドグクラッチ41が設けられている。この第2ドグクラッチ41は、第2速用駆動ギヤ39と第4速用駆動ギヤ40とを、第2中間軸35に対して選択的に連結するためのものであって、これらの駆動ギヤ39,40に選択的に噛み合いかつ第2中間軸35にスプライン嵌合されたドグを備えている。そのドグを第2中間軸35の軸線方向に移動させる機構は、手動操作されてドグを移動させる機構や、電気的に制御されて油圧もしくは電磁力によって動作する機構のいずれであってもよい。なお、第2切替機構はドグクラッチ41に替えて、シンクロナイザーや多板クラッチなどに置き換えることもできる。
上記の第1中間軸34および第2中間軸35と平行に出力軸42が回転自在に配置されており、その出力軸42に第1速用従動ギヤ43、第2速用従動ギヤ44、第3速用従動ギヤ45、第4速用従動ギヤ46が取り付けられている。その第1速用従動ギヤ43は前述した第1速用駆動ギヤ36に噛み合っており、第2速用従動ギヤ44は前述した第2速用駆動ギヤ39に噛み合っている。また、第3速用従動ギヤ45は前述した第3速用駆動ギヤ37に噛み合っており、第4速用従動ギヤ46は前述した第4速用駆動ギヤ40に噛み合っている。なお、出力軸42は、例えばギヤ対47を介してデファレンシャル48に連結されている。ここで、上記の第1速用のギヤ対ないし第4速用のギヤ対におけるギヤ比(それぞれの駆動ギヤの歯数に対する従動ギヤの歯数の比)は、第1速用のギヤ対で最も大きく、第2速用のギヤ対、第3速用のギヤ対の順に次第に小さくなり、第4速用のギヤ対のギヤ比が最も小さくなっている。
図8に示す変速機30は、上記のドグクラッチ38,41を電気的に切替制御する自動変速機として構成することができ、その場合には、それらのドグクラッチ38,41を制御するために、図9に示す電子制御装置52が設けられている。その電子制御装置52には、アクセル開度、エンジン回転数、変速機入力回転数(入力軸2の回転数)、インプットシャフト#1回転数(第1中間軸34の回転数)、インプットシャフト#2回転数(第2中間軸35の回転数)、シフト信号(シフトレンジの信号)、発進クラッチ位置(入力伝動機構31の係合・解放状態)、変速クラッチ位置(ドグクラッチ38,41の位置)、Ball傾角(ボール4の傾転角度)、車輪速度、エンジン水温、ブレーキランプ信号、ブレーキ圧、車体傾角(車体の前後方向における傾斜角度)、モード選択信号(スノーモードとノーマルモードとの切替スイッチの信号)などが入力される。
車体の傾斜角度は、道路勾配センサまたは加速度センサの信号、あるいは、ナビゲーションシステムの情報から判断可能である。これに対して、電子制御装置52からは、Ball傾角(ボール4の傾転角度)を制御する指令、発進クラッチ(入力伝動機構31)の係合指令、変速クラッチドグクラッチ38,41の係合指令、スロットル開度指令、自動ブレーキ作動指令などの信号が出力される。この電子制御装置52により、変速機30が搭載されている車両の車速やアクセル開度などのデータと予め記憶している変速線図などのデータとに基づいて変速段を判断し、その変速段を達成するように、各ドグクラッチ38,41を動作させる。この電子制御装置52によりボール4の傾転角度を制御すると、無段変速機1の変速比および変速比の変化速度を制御することができる。
この電子制御装置52により検知されるシフトレンジには、D(ドライブ)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、R(リバース)レンジなどがある。Nレンジは、入力軸2と出力軸42との間の動力伝達経路を遮断する場合に選択されるレンジであり、Dレンジは、入力軸2と出力軸42との間の動力伝達経路を接続する場合に選択されるレンジであり、車両を前進させる駆動力が発生する。Rレンジは、入力軸2と出力軸42との間の動力伝達経路を接続する場合に選択されるレンジであり、車両を後退させる駆動力が発生する。
そして、Dレンジが選択されているときに、変速機30の各ドグクラッチ38,41を制御して設定される変速段について説明する。先ず、第1速は、第1ドグクラッチ38を図8の左側に動作させて第1速用駆動ギヤ36を第1中間軸34に連結する。すなわち、第1速用のギヤ対を第1中間軸34と出力軸42との間でトルクを伝達する状態に設定する。その状態で無段変速機1における入力軸2にトルクが入力されると、入力軸2と共に前記ローラ3が回転することにより、前記ボール4を介して第1出力ディスク25および第2出力ディスク26にトルクが伝達され、これらの出力ディスク25,26が入力軸2とは反対の方向に回転する。また、各出力ディスク25,26の回転数は、ボール4の傾転角度αおよび入力軸2の回転数(入力回転数)に応じた回転数になる。
各出力ディスク25,26にカウンタドリブンギヤ32,33が噛み合っているから、第1中間軸34と第2中間軸35とにトルクが伝達されるが、第2中間軸35に設けられている第2ドグクラッチ41がいわゆる中立位置にあって、第2中間軸35には第2速用駆動ギヤ39および第4速用駆動ギヤ40のいずれも連結されていないので、第2中間軸35から出力軸42に対してはトルクが伝達されない。これに対して第1中間軸34に設けられている第1ドグクラッチ38によって第1速用駆動ギヤ36が第1中間軸34に連結されているので、第1中間軸34から第1速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。結局、入力軸2から第2出力ディスク26および第1中間軸34ならびに第1速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。したがって、変速機30で第1速が選択された場合、入力軸2と出力軸42との間における総合変速比は、ボール4の傾転角度αに応じたローラ3と第2出力ディスク26との間の変速比、および第1速用のギヤ対のギヤ比とに応じた値となる。
変速機30の第2速状態は、以下のようにして設定される。第1速を設定している状態で、第2出力ディスク26および第1中間軸34の回転速度が増大する方向にボール4の傾転角度αを増大させると、第1出力ディスク25およびこれと一体の第2中間軸35の回転数が次第に低下する。また、第1中間軸34の回転速度が増大することにより、第1中間軸34からトルクが伝達されている出力軸42の回転速度も次第に増加するので、第2速用のギヤ対および第4速用のギヤ対の回転数が次第に増大する。そのため、第1速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクを伝達している状態(以下、この状態を仮に第1速状態と記す)で無段変速機1におけるボール4の傾転角度αを増大させると、所定の傾転角度αにおいて第2速用のギヤ対の回転数(より正確には第2速用駆動ギヤ39の回転数)が第2中間軸35の回転数に一致する。すなわち、回転数の同期状態が生じる。
この同期状態で、第1ドグクラッチ38を中立位置に動作させて、第1中間軸34に対する第1速用駆動ギヤ36の連結を解除し、かつ第2ドグクラッチ41を図8の左方向に動作させて、第2速用駆動ギヤ39を第2中間軸35に連結する。すなわち、第2速用のギヤ対を第2中間軸35と出力軸42との間でトルクを伝達する状態(以下、仮にこの状態を第2速状態と記す)に設定する。その状態で無段変速機1における入力軸2にトルクが入力されると、入力軸2と共に前記ローラ3が回転することにより、前記ボール4を介して第1出力ディスク25および第2出力ディスク26にトルクが伝達され、これらの出力ディスク25,26が入力軸2とは反対の方向に回転する。また、各出力ディスク25,26の回転数は、ボール4の傾転角度αおよび入力軸2の回転数(入力回転数)に応じた回転数になる。
各出力ディスク25,26にカウンタドリブンギヤ32,33が噛み合っているから、第1中間軸34と第2中間軸35とにトルクが伝達されるが、第1中間軸34に設けられている第1ドグクラッチ38がいわゆる中立位置にあって、第1中間軸34には第1速用駆動ギヤ36および第3速用駆動ギヤ37のいずれも連結されていないので、第1中間軸34から出力軸42に対してはトルクが伝達されない。これに対して第2中間軸35に設けられている第2ドグクラッチ41によって第2速用駆動ギヤ39が第2中間軸35に連結されているので、第2中間軸35から第2速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。結局、入力軸2から第1出力ディスク25および第2中間軸35ならびに第2速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。したがって、変速機30で第2速が選択された際の総合変速比は、ボール4の傾転角度αに応じたローラ3と第1出力ディスク25との間の変速比、および第2速用のギヤ対のギヤ比とに応じた値となる。
変速機30の第3速状態は、第1ドグクラッチ38によって第3速用駆動ギヤ37を第1中間軸34に連結し、かつ第2ドグクラッチ41を中立位置に移動させて第2速用駆動ギヤ39と第2中間軸35との連結を解除することにより設定される。このようなドグクラッチ38,41の動作状態の切り替えは、第1速状態から第2速状態に切り替える場合と同様に、回転数が同期した状態で実行することが好ましい。
第3速状態は、第1ドグクラッチ38を図8の右側に動作させて第3速用駆動ギヤ37を第1中間軸34に連結する。すなわち、第3速用のギヤ対を第1中間軸34と出力軸42との間でトルクを伝達する状態に設定する。その状態で無段変速機1における入力軸2にトルクが入力されると、入力軸2と共に前記ローラ3が回転することにより、前記ボール4を介して第1出力ディスク25および第2出力ディスク26にトルクが伝達され、これらの出力ディスク25,26が入力軸2とは反対の方向に回転する。また、各出力ディスク25,26の回転数は、ボール4の傾転角度αおよび入力軸2の回転数(入力回転数)に応じた回転数になる。
各出力ディスク25,26に各カウンタドリブンギヤ32,33が噛み合っているから、第1中間軸34と第2中間軸35とにトルクが伝達されるが、第2中間軸35に設けられている第2ドグクラッチ41がいわゆる中立位置にあって、第2中間軸35には第2速用駆動ギヤ39および第4速用駆動ギヤ40のいずれも連結されていないので、第2中間軸35から出力軸42に対してはトルクが伝達されない。これに対して第1中間軸34に設けられている第1ドグクラッチ38によって第3速用駆動ギヤ37が第1中間軸34に連結されているので、第1中間軸34から第3速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。結局、入力軸2から第2出力ディスク26および第1中間軸34ならびに第3速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。したがって、変速機30で第3速が選択された際の総合変速比は、ボール4の傾転角度αに応じたローラ3と第2出力ディスク26との間の変速比、および第3速用のギヤ対のギヤ比とに応じた値となる。
さらに、変速機30の第4速状態は以下のようにして設定される。前述した第1速状態を設定している場合と同様に、第3速を設定している状態で、第1出力ディスク25および第1中間軸34の回転速度が増大する方向にボール4の傾転角度αを増大させると、第1出力ディスク25およびこれと一体の第2中間軸35の回転数が次第に低下する。また、第1中間軸34の回転速度が増大することにより、第1中間軸34からトルクが伝達されている出力軸42の回転速度も次第に増加するので、第2速用のギヤ対および第4速用のギヤ対の回転数が次第に増大する。そのため、第3速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクを伝達している状態(以下、この状態を仮に第3速状態と記す)で無段変速機1におけるボール4の傾転角度αを増大させると、所定の傾転角度αにおいて第4速用のギヤ対の回転数(より正確には第4速用駆動ギヤ40の回転数)が第2中間軸35の回転数に一致する。すなわち、回転数の同期状態が生じる。
この同期状態で、第1ドグクラッチ38を中立位置に動作させて、第1中間軸34に対する第3速用駆動ギヤ37の連結を解除し、かつ第2ドグクラッチ41を図7の右方向に動作させて、第4速用駆動ギヤ40を第2中間軸35に連結する。すなわち、第4速用のギヤ対を第2中間軸35と出力軸42との間でトルクを伝達する状態(以下、仮にこの状態を第4速状態と記す)に設定する。その状態で無段変速機1における入力軸2にトルクが入力されると、入力軸2と共に前記ローラ3が回転することにより、前記ボール4を介して第1出力ディスク25および第2出力ディスク26にトルクが伝達され、これらの出力ディスク25,26が入力軸2とは反対の方向に回転する。また、各出力ディスク25,26の回転数は、ボール4の傾転角度αおよび入力軸2の回転数(入力回転数)に応じた回転数になる。
各出力ディスク25,26にカウンタドリブンギヤ32,33が噛み合っているから、第1中間軸34と第2中間軸35とにトルクが伝達されるが、第1中間軸34に設けられている第1ドグクラッチ38がいわゆる中立位置にあって、第1中間軸34には第1速用駆動ギヤ36および第3速用駆動ギヤ37のいずれも連結されていないので、第1中間軸34から出力軸42に対してはトルクが伝達されない。これに対して第2中間軸35に設けられている第2ドグクラッチ41によって第4速用駆動ギヤ40が第2中間軸35に連結されているので、第2中間軸35から第4速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。結局、入力軸2から第1出力ディスク25および第2中間軸35ならびに第4速用のギヤ対を介して出力軸42にトルクが伝達される。したがって、変速機30で第4速が選択された際の総合変速比は、ボール4の傾転角度αに応じたローラ3と第1出力ディスク25との間の変速比、および第4速用のギヤ対のギヤ比とに応じた値となる。
上述した第1速ないし第4速の各変速段での動作状態および同期変速について図10に示す線図を参照して更に説明する。図10(a)〜(d)は、ボール4の傾転角度αを横軸に採り、各中間軸34,35の回転数ならびに各変速段用のギヤ対の回転数(より具体的には切替機構によって中間軸に選択的に連結されるギヤの回転数)を縦軸に採ってそれぞれの部材の回転数の変化を示す線図である。なお、ここにおける「回転数」は入力軸2の回転数に対する相対的な回転数である。
図10(a)は第1速状態を示しており、ボール4の傾転角度αを負の方向に増大させる(図3および図4では支持軸5が左上がりとなるように傾斜させ、その角度を大きくする)と、第1中間軸34の回転数S1が次第に増大するとともに、第2中間軸35の回転数S2が次第に低下する。すなわち、第1速状態での変速比が次第に小さくなり、連続的にアップシフトする。一方、出力軸42に対するトルクの伝達に関与していない第2中間軸35の回転数S2は次第に低下する。
上記の連続的なアップシフトに伴って出力軸42の回転数(入力軸2の回転数に対する相対的な回転数)が増大するので、第2速用のギヤ対の回転数N2、第3速用のギヤ対の回転数N3ならびに第4速用のギヤ対の回転数N4が次第に増大する。第2速用のギヤ対の回転数N2がこのように増大するのに対して、第2中間軸35の回転数S2が、上記の連続的なアップシフトに伴って次第に低下するので、これらの回転数N2,S2が所定の傾転角度αで一致する。すなわち、回転同期が生じる。この回転同期状態では、第2ドグクラッチ41によって連結するべき第2中間軸35の回転数S2と第2速用駆動ギヤ39の回転数とに差がないので、第2ドグクラッチ41におけるドグを第2速用駆動ギヤ39に係合させて第2速用駆動ギヤ39を第2中間軸35に連結することができる。すなわち、第2速状態にシフトすることができ、またその場合、回転数の急激な変化やそれに伴うショックが生じることはない。なお、第2速状態へのシフトに伴って第1ドグクラッチ38におけるドグを中立位置に後退させて、第1速用駆動ギヤ36との係合を解除する。
このようにして設定された第2速状態を図10(b)に示してあり、傾転角度αは負の角度(支持軸5が図5で左下がりに傾斜した状態)になっている。この状態から傾転角度αを次第に小さくするとともに正の方向に傾斜(支持軸5を図5で右下がり傾斜)させ、その傾斜角度を次第に増大させると、第2中間軸35の回転数S2が次第に増大する。すなわち、連続的なアップシフトが生じる。
傾転角度αのこのような変化に伴って第1中間軸34の回転数S1が次第に低下する。また、アップシフトおよびそれに伴う出力軸42の回転数の増大に伴って第3速用のギヤ対の回転数N3が次第に増大する。そのため、傾転角度αが所定の角度になった時点に、第1中間軸34の回転数S1とこれに連結するべき第3速用のギヤ対の回転数N3とが一致する。すなわち、回転同期が生じる。この回転同期状態では、第1ドグクラッチ38によって連結するべき第1中間軸34の回転数S1と第3速用駆動ギヤ37の回転数とに差がないので、第1ドグクラッチ38におけるドグを第3速用駆動ギヤ37に係合させて第3速用駆動ギヤ37を第1中間軸34に連結することができる。すなわち、第3速状態にシフトすることができ、またその場合、回転数の急激な変化やそれに伴うショックが生じることはない。なお、第3速状態へのシフトに伴って第2ドグクラッチ41におけるドグを中立位置に後退させて、第2速用駆動ギヤ39との係合を解除する。
このようにして設定された第3速状態を図10(c)に示してあり、傾転角度αは正の角度(支持軸5が図5で右上がりに傾斜した状態)になっている。この状態から傾転角度αを次第に小さくするとともに負の方向に傾斜(支持軸5を図5で左下がり傾斜)させ、その傾斜角度を次第に増大させると、第1中間軸34の回転数S1が次第に増大する。すなわち、連続的なアップシフトが生じる。
傾転角度αのこのような変化に伴って第2中間軸35の回転数S2が次第に低下する。また、アップシフトおよびそれに伴う出力軸42の回転数の増大に伴って第4速用のギヤ対の回転数N4が次第に増大する。そのため、傾転角度αが所定の角度になった時点に、第2中間軸35の回転数S2とこれに連結するべき第4速用のギヤ対の回転数N4とが一致する。すなわち、回転同期が生じる。この回転同期状態では、第2ドグクラッチ41によって連結するべき第2中間軸35の回転数S2と第4速用駆動ギヤ40の回転数とに差がないので、第2ドグクラッチ41におけるドグを第4速用駆動ギヤ40に係合させて第4速用駆動ギヤ40を第2中間軸35に連結することができる。すなわち、第4速状態にシフトすることができ、またその場合、回転数の急激な変化やそれに伴うショックが生じることはない。なお、第4速状態へのシフトに伴って第1ドグクラッチ38におけるドグを中立位置に後退させて、第3速用駆動ギヤ37との係合を解除する。
このようにして設定された第4速状態を図10(d)に示してあり、傾転角度αは負の角度(支持軸5が図5で左下がりに傾斜した状態)になっている。この状態から傾転角度αを次第に小さくするとともに正の方向に傾斜(支持軸5を図5で右下がり傾斜)させ、その傾斜角度を次第に増大させると、第2中間軸35の回転数S2が次第に増大する。すなわち、連続的なアップシフトが生じる。
なお、一方のドグクラッチ38(41)を係合状態に切り替えるとともに他方のドグクラッチ41(38)を解放状態に切り替える動作を短時間に完了するように制御すれば、第1速状態から第4速状態までの変速を実質的に無段階に行うことができる。また、図10には一つの傾転角度αで各変速状態での同期が生じる例を示してあるが、図10から知られるよう、傾転角度αを更に大きくすることができるように構成した場合には、第2中間軸35の回転数S2が第2速用のギヤ対の回転数N2に同期する傾転角度αと、第4速用のギヤ対の回転数N4に同期する回転数とを生じさせることができる。あるいは第1中間軸34の回転数S1が第1速用のギヤ対の回転数N1に同期する傾転角度αと、第3速用のギヤ対の回転数N3に同期する回転数とを生じさせることができる。したがってこのように構成した場合には、第1速状態と第4速状態との間のシフトも可能になる。なお、Nレンジが選択された場合は、ドグクラッチ38,41は共に中立位置となる。
つぎに、停止している車両が発進するためにNレンジからDレンジに変更されたときにおこなわれる制御の概要を、図1のフローチャートにより説明する。このようなレンジの変更状況としては、Nレンジを挟んで、DレンジとRレンジとが交互に選択されるガレージシフトがある。まず、車両が停止している際に、シフトレンジがNレンジからDレンジに変更されたか否かが判断される(ステップS1)。このステップS1で肯定的に判断された場合は、変速機30で第1ドグクラッチ38を係合する前に、無段変速機1の変速比、具体的には、入力軸2と第2出力ディスク26との間の変速比を相対的に小さくする制御をおこなう(ステップS2)。このステップS2では、ボール4の傾転角度αを負の方向に傾斜、つまり、図4(b)のように支持軸5を左下がりに傾斜した状態とし、変速比を「1」未満(High)にする。
このステップS2についで、中立位置にある第1ドグクラッチ38を動作させて、第1中間軸34と第1速用駆動ギヤ36とを連結(係合)し(ステップS3)、変速機30で第1速を形成する。このステップS3では、第2ドグクラッチ41は中立位置に停止されている。このステップS3の制御により、エンジン50から無段変速機1および第1中間軸34を経由して、出力軸42に伝達されるトルクが増加する。このステップS3についで、無段変速機1の変速比を相対的に大きくする変速(ダウンシフト)をおこない(ステップS4)、リターンする。具体的には、支持軸5を図4で時計方向に揺動させてボール4の傾斜角度αを零度とする制御をおこなう。すなわち、無段変速機1の変速比が「1」となる。なお、ステップS1で否定的に判断された場合は、第1ドグクラッチ38および第2ドグクラッチ41が共に中立位置に維持され、かつ、ボール4の傾斜角度αが零度に制御され(ステップS5)、リターンする。
この図1の制御に対応するタイムチャートの一例を図11に基づいて説明する。まず、時刻t1以前においてはNレンジが選択され、かつ、無段変速機1の入力軸2と第2出力ディスク26と間の変速比は「1」に制御され、かつ、第1ドグクラッチ38が解放されている。したがって、エンジン50は運転されているが、出力軸42にトルクは伝達されない。そして、時刻t1でNレンジからDレンジに変更されると、無段変速機1の変速比が実線で示すように「1」よりも小さな値(High)に制御されるとともに、時刻t2から第1ドグクラッチ38の係合が開始される。このため、出力軸42に伝達されるトルクが実線で示すように増加し、時刻t3で第1ドグクラッチ38の係合が完了すると、出力軸42に伝達されるトルクが一定になる。
一方、時刻t2以降は無段変速機1の変速比が一定に制御されているが、時刻t4から無段変速機1の変速比を「1」に近づけるダウンシフトが開始されると、その時刻t4以降は出力軸42に伝達されるトルクが増加する。そして、時刻t5以降は無段変速機1の変速比が「1」に制御されているため、出力軸42に伝達されるトルクが一定になっている。なお、図11のタイムチャートにおいて、Lowは無段変速機1の変速比が「1」よりも大きい領域を示す。このように、図1の制御を実行すると、車両が停止しているときにNレンジからDレンジに変更された際は、第1ドグクラッチ38を係合する前に無段変速機1の変速比が相対的に小さく制御され、ついで、第1ドグクラッチ38が係合され、ついで、無段変速機1の変速比を大きくするダウンシフトがおこなわれる。したがって、車両が発進するためにNレンジからDレンジに変更されたときに、エンジン50から出力軸42に伝達されるトルクが相対的に緩やかに、またはトルクの増加割合が小さく制御され、ショックが生じることを抑制できる。
これに対して、比較例の制御を説明する。比較例の制御では、NレンジからDレンジに変更された後も、無段変速機の変速比が図11に破線で示すように「1」に維持される。このため、比較例では時刻t2からドグクラッチの係合が開始されると、出力軸に伝達されるトルクが破線で示すように相対的に急激に増加するため、ショックを招く。
つぎに、図1に示す制御を実行するにあたり、ステップS2,S4のより具体的な処理を順次説明する。まず、ステップS2,S4で制御される無段変速機1の変速比を、ブレーキスイッチの信号に基づいて変更する例を、図12のタイムチャートにより説明する。図12のタイムチャートでは、NレンジからDレンジに変更する際に、ブレーキスイッチがOFF(ブレーキペダルが踏み込まれていない)であるときは、時刻t1以降、無段変速機1の変速比を実線で示すように制御する。
これに対して、NレンジからDレンジに変更する際に、ブレーキスイッチがON(ブレーキペダルが踏み込まれている)時は、時刻t1以降、無段変速機1の変速比を破線で示すように制御する。実線および破線で示す変速比の制御特性は、基本的には図11のタイムチャートと同じ特性であるが、実線で示す変速比よりも、破線で示す変速比の方がより変速比「1」に近い。このため、時刻t2以降に出力軸42に伝達されるトルクは、ブレーキスイッチONである時(破線)の方が、ブレーキスイッチOFFであるとき(実線)よりも大きい値である。これは、ブレーキペダルが踏み込まれていれば、各車輪に設けた制動装置により制動力が発生するため、ブレーキペダルが踏み込まれていないときよりも大きなトルクが出力軸42に伝達されたとしても、ショックを軽減できるからである。
なお、図12のタイムチャートでは、ブレーキスイッチONとブレーキスイッチOFFとで、無段変速機1の変速比を変更する例を説明したが、ステップS2,S4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、ブレーキランプのON・OFFにより、無段変速機1の変速比を変更することもできる。ブレーキペダルが踏まれていると、ブレーキランプON(点灯)となり、ブレーキペダルが踏まれていなければ、ブレーキランプOFF(消灯)となる。そして、ブレーキランプONの時に、図12のブレーキスイッチONと同じ特性の制御をおこない、ブレーキランプOFFの時に、図12のブレーキスイッチOFFと同じ特性の制御をおこなうと、前述と同様の効果を得られる。
さらに、ステップS2,S4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、車輪に設けられた制動装置の状態、具体的には、ホイールシリンダのブレーキ油圧に基づいて、無段変速機1の変速比を変更することもできる。ブレーキペダルが踏み込まれたときは、ブレーキ油圧が相対的に高くなり、車輪に制動力が与えられる。これに対して、ブレーキペダルが踏まれていなければ、ブレーキ油圧は相対的に低くなり、車輪に制動力は与えられない。そこで、ブレーキ油圧が相対的に低い時に、図12のブレーキスイッチOFFと同じ特性の制御をおこない、ブレーキ油圧が相対的に高い時に、図12のブレーキスイッチONと同じ特性の制御をおこなうと、前述と同様の効果を得られる。
さらに、ステップS2,S4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、アイドル目標回転数に基づいて、無段変速機1の変速比を変更することもできる。アイドル目標回転数とは、アクセルペダルが踏み込まれていないときの目標エンジン回転数である。例えば、エンジン50の動力により発電する発電機が設けられており、要求される発電量が相対的に多い場合は、アイドル目標回転数が相対的に高く設定される。これに対して、要求される発電量が相対的に少ない場合は、アイドル目標回転数が相対的に低く設定される。そして、アイドル目標回転数が相対的に高いときに、図12のブレーキスイッチOFFと同じ特性の制御をおこない、アイドル目標回転数が相対的に低いときに、図12のブレーキスイッチONと同じ特性の制御をおこなうと、前述と同様の効果を得られる。
さらに、ステップS2,S4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、前後方向における車体の傾斜角度に基づいて、無段変速機1の変速比を変更することもできる。車両が登坂路を登坂する向きで停車している場合は、車体の傾斜角度は相対的に大きく、車両が平坦路で停車している場合は、車体の傾斜角度は相対的に小さい。そして、車体の傾斜角度が相対的に小さいときに、図12のブレーキスイッチOFFと同じ特性の制御をおこない、車体の傾斜角度が相対的に大きいときに、図12のブレーキスイッチONと同じ特性の制御をおこなうことにより、前述と同様の効果を得られ、かつ、車両が登坂路で後退することを回避できる。
さらに、ステップS2,S4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、スノーモードまたはノーマルモードのいずれが選択されているかにより、無段変速機1の変速比を変更することもできる。スノーモードは、駆動輪に伝達されるトルクが、ノーマルモードで駆動輪に伝達されるトルクよりも低く設定されることを目的とするものである。そこで、スノーモードが選択されているときに、図12のブレーキスイッチOFFと同じ特性の制御をおこない、ノーマルモードが選択されているときに、図12のブレーキスイッチONと同じ特性の制御をおこなうことにより、前述と同様の効果を得られる。また、スノーモードが選択されたときは、ノーマルモードが選択されたときよりも、出力軸42に伝達されるトルクが低いため、車両が雪道、凍結路などのように、低摩擦係数路でガレージシフトをおこなうときに、駆動輪のスリップを抑制できる。
さらに、ステップS4において、無段変速機1の変速比をHighから「1」に復帰させる際に、ブレーキスイッチの信号に基づいて無段変速機1の変速比の変更速度を変更することもでき、その場合の制御を、図13のタイムチャートにより説明する。図13において、時刻t1から時刻t4までの間、無段変速機1の変速比の制御、出力軸32に伝達されるトルクは、図11のタイムチャートと同じである。
ついで、時刻t4から無段変速機1の変速比を「1」に近づける制御をおこなうにあたり、ブレーキスイッチOFFである場合は、無段変速機1の変速比が実線で示すように制御されて、時刻t5で無段変速機1の変速比が「1」となる。これに対して、ブレーキスイッチONである場合は、無段変速機1の変速比が破線で示すように制御されて、時刻t5に至る前に無段変速機1の変速比が「1」となる。このように、ブレーキスイッチOFFである場合の方が、ブレーキスイッチONである場合よりも、無段変速機1の変速比の変更速度が相対的に遅くなるように制御される。このため、ブレーキスイッチOFFである場合の方が、ブレーキスイッチONの場合よりも、出力軸32に伝達されるトルクの増加速度が相対的に遅くなる。つまり、ブレーキスイッチOFFであるときは、車輪に制動力が与えられていないため、出力軸32に伝達されるトルクを緩やかに増加することで、ショックを回避できる。
なお、ステップS4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、ブレーキランプの状態に基づいて無段変速機1の変速比の変更速度を制御することもできる。具体的には、ブレーキランプOFFである時に、図13でブレーキスイッチOFFであるときと同じ制御をおこない、ブレーキランプONであるときに、ブレーキスイッチONであるときと同じ制御をおこなうことができ、図13のタイムチャートと同様の効果を得られる。
また、ステップS4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、ブレーキ油圧に基づいて無段変速機1の変速比の変更速度を制御することもできる。具体的には、ブレーキ油圧が相対的に低い時に、図13でブレーキスイッチOFFと同じ制御をおこない、ブレーキ油圧が相対的に高いときに、ブレーキスイッチONと同じ制御をおこなうと、図13のタイムチャートと同様の効果を得られる。さらに、ステップS4で無段変速機1の変速比の変更速度を制御するにあたり、車体の前後方向における傾斜角度に基づいて、無段変速機1の変速比の変更速度を制御することもできる。具体的には、車体の傾斜角度が相対的に小さいときに、図13でブレーキスイッチOFFのときと同じ制御をおこない、車体の傾斜角度が相対的に大きいときに、ブレーキスイッチONのときと同じ制御をおこなうと、図13のタイムチャートと同様の効果を得られる。また、車両が登坂路でガレージシフトをおこなう場合に、車両が後退することを抑制できる。
さらに、ステップS4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、選択されているモードに基づいて、無段変速機1の変速比の変更速度を制御することもできる。具体的には、スノーモードが選択されているときに、図13でブレーキスイッチOFFのときと同じ制御をおこない、ノーマルモードが選択されているときに、ブレーキスイッチONのときと同じ制御をおこなうと、図13のタイムチャートと同様の効果を得られる。また、スノーモードが選択されたときは、ノーマルモードが選択されたときよりも、出力軸42に伝達されるトルクが低いため、車両が雪道、凍結路などのように、低摩擦係数路でガレージシフトをおこなうときに、駆動輪のスリップを抑制できる。
さらに、ステップS4で無段変速機1の変速比を制御するにあたり、アイドル目標回転数に基づいて、無段変速機1の変速比の変更速度を制御することもできる。具体的には、アイドル目標回転数が相対的に高いとき(アイドルアップ時)には、図14のタイムチャートで時刻t4以降に実線で示すように、無段変速機1の変速比の変更速度を決定する。これに対して、アイドル目標回転数が相対的に低いとき(通常アイドル時)には、図14のタイムチャートで時刻t4以降に破線で示すように、無段変速機1の変速比の変更速度を決定する。
つまり、アイドル目標回転数が相対的に高いときにおける無段変速機1の変速比の変更速度の方が、アイドル目標回転数が相対的に低いときにおける無段変速機1の変速比の変更速度よりも遅い特性である。この制御により、アイドル目標回転数が相対的に高いときには、時刻t5で無段変速機1の変速比が「1」になっているとともに、時刻t5以降は出力軸42に伝達されるトルクが一定になる。これに対して、アイドル目標回転数が相対的に低いときには、時刻t5よりも前に無段変速機1の変速比が「1」になるとともに、出力軸42に伝達されるトルクが時刻t5よりも前に一定になる。また、アイドル目標回転数が相対的に高いときに、時刻t5以降に出力軸42に伝達されるトルクは、アイドル目標回転数が相対的に低いときに、時刻t5よりも前から出力軸42に伝達されるトルクよりも高い。
ところで、図1の制御を実行するにあたり、Nレンジが選択されている時に無段変速機1の変速比を相対的に小さくしておき、ステップS2に進んだときに、その変速比を維持する制御をおこなうこともできる。このルーチンでは、ステップS5に進んだときに、無段変速機1の変速比は相対的に小さな値に維持される。このような変更例に対応するタイムチャートを、図15に基づいて説明する。時刻t1以前ではNレンジが選択されており、かつ、無段変速機1の変速比が「1」よりも小さな値に設定されている。また、時刻t1以前では第1ドグクラッチ38は解放されているため、出力軸42にはトルクが伝達されていない。
そして、時刻t1でNレンジからDレンジに変更されると、実線で示すように第1ドグクラッチ38が係合され、かつ、無段変速機1の変速比が「1」よりも小さい値に維持される。第1ドグクラッチ38が係合されると、出力軸32に伝達されるトルクが実線のように増加する。そして、時刻t3以降は第1ドグクラッチ38の係合が維持されている。ついで、時刻t4から無段変速機1の変速比を「1」に近づけるようにダウンシフトがおこなわれ、時刻t5で無段変速機1の変速比が「1」となっている。また、時刻t4以降は出力軸42に伝達されるトルクが増加し、時刻t5以降は出力軸42に伝達されるトルクが一定になっている。
つぎに、比較例の制御を図15のタイムチャートにより説明する。比較例では、時刻t1以前は無段変速機の変速比が破線で示すように「1」に制御される。そして、時刻t1から無段変速機の変速比が破線で示すように「1」よりも小さな値に制御される。また、時刻t2を過ぎた時点から、破線で示すように第1ドグクラッチの係合が開始され、時刻t3と時刻t4との間で第1ドグクラッチの係合が完了する。一方、出力軸のトルクは時刻t2と時刻t3の間で、破線で示すように上昇を開始する。この図15で比較例と実施例とを比べると、実施例では、Dレンジが選択される前に、無段変速機1の変速比が「1」よりも小さい値に制御されているため、NレンジからDレンジに変更されたときに、実施例における第1ドグクラッチ38の係合開始を、比較例よりも早期におこなうことができる。したがって、出力軸42に伝達されるトルクが所定値に到達する時期を、比較例よりも早期にすることができる。
ここで、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS1,S2がこの発明の第1変速比制御手段に相当し、ステップS3が、この発明のトルク容量制御手段に相当し、ステップS4が、この発明の第2変速比制御手段に相当し、ステップS2,S4が、この発明の変更手段に相当する。つまり、ステップS2,S4は、複数種類の機能的手段を兼ねている。また、上記の実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、エンジン50が、この発明の原動機に相当し、出力軸42が、この発明の被駆動部材に相当し、無段変速機1が、この発明の変速機に相当し、第1ドグクラッチ38が、この発明のトルク伝達装置およびクラッチに相当し、入力軸2およびローラ3が、この発明の入力部材に相当し、ボール4が、この発明の転動体に相当し、第1出力ディスク25が、この発明の第1出力部材に相当し、第2出力ディスク26が、この発明の第2出力部材に相当し、変速機30が、この発明の変速部に相当する。
また、NレンジからDレンジに変更されると、この発明では「原動機から被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件が成立した」と判断される。さらに、ブレーキスイッチON、またはブレーキランプON、またはブレーキ油圧が相対的に高いことが検知されると、この発明では制動要求ありと判断される。一方、ブレーキスイッチOFF、またはブレーキランプOFF、またはブレーキ油圧が相対的に低いことが検知されると、この発明では制動要求なしと判断される。さらに、目標エンジン回転数が、この発明の目標回転数に相当する。なお、図8に示す例では、クラッチとして噛み合い力により動力伝達をおこなう第1ドグクラッチ38および第2ドグクラッチ42が用いられているが、第1ドグクラッチ38および第2ドグクラッチ42に代えて、摩擦力により動力伝達をおこなう摩擦係合装置、または電磁力により動力伝達をおこなう電磁クラッチを用いて、動力の遮断・伝達を切り替えるように構成することも可能である。
なお、図1に基づいて説明した各制御例において、NレンジからDレンジに変更されたときに、ステップS2で無段変速機1の変速比として「1」を選択し、ステップS4で無段変速機1の変速比として「1」よりも大きな値を選択することも可能である。また、図1に基づいて説明した各制御例において、NレンジからDレンジに変更されたときに、ステップS2で無段変速機1の変速比として「1」未満を選択し、ステップS4で無段変速機1の変速比として「1」よりも大きな値を選択することも可能である。さらに、図1に基づいて説明した各制御例において、ステップS2で無段変速機1の変速比として「1」を選択し、ステップS3において、第2ドグクラッチ41を動作させて変速機30で第2速を設定するとともに、ステップS4で無段変速機1の変速比として「1」よりも大きな値を選択することも可能である。さらに、図1に基づいて説明した各制御例において、ステップS2で無段変速機1の変速比として「1」未満を選択し、ステップS3において、第2ドグクラッチ41を動作させて変速機30で第2速を設定するとともに、ステップS4で無段変速機1の変速比として「1」を選択することも可能である。つまり、ステップS2で選択される無段変速機1の変速機は、最小変速比に限定されない。さらに、ステップS3で選択される変速機30の変速段は、最大変速比となる変速段には限定されない。要は、車両の発進時において急激に大きなトルクが出力軸42に伝達されなければよい。
1…無段変速機、 2…入力軸、 3…ローラ、 4…転動体(ボール)、 25…第1出力ディスク、 26…第2出力ディスク、 30…変速機、 38…第1ドグクラッチ、 42…出力軸、 50…エンジン。

Claims (7)

  1. 車両の原動機から被駆動部材に至る動力伝達経路に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を変更可能な変速機と、伝達トルクが制御されるトルク伝達装置とが配置されており、前記原動機のトルクを前記変速機および前記トルク伝達装置を経由させて前記被駆動部材に伝達するように構成されている、車両の制御装置において、
    前記原動機から前記被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件が成立した際に、前記変速機の変速比を相対的に小さな変速比とする第1変速比制御手段と、
    この第1変速比制御手段により前記変速機の変速比が制御された後に、前記トルク伝達装置のトルク容量を増加するトルク容量制御手段と、
    前記トルク伝達装置のトルク容量が増加された後に、前記変速機の変速比を相対的に大きくする変速をおこなう第2変速比制御手段と、
    前記第1変速比設定手段により制御される前記変速機の変速比、または前記第2の変速比制御手段により制御される前記変速機の変速比の変更速度のいずれか一方を、前記車両の状態に基づいて変更する変更手段と
    を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 車両の原動機から被駆動部材に至る動力伝達経路に、入力回転数と出力回転数との間の変速比を無段階に変更可能な無段変速機と、伝達トルクを制御可能なトルク伝達装置とが配置されており、前記原動機のトルクを前記無段変速機および前記トルク伝達装置を経由させて前記被駆動部材に伝達するように構成されている、車両の制御装置において、
    前記無段変速機は、前記原動機のトルクが伝達される入力部材と、この入力部材の外周面にトルク伝達可能に接触され、かつ、回転中心軸線を傾斜させることができかつ外周面が滑らかな曲面に形成された転動体と、前記回転中心軸線を挟んで前記入力部材とは反対側で前記転動体の外周面にトルク伝達可能に接触し、かつ、相互に相対回転可能な第1出力部材および第2出力部材とを有し、前記転動体の回転中心軸線を傾斜させることにより、前記第1出力部材および第2出力部材が前記転動体に接触している箇所の回転半径を変化させて、前記入力部材の回転数と前記第1出力部材の回転数との間の変速比、および前記入力部材の回転数と第2出力部材の回転数との間の変速比を無段階に変化させることが可能に構成されており、
    前記第1出力部材または前記第2出力部材と前記被駆動部材との間に、最大変速比を含む変速比を選択的に切り替え可能な変速部と、この変速部の変速比を変更しかつ、トルク容量が制御されるクラッチとが設けられており、このクラッチが前記トルク伝達装置であり、
    前記原動機から前記被駆動部材に伝達するトルクを増加する条件が成立した際に、前記無段変速機における前記入力部材と、前記変速部に動力伝達可能に接続された出力部材との間の変速比を相対的に小さな変速比に設定する第1変速比制御手段と、
    この第1変速比制御手段により前記無段変速機の変速比を相対的に小さな変速比に設定した後に、前記クラッチのトルク容量を相対的に大きくするトルク容量制御手段と、
    前記クラッチのトルク容量が増加された後に、前記無段変速機の変速比を相対的に大きくする変速をおこなう第2変速比制御手段と
    を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  3. 前記第1変速比設定手段により制御される前記無段変速機の変速比、または前記第2の変速比制御手段が前記無段変速機の変速比を相対的に大きくする際の変速比の変更速度のいずれか一方を、前記車両の状態に基づいて変更する変更手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記変更手段は、前記車両状態として制動要求の有無を判断するとともに、その制動要求がないときの前記無段変速機の変速比を、制動要求があるときの前記無段変速機の変速比よりも小さく設定する手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両の制御装置。
  5. 前記変更手段は、前記車両状態として前記車両の加速要求が相対的に少ない際における前記原動機の目標回転数を判断するとともに、その目標回転数が相対的に高いときの前記無段変速機の変速比を、その目標回転数が相対的に低いときの前記無段変速機の変速比よりも小さく設定する手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両の制御装置。
  6. 前記変更手段は、前記車両状態として前後方向における車体の傾斜角度を判断するとともに、その車体の傾斜角度が相対的に大きいときの前記無段変速機の変速比を、車体の傾斜角度が相対的に小さいときの前記無段変速機の変速比よりも大きく設定する手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両の制御装置。
  7. 前記変更手段は、前記車両状態として制動要求の有無を判断するとともに、この制動要求がないときにおける前記無段変速機の変速比の変更速度を、前記制動要求があるときにおける前記無段変速機の変速比の変更速度よりも遅くする手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両の制御装置。
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