JP2014035000A - 動力伝達機構及びギヤ式連続可変変速機構 - Google Patents

動力伝達機構及びギヤ式連続可変変速機構 Download PDF

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Abstract

【課題】環境負荷を低減し、動力伝達効率のよい機械ミッションを実現する。
【解決手段】一のギヤであるピニオンギヤが回転しながら軸方向に暫時摺動移動し、それに合わせて他のギヤである円錐型ギヤの歯列は、円錐頂点側から見た場合、円錐状側面部にスパイラル状に延設され、歯は略歯すじ方向つまり軸方向に少しずつ変位させて並設され、噛み合い位置がピニオンギヤの移動とともに軸方向に移動することになり、この噛み合い位置が軸方向に移動する機構により、噛み合い位置が移動すると前記円錐型ギヤのピッチ円が連続的に変化し、通常のギヤの組み合わせの回転比が一定不変であるのに対し連続的に回転比を変えられることになる。CVT無段変速機多段遊星歯車
【選択図】図2

Description

本発明は、連続的に回転速度比を変化できる、とくにギヤ機構による連続可変変速機構に関する。
内燃機関等を動力源として利用する、例えば車両移動等のため回転動力を車輪等に伝達して移動させる場合、低速から高速走行まで幅広い可変速運転が求められるため変速機が用いられ、効率の良い回転域を利用し大きい力で始動させて漸次力を小さく回転数を多くして動力伝達を達成している。従来の例えば車両用等の変速機として、ギヤ比の違う複数のギアの噛み合いを替え、段階的に変速比を変更する有段の変速機や、連続的に変速比を変化できる無段変速機あるいは連続可変変速機(Continuously Variable Transmission:CVT)が知られているが、有段変速では変速時に変速ショックが発生してしまうため、またエネルギー効率の点からも無段変速機が望ましいものである。
現在の実用的な無段変速機としては、摩擦力による駆動力伝達方式としてスチールベルトと2つの可変径プーリーを組み合わせ無段階に変速を行うベルト式CVTや、ローラーとディスクを組み合わせたトロイダルCVT等が知られている。さらに油圧ポンプと油圧モーターを利用した静油圧式、油圧機械式の無段変速機、さらに電動機を利用したもの等が知られている。
ギヤ機構を用いた無段変速機としては、例えば、特許文献1には、突子付回転体と薄歯付回転体とを咬合させた無段変速装置が記載されている。また特許文献2のように中継歯車を介して二つの円錐ヘリカルギヤを逆向きに配置した円錐二軸式無段変速機のような方法がよく知られている。また無段変速とは別の方策として有段変速の多段化があり、例えば特許文献3では、遊星歯車機構を利用した変速段の多段化技術が開示されている。他に、自動変速式マニュアルトランスミッション(AMT)における乗り越えセンサを用いた変速時間短縮化の技術が開示されている。(特許文献4)
特開昭53−004150公報 特開平1−303358公報 特開2010−001957公報 特開2011−185296公報
しかしながら、例えばベルト式のCVT等は基本的に摩擦を利用したものであるので、摩擦力維持のためのエネルギー損失があり、大きなトルクを扱うには不向きであり、また高速域等で不利である。油圧を利用したものでは、機械動力を一旦油圧に変換しその油圧を再び機械動力に変換して出力するものなので、直接的な機械的伝達に比べると根本的には効率が落ちる傾向にある。HVやEV等では重量、高コスト、容量の経時劣化の問題を抱える二次電池の開発がすすんではいるが現状主流になっているリチウムイオン電池に使用されるリチウム等のレアメタルは、電動モータに使用される磁石とともに資源偏在による資源ナショナリズムの問題を抱えている。
また特許文献1の無段変速装置では径は変化しても歯数が変わらないので回転は変わらない。また特許文献2の円錐二軸式無段変速機は二つの円錐ヘリカルギヤと噛合する中継歯車の移動速度が各々違ってくるので噛み合わないことになる。また特許文献3の多段化の技術では、発進段以降は断続装置やフリー回転がない状態で変速してしまうことになる。以上のように、従来の無段変速機等においては、動力伝達損失が大きく燃費が悪化する等の問題や資源の問題があり、また実用として成立しないものもあつた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、伝統的機械ミッションによる、とくに、より動力伝達損失の少ない動力伝達装置であるギア式連続可変変速装置を提供し、伝統継承を可能とするための挑戦を試みることにある。
車両等のギヤ機構を用いた変速装置等では動力伝達を行う場合、前記したようにギヤ比の違う複数のギヤの噛み合いを替え段階的に変速させている。つまり一つのギヤを、エンジン回転数を上げて'引っ張る'よりも複数のギヤを使った方が引っ張りが少なくなり効率が良くなるわけであるが、さらにこれを連続的に変速させることができれば、さらに効率が良くなり、例えばエンジンが回転を保てる最低回転速度に近い速度であっても、徐々に速度を増し 低回転速度を維持したまま加速させることが可能である。該連続可変変速機構(ギヤの場合、厳密にいえば有段変速と考えられる)を動力伝達効率のよい歯車(ギヤ)により達成する方法は、まず、
第1の回転軸を有するとともに、該回転軸の方向に沿って連続的に変化する断面形状を有する第1の歯車と、 第2の回転軸を有し、前記第1の歯車に噛み合うとともに前記第2の回転軸の方向に沿って摺動自在に設けられた第2の歯車と、を備え、前記第1の歯車に対して、前記第2の回転軸の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、または前記第1の歯車の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、前記第1の歯車のピッチ円の半径が連続的に変化することを特徴とする動力伝達機構であり、より具体的には、前記第1の歯車は、円錐状外周(側面)部または内周部に、略均等な歯が、前記第2の歯車が前記第2の回転軸の方向に沿って移動可能に、等ピッチをもって並設された歯列がスパイラル状に延設されてなる円錐渦巻き列ギヤ(以下、トルネードギヤとする)であり、前記第2の回転軸は、前記トルネードギヤの円錐面(ピッチ円錐面)上での母線と平行に配置される、ことを特徴とする動力伝達機構を用いることである。
略均等な歯とは、各歯は歯幅等は同じだが歯低円の径が違ってくるという意味である。歯列がスパイラル状に延設とは、既存の歯車では噛合位置が移動するともとの位置に戻る、一列の繋がった歯列であるが、当該トルネードギヤでは、歯が円錐外周上を等ピッチをもってスパイラル状に並設されていくので噛合位置は軸方向に移動していきもとに戻ることはなく、歯列は連続した一つの列であるがスパイラル状に伸びている、ということである。
また好適には、前記第1の歯車(の噛合部分)と前記第2の歯車は、互いに噛合回転可能と成す歯を有するベベルギヤである。また前記第2の回転軸は軸自体が駆動側の伝動要素となることを特徴とするものであり、また好適には複段減速歯車列の軸であることを特徴とするものであってよい。また好適には該動力伝達機構において、前記第2の回転軸及び前記第2の歯車は複数併置され、夫々着脱手段により前記第1の歯車とは噛合・噛脱自在となすことを特徴とする動力伝達機構とすることが望ましい。また好適には前記トルネードギヤの内部は中空空間を有し、また、該内部中空空間には前記差動機構を内設することを特徴とすることが望ましい。
このような動力伝達機構を挟んで前後に減速機構と増速機構を配設することを特徴とし、ベルト式CVTのような全速域を網羅するような構成にすることも可能であるが、該方式の場合、軸方向の延伸には限度がありまたギヤの強度の問題もあるので、より実用的に考えられるのは、まず、
動力源の動力を、ギヤ機構を用い変速比を連続的に変化させ出力するギヤ式連続可変変速機構であって、少なくとも、前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、差動機構と、を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構であり、また、少なくとも、前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、段階的にギヤ比を変える変速段機構と、を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構である。
また、少なくとも、前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、前記動力を分配する動力分配機構と分配された動力を合成する動力合成機構の少なくとも一つと、を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構であり、また、少なくとも、前記動力分配機構と、分配された動力を利用する前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、該ギヤ機構による連続可変変速機構から出力される動力を合成する動力合成機構と、を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構であり、また、少なくとも、前記動力分配機構と、分配された動力を利用する前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、該ギヤ機構による連続可変変速機構から出力される動力を合成する動力合成機構と、前記変速段機構と、を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構である。また、少なくとも、前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、電動機と、を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構も可能である。尚、前記ギヤ機構による連続可変変速機構とは、前記ギヤ式連続可変変速機構の一部を形成し、ギヤ機構を用いて変速比を連続的に変化させ出力しうるあらゆる機構を意味する。
また、上記において、ギヤ機構による連続可変変速機構は、第1の回転軸を有するとともに、該回転軸の方向に沿って連続的に変化する断面形状を有する第1の歯車と、第2の回転軸を有し、前記第1の歯車に噛み合うとともに前記第2の回転軸の方向に沿って摺動自在に設けられた第2の歯車と、を備え、前記第1の歯車に対して、前記第2の回転軸の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、または前記第1の歯車の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、前記第1の歯車のピッチ円の半径が連続的に変化することを特徴とする動力伝達機構、であることを特徴とするものであり、また、より具体的には、前記動力伝達機構は前記トルネードギヤであり、前記第2の回転軸は、前記トルネードギヤの円錐面(ピッチ円錐面)上での母線と平行に配置される、ことを特徴とする動力伝達機構であることを特徴とするものである。
さらに、第1の回転軸を有するとともに、該回転軸に直交する面に、円盤状表面に略均等な歯が、後記ピニオンギヤが移動可能に等ピッチをもって並設された歯列がスパイラル状に延設されてなる円盤状渦巻き列ギヤと、該円盤状渦巻き列ギヤの径方向に配置された第2の回転軸を有し、前記円盤状渦巻き列ギヤに噛み合うとともに前記第2の回転軸のの方向に沿って摺動自在に設けられたピニオンギヤと、を備え、前記円盤状渦巻き列ギヤに対して、前記第2の回転軸の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、または前記円盤状渦巻き列ギヤの回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、前記円盤状渦巻き列ギヤのピッチ円の半径が連続的に変化することを特徴とする動力伝達機構も同様である。
また、上記における差動機構とは、複数の回転体等がそれぞれ相互に相対回転可能となし差動作用が働く機構のことであり、遊星歯車機構または差動歯車機構等である。そして上記における動力合成機構は、相対回転可能な第1と第2と第3の3つの回転要素を有し、該3要素のうちの第1要素を入力軸に、第2要素を出力軸にそれぞれ結合するとともに、第3要素を前記ギヤ機構による連続可変変速機構に結合する、ことを特徴とするものである。尚、前記ギヤ式連続可変変速機構は、前記変速段機構と出力部材との間に介設することを特徴とするものであるが、前記動力源と前記変速段機構との間に介設することも可能である。
以上、上記の例のように、本方式のように限られた低回転域のギヤ式連続可変変速機構は、段階的に変速比を変える有段変速(以下、変速段機構)と組み合わせて、各段毎に当該ギヤ式連続可変変速機構を関与させるような方式にし、これに差動機構を組み合わせることにより、全速域の無段変速と同等の効果を生むことができる。つまり、現行ギヤ段から次変速段にシフトアップする過程で、該現行ギヤでエンジン回転数を上げて引っ張るよりも、エンジン回転数をそのままに連続的にギヤ比を変えて変速させ、車速を上げてシフトした方が効率がよいことは自明であり、該各段の工程を繋げば、若干のロスはあるものの全速域の無段変速と同等の効果となるのである。
上記のように、摩擦等を利用するようなものでなく、動力伝達効率のよいギヤによって連続的変速を可能にするので、車両等の場合、燃費性能をよくすることはもちろん、より大きなトルクを扱うことができ、加速等も向上し、大型車や高出力車への搭載も可能である。また、もう一つの効果は、本発明の特徴的な機構により、大容量、大重量である流体式断続装置等を具備しない変速段機構を有した機械ミッションながら、変速ショックを大幅に減少させられることがあげられる。通常、シフトチェンジにおけるギヤの接続(ギヤ列の確立)のための回転合わせは動力源とギヤ接続装置の間で行われ、ブリッピングやダブルクラッチ等、手間と無駄な燃料損失を要したが、本方式では、前記ギヤ接続装置と駆動輪との間に遊星歯車機構が設けられて、駆動輪からの慣性動力を利用して、あるいは簡易な制動により接続が行われるので、瞬時にシンクロが行われ、無駄な時間と燃料損失を無くすことができる。加速が良くなり、他方で燃費効率を上げられ、さらに変速ショックもない力強くかつ経済的な動力伝達装置として大きなアピール性を提供できる。
ところで、音や匂いや振動を有する内燃機関や機械ミッション等は、決して忌避されてきたものではなく、むしろそれ故の、一つの生命、愛玩の対象と捉えられてきた部分も多くあり、人と癒しなどの情を介するパートナーであり、例えるなら有機質愛玩物が無機質のそれに駆逐されるようなことがあってはならないのと同じ次元で捉えられるべきものであるとも考えられる。
情報化社会が決して自由で民主的とは限らない中、汚染等製造過程を考慮すれば、同じく純粋クリーンエネルギーではないにもかかわらず、あるエネルギーにはクリーンイメージを先行させ、他のそれに対してはとくに民のネットワーク等に介入して巧妙にネガティブイメージを捏造し、そのうえで純粋クリーンエネルギーには公然とそのための賦課を強制させる、といったようなことが可能である中、鉄塊を高速で移動させる輸送機関の中で、とくに私的輸送機関としては無音・無臭、無味・異様な動力機関と違い、有機的な適度な音と匂いの、極められた技術による内燃機関や機械ミッションこそ、鉄塊移動手段にふさわしいものであると言え、またそれ以上のものであるとも言える。 最終形ミッションでありエコカーの最適解のひとつであるといえる本機構のような機械ミッションは、内燃機関等とともに、単純な価値基準で捉えるものとは違った、長い時間により培われてきた存続されるべき"文化"であるといえる。
本発明の第1実施形態に係る車両用自動変速機の概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係るギヤ式連続可変変速機構を示すスケルトン図である。 本発明の第1実施形態に係るギヤ機構による連続可変変速機構であるトルネードギヤの概略的な正面図と側面図である。 本発明の第1実施形態に係るギヤ式連続可変変速機構の変速動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態に係る変速段機構と多段化機構の変速動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態に係るギヤ式連続可変変速機構の加速時の動力伝達経路図である。 本発明の第1実施形態に係るトルネードギヤとピニオンギヤの概観図である。 本発明の第2実施形態に係る、後端部に「昇りピニオン型」のトルネードギヤ部を配置したギヤ式連続可変変速機構を示すスケルトン図である。 本発明の第3実施形態に係る、遊星歯車式変速段機構のギヤ式連続可変変速機構を示すスケルトン図である。 ベベルギヤ9に中間ギヤを介設して軸ギヤ11を常時噛み合わせた図である。
以下、本発明をとくに車両に応用した場合の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用自動変速機の概略構成図で、内燃機関を構成するエンジン(駆動源)と、変速機と、電子制御装置ECUとを備えて構成され変速機から出力される回転トルクは、ディファレンシャルギアを介して駆動輪に伝達されるようになっている。
前記電子制御装置ECUは、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMなどを備え、ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログ ラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。 CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジンの停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。これらは、バスを介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース及び出力インターフェースと接続されている。ECUの入力インターフェースには、本トルネードギヤ上でのピニオンギヤの位置を検出するピニオンギヤ移動センサ、エンジン回転数センサ、スロットル開度センサ、入力軸回転数センサ、出力軸回転数センサ、戻り止め機構のディテント玉がディテント窪みから外れたことを検出する乗り越えセンサ、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ、シフト装置のシフト位置を検出するシフトポジションセンサ、ブレーキペダルセンサ、車両の速度を検出する車速センサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、などが接続されており、これらの各センサからの信号がECUに入力される。ECUの出力インターフェースには、変速機の変速操作装置やスロットルバルブを開閉するスロットルモータ(図示せず)などが接続されている。ECUは、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジンのスロットルバルブの開度制御を含むエンジンの各種制御を実行したり、変速機の変速操作装置に制御信号(油圧指令値等)を出力して、後記変速機のギヤ段を切り換える変速制御やピニオンギヤの移動制御等を行う。(尚、変速機の変速操作装置の各センサは図上部に改めて並記されている。)
変速機は、本ギヤ式連続可変変速機構を有し、図2の骨子図で示すように、エンジンの出力軸の回転速度を変速して出力する前記変速段機構と、該変速段機構の各変速段の回転動力を連続的に変速し出力するトルネードギヤ部と、これらを制御する前記変速操作装置を備えている。
前記変速操作装置には、シフト操作を行うシフトアクチュエータや前記ピニオンギヤの操作等を行うトルネードアクチュエータと該アクチュエータや各摩擦断続装置等に供給する作動油の油圧を制御する油圧回路などを備え、該油圧回路にはECUからの制御信号が供給され、その制御信号に基づいて各アクチュエータ等が駆動制御されて、変速機シフト操作や前記ピニオンギヤ操作等が自動的に実行される構成となっている。
前記変速段機構は平行歯車式変速機などの一般的な自動変速式マニュアルトランスミッション(AMT)と同様の構成を有するものであるが、トルクコンバータや動力断続装置を介することなく、エンジンから間にトルネードギヤ部を挟んで配設され、エンジンの出力軸と直結されている。該エンジンの出力軸である変速段機構の入力軸1にはギヤ列G1〜G4の駆動ギヤG1a〜G4aが一体的に設けられている。また、入力軸1と平行に出力中間軸2が設けられ、該出力中間軸2の外周に出力中間軸2と相対回転可能に支承された中空軸状の第1中間軸3に、偶数番目のギヤ列である2速G2と4速G4の駆動ギヤG2a,G4aと噛合する従動ギヤG2b,G4bを軸支し、さらに前記第1中間軸3の外周に第1中間軸3と相対回転可能に支承された中空軸状の第2中間軸4には、奇数番目のギヤ列である1速G1と3速G3の駆動ギヤG1a,G3aと噛合する従動ギヤのG1b,G3bを軸支して、前記出力中間軸2とともに三重の軸を構成している。
そして前記第1中間軸3上に、回転速度を同期させて、2速従動ギヤG2bと4速従動ギヤG4bとを第1中間軸3に選択的に連結、一体回転させる第1同期装置S1を配置すると共に、前記第2中間軸4上には、1速従動ギヤG1bと3速従動ギヤG3bとを第2中間軸4に選択的に連結一体回転させる第2同期装置S2を配置している。該同期装置S1,S2は、図示しない前記シフトアクチュエータにより軸方向に移動自在な同期スリーブsl1、sl2を備え、スリーブsl2を中立位置から1速従動ギヤG1b側又は3速従動ギヤG3b側に移動させることで、1速従動ギヤG1b又は3速従動ギヤG3bが第2中間軸4に連結(スプライン勘合)され、同様に、スリーブsl1を2速従動ギヤG2b側又は4速従動ギヤG4b側に移動させることで、2速従動ギヤG2b又は4速従動ギヤG4bが第1中間軸3に連結され、G1〜G4の各ギヤ列が選択的に確立されるものである。尚、ギヤ列が確立されるとは、入力軸1から前記G1〜G4の各ギヤ列を介して前記第1中間軸3と第2中間軸4に動力伝達される状態になることをいう。
尚、自動変速式マニュアルトランスミッション(AMT)式の変速機の場合、戻り止め機構のため変速時間が長くなってしまうが、本実施形態では、前記文献4にあるような、ディテント玉の変位を検出する、例えば、ディテント玉がディテント窪みに嵌合しているときの位置からのディテント玉の変位をもって、ディテント玉がディテント窪みを乗り越え、窪みから外れたことや、図示しないシフトシャフトの平坦面に当たっている状態にあること等を検出する、変位センサである乗り越えセンサを備えることとし、後述するように変速操作の制御により変速操作時間の短縮化を図ることとする。
続いて前記中間軸3、4の前方(エンジン側、以下同じ)の空き空間には、多段化機構として遊星歯車機構30と油圧クラッチC3が配置されている。遊星歯車機構30は前記第1中間軸に固定されたサンギヤ30sと、その外周に噛合される複数のプラネタリギヤ30pbと、さらにその外周に噛合される複数のプラネタリギヤ30paと、さらに該プラネタリギヤ30paの外周に噛合される内歯を有したリングギヤ30rとからなるダブルピニオン式のものである。各プラネタリギヤ30pa、30pbは共通のキャリア30cに回転可能に支持され、キャリア30cは前記第2中間軸4に連結されている。リングギヤ30rはコーン状の管部を一体的に有し、該管部は外周に外歯を有してトルネードギヤ部の入力ギヤ8と噛合連結されている。さらにリングギヤ30rは第3の回転要素として、サンギヤ30sの回転速度とキャリア30cの回転速度との間の速度で回転可能と成し、本実施形態ではサンギヤ30sとギヤ比2.0に設定され、サンギヤ30sの回転速度とキャリア30cの回転速度との中間速度(両回転速度の合計の1/2の速度)で回転し前記入力ギヤ8に出力されるように成している。
前記油圧クラッチC3は前記遊星歯車機構30のさらに前方に位置し、摩擦係合要素としてサンギヤ30sとキャリア30cとを連結・分離可能と成し、さらに、前記クラッチC3の前方には、前記第1中間軸3そして前記サンギヤ30sを、ハウジング17に固定自在な摩擦係合要素たる第2ブレーキB2が設けられている。遊星歯車機構は三つの回転要素のうち二つを連結、同期させると残りの回転要素も同回転で同期するので、前記第1中間軸3と前記第2中間軸4のいずれか一方を、前記したようにしてギヤ列を確立させ、もう一方を遊転させて前記クラッチC3を係合しサンギヤ30sとキャリア30cとを連結させると、確立させたギヤ列のギヤ比でリングギヤ30rから出力される。一方、前記第1中間軸3と前記第2中間軸4の両方で(連続する)ギヤ列を確立させて油圧クラッチC3を開放させると、前記したように確立された両ギヤ列の回転であるサンギヤ30sとキャリア30cの両回転速度の中間速度で回転し、リングギヤ30r(の管部)から出力される。このようにして4つのギヤ列G1〜G4を用いて、0.5速、1速、1.5速、2速、2.5速、3速、3.5速、4速の8段の変速を行えるように成し、これを変速段の確立として前記ギヤ列の確立と区別する。
前記変速段機構の入力軸1の前方部の外周には中空軸状の第3の中間軸6が前記入力軸1と相対回転可能に支承され、該第3中間軸6の外周には同じく中空軸状の第4の中間軸5が前記第3中間軸6と相対回転可能に支承されていて、前記入力軸1とともに三重の軸を構成している。そして該入力軸1の前方部の外周側はさらに本トルネードギヤTが同心状に配設されている。
前記第4の中間軸5の前方先端部にはサンギヤ10sが固定され、その外周に噛合される複数のプラネタリギヤ10pと、各プラネタリギヤを回転可能に支持するキャリア10cと、プラネタリギヤ10pの外周に噛合される内歯を有したリングギヤ10rとからなる、前記差動機構たるフロント遊星歯車機構10が形成され、該フロント遊星歯車機構10の後方には同じく前記第4中間軸5の外周にサンギヤ20sが固定され、その外周に噛合される複数のプラネタリギヤ20pと、各プラネタリギヤを回転可能に支持するキャリア20cと、プラネタリギヤ20pの外周に噛合される内歯を有したリングギヤ20rとからなる前記差動機構たるリア遊星歯車機構20が形成されている。そして前記第4中間軸5の後端部にはさらに前記入力ギヤ8が固定され、前記リングギヤ30r(の管部)からの動力を前記フロントとリア両遊星歯車機構10、20に分配伝動する。
前記フロント遊星歯車機構10の前記リングギヤ10rはハウジング16等に固定され、前記フロントキャリア10cは、近設された摩擦係合要素たる油圧クラッチ(乾式でもよい)C1の係合・開放により前記第3の中間軸6と連結・分離可能と成している。該第3の中間軸6の後端部にはベベルギヤ9が固定され、同じくベベルギヤである、後述する軸ギヤ11と噛合・噛脱可能と成し、前記分配伝動された回転動力は、前記サンギヤ10sから前記プラネタリギヤ10pを経て前記フロントキャリア10cに至り、前記クラッチC1の係合時には、前記フロントキャリア10cと前記第3中間軸6が連結されて、前記第3中間軸6から前記ベベルギヤ9、前記軸ギヤ11を経て前記ピニオンギヤPに至り、さらに前記トルネードギヤTに伝動されることになる。
このように前記トルネードギヤ部は、前記トルネードギヤTと前記ピニオンギヤPと、前記フロントとリア二つの遊星歯車機構10、20とにより構成され、本発明であるギヤ式連続可変変速機構を形成して連続的な変速を実現する。次に当該トルネードギヤTとピニオンギヤPについて図をもって説明する。
ーートルネードギヤTとピニオンギヤPの作動ーー
図3、7にあるように、前記トルネードギヤTは、内部に中空空間を有した円錐状外周部に、略均等な歯が等ピッチをもって並設された歯列が、スパイラル状に延設されている。そして該トルネードギヤTの円錐面(ピッチ円錐面)上での母線と平行に配置された回転 軸であるピニオンギヤ軸Psの方向に沿って摺動自在に設けられた前記ピニオンギヤPが噛合され、従ってトルネードギヤTの歯はピニオンギヤPが移動可能に形成されている。また内部空間には前記したように二つの遊星歯車機構が収容されており、前記トルネードギヤTは、摩擦係合要素たるブレーキB1を介してハウジング16に選択的に連結され固定可能と成し、摩擦係合要素たるクラッチC2の係合・開放により前記リアキャリア20cと連結・分離可能と成している。
前記ピニオンギヤ軸Psは、前記トルネードアクチュエータにより操作されるアーム15に回転自在に支持され、後端部には前記軸ギヤ11が前記ベベルギヤ9と噛合・噛脱可能と成す位置に固定されている。前記ピニオンギヤPは前記ピニオンギヤ軸Psの略全長に亘って、例えば軸心と略平行に設けられた複数条の凸条歯(歯形)により、ピニオンギヤ軸Psとの相対回転を阻止し、かつ軸方向移動自在と成すスプライン勘合として勘合されているが、好適には例えば前記トルネードギヤTと前記ピニオンギヤPの噛合する歯の歯すじを、スラスト力が生じるような歯すじにし、一方前記ピニオンギヤ軸Psに、軸心に平行ではなく角度をもたせた(螺旋状等)、スラストを阻止するような凸条歯として勘合させ、それらを調整して、ピニオンギヤPがスムーズに移動可能としてピニオン移動手段に負担をかけないようにするとよい。また前記ピニオンギヤ軸Psを直接前記ベベルギヤ9に噛合・噛脱可能と成すようにしてもよい。
続けて、例えばピニオンギヤPを一定回転させると、噛み合い位置は例えばトルネードギアTの径の大きい底面側から径の小さい頂点側に移動し、それとともにトルネードギヤの回転速度を低回転から高速回転へと連続的に変移させることができる。前記したように通常のギヤが例えば円筒外周部に、歯が並設されているのに対し、本実施例であるトルネードギヤの組み合わせでは、一方のギヤであるピニオンギヤが軸方向に(回転しながら)暫時摺動移動し、それに合わせて他方のギヤであるトルネードギヤの歯列は、円錐頂点側から見た場合、円錐状側面部にスパイラル状に延設され、歯は略歯すじ方向つまり軸方向に少しずつ変位させて並設され、噛み合い位置がピニオンギヤの移動とともに軸方向に移動することになる。この場合、ギヤの組み合わせはトルネードギヤとピニオンギヤ双方の軸が交差する交差軸となるが、その交差点(頂点)は噛み合い位置が変わるたびに変化することになる。また夫々の歯の中心距離も変化することになる。
そしてこの噛み合い位置が軸方向に移動する機構により、噛み合い位置が移動するとトルネードギヤのピッチ円が連続的に変化し、通常のギヤの組み合わせの回転比が一定不変であるのに対し連続的に回転比を変えられることになる。
さて、本トルネードギヤによるギヤ式連続可変変速機構ではピニオンギヤとトルネードギヤとの噛み合い位置がトルネードギヤ端部側の最終地点まで到達すると開始地点まで戻さなければならないが、この場合常時噛み合いにより戻すためにはトルネードギヤを逆回転しなくてはならないので、常時噛み合いではなく、一旦トルネードギヤを停止させ、ピニオンギヤをトルネードギヤから噛脱させて開始地点に戻し、再び噛合させることとし、さらにこれを複数のピニオンギヤを用い、後述するシフトチェンジ時等では、基本的に各変速段毎に前記ピニオンギヤを交互に切り替えて制御されることとする。
図7を参照して、ピニオンギヤの噛脱及び噛合方法はトルネードギヤTを停止あるいは略停止させて、前記トルネードアクチュエータにより、前記アーム15を回動(または垂下)させて行い、同時に前記軸ギヤ11と前記ベベルギヤ9を噛脱・噛合させる。この場合、図10のようにベベルギヤ9にさらに中間ギヤを介設、噛合させてこれに軸ギヤ11を常時噛み合わせ、前記中間ギヤの外周を、軸ギヤ11そしてピニオンギヤ軸Psを回動させれば噛脱・噛合動作は一ヶ所だけで済むことになる。この場合もトルネードギヤ軸と中間ギヤ軸とは交差軸であり、中間ギヤと噛合回転する軸ギヤとも交差軸である。
ピニオンギヤの移動は、ピニオンギヤの位置をピニオンギヤ位置の検知手段であるピニオンギヤ位置センサ13で検出し、この検出出力に基づき、トルネードギヤ操作装置のアクチュエータをフィードバック制御することにより、例えば公知のシフトフォーク14で押圧させる等の方法によりピニオンギヤ位置を調整する。以上のトルネードギヤ操作装置を作動させるアクチュエータの詳細な構成は図示しないが、油圧手段や電動手段等と、ギヤ機構、リンク機構、カム機構やワイヤ等の手段を組み合わせて実行されることとする。
上記トルネードギヤとピニオンギヤの噛脱・噛合のタイミングや位置、ピニオンギヤの操作等は図示しないアクセルペダルの踏込み量や車速等の車両の情報と各種制御プログラムやマップに基づいて実現される。
さて、前記ピニオンギヤPから前記トルネードギヤTに伝動された分配動力は、前記クラッチC2を介して前記リアキャリア20cを経てリアプラネタリギヤ20pに至る。一方前記変速段機構からの動力は、前記リアサンギヤ20sにも分配され、前記リアプラネタリギヤ20pの分配回転動力と合成されて前記リングギヤ20rから出力される。従って、本実施形態の場合、前記軸ギヤ11乃至前記トルネードギヤTにおける作動が前記ギヤ機構による連続可変変速機構であり、前記第4中間軸5と、前記フロントサンギヤ10sと、前記リアサンギヤ20sとが前記動力分配機構であり、前記差動機構たる前記リア遊星歯車機構20が前記動力合成機構となる。
前記リングギヤ20rから出力された合成動力は、該リングギヤ20rが一体的に有し前記第4中間軸5の外周に相対回転可能に支承された管部の後端部外周に固定された出力ギヤ12aと、該出力ギヤ12aと噛合する前記出力中間軸2の前方先端部に固定された、コーン状の管部を一体的に有した出力ギヤ12bを経て、前記出力中間軸2に至り、該出力中間軸2の後端のギヤ列を介して出力軸18に伝達され、前記ディファレンシャルギアを介して駆動輪に伝達される。
因みにトルネードギヤとピニオンギヤは、どちらを駆動側あるいは従動側にするかによって「昇りピニオン型」と「降りピニオン型」に分けることができ、本実施形態においては、駆動側であるピニオンギヤを略一定回転とし、低速回転から高速回転へ従回転させるべく噛合位置はトルネードギヤの径の大から小へ移動する降りピニオン型となる。
次に、図4、5、6を参照して、本発明を車両に応用した場合の、車両の走行状態による制御工程を説明する。
ーー発進及び微速走行ーー
本実施形態においては、車両停止時、エンジン停止状態からブレーキペダル踏み込み、エンジン始動、アイドリングに至る工程中、前記変速段機構の前記第2中間軸4では前記1速G1ギヤ列が確立されており、一方の前記第1中間軸3は、前記スリーブsl1がどちらのギヤ列とも係合しない中立(ニュートラルN)の位置にあってフリーの状態であり、該第1中間軸3に固定されている前記サンギヤ30sもフリーの状態である。前記ブレーキB2と前記クラッチC3も開放状態とされ、従って、前記遊星歯車機構30においては、前記1速G1ギヤ列の回転である前記キャリア30cは遊転し、ニュートラル状態となってアイドリング回転可能と成している。
この状態から、ブレーキペダル踏み込みが解かれ、運転者の足がブレーキペダルから離れると、前記ブレーキB2の係合力を徐々に増加させて、前記第1中間軸3が固定され前記サンギヤ30sが固定される。前記第2中間軸4では前記1速G1ギヤ列が確立されて前記キャリア30cは1速ギヤ列G1の出力速度で回転しており、前記クラッチC3が開放状態なので、前記ブレーキB2の係合力が増加するのに伴い、前記キャリア30cは零から、前記したように1速ギヤ列G1の出力速度と0の中間速度まで立ち上がり0.5速段での動力伝達が行われ発進可能となる。本実施形態では、この通常一速段の二倍の変速比である0.5速を坂道発進等のための発進及び微速走行用のギヤ段とする。この際、電子制御によりエンジン回転を高めにするように設定してもよい。
運転者の足がブレーキペダルから離れ、アクセルペダルに足がかけられて、例えば足がペダルに載せられている程度のアクセル踏み込み量をa1として、該アクセル踏み込み量a1までを上記発進・微速走行状態とし、該アクセル踏み込み量a1を超えると前記ブレーキB2が開放され、同時に前記クラッチC3が徐々に係合されて、前記したように三つの回転要素が同期されて1速ギヤ列G1が確立され、1速段の出力速度として前記遊星歯車機構30のリングギヤ30rから出力される。。尚、前記アクセル踏み込み量a1から後述するa2までを現変速段の通常走行領域とし、従来と同じアクセル操作による走行領域として、任意の設定によりある程度の通常走行を行えることとする。
前記トルネードギヤ部に入った該1速段、または前記0.5速段の回転動力は、前記入力ギヤ8から前記フロントとリア二つの遊星歯車機構10、20に分配されるが、フロント遊星歯車機構10に入った一の分配動力は、前記クラッチC1が開放状態とされ、そのため前記サンギヤ10sが遊転状態となる。リア遊星歯車機構20に入った他の分配動力は、前記クラッチC2が係合され、さらに前記ブレーキB1が係合され、従ってトルネードギヤTが固定されて前記リングギヤ20rが固定されているので、前記変速段機構の0.5速段あるいは1速段からの回転動力は、前記サンギヤ20sから前記リアキャリア20c、前記出力ギヤ12aと出力ギヤ12bを経て、前記出力中間軸2から前記出力軸18に伝達され、前記ディファレンシャルギアを介して駆動輪に伝達される。他の変速段の回転動力も以上の伝達経路で伝達される。
ーー省エネモードでの加速とシフトチェンジーー
さらにアクセルが踏み込まれて踏み込み量が所定値a2を超えると前記ECUは前記トルネードギヤTによる加速と判断し、まず前記ブレーキB1が開放され同時に前記クラッチC1が徐々に係合される。該クラッチC1が徐々に係合されると、前記フロント遊星歯車機構10の分配動力は遊転状態から動力締結状態となって前記サンギヤ10sから、前記キャリア10c、前記クラッチC1を経て前記ベベルギヤ9に至る。本実施例では前記トルネードアクチュエータにより操作される、前記アーム15、前記軸ギヤ11、前記ピニオンギヤ軸Ps、前記ピニオンギヤPのセットを二組備えて交互に用い、例えば前記発進から1速走行時には、予め一のピニオンギヤP'が前記トルネードギヤTの径の大きい底面側端部に噛合され、同時に軸ギヤ11'も前記ベベルギヤ9に噛合され待機している。従って、前記ベベルギヤ9の動力は、軸ギヤ11'、ピニオンギヤ軸Ps'を経て前記ピニオンギヤP'に至り、前記クラッチC1の係合力が増加するのに伴い、該ピニオンギヤP'は零から徐々に回転を始める。そして前記トルネードギヤTも零から徐々に回転を始めて径の大から小、つまり低速回転から高速回転へと従回転する。
図6に動力伝動経路を示すが(各回転軸の上半分にだけ示す)、該トルネードギヤTの回転は、(係合されている)前記クラッチC2を介して、前記リア遊星歯車機構20の前記リングギヤ20rへ伝動される。そして前記リア遊星歯車機構20に入っていた他の分配動力の(前記リングギヤ20r固定の状態で出力されていた)前記リアキャリア20cの回転に、前記トルネードギヤTからの前記リングギヤ20rの回転と合成、増量されて、リアキャリア20cから出力される。増加量(あるいはシフトアップのタイミング、前記トルネードギヤTでの前記ピニオンギヤPの噛脱位置等)は例えば、後述するように逆流伝動される回転速度が次変速段と同期可能となる量(回転(rpm))として設定される。また、例えば跳び変速可能な量に設定してもよい。こうしてアクセル踏み込み量がa2を超えると後はアクセル踏み込み量を漸増させなくても、前記トルネードギヤTの回転変移により、リアキャリア20cの回転が増量出力されることになる。
ところで、本実施例のような場合では、前記トルネードギヤ部での減速比分が増えるので、全体の減速比の調整のため、前記フロントとリア両遊星歯車機構10、20のギヤ比をともに略3.6と設定するとして、例えば前記変速段機構での減速比を夫々1.5程で除した値とし、その他前記ディファレンシャルギアや他の部位で調整することとする。また各部材の強度や剛性は本機構が実施可能とせしめるものとする。
また、例えばエンジン回転数2000/rpm前後で、変速段機構からそのままギヤ比を変えずにトルネードギヤ部に伝動されるとし、1速段(ギヤ比3.764÷1.5)から2速段(ギヤ比2.272÷1.5)へシフトアップするとした場合、1速段での出力回転数と2速段での出力回転数差は、前記トルネードギヤ部からの出力では、つまり前記リアキャリア20cからの出力回転数差は略150/rpm前後であり、1速段で、前記リアサンギヤ20sの回転数(回転速度)を保持し、前記リアキャリア20cの回転数を150/rpm上げるには、前記リアリングギヤ20rの回転数略200/rpmを要する(シフトアップ所要時間を例えば3秒とすると略10回転である)。1速段からの回転数797/rpm(2000÷(3.764÷1.5))は前記フロント遊星歯車機構10で減速されて、例えば前記フロントキャリア10cの径と前記ベベルギヤ9の径が同じとして、該ベベルギヤ9の221(797÷3.6)/rpmの回転数となり、この回転速度を前記トルネードギヤTの零〜略200/rpmの回転に変換(伝動)して前記リアリングギヤ20rの回転に繋げるわけである。ここで、略200/rpmの回転は、前記ピニオンギヤP'が前記トルネードギヤT上を移動し、次変速段へのシフトチェンジタイミングである、前記トルネードギヤT略後端部での前記ピニオンギヤP'との噛合(噛脱)位置の回転となる。従って、当該位置でのトルネードギヤTの径:前記ベベルギヤ9の径は、221:200(ギヤ比221/200)となる。またその場合には、アイドルギヤであり同心にある前記軸ギヤ11と前記ピニオンギヤP'の径は同じとする。また前記トルネードギヤTのギヤ列数つまり軸方向の長さや、テーパ角度等はエンジンの出力特性、エンジン回転数とシフトアップ所要時間との関係等種々の条件により設定される。
続けて例えばアクセル踏み込みがそのままで、前記ECUが、加速継続、次変速段(2速段(1.5速))へのシフトチェンジタイミングと判断すると、プレシフトとして、まず 前記第1中間軸3上の前記スリーブsl1の中立(ニュートラルN)位置から前記2速ギヤ列G2への移動を開始させる。前記ディテント玉が嵌合する前記ディテント窪みは、前記スリーブslが左右ギヤ列のドグギアに噛合する位置と、その中間のニュートラル位置に対応させて、図示しないシフトシャフトの軸方向3箇所に形成されている。前記乗り越えセンサにより、前記ディテント玉が、前記ニュートラル位置に対応した前記ディテント窪みからの乗り越えを検出すると、前記クラッチC1が開放され、該クラッチC1以降〜前記トルネードギヤT〜前記リアリングギヤ20rが遊転状態となる。続いて前記クラッチC3が開放され、まだ前記第1中間軸3はフリーの状態で、該第1中間軸3に固定されている前記サンギヤ30sが遊転し、従って前記遊星歯車機構30が遊転状態となって、該遊星歯車機構30と前記入力ギヤ8を介して繋がっている前記リアサンギヤ20sも遊転状態となる。続いて前記ブレーキB1が係合され、前記クラッチC2が係合されているため前記トルネードギヤTが固定され、従って前記リアリングギヤ20rも固定される。
前記リアサンギヤ20sの回転速度を上げずに、前記トルネードギヤTにより増量出力されていたタイヤへの回転トルクが、前記リアリングギヤ20の固定により、今度は、惰性で回転するタイヤからの増量された回転トルクが、遊転する前記リアサンギヤ20sの回転速度を押し上げることになる。そして該リアサンギヤ20sの増量された回転が、リアサンギヤ20s→前記第4中間軸5→前記入力ギヤ8→前記遊星歯車機構30のリングギヤ30rの経路で逆流伝動され、シフトアップの作動に利用されることになる。
前記したように、通常、シフトチェンジにおけるギヤの接続(ギヤ列の確立)のための回転合わせと、そのための動力断続は、該ギヤ接続装置の前(エンジン間)で行われ、シフトアップでは回転を下げて、シフトダウンでは回転を上げて前から繋がれるが、本方式においては上記操作はギヤ接続装置の後ろで行われ、後ろから、シフトアップでは回転を上げ、シフトダウンでは回転を下げて繋がれる。従って前記方法により、動力切断が行われ、前記リアサンギヤ20sの増量された回転が前記変速段機構(ギヤ接続装置)の方に逆流伝動されて同期が行われ、シフトアップが成されることになるのであるが、本実施形態の場合、前記変速段機構の中間軸が二本に分けられているため、夫々の逆流伝動経路について説明する。
まず、2速(1.5速)段、4速(2.5速)段、6速(3.5速)段の各変速段(A)が確立されている場合の状態は、夫々前記したように、前記クラッチC3が開放され、かつ前記第1中間軸3と前記第2中間軸4の両方でギヤ列が確立され、前記第1中間軸3は前記サンギヤ30s、前記第2中間軸4は前記キャリア30cに連結され、前記リングギヤ30rとともに各ギヤが差動回転している。
そして1速段、3速(2速)段、5速(3速)段、7速(4速)段の各変速段(B)が確立されている場合の状態は、夫々前記したように、前記第1中間軸3と前記第2中間軸4のうち、一はギヤ列が確立され他はニュートラルでフリー回転のため、前記サンギヤ30sと前記キャリア30cのどちらかが遊転しているのだが、前記クラッチC3が係合されているため同期回転させられている状態である。
図5を参照して、前記Bの各変速段からAの各変速段へシフトアップする場合を説明すると、シフトアップが開始されて、(前記クラッチC1が開放されてから)係合されていた前記クラッチC3が開放されると、Bは前記サンギヤ30sと前記キャリア30cのうち一は連結されたギヤ列が確立されてエンジンからの動力で従動回転しているが、他は遊転している状態で、そこに前記リアサンギヤ20sからの増量された回転が前記の経路で逆流伝動されると、前記一はエンジン動力からの従動回転をそのまま保持し、従って逆流回転動力は遊転している他のギヤの、そのギヤ比に応じた回転速度となって伝動されることになる。当該他のギヤの回転速度とは、次変速段での組み合わせとなるギヤ列の前記中間軸上のギヤの回転速度と同期可能となる(また、そのように設定される)回転速度のことである。
従って前記1速段から前記2速(1.5速)段へシフトアップする場合は、前記増量された回転が前記リングギヤ30rから、確立されている前記G1ギヤ列のG1bと連結されエンジン動力からの回転をそのまま保持する前記キャリア30c(30pa、30pb)を介して、遊転する前記サンギヤ30sにそのギヤ比に応じた回転速度となって流れ、該サンギヤ30sと連結された前記第1中間軸3が、まだ確立されていない、前記2速段での組み合わせ相手である前記G2ギヤ列のG2bと同期できるような速度で回転する。そして前記スリーブsl1をG2b側に移動させてG2bのドグギアに噛合させ(回転速度が同じなので、容易に噛合させられる)、G2ギヤ列を確立させてシフトチェンジ完了となる。
また、3速(2速)段から4速(2.5速)段へシフトアップする場合は、確立されている前記G2ギヤ列のG2bと連結されエンジン動力からの回転をそのまま保持する前記サンギヤ30s、の外周を遊転する前記キャリア30cにそのギヤ比に応じた回転速度となって流れ、該キャリア30cと連結された前記第2中間軸4が、まだ確立されていない、前記4速段での組み合わせ相手である前記G3ギヤ列のG3bと同期できるような速度で回転する。そして前記スリーブsl2をG3b側に移動させて同期させ、G3ギヤ列を確立させてシフトチェンジ完了となる。
また、前記Aの各変速段からBの各変速段へシフトアップする場合、例えば、開始から(現ギヤ列組み合わせの、低次側ギヤ列の)前記ディテント玉が確立されているギヤ列のドグギアに噛合する位置のディテント窪みから外れる所要時間を基に、開始時期と前記クラッチC1の開放時期(例えば前記窪みから外れる直前)を設定し前記プレシフトとする。シフトアップ前、Aは前記クラッチC3が開放されており、前記サンギヤ30sと前記キャリア30cは、各々に連結されているギヤ列が確立されて、エンジンからの動力で従動回転し、前記リングギヤ30rとともに各ギヤが差動回転している状態である。シフトアップが開始され、(前記クラッチC1が開放されてから)前記ディテント玉がディテント窪みから外れると、前記サンギヤ30sと前記キャリア30cのうち、一(高次側)はエンジン動力で従動回転するが他(低次側)は遊転している状態となる。そこに前記リアサンギヤ20sからの増量された回転が、逆流伝動されるのだが、この場合は、エンジン動力で従動回転する前記高次側ギヤ列の、前記中間軸上のギヤの回転速度と同期可能となる(また、そのように設定される)回転速度で前記リングギヤ30rに伝動され、(このBの場合)三回転要素のうち二つが同回転となり、従ってもう一つの回転も同期され、この状態から前記クラッチC3の係合が行われる。
例えば、前記2速(1.5速)段から3速(2速)段へシフトアップする場合は、前記G1ギヤ列と前記G2ギヤ列が確立され、前記サンギヤ30sと前記キャリア30cと前記リングギヤ30rの各ギヤが差動回転している状態から、前記ディテント玉が前記G1ギヤ列の位置のディテント窪みから外れ前記第2中間軸4が遊転し、従って前記キャリア30cが遊転し、そこに前記G2ギヤ列の回転である前記サンギヤ30sの回転に合うように設定された増量された回転が逆流伝動され、三つの回転要素が同期されて、前記クラッチC3が係合され、前記G2ギヤ列である前記3速(2速)段へシフトチェンジ完了となる。
また前記4速(2.5速)段から5速(3速)段へシフトアップする場合は、前記G2ギヤ列と前記G3ギヤ列が確立され、前記サンギヤ30sと前記キャリア30cと前記リングギヤ30rの各ギヤが差動回転している状態から、前記ディテント玉が前記G2ギヤ列の位置のディテント窪みから外れ前記第1中間軸3が遊転し、従って前記サンギヤ30sが遊転し、そこに前記G3ギヤ列の回転である前記キャリア30cの回転に合うように設定された増量された回転が逆流伝動され、三つの回転要素が同期されて、前記クラッチC3の係合され、前記G3ギヤ列である5速(3速)段へシフトチェンジ完了となる。
他の各変速段のシフトアップも上記と同じように行われるが、前記BからAへのシフトアップの場合の回転合わせは、各ギヤ列の同期装置で行われ、前記AからBへのシフトアップの場合の回転合わせは、前記遊星歯車機構30で行われるということになる。
ところで、例えば加速中等では、動力分断時にも多少のショックが生じこのショックを防止すべく、クラッチの接続を緩徐に断つ技術等が知られているが、前記加速状態から、前記クラッチC1を開放する前に、前記トルネードギヤTでのプレシフトとして、電子制御スロットルによりエンジン回転速度を徐々に下げ、つまり前記ピニオンギヤPの一定回転速度を徐々に下げ、前記トルネードギヤTの等加速度を徐々に下げてから前記クラッチC1を開放するようにしてもよい。こうすることにより動力分断時のショックを低減でき、動力接合時のショックを略零にすることと合わせ、例えばトルクコンバーターを用いた自動変速装置のそれと同じようなマイルドなシフトチェンジとすることもできる。
前記トルネードギヤ部では、前記クラッチC2係合時に前記ブレーキB1が係合され、前記トルネードギヤTが固定され、増量された回転が前記変速段機構に逆流伝動されたのだが、前記したように結合される前記スリーブとドグギヤ等の回転速度は互いに略同じなので結合は容易であるが一応、上記の直後に前記クラッチC2が開放され、前記変速段機構における変速段確立を可能にするための回転差の吸収が行われる。前記クラッチC2の開放と変速段確立のための動作開始は略同時でよい。また、前記ブレーキB1係合中に、前記トルネードギヤTに噛合しているピニオンギヤP1(ピニオンギヤP')を噛脱させ、ピニオンギヤP2を、この場合は前記トルネードギヤTの所定の開始位置に噛合待機させる。そして再び前記クラッチC2が係合され、前記ブレーキB1は係合されているので再びエンジンの駆動力が次変速段の動力としてタイヤ側に出力される。この時、前記リアリングギヤ20rの回転速度はむろん略零であり、前記クラッチC2の係合は容易かつ瞬時に行われ、負担もない。そして前記ブレーキB1が開放され、同時に前記クラッチC1を徐々に係合し前記ピニオンギヤP2を零から徐々に回転させて前記工程を繰り返す。このようにシフトアップを繰り返して意図する速度に到達させるのであるが、前記ブレーキB1や前記クラッチC2等の係合部材への負担は比較的少なく断接所要時間も短くできる。また前記各ギヤ列の同期装置やクラッチC3も、前記したように同じ回転速度でシンクロさせることができるので、係合部材への負担が少なく、短時間かつ変速ショックのないシフトチェンジが可能となる。
以上のように、本方式の特徴的な機構により既存の自動変速式マニュアルトランスミッション(AMT)等に比べて同期時間を短くでき、シフトチェンジの所要時間を短くし、変速ショックも大幅に短縮できる。
尚、手動のシフトアップ(スロットル開度は電子制御による)も可能で、その場合には前記クラッチC1開放、前記クラッチC2係合、前記ブレーキB1係合でエンジン回転速度を上げて加速し、シフトアップは、上げられたエンジン回転速度と次変速段の回転数とにより制御すべきエンジン回転速度を算出して、前記加速工程あるいは後記減速工程の手順により回転動力の制御を行って、変速段を確立させる。このようにクラッチとブレーキ操作により、前記変速段機構とトルネードギヤTの動力伝達系統を切り離すことができるので、万一トルネードギヤTに不具合が生じても前記変速段機構だけで走行が可能である。
ーー減速ーー
アクセルペダルが戻され、アクセル踏み込み量が前記a1以下(〜0)になった場合、あるいは足がアクセルペダルから離れブレーキペダルが踏まれた場合、エンジン回転はアイドリング回転または略アイドリング回転速度まで下がり減速される。
任意の前記変速段が確立され該変速段で加速中の減速では、前記シフトアップ時と同じように前記クラッチC1を開放し、前記ブレーキB1を係合し、前記トルネードギヤTを固定させる。この場合にも増量された回転が前記変速段機構に逆流伝動されるのだが、変速段は確立されているので該増量された回転は該変速段機構はそのまま素通りしてエンジンに流れ、エンジンの回転が上げられてエンジンブレーキが作用して制動されることになる。
車両が現変速段での最低車速、つまりエンジン回転を維持できる回転数(アイドリング)での最低車両速度まで落ち、さらにそのまま減速が続行される場合は、前記変速段機構で減速時シフトチェンジ(シフトダウン)が行われる。前記したように本方式のシフトダウンでは、前記変速段機構の後ろから回転を下げて回転を合わせ、変速段を確立させるが、これは、まず前記変速段機構の方で前記シフトアップ時のプレシフトと同じように動力切断状態にし、前記クラッチC2を開放し前記クラッチC1を係合調整することにより達成できる。これにより、前記ブレーキB1は係合されているので、前記ブレーキB1ー前記トルネードギヤTー前記ピニオンギヤPー前記軸ギヤ11ー前記ベベルギヤ9ー前記第3中間軸6ー前記フロント遊星歯車機構10と繋がって、前記リアサンギヤ20sが制動され回転速度を落とすことができ(この時、該リアサンギヤ20sは制動されるが、タイヤからの前記キャリア20cの回転は、前記クラッチC2が開放されているため遊転する)、次変速段(一段下方の変速段)の回転速度まで落としてそれを前記変速段機構に伝動し同期・係合させれば、シフトアップの場合と同じように変速ショックのないスムーズなシフトダウンが可能となる。そして再びクラッチC2を係合し、前記クラッチC1を開放して、前記と同じようにエンジンブレーキを作動させる減速走行に戻す。減速が続行される場合は、上記工程を繰り返す。
また急加速等でのシフトダウンも上記と同じように行うことによって変速ショックのないスムーズなシフトダウンが可能となる。尚、前記変速段機構及び前記多段化機構での手順はシフトアップ時と同じなので省略する。また減速は、基本的に急減速以外はシーケンスで行うこととする。また前記クラッチC1の係合量や制動された回転速度等値等は例えば、各回転数センサからの信号と設定された減速時マップ等により算出するようにしてもよい。またエンジンブレーキ作動中は燃料カットを行うと好適である。またオルタネーターを車両の減速時に集中的に稼働させるようにするなど、減速エネルギーを電気エネルギーに変換して回生させるようにした方が好適である。
ブレーキペダルが大きく踏み込まれた急減速では、前記クラッチC1開放、前記ブレーキB1係合、前記クラッチC2係合を保持し、現変速段でのエンジンブレーキによる制動をきかせつつ、ブレーキペダルの機構による制動を優先するが、制動終了後は直ちに前記クラッチC2を開放して次作動に備える。この時、前記ピニオンギヤP等を噛脱させて、減速する車速に合わせて移動・待機させるということができる。
ー一定速走行ーー
前記加速状態からアクセル開度が少しだけ戻され、アクセル踏み込み量が前記a1以上前記a2以下になったら、現変速段での定速走行(通常走行)状態とする。この場合、駆動力は現状増量して出力されているので、前記シフトダウンとおなじように、まず前記変速段機構の方で動力切断状態にし、前記クラッチC2を開放し、前記クラッチC1を係合調整し、そしてこの場合は前記ブレーキB1が開放されているので該ブレーキB1を係合し、回転を落として再び動力接合し、従来と同じような各変速段による一定速走行に移行する、というようにすればよい(1)。現車速と戻されたアクセル開度(による車速)が一致しない場合は前記電子制御により緩除に一致させるようにする。
上記定速走行にシフトした時、現変速段での車両速度の範囲の中で、高速領域であった場合には、スロットル開度は大きくなり燃費も悪くなるのだが、省エネモードとして、例えばアクセルはそのままに自動的に加速と減速を一定の間隔で繰り返すというようなことができる。この場合低加速回転(前記トルネードギヤTを併用可能な一番低いエンジン回転)での、時間を長くとった緩やかな前記加速と、燃料カットを用いた前記減速とを併用すれば、本方式の燃費性能の優れた加速により、燃費効率のよい定速走行が可能となる。あるいはさらに減速とせず、加速状態から前記クラッチC1開放、前記クラッチC2開放、前記ブレーキB1係合でニュートラル走行としてもよい。(2)
MT(マニュアルミッション)では運転者の判断でニュートラル走行が可能なのであるが、上記の場合も、運転者の判断でアクセルペダルが定速走行の踏み込み位置に置かれるのであるから(踏み込みを上下させれば、すぐに加速モード、減速モードに移行できる。)特殊な走行環境を除けば、こういったニュートラル走行併用も可能であり認可されてしかるべきである。続けると該定速走行踏み込み位置のままニュートラル走行から加速走行に(自動的に)切り替えるには、まずエンジン回転をアイドリング回転から加速時回転に戻し、前記サンギヤ20sの回転が上がって、前記ニュートラル走行時に上がっていた前記リングギヤ20rの回転が下げられ、それから前記クラッチC1係合し、前記クラッチC2係合し、前記ブレーキB1を開放する。(前記ピニオンギヤPは前加速時位置から再始動するが、そのために前記トルネードギヤTの軸方向長さをシフトチェンジ時最終位置より長くして加速時間を長くするようにするか、または後述するように前記ピニオンギヤPを開始位置側に戻し、スロットル開度を大きくして徐々に戻しながら加速、というようにしてもよい。)戻されるエンジン回転量は然程多くはなく、前記リングギヤ20rの回転も略0なので前記C2クラッチ係合も楽に行われ、変速ショックなく加速モードに切り替えられる。そして本方式の燃費性能の優れた加速と、車速低下が緩慢で長い距離を稼ぐことができる省エネニュートラル走行とを繰り返すことにより、燃費効率のよい定速走行が可能となる。
また、前記したような現変速段での車両速度の範囲の中で、低速領域で走行している場合には前記(1)の方法、高速領域で走行している場合には前記(2)の方法で制御する、という構成にすることもできる。
上記第1実施形態は、従来の、エンジンと変速機との間の摩擦クラッチやトルクコンバーターが設置されていた場所に前記トルネードギヤ部を配設するので、軸方向長さは従来と然程変わらず済ますことができる。
第2実施形態は、上記第1実施形態よりも軸方向長さを短くできるもので、図8に示すごとく、エンジンの出力軸である変速段機構の入力軸1と3つの中間軸2、3、4と出力軸5を有して形成されている。入力軸1の軸心方向と中間軸4の軸心方向と出力軸5の軸心方向は同じ直線上に配置され、中間軸2、3、は、入力軸1と中間軸4と出力軸5に平行に配置されている。そして、前記第1実施形態と同じく入力軸1と中間軸2、3との間で変速段ギヤ列が形成され、平行歯車式の自動変速式マニュアルトランスミッション(AMT)と同様の変速段機構を形成している。該変速段機構と多段化機構の構成、作動は前記第1実施形態と同様のものである。そして中間軸4の外周にはトルネードギヤTと二つの遊星歯車機構10、20等によりトルネードギヤ部を形成している。トルネードギヤTは、摩擦係合要素たるブレーキB1を介してハウジングに選択的に連結され固定可能と成している。エンジン駆動力は前記変速段機構を介して前記中間軸4に至り、前記遊星歯車機構10のサンギヤ10sと前記遊星歯車機構20のサンギヤ20sに分配伝動される。前記遊星歯車機構10のサンギヤ10sに分配伝動された回転動力はキャリア10c、クラッチC1を経て前記トルネードギヤTを駆動させる。該トルネードギヤTの回転により、噛合するピニオンギヤPが従動回転させられ、回転動力は軸ギヤ11を経てベベルギヤ9に至る。該ベベルギヤ9は前記出力軸5の外周に相対回転可能に支承され、クラッチC2の係合・開放により前記リングギヤ20rと連結・分離可能と成している。そして前記ベベルギヤ9に至った回転動力は、前記リングギヤ20rからキャリア20cに連結された前記出力軸5に至り出力される。つまり駆動側である前記トルネードギヤTを略一定回転として、前記ピニオンギヤPを低速回転から高速回転へ従回転させるべく噛合位置はトルネードギヤの径の小から大へ移動し、動力伝動経路がトルネードギヤからピニオンギヤへの流れとなる「昇りピニオン型」のトルネードギヤ部を形成している。走行時の各機構等の作動は前記第1実施形態と同様のものであり、容易に推定できるので省略する。
第3実施形態は図9に示すごとく、変速段機構とトルネードギヤ部が同じ直線上外周に配設されたもので、変速段機構は複数組の遊星歯車装置の回転要素が、油圧アクチュエータによって係合させられる多板式、単板式のクラッチやブレーキ等の油圧式の摩擦係合装置等により選択的に連結されることにより複数のギヤ段(変速段)が択一的に達成される公知の遊星歯車式の多段変速機構である。トルネードギヤ部は上記と同じく前記トルネードギヤと二つの遊星歯車機構による前記「昇りピニオン型」であり、動力伝動経路はトルネードギヤからピニオンギヤへの流れとなる。走行時の前記遊星歯車式の多段変速機構の作動は公知のものであり、トルネードギヤ部の各機構等の作動も前記第1、第2実施形態と同様のものであり、容易に推定できるので省略する。
また、本発明は四輪車両以外にも幅広く活用できるため後進走行のための機構も省略してある。
以上、本発明の動力伝達機構及びギヤ式連続可変変速機構を実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。例えば、本実施形態では差動機構として、三つの回転要素からなる遊星歯車機構を用い、例えば前記リア遊星歯車機構20では該三回転要素のうち、動力の入力軸をサンギヤに、前記ギヤ機構による連続可変変速機構たる前記トルネードギヤTをリングギヤに、出力軸をキャリアに連結したが、該入出力軸やギヤ機構による連続可変変速機構は他の回転要素にも連結可能であり、いろいろな組み合わせが可能である。従って前記出力中間軸2をそのまま出力軸として前記ディファレンシャルギアから駆動輪に伝達するように構成することもできる。また前記トルネードギヤ式連続可変変速機構は、複数使用することも可能であり、直列に複数、また動力を分配する形で並列に少なくとも一つ配設するという構成も可能である。また前記トルネード型等、略円錐型ギヤ式連続可変変速機構等では、側面外周部だけでなく側面内週部にも前記歯列を内設することも可能である。また本ギヤ式連続可変変速機構は前記流体式断続装置や通常の動力断続装置をエンジン後方またはその他の部位に介設してもよい。また、前記変速段機構における前記多段化機構は、2段切り替え可能なレンジチェンジ型の副変速機構等を用いてもよいし、他の多段化機構を用いて構成することも可能である。また前記多段化機構を配設しない構成とすることもできる。また動力発生源にはエンジンなどの内燃機関、電動機などの他に、火力、水力、風力、人力なども挙げられる。その他、本発明では様々な機構、装置等による配設・構成が可能である。
尚、本分中で表記されている機構は、装置や部材等と置き換えてもよい。
1入力軸
2出力中間軸
3第1中間軸
4第2中間軸
5第4中間軸
6第3中間軸
10フロント遊星歯車機構
20リア遊星歯車機構
8前記入力ギヤ
9ベベルギヤ
11軸ギヤ
12a、12b出力ギヤ
Tトルネードギヤ
Pピニオンギヤ
Psピニオンギヤ軸
C1、C2、C3クラッチ
B1、B2ブレーキ
18出力軸

Claims (10)

  1. 第1の回転軸を有するとともに、該回転軸の方向に沿って連続的に変化する断面形状を有する第1の歯車と、
    第2の回転軸を有し、前記第1の歯車に噛み合うとともに前記第2の回転軸の方向に沿って摺動自在に設けられた第2の歯車と、
    を備え、
    前記第1の歯車に対して、前記第2の回転軸の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、
    または前記第1の歯車の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、
    前記第1の歯車のピッチ円の半径が連続的に変化することを特徴とする動力伝達機構であって、
    前記第1の歯車は、
    円錐状外周部または内周部に、前記第2の歯車が前記第2の回転軸の方向に沿って移動可能に、略均等な歯が等ピッチをもって並設された歯列がスパイラル状に延設されてなる円錐渦巻き列ギヤであり、
    前記第2の回転軸は、前記円錐渦巻き列ギヤの円錐面(ピッチ円錐面)上での母線と平行に配置される、
    ことを特徴とする動力伝達機構。
  2. 動力源の動力を、ギヤ機構を用い変速比を連続的に変化させ出力するギヤ式連続可変変速機構であって、
    少なくとも、
    ギヤ機構による連続可変変速機構と、
    差動機構と、
    を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  3. 前記ギヤ式連続可変変速機構であって、
    少なくとも、
    前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、
    段階的にギヤ比を変える変速段機構と、
    を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  4. 前記ギヤ式連続可変変速機構であって、
    少なくとも、
    前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、
    前記動力を分配する動力分配機構と分配された動力を合成する動力合成機構の少なくとも一つと、
    を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  5. 前記ギヤ式連続可変変速機構であって、
    少なくとも、
    前記動力分配機構と、
    分配された動力を利用する前記ギヤ機構による連続可変変速機構と、
    該ギヤ機構による連続可変変速機構から出力される動力を合成する動力合成機構と、
    前記変速段機構と、
    を有することを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  6. 前記請求項2乃至5いずれかに記載のギヤ式連続可変変速機構において、
    前記動力合成機構は差動機構であることを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  7. 前記請求項2乃至6いずれかに記載のギヤ式連続可変変速機構において、
    前記ギヤ機構による連続可変変速機構は、
    第1の回転軸を有するとともに、該回転軸の方向に沿って連続的に変化する断面形状を有する第1の歯車と、
    第2の回転軸を有し、前記第1の歯車に噛み合うとともに前記第2の回転軸の方向に沿って摺動自在に設けられた第2の歯車と、
    を備え、前記第1の歯車に対して、前記第2の回転軸の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、
    または前記第1の歯車の回転に起因して従回転する前記第2の歯車が噛み合い位置を連続的に変更しながら移動するとき、
    前記第1の歯車のピッチ円の半径が連続的に変化することを特徴とする動力伝達機構、
    であることを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  8. 前記請求項2乃至6いずれかに記載のギヤ式連続可変変速機構において、
    前記ギヤ機構による連続可変変速機構は、
    請求項1に記載の動力伝達機構、であることを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  9. 前記請求項2乃至8いずれかに記載の前記差動機構は、遊星歯車機構または差動歯車機構、であることを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
  10. 前記請求項2乃至9いずれかに記載のギヤ式連続可変変速機構において、
    前記動力合成機構は、相対回転可能な第1と第2と第3の3つの回転要素を有し、
    該3要素のうちの第1要素を入力軸に、第2要素を出力軸にそれぞれ動力伝達可能に連結するとともに、第3要素を前記ギヤ機構による連続可変変速機構に動力伝達可能に連結する、
    ことを特徴とするギヤ式連続可変変速機構。
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